(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】ラック、及びフロントパネルの開閉構造
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20230808BHJP
G12B 3/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H05K5/03 B
G12B3/00
(21)【出願番号】P 2022017587
(22)【出願日】2022-02-08
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】池上 陽平
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-294951(JP,A)
【文献】特開2020-43161(JP,A)
【文献】特開平4-221891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
G12B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能にフロントパネルが装着されるラックであって、
前記ラックの前面付近のフレームに平板状に設けられた突起部と、
前記突起部に形成されたねじ穴とを備え、
前記フロントパネルの一端部に沿って形成されたスリットが前記突起部に挿入された状態で、
前記スリットを通過できない突出部を有するねじが前記ねじ穴に装着される
ラック。
【請求項2】
前記突起部の長手方向は、鉛直方向に対して平行に配置されている、
請求項1に記載のラック。
【請求項3】
前記スリットが、前記突起部の根本付近まで挿入されることによって、前記フロントパネルを開閉可能とするヒンジ部が構成される、
請求項1又は請求項2に記載のラック。
【請求項4】
前記一端部とは異なる他端部に設けられ、前記フロントパネルを閉じた状態で前記フロントパネルをロックする固定部が、前記フロントパネルに設けられている、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のラック。
【請求項5】
前面付近のフレームに平板状に設けられた突起部と、前記突起部に形成されたねじ穴とを有するラックと、
一端部に沿って形成されたスリットを有し、前記突起部が前記スリットに挿入されることによって前記ラックに開閉自在に取り付けられるフロントパネルと、を備え、
前記スリットが前記突起部に挿入された状態で、
前記スリットを通過できない突出部を有するねじが前記ねじ穴に装着される
フロントパネルの開閉構造。
【請求項6】
前記突起部の長手方向は、鉛直方向に対して平行に配置されている、
請求項5に記載のフロントパネルの開閉構造。
【請求項7】
前記スリットが、前記突起部の根本付近まで挿入されることによって、前記フロントパネルを開閉可能とするヒンジ部が構成される、
請求項5又は請求項6に記載のフロントパネルの開閉構造。
【請求項8】
前記一端部とは異なる他端部に設けられ、前記フロントパネルを閉じた状態で前記フロントパネルをロックする固定部が、前記フロントパネルに設けられている、
請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載のフロントパネルの開閉構造。
【請求項9】
前記フロントパネルは、前記フロントパネルを閉じた状態において前記フロントパネルの前面に露出している第1部品を含む、
請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載のフロントパネルの開閉構造。
【請求項10】
前記フロントパネルは、前記フロントパネルを閉じた状態において前記フロントパネルによって隠される第2部品を含む、
請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載のフロントパネルの開閉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラック、及びフロントパネルの開閉構造などに関し、特に開閉自在にフロントパネルが取り付けられるラック、及びフロントパネルの開閉構造などに関する。
【背景技術】
【0002】
開閉可能な扉などのフロントパネルを含む機器が知られている。このような機器は、ラックと、このラックに開閉自在にヒンジ部を介して取り付けられた扉などのフロントパネルと、を含んで構成される。
【0003】
フロントパネルを扉化した扉方式の場合では、フロントパネルの取り付けにヒンジや蝶番を使用することが一般的であるが、蝶番やヒンジはコストが掛かる。このため、廉価で扉方式を実現するのは困難である。また、パネル側の取付部品をメンテナンスする際に、周囲に十分なスペースがない場合には、広いスペースで作業するために扉を外す必要がある。ヒンジや蝶番を使用している場合には、簡単に扉を外すことはできず、メンテナンスが困難である。一方で、ラックの構成部品のパネルを扉方式のようにラック側に引っ掛ける方法もあるが、パネル側の取付部品の重心位置によってはパネルがアンバランスになり、何かの拍子にパネルが落下して足の上に落ち、足を怪我する恐れがある。
【0004】
特許文献1は、機器本体に扉などの外装部材を回動自在に結合する開閉装置に関するものである。特許文献1では、機器本体の端部に設けられた開口部に、外装部材の端部に設けられたフック状の湾曲部を係合すること、これによって部品点数が少なくしかも楽に機器本体に外装部材を取付けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の開閉装置では、部品点数を少なくすること、また、機器本体に外装部材を楽に取付けできることの2点が期待されるものの、外装部材は機器本体に対してフック状の湾曲部を係合しているに留まっている。このため、外装部材が予期せずに、機器本体から脱落してしまう可能性が想定される。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、開閉自在にフロントパネルを取り付けることができると共に、フロントパネルが予期しないで脱落するのを防止することができる、ラック、及びフロントパネルの開閉構造などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係るラックは、開閉可能にフロントパネルが装着されるラックであって、
上記ラックの前面付近の フレームに平板状に設けられた突起部と、
上記突起部に形成されたねじ穴と、を備え、
上記フロントパネルの一端部に沿って形成されたスリットが上記突起部に挿入された状態で、ねじが上記ねじ穴に装着される。
【0009】
本発明に係るフロントパネルの開閉構造は、
前面付近のフレームに平板状に設けられた突起部と、上記突起部に形成されたねじ穴とを有するラックと、
一端部に沿って形成されたスリットを有し、上記突起部が上記スリットに挿入されることによって上記ラックに開閉自在に取り付けられるフロントパネルと、を備え、
上記スリットが上記突起部に挿入された状態で、ねじが上記ねじ穴に装着される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ラックに開閉自在にフロントパネルを取り付けることができ、またラックから予期せずにフロントパネルが脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】フロントパネルが装着され、フロントパネルが閉じられた状態の、本発明の一実施形態に係るラックの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るラックの斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るラックに装着される、フロントパネルを説明するための斜視図である。
【
図5】フロントパネルが装着され、フロントパネルが開かれた状態の、本発明の一実施形態に係るラックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
〔一実施形態〕
本発明の一実施形態によるラック、及びフロントパネルの開閉構造について、説明する。
【0014】
図1は、フロントパネルが装着され、フロントパネルが閉じられた状態の、本発明の一実施形態に係るラックの斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るラックの斜視図である。
図3は、
図2のA部の拡大図である。
図5は、フロントパネルが装着され、フロントパネルが開かれた状態の、本発明の一実施形態に係るラックの斜視図である。
図6は、
図5のB部の拡大図である。
【0015】
本発明の一実施形態によるラックは、開閉可能にフロントパネルが装着されるラック10である。本発明の一実施形態によるラック10は、
図3に示すように、前面付近のフレーム11に設けられた平板状の突起部12であって、ねじ穴13が形成された平板状の突起部12を含む。平板状の突起部12の長手方向は、鉛直方向に対して平行に配置されている。言い換えると、平板状の突起部12の長手方向は、ラック10の設置面に対して垂直に配置されている。
【0016】
なおここで、「鉛直方向に対して平行」であることや、「接地面に対して垂直」であることには、例えば0°~5°程度の製造上の誤差も含まれるものとする。
【0017】
さらに本発明の一実施形態によるラック10は、上記ねじ穴13に装着されるねじの一例としての手締めねじ30を含む。手締めねじ30は、フロントパネルのスリットが上記平板状の突起部12に挿入された状態で、ラック10の運用者などによって上記ねじ穴13にねじ込まれ装着される(
図6参照)。
【0018】
次に、本実施形態によるラック10へ開閉可能に装着されるフロントパネルについて、説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るラックに装着される、フロントパネルを説明するための斜視図である。フロントパネルの一例としてのパネル20は、その一端部に沿って形成されたスリットの一例としての角穴21と、固定部の一例としての係合金具23と、部品22と、を含む。
【0019】
これらの角穴21、係合金具23及び部品22は、パネル20のパネル本体に形成されており、このうち角穴21はパネル本体の端部の折り曲げ箇所に沿って形成されたスリットである。部品22は、パネル本体を中心として、パネル20の前面側に位置する部品22aと、パネル20の背面側に位置する部品22bと、を含む。
図4では、パネル20の主表面を鉛直方向に対して平行に配置したときの斜視図を示しており、この状態において部品22(22a、22b)はパネル本体の上端周辺に配置されている。
【0020】
係合金具23は、Ω字状の金具であり、角穴21が形成された一端部とは異なる他端部に配置されており、パネル20を閉じた状態でパネル20をロックする固定部の一部を構成している。ラック10には、
図3や
図6に示すように、パネル20を閉じた状態でパネル20の係合金具23と係合して、パネル20をロックする受け部14が配置されている。
図3や
図6に示される受け部14は、ローラー部を含む、ローラーキャッチと通称される受け部14の一例を示している。
【0021】
(動作の説明)
次に、動作の説明として、本実施形態によるラックへのフロントパネルの取り付け、取り付けられたフロントパネルの開閉動作について、説明する。
【0022】
図2や
図3に示されるラック10に、
図4に示されるパネル20を取り付ける。その際、パネル20の角穴21が平板状の突起部12の根本付近まで達するように、ラック10のフレーム11の平板状の突起部12にパネル20の角穴21を挿入する。本実施形態によるラック10の場合、平板状の突起部12の長手方向は鉛直方向
と平行に配置されている。言い換えると、平板状の突起部12の長手方向はラック10の設置面に対して垂直に配置されている。この配置の平板状の突起部12にパネル20の角穴21が挿入されることにより、平板状の突起部12の上端部分にパネル20の角穴21の上端部分が接触して、パネル20の重量は平板状の突起部12の上端部分を中心とした平板状の突起部12で支えられる。この状態で、パネル20はラック10の平板状の突起部12に引っ掛けられており、大まかにはパネル20は脱落しないようにラック10に取り付けられた状態にある。
【0023】
本実施形態によるラック10ではさらに、パネル20の角穴21が平板状の突起部12に挿入された状態で、平板状の突起部12のねじ穴13に手締めねじ30がねじ込まれる(
図5、
図6参照)。このねじ穴13にねじ込まれた手締めねじ30の働きによって、パネル20がラック10から脱落することを防止できる。例えば、パネル20を開閉しても、ねじ穴13にねじ込まれた手締めねじ30の働きによって、パネル20がラック10から脱落することを防止できる。
【0024】
こうしてパネル20を開閉自在に、ラック10へ取り付けることができる。パネル20を閉じた状態で、パネル20の係合金具23がラック10の受け部14と係合することにより、パネル20が閉じた状態でロックされる。
図4に示されるように、パネル20の部品22のうち、第1部品の一例としての部品22aはパネル20の前面側に配置され、第2部品の一例としての部品22bはパネル20の背面側に配置されている。部品22aは、パネル20を閉じた状態においてもパネル20の前面に露出している。部品22bは、パネル20を閉じた状態においてパネル20によって隠される。本実施形態によるラック10では、パネル20の部品22のうち部品22aはパネル20の前面に露出しており、ラック10の運用者はパネル20を閉じた状態においても部品22aへアクセスして操作することができる。
【0025】
(実施形態の効果)
本実施形態のラック10では、ラック10に突起部12を設け、この突起部12にパネル20側の角穴21を通す。パネル20の角穴21を突起部12に通した後、突起部12に手締めねじ30を締め付ける。これにより、パネル20の角穴21とラック10の突起部12で扉を構成し、且つ手締めねじ30がパネル20の脱落、及び脱落に起因する怪我を未然防止する。手締めねじ30を外すとパネル20として取り外すことができ、パネル20に対して広いスペースで作業することが可能となる。
【0026】
すなわち、本実施形態のラック10によれば、部品点数が少なくしかも簡単に、フロントパネルの一例としてのパネル20を開閉自在に取り付けることができる。またフロントパネルの一端部に沿って形成されたスリットの一例としてのパネル20の角穴21が平板状の突起部12に挿入された状態で、ねじ穴13にねじの一例としての手締めねじ30が装着される。ねじ穴13にねじ込まれた手締めねじ30の働きによって、パネル20がラック10から予期せずに脱落することを防止できる。例えば、パネル20を開閉しても、ねじ穴13にねじ込まれた手締めねじ30の働きによって、パネル20がラック10から予期せずに脱落することを防止できる。
【0027】
これにより、パネル20側の取付部品の重心位置によってはパネル20がアンバランスになり、何かの拍子にパネル20が脱落し落下するといった課題を解決することができる。上述した実施形態のように、パネル20の部品22(22a、22b)がパネル本体の上端周辺に配置されているような構成の場合、パネル20側の取付部品の重心位置によるアンバランスさは顕在化しやすくなる。上述した構成を採用することによって、パネル20がアンバランスになり、何かの拍子にパネル20が脱落し落下するといった課題を解決することができる。
【0028】
本実施形態のラック10では、必要に応じてパネル20をラック10から簡単に取り外すことができるので、部品22などのようなパネル側の取付部品を他の広いスペースでメンテナンスすることが容易である。
【0029】
本実施形態のラック10では、フロントパネルの一端部に沿って形成されたスリットの一例としてのパネル20の角穴21が平板状の突起部12に挿入された状態によって、パネル20を開閉自在にするヒンジ部が構成される。本実施形態のラック10では、平板状の突起部12がラック10のフレーム11に形成されており、スリットの一例としての角穴21がフロントパネルの一例としてのパネル20に形成されている。パネル20は必要に応じてラック10から着脱されるが、パネル20側に角穴21が形成されていることにより、パネル20側は凹凸や突起形状が少ない構造となっている。これにより、パネル20の取り扱いが容易になっており、パネル20側の突起形状を何かに引っ掛けてしまったり、パネル20側の突起形状によって何かを傷付けてしまったりといった偶発的な可能性を小さくすることができる。
【0030】
ラックが例えば、壁際や柱際に据え置かれているような場合、メンテナンスを要する部品が取り付けられたパネルに関し、部品のメンテナンスをするスペースが非常に狭いことが課題となる。部品メンテナンスのための作業スペースが狭い場合、作業者は無理な体勢でメンテナンスを行わざるを得なくなり、特にプラスチックなどの部品を壊してしまうことも起こり得る。狭スペースでのメンテナンス作業を避けるためには、メンテナンスを要する部品が取り付けられたパネルは着脱可能なことが望ましい。一方、着脱可能なパネルは、何かの拍子にパネルを落下させて部品やパネルを壊してしまったり、パネル落下に起因する怪我の原因になる。このような課題は、上述した構成のラック10を採用することによって、解決することができる。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。フロントパネルを閉じた状態でフロントパネルをロックする固定部は、上述した実施形態のような、ローラーキャッチと通称される固定機構に限られず、マグネットキャッチ、ボールキャッチやその他の慣用されている固定機構を用いてもよい。また、係合金具23をラック10側に配置し、受け部14をパネル20側に配置するといったように、固定部を構成する要素を入れ替えて配置してもよい。特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0032】
10 ラック
11 フレーム
12 突起部
13 ねじ穴
14 受け部
20 パネル
21 角穴
22、22a、22b 部品
23 係合金具
30 手締めねじ
【要約】 (修正有)
【課題】開閉自在にフロントパネルを取り付けることができると共に、予期しないフロントパネルの脱落を防止することができる、ラック及びフロントパネルの開閉構造を提供する。
【解決手段】開閉可能にフロントパネル20が装着されるラックであって、ラックの前面付近のフレームに平板状に設けられた突起部12と、突起部12に形成されたねじ穴13と、を備え、フロントパネル20の一端部に沿って形成されたスリットである角穴21が突起部12に挿入された状態で、手締めねじ30がねじ穴13に装着される。
【選択図】
図6