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特許7328432医療用制御装置、医療用観察システム、制御装置及び観察システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】医療用制御装置、医療用観察システム、制御装置及び観察システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20230808BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A61B1/00 511
A61B1/06 610
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022164960
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2020505614の分割
【原出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2022179746
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2018047944
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 航史
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-304135(JP,A)
【文献】特開2003-235786(JP,A)
【文献】特開平11-104074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの観察光に基づいて生成された画像信号における予め設定された波長帯域の特定光の波長帯域を含む色の信号値に基づいて、前記観察光の光路上に、前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されているか否かを検知するフィルタ検知部、
備えることを特徴とする医療用制御装置
【請求項2】
前記観察側フィルタは、前記観察光の光路に対して挿抜自在である
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用制御装置
【請求項3】
外部からの指示の入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記フィルタ検知部は、前記入力部にホワイトバランス調整処理の指示が入力された場合に、前記観察側フィルタの検知処理を実行する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の医療用制御装置
【請求項4】
前記フィルタ検知部の検知結果によって、前記観察光の光路上前記観察側フィルタが存在しないと判断した場合に、表示装置および/または出力部に、前記観察側フィルタが装着されていない旨の報知処理を実行させる制御部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の医療用制御装置
【請求項5】
前記フィルタ検知部の検知結果によって、前記観察光の光路上前記観察側フィルタが存在しないと判断された場合に、源部による前記特定光を含む照明光の出射を制御する光源制御部、
をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の医療用制御装置
【請求項6】
前記観察光を受光して画像信号を生成する撮像部が生成した前記画像信号に信号処理を施す画像処理部、
をさらに備え、
前記画像処理部は、前記フィルタ検知部が前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されていることを検知した場合に、前記観察側フィルタにカットされた波長帯域を含む色を強める色補正を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用制御装置。
【請求項7】
前記観察光を受光して画像信号を生成する撮像部が生成した前記画像信号に信号処理を施す画像処理部、
をさらに備え、
前記画像処理部は、前記フィルタ検知部が前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されていることを検知した場合に、前記観察側フィルタにカットされた波長帯域を含む色を強める色補正を行う第1のカラーモードによる表示用の画像信号の生成を行い、前記フィルタ検知部が前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されていないことを検知した場合に、前記第1のカラーモードと異なる第2のカラーモードによる白色光画像の表示用の画像信号の生成を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用制御装置。
【請求項8】
前記フィルタ検知部が前記観察光の光路上に前記観察側フィルタが存在すると判断した場合に、蛍光観察時のモードへの設定を許可する制御部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療用制御装置。
【請求項9】
被写体からの観察光を導光する観察光学系と、
前記観察光学系から観察光を受光して画像信号を生成する撮像部と、
前記画像信号における予め設定された波長帯域の特定光の波長帯域を含む色の信号値に基づいて、前記観察光の光路上に、前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されているか否かを検知するフィルタ検知部と、
を備えることを特徴とする医療用観察システム。
【請求項10】
前記観察側フィルタは、前記観察光の光路に対して挿抜自在である
ことを特徴とする請求項9に記載の医療用観察システム。
【請求項11】
外部からの指示の入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記フィルタ検知部は、前記入力部にホワイトバランス調整処理の指示が入力された場合に、前記観察側フィルタの検知処理を実行する
ことを特徴とする請求項9または10に記載の医療用観察システム。
【請求項12】
前記フィルタ検知部の検知結果によって、前記観察光の光路上に前記観察側フィルタが存在しないと判断した場合に、表示装置および/または出力部に、前記観察側フィルタが装着されていない旨の報知処理を実行させる制御部、
をさらに備えることを特徴とする請求項9~11のいずれか一つに記載の医療用観察システム。
【請求項13】
少なくとも前記特定光を含む照明光を出射する光源部、
をさらに備えることを特徴とする請求項9~12のいずれか一つに記載の医療用観察システム。
【請求項14】
前記フィルタ検知部の検知結果によって、前記観察光の光路上に前記観察側フィルタが存在しないと判断された場合に、前記光源部による前記照明光の出射を制御する光源制御部、
をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の医療用観察システム。
【請求項15】
前記観察光を受光して画像信号を生成する撮像部が生成した前記画像信号に信号処理を施す画像処理部、
をさらに備え、
前記画像処理部は、前記フィルタ検知部が前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されていることを検知した場合に、前記観察側フィルタにカットされた波長帯域を含む色を強める色補正を行う
ことを特徴とする請求項9に記載の医療用観察システム。
【請求項16】
前記観察光を受光して画像信号を生成する撮像部が生成した前記画像信号に信号処理を施す画像処理部、
をさらに備え、
前記画像処理部は、前記フィルタ検知部が前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されていることを検知した場合に、前記観察側フィルタにカットされた波長帯域を含む色を強める色補正を行う第1のカラーモードによる表示用の画像信号の生成を行い、前記フィルタ検知部が前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されていないことを検知した場合に、前記第1のカラーモードと異なる第2のカラーモードによる白色光画像の表示用の画像信号の生成を行う
ことを特徴とする請求項9に記載の医療用観察システム。
【請求項17】
前記フィルタ検知部が前記観察光の光路上に前記観察側フィルタが存在すると判断した場合に、蛍光観察時のモードへの設定を許可する制御部、
をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の医療用観察システム。
【請求項18】
被写体からの観察光に基づいて生成された画像信号における予め設定された波長帯域の特定光の波長帯域を含む色の信号値に基づいて、前記観察光の光路上に、前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されているか否かを検知するフィルタ検知部、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項19】
被写体からの観察光を導光する観察光学系と、
前記観察光学系から観察光を受光して画像信号を生成する撮像部と、
前記画像信号における予め設定された波長帯域の特定光の波長帯域を含む色の信号値に基づいて、前記観察光の光路上に、前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されているか否かを検知するフィルタ検知部と、
を備えることを特徴とする観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白色による通常観察とは別に、特殊光による特殊光観察を行なう観察方法が考案されている。具体的に、特殊光観察として、NBI(Narrow Band Imaging)と呼ばれる技術、IRI(Infra-Red Imaging)と呼ばれる技術、AFI(Auto Fluorescence Imaging)と呼ばれる技術、PDD(Photodynamic Diagnosis)と呼ばれる技術、などが挙げられる。
NBIでは、波長415nm及び540nmを中心波長とする狭帯域の照明光を照射して、各波長の光のヘモグロビンに対する吸収の差を利用して粘膜表層とそれより深い層との血管の状態を観察する。ここで、415nmの光は粘膜表層のヘモグロビンに吸収され、540nmの光はそれよりやや深い層のヘモグロビンに吸収される。
IRIでは、血中内で波長805nm付近の近赤外光に吸収ピークを持つインドシアニングリーン(Indocyanine green:ICG)という薬剤を造影剤として静脈注射し、中心波長805nm及び中心波長940nmの近赤外光を照射して、ICGの吸収による粘膜下層の血管部分の陰影を観察し、血管、リンパ管の走行状態を診断する。IRIでは、腫瘍の有無により、中心波長805nmの光の強度が変化する。
AFIでは、蛍光剤を被検体内に予め投与しておき、励起光を照射することによって、被検体から発せられる蛍光像を観察し、その蛍光像の有無や、形状を観察することにより腫瘍部分を診断する。正常な組織では粘膜表層において蛍光剤からの蛍光が発せられ、病変による粘膜表層において血管の集積や粘膜の肥厚が起こると蛍光体からの蛍光が著しく低下する。
PDDでは、アミノレブリン酸(5-ALA)の溶解液を患者に服用させると体内の正常組織では、血液原料(ヘム)に代謝されるが、癌細胞では、代謝されずに、その中間産物のPpIXという物質として蓄積され、このPpIXに青色光(中心波長410nm)を照射すると赤色(ピーク波長630nm)に蛍光発光するという性質を利用して、癌細胞と正常細胞を区別しやすい画像を得る。なお、正常細胞は、照射された青色光の光、例えば照射された青色光の裾野の460nmの光を受けて青色の光を発する。
【0003】
特殊光観察を行う際、例えば、IRIや、AFI、PDDは、蛍光色素や蛍光標識を励起するための励起光を照射する。この際、観察光学系には、被写体が励起光を反射し、この反射光が撮像素子に入射することを防ぐために、励起波長帯域の光をカットするフィルタが設けられる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-198634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特殊光観察を行う際、上述したフィルタを観察光学系に配置する必要があるため、観察光学系におけるフィルタの有無を検知することが望まれる。従来では、硬性鏡のアイピースのマスク形状を検出することによって硬性鏡の種別を検知する検知ブロックを設ける技術が知られているが、検知ブロックを設けると、回路規模が増大してしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、回路規模の増大を抑制しつつ、観察光学系におけるフィルタの有無を検知することができる医療用観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる医療用観察システムは、被写体からの観察光を導光する観察光学系と、前記観察光学系から観察光を受光して画像信号を生成する撮像部と、前記撮像部が生成した前記画像信号に信号処理を施す画像処理部と、を備え、前記画像処理部は、前記画像信号における予め設定された波長帯域の特定光の波長帯域を含む色の信号値に基づいて、前記観察光の光路上に、前記特定光をカットする観察側フィルタが配置されているか否かを検知するフィルタ検知部、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる医療用観察システムは、上記発明において、前記観察側フィルタは、前記観察光の光路に対して挿抜自在であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる医療用観察システムは、上記発明において、外部からの指示の入力を受け付ける入力部をさらに備え、前記フィルタ検知部は、前記入力部にホワイトバランス調整処理の指示が入力された場合に、前記観察側フィルタの検知処理を実行することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる医療用観察システムは、上記発明において、前記フィルタ検知部の検知結果によって、前記観察光の光路上前記観察側フィルタが存在しないと判断した場合に、表示装置および/または出力部に、前記観察側フィルタが装着されていない旨の報知処理を実行させる制御部、をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる医療用観察システムは、上記発明において、少なくとも前記特定光を含む照明光を出射する光源部、をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる医療用観察システムは、上記発明において、前記フィルタ検知部の検知結果によって、前記観察光の光路上前記観察側フィルタが存在しないと判断された場合に、前記光源部による前記照明光の出射を制御する光源制御部、をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回路規模の増大を抑制しつつ、観察光学系におけるフィルタの有無を検知することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、図1に示したカメラヘッド及び制御装置の構成を示すブロック図である。
図3A図3Aは、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡及びカメラヘッドの構成を説明する模式図である。
図3B図3Bは、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡及びカメラヘッドの構成を説明する模式図である。
図3C図3Cは、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡及びカメラヘッドの構成を説明する模式図である。
図3D図3Dは、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡及びカメラヘッドの構成を説明する模式図である。
図4図4は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に設けられる観察側フィルタの感度について説明する図である。
図5図5は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、光源装置の光源が出射する光について説明する図である。
図6図6は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に設けられる光源側フィルタの光透過率について説明する図である。
図7図7は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に出射される光について説明する図である。
図8図8は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置が備える撮像素子の感度について説明する図である。
図9図9は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に内視鏡に入射する光について説明する図である。
図10図10は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に撮像素子に入射する光について説明する図である。
図11図11は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、観察側フィルタの有無による撮像素子への入射光の違いを説明する図である。
図12図12は、図11に示す入射光による検波値を説明する図である。
図13図13は、本実施の形態1の変形例にかかる内視鏡装置において、通常観察時に光源装置の光源が出射する光について説明する図である。
図14図14は、本実施の形態1の変形例にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に光源装置の光源が出射する光について説明する図である。
図15図15は、本実施の形態1の変形例にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に内視鏡に入射する光について説明する図である。
図16図16は、本実施の形態1の変形例にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に撮像素子に入射する光について説明する図である。
図17図17は、本実施の形態1の変形例にかかる内視鏡装置において、観察側フィルタの有無による撮像素子への入射光の違いを説明する図である。
図18図18は、図17に示す入射光による検波値を説明する図である。
図19図19は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかる内視鏡2及びカメラヘッド9の構成を説明する模式図である。
図20図20は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡装置の概略構成を示す図である。
図21図21は、本発明の実施の形態3にかかる医療用撮像装置を備えた医療用観察システムである手術用顕微鏡システムの全体構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。実施の形態では、本発明にかかる医療用観察システムの一例として、患者等の被検体内の画像を撮像して表示する医療用の内視鏡装置について説明する。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置1の概略構成を示す図である。内視鏡装置1は、医療分野において用いられ、人等の観察対象物の内部(生体内)の被写体を観察する装置である。この内視鏡装置1は、図1に示すように、内視鏡2と、撮像装置3と、表示装置4と、制御装置5(画像処理装置)と、光源装置6とを備え、撮像装置3と制御装置5とで、医療用観察システムを構成している。なお、本実施の形態1では、内視鏡2及び撮像装置3により、例えば硬性鏡等の内視鏡を用いた画像取得装置を構成している。
【0017】
光源装置6は、ライトガイド7の一端が接続され、当該ライトガイド7の一端に生体内を照明するための例えば白色光や、特殊観察用の近赤外光等の照明光を供給する光源部61と、光源部61による照明光の出射を制御する光源制御部62と、を有する。光源部61は、照明光を出射する照明光学系、照明光の光路に挿抜自在に設けられる照明側フィルタを含む。照明側フィルタは、光源制御部62の制御のもとで動作する。なお、光源装置6と制御装置5とは、図1に示すように別体とし相互に通信する構成としてもよいし、一体化した構成であってもよい。
【0018】
ライトガイド7は、一端が光源装置6に着脱自在に接続されるとともに、他端が内視鏡2に着脱自在に接続される。そして、ライトガイド7は、光源装置6から供給された光を一端から他端に伝達し、内視鏡2に供給する。
【0019】
撮像装置3は、内視鏡2からの被写体像を撮像して当該撮像結果を出力する。この撮像装置3は、図1に示すように、信号伝送部である伝送ケーブル8と、カメラヘッド9とを備える。本実施の形態1では、伝送ケーブル8とカメラヘッド9とにより医療用撮像装置が構成される。
【0020】
内視鏡2は、硬質で細長形状を有し、生体内に挿入される。この内視鏡2の内部には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体像を集光する観察光学系が設けられている。内視鏡2は、ライトガイド7を介して供給された光を先端から出射し、生体内に照射する。そして、生体内に照射された光(被写体像)は、内視鏡2内の観察光学系(レンズユニット91)により集光される。なお、本実施の形態1では、後述するように、内視鏡2には、所定の波長帯域の光をカットするフィルタ(以下、観察側フィルタという)を有する構成と、この観察側フィルタを有しない構成とが存在する。例えば、光源装置6が近赤外の波長帯域の光を出射する場合、観察側フィルタは、この近赤外の波長帯域の光をカットする。
【0021】
カメラヘッド9は、内視鏡2の基端に着脱自在に接続される。そして、カメラヘッド9は、制御装置5による制御の下、内視鏡2にて集光された被写体像を撮像し、当該撮像による撮像信号を出力する。なお、カメラヘッド9の詳細な構成については、後述する。内視鏡2とカメラヘッド9とは、図1に示すように着脱自在に構成してもよいし、一体化した構成であってもよい。
【0022】
伝送ケーブル8は、一端がコネクタを介して制御装置5に着脱自在に接続されるとともに、他端がコネクタを介してカメラヘッド9に着脱自在に接続される。具体的に、伝送ケーブル8は、最外層である外被の内側に複数の電気配線(図示略)が配設されたケーブルである。当該複数の電気配線は、カメラヘッド9から出力される撮像信号を制御装置5に、制御装置5から出力される制御信号、同期信号、クロック、及び電力をカメラヘッド9にそれぞれ伝送するための電気配線である。
【0023】
表示装置4は、制御装置5による制御のもと、制御装置5により生成された画像を表示する。表示装置4は、観察時の没入感を得やすくするために、表示部が55インチ以上を有するものが好ましいが、これに限らない。
【0024】
制御装置5は、カメラヘッド9から伝送ケーブル8を経由して入力された撮像信号を処理し、表示装置4へ画像信号を出力するとともに、カメラヘッド9及び表示装置4の動作を統括的に制御する。なお、制御装置5の詳細な構成については、後述する。
【0025】
次に、撮像装置3及び制御装置5の構成について説明する。図2は、カメラヘッド9及び制御装置5の構成を示すブロック図である。なお、図2では、カメラヘッド9及び伝送ケーブル8同士を着脱可能とするコネクタの図示を省略している。
【0026】
以下、制御装置5の構成、及びカメラヘッド9の構成の順に説明する。なお、以下では、制御装置5の構成として、本発明の要部を主に説明する。制御装置5は、図2に示すように、信号処理部51と、画像処理部52と、通信モジュール53と、入力部54と、出力部55と、制御部56と、メモリ57とを備える。なお、制御装置5には、制御装置5及びカメラヘッド9を駆動するための電源電圧を生成し、制御装置5の各部にそれぞれ供給するとともに、伝送ケーブル8を介してカメラヘッド9に供給する電源部(図示略)などが設けられていてもよい。
【0027】
信号処理部51は、カメラヘッド9が出力した撮像信号に対してノイズ除去や、必要に応じてA/D変換等の信号処理を行うことによって、デジタル化された撮像信号(パルス信号)を画像処理部52に出力する。
【0028】
また、信号処理部51は、撮像装置3及び制御装置5の同期信号、及びクロックを生成する。撮像装置3への同期信号(例えば、カメラヘッド9の撮像タイミングを指示する同期信号等)やクロック(例えばシリアル通信用のクロック)は、図示しないラインで撮像装置3に送られ、この同期信号やクロックを基に、撮像装置3は駆動する。
【0029】
画像処理部52は、信号処理部51から入力される撮像信号をもとに、表示装置4が表示する表示用の画像信号を生成する。画像処理部52は、撮像信号に対して、所定の信号処理を実行して被写体画像を含む表示用の画像信号を生成する。ここで、画像処理部52は、検波処理や、補間処理、色補正処理、色強調処理、及び輪郭強調処理等の各種画像処理等の公知の画像処理を行う。画像処理部52は、生成した画像信号を表示装置4に出力する。
【0030】
また、画像処理部52は、撮像信号に基づいて、所定の波長帯域の光をカットするフィルタが光路中に挿入されているか否かを検知するフィルタ検知部52aを有する。フィルタ検知部52aによるフィルタ検知処理の詳細については後述する。
【0031】
通信モジュール53は、制御部56から送信された後述する制御信号を含む制御装置5からの信号を撮像装置3に出力する。また、撮像装置3からの信号を制御装置5内の各部に出力する。つまり通信モジュール53は、撮像装置3へ出力する制御装置5の各部からの信号を、例えばパラレルシリアル変換等によりまとめて出力し、また撮像装置3から入力される信号を、例えばシリアルパラレル変換等により振り分け、制御装置5の各部に出力する、中継デバイスである。
【0032】
入力部54は、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースを用いて実現され、各種情報の入力を受け付ける。
【0033】
出力部55は、スピーカーやプリンタ、ディスプレイ等を用いて実現され、各種情報を出力する。出力部55は、制御部56の制御のもと、アラーム音声、アラーム光の出力や、画像表示を行う。例えば、フィルタ検知部52aによる検知結果から、観察側フィルタが光路中に挿入されていないと判断される場合に、出力部55は、制御部56の制御のもと、アラーム音、アラーム光を出力する。
【0034】
制御部56は、制御装置5及びカメラヘッド9を含む各構成部の駆動制御、及び各構成部に対する情報の入出力制御などを行う。制御部56は、メモリ57に記録されている通信情報データ(例えば、通信用フォーマット情報など)を参照して制御信号を生成し、該生成した制御信号を、通信モジュール53を介して撮像装置3へ送信する。また、制御部56は、伝送ケーブル8を介して、カメラヘッド9に対して制御信号を出力する。制御部56は、例えば、入力部54を介して入力される観察法の切替指示により、光源装置6が出射する照明光の波長帯域を切り替える。観察法としては、白色光を出射する通常観察と、白色の波長帯域と異なる波長帯域の光を出射する特殊光観察とがある。本実施の形態1では、近赤外の波長帯域の光を出射して、インドシアニングリーンの蛍光を観察するIRI観察を特殊光観察の例として説明する。
【0035】
メモリ57は、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現され、通信情報データ(例えば、通信用フォーマット情報など)が記録されている。なお、メモリ57は、制御部56が実行する各種プログラム等が記録されていてもよい。
【0036】
なお、信号処理部51が、入力されたフレームの撮像信号を基に、各フレームの所定のAF用評価値を出力するAF処理部、及び、AF処理部からの各フレームのAF用評価値から、最も合焦位置として適したフレームまたはフォーカスレンズ位置等を選択するようなAF演算処理を行うAF演算部を有していてもよい。
【0037】
上述した信号処理部51、画像処理部52、通信モジュール53及び制御部56は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGA(Field Programmable Gate Array:図示略)を用いて構成するようにしてもよい。なお、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。
【0038】
次に、カメラヘッド9の構成として、本発明の要部を主に説明する。カメラヘッド9は、図2に示すように、レンズユニット91と、撮像部92と、通信モジュール93と、カメラヘッド制御部94とを備える。なお、本実施の形態1では、後述するように、カメラヘッド9には、所定の波長帯域の光をカットする観察側フィルタを有する構成と、このフィルタを有しない構成とが存在する。
【0039】
レンズユニット91は、1または複数のレンズを用いて構成され、レンズユニット91を通過した被写体像を、撮像部92を構成する撮像素子の撮像面に結像する。当該1または複数のレンズは、光軸に沿って移動可能に構成されている。そして、レンズユニット91には、当該1または複数のレンズを移動させて、画角を変化させる光学ズーム機構(図示略)や焦点位置を変化させるフォーカス機構が設けられている。なお、レンズユニット91は、内視鏡2において設けられる光学系とともに、内視鏡2に入射した観察光を撮像部92に導光する観察光学系を形成する。
【0040】
撮像部92は、カメラヘッド制御部94による制御の下、被写体を撮像する。この撮像部92は、レンズユニット91が結像した被写体像を受光して電気信号に変換する撮像素子を用いて構成されている。撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成される。撮像素子がCCDの場合は、例えば、当該撮像素子からの電気信号(アナログ信号)に対して信号処理(A/D変換等)を行って撮像信号を出力する信号処理部(図示略)がセンサチップなどに実装される。撮像素子がCMOSの場合は、例えば、光から電気信号に変換された電気信号(アナログ信号)に対して信号処理(A/D変換等)を行って撮像信号を出力する信号処理部(図示略)が撮像素子に含まれる。撮像部92は、生成した電気信号を通信モジュール93に出力する。
【0041】
通信モジュール93は、制御装置5から送信された信号をカメラヘッド制御部94等のカメラヘッド9内の各部に出力する。また、通信モジュール93は、カメラヘッド9の現在の状態に関する情報などを予め決められた伝送方式に応じた信号形式に変換し、伝送ケーブル8を介して当該変換した信号を制御装置5に出力する。つまり通信モジュール93は、制御装置5や伝送ケーブル8から入力される信号を、例えばシリアルパラレル変換等により振り分け、カメラヘッド9の各部に出力し、また制御装置5や伝送ケーブル8へ出力するカメラヘッド9の各部からの信号を、例えばパラレルシリアル変換等によりまとめて出力する、中継デバイスである。
【0042】
カメラヘッド制御部94は、伝送ケーブル8を介して入力した駆動信号や、カメラヘッド9の外面に露出して設けられたスイッチ等の操作部へのユーザ操作により操作部から出力される指示信号等に応じて、カメラヘッド9全体の動作を制御する。また、カメラヘッド制御部94は、伝送ケーブル8を介して、カメラヘッド9の現在の状態に関する情報を制御装置5に出力する。
【0043】
なお、上述した通信モジュール93及びカメラヘッド制御部94は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU等の汎用プロセッサやASIC等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGAを用いて構成するようにしてもよい。ここで、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。
【0044】
また、カメラヘッド9や伝送ケーブル8に、通信モジュール93や撮像部92により生成された撮像信号に対して信号処理を施す信号処理部を構成するようにしてもよい。さらに、カメラヘッド9内部に設けられた発振器(図示略)で生成された基準クロックに基づいて、撮像部92を駆動するための撮像用クロック、及びカメラヘッド制御部94のための制御用クロックを生成し、撮像部92及びカメラヘッド制御部94にそれぞれ出力するようにしてもよいし、伝送ケーブル8を介して制御装置5から入力した同期信号に基づいて、撮像部92及びカメラヘッド制御部94における各種処理のタイミング信号を生成し、撮像部92及びカメラヘッド制御部94にそれぞれ出力するようにしてもよい。また、カメラヘッド制御部94をカメラヘッド9ではなく伝送ケーブル8や制御装置5に設けてもよい。
【0045】
制御装置5に取り付けられる内視鏡2及びカメラヘッド9の組み合わせを、図3A図3Dを参照して説明する。図3A図3Dは、本発明の実施の形態にかかる内視鏡2及びカメラヘッド9の構成を説明する模式図である。制御装置5に取り付けられる内視鏡2及びカメラヘッド9としては、図3A図3Dに示すような内視鏡2A、2B、カメラヘッド9A、9Bがある。内視鏡2A、2Bは、先端側で外部の光を取り込んで、基端側でカメラヘッド9(9A、9B)に接続する。
【0046】
内視鏡2Aは、挿入部21の内部に観察光学系21Aを備えている(例えば、図3A参照)。観察光学系21Aは、当該観察光学系21Aの光軸NAに沿って、先端側から対物レンズ21a、第1リレー光学系21b、第2リレー光学系21c、第3リレー光学系21d、接眼レンズ21eの順で配置されてなる。
【0047】
内視鏡2Bは、挿入部21の内部に観察光学系21Bを備えている(例えば、図3C参照)。観察光学系21Bは、当該観察光学系21Bの光軸NBに沿って、先端側から観察側フィルタ21f、対物レンズ21a、第1リレー光学系21b、第2リレー光学系21c、第3リレー光学系21d、接眼レンズ21eの順で配置されてなる。内視鏡2Bは、内視鏡2Aの構成に、所定の波長帯域の光をカットする観察側フィルタ21fを加えたものである。ここで、観察側フィルタ21fは、観察光学系21Bを構成するいずれかの光学部材にコーティングを施すことにより、所定の波長帯域の光をカットするもので代用してもよい。
【0048】
カメラヘッド9Aは、内視鏡2に接続する側から観察側フィルタ95、レンズユニット91、撮像部92の順で配置されてなる(例えば、図3A参照)。
【0049】
カメラヘッド9Bは、内視鏡2に接続する側からレンズユニット91、撮像部92の順で配置されてなる(例えば、図3B参照)。カメラヘッド9Bは、カメラヘッド9Aの構成から、所定の波長帯域の光をカットする観察側フィルタ95を除いたものである。
【0050】
本実施の形態1では、内視鏡2とカメラヘッド9との組み合わせにより、画像取得装置を構成する(図3A~3Dにおいて伝送ケーブル8は不図示)。例えば、内視鏡2Aおよびカメラヘッド9Aにより画像取得装置101が構成され(図3A参照)、内視鏡2Aおよびカメラヘッド9Bにより画像取得装置102が構成され(図3B参照)、内視鏡2Bおよびカメラヘッド9Bにより画像取得装置103が構成される(図3C参照)。なお、図3A図3Cに示す構成は、内視鏡2とカメラヘッド9とが着脱自在な構成のほか、内視鏡2とカメラヘッド9とが固定(一体化)されている構成とを含む。図3A図3Cに示す構成のほか、内視鏡2Aとカメラヘッド9Bとの間に、観察側フィルタ10aを有する中間部材10を設けて構成される画像取得装置104を使用することもできる(図3D参照)。中間部材10は、内視鏡2Aおよびカメラヘッド9Bに対して着脱自在としてもよいし、観察側フィルタ10aを挿抜可能な構成としてもよい。本実施の形態1では、上述した画像取得装置101~104のいずれかが制御装置5に選択的に接続される。
【0051】
本実施の形態1では、内視鏡2とカメラヘッド9との組み合わせにより、観察側フィルタ(観察側フィルタ10a、21f、95)を一つ有する構成、または観察側フィルタ(観察側フィルタ10a、21f、95)を有しない構成となる。なお、内視鏡2Bとカメラヘッド9Aとの組み合わせのように、二つの観察側フィルタ(観察側フィルタ21f、95)を有する構成としてもよいが、観察側フィルタは一つあればよいので、ここでは観察側フィルタを一つ有する場合と有しない場合の二つのパターンを用いて説明する。
【0052】
図4は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に設けられる観察側フィルタの感度について説明する図である。通常観察時、観察側フィルタが観察光路上に設けられていなければ、白色光を構成するすべての光が撮像部92に入射する(図4の(a)参照)。すなわち、通常観察では、すべての光に対して感度を有する構成となる。本実施の形態1にかかる白色光は、青色の波長帯域の光(B光)、緑色の波長帯域の光(G光)、赤色の波長帯域の光(R光)、近赤外の波長帯域の光(以下、近赤外励起光ともいう)、および、光源の表面に塗布される蛍光(蛍光自発光)を含む。図4中、右側にいくにしたがって波長の大きな光となる。近赤外励起光として使用する光の波長帯域は、例えば700nm~800nmである。蛍光の波長は、使用した近赤外光の波長より大きく、インドシアニングリーンによる蛍光や、光源由来の蛍光を含む。
【0053】
これに対し、特殊光観察時は、光源装置6から近赤外励起光を出射し、観察光路上に観察側フィルタ(観察側フィルタ10a、21f、95のいずれか)を配置する。観察側フィルタは、照明光として光源装置6から出射される近赤外の波長帯域の光に対する感度が低い(図4の(b)参照)。このため、観察側フィルタが配置された場合、撮像部92が受光する光は、近赤外の波長帯域を除いた波長帯域の光となる。
【0054】
続いて、光源装置6が出射する照明光について、図5図7を参照して説明する。図5は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、光源装置の光源が出射する光について説明する図である。図5は、光源装置6が備える光源がハロゲンランプである場合の光の強度を示している。ハロゲンランプが出射する照明光が含む蛍光自発光は、ハロゲンランプの表面に塗布される蛍光塗料由来の蛍光である。なお、以下に示すグラフの横軸は、右にいくほど波長が長くなるものとして説明する。
【0055】
図6は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に設けられる光源側フィルタの光透過率について説明する図である。特殊光観察時には、制御部56の制御により、光源装置6内の照明光路上に、照明側フィルタが配置される。照明側フィルタにおいて、B光、G光、R光および蛍光自発光のフィルタ透過率は、近赤外励起光のフィルタ透過率に対して小さい。また、R光および蛍光自発光のフィルタ透過率は、B光およびG光のフィルタ透過率よりも小さい。以下の説明では、照明側フィルタによって、R光と蛍光自発光がほぼカットされるものとして説明する。なお、光源装置6の外部、例えば、ライトガイドの端部や、内視鏡2内に照明側フィルタを配置するようにしてもよい。
【0056】
図7は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に出射される光について説明する図である。光源から図5に示す光が出射され、図6に示す照明側フィルタを通過した光は、図7に示すように、B光、G光、近赤外励起光を含む。被写体には、このB光、G光、近赤外励起光を含む特殊光が照射される。被写体に特殊光(近赤外励起光)が照射されると、被写体のインドシアニングリーンが励起されて蛍光を発する。なおこの時、後述するように蛍光自発光は撮像素子の感度が小さいため、蛍光自発光を強く光らせるために、B光およびG光よりも近赤外励起光を強く発光することが好ましい。
【0057】
続いて、撮像部92の感度について、図8を参照して説明する。図8は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置が備える撮像素子の感度について説明する図である。撮像部92が備える撮像素子は、B光、G光、R光、近赤外励起光、および蛍光自発光に対して感度を有する。なお、この撮像素子では、R光、近赤外励起光、および蛍光自発光については、波長が大きくなるほど、感度が小さくなる。また、撮像素子において、近赤外励起光および蛍光自発光は、R光を受光する画素によって受光される。
【0058】
図9および図10は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に内視鏡に入射する光について説明する図である。図9および図10では、各光(B光、G光、R光、近赤外励起光、および蛍光自発光)の強度を示している。また、図9の破線は、観察側フィルタの透過率(図4の(b)参照)を示している。図10の破線は、撮像部92の感度(図8参照)を示している。
【0059】
特殊光観察時、内視鏡2に入射する観察光は、光源装置6から出射され、被写体で反射したB光、G光および近赤外励起光と、インドシアニングリーンが発する蛍光自発光と、を含む。この観察光は、観察側フィルタにより、近赤外励起光がカットされる。すなわち、撮像部92は、B光、G光、および蛍光自発光を受光する(図10参照)。
【0060】
これに対し、通常観察時は、B光、G光、R光、近赤外励起光、および蛍光自発光を含む照明光が被写体に照射され、被写体で反射した光が撮像部92に入射する。
【0061】
図11は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置において、観察側フィルタの有無による撮像素子への入射光の違いを説明する図である。上述したように、通常観察では、観察側フィルタが設けられないため、照明光の反射光を受光すると、その反射光は、B光、G光、R光、近赤外励起光、および蛍光自発光を含む(図11の(a)参照)。これに対し、特殊光観察では、照明光フィルタおよび観察側フィルタが設けられているため、照明光の反射光を受光すると、その反射光は、B光、G光、R光、および蛍光自発光を含むものとなる(図11の(b)参照)。
【0062】
図12は、図11に示す入射光による検波値を説明する図である。検波処理では、近赤外励起光および蛍光自発光がR光として処理される。この際、観察側フィルタが光路上に挿入されている場合の検波値(図12の(b)参照)は、観察側フィルタが光路上に挿入されていない場合の検波値(図12の(a)参照)と比して、R光の検波値(R値)が低下する。これは、観察側フィルタによる近赤外励起光がカットされるためである。なお、B光の検波値(B値)、およびG光の検波値(G値)は、通常観察と特殊光観察とで大きな差異はない。
【0063】
フィルタ検知部52aは、観察側フィルタの有無による検波値(R値)の差異を利用して、観察光路上に観察側フィルタが存在するか否かを判断する。具体的に、フィルタ検知部52aは、検波値(ここでは、R値)に対して閾値を設けて、得られた検波値が閾値TH以上であるか否かを判断する。この閾値THは、例えば、光源から出射される光の波長(波長帯域)、撮像素子の感度、レンズの分光特性(減衰率)および観察側フィルタの有無による検波値の変化率のうちの少なくとも一つに基づいて設定される。フィルタ検知部52aは、R値が閾値TH以上であれば、観察光路上には観察側フィルタが存在しないと判断する。これに対し、フィルタ検知部52aは、R値が閾値TH未満であると、観察光路上に観察側フィルタが存在すると判断する。
【0064】
上述したフィルタ検知処理は、例えば、ホワイトバランス調整処理を行うキャリブレーション時に実行される。具体的に、内視鏡2の使用開始前、入力部54やカメラヘッド9に設けられたボタン等を介してユーザからキャリブレーション指示が入力されると、制御部56は、キャリブレーション処理(例えばホワイトバランス調整処理)を実行するとともに、フィルタ検知処理を実行する。なお、フィルタ検知処理は、上述したホワイトバランス調整処理時のほか、入力部54やカメラヘッド9に設けられたボタン等を介してユーザから指示があった際に実行される。
【0065】
制御部56は、フィルタ検知部52aから検知結果を取得すると、カラーモードの設定や、報知処理、照明光の出射制御を行う。
カラーモードの設定処理では、観察光路上に観察側フィルタが存在しないと判断された場合、通常の白色光画像のカラーモードに設定する。通常の白色光画像のカラーモードでは、適切な白色を再現するための色補正が行われる。これに対し、観察光路上に観察側フィルタが存在すると判断された場合、近赤外励起光を含まない画像に応じたカラーモードに設定する。近赤外励起光を含まない画像のカラーモードでは、赤色(R)のゲイン値を高くした色補正が行われる。なお、制御部56が、観察光路上に観察側フィルタが存在すると判断された場合、蛍光観察時のモードへの設定を許可する制御を行うようにしてもよい。
報知処理では、例えば、フィルタ検知部52aにより、観察光路上に観察側フィルタが存在しないと判断された場合、入力部54を介して特殊光観察を行う指示が入力された際に、観察側フィルタが存在しない旨の報知を行う。例えば、図3Bのように、内視鏡2(2A)およびカメラヘッド9(9B)の両方に観察側フィルタが設けられていない場合に、入力部54を介して特殊光観察を行う指示が入力された際、観察側フィルタが存在しない旨の報知を行う。この際の報知処理は、表示装置4が表示する文字情報(画像)や、出力部55が出力する音、光などにより実行される。
また、観察光路上に観察側フィルタが存在しないと判断された場合、入力部54を介して特殊光観察を行う指示が入力された際に、光源装置6からの特殊光の出射を停止する。制御部56は、観察光路上に観察側フィルタの存在が検知されると、特殊光の出射停止を解除する。光源制御部62は、制御部56の制御のもと、光源部61による光の出射を制御する。
制御部56は、フィルタ検知部52aの検知結果に応じて、上述した報知処理および照明光制御のうちの少なくとも一方を行う。
【0066】
上述した実施の形態1は、検波ブロックを別途設けることなく、検波値を用いて観察側フィルタの有無を検知することが可能である。実施の形態1によれば、回路規模の増大を抑制しつつ、観察光学系におけるフィルタの有無を検知することができる。これにより、フィルタの有無による誤った観察、特に、観察側フィルタが観察光路上に無い状態での特殊光観察が行われることを防止できる。また、上述した実施の形態1によれば、内視鏡2の種別に応じた観察モード(カラーモード)による観察を行うことができる。
【0067】
(実施の形態1の変形例1)
続いて、本発明の実施の形態1の変形例1について説明する。本変形例1にかかる内視鏡装置は、光源装置6が備える光源のみが異なり、そのほかの構成は、上述した内視鏡装置1と同じである。以下、上述した実施の形態1とは異なる部分について説明する。本変形例1では、光源装置6が、白色光を発するLED(Light Emitting Diode)、および近赤外の波長帯域の光を発する半導体レーザを光源として備える。制御部56の制御のもと、LED光源は通常観察時に発光し、半導体レーザは特殊光観察時に発光する。
【0068】
図13は、本変形例1にかかる内視鏡装置において、通常観察時に光源装置の光源が出射する光について説明する図である。図13は、LEDである場合の光の強度を示している。図13中、右側にいくにしたがって波長の大きな光となる。図13に示すように、LED光源から出射される光は、青色の波長帯域の光(B光)、緑色の波長帯域の光(G光)および赤色の波長帯域の光(R光)を含む。LEDの場合、近赤外励起光および蛍光自発光は発しないため、特殊光観察時には、半導体レーザの発光に切り替えられる。
【0069】
図14は、本変形例1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に光源装置の光源が出射する光について説明する図である。図14は、近赤外の波長帯域の光を発する半導体レーザの光の強度を示している。図14に示すように、半導体レーザから出射される光は、近赤外励起光からなる。なお、図13および図14に示す蛍光自発光は、インドシアニングリーンが発する蛍光を示す。
【0070】
図15および図16は、本実施の形態1の変形例1にかかる内視鏡装置において、特殊光観察時に内視鏡に入射する光について説明する図である。図15および図16では、各光(B光、G光、R光、近赤外励起光、および蛍光自発光)の強度を示している。また、図15の破線は、観察側フィルタの透過率(図4の(b)参照)を示している。図16の破線は、撮像部92の感度(図8参照)を示している。
【0071】
本変形例1において、特殊光観察時、内視鏡2に入射する観察光は、光源装置6から出射され、被写体で反射した近赤外励起光と、インドオシアニングリーンが発する蛍光自発光とからなる(図15参照)。この観察光は、観察側フィルタにより、近赤外励起光がカットされる。すなわち、撮像部92は、インドシアニングリーンが発した蛍光のみを受光する(図16参照)。
【0072】
これに対し、通常観察時は、B光、G光およびR光を含む照明光が被写体に照射され、被写体で反射した光が撮像部92に入射する。
【0073】
図17は、本実施の形態1の変形例1にかかる内視鏡装置において、観察側フィルタの有無による撮像素子への入射光の違いを説明する図である。半導体レーザを光源とし、観察光路上に観察側フィルタが設けられない場合、撮像部92が受光する光は、近赤外励起光のみからなる(図17の(a)参照)。これに対し、観察光路上に観察側フィルタが設けられている場合、近赤外励起光を出射しても、その反射光はカットされるため、撮像部92は反射光(近赤外励起光)を受光することはない(図17の(b)参照)。
【0074】
図18は、図17に示す入射光による検波値を説明する図である。検波処理では、近赤外励起光がR光として処理されるため、観察側フィルタが光路上に挿入されていない場合のR値は近赤外励起光の反射光に応じた値となる(図18の(a)参照)。これに対し、観察側フィルタが光路上に挿入されている場合のR値はゼロとなる(図18の(b)参照)。フィルタ検知処理は、例えば、ホワイトバランス調整処理時、又はホワイトバランス調整処理後に実行される。
【0075】
フィルタ検知部52aは、実施の形態1と同様に、観察側フィルタの有無による検波値の差異を利用して、観察光路上に観察側フィルタが存在するか否かを判断する。具体的に、フィルタ検知部52aは、R値が得られたか否かを判断する。フィルタ検知部52aは、R値が得られていれば、観察光路上には観察側フィルタが存在しないと判断する。これに対し、フィルタ検知部52aは、検波値が得られていない場合、観察光路上に観察側フィルタが存在すると判断する。
【0076】
制御部56は、フィルタ検知部52aから検知結果を取得すると、フィルタ検知部52aの検知結果に応じて、上述した報知処理、照明光制御およびカラーモードの設定制御のうちの少なくとも一つを行う。
【0077】
上述した変形例1は、検波ブロックを別途設けることなく、検波値を用いて、観察側フィルタの有無を検知することが可能である。変形例1によれば、回路規模の増大を抑制しつつ、観察光学系におけるフィルタの有無を検知することができる。
【0078】
(実施の形態1の変形例2)
続いて、本発明の実施の形態1の変形例2について説明する。本変形例2にかかる内視鏡装置は、上述した内視鏡装置1と同じである。以下、上述した実施の形態1とは異なる部分について説明する。図19は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかる内視鏡2及びカメラヘッド9の構成を説明する模式図である。本変形例2では、内視鏡2A、カメラヘッド9B、中間部材10Aの組み合わせ(図3Dの画像取得装置104を参照)を例に説明する。本変形例2では、レーザ処置具11を用いて、緑色の波長帯域に含まれる所定の波長(または波長帯域)のレーザ光LGを対象物Sに照射して処置を施す。この際、レーザ光LGの波長(または波長帯域)の光を、観察側フィルタでカットすることによって、レーザ光LGによる画像の明るさの変化を抑制する。
【0079】
中間部材10Aは、レーザ光LGの波長帯域の光をカットする観察側フィルタ10bを有する。
【0080】
制御装置5では、実施の形態1のR値と同様にして、フィルタ検知部52aが、観察光学系に観察側フィルタ(ここでは観察側フィルタ10b)が配置されているか否かを検知する。フィルタ検知部52aは、実施の形態1と同様にして、観察側フィルタ10bの有無によるG光の検波値(G値)の差異を利用して、観察光学系における観察側フィルタ10bの有無を検知する。
【0081】
制御部56では、観察側フィルタの検知結果に基づいて、報知処理や照明光制御が行われる。変形例2では、観察側フィルタが配置されていないことが検知されると、レーザ処置具11を使用する際には観察側フィルタを装着すべき旨のメッセージを表示したり、音および/または光を発して観察側フィルタを装着すべき旨を知らせたりする。また、制御部56が、レーザ処置具11の発光を制御できれば、観察側フィルタが配置されていないことが検知された場合に、レーザ処置具11の発光を禁止するように制御してもよい。
【0082】
本変形例2では、観察側フィルタ10bの有無を検知して、レーザ処置具を使用する際の観察側フィルタ10bの装着を促すことによって、レーザ光LGによる表示画像の明るさの変化を抑制することができる。被検体の処置に用いるレーザ光の強度は、光源装置6が出射する照明光の強度よりも大きいため、撮像部92がレーザ光を受光すると、観察像が適切に得られないおそれがある。観察側フィルタを設けることによって、観察に適した画像を生成することができる。
【0083】
(実施の形態2)
続いて、本発明の実施の形態2について説明する。図20は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡装置200の概略構成を示す図である。上述した実施の形態1では、内視鏡2として、硬性鏡を用いた内視鏡装置1を説明したが、これに限られず、軟性の内視鏡を用いた内視鏡装置としても構わない。本実施の形態2では、軟性の内視鏡の挿入部の先端に観察側フィルタおよび撮像部を設ける場合の例を説明する。
【0084】
内視鏡装置200は、被検体内に挿入部202を挿入することによって観察部位の体内画像を撮像して撮像信号を生成する内視鏡201と、内視鏡20の先端から出射する照明光を発生する光源装置210と、内視鏡201が取得した撮像信号に所定の画像処理を施すとともに、内視鏡装置200全体の動作を統括的に制御する制御装置220と、制御装置22が画像処理を施した体内画像を表示する表示装置230と、を備える。内視鏡装置200は、患者等の被検体内に、挿入部202を挿入して被検体内の体内画像を取得する。なお、制御装置220は、上述した信号処理部51、画像処理部52(フィルタ検知部52a含む)などの機能を有している。
【0085】
内視鏡201は、可撓性を有する細長形状をなす挿入部202と、挿入部202の基端側に接続され、各種の操作信号の入力を受け付ける操作部203と、操作部203から挿入部202が延びる方向と異なる方向に延び、光源装置210及び制御装置220に接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコード204と、を備える。
【0086】
挿入部202は、本実施の形態1にかかる撮像部を内蔵した先端部205と、複数の湾曲駒によって構成された湾曲自在な湾曲部206と、湾曲部206の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部207と、を有する。
【0087】
内視鏡201は、上述した観察側フィルタを有する内視鏡、観察側フィルタを有しない内視鏡、及び観察側フィルタを着脱自在な内視鏡のいずれかが制御装置220に接続される。観察側フィルタは、例えば撮像部の前段に設けられる。
【0088】
光源装置210は、白色光と、近赤外励起光との出射を切り替え可能な構成を備える。具体的に、光源装置210は、ハロゲンランプと、照明側フィルタとの組み合わせにより白色光と特殊光とを出射可能な構成、または、白色光を出射するLEDと、近赤外励起光を出射する半導体レーザとを有する構成のいずれかを備える。
【0089】
上述した内視鏡装置200では、実施の形態1や変形例と同様にして、フィルタ検知部52aが、内視鏡201に観察側フィルタが配置されているか否かを検知する。制御装置220では、観察側フィルタの検知結果に基づいて、報知処理や照明光制御が行われる。
【0090】
以上説明したように、軟性の内視鏡201を備える内視鏡装置200であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0091】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図21は、本実施の形態3にかかる医療用撮像装置を備えた医療用観察システムである手術用顕微鏡システムの全体構成を模式的に示す図である。上述した実施の形態1、2では、硬性または軟性の内視鏡を例に説明したが、本実施の形態3では、所定の視野領域を拡大して撮像し、撮像した画像を表示する機能を有する手術用顕微鏡システム(医療用画像取得システム)を例に説明する。
【0092】
手術用顕微鏡システム300は、被写体を観察するための画像を撮像することによって取得する医療用撮像装置である顕微鏡装置310と、顕微鏡装置310が撮像した画像を表示する表示装置311とを備える。なお、表示装置311を顕微鏡装置310と一体に構成することも可能である。
【0093】
顕微鏡装置310は、被写体の微小部位を拡大して撮像する顕微鏡部312と、顕微鏡部312の基端部に接続し、顕微鏡部312を回動可能に支持するアームを含む支持部313と、支持部313の基端部を回動可能に保持し、床面上を移動可能なベース部314と、を有する。ベース部314は、手術用顕微鏡システム300の動作を制御する制御部314aと、顕微鏡装置310から被写体に照射する照明光を生成する光源部315とを有する。なお、制御部314aは、上述した信号処理部51、画像処理部52(フィルタ検知部52a含む)などの機能を有している。また、ベース部314は、床面上に移動可能に設けるのではなく、天井や壁面等に固定して支持部313を支持する構成としてもよい。
【0094】
顕微鏡部312は、例えば、円柱状をなして、その内部に上述した撮像部92を有する。顕微鏡部312の側面には、顕微鏡装置310の動作指示の入力を受け付けるスイッチが設けられている。顕微鏡部312の下端部の開口面には、内部を保護するカバーガラスが設けられている(図示せず)。
【0095】
顕微鏡装置310は、顕微鏡部312が、上述した観察側フィルタを有する構成、観察側フィルタを有しない構成、及び観察側フィルタを着脱自在な構成のいずれかの構成を適用可能である。観察側フィルタは、例えば顕微鏡部312における撮像部の前段に設けられる。
【0096】
光源部315は、白色光と、近赤外励起光との出射を切り替え可能な構成を備える。具体的に、光源部315は、ハロゲンランプと、照明側フィルタとの組み合わせにより白色光と特殊光とを出射可能な構成、または、白色光を出射するLEDと、近赤外励起光を出射する半導体レーザとを有する構成のいずれかを備える。
【0097】
術者等のユーザは、顕微鏡部312を把持した状態で各種スイッチを操作しながら、顕微鏡部312を移動したり、ズーム操作を行ったり、照明光を切り替えたりする。なお、顕微鏡部312の形状はユーザが把持して視野方向を変更しやすいように、観察方向に細長く延びる形状であれば好ましい。このため、顕微鏡部312の形状は、円柱状以外の形状であってもよく、例えば多角柱状であってもよい。
【0098】
制御部314aでは、実施の形態1や変形例と同様にして、フィルタ検知部52aが、顕微鏡部312に観察側フィルタが配置されているか否かを検知する。制御部314aでは、観察側フィルタの検知結果に基づいて、報知処理や照明光制御が行われる。
【0099】
以上説明したように、手術用顕微鏡システム300においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0100】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。上述した実施の形態では、制御装置5が信号処理などを行うものとして説明したが、カメラヘッド9側で行うものであってもよい。
【0101】
以上のように、本発明にかかる医療用観察システムは、回路規模の増大を抑制しつつ、観察光学系におけるフィルタの有無を検知するのに有用である。
【符号の説明】
【0102】
1 内視鏡装置
2、2A、2B 内視鏡
3 撮像装置
4 表示装置
5 制御装置
6 光源装置
7 ライトガイド
8 伝送ケーブル
9、9A、9B カメラヘッド
10、10A 中間部材
10a、10b、21f、95 観察側フィルタ
51 信号処理部
52 画像処理部
52a フィルタ検知部
53 通信モジュール
54 入力部
55 出力部
56 制御部
57 メモリ
61 光源部
62 光源制御部
91 レンズユニット
92 撮像部
93 通信モジュール
94 カメラヘッド制御部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図19
図20
図21