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特許7328451共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造
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  • 特許-共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造 図1
  • 特許-共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造 図2A
  • 特許-共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造 図2B
  • 特許-共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造 図2C
  • 特許-共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造 図2D
  • 特許-共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造 図3
  • 特許-共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造 図4
  • 特許-共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造 図5
  • 特許-共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/08 20060101AFI20230808BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230808BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 31/728 20060101ALI20230808BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20230808BHJP
   A61L 15/64 20060101ALI20230808BHJP
   A61L 24/00 20060101ALI20230808BHJP
   A61L 24/08 20060101ALI20230808BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20230808BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20230808BHJP
【FI】
C08B37/08 Z
A61K9/06
A61K47/36
A61P17/02
A61K31/728
A61L15/28 100
A61L15/64 100
A61L24/00 240
A61L24/00 260
A61L24/08
A61L31/04 120
A61L31/14 300
A61L31/14 500
A61K41/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022525137
(86)(22)【出願日】2020-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2020014941
(87)【国際公開番号】W WO2021086072
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0137872
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011257
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513281404
【氏名又は名称】プサン ナショナル ユニバーシティ インダストリー-ユニバーシティ コーポレーション ファウンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】518279417
【氏名又は名称】エスエヌヴィア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225060
【弁理士】
【氏名又は名称】屋代 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤン スン ユン
(72)【発明者】
【氏名】パク サムデ
(72)【発明者】
【氏名】リ へソン
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-543043(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103724455(CN,A)
【文献】Journal of Polymer Science Part A Polymer Chemistry,2018年12月07日,Vol.57,pp.522-530
【文献】公益社団法人日本化学会,化学便覧応用化学編第7版,丸善出版株式会社,2014年,pp.1581
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
A61K
A61P
A61L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
前記化学式1において、
mまたはnは、それぞれ1~10,000の整数であり、
~X は、少なくとも1つ以上の化学式1-1の置換基を含み、X ~X も、少なくとも1つ以上の化学式1-1の置換基を含むが、X ~X の置換基と異なる置換基を含み、
【化1-1】
前記化学式1-1において、pまたはqは、それぞれ0~10の整数である。
【請求項2】
前記化学式1で表される化合物は、
下記化学式2または化学式3で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物:
【化2】
【化3】
前記化学式2または化学式3において、
mまたはnは、1~10,000の整数である。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物は、
mとnとが9:1~7:3の比率でランダム共重合されていることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1から請求項のうち何れか一項に記載の化合物を含み、光架橋反応を通じて形成されることを特徴とする、ハイドロゲル。
【請求項5】
請求項1から請求項のうち何れか一項に記載の化合物を含む、生分解性組織接着剤。
【請求項6】
前記化合物は、光によって架橋反応が起こってハイドロゲルを形成することを特徴とする、請求項に記載の生分解性組織接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合体を利用した光架橋型生分解性組織接着剤の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用組織接着剤は、傷部位の止血や接合または治療部位を保護して傷の回復を目的として使われる。
【0003】
従来のシアノアクリル酸(cyanoacrylate)系の組織接着剤は、速い接着性能を示すが、濡れた表面で接着性と柔軟性とが落ち、分解過程でホルムアルデヒドのような毒性副産物が生成されて生体適合性が低い。また、形成された接着層が不透明であり、不均一であって、眼球表面のように高い光透過性が要求される表面には適用し難いという限界があった。
【0004】
また、体内血液の凝固過程を利用したフィブリン(fibrin)系の組織接着剤は、生体適合性は高い方であるが、粘膜と濡れた組織とに接着力が低いという短所があった。
【0005】
最近、UVのような光によって即席でハイドロゲルを形成して組織と高い接着力を保持することができる光架橋型組織接着剤が注目を浴びている。これは、一般的に水溶性高分子に光架橋グループを導入して光架橋型高分子を製造し、それを溶かした溶液に光を照射してハイドロゲルを形成することにより、所望の組織に高い接着力を果たすことができる。
【0006】
特に、人体内の多様な組織の構成成分であるヒアルロン酸(Hyaluronic acid、HA)は、傷の回復に役に立ち、光架橋グループを導入することによって、傷の縫合だけではなく、組織再生にも役に立つ。
【0007】
しかし、従来の光架橋型HAは、柔軟性が落ち、物性調節が難しくて制限的な分野のみで活用されるという問題点があった。
【0008】
したがって、柔軟でありながらも、機械的物性が向上すると同時に接着力も向上する共重合体を利用した光架橋型ヒアルロン酸化合物及びそれを用いた組織接着剤についての研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、優れた延伸率と機械的物性及び皮膚、粘膜組織でも優れた接着力の特性を示すために、光架橋の長さが異なるヒアルロン酸化合物を共重合したヒアルロン酸共重合体化合物を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記ヒアルロン酸共重合体化合物を利用した生分解性組織接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を果たすために、本発明は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1において、
【0014】
mまたはnは、それぞれ1~10,000の整数であり、
【0015】
~Xは、それぞれ同一または異なり、OHまたは化学式1-1の置換基であり、
【0016】
【化1-1】
【0017】
前記化学式1-1において、pまたはqは、それぞれ0~10の整数である。
【0018】
また、本発明は、前記化学式1ないし化学式3で表される化合物を含み、光架橋反応を通じて形成されることを特徴とするハイドロゲルを提供する。
【0019】
また、本発明は、前記化学式1の化合物を含む生分解性組織接着剤を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によって製造されたヒアルロン酸共重合体化合物は、単一成分であって、根本的に相分離されず、優れた延伸率及び機械的特性を有するだけではなく、皮膚、粘膜組織でも優れた接着力を有する。
【0021】
また、光架橋の長さが異なるヒアルロン酸化合物を共重合することにより、接着剤の物性を調節することができて、身体の多様な部位に使える医療用接着剤として用いられ、医療用止血剤、創傷被覆剤、癒着防止剤としても有用に活用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】HAMAとHAPAとの混合比による引張強度の変化を示す図面である。
図2】HAMA-co-HAPA共重合体内の成分比による機械的性質の変化を示す図面であって、(A)引張強度、(B)引張弾性係数、(C)靭性、(D)延伸率の分析結果を示した図面である。
図3】HAMA-co-HAPA共重合体の接着力の試験結果を示した図面である。
図4】HAMA-co-HAPA共重合体のNMRイメージである。
図5】HAMA及びHAPAの各NMRイメージである。
図6】HAMA及びHAPAの各NMRイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0024】
本発明者らは、延伸率、機械的強度及び組織接着力に優れた特性を有する光架橋の長さが異なるヒアルロン酸化合物を共重合したヒアルロン酸共重合体化合物を合成し、これは、根本的に相分離されず、所望の接着特性及び物性を有した組織接着剤を製造することができて、身体の多様な部位に使える医療用接着剤、医療用止血剤、創傷被覆剤、癒着防止剤として有用に用いられうるということを明らかにして、本発明を完成した。
【0025】
本発明は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0026】
【化1】
【0027】
前記化学式1において、
【0028】
mまたはnは、それぞれ1~10,000の整数であり、
【0029】
~Xは、それぞれ同一または異なり、OHまたは化学式1-1の置換基であり、
【0030】
【化1-1】
【0031】
前記化学式1-1において、pまたはqは、それぞれ0~10の整数である。
【0032】
この際、X~X及びX~Xは、それぞれ少なくとも1つ以上の化学式1-1の置換基を必須的に含み、残りは、ヒドロキシ基であり、化学式1-1の置換基の置換率は、1~400%になる。
【0033】
特に、前記化学式1において、mまたはnは、それぞれ1~10,000の整数であり、X~Xは、少なくとも1つ以上の化学式1-1の置換基を含み、X~Xも、少なくとも1つ以上の化学式1-1の置換基を含むが、X~Xの置換基と異なる置換基を含み、pまたはqは、それぞれ0~10の整数であることが望ましい。
【0034】
前記のように、化学式1の化合物は、生体適合性に優れたヒアルロン酸繰り返し単位にエチレン性不飽和基を有することを特徴とする。
【0035】
また、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式2または化学式3で表される化合物である。
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
前記化学式2または化学式3において、
【0039】
mまたはnは、1~10,000の整数である。
【0040】
この際、前記化学式1で表される化合物は、mとnとが9:1~7:3の比率でランダム共重合することができ、望ましくは、7:3の比率でランダム共重合して形成することができるが、これに制限されるものではない。
【0041】
前記化学式1ないし化学式3の化合物は、光架橋の長さが異なるヒアルロン酸化合物をランダム共重合したヒアルロン酸共重合体化合物であって、2つ以上の高分子を単純に混合して生じうる相分離及び製品の商品性の低下の問題点を解決することができる。
【0042】
本発明の一実施例によれば、HAMAとHAPAとがランダム共重合して製造された化学式2の化合物は、単純HAMAとHAPAとの混合物よりも機械的強度が向上することを確認し、延伸率及び接着力も優れていることを確認した。すなわち、本発明によれば、共重合体ハイドロゲルの内部に多重網状構造が生じて柔軟性も高くなりながら同時に機械的強度も高くなる一方、一般的に、混合物の場合には、強度が高い単一物質(HAMA)よりも混合物の強度が高くなることが困難であり、通常の平均値の強度を示すだけである。
【0043】
また、本発明は、前記化学式1ないし化学式3で表される化合物を含み、光架橋反応を通じて形成されることを特徴とするハイドロゲルを提供する。前記ハイドロゲルは、生理活性物質または薬物伝達体用担体や、組織再生及び充填用のインプラント素材などとして活用可能であるが、これに限定されるものではない。
【0044】
また、本発明は、前記化学式1ないし化学式3で表される化合物のうち何れか1つの化合物を含む生分解性組織接着剤を提供する。
【0045】
この際、前記化合物は、光によって架橋反応が起こってハイドロゲル(hydrogel)を形成して組織と高い接着力を保持することができる光架橋型生分解性組織接着剤である。この際、光架橋反応は、UVによる架橋反応だけではなく、吸収波長が異なる光開始剤を使用すれば、可視光線を含めた他の波長の光でも光架橋反応によるハイドロゲルの形成が可能である。
【0046】
また、前記生分解性組織接着剤は、医療用接着剤、医療用止血剤、創傷被覆剤、癒着防止剤、細胞培養支持体、3Dプリンタバイオインク(printer bioink)及びバイオコーティング材料からなる群から何れか1つ以上選択される用途として用いられうるが、これに限定されるものではない。
【0047】
従来の光架橋型ヒアルロン酸メタクリレート(Hyaluronic acid methacrylate;HAMA)は、光架橋時に柔軟性が不足であって、制限的な分野に活用されてきた。それを改善するために、延伸率に優れたヒアルロン酸ブチルアクリレート(Hyaluronic acid butylacrylate;HABA)またはヒアルロン酸ペンタアクリレート(Hyaluronic acid Pentacrylate;HAPA)を混合してヒドロゲル組織接着剤の機械的物性を調節することにより、動きがある部分に使用範囲を広げることができ、これを通じて組織の接着力の増大も期待することができる。
【0048】
しかし、2つ以上の高分子を単純に混ぜることは、内外部的な要因によって相分離が生じてしまい、これは、製品の商品性の低下に繋がる。
【0049】
本発明では、それを解決するために、ヒアルロン酸に2つ以上の長さが互いに異なる光架橋性官能基を同時に導入して柔軟でありながらも、機械的物性に優れた新たな光架橋型共重合体を合成した。
【0050】
共重合体は、単一成分であって、根本的に相分離される危険要素を有さない。また、前記合成された新たな光架橋型共重合体は、柔軟でありながら機械的強度に優れているだけではなく、接着剤の物性を自在に調節することができるので、身体の多様な部位に使える医療用接着剤の開発が可能である。
【0051】
また、本発明による共重合体化合物は、医療用止血剤、創傷被覆剤、癒着防止剤、細胞培養支持体、3Dプリンタバイオインク及びバイオコーティング材料への応用が可能であるが、これに制限なしに生体接着剤として使われることができれば、いずれも応用可能である。
【0052】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって、本発明の範囲が、これらの実施例によって制限されないということは当業者にとって自明である。
【0053】
<合成例1>HAMA-co-HAPA共重合体の合成
【0054】
[反1]
【0055】
前記反応式1でのように、精製水100mlにヒアルロン酸10g(26mmol)を溶かし、0~5℃に冷却させた。これに無水メタクリル酸(methacrylic anhydride)36.4mmol、4-ペンテン酸無水物(4-pentenoic anhydride)15.6mmolと3M NaOH 100mlの溶液を添加した後、2日間撹拌した。この反応物をエタノールに沈澱して精製し、真空乾燥してHAMA-HAPAランダム共重合体を製造した(以下、「HAMA-co-HAPA」と称する)。
【0056】
収率:82%、H-NMR(300MHz、DO):δ(ppm)=6.5、6.1、5.6(CH=CH)、4.5-4.3(CH)、3.8-3.0(CH)、2.5-2.35(CHCH)、1.8(CH)、1.7(CH)(図4参照)。
【0057】
前記合成されたHAMA-co-HAPAでmとnとの比率は、7:3であり、添加される無水メタクリル酸及び4-ペンテン酸無水物の比率を10:0、9:1で異ならせたHAMA-co-HAPA共重合体を製造して、下記の実施例のサンプルとして利用した。
【0058】
【0059】
<比較例1>HAMA及びHAPA間の混合物の製造
【0060】
精製水100mlにヒアルロン酸10g(26mmol)を溶かし、0~5℃に冷却させた。これに無水メタクリル酸104mmolと3M NaOH 100mlの溶液を添加した後、2日間撹拌した。この反応物をエタノールに沈澱して精製し、真空乾燥してヒアルロン酸メタクリレート(HAMA)を製造した(図5参照)。
【0061】
精製水100mlにヒアルロン酸10g(26mmol)を溶かし、0~5℃に冷却させた。これに4-ペンテン酸無水物156mmolと3M NaOH 100mlの溶液を添加した後、2日間撹拌した。この反応物をエタノールに沈澱して精製し、真空乾燥してヒアルロン酸ペンタアクリレート(HAPA)を製造した(図6参照)。
【0062】
前記製造されたHAMAとHAPAとの混合比を10:0、9:1、8:2、7:3、6:4及び5:5で異ならせて単純混合することにより、HAMA及びHAPA間の混合物をそれぞれ製造した。
【0063】
<実施例1>HAMA-co-HAPAの機械的強度及び柔軟性の分析
【0064】
前記合成例1で添加される無水メタクリル酸及び4-ペンテン酸無水物の比率を異ならせてHAMAとHAPAとの比率が10:0、9:1及び7:3で合成された共重合体HAMA-co-HAPAの引張強度(Tensile strength)、引張弾性係数(Tensile modulus)、靭性(Toughness)及び延伸率(Elongation)を引張実験を通じて測定した。
【0065】
引張実験は、AND社の万能材料試験機(Universal testing machine)を使用してASTM方法によってドッグボーン(Dogbone)の形態で成形された試験片を1mm/minの速度で測定した。
【0066】
引張強度は、応力-ひずみ線図(Strain-stress curve)で最大応力を測定し、引張弾性係数は、応力と変形率との間の勾配を測定した。靭性は、試片が破断される地点(Fracture)までの全面積を積分して分析を行い、延伸率は、破断点での変形率を測定して分析を行った。
【0067】
その結果、図1のように、HAMAとHAPAとの単純混合によって形成された混合物は、架橋の長さが長いHAPAの比率が高くなることによって形成されたハイドロゲルの引張強度が低くなることを確認した。
【0068】
しかし、前記合成例1によるHAMA-co-HAPA共重合体を製造した場合、引張実験でむしろ架橋の長さが長いHAPAの比率が高くなることによって形成されたハイドロゲルの引張強度と引張弾性係数とが高くなる結果を示した(図2A及び図2B参照)。
【0069】
また、変形に対する抵抗性を示す靭性実験でHAMA-co-HAPA共重合体がHAMA化合物よりも2倍以上高い結果を示し(図2C)、延伸率も、従来の光架橋型単一高分子(HAMA、MA:PA=10:0)よりも格段に向上した結果を示した(図2D)。
【0070】
したがって、HAMAとHAPAとを単純混合することではない共重合体を合成することによって、機械的強度の向上だけではなく、柔軟性も向上することを確認した。
【0071】
<実施例2>HAMA-co-HAPAの接着性能の分析
【0072】
前記合成例1から製造されたHAMA-co-HAPA共重合体の接着性能を評価するために、添加される無水メタクリル酸及び4-ペンテン酸無水物の混合比を10:0及び9:1で異ならせて合成された共重合体HAMA-co-HAPAのLap shear testを進行した。
【0073】
ゼラチンで作られた人工皮膚の間にHAMA-co-HAPA溶液を塗布した後、UVを5秒間照射し、両先端を引っ張って接着力を評価した。
【0074】
その結果、図3のように、HAMA-co-HAPA共重合体がHAMA単一高分子よりも高い接着力を示し、これは、機械的物性の向上によるものと判断される。
【0075】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者にとって、このような具体的な記述は、単に望ましい実施形態に過ぎず、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とそれらの等価物とによって定義される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6