(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】真皮再生用注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20230808BHJP
A61M 5/19 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A61M5/31 530
A61M5/19
(21)【出願番号】P 2022558212
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 KR2021003595
(87)【国際公開番号】W WO2021194232
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0036258
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522376645
【氏名又は名称】ジン,セ フン
(73)【特許権者】
【識別番号】522376656
【氏名又は名称】ジン,キョン ソク
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジン,セ フン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,キョン ソク
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1879211(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1685660(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1759272(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0100912(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0056594(US,A1)
【文献】特開2013-180004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
A61M 5/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒と外筒で構成され、前記内筒には第1流体の充填されたシリンダーが後方から挿入され、前記外筒は前記内筒と離隔して前記内筒を包み込む形状であり、前記内筒と前記外筒との間には第2流体の充填される充填空間が形成されたボディと、
前記ボディの前方部に結合し、第1パート、第2パート及び第3パートで構成され、前記第1パートは、前記ボディの外側に位置し、前端は針と結合し、後端は前記外筒と接してシールされ、側面部には後端から前端へ行くほど中心に向かって傾斜した斜面が形成され、前記第2パートは、前記ボディの内部に挿入されて前記内筒と接してシールされ、前記第3パートは、前記シリンダーに連結されてシールされる注入部と、
前記注入部の前記第2パートの一側に形成され、前記充填空間と連通して前記第2流体が前記第2パートを介して前記注入部の内部に流入するようにする貫通孔と、
前記貫通孔に設けられ、前記注入部から前記充填空間への流体の流れを遮断し、前記充填空間から前記注入部への流体の流れは許容するチェックバルブと、を含むことを特徴とする、真皮再生用注射器。
【請求項2】
前記注入部の材質はプラスチック材質であり、前記第1パートの斜面から前記第2パートまで上下方向に凹設された陥没部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の真皮再生用注射器。
【請求項3】
前記陥没部は、複数個が一定間隔離隔して形成されたことを特徴とする、請求項2に記載の真皮再生用注射器。
【請求項4】
前記陥没部は、前記第1パートの斜面から前記第2パートの内部へ延設され、前記貫通孔の上部に隣接した前記陥没部は、前記貫通孔の上部まで延設されることを特徴とする、請求項3に記載の真皮再生用注射器。
【請求項5】
前記注入部の前記第1パートの中心には、前記針の後端と結合して、流体が前記針へ流入する流路である針結合孔が形成され、前記第2パートと前記第3パートには、流体が流れうる内部空間が形成され、
前記内部空間の一端は前記シリンダーと連通し、前記内部空間の他端は前記針結合孔と連通して流体が前記内部空間を経て前記針へ流出することができることを特徴とする、請求項1に記載の真皮再生用注射器。
【請求項6】
前記シリンダーの内周面にはねじ山が形成され、前記第3パートの端部には突出部が突設されることにより、前記シリンダーと螺合されることができることを特徴とする、請求項5に記載の真皮再生用注射器。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記貫通孔と前記注入部とが連通した通路の下端に流体の流出入する連結部が形成され、前記連結部は、前記内部空間と前記針結合孔とが連通した端部に隣接して形成されたことを特徴とする、請求項5に記載の真皮再生用注射器。
【請求項8】
前記注入部に設けられて流体の漏れを防止するOリングシールをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の真皮再生用注射器。
【請求項9】
前記Oリングシールは、前記第2パートと前記内筒との連結箇所に設けられ、前記第1流体が前記シリンダーから漏れるのを防止することを特徴とする、請求項8に記載の真皮再生用注射器。
【請求項10】
前記第1パートの後端には、前記第2パートと段差付くように結合端が形成され、前記外筒の外壁が前記結合端と接してシールされることを特徴とする、請求項1に記載の真皮再生用注射器。
【請求項11】
前記第2パートは、前記第1パートに連結された第2-1パートと、第2-1パートよりも直径が小さく、前記第3パートに連結された第2-2パートとから構成され、
前記第2パートが前記ボディの内部へ挿入されると、前記第2-1パートの外周面は前記外筒の内周面と接してシールされ、前記第2-2パートの外周面は前記内筒の内周面と接してシールされることを特徴とする、請求項1に記載の真皮再生用注射器。
【請求項12】
前記ボディの側壁を貫通して前記充填空間と連通することにより前記第1流体が前記充填空間に充填されるようにするガス注入口をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の真皮再生用注射器。
【請求項13】
前記ボディの側壁にはガイド部が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の真皮再生用注射器。
【請求項14】
前記針の前端部には、一側方向に傾斜するように切断された切断面が形成され、前記切断面は、前記ボディがアクチュエータに結合した状態で上方を向くように形成されたことを特徴とする、請求項13に記載の真皮再生用注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディの外側に位置する注入部に斜面が形成され、ボディと注入部との融着面は平面からなり、注入部は上下方向に凹設された陥没部を含むことにより、使用が便利で製作が容易な真皮再生用注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、真皮と表皮から構成されるが、真皮は、表皮層の下方にある皮膚であって、皮膚の弾力を掌握するコラーゲン、エラスチン、基質タンパク質からなっている。老化が進むと、真皮層の細胞再生が遅くなり、ヒアルロン酸の生成が遅くなって皮膚の弾力と関連のある繊維が切れたり弾力を失ったりする。よって、破損した真皮の再生は皮膚管理の核心であるといえる。
【0003】
治療の難しい陥没傷跡と深いシワは、真皮層に微細な量のガスを先に注入して真皮層を裂き、その裂かれた真皮層に微量の液体を注入して物理的、化学的、生物学的な刺激が同時に起こるようにして、大量のコラーゲン繊維組織が所望の箇所に生成されるように誘導することにより、治療が可能である。
【0004】
したがって、このような自己真皮再生術の実現のためには、一つの注射器が侵襲した状態でガスと液体を交互に注入する必要があり、このために特殊な構造の注射器が必要であった。
【0005】
特に、真皮再生用注射器は、ガスの注入のために別途のガス連結機構が必要であったが、別途の機構を組み合わせる場合、システムの体積が大きくなり、製作と流通も容易でないので、比較的シンプルな注射器一つだけで流通が可能であり、使用後に捨てるようにすることにより、簡単に施術法を供給することができるようにする注射器が必要であった。
【0006】
従来開発された注射器は、針の侵襲を容易にするために、斜面が形成された注入部を含んでいるが、ボディと注入部との融着面がテーパー斜面となって製作が難しいという問題点があった。また、成形射出過程で不均一な収縮現象が発生して不良品が製作されるという問題点があった。
上記の背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解を増進するためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものと受け入れられてはならないだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、注入部に斜面を形成して侵襲を容易にしながらも、注入部とボディとの融着面を斜面ではなく、平面にて構成し、注入部に陥没部を含めて成形射出時の収縮現象を防止することにより製作が容易であり、量産が可能であり、針の斜面が上方を向いて侵襲されるように構成されて治療液が陥没部位の真皮と表皮との間に効果的に注入できる注射器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明は、内筒と外筒で構成され、前記内筒には第1流体の充填されたシリンダーが後方から挿入され、前記外筒は前記内筒と離隔して前記内筒を包み込む形状であり、前記内筒と前記外筒との間には第2流体の充填される充填空間が形成されたボディと、前記ボディの前方部に結合し、第1パート、第2パート及び第3パートで構成され、前記第1パートは、前記ボディの外側に位置し、前端は針と結合し、後端は前記外筒と接してシールされ、側面部には後端から前端へ行くほど中心に向かって傾斜した斜面が形成され、前記第2パートは、前記ボディの内部に挿入されて前記内筒と接してシールされ、前記第3パートは、前記シリンダーに連結されてシールされる注入部と、前記注入部の前記第2パートの一側に形成され、前記充填空間と連通して前記第2流体が前記第2パートを介して前記注入部の内部に流入するようにする貫通孔と、前記貫通孔に設けられ、前記注入部から前記充填空間への流体の流れを遮断し、前記充填空間から前記注入部への流体の流れは許容するチェックバルブと;を含むことができる。
【0009】
前記注入部の材質は、プラスチック材質であり、前記第1パートの斜面から前記第2パートまで上下方向に凹設された陥没部を含むことができる。
【0010】
前記陥没部は、複数個が一定間隔離隔して形成されることができる。
【0011】
前記陥没部は、前記第1パートの斜面から前記第2パートの内部へ延設されるが、前記貫通孔の上部に隣接した前記陥没部は、前記貫通孔の上部まで延設されることができる。
【0012】
前記注入部の前記第1パートの中心には、前記針の後端と結合して、流体が前記針に流入する流路である針結合孔が形成され、前記第2パートと前記第3パートには、流体が流れうる内部空間が形成され、前記内部空間の一端は前記シリンダーと連通し、前記内部空間の他端は前記針結合孔と連通して流体が前記内部空間を経て前記針へ流出することができる。
【0013】
前記シリンダーの内周面にはねじ山が形成され、前記第3パートの端部には突出部が突設されることにより、前記シリンダーと螺合されることができる。
【0014】
前記貫通孔は、前記貫通孔と前記注入部とが連通した通路の下端に流体の流出入する連結部が形成され、前記連結部は、前記内部空間と前記針結合孔とが連通した端部に隣接して形成されることができる。
【0015】
また、前記注入部に設けられて流体の漏れを防止するOリングシールをさらに含むことができる。
【0016】
前記Oリングシールは、前記第2パートと前記内筒との連結箇所に設けられ、前記第1流体が前記シリンダーから漏れるのを防止することができる。
【0017】
また、前記第1パートの後端には、前記第2パートと段差付くように結合端が形成され、前記外筒の外壁が前記結合端と接してシールされることができる。
【0018】
また、前記第2パートは、前記第1パートに連結された第2-1パートと、第2-1パートよりも直径が小さく、前記第3パートに連結された第2-2パートとから構成され、前記第2パートが前記ボディの内部へ挿入されると、前記第2-1パートの外周面は前記外筒の内周面と接してシールされ、前記第2-2パートの外周面は前記内筒の内周面と接してシールされることができる。
【0019】
また、前記ボディの側壁を貫通して前記充填空間と連通することにより、前記第1流体が前記充填空間に充填されるようにするガス注入口をさらに含むことができる。
【0020】
また、前記ボディの側壁にはガイド部が形成されることができる。
【0021】
前記針の前端部には、一側方向に傾斜するように切断された切断面が形成され、前記切断面は、前記ボディがアクチュエータに結合した状態で上方を向くように形成されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、注入部に斜面が形成されて針の侵襲が容易であるため施術が容易であり、注入部とボディとの融着面が平面からなって融着が容易であるため製作が容易であるという効果がある。
【0023】
また、注入部に陥没部が凹設されて成形射出製作の際に不均一な固化速度による収縮現象を防止することにより、安定して量産が可能であるという効果がある。
【0024】
また、針には、傾くように切断された切断面が形成され、切断面は、侵襲の際に上方を向いて陥没傷跡に効果的に流体を注入することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態による真皮再生用注射器の側面の断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による真皮再生用注射器の注入部の側面の断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による真皮再生用注射器の注入部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、内筒と外筒で構成され、内筒には第1流体の充填されたシリンダーが後方から挿入され、外筒は内筒と離隔して内筒を包み込む形状であり、内筒と外筒との間には第2流体の充填される充填空間が形成されたボディと、ボディの前方部に結合し、第1パート、第2パート及び第3パートで構成され、第1パートは、ボディの外側に位置し、前端は針と結合し、後端は外筒と接してシールされ、側面部には後端から前端へ行くほど中心に向かって傾斜した斜面が形成され、第2パートは、ボディの内部に挿入されて内筒と接してシールされ、第3パートは、シリンダーに連結されてシールされる注入部と、注入部の第2パートの一側に形成され、充填空間と連通して第2流体が第2パートを介して注入部の内部に流入するようにする貫通孔と、貫通孔に設けられ、注入部から充填空間への流体の流れを遮断し、充填空間から注入部への流体の流れは許容するチェックバルブと、を含むことができる。
【0027】
[実施形態]
本明細書又は開示する本発明の実施形態についての特定の構造的又は機能的説明は、単に本発明による実施形態を説明するための目的で例示されたものであり、本発明による実施形態は、様々な形態で実施でき、本明細書又は説明する実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。
【0028】
本発明による実施形態は、多様な変更を加えることができ、種々の形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、本明細書に詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明の概念による実施形態を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物又は代替物を含むものと理解されるべきである。
【0029】
「第1」、「第2」等の用語は多様な構成要素の説明に使用できるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されてはならない。これらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。例えば、本発明の概念による権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名でき、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名できる。
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明することにより、本発明を詳細に説明する。各図面に提示した同一の参照符号は、同一の部材を示す。
【0031】
自己真皮再生術は、まず二酸化炭素などの気体を注入して表皮と真皮層を分離した後、空間を形成し、この空間にヒアルロン酸などの皮膚再生促進剤を投入して真皮の再生を促進させることにより、陥没傷跡や皺などを治療する施術であって、この過程では、2種の互いに異なる流体を反復/交替して注入することが必要である。したがって、このために、2つの注射器を備え、施術を行うことを考慮することができるが、この場合には、注射器を交替し続けなければならない煩わしさがあり、よって、これを容易に実現するために本発明が開発されたのである。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態による真皮再生用注射器の側面の断面図である。
図1を参照すると、本発明の一実施形態による真皮再生用注射器は、ボディ100、注入部200、貫通孔300及びチェックバルブ400を含んで構成できる。注射器の針(N)が形成された前方は、保管のためのキャップ(C)が被せられることができる。
【0033】
ボディ100は、円柱形状であり、内筒120と外筒140で構成されることができる。内筒120には、第1流体の充填されたシリンダー(図示せず)が後方から挿入されて結合することができる。シリンダーに充填された第1流体は、後述する注入部200の内部空間202を介して針(N)へ流出することができる。
【0034】
外筒140は、内筒120と一定間隔で離隔して内筒120を包み込む形状であり得る。つまり、外筒140の直径は、内筒120の直径よりも大きく形成される。内筒120と外筒140とが離隔した空間には、第2流体の充填される充填空間160が形成されることができる。そして、内筒120の長さは、外筒140の長さよりも短く形成されるが、長さの差異によって形成される空間に第2パート240が挿入される。第2パート240は、一部が外筒140の内周面と接してシールされ、残りの一部は内筒120の内周面と接してシールされることができる。
【0035】
注入部200は、ボディ100の前方部に結合して第1流体と第2流体の流出する通路を形成することができる。
図1を参照すると、注入部200は、第1パート220、第2パート240及び第3パート260で構成される。
【0036】
第1パート220は、ボディ100の外側に位置し、前端は針(N)と結合し、後端は外筒140と接してシールされる。第1パート220の側面部には、後端から前端へ行くほど中心に向かって傾斜した斜面が形成されることができる。前記斜面は、真皮再生用注射器を使用する場合にヒトの皮膚に侵襲し易くする。
【0037】
針(N)が皮膚に侵襲する場合、皮膚に対して垂直方向ではなく、斜めに傾いた傾斜角をなしながら挿入される。前記斜面が皮膚の上面に当たって支持されることができ、注入部200が皮膚によって干渉されないため、相対的に短い長さの針(N)で十分な深さに侵襲されることができるという効果を持つ。
【0038】
第2パート240は、第1パート220の後端に連結され、ボディ100の内部に挿入されて内筒120と接してシールされることができる。外筒140と内筒120との長さの差によって形成された空間に第2パート240が挿入されて内筒120と接するのである。
【0039】
第3パート260は、第2パート240の後端に連結され、シリンダーと連結されてシールされることができる。第3パート260は、内筒120の内部へ挿入されて第1流体の充填されたシリンダーと連結される。第3パート260の端部は、シリンダーに挿入されて連結されることができる。
【0040】
従来の真皮再生用注射器は、斜面を含んでいても、ボディ100と斜面とが融着するように構成されていた。接触面がテーパー斜面である場合、融着が難しいため製作が困難であり、安定性にも劣るという問題点があった。
【0041】
しかし、本発明の場合は、第1パート220がボディ100の外側に位置し、第2パート240及び第3パート260がボディ100の内部に挿入される。したがって、ボディ100と注入部200との締結部位は第1パート220の後端となり、前記締結部位の断面は平面からなる。つまり、斜面とボディ100とが融着するのではなく、平面とボディ100とが融着し、斜面はその上部に位置することにより、製造が容易であるうえ、斜面による効果も同時に有することができるという効果がある。
【0042】
図1を参照すると、第1パート220の直径が最も大きく、その次に第2パート240の直径が大きく、第3パート260の直径が最も小さく形成されることができる。第1パート220が外筒140と接してボディ100の外部に露出するため、直径が最も大きく形成される。第2パート240は、外筒140と内筒120との間で内筒120と接するので、第1パート220の直径よりは小さく、内筒120の直径よりは大きく形成されなければならない。
【0043】
第3パート260は、内筒120の内部へ挿入されてシリンダーと連結されるので、第3パート260の直径は、内筒120の直径よりも小さく形成される。
【0044】
貫通孔300は、充填空間160と注入部200の内部とを連通させる機能を行うことができる。貫通孔300は、注入部200の第2パート240の一側に形成されて充填空間160と連通することができる。したがって、充填空間160から第2流体が貫通孔300を介して注入部200の内部へ流入することができる。
【0045】
チェックバルブ400は、流体が一側方向にのみ流れるように許容し、反対側方向には流れないように遮断するバルブである。チェックバルブ400は、貫通孔300に設けられて第2流体が充填空間160から注入部200の内部へ流れることは許容し、第1流体又は第2流体が注入部200の内部から充填空間160へ流れることは遮断することができる。
【0046】
図2は、本発明の一実施形態による真皮再生用注射器の注入部200の側面の断面図である。
図3は、本発明の一実施形態による真皮再生用注射器の注入部200の正面図であり、
図4は、
図3のA-A領域の断面図であり、
図5は、
図3のB-B領域の断面図である。
【0047】
図3~
図5を参照すると、本発明の一実施形態による真皮再生用注射器の注入部200には陥没部201が形成されることができる。陥没部201は、注入部200の第1パート220の斜面から第2パート240まで上下方向に凹設されることができる。上下方向は、注入部200の前方と後方に向かう方向を意味する。
【0048】
注入部200は、プラスチック材質であり得る。一般に、プラスチック材質の射出物の場合、金型に材料を入れ、高温高圧で成形して製作される。ところが、金型の製作が可能であるとしても、射出成形で製作し難い場合がある。金型から取り出された高温の製品が常温で変形するからである。空気と当接しているエッジ又は面は、比較的速く冷却されて固化するが、製品の中心部分は、空気と当接しないため遅く冷却される。時間経過に伴って遅く冷却された部分は、速く冷却された部分よりも収縮が起こるという問題点がある。
【0049】
このような収縮現象を防止するために、固化速度をあらゆる面で同一又は同様に製作しなければならないが、注入部200に形成された陥没部201は、このような問題点を解決するために、一種のコアリング(Coring)したものであって、注入部200が安定して固化することができるようにする機能を行うことができる。陥没部201を介して注入部200の外側面だけでなく、内側面と空気が当接することにより、一定の速度で固化することができるので、製作が容易になり、量産の際に不良品を減らすことができるという効果がある。
【0050】
図3を参照すると、陥没部201は複数形成されることができる。陥没部201は、注入部200の中心を取り囲む形でそれぞれ一定間隔離隔して形成されることができる。陥没部201の形状はそれぞれ一定に形成されることが好ましい。複数の陥没部201が一定間隔離隔して形成され、全て同じ形状を有することにより、注入部200を成形射出する過程で安定的に固化することができる。一方、陥没部201が形成されることにより、製品の剛性が低下するおそれがあるので、一定間隔離隔して形成されることにより、剛性を維持することができる。
【0051】
図4及び
図5を参照すると、陥没部201は、第1パート220の斜面から第2パート240の内部へ延設されることができる。ただし、貫通孔300の上部と隣接した陥没部201は、貫通孔300の上部までのみ延設されることができる。貫通孔300と陥没部201とが重なり合うと、流体が外部へ流出するからである。
【0052】
図4及び
図5を参照すると、注入部200の第1パート220の中心には、針(N)の後端と結合して、流体が針(N)へ流入する流路である針結合孔222が形成されることができる。第2パート240及び第3パート260には、流体の流れうる内部空間202が形成されることができる。内部空間202と針結合孔222とは連通して形成されることができる。
【0053】
内部空間202の一端はシリンダーと連通し、内部空間の他端は針結合孔222と連通することができる。流体は、内部空間202に流入してから針結合孔222を介して針(N)に流入した後、針(N)によって外部へ流出する。
【0054】
第3パート260の端部には、外側へ突出した突出部262が設けられることができる。シリンダーの第3パート260と連結される部分の内周面にはねじ山が形成されることができ、突出部262がねじ山に連結されてシリンダーと第3パート260とが螺合されて堅固にシールされることができる。螺合によって、シリンダーに充填された第1流体が漏れず、注入部200へ流れるという効果がある。
【0055】
図2は、本発明の一実施形態による真皮再生用注射器の注入部200の側面の断面図である。
図2を参照すると、貫通孔300は、内部空間202と針結合孔222とが連通した端部に隣接するように形成されることができる。真皮再生用注射器は、第1流体と第2流体とを交替して注入するので、陽圧と陰圧を繰り返し加える。第2流体を注入する状況の場合、第2流体が充填空間160を介して内部空間202へ流入しなければならないが、内部空間202に第1流体が残存する場合、第1流体が先に注入される問題が発生するおそれがある。
【0056】
かかる問題点を解決するために、貫通孔300は、注入部200と連通している通路320の下端に流体の流出入する連結部340が形成されることができる。連結部340は、内部空間202と針結合孔222とが連通した端部に隣接して形成され、第2流体が連結部340を介して内部空間202に流入した後、直ちに針結合孔222へ流入することができるように構成できる。これにより、第2流体を注入する状況の場合、内部空間202に残存する第1流体が先に注入される問題を解決することができる。
【0057】
また、本発明の一実施形態による真皮再生用注射器は、Oリングシール(図示せず)をさらに含むことができる。Oリングシールは、注入部200に設けられて内部空間202をシールすることにより、流体が漏れるのを防止することができる。Oリングシールは、リング形状をすることができる。Oリングシールは、第2パート240と内筒120との連結箇所に設けられ、第1流体がシリンダーから漏れるのを防止することができる。
【0058】
図2を参照すると、第1パート220の後端には、第2パート240と段差付くように結合端224が形成されることができる。注入部200とボディ100とが締結される場合、外筒140の外壁が結合端224と接してシールされることができる。結合端224は、結合端224とボディ100とが融着すると、充填空間160がシールされることができる。結合端224にボディ100が融着することにより、上述したように製造が容易であるという効果がある。
【0059】
また、第2パート240は、第2-1パート241及び第2-2パート242で構成されることができる。
図2を参照すると、第2-1パート241は第1パート220に連結され、第2-2部分242は第3パート260に連結されることができる。第2-2パート242の直径は、第2-1パート241の直径よりも小さく形成される。第2パート240がボディ100の内部へ挿入されると、第2-1パート241の外周面は、外筒140の内周面と接してシールされ、第2-2パート242の外周面は、内筒120の内周面と接してシールされることができる。
【0060】
また、ボディ100の側壁には、第1流体が充填空間160へ流入するガス注入口102が形成されることができる。ガス注入口102は、ボディ100の側壁を貫通して内筒120と外筒140との間の充填空間160と連通して第1流体が充填空間160に充填されることができる。第1流体を供給する別途の装置をガス注入口102に連結すると、充填空間160に第1流体が充填されるので、施術者は、毎回、充填空間160に充填された第1流体の量を確認する必要なしに施術することができるという利点がある。
【0061】
また、ボディ100の側壁には、ガイド部104が形成されることができる。ガイド部104は、複数の溝及び突起が繰り返し形成されることができる。真皮再生用注射器は、シリンダーに設けられたピストンを駆動する別途のアクチュエータ(図示せず)などの装置と連結されて電子的にピストンの駆動を制御することができる。この場合、ガイド部104がアクチュエータのハウジングに結合して固定されることができる。つまり、ガイド部104は、シリンダーの内部に挿入されるピストンを駆動するアクチュエータの位置をガイドするか、或いはアクチュエータに連結された連結線をガイドすることができる。
【0062】
また、針(N)の前端部には、一側方向へ傾斜するように切断された切断面が形成されることができる。切断面は、ボディ100がアクチュエータに結合した状態で上方を向くように形成されることができる。
【0063】
陥没傷跡は、皮膚の表面が凹設されているので、真皮と表皮との間に治療液などの流体を注入して治療する。ところが、内側に陥没した皮膚の表面を外側へ再生させるためには、陥没部位の真皮と表皮との間で表皮側へ治療液を注入する必要がある。したがって、針(N)の切断面が上方を向くように構成することにより、治療液が表皮側へ拡散して治療効果を増大させることができる。
【0064】
本発明の一実施形態による真皮再生用注射器によれば、二酸化炭素などの気体とヒアルロン酸などの治療液を選択的に注入することができるようにすることにより、皮膚内側の真皮を容易に再生することができ、構成が簡単であって製作と使用が非常に便利であるという効果がある。
【0065】
特に、斜面とボディ100との融着部分がテーパー斜面ではなく、平面からなるため、融着が容易であって製作が容易であり、安定的に使用可能である。また、陥没部201が形成されて、射出製作の際に冷却によって形状が歪んだり収縮したりする現象を防止することにより、生産の際に容易さを持つことができる。
【0066】
また、針(N)の斜面が上方を向くようにして侵襲されることにより陥没部位に効果的に流体が拡散することができるため、治療効果が増大することができるという利点がある。
【0067】
本発明を、特定の実施形態に関連して図示及び説明したが、以下の特許請求の範囲によって提供される本発明の技術思想から逸脱することなく、本発明に様々な改良及び変更を加え得るのは、当業分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、ボディの外側に位置する注入部に斜面が形成され、ボディと注入部との融着面は平面からなり、注入部は上下方向に凹設された陥没部を含むことにより、使用が便利で製作が容易な真皮再生用注射器に関する発明である。
【符号の説明】
【0069】
100 ボディ
102 ガス注入口
104 ガイド部
120 内筒
140 外筒
160 充填空間
200 注入部
201 陥没部
202 内部空間
220 第1パート
222 針結合孔
224 結合端
240 第2パート
241 第2-1パート
242 第2-2パート
260 第3パート
262 突出部
300 貫通孔
320 通路
340 連結部
400 チェックバルブ