(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】血管カルシウムの破砕のためのプラズマ生成圧力波のより速い立ち上がり時間パルス成形
(51)【国際特許分類】
A61B 18/24 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
A61B18/24
(21)【出願番号】P 2023504711
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 US2021020934
(87)【国際公開番号】W WO2022039783
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-04-21
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521549268
【氏名又は名称】ボルト メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バッハー、ジェラルド、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】クック、クリストファー、エイ.
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0265942(US,A1)
【文献】特表2008-506447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0129195(US,A1)
【文献】国際公開第2013/159793(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/24 - A61B 18/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管壁または心臓弁内またはそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムであって、
膨張式バルーンと、
前記膨張式バルーン内に配置されたファイバ遠位端を有する光ファイバであって、前記光ファイバが前記光ファイバから離れる方向に光エネルギーを放射して前記膨張式バルーン内にプラズマパルスを生成するようにエネルギーパルスを受け取るように構成された、前記光ファイバと、
レーザであって、(i)シードパルスを放射するように構成されたシード光源と、(ii)前記光ファイバによって受け取られる前記エネルギーパルスを前記レーザが生成するように前記シードパルスのエネルギーを増加させるように構成された増幅器とを含み、前記エネルギーパルスは、持続時間Tと、最小出力P
0と、ピーク出力P
Pと、T
Pに等しいP
0からP
Pまでの時間とを有する波形を有し、T
Pは、Tの40%以下である、前記レーザと
を備え
、
P
P
は、50kWよりも大きく1000kWよりも小さい範囲内にある、カテーテルシステム。
【請求項2】
T
Pは、Tの30%以下である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
T
Pは、Tの25%以下である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
T
Pは、Tの20%以下である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
T
Pは、Tの10%以下である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
T
Pは、Tの5%以下である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
Tは、50nsよりも大きく3μsよりも小さい範囲内にある、請求項
1に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
Tは、100nsよりも大きく2μsよりも小さい範囲内にある、請求項
1に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
Tは、200nsよりも大きく1μsよりも小さい範囲内にある、請求項
1に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
Tは、300nsよりも大きく800nsよりも小さい範囲内にある、請求項
1に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
Tは、400nsよりも大きく600nsよりも小さい範囲内にある、請求項
1に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
T
Pは、2.5nsよりも大きく1μsよりも小さい範囲内にある、請求項
7に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
T
Pは、5nsよりも大きく800nsよりも小さい範囲内にある、請求項
7に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
T
Pは、10nsよりも大きく400nsよりも小さい範囲内にある、請求項
7に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
T
Pは、15nsよりも大きく300nsよりも小さい範囲内にある、請求項
7に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
T
Pは、30nsよりも大きく100nsよりも小さい範囲内にある、請求項
7に記載のカテーテルシステム。
【請求項17】
P
Pは、75kWよりも大きく750kWよりも小さい範囲内にある、請求項
1に記載のカテーテルシステム。
【請求項18】
P
Pは、100kWよりも大きく500kWよりも小さい範囲内にある、請求項
1に記載のカテーテルシステム。
【請求項19】
P
Pは、100kWよりも大きく400kWよりも小さい範囲内にある、請求項
1に記載のカテーテルシステム。
【請求項20】
P
Pは、200kWよりも大きく300kWよりも小さい範囲内にある、請求
項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項21】
P
P対T
PのkW対nsの比は、1:5よりも大きい、請求項
1に記載のカテーテルシステム。
【請求項22】
前記波形は、矩形波に近い、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項23】
前記波形は、三角波に近い、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項24】
前記シードパルスは、経時的に振幅が増加する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項25】
血管壁または心臓弁内またはそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムであって、
膨張式バルーンと、
前記膨張式バルーン内に配置されたファイバ遠位端を有する光ファイバであって、前記光ファイバが前記光ファイバから離れる方向に光エネルギーを放射して前記膨張式バルーン内にプラズマパルスを生成するようにエネルギーパルスを受け取るように構成された、前記光ファイバと、
レーザであって、(i)シードパルスを放射するように構成されたシード光源と、(ii)前記光ファイバによって受け取られる前記エネルギーパルスを前記レーザが生成するように前記シードパルスのエネルギーを増加させるように構成された増幅器とを含み、前記エネルギーパルスは、持続時間Tと、最小出力P
0
と、ピーク出力P
P
と、T
P
に等しいP
0
からP
P
までの時間とを有する波形を有し、T
P
は、Tの40%以下である、前記レーザと
を備え、
P
P
対T
P
のkW対nsの比は1:5よりも大きい、カテーテルシステム。
【請求項26】
P
P対T
PのkW対nsの比は、1:3よりも大きい、請求項
25に記載のカテーテルシステム。
【請求項27】
P
P対T
PのkW対nsの比は、1:1よりも大きい、請求項
25に記載のカテーテルシステム。
【請求項28】
P
P対T
PのkW対nsの比は、2:1よりも大きい、請求項
25に記載のカテーテルシステム。
【請求項29】
P
P対T
PのkW対nsの比は、3:1よりも大きい、請求項
25に記載のカテーテルシステム。
【請求項30】
P
P対T
PのkW対nsの比率は、5:1よりも大きい、請求項
25に記載のカテーテルシステム。
【請求項31】
P
P対T
PのkW対nsの比は、10:1よりも大きい、請求項
25に記載のカテーテルシステム。
【請求項32】
P
P対T
PのkW対nsの比は、20:1よりも大きい、請求項
25に記載のカテーテルシステム。
【請求項33】
Tは、50nsよりも大きく3μsよりも小さい範囲内にある、請求項25に記載のカテーテルシステム。
【請求項34】
T
P
は、2.5nsよりも大きく1μsよりも小さい範囲内にある、請求項25に記載のカテーテルシステム。
【請求項35】
前記波形は、矩形波に近い、請求項
25に記載のカテーテルシステム。
【請求項36】
前記波形は、三角波に近い、請求項
25に記載のカテーテルシステム。
【請求項37】
前記シードパルスは、経時的に振幅が増加する、請求項
25に記載のカテーテルシステム。
【請求項38】
血管壁または心臓弁内またはそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムであって、
膨張式バルーンと、
前記膨張式バルーン内に配置されたファイバ遠位端を有する光ファイバであって、前記光ファイバが前記光ファイバから離れる方向に光エネルギーを放射して前記膨張式バルーン内にプラズマパルスを生成するようにエネルギーパルスを受け取るように構成された、前記光ファイバと、
レーザであって、(i)シードパルスを放射するように構成されたシード光源と、(ii)前記光ファイバによって受け取られる前記エネルギーパルスを前記レーザが生成するように前記シードパルスのエネルギーを増加させるように構成された増幅器とを含み、前記エネルギーパルスは、矩形波に近い波形を有し、前記波形は、持続時間Tと、最小出力P
0と、ピーク出力P
Pと、T
Pに等しいP
0からP
Pまでの時間とを有し、T
Pは、Tの40%より大きい、前記レーザと
を備える、カテーテルシステム。
【請求項39】
T
Pは、Tの50%よりも大きい、請求項
38に記載のカテーテルシステム。
【請求項40】
T
Pは、Tの60%よりも大きい、請求項
38に記載のカテーテルシステム。
【請求項41】
T
Pは、Tの75%よりも大きい、請求項
38に記載のカテーテルシステム。
【請求項42】
T
Pは、Tの90%よりも大きい、請求項
38に記載のカテーテルシステム。
【請求項43】
血管壁または心臓弁内またはそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムであって、
膨張式バルーンと、
前記膨張式バルーン内に配置されたファイバ遠位端を有する光ファイバであって、前記光ファイバが前記光ファイバから離れる方向に光エネルギーを放射して前記膨張式バルーン内にプラズマパルスを生成するようにエネルギーパルスを受け取るように構成された、前記光ファイバと、
レーザであって、(i)シードパルスを放射するように構成されたシード光源と、(ii)前記光ファイバによって受け取られる前記エネルギーパルスを前記レーザが生成するように前記シードパルスのエネルギーを増加させるように構成された増幅器とを含み、前記エネルギーパルスは、三角波に近い波形を有し、前記波形は、持続時間Tと、最小出力P
0と、ピーク出力P
Pと、T
Pに等しいP
0からP
Pまでの時間とを有し、T
Pは、Tの
60%より大きい、前記レーザと
を備える、カテーテルシステム。
【請求項44】
T
Pは、Tの75%よりも大きい、請求項
43に記載のカテーテルシステム。
【請求項45】
T
Pは、Tの90%よりも大きい、請求項
43に記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管壁内または血管壁に隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムを対象とするものである。
【背景技術】
【0002】
体内の血管内および血管に隣接する血管病変は、例えば、心筋梗塞、塞栓症、深部静脈血栓症、脳卒中などの重大な有害事象のリスク増加と関連している可能性がある。重度の血管病変は、臨床現場で医師が治療し、開存性を達成することが困難な場合がある。
【0003】
血管病変は、いくつか例を挙げると、薬物療法、バルーン血管形成術、アテローム切除術、ステント配置、血管移植片バイパスなどの介入を使用して治療することができる。このような介入は常に理想的であるとは限らず、病変に対処するためにその後の治療が必要になる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザパルスの光ファイバ送出を使用して病変に高圧インパルスを生成することは、病変を治療しようとする1つの方法である。水溶液の光学的分解によるプラズマの生成は、典型的には、それが治療用気泡および/または治療用圧力波に変換される短い時間にかなりの量のエネルギーを必要とする。十分に高いエネルギーと短いパルス持続時間では、光エネルギーを送出してプラズマを生成するために使用される光ファイバのファイバ近位端および/またはファイバ遠位端を損傷する可能性がある。光ファイバのファイバ近位端へのこの損傷は、通常、表面損傷として現れる。ファイバを介して伝送され得るエネルギー量は、ファイバの近位面でのパルスのピーク強度によって制限される。また、ほぼガウス時間形状を有するパルスの場合、光パルスによって生成されるピーク圧力は、パルスのピーク強度にほぼ比例する。
【0005】
さらに、血管内砕石術カテーテルの1つの方法としての水性光分解の場合のように、光ファイバのファイバ遠位端付近でのプラズマの生成は、非排他的な例として、プラズマ生成および/または圧力波、高いプラズマ温度、および気泡の崩壊によるウォータージェットに近接しているため、自己損傷の可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、血管壁内または血管壁に隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムを対象とするものである。様々な実施形態では、カテーテルシステムは、膨張式バルーン、光ファイバ、およびレーザを含む。光ファイバは、膨張式バルーン内に配置される遠位端を有することができる。光ファイバは、光ファイバが光ファイバから離れる方向に光エネルギーを放射して膨張式バルーン内にプラズマパルスを生成するようにエネルギーパルスを受け取るように構成することができる。レーザは、(i)シードパルスを放射するように構成されたシード光源と、(ii)光ファイバによって受け取られるエネルギーパルスをレーザが生成するようにシードパルスのエネルギーを増加させるように構成された増幅器とを含むことができる。特定の実施形態では、エネルギーパルスは、持続時間Tと、最小出力P0と、ピーク出力PPと、TPに等しいP0からPPまでの時間とを有する波形を有することができ、TPは、Tの40%、30%、25%、20%、10%、または5%以下である。
【0007】
様々な実施形態では、Tは、50nsより大きく3μsより小さい、100nsより大きく2μsより小さい、200nsより大きく1μsより小さい、300nsより大きく800nsより小さい、または400nsより大きく600nsより小さい範囲内とすることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、TPは、50nsより大きく3μsより小さい、100nsより大きく2μsより小さい、200nsより大きく1μsより小さい、または300nsより大きく800nsより小さい範囲内とすることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、PPは、50kWより大きく1000kWより小さい、75kWより大きく750kWより小さい、100kWより大きく500kWより小さい、100kWより大きく400kWより小さい、200kWより大きく300kWより小さい、または100kWより大きく500kWより小さい範囲内とすることができる。
【0010】
様々な実施形態では、PP対TPのkW対nsの比率は、1:5より大きく、1:3より大きく、1:1より大きく、2:1より大きく、3:1より大きく、5:1より大きく、10:1より大きく、または20:1より大きくすることができる。
【0011】
特定の実施形態では、波形は、矩形波に近くすることができる。
【0012】
様々な実施形態では、波形は、三角波に近くすることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、シードパルスは、経時的に振幅を少なくとも部分的に増加させることができる。
【0014】
本発明はまた、血管壁内または血管壁に隣接する治療部位を治療する方法を対象とするものである。様々な実施形態では、この方法は、膨張式バルーン内に光ファイバの遠位端を配置するステップと、(i)シードパルスを放射するように構成されたシード光源と、(ii)シードパルスのエネルギーを増加させるように構成された増幅器とを含むレーザを用いて、エネルギーパルスを光ファイバに送出するステップであって、エネルギーパルスは、持続時間Tと、最小出力P0と、ピーク出力PPと、TPに等しいP0からPPまでの時間とを有する波形を有し、TPは、Tの40%以下である、ステップとを含むことができ、光ファイバは、エネルギーパルスを受け取ると、光ファイバから離れる方向に光エネルギーを放射して、膨張式バルーン内にプラズマパルスを生成する。
【0015】
本発明はまた、血管壁内または血管壁に隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムを対象とするものである。様々な実施形態では、カテーテルシステムは、膨張式バルーン、光ファイバ、およびレーザを含むことができる。いくつかの実施形態では、光ファイバは、膨張式バルーン内に配置される遠位端を有することができる。光ファイバは、光ファイバが光ファイバから離れる方向に光エネルギーを放射して膨張式バルーン内にプラズマパルスを生成するように、エネルギーパルスを受け取るように構成することができる。レーザは、(i)経時的に振幅が少なくとも部分的に増加するシードパルスを放射するように構成されたシード光源と、(ii)光ファイバによって受け取られるエネルギーパルスをレーザが生成するようにシードパルスのエネルギーを増加させるように構成された増幅器とを含むことができる。特定の実施形態では、エネルギーパルスは、(i)矩形波、および(ii)三角波のうちの1つに近い波形を有することができる。波形は、持続時間Tと、最小出力P0と、ピーク出力PPと、TPに等しいP0からPPまでの時間とを有することができる。いくつかの実施形態では、TPは、Tの40%以下であり、Tは、50nsより大きく3μsより小さい範囲内であり、TPは、2.5nsより大きく1μsより小さい範囲内であり、PPは、50kWより大きく1000kWより小さい範囲内であり、PP対TPのkW対nsの比は、1:2より大きい。
【0016】
本発明はまた、血管壁または心臓弁内またはそれに隣接する治療部位を治療する方法を対象とするものである。特定の実施形態では、この方法は、膨張式バルーン内に光ファイバのファイバ遠位端を配置するステップと、(i)シードパルスを放射するように構成されたシード光源と、(ii)シードパルスのエネルギーを増加させるように構成された増幅器とを含むレーザを用いて、エネルギーパルスを光ファイバに送出するステップであって、エネルギーパルスは、持続時間Tと、最小出力P0と、ピーク出力PPと、TPに等しいP0からPPまでの時間とを有する波形を有し、TPは、Tの40%以下である、ステップとを含み、光ファイバは、エネルギーパルスを受け取ると、光ファイバから離れる方向に光エネルギーを放射して、膨張式バルーン内にプラズマパルスを生成する。
【0017】
本発明はまた、血管壁または心臓弁内またはそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムを対象とするものである。特定の実施形態では、カテーテルシステムは、膨張式バルーン、光ファイバ、およびレーザを含む。光ファイバは、膨張式バルーン内に配置されたファイバ遠位端を有する。光ファイバは、光ファイバが光ファイバから離れる方向に光エネルギーを放射して膨張式バルーン内にプラズマパルスを生成するように、エネルギーパルスを受け取るように構成することができる。レーザは、(i)シードパルスを放射するように構成されたシード光源と、(ii)光ファイバによって受け取られるエネルギーパルスをレーザが生成するようにシードパルスのエネルギーを増加させるように構成された増幅器とを含むことができる。エネルギーパルスは、矩形波または三角波に近い波形を有することができる。様々な実施形態では、波形は、持続時間Tと、最小出力P0と、ピーク出力PPと、TPに等しいP0からPPまでの時間とを有することができる。特定の実施形態では、TPは、Tの40%より大きくすることができる。
【0018】
本発明はまた、血管壁または心臓弁内またはそれに隣接する治療部位を治療する方法を対象とするものである。様々な実施形態では、この方法は、膨張式バルーン内に光ファイバのファイバ遠位端を配置するステップと、(i)シードパルスを放射するように構成されたシード光源と、(ii)シードパルスのエネルギーを増加させるように構成された増幅器とを含むレーザを用いて、エネルギーパルスを光ファイバに送出するステップであって、エネルギーパルスは、矩形波または三角波に近い波形を有し、波形は、持続時間Tと、最小出力P0と、ピーク出力PPと、TPに等しいP0からPPまでの時間とを有し、TPは、Tの40%よりも大きい、ステップとを含むことができ、光ファイバは、エネルギーパルスを受け取ると、光ファイバから離れる方向に光エネルギーを放射して、膨張式バルーン内にプラズマパルスを生成する。
【0019】
この概要は、本出願の教示の一部の概説であり、本主題の排他的または網羅的な扱いであることを意図するものではない。さらなる詳細は、詳細な説明および添付の特許請求の範囲に見出される。他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、その一部を形成し、そのそれぞれが限定的な意味で捉えられるものではない図面を見れば、当業者には明らかになるであろう。本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によって定義される。
【0020】
本発明の新規な構成、ならびに本発明自体は、その構造およびその動作の両方に関して、同様の符号が同様の部品を指す、添付の説明と併せて解釈される添付の図面から最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本明細書の様々な実施形態に係る、本発明の構成を有するカテーテルシステムの概略断面図である。
【
図2】ガウスエネルギーパルス、半値全幅(FWHM)の第1の矩形パルス、および20%値全幅の第2の矩形パルスを含む、3つのタイプのエネルギーパルスを表す曲線を示すグラフである。
【
図3】レーザのシード光源によって生成された低出力シードパルスを示すグラフである。
【
図4】レーザによって生成されたエネルギーパルスの一実施形態を示すグラフであり、エネルギーパルスは略矩形波のパルス形状を有する。
【
図5】レーザによって生成されるエネルギーパルスの別の一実施形態を示すグラフであり、エネルギーパルスは、略三角波のパルス形状を有する。
【
図6】レーザによって生成されるエネルギーパルスの別の一実施形態を示すグラフであり、エネルギーパルスは、
図5に示されるものとは幾分異なる三角波のパルス形状を有する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態は、様々な修正および代替形態が可能であるが、その詳細は、例および図面によって示されており、詳細に説明される。しかしながら、本明細書の範囲は、記載された特定の態様に限定されないことを理解すべきである。反対に、本明細書の趣旨および範囲内にある修正、均等物、および代替物を網羅することを意図している。
【0023】
血管病変の治療は、影響を受けた被験者の主要な有害事象または死亡を減らすことができる。主要な有害事象は、血管病変の存在により体内のどこにでも発生する可能性があるものである。主要な有害事象には、主要な心臓有害事象、末梢血管系または中枢血管系における主要な有害事象、脳内における主要な有害事象、筋肉系における主要な有害事象、または内臓のいずれかにおける主要な有害事象が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用される場合、治療部位は、典型的には血管および/または心臓弁に見られる、石灰化血管病変または線維性血管病変(以下、単に「病変」と呼ばれることもある)などの血管病変を含むことができる。プラズマ形成は、圧力波を開始することができ、1つまたは複数の気泡の急速な形成を開始することができ、この気泡は、急速に最大サイズまで膨張し、その後、崩壊時に圧力波も発生させることができるキャビテーションイベントによって消散する。プラズマ誘起気泡の急速な膨張は、バルーン流体内に1つまたは複数の圧力波を発生させ、それによって治療部位に圧力波を与えることができる。圧力波は、非圧縮性バルーン流体を介して機械的エネルギーを治療部位に伝達し、病変に破砕力を与えることができる。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、病変と接触するか、またはその近くに配置された膨張式バルーンのバルーン壁上のバルーン流体運動量の急速な変化が病変に伝達され、病変に破砕を誘発すると考えられている。
【0025】
当業者は、本発明の以下の詳細な説明が単なる例示であり、決して限定することを意図するものではないことを理解するであろう。本発明の他の実施形態は、この開示の恩恵を受けるそのような当業者に容易に示唆されるであろう。また、電流誘起プラズマ生成を含むがこれに限定されない、病変にエネルギーを送出する他の方法を利用することができる。ここで、添付の図面に示されるように、本発明の実装形態を詳細に参照する。
【0026】
明確にするために、本明細書で説明する実装形態の通常の構成のすべてが図示および説明されているわけではない。もちろん、そのような実際の実装形態の開発では、アプリケーション関連およびビジネス関連の制約への準拠など、開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装形態固有の決定を行う必要があり、これらの特定の目標は、実装形態ごとに、また開発者ごとに異なることが理解されるであろう。さらに、そのような開発努力は、複雑で時間がかかる可能性があるが、それにもかかわらず、本開示の利益を享受する当業者にとって日常的なエンジニアリング作業であることが理解される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「血管内病変」、「血管病変」および「治療部位」という用語は、特に明記しない限り互換的に使用され、血管または心臓弁またはその近くに位置する病変を含むことができる。
【0028】
本明細書のカテーテルシステムは、本明細書で具体的に示したおよび/または説明したもの以外の多くの異なる形態および/または構成を含み得ることが理解される。ここで
図1を参照すると、本明細書の様々な実施形態に係るカテーテルシステムの概略断面図が示されている。カテーテルシステム100は、圧力を加えて、血管の血管壁および/または心臓弁内またはそれに隣接する血管病変に破砕を誘発するのに適している。
図1に示される実施形態では、カテーテルシステム100は、1つまたは複数のカテーテル102、1つまたは複数の光ファイバ122、コントローラ123、レーザ124、マニホールド136、および流体ポンプ138を含むことができる。
【0029】
カテーテル102は、膨張式バルーン104(本明細書では「バルーン」と呼ばれることもある)を含む。カテーテル102は、血管108または心臓弁内またはそれに隣接する治療部位106に移動するように構成される。治療部位106は、例えば石灰化血管病変などの血管病変を含むことができる。追加的に、または代替として、治療部位106は、線維性血管病変などの血管病変を含むことができる。
【0030】
カテーテル102は、バルーン104、カテーテルシャフト110、およびガイドワイヤー112を含むことができる。バルーンは、カテーテルシャフト110に結合することができる。バルーンは、バルーン近位端104Pおよびバルーン遠位端104Dを含むことができる。カテーテルシャフト110は、シャフト近位端114とシャフト遠位端116との間に延在することができる。カテーテルシャフト110は、ガイドワイヤー112全域にわたって移動するように構成されたガイドワイヤールーメン118を含むことができる。カテーテルシャフト110は、膨張ルーメン(図示せず)も含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテル102は、遠位端開口部120を有することができ、バルーン104が治療部位106にまたはその近くに配置されるように、ガイドワイヤー112全域にわたっておよび/またはそれに沿って収容および移動することができる。
【0031】
バルーン104は、バルーン壁130を含むことができる。バルーン104は、カテーテルシャフト102の少なくとも一部を患者の血管系を通して前進させるのに適した収縮構成から、カテーテル102を治療部位106に対して適所に固定するのに適した拡張構成まで拡張することができる。
【0032】
カテーテル102のカテーテルシャフト110は、レーザ124と光学的に連通する1つまたは複数の光ファイバ122(明確にするために、
図1には1つの光ファイバ122のみが示されている)を取り囲むことができる。光ファイバ122は、少なくとも部分的にカテーテルシャフト110に沿っておよび/またはその中に配置することができ、少なくとも部分的にバルーン104の中に配置することができる。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト110は、例えば、第2の光ファイバ、第3の光ファイバなどの複数の光ファイバ122を取り囲むことができる。
【0033】
光ファイバ122は、レーザ124にまたはレーザ124に隣接して配置されたファイバ近位端122Pと、膨張式バルーン104内に配置されたファイバ遠位端122Dとを有する。光ファイバ122は、レーザ124とバルーン104との間に延在する。光ファイバ122は、レーザ124と光学的に連通している。
【0034】
コントローラ123は、本明細書でさらに詳細に提供されるように、レーザ124が(例えば、
図4に示される)1つまたは複数のエネルギーパルス431を生成できるようにレーザ124を制御することができる。コントローラ123は、カテーテル102の動作を制御するために他の関連機能を実行することもできる。
【0035】
カテーテルシステム100のレーザ124は、光ファイバ122によって送受信される1つまたは複数のサブミリ秒エネルギーパルス431を提供するように構成することができる。光ファイバ122は、エネルギーパルス(複数可)431によって生成される光エネルギーのための導管として機能する。特定の実施形態では、レーザ124は、1つまたは複数のシード光源126および1つまたは複数の増幅器128を含むことができる。各々の増幅器128は、シード光源126のうちの少なくとも1つと光学的に連通することができる。シード光源(複数可)126はそれぞれ、増幅器128によって受信および増幅される比較的低出力のシードパルスを放射することができる。増幅器128は、エネルギーパルス431を生成するためにシードパルスの出力を増加させることができる。一実施形態では、レーザ124は、1つのシード光源126および1つの増幅器128を含むことができる。代替的に、レーザ124は、複数のシード光源126および1つの増幅器128を含むことができる。さらに代替的に、レーザ124は、複数のシード光源126および複数の増幅器128を含むことができる。
【0036】
エネルギーパルス(複数可)431によって生成される光エネルギーは、光ファイバ122によってバルーン104内の位置に送出される。光エネルギーは、バルーン104内のバルーン流体132で発生するプラズマパルス134の形態でプラズマ形成を誘導する。プラズマパルス134は、急速な気泡形成を引き起こし、治療部位106に圧力波を与える。例示的なプラズマパルス134が
図1に示されている。バルーン流体132は、液体または気体とすることができる。本明細書でより詳細に提供されるように、プラズマ誘起気泡134は、光ファイバ122からある程度離れた位置に意図的に形成されるので、光ファイバへの損傷の可能性が減少する。
【0037】
様々な実施形態では、光のサブミリ秒パルスは、少なくとも約1ヘルツ(Hz)~約5000Hzの周波数で治療部位106の近くに送出することができる。いくつかの実施形態では、光のサブミリ秒パルスは、少なくとも30Hz~1000Hzの周波数で治療部位106の近くに送出することができる。他の実施形態では、光のサブミリ秒パルスは、少なくとも10Hz~100Hzの周波数で治療部位106の近くに送出することができる。さらに他の実施形態では、光のサブミリ秒パルスは、少なくとも1Hz~30Hzの周波数で治療部位106の近くに送出することができる。
【0038】
本明細書のカテーテルシステム100は、近位部分114でレーザ124と光学的に連通し、遠位部分116でバルーン104内のバルーン流体132と光学的に連通する、任意の数の光ファイバ122を含み得ることが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書のカテーテルシステム100は、1~30本の光ファイバ122を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書のカテーテルシステム100は、30本より多い光ファイバを含むことができる。
【0039】
マニホールド136は、シャフト近位端114またはその近くに配置することができる。マニホールド136は、光ファイバ122などの1つまたは複数の光ファイバ、ガイドワイヤー112、および/または膨張導管140を受け入れることができる1つまたは複数の近位端開口部を含むことができる。カテーテルシステム100は、必要に応じてバルーン流体132でバルーン104を膨張させる、および/またはバルーン104を収縮させるように構成された流体ポンプ138も含むことができる。
【0040】
本明細書に示され説明されるすべての実施形態と同様に、明瞭性および理解の容易さのために、様々な構造が図から省略されている場合がある。さらに、図面は、本発明の意図および範囲から逸脱することなく省略され得る特定の構造を含む場合がある。
【0041】
図2は、ガウスエネルギーパルス231G、半値全幅(FWHM)での第1の矩形エネルギーパルス231F、および20%値全幅での第2の矩形エネルギーパルス231Sを含む、3つのタイプのエネルギーパルスを表す曲線を示すグラフである。(
図1に示される)光ファイバ122を通して伝送できるエネルギーの量は、光ファイバ122の(
図1に示される)ファイバ近位端122P上のエネルギーパルスのピーク強度によって制限される。
【0042】
この実施形態では、ガウスエネルギーパルス231Gの同じピーク振幅およびガウスエネルギーパルス231GのFWHMに等しいパルス幅を有する第1の矩形波231Fを使用することは、少なくとも約23%多くの出力を光ファイバ122に投入する。プラズマの開始は通常、このピーク値の20%以下で発生し、第2の矩形エネルギーパルス231Sは、閾値を超える同一の時間にスケーリングできるため、少なくとも54%多いエネルギーを光ファイバ122に通すことができる。代替の一実施形態では、同様のまたは同等のエネルギーをより低いピーク出力で同時に光ファイバ122に通すことができ、光ファイバ122の絶対損傷閾値よりもさらに低い動作を可能にする。
【0043】
所望の圧力波を生み出す光学的に生成されたプラズマイベントは、一般的に、光ファイバ122の損傷閾値よりも低い(20%未満の)開始閾値を有する。光パルスの立ち上がり時間が速い(矩形波に近づく)と、より多くのエネルギーをプラズマとバブルに送り込むことを可能にできるが、両方の空間範囲は最小限に抑えられる。これにより、より効率的にエネルギーを圧力パルスに送り込むことができ、それにより、より低い光パルスエネルギーを使用しながら、より大きな圧力勾配を生成可能とすることができる。その結果、光ファイバ122の損傷閾値を十分に下回ったままでありながら、石灰化病変を破砕するために十分なエネルギーの圧力波が潜在的に生成され得る。
【0044】
一実施形態では、MOPA(Master Oscillator-Power Amplifier:マスターオシレータ-出力アンプ)を使用して、必要なパルスエネルギー、ビーム品質、およびパルス長を作り出すことができる。この設計では、低出力マスターオシレータなどの適切に制御されたシード光源126が、増幅する適切なパルスを(
図1に示される)増幅器128にシードすることができる。パルスエネルギーが十分に低く、パルス中に増幅器のゲインが大幅に低下しない限り、システムの出力の時間的形状は、シード光源126の出力とほぼ一致する。しかしながら、これは、増幅器128から抽出できるエネルギーの量を制限する可能性があり、システムのサイズ、コスト、エネルギー使用、および冷却要件を増加させる。
【0045】
図3は、(
図1に示される)レーザ124の(
図1に示される)シード光源126によって生成される低出力シードパルス342の一実施形態を示すグラフである。低下させないゲイン体制で(
図1に示される)増幅器128を動作させる代替案は、シード光源126のシードパルス342を事前に歪ませて、増幅器128によって与えられた歪みを補償することである。一般的に、増幅器128のゲインは、シードパルス342の長さにわたって減少するので、シードパルス342は、
図3に示されるように、シードパルス342のパルス終了346よりもシードパルス342のパルス開始344に向かってより低い振幅を有することができる。別の言い方をすれば、シードパルス342は、経時的に振幅を増加させることができる。代替的に、シードパルス342は、経時的に実質的に一定のままとすることができる。さらに代替的に、シードパルス342は、経時的に減少させることができる。さらに別の一実施形態では、シードパルス342は、経時的に1つまたは複数の増加および/または減少を含むことができる。
【0046】
図3に示される実施形態に示されるシードパルス342の形状は、約150nsの間、不飽和ゲイン体制に留まるのに十分な蓄積エネルギーを有する増幅器128に対して適切であり得る。シードパルスは、150nsよりも長いまたは短い持続時間の間、不飽和ゲイン体制に留まるのに十分な蓄積エネルギーを有する増幅器128に対して適切に調整することができることが理解される。
図3に示される代表的な実施形態では、増幅器128における反転は、シードパルス342に利用可能なゲインを低減するのに十分に低減されているため、シードパルス342のパルス端346の出力を増加させることにより、(
図2に示される)エネルギーパルス231F、231Sの出力をエネルギーパルス231F、231Sの残りの部分にわたってより一定に維持することができる。
【0047】
図4は、(
図1に示される)レーザ124によって生成されるエネルギーパルス431の一実施形態を示すグラフである。この実施形態では、エネルギーパルス431は、矩形波パルス形状に近い。このような特定の実施形態では、エネルギーパルス431は、持続時間Tと、最小出力P
0と、ピーク出力P
Pと、T
Pに等しいP
0からP
Pまでの時間とを有する波形を有し、T
Pは、Tの40%より小さくなるようにする。
図4に示される特定の実施形態では、Tは、約500nsであり、T
Pは、約75nsである。したがって、この実施形態では、T
Pは、Tの約15%である。非排他的な代替実施形態では、T
Pは、Tの30%、25%、20%、10%、または5%より小さくすることができる。さらに他の実施形態では、T
Pは、Tの40%より大きくすることができる。例えば、様々な実施形態では、T
Pは、エネルギーパルスが矩形波パルス形状に近いという条件で、Tの40%、50%、60%、75%、または90%より大きくすることができる。
【0048】
図4に示される実施形態では、エネルギーパルス431のTは、50nsより大きく3μsより小さい範囲内とすることができる。非排他的な代替実施形態では、Tは、100nsより大きく2μsより小さい範囲内、200nsより大きく1μsより小さい範囲内、300nsより大きく800nsより小さい範囲内、または400nsより大きく600nsより小さい範囲内とすることができる。さらに代替的に、Tは、前述の範囲内または範囲外の持続時間を有することができる。
【0049】
この実施形態では、エネルギーパルス431のTPは、2.5nsより大きく1μsより小さい範囲内の持続時間を有することができる。非排他的な代替実施形態では、TPは、5nsより大きく800nsより小さい範囲内、10nsより大きく400nsより小さい範囲内、15nsより大きく300nsより小さい範囲内、または30nsより大きく100nsより小さい範囲内の持続時間を有することができる。さらに代替的に、TPは、前述の範囲内または範囲外の持続時間を有することができる。
【0050】
図4に示される実施形態では、エネルギーパルス431は、約100kWのP
Pを有する。非排他的な代替実施形態では、P
Pは、50kWより大きく1000kWより小さい範囲内、75kWより大きく750kWより小さい範囲内、100kWより大きく500kWより小さい範囲内、100kWより大きく400kWより小さい範囲内、または200kWより大きく300kWより小さい範囲内の出力を有することができる。さらに代替的に、P
Pは、前述の範囲内または範囲外の出力を有することができる。
【0051】
この実施形態では、エネルギーパルス431は、1:5より大きいPP対TP(単位はkW対ns)の比を有することができる。非排他的な代替実施形態では、エネルギーパルス431は、1:3、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、または20:1より大きいPP対TP(単位はkW対ns)の比を有することができる。
【0052】
図5は、(
図1に示される)レーザ124によって生成されるエネルギーパルス531の一実施形態を示すグラフである。この実施形態では、エネルギーパルス531は、三角波のパルス形状に近い。さらに、この実施形態では、エネルギーパルス531は、持続時間Tと、最小出力P
0と、ピーク出力P
Pと、T
Pに等しいP
0からP
Pまでの時間とを有する波形を有し、T
Pは、Tの40%より小さくなるようにする。
図6に示す特定の実施形態では、Tは、約600nsであり、T
Pは、約120nsである。したがって、この実施形態では、T
Pは、Tの約20%である。非排他的な代替実施形態では、T
Pは、Tの40%、30%、25%、15%、10%、または5%より小さくすることができる。さらに他の実施形態では、T
Pは、Tの40%より大きくすることができる。例えば、様々な実施形態では、T
Pは、エネルギーパルスが三角波のパルス形状に近いという条件で、Tの40%、50%、60%、75%、または90%より大きくすることができる。
【0053】
図5に示される実施形態では、エネルギーパルス531のTは、50nsより大きく3μsより小さい範囲内とすることができる。非排他的な代替実施形態では、Tは、100nsより大きく2μsより小さい範囲内、200nsより大きく1μsより小さい範囲内、300nsより大きく800nsより小さい範囲内、または400nsより大きく600nsより小さい範囲内とすることができる。さらに代替的に、Tは、前述の範囲内または範囲外の持続時間を有することができる。
【0054】
この実施形態では、エネルギーパルス531のTPは、2.5nsより大きく1μsより小さい範囲内の持続時間を有することができる。非排他的な代替実施形態では、TPは、5nsより大きく800nsより小さい範囲内、10nsより大きく400nsより小さい範囲内、15nsより大きく300nsより小さい範囲内、または30nsより大きく100nsより小さい範囲内の持続時間を有することができる。さらに代替的に、TPは、前述の範囲内または範囲外の持続時間を有することができる。
【0055】
図5に示される実施形態では、エネルギーパルス531は、約280kWのP
Pを有する。非排他的な代替実施形態では、P
Pは、50kWより大きく1000kWより小さい範囲内、75kWより大きく750kWより小さい範囲内、100kWより大きく500kWより小さい範囲内、100kWより大きく400kWより小さい範囲内、または200kWより大きく300kWより小さい範囲内の出力を有することができる。さらに代替的に、P
Pは、前述の範囲内または範囲外の出力を有することができる。
【0056】
この実施形態では、エネルギーパルス531は、1:5より大きいPP対TP(単位はkW対ns)の比を有することができる。非排他的な代替実施形態では、エネルギーパルス531は、1:3、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、または20:1より大きいPP対TP(単位はkW対ns)の比を有することができる。
【0057】
図6は、(
図1に示される)レーザ124によって生成されるエネルギーパルス631の一実施形態を示すグラフである。この実施形態では、エネルギーパルス631は、
図5に示されるものから幾分顕著な三角波のパルス形状に近い。さらに、この実施形態では、エネルギーパルス631は、持続時間Tと、最小出力P
0と、ピーク出力P
Pと、T
Pに等しいP
0からP
Pまでの時間とを有する波形を有し、T
Pは、Tの40%より小さくなるようにする。
図6に示される特定の実施形態では、Tは、約600nsであり、T
Pは、約75nsである。したがって、この実施形態では、T
Pは、Tの約12.5%である。非排他的な代替実施形態では、T
Pは、Tの40%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%より小さくすることができる。さらに他の実施形態では、T
Pは、Tの40%より大きくすることができる。例えば、様々な実施形態では、T
Pは、エネルギーパルスが顕著な三角波のパルス形状に近いという条件で、Tの40%、50%、60%、75%、または90%よりも大きくすることができる。
【0058】
図6に示される実施形態では、エネルギーパルス631のTは、50nsより大きく3μsより小さい範囲内とすることができる。非排他的な代替実施形態では、Tは、100nsより大きく2μsより小さい範囲内、200nsより大きく1μsより小さい範囲内、300nsより大きく800nsより小さい範囲内、または400nsより大きく600nsより小さい範囲内とすることができる。さらに代替的に、Tは、前述の範囲内または範囲外の持続時間を有することができる。
【0059】
この実施形態では、エネルギーパルス631のTPは、2.5nsより大きく1μsより小さい範囲内の持続時間を有することができる。非排他的な代替実施形態では、TPは、5nsより大きく800nsより小さい範囲内、10nsより大きく400nsより小さい範囲内、15nsより大きく300nsより小さい範囲内、または30nsより大きく100nsより小さい範囲内の持続時間を有することができる。さらに代替的に、TPは、前述の範囲内または範囲外の持続時間を有することができる。
【0060】
図6に示される実施形態では、エネルギーパルス631は、約550kWのP
Pを有する。非排他的な代替実施形態では、P
Pは、50kWより大きく1000kWより小さい範囲内、75kWより大きく750kWより小さい範囲内、100kWより大きく500kWより小さい範囲内、100kWより大きく400kWより小さい範囲内、または200kWより大きく300kWより小さい範囲内の出力を有することができる。さらに代替的に、P
Pは、前述の範囲内または範囲外の出力を有することができる。
【0061】
この実施形態では、エネルギーパルス631は、1:5より大きいPP対TP(単位はkW対ns)の比を有することができる。非排他的な代替実施形態では、エネルギーパルス631は、1:3、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、または20:1より大きいPP対TP(単位はkW対ns)の比を有することができる。
【0062】
比較的速い立ち上がり時間を特徴とし、エネルギーパルスの前縁部でのオーバーショットを減少させようとする任意の時間的エネルギーパルス形状は、光ファイバを損傷することなく、光ファイバを通したより効率的なプラズマ生成を可能にするはずであることが認識されている。例えば、ガウシアンよりも速い立ち上がり(および立ち下がり)を特徴とする任意の時間的エネルギーパルス形状は、本発明の利益を得ることができる。
【0063】
本発明は、血管壁内または血管壁に隣接する治療部位を治療する方法も対象とし、そのような方法は、本明細書に開示される装置を利用する。
【0064】
レーザ
本明細書での使用に適したレーザは、レーザおよびランプを含む様々なタイプのレーザを含むことができる。適切なレーザには、サブミリ秒のタイムスケールの短パルスレーザが含まれる。いくつかの実施形態では、レーザは、ナノ秒(ns)時間スケールのレーザを含むことができる。レーザには、ピコ秒(ps)、フェムト秒(fs)、およびマイクロ秒(μs)のタイムスケールの短パルスレーザも含まれ得る。本明細書に図示および/または記載されるカテーテルのバルーン流体内でプラズマを達成するために使用できるレーザ波長、パルス幅、およびエネルギーレベルの多くの組み合わせがあることが理解される。様々な実施形態では、パルス幅は、少なくとも10ns~200nsを含む範囲内に入るパルス幅を含むことができる。いくつかの実施形態では、パルス幅は、少なくとも20ns~100nsを含む範囲内に入るパルス幅を含むことができる。他の実施形態では、パルス幅は、少なくとも1ns~5000nsを含む範囲内に入るパルス幅を含むことができる。
【0065】
例示的なナノ秒レーザには、約10ナノメートル~1ミリメートルの波長にわたるUVからIRスペクトル内のものを含めることができる。いくつかの実施形態では、本明細書のカテーテルシステムでの使用に適したレーザは、少なくとも750nm~2000nmの波長で光を生み出すことができるものを含むことができる。いくつかの実施形態では、レーザは、少なくとも700nm~3000nmの波長で光を生み出すことができるものを含むことができる。いくつかの実施形態では、レーザは、少なくとも100nm~10マイクロメートル(μm)の波長で光を生み出すことができるものを含むことができる。ナノ秒レーザには、最大200kHzの繰り返しレートを有するレーザが含まれる。いくつかの実施形態では、レーザは、Qスイッチツリウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Tm:YAG)レーザを含むことができる。いくつかの実施形態では、レーザは、ネオジム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Nd:YAG)、ホルミウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Ho:YAG)、エルビウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Er:YAG)、エキシマレーザ、ヘリウムネオンレーザ、炭酸ガスレーザ、ならびにドープ、パルス、ファイバレーザを含むことができる。
【0066】
圧力波
本明細書で図示および/または説明されるカテーテルは、少なくとも1メガパスカル(MPa)~100MPaの範囲内の最大圧力を有する圧力波を生成することができる。特定のカテーテルによって生成される最大圧力は、レーザ、吸収材料、気泡の膨張、伝播媒体、バルーン材料、およびその他の要因に依存する。いくつかの実施形態では、本明細書に図示および/または記載されるカテーテルは、少なくとも2MPa~50MPaの範囲内の最大圧力を有する圧力波を生成することができる。他の実施形態では、本明細書に図示および/または記載されるカテーテルは、少なくとも2MPa~30MPaの範囲内の最大圧力を有する圧力波を生成することができる。さらに他の実施形態では、本明細書に図示および/または記載されるカテーテルは、少なくとも15MPa~25MPaの範囲内の最大圧力を有する圧力波を生成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に図示および/または記載されるカテーテルは、1MPa、2MPa、3MPa、4MPa、5MPa、6MPa、7MPa、8MPa、9MPa、10MPa、11MPa、12MPa、13MPa、14MPa、15MPa、16MPa、17MPa、18MPa、19MPa、20MPa、21MPa、22MPa、23MPa、24MPa、25MPa、26MPa、27MPa、28MPa、29MPa、30MPa、31MPa、32MPa、33MPa、34MPa、35MPa、36MPa、37MPa、38MPa、39MPa、40MPa、41MPa、42MPa、43MPa、44MPa、45MPa、46MPa、47MPa、48MPa、49MPa、または50MPa以上のピーク圧力を有する圧力波を生成することができる。本明細書で図示および/または説明されるカテーテルは、ある範囲内に入ることができる動作圧力または最大圧力を有する圧力波を発生させることができ、範囲の下限が、範囲の上限より小さい値であるという条件で、前述の数値のいずれも、範囲の下限または上限として機能し得ることが理解される。
【0067】
治療的処置は、疲労メカニズムまたはブルートフォースメカニズムを介して作用し得る。疲労メカニズムの場合、動作圧力は少なくとも約0.5MPa~2MPa、または約1MPaになる。ブルートフォースメカニズムの場合、動作圧力は少なくとも約20MPa~30MPa、または約25MPaになる。これらの2つの範囲の最端の間の圧力は、疲労メカニズムとブルートフォースメカニズムの組み合わせを使用して、治療部位に作用し得る。
【0068】
本明細書に記載の圧力波は、治療部位に配置されたカテーテルの長手軸から半径方向に延在する少なくとも0.01ミリメートル(mm)~25mmの範囲内の距離から治療部位に与えることができる。いくつかの実施形態では、圧力波は、治療部位に配置されたカテーテルの長手軸から半径方向に延在する少なくとも1mm~20mmの範囲内の距離から治療部位に与えることができる。他の実施形態では、圧力波は、治療部位に配置されたカテーテルの長手軸から半径方向に延在する少なくとも0.1mm~10mmの範囲内の距離から治療部位に与えることができる。さらに他の実施形態では、圧力波は、治療部位に配置されたカテーテルの長手軸から半径方向に延在する少なくとも1.5mm~4mmの範囲内の距離から治療部位に与えることができる。いくつかの実施形態では、圧力波は、0.1mm~10mmの距離で少なくとも2MPa~30MPaの範囲で治療部位に与えることができる。いくつかの実施形態では、圧力波は、0.1mm~10mmの距離で少なくとも2MPa~25MPaの範囲で治療部位に与えることができる。いくつかの実施形態では、圧力波は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、または0.9mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、または10mm以上とすることができるか、または上記のいずれかの範囲内、範囲の間、または範囲外の量とすることができる距離から治療部位に与えることができる。
【0069】
高速な立ち上がり時間と最小限のオーバーシュートを有する(理想的には矩形波に近づく)ように光パルスの一時的な形状を成形することにより、圧力波を生成する効率を改善することができ、光ファイバの損傷閾値より低いままにするためにピークレーザ強度を減少させながら、所与の時間間隔内に送出できるエネルギー量を向上させることができる。
【0070】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容および/または文脈から明らかにそうでないと判断される場合を除いて、複数の指示対象を含むことを留意すべきである。「または」という用語は、一般的に、内容または文脈から明らかにそうでないと判断される場合を除いて、「および/または」を含む意味で使用されることにも留意すべきである。
【0071】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「構成された」という語句は、特定のタスクを実行するか、または特定の構成を採用するように構築または構成されたシステム、装置、または他の構造を表すことにも留意すべきである。「構成された」という語句は、配置され構成された、構築され配置された、構築された、製造され配置されたなどの他の同様の語句と交換可能に使用することができる。
【0072】
本明細書で使用される場合、端点による数値範囲の列挙は、端点を含むその範囲内に包含されるすべての数値を含むものとする(例えば、2~8には、2、2.1、2.8、5.3、7、8などが含まれる)。
【0073】
図示および説明された図は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、参照および理解を容易にするため、および構造の相対的な配置のために提供されていることが認識される。
【0074】
本明細書で使用されている見出しは、37 CFR 1.77に基づく提言との一貫性を保つため、またはさもなければ組織的な手掛かりを提供するために提供されている。これらの見出しは、本開示から生じ得る特許請求の範囲に記載されている発明(複数可)を限定または特徴付けるものと見なされるべきではない。一例として、「背景技術」における技術の説明は、その技術が本開示におけるいずれかの発明(複数可)に対する先行技術であることを認めるものではない。「発明の概要」または「要約」は、請求項に記載されている発明(複数可)の特徴付けと見なされるべきではない。
【0075】
本明細書に記載される実施形態は、網羅的であること、または本発明を詳細な説明に開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、他の当業者が原理および実践を認識および理解できるように選択および説明されている。このように、様々な特定の好ましい実施形態および技術を参照して態様を説明してきた。しかしながら、本明細書の趣旨および範囲内に留まりながら、多くの変形および修正を行うことができることを理解すべきである。
【0076】
本明細書では、カテーテルシステムの多数の異なる実施形態が図示および説明されてきたが、任意の1つの実施形態の1つまたは複数の構成を、他の実施形態のうちの1つまたは複数における1つまたは複数の構成と組み合わせることが、そのような組み合わせが本発明の意図を満たしている条件においてできることが理解される。
【0077】
カテーテルシステムの多くの例示的な態様および実施形態が、上で論じられてきたが、当業者は、それらの特定の修正、置換、追加、および部分的な組み合わせを認識するであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲および以下に導入される特許請求の範囲は、それらの真の趣旨および範囲内にあるすべてのそのような修正、置換、追加、および部分的な組み合わせを含むと解釈されることが意図されており、本明細書で示される構造または設計の詳細への制限は意図されていない。