IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トプコンの特許一覧

特許7328482データ管理システム,管理方法,管理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】データ管理システム,管理方法,管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20230809BHJP
【FI】
G06F30/13
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020027057
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021131751
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(74)【代理人】
【識別番号】100168088
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 悠
(72)【発明者】
【氏名】童子 淳
(72)【発明者】
【氏名】山田 寿夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 信幸
(72)【発明者】
【氏名】弥延 聡
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-110658(JP,A)
【文献】特開2006-114059(JP,A)
【文献】特開2004-62601(JP,A)
【文献】特開2005-182167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物を構成する建築部材について部材識別情報と部材座標と部材形状を記憶した設計データベースと情報の送受信を行って、
(A)前記設計データベースに記憶された前記建築部材のなかから、管理対象となる管理部材を選択するステップと、
(B)前記設計データベースから、前記管理部材に隣接する関連部材を選択するステップと、
(C)前記管理部材と前記関連部材の隣接箇所を選択するステップと、
(D)前記隣接箇所について、境界情報として、該隣接箇所の識別情報と,隣接箇所座標と,隣接箇所形状と,前記管理部材の部材識別情報と,前記関連部材の部材識別情報とを関連付けて、比較結果データベースに記憶するステップと、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の管理方法において、さらに、前記管理部材に関する全ての関連部材について前記境界情報を作成したかを確認し、全て作成していない場合は未作成の関連部材について前記(B)から(D)のステップを行うことを特徴とする管理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の管理方法において、前記建築物に関する計測データを記憶した計測データベースと、と情報の送受信を行って、
(E)前記計測データベースから前記管理部材の計測データを選択するステップと、
(F)前記管理部材の設計モデルに前記計測データを反映させた前記管理部材の現状モデルを作成するステップと、
(G)前記比較結果データベースを参照し、前記管理部材の隣接箇所を一つ選択するステップと、
(H)前記隣接箇所について、前記比較結果データベースに記憶された隣接箇所形状と、前記現状モデルの形状とを比較するステップと、
(I)前記隣接箇所において、前記隣接箇所形状と前記現状モデルの形状に干渉または空間があるか判断するステップと、
(J)前記(I)ステップにおいて干渉がある場合、比較した比較箇所で干渉ありとして、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,比較箇所座標と,比較箇所形状とを,前記比較箇所の属性を「干渉」として、前記比較結果データベースに記憶するステップと、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の管理方法において、
(K)前記(I)ステップにおいて空間がある場合、比較した比較箇所で乖離ありとして、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,比較箇所座標と,比較箇所形状とを,前記比較箇所の属性を「乖離」として、前記比較結果データベースに記憶するステップと、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の管理方法において、
(L)前記(I)ステップにおいて干渉も空間も無い場合、比較した比較箇所は設計通りとして、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,比較箇所座標と,比較箇所形状とを,前記比較箇所の属性を「問題なし」として、前記比較結果データベースに記憶するステップと、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の管理方法において、さらに、前記管理部材に関する全ての隣接箇所について比較を終了したかを確認し、他の隣接箇所での比較を続ける場合は、他の隣接箇所について前記(G)から(L)のステップを行うことを特徴とする管理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の管理方法において、前記建築物に関する計測データを記憶した計測データベースと、と情報の送受信を行って、
(M)前記計測データベースから前記管理部材の計測データを選択するステップと、
(N)前記管理部材の設計モデルに前記計測データを反映させた前記管理部材の現状モデルを作成するステップと、
(O)前記比較結果データベースを参照し、前記管理部材の隣接箇所を一つ選択するステップと、
(P)前記隣接箇所について、前記比較結果データベースを参照して境界面モデルを作成するステップと、
(Q)前記隣接箇所について、前記境界面モデルと前記現状モデルを比較するステップと、
(R)前記隣接箇所において、前記境界面モデルと前記現状モデルに干渉または空間があるか判断するステップと、
(S)前記(R)ステップにおいて干渉がある場合、比較箇所で干渉ありとして、干渉部分の境界モデルを作成し、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,前記境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と,前記比較箇所の属性「干渉」を、前記比較結果データベースに記憶するステップと、
(T)前記(R)ステップにおいて空間がある場合、比較箇所で乖離ありとして、乖離部分の境界モデルを作成し、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,前記境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と,前記比較箇所の属性「乖離」を、前記比較結果データベースに記憶するステップと、
(U)前記(R)ステップにおいて干渉も空間も無い場合、比較箇所は設計通りとして、比較箇所の境界モデルを作成し、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,前記境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と,前記比較箇所の属性「問題なし」を、前記比較結果データベースに記憶するステップと、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項8】
請求項1に記載の管理方法において、
(V)前記設計データベースに記憶された前記建築部材のなかから、確認対象となる確認部材を選択するステップと、
(W)前記比較結果データベースから前記(V)ステップで選択された確認部材の部材識別情報を有する隣接箇所を選択するステップと、
(X)前記比較結果データベースから前記(W)ステップで選択された隣接箇所の関連部材を確認するステップと、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項9】
請求項5に記載の管理方法において、
(Y)前記属性から、干渉,乖離,または問題なしのいずれかを選択するステップと、
(Z)前記比較結果データベースから前記(Y)ステップで選択された属性を有する隣接箇所を選択するステップと、
(AA)前記(Z)ステップで選択された隣接箇所を確認するステップと、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項10】
請求項5に記載の管理方法において、
(AB)前記属性から、干渉,乖離,または問題なしのいずれかを選択するステップと、
(AC)前記比較結果データベースから前記(AB)ステップで選択された属性を有する隣接箇所を選択するステップと、
(AD)前記(AC)ステップで選択された隣接箇所について前記比較結果データベースを参照し、該隣接箇所に記憶されている部材を確認するステップと、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項11】
請求項5に記載の管理方法において、
さらに前記設計データベースに前記建築部材に関する他の分類情報を備え、
(AE)前記属性から、干渉,乖離,または問題なしのいずれかを選択するステップと、
(AF)前記比較結果データベースから前記(AE)ステップで選択された属性を有する隣接箇所を選択するステップと、
(AG)前記設計データベースを参照し、前記(AF)ステップで選択された隣接箇所を前記他の分類情報で絞り込むステップと、
(AH)前記(AG)ステップで絞り込まれた隣接箇所について前記比較結果データベースを参照し、該隣接箇所に記憶されている部材を確認するステップと、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の管理方法を、コンピュータプログラムで記載し、それを実行可能にしたことを特徴とする管理プログラム。
【請求項13】
建築物を構成する建築部材について部材識別情報と部材座標と部材形状を記憶した設計データベースと、
前記設計データベースに記憶された前記建築部材のなかから、管理対象となる管理部材を選択する管理部材選択部と、
前記設計データベースから、前記管理部材に隣接する関連部材を選択する関連部材選択部と、
前記管理部材と前記関連部材の隣接箇所を選択し、前記隣接箇所について、境界情報として、該隣接箇所の識別情報と,隣接箇所座標と,隣接箇所形状と,前記管理部材の部材識別情報と,前記関連部材の部材識別情報とを関連付ける境界情報作成部と、
前記境界情報作成部が関連付けた情報を記憶する比較結果データベースと、
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項14】
請求項13に記載の管理システムにおいて、さらに、
前記建築物に関する計測データを記憶した計測データベースと、
前記計測データベースから前記管理部材の計測データを選択する計測データ選択部と、
前記管理部材の設計モデルに前記計測データを反映させた、前記管理部材の現状モデルを作成する現状モデル作成部と、
前記比較結果データベースを参照し、前記管理部材の隣接箇所を一つ選択する境界情報選択部と、
前記隣接箇所について、前記比較結果データベースに記憶された隣接箇所形状と、前記現状モデルの形状とを比較する隣接箇所比較部と、
を備え、
前記境界情報作成部は、
前記隣接箇所において前記隣接箇所形状と前記現状モデルの形状に干渉または空間があるか判断し、干渉がある場合は、前記隣接箇所の識別情報と比較箇所の識別情報と比較箇所座標と比較箇所形状とを前記比較箇所の属性を「干渉」として前記比較結果データベースに記憶し、空間がある場合は、前記隣接箇所の識別情報と前記比較箇所の識別情報と比較箇所座標と比較箇所形状とを前記比較箇所の属性を「乖離」として前記比較結果データベースに記憶し、干渉も空間も無い場合は、前記隣接箇所の識別情報と前記比較箇所の識別情報と比較箇所座標と比較箇所形状とを前記比較箇所の属性を「問題なし」として前記比較結果データベースに記憶する
ことを特徴とする管理システム。
【請求項15】
請求項13に記載の管理システムにおいて、
前記建築物に関する計測データを記憶した計測データベースと、
前記計測データベースから前記管理部材の計測データを選択する計測データ選択部と、
前記管理部材の設計モデルに前記計測データを反映させた、前記管理部材の現状モデルを作成する現状モデル作成部と、
前記比較結果データベースを参照し、前記管理部材の隣接箇所を一つ選択する境界情報選択部と、
前記比較結果データベースを参照して、前記隣接箇所の境界面モデルを作成する境界面作成部と、
前記境界面モデルと前記現状モデルを比較する隣接箇所比較部と、
前記境界面モデルと前記現状モデルに干渉がある場合は干渉部分の境界モデルを作成し、前記境界面モデルと前記現状モデルに空間がある場合は空間部分の境界モデルを作成し、前記境界面モデルと前記現状モデルに干渉も空間も無い場合は比較箇所の境界モデルを作成する境界モデル作成部と、を備え、
前記境界情報作成部は、比較箇所の識別情報と,前記境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と,前記比較箇所の属性「干渉」または「乖離」または「問題なし」を、前記比較結果データベースに記憶する
ことを特徴とする管理システム。
【請求項16】
請求項13に記載の管理システムにおいて、
管理者に、前記設計データベースの前記建築部材のなかから確認対象となる確認部材を選択させ、前記確認部材の部材識別情報を有する隣接箇所を選択させ、選択された隣接箇所の関連部材を確認させる関連部材確認部、
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項17】
請求項14または15に記載の管理システムにおいて、
管理者に、前記属性の選択と、選択された属性を有する隣接箇所の選択をさせ、選択された隣接箇所を確認させる管理箇所・部材確認部、
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項18】
請求項14または15に記載の管理システムにおいて、
管理者に、前記属性の選択と、選択された属性を有する隣接箇所の選択をさせ、選択された隣接箇所に記憶されている部材を確認させる管理箇所・部材確認部、
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項19】
請求項14または15に記載の管理システムにおいて、前記設計データベースは前記建築部材に関する他の分類情報を備え、さらに、
管理者に、前記属性の選択と、選択された属性を有する隣接箇所の選択をさせ、選択された隣接箇所を前記他の分類情報で絞り込み、絞り込まれた隣接箇所に記憶されている部材を確認させる管理箇所・部材確認部、
を備えることを特徴とする管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の設計および施工に関するデータを管理するためのシステム,方法,およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築の分野では、BIM(Building Information Modeling)と呼ばれる3Dモデルの活用が進んでいる。BIMは、設計現場、すなわち、企画,意匠設計,設備設計,設計分析,実施設計,施工計画,および部品製作において活用が進んでいる。例えば特許文献1には、工場での部材製作の場面でBIMを活用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-21190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、施工状況の計測結果を設計BIMに反映させた場合、部材同士が重なっているかどうかのチェックは可能であるが、部材のどの場所が干渉しているかの情報はBIMに記憶することができなかった。特に、部材同士が離れているかどうかのチェックは行うことができず、部材の乖離の情報を管理することはできなかった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、部材同士の境界情報をデータ管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の管理方法は、建築物を構成する建築部材について部材識別情報と部材座標と部材形状を記憶した設計データベースと情報の送受信を行って、(A)前記設計データベースに記憶された前記建築部材のなかから、管理対象となる管理部材を選択するステップと、(B)前記設計データベースから、前記管理部材に隣接する関連部材を選択するステップと、(C)前記管理部材と前記関連部材の隣接箇所を選択するステップと、(D)前記隣接箇所について、境界情報として、該隣接箇所の識別情報と,隣接箇所座標と,隣接箇所形状と,前記管理部材の部材識別情報と,前記関連部材の部材識別情報とを関連付けて、比較結果データベースに記憶するステップと、を有することを特徴とする。
【0007】
上記態様において、さらに、前記管理部材に関する全ての関連部材について前記境界情報を作成したかを確認し、全て作成していない場合は未作成の関連部材について前記(B)から(D)のステップを行うのも好ましい。
【0008】
上記態様において、前記建築物に関する計測データを記憶した計測データベースと、と情報の送受信を行って、(E)前記計測データベースから前記管理部材の計測データを選択するステップと、(F)前記管理部材の設計モデルに前記計測データを反映させた前記管理部材の現状モデルを作成するステップと、(G)前記比較結果データベースを参照し、前記管理部材の隣接箇所を一つ選択するステップと、(H)前記隣接箇所について、前記比較結果データベースに記憶された隣接箇所形状と、前記現状モデルの形状とを比較するステップと、(I)前記隣接箇所において、前記隣接箇所形状と前記現状モデルの形状に干渉または空間があるか判断するステップと、(J)前記(I)ステップにおいて干渉がある場合、比較した比較箇所で干渉ありとして、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,比較箇所座標と,比較箇所形状とを,前記比較箇所の属性を「干渉」として、前記比較結果データベースに記憶するステップと、を有するのも好ましい。
【0009】
上記態様において、(K)前記(I)ステップにおいて空間がある場合、比較した比較箇所で乖離ありとして、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,比較箇所座標と,比較箇所形状とを,前記比較箇所の属性を「乖離」として、前記比較結果データベースに記憶するステップと、を有するのも好ましい。
【0010】
上記態様において、(L)前記(I)ステップにおいて干渉も空間も無い場合、比較した比較箇所は設計通りとして、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,比較箇所座標と,比較箇所形状とを,前記比較箇所の属性を「問題なし」として、前記比較結果データベースに記憶するステップと、を有するのも好ましい。
【0011】
上記態様において、さらに、前記管理部材に関する全ての隣接箇所について比較を終了したかを確認し、他の隣接箇所での比較を続ける場合は、他の隣接箇所について前記(G)から(L)のステップを行うのも好ましい。
【0012】
上記態様において、前記建築物に関する計測データを記憶した計測データベースと、と情報の送受信を行って、(M)前記計測データベースから前記管理部材の計測データを選択するステップと、(N)前記管理部材の設計モデルに前記計測データを反映させた前記管理部材の現状モデルを作成するステップと、(O)前記比較結果データベースを参照し、前記管理部材の隣接箇所を一つ選択するステップと、(P)前記隣接箇所について、前記比較結果データベースを参照して境界面モデルを作成するステップと、(Q)前記隣接箇所について、前記境界面モデルと前記現状モデルを比較するステップと、(R)前記隣接箇所において、前記境界面モデルと前記現状モデルに干渉または空間があるか判断するステップと、(S)前記(R)ステップにおいて干渉がある場合、比較箇所で干渉ありとして、干渉部分の境界モデルを作成し、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,前記境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と,前記比較箇所の属性「干渉」を、前記比較結果データベースに記憶するステップと、(T)前記(R)ステップにおいて空間がある場合、比較箇所で乖離ありとして、乖離部分の境界モデルを作成し、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,前記境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と,前記比較箇所の属性「乖離」を、前記比較結果データベースに記憶するステップと、(U)前記(R)ステップにおいて干渉も空間も無い場合、比較箇所は設計通りとして、比較箇所の境界モデルを作成し、前記隣接箇所の識別情報と,前記比較箇所の識別情報と,前記境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と,前記比較箇所の属性「問題なし」を、前記比較結果データベースに記憶するステップと、を有するのも好ましい。
【0013】
上記態様において、(V)前記設計データベースに記憶された前記建築部材のなかから、確認対象となる確認部材を選択するステップと、(W)前記比較結果データベースから前記(V)ステップで選択された確認部材の部材識別情報を有する隣接箇所を選択するステップと、(X)前記比較結果データベースから前記(W)ステップで選択された隣接箇所の関連部材を確認するステップと、を有するのも好ましい。
【0014】
上記態様において、(Y)前記属性から、干渉,乖離,または問題なしのいずれかを選択するステップと、(Z)前記比較結果データベースから前記(Y)ステップで選択された属性を有する隣接箇所を選択するステップと、(AA)前記(Z)ステップで選択された隣接箇所を確認するステップと、を有するのも好ましい。
【0015】
上記態様において、(AB)前記属性から、干渉,乖離,または問題なしのいずれかを選択するステップと、(AC)前記比較結果データベースから前記(AB)ステップで選択された属性を有する隣接箇所を選択するステップと、(AD)前記(AC)ステップで選択された隣接箇所について前記比較結果データベースを参照し、該隣接箇所に記憶されている部材を確認するステップと、を有するのも好ましい。
【0016】
上記態様において、さらに前記設計データベースに前記建築部材に関する他の分類情報を備え、(AE)前記属性から、干渉,乖離,または問題なしのいずれかを選択するステップと、(AF)前記比較結果データベースから前記(AE)ステップで選択された属性を有する隣接箇所を選択するステップと、(AG)前記設計データベースを参照し、前記(AF)ステップで選択された隣接箇所を前記他の分類情報で絞り込むステップと、(AH)前記(AG)ステップで絞り込まれた隣接箇所について前記比較結果データベースを参照し、該隣接箇所に記憶されている部材を確認するステップと、を有するのも好ましい。
【0017】
上記態様の管理方法を、コンピュータプログラムで記載し、それを実行可能にする管理プログラムも好ましい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様の管理システムは、建築物を構成する建築部材について部材識別情報と部材座標と部材形状を記憶した設計データベースと、前記設計データベースに記憶された前記建築部材のなかから、管理対象となる管理部材を選択する管理部材選択部と、前記設計データベースから、前記管理部材に隣接する関連部材を選択する関連部材選択部と、前記管理部材と前記関連部材の隣接箇所を選択し、前記隣接箇所について、境界情報として、該隣接箇所の識別情報と,隣接箇所座標と,隣接箇所形状と,前記管理部材の部材識別情報と,前記関連部材の部材識別情報とを関連付ける境界情報作成部と、前記境界情報作成部が関連付けた情報を記憶する比較結果データベースと、を備えることを特徴とする。
【0019】
上記態様において、さらに、前記建築物に関する計測データを記憶した計測データベースと、前記計測データベースから前記管理部材の計測データを選択する計測データ選択部と、前記管理部材の設計モデルに前記計測データを反映させた、前記管理部材の現状モデルを作成する現状モデル作成部と、前記比較結果データベースを参照し、前記管理部材の隣接箇所を一つ選択する境界情報選択部と、前記隣接箇所について、前記比較結果データベースに記憶された隣接箇所形状と、前記現状モデルの形状とを比較する隣接箇所比較部と、を備え、前記境界情報作成部は、前記隣接箇所において前記隣接箇所形状と前記現状モデルの形状に干渉または空間があるか判断し、干渉がある場合は、前記隣接箇所の識別情報と比較箇所の識別情報と比較箇所座標と比較箇所形状とを前記比較箇所の属性を「干渉」として前記比較結果データベースに記憶し、空間がある場合は、前記隣接箇所の識別情報と前記比較箇所の識別情報と比較箇所座標と比較箇所形状とを前記比較箇所の属性を「乖離」として前記比較結果データベースに記憶し、干渉も空間も無い場合は、前記隣接箇所の識別情報と前記比較箇所の識別情報と比較箇所座標と比較箇所形状とを前記比較箇所の属性を「問題なし」として前記比較結果データベースに記憶するのも好ましい。
【0020】
上記態様において、前記建築物に関する計測データを記憶した計測データベースと、前記計測データベースから前記管理部材の計測データを選択する計測データ選択部と、前記管理部材の設計モデルに前記計測データを反映させた、前記管理部材の現状モデルを作成する現状モデル作成部と、前記比較結果データベースを参照し、前記管理部材の隣接箇所を一つ選択する境界情報選択部と、前記比較結果データベースを参照して、前記隣接箇所の境界面モデルを作成する境界面作成部と、前記境界面モデルと前記現状モデルを比較する隣接箇所比較部と、前記境界面モデルと前記現状モデルに干渉がある場合は干渉部分の境界モデルを作成し、前記境界面モデルと前記現状モデルに空間がある場合は空間部分の境界モデルを作成し、前記境界面モデルと前記現状モデルに干渉も空間も無い場合は比較箇所の境界モデルを作成する境界モデル作成部と、を備え、前記境界情報作成部は、比較箇所の識別情報と,前記境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と,前記比較箇所の属性「干渉」または「乖離」または「問題なし」を、前記比較結果データベースに記憶するのも好ましい。
【0021】
上記態様において、管理者に、前記設計データベースの前記建築部材のなかから確認対象となる確認部材を選択させ、前記確認部材の部材識別情報を有する隣接箇所を選択させ、選択された隣接箇所の関連部材を確認させる関連部材確認部、を備えるのも好ましい。
【0022】
上記態様において、管理者に、前記属性の選択と、選択された属性を有する隣接箇所の選択をさせ、選択された隣接箇所を確認させる管理箇所・部材確認部、を備えるのも好ましい。
【0023】
上記態様において、管理者に、前記属性の選択と、選択された属性を有する隣接箇所の選択をさせ、選択された隣接箇所に記憶されている部材を確認させる管理箇所・部材確認部、を備えるのも好ましい。
【0024】
上記態様において、前記設計データベースは前記建築部材に関する他の分類情報を備え、さらに、管理者に、前記属性の選択と、選択された属性を有する隣接箇所の選択をさせ、選択された隣接箇所を前記他の分類情報で絞り込み、絞り込まれた隣接箇所に記憶されている部材を確認させる管理箇所・部材確認部、を備えるのも好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のデータ管理システム,管理方法,管理プログラムによれば、部材同士の境界情報をデータ管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第一の実施形態に係る管理システムの構成ブロック図である。
図2】同管理システムに係る設計データベースの一例を示す図である。
図3】同管理システムに係る比較結果データベースの一例を示す図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る管理方法を示すフロー図である。
図5】同管理方法の作業イメージを示す図である。
図6】本発明の第二の実施の形態に係る管理システムの構成ブロック図である。
図7】同管理システムに係る計測データベースの一例を示す図である。
図8】本発明の第二の実施形態に係る管理方法を示すフロー図である。
図9】同管理方法の作業イメージを示す図である。
図10】同管理システムに係る比較結果データベースの一例を示す図である。
図11】同管理方法の比較箇所についての作業イメージを示す図である。
図12】同管理方法の比較箇所についての作業イメージを示す図である。
図13】本発明の第三の実施の形態に係る管理システムの構成ブロック図である。
図14】本発明の第三の実施形態に係る管理方法を示すフロー図である。
図15】同管理方法の作業イメージを示す図である。
図16】本発明の第四の実施の形態に係る管理システムの構成ブロック図である。
図17】本発明の第四の実施形態に係る関連部材の管理方法を示すフロー図である。
図18】本発明の第五の実施の形態に係る管理システムの構成ブロック図である。
図19】本発明の第五の実施形態に係る干渉箇所の管理方法を示すフロー図である。
図20】従来の干渉箇所の管理方法を示すフロー図である。
図21】本発明の第五の実施形態に係る乖離箇所の管理方法を示すフロー図である。
図22】本発明の第五の実施形態に係る問題なしの箇所の管理方法を示すフロー図である。
図23】本発明の第五の実施形態に係る干渉部材の管理方法を示すフロー図である。
図24】従来の干渉部材の管理方法を示すフロー図である。
図25】本発明の第五の実施形態に係る乖離部材の管理方法を示すフロー図である。
図26】本発明の第五の実施形態に係る問題のない部材の管理方法を示すフロー図である。
図27】本発明の第六の実施の形態に係る管理システムの構成ブロック図である。
図28】同管理システムに係る設計データベースの一例を示す図である。
図29】本発明の第六の実施形態に係る干渉箇所の管理方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
<第一の実施形態>
(第一の実施形態に係る管理システムの構成)
図1は、本発明の第一の実施形態に係る管理システム1の構成ブロック図である。管理システム1は、入出力装置2と、設計データベース3と、管理部材選択部5と、関連部材選択部6と、境界情報作成部7と、比較結果データベース20と、を備える。
【0029】
入出力装置2は、少なくとも演算部、記憶部、通信部、表示部、操作部を備える汎用パーソナルコンピュータやタブレット端末等であり、管理者からの操作が可能である。
【0030】
管理部材選択部5,関連部材選択部6,および境界情報作成部7の各機能部は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのPLD(Programmable Logic Device)などの電子回路により構成される。各機能部は、入出力装置2内に、または他の外部ハードウェア/ソフトウェアのいずれかで、構成されてもよい。後者の場合、各機能部は、入出力装置2とネットワークを通じて情報の送受信を行える。
【0031】
設計データベース3および比較結果データベース20は、ネットワークを介して通信可能に構成されたサーバコンピュータに記憶されている。該サーバコンピュータは、関連する機能部と通信が可能であり、関連する機能部と情報の送受信を行える。
【0032】
設計データベース3には、管理対象となる建築物の設計BIMに基づく設計データ(建築物を構成する一つ一つの建築部材を3Dモデル形状で有したデータ。3Dモデルには面,線,点の形状も含まれる。以降、設計モデルとも称する)が記憶されている。設計データベース3は、図2に示すように、各建築部材に関し、部材識別情報(以下、部材ID)と,部材座標と,部材形状とを関連付ける設計テーブル31を備える。
【0033】
比較結果データベース20には、管理部材と,管理部材に隣接する部材との,部材間の境界情報が記憶される。比較結果データベース20は、少なくとも、部材間の境界(隣接箇所)を管理する隣接箇所テーブル201と、隣接箇所において関連している部材を管理する関連部材テーブル202を有している。好ましくは、図3に示すように、隣接箇所テーブル201には、部材間の境界(隣接箇所)ごとに付けられた識別情報(以下、隣接箇所ID)と,隣接箇所の座標と,隣接箇所の形状とが関連付けて記憶される。隣接箇所の形状は、例えば、境界面の形状に関する情報であり、“平面”“凸面”“凹面”“曲面”などである。関連部材テーブル202には、隣接箇所IDと,管理対象となる部材(以下、“管理部材”)の部材IDと,管理部材に隣接し管理部材とともに隣接箇所を形成する部材(以下、“関連部材”)の部材ID(以下、こちらを関連部材IDと称する)とが関連付けて記憶される。
【0034】
管理部材選択部5,関連部材選択部6,および境界情報作成部7の各機能部については、次に記載する本形態に係る管理方法において説明する。
【0035】
(第一の実施形態に係る管理方法)
本形態による管理方法は、境界情報を管理するための比較結果データベース20を作成するためのデータ管理となる。図4は本発明の第一の実施形態に係る管理方法を示すフロー図であり、図5は同フローの作業イメージ図である。
【0036】
本形態による管理処理が開始されると、ステップS1001で、管理部材選択部5は、設計テーブル31を読み出し、入出力装置2に設計モデルを表示するなどして、管理者に、管理対象となる部材“管理部材”を選択させる。管理者は、入出力装置2を介して管理部材を選択する(図5のS1001も参照)。
【0037】
次に、ステップS1002に移行して、関連部材選択部6は、設計テーブル31を読み出し、設計テーブル31にある管理部材の座標および形状のデータを基に、管理部材に隣接する“関連部材”を自動で抽出するか、管理部材の周辺の設計モデルを入出力装置2に表示するなどして“関連部材”を管理者に選択させる(図5のS1002も参照)。
【0038】
次に、ステップS1003に移行して、境界情報作成部7は、管理部材の設計モデルと関連部材の設計モデルが隣接する隣接箇所を一つ選択する(図5のS1003も参照)。
【0039】
次に、ステップS1004に移行して、境界情報作成部7は、ステップS1003で選択された隣接箇所について、隣接箇所IDを付け,隣接箇所IDと,隣接箇所座標と,隣接箇所形状(境界面の形状)と,管理部材の部材IDと,関連部材の関連部材IDとを,隣接箇所テーブル201および関連部材テーブル202の対応箇所に格納する(図5のS1004も参照)。
【0040】
次に、ステップS1005に移行して、境界情報作成部7は、管理部材の設計モデルを確認し、管理部材の全ての関連部材について境界情報を作成したか確認する。全て作成していない場合はステップS1002に戻り未作成分を作成し(図5のS1005も参照)、全て作成した場合はフローを終了する。
【0041】
以上、本形態の管理方法および管理システムによれば、設計データベース3に紐づけて作成された比較結果データベース20(隣接箇所テーブル201と関連部材テーブル202)によって、部材同士の境界情報がデータ管理される。
【0042】
<第二の実施形態>
本形態による管理システムおよび管理方法は、第一の実施形態に追加的に適用されるものであり、さらに、計測データを反映させて境界情報を管理するものである。
【0043】
(第二の実施形態に係る管理システムの構成)
図6は、本発明の第二の実施の形態に係る管理システム1’の構成ブロック図である。第一の実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明を割愛する。管理システム1’は、入出力装置2と、設計データベース3と、計測データベース4と、管理部材選択部5と、計測データ選択部8と,現状モデル作成部9と,境界情報選択部10と、隣接箇所比較部11と、境界情報作成部7と、比較結果データベース20と、を備える。
【0044】
計測データベース4には、スキャナ等を利用して得られた上記建築物の計測データ(座標情報をレジストレーションした点群データ,点データ、計測地点の座標情報を保持する画面データ,建築部材の施工誤差に関するデータ)が記憶されている。計測データには、計測点の識別情報(以下、点群ID)が付与されている。計測データベース4は、少なくとも、図7に示すように、計測点毎に、点群IDと点座標とを関連付けた計測テーブル41を備える。
【0045】
計測データ選択部8,現状モデル作成部9,境界情報選択部10、隣接箇所比較部11も、他の機能部と同様、電子回路により構成される。計測データ選択部8,現状モデル作成部9,境界情報選択部10、隣接箇所比較部11については、次に記載する本形態に係る管理方法において説明する。
【0046】
(第二の実施形態に係る管理方法)
図8は本発明の第二の実施形態に係る管理方法を示すフロー図、図9は同管理フローの作業イメージ図である。第一の実施形態と同一のステップについては、同一のステップ符号を引用して説明を割愛する。
【0047】
本形態による管理処理が開始されると、ステップS2001で、管理部材選択部5は、ステップS1001と同様に、管理者に、設計テーブル31から管理部材を選択させる(図9のS2001も参照)。
【0048】
次に、ステップS2002に移行して、計測データ選択部8は、計測テーブル41に記憶されている計測点の点座標を読み出し、ステップS2001で選択された管理部材の部材座標と略対応する計測点を抽出するか、管理者に入出力装置2を介して選択させる。このとき、座標が完全一致するものだけではなく、予め設定した誤差値内に入る計測点は選択される。
【0049】
ここで、予め、計測点がどの建築部材のものなのかが特定されており、計測テーブル41において、計測点に設計テーブル31と対応付く部材IDが付けられるのも好ましい。この場合、先にステップS2001で管理部材の部材IDを基に計測データを選択し、次のステップS2002で管理部材の設計モデルを選択する流れとしてもよい。
【0050】
次に、ステップS2003に移行して、現状モデル作成部9は、管理部材に関し、設計モデルと計測データを利用して、計測データで設計モデルの形状,座標,回転,傾きを修正し、管理部材の現状モデルを作成する(図9のS2003も参照)。
【0051】
次に、ステップS2004に移行して、境界情報選択部10は、比較結果データベース20を参照し、管理部材が持つ隣接箇所を一つ、管理者に選択させる。管理者は、管理部材の設計モデルまたは隣接箇所IDを基に、隣接箇所を一つ選択する(図9のS2004も参照)。
【0052】
次に、ステップS2005に移行して、隣接箇所比較部11は、隣接箇所テーブル201から読みだした隣接箇所形状と、隣接箇所座標における現状モデルの形状と、を比較する。
【0053】
次に、ステップS2006に移行して、境界情報作成部7は、隣接箇所形状と現状モデルの形状に干渉または空間があるか判断し、比較箇所の属性を判断する。一例として、隣接箇所の形状が平面であるのに対し、比較した箇所で現状モデルが凸面となっている場合(図9のS2006-1参照)、その比較箇所では「干渉あり」としてステップS2007に移行する。一方、比較した箇所で現状モデルが凹面となっている場合(図9のS2006-2参照)、その比較箇所では「空間があり」としてステップS2008に移行する。隣接箇所形状も比較箇所の現状モデルも平面である場合、その比較箇所は「設計通り」としてステップS2009に移行する。なお、隣接箇所形状と現状モデルの形状の比較では、予め設定された設計誤差範囲内である場合は、設計通りとされるのも好ましい。
【0054】
境界情報作成部7は、図10に示すように、比較結果データベース20に、比較箇所テーブル203を作成する。比較箇所テーブル203には、好ましくは、比較箇所ごとに付けられた識別情報(以下、比較箇所ID)と,隣接箇所IDと,比較箇所座標と,比較箇所形状と,比較箇所の属性として「干渉」または「乖離」または「問題なし」,が関連付けて記憶される。
【0055】
ステップS2007に移行すると、境界情報作成部7は、比較箇所ID,隣接箇所ID,比較箇所座標,比較箇所形状とともに、比較箇所の属性を「干渉」として、比較箇所テーブル203に格納し、ステップS2010に移行する。
【0056】
ステップS2008に移行すると、境界情報作成部7は、比較箇所ID,隣接箇所ID,比較箇所座標,比較箇所形状とともに、比較箇所の属性を「乖離」として、比較箇所テーブル203に格納し、ステップS2010に移行する。
【0057】
ステップS2009に移行すると、境界情報作成部7は、比較箇所ID,隣接箇所ID,比較箇所座標,比較箇所形状とともに、比較箇所の属性を「問題なし」として、比較箇所テーブル203に格納し、ステップS2010に移行する。
【0058】
ステップS2010に移行すると、境界情報作成部7は、管理者に、係る隣接箇所での比較作業を終了するか尋ねる。管理者が係る隣接箇所で他の比較箇所での比較を続ける場合はステップS2005に戻り、係る隣接箇所での比較を止める場合はステップS2011に移行する。
【0059】
ステップS2011に移行すると、境界情報作成部7は、管理部材の全ての隣接箇所に対して比較作業を終了するか尋ねる。管理者が他の隣接箇所での比較を続ける場合はステップS2004に戻り、全ての隣接箇所での比較を止める場合はフローを終了する。
【0060】
なお、補足として、比較箇所は、対象となる隣接箇所(エリア)を細かく分解し、分解したエリア単位で確認される。分解能の設定は、管理者が手動で設定してもよいし、隣接箇所比較部11が3Dモデルの描画粒度に合わせて自動設定してもよい。ステップS2005からステップS2010の作業イメージを図11図12に示す。境界情報作成部7は、対象となる隣接箇所の比較箇所を全て確認した後、図11および図12に示すように、干渉,乖離,問題なしの属性ごとに分けた比較箇所エリアを作成し、データ管理するのも好ましい。
【0061】
以上、本形態の管理方法および管理システムによれば、設計モデルに計測データを反映させた上で、予めデータ管理された境界情報に基づいて、隣接箇所で部材同士が干渉するかどうか検証することができる。さらに、隣接箇所において部材同士が離れている場合、隣接箇所に乖離があるということをデータとして管理することができる。また、干渉の位置と乖離の位置は、座標まで明らかにして、比較結果データベース20に記憶することができる。
【0062】
<第三の実施形態>
本形態による管理システムおよび管理方法は、第二の実施形態の境界情報に加えて、境界部分の具体的な形状まで含めて管理するものである。
【0063】
(第三の実施形態に係る管理システムの構成)
図13は、本発明の第三の実施の形態に係る管理システム1”の構成ブロック図である。前述の実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明を割愛する。管理システム1”は、第二の実施形態の構成に、境界面作成部12と境界モデル作成部13が追加される。
【0064】
境界面作成部12,境界モデル作成部13も、他の機能部と同様、電子回路により構成される。境界面作成部12,境界モデル作成部13については、次に記載する本形態に係る管理方法において説明する。
【0065】
(第三の実施形態に係る管理方法)
図14は本発明の第三の実施形態に係る管理方法を示すフロー図、図15は同管理フローの作業イメージ図である。第二の実施形態と同一のステップについては、同一のステップ符号を引用して説明を割愛する。
【0066】
本形態による管理処理が開始されると、ステップS3001で、管理部材選択部5はステップS2001と同様に管理部材を選択させ、ステップS3002で、計測データ選択部8はステップS2002と同様に管理部材の計測データを選択する。
【0067】
次に、ステップS3003に移行して、ステップS2003と同様に、現状モデル作成部9は管理部材の現状モデルを作成する(図15のS3003も参照)。
【0068】
次に、ステップS3004に移行して、ステップS2004と同様に、境界情報選択部10は、比較結果データベース20を参照し、管理部材が持つ隣接箇所を一つ、管理者に選択させる。
【0069】
次に、ステップS3005に移行すると、境界面作成部12は、隣接箇所テーブル201(比較結果データベース20)を参照して、ステップS3004で選択された隣接箇所IDの隣接箇所座標と隣接箇所形状から、当該隣接箇所の境界面の設計モデル(以下、境界面モデル)を作成する(図15のS3005も参照)。
【0070】
次に、ステップS3006に移行して、隣接箇所比較部11は、隣接箇所座標における現状モデルの形状と、ステップS3005で作成した境界面モデルの形状を比較する。
【0071】
次に、ステップS3007に移行して、境界情報作成部7は、境界面モデルと現状モデルとに干渉または空間があるか判断し、比較箇所の属性を判断する。一例として、境界面モデルが平面であるのに対し、比較した箇所(座標)で現状モデルが凸面となっている場合(図15のS3007-1参照)、その比較箇所では干渉ありとしてステップS3008に移行する。一方、比較した箇所(座標)で現状モデルが凹面となっている場合(図15のS3007-2参照)、その比較箇所では空間があるとしてステップS3009に移行する。境界面モデルも比較した箇所の現状モデルも平面である場合、その比較箇所は「設計通り」としてステップS3010に移行する。なお、境界面モデルと現状モデルの比較では、予め設定された設計誤差範囲内である場合は、設計通りとされるのも好ましい。
【0072】
ステップS3008に移行すると、境界モデル作成部13が、この比較箇所において干渉部分の境界モデルを作成する(図15のS3008参照)。境界情報作成部7は、比較箇所IDと,隣接箇所IDと,境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と、比較箇所の属性「干渉」とを、比較箇所テーブル203に格納して、ステップS3011に移行する。
【0073】
ステップS3009に移行すると、境界モデル作成部13は、この比較箇所における空間部分のモデル、すなわち乖離部分の境界モデルを作成する(図15のS3009参照)。境界情報作成部7は、比較箇所IDと,隣接箇所IDと,境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と、比較箇所の属性「乖離」とを、比較箇所テーブル203に格納して、ステップS3011に移行する。
【0074】
ステップS3010に移行すると、境界モデル作成部13は、この比較箇所の境界モデルを作成する。境界情報作成部7は、比較箇所IDと,隣接箇所IDと,境界モデルに基づく比較箇所座標,比較箇所形状と、比較箇所の属性「問題なし」とを、比較箇所テーブル203に格納して、ステップS3011に移行する。
【0075】
ステップS3011に移行すると、境界情報作成部7は、管理者に、係る隣接箇所での比較作業を終了するか尋ねる。管理者が係る隣接箇所で他の比較箇所の比較を続ける場合はステップS3006に戻り、係る隣接箇所での比較を止める場合はステップS3012に移行する。
【0076】
ステップS3012に移行すると、境界情報作成部7は、管理部材の全ての隣接箇所に対して比較作業を終了するか尋ねる。管理者が他の隣接箇所での比較を続ける場合はステップS3004に戻り、全ての隣接箇所での比較を止める場合はフローを終了する。
【0077】
以上、本形態の管理方法および管理システムによれば、第二の実施形態に加えて、干渉または乖離の部分の境界モデルを作成して、境界部分の具体的な形状をデータ管理することができる。
【0078】
<第四の実施形態>
本形態による管理システムおよび管理方法は、第一の実施形態で作成された比較結果データベース20(関連部材テーブル202)のデータを活用する例を示すものであり、境界情報を管理することで可能となるデータ確認のための構成および方法を示すものである。第一の実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明を割愛する。
【0079】
(第四の実施形態に係る管理システムの構成)
図16は、本発明の第四の実施の形態に係る管理システム100の構成ブロック図である。管理システム100は、入出力装置2と、設計データベース3と、関連部材確認部14と、比較結果データベース20と、を備える。関連部材確認部14も、他の機能部と同様、電子回路により構成される。関連部材確認部14については、次に記載する本形態に係る管理方法において説明する。
【0080】
(第四の実施形態に係る管理方法)
図17は本発明の第四の実施形態に係る関連部材の管理方法を示すフロー図である。本確認フローが開始されると、ステップS4001に移行して、関連部材確認部14が部材を訊ねるので、管理者は、確認の対象となる「確認部材」を設計データベース3から選択する。次に、ステップS4002に移行して、関連部材確認部14は、比較結果データベース20から関連部材テーブル202を読み出し、確認部材の部材IDを有する隣接箇所をピックアップして、管理者に確認したい隣接箇所を選択させる。次に、ステップS4003に移行して、関連部材確認部14は、関連部材テーブル202から隣接箇所IDで紐づく関連部材を読み出す。これにより、管理者は、確認部材の関連部材を確認することができる。
【0081】
本形態の管理方法および管理システムによれば、部材同士の境界情報を基に、確認対象となる部材に隣接する関連部材をすぐに特定することができる。また、確認部材に対する関連部材の数もすぐに特定することができるので、確認部材の施工ずれが後の作業へどれだけ影響するか、確認把握することも可能になる。
【0082】
<第五の実施形態>
本形態による管理システムおよび管理方法は、第二または第三の実施形態で作成された比較結果データベース20(関連部材テーブル202および比較箇所テーブル203)のデータを活用する例を示すものであり、境界情報を管理することで可能となるデータ確認のための構成及び方法を示すものである。前述までの実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明を割愛する。また、以下は、第二の実施形態で作成された比較箇所テーブル203を例にして説明するが、第三の実施形態で作成された比較箇所テーブル203を用いても同様である。
【0083】
(第五の実施形態に係る管理システムの構成)
図18は、本発明の第五の実施の形態に係る管理システム100’の構成ブロック図である。管理システム100’は、入出力装置2と、管理箇所・部材確認部15と、比較結果データベース20と、を備える。管理箇所・部材確認部15も、他の機能部と同様、電子回路により構成される。管理箇所・部材確認部15については、次に記載する本形態に係る管理方法において説明する。
【0084】
(第五の実施形態に係る管理方法-1の1)
図19は本発明の第五の実施形態に係る干渉箇所の管理方法を示す確認フロー図であり、図20は対比のための従来の干渉箇所の管理方法を示す確認フロー図である。
【0085】
最初に、図20を用いて従来の確認フローについて説明する。設計モデルに計測データを反映させたものに「干渉箇所」が発生しているか確認したい時、従来では、管理者は、まずステップS5111で、設計データベースから、干渉の有無を確認したい部材を手動で選択する。次に、管理者は、ステップS5112に進んで、確認したい部材を全て選択したかチェックする。選択していないものがあればステップS5111に戻り、全て選択した場合はステップS5113に進む。ステップS5113に進むと、チェックプログラムを有する演算部が、選択された部材の干渉を算出する。次に、ステップS5114に進んで、演算部はステップS5113の結果から干渉が発生している干渉部材を選択する。次に、ステップS5115に進み、管理者はステップS5114の結果から干渉箇所を確認したい部材を手動で選択する。次に、ステップS5116に進んではじめて、管理者は選択した部材の干渉箇所を確認することができる。
【0086】
これに対し、本形態では、図19に示すように、設計モデルに計測データを反映させたものに「干渉箇所」が発生しているか確認したい時、管理箇所・部材確認部15が機能する。ステップS5011に移行すると、管理箇所・部材確認部15が確認する属性を訊ねるので、管理者は「干渉」を選択する。すると、ステップS5012に移行して、管理箇所・部材確認部15が、比較結果データベース20から比較箇所テーブル203を読み出し、属性が「干渉」となっている隣接箇所をピックアップするので、管理者は管理したい箇所を選択する。選択後、ステップS5013に移行して、管理者は、干渉箇所を確認することができる。
【0087】
すなわち、「干渉箇所」はすでに比較箇所テーブル203によって管理されているので、管理者は「干渉」の属性データを基に、干渉箇所をすぐに選択・確認することができる。
【0088】
(第五の実施形態に係る管理方法-1の2)
図21は本発明の第五の実施形態に係る乖離箇所の管理方法を示すフロー図である。
【0089】
設計モデルに計測データを反映させたものに「乖離箇所」が発生しているか確認したい時、従来では、空間や部材同士の離れを検出する手段が無いことから、乖離箇所を確認することはできなかった。
【0090】
これに対し、本形態では、図21に示すように、設計モデルに計測データを反映させたものに「乖離箇所」が発生しているか確認したい時、管理箇所・部材確認部15が機能する。ステップS5021に移行すると、管理箇所・部材確認部15が確認する属性を訊ねるので、管理者は「乖離」を選択する。すると、ステップS5022に移行して、管理箇所・部材確認部15が、比較箇所テーブル203を読み出し、属性が「乖離」となっている隣接箇所をピックアップするので、管理者は管理したい箇所を選択する。選択後、ステップS5023に移行して、管理者は、乖離箇所を確認することができる。
【0091】
すなわち、「乖離箇所」はすでに比較箇所テーブル203によって管理されているので、管理者は「乖離」の属性データを基に、乖離箇所をすぐに選択・確認することができる。
【0092】
(第五の実施形態に係る管理方法-1の3)
図22は本発明の第五の実施形態に係る問題なしの箇所の管理方法を示す確認フロー図である。
【0093】
設計モデルに計測データを反映させたものが、設計通りとなっている箇所(以下、「問題なしの箇所」という)を確認したい時は、図22に示すように、管理箇所・部材確認部15を機能させて、ステップS5031で属性「問題なし」を選択する。次に、ステップS5032に移行して、管理箇所・部材確認部15が、比較箇所テーブル203を読み出し、属性が「問題なし」となっている隣接箇所をピックアップするので、管理者は管理したい箇所を選択する。選択後、ステップS5033に移行して、管理者は、設計通りとなっている箇所を確認することができる。
【0094】
(第五の実施形態に係る管理方法-2の1)
図23は本発明の第五の実施形態に係る干渉部材の管理方法を示す確認フロー図であり、図24は対比のための従来の干渉部材の管理方法を示す確認フロー図である。
【0095】
最初に、図24を用いて従来の確認フローについて説明する。設計モデルに計測データを反映させたものに「干渉が発生している部材」(以下、干渉部材)があるか確認したい時、従来では、管理者は、まずステップS5411で、設計データベースから、干渉の有無を確認したい部材を手動で選択する。次に、管理者は、ステップS5412に進んで、確認したい部材を全て選択したかチェックする。選択していないものがあればステップS5411に戻り、全て選択した場合はステップS5413に進む。ステップS5413に進むと、チェックプログラムを有する演算部が、ステップS5412で選択された部材の干渉を算出する。次に、ステップS5414に進んで、演算部はステップS5413の結果から干渉が発生している部材を選択する。次に、ステップS5415に進んではじめて、管理者は干渉部材を確認することができる。
【0096】
これに対し、本形態では、図23に示すように、設計モデルに計測データを反映させたものに「干渉部材」があるか確認したい時、管理箇所・部材確認部15が機能する。ステップS5041に移行すると、管理箇所・部材確認部15が確認する属性を訊ねるので、管理者は「干渉」を選択する。次に、ステップS5042に移行すると、管理箇所・部材確認部15が、比較箇所テーブル203を読み出し、属性が「干渉」となっている隣接箇所をピックアップするので、管理者は管理したい干渉箇所を選択する。次に、ステップS5043に移行すると、管理箇所・部材確認部15は、ステップS5042で選択された隣接箇所IDを基に関連部材テーブル202を参照し、係る隣接箇所に記憶されている部材IDと関連部材IDを持つ部材を選択する。選択後、ステップS5044に移行して、管理者は、干渉部材を確認することができる。
【0097】
すなわち、「干渉部材」は、すでに比較箇所テーブル203および関連部材テーブル202によって紐づけて管理されているので、管理者は、「干渉」の属性データを基に、干渉部材をすぐに選択・確認することができる。
【0098】
(第五の実施形態に係る管理方法-2の2)
図25は本発明の第五の実施形態に係る乖離部材の管理方法を示す確認フロー図である。
【0099】
設計モデルに計測データを反映させたものに「乖離箇所に関連している部材(以下、乖離部材という)」が発生しているか確認したい時、従来では、空間や部材同士の離れを検出する手段が無いことから、乖離部材を確認することはできなかった。
【0100】
これに対し、本形態では、図25に示すように、設計モデルに計測データを反映させたものに「乖離部材」があるか確認したい時、管理箇所・部材確認部15が機能する。ステップS5051に移行すると、管理箇所・部材確認部15が確認する属性を訊ねるので、管理者は「乖離」を選択する。次に、ステップS5052に移行すると、管理箇所・部材確認部15が、比較箇所テーブル203を読み出し、属性が「乖離」となっている隣接箇所をピックアップするので、管理者は管理したい乖離箇所を選択する。次に、ステップS5053に移行すると、管理箇所・部材確認部15は、ステップS5052で選択された隣接箇所IDを基に関連部材テーブル202を参照し、係る隣接箇所に記憶されている部材IDと関連部材IDを持つ部材を選択する。選択後、ステップS5054に移行して、管理者は、乖離部材を確認することができる。
【0101】
すなわち、「乖離部材」は、すでに比較箇所テーブル203および関連部材テーブル202によって紐づけて管理されているので、管理者は、「乖離」の属性データを基に、乖離している部材をすぐに選択・確認することができる。
【0102】
(第五の実施形態に係る管理方法-2の3)
図26は本発明の第五の実施形態に係る問題のない部材の管理方法を示すフロー図である。
【0103】
設計モデルに計測データを反映させたもののうち設計通りとなっている部材(以下、「問題なしの部材」という)を確認したい時は、図26に示すように、管理箇所・部材確認部15を機能させて、ステップS5061で属性「問題なし」を選択する。ステップS5062に移行すると、管理箇所・部材確認部15が、比較箇所テーブル203を読み出し、属性が「問題なし」となっている隣接箇所をピックアップするので、管理者は管理したい箇所を選択する。次に、ステップS5063に移行して、管理箇所・部材確認部15は、ステップS5062で選択された隣接箇所IDを基に関連部材テーブル202を参照し、係る隣接箇所に記憶されている部材IDと関連部材IDを持つ部材を選択する。選択後、ステップS5064に移行して、管理者は、問題なしの部材を確認することができる。
【0104】
このように、本形態の管理方法および管理システムによれば、部材同士の隣接箇所の状態を確認する作業の効率が格段に向上する。
【0105】
<第六の実施形態>
本形態による管理システムおよび管理方法は、第二または第三の実施形態で作成された比較結果データベース20(関連部材テーブル202および比較箇所テーブル203)のデータを活用する別の例を示すものであり、さらに部材の他の分類情報を組み合わせたデータ確認を可能とする構成および方法を示すものである。前述までの実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明を割愛する。また、以下は、第二の実施形態で作成された比較箇所テーブル203を例にして説明するが、第三の実施形態で作成された比較箇所テーブル203を用いても同様である。
【0106】
(第六の実施形態に係る管理システムの構成)
図27は、本発明の第六の実施の形態に係る管理システム100” の構成ブロック図である。第六の実施の形態に係る管理システム100”は、第五の実施の形態に係る管理システムと同一であり、さらに図28に示す設計テーブル31’を備える設計データベース3’と情報の送受信を行う。
【0107】
本形態の設計データベース3’は、図28に示すように、各建築部材に関し、部材IDと,部材座標と,部材形状と,部材種別を関連付ける設計テーブル31’を備える。部材種別は、部材群の種別であって、“柱”“梁”“筋交い”“壁”などである。
【0108】
(第六の実施形態に係る管理方法)
図29は本発明の第六の実施形態に係る干渉部材の管理方法を示すフロー図である。本形態では、一例として属性のうち「干渉」を選択する場合を示すが、「乖離」「問題なし」を選択する場合も同様である。
【0109】
本確認フローが開始されると、ステップS6011に移行して、管理箇所・部材確認部15が確認する属性を訊ねるので、管理者は「干渉」を選択する。次に、ステップS6012に移行すると、管理箇所・部材確認部15は、比較箇所テーブル203を読み出し、属性が「干渉」となっている隣接箇所をピックアップするので、管理者は管理したい干渉箇所を選択する。次に、ステップS6013に移行すると、管理箇所・部材確認部15が部材種別を訊ねるので、管理者は、確認したい部材種別を選択する。次に、ステップS6014に移行して、管理箇所・部材確認部15は、設計テーブル31’を参照し、ステップS6012で選択された干渉箇所のうち、ステップS6013で選択された部材種別を有する部材IDを含む隣接箇所を絞り込み、絞り込みをした隣接箇所について、隣接箇所IDを基に関連部材テーブル202を参照し、係る隣接箇所に記憶されている部材IDと関連部材IDを持つ部材を選択する。選択後、ステップS6015に移行して、管理者は、部材種別を限定した上で干渉部材を確認することができる。
【0110】
このように、本形態の管理方法および管理システムによれば、部材同士の隣接箇所の状態を、部材種別などの部材の他の分類情報を組み合わせて確認することも可能となる。なお、他の分類情報は、部材種別に限定する趣旨ではなく、耐火部材などの材質情報など、部材に関する何等かの分類情報であれば適用される。
【0111】
以上、本発明の好ましい実施の形態および変形例を述べたが、各形態および各変形を当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【0112】
なお、上述の実施形態における比較結果データベース20に記憶されたデータは、比較結果データベース20から外部システムに出力することが可能であり、外部システムにおいて境界情報を利用・活用することが可能である。
【符号の説明】
【0113】
1,1’,1”,100,100’,100”… 管理システム
2 入出力装置
3,3’ 設計データベース
4 計測データベース
5 管理部材選択部
6 関連部材選択部
7 境界情報作成部
8 計測データ選択部
9 現状モデル作成部
10 境界情報選択部
11 隣接箇所比較部
12 境界面作成部
13 境界モデル作成部
14 関連部材確認部
15 管理箇所・部材確認部
20 比較結果データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29