(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 25/26 20060101AFI20230809BHJP
C04B 35/447 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
C01B25/26
C04B35/447
(21)【出願番号】P 2022009891
(22)【出願日】2022-01-26
【審査請求日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】202110314700.8
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521017642
【氏名又は名称】山東大学
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.17923, Jingshi Road, Lixia District Jinan, Shandong 250061, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】于法鵬
(72)【発明者】
【氏名】武広達
(72)【発明者】
【氏名】樊夢迪
(72)【発明者】
【氏名】陳廷威
(72)【発明者】
【氏名】程秀鳳
(72)【発明者】
【氏名】趙顕
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110067024(CN,A)
【文献】Journal of Alloys and Compounds,2019年12月25日,Vol.822,153550,DOI:10.1016/j.jallcom.2019.153550
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B
C04B
JSTPlus/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NdBa
3
P
3
O
12
、GdBa
3
P
3
O
12
、DyBa
3
P
3
O
12
、HoBa
3
P
3
O
12
、ErBa
3
P
3
O
12
のうちの1種類から選択される高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料であって、立方晶系-43m点群に属し、結晶構造は珪蒼鉛石構
造である
高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料。
【請求項2】
1:(4~8):(4~8)のモル比に従って、希土類酸化物、アルカリ土類金属含有化合物、P含有化合物を均一に混合し、マッフル炉に入れて1000℃~1100℃に加熱し、一定温度で4~6時間保持し、1回目の焼結を行い、予備焼結原料を得るステップ(1)と、 予備焼結原料を研磨して圧縮成形してマッフル炉に入れ、1300℃~1500℃に加熱し、2回目の焼結を行って純相材料を得るステップ(2)と、
純相材料に無水エタノールを添加し、湿式ボールミル粉砕法を使用して20~30時間ボールミル粉砕し、次に乾燥させ、研磨して、ふるいにかけた後にブランクに押し込むステップ(3)と、
ブランクをマッフル炉に入れ、1500℃~1700℃まで加熱し、空気雰囲気で高温反応を行い、反応が終了した後に炉内で冷却して、高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料を得るステップ(4)と、を含む請求項1に記載の高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料の製造方法。
【請求項3】
ステップ(1)において、希土類酸化物、アルカリ土類金属含有化合物、P含有化合物のモル比は1:6:6であることを特徴とする請求項
2に記載の製造方法。
【請求項4】
ステップ(1)において、希土類酸化物は、Y
2O
3、La
2O
3、Nd
2O
3、Sm
2O
3、Gd
2O
3、Dy
2O
3、Ho
2O
3、Er
2O
3又はYb
2O
3のうちの1種類、または任意の2種類または2種類以上の組み合わせであり、希土類酸化物の純度は99.99%以上であり、アルカリ土類金属含有化合物は、BaCO
3又はSrCO
3又はBaCO
3のうちの1種類、および2種類又は以上の組み合わせであり、P含有化合物はリン酸二水素アンモニウムであることを特徴とする請求項
2に記載の製造方法。
【請求項5】
ステップ(1)において、希土類酸化物、炭酸塩、リン酸二水素アンモニウムの粒度は50~100μm、1回目の焼結温度は1000℃、恒温時間は5時間、1回目の焼結加熱速度は8~12℃/minであることを特徴とする請求項
2に記載の製造方法。
【請求項6】
ステップ(2)において、2回目の焼結温度は1400℃、恒温時間は5時間、2回目の焼結の加熱速度は8~12℃/minであることを特徴とする請求項
2に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップ(3)において、無水エタノールの添加量と純相材料の質量比は1:(2~6)であり、ブランクに押し込む圧力は200~350MPaであることを特徴とする請求項
2に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップ(4)において、高温反応温度は1600~1700℃、加熱速度は1~3℃/min、高温反応時間は≧5時間であり、好ましくは、高温反応時間は8~20hであることを特徴とする請求項
2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料及びその製造方法に関するものであり、遮熱コーティングの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
高温合金部品を高温燃焼から保護するために、通常、エアロエンジンの高温合金部品の表面に遮熱コーティングが使用される。これにより、最新のエンジンはより高いガス温度で動作できるため、エネルギー変換効率が向上し、有害ガスの排出が削減される。最も表面の遮熱コーティングには、高融点、低熱伝導率、高温相安定性、焼結抵抗性などの優れた熱性能が必要である。同時に、一致する熱膨張係数なども必要である。
【0003】
遮熱コーティング材料には多くの種類があり、現在広く使用されている遮熱コーティング材料は主にイットリア安定化ジルコニア(YSZ)や希土類ジルコネート(RE2Zr2O7)等であるが、現在の遮熱コーティング材料にはすべて、ある程度の欠陥がある。具体的には、YSZは1200℃以上で高温相転移を起こし、熱伝導率が比較的高いが、希土類ジルコン酸塩は熱膨張係数が低く、熱サイクル中に大きな熱応力が発生し、応力集中により、コーティングにひび割れや剥離が発生する。したがって、新しい遮熱コーティング材料の開発は、次世代の高性能航空エンジンの開発にとって重要な問題となっている。
【0004】
中国特許文献CN110386595Aは、高エントロピー希土類リン酸粉末及びその製造方法を開示している。前記高エントロピー希土類リン酸塩粉末の化学式は、(La0.2Ce0.2Nd0.2Sm0.2Eu0.2)PO4、(La0.2Y0.2Nd0.2Sm0.2Eu0.2)PO4、(La0.2Y0.2Nd0.2Yb0.2Eu0.2)PO4又は(La0.2Ce0.2Y0.2Yb0.2Er0.2)PO4であり、Al2O3f/Al2O3複合材料の遮熱・環境バリアコーティング材料として使用でき、高温断熱材料としても使用できる。本発明によって提供される製造方法は、工程が簡単で、か焼温度が低いが、室温での該希土類リン酸粉末が比較的高い熱伝導率を有し、室温での熱伝導率が2.03~2.06W/m・Kである。熱膨張係数が低すぎて、わずかに8.5~9.0×10-6/℃(300~1300℃)である。
【0005】
中国特許文献CN112063959Aは、柱-層/ツリー複合構造遮熱コーティングを開示しており、これには、内部に位置する柱状構造層と外部に位置する層/ツリー複合構造層が含まれる。外部にある層/ツリー複合構造層には、複数のN層マイクロナノ複合層状構造が含まれる。2つの隣接するマイクロナノ複合層状構造層の間に1つのツリー構造層がある。ここで、Nは自然数であり、N≧2である。マイクロナノ複合層状構造は、ラメラユニットとランダムに分布した複数のナノクラスタースタックユニットで構成されている。柱状構造層の厚さは、柱-層/ツリー複合構造遮熱コーティングの総厚の40%~60%を占め、層/ツリー複合構造層の各層樹木構造の厚さは、柱状構造層の15%以下である。該遮熱コーティングは構造が複雑で実装が容易ではなく、特定の性能には関与するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】中国特許文献CN110386595A
【文献】中国特許文献CN112063959A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の欠陥に対して、本発明は、高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、高温固相反応法を使用して、珪蒼鉛石構造を有するReM3P3O12シリーズセラミックを初めて調製する。該ReM3P3O12セラミックは、立方晶系-43m点群に属する。融点が高く、高温相安定性に優れているだけでなく、熱伝導率が低く、適切な熱膨張係数を備えているため、基材とセラミック層の熱膨張係数の不一致による応力を効果的に緩和することができ、それにより長期使用の場合のホットエンド部品の断熱と高温酸化腐食耐性のニーズを満たし、遮熱コーティングの分野での応用の見通しがある。
【0009】
発明の詳細な説明
高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料であって、その一般的な化学式はReM3P3O12であり、立方晶系-43m点群に属し、結晶構造は珪蒼鉛石構造である。ここで、Reは希土類元素、Mはアルカリ土類金属である。
【0010】
本発明によれば、好ましくは、Reは、Y、La、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、ErまたはYbのうちの1種類、または任意の2種類または2種類以上の組み合わせである。
【0011】
本発明によれば、好ましくは、Mは、Sr、Ca又はBaのうちの1種類、または任意の2種類または2種類以上の組み合わせである。
【0012】
好ましくは、前記高熱膨張係数希土類リン酸塩遮熱コーティング材料ReM3P3O12は、
NdBa3P3O12、GdBa3P3O12、DyBa3P3O12、HoBa3P3O12、ErBa3P3O12のうちの1種類から選択される。
【0013】
本発明はまた、高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料の製造方法を提供する。
【0014】
高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料の製造方法は、
1:(4~8):(4~8)のモル比に従って、希土類酸化物、アルカリ土類金属含有化合物、P含有化合物を均一に混合し、マッフル炉に入れて1000℃~1100℃に加熱し、一定温度で4~6時間保持し、1回目の焼結を行い、予備焼結原料を得るステップ(1)と、
予備焼結原料を研磨して圧縮成形してマッフル炉に入れ、1300℃~1500℃に加熱し、2回目の焼結を行って純相材料を得るステップ(2)と、
純相材料に無水エタノールを添加し、湿式ボールミル粉砕法を使用して20~30時間ボールミル粉砕し、次に乾燥させ、研磨して、ふるいにかけた後にブランクに押し込むステップ(3)と、
ブランクをマッフル炉に入れ、1500℃~1700℃まで加熱し、空気雰囲気で高温反応を行い、反応が終了した後に炉内で冷却して、高熱膨張係数オルトリン酸塩遮熱コーティング材料を得るステップ(4)と、を含む。
【0015】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(1)において、希土類酸化物、アルカリ土類金属含有化合物およびP含有化合物のモル比は、1:6:6である。
【0016】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(1)において、希土類酸化物は、Y2O3、La2O3、Nd2O3、Sm2O3、Gd2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3又はYb2O3のうちの1種類または任意の2種類、または2種類以上の組み合わせである。
【0017】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(1)において、希土類酸化物の純度は99.99%以上である。
【0018】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(1)において、アルカリ土類金属含有化合物は、BaCO3又はSrCO3又はBaCO3のうちの1種類、および2種類又は以上の組み合わせである。
【0019】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(1)において、P含有化合物はリン酸二水素アンモニウムである。
【0020】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(1)において、希土類酸化物、炭酸塩、リン酸二水素アンモニウムの粒度は50~100μmである。
【0021】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(1)において、1回目の焼結の温度は1000℃で、恒温時間は5時間である。原材料中のCO2、NH3及びH2Oを除去する。
【0022】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(1)において、1回目の焼結の加熱速度は8~12℃/minである。
【0023】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(2)において、2回目の焼結の温度は1400℃、恒温時間は5時間である。
【0024】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(2)において、2回目の焼結の加熱速度は8~12℃/minである。
【0025】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(3)において、無水エタノールの添加量と純相材料の質量比は1:(2~6)である。
【0026】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(3)において、ブランクに押し込む圧力は200~350MPaである。
【0027】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(4)において、高温反応温度は1600~1700℃、加熱速度は1~3℃/minである。
【0028】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(4)において、高温反応時間は≧5時間である。
【0029】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(4)において、高温反応時間は8~20hである。
【発明の効果】
【0030】
本発明の技術的特徴及び利点は以下のとおりである。
【0031】
本発明のオルトリン酸塩ReM3P3O12材料の内部は、YSZよりも多くの空孔とより複雑な単位胞構造を持ち、また、質量の大きい希土類原子を含んでいるため、フォノンの散乱が大幅に増加するため、材料の熱伝導率はYSZの熱伝導率よりも低くなる。また、このタイプの材料は熱膨張係数が高いため、基材とセラミック層の熱膨張係数の不一致による応力を効果的に緩和することができ、同時に、本発明のオルトリン酸塩材料は、YSZよりも優れた高温安定性および優れた化学的安定性を有する。したがって、本発明のオルトリン酸塩材料は、重要な用途の見通しを有する新しいタイプの遮熱コーティング材料である。
【0032】
本発明で製造したReM3P3O12材料は、熱伝導率が低く(0.77W/m・K~0.95W/m・K @ 25℃)、硬度が7GPa~11GPa、熱膨張係数が高い(18×10-6~22×10-6/℃、1000℃)、優れた化学的および熱的安定性を備えているため、遮熱コーティングの潜在的な候補材料である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施例1~5のReM
3P
3O
12遮熱コーティング材料のXRD相図である。
【
図2】実施例1~5のReM
3P
3O
12遮熱コーティング材料の硬度マップである。
【
図3】実施例1~5のReM
3P
3O
12遮熱コーティング材料の弾性率マップである。
【
図4】実施例1~5のReM
3P
3O
12遮熱コーティング材料のTG-DTA曲線である。図aはNdBP材料、図bはGdBP材料、図cはDyBP材料、図dはHoBP材料、図eはErBP材料である。
【
図5】実施例1~5のReM3P3O12遮熱コーティング材料の温度による熱膨張係数の変化曲線である。
【
図6】実施例1~5のReM3P3O12材料の温度による熱伝導率の変化曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下で実施例および図面を参照しながら本発明を、さらに説明するが、これに限定されない。
【0035】
実施例1
酸化ネオジム、炭酸バリウム、リン酸二水素アンモニウムを原料としてNdBa3P3O12材料を調製するステップは、
Nd2O3、BaCO3及びNH4H2PO4を原料として、モル比1:6:6で混合したステップ(1)と、
ステップ(1)で調製した原料を均一に混合した後、アルミナるつぼ内に入れ、マッフル炉内に入れて1回目の焼結を行い、焼結温度は1000±50℃、温度を5時間一定に保って原料中のCO2、NH3及びH2Oを除去して予備焼結原料を得たステップ(2)と、
ステップ(2)における予備焼結原料を研磨し、棒状に押し込み、マッフル炉に入れて、1400℃の焼結温度で2回目の焼結を行い、純相材料を得たステップ(3)と、
純相材料に無水エタノールを添加し、48時間ボールミル粉砕して、無水エタノールの添加量と純相材料の質量比は1:3で、次に乾燥させたステップ(4)と、
ステップ(4)における粉末を十分に研磨し、ふるいにかけ(200メッシュ)、300MPa下でブランクに押し込んだステップ(5)と、
ブランクをマッフル炉に入れ、1600℃まで加熱し、空気雰囲気で高温反応を行い、反応時間は10時間で、そして炉内で冷却したステップ(6)と、
冷却後、反応物を取り出し、化学式NdBa3P3O12(略称:NdBP)の材料を得たステップ(7)と、を含む。
【0036】
得られた製品の室温熱伝導率は0.95W/m・K、熱膨張係数は21.6×10-6/℃、1000℃)、硬度は7.4GPa、弾性率は90GPaである。
【0037】
実施例2
酸化ガドリニウム、炭酸バリウム、リン酸二水素アンモニウムを原料としてGdBa3P3O12材料を調製するステップは、
Gd2O3、BaCO3及びNH4H2PO4を原料として、モル比1:6:6で混合したステップ(1)と、
ステップ(1)で調製した原料を均一に混合した後、アルミナるつぼ内に入れ、マッフル炉内に入れて1回目の焼結を行い、焼結温度は1000±50℃、温度を5時間一定に保って原料中のCO2、NH3及びH2Oを除去して予備焼結原料を得たステップ(2)と、
ステップ(2)における予備焼結原料を研磨し、棒状に押し込み、マッフル炉に入れて、1400℃の焼結温度で2回目の焼結を行い、純相材料を得たステップ(3)と、
純相材料に無水エタノールを添加し、48時間ボールミル粉砕して、無水エタノールの添加量と純相材料の質量比は1:3で、次に乾燥させたステップ(4)と、
ステップ(4)における粉末を十分に研磨し、ふるいにかけ(200メッシュ)、300MPa下でブランクに押し込んだステップ(5)と、
ブランクをマッフル炉に入れ、1600℃まで加熱し、空気雰囲気で高温反応を行い、反応時間は10時間で、そして炉内で冷却したステップ(6)と、
冷却後、反応物を取り出し、化学式GdBa3P3O12(略称:GdBP)の材料を得たステップ(7)と、を含む。
【0038】
得られた製品の室温熱伝導率は0.78W/m・K、熱膨張係数は20.5×10-6/℃、1000℃)、硬度は7.7GPa、弾性率は105GPaである。
【0039】
実施例3
酸化ディスプロシウム、炭酸バリウム、リン酸二水素アンモニウムを原料としてDyBa3P3O12材料を調製するステップは、
Dy2O3、BaCO3及びNH4H2PO4を原料として、モル比1:6:6で混合したステップ(1)と、
ステップ(1)で調製した原料を均一に混合した後、アルミナるつぼ内に入れ、マッフル炉内に入れて1回目の焼結を行い、焼結温度は1000±50℃、温度を5時間一定に保って原料中のCO2、NH3及びH2Oを除去して予備焼結原料を得たステップ(2)と、
ステップ(2)における予備焼結原料を研磨し、棒状に押し込み、マッフル炉に入れて、1400℃の焼結温度で2回目の焼結を行い、純相材料を得たステップ(3)と、
純相材料に無水エタノールを添加し、48時間ボールミル粉砕して、無水エタノールの添加量と純相材料の質量比は1:3で、次に乾燥させたステップ(4)と、
ステップ(4)における粉末を十分に研磨し、ふるいにかけ(200メッシュ)、300MPa下でブランクに押し込んだステップ(5)と、
ブランクをマッフル炉に入れ、1600℃まで加熱し、空気雰囲気で高温反応を行い、反応時間は10時間で、そして炉内で冷却したステップ(6)と、
冷却後、反応物を取り出し、化学式DyBa3P3O12(略称:DyBP)の材料を得たステップ(7)と、を含む。
【0040】
得られた製品の室温熱伝導率は0.83W/m・K、熱膨張係数は19.8×10-6/℃、1000℃)、硬度は8.2GPa、弾性率は100GPaである。
【0041】
実施例4
酸化ホルミウム、炭酸バリウム、リン酸二水素アンモニウムを原料としてHoBa3P3O12材料を調製するステップは、
Ho2O3、BaCO3及びNH4H2PO4を原料として、モル比1:6:6で混合したステップ(1)と、
ステップ(1)で調製した原料を均一に混合した後、アルミナるつぼ内に入れ、マッフル炉内に入れて1回目の焼結を行い、焼結温度は1000±50℃、温度を5時間一定に保って原料中のCO2、NH3及びH2Oを除去して予備焼結原料を得たステップ(2)と、
ステップ(2)における予備焼結原料を研磨し、棒状に押し込み、マッフル炉に入れて、1400℃の焼結温度で2回目の焼結を行い、純相材料を得たステップ(3)と、
純相材料に無水エタノールを添加し、48時間ボールミル粉砕して、無水エタノールの添加量と純相材料の質量比は1:3で、次に乾燥させたステップ(4)と、
ステップ(4)における粉末を十分に研磨し、ふるいにかけ(200メッシュ)、300MPa下でブランクに押し込んだステップ(5)と、
ブランクをマッフル炉に入れ、1600℃まで加熱し、空気雰囲気で高温反応を行い、反応時間は10時間で、そして炉内で冷却したステップ(6)と、
冷却後、反応物を取り出し、化学式HoBa3P3O12(略称:HoBP)の材料を得たステップ(7)と、を含む。
【0042】
得られた製品の室温熱伝導率は0.87W/m・K、熱膨張係数は19.2×10-6/℃、1000℃)、硬度は10.6GPa、弾性率は111GPaである。
【0043】
実施例5
酸化エルビウム、炭酸バリウム、リン酸二水素アンモニウムを原料としてErBa3P3O12材料を調製するステップは、
Er2O3、BaCO3及びNH4H2PO4を原料として、モル比1:6:6で混合したステップ(1)と、
ステップ(1)で調製した原料を均一に混合した後、アルミナるつぼ内に入れ、マッフル炉内に入れて1回目の焼結を行い、焼結温度は1000±50℃、温度を5時間一定に保って原料中のCO2、NH3及びH2Oを除去して予備焼結原料を得たステップ(2)と、
ステップ(2)における予備焼結原料を研磨し、棒状に押し込み、マッフル炉に入れて、1400℃の焼結温度で2回目の焼結を行い、純相材料を得たステップ(3)と、
純相材料に無水エタノールを添加し、48時間ボールミル粉砕して、無水エタノールの添加量と純相材料の質量比は1:3で、次に乾燥させたステップ(4)と、
ステップ(4)における粉末を十分に研磨し、ふるいにかけ(200メッシュ)、300MPa下でブランクに押し込んだステップ(5)と、
ブランクをマッフル炉に入れ、1600℃まで加熱し、空気雰囲気で高温反応を行い、反応時間は10時間で、そして炉内で冷却したステップ(6)と、
冷却後、反応物を取り出し、化学式ErBa3P3O12(略称:ErBP)の材料を得たステップ(7)と、を含む。
【0044】
得られた製品の室温熱伝導率は0.77W/m・K、熱膨張係数は18.2×10-6/℃、1000℃)、硬度は9.3GPa、弾性率は107GPaである。
【0045】
実験例:
1、実施例1~5のReM
3P
3O
12遮熱コーティング材料に対してXRD試験を実行し、試験結果を
図1に示す。
2、実施例1~5のReBa
3P
3O
12遮熱コーティング材料の硬度を
図2に、弾性率を
図3に、TG-DTA曲線を
図4に、熱膨張係数を
図5に、熱伝導率を
図6に示す。