(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】中継コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
H04L25/02 F
(21)【出願番号】P 2018226751
(22)【出願日】2018-12-03
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】若原 恭佑
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-261787(JP,A)
【文献】特開平01-259647(JP,A)
【文献】特開平03-053633(JP,A)
【文献】米国特許第05299956(US,A)
【文献】橋本 和則,Windowsネットワーク 上級リファレンス 初版,第1版,株式会社翔泳社 佐々木 幹夫,2016年09月16日,p.258
【文献】久保 幸雄,ネットワークなんでも実験室,日経NETWORK 3月号(第227号),2019年02月28日,p.64-69
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ送信側信号線と受信側信号線とを含む第1の信号線群と、第2の信号線群との間を中継する中継コネクタ装置であって、
前記送信側信号線は、送信側正極信号線と送信側負極信号線とを含み、前記受信側信号線は、受信側正極信号線と受信側負極信号線とを含み、
前記第1の信号線群の送信側負極信号線と、前記第2の信号線群の受信側負極信号線とを接続したまま、前記第1の信号線群の送信側正極信号線を、前記第2の信号線群の受信側正極信号線に接続する第1側導通位置と、前記第2の信号線群の前記受信側正極信号線との間の接続を切断して、前記第1の信号線群の送信側負極信号線及び第2の信号線群の受信側負極信号線に、抵抗を介して接続して終端させる第1側終端位置との間で切り替えるとともに、前記第2の信号線群の送信側負極信号線と、前記第1の信号線群の受信側負極信号線とを接続したまま、前記第2の信号線群の前記送信側正極信号線を、前記第1の信号線群の受信側正極信号線に接続する第2側導通位置と、前記第1の信号線群の受信側正極信号線との接続を切断して、前記第2の信号線群の送信側負極信号線及び第
1の信号線群の受信側負極信号線に、抵抗を介して接続して終端させる第2側終端位置との間で切り替えるスイッチ部を有する中継コネクタ装置。
【請求項2】
それぞれ送信側信号線と受信側信号線とを含む第1の信号線群と、第2の信号線群との間を中継する中継コネクタ装置であって、
前記送信側信号線は、送信側正極信号線と送信側負極信号線とを含み、前記受信側信号線は、受信側正極信号線と受信側負極信号線とを含み、
前記第1の信号線群の送信側正極信号線と、前記第2の信号線群の受信側正極信号線とを接続したまま、前記第1の信号線群の送信側負極信号線を、前記第2の信号線群の受信側負極信号線に接続する第1側導通位置と、前記第2の信号線群の前記受信側負極信号線との間の接続を切断して、前記第1の信号線群の送信側正極信号線及び第2の信号線群の受信側正極信号線に、抵抗を介して接続して終端させる第1側終端位置との間で切り替えるとともに、前記第2の信号線群の送信側正極信号線と、前記第1の信号線群の受信側正極信号線とを接続したまま、前記第2の信号線群の前記送信側負極信号線を、前記第1の信号線群の受信側負極信号線に接続する第2側導通位置と、前記第1の信号線群の受信側負極信号線との接続を切断して、前記第2の信号線群の送信側正極信号線及び第
1の信号線群の受信側正極信号線に、抵抗を介して接続して終端させる第2側終端位置との間で切り替えるスイッチ部を有する中継コネクタ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の中継コネクタ装置であって、
前記スイッチ部は、第1の信号線群の前記送信側信号線を終端させるための配線部分を、第2の信号線群の前記受信側信号線の配線部分に対して、それぞれの仮想的な延長線が互いに直交ないし斜交するように配してなる中継コネクタ装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の中継コネクタ装置であって、
前記スイッチ部は、第2の信号線群の前記送信側信号線を終端させるための配線を、第1の信号線群の前記受信側信号線の配線に対して、それぞれの仮想的な延長線が互いに直交ないし斜交するように配してなる中継コネクタ装置。
【請求項5】
それぞれ送信側信号線と受信側信号線とを含む第1の信号線群と、第2の信号線群との間を中継する中継コネクタ装置であって、
前記第1の信号線群の前記送信側信号線を、前記第2の信号線群の前記受信側信号線に接続する第1側導通位置と、終端させる第1側終端位置との間で切り替えるとともに、前記第2の信号線群の前記送信側信号線を、前記第1の信号線群の受信側信号線に接続する第2側導通位置と、終端させる第2側終端位置との間で切り替えるスイッチ部を有し、
前記スイッチ部は、第1の信号線群の前記送信側信号線を終端させるための配線部分を、第2の信号線群の前記受信側信号線の配線部分に対して、それぞれの仮想的な延長線が互いに直交ないし斜交するように配してなる中継コネクタ装置。
【請求項6】
それぞれ送信側信号線と受信側信号線とを含む第1の信号線群と、第2の信号線群との間を中継する中継コネクタ装置であって、
前記第1の信号線群の前記送信側信号線を、前記第2の信号線群の前記受信側信号線に接続する第1側導通位置と、終端させる第1側終端位置との間で切り替えるとともに、前記第2の信号線群の前記送信側信号線を、前記第1の信号線群の受信側信号線に接続する第2側導通位置と、終端させる第2側終端位置との間で切り替えるスイッチ部を有し、
前記スイッチ部は、第2の信号線群の前記送信側信号線を終端させるための配線を、第1の信号線群の前記受信側信号線の配線に対して、それぞれの仮想的な延長線が互いに直交ないし斜交するように配してなる中継コネクタ装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の中継コネクタ装置であって、
前記スイッチ部は、送信側信号線が第1側導通位置にあるときには受信側信号線も第2側導通位置に位置させ、送信側信号線が第1側終端位置にあるときには受信側信号線も第2側終端位置に位置させるよう制御する中継コネクタ装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の中継コネクタ装置であって、
前記第1の信号線群または第2の信号線群の少なくとも一方に含まれる各信号線は、信号線群に対応して設けられたプラグまたは信号線群に対応して中継コネクタ装置に設けられたレセプタクル内の対応する信号線に接続されてなる中継コネクタ装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の中継コネクタ装置であって、
前記第1の信号線群に含まれる各信号線は、当該第1の信号線群に対応して設けられたプラグ、または当該第1の信号線群に対応して中継コネクタ装置に設けられたレセプタクル内の対応する信号線に接続され、
前記第2の信号線群に含まれる各信号線は、当該第2の信号線群に対応して設けられたプラグ、または当該第2の信号線群に対応して中継コネクタ装置に設けられたレセプタクル内の対応する信号線に接続されてなる中継コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LANケーブルを延長する中継コネクタ装置が知られている。また、リレーを備えて、予め定めた遮断時間になるとリレースイッチがリレーを遮断してLANケーブルコネクタ間の導通を遮断する中継器が特許文献1に開示されている。
【0003】
また、スイッチにより一対のLANケーブルの信号線を接続、切断する機能を有した中継コネクタ装置がある(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】製品情報、[online]、[平成30年11月1日検索]、インターネット<URL: http://www2.elecom.co.jp/products/LD-DATABLOCK01.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の中継コネクタ装置では、リレーやスイッチによって信号線を接続するか、開放するかを切り替えてLANケーブルコネクタ間の導通・遮断を制御しているため、信号線を遮断した状態であっても電磁的な結合によって通信が維持されてしまう場合があった。特に比較的高感度なネットワークインタフェースに接続された場合には、通信の遮断が確実にはできないという問題点があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、接続した状態と遮断した状態とを切り替え可能な中継コネクタ装置であって、遮断した状態では信号をより確実に遮断できる中継コネクタ装置を提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、送信側信号線と受信側信号線とそれぞれを含む第1の信号線群と、第2の信号線群との間を中継する中継コネクタ装置であって、前記第1の信号線群の前記送信側信号線を、前記第2の信号線群の前記受信側信号線に接続する第1側導通位置と、終端させる第1側終端位置との間で切り替えるとともに、前記第2の信号線群の前記送信側信号線を、前記第1の信号線群の受信側信号線に接続する第2側導通位置と、終端させる第2側終端位置との間で切り替えるスイッチ部を有することとしたものである。このように遮断した状態では、信号線を終端させることで信号を確実に遮断できる。
【0009】
また、前記送信側信号線は、送信側正極信号線と送信側負極信号線とを含み、前記受信側信号線は、受信側正極信号線と受信側負極信号線とを含み、前記スイッチ部は、前記第1側終端位置にあるときには、当該第1の信号線群の前記送信側正極信号線または送信側負極信号線の一方を、グランド、あるいは、第1の信号線群の前記送信側正極信号線または送信側負極信号線の他方、のいずれかに接続し、前記第2側終端位置にあるときには、前記第2の信号線群の前記送信側正極信号線または送信側負極信号線の一方を、グランド、あるいは、当該第2の信号線群の前記送信側正極信号線または送信側負極信号線の他方、のいずれかに接続することとしてもよい。このような終端方法により、信号を確実に遮断できる。
【0010】
さらに前記送信側信号線は、送信側正極信号線と送信側負極信号線とを含み、前記受信側信号線は、受信側正極信号線と受信側負極信号線とを含み、前記スイッチ部は、前記第1側終端位置にあるときには、当該第1の信号線群の前記送信側正極信号線または送信側負極信号線の一方を、グランド、あるいは、第1の信号線群の前記送信側正極信号線または送信側負極信号線の他方、のいずれかに抵抗を介して接続し、前記第2側終端位置にあるときには、前記第2の信号線群の前記送信側正極信号線または送信側負極信号線の一方を、グランド、あるいは、当該第2の信号線群の前記送信側正極信号線または送信側負極信号線の他方、のいずれかに抵抗を介して接続することとしてもよい。このような終端方法によっても、信号を確実に遮断できる。
【0011】
また前記スイッチ部は、送信側信号線が第1側導通位置にあるときには受信側信号線も第2側導通位置に位置させ、送信側信号線が第1側終端位置にあるときには受信側信号線も第2側終端位置に位置させるよう制御してもよい。
【0012】
ここで前記スイッチ部は、第1の信号線群の前記送信側信号線を終端させるための配線部分を、第2の信号線群の前記受信側信号線の配線部分に対して、それぞれの仮想的な延長線が互いに斜交するように配されていてもよい。このようにしたことで電磁的な結合が避けられ、信号をより確実に遮断できる
【0013】
前記スイッチ部は、第2の信号線群の前記送信側信号線を終端させるための配線を、第1の信号線群の前記受信側信号線の配線に対して、それぞれの仮想的な延長線が互いに斜交するように配されていてもよい。このようにしたことで電磁的な結合が避けられ、信号をより確実に遮断できる
【0014】
また前記第1の信号線群または第2の信号線群の少なくとも一方に含まれる各信号線は、信号線群に対応して設けられたプラグまたは信号線群に対応して中継コネクタ装置に設けられたレセプタクル内の対応する信号線に接続されていてもよい。
【0015】
さらに、前記第1の信号線群に含まれる各信号線は、当該第1の信号線群に対応して設けられたプラグ、または当該第1の信号線群に対応して中継コネクタ装置に設けられたレセプタクル内の対応する信号線に接続され、前記第2の信号線群に含まれる各信号線は、当該第2の信号線群に対応して設けられたプラグ、または当該第2の信号線群に対応して中継コネクタ装置に設けられたレセプタクル内の対応する信号線に接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、遮断した状態では、信号を確実に遮断できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る中継コネクタ装置の構成例を表す概略回路図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る中継コネクタ装置の具体的構成例を表す説明図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る中継コネクタ装置の回路配線の具体的実装例を表す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る中継コネクタ装置1は、
図1に例示するように、第1の信号線群11と、第2の信号線群12との間を中継するものであり、スイッチ部21と、終端回路22とを含んで構成される。
【0019】
第1,第2の信号線群11,12は、例えばイーサネット(登録商標)で利用されるツイストペアケーブルに含まれる信号線群であり、外部の装置にプラグやレセプタクルなどのコネクタを介して接続されている。これら第1,第2の信号線群11,12は、それぞれ送信側信号線11TX,12TXと、受信側信号線11RX,12RXとを含む。また送信側信号線及び受信側信号線11TX,12TX,11RX,12RXのそれぞれは、正極側と負極側の信号線を含む。以下では、送信側信号線11TX等の正極側の信号線を送信側正極信号線11TX+などと呼び、送信側信号線11TX等の負極側の信号線を送信側負極信号線11TX-などと呼ぶ。
【0020】
終端回路22は、本実施の形態の一例では、第1の終端回路22aと、第2の終端回路22bとを含む。これら第1,第2の終端回路22を区別する必要がない場合は、以下では、単に終端回路22と称する。
【0021】
スイッチ部21は、送信側信号線11TX上に配された第1接点211と、受信側信号線12RXに配された第2接点212と、第1の終端回路22aに接続される第3接点213とを含む。またこのスイッチ部21は、送信側信号線12TX上に配された第1接点221と、受信側信号線11RXに配された第2接点222と、第2の終端回路22bに接続される第3接点223とを含む。
【0022】
本実施の形態では、スイッチ部21は、第1接点211と第2接点212とを接続する第1側導通位置と、第1接点211と第3接点213とを接続する第1側終端位置との間で切り替え可能な第1のスイッチ回路210aを備える。またこのスイッチ部21は、第1接点221と第2接点222とを接続する第2側導通位置と、第1接点221と第3接点223とを接続する第2側終端位置との間で切り替え可能な第2のスイッチ回路210bを備える。
【0023】
本実施の形態の一例では、
図1に例示したように、第1のスイッチ回路210aの第1接点211は送信側正極信号線11TX+上に配され、第2接点212は受信側正極信号線12RX+上に配される。また第2のスイッチ回路210bの第1接点221は、送信側正極信号線12TX+上に配され、第2接点222は受信側正極信号線11RX+上に配される。
【0024】
また送信側負極信号線11TX-は、そのまま受信側負極信号線12RX-に接続され、送信側負極信号線12TX-は、そのまま受信側負極信号線11RX-に接続される。
【0025】
ここで第1,第2のスイッチ回路210は連動していてもよい。すなわち、第1のスイッチ回路210aが第1側導通位置にあるときには、第2のスイッチ回路210bも第2側導通位置に位置し、第1のスイッチ回路210aが第1側終端位置にあるときには、第2のスイッチ回路210bも第1側終端位置に位置するよう、互いに連動して制御されてもよい。このようなスイッチ回路は、2回路2接点のスイッチとして広く知られているので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0026】
終端回路22は、終端抵抗Rを備え、入力端子に入力された信号を終端(ターミネート)する。本実施の形態の
図1に示した例では、第1の終端回路22aは、第1のスイッチ回路210aの第3接点213を入力端子として、この入力端子と送信側負極信号線11TX-との間に直列に終端抵抗Rを接続したものとなっている。
【0027】
また第2の終端回路22bは、第2のスイッチ回路210bの第3接点223を入力端子として、この入力端子と送信側負極信号線12TX-との間に直列に終端抵抗Rを接続したものとなっている。
【0028】
本実施の形態の一例は以上の構成を備えており、次のように動作する。以下の説明では、第1,第2の信号線群11,12がそれぞれ第1、第2の外部機器に接続され、第1の信号線群11と第2の信号線群12との間の通信を中継・遮断するものとする。
【0029】
ここで第1の外部機器はMDI(Medium Dependent Interface)を備え、第2の外部機器はMDI-X(Medium Dependent Interface Crossover)を備えるものとする。つまり、送信側正極信号線11TX+は、第1の外部機器に対して送信側正極信号線として(第1の外部機器のレセプタクルの1番ピンに)接続され、受信側正極信号線12RX+は、第2の外部機器に対して受信側正極信号線として(第2の外部機器のレセプタクルの1番ピンに)接続される。
【0030】
また送信側負極信号線11TX-は、第1の外部機器に対して送信側負極信号線として(第1の外部機器のレセプタクルの2番ピンに)接続され、受信側負極信号線12RX-は、第2の外部機器に対して受信側負極信号線として(第2の外部機器のレセプタクルの2番ピンに)接続される。
【0031】
そして受信側正極信号線11RX+は、第1の外部機器に対して受信側正極信号線として(第1の外部機器のレセプタクルの3番ピンに)接続され、受信側負極信号線11RX-は、第1の外部機器に対して受信側負極信号線として(第1の外部機器のレセプタクルの6番ピンに)接続され、送信側正極信号線12TX+は、第2の外部機器に対して送信側正極信号線として(第2の外部機器のレセプタクルの3番ピンに)接続され、送信側負極信号線12TX-は、第2の外部機器に対して送信側負極信号線として(第2の外部機器のレセプタクルの6番ピンに)接続される。
【0032】
まず、中継動作をさせる際には、ユーザはスイッチ部21を操作して、第1側導通位置及び第2側導通位置に設定する。このときスイッチ部21は、送信側正極信号線11TX+上に配された第1接点211と、受信側正極信号線12RX+に配された第2接点212とを接続する。またスイッチ部21は、送信側正極信号線12TX+上に配された第1接点221と、受信側正極信号線11RX+に配された第2接点222とを接続する。
【0033】
なお、送信側負極信号線11TX-は、そのまま受信側負極信号線12RX-に接続され、送信側負極信号線12TX-は、そのまま受信側負極信号線11RX-に接続される。
【0034】
このようにスイッチ部21が接続されると、送信側信号線11TXは正極、負極はそれぞれ、対応する受信側信号線12RXの正極、負極に接続されることとなり、送信側信号線12TXは正極、負極はそれぞれ、対応する受信側信号線11RXの正極、負極に接続されることとなる。つまり本実施の形態の中継コネクタ装置1を介して接続される信号線により、第1の外部機器と第2の外部機器とがいわゆるストレートケーブルにより接続された状態となって、第1、第2の外部機器間の通信が可能となる。
【0035】
もっとも、例えば第2の外部機器がMDI-XではなくMDIを備える場合は、受信側正極信号線12RX+は、第2の外部機器に対して受信側正極信号線として(第2の外部機器のレセプタクルの3番ピンに)接続され、受信側負極信号線12RX-は、第2の外部機器に対して受信側負極信号線として(第2の外部機器のレセプタクルの6番ピンに)接続されることとなる。またこの場合は、送信側正極信号線12TX+は、第2の外部機器に対して送信側正極信号線として(第2の外部機器のレセプタクルの1番ピンに)接続され、送信側負極信号線12TX-は、第2の外部機器に対して送信側負極信号線として(第2の外部機器のレセプタクルの2番ピンに)接続される。つまりこの場合は、第1の外部機器と第2の外部機器とがいわゆるクロスケーブルにより接続された状態となって、この場合も第1、第2の外部機器間の通信が可能となる。
【0036】
一方、通信を遮断させる場合は、ユーザはスイッチ部21を操作して、第1側終端位置及び第2側終端位置に設定する。このときスイッチ部21は、送信側正極信号線11TX+上に配された第1接点211と、第1の終端回路22aの入力端子である第3接点213とを接続する。またスイッチ部21は、送信側正極信号線12TX+上に配された第1接点221と、第2の終端回路22bの入力端子である第3接点223とを接続する。
【0037】
このようにすると送信側正極信号線11TX+が第1の終端回路22aの終端抵抗Rを介して送信側負極信号線11TX-に接続された状態となり、送信側正極信号線12TX+は、第2の終端回路22bの終端抵抗Rを介して送信側負極信号線12TX-に接続された状態となる。受信側正極信号線11RX+、及び受信側正極信号線12RX+は開放の状態となる。
【0038】
従って送信側正極信号線11TX+,12TX+の、本来接続されるべき受信側正極信号線12RX+,11RX+に近接している部分(スイッチ部21内部及びその近傍)における信号は、対応する負極信号線11TX-、12TX-により終端(ターミネート)され、十分減衰した状態となるので、これらの間で電磁的結合により信号が授受されてしまうことがなくなる。
【0039】
これにより、遮断した状態では第1の外部機器と第2の外部機器との間で送受されるべき信号を確実に遮断できる。
【0040】
[他の接続例]
またここまでの説明では、第1のスイッチ回路210aの第1接点211は送信側正極信号線11TX+上に配され、第2接点212は受信側正極信号線12RX+上に配されるものとし、また第2のスイッチ回路210bの第1接点221は、送信側正極信号線12TX+上に配され、第2接点222は受信側正極信号線11RX+上に配されるものとしたが、本実施の形態はこの接続例に限られない。
【0041】
例えば第1のスイッチ回路210aの第1接点211は送信側負極信号線11TX-上に配され、第2接点212は受信側負極信号線12RX-上に配されてもよい。この場合、第1の終端回路22aは、入力端子としての第3接点213を、終端抵抗Rを介して送信側正極信号線11TX+に接続する。
【0042】
同様に、第2のスイッチ回路210bの第1接点221は、送信側負極信号線12TX-上に配され、第2接点222は受信側負極信号線11RX-上に配されてもよい。この場合、第2の終端回路22bは、入力端子としての第3接点223を、終端抵抗Rを介して送信側正極信号線12TX+に接続する。
【0043】
つまり、本実施の形態の一例では、スイッチ部21が、第1側終端位置にあるときには、当該第1の信号線群の送信側正極信号線または送信側負極信号線の一方を、第1の信号線群の送信側正極信号線または送信側負極信号線の他方に終端抵抗を介して接続する。
【0044】
またスイッチ部21が第2側終端位置にあるときには、第2の信号線群の送信側正極信号線または送信側負極信号線の一方を、当該第2の信号線群の送信側正極信号線または送信側負極信号線の他方に終端抵抗を介して接続する。
【0045】
さらに第1のスイッチ回路210aの第1接点211は受信側正極信号線11RX+上に配され、第2接点212が送信側正極信号線12RX+上に配されてもよい。この場合、第1の終端回路22aは、入力端子としての第3接点213を、終端抵抗Rを介して受信側負極信号線11RX-に接続する。
【0046】
同様に、第2のスイッチ回路210bの第1接点221は、受信側正極信号線12RX+上に配され、第2接点222が送信側正極信号線11TX+上に配されてもよい。この場合、第2の終端回路22bは、入力端子としての第3接点223を、終端抵抗Rを介して受信側負極信号線12RX-に接続する。
【0047】
またさらに別の例では、第1のスイッチ回路210aの第1接点211が受信側負極信号線11RX-上に配され、第2接点212が送信側負極信号線12RX-上に配されてもよい。この場合、第1の終端回路22aは、入力端子としての第3接点213を、終端抵抗Rを介して受信側正極信号線11RX+に接続する。
【0048】
同様に、第2のスイッチ回路210bの第1接点221は、受信側負極信号線12RX-上に配され、第2接点222が送信側負極信号線11TX-上に配されてもよい。この場合、第2の終端回路22bは、入力端子としての第3接点223を、終端抵抗Rを介して受信側正極信号線12RX+に接続する。
【0049】
さらに、第1のスイッチ回路210aの第1接点211が受信側正極信号線11RX+上に配され、第2接点212が送信側正極信号線12TX+上に配されてもよい。この場合、第1の終端回路22aは、入力端子としての第3接点213を、終端抵抗Rを介して受信側負極信号線11RX-に接続する。
【0050】
同様に、第2のスイッチ回路210bの第1接点221は、受信側正極信号線12RX+上に配され、第2接点222が送信側正極信号線11TX+上に配されてもよい。この場合、第2の終端回路22bは、入力端子としての第3接点223を、終端抵抗Rを介して受信側負極信号線12RX-に接続する。
【0051】
[グランドへの接続]
またここまでの説明では、終端回路22は、入力端子を終端抵抗Rを介して、入力端子に接続された信号線に対応する、極性(正極,負極の別)の異なる信号線に接続していたが、本実施の形態はこれに限られない。
【0052】
本実施の形態の別の例では、終端回路22は、終端抵抗Rを介して、入力端子とグランド(接地電位となる場所、例えばフレームグランドでもよいし、信号線のうちにグランドの電位となるグランド信号線があれば、当該グランド信号線でもよい)とを接続してもよい。
【0053】
[終端抵抗の抵抗値]
またここまでの説明において終端抵抗の抵抗値は、接続される信号線のインピーダンスに整合させておくことが好ましい。また本実施の形態の一例では、終端抵抗Rを省いてもよい。
【0054】
[配線]
本発明の実施の形態の一例に係る中継コネクタ装置1は、
図2にその概要を例示するように、第1の信号線群11を収容する第1のコネクタ31と、第2の信号線群12を収容する第2のコネクタ32とを備え、スイッチ部21や終端回路22等は回路基板35等の上に配されて実装される。ここで第1のコネクタ31はプラグまたはレセプタクルであり、第1のコネクタ31から第1の信号線群11が引き出されて、回路基板35上に実装された回路に接続される。また第2のコネクタ32もまた、プラグまたはレセプタクルであり、この第2のコネクタ32から第2の信号線群12が引き出されて、回路基板35上に実装された回路に接続される。
【0055】
またここで回路基板35は
図3に例示するように、実質的に矩形状をなし、中継コネクタ装置1の筐体外部から第1のコネクタ31を介して導入された第1の信号線群11が接続されるターミナルT11,T12…と、第2のコネクタ32を介して導入された第2の信号線群12が接続されるターミナルT21,T22…とがそれぞれ、対向する一対の辺に沿って配されている。
【0056】
図3の例では、第1のコネクタ31から取り出される第1の信号線群11の各信号線が次のように接続される:
送信側正極信号線11TX+:ターミナルT11
送信側負極信号線11TX-:ターミナルT12
受信側正極信号線11RX+:ターミナルT14
受信側負極信号線11RX-:ターミナルT13
【0057】
また、第2のコネクタ32から取り出される第2の信号線群12の各信号線は次のように接続される:
送信側正極信号線12TX+:ターミナルT24
送信側負極信号線12TX-:ターミナルT23
受信側正極信号線12RX+:ターミナルT21
受信側負極信号線12RX-:ターミナルT22
【0058】
さらにこの
図3の例では、2回路2接点のスイッチを配するためのパターン21Pが形成され、このパターン21P上にスイッチ部21が配される。
【0059】
ターミナルT11からの配線は、スイッチ部21の第1のスイッチ回路210aの第1接点211から引き出されたポイントX(
図3のうち、ポイントX,Y,P,Qは説明の便宜のために表記されるもので、実際の基板には端子等は設けられない)を通って、当該第1接点211に接続される。
【0060】
またターミナルT21は第1のスイッチ回路210aの第2接点212に対してポイントPを通って引き回される配線により接続される。ここで第2接点212とポイントPとの間の配線部分は、第1接点211からポイントXまでの配線部分に対して斜交ないし直交するように(これらの配線が平行となる部分が形成されないよう)形成される。
【0061】
さらに第1のスイッチ回路210aの第3接点213から、終端回路22の終端抵抗R1の一端が接続される端子HR1への配線も、上記第2の接点212からポイントPの間で引き出された配線部分に対して斜交ないし直交する方向(これらの配線が平行に形成される部分がないよう)に引き出される。
【0062】
この終端抵抗R1の他端側は、ターミナルT12とターミナルT22とを接続する配線上に配された端子に接続される。
【0063】
また、ターミナルT24からの配線は、スイッチ部21の第2のスイッチ回路210bの第1接点221から引き出されたポイントYを通って、当該第1接点221に接続される。
【0064】
またターミナルT14は第2のスイッチ回路210bの第2接点222に対してポイントQを通って引き回される配線により接続される。ここで第2接点222とポイントQとの間の配線部分は、第1接点221からポイントYまでの配線部分に対して斜交ないし直交するように(これらの配線が平行となる部分が形成されないよう)引き回して形成される。
【0065】
さらに第2のスイッチ回路210bの第3接点223から、終端回路22の終端抵抗R2の一端が接続される端子HR2への配線も、上記第2の接点222からポイントQを通ってターミナルT14まで引き出された配線に対して斜交ないし直交するよう(これらの配線が平行に形成される部分がないよう)に引き出される。
【0066】
この終端抵抗R2の他端側は、ターミナルT13とターミナルT23とを接続する配線上に配された端子に接続される。
【0067】
このように配線が形成されると、既に述べた中継コネクタ装置1の回路が実現できることとなるが、本実施の形態のこの例において特徴的なことは、スイッチ部21の第1のスイッチ回路210aの第1接点211とポイントXとの間の配線部分と、第2接点212とポイントPとの間の配線部分とが斜交ないし直交するよう形成されることにより、配線が並行する部分がなくなるため、容量性結合が抑制される。すなわち、第1のスイッチ回路210aが第1側終端位置に設定されたときに、スイッチ部21の第1のスイッチ回路210aの第1接点211とポイントXとの間の配線部分(終端されているものの、第1の信号線群11の送信側正極信号線11TX+からの信号が供給されている)と、第2の接点212からポイントPの間で引き出された配線部分(第1側導通位置に設定されたときに上記送信側正極信号線11TX+が接続され、信号が供給されることとなる配線)との間での容量性の結合が生じにくくなっている。
【0068】
また、この例では、第2のスイッチ回路210bの第1接点221とポイントYとの間の配線部分と、第2接点222とポイントQとの間の配線部分もまた、互いに斜交ないし直交するよう形成される。これにより、第2のスイッチ回路210bが第2側終端位置に設定されたときに、第2のスイッチ回路210bの第1接点221とポイントYとの間の配線部分(終端されているものの、第2の信号線群12の送信側正極信号線12TX+からの信号が供給されている)と、第2の接点222からポイントQの間で引き出された配線部分(第2側導通位置に設定されたときに上記送信側正極信号線12TX+が接続され、信号が供給されることとなる配線)との間でも同様に容量性の結合が生じにくくなっている。
【0069】
なお、
図3(a)の例は、上記のような配線の一例であり、同様の配線は
図3(b)のようにしても形成できる。また
図3(b)に例示する、第1のスイッチ回路210aの第2接点212からP,P′を介してターミナルT21に至る配線のように、一部にターミナルXから第1の接点211への配線部分と平行となる配線部分(P,P′間)がある場合でも
(1)平行となる配線部分が、互いに十分離れた位置となるように配線を形成する、
(2)平行となる配線部分の長さが互いに異なることとなるよう配線を形成する、
といった方法で、容量結合をさらに防止することとしてもよい。
【0070】
また遮断するときに容量結合を防止するべき配線間にはグランドパターン(グランド端子に接続される面状に広がる金属部分)が形成されてもよい。
【0071】
さらに回路基板35を多層基板とし、遮断するときに容量結合を防止するべき配線を互いに別の層(第1の層、第2の層)に配して、これら第1,第2の層の間にグランドパターンを形成した第3の層を配してもよい。
【0072】
[他の規格のプラグ、あるいはレセプタクルを備える例]
また本実施の形態の中継コネクタ装置1は、第1の信号線群11または第2の信号線群12の少なくとも一方に含まれる各信号線は、各信号線群に対応して設けられたプラグまたは信号線群に対応して中継コネクタ装置に設けられたレセプタクル内の対応する信号線に接続されてなればよく、例えば、第1の信号線群11または第2の信号線群12の一方の信号線群に含まれる信号線は、RJ-45のプラグまたはそれに対応するレセプタクル内の対応する端子に接続されるが、他方の信号線群に含まれる信号線で伝送される信号は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等、他の規格のコネクタで伝送される信号に変換する変換回路を介して、対応する他の規格のコネクタ(USB等)のプラグやレセプタクルの端子に接続されてもよい。このような変換回路及びそれのための外部機器用のソフトウエアの構成(ここでの例の場合、接続される外部機器ではUSBを介してネットワークの信号を送受することとなる)は広く知られているので、ここでの詳しい説明は省略する。
【符号の説明】
【0073】
1 中継コネクタ装置、11 第1の信号線群、12 第2の信号線群、21 スイッチ部、22 終端回路、31 第1のコネクタ、32 第2のコネクタ、35 回路基板、210 第1,第2のスイッチ回路、211 第1接点、212 第2接点、213 第3接点、221 第1接点、222 第2接点、223 第3接点。