(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】液体容器
(51)【国際特許分類】
A47J 41/02 20060101AFI20230809BHJP
A47J 41/00 20060101ALI20230809BHJP
B65D 55/12 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
A47J41/02 104A
A47J41/00 304A
B65D55/12
(21)【出願番号】P 2019073428
(22)【出願日】2019-04-08
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【氏名又は名称】白川 孝治
(74)【代理人】
【識別番号】100116159
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】水流 猛志
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-235033(JP,A)
【文献】特開2014-097804(JP,A)
【文献】特開2008-212316(JP,A)
【文献】特開2008-212315(JP,A)
【文献】特開2014-097830(JP,A)
【文献】実公平03-050834(JP,Y2)
【文献】実公平03-021711(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 41/02
A47J 41/00
B65D 55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容される容器本体と、
該容器本体の開口部に着脱可能に嵌合固定される栓体と、
該栓体の上面を覆う蓋体と、
上記栓体を上記容器本体の開口部に着脱可能に係合するロックレバーとを備え、
上記ロックレバーのロック解除操作時に、上記ロックレバーが上記蓋体の下面に入り込み、上記蓋体との間で所定の段差を形成するように構成し、
上記ロックレバーのロック解除後、上記蓋
体を摘んで上記栓体を取り外すことができるようにした液体容器であって、
上記ロックレバーは、指挿入用の凹部を有する単一の袋構造体により形成されている一方、上記蓋体側には同袋構造体のロックレバーに対応した開口が形成されており、
上記ロックレバーは、上記蓋体と係合することなく相対摺動するように構成されている、
ことを特徴とする液体容器。
【請求項2】
ロックレバーは、ロック解除方向だけでなく、ロック方向にも蓋体の下面側に入り込む部分を有し、
それら各部の蓋体下面への入り込み状態から、ロック状態またはロック解除状態の判別ができるようにした、
ことを特徴とする請求項1記載の液体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ハンディーポット等の液体容器の栓体部分の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハンディーポット等の液体容器は、一般に飲み物等の液体が収容される容器本体と、容器本体上端側の開口部に着脱自由に嵌合固定される栓体と、栓体を容器本体上端側の開口部に着脱自由に係合するロックレバーと、栓体に設けられた液体注出通路と、液体注出通路を開閉する開閉弁と、栓体上部に設けられ、開閉弁を開閉する開閉レバーとを備えて構成されている。
【0003】
栓体は、たとえば中栓構造に形成され、有底筒体構造の栓本体の前端部に液体注出通路、中央部に昇降可能な中子設置用の筒状部、筒状部に中子昇降スプリングを介して上下昇降可能に中子、中子の下端に液体注出通路の液体流入口を開閉する開閉弁、栓本体上部に栓本体開口部をカバーする蓋体、蓋体の中央部に中子の上端側被押圧凸部を押圧し、中子を介して開閉弁を開閉する開閉レバー、蓋体の開閉レバー左右に栓体を容器本体開口部の肩部材に係合するロック片を有する一対のロックレバーを設けて構成されている。
【0004】
左右一対のロックレバーには相互に対面して左右両方向に摺動し、左右両側の2点で、容器本体開口部の肩部材部分に設けたロック片係合孔に係合する対面2点型のロックレバー構造が採用されている。
【0005】
このようなロックレバー構造の場合、ロックレバーのそれぞれは、上下方向の短い挟圧操作体部分と同挟圧操作体部分の下端から左又は右方向外方へ直角に曲げられた長いスライド体部分の2つの部分から構成されており、挟圧操作体部分は内側(対面側)が開放されたボックス構造、スライド体部分は偏平な板状に構成されて、先端側にロック片(爪部)を設けている。ボックス構造の挟圧操作体の開放面と反対側(非対面側/後述する指挿入用の凹溝部側)は、スライド体の先端側方向に凸の指による挟圧操作面を形成している。
【0006】
そして、このような構成のロックレバー各々を栓本体の上部に組み込むに際しては、栓本体の開口部を覆う蓋体の中央部左右に所定の間隔を開けて各々指挿入用の凹溝部を形成すると共に、同凹溝部の中央部側の側壁(縦壁)にロックレバー嵌装用の開口を設けて、上記ロックレバーの挟圧操作体および同挟圧操作体の下端から左又は右方向外方へ延びるスライド体を摺動可能に嵌装している。この嵌装状態は、上記挟圧操作体部分を上記開口部に位置させると共に上記スライド体部分を下部側ロックレバー摺動支持台と上部側蓋体の指挿入用の凹溝部との間に位置させて、共に左右両方向に摺動移動するようにしている。そして、左右両側に位置して相互に対面するボックス構造の挟圧操作体のボックス部下部の縦壁部間にロックレバースプリングが弾圧状態で介装され、その伸長方向への付勢力により全体を常時左右両方向外方に押圧し、スライド体先端のロック片を容器本体側肩部材のロック片係合孔に係合してロックするようになっている。
【0007】
そして、このロック状態では、上記ボックス構造の挟圧操作体の挟圧面側が左右各方向外方(指挿入用の凹溝部側)にそれぞれ所定寸法以上突出した状態に維持されている。したがって、同状態において、蓋体の中央部左右に所定の間隔を開けて設けられている指挿入用の凹溝部に指を入れ、上記ロックレバースプリングの付勢力に抗して上記ロックレバーを内側ロック解除方向に所定ストローク以上挟圧すると、上記スライド体先端のロック片の容器本体側肩部材のロック片係合孔との係合が解除されて、栓体が容器本体の開口部から上方に取り外される。
【0008】
この場合、上記ボックス構造の挟圧操作体の挟圧面(指による押圧面)は、下端側から上端側に向けて斜め外方に少し傾斜しており、その上端側には左右各方向外方に突出した指係合部が設けられている。このボックス構造の挟圧操作体の挟圧面(指による押圧面)は、上記ロック片のロックが完全に解除されるまで挟圧されたとしても、上記蓋体のロックレバー嵌装用の開口部から左右両方向外方に所定寸法以上突出した突出状態に維持されるようになっており、同状態において、当該左右一対のロックレバー挟圧部分のみを持って栓体を上方に取り外す構成となっている。そのために、上記のようにボックス構造の挟圧操作体の挟圧操作面が左右方向外方に傾斜し、その上端に指係合用の凸部が設けられている。
【0009】
一方、この状態において、上記左右一対のロックレバー間には、栓本体底壁部側から開閉弁機構を構成する中子の中子軸上端(被押圧部)が蓋体の天面位置まで伸びており、同中子の中子軸は単一の中子昇降スプリングにより、栓本体底部との間で昇降可能に支持されている。そして、上記開閉レバーは、上記左右一対のロックレバーの間に位置して、上記中子の中子軸上端(被押圧部)を所望に押圧するように上記開閉レバーが蓋体の前後方向に延び、かつ蓋体の上面と同一の連続面を形成するように配設されている。
【0010】
また、上記ロックレバーを左右の内外両方向に摺動支持する摺動支持台は、上記栓本体の底部を上端側に向けて環状の凹溝部を形成するように成型し、その上端側環状の凸部面を所定の半径方向幅の摺動面として、上記ロックレバーのスライド体を摺動支持するようになっている。また、同栓本体底部の環状の凹溝部の内側中心部分には、上下方向に貫通した中子嵌装筒が形成され、同中子嵌装筒を利用して中子及び開閉弁の中子との連結部が昇降可能に嵌装支持されている。
【0011】
このような構成の場合、上記左右一対のロックレバーとそれらの間の開閉レバーが蓋体中央部において直交することになり、また、同直交部において下方側に中子軸の上端側被押圧部が位置することになる。したがって、上記蓋体の全体をフラットな平板構造に形成し、かつ開閉レバーを蓋体の内側に位置して設けようとすると、ロックレバーのロックレバースプリングと開閉レバーが干渉してしまい、そのままでは配置することができない。そこで、蓋体の中央部を上方に凸の曲面形状に形成すると共に、開閉レバー押圧部(本体部)の前後方向の形状もそれに合わせて円弧状に曲成し、蓋体の天面の一部を形成するように配設し、中子軸上端の被押圧部を同曲面部の頂部下面側まで高く延設させていた(特許文献1の
図1~
図7の構成を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記従来のロックレバー構造の場合、ロック解除時には、上記左右一対のロックレバーの挟圧操作体の挟圧面をロック解除方向(対面方向)に挟圧操作(スライド操作)し、続いて同ロック方向(非対面方向)へのスプリングテンションがかかったロックレバーの挟圧操作体部分を当該スプリングテンションに抗する形で摘んで持ち上げるようになっている。
【0014】
したがって、挟圧操作体の挟圧面上部に指係合部が設けられているとは言っても、相当に強い力での挟圧操作が必要であり、操作性が悪く、指の挟圧力を弱めたりすると、栓体を取り落とす恐れも生じる。
【0015】
また、同構造の場合、ロックレバーが蓋体の指挿入用凹溝部の内側中央部側(片面側)に位置して設けられているだけである。
【0016】
したがって、ロックレバーの片側に半ロック状態が生じているような場合には、同状態を外部から判断するのが難しい。
【0017】
さらに、同構造の場合、蓋体に指挿入用の凹溝部を形成し、その中央部面側縦壁部(対面部側縦壁部)にロックレバー嵌装用の開口部を開け、同開口部を介して指挿入用の凹溝部の下面側にロック片を備えた摺動部材を摺動可能に延設しなければならない。
【0018】
したがって、蓋体の構造が非常に複雑になり、蓋体をフラットに構成することができない。また、ロックレバー自体の構造も複雑で長いものになり、蓋部への組み付け性も良くない。また、ロックレバー挟圧操作時には、上記ロックレバー嵌装用の開口部の底部部分に所定幅の隙間ができるので、挟圧操作時に挿入した指の先端を挟む可能性もある。
【0019】
この出願の発明は、このような課題を解決するためになされたもので、ロック解除操作時にロックレバーが蓋体の下面に入り込み、蓋体との間で所定の段差を形成するようにすることにより、ロックレバーによるロック解除後は、スプリングテンションのかかっていない蓋体部分を摘んで栓体を取り外すことができるようにした液体容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この出願の発明は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0021】
(1)請求項1の発明の課題解決手段
液体が収容される容器本体と、該容器本体の開口部に着脱可能に嵌合固定される栓体と、該栓体の上面を覆う蓋体と、上記栓体を上記容器本体の開口部に着脱可能に係合するロックレバーとを備え、上記ロックレバーのロック解除操作時に、上記ロックレバーが上記蓋体の下面に入り込み、上記蓋体との間で所定の段差を形成するように構成し、上記ロックレバーのロック解除後、上記蓋体を摘んで上記栓体を取り外すことができるようにした液体容器であって、
上記ロックレバーは、指挿入用の凹部を有する単一の袋構造体により形成されている一方、上記蓋体側には同袋構造体のロックレバーに対応した開口が形成されており、上記ロックレバーは、上記蓋体と係合することなく相対摺動するように構成されていることを特徴としている。
【0022】
このような構成によると、上記ロックレバーのロック解除操作時に、上記ロックレバーが上記蓋体の下面に入り込み、当該蓋体との間で所定の段差を形成することから、ロックが解除された後は、ロックレバーと共にスプリングテンションのない蓋体を摘んで栓体を取り外すことができるようになる。
【0023】
その結果、栓体取り外し時の操作性が向上し、より確実に栓体を着脱することができるようになる。
【0024】
しかも、上記ロックレバーは、指挿入用の凹部を有する上部のみが開口した単一の袋構造体に形成されている一方、上記蓋体側には同袋構造体のロックレバーに対応した開口が形成されており、上記ロックレバーは、上記蓋体と係合することなく相対摺動するようになっている。
【0025】
このような構成によると、上記蓋体側に指挿入用の凹部やロックレバー嵌装用の開口部を形成する必要がなくなり、蓋体がフラットになり、またロックレバーの組み付け性が大きく向上する。また、ロックレバーの摺動性が安定し、ロックレバーの操作性が向上する。
【0026】
さらに、上記ロックレバーのロック解除操作時に、ロックレバーが蓋体の下面に入り込み、蓋体との間で所定の段差を形成する構成を実現しやすくなる。
【0027】
(2)請求項2の発明の課題解決手段
上記請求項1の発明の課題解決手段において、ロックレバーは、ロック解除方向だけでなく、ロック方向にも蓋体の下面側に入り込む部分を有し、それら各部の蓋体下面への入り込み状態から、ロック状態またはロック解除状態の判別ができるようにしたことを特徴としている。
【0028】
このような構成によると、ロックレバーのロック解除方向又はロック方向各部の蓋体下面への入り込み状態(2組の状態)から、ロック状態またはロック解除状態を、容易、かつ確実に判別できるようなる。
【0029】
また、ロックレバーのロック解除方向およびロック方向2つの部分での蓋体下面との間でのスライドガイドにより、ロックレバーの摺動性が安定し、より操作性が向上する。
【0030】
特に、上記請求項1の発明のロックレバーは、指挿入用の凹部を有する上部のみが開口した単一の袋構造体に形成されている一方、上記蓋体側には同袋構造体のロックレバーに対応した開口が形成されており、上記ロックレバーは、上記蓋体と係合することなく相対摺動するようになっている。
【0031】
したがって、請求項1の発明のようなロックレバーのロック解除操作時に、ロックレバーが蓋体の下面に入り込み、蓋体との間で所定の段差を形成する構成だけでなく、この請求項2の発明のようなロックレバーがロック解除方向だけでなく、ロック方向にも蓋体の下面側に入り込む部分を有し、それら各部(2組)の蓋体下面への入り込み状態から、ロック状態またはロック解除状態の判別ができる構成をも、より実現しやすい。
【発明の効果】
【0032】
以上の結果、この出願の発明によると、ロックレバーのロック解除操作、ロック解除後の着脱操作の操作性、確実性が有効に向上する。また、ロックレバーのロック状態、ロック解除状態の判別が容易になる。さらに、ロックレバー、蓋体共に、その構造がシンプルになり、ロックレバーの構造の単純化、蓋体全体のフラット化が可能となり、ロックレバーの組み付け性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】この出願の発明の実施の形態に係る液体容器の外観斜視図である。
【
図4】同液体容器の要部の前後方向の拡大縦断面図である。
【
図5】同液体容器の要部の左右方向の拡大縦断面図(ロック状態)である。
【
図6】同液体容器の要部の左右方向の拡大断面図(ロック解除状態)である。
【
図9】同液体容器の栓体の右前方からの斜視図である。
【
図10】同液体容器の栓体の右後方からの斜視図である。
【
図15】同液体容器の栓体の下面側の斜視図である。
【
図17】同液体容器の栓体の開閉弁を取り外した状態の斜視図である。
【
図18】同液体容器の栓体の開閉弁の上面側の拡大斜視図である。
【
図19】同液体容器の栓体の開閉弁の下面側の拡大斜視図である。
【
図20】同液体容器の栓体の開閉弁の拡大分解斜視図である。
【
図21】同液体容器の栓体の開閉弁の中子連結部材を係合した状態の拡大斜視図である。
【
図22】同液体容器の栓体の開閉弁の中子連結部材を係合する前の状態の拡大斜視図である。
【
図23】同液体容器の栓体の中子連結部材の上面側拡大斜視図である。
【
図24】同液体容器の栓体の中子連結部材の下面側拡大斜視図である。
【
図25】同液体容器の栓体の第2の昇降スプリングの拡大斜視図である。
【
図26】同液体容器の栓体の蓋体を取り外した状態の斜視図である。
【
図28】同液体容器の栓体の栓本体の斜視図である。
【
図29】同液体容器の栓体のロックレバー支持部材の前後方向の斜視図である。
【
図30】同液体容器の栓体のロックレバー支持部材の左右方向の斜視図である。
【
図31】同液体容器の栓体のロックレバー支持部材の裏面側の左右方向の斜視図である。
【
図32】同液体容器の栓本体のロックレバー支持部材を組み付けた状態の斜視図である。
【
図33】同液体容器の栓体のロックレバー単体の右側方からの斜視図である。
【
図34】同液体容器の栓体のロックレバー単体の左側方からの斜視図である。
【
図35】同液体容器の栓体のロックレバー単体の裏面側左側方からの斜視図である。
【
図36】同液体容器の栓体のロックレバーの裏面側右側方からの斜視図である。
【
図37】同液体容器の栓体の左右一対のロックレバーをロックレバー支持部材に組み付けた状態の正面図である。
【
図38】同液体容器の栓体の左右一対のロックレバーをロックレバー支持部材に組み付けた状態の断面図(
図37の状態の前後方向中央での断面図)である。
【
図39】同液体容器の栓体の左右一対のロックレバーをロックレバー支持部材に組み付けた状態の右後方からの斜視図である。
【
図40】同液体容器の栓体の左右一対のロックレバーをロックレバー支持部材に組み付けた状態の左後方からの斜視図である。
【
図41】同液体容器の栓体の左右一対のロックレバー各々のロックレバースプリングの斜視図である。
【
図42】同液体容器の栓本体のロックレバー支持部材および左右一対のロックレバー各々を組み付けた状態の斜視図である。
【
図43】同液体容器の栓本体の
図42の状態から、さらに開閉レバーを組み付けた状態の斜視図である。
【
図44】同液体容器の栓体の開閉レバーの斜視図である。
【
図45】同液体容器の栓体の開閉レバーの側面図である。
【
図46】同液体容器の栓体の開閉レバーの正面図である。
【
図47】同液体容器の開閉レバー開操作状態における断面図である。
【
図48】同液体容器の液体注出状態における断面図である。
【
図49】同液体容器のロックレバーロック状態(a)およびロックレバーロック解除状態(b)の平面図である
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、添付の
図1~
図49を参照して、この出願の発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0035】
(この出願の発明の実施の形態に係る液体容器の全体的な構成)
先ず、
図1~
図4は、この出願の発明の実施の形態に係る液体容器の全体的な構成を示している。
【0036】
図1~
図4中、1は、飲み物等の液体を収容する容器本体、1aは、容器本体1の上端側に設けられた広口の開口部、2は、容器本体1の開口部1aに着脱可能に嵌合された栓体、3は、容器本体1の開口部1aに嵌合された栓体2を容器本体1の開口部1aに着脱可能に係合するロックレバー、4は、栓体2に設けられた液体注出路、4aは、液体注出通路4下端の液体流入口、4bは、液体注出通路4上端の液体流出口、5は、液体注出路4の液体流入口4aを開閉する開閉弁、6は、開閉弁5を開閉作動させる弁開閉機構、7は、栓体2の上部に設けられ、弁開閉機構6を介して開閉弁5を開閉操作する開閉レバー、8は、容器本体1の後端側上部に設けられた液体注出操作用の取っ手である。
【0037】
(容器本体1の構成)
容器本体1は、
図3および
図4に示すように、有底筒状構造のステンレス製の内容器(内ケース)11と、同じく有底筒状構造で、内容器11よりも所定寸法大径のステンレス製の外容器(外ケース)12とからなり、それら内容器11、外容器12の上端側開口縁部11a、12a同士を相互に接合し、同接合部に断面逆U字形状の環状のカバー部材13を嵌合することによって、広口の開口部1aを形成した真空断熱構造の金属製容器本体に構成されている。
【0038】
この容器本体1の開口部1aの外周面(外容器12の開口縁部12aの外周面)には、段部構造の肩部(小径部)12bが設けられ、該肩部12bを利用して開口部1aの上部に合成樹脂製の肩部材14が嵌合され固定されている。また、同開口部1aの内周面(内容器11の開口縁部11aの内周面)下部には、同開口部1aに栓体2を嵌合支持する小径のネック部(ヒートキープ部)11bが設けられている。そして、同開口部1aに対して、以下に述べる栓体2が着脱可能に嵌合されている。肩部材14には、前端側に液体注ぎ口形成用の嘴部14a、後端側に開閉レバー7の押圧操作部7d嵌装用の溝部14b、左右両側内周面に後述するロックレバー3,3のロック片(係合爪)32,32の係合溝15,15を有するロック片係合部14c,14cが設けられている(
図7および
図8参照)。
【0039】
(栓体2の構成)
図4~
図6の拡大断面図は、上述した容器本体1の開口部1aに嵌合固定された状態における栓体2部分の構成を、
図7および
図8は、栓体2を取り外した容器本体1の構成を、
図9~
図16は、上述した容器本体1の開口部1aから取り外した開閉弁取付状態における栓体2部分の構成を、
図17は、
図9~
図16の栓本体2から開閉弁5を取り外した状態における栓体2および開閉弁5相互の構成を、
図18および
図19は、
図9~
図16の栓本体2から取り外した開閉弁5の構成を、
図20は、同開閉弁5の各構成部分を取り外した分解状態における構成を、
図21は、同開閉弁5の中子軸61a上端に中子連結部材62を取り付けた状態における開閉弁5の構成を、
図22は、同開閉弁5の中子軸61a上端に中子連結部材62を取り付ける状態における開閉弁5および中子連結部材62相互の構成を、
図23および
図24は、同中子連結部材62の構成を、
図25は、中子軸61a部分を昇降可能に支持する第1の昇降スプリング21Aの構成を、
図26は、蓋体10を取り外した栓体2内の構成を、
図27は、栓体2の各構成部分を取り外した分解状態における構成を、それぞれ示している。
【0040】
栓体2は基本的に中栓構造に形成されており、たとえば
図26および
図27に示すように、栓体2の匡体を構成する
図28のような構造の栓本体9に、ロックレバー3,3、開閉弁(中栓下)5、開閉弁開閉機構(中栓下開閉機構)6、ロックレバー支持部材35、開閉レバー7、蓋体(中栓カバー)10等を組み付けて構成されている。
【0041】
(栓本体9の構成)
栓本体9は、たとえば
図28に示すように、上記容器本体1の開口部1aの内径および内周面形状に対応した外径および外周面形状の合成樹脂製の有底円筒体よりなり、中央部から半径方向外方にフラットな底壁部9aの中央部内側上部に小径の筒状部(二重筒)91、同底壁部9aの外周側上部に大径の筒状部92、大径の筒状部92の下端部外周(底壁部9a外周)に上下方向中央部に係合用のリブを有するパッキン嵌合溝93、大径の筒状部92の周壁部前端の内側に液体注出通路4形成用の角形の筒体部94、同角形の筒体部94上端の水平方向前端側への曲成部基端側上部に開閉レバー7の先端側支軸71a,71aを嵌合支持する開閉レバー枢支部(支軸嵌挿孔)94a,94a、大径の筒状部92の周壁部後端上部に開閉レバー7の押圧部(本体部)7b後端を嵌装するU状の溝部(切り欠き溝)95、大径の筒状部92の周壁部左右両端側上部にロックレバー3,3のロック片32,32を遊嵌するロック片遊嵌孔(水平方向のスリット)96,96、大径の筒状部92の周壁部上端側開口縁部の外周に蓋体10外周の係合部92aを、それぞれ一体に設けて構成されている。
【0042】
底壁部9aの中央部内側上部の小径の筒状部91は、高さが低い内側第1の筒状壁91Aと該第1の筒状壁91Aよりも所定距離半径方向外周側にあって高さが高い外側第2の筒状壁91Bとの2組の同軸円筒体構造の筒状体により構成されている。そして、これら第1、第2の2組の筒状壁91A,91Bのうち、内側第1の筒状壁91Aは、上下方向に貫通した等径の貫通穴を有する筒状体となっており、同貫通穴を利用して下方側から上方側に開閉弁機構6を構成する中子61の中子軸(本体部分)61aおよび開閉弁5の本体スリーブ(中子軸61aへの嵌合部)52部分が挿入されている。中子軸61aは、
図4~
図6に示されるように、その下端部が開閉弁5の本体スリーブ52の筒孔部分よりも所定寸法大径の弁体61bに形成され、その外周には第2のパッキン17が嵌合されている一方、その上端側途中の大径部61cの外周には、中子昇降スプリング21の上端側係止部材63が嵌合固定されている。また、その上端側には、後述する中子軸連結部材62内側(下面側)の中子軸係合部62dに係合する係合部61dが設けられている。この係合部61dは、たとえば
図20および
図22に示すように、円柱体構造の中子軸61a上端の左右両側軸方向に所定の幅の凹溝部61e,61eを形成し、それによって形成された前後一対の円弧面状断面扇形の凸部61f,61f部分に各々右側回転方向にのみ開口する部分的な溝61g,61gを設けた構造のものとなっている。
【0043】
他方、中子連結部材62は、たとえば
図4~
図6および
図21~
図24に示すように、上下寸法の短い円筒体構造の合成樹脂製の連結部材本体62aよりなり、その天壁部62bの内側に上記中子軸61a上端の係合部61dの断面形状に対応した断面形状の係合部62e、その周壁部62cの内側(肩部下面内側)に同周壁部62cよりも下方への寸法の長い周壁部62f、天壁部62bの上記係合部62eの上部に門型構造の被開閉レバー押圧部62dを設けて構成されている。
【0044】
上記中子軸61a上端の係合部61dの断面形状に対応した断面形状の係合部62eは、天壁部62bの中央部を上記中子軸61a上端の係合部61dの断面形状に対応した逆の関係の凸部および溝部を有する断面形状の係合リング構造に刳り抜いて構成されており、その両端側円弧面部(断面扇形部)で天壁部62bに一体化されている。このように、中子連結部材62側の係合部62eが、上記中子軸61a上端の係合部61dの断面形状に対応した断面形状のリング構造に形成されていると、上記中子軸61a上端の係合部61dがその断面形状を合わせて挿入された状態において、上記中子軸61aを右方向に90度回すと、上記中子軸61aの上端側係合部61dの溝61g,61g部分を相対的に凸部となる当該リング構造の溝部部分に所定の弾性変形(バネ性)を伴いながら、緩やかなクリック感を持って係合することができる。
【0045】
この中子連結部材62側の上記係合部62eは、上記のように中子軸61a上端の係合部61dの断面形状に対応した断面形状のリング構造となっているが、その両端側円弧面部(断面扇形部)で所定幅の連結部を介して天壁部62bに一体化されている。また、同係合部62eが支持する中子軸61aおよび開閉弁5(弁体51及びスリーブ部52)は、合成樹脂製で十分に軽量に作られている。したがって、支持強度としては十分である。
【0046】
他方、天壁部62bの上記係合部62eの上部に一体に設けられた門型構造の被開閉レバー押圧部62dには、上記中子軸61aの上端が挿入される部分の前後両側において、後述するロックレバー支持部材35の上部側小径の円筒体部分35の前後両側に上下方向に延びて設けられているガイド筒37a,37a内に挿入されて上下に昇降する所定幅のリブ62g,62gが設けられており、それらの上端部同士を相互に連結する連結壁部の上部に開閉レバー7の押圧部7bにより押圧される被押圧凸部(突起)62fが設けられている。この場合、上記門型構造の開閉レバー押圧部62dのリブ62g,62gの上端部同士を相互に連結する連結壁部は、平面視円形の構造をなし、その中央部に十字形のリブを設け、同十字形のリブの交差部中央に上記開閉レバー7の押圧部7bにより押圧される頂部が球面形状の被押圧凸部(突起部)62fを設けている。
【0047】
そして、以上のように構成されている中子連結部材62は、上記中子61の中子軸61aを連結した状態において、その連結部材本体62aの周壁部62cとその内側の周壁部62fとの間のスプリング嵌装溝と栓本体底壁部9a側第1の筒状壁91Aと第2の筒状壁91Bとの間のスプリング嵌装溝との間に介装された第1の昇降スプリング21Aにより、中子連結部材62および中子軸61aを一体として、常時上方に付勢された状態で昇降可能に維持される。
【0048】
一方、開閉弁5の弁体51を開閉作動(昇降作動)する中子軸61aは、上記のように、中子連結部材62を介して第1の昇降スプリング21Aにより常時上方に付勢された状態で昇降可能に支持されている一方、中子軸61a単独でも、その上端側途中の大径部(スプリング係止部材嵌合部)61cに嵌合固定されたスプリング係止部材63と開閉弁5の本体スリーブ(中子軸61aへの嵌合部)52上端との間に介装されている第2の昇降スプリング21Bによって、開閉弁5に対しても相対的に昇降可能に支持されている。この場合、たとえば第1の昇降スプリング21Aと第2の昇降スプリング21Bとの付勢力の大きさは、第1の昇降スプリング21Aの付勢力が第2の昇降スプリング21Bよりも大きく設定されている。
【0049】
したがって、容器本体1内の内圧が特に大きくない通常の状態では、開閉レバー7が押されて(開閉レバー7の構成との関係については後述)、中子連結部材62を介して中子軸61aが下降すると同時に開閉弁5の弁体51も下降し、液体注出通路4の液体流入口4aが開口されて、液体流出口4bから液体が注出される(
図47および
図48参照)。
【0050】
他方、容器本体1内の内圧が高く、開閉弁5の弁体51部分に所定値以上の押圧力が作用している場合には、第2の昇降スプリング21Bの付勢力に抗し、中子軸61aを介して中子軸61a下端の小径の弁体61bが先に下降し、中子軸61a外周の凹溝64,64・・を介して内圧が抜かれ、内圧が低下した状態でスムーズに開閉弁5の弁体51が下降されて、液体の注出が図られる。
【0051】
なお、上記上下方向に貫通した内側第1の筒状壁91Aの貫通穴下端の外周には、上記中子軸61a下端の小径の弁体61b外周の第2のパッキン17に対応した弁座溝(段部)が形成されている(
図4~
図6参照)。
【0052】
また、上記開閉弁5の弁体51には、微小径の空気抜き孔(リリーフ孔)51aが設けられており、一応の内圧調整が図られるようになっている(
図17~
図21参照)。
【0053】
ところで、この実施の形態の場合、上記栓本体9内の外側第2の筒状壁91Bは、上記内側第1の筒状壁91A部分では上下方向に共通に貫通して中子61および開閉弁5を嵌挿支持しているが、自身の底壁部には貫通穴がなく、内側第1の筒状壁91Aの底部部分まで底壁部9aが連続する有底構造のものとなっており、たとえば
図17のように着脱可能な開閉弁5を取り外した状態では、栓本体9の底面は、上記小径の内側第1の筒状壁91Aの貫通穴と一部注出通路4の液体流入口4aが開口しているだけの殆どフラットな底壁面となる。
【0054】
したがって、従来の液体容器(特許文献1)の栓本体の底壁部のように、上方に逆U字形状に幅広く、かつ深く窪んだ環状の凹溝部を形成してロックレバーのスライド面(設置面)を形成するものと異なって、栓本体9の底壁部分は広く、かつフラットで、凹部が少なく、非常にお手入れ性の良いものとなる。
【0055】
次に、この外側第2の筒状壁91Bは、その周壁部の左右両側に、後述するロックレバー支持部材35の下部側大径の円筒体部分35Aの周壁部の左右両側に設けられた爪係合孔(横方向スリット)36a,36aに係合する係合爪91a,91a、同周壁部の前後両側に同ロックレバー支持部材35の周壁部の前後両側の係合溝(縦方向スリット)36b,36bに係合する縦リブ91b,91bを設けて構成されている。そして、これらを利用して、同外側第2の筒状壁91Bには、たとえば
図29~
図31に示されるロックレバー支持部材35が、たとえば
図32のような状態で取り付けられる。
【0056】
(ロックレバー支持部材35の構成)
ロックレバー支持部材35は、たとえば
図29~
図31に示されるように構成されている。
【0057】
すなわち、このロックレバー支持部材35は、下部側大径の円筒体部分35Aと上部側小径の円筒体部分35Bを同軸構造で上下一体に連結し、その左右両側前後に所定の間隔をおいて各々一対のロックレバー摺動支持台38,38、38,38を設け、これら摺動支持台38,38、38,38を縦壁部38a,38a、水平壁部38c,38cで一体に連結すると共に、前後摺動支持台38,38、38,38の間の縦壁部38a,38a部分にロックレバースプリング41,41(
図41参照)一端の嵌装部(凸部)34,34を設けて構成されている。また、下部側大径の円筒体部分35A周壁部の左右両側上端(水平壁部38c,38c下面位置)には、上記栓本体9側第2の筒状壁91B周壁部の左右両側上端の係合爪91a,91aが無理嵌め状態で係合される爪係合孔(横方向スリット)36a,36aが、また、同大径の円筒体部分35A周壁部の前後両側には、上記栓本体9側第2の筒状壁91B周壁部前後両側の縦リブ91b,91に嵌合する係合溝(縦方向スリット)36b,36bが、さらに上部側小径の円筒体部分35の前後両側には、上述した中子連結部材62の被押圧部62dの左右のリブ62g,62gが摺動可能に遊嵌されるガイド筒37a,37aが設けられている。
【0058】
ロックレバー摺動支持台38,38、38,38は、それぞれ略断面方形で左右に長い箱台構造となっており、その上面側はフラットなテーブル面となっている。そして、そのテーブル面中央には、左右方向に平行に延びる所定の長さのリブ溝38b,38bが設けられている。これらの各構成部分は、ロックレバー支持部材として、その全体を合性樹脂により一体成型することにより形成され、かつ設けられている。
【0059】
このように構成されたロックレバー支持部材35は、上記下部側大径の円筒体部分35Aを上記栓本体9側第2の筒状壁91Bの外周側に嵌合し、その爪係合孔(横方向スリット)36a,36aを上記第2の筒状壁91B側の係合爪91a,91aに無理嵌め状態で係合すると共に、その係合溝(縦方向スリット)36b,36bを上記第2の筒状壁91Bの縦リブ91b,91に嵌合することによって、前後・左右・周各方向の位置決めを行った上で、上下方向にも確実に固定し、上記ロックレバー摺動支持台38,38、38,38のテーブル面が安定した水平面を形成するように栓本体9内の中央部に取り付けられる(
図32の状態を参照)。
【0060】
次に、この
図32の状態において、当該ロックレバー支持部材35に対して、以下に述べるような構造の左右一対のロックレバー3,3が左右両方向(内外両方向)にスライド可能な状態に取り付けられる。
【0061】
(左右一対のロックレバー3,3本体部分の構成)
この実施の形態における左右一対のロックレバー3,3は、先に述べた従来の構成のように、蓋体自体に指が入る左右一対の凹部を形成し、同凹部の中央部側底部にロックレバー嵌装用の開口を設けて、アングル構造のロックレバーを左右両方向にスライド可能に嵌装し、その下部側容器本体肩部材の係合溝まで延びる長尺のスライド片を蓋体凹部の下面側と栓本体の底壁部側から上方に断面逆U字形状に高く起立させた環状の成型部上面との間で左右両方向にスライドさせることによって、容器本体の肩部材側スライド片係合溝との係合を図るようにしたものではなく、たとえば
図33~
図36に示すように、左右一対のロックレバー3,3自体が、全体として指挿入用の凹部を有する袋構造体となっており、その上部側開口面の内側(
図42および
図49の設置状態で内側)に蓋体10の天板中央部の下面側に入り込んでスライドする第1のスライド縁部31a,31a、その開口面の外側(
図42および
図49の設置状態で外側)に蓋体10の天板左右両側部の下面側に入り込んでスライドする第2のスライド縁部31b,31b、側壁部外側(
図42および
図49の設置状態で外側)に栓本体9の大径の筒状部92の周壁部左右両側のロック片遊嵌孔96,96を貫通し、容器本体1側肩部材14左右両側のロック片係合溝15,15内にスライド可能に係合する舌部構造のロック片32,32、また底壁部中央下部に断面コの字形のスプリング受け31d,31dを設け、その内側中央にロックスプリング41の他端側を嵌装するロックスプリング他端の嵌装部(凸部)33,33をそれぞれ設けて、上述したロックレバースプリング41,41(
図41参照)の他端を嵌装支持するようになっている。また、上記舌部構造の係合片32,32の裏面側には、ロック片遊嵌孔96,96、ロック片係合溝15,15部分との摺動性を良くするためのリブ32a,32a・・が設けられている。
【0062】
さらに、同袋体構造のロックレバー3,3本体底壁部の前後方向両端側には、外側側壁面の下部に位置して寸法の大きなガイドリブ31e,31eが、内側底壁面部分に位置して寸法の小さな摺動リブ31f,31fが設けられている。
【0063】
また、この指挿入用の凹部を有する袋体構造のロックレバー3,3の内側(設置状態で内側)のロック解除時に指で押圧される縦壁部分(他方側のロックレバー3と対向する縦壁部分)31c,31cは、たとえば
図38に示すように、下端側よりも上端側(第1の縁部31a側)が外側(設置状態で外側)に位置するように反り返った形状となっており、ロック解除操作を行って、同部分を相互に指で挟みつけた時に指の係り具合が良くなるようにしている。
【0064】
(左右一対のロックレバー3,3の栓本体9内への組み付け)
各々が上記のように構成された左右一対のロックレバー3,3は、たとえば
図37~
図40に示すように、各々その底壁面側のガイドリブ31e、31e部分が、上記ロックレバー支持部材35左右のロックレバー摺動支持台38,38間に跨る形で、当該ロックレバー摺動支持台38,38のテーブル面上に載置され、上記底壁面内側の摺動リブ31f,31f部分が同テーブル面のリブ溝38b,38bに係合した状態で支持される。また、この支持状態では、上記ロックレバー支持部材35の上記ロックレバー摺動支持台38,38間を基端側で連結する縦壁部38a中央部分に設けられているロックレバースプリング嵌装部34と自身の本体底壁部中央に設けられているロックレバースプリング嵌装部33との間に
図41に示すロックレバースプリング41が所定の弾圧状態で介装され、同ロックレバースプリング41の伸長方向への付勢力によって、当該左右一対のロックレバー3,3が左右両側外方に押圧され、その舌部構造のロック片32,32が上記栓本体9の大径の筒状部92左右両側のロック片遊嵌孔96,96部分を貫通し、所定の長さ突出する状態で同大径の筒状部92周壁部の上端側内側前後の係止リブ部分(符号省略)に当接して係止される(
図42の状態を参照)。
【0065】
次に、この
図42の状態において、さらに
図43に示すように、それら左右一対のロックレバー3,3の間に位置して、その前後方向に開閉レバー7が取り付けられる。
【0066】
(開閉レバー7の構成)
この実施の形態における開閉レバー7も、上述した中子61の中子軸61a部分を押圧することにより、開閉弁5の弁体51を下降させて液体注出路4の液体流入口4aを開放して容器本体1内の液体を流出させるのは、従来のものと基本的に同様である。
【0067】
しかし、この実施の形態における開閉レバー7は、
図4および
図43~
図46に示すように、上記栓本体9前端側の液体注出通路4形成用の角形の筒体部94の垂直部上端位置から後端側開閉レバー嵌装用の溝部95に至る押圧部(本体部)7b部分がストレートに構成されていて、蓋体10の天壁部下面側に位置して栓本体9の上端側開口部の前端側から後端側に略水平に支持され、その後端部7c位置から肩部材14の上端面位置まで垂直に立ち上がり、その後、同肩部材14の上端面位置から後方に所定の長さ延びて水平な押圧操作片7dを形成している。そして、容器本体1側肩部材14の対応する後端部分には、
図3、
図7、
図47に示すように、同押圧操作片7dが押し下げられるのに必要な押し下げ距離(押圧ストローク)に応じた深さの凹溝部14bが設けられている。この凹溝部14bの底部は、上述した容器本体1の後端側上下に設けられた取っ手8の上端側の取付部にも兼用されている。
【0068】
開閉レバー7の押圧部7bの先端部左右には、栓本体9前端側の液体注出通路4形成用の角形の筒体部94の垂直部上端に設けられた開閉レバー枢支部94a,94a部分に枢支される支軸(枢支軸)71,71が設けられている。一方、栓本体9前端側の液体注出通路4形成用の角形の筒体部94垂直部上端の開閉レバー枢支部94a,94aは、後方側に開放された断面コの字形のヒンジブラケット構造となっており、その左右両側壁部に上記開閉レバー7先端部の支軸71,71を遊嵌支持する枢支孔を設けて構成されている。そして、同栓本体9前端側の液体注出通路4形成用の角形の筒体部94垂直部上端の開閉レバー枢支部94a,94aに対して開閉レバー7先端部の支軸71,71を遊嵌支持することにより、当該開閉レバー7の押圧操作片7dの基端部分が上記栓本体9の凹溝部95及び容器本体1の肩部材14の凹溝部14bの深さに応じた上下寸法ストロークで押圧操作されることになる。
【0069】
この開閉レバー7の上記押圧部7bの下面側には、
図4~
図6に示すように、上述した開閉レバー被押圧凸部62fを有する中子連結部材62が第1の昇降スプリング21Aによって上方に付勢支持され、また、同中子連結部材62を介して中子61の中子軸61aが支持され、さらに、同中子軸61aを介して開閉弁5の弁体51が昇降可能に支持されている。中子軸61aと開閉弁5の弁体51は、また、第2の昇降スプリング21Bを介して相対昇降可能に嵌合されて支持されている。
【0070】
また、上述した中子連結部材62の被開閉レバー押圧部62d部分に設けられている前後2組のリブ62g,62gは、上述したロックレバー支持部材35の上部側小径の円筒体35Bの前後2組のガイド筒37a,37a内に昇降摺動可能に嵌挿されており、開閉レバー7が下方に押圧されていない状態では、上記第1の昇降スプリング21Aにより上方に付勢されて、当該被開閉レバー押圧部62d部分中央の押圧凸部62fを上述したロックレバー支持部材35の上部側小径の円筒体35Bの上端側開口面より所定寸法上方に突出させた状態で支持されている。このロックレバー支持部材35の上部側小径の円筒体35Bの上端側開口面より上方への突出寸法は、上記開閉レバー7の押圧操作片7dが
図47のように栓本体9の凹溝部95および容器本体肩部材14の凹溝部14bの最深部まで押し下げられた時に、当該中子連結部材62および中子軸61aを有効に下降させて、上述した中子軸61a下端の小径の弁体61bおよび開閉弁5を開放するものとなっている。同突出寸法の規制は、上記中子連結部材62本体62aの天壁62b外周が、ロックレバー支持部材35の下部側大径の円筒体部分35Aの天壁部下面に当接することによってなされる。
【0071】
また、同開閉レバー7の押圧部7bの上面側には3本の補強用のリブ73,73,73が設けられているとともに、その左右両側のリブ73,73と押圧部7b本体との間には、直角な断部面72,72が形成されている。そして、この直角な断部面72,72におけるリブ73側縦壁面は、上記左右一対のロックレバー3,3のロック解除操作がなされた時の内側第1の縁部31a,31aのストッパ面(停止位置規制面)として機能するようになっている。このため、開閉レバー7の押圧部7b先端を枢支する枢支部94a,94aは、支持剛性の高いヒンジブラケット構造に形成されているとともに、同押圧部7b本体の後端7c側嵌装溝95の周壁部内側左右には、開閉レバー支承用のリブ95a,95aが設けられている。
【0072】
このようにして、
図43のように開閉レバー7が取り付けられると、続いて、同栓本体9の開口部上面側には、
図26のようにして蓋体10が取り付けられる。
【0073】
(蓋体10の構成)
この実施の形態における蓋体10は、たとえば
図4~
図6および
図26、
図27に示すように、全体として偏平、かつフラットな円板構造のものに形成されており、その天壁部の外周部前端には、栓本体9側の液体流出口4b上端に対応した切り欠き10a、同左右両側にはロックレバー3,3のフック片遊嵌孔96,96上端に対応した切り欠き10d、10d、天壁部後端には開閉レバー7の後端7cの垂直部立ちあがり用の開口10b、天壁部の左右方向両側所定の幅を置いた2つの位置には、中央部側に同所定の幅の天壁部を残して、上記フックレバー3,3の指挿入孔(袋構造の凹部)開口部の大きさ、形状に対応した指挿入用の開口10c,10cが並設されている。
【0074】
そして、その外周縁部分のリブ壁を利用して、上記栓本体9の開口部上端のリブ壁部分に嵌合することにより、
図9~
図17に示すように栓本体9と一体化されて、中栓構造の栓体2を構成している。
【0075】
このような構成では、上記左右一対のロックレバー3,3が、上述したロックレバー支持部材35のロックレバー摺動支持台38,38、38,38上のリブ溝38b,38b、38b,38bと蓋体10の天壁部との間に位置し、内側第1のスライド縁部31a,31aを蓋体10の天壁部中央部側下面に、他方、外側第2のスライド縁部31b,31bを蓋体10の天壁部左右方向外側下面に平行に入れた状態で、左右両方向にスライド可能に支持される。そして、上記ロックレバースプリング41,41の付勢力により、ロック状態では、たとえば
図49の(a)に示すように、外側第2のスライド縁部31b,31bを蓋体10の天壁部左右方向外側下面内に完全に収納した状態、他方、内側第1のスライド縁部31a,31aを天壁部中央部の下面から大きく露出した状態に保持される。したがって、この状態から、ロックレバー3,3がロック状態にあることを容易に判別することができ、もし、内側第1のスライド縁部31a,31aおよび外側第2のスライド縁部31b,31bが共に所定幅露出した状態になっていたりすると、それは半ロック状態であるということになる。
【0076】
他方、上記ロックレバースプリング41,41の付勢力に抗して、ロックレバー3,3が内側方向に指で確実に挟圧されたロック解除状態では、たとえば
図49の(b)に示すように、内側第1のスライド縁部31a,31aが蓋体10の天壁部中央部下面内に完全に収納された状態、他方、外側第2のスライド縁部31b,31bが天壁部左右両方向外側の下面から大きく露出した状態となる。したがって、この状態から、ロックレバー3,3が確実にロック解除状態にあることを容易に判別することができる。これに対し、このロック解除操作時において、もし、内側第1のスライド縁部31a,31aおよび外側第2のスライド縁部31b,31bが共に所定幅露出した状態になっていたとすると、それは完全にロックが解除されていない半ロック状態であるということが分かる。
【0077】
特に、以上の構成では、従来の構成のように、ロックレバー本体が、指挿入孔内の中央部側(片側)にのみしかないものと異なって、全体が指挿入孔を有する単一の袋構造体となっていて、内側の第1のスライド縁部31a部分を内側に操作すると、外側の第2のスライド縁部31b部分も一体に内側方向に移動し、内外両部分でその動作状態を確実に確認することができる。したがって、片側のものにのみ半ロック状態があった場合にも容易に判別することが可能となる。
【0078】
また、同構成では、左右ロックレバー3,3のロック片32、押圧操作部および指係合部31c、スライド縁部31a,31b、スプリング受け33、摺動ガイド部31e、摺動支持部31f、指挿入孔の全てが一体(単体構造)に成形されている(
図33~
図36参照)。そして、それらの各々が栓本体9中央部の第2の筒状壁91Bに着脱可能に支持固定されたロックレバー支持部材35上の所定の高さ位置に摺動自在に支持されている(組み付けられている/
図37~
図40参照)。
【0079】
したがって、従来のように蓋体10に指挿入用の凹溝部を設ける必要もなく(2次元的な開口部を形成するのみで良い)、同凹溝部内側(対面側)の縦壁部に開口部を形成して、同開口部から凹溝部下面側にロックレバーを摺動可能、かつロック可能に嵌装する必要もない。したがって、ロックレバー3,3の設置、組み付けが著しく容易になる。また、蓋体10の開口部10cとは、指挿入用の凹溝部がスライド可能に対応するのみで、全く嵌合(係合)されていない。蓋体10は、蓋体10単独で栓本体9の上端側開口部に嵌め合わされるだけである。また、開閉レバー7をフラットな蓋体10の下面側に沿って前後方向にストレートに設置することができ、従来のように蓋体部を含めて山形に曲成する必要がなくなる。
【0080】
以上の各場合において、たとえば蓋体10や容器本体1全体のデザインを考慮した上で、上記第1のスライド縁部31a,第2のスライド縁部31b部分の色彩を蓋体10およびロックレバー3の指挿入口内の色彩に対してコントラストの高いものにすると、より上述の判別効果が高くなる。
【0081】
また、この実施の形態の場合、上記ロック解除時においては、上記ロックレバー3,3の内側第1のスライド縁部31a、31aは、単に同縁部31a、31aが蓋体10の天壁部中央部の下面側に入って見えなくなるだけでなく、同天壁部中央部の開口縁部10e,10eよりも所定寸法内側に入り込んで、同天壁部中央部の開口縁部10e,10eとの間に段差を形成するようになっている。その結果、挿入されている指が天壁部中央部の開口縁部10e,10e部分に有効に係合する。
【0082】
したがって、ロックレバー3,3の容器本体1の開口部1aに対するロックを解除して、栓体2を取外す時に、従来の液体容器のように、強いスプリングテンションのかかったロックレバー部分のみを持って取り外すのではなく、スプリングテンションのかかっていない蓋体10の天壁部中央部の開口縁部10e,10eに指を掛けて取り外すことができ、それによって完全にロックが解除されていることを認識し易くなると共に(実際に指の感触で確認することができる)、取り外し操作の安全性が確保される。
【0083】
特に、この実施の形態では、上記のようにロックレバー3,3そのものが、全体として袋体構造となっており、同ロックレバー3,3の内側(設置状態で内側)のロック解除時に指で押圧される縦壁部分(他方側のロックレバー3と対向する縦壁部分)31c,31cが、
図38に示すように、下端側よりも上端側(第1の縁部31a側)が外側(設置状態で外側)に位置するように反り返った形状となっており、ロック解除操作を行って、同部分を相互に指で挟みつけた時に指の係り具合が良くなるようにしている。したがって、これにより、より取り外し操作の安全性が向上する。
【0084】
また、以上の構成では、上述した中子連結部材62の被開閉レバー押圧部62d部分に設けられている前後2組のリブ62g,62gが、ロックレバー3,3を摺動可能に支持するロックレバー支持部材35の上部側小径の円筒体35Bの前後2組のガイド筒37a,37a内に昇降摺動可能に嵌挿されており、栓本体9の中心軸部分において、垂直方向に昇降作動するようになっている。
【0085】
一方、その左右両側(ロックレバー支持部材35の上部側小径の円筒体35Bの左右両側)において、各々左右2組のロックレバースプリング41,41を介して、左右2組のロックレバー3,3が水平方向に直交してスライド(ロック・アンロック)するように設けられている。この場合、左右2組のロックレバー3,3は、上記ロックレバー支持部材35部分に上記上部側小径の円筒体35Bおよび前後2組のガイド筒37a,37a各々の上端位置と同じ高さに設けられたロックレバー摺動支持台38,38上のロックレバー摺動面に支持されて摺動するようになっている。
【0086】
そして、同状態において、上記中子連結部材62の被開閉レバー押圧部62dを挟んで対面する左右2組のロックレバー3,3の間に、上記蓋体10の下面に沿う前後方向にストレートな開閉レバー7が直交して配設され、上記中子連結部材62の被開閉レバー押圧部62dを介して中子軸61の中子軸61aを垂直方向下方に押圧するようになっている。
【0087】
したがって、このような構成の場合、開閉弁5を開閉作動させる中子61及び中子軸61aが中子連結部材62を介して開閉レバー7に垂直方向に連係され、また、その左右両側において、左右2組のロックレバー3,3が水平方向に直交して連係されるが、それらは開閉レバー7を含めて、全く干渉することなく自由に配置され、自由に作動する。これらの位置関係の設定は、上記樹脂成形部材であるロックレバー支持部材35の成型により容易に設定することができる。また、同ロックレバー支持部材35は、組み付け匡体である栓本体9中央部の第2の筒状壁91Bに嵌合固定すれば足り、栓本体9に対する取付位置の制約が少ない。また、ロックレバー3,3は、それ単独で、
図37~
図40のように、ロックレバー支持部材35に組み付け、それらをユニット化することができるので、より組み付け、製造が容易になる。また、栓本体9内のスペースファクターが有効に改善され、栓体2に新たな機能を設定する余裕が生まれる。開閉弁5を開閉作動させる中子61及び中子軸61aが中子連結部材62を介してストレートな開閉レバー7の押圧部7b直下に位置することになるので、押圧時に中子軸61aの傾きが生じにくくなり、液体の注出量が安定する。
【0088】
(液体Wの注出操作)
上記フラットな蓋体10の下面に沿い、開閉弁5を開閉作動させる中子連結部材62および中子61、中子軸61aが、その押圧レバー7b部分の直下にある上記開閉レバー7が下方に押圧されていない状態では、同開閉レバー7は、上記第1の昇降スプリング21Aにより上方に付勢されて、中子連結部材62における被開閉レバー押圧部62d部分中央の押圧凸部62fは、ロックレバー支持部材35の上部側小径の円筒体35Bの上端側開口面より所定寸法上方に突出した状態で支持されている。
【0089】
このロックレバー支持部材35の上部側小径の円筒体35Bの上端側開口面より上方への突出寸法は、上記のように開閉レバー7の押圧操作片7dが
図47のように栓本体9の凹溝部95および容器本体肩部材14の凹溝部14bの最深部まで押し下げられた時に、当該中子連結部材62および中子軸61aを有効に下降させて、上述した中子軸61a下端の小径の弁体61bおよび開閉弁5を開放して、
図47のように、液体注出通路4下端の液体流入口4aかららの液体の流入、液体注出通路4上端の液体流出口4aからの液体の流出を可能とする。
【0090】
したがって、たとえば
図48に示すように、上記開閉レバー7を押し下げ、その時の液体Wの内容量に応じた角度だけ容器本体1を傾斜させると、液体注出通路4上端の液体流出口4aから、肩部材14前端の嘴部14a上面側の注ぎ口4cを通して、必要な液体(飲料)を注ぐことができる。
【符号の説明】
【0091】
1は容器本体、2は栓体、3はロックレバー、4は液体注出通路、5は開閉弁、6は開閉弁機構、7は開閉レバー、9は栓本体、10は蓋体、21Aは第1の昇降スプリング、21Bは第2の昇降スプリング、31aは第1のスライド縁部、31bは第2のスライド縁部、32はロック片、35はロックレバー支持部材、38はロックレバー摺動支持台、41はロックレバースプリングである。