(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】設備稼働停止システムおよび設備稼動停止方法
(51)【国際特許分類】
C22B 1/20 20060101AFI20230809BHJP
A62C 2/04 20060101ALI20230809BHJP
F27B 21/14 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
C22B1/20 T
A62C2/04 Q
F27B21/14 A
(21)【出願番号】P 2019207009
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 彰
(72)【発明者】
【氏名】坂元 勇次
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄一郎
【審査官】藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-002782(JP,A)
【文献】特開平08-246072(JP,A)
【文献】特開平10-197160(JP,A)
【文献】特開2019-149492(JP,A)
【文献】特開2015-058229(JP,A)
【文献】特開2016-019369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/16
A62C 2/04
F27B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震が発生した場合に焼結工場における設備の稼働を停止させる設備稼働停止システムであって、
前記焼結工場の所定の設備の稼働を停止させる指示を行う停止指示手段を有し、
前記停止指示手段は、前記焼結工場の第1のエリアに含まれる所定の設備と前記焼結工場の第2のエリアに含まれる所定の設備の稼働を、第1の条件が成立した場合に停止させる指示を行う第1の停止指示手段と、
前記第2のエリアに含まれる所定の設備の稼働を、第2の条件が成立した場合に停止させる指示を行う第2の停止指示手段と、
前記焼結工場内において地震による揺れを計測する揺れ計測手段と、
を有し、
前記第1のエリアに含まれる所定の設備は、焼結機で製造された焼結鉱を篩に搬送するベルトコンベヤと、前記ベルトコンベヤよりも下流側に配置される所定の設備を含み、
前記第2のエリアに含まれる所定の設備は、前記ベルトコンベヤよりも上流側に配置される所定の設備を含み、
前記第1の条件と、前記第2の条件は、地震による揺れにより設備が受ける影響を示す条件であり、
前記第1の条件は、前記第2の条件よりも、地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことを示す条件であ
り、
前記地震による揺れにより設備が受ける影響を示す条件は、前記揺れ計測手段により測定された地震による揺れにより定まる条件であり、
前記地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことは、前記揺れ計測手段により測定された前記地震による揺れが大きいことであり、
前記停止指示手段は、前記第2の条件が成立した場合には、前記第1のエリアに含まれる所定の設備の稼働を停止させる指示を行わないことを特徴とする設備稼働停止システム。
【請求項2】
前記第1の条件および前記第2の条件が成立したか否かは、前記揺れ計測手段により計測された揺れに基づいて判定されることを特徴とする請求項1に記載の設備稼働停止システム。
【請求項3】
前記停止指示手段は、前記焼結工場の第3のエリアに含まれる所定の設備と前記第2のエリアに含まれる所定の設備の稼働を、第3の条件が成立した場合に停止させる指示を行う第3の停止指示手段を更に有し、
前記第1の停止指示手段は、前記第1のエリアに含まれる所定の設備と、前記第2のエリアに含まれる所定の設備と、前記第3のエリアに含まれる所定の設備の稼働を、前記第1の条件が成立した場合に停止させる指示を行い、
前記第2のエリアに含まれる所定の設備は、原料槽と、前記原料槽から排出された焼結原料が通過する設備を含み、
前記第3のエリアに含まれる所定の設備は、前記ベルトコンベヤよりも上流側に配置される所定の設備であって、
前記焼結機で発生する排ガスを吸気して煙突に排出するための設備を含む設備であり、
前記第3の条件は、地震による揺れにより設備が受ける影響を示す条件であり、
前記第3の条件は、前記第2の条件よりも、地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことを示し、且つ、前記第1の条件よりも、地震による揺れにより設備が受ける影響が小さいことを示す条件であ
り、
前記停止指示手段は、前記第3の条件が成立した場合には、前記第1のエリアに含まれる所定の設備の稼働を停止させる指示を行わず、前記第2の条件が成立した場合には、前記第3のエリアに含まれる所定の設備の稼働を停止させる指示を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の設備稼働停止システム。
【請求項4】
前記第1の条件、前記第2の条件、および前記第3の条件が成立したか否かは、前記揺れ計測手段により計測された揺れに基づいて判定されることを特徴とする請求項3に記載の設備稼働停止システム。
【請求項5】
前記焼結機で発生する排ガスを吸気して煙突に排出するための設備は、集塵機と、ブロワとを含むことを特徴とする請求項
3または4に記載の設備稼働停止システム。
【請求項6】
前記揺れ計測手段は、震度を計測し、
前記第3の条件が成立することは、前記揺れ計測手段により計測された震度が震度5強または震度5弱であることを特徴とする請求項3~
5の何れか1項に記載の設備稼働停止システム。
【請求項7】
前記第2のエリアに含まれる所定の設備は、原料槽と、焼結原料の造粒を行う造粒設備と、焼結原料から焼結鉱を製造する焼結機と、前記焼結機で製造された焼結鉱を破砕する破砕機と、前記破砕機で破砕された焼結鉱を冷却する冷却機とを含むことを特徴とする請求項1~
6の何れか1項に記載の設備稼働停止システム。
【請求項8】
前記停止指示手段のうち所定の停止指示手段による停止の指示に伴い、前記ベルトコンベヤに対して冷却媒体を供給する設備の起動を指示する起動指示手段を更に有することを特徴とする請求項1~
7の何れか1項に記載の設備稼働停止システム。
【請求項9】
前記所定の停止指示手段は、前記第1の停止指示手段であることを特徴とする請求項
8に記載の設備稼働停止システム。
【請求項10】
前記揺れ計測手段は、震度を計測し、
前記地震による揺れにより設備が受ける影響を示す条件は、前記揺れ計測手段により測定された震度により定まる条件であり、
前記地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことは、震度が大きいことであることを特徴とする請求項1~
9の何れか1項に記載の設備稼働停止システム。
【請求項11】
前記第1の条件が成立することは、前記揺れ計測手段により計測された震度が震度6強または震度6弱であることであり、
前記第2の条件が成立することは、前記揺れ計測手段により計測された震度が震度4であることを特徴とする請求項1
0に記載の設備稼働停止システム。
【請求項12】
地震による揺れに応じた操作が行われる操作手段を更に有し、
前記停止指示手段による前記指示が行われる条件には、地震による揺れに応じた所定の操作が前記操作手段に対して行われることが含まれることを特徴とする請求項1~1
1の何れか1項に記載の設備稼働停止システム。
【請求項13】
前記停止指示手段により稼動の停止が指示された前記焼結工場の所定の設備の稼働を復帰させる指示を行う復帰指示手段を更に有することを特徴とする請求項1~1
2の何れか1項に記載の設備稼働停止システム。
【請求項14】
地震による揺れに応じた操作が行われる操作手段を更に有し、
前記停止指示手段による前記指示が行われる条件には、地震による揺れに応じた所定の第1の操作が前記操作手段に対して行われることが含まれ、
前記復帰指示手段による前記指示は、前記所定の第1の操作が行われた前記操作手段に対して所定の第2の操作が行われた場合に実行されることを特徴とする請求項1
3に記載の設備稼働停止システム。
【請求項15】
地震が発生した場合に焼結工場における設備の稼働を停止させる設備稼働停止方法であって、
前記焼結工場の所定の設備の稼働を停止させる指示を行う停止指示工程を有し、
前記停止指示工程は、前記焼結工場の第1のエリアに含まれる所定の設備と前記焼結工場の第2のエリアに含まれる所定の設備の稼働を、第1の条件が成立した場合に停止させる指示を行う第1の停止指示工程と、
前記第2のエリアに含まれる所定の設備の稼働を、第2の条件が成立した場合に停止させる指示を行う第2の停止指示工程と、を有し、
前記第1のエリアに含まれる所定の設備は、焼結機で製造された焼結鉱を篩に搬送するベルトコンベヤと、前記ベルトコンベヤよりも下流側に配置される所定の設備を含み、
前記第2のエリアに含まれる所定の設備は、前記ベルトコンベヤよりも上流側に配置される所定の設備を含み、
前記第1の条件と、前記第2の条件は、地震による揺れにより設備が受ける影響を示す条件であり、
前記第1の条件は、前記第2の条件よりも、地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことを示す条件であ
り、
前記地震による揺れにより設備が受ける影響を示す条件は、前記焼結工場内において地震による揺れを計測する揺れ計測手段により測定された地震による揺れにより定まる条件であり、
前記地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことは、前記揺れ計測手段により測定された前記地震による揺れが大きいことであり、
前記停止指示工程は、前記第2の条件が成立した場合には、前記第1のエリアに含まれる所定の設備の稼働を停止させる指示を行わないことを特徴とする設備稼働停止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備稼働停止システムおよび設備稼動停止方法に関し、特に、地震の発生時に、焼結工場における設備の稼動を停止させるために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
製造工場において地震が発生した場合、製造工場における設備の稼動を止めないと、設備および作業者の安全を確保することができない場合がある。また、製造工場における設備の被害により、製造工場の外部に被害が広がる虞もある。従って、製造工場において地震が発生した場合に、製造工場における設備の稼動を止めるための技術が求められる。この種の技術として、特許文献1に記載の技術がある。
【0003】
特許文献1に記載の技術には、気象庁から配信される地震速報データから対象サイトの地震動の強さを推定し、当該地震動の強さにおいて、対象サイトの設備の稼動を停止させた場合の損失額が、対象サイトの設備の稼動を停止させない場合の損失額よりも少ない場合に、当該対象サイトの設備の稼動を停止させ、そうでない場合に、当該対象サイトの設備の稼動を停止させないことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、製鉄所における焼結工場では、高温の環境下で連続的に原料を処理し、且つ、様々な設備が用いられる。このため、焼結工場における設備の稼動を停止させるために、特許文献1に記載の対象サイトを焼結工場とすることが考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、対象サイトの設備の稼動を停止させた場合の損失額と、対象サイトの設備の稼動を停止させない場合の損失額とを見積もる必要がある。前述したように焼結工場には多くの設備があること等から、このような損失額を正確に見積もることは容易ではない。また、設備の稼働を停止させるか否かは、前述したように、損失額といった経済的な指標のみならず、安全の観点も考慮して決定する必要がある。また、特許文献1に記載の技術では、対象サイトに含まれる全ての設備の稼動を停止させる。このため、停止が不要な設備の稼動も停止させる虞がある。以上のように、特許文献1に記載の技術では、地震が発生した場合に、焼結工場の設備の稼動を適切に停止させることが容易ではないという問題点がある。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、地震が発生した場合に、焼結工場の設備の稼動を適切に停止させることがすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の設備稼働停止システムは、地震が発生した場合に焼結工場における設備の稼働を停止させる設備稼働停止システムであって、前記焼結工場の所定の設備の稼働を停止させる指示を行う停止指示手段を有し、前記停止指示手段は、前記焼結工場の第1のエリアに含まれる所定の設備と前記焼結工場の第2のエリアに含まれる所定の設備の稼働を、第1の条件が成立した場合に停止させる指示を行う第1の停止指示手段と、前記第2のエリアに含まれる所定の設備の稼働を、第2の条件が成立した場合に停止させる指示を行う第2の停止指示手段と、前記焼結工場内において地震による揺れを計測する揺れ計測手段と、を有し、前記第1のエリアに含まれる所定の設備は、焼結機で製造された焼結鉱を篩に搬送するベルトコンベヤと、前記ベルトコンベヤよりも下流側に配置される所定の設備を含み、前記第2のエリアに含まれる所定の設備は、前記ベルトコンベヤよりも上流側に配置される所定の設備を含み、前記第1の条件と、前記第2の条件は、地震による揺れにより設備が受ける影響を示す条件であり、前記第1の条件は、前記第2の条件よりも、地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことを示す条件であり、前記地震による揺れにより設備が受ける影響を示す条件は、前記揺れ計測手段により測定された地震による揺れにより定まる条件であり、前記地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことは、前記揺れ計測手段により測定された前記地震による揺れが大きいことであり、前記停止指示手段は、前記第2の条件が成立した場合には、前記第1のエリアに含まれる所定の設備の稼働を停止させる指示を行わないことを特徴とする。
【0008】
本発明の設備稼働停止方法は、地震が発生した場合に焼結工場における設備の稼働を停止させる設備稼働停止方法であって、前記焼結工場の所定の設備の稼働を停止させる指示を行う停止指示工程を有し、前記停止指示工程は、前記焼結工場の第1のエリアに含まれる所定の設備と前記焼結工場の第2のエリアに含まれる所定の設備の稼働を、第1の条件が成立した場合に停止させる指示を行う第1の停止指示工程と、前記第2のエリアに含まれる所定の設備の稼働を、第2の条件が成立した場合に停止させる指示を行う第2の停止指示工程と、を有し、前記第1のエリアに含まれる所定の設備は、焼結機で製造された焼結鉱を篩に搬送するベルトコンベヤと、前記ベルトコンベヤよりも下流側に配置される所定の設備を含み、前記第2のエリアに含まれる所定の設備は、前記ベルトコンベヤよりも上流側に配置される所定の設備を含み、前記第1の条件と、前記第2の条件は、地震による揺れにより設備が受ける影響を示す条件であり、前記第1の条件は、前記第2の条件よりも、地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことを示す条件であり、前記地震による揺れにより設備が受ける影響を示す条件は、前記焼結工場内において地震による揺れを計測する揺れ計測手段により測定された地震による揺れにより定まる条件であり、前記地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことは、前記揺れ計測手段により測定された前記地震による揺れが大きいことであり、前記停止指示工程は、前記第2の条件が成立した場合には、前記第1のエリアに含まれる所定の設備の稼働を停止させる指示を行わないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地震が発生した場合に、焼結工場の設備の稼動を適切に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】焼結工場のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】管理装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【
図4】停止スイッチの外観構成の一例を示す図である。
【
図5】停止スイッチの操作の方法の一例を説明する図である。
【
図6】設備稼働停止方法の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。尚、説明および表記の都合上、各図における構成の一部を、必要に応じて、省略化、簡略化、またはデフォルメ化している。また、本実施形態において、設備とは、稼動の停止対象となるものである。
【0013】
<焼結プロセスの概要>
図1は、焼結プロセスの概要の一例を示す図である。
図1において、白抜きの矢印は、焼結原料または焼結鉱が搬送される方向を示す。尚、焼結鉱を製造する製造設備は、公知の技術で実現することができるので、ここでは、その概略を示し、その詳細な説明を省略する。また、焼結プロセスは、
図1に示すものに限定されない。
【0014】
図1において、複数の原料槽10には、それぞれ焼結原料(鉱石および成分調整副原料)および凝結材が装入される。それぞれの原料槽10に装入される焼結原料は、同じものであっても異なるものであっていてもよい。所望の原料槽10から所望の量の焼結原料が切り出される。原料槽10から切り出された焼結原料および凝結材は、不図示のベルトコンベヤにより、ドラムミキサー11まで搬送され、ドラムミキサー11内に入れられる。ドラムミキサー11には水が供給される。ドラムミキサー11が回転することにより、焼結原料に水分が可及的に均一に行き渡らせるようにする。このようにして水分が与えられた焼結原料および凝結材は、ドラムミキサー12内に入れられる。ドラムミキサー12には凝結材の一つとして粉コークスが供給される場合がある。ドラムミキサー12が回転することにより、焼結原料と粉コークスを含む凝結材とが攪拌され可及的に均一に分布するようにする。このようにして粉コークスおよび水が与えられた焼結原料および凝結材は、焼結機20に給鉱される。尚、粉コークスは、原料槽10から与えられても、原料槽10以外から与えられていてもよい。また、凝結材に粉コークスが含まれるため、ドラムミキサー12に粉コークスを改めて供給しなくてもよい。以下では、説明を簡単にするため、凝結材を粉コークスとして説明する。
【0015】
図1において、焼結機20は、複数のパレット21からなるパレット群と、原料供給ホッパー22と、点火炉23と、ウインドボックス24と、サブゲート装置25と、吸気管26と、駆動ローラ27a、27bと、を有する。
【0016】
焼結機20の基本的な操業の一例を説明すると、パレット群は、焼結原料を積載して搬送する複数のパレット21を焼結機20の長手方向に移動可能に連結して構成される。
図1に示すように、各パレット21は、先端と後端とが連接されて全体として無端帯状になっており、駆動ローラ27a、27bの回転に従ってエンドレスに焼結機20内を周回する。
図1では、駆動ローラ27a、27bが時計回りに回転することによって、パレット群は時計回りに周回している(焼結機20の左右に付されている矢印線は、駆動ローラ27a、27b、即ちパレット群の周回方向を示す)。
【0017】
パレット群の周回中、各パレット21に原料供給ホッパー22から焼結原料および粉コークスが供給され、焼結原料および粉コークスの搬送が開始される。このとき、原料供給ホッパー22の下部に設けられているサブゲート装置25により、パレット21の幅方向に対応する方向の切出量を調整する。これにより、パレット21の内部に積載された焼結原料の高さ(層厚)を調整することができる。パレット21の内部に積載された焼結原料の上部が点火炉23により着火されると共に、ウインドボックス24および吸気管26を介してブロワにより下方に排ガスとして吸気される。排ガスは、吸気管26を通って集塵機28に送られる。集塵機28は、例えば、電気集塵機である。ブロワ29は、所謂メインブロワと称されるものであり、排ガスの吸気を行うためのものである。
【0018】
焼結機20は、以上のようにしてパレット群が移動する間に焼結層の上側表面から下方に燃焼帯を進行させ、焼結鉱を連続的に製造する。焼結鉱排鉱部にパレット21が到達すると、製造された焼結鉱は、パレット21から排出される。そして、焼結鉱が排出されたパレット21は、原料供給ホッパー22まで周回して搬送される。
【0019】
パレット21から排出された焼結鉱は、焼結鉱排鉱部の直下に配置される破砕機30に供給される。焼結鉱は、破砕機30により破砕される。これにより焼結鉱の粒度(粒径)が調整される。粒度が調整された焼結鉱は、破砕機30の下方に配置される冷却機40に漏斗状のシュートを介して供給され、冷却される。冷却機40は、例えば、台車と、当該台車が周回するレールと、送風機と、を有する。焼結鉱が積載された台車を周回させている間に焼結鉱に対して冷風を吹き付けることにより焼結鉱を冷却する。また、冷風と焼結鉱との熱交換により発生した熱風は、吸気管60を介してボイラー設備70に供給される。ボイラー設備70は、冷却機40から供給された熱風を利用して水蒸気や温水を生成する。
【0020】
冷却機40で冷却された焼結鉱は、不図示のベルトコンベヤにより篩50まで搬送される。焼結鉱は、篩50にかけられる。これにより、高炉に供給される焼結鉱が選別される。高炉に供給される焼結鉱として選別された焼結鉱は、ベルトコンベヤおよびトリッパーにより搬送され、高炉の鉱石槽内に装入される。
【0021】
<焼結工場の概要>
図2は、焼結工場Pのレイアウトの一例を示す図である。
図2では、表記の都合上、
図1に示したものと同一のものを
図1とは異なる符号で示す。
図2において、本実施形態では、焼結工場Pは、設備の稼動を停止させる単位として、第1のエリア100と第2のエリア200と第3のエリア300とに区分される。第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300は、焼結工場Pにおいて物理的に区切られたエリアではなく、仮想的なエリアである。
【0022】
詳細は後述するが、第1のエリア100に含まれる所定の設備の稼働を停止する指示を行う際には、第2のエリア200に含まれる所定の設備と第3のエリア300に含まれる所定の設備を停止する指示も行う。第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼働を停止する指示を行う際には、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を停止する指示も行う。この際、第1のエリア100に含まれる所定の設備の稼動は停止しない。第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼働を停止する指示を行う際には、第1のエリア100に含まれる所定の設備に含まれる所定の設備と、第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動は停止しない。
【0023】
本実施形態では、第2のエリア200に含まれる所定の設備は、原料槽210と、原料槽210から排出された焼結原料が通過する設備を含む。
図2に示す例では、第2のエリア200に含まれる所定の設備は、原料槽210と、ベルトコンベヤ220と、造粒設備230と、ベルトコンベヤ240と、焼結機250と、破砕機260と、冷却機270と、ボイラー設備280と、を含む。
図2に示す例では、ベルトコンベヤ220、造粒設備230、ベルトコンベヤ240、焼結機250、破砕機260、および冷却機270が、原料槽210から排出された焼結原料が通過する設備である。
【0024】
原料槽210は、
図1に示した原料槽10に対応する。ベルトコンベヤ220は、原料槽10から造粒設備230に焼結原料および粉コークスを搬送するためのものである。造粒設備230は、焼結原料および粉コークスの造粒を行うための設備であり、ドラムミキサー11、12を有する。ベルトコンベヤ240は、造粒設備230から焼結機250に焼結原料および粉コークスを搬送するためのものである。焼結機250は、
図1に示した焼結機20に対応する。尚、ここでは、焼結機250の付帯設備(例えば、燃料ガスおよび燃焼エアを点火炉23に供給するためのガスブロワ等の設備)も焼結機250に含まれるものとする。破砕機260、冷却機270、ボイラー設備280は、それぞれ、
図1に示した破砕機30、冷却機40、ボイラー設備70に対応する。
【0025】
第3のエリア300に含まれる所定の設備は、第1のエリア100にも第2のエリア200にも含まれない所定の設備である。本実施形態では、第3のエリア300に含まれる所定の設備は、焼結機250で発生する排ガスを吸気して煙突700に排出するための設備と粉コークスを製造するための設備とを含む。
図2に示す例では、第3のエリア300に含まれる所定の設備は、集塵機310と、ブロワ320と、粉コークス製造設備330と、を含む。集塵機310、ブロワ320は、それぞれ、
図1に示した集塵機28、ブロワ29に対応する。尚、第3のエリア300に含まれる所定の設備として、集塵機310の前または後に脱硫・脱硝設備を更に含めてもよい。
【0026】
粉コークス製造設備330は、高炉篩下で発生した塊コークスを粉砕して粉コークスにするための設備である。ベルトコンベヤ340は、粉コークス製造設備330から原料槽210に粉コークスを搬送させるためのものである。ここでは、粉コークス製造設備330から原料槽210に粉コークスを搬送する場合を例に挙げて示す。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、粉コークス製造設備330から、原料槽210を経由せずに造粒設備230に粉コークスを搬送してもよい。尚、前述したように、第2のエリア200に含まれる所定の設備は、原料槽210と、原料槽210から排出された焼結原料が通過する設備を含む。粉コークス製造設備330およびベルトコンベヤ340は、原料槽210から排出された焼結原料が通過する設備ではない。
【0027】
本実施形態では、第1のエリア100に含まれる所定の設備は、焼結機250で製造された(破砕機260および冷却機270を通過した)焼結鉱を、焼結鉱を分級するための篩設備120に搬送するベルトコンベヤ110と、ベルトコンベヤ110よりも下流側に配置される所定の設備を含む。
図2に示す例では、第1のエリア100に含まれる所定の設備は、ベルトコンベヤ110と、篩設備120と、ベルトコンベヤ130と、トリッパー設備140と、を含む。
【0028】
ベルトコンベア110は、冷却機270から篩設備120に焼結鉱を搬送するためのものである。篩設備120は、
図1に示した篩50に対応する。尚、篩50の数は複数あってもよい。ベルトコンベヤ130は、篩設備120からトリッパー設備140に焼結鉱を搬送するためのものである。トリッパー設備140は、ホッパーとトリッパーとを有し、ベルトコンベヤ130で搬送された焼結鉱を、ホッパーを介してトリッパー内に積載し、焼結鉱が積載されたトリッパーを移動させて高炉の鉱石槽に搬送する。
以上のように、第2のエリア200に含まれる所定の設備と、第3のエリア300に含まれる所定の設備は、ベルトコンベヤ110よりも上流側に配置される所定の設備である。
【0029】
図2に示す例では、焼結工場Pには、第1~第3のエリア100、200、300外に、散水設備400および管理室500がある。
散水設備400は、ベルトコンベヤ110の下流部において、ベルトコンベヤ110の上方からベルトコンベヤ110(に載っている焼結鉱)に水をかけるためのものである。尚、ベルトコンベヤ110は、下流側から上流側に向けて下り勾配となっている。従って、散水設備400から供給される水は、ベルトコンベヤ110(に載っている焼結鉱)の上流側に伝わるようになっている。また、散水設備400は、非常用の電源設備(例えば、自動起動式のディーゼル発電機)を有する。従って、散水設備400は、外部からの電力の供給を受けなくても、非常用の電源設備により稼動することが可能である。尚、ベルトコンベヤ110(に載っている焼結鉱)を冷却することができる冷却媒体を供給していれば、冷却媒体は必ずしも水でなくてもよい。例えば、冷却媒体として氷、消火剤、または消化液を用いてもよい。
【0030】
管理室500には、焼結工場Pにおける操業を管理するための管理装置510が配置されている。詳細は後述するが、管理装置510は、稼動の停止を指示する信号を生成し、稼動の停止対象の設備の制御装置に出力する。この信号を受信した制御装置は、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を停止させる。また、管理装置510は、第3のエリア300に含まれる所定の設備に所定の設備への電力の供給を停止させる場合には、散水設備400の非常用の電源設備の起動を指示する。これにより、散水設備400は自動的に稼動する。また、本実施形態では、管理室500には、震度を計測する震度計測装置520が配置されている。震度計測装置520は、揺れ計測手段の一例である。本実施形態では、震度計測装置520は、例えば、震度計である。
【0031】
<焼結工場Pにおいて稼動停止範囲を分ける理由>
前述したように焼結工場Pの後工程には高炉がある。高炉は反応炉(容器)であり、直ぐに停止させることができない。これに対し、前述したように焼結工場Pでは、複数の設備が連動することにより動作する。従って、焼結工場Pでは、上流にある設備から順番(または同時)に稼動を停止させることができる。このことから、本発明者らは、焼結工場Pにおいては、安全・環境・防災の観点から、稼動を停止する設備をエリア毎に定め、地震による揺れ(振動)により設備が受ける影響の大きさに応じて、上流側のエリアにある設備から稼働を停止することにより、焼結工場Pの設備の稼動を適切に停止させることができるという知見を得た。本実施形態では、このような知見に基づき、焼結工場Pにおける各設備を、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に分ける。
【0032】
以下に、焼結工場Pにおける各設備を、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に分ける理由について説明する。本実施形態では、地震による揺れ(振動)により設備が受ける影響の程度を、3段階に分ける。本実施形態で想定する製鉄所では、震度4、5、6の地震による揺れを設備が受ける場合の3段階に、地震による揺れにより設備が受ける影響の程度を分ける場合を例に挙げて説明する。
【0033】
まず、第1のエリア100について説明する。
前述したようにベルトコンベヤ110では、冷却機270で冷却された焼結鉱を搬送する。従って、ベルトコンベヤ110に焼結鉱が載せられた状態でベルトコンベヤ110の稼動が停止しても、焼結鉱の熱によりベルトコンベヤ110が発火することはないとも考えられる。しかしながら、このような焼結鉱であっても、表面付近だけが冷却され、内部は高温のままであることがある。地震の発生によりベルトコンベヤ110の稼動を停止させる場合、このような焼結鉱がベルトコンベヤ110上で割れ、高温の内部が露出した状態になる虞がある。そうすると、周囲の焼結鉱が加熱され、その結果、ベルトコンベヤ110も加熱する。そして、ベルトコンベヤ110の温度が、ベルトコンベヤ110の耐熱温度を上回ると、ベルトコンベヤ110が発火する虞がある。地震が発生すると、ベルトコンベヤ110に載せられた焼結鉱が振動するのでこのようなリスクが高まる。
【0034】
そこで、本実施形態では、震度4、5の地震が発生しても、ベルトコンベヤ110の稼動を停止させないようにして、逆に安全性を高めるようにする。一般に、安全の確保の観点からは、地震が発生した場合には、設備を停止させた方が好ましい。これに対し、本実施形態では、このような発想とは逆の発想を採用する。
【0035】
ただし、震度6の地震が発生し、作業者が直ぐに退避しなければいけない状況である場合には、ベルトコンベヤ110の稼動を停止させる必要がある。安全を確保する目的で稼動させる設備ではない設備を作業者がいない状況で稼動させ続けることは、地震の発生とは無関係に安全の確保の観点から好ましくないからである。この場合、ベルトコンベヤ110の発火を確実に防ぐために、散水設備400によりベルトコンベヤ110上の焼結鉱に水をかけるようにする。前述したように散水設備400は、非常用の電源設備で稼動するものであり、ベルトコンベヤ110よりも下流側に配置される設備であるが、第1のエリア100に含まれない。尚、散水設備400は、安全を確保する目的で稼動させる設備であるため、作業者がいない状況でも稼動させる。
【0036】
この他、ベルトコンベヤ110の上に多量の焼結鉱がある状態でベルトコンベヤ110の稼動を停止させると、ベルトコンベヤ110の復旧に時間がかかることも、震度4、5の地震の発生時にベルトコンベヤ110の稼動の停止させないことの理由である。尚、ベルトコンベヤ130には、篩設備120を通過した後の焼結鉱が載せられるので、当該焼結鉱の温度は、低くなっており、ベルトコンベヤ110のような発火の可能性は低い。
【0037】
ベルトコンベヤ110の稼動を停止させない場合に、ベルトコンベヤ110よりも下流側の設備の稼動を停止させると、焼結鉱がベルトコンベヤ110の出口付近に溜まる。そこで、ベルトコンベヤ110の稼動を停止させる場合には、ベルトコンベヤ110よりも下流側の設備の稼動も停止させる。
以上のような理由から、第1のエリア100には、ベルトコンベヤ110と、ベルトコンベヤ110よりも下流側に配置される所定の設備が含まれるようにする。
【0038】
次に、第2のエリア200について説明する。
震度4の地震が発生すると、冷却機270の台車や、焼結機250のパレット21が脱輪する虞がある。従って、震度4の地震が発生した場合には、焼結機250および冷却機270の稼動を停止させることが好ましい。焼結機250および冷却機270の稼動を停止させる場合には、焼結機250および冷却機270よりも上流側の設備の稼動を停止させないと、焼結原料および粉コークスは焼結機250の入口付近に溜まる。また、高温の焼結鉱が冷却機270の入口付近に溜まる。一方、粉コークス製造設備330は、粉コークスの製造量に対して、貯留量に余裕があることが多い。そこで、本実施形態では、粉コークス製造設備330は、第2のエリア200に含めない。
以上のような理由から、第2のエリア200には、原料槽210と、原料槽210から排出された焼結原料が通過する設備が含まれるようにする。また、冷却機270の稼働を停止することから、冷却機270の稼動の停止と共にボイラー設備280の稼動も停止させる。従って、ボイラー設備280も第2のエリア200に含まれるようにする。
【0039】
次に、第3のエリア300について説明する。
集塵機310として電気集塵機が用いられることが多い。電気集塵機は、放電電極と集塵電極とを有する。電気集塵機は、放電電極でコロナ放電を発生させて、排ガスに含まれる微粒子を帯電させ、静電力により集塵電極に付着させる。震度4の地震では、地震により生じる集塵電極の振動(の振幅)は小さい。このため、放電電極と集塵電極とが短絡する可能性は低い。また、ブロワ320は、震度4程度の地震では、異常な動作を起こす可能性は低い。一方、震度5の地震が発生すると、地震により生じる集塵電極の振動(の振幅)が大きくなるため、放電電極と集塵電極とが短絡する可能性が高まる。また、仮に、放電電極と集塵電極とが短絡した場合に、ブロワ320の稼動を停止させていないと、煙突700から赤煙が発生する虞がある。
【0040】
粉コークス製造設備330は、第2のエリア200に含めてもよいが、前述したように、粉コークスの製造量に対して、貯留量に余裕があることが多い。そこで、本実施形態では、粉コークス製造設備330およびベルトコンベヤ340は、第3のエリア300に含める。
以上のような理由から、第3のエリア300には、第1のエリア100にも第2のエリア200にも含まれない所定の設備として、焼結機250で発生する排ガスを吸気して煙突700に排出するための設備と粉コークスを製造するための設備とが含まれるようにする。
【0041】
<管理装置510の構成>
次に、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動をエリア毎に停止させるための管理装置510の構成の一例を説明する。
図3は、管理装置510の機能的な構成の一例を示す図である。管理装置510のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備えた情報処理装置、または専用のハードウェアを用いることにより実現される。尚、管理装置510は、焼結工場P全体を管理する装置であり、以下に説明する機能以外の機能も有するが、当該機能は公知の技術で実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0042】
<<操作入力判定部511>>
操作入力判定部511は、作業者による停止スイッチSW1、SW2、SW3の操作の内容を判定する。本実施形態では、操作入力判定部511は、停止スイッチSW1、SW2、SW3がオンの状態であるかオフの状態であるかを判定する。
図4は、停止スイッチSW1、SW2、SW3の外観構成の一例を示す図である。
図4において、停止スイッチSW1は、震度計測装置520により震度6の地震が発生したことが計測された場合に作業者により操作させるスイッチである。停止スイッチSW1の手前には、停止スイッチSW1が、震度6の地震が発生したときに操作すべきスイッチであることを作業者に容易に認識させるための表示がなされている(
図4の「非常停止 (震度6)」を参照)。
【0043】
停止スイッチSW2は、震度計測装置520により震度4の地震が発生したことが計測された場合に作業者により操作させるスイッチである。停止スイッチSW2の手前には、停止スイッチSW2が、震度4の地震が発生したときに操作すべきスイッチであることを作業者に容易に認識させるための表示がなされている(
図4の「非常停止 (震度4)」を参照)。
【0044】
停止スイッチSW3は、震度計測装置520により震度5の地震が発生したことが計測された場合に作業者により操作させるスイッチである。停止スイッチSW3の手前には、停止スイッチSW3が、震度5の地震が発生したときに操作すべきスイッチであることを作業者に容易に認識させるための表示がなされている(
図4の「非常停止 (震度5)」を参照)。
【0045】
図5は、停止スイッチSW1の操作の方法の一例を説明する図である。尚、停止スイッチSW2、SW3の操作の方法は、停止スイッチSW1の操作の方法と同じであるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
図5において、停止スイッチSW1は、基部Bと、ボタンPと、カバーCとを有する。基部BとカバーCは連結部Jで連結されている。カバーCは、連結部Jを支点として基部Bに対して回動可能になっている。また、カバーCは、透明な部材で構成されている。このようにすることにより、ボタンPの状態を外部から視認することが可能となる。
図5の上から一番目の図に示すように、カバーCが閉じられている状態では、基部Bの上方はカバーCにより覆われる。
図5の上から二番目~四番目の図に示すように、カバーCが開けられている状態では、基部Bの上方は開放される。
【0046】
基部Bの上面は、ボタンPを配置するために開口している。ボタンPは、上側の一部の領域が基部Bの上面から突出し、下側の一部の領域が基部Bの内部に位置するように配置される。
図5の上から一番目~二番目の図に示す状態は、停止スイッチSW1がオフの状態である。
図5の上から二番目の図に示すように、停止スイッチSW1がオフの状態で、作業者がカバーCを開けてボタンPを押し(
図5の上から二番目の図の白抜きの矢印線を参照)、
図5の上から三番目の図に示すように、ボタンPが所定の第1の位置まで押されると、停止スイッチSW1はオンの状態になる。ボタンPが所定の第1の位置まで押されると、ボタンPの位置は当該第1の位置で維持され、停止スイッチSW1がオンの状態が維持される。ボタンPの位置が所定の第1の位置の状態で作業者がボタンPを当該第1の位置よりも深い第2の位置までボタンPを押すと(
図5の上から三番目の図の白抜きの矢印線を参照)、
図5の上から四番目の図に示すように、ボタンPの位置は元の位置に戻り、停止スイッチSW1はオフの状態に戻る。この状態でカバーCが閉められると、
図5の上から一番目の図に示す状態になる。
【0047】
作業者は、震度計測装置520が、震度6の地震の発生を報知している場合、停止スイッチSW1のカバーCを開けて停止スイッチSW1をオンの状態にする。同様に、作業者は、震度計測装置520が、震度5、4の地震の発生を報知している場合、それぞれ、停止スイッチSW2、SW3のカバーCを開けて停止スイッチSW2、SW3をオンの状態にする。その後、地震がおさまり、設備の検査等の結果に基づいて、設備の稼動を再開することができるようになると、作業者は、オンの状態とした停止スイッチSW1、SW2、またはSW3をオフの状態に戻す。
尚、ここでは、停止スイッチSW1、SW2、SW3が押しボタンである場合を例に挙げて示すが、停止スイッチSW1は、押しボタンに限定されない。停止スイッチSW1、SW2、SW3は、例えば、レバーであってもよい。
【0048】
<<信号生成部512>>
信号生成部512は、設備の稼動の停止を指示する信号と、設備の稼動の復帰を指示する信号と、散水設備400の起動を指示する信号と、散水設備400の稼動の停止を指示する信号と、を生成する。以下の説明では、設備の稼動の停止を指示する信号を、必要に応じて、稼動停止指示信号と称する。稼動停止指示信号の内容は、操作入力判定部511によりオンの状態であると判定された停止スイッチSW1、SW2、またはSW3に応じて定められる。また、設備の稼動の復帰を指示する信号を、必要に応じて、稼動復帰指示信号と称する。稼動復帰指示信号の内容は、操作入力判定部511によりオンの状態からオフの状態に戻されたと判定された停止スイッチSW1、SW2、またはSW3に応じて定められる。また、散水設備400の起動を指示する信号を、必要に応じて、散水起動指示信号と称する。散水設備400の稼動の停止を指示する信号を、必要に応じて、散水停止指示信号と称する。
【0049】
本実施形態では、停止スイッチSW1がオンの状態にされたと判定された場合、信号生成部512は、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止することを示す稼動停止指示信号を生成する。このとき、信号生成部512は、散水起動指示信号を生成する。
停止スイッチSW2がオンの状態にされたと判定された場合、信号生成部512は、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を停止することを示す稼動停止指示信号を生成する。
停止スイッチSW3がオンの状態とされたと判定された場合、信号生成部512は、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止することを示す稼動停止指示信号を生成する。
【0050】
また、本実施形態では、停止スイッチSW1がオンの状態からオフの状態に戻されたと判定された場合、信号生成部512は、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を復帰させることを示す稼動復帰指示信号を生成する。このとき、信号生成部512は、散水停止指示信号を生成する。
停止スイッチSW2がオンの状態からオフの状態に戻されたと判定された場合、信号生成部512は、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を復帰させることを示す稼動復帰指示信号を生成する。
停止スイッチSW3がオンの状態からオフの状態に戻されたと判定された場合、信号生成部512は、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を復帰させることを示す稼動復帰指示信号を生成する。
【0051】
<<信号出力部513>>
信号出力部513は、信号生成部512により信号が生成されると、当該信号を、当該信号に応じた出力先に出力する。
本実施形態では、信号出力部513は、信号生成部512により稼動停止指示信号が生成されると、当該稼動停止指示信号を、当該稼動停止指示信号により稼動を停止する設備の制御装置に出力する。また、信号出力部513は、信号生成部512により散水起動指示信号が生成されると、当該散水起動信号を、散水設備400の非常用の電源設備に出力する。
【0052】
また、信号出力部513は、信号生成部512により稼動復帰指示信号が生成されると、当該稼動復帰指示信号を、当該稼動復帰指示信号により稼動を復帰させる設備の制御装置に出力する。また、信号出力部513は、信号生成部512により散水停止指示信号が生成されると、当該散水停止信号を、散水設備400の非常用の電源設備に出力する。
【0053】
本実施形態では、信号出力部513は、稼動停止指示信号が、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止することを示す信号である場合、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に、当該稼動停止指示信号を送信する。第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動停止指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を停止させる。また、信号出力部513は、散水起動指示信号を、散水設備400の非常用の電源設備に送信する。散水設備400の非常用の電源設備は、当該散水起動指示信号を受信すると、散水設備400を起動させる。
【0054】
また、信号出力部513は、稼動停止指示信号が、第2のエリア200に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に、当該稼動停止指示信号を送信する。第2のエリア200に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動停止指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を停止させる。
また、信号出力部513は、稼動停止指示信号が、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止することを示す信号である場合、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に、当該稼動停止指示信号を送信する。第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動停止指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を停止させる。
【0055】
また、信号出力部513は、稼動復帰指示信号が、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を復帰させることを示す信号である場合、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に、当該稼動復帰指示信号を送信する。第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動復帰指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を復帰させる。このとき、信号出力部513は、散水停止指示信号を、散水設備400の非常用の電源設備に送信する。散水設備400の非常用の電源設備は、当該散水停止指示信号を受信すると、散水設備400を停止させる。
【0056】
また、信号出力部513は、稼動復帰指示信号が、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を復帰させることを示す信号である場合、第2のエリア200に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に、当該稼動復帰指示信号を送信する。第2のエリア200に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動復帰指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を復帰させる。
また、信号出力部513は、稼動復帰指示信号が、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を復帰させることを示す信号である場合、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に、当該稼動復帰指示信号を送信する。第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動復帰指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を復帰させる。
以上のように本実施形態では、管理装置510および震度計測装置520を用いることにより設備稼働停止システムの一例が実現される。
【0057】
<フローチャート>
次に、
図6のフローチャートを参照しながら、管理装置510および震度計測装置520を用いた設備稼働停止方法の一例を説明する。
まず、ステップS601において、操作入力判定部511は、停止スイッチSW1、SW2、またはSW3の作業者による操作があるまで待機する。停止スイッチSW1、SW2、またはSW3の作業者による操作があると、処理はステップS602に進む。
【0058】
処理がステップS602に進むと、操作入力判定部511は、停止スイッチSW1、SW2、またはSW3がオンの状態になったか否かを判定する。
次に、ステップS603において、操作入力判定部511は、停止スイッチSW1がオンの状態になったか否かを判定する。この判定の結果、停止スイッチSW1がオンの状態になった場合、処理は、ステップS604に進む。
【0059】
処理がステップS604に進むと、信号生成部512は、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止することを示す稼動停止指示信号と、散水起動指示信号とを生成する。そして、信号出力部513は、当該稼動停止指示信号を、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に送信する。第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動停止指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を停止させる。また、信号出力部513は、散水起動指示信号を、散水設備400の非常用の電源設備に送信する。散水設備400の非常用の電源設備は、当該散水起動指示信号を受信すると、散水設備400を起動させる。
そして、
図6のフローチャートによる処理が終了する。
【0060】
以上のように本実施形態では、例えば、震度6の地震が発生して、停止スイッチSW1がオンの状態になることにより第1の条件が成立し、信号生成部512および信号出力部513によりステップS604の処理が実行されることにより第1の停止指示手段・工程および起動指示手段の一例が実現される。このように、本実施形態では、例えば、停止スイッチSW1がオンの状態になることが、操作手段に対して所定の操作が行われることに対応する。
【0061】
ステップS603において、停止スイッチSW1がオンの状態になっていないと判定された場合、処理はステップS605に進む。処理がステップS605に進むと、操作入力判定部511は、停止スイッチSW3がオンの状態になったか否かを判定する。この判定の結果、停止スイッチSW3がオンの状態になった場合、処理は、ステップS606に進む。
【0062】
処理がステップS606に進むと、信号生成部512は、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止することを示す稼動停止指示信号を生成する。そして、信号出力部513は、当該稼動停止指示信号を、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に送信する。第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動停止指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を停止させる。そして、
図6のフローチャートによる処理が終了する。
【0063】
以上のように本実施形態では、例えば、震度5の地震が発生して、停止スイッチSW3がオンの状態になることにより第3の条件が成立し、信号生成部512および信号出力部513によりステップS606の処理が実行されることにより第3の停止指示手段の一例が実現される。このように、本実施形態では、例えば、停止スイッチSW3がオンの状態になることが、操作手段に対して所定の操作が行われることに対応する。
【0064】
ステップS605において、停止スイッチSW3がオンの状態になっていないと判定された場合、処理はステップS607に進む。処理がステップS607に進むと、この場合、停止スイッチSW2がオンの状態になっている。そこで、ステップS607において、信号生成部512は、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を停止することを示す稼動停止指示信号を生成する。そして、信号出力部513は、当該稼動停止指示信号を、第2のエリア200に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に送信する。第2のエリア200に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動停止指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を停止させる。そして、
図6のフローチャートによる処理が終了する。
【0065】
以上のように本実施形態では、例えば、震度4の地震が発生して、停止スイッチSW2がオンの状態になることにより第2の条件が成立し、信号生成部512および信号出力部513によりステップS607の処理が実行されることにより第2の停止指示手段・工程の一例が実現される。このように、本実施形態では、例えば、停止スイッチSW2がオンの状態になることが、操作手段に対して所定の操作が行われることに対応する。
【0066】
ステップS602において、停止スイッチSW1、SW2、またはSW3がオンの状態になっていない場合、処理はステップS608に進む。処理がステップS608に進むと、操作入力判定部511は、停止スイッチSW1、SW2、またはSW3がオンの状態からオフの状態に戻ったか否かを判定する。この判定の結果、停止スイッチSW1、SW2、またはSW3がオンの状態からオフの状態に戻っていない場合、処理はステップS601に戻る。
【0067】
一方、停止スイッチSW1、SW2、またはSW3がオンの状態からオフの状態に戻った場合、処理はステップS609に進む。処理がステップS609に進むと、操作入力判定部511は、停止スイッチSW1がオンの状態からオフの状態に戻ったか否かを判定する。この判定の結果、停止スイッチSW1がオンの状態からオフの状態に戻った場合、処理はステップS610に進む。
【0068】
処理がステップS610に進むと、信号生成部512は、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を復帰させることを示す稼動復帰指示信号と、散水停止指示信号とを生成する。信号出力部513は、当該稼動復帰指示信号を、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に送信する。第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動復帰指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を復帰させる。また、信号出力部513は、散水停止指示信号を、散水設備400の非常用の電源設備に送信する。散水設備400の非常用の電源設備は、当該散水停止指示信号を受信すると、散水設備400を停止させる。そして、
図6のフローチャートによる処理が終了する。
【0069】
以上のように本実施形態では、例えば、信号生成部512および信号出力部513によりステップS610の処理が実行されることにより復帰指示手段の一例が実現される。また、例えば、停止スイッチSW1をオンの状態にすることが、操作手段に対して所定の第1の操作が行われることに対応し、停止スイッチSW1をオンの状態からオフの状態に戻すことが、所定の第1の操作が行われた操作手段に対して所定の第2の操作が行われることに対応する。
【0070】
ステップS609において、停止スイッチSW1がオンの状態からオフの状態に戻っていないと判定された場合、処理はステップS611に進む。処理がステップS611に進むと、操作入力判定部511は、停止スイッチSW3がオンの状態からオフの状態に戻ったか否かを判定する。この判定の結果、停止スイッチSW3がオンの状態からオフの状態に戻った場合、処理はステップS612に進む。
【0071】
処理がステップS612に進むと、信号生成部512は、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を復帰させることを示す稼動復帰指示信号を生成する。信号出力部513は、当該稼動復帰指示信号を、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に送信する。第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動復帰指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を復帰させる。そして、
図6のフローチャートによる処理が終了する。
【0072】
以上のように本実施形態では、例えば、信号生成部512および信号出力部513によりステップS612の処理が実行されることにより復帰指示手段の一例が実現される。また、例えば、停止スイッチSW3をオンの状態にすることが、操作手段に対して所定の第1の操作が行われることに対応し、停止スイッチSW3をオンの状態からオフの状態に戻すことが、所定の第1の操作が行われた操作手段に対して所定の第2の操作が行われることに対応する。
【0073】
ステップS609において、停止スイッチSW3がオンの状態からオフの状態に戻っていないと判定された場合、処理はステップS613に進む。この場合、停止スイッチSW2がオンの状態からオフの状態に戻っている。そこで、ステップS613において、信号生成部512は、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を復帰させることを示す稼動復帰指示信号を生成する。信号出力部513は、当該稼動復帰指示信号を、第2のエリア200に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置に送信する。第2のエリア200に含まれる所定の設備の動作を制御する制御装置は、当該稼動復帰指示信号を受信すると、当該制御装置が制御を行う設備の稼動を復帰させる。そして、
図6のフローチャートによる処理が終了する。
【0074】
以上のように本実施形態では、例えば、信号生成部512および信号出力部513によりステップS613の処理が実行されることにより復帰指示手段の一例が実現される。また、例えば、停止スイッチSW2をオンの状態にすることが、操作手段に対して所定の第1の操作が行われることに対応し、停止スイッチSW2をオンの状態からオフの状態に戻すことが、所定の第1の操作が行われた操作手段に対して所定の第2の操作が行われることに対応する。
【0075】
<まとめ>
以上のように本実施形態では、焼結工場Pにおける所定の設備の稼動をエリア毎に停止させる。第1のエリア100には、ベルトコンベヤ110と、ベルトコンベヤ110よりも下流側に配置される所定の設備が含まれる。第2のエリア200には、ベルトコンベヤ110よりも上流側に配置される所定の設備が含まれる。震度6の地震が発生し、第1のエリア100に含まれる所定の設備の稼動を停止する場合には、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動も停止する。震度4、5の地震が発生し、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を停止する場合には、第1のエリア100に含まれる所定の設備の稼動を停止させずに、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を停止する。従って、焼結鉱が載せられた状態でベルトコンベヤ110が停止することにより、ベルトコンベヤ110の発火のリスクを低減することができる。従って、焼結工場Pの設備の稼動を適切に停止させることができる。
【0076】
また、本実施形態では、第1のエリア100および第2のエリア200に加えて、第3のエリア300を設ける。この場合、第2のエリア200には、原料槽210と、原料槽210から排出された焼結原料が通過する設備とが含まれる。第3のエリア300には、ベルトコンベヤ110よりも上流側に配置される所定の設備であって、第1のエリア100にも第2のエリア200にも含まれない設備が含まれる。震度5の地震が発生し、第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止する場合には、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動も停止する。この場合、第1のエリア100に含まれる所定の設備の稼動は停止させない。第3のエリア300に含まれる所定の設備は、震度4の地震が発生しても、問題が発生する可能性が低い。従って、第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動が停止する頻度を抑制することにより復旧作業を軽減することと、震度5の地震が発生することによって第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止させないことによる被害が発生することを抑制することとを実現することができる。例えば、集塵機310およびブロワ320の稼動を停止させないことにより、煙突700から赤煙が発生することを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態では、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止する場合、散水設備400の非常用の電源設備を起動し、ベルトコンベヤ110の上方から水をかける。従って、震度6の地震が発生してベルトコンベヤ110の稼動を停止させる場合でも、ベルトコンベヤ110の発火のリスクを低減することができる。
また、本実施形態では、焼結工場P内の管理室500に配置された震度計測装置520で震度を測定し、作業者は、当該震度に基づいて、停止スイッチSW1、SW2、またはSW3を操作する。従って、気象庁から配信される地震速報データを待たずに震度の情報が得られると共に、焼結工場Pにおける正確な震度に基づいて設備の稼動を停止させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、作業者による停止スイッチSW1、SW2、またはSW3の操作により、設備の稼動が停止する。従って、震度計測装置520の誤動作やノイズ等による誤検知により、設備の稼動が停止することを抑制することができる。また、本実施形態では、停止スイッチSW1、SW2、またはSW3にカバーCを設ける。従って、作業者による誤操作を抑制することができる。
また、本実施形態では、停止スイッチSW1、SW2、またはSW3の操作により、設備の稼動が復帰する。従って、設備の稼動の復帰の指示のための操作を簡素化することができる。
【0079】
<変形例>
<<第1の変形例>>
本実施形態では、震度6の地震が発生した場合に、第1のエリア100、第2のエリア200、第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止し、震度5の地震が発生した場合に、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止し、震度4の地震が発生した場合に、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を停止する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止する条件の方が、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止する条件よりも、地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことを示す条件であり、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止する条件の方が、第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を停止する条件よりも、地震による揺れにより設備が受ける影響が大きいことを示す条件であれば、必ずしもこのようにする必要はない。焼結工場Pの地盤や地形等によって、前述した震度の設定値は変わり得る。例えば、前述した震度4、5、6に代えて、震度3、4、5を採用したり、震度5、6、7を採用したりすることができる。尚、本実施形態では、震度5強および震度5弱を震度5に纏め、震度6弱および震度6強を震度6に纏めた(即ち、本実施形態では、震度5は、震度5強または震度5弱であり、震度6は、震度6強または震度6弱を指すものとした)が、これらを区別してもよい。
また、例えば、揺れの振幅、周期、および継続時間が異なれば、地震による揺れにより設備が受ける影響は異なる。従って、震度に代えて、例えば、揺れの振幅、周期、および継続時間の少なくとも1つを用いた条件を採用してもよい。
【0080】
<<第2の変形例>>
本実施形態のように第1のエリア100および第2のエリア200に加えて、第3のエリア300を設けるのが好ましいが、第3のエリア300を設けずに、第3のエリア300に含まれる所定の設備を、第2のエリア200に含まれる所定の設備としてもよい。
【0081】
<<第3の変形例>>
本実施形態では、第1のエリア100に含まれる所定の設備に所定の設備への電力の供給を停止させる場合、非常用の電源設備を起動させ、散水設備400を自動的に稼動させる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、非常用の電源設備を用いずに、焼結工場Pの電源設備を利用して、散水設備400を作業者が手動でまたは自動的に稼動させるようにしてもよい。
また、散水設備400を稼動させるタイミングは、第1のエリア100、第2のエリア200、および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止する場合(本実施形態では震度6の地震が発生した場合)に限定されない。例えば、安全性の観点から、第2のエリア200および第3のエリア300に含まれる所定の設備の稼動を停止する場合(本実施形態では震度5の地震が発生した場合)または第2のエリア200に含まれる所定の設備の稼動を停止する場合(本実施形態では震度4の地震が発生した場合)に、散水設備400を稼動させてもよい。また、前述したように、散水設備400を起動させれば、ベルトコンベヤ110の発火のリスクをより低減することができるので好ましいが、例えば、設備稼働停止システムのコストを低減することを重要視する場合には、散水設備400を稼動させなくてもよい。
【0082】
<<第4の変形例>>
本実施形態では、震度計測装置520の誤動作やノイズ等による誤検知を考慮して、作業者による停止スイッチSW1、SW2、またはSW3の操作により、設備の稼動が停止する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば、作業者が停止スイッチSW1、SW2、またはSW3の選択を誤ることや、作業者が停止スイッチSW1、SW2、またはSW3の操作を忘れることを防止することを重要視する場合、管理装置510は、震度計測装置520の計測値を入力し、入力した計測値に応じて震度を判定し、判定した震度に応じて、稼動を停止する設備(エリア)を決定し、決定した設備を停止することを示す稼動停止指示信号を生成して出力してもよい。
【0083】
<<その他の変形例>>
尚、以上説明した本発明の実施形態のうち、管理装置510が有する機能は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0084】
100:第1のエリア、110:ベルトコンベヤ、120:篩設備、130:ベルトコンベヤ、140:トリッパー設備、200:第2のエリア、210:原料槽、220:ベルトコンベヤ、230:造粒設備、240:ベルトコンベヤ、250:焼結機、260:破砕機、270:冷却機、280:ボイラー設備:、300:第3のエリア、310:集塵機、320:ブロワ、400:散水設備、500:管理室、510:管理装置、520:震度計測装置