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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20230809BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K3/28 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022049009
(22)【出願日】2022-03-24
【審査請求日】2023-06-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599161580
【氏名又は名称】株式会社デンソートリム
(74)【代理人】
【識別番号】100096998
【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦
(72)【発明者】
【氏名】疋田 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】森 幸司
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/065452(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/179790(WO,A1)
【文献】特開2016-93132(JP,A)
【文献】特開2004-222412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に永久磁石を複数配置し、シャフトと共に回転するロータと、
固定部に固定される円盤状の基盤部、この基盤部より径方向外方に延びるx数のティース部、及びこのティース部に配置され導線を巻線してなるx数のコイルを備え、前記ティース部の径方向外方端部が前記永久磁石と対向するステータと、
前記導線と電気接続するリード線と、
このリード線と前記導線の前記コイルの巻き始め端部及び前記コイルの巻き終わり端部とを連通する巻き始め引き出し線及び巻き終わり引き出し線と、
前記巻き始め引き出し線及び前記巻き終わり引き出し線と前記リード線との連結部を前記ステータに固定するクリップと、
前記リード線と電気接続して前記コイルの入出力電力を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は前記コイルをk相に通電制御し、
前記コイルはn系統にn分割され、nは2以上で前記ティース部のx数を前記コイルのk相で除した数と同数以下の自然数であり、n分割された前記コイルは360度をnで除した角度の範囲に連続して配置され、
前記導線は、前記ティース部のx数をnと前記コイルのk相とで除した数の同じ相の前記コイルを周方向に連続して巻線し、
前記クリップの数はnであり、
前記クリップは前記コイルをn分割する分割線の略中間に位置する前記コイルの近傍で前記ステータの前記基盤部に固定され、
前記巻き始め引き出し線及び前記巻き終わり引き出し線は、前記ティース部間を縫うように配線され、かつ、前記クリップが固定された位置の近傍に位置する収束部で収束する ことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記基盤部は固定穴を介して前記固定部に固定され、
前記固定穴は、前記コイルをn分割する分割線に対して、略線対称となるように配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記制御装置は前記コイルを3相に入出力電力を制御し、
前記nは偶数であり、
前記制御装置は奇数番目の系統に属する前記コイルと偶数番目の系統に属する前記コイルとを巻方向が互いに逆方向とすることで互いの入出力電力が逆位相となるように通電制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の記載は回転電機に関し、例えば二輪車の発電機や始動機として使用して有用である。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な車両における電力需要増加に伴い、車両用発電機の出力も向上が図られてきている。この出力向上に伴い、回転電機のステータに巻線されたコイルの温度も高くなっていきている。コイルの温度を上昇させないための方策として、コイルへの通電経路を複数経路とすることが考えられる。特許文献1では、選択的に出力特性を変更することができる巻線構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許公開第2010-115041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、コイルが1系統であれば、コイルを形成する巻線は巻き始めのコイルから周方向に一周して巻き終わりのコイル迄連続することとなる。即ち、コイルが1系統であれば、コイルを形成する導線の巻き始め位置と巻き終り位置とを近くに設定することができる。一方、コイルを複数系統(n系統)として360度をnで除した角度の範囲に連続して配置すると、コイルを形成する導線の巻き始め位置と巻き終り位置とが引き離されることとなる。その為、導線とリード線との結線部までの引出し線がステータ上に長く配置されることとなる。ただ、特許文献1に記載の回転電機では、この引き出し線の構成までは検討していない。
【0005】
本件の開示は、引き出し線とリード線の配置を工夫することで、引き出し線の耐振性を高め、コイルリード線の放熱性を向上させて温度上昇を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1は、周方向に永久磁石を複数配置しシャフトと共に回転するロータと、複数のティース部及びこのティース部に配置される複数のコイルを有しティース部の径方向外方端部が磁石と対向するステータとを備える回転電機である。本開示の第1のステータは、固定部に固定される円盤状の基盤部、この基盤部より径方向外方に延びるx数のティース部、及びこのティース部に配置され導線を巻線してなるx数のコイルを備えている。
【0007】
本開示の第1は、導線と電気接続するリード線と、このリード線と導線のコイルの巻き始め端部及びコイルの巻き終わり端部とを連結する巻き始め引き出し線及び巻き終わり引き出し線と、この巻き始め引き出し線及び巻き終わり引き出し線とリード線との連結部をステータに固定するクリップと、リード線と電気接続してコイルの入出力電力を制御する制御装置とを備えている。
【0008】
本開示の第1は、制御装置がコイルをk相に通電制御し、コイルはn系統にn分割され、nは2以上でティース部のx数をコイルのk相で除した数と同数以下の自然数であり、n分割されたコイルは360度をnで除した角度の範囲に連続して配置されている。そして、導線は、ティース部のx数をnとコイルのk相とで除した数の同じ相のコイルを周方向に連続して巻線し、クリップの数はnであり、クリップはコイルをn分割する分割線の略中間に位置するコイルの近傍でステータの基盤部に固定される。そして、巻き始め引き出し線及び巻き終わり引き出し線は、ティース部間を縫うように配線され、かつ、クリップが固定された位置の近傍に位置する収束部で収束している。
【0009】
本開示の第1では、引き出し線とリード線との連結部をステータに固定するクリップを、コイルをn分割する分割線の略中間に位置するコイルの近傍でステータの基盤部に固定しているので、引き出し線の長さを短くすることができる。そのため、本開示の第1では、引き出し線の質量増加も抑制され、引き出し線の耐振性悪化も抑制できている。
【0010】
本開示の第1では、巻き始め引き出し線及び巻き終わり引き出し線は、ティース部間を縫うように配線され、かつ、クリップが固定された位置の近傍に位置する収束部で収束することを前提としている。その為、特に収束部で巻き始め引き出し線及び巻き終わり引き出し線が集中し、放熱性の悪化要因となる。それに対し、本開示の第1はn数のクリップを用いているので、クリップで束ねられる引き出し線の数を少なくすることができる。その結果、コイルを覆う引き出し線の数が少なくなって、コイル周りの冷却風の流れがスムーズになり、収束部を含めて巻き始め引き出し線及び巻き終わり引き出し線の配置に起因する放熱性の悪化の要因を抑えることができている。これにより、コイルの温度上昇も抑制できる。加えて、クリップで束ねられるリード配線の線数も少なくすることができる。その為、リード配線によるコイル放熱性の悪化も抑制できる。
【0011】
本開示の第2は、ステータの基盤部は固定穴を介して固定部に固定され、固定穴の配置は、コイルをn分割する分割線に対して、略対称となるように配置されている。ステータの固定穴とクリップの配置位置を分割線に対して共に対称に配置することで、n系統の引き出し線及びリード線の振動の挙動を同じにすることができる。これにより、引き出し線及びリード線の耐振性を高めることができる。即ち、対称でない場合には、第1系統から第n系統のいずれかの系統に相対的に大きい振動ストレスが加わることがなくなる。それを略対称配置とすれば、大きい振動ストレスが加わっていた方の系統の振動ストレスが軽減される。その結果、引き出し線及びリード線の耐振性が良くなる。なお、本開示では略対称として、厳密な対称を求めている訳ではない。組付け位置等を考慮してバランスに悪影響を及ぼさない範囲で配置の自由度を許容している。
【0012】
本開示の第3は、制御装置はコイルを3相の入出力電力を制御し、nは偶数であり、制御装置は奇数番目の系統に属するコイルと偶数番目の系統に属するコイルの巻方向を互いに逆方向とすることで、互いの入出力電力が逆位相となるように通電制御している。これにより、コイルの誘導起電力に起因する回転電機自身の振動も抑制でき、耐振性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、回転電機がクランクシャフト及びエンジンカバーに組み合わされた状態の斜視図である。
図2図2は、ロータ及びステータを示す斜視図である。
図3図3は、ステータとセンサケースを示す正面図である。
図4図4は、ステータとセンサケースを示す斜視図である。
図5図5は、コイルと引き出し線及びリード線を示す配線図である。
図6図6は、第1系統のコイルと引き出し線及びリード線を示す配線図である。
図7図7は、第2系統のコイルと引き出し線及びリード線を示す配線図である。
図8図8は、第1系統及び第2系統のコイルと引き出し線及びリード線と制御装置を示す配線図である。
図9図9は、コイルとリード線を示す正面図である。
図10図10は、ステータの固定穴とクリップの配置を示す正面図である。
図11図11は、ステータの固定穴とクリップの配置の他の例を示す正面図である。
図12図12は、ステータの固定穴とクリップの配置の他の例を示す正面図である。
図13図13は、ステータの固定穴とクリップの配置の他の例を示す正面図である。
図14図14は、回転電機がクランクシャフト及びエンジンカバーに組み合わされた状態の断面図である。
図15図15は、参考例の第1系統及び第2系統のコイルと引き出し線を示す配線図である。
図16図16は、図5と同様の引き出し線を展開して示す配線図である。
図17図17は、参考例の第1系統及び第2系統のコイルと引き出し線の収束部を示す配線図である。
図18図18は、図5と同様の引き出し線の収束部を示す配線図である。
図19図19は、第1系統及び第2系統のコイルを同位相とした状態を示す配線図である。
図20図20は、第1系統及び第2系統のコイルを逆位相とした状態を示す配線図である。
図21図21は、第1系統及び第2系統のコイルを同位相とした状態での出力電圧を説明する図である。
図22図22は、第1系統及び第2系統のコイルを逆位相とした状態での出力電圧を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の一例を図に基づいて説明する。図1は、回転電機1がクランクシャフト100及びエンジンカバー200に組み合わされた状態の斜視図である。101は、ウェブであり、図示しないピストンが図示しないシリンダ内を往復動する動きを、図示しないコンロッドを介して受けて、クランクシャフト100を回転させる。クランクシャフト100は、直径20ミリメートル程度の鉄材からなり、シリンダブロック110(図14図示)に回転支持されている。
【0015】
エンジンカバー200は、シリンダブロック110の開口部111を覆い、ボルト通し穴201により、シリンダブロック110にボルト固定される。エンジンカバー200は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金のダイキャスト製であり、肉厚は4ミリメートル程度である。エンジンカバー200は、シリンダブロック110の開口部111に連続するので、内部環境はシリンダブロック110と同様である。
【0016】
クランクシャフト100には、回転電機1のロータ300が、基部301(図2図14図示)で固定されている。従って、ロータ300はクランクシャフト100と一体に回転する。ロータ300は、鉄材料製で、クランクシャフト100と係合する基部301より径方向外方に延びる円盤部302と、この円盤部302の径方向外方部に形成される円筒部303を備えている。図2に示すように、円筒部303の内方には、永久磁石304が12個、周方向に並んで配置されている。永久磁石304の厚みは、4~5ミリメートル程度である。なお、永久磁石304の磁極の数は、12極に限らず、20極や24極等要求性能に応じて適宜設定できる。
【0017】
ロータ300の内部には、図2及び図14に示すように、ステータ400が配置されている。図2は、ステータ400をエンジンカバー200側から見た斜視図である。ステータ400は、複数の磁性鋼板を積層してなり、エンジンカバー200に取り付けられる基盤部401を有している。本例においては、エンジンカバー200が固定部となる。ステータ400は、基盤部401より径方向外方に延びる複数のティース部402を基盤部401と一体に形成している。図3の例ではティース部402の数は18であるが、ティース部402の数は要求性能や磁極の数に応じて適宜変更可能である。また、図3ではティース部402の先端と、ティース部402に巻装されたコイル404を示している。ステータ400の外径は、110~130ミリメートル程度となっており、従って、ロータ300の内径は、ステータ400の外径と永久磁石304との間に微小間隙が形成される大きさとなっている。
【0018】
基盤部401には、エンジンカバー200にステータ400をボルト固定するための固定穴403が3カ所貫通形成されている。また、基盤部401には、後述するセンサケース500をステータ400に固定するためのセンサケースボルト通し穴も1カ所形成されている。
【0019】
ティース部402はポリアミド等の絶縁樹脂からなるインシュレーターで電気絶縁され、インシュレーターの上に銅線若しくはアルミニウム線からなるコイル404が巻装されている。図3は、図2からロータ300を外して、ステータ400とセンサケース500を示す正面図である。図4は、図3とは逆の方向から、ステータ400とセンサケース500を示す斜視図である。
【0020】
図3に示すように、隣接するコイル404の間には隙間405が形成され、その隙間405は径方向外側に向けて広くなっている。尤も、隙間405が一定となるようにコイル404を巻装して占積率を上げるようにしても良い。また、図4に示すように、この隙間405にセンサケース500が配置されている。センサケース500は、ガラス繊維で強化したポリアミド等の樹脂でモールド成形されている。
【0021】
第1ないし第4ホールセンサ502~505は、2ミリメートル程度×3ミリメートル程度の大きさで、それぞれ電源線、接地線とセンサ出力線と共に、樹脂でモールド成形されている。なお、図4では第1ないし第4ホールセンサ502~505自体は示されていない。図4の符号502~505は、センサケース500のうち第1ないし第4ホールセンサが位置する部位を指している。
【0022】
第1ホールセンサ502は、点火制御のための基準位置を検出する。第1ホールセンサ502は、他の第2ないし第4ホールセンサ503、504、505とは、クランクシャフト100の軸方向で異なる位置に配置されている。より具体的には、第1ホールセンサ502は、ティース部402間の隙間405の軸方向の中央位置に配置されている。それに対し、第2ないし第4ホールセンサ503、504、505とは、隙間405のエンジンカバー200側に配置されている。
【0023】
第1ホールセンサ502の配置位置では、基準位置でN極からS極への反転がなく、N極が3つの永久磁石304で連続する。この3つのN極の連続を検知することで、基準位置が検出できる。ロータ300はクランクシャフト100と一体回転するので、基準位置はクランクシャフト100の回転方向の位置を示すことになる。クランクシャフト100が基準位置にあることと他のホールセンサの磁極の切り替わりを利用して、エンジンのシリンダに配置された図示しないスパークプラグの点火タイミングを制御する。
【0024】
第2ないし第4ホールセンサ503、504、505はN極とS極とが交互に着磁された永久磁石304と対向して、N極とS極とが交互に変動する位置を検出する。第2ないし第4ホールセンサ503、504、505のそれぞれの検出位置は、三相(V相、W相、U相)の通電時期に対応しており、この検出位置に応じ、回転電機1が始動器としてモータ使用されるときには、U相、V相、W相に対応するコイル404への電圧の供給を制御する。回転電機1が発電機として使用される際にもU相、V相、W相に対応するコイル404からの電流を制御するためのタイミング信号として用いられる。
【0025】
本開示では、三相コイルを2系統に分離している。図5に示す分割線Aの右側の三相コイルは、U相、V相、W相の三相巻線からなる三相の電気回路が形成されている。同様に、左側の三相コイルもX相、Y相、Z相の三相の電気回路を有する。これら別の電気回路からなる2系統の三相コイルを左右の分割配置としている。換言すれば、本開示は2系統に分離した各三相コイルが連続して配置し、2系統の三相コイルを分離する線が分割線Aとして示される。即ち、分離した各三相コイルは、分割線Aを超えて別の三相コイルの領域に入ることは無い。
【0026】
なお、図5では、コイル404の導線450と三相コイルの巻き始め引き出し線451、452、453及び三相コイルの巻き終わり引き出し線455、456、457との配線を簡略化して示している。コイル404の導線450と巻き始め引き出し線451、452,453及び巻き終わり引き出し線455、456、457は連続した線で、上記の通り、銅若しくはアルミニウム製である。
【0027】
三相コイルの巻き始め引き出し線451、452、453及び三相コイルの巻き終わり引き出し線455、456、457は、第1ないし第3リード線460、461、462に接続する。第1ないし第3リード線460、461、462は、銅製の線材である。符号470、471、472は、第1ないし第3リード線460、461、462と三相コイルの巻き始め引き出し線451、452、453及び三相の巻き終わり引き出し線455、456、457との接続部を示す。それぞれ、第1接続部470、第2接続部471、及び第3接続部472とする。これにより、同一系統の三相コイルでは、巻き始め引き出し線451、452、453と対応する巻き終わり引き出し線455、456、457とを、1つのリード線460、461、462に並べて接続することができる。
【0028】
次に、第1ないし第3リード線460、461、462と、三相コイルの巻き始め引き出し線451、452、453、及びコイル404の導線450との接続状態を説明する。第1リード線460は第1接続部470でU相コイルの巻き始め引き出し線451と電気的に接続される。U相コイルの巻き始め引き出し線451は、図5でU1と示されたコイル404の導線450となりティース部402の周りを多数回巻線する。従って、コイル404は導線が連続して多数回巻装される集中巻となる。図5では省略しているが、U1のコイル404の導線は図5でU2と示されたコイル404の導線450と連続している。また、U2のコイル404の導線は図5でU3と示されたコイル404の導線450と連続している。即ち、導線450はティース部402に巻装されてコイル404を集中巻する線と、コイル404間を繋ぐ線(いわゆる渡線)が連続している。
【0029】
同様に、第2リード線461は第2接続部471でV相コイルの巻き始め引き出し線451と電気的に接続される。V相コイルの巻き始め引き出し線452は、図5でV1、V2及びV3と示されたコイル404の導線450となりティース部402の周りを多数回巻線して集中巻のコイル404を形成する。かつ、コイル404間を繋ぐ渡線となる導線450ともなる。
【0030】
W相コイルも同様である。第3リード線462は第3接続部472でW相コイルの巻き始め引き出し線452と電気的に接続される。W相コイルの巻き始め引き出し線452は、図5でW1、W2及びW3と示されたコイル404の導線450となり、かつ、コイル404間を繋ぐ渡線になる導線450ともなる。
【0031】
そして、U3、V3及びW3と示された導線450は、そのまま連続して三相コイルの巻き終わり引き出し線455、456、457となる。このように、三相コイルの巻き始め引き出し線451、452、453と三相のコイル404の導線450及び三相コイルの巻き終わり引き出し線455、456、457は、夫々が連続した一本の線である。
【0032】
U相コイルのコイル404のうち巻き終わりとなるU3のコイル404からの巻き終わり引き出し線455は第2接続部471で第2リード線461と電気接続する。V相コイルの巻き終わり引き出し線456は、第3接続部472で第3リード線462と電気接続する。そして、W相コイルの巻き終わり引き出し線457は、第1接続部470で第1リード線460と電気接続する。上述の通り、各リード線460、461、462は、対応する巻き始め引き出し線451、452、453と巻き終わり引き出し線455、456、457との2本を纏めて接続する。
【0033】
図6は、図5のU相コイル、V相コイル、W相コイルの巻き始め引き出し線451、452、453、コイル404の導線450、及び巻き終わり引き出し線455、456、457との配線を更に簡略化して示している。第1リード線460は第1接続部470でU相コイルの巻き始め引き出し線451及びW相コイルの巻き終わり引き出し線457と接続している。
【0034】
また、第2リード線461は第2接続部471でV相コイルの巻き始め引き出し線452及びU相コイルの巻き終わり引き出し線455と接続している。同様に、第3リード線462は第3接続部472でW相コイルの巻き始め引き出し線453及びV相コイルの巻き終わり引き出し線456と接続している。図6に示すように、三相のコイル404の配線はデルタ結線となっている。
【0035】
図5に示す分割線Aの左側の三相コイル(X相、Y相、Z相)も、右側の三相コイル(U相、V相、W相)と同様である。図5においてX相、Y相、Z相がそれぞれ三相コイルのU相、V相、W相に対応する。従って、U1、U2、U3に対応するコイル404には、X1、X2、X3の記号を付す。第1リード線ないし第3リード線に対応する線及び第1接続ないし第3接続部に対応する箇所にも同じ符号を付す。三相コイルの巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457も同様である。図7図6と同様に、デルタ結線としたX相、Y相、Z相の電気接続状態を示している。
【0036】
U相、V相、W相の三相コイル及びX相、Y相、Z相の三相コイルの第1リード線ないし第3リード線460、461、462のそれぞれは、図8に示す制御装置480に電気接続する。上述の通り、回転電機1が始動機としてモータ使用されるときには、U相、V相、W相及びX相、Y相、Z相に対応するコイル404への電力の供給は、バッテリ481から入力される電力がこの制御装置480により制御される。それにより、回転電機1の回転方向や回転速度が制御される。なお、制御装置は電圧と電流との双方による変換を行うので、総称して電力の制御とする。
【0037】
また、回転電機1が発電機として使用される際にもU相、V相、W相及びX相、Y相、Z相に対応するコイル404から出力される電力は制御装置480によって制御される。制御装置480により、三相の交流が直流電力に変換されてバッテリ481に充電される。
【0038】
ここで、三相コイルを2系統としても、各巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457を1カ所で収束させて、第1ないし第3接続部470、471、472で接続することも可能である。ただ、1カ所で収束させた場合には、図15に示すように、全ての巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457が集中してしまう。図15の例では、W2相のコイル404、U3相のコイル404及びV3相のコイル404間に巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457が集中している。即ち、隣接する1組のコイル404の間に、全ての巻き始め引き出し線451、452、453と全ての巻き終わり引き出し線455、456、457とを通すこととなり、その部位で集中してしまう。なお、集中した巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457は後述するクリップ490によって束ねられる。
【0039】
それに対し、図18に示すように、2系統の巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457を2つに分ければ、集中の程度は半減する。即ち、隣接するコイル404は2組となり、各々のコイル404間に半分の巻き始め引き出し線451、452、453と半分の巻き終わり引き出し線455、456、457とを通すことができ、集中の程度は半減する。この場合は、U相、V相、W相の三相コイルの巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457を第1クリップ490で束ねる。そして、X相、Y相、Z相の三相コイルの巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457を第2クリップ492で束ねる。
【0040】
なお、図5図16では、三相コイルの巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457を簡略して記載しているが、実際には、巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457は各コイル404の間を縫うように配線されている。そのため、1カ所で収束させようとすると、図17に示すように、クリップ490の近傍以外のコイル404の間にも、多数の巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457が集中することとなる。図17の例では、W3相のコイル404、X1層のコイル404及びY1層のコイル404の間にも多数の巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457が配線されている。
【0041】
一方、2系統の巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457を2つに分ければ、コイル404間の巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457の集中を避けることができる。図18に示すように、巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457がコイル404間を縫うように配線されていても、どのコイル404の間にも集中する部位は存在しない。
【0042】
特に、図10に示すように、巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457は第1クリップ490及び第2クリップ492の近傍に位置する収束部468で収束している。即ち、巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457は、収束部468でコイル404の表面に密着し、コイル404に接着材又は粉体樹脂で固定されている。そして、巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457はこの収束部468から第1ないし第3接続部470、471、472に向けて指向している。このように、巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457が収束部468で固定され、指向することで、リード配線460、461、462とのハンダ固定を容易に行うことができる。かつ、第1クリップ490及び第2クリップ492との結合も容易となる。なお、2系統の第1ないし第3接続部470、471、472は、それぞれ第1クリップ490及び第2クリップ492内に位置している。
【0043】
上述のように、2系統の巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457を1カ所に収束させ、1つの収束部468とした場合には、コイル404間の隙間405に多数の巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457が集中することとなる。
【0044】
そして、巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457は、それぞれコイル404に接着剤や粉体樹脂により接着している。巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457が集中するとその部位での質量も増え、振動に対する耐性が低下することとなる。特に、回転電機1はエンジンカバー200に固定され、エンジンのシリンダブロック110と同じ環境で使用されるので、耐振性の悪化は避けるべきである。
【0045】
加えて、巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457はコイル404の間に配置されるため、それらが集中するとコイル404間を通過する冷却風の流れを阻害することになる。コイル404はシリンダブロック110内の空気やミスト状のエンジンオイルにより冷却されている。巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457はコイル404間に取り廻される結果、コイル404間が狭くなり、空気やエンジンオイルの流れに対して抵抗となる。
【0046】
本開示では、既述のように、図5の分割線Aを挟んで、右側の三相をU相、V相、W相と、左側の三相をX相、Y相、Z相とにコイル404を分割する分割配置としている。そのため、巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457が集中することによる上記の問題は生じない。
【0047】
本開示は、図9図10に示すように、U相、V相、W相の第1ないし第3接続部470、471、472を一カ所に集めて第1クリップ490で固定している。そして、3本のリード線461、462、463を束ねてリード配線464としている。同様に、X相、Y相、Z相の第1ないし第3接続部470、471、472も一カ所に集めて第2クリップ492で固定し、3本のリード配線461、462、463を束ねてリード配線464としている。これにより、引き出し線集中故に生じる上述の不具合は抑制できる。
【0048】
なお、第1クリップ490は、ステータ400の基盤部401に第1固定ネジ491で固定される。第1クリップ490が配置される場所は分割線Aに対して略中間としている。即ち、第1ないし第3接続部470、471、472を保持する第1クリップ490は、分割線Aに対して略中間の位置に配置されている。ここで、略中間とは、一つの系統に含まれる周方向に複数配置される三相コイルの周方向の中間で、図5ではU1のコイル404とW3のコイル404との中間であるV2のコイル404周辺の位置となる。これにより、2系統の巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457をバランス良く配置することができている。
【0049】
なお、図10では、第1クリップ490と第2クリップ492とは分割線Aを挟んで線対称となる位置に配置されている。一方で、図9の第1クリップ490と第2クリップ492とは、分割線Aを挟んで線対称ではなく、多少ずれている。本開示の略対称とは図9のような例も含んでいる。回転電機1が二輪車に組付けられる時に他の部品との干渉を避けるため、第1クリップ490や第2クリップ492の位置を多少ずらすのは許容される。
【0050】
より具体的には、本開示の第1クリップ490や第2クリップ492は、分割線Aの略中間に位置するコイル404の近傍で、ステータ400の基盤部401に固定される。そこで、まず分割線Aの略中間に位置するコイル404の位置を説明する。分割線Aの略中間に位置するコイル404とは、対称位置にコイル404が位置する場合にはその対称位置のコイル404とそのコイル404に隣接するコイル404を指している。また、対称位置にコイル404が存在しない場合は、対称位置に最も近いコイル404と2番目に近いコイル404を指している。
【0051】
そして、分割線の略中間に位置するコイル404の近傍とは、このように特定されたコイル404の近くに第1クリップ490や第2クリップ492が固定されることを意味している。近くとは、角度として5度程度までの位置を近傍に含んでいる。
【0052】
以上は、U相コイル、V相コイル、W相コイルの第1ないし第3接続部470、471、472で説明したが、X相コイル、Y相コイル、Z相コイルの第1ないし第3接続部470、471、472でも同様である。X相コイル、Y相コイル、Z相コイルの第1ないし第3接続部470、471、472は、第2クリップ492でステータ400の基盤部401に固定している。固定には第2固定ネジ493を用いる。
【0053】
そのため、図9図10に示すように、U相コイル、V相コイル、W相コイルの第1ないし第3接続部470、471、472とX相コイル、Y相コイル、Z相コイルの第1ないし第3接続部470、471、472とは、分割線Aを挟んで左右略対称の配置となる。これは、第1クリップ490、第1固定ネジ491と第2クリップ492、第2固定ネジ493との関係でも同様である。分割線Aを挟んで略対称な位置のため、リード配線464の質量を左右でバランス良く支持することができる。なお、リード配線464の長さは50~100センチメートル程度である。リード配線464の端部は制御装置480に接続されるコネクタ465となっている。
【0054】
上述のように、エンジンカバー200にステータ400をボルト固定するための固定穴403が、基盤部401に3カ所形成されている。特に、本開示では、この3カ所形成されている固定穴403も分割線Aに対して略左右対称に配置されている。そのため、リード線460、461、462を含めてステータ400をエンジンカバー200にバランス良く固定することができる。エンジンの振動はシリンダブロック110からエンジンカバー200を介して回転電機1に伝達される。より具体的には、振動はステータ400の基盤部401の固定穴403を介して回転電機1に伝達される。その為、固定穴403が分割線Aに対して略対称であるのは、エンジンからの振動系にあって第1クリップ490及び第2クリップ492の対称性を保つことができて望ましい。即ち、分割線Aに対して、固定穴403と第1クリップ490及び第2クリップ492を共に略対称となる配置とすることで、第1系統と第2系統で、巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457と、第1ないし第3接続部470、471、472と、更に、第1クリップ490及び第2クリップ492との全てに亘って挙動を合わせることができる。
【0055】
特に本例では、第1クリップ490を固定する固定ネジ491と第2クリップ492を固定する固定ネジ493を、共に固定穴403の近傍(30度程度)に位置している。共振を含めステータ400の振動は固定穴403から離れる程大きくなる。本例では、固定穴403の近傍に位置することで、第1クリップ490及び第2クリップ492部分での耐振性を高めることができる。
【0056】
かつ、本例では、第1クリップ490及び第2クリップ492からのリード配線464を同一方向に引き出している。そのため、3本のリード線461、462、463と第1ないし第3接続部470、471、472とのハンダ付けも同一方向から行うことができ、作業性も向上する。これは、コネクタ465を制御装置480に組付けたり、制御装置480から延びた相手方のコネクタに組付ける作業においても同様である。
【0057】
また、本例では2系統とすることで、回転電機1自身に起因する振動も低減している。例えば、図19に示すように、集中巻の巻き線方向を同一方向(図19で時計方向)として2系統の三相コイルの導線450を同位相に巻線することも考えられる。この場合には、2系統の三相コイルが同じ出力位相となる。その為、図21に示すように、デルタ結線であれスター結線であれ、コイル404には誘導起電力が同時に同じベクトルで発生する。即ち、一系統(U相、V相、W相)と他系統(X相、Y相、Z相)とが同位相となり、出力電圧はどのタイミングで見ても対称性がない。なお、スター結線では、巻き始め引き出し線451、452、453と巻き終わり引き出し線455、456、457とを、対応する1本のリード線に電気接続している。
【0058】
それに対し、図20に示すように、2系統の三相コイルの導線450を逆位相に巻線すると、2系統の三相コイルは互いに逆となる出力位相となる。即ち、図20ではU相コイル、V相コイル、W相コイルの第1系統を時計方向に集中巻し、X相コイル、Y相コイル、Z相コイルの第2系統は反時計方向に集中巻している。このように集中巻の巻き線方向が互いに異なる方向である場合に逆となる出力位相になる。その為、図22に示すように、第1系統(U相、V相、W相)と第2系統(X相、Y相、Z相)とが180度ずれた位相となる。その結果、どのタイミングで見ても出力電圧に対称性がある。出力電圧の対称性は回転電機1を発電機として利用する場合であるが、始動機として利用する場合も同様である。始動機として利用する場合には入力電圧に対称性があり、発電機及び始動機のいずれの利用においても対称性を有する。これにより、ステータ400には互いに逆位相となる振動が生ずることとなって、振動を互いに打ち消し合うことができる。結果として、ステータ400がコイル404の励磁によって振動するのが抑制でき、磁歪音というステータ400振動に起因する異音の発生も抑制できる。コイル404の巻線がデルタ結線であってもスター結線であっても同様なことは図21の例と同様である。
【0059】
本例では、上記内容を踏まえて、2系統の三相コイルを逆位相となるように配置している。なお、図19及び図20では、導線450のみを記載して巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457は記載していないが、導線450と巻き始め引き出し線451、452、453及び巻き終わり引き出し線455、456、457とが連続した線であることは、上記の通りである。
【0060】
なお、固定穴403の数は3カ所に限るものではない。図11は固定穴403を4カ所に設けた例を示している。この図11の例でも、固定穴403も分割線Aに対して略左右対称に配置されている。この配置でも、ステータ400をエンジンカバーにバランス良く固定することができる。
【0061】
図12は、固定穴403を5カ所とした例であるが、この配置でも、固定穴403は分割線Aに対して略左右対称に配置されている。従って、この配置でもステータ400をエンジンカバーにバランス良く固定することができる。
【0062】
また、上述の例ではコイル404を2系統に分割したが、3系統以上に分割することも可能である。図13は三相のコイル404を3系統に分割した例を示す。この例では、3系統目の第1ないし第3接続部470、471、472を第3クリップ494と第3固定ネジ495でステータ400の基盤部401に固定している。図13の例では固定穴403は3カ所で、固定穴403の配置は分割線Aの中心点に対して略対称になっている。この固定穴403の配置によっても、3系統の配線(第1クリップ40、第2クリップ492、第3クリップ494等)をバランス良く配置することができている。従って、本開示において分割線Aに対して線対称とは、分割線が3本以上の場合、分割線Aが交わる中心点に対して点対称であることを意味する。
【0063】
上述の例では、コイル404を三相に巻線したが、相数を変えることも可能である。本開示は、単相にしてもよく、5相の回転電機1に使用しても良い。また、上述の例では、三相の巻き始め引き出し線451、452、453、コイル404の導線450及び巻き終わり引き出し線455、456、457を連続した1本の線としていた。配線の作業性が良く、好適な例である。ただ、配線は必ずしも連続している必要は無い。ティース部402の回りに巻装してコイル404を形成しておき、コイル404間の渡線を別の導線450で電気接続するようにしても良い。三相の巻き始め引き出し線451、452、453と、コイル404の導線450とを別の配線として電気接続するようにしても良い。同様に、導線450と巻き終わり引き出し線455、456、457とを別の配線としても良い。
【0064】
また、上述の例で示した材料や寸法は一例であり、求められる性能等に応じて種々変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 回転電機
300 ロータ
400 ステータ
403 固定穴
460、461、462 リード線
451、452、453 巻き始め引き出し線
455、456、457 巻き終わり引き出し線
480 制御装置
【要約】
【課題】引き出し線の耐振性を高め、コイルやリード線の耐熱性を高める。
【解決手段】コイルはステータのティース部に導線を巻線してなり、制御装置はコイルをk相に通電制御する。コイルはn系統にn分割され、n分割されたコイルは360度をnで除した角度の範囲に連続して配置され、導線はティース部のx数をnとコイルのk相とで除した数の同じ相のコイルを周方向に連続して巻線している。リード線と導線のコイルの巻き始め端部とを巻き始め引き出し線で連結し、リード線と導線のコイルの巻き終わり端部とを巻き終わり引き出し線で連結する。リード線との連結部をクリップでステータに固定する。クリップの数はnであり、n分割する分割線の略中間に位置する。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22