(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】ねじ形状寸法測定装置及びねじ形状寸法測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20230809BHJP
G01B 21/20 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01B21/20 102S
(21)【出願番号】P 2023535412
(86)(22)【出願日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2023012086
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2022084821
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】大島 伸一
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特許第6849149(JP,B2)
【文献】特開2003-329424(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033997(WO,A1)
【文献】特開2010-38554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部にねじ部が形成され、管軸を含む断面で見たときに前記ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面の両方がオーバーハング状に形成されたねじ付き管の、前記ねじ部のねじ形状寸法を測定するねじ形状寸法測定装置であって、
照明部と、撮像部と、焦点距離調整部と、較正値設定部と、制御部とを備え、
前記照明部が、前記撮像部に対向配置され、前記照明部から前記撮像部を見る方向を間に挟んで一方の方向である第1照明方向と、他方の方向である第2照明方向との2方向において択一的に平行光を出射し、
前記撮像部が、前記第1照明方向からの前記平行光を受光して行う第1撮像画像の撮像と、前記第2照明方向からの前記平行光を受光して行う第2撮像画像の撮像とを、択一的に行い、
前記焦点距離調整部が、前記制御部からの調整指示を受けて前記撮像部の合焦位置を調整し、
前記較正値設定部が、合焦位置調整前の前記第2撮像画像の前記合焦位置から前記撮像部までの焦点距離と、前記第1撮像画像の前記合焦位置から前記撮像部までの焦点距離との差分値を有し、
前記制御部が、
前記較正値設定部から前記差分値を取得し、
前記第2撮像画像を撮像する際に、前記差分値だけ前記合焦位置を前記照明部に近付ける前記調整指示を前記焦点距離調整部に与え、
撮像された前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像に基づき、前記ねじ形状寸法を演算する、
ねじ形状寸法測定装置。
【請求項2】
前記較正値設定部が、前記照明部及び前記撮像部間を結ぶ方向に対して直交する方向における、前記合焦位置調整前の前記第2撮像画像の前記合焦位置と、真の合焦位置とのずれ量に基づいて、前記差分値を求める、
請求項1に記載のねじ形状寸法測定装置。
【請求項3】
端部にねじ部が形成され、管軸を含む断面で見たときに前記ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面の両方がオーバーハング状に形成されたねじ付き管の、前記ねじ部のねじ形状寸法を測定するねじ形状寸法測定方法であって、
前記管軸を含む断面に直交する方向に対して、前記ねじ部のリード角よりも大きな角度を成す方向に傾いた第1照明方向に平行光を出射することで、前記端部を照明する第1照明ステップと、
前記管軸を含む断面に直交する方向に対して、前記ねじ部の前記リード角と反対側に傾いた第2照明方向に平行光を出射することで、前記端部を照明する第2照明ステップと、
前記端部を間に挟んで前記平行光の出射元と対向する撮像側において、
前記第1照明方向に出射された前記平行光のうち、前記ねじ部のねじ山間を通過した光を受光することで前記端部の第1撮像画像を撮像し、
前記第2照明方向に出射された前記平行光のうち、前記ねじ部のねじ山間を通過した光を受光することで前記端部の第2撮像画像を撮像する、
撮像ステップと、
前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像に基づき、前記ねじ部の前記ねじ形状寸法を演算する演算処理ステップと、
を有し、
前記一対のフランク面のうち、前記管軸を含む断面上の部位を前記撮像側から直接撮像できる方を第1フランク面とし、前記管軸を含む断面上の部位を前記撮像側から直接撮像できない方を第2フランク面としたときに、
前記演算処理ステップでは、
合焦位置が前記第1フランク面の前記断面上の位置に合致するように調整された第1状態で撮像された前記第1撮像画像に基づいて、前記第1フランク面の形状寸法を算出し、
合焦位置が前記第2フランク面の前記断面上の位置に合致するように、前記合焦位置が前記第1状態よりも前記管軸に向けて所定距離だけ近づけられた第2状態で撮像された前記第2撮像画像に基づいて、前記第2フランク面の形状寸法を算出する、
ねじ形状寸法測定方法。
【請求項4】
前記所定距離を、前記第2フランク面の管軸方向の真の位置と、前記第1状態で撮像された前記第2撮像画像に基づき算出された前記第2フランク面の前記管軸方向の位置とのずれ量に基づいて求める、
請求項3に記載のねじ形状寸法測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油井管など、端部にねじ部が形成されたねじ付き管のねじ形状寸法を測定するねじ形状寸法測定装置及びねじ形状寸法測定方法に関する。特に、本発明は、ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面の両方がオーバーハング状に形成されたねじ付き管の両フランク面の形状寸法を測定可能なねじ付き管のねじ形状寸法測定装置及びねじ形状寸法測定方法に関する。
本願は、2022年5月24日に、日本国に出願された特願2022-084821号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、油井管などの管の端部同士を連結する方法として、管の端部の外周面にねじ部(雄ねじ部)を形成してねじ付き管とし、一対のねじ付き管の各ねじ部(雄ねじ部)を、内周面にねじ部(雌ねじ部)が形成された継手にそれぞれ締結することで、これら一対の管の端部同士を連結する方法が用いられている。
ねじ付き管の端部に形成されたねじ部には高い継手強度が求められるが、特に油井管の場合には、近年の油井環境の過酷化に伴い、ねじ部の寸法精度や品質保証レベルに対する要求が年々厳格化している。
【0003】
このため、いわゆる光投影法を用いて、ねじ部のねじ形状寸法を自動測定する装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
光投影法では、ねじ付き管の管軸を含む断面に直交する方向に光軸を有する照明部から、ねじ付き管の端部に対して、光を出射することで、ねじ付き管の端部を照明する。また、ねじ付き管の端部を間に挟んで照明部に対向して配置され、前記断面に直交する方向の視軸を有する撮像部によって、ねじ付き管の端部に遮られずに通過した光を検出して撮像することで、ねじ付き管の端部の撮像画像を生成する。そして、この撮像画像に基づき、前記断面におけるねじ部のねじ形状寸法を測定する。
【0004】
ここで、近年の油井環境の過酷化に伴って、油井管として用いられるねじ付き管には、ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面がオーバーハング状に形成されたものが存在する。
図1及び
図2は、一対のフランク面の両方がオーバーハング状に形成されたねじ付き管の端部形状の一例を模式的に示す断面図である。
図1は、ねじ付き管の端部の径方向片側の断面図(管軸AXを含む断面で切断した断面図)を示す。
図2は、
図1に示すねじ部PSのA部の拡大図を示す。
図1に示すように、ねじ付き管Pは、その端部の外周面に、長手方向の中央部側から順に、本体PBと、ねじ山P1及びねじ溝P2が形成されたねじ部PSと、ねじ部PSに隣接するリップ部PLと、を有する。
【0005】
そして、
図2に示すように、ねじ部の各ねじ山P1を区画する一対のフランク面P3(ねじ山P1の頂面P11とねじ溝P2の底面P21との間に位置する面)の両方がオーバーハング状に形成されている。すなわち、ねじ付き管Pの端部側に位置するフランク面P3(P3a)が、ねじ山P1の頂面P11からねじ溝P2の底面P21に近づくにつれて、ねじ付き管Pの中央部側に位置するように傾斜している。また、ねじ付き管Pの中央部側に位置するフランク面P3(P3b)は、ねじ山P1の頂面P11からねじ溝P2の底面P21に近づくにつれて、ねじ付き管Pの端部側に位置するように傾斜している。このように、オーバーハング状に形成されたフランク面P3のことをフック状フランク面と称する場合がある。
なお、
図1及び
図2において、紙面に垂直な視線より見た場合に、フランク面P3aの方はその断面の輪郭線(稜線)のみが見えており、この輪郭線に連なる面は紙面裏側に隠れて見えなくなっている。一方、フランク面P3bの方は、その輪郭線(稜線)及びこの輪郭線に連なる面も見えている。そのため、
図1及び
図2においては、フランク面P3aが「線」、フランク面P3bが「略三角形の面」として見えている。後述する
図11も同様である。
【0006】
図1及び
図2に示すようなねじ付き管の場合、光投影法では、フランク面P3(フック状フランク面)がねじ山P1の稜線の影に隠れることで、フランク面P3の全体の形状寸法を測定することができない。
そこで、特許文献2には、本明細書において「合焦法」と称する方法によって、フランク面P3の形状寸法を測定することが提案されている。
【0007】
合焦法は、光投影法と同様の光学系を用いて、管軸を含む断面に直交する方向の視軸を有する撮像部を、その合焦位置(焦点位置)が前記断面に合致するように配置する一方、照明部の光軸を前記断面に直交する方向から傾けることで、フランク面P3に相当する画素領域に干渉縞のような濃淡模様が生じた撮像画像が生成されることを利用し、この撮像画像における干渉縞のような濃淡模様が生じた画素領域を抽出することで、フランク面P3の形状寸法を算出する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】日本国特開2019-128203号公報
【文献】日本国特許第6849149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
合焦法によれば、特許文献2に記載のように、一対のフランク面P3のうち、何れか一方のフランク面P3がフック状フランク面であっても、問題なくフランク面P3の形状寸法を測定可能である。
しかしながら、本発明者が検討したところによれば、
図2に示すように、一対のフランク面P3の両方がフック状フランク面である場合には、撮像部の位置(視軸方向の位置)を変えずに固定した状態で、合焦法によって両方のフランク面P3の形状寸法を測定したとしても、何れか一方のフランク面P3の位置が管軸方向にずれて測定されることが分かった。フランク面P3の位置がずれて測定される(測定されるフランク面P3の位置が管軸方向に平行移動する)だけであれば、フランク面P3の角度の測定値には影響がないものの、両フランク面P3の位置によって算出される、ねじ山幅w1やねじ谷幅w2(
図1参照)等のねじ形状の測定値に、誤差が生じるという問題がある。
【0010】
以上説明のように、一対のフランク面P3の両面がフック状フランク面(管軸AXに垂直な断面N1,N2(
図2参照)に対して負角α,βをなすインバース面)である場合には、各フランク面P3間での反射光の合焦だけでは、管軸AX方向の位置が一方は正しくとも他方がずれた状態となる。よって、位置ずれしている方のフランク面P3の形状寸法が正確に求められない上に、各フランク面P3間のピッチも正確ではなくなる。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面の両方がオーバーハング状に形成されたねじ付き管のフランク面の形状寸法を測定可能な、ねじ形状寸法測定装置及びねじ形状寸法測定方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明者は、合焦法を改良することで、一対のフランク面(フック状フランク面)の双方の形状寸法を精度良く測定できないか、鋭意検討を行った。
その結果、一対のフランク面のうち、ねじ部のリード角に起因して、撮像部に面する側のフランク面(撮像部で直接撮像できる第1フランク面)の形状寸法を測定する場合には、従来の合焦法と同様に、合焦位置が第1フランク面の位置(管軸を含む断面上の位置)に合致した状態(第1状態)の撮像部によって生成された撮像画像に基づき、第1フランク面の形状寸法を算出する一方、撮像部に面する側とは反対側のフランク面(撮像部で直接撮像できない第2フランク面)の形状寸法を測定する場合には、例えば、撮像部の位置が第1状態よりもねじ付き管に所定距離だけ近づくことで、合焦位置が第2フランク面の位置(管軸を含む断面上の位置)に合致した状態(第2状態)の撮像部によって生成された撮像画像に基づき、第2フランク面の形状寸法を算出することで、第2フランク面の位置が管軸方向にずれて算出されることなく、一対のフランク面の双方の形状寸法を精度良く算出できることを見出した。
【0013】
本発明は、上記の本発明者の知見に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様は、
端部にねじ部が形成され、管軸を含む断面で見たときに前記ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面の両方がオーバーハング状に形成されたねじ付き管の、前記ねじ部のねじ形状寸法を測定するねじ形状寸法測定装置であって、
照明部と、撮像部と、焦点距離調整部と、較正値設定部と、制御部とを備え、
前記照明部が、前記撮像部に対向配置され、前記照明部から前記撮像部を見る方向を間に挟んで一方の方向である第1照明方向と、他方の方向である第2照明方向との2方向において択一的に平行光を出射し、
前記撮像部が、前記第1照明方向からの前記平行光を受光して行う第1撮像画像の撮像と、前記第2照明方向からの前記平行光を受光して行う第2撮像画像の撮像とを、択一的に行い、
前記焦点距離調整部が、前記制御部からの調整指示を受けて前記撮像部の合焦位置を調整し、
前記較正値設定部が、合焦位置調整前の前記第2撮像画像の前記合焦位置から前記撮像部までの焦点距離と、前記第1撮像画像の前記合焦位置から前記撮像部までの焦点距離との差分値を有し、
前記制御部が、
前記較正値設定部から前記差分値を取得し、
前記第2撮像画像を撮像する際に、前記差分値だけ前記合焦位置を前記照明部に近付ける前記調整指示を前記焦点距離調整部に与え、
撮像された前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像に基づき、前記ねじ形状寸法を演算する。
【0014】
(2)上記(1)の態様において以下のように構成してもよい:
前記較正値設定部が、前記照明部及び前記撮像部間を結ぶ方向に対して直交する方向における、前記合焦位置調整前の前記第2撮像画像の前記合焦位置と、真の合焦位置とのずれ量に基づいて、前記差分値を求める。
【0015】
(3)本発明の他の態様は、
端部にねじ部が形成され、管軸を含む断面で見たときに前記ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面の両方がオーバーハング状に形成されたねじ付き管の、前記ねじ部のねじ形状寸法を測定するねじ形状寸法測定方法であって、
前記管軸を含む断面に直交する方向に対して、前記ねじ部のリード角よりも大きな角度を成す方向に傾いた第1照明方向に平行光を出射することで、前記端部を照明する第1照明ステップと、
前記管軸を含む断面に直交する方向に対して、前記ねじ部の前記リード角と反対側に傾いた第2照明方向に平行光を出射することで、前記端部を照明する第2照明ステップと、
前記端部を間に挟んで前記平行光の出射元と対向する撮像側において、
前記第1照明方向に出射された前記平行光のうち、前記ねじ部のねじ山間を通過した光を受光することで前記端部の第1撮像画像を撮像し、
前記第2照明方向に出射された前記平行光のうち、前記ねじ部のねじ山間を通過した光を受光することで前記端部の第2撮像画像を撮像する、
撮像ステップと、
前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像に基づき、前記ねじ部の前記ねじ形状寸法を演算する演算処理ステップと、
を有し、
前記一対のフランク面のうち、前記管軸を含む断面上の部位を前記撮像側から直接撮像できる方を第1フランク面とし、前記管軸を含む断面上の部位を前記撮像側から直接撮像できない方を第2フランク面としたときに、
前記演算処理ステップでは、
合焦位置が前記第1フランク面の前記断面上の位置に合致するように調整された第1状態で撮像された前記第1撮像画像に基づいて、前記第1フランク面の形状寸法を算出し、
合焦位置が前記第2フランク面の前記断面上の位置に合致するように、前記合焦位置が前記第1状態よりも前記管軸に向けて所定距離だけ近づけられた第2状態で撮像された前記第2撮像画像に基づいて、前記第2フランク面の形状寸法を算出する。
なお、上記「各ねじ山間を通過した光」は、第1フランク面及び第2フランク面で反射(1回反射、2回反射)されてから通過した光も含む。
【0016】
(4)上記(3)の態様において以下のようにしてもよい:
前記所定距離を、前記第2フランク面の前記管軸方向の真の位置と、前記第1状態で撮像された前記第2撮像画像に基づき算出された前記第2フランク面の前記管軸方向の位置とのずれ量に基づいて求める。
【0017】
[付記項]
(a)本発明の一態様は、端部にねじ部が形成され、管軸を含む断面に直交する方向から見て、前記ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面の両方がオーバーハング状に形成されたねじ付き管の、前記ねじ部のねじ形状寸法を測定するねじ形状寸法測定装置であって、前記管軸を含む断面に直交する方向に対して、前記ねじ部のリード角よりも大きな角度を成す方向に傾いた第1照明方向、又は、前記管軸を含む断面に直交する方向に対して、前記ねじ部のリード角と反対側に傾いた第2照明方向に平行光を出射することで、前記ねじ付き管の端部を照明する照明部と、前記ねじ付き管の端部を挟んで前記照明部に対向して配置され、前記管軸を含む断面に直交する方向の視軸を有し、前記第1照明方向に出射された平行光のうち、前記各ねじ山間を通過した光を撮像することで、前記端部の第1撮像画像を生成し、前記第2照明方向に出射された平行光のうち、前記各ねじ山間を通過した光を撮像することで、前記端部の第2撮像画像を生成する撮像部と、前記撮像部の合焦位置を調整する調整部と、前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像に基づき、前記ねじ形状寸法を演算する演算処理部と、を備え、前記一対のフランク面のうち、前記撮像部で、前記管軸を含む断面上の部位を直接撮像できるフランク面を第1フランク面とし、前記撮像部で、前記管軸を含む断面上の部位を直接撮像できないフランク面を第2フランク面とすると、前記演算処理部は、前記撮像部の合焦位置が前記第1フランク面の前記断面上の位置に合致するように、前記調整部によって前記撮像部の合焦位置が調整された第1状態で生成された前記第1撮像画像に基づいて、前記第1フランク面の形状寸法を算出し、前記撮像部の合焦位置が前記第2フランク面の前記断面上の位置に合致するように、前記調整部によって前記撮像部の合焦位置が前記第1状態よりも前記管軸に向けて所定距離だけ近づけられた第2状態で生成された前記第2撮像画像に基づいて、前記第2フランク面の形状寸法を算出する。
なお、上記「各ねじ山間を通過した光」は、第1フランク面及び第2フランク面で反射(1回反射、2回反射)されてから通過した光を含む。
【0018】
上記(a)の態様によれば、一対のフランク面のうち、撮像部で管軸を含む断面上の部位を直接撮像できる第1フランク面の形状寸法を算出する場合には、従来の合焦法と同様に、撮像部の合焦位置が第1フランク面の前記断面上の位置に合致する第1状態で生成された第1撮像画像を用いることで、第1フランク面の形状寸法を算出可能である。また、一対のフランク面のうち、撮像部で管軸を含む断面上の部位を直接撮像できない第2フランク面の形状寸法を算出する場合には、合焦位置が第2フランク面の前記断面上の位置に合致するように、調整部によって撮像部の合焦位置が第1状態よりも管軸に向けて所定距離だけ近づけられた第2状態で生成された第2撮像画像を用いることで、本発明者が知見したように、第2フランク面の位置が管軸方向にずれて算出されることなく、第2フランク面の形状寸法を算出可能である。したがって、上記(a)の態様によれば、一対のフランク面の双方の形状寸法を精度良く算出可能である。
【0019】
なお、第1状態の撮像部の合焦位置(焦点位置)は、第1フランク面の、ねじ付き管の管軸を含む断面(ねじ形状寸法を測定すべき断面)上の位置に合致しているが、この第1状態における撮像部とねじ付き管の管軸との距離(管軸を含む断面に直交する方向の距離)は、撮像部の焦点距離によって決定することができる。
また、照明部としては、例えば、照明部を構成する部材の傾きを変更したり、駆動する部材を切り替える等により、第1照明方向と第2照明方向とを切り替える構成を採用することが可能である。ただし、これに限るものではなく、第1照明方向に平行光を出射する照明部と、第2照明方向に平行光を出射する照明部とを、完全に別個のものとして設け、これらの照明部の組み合わせを、上記(a)の態様の照明部とすることも可能である。
さらに、調整部としては、(i)撮像部を支持し、ねじ付き管の管軸を含む断面に直交する方向に撮像部を移動させることが可能な構成、(ii)ねじ付き管を支持し、ねじ付き管の管軸を含む断面に直交する方向にねじ付き管を移動させることが可能な構成、(iii)ズームレンズ等の撮像部の焦点距離を変更可能な構成、を例示できる。上記(i)~(iii)の何れの構成であっても、撮像部の合焦位置を調整可能である。
【0020】
(b)上記(a)に記載の態様において、前記所定距離が、前記第2フランク面の前記管軸方向の真の位置と、前記第1状態の前記撮像部によって生成された前記第2撮像画像に基づき算出された前記第2フランク面の前記管軸方向の位置とのずれ量に基づいて決定されてもよい。
【0021】
上記(b)の場合、第2フランク面の管軸方向の真の位置としては、例えば、接触式の形状寸法測定装置で測定した第2フランク面の位置が用いられる。
そして、この真の位置と、第1状態の撮像部(すなわち、第2状態に移動する前の撮像部)によって生成された第2撮像画像に基づき算出された第2フランク面の管軸方向の位置とのずれ量に基づき、撮像部が第2状態となるように、撮像部の合焦位置を管軸に向けて近づける所定距離が決定される。具体的には、所定距離は、このずれ量とねじ部のリード角とによって幾何学的に算出可能である。
【0022】
(c)本発明の他の態様は、端部にねじ部が形成され、管軸を含む断面に直交する方向から見て、前記ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面がオーバーハング状に形成されたねじ付き管の、前記ねじ部のねじ形状寸法を測定するねじ形状寸法測定方法であって、照明部を用いて、前記管軸を含む断面に直交する方向に対して、前記ねじ部のリード角よりも大きな角度を成す方向に傾いた第1照明方向に平行光を出射することで、前記ねじ付き管の端部を照明する第1照明ステップと、前記照明部を用いて、前記管軸を含む断面に直交する方向に対して、前記ねじ部のリード角と反対側に傾いた第2照明方向に平行光を出射することで、前記ねじ付き管の端部を照明する第2照明ステップと、前記ねじ付き管の端部を挟んで前記照明部に対向して配置され、前記管軸を含む断面に直交する方向の視軸を有する撮像部を用いて、前記第1照明方向に出射された平行光のうち、前記各ねじ山間を通過した光を撮像することで、前記端部の第1撮像画像を生成し、前記第2照明方向に出射された平行光のうち、前記各ねじ山間を通過した光を撮像することで、前記端部の第2撮像画像を生成する撮像ステップと、前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像に基づき、前記ねじ部のねじ形状寸法を演算する演算処理ステップと、を有し、前記一対のフランク面のうち、前記撮像部で、前記管軸を含む断面上の部位を直接撮像できるフランク面を第1フランク面とし、前記撮像部で、前記管軸を含む断面上の部位を直接撮像できないフランク面を第2フランク面とすると、前記演算処理ステップでは、前記撮像部の合焦位置が前記第1フランク面の前記断面上の位置に合致するように、調整部によって前記撮像部の合焦位置が調整された第1状態で生成された前記第1撮像画像に基づいて、前記第1フランク面の形状寸法を算出し、前記撮像部の合焦位置が前記第2フランク面の前記断面上の位置に合致するように、前記調整部によって前記撮像部の合焦位置が前記第1状態よりも前記管軸に向けて所定距離だけ近づけられた第2状態で生成された前記第2撮像画像に基づいて、前記第2フランク面の形状寸法を算出する。
なお、上記「各ねじ山間を通過した光」は、第1フランク面及び第2フランク面で反射(1回反射、2回反射)されてから通過した光を含む。
【0023】
(d)上記(c)の態様において、前記所定距離が、前記第2フランク面の管軸方向の真の位置と、前記第1状態の前記撮像部によって生成された前記第2撮像画像に基づき算出された前記第2フランク面の前記管軸方向の位置とのずれ量に基づいて決定されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の上記各態様によれば、ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面がオーバーハング状に形成されたねじ付き管のフランク面の形状寸法を精度良く測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一対のフランク面がオーバーハング状に形成されたねじ部を有するねじ付き管の端部形状の一例を模式的に示す図であって、その管軸を含む断面で見た断面図である。
【
図2】同ねじ部を示す図であって、
図1のA部の拡大断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るねじ形状寸法測定方法の各工程の概略を示すフローチャートである。
【
図4】同実施形態に係るねじ形状寸法測定装置の概略構成を模式的に示す図であり、その一部が、管軸の方向(X方向)から見た側面図となっている。
【
図5】同ねじ形状寸法測定装置を示す図であって、
図4のB-B線より、ねじ部を透過して見た側面図である。
【
図6】同ねじ形状寸法測定装置に備わる照明部の構成例を模式的に示す図であって、
図5と同じ視線より見た側面図である。ここで、(a)は、光源の傾きを変更する場合の構成例を示し、(b)は一対のLED間でON/OFFを切り換える場合の構成例を示す。
【
図7】同ねじ形状寸法測定装置の撮像部によって生成された第1撮像画像及びその一部拡大図の一例を示す図である。本図は、ねじ付き管から切り出したサンプルの写真ではなく、ねじ付き管そのものを側方から撮像した写真である。
【
図8】同ねじ形状寸法測定装置の撮像部によって生成される第2撮像画像及びその一部拡大図の一例を示す図である。本図も、ねじ付き管から切り出したサンプルの写真ではなく、ねじ付き管そのものを側方から撮像した写真である。
【
図9】同ねじ形状寸法測定装置において、第1フランク面で反射した平行光を第1状態の撮像部が受光する場合の光路を模式的に説明する図である。ここで、(a)は第1照明部からの平行光を受光する場合を示し、(b)は第2照明部からの平行光を受光する場合を示す。
【
図10】同ねじ形状寸法測定装置において、第2フランク面で反射した平行光を第1状態の撮像部が受光する場合の光路を模式的に説明する図である。ここで、(a)は第1照明部からの平行光を受光する場合を示し、(b)は第2照明部からの平行光を受光する場合を示す。
【
図11】
図9(a),(b)の各平行光を、紙面に平行な方向より見た図である。
【
図12】
図9(a)に示した第1状態の撮像部によって生成された第1撮像画像に基づき、第1フランク面の形状寸法を実際に算出した結果を、接触式の形状寸法測定装置で測定した第1フランク面の形状寸法と比較した結果の一例を示す。すなわち、横軸を管軸方向位置としてかつ縦軸を管径方向位置としたグラフで示した、ねじ部の形状寸法の測定結果の比較である。
【
図13】
図12のA1部の拡大図であって、第1フランク面の形状寸法を示す。ここで、横軸が管軸方向位置であり、縦軸が管径方向位置である。
【
図14】
図9(b)に示した第1状態の撮像部によって生成された第2撮像画像に基づき、第2フランク面の形状寸法を実際に算出した結果を、接触式の形状寸法測定装置で測定した第2フランク面の形状と比較した結果の一例を示す。すなわち、横軸を管軸方向位置としてかつ縦軸を管径方向位置としたグラフで示した、ねじ部の形状寸法の測定結果の比較である。
【
図15】
図14のA2部の拡大図であって、第2フランク面の形状寸法を示す。ここで、横軸が管軸方向位置であり、縦軸が管径方向位置である。
【
図16】第2フランク面の形状寸法を算出する際に、第1状態及び第2状態の撮像部が受光する光路を模式的に説明する図である。
【
図17】第2フランク面の形状寸法を算出する際に、第1状態及び第2状態の撮像部が受光する光路を模式的に説明する図である。
【
図18】
図16の左図に示す第1状態の撮像部によって生成された第2撮像画像に基づき、第2フランク面の形状寸法を実際に算出した結果と、
図16の右図に示す第2状態の撮像部によって生成された第2撮像画像に基づき、第2フランク面の形状寸法を実際に算出した結果とを、接触式の形状寸法測定装置で測定した第2フランク面の形状寸法と比較した結果の一例を示す。ここで、横軸が管軸方向位置であり、縦軸が管径方向位置である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係るねじ形状寸法測定方法及びねじ形状寸法測定装置について説明する。
以下、まずは測定対象であるねじ付き管について、
図1及び
図2に基づいて改めて説明する。続いて、ねじ形状寸法測定方法の概要を
図3に基づいて説明する。さらに、ねじ形状寸法測定装置及びねじ形状寸法測定方法の詳細内容を、
図4以降を参照しながら説明する。
【0027】
[ねじ付き管]
図1は、一対のフランク面がオーバーハング状に形成されたねじ部を有するねじ付き管Pの端部形状の一例を模式的に示す図であって、その管軸AXを含む断面で見た断面図である。
図1では、主に管軸AXを境とする半分を示している。また、
図2は、
図1のA部の拡大断面図である。
図1に示すように、ねじ付き管Pは、本体PBと、ねじ部PSと、リップ部PLとを有する鋼管である。これら本体PB、ねじ部PS、リップ部PLは、共通の管軸AXを有する。ねじ部PSとリップ部PLとの間に、不図示のベベル部を有してもよい。以下の説明で、ねじ付き管Pをその長手方向に沿って見たときに、本体PBに向かう方を中央部側、一端及び他端に向かう方向を端部側と呼ぶ場合がある。ねじ付き管Pは、不図示の継手に形成された雌ねじ部に螺合させることで、他のねじ付き管Pと連結することができる。
【0028】
本体PBは、一定の内径及び外径を有する中空管である。ねじ部PSは、本体PBの一端及び他端のそれぞれに対して同軸かつ一体に形成された中空管であり、本体PBと同じ内径の内周面と、雄ねじが形成された外周面とを有する。リップ部PLは、一対のねじ部PSそれぞれの端部側に対して同軸かつ一体に形成された中空管であり、本体PBと同じ内径の内周面と、端部側に向かって先細りになる外周面とを有する。
【0029】
図2に示すように、ねじ部PSの雄ねじは、一つのねじ山を、管軸AXを含む断面で見たときに、本体PBから遠いフランク面(スタブフランク、第1フランク面)P3aと、本体PBに近いフランク面(ロードフランク、第2フランク面)P3bとの一対を有する。以下の説明では、これら一対のフランク面P3a及びフランク面P3bを纏めてフランク面P3と呼ぶ場合がある。
【0030】
図2に示される通り、フランク面P3aは、管軸AXに垂直な断面N1に対し、径方向外側から径方向内側に向かうにつれて断面N1から離れていくオーバーハング状の側面をなしている。このように、断面N1に対して負角αを形成するフランク面P3aのことをインバース面と呼ぶ場合がある。フランク面P3aは、管軸AXを中心とする螺旋形状を有するが、管軸AXを含む断面において見たときには直線形状を有する。フランク面P3aの上端位置は、円弧状の凸角部を介して、ねじ山P1の頂面P11に連なる。また、フランク面P3aの下端位置は、円弧状の凹角部を介して、ねじ溝P2の底面P21に連なる。
【0031】
図2に示される通り、フランク面P3bは、管軸AXに垂直な断面N2に対し、径方向外側から径方向内側に向かうにつれて断面N2から離れていくオーバーハング状の側面をなしている。このように、断面N2に対して負角βを形成するフランク面P3bにおいても、これをインバース面と呼ぶ場合がある。フランク面P3bは、管軸AXを中心とする螺旋形状を有するが、管軸AXを含む断面において見たときに直線形状を有する。フランク面P3bの上端位置は、円弧状の凸角部を介して、ねじ山P1の頂面P11に連なる。また、フランク面P3bの下端位置は、円弧状の凹角部を介して、ねじ溝P2の底面P21に連なる。
【0032】
以上説明のように、一対のフランク面P3a,3bは、共に、オーバーハング状のインバース面を形成する螺旋面となっている。そのため、
図2にも示されるように、側方からねじ部PSを見たときに、一対のフランク面P3a,P3bのうちの一方は直接目視できるが、他方は背後に隠れて見えなくなっている。
【0033】
[ねじ形状寸法測定方法]
上述のねじ付き管Pを測定対象として、一対のフランク面P3a,P3bのねじ形状寸法を測定する。
図3は、本実施形態に係るねじ形状寸法測定方法の各工程の概略を示すフローチャートである。各工程の詳細及びこれに用いるねじ形状寸法測定装置については後述するが、その前に本図を用いて概要を説明しておく。
【0034】
図3のステップS1~S4は、装置構成を後述の「第1状態」とした上で行う。一方、ステップS5~S6は、装置構成を後述の「第2状態」とした上で行う。なお、複数本のねじ付き管Pを連続して測定する場合、初回のねじ付き管Pに対してのみ、
図3の全工程を実施する。そして、2本目以降のねじ付き管Pについては、ステップS1,S3,S4を省略し、初回のねじ付き管Pについて求めた所定距離ΔZを流用して測定する。よって、2本目以降のねじ付き管Pに対しては、ステップS2,S5,S6,S7をこの順に実行する。
【0035】
まず、ステップS1では、フランク面P3bの管軸AX方向における真の位置(合焦位置)を予め得ておく。この真の位置は、例えばコントレーサなどの接触式の形状寸法測定装置(不図示)を用いることで得られる。
続くステップS2では、第1状態において、管軸AXを含む断面M(
図4)の位置においてフランク面P3aに合焦する。そして、その合焦状態においてフランク面P3aの形状寸法を測定する。
【0036】
続くステップS3では、第1状態のまま、管軸AXを含む断面M(
図4)におけるフランク面P3bの位置(合焦位置)を求める。ここで求めた位置は、上述した「真の位置」に対してずれている。
続くステップS4では、ステップS1で求めたフランク面P3bの真の位置と、ステップS3で求めた位置との差分値を求め、これにより、管軸AX方向における位置のずれ量を求める。そして、このずれ量を補正するために必要となる焦点距離の補正量として、後述する所定距離ΔZを求める。
【0037】
続くステップS5では、ステップS4で得た所定距離ΔZに基づいて管軸AX及び撮像部3間の焦点距離を補正した第2状態とする。これにより、管軸AXを含む断面M(
図4)の位置においてフランク面P3bに合焦する。
続くステップS6では、ステップS5で得た合焦状態のまま、フランク面P3bの形状寸法を求める。
【0038】
そして、最後のステップS7では、ステップS2で得たフランク面P3aの形状寸法とステップS6で得たフランク面P3bの形状寸法とを合成し、これにより、測定範囲におけるねじ部PSの形状寸法測定が得られる。なお、撮像部による撮像範囲は狭いため、ねじ部PSの全長について形状寸法測定を実施する場合には、ステップS6の後、別の撮像範囲に対してステップS2,S5,S6をこの順に実施する。そして最後に、ステップS7を実施することでねじ部PSの全長にわたった形状寸法の測定が完了する。
【0039】
上記各ステップを含むねじ形状寸法測定方法の骨子は、以下の通りである。
すなわち、本実施形態のねじ形状寸法測定方法では、端部にねじ部PSが形成され、管軸AXを含む断面で見たときにねじ部PSの各ねじ山を区画する一対のフランク面P3a,P3bの両方がオーバーハング状に形成されたねじ付き管Pの、ねじ部PSのねじ形状寸法を測定する。
【0040】
そして、このねじ形状寸法測定方法は、第1照明ステップと第2照明ステップとを有する。第1照明ステップでは、管軸AXを含む断面に直交する方向に対して、ねじ部PSのリード角よりも大きな角度を成す方向に傾いた第1照明方向に平行光を出射することで、前記端部を照明する。この第1照明ステップは、
図3のステップS2に含まれる。
また、第2照明ステップでは、管軸AXを含む断面に直交する方向に対して、ねじ部PSの前記リード角と反対側に傾いた第2照明方向に平行光を出射することで、前記端部を照明する。この第2照明ステップは、
図3のステップS3~S6に含まれる。
【0041】
さらに、このねじ形状寸法測定方法は、撮像ステップを有する。この撮像ステップでは、前記端部を間に挟んで前記平行光の出射元と対向する撮像側において、前記第1照明方向に出射された平行光のうち、前記ねじ山間を通過した光を受光することで前記端部の第1撮像画像を撮像する。また、前記第2照明方向に出射された平行光のうち、前記ねじ山間を通過した光を受光することで前記端部の第2撮像画像を撮像する。この撮像ステップは、
図3のS2~S6に含まれる。
【0042】
さらに、このねじ形状寸法測定方法は、前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像に基づき、ねじ部PSの前記ねじ形状寸法を演算する演算処理ステップを有する。この演算処理ステップは、
図3のS2,S6,S7に含まれる。
そして、フランク面P3a,P3bのうち、管軸AXを含む断面上の部位を前記撮像側から直接撮像できる方を第1フランク面(フランク面P3a)とし、管軸AXを含む断面上の部位を前記撮像側から直接撮像できない方を第2フランク面(フランク面P3b)としたときに、前記演算処理ステップでは、以下の様にフランク面P3a及びフランク面P3bの形状寸法を算出する。
【0043】
すなわち、前記演算処理ステップでは、合焦位置がフランク面P3aの管軸AXを含む断面上の位置に合致するように調整された第1状態で撮像された前記第1撮像画像に基づいて、フランク面P3aの形状寸法を算出する。
また、合焦位置がフランク面P3bの管軸AXを含む断面上の位置に合致するように、前記合焦位置が前記第1状態よりも管軸AXに向けて所定距離だけ近づけられた第2状態で撮像された前記第2撮像画像に基づいて、フランク面P3bの形状寸法を算出する。
【0044】
前記所定距離は、後述する式(1)のΔZのことであり、フランク面P3bの管軸AX方向の真の位置と、前記第1状態で撮像された前記第2撮像画像に基づき算出されたフランク面P3bの管軸AX方向の位置とのずれ量に基づいて求められる。
【0045】
[ねじ形状寸法測定装置]
図4は、本発明の一実施形態に係るねじ形状寸法測定装置の概略構成を模式的に示す図であり、その一部が、管軸AXの方向(X方向)から見た側面図となっている。
図5は、同ねじ形状寸法測定装置を示す図であって、
図4のB-B線より、ねじ部PSを透過して見た側面図である。すなわち、
図5は、管軸AXを含む断面(本実施形態では水平面)Mに平行な方向(Y方向)から見た場合の、
図4の紙面右側に位置する光学系(照明部200及び撮像部3)の側面図である。
図4の紙面左側に位置する光学系の側面図は省略するが、ねじ付き管Pのねじ部PSのリード角γが
図5に示すものと反転する点を除き、同様の図となる。
【0046】
図4及び
図5に示すように、本実施形態に係るねじ形状寸法測定装置100は、前述の
図1に示したねじ付き管Pの端部に形成されたねじ部PSのねじ形状寸法を測定する装置であり、照明部200(第1照明部1、第2照明部2)と、撮像部3と、調整部4と、演算処理部5と、を備えている。
【0047】
調整部4は、撮像部3の合焦位置(後述のFa、Fb)を調整する機能を有する。本実施形態では、調整部4として、撮像部3を支持し、ねじ付き管Pの管軸AXを含む断面Mに直交する方向(Z方向、本実施形態では上下方向)に撮像部3を移動させることが可能な構成を用いている。具体的には、調整部4は、ねじ付き管Pを間に挟んでY方向の両側に設けられ、それぞれが撮像部3を支持し、管軸AXを含む断面Mに直交する方向に撮像部3を移動させることが可能な一軸ステージ等から構成されている。
【0048】
本実施形態では、撮像部3のみならず、照明部200も両側の調整部4に取り付けられており、照明部200及び撮像部3が、Z方向に一体的に移動可能になっている。ただし、本発明はこの構成のみに限るものではなく、撮像部3のみが調整部4によってZ方向に移動可能な構成を採用することも可能である。また、調整部4として、ねじ付き管Pを支持し、ねじ付き管Pの管軸AXを含む断面Mに直交する方向にねじ付き管Pを移動させることが可能な構成を採用することも可能である。さらに、ズームレンズ等の、撮像部3の焦点距離を変更可能な構成を採用することも可能である。また、調整部4としては、撮像部3の位置や角度を変える機能を有するものとして、例えばゴニオステージや回転ステージを採用してもよい。
【0049】
本実施形態の照明部200は、照明部200を構成する部材の傾きを変更したり、駆動する部材を切り替えたりすることなどにより、後述の第1照明方向に平行光を出射する第1照明部1としての機能と、後述の第2照明方向に平行光を出射する第2照明部2としての機能と、を切り替える構成とされている。ただし、本発明はこの構成のみに限るものではなく、第1照明部1及び第2照明部2を完全に別個の照明部とすることも可能である。
さらに、本実施形態では、ねじ付き管Pの管軸AXを間に挟んでY方向に対向する部位を照明及び撮像するために、2組の同一構成を有する光学系(照明部200及び撮像部3)を備えている。
【0050】
なお、
図5では、便宜上、ねじ部PSの図示を簡略化して記載(ねじ山P1及びねじ溝P2の一部のみを図示)しているが、ねじ付き管Pのハッチングを施していない部分が、ねじ付き管Pの端部であり、
図1で説明したように、この端部の外周面に、ねじ部PS、リップ部PLが形成されている。ねじ付き管Pは、本実施形態に係るねじ形状寸法測定装置100によってねじ形状寸法を測定する際に、チャック(図示せず)等によって固定される。
以下、ねじ形状寸法測定装置100が備える調整部4以外の各構成要素のより具体的な構成について順に説明する。
【0051】
<照明部200(第1照明部1及び第2照明部2)>
第1照明部1は、ねじ付き管Pの管軸AXを含む断面Mに直交する方向(Z方向)に対して、ねじ部PSのリード角γよりも大きな角度θ1を成す方向に傾いた(Z方向に対して、リード角γと同じ側に(
図5)に示す例では反時計回りに)角度θ1だけ傾いた)光軸を有する。第1照明部1は、X方向及びY方向に所定の拡がりを有し、X方向とZ方向とが成すXZ平面内で、Z方向に対してリード角γと同じ側に角度θ1だけ傾いた平行光L1(
図5において実線で示す矢印)を出射することで、ねじ付き管Pの端部を照明する。本明細書では、この照明方向を第1照明方向と称する。第1照明部1から出射する平行光L1の光束の光軸に垂直な断面は、撮像部3で撮像する範囲(すなわち、撮像視野)よりも十分に広い面積を有する。平行光L1がフランク面P3で反射し、その反射光の正反射成分を撮像部3で撮像する必要があるため、好ましくは、角度θ1は、約2γに設定される。
【0052】
実際には、ねじ部PSの種類によってリード角γはバラツキ(以下、最大リード角をγmax、最小リード角をγminとする)等を有するため、測定対象であるねじ部PSのリード角γに応じて、第1照明部1の光軸の角度θ1がθ1=2γとなるように、光軸を調整することが好ましい。或いは、実用上、2(γmax-γmin)はあまり大きくないので、第1照明部1から、2(γmax-γmin)と同程度の広がりのある平行光L1を、光軸の角度θ1≒(γmax+γmin)に設定して出射しても良い。具体的には、設備的な制約や、ねじ付き管Pの曲がり等を考慮し、余裕を持たせることで、θ1≦4°に設定することが好ましい。
【0053】
第2照明部2は、断面Mに直交する方向(Z方向)に対して、ねじ部PSのリード角γと反対側に角度θ2だけ傾いた(Z方向に対して、リード角γと反対側に(
図5に示す例では時計回りに)角度θ2だけ傾いた)光軸を有する。第2照明部2は、X方向及びY方向に所定の拡がりを有し、X方向とZ方向とが成すXZ平面内で、Z方向に対してリード角γと反対側に角度θ2だけ傾いた平行光L2(
図5において破線で示す矢印)を出射することで、ねじ付き管Pの端部を照明する。本明細書では、この照明方向を第2照明方向と称する。第2照明部2から出射する平行光L2の光束の光軸に垂直な断面は、撮像部3で撮像する範囲(すなわち、撮像視野)よりも十分に広い面積を有する。
【0054】
以下、第1照明部1及び第2照明部2(照明部200)の具体的な構成例について説明する。
図6は、照明部200の具体的な構成例を模式的に示す側面図である。
図6では、ねじ付き管Pの図示を省略している。
【0055】
図6(a)に示す照明部200は、光源11と、ゴニオステージ12と、を具備する。
光源11としては、平行光を出射するものである限りにおいて特に限定されないが、例えばレンズ付きLED照明、レンズ付きハロゲンランプ、レーザ等が用いられる。
【0056】
ゴニオステージ12を駆動することにより、光源11の光軸がY方向の軸回りに回動する。
図6(a)において実線で示す状態の光源11は、ねじ付き管Pの管軸AXを含む断面Mに直交する方向(Z方向)に対して、リード角γ(
図5参照)と同じ側に角度θ1だけ傾いた光軸を有し、そのまま真っ直ぐに、すなわち、第1照明方向に平行光L1(
図6(a)では平行光L1の光軸のみを図示)を出射することで、ねじ付き管Pの端部を照明する。すなわち、この状態での照明部200は、第1照明部1としての機能を奏する。
【0057】
一方、
図6(a)において破線で示す状態の光源11は、断面Mに直交する方向(Z方向)に対して、リード角γと反対側に角度θ2だけ傾いた光軸を有し、そのまま真っ直ぐに、すなわち、第2照明方向に平行光L2(
図6(a)では平行光L2の光軸のみを図示)を出射することで、ねじ付き管Pの端部を照明する。すなわち、この状態での照明部200は、第2照明部2としての機能を奏する。
以上のように、
図6(a)に示す例は、照明部200を構成する光源11の傾きを変更することで、第1照明部1としての機能と、第2照明部2としての機能を切り替える構成である。
【0058】
図6(b)に示す照明部200は、2つのLED(Light-Emitting Diode)13a、13bと、レンズ14と、を具備する。
LED13a及びLED13bは、レンズ14の光軸からX方向に外れた位置に配置されている。LED13a及びLED13bは、レンズ14の光軸を挟んで、互いに反対側に配置されている。LED13a、13bとレンズ14とのZ方向の離間距離は、レンズ14の焦点距離とほぼ等しくなっている。
【0059】
LED13aから出射された光は、レンズ14によって平行光L1(
図6(b)では平行光L1の光軸のみを図示)となり、ねじ付き管Pの管軸AXを含む断面Mに直交する方向(Z方向)に対して、リード角γ(
図5参照)と同じ側に角度θ1だけ傾いた方向、すなわち、第1照明方向からねじ付き管Pの端部を照明する。すなわち、LED13a及びレンズ14の組み合わせは、第1照明部1としての機能を奏する。具体的には、LED13aを駆動し、LED13bの駆動を停止することで、LED13a及びレンズ14の組み合わせが第1照明部1として機能する。
【0060】
一方、LED13bから出射された光は、レンズ14によって平行光L2(
図6(b)では平行光L2の光軸のみを図示)となり、断面Mに直交する方向(Z方向)に対して、リード角γと反対側に角度θ2だけ傾いた方向、すなわち、第2照明方向からねじ付き管Pの端部を照明する。すなわち、LED13b及びレンズ14の組み合わせは、第2照明部2としての機能を奏する。具体的には、LED13bを駆動し、LED13aの駆動を停止することで、LED13b及びレンズ14の組み合わせが第2照明部2として機能する。
以上のように、
図6(b)に示す例は、照明部200を構成するLED13a、LED13bの駆動を切り替えることで、第1照明部1としての機能と、第2照明部2としての機能を切り替える構成である。
【0061】
本実施形態の第1照明部1及び第2照明部2は、
図5に示す構成のみに限られるものではない。第1照明部1としては、断面Mに直交する方向(Z方向)に対して、ねじ部PSのリード角γよりも大きな角度を成す方向に傾いた光軸を有し、平行光L1を出射することで、ねじ付き管Pの端部を照明できる限りにおいて、種々の構成を採用可能である。また、第2照明部2としては、断面Mに直交する方向(Z方向)に対して、ねじ部PSのリード角γと反対側に傾いた光軸を有し、平行光L2を出射することで、ねじ付き管Pの端部を照明できる限りにおいて、種々の構成を採用可能である。
【0062】
<撮像部3>
撮像部3は、ねじ付き管Pの端部を間に挟んで第1照明部1及び第2照明部2に対向して配置されており、第1照明部1から第1照明方向に出射された平行光L1のうち、ねじ付き管Pの端部に遮られずに通過した光(各ねじ山間を通過した光)を撮像することで、ねじ付き管Pの端部の第1撮像画像を生成する。また、第2照明部2から出射された平行光L2のうち、ねじ付き管Pの端部に遮られずに通過した光(各ねじ山間を通過した光)を撮像することで、ねじ付き管Pの端部の第2撮像画像を生成する。
【0063】
撮像部3は、撮像素子と、この撮像素子に画像を結像するレンズとの組み合わせで構成される。具体的には、
図5及び
図6に示すように、撮像部3は、撮像部本体31と、撮像部本体31に取り付けられたテレセントリックレンズ32と、を具備する。撮像部本体31は、2次元配置されたCCDやCMOS等の撮像素子を具備する。撮像部3は、テレセントリックレンズ32を具備することで、撮像部本体31の撮像素子において平行光成分を容易に受光可能である。
撮像部3は、断面Mに直交する方向(Z方向)の視軸を有する。そして、撮像部3はテレセントリックレンズ32を具備するため、物面近傍の画角が0°であり、倍率が一定となるため、寸法測定に好適である。
【0064】
ここで、一対のフランク面P3のうち、撮像部3で断面M上の部位を直接撮像できるフランク面P3(
図5に示す例では、撮像部3に面する側のフランク面P3である、ねじ付き管Pの端部側に位置するフランク面P3a)を第1フランク面とし、撮像部3で断面M上の部位を直接撮像できないフランク面(
図5に示す例では、撮像部3に面しない側のフランク面P3である、ねじ付き管Pの中央部側に位置するフランク面P3b)を第2フランク面とする。この場合、第1フランク面の形状寸法を算出する際には、撮像部3の合焦位置が第1フランク面の断面M上の位置に合致する状態(第1状態)となるように、ねじ付き管Pの配置位置に応じて、調整部4によって撮像部3の位置(Z方向の位置)が調整され、この第1状態の撮像部3によって第1撮像画像が生成される。一方、第2フランク面の形状寸法を算出する際には、撮像部3の合焦位置が第2フランク面の断面M上の位置に合致する状態(第2状態)となるように、ねじ付き管Pの配置位置に応じて、調整部4によって撮像部3の位置(Z方向の位置)が調整され、この第2状態の撮像部3によって第2撮像画像が生成される。
第1状態及び第2状態のより具体的な説明については後述する。
【0065】
図7及び
図8は、撮像部3によって生成される第1撮像画像及び第2撮像画像の一例を示す図である。
図7の左図は、θ1=2°のときに得られた第1撮像画像の一例であり、
図7の右図は、
図7の左図に示す破線で囲った領域の拡大図である。
図8の左図は、θ2=1°のときに得られた第2撮像画像の一例であり、
図8の右図は、
図8の左図に示す破線で囲った領域の拡大図である。
【0066】
図7から分かるように、フランク面P3aに相当する画素領域に干渉縞のような濃淡模様が生じた第1撮像画像が生成される。同様に、
図8から分かるように、フランク面P3bに相当する画素領域にも、干渉縞のような濃淡模様が生じた第2撮像画像が生成される。したがって、この第1撮像画像及び第2撮像画像における干渉縞のような濃淡模様が生じた画素領域を抽出することで、フランク面P3(フランク面P3a,P3b)の形状寸法を算出することが可能である。
【0067】
<演算処理部5>
演算処理部5は、撮像部3に接続されており、撮像部3によって生成された第1撮像画像及び第2撮像画像に基づき、ねじ付き管Pの端部に形成されたねじ部PSの形状寸法(第1フランク面及び第2フランク面の形状寸法)を演算する。
【0068】
具体的には、演算処理部5は、第1撮像画像に画像処理を施すことで、第1撮像画像を構成する画素の合焦測度(focusing degree。合焦の程度を表す指標であり、隣接する画素間のコントラストや濃度偏差で表される)を算出する。前述のように、干渉縞のような濃淡模様が生じた画素領域は合焦測度が高いと考えられるため、演算処理部5は、第1撮像画像を構成する画素のうちで合焦測度の高い画素を第1フランク面の形状として算出する。同様に、演算処理部5は、第2撮像画像に画像処理を施すことで、第2撮像画像を構成する画素の合焦測度を算出し、第2撮像画像を構成する画素のうちで合焦測度の高い画素を第2フランク面の形状として算出する。
【0069】
なお、合焦測度の具体的な算出方法や、算出した合焦測度に基づいてフランク面P3の形状寸法を算出する方法は、特許文献2に記載の方法と同様であるため、ここではその詳細な説明は省略する。
演算処理部5は、例えば、上記のような演算処理を実行するためのプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータから構成される。
【0070】
以下、前述の第1状態及び第2状態について、より具体的に説明する。
図9及び
図10は、第1状態の撮像部3が受光する光路を模式的に説明する図である。また、
図11は、
図9(a),(b)の各平行光を、紙面に平行な方向より見た図である。
図9(a)は、
図4の紙面右側に位置する撮像部3が第1状態であるときに、第1照明部1から出射された平行光L1が撮像部3で検出されるまでの光路を示す。
図9(a)に示す状態では、撮像部3は、一対のフランク面P3a,P3bのうち、ねじ付き管Pの端部側に位置するフランク面P3aの断面M上の部位を直接撮像できる。そして、第1状態では、撮像部3の合焦位置Faがフランク面P3aの断面M上の位置に合致している。撮像部3は、第1照明部1から出射され、フランク面P3aで反射した平行光L1を検出して、合焦位置Faで撮像することで、第1撮像画像を生成する。このため、演算処理部5は、フランク面P3aの断面M上の位置で合焦した第1撮像画像に基づき、断面Mにおける第1フランク面P3aの形状を精度良く算出可能である。
【0071】
図9(b)は、
図4の紙面右側に位置する撮像部3が第1状態であるとき(
図9(a)に示す状態から撮像部3の位置を変えなかった場合)に、第2照明部2から出射された平行光L2が撮像部3で検出されるまでの光路を示す。
図9(b)に示す状態では、撮像部3は、一対のフランク面P3a,P3bのうち、ねじ付き管Pの中央部側に位置するフランク面P3bの断面M上の部位を直接撮像できないため、フランク面P3bが第2フランク面となる。
図9(b)に示す状態の撮像部3は、第2照明部2から出射され、ある一つのねじ山P1を区画するフランク面P3bで反射し、更に隣接するねじ山P1を区画するフランク面P3aで反射した平行光L2を検出して撮像することで、第2撮像画像を生成すると考えられる。この際、
図9(a)に太い実線で示す部分の平行光L1の光路長と、
図9(b)に太い破線で示す部分の平行光L2の光路長とが等しい(合焦状態が等しい)とすると、
図9(b)に示す状態では、撮像部3の合焦位置Fbは、第2フランク面(フランク面P3b)の断面M上の位置よりも撮像部3に近い位置(
図9(b)に示す断面Mよりも上方の位置)になっていると考えられる。このため、演算処理部5が、フランク面P3bの断面M上の位置よりも撮像部3に近い位置で合焦した第2撮像画像に基づき算出した第2フランク面(フランク面P3b)の位置(ねじ付き管Pの管軸AX方向の位置)は、断面Mにおける第2フランク面(フランク面P3b)の位置よりもねじ付き管Pの中央部側にずれていると考えられる。
【0072】
なお、参考用して、
図9(a)及び
図9(b)を、管軸AXを含んでかつ紙面に垂直な断面でフランク面P3a,P3bを見た場合の図を、
図11に示しておく。この
図11に示すように、平行光L1は、
図9(a)にも示したように、管軸AXを含む断面上の位置にある。一方、平行光L2は、
図9(b)にも示したように、同断面よりも奥側にずれた位置、すなわち撮像部3に近い位置に当たっている。
【0073】
図10(a)は、
図4の左側に位置する撮像部3が第1状態であるときに、第1照明部1から出射された平行光L1が撮像部3で検出されるまでの光路を示す。
図9(a)に示す状態とは、ねじ付き管Pのねじ部のリード角γが反転し、平行光L1がねじ付き管Pの中央部側に位置するフランク面P3bに照射される点で異なる。
図10(a)に示す状態では、撮像部3は、一対のフランク面P3a,P3bのうち、ねじ付き管Pの中央部側に位置するフランク面P3bの断面M上の部位を直接撮像できるため、フランク面P3bが第1フランク面である。そして、第1状態では、撮像部3の合焦位置Fbが第1フランク面(フランク面P3b)の断面M上の位置に合致している。撮像部3は、第1照明部1から出射され、フランク面P3bで反射した平行光L1を検出して、合焦位置Fbで撮像することで、第1撮像画像を生成する。このため、演算処理部5は、フランク面P3bの断面M上の位置で合焦した第1撮像画像に基づき、断面Mにおける第1フランク面(フランク面P3b)の形状寸法を精度良く算出可能である。
【0074】
図10(b)は、
図9(a)の紙面左側に位置する撮像部3が第1状態であるとき(
図10(a)に示す状態から撮像部3の位置を変えなかった場合)に、第2照明部2から出射された平行光L2が撮像部3で検出されるまでの光路を示す。
図10(b)に示す状態では、撮像部3は、一対のフランク面P3a,P3bのうち、ねじ付き管Pの端部側に位置するフランク面P3aの断面M上の部位を直接撮像できないため、フランク面P3aが第2フランク面となる。
図10(b)に示す状態の撮像部3は、第2照明部2から出射され、ある一つのねじ山P1を区画するフランク面P3aで反射し、更に隣接するねじ山P1を区画するフランク面P3bで反射した平行光L2を検出して撮像することで、第2撮像画像を生成すると考えられる。この際、
図10(a)に太い実線で示す部分の平行光L1の光路長と、
図10(b)に太い破線で示す部分の平行光L2の光路長とが等しい(合焦状態が等しい)とすると、
図10(b)に示す状態では、撮像部3の合焦位置Faは、第2フランク面(フランク面P3a)の断面M上の位置よりも撮像部3に近い位置(
図10(b)に示す断面Mよりも上方の位置)になっていると考えられる。このため、演算処理部5が、フランク面P3aの断面M上の位置よりも撮像部3に近い位置で合焦した第2撮像画像に基づき算出した第2フランク面(フランク面P3a)の位置(ねじ付き管Pの管軸AX方向の位置)は、断面Mにおける第2フランク面(フランク面P3a)の位置よりもねじ付き管Pの端部側にずれていると考えられる。
【0075】
以上に説明したように、一対のフランク面P3の双方がフック状フランク面である場合、撮像部3の位置(視軸方向の位置)を変えずに固定した状態(第1状態)で、双方のフランク面P3の形状寸法を算出すると、何れか一方のフランク面P3の位置が管軸AX方向にずれて算出される。
具体的には、
図9(a)及び
図10(a)に示すように、撮像部3に面して直接撮像できる第1フランク面(
図9(a)ではフランク面P3a、
図10(a)ではフランク面P3b)の形状寸法を測定する場合には、第1状態の撮像部3によって生成された第1撮像画像に基づき、第1フランク面の形状寸法を精度良く算出することができる。
【0076】
一方、
図9(b)及び
図10(b)に示すように、撮像部3に面しないために直接撮像できない第2フランク面(
図9(b)ではフランク面P3b、
図10(b)ではフランク面P3a)の形状寸法を測定する場合には、第1状態の撮像部3によって生成された第2撮像画像に基づき、第2フランク面の形状寸法を算出すると、第2フランク面の位置が管軸AX方向にずれて算出される。具体的には、
図9(b)に示す第2フランク面(フランク面P3b)の位置は、ねじ付き管Pの中央部側にずれて算出され、
図10(b)に示す第2フランク面(フランク面P3a)の位置は、ねじ付き管Pの端部側にずれて算出される。
【0077】
図12及び
図13は、
図9(a)に示す第1状態の撮像部3によって生成された第1撮像画像に基づき、第1フランク面P3aの形状寸法を実際に算出した結果を、接触式の形状寸法測定装置(ミツトヨ製コントレーサ、触針の先端角度20°、先端半径25μm)で測定した第1フランク面の形状と比較した結果の一例を示す。
図12は結果の全体を示し、
図13は
図12に示す符号A1の破線で囲った領域にある第1フランク面(フランク面P3a)の形状の拡大図を示す。
図12及び
図13に示す結果は、第1照明部1の光軸がθ1=2°だけ傾いているときに得られた結果である。
図12の横軸は、ある位置を基準(0mm)としたねじ付き管Pの管軸AX方向の位置を示し、縦軸は、ある位置を基準(0mm)としたねじ付き管Pの管径方向の位置を示す。
【0078】
図13に示すように、第1状態の撮像部3によって生成された第1撮像画像に基づき算出したフランク面P3aの形状は、コントレーサで測定した第1フランク面の形状とよく一致しており、第1フランク面の形状寸法を精度良く算出できていることが分かる。
【0079】
図14及び
図15は、
図9(b)に示す第1状態の撮像部3によって生成された第2撮像画像に基づき、第2フランク面(フランク面P3b)の形状寸法を実際に算出した結果を、接触式の形状寸法測定装置(ミツトヨ製コントレーサ、触針の先端角度20°、先端半径25μm)で測定した第2フランク面の形状と比較した結果の一例を示す。
図14は結果の全体を、
図15は
図14に示す符号A2の破線で囲った領域にある第2フランク面(フランク面P3b)の形状の拡大図を示す。
図14及び
図15に示す結果は、第2照明部2の光軸がθ2=1°だけ傾いているときに得られた結果である。
図14の横軸は、ある位置を基準(0mm)としたねじ付き管Pの管軸AX方向の位置を示し、縦軸は、ある位置を基準(0mm)としたねじ付き管Pの管径方向の位置を示す。
【0080】
図15に示すように、第1状態の撮像部3によって生成された第2撮像画像に基づき算出した第2フランク面(フランク面P3b)の位置は、コントレーサで測定した第2フランク面の位置に対して、ねじ付き管Pの中央部側に40μm程度ずれて算出されていることが分かる。
【0081】
以上のように、第1状態の撮像部3によって生成された第2撮像画像に基づき、第2フランク面の形状寸法を算出すると、第2フランク面の位置が管軸AX方向にずれて算出されるという問題を解決するため、本実施形態に係るねじ形状寸法測定装置100では、前述のように、第2フランク面の形状寸法を算出する際、撮像部3の合焦位置が第2フランク面の断面M上の位置に合致する第2状態となるように、調整部4によって撮像部3の位置(Z方向の位置)が調整され、この第2状態の撮像部3によって第2撮像画像が生成される。
【0082】
図16及び
図17は、第2フランク面の形状寸法を算出する際に、第1状態及び第2状態の撮像部3が受光する光路を模式的に説明する図である。
図16(a)の左図は、
図9(b)と同一であり、
図4の右側に位置する撮像部3が第1状態であるときに、第2照明部2から出射された平行光L2が撮像部3で検出されるまでの光路を示す。
図16の右図は、
図16の左図に示す第1状態の撮像部3の位置を調整して、第2状態にしたときに、第2照明部2から出射された平行光L2が撮像部3で検出されるまでの光路を示す。
図16の右図に示すように、第2状態の撮像部3は、
図16の左図に示す第1状態よりもねじ付き管Pに所定距離ΔZだけ近づく(合焦位置Fbが管軸AXに向けて所定距離ΔZだけ近づく)ことで、撮像部3の合焦位置Fbが第2フランク面(フランク面P3b)の断面M上の位置に合致している。
図16の右図に示す第2状態の撮像部3は、第2照明部2から出射され、ある一つのねじ山P1を区画するフランク面P3bで反射し、更に隣接するねじ山P1を区画する第1フランク面P3aで反射した平行光L2を検出して、合焦位置Fbで撮像することで、第2撮像画像を生成する。このため、演算処理部5は、フランク面P3bの断面M上の位置で合焦した第2撮像画像に基づき、断面Mにおける第2フランク面(フランク面P3b)の形状寸法を精度良く算出可能であり、算出される第2フランク面の位置ずれが低減する。
【0083】
図17の左図は、
図10(b)と同一であり、
図4の左側に位置する撮像部3が第1状態であるときに、第2照明部2から出射された平行光L2が撮像部3で検出されるまでの光路を示す。
図17の右図は、
図17の左図に示す第1状態の撮像部3の位置を調整して、第2状態にしたときに、第2照明部2から出射された平行光L2が撮像部3で検出されるまでの光路を示す。
図17の右図に示すように、第2状態の撮像部3は、
図17の左図に示す第1状態よりもねじ付き管Pに所定距離ΔZだけ近づく(合焦位置Faが管軸AXに向けて所定距離ΔZだけ近づく)ことで、撮像部3の合焦位置Faが第2フランク面(フランク面P3a)の断面M上の位置に合致している。
図17の右図に示す第2状態の撮像部3は、第2照明部2から出射され、一のねじ山P1を区画するフランク面P3aで反射し、更に隣接するねじ山P1を区画するフランク面P3bで反射した平行光L2を検出して、合焦位置Faで撮像することで、第2撮像画像を生成する。このため、演算処理部5は、第1フランク面P3aの断面M上の位置で合焦した第2撮像画像に基づき、断面Mにおける第2フランク面(フランク面P3a)の形状寸法を精度良く算出可能であり、算出される第2フランク面の位置ずれが低減する。
【0084】
なお、所定距離ΔZは、例えば、第2フランク面の管軸AX方向の真の位置(例えば、コントレーサで測定した第2フランク面の位置)と、第1状態の撮像部3によって生成された第2撮像画像に基づき算出された第2フランク面の管軸AX方向の位置とのずれ量に基づき決定すればよい。具体的には、上記のずれ量をΔX(mm)とすると、所定距離ΔZ(mm)は、ずれ量ΔX(mm)及びリード角γ(°)を用いて、幾何学的に、以下の式(1)によって決定することができる。
【0085】
ΔZ=ΔX/tanγ ・・・(1)
【0086】
前述の
図15に示す例では、ΔX≒0.040mmであるため、例えば、リード角γ=0.76°とすると、上記の式(1)より、ΔZ≒3mmとなる。
【0087】
図18は、
図16の左図に示す第1状態の撮像部3によって生成された第2撮像画像に基づき、第2フランク面(フランク面P3b)の形状寸法を実際に算出した結果と、
図16の右図に示す第2状態の撮像部3によって生成された第2撮像画像に基づき、第2フランク面の形状寸法を実際に算出した結果とを、接触式の形状寸法測定装置(ミツトヨ製コントレーサ、触針の先端角度20°、先端半径25μm)で測定した第2フランク面の形状と比較した結果の一例を示す。
図18に示す結果は、第2照明部2の光軸がθ2=1°だけ傾いているときに得られた結果である。
図18の横軸は、ある位置を基準(0mm)としたねじ付き管Pの管軸方向の位置を示し、縦軸は、ある位置を基準(0mm)としたねじ付き管Pの管径方向の位置を示す。
【0088】
図18に示すように、第1状態の撮像部3によって生成された第2撮像画像に基づき算出した第2フランク面(フランク面P3b)の位置(
図18において「○」でプロットした点)は、コントレーサで測定した第2フランク面の位置(
図18において「△」でプロットした点)に対して、ねじ付き管Pの中央部側にずれて算出されている。これに対し、第1状態からΔZ=3mmだけねじ付き管Pに近づいた第2状態の撮像部3によって生成された第2撮像画像に基づき算出した第2フランク面(フランク面P3b)の位置(
図18において「●」でプロットした点)は、コントレーサで測定した第2フランク面の位置とよく一致しており、算出される第2フランク面の位置ずれが低減することが分かる。
【0089】
以上に説明した本実施形態に係るねじ形状寸法測定装置100によれば、一対のフランク面P3の双方の形状寸法を位置ずれが生じることなく精度良く測定できるため、両フランク面P3の位置によって算出される、ねじ山幅w1やねじ谷幅w2等のねじ形状寸法を精度良く測定可能である。
【0090】
なお、第1照明部及び第2照明部に加えて、特許文献2に記載の装置と同様に、管軸AXを含む断面に直交する方向の光軸を有し、平行光を出射することで、ねじ付き管Pの端部を照明する照明部を設けて、この照明部でねじ付き管Pの端部を照明することによって生成された撮像画像(以下、第3撮像画像という)に基づき、フランク面P3以外のねじ部の形状(例えば、ねじ山P1の頂面P11の形状や、ねじ溝P2の底面P21の形状)を算出することも可能である。そして、第1撮像画像及び第2撮像画像に基づき算出されたフランク面P3の形状と、第3撮像画像に基づき算出されたフランク面P3以外のねじ部の形状寸法を合成することで、ねじ部PS全体の形状寸法を算出することも可能である。
【0091】
以上説明のねじ形状寸法測定装置100の骨子を以下に纏める。
すなわち、本実施形態のねじ形状寸法測定装置100は、
図2に示したように、端部にねじ部PSが形成され、管軸AXを含む断面で見たときにねじ部PSの各ねじ山を区画する一対のフランク面P3a,P3bの両方がオーバーハング状に形成されたねじ付き管Pの、ねじ部PSのねじ形状寸法を測定する。このねじ形状寸法測定装置100は、
図4に示したように、照明部200と、撮像部3と、調整部(焦点距離調整部)4と、演算処理部(較正値設定部、制御部)5とを備える。
【0092】
照明部200は、
図5に示したように、撮像部3に対向配置され、照明部200から撮像部3を見る方向を間に挟んで一方の方向である第1照明方向L1と、他方の方向である第2照明方向L2との2方向において択一的に平行光を出射する。
撮像部3は、
図5に示したように、第1照明方向L1からの前記平行光を受光して行う第1撮像画像の撮像と、第2照明方向L2からの前記平行光を受光して行う第2撮像画像の撮像とを、択一的に行う。
【0093】
調整部(焦点距離調整部)4は、演算処理部(制御部)5からの調整指示を受けて前記撮像部の合焦位置を調整する。
演算処理部(較正値設定部)5は、合焦位置調整前の前記第2撮像画像の前記合焦位置から撮像部3までの焦点距離と、前記第1撮像画像の前記合焦位置から撮像部3までの焦点距離との差分値として前記所定距離ΔZを有する。
すなわち、演算処理部(較正値設定部)5は、照明部200及び撮像部3間を結ぶ方向に対して直交する管軸AXの方向における、合焦位置調整前の前記第2撮像画像の合焦位置と、真の合焦位置とのずれ量ΔXに基づいて、前記差分値である所定距離ΔZを求める。
【0094】
演算処理部(制御部)5は、前記差分値を取得し、前記第2撮像画像を撮像する際に、前記差分値だけ前記合焦位置を照明部200に近付ける前記調整指示を調整部(焦点距離調整部)4に与える。さらに、演算処理部(制御部)5は、撮像された前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像に基づき、ねじ形状寸法を演算する。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の上記各態様によれば、ねじ部の各ねじ山を区画する一対のフランク面がオーバーハング状に形成されたねじ付き管のフランク面の形状寸法を精度良く測定することが可能である。よって、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0096】
1・・・第1照明部
2・・・第2照明部
3・・・撮像部
4・・・調整部(焦点距離調整部)
5・・・演算処理部(較正値設定部、制御部)
31・・・撮像部本体
32・・・テレセントリックレンズ
100・・・ねじ形状寸法測定装置
200・・・照明部
AX・・・管軸
M・・・断面
P・・・ねじ付き管
P3・・・フランク面
P3a・・・フランク面、第1フランク面
P3b・・・フランク面、第2フランク面
PS・・・ねじ部
L1,L2・・・平行光
ΔZ・・・所定距離(差分値)
【要約】
このねじ形状寸法測定装置は、照明部と、撮像部と、焦点距離調整部と、較正値設定部と、制御部とを備える。前記照明部は、第1照明方向と第2照明方向との2方向において択一的に平行光を出射する。前記撮像部は、第1撮像画像の撮像と第2撮像画像の撮像とを択一的に行う。前記焦点距離調整部は、前記制御部からの調整指示を受けて前記撮像部の合焦位置を調整する。前記較正値設定部は、合焦位置調整前の前記第2撮像画像の合焦位置から前記撮像部までの焦点距離と、前記第1撮像画像の合焦位置から前記撮像部までの焦点距離との差分値を有する。前記制御部が、前記較正値設定部から前記差分値を取得し、前記第2撮像画像を撮像する際に、前記差分値だけ前記合焦位置を前記照明部に近付ける前記調整指示を前記焦点距離調整部に与え、撮像された前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像に基づき、前記ねじ形状寸法を演算する。