(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】車載ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/55 20230101AFI20230809BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20230809BHJP
B60R 11/04 20060101ALI20230809BHJP
H04N 23/53 20230101ALI20230809BHJP
H04N 23/90 20230101ALI20230809BHJP
【FI】
H04N23/55
B60R11/02 C
B60R11/04
H04N23/53
H04N23/90
(21)【出願番号】P 2019126304
(22)【出願日】2019-07-05
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 颯
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-031140(JP,A)
【文献】特開2002-094955(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0096565(KR,A)
【文献】特開平04-317287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/55
B60R 11/02
B60R 11/04
H04N 23/53
H04N 23/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、情報を表示する透過型ディスプレイと、
画像光を入射するレンズを前記透過型ディスプレイの背面側に備えたカメラと、
を有する車載ディスプレイ装置であって、
前記透過型ディスプレイと前記レンズとの間に配置され、透光率が変化する第1の調光部と、
前記透過型ディスプレイと前記レンズとの間であって、かつ前記第1の調光部の周囲に透光率が変化する第2の調光部と、
前記第1の調光部の透光率
及び前記第2の調光部の透光率を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記カメラによる撮影時よりも非撮影時に前記第1の調光部の透光率を低下させるように前記第1の調光部を制御
し、
前記第2の調光部を常時、遮光状態に制御するとともに、前記カメラによる非撮影時における前記第1の調光部の透光率と同一の透光率に制御する
ことを特徴とする車載ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記透過型ディスプレイは、一対のガラス基板の間に電極及び発光素子を挟んで形成され、
前記一対のガラス基板のうち、前記レンズ側に位置する前記ガラス基板に無機エレクトロクロミック物質を蒸着して、当該蒸着された部位の前記ガラス基板を前記第1の調光部
及び前記第2の調光部にすることを特徴とする請求項1に記載の車載ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第1の調光部の大きさは、前記カメラの画角に対応して設定されていることを特徴とする請求項
1または2に記載の車載ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記カメラによる撮影時に、前記カメラの画角に対応する前記透過型ディスプレイの部位での描画を規制することを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の車載ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラを備えた車載ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメントパネルやダッシュボードには、運転者に各種の車両情報を提供するために、液晶等によるディスプレイ装置が広く採用されている。
また、近年では、運転者の状態等を監視するために、車室内を撮影するカメラが備えられた車両が開発されてきている。例えば、特許文献1には、車両のダッシュボードに備えられ、背後に画像取込みデバイスが備えられた透過型のディスプレイ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように車室内を撮影するカメラが備えられている場合には、車両に搭乗している運転者等の乗員が常にカメラによって撮影されて監視されているように感じられ、乗員に違和感や不快感を与える可能性がある。
上記特許文献1のように、透過型ディスプレイ装置の背後にカメラ等の画像取込みデバイスが備えられていると、カメラのレンズが露出していないことから、乗員の違和感や不快感を低減させることが可能になる。しかしながら、ディスプレイ装置が透過型であるので、描画状態によってはカメラのレンズが透けて見える可能性がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、カメラのレンズを視認し難く配置した、車載ディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の車載ディスプレイ装置は、車両に搭載され、情報を表示する透過型ディスプレイと、画像光を入射するレンズを前記透過型ディスプレイの背面側に備えたカメラと、を有する車載ディスプレイ装置であって、前記透過型ディスプレイと前記レンズとの間に配置され、透光率が変化する第1の調光部と、前記透過型ディスプレイと前記レンズとの間であって、かつ前記第1の調光部の周囲に透光率が変化する第2の調光部と、前記第1の調光部の透光率及び前記第2の調光部の透光率を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記カメラによる撮影時よりも非撮影時に前記第1の調光部の透光率を低下させるように前記第1の調光部を制御し、前記第2の調光部を常時、遮光状態に制御するとともに、前記カメラによる非撮影時における前記第1の調光部の透光率と同一の透光率に制御することを特徴とする。
【0007】
これにより、透過型ディスプレイの背面側にカメラのレンズを備えることで、透過型ディスプレイを視認する乗員の視線や表情等を撮影するのに適した場所にカメラを設置することができるともに、カメラのレンズの設置位置の取り付けスペースを低減させることができる。
更に、透過型ディスプレイとレンズとの間に透光率が変化する第1の調光部を備え、カメラによる撮影時よりも非撮影時に第1の調光部の透光率を低下させるので、カメラによる撮影時には第1の調光部の透光率を比較的上昇させて、カメラのレンズに入射する光量を確保して撮影が可能になる一方、カメラによる非撮影時には第1の調光部の透光率を低下させて、第1の調光部の背面側に位置するレンズを視認し難くすることができる。
また、第2の調光部が常時、遮光状態に制御されるので、撮影時に、第1の調光部の周囲から不要な光が入り込むことによる撮影画像の劣化を抑制することができる。
また、非撮影時に、第1の調光部とその周囲の第2の調光部がいずれも同一の透光率である遮光状態に制御されるので、透過型ディスプレイの背面側が第1の調光部とその周囲の第2の調光部において一様な反射率及び吸光率となって、透過型ディスプレイにおける描画をより自然なものにすることができる。
【0009】
好ましくは、前記透過型ディスプレイは、一対のガラス基板の間に電極及び発光素子を挟んで形成され、前記一対のガラス基板のうち、前記レンズ側に位置する前記ガラス基板に無機エレクトロクロミック物質を蒸着して、当該蒸着された部位の前記ガラス基板を前記第1の調光部及び前記第2調光部にするとよい。
【0010】
これにより、第1の調光部及び第2調光部の機能をガラス基板に付与することで、ガラス基板とレンズの間に新たに第1の調光部及び第2調光部を設ける必要がなくなり、レンズをガラス基板に近づけて配置することができる。これにより、ディスプレイ装置全体の厚さを低減させることができる。
好ましくは、前記第1の調光部の大きさは、前記カメラの画角に対応して設定されているとよい。
【0011】
これにより、第1の調光部をカメラの画角に対応して、例えばカメラの画角を含むように略同一に設定することで、第1の調光部を必要かつ最小限の大きさに設定することができる。
好ましくは、前記制御部は、前記カメラによる撮影時に、前記カメラの画角に対応する前記透過型ディスプレイの部位での描画を規制するとよい。
【0012】
これにより、カメラによる撮影時に透過型ディスプレイでの描画がカメラの撮影画像に映り込むことを規制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車載ディスプレイ装置は、カメラによる撮影時にはカメラのレンズに入射する光量を確保して撮影が可能になる一方、カメラによる非撮影時には第1の調光部の透光率を低下させて、第1の調光部の背面に位置するレンズを視認し難くすることができる。これにより、カメラによる非撮影時に、透過型ディスプレイを視認する車両の乗員がカメラのレンズに気付き難くなり、監視されているような不快感を低減させることができる。 また、撮影時に、第1の調光部の周囲から不要な光が入り込むことによる撮影画像の劣化を抑制することができるとともに、非撮影時に、透過型ディスプレイの背面側が一様な反射率及び吸光率となって、透過型ディスプレイにおける描画をより自然なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置の構造を示す横断面図である。
【
図2】第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置での描画時におけるディスプレイ光を示す説明図である。
【
図3】第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置での撮影時における入射光を示す説明図である。
【
図4】第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置の制御部の構成図である。
【
図5】第1の
参考形態におけるコントロールユニットにおいて実行される車載ディスプレイ装置の制御手順を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の
第1の実施形態の車載ディスプレイ装置の構造を示す横断面図である。
【
図7】本発明の
第2の参考形態の車載ディスプレイ装置の構造を示す横断面図である。
【
図8】本発明の
第2の実施形態の車載ディスプレイ装置の構造を示す横断面図である。
【
図9】本発明の
第3の実施形態の車載ディスプレイ装置の構造を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した車載ディスプレイ装置の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置1の構造を示す横断面図である。
図2は、第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置1での描画時におけるディスプレイ光DLを示す説明図である。
図3は、第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置1での撮影時における入射光ILを示す説明図である。
図4は、第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置1の制御部の構成図である。
図5は、コントロールユニット30において実行される車載ディスプレイ装置1の制御手順を示すフローチャートである。
【0016】
本発明の第1の参考形態の車載ディスプレイ装置1は、例えば車両のインストルメントパネルに採用されている。車載ディスプレイ装置1は、例えば車速、エンジン回転速度、車載電池の充電状況、安全装置等の車載装置の作動情報のような各種情報を、運転者等の乗員に提供するものである。したがって、乗員、特に運転者は、車両運転時において車載ディスプレイ装置1を比較的頻繁に視認する。
【0017】
図1~3に示すように、第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置1は、画像非表示状態において透過する透過型ディスプレイパネル2(透過型ディスプレイ)を備えている。 透過型ディスプレイパネル2は、例えばOLED(有機ELディスプレイ)パネルであって、発光素子3を、一対の電極4、5で挟み、更に一対のガラス基板6、7で挟んで構成されている。
【0018】
本参考形態の車載ディスプレイ装置1は、透過型ディスプレイパネル2の背面側(内部)にカメラ装置10(カメラ)を備えている。
カメラ装置10は、画像光を取り込むレンズ11とイメージセンサ12を備えている。
レンズ11は例えば直径数mmから数cm程度の円形であり、透過型ディスプレイパネル2の背面側のガラス基板7の一部に面して配置されている。イメージセンサ12はレンズ11の背面側に隣接して配置されている。
【0019】
更に、車載ディスプレイ装置1は、透過型ディスプレイパネル2の背面側のガラス基板7とレンズ11との間に、透光調節板20を備えている。透光調節板20は、調光板21(第1の調光部)及び遮光板22を備えている。
調光板21は、印可電圧が制御されることで、透過状態(透明状態)から遮光状態まで光の透過率である透光率を調節可能な円形状の板であり、レンズ11の前面に配置されている。
【0020】
遮光板22は、光を遮断する板であり、少なくとも運転者が遮光板22より背面側を見えない程度に光を遮断する透光率になっている。
遮光板22はレンズ11の前面が穴となっており、その穴の部分に円形状の調光板21がはめ込まれて一体的な板状に形成されて、透光調節板20が構成されている。
なお、調光板21の遮光状態における透光率は、遮光板22と同一程度になることが可能となっている。
【0021】
図3に示すように、遮光板22の穴の大きさと位置、即ち調光板21の大きさと位置は、カメラ装置10の画角θd、即ちイメージセンサ12への入射光ILの範囲を全て含み、かつ略同一の範囲に設定されている。
また、透過型ディスプレイパネル2は、カメラ装置10の画角(
図3のθd)に対応する範囲(以下、入射光部25という)について、描画(画像表示)をオンオフする機能を備えている。入射光部25は、カメラ装置10の画角θd、即ちイメージセンサ12への入射光ILの範囲を全て含み、更に略同一の範囲に設定するとよい。入射光部25の描画をオフにすることで、透過型ディスプレイパネル2の入射光部25が透過する。なお、透過型ディスプレイパネル2の入射光部25以外の部位では、画像信号に基づく描画が常時可能である。
【0022】
図4に示すように、車載ディスプレイ装置1は、カメラ装置10、透過型ディスプレイパネル2の入射光部25、調光板21、コントロールユニット30を備えて構成されている。
コントロールユニット30は、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)等から構成されている。コントロールユニット30は、カメラ装置10より撮影情報(使用指示信号、撮影終了信号)を入力し、カメラ装置10による撮影の許可、透過型ディスプレイパネル2の入射光部25における描画のオンオフ、調光板21の作動制御を行う。
【0023】
カメラ装置10は、例えばビデオ通話、自撮り、個人認証といった撮影対象者(乗員)の意図した撮影や、車両のシェアライドでの同乗者の監視といったような撮影対象者の意図しない撮影等を行う。カメラ装置10は、これらの撮影において、使用指示信号(撮影指示信号)及び撮影終了信号をコントロールユニット30に出力する一方、カメラ装置10による撮影を許可する撮影許可信号を入力して撮影が可能となる。
【0024】
コントロールユニット30は、カメラ装置10より使用指示信号を入力した場合に、
図5に示す車載ディスプレイ装置1の制御を開始する。
始めにステップS10では、調光板21を透過状態に制御する。そして、ステップS20に進む。
ステップS20では、入射光部25における描画を停止させるように透過型ディスプレイパネル2を制御する。即ち、入射光部25が透過状態になる。そして、ステップS30に進む。
【0025】
ステップS30では、カメラ装置10に撮影許可信号を出力して、撮影を開始させる。即ち、イメージセンサ12に画像光を取り込んで撮影を行う。そして、ステップS40に進む。
ステップS40では、カメラ装置10による撮影が完了したか否か、即ちカメラ装置10より撮影完了信号を入力したか否かを判別する。カメラ装置10による撮影が完了した場合には、ステップS50に進む。カメラ装置10による撮影が完了していない場合には、ステップS40を繰り返す。
【0026】
ステップS50では、入射光部25における描画を可能とするように透過型ディスプレイパネル2を制御する。そして、ステップS60に進む。
ステップS60では、調光板21を非透過状態(遮光状態)に制御する。なお、調光板21を非透過状態にした場合には、調光板21の透光率及び反射特性が、遮光板22と略同一になる。そして、本ルーチンを終了する。
【0027】
なお、上記参考形態では、カメラ装置10による撮影は、撮影指示信号に応じて行われるが、撮影指示信号が入力している状態を前提として、例えば車両走行時に所定時間(例えば数msec)毎に、カメラ装置10による撮影を周期的に行うとともに、カメラ装置10の周期的な撮影に同期して入射光部25の描画のオフ及び調光板21を透過するように制御してもよい。
【0028】
図2に示すように、カメラ装置10による非撮影時であり、入射光部25を含む透過型ディスプレイパネル2による描画時には、透過型ディスプレイパネル2の発光素子からの3原色のディスプレイ光DLが運転者側に向けて発光して、描画された情報を運転者に提供する。このとき、調光板21は遮光状態に制御されている。したがって、調光板21の位置と遮光板22の位置とで透光率が略一致することで、透過型ディスプレイパネル2全面に亘って、背面側に一様な遮光板が配置されていることと同様な状態になり、透過型ディスプレイパネル2により全面に亘って表示される描画が自然なものとなる。
【0029】
図3に示すように、カメラ装置10による撮影時には、入射光部25での描画が停止されるとともに調光板21が透過状態に制御されるので、透過型ディスプレイパネル2を通過して前面側から画像光をカメラ装置10のレンズ11に取り込んで、透過型ディスプレイパネル2に向き合う運転者の表情等を撮影することができる。なお、この撮影時においても、レンズ11の前面の入射光部25以外の部位で透過型ディスプレイパネル2によって任意の画像表示を行うことができる。
【0030】
以上のような構成による第1の参考形態の車載ディスプレイ装置1では、車両情報を表示する透過型ディスプレイパネル2の背面側に、カメラ装置10のレンズ11を配置したので、透過型ディスプレイパネル2を視認する乗員の撮影、特に透過型ディスプレイパネル2を視認する乗員の視線や表情等を撮影するのに適した場所にカメラ装置10を設置することができる。また、透過型ディスプレイパネル2の背面側にカメラ装置10のレンズ11が配置されていることから、カメラ装置10のレンズ11の設置位置の取り付けスペースを低減させることができる。
【0031】
更に、本参考形態では、カメラ装置10のレンズ11と透過型ディスプレイパネル2との間に、透光率を変更制御することができる調光板21を備えている。そして、カメラ装置10による撮影時に調光板21を透過状態とし、カメラ装置10による非撮影時には調光板21を遮光状態に制御する。
したがって、カメラ装置10による撮影時には調光板21の透光率を上昇させることで、カメラ装置10のレンズ11に入射する光量を十分に確保した撮影が可能となる。また、カメラ装置10による撮影時には、透過型ディスプレイパネル2の入射光部25での描画をオフにすることで、入射光部25での描画がカメラ装置10による撮影画像に映り込むことを防止できる。
【0032】
一方、カメラ装置10による非撮影時には調光板21の透光率を低下させることで、乗員等が透過型ディスプレイパネル2及び調光板21の背面側に位置するレンズ11を視認し難くすることができる。これにより乗員がカメラ装置10によって撮影されて監視されているような不快感を低減させることができる。
また、非撮影時には、カメラ装置10のレンズ11が視認し難くなり、更に遮光状態における調光板21と遮光板22とで透光率を略同一にすることで、透過型ディスプレイパネル2におけるレンズ11に面した部位とその周囲の部位で、透過型ディスプレイパネル2において表示の様相が変化することを抑制して違和感の少ない表示が可能となる。
【0033】
また、調光板21はレンズ11の前側の部分のみ、詳しくはカメラ装置10の画角に対応した範囲のみ設けられており、その周囲に遮光板22が配置されているので、レンズ11の画角θdの外側から光が入り込んで例えば周囲の物質に反射してレンズ11に侵入することを抑制することができる。これにより、カメラ装置10による撮影時において、不要な反射光がレンズ11に入り込んで撮影画像の白飛び等の劣化をすることを抑制することができる。
【0034】
次に
図6を用いて、本発明の
第1の実施形態について説明する。
図6は、本発明の
第1の実施形態の車載ディスプレイ装置31の構造を示す横断面図である。
図6に示すように、
第1の実施形態の車載ディスプレイ装置31は、第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置1に対して、遮光板22が調光板21と同様の調光機能を有する外側調光板35(第2の調光部)になっている点が異なる。外側調光板35は、レンズ11の前面の調光板21と反射率や吸光率等の仕様が同一であるが、
図4の二点鎖線で示すように、コントロールユニット30によって調光板21とは独立して透光率を制御可能となっている。
【0035】
コントロールユニット30は、外側調光板35については、常時、光を遮断する遮光状態に透光率を制御する。詳しくは、外側調光板35の透光率を、非撮影時の調光板21の透光率と同一にすればよい。
これにより、第1の実施形態では、外側調光板35が常時光を遮断するような透光率に制御されるので、第1の参考形態の遮光板22と同様の効果が得られる。したがって、本実施形態の車載ディスプレイ装置31は、第1の参考形態の車載ディスプレイ装置1と同様の機能を有する。
【0036】
更に、外側調光板35と調光板21とが同一の仕様であり、非撮影時において同一の透光率に設定されるので、非撮影時に透過型ディスプレイパネル2の全面に亘って、後面の透光調節板20がより一様な反射率及び吸光率となって、透過型ディスプレイパネル2により全面に亘って表示される描画がより自然なものとなる。
次に
図7を用いて、本発明の
第2の参考形態について説明する。
【0037】
図7は、本発明の
第2の参考形態の車載ディスプレイ装置41の構造を示す横断面図である。
図7に示すように、
第2の参考形態の車載ディスプレイ装置41は、第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置1に対して、レンズ11に面した調光板21に対応する位置に、透過型ディスプレイパネル2のレンズ11側のガラス基板7におけるレンズ11側の面に無機エレクトロクロミック物質IEを蒸着させて、調光板21と同様の調光機能を有する調光部位36(第1の調光部)としている。この調光部位36は、コントロールユニット30によって第1の
参考形態と同様に透光率が制御される。
【0038】
これにより、第2の参考形態の車載ディスプレイ装置41は、第1の参考形態の車載ディスプレイ装置1と同様の機能を有する。
更に、ガラス基板7に調光機能を付加させるので、第1の参考形態の調光板21の厚さ分、カメラ装置10のレンズ11をガラス基板7に近づけるように配置することができる。したがって、カメラ装置10を含む車載ディスプレイ装置41全体の厚さを低減させることができる。
【0039】
次に
図8を用いて、本発明の
第2の実施形態について説明する。
図8は、本発明の
第2の実施形態の車載ディスプレイ装置51の構造を示す横断面図である。
図8に示すように、
第2の実施形態の車載ディスプレイ装置51は、第1の
参考形態の車載ディスプレイ装置1に対して、透過型ディスプレイパネル2のレンズ11側のガラス基板におけるレンズ11側の面に、全面に亘って無機エレクトロクロミック物質を蒸着させている。したがって、透光調節板20は不要となる。なお、第1の
参考形態における調光板21に対応する調光部位36(第1の調光部)と、その周囲の外側調光部位37(第2の調光部)とは、コントロールユニット30によって夫々独立して透光率の制御が可能になっている。
【0040】
そして、調光部位36については、第1の参考形態の調光板21と同様に透光率を制御し、外側調光部位37については、第1の実施形態の外側調光板35と同様に透光率を制御する。
これにより、第2の実施形態では、ガラス基板7の全面に亘って調光機能を付加させるので、第2の参考形態と同様に、カメラ装置10のレンズ11をガラス基板7に近づけて、カメラ装置10を含む車載ディスプレイ装置51全体の厚さを低減させることができる。また、非撮影時において調光部位36と外側調光部位37とを、光を遮断するような同一の透光率に設定することで、非撮影時に透過型ディスプレイパネル2におけるガラス基板7が一様な反射率及び吸光率となって、透過型ディスプレイパネル2によって表示される描画がより自然なものとなる。
【0041】
次に
図9を用いて、本発明の
第3の実施形態について説明する。
図9は、本発明の
第3の実施形態の車載ディスプレイ装置61の構造を示す横断面図である。
図9に示すように、
第3の実施形態の車載ディスプレイ装置61は、
第2の実施形態の車載ディスプレイ装置51に対して、透過型ディスプレイパネル2のレンズ11側のガラス基板7におけるレンズ11側とは反対側の面に無機エレクトロクロミック物質を蒸着させている点が異なるが、
第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、
図5に示す車載ディスプレイ装置1の制御において(車載ディスプレイ装置31、41、51、61の制御についても同様に)、ステップS10とステップS20については、順番を入れ替えたり、同時に行ったりしてもよい。また、ステップS50とステップS60についても、順番を入れ替えたり、同時に行ったりしてもよい。
【0043】
また、OLED以外でも透過型ディスプレイパネルを備えたディスプレイ装置であれば、本発明を適用することができる。
また、ダッシュボード以外に車両に搭載されたディスプレイ装置に本発明を適用することができるとともに、カメラ装置10の撮影対象が運転者以外の乗員であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1、31、41、51、61 車載ディスプレイ装置
2 透過型ディスプレイパネル(透過型ディスプレイ)
7 ガラス基板(レンズ側に位置するガラス基板)
11 レンズ
10 カメラ装置
21 調光板(第1の調光部)
30 コントロールユニット(制御部)
22 遮光板
35 外側調光板(第2の調光部)
36 調光部位(第1の調光部)
37 外側調光部位(第2の調光部)