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  • 特許-穀物乾燥機のスロワ 図1
  • 特許-穀物乾燥機のスロワ 図2
  • 特許-穀物乾燥機のスロワ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】穀物乾燥機のスロワ
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/14 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
F26B17/14 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019165129
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2021042897
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】佐々本 悟
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-060172(JP,A)
【文献】特開2009-030960(JP,A)
【文献】実開昭53-139955(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風乾燥部を備えた乾燥機本体の上部に穀物貯留タンクを載置し、前記乾燥機本体の底部から排出される穀物を前記穀物貯留タンクに投入するバケットエレベータを立設し、前記バケットエレベータ上部の穀物排出部に接続してスロワを設けてなる穀物乾燥機において、前記スロワのスロワケース周面下部に排出口と該排出口から排出される穀物を搬送する排出樋を設け、前記排出口には一端を開閉可能に枢設した弧状のシャッタを装着するとともに該シャッタの他端を下方へ折曲して係止部に形成し、前記シャッタは、前記排出口を形成する開口部へ密着状に嵌入するよう、前記スロワケースの周面の板厚分だけエンボス加工し、前記シャッタの下方に前記排出樋に枢支される回動軸を横設し、さらに、一端を前記回動軸に固着して回動自在としたシャッタレバーを設け、前記シャッタレバーが上方へ回動したとき、該シャッタレバーが前記シャッタを回動させて前記排出口へ当接させるとともに前記シャッタレバーの他端を前記シャッタの係止部に押圧して係止させる一方、前記シャッタレバーが下方へ回動したとき該シャッタレバー端部と前記シャッタの係止部とが離脱して前記シャッタが解放されるよう、前記排出樋から突設した前記回動軸端部に回動レバーを軸着たことを特徴とする穀物乾燥機。
【請求項2】
前記排出樋の下端に排出パイプを接続してなる請求項1記載の穀物乾燥機におけるスロワ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米麦等の穀物をバケットエレベータにより機体内で循環しながら熱風により乾燥させる穀物乾燥機に係り、特に、穀物乾燥機における揚穀用のスロワに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の穀物乾燥機において、前記バケットエレベータ上部の穀物排出部に接続してスロワが設けられることがある(特許文献1参照)。該スロワは、内蔵する回転羽根によって乾燥済の穀物を高所の一時貯留タンク等に揚穀搬送する場合等に使用される。
【0003】
ところで、前記スロワは、前記バケットエレベータから供給される穀物量が多すぎる場合や、供給される穀物中に比較的大きな藁くずや異物等が混入する場合等に該スロワ内部に穀物が詰まり、前記回転羽根が停止してしまうことがある。このような場合は、該スロワ内部に詰まった穀物を完全に排出する必要がある(特許文献2参照)。しかしながら、前記スロワ内に詰まった穀物を排出するためには、梯子で前記バケットエレベータの上部まで上がり、該スロワ前面のケースカバーを開けて内部の穀物を容器や袋内に取り出さなければならず、高所ゆえの危険な作業を伴ううえ、前記ケースカバーを開けた瞬間に大量の穀物が飛散して落下するという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-233464号公報
【文献】特開昭58-157631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、スロワ内部に穀物が詰まった場合でも、該詰まった穀物を容易に取り出すことができるとともに、その際、穀物が飛散することがない穀物乾燥機のスロワを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、熱風乾燥部を備えた乾燥機本体の上部に穀物貯留タンクを載置し、前記乾燥機本体の底部から排出される穀物を前記穀物貯留タンクに投入するバケットエレベータを立設し、前記バケットエレベータ上部の穀物排出部に接続してスロワを設けてなる穀物乾燥機において、
前記スロワのスロワケース周面下部に排出口と該排出口から排出される穀物を搬送する排出樋を設け、前記排出口には一端を開閉可能に枢設した弧状のシャッタを装着するとともに該シャッタの他端を下方へ折曲して係止部に形成し、前記シャッタは、前記排出口を形成する開口部へ密着状に嵌入するよう、前記スロワケースの周面の板厚分だけエンボス加工し、前記シャッタの下方に前記排出樋に枢支される回動軸を横設し、さらに、一端を前記回動軸に固着して回動自在としたシャッタレバーを設け、前記シャッタレバーが上方へ回動したとき、該シャッタレバーが前記シャッタを回動させて前記排出口へ当接させるとともに前記シャッタレバーの他端を前記シャッタの係止部に押圧して係止させる一方、前記シャッタレバーが下方へ回動したとき該シャッタレバー端部と前記シャッタの係止部とが離脱して前記シャッタが解放されるよう、前記排出樋から突設した前記回動軸端部に回動レバーを軸着たことを特徴とする。
【0007】
前記排出樋の下端に排出パイプを接続することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スロワのスロワケース周面下部に排出口と該排出口から排出される穀物を搬送する排出樋を設け、前記排出口には一端を開閉可能に枢設した弧状のシャッタを装着するとともに該シャッタの他端を係止部に形成し、前記シャッタの下方に前記排出樋に枢支される回動軸を横設し、さらに、一端を前記回動軸に固着して回動自在としたシャッタレバーを設け、前記シャッタレバーが上方へ回動したとき、該シャッタレバーが前記シャッタを回動させて前記排出口へ当接させるとともに前記シャッタレバーの他端を前記シャッタの係止部に係止させる一方、前記シャッタレバーが下方へ回動したとき該シャッタレバー端部と前記シャッタの係止部とが離脱して前記シャッタが解放されるよう、前記排出樋から突設した前記回動軸端部に回動レバーを軸着たので、スロワが詰まった際には、前記回動レバー及び該回動レバーと連動する前記シャッタレバーが下方に回動することによって前記シャッタが開き、スロワ内部の穀物は排出口から排出樋に落下して排出される。そして、スロワ内部の穀物が完全に排出された後前記回動レバー及び前記シャッタレバーが回動して前記シャッタを押し上げて前記排出口を閉じるため、スロワが詰まった際に作業者がバケットエレベータ上部に上ってスロワのケースカバーを開けて内部の穀物を取り出す必要がなく、安全に、かつ、容易に穀物を回収できる。
【0009】
排出樋の下端に排出パイプを接続することとすれば、スロワ内部の穀物を排出する際、穀物の回収が、より容易に完全に行え、穀物の飛散がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施態様を示すスロワ装置の正面図。
図2図1の一部を破断した拡大図。
図3】本発明の実施態様を示すスロワ装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施態様を示すスロワ装置の正面図、図2は、図1の一部を破断した拡大図、図3は、前記スロワ装置の斜視図である。
スロワ装置1は、4枚のスロワ羽根3を内装したスロワケース2と、該スロワケース2に穀物を供給するスロワボックス4と、スロワ取付体5とを有する。前記スロワ取付体5は、複数のアングル材によって井桁状に形成され、前記スロワボックス4の背面側は前記スロワ取付体5に固定されるとともに、該スロワ取付体5の下部にはモータベース51を設け、該モータベース51にスロワモータ6を載置する。そして、前記スロワ取付体5のアングルを穀物貯留タンクのタンクプレートのフランジ部(図示せず)に固設する。
【0012】
前記スロワケース2の背面側は前記スロワボックス4の前面側に一体的に固着される。前記スロワボックス4の内部には、該スロワボックス4の上面に設けた穀物投入口7から供給される穀物を前記スロワケース2に搬送するためのスクリュー8が横設される。前記穀物投入口7は、当該穀物乾燥機のバケットエレベータ上部の吐出口(図示せず)に蛇腹ホース(図示せず)等で連通される。そして、前記スクリュー8と前記スロワ羽根3とは同一軸線上に配置され、1本の回転軸(図示せず)によって回転すべく、前記回転軸の端部に設けたプーリ(図示せず)と前記スロワモータ6のモータプーリ(図示せず)とをVベルト(図示せず)によって連動・連結してある。
【0013】
さらに、前記スロワボックス4の下半部はホッパ状に形成され、該スロワボックス4の
前面側下部と前記スロワケース2の背面側下部にはそれぞれ連通口9が設けられ、前記ス
クリュー8によって搬送される穀物が、前記連通口9を経て前記スロワケース2底部に至
り、前記スロワ羽根3によって跳ね上げられ、該スロワケース2に接線状に設けられる揚
穀筒10を介して空気とともに揚穀され、高所の一時貯留タンク等(図示せず)に搬送す
るよう構成される。
【0014】
前記スロワケース2のケース周面201の下部に排出口202を設け、該排出口202には弧状のシャッタ11を設ける。前記シャッタ11の一端は、蝶番12によって前記排出口202近傍に開閉自在に枢設され、その他端は下方へ折曲して係止部111に形成してある。ここで、前記シャッタ11は、前記排出口202を形成する開口部へ密着状に嵌入するよう、前記ケース周面201の板厚分だけエンボス加工することにより、前記シャッタ11が閉じた際、前記排出口202によって前記ケース周面201の内周面に凹凸が生じることがなく、前記スロワ羽根3によって前記スロワケース2の内周面に沿って搬送される穀物の抵抗となることがない。
【0015】
その上部で前記排出口202及び前記シャッタ11を囲み込むように、前記ケース周面201の下部に排出樋13を取り付ける。該排出樋13は、前記シャッタ11が前記蝶番12を中心に下方へ回動可能なようにホッパ形状を有し、その下端に開口部131を設ける。そして、前記排出樋13の前面壁と背面壁とによって枢支されるように回動軸14が横設されるとともに、前記回動軸14にはシャッタレバー15の一端が軸着される。そして、前記回動軸14が回動して前記シャッタレバー15が上方へ回動したとき、該シャッタレバー15が前記シャッタ11を上方へ押し上げて前記蝶番12を中心に回動させるとともに、該シャッタレバー15の他端が前記シャッタ11の係止部111を押圧して係止するよう形成され、これにより、前記シャッタ11は前記排出口202に密着して前記排出口202を閉じる。
【0016】
前記回動軸14の前側端部は前記排出樋13の前面壁から突出して設けられ、該回動軸14の突出端部には回動レバー16が軸着されるとともに、前記回動レバー16の両端部の一方には操作ロープ17Aを、同他方には操作ロープ17Bをそれぞれ吊設する。前記各操作ロープ17A、17Bの下端にはグリップ171をそれぞれ取り付けるとよい。これにより、床面にいる作業者は、前記操作ロープ17A,17Bのいずれかのグリップ171を下方に引き下げることにより、前記回動レバー16、回動軸14及びシャッタレバー15を介して前記シャッタ11の開作動又は閉作動を行うことが可能となる。
【0017】
前記シャッタ11を前記排出口202に対し、より強い付勢力で押圧して密着度を保持するため、前記排出樋13の前面壁に設けたブラケット18と前記回動レバー16との間にスプリング19をかけ渡す。これにより、前記操作ロープ17A,Bによる前記シャッタ11の開閉作動を確実に行うことができるとともに、前記シャッタ11が閉鎖時に、前記シャッタレバー111の先端部が前記シャッタ11の係止部111を押圧し、前記シャッタ11を前記排出口202に、確実に密着・保持することができる。
【0018】
上記した本実施の形態においては、操作ロープ17A,17Bによって前記回動レバー16を回動させることによって前記回動軸14を回動させることとしたが、前記回動軸14を適宜なモータによって回動させることもできる。
【0019】
以上述べたように、本発明の実施形態によれば、何らかの原因によりスロワ装置1が詰まった際、作業者は、作業場の床面において、スプリング19に抗して一方の操作ロープ17Bを引き下げる。これにより、回動レバー16及び回動軸14が図上左側へ回動するとともに、前記回動軸14に軸着されたシャッタレバー15も回動して排出樋13のホッパ状の傾斜面に当接して停止する。このとき、前記シャッタレバー15の先端部とシャッタ11の係止部111の係止状態が解除され、シャッタ11は蝶番12を中心に下方へ回動し、前記シャッタレバー15に当接して停止する。
【0020】
前記シャッタ11が開かれると、スロワケース2内に詰まった穀物が、該スロワケース2の下部に開口した排出口202から前記排出樋13内に一気に落下する。この際、前記排出樋13下端の開口部131に接続して設けたビニールホース20の先端部を乾燥機本体の穀物張込口に挿入すれば、前記スロワケース2内に詰まっていた穀物は人手によることなく該穀物乾燥機内に回収される。
【0021】
こうして、スロワケース2内に詰まった穀物が完全に排出されると、次いで、作業者は、スプリング19に抗して他方の操作ロープ17Aを引き下げる。これにより、回動レバー16及び回動軸14が図上右側へ回動するとともに、前記回動軸14に軸着されたシャッタレバー15も回動し、該シャッタレバー15の上面に当接する前記シャッタ11を押し上げる。該シャッタ11が蝶番12を中心に回動して前記排出口202を閉めると同時に、前記シャッタレバー15の先端部がシャッタ11の係止部111に係止される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明における穀物乾燥機のスロワによれば、従来の高所におけるスロワの詰まり対応作業を解消し、安全な作業で、かつ、詰まり穀物を確実に回収できるものであり、有用性が高い。
【符号の説明】
【0023】
1 スロワ装置
2 スロワケース
201 ケース周面
202 排出口
3 スロワ羽根
4 スロワボックス
5 スロワ取付体
501 モータベース
6 スロワモータ
7 穀物投入口
8 スクリュー
9 連通口
10 揚穀筒
11 シャッタ
12 蝶番
13 排出樋
14 回動軸
15 シャッタレバー
16 回動レバー
17A 操作ロープ
17B 操作ロープ
171 グリップ
18 ブラケット
19 スプリング
20 ビニールホース
図1
図2
図3