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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】端子接続ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/58 20060101AFI20230809BHJP
   H01R 35/02 20060101ALI20230809BHJP
   H02G 15/02 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
H01R4/58 B
H01R35/02 B
H02G15/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020017405
(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公開番号】P2021125348
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 優介
(72)【発明者】
【氏名】竹田 仁司
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-022266(JP,A)
【文献】特開平11-273514(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180480(WO,A1)
【文献】特開2014-086350(JP,A)
【文献】特開2015-082466(JP,A)
【文献】国際公開第2011/055806(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3002038(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/58
H01R 35/02
H02G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線端末に設けられた端子金具が接続される接続部を有する通電部材と、
前記通電部材を固定的に支持する支持部と、を備え、
前記通電部材は、前記支持部に固定される固定部と、前記接続部と前記固定部を連結して第1方向に伸縮自在な伸縮部を有し、
前記支持部は、前記接続部が装着されて前記第1方向に変位可能な装着部を有
前記支持部は、前記第1方向に長尺となる貫通穴を有し、
前記装着部は、前記接続部を保持するホルダと、前記ホルダの底面に隙間を隔てて対向配置された長尺の係止板と、前記係止板を前記底面に連結する連結部と、を有し、
前記係止板は、長手方向が前記第1方向となるように配向した状態で前記貫通穴を挿通可能であり、前記貫通穴を貫通した状態で前記長手方向が前記第1方向と直交する方向となるように前記ホルダを回転することで、前記装着部が前記支持部に対する正規位置に組み付けられ、
前記装着部の前記正規位置では、前記係止板が前記貫通穴の周縁部に係合して前記装着部が前記支持部に離脱不能且つ前記第1方向に変位可能に組み付けられる、端子接続ユニット。
【請求項2】
前記通電部材の伸縮部が、金属平板が多層に重ね合されてなる積層バスバーによって構成されている請求項1に記載の端子接続ユニット。
【請求項3】
前記通電部材の伸縮部が、編組線によって構成されている請求項1に記載の端子接続ユニット。
【請求項4】
前記装着部は、前記支持部に対して、前記第1方向に変位自在に組み付けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端子接続ユニット。
【請求項5】
前記支持部は、前記伸縮部を収容する凹所を有している請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端子接続ユニット。
【請求項6】
前記支持部は、前記通電部材の固定部を支持する支持面を有し、前記装着部における前記接続部の装着位置が、前記支持面以下の高さ位置に配置されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の端子接続ユニット。
【請求項7】
前記装着部は、締結部品が収容された締結部品収容部を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の端子接続ユニット。
【請求項8】
前記係止板の周縁部に位置決め突起が突設され、前記貫通穴の周縁部に位置決め突起挿通部が設けられている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の端子接続ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外部の電線端末に設けられた端子金具が接続される接続部を備えた端子接続ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される各種機器や電気接続箱等には、外部の電線端末に設けられた端子金具が接続される接続部を備えた端子接続ユニットが設けられている。このような端子接続ユニットは、例えば、特許文献1に記載のとおり、各種機器や電気接続箱に配索された通電部材を固定的に支持する支持部を有し、通電部材の端部に設けられた接続部が、支持部に設けられた装着部に装着されるようになっている。
【0003】
ところで、電線端末に設けられた端子金具は、電線の公差等により接続部に対する位置にばらつきが生じ易い。そこで、特許文献1では、端子金具がボルト締結される接続部を長尺に形成しつつボルト挿通孔を長穴にして、端子金具の締結位置が接続部の長手方向で可変となる構造により、端子金具と接続部間の位置の公差を吸収することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-234427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、端子金具がボルト締結される接続部を長尺に形成しつつボルト挿通孔を長穴にする構造では、接続部の広い範囲にボルト挿通孔が形成されることから、端子金具と接続部の接触面積が十分に確保できない。それゆえ、端子金具と接続部の接触部位における導通抵抗を十分に低減することが難しく、さらに発熱が大きくなり易いという問題を内在しており、発熱に起因する周辺部材の溶解等の問題が生じる場合もあった。
【0006】
そこで、端子金具と接続部の良好な接続状態を確保しつつ、端子金具と接続部の位置の公差を有利に吸収できる、新規な構造の端子接続ユニットを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の端子接続ユニットは、電線端末に設けられた端子金具が接続される接続部を有する通電部材と、前記通電部材を固定的に支持する支持部と、を備え、前記通電部材は、前記支持部に固定される固定部と、前記接続部と前記固定部を連結して第1方向に伸縮自在な伸縮部を有し、前記支持部は、前記接続部が装着されて前記第1方向に変位可能な装着部を有前記支持部は、前記第1方向に長尺となる貫通穴を有し、前記装着部は、前記接続部を保持するホルダと、前記ホルダの底面に隙間を隔てて対向配置された長尺の係止板と、前記係止板を前記底面に連結する連結部と、を有し、前記係止板は、長手方向が前記第1方向となるように配向した状態で前記貫通穴を挿通可能であり、前記貫通穴を貫通した状態で前記長手方向が前記第1方向と直交する方向となるように前記ホルダを回転することで、前記装着部が前記支持部に対する正規位置に組み付けられ、前記装着部の前記正規位置では、前記係止板が前記貫通穴の周縁部に係合して前記装着部が前記支持部に離脱不能且つ前記第1方向に変位可能に組み付けられる、端子接続ユニットである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、端子金具と接続部の良好な接続状態を確保しつつ、端子金具と接続部の位置の公差を有利に吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る端子接続ユニットの斜視図である。
図2図2は、図1に示された端子接続ユニットの平面図である。
図3図3は、図1に示された端子接続ユニットの分解斜視図である。
図4図4は、図2におけるIV-IV断面図である。
図5図5は、図2におけるV-V断面の要部を拡大して示す縦断面図である。
図6図6は、図2におけるVI-VI断面図である。
図7図7は、図1に示された端子接続ユニットを構成する装着部を示す平面図である。
図8図8は、図7に示された装着部の支持部への組付動作を示す斜視図である。
図9図9は、図7に示された装着部が支持部に対する正規位置に組み付けられた状態を示す底面側からの斜視図である。
図10図10は、図1に示された端子接続ユニットに対する電線の接続状態の具体的な一例を示す斜視図である。
図11図11は、実施形態2に係る端子接続ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の端子接続ユニットは、
(1)電線端末に設けられた端子金具が接続される接続部を有する通電部材と、前記通電部材を固定的に支持する支持部と、を備え、前記通電部材は、前記支持部に固定される固定部と、前記接続部と前記固定部を連結して第1方向に伸縮自在な伸縮部を有し、前記支持部は、前記接続部が装着されて前記第1方向に変位可能な装着部を有前記支持部は、前記第1方向に長尺となる貫通穴を有し、前記装着部は、前記接続部を保持するホルダと、前記ホルダの底面に隙間を隔てて対向配置された長尺の係止板と、前記係止板を前記底面に連結する連結部と、を有し、前記係止板は、長手方向が前記第1方向となるように配向した状態で前記貫通穴を挿通可能であり、前記貫通穴を貫通した状態で前記長手方向が前記第1方向と直交する方向となるように前記ホルダを回転することで、前記装着部が前記支持部に対する正規位置に組み付けられ、前記装着部の前記正規位置では、前記係止板が前記貫通穴の周縁部に係合して前記装着部が前記支持部に離脱不能且つ前記第1方向に変位可能に組み付けられる、端子接続ユニットである。
【0011】
本開示の端子接続ユニットによれば、通電部材の接続部が、第1方向に伸縮自在な伸縮部を介して支持部に固定される固定部に連結されている。さらに、接続部が装着される支持部の装着部が、第1方向に変位可能とされている。それゆえ、第1方向における伸縮部の伸縮と装着部の変位により、接続部の位置を可変にすることができ、これにより、端子金具と接続部の位置の公差を有利に吸収できる。その結果、従来のように、通電部材の接続部に長穴のボルト挿通孔を設ける必要はなく、端子金具と接続部を広い接触面積で接触させつつ公差の吸収を図ることが可能となる。このように、本態様の端子接続ユニットによれば、端子金具と接続部の良好な接続状態と端子金具と接続部の位置の公差吸収を両立して達成することができる。また、装着部のホルダの底面に連結された係止板を支持部の貫通穴に挿通させた後、ホルダを正規位置まで回転させる簡単な作業により、係止部が貫通穴の周縁部に係合して支持部に対して離脱不能且つ第1方向に変位可能に組み付けられた装着部を設けることができる。
【0012】
なお、端子接続ユニットは、通電部材とそれを支持する支持部からなる端子台構造のものや、支持部を含んで形成されるケース内に通電部材が収容された電気接続箱として構成されてもよい。また、伸縮部の伸縮方向となる第1方向は、端子金具と接続部の公差が生じる任意の方向に設定可能である。
【0013】
(2)前記通電部材の伸縮部が、金属平板が多層に重ね合されてなる積層バスバーによって構成されていることが好ましい。伸縮部を湾曲された積層バスバーで構成することにより、伸縮部を湾曲させることが容易となり、伸縮部を湾曲させる曲率を変化させることで伸縮部を第1方向に伸縮自在にすることができる。また、伸縮部に連結された接続部や固定部は、積層バスバーの端部を溶着等で一体化することにより容易に形成することができ、伸縮部を有する通電部材を低コストに製造することができる。
【0014】
(3)上記(1)において、前記通電部材の伸縮部が、編組線によって構成されていることが好ましい。伸縮部を編組線で構成することにより、伸縮部を第1方向に容易に撓み変形させることができ、端子金具を接続部に接続する際の作業者への負担を低減することができる。
【0015】
(4)前記装着部は、前記支持部に対して、前記第1方向に変位自在に組み付けられていることが好ましい。装着部が支持部に対して第1方向に変位自在な状態で組み付けられることにより、端子金具を装着部に装着された接続部に接続した後でも、周辺の熱環境や振動等に基づく電線の変位を装着部の変位により有利に吸収することができるからである。その結果、端子金具と接続部の接続部位に負荷が加わることを未然に防止できる。
【0016】
(5)前記支持部は、前記伸縮部を収容する凹所を有していることが好ましい。伸縮部は、伸縮変形により形状が変化するが、伸縮部を収容する凹所が支持部に設けられていることにより、支持部と伸縮部の干渉を低減乃至は回避できるからである。なお、凹所は、最も収縮した状態の伸縮部とも接触しないで収容し得る深さ寸法で設けられていることが好ましい。
【0017】
(6)前記支持部は、前記通電部材の固定部を支持する支持面を有し、前記装着部における前記接続部の装着位置が、前記支持面以下の高さ位置に配置されていることが好ましい。装着部における接続部の装着位置が固定部を支持する支持面と同じかそれよりも低い高さ位置に配置されることにより、伸縮部が伸展する際に装着部に干渉することを未然に防止できるからである。
【0018】
(7)前記装着部は、締結部品が収容された締結部品収容部を有することが好ましい。端子金具が接続部に対してボルトとナット等の締結部品を用いて締結固定される場合に、ボルトまたはナット等の一方の締結部品が装着部の締結部品収容部に収容されていることにより、端子金具と接続部の締結作業の作業性を有利に向上できるからである。
【0020】
8)前記係止板の周縁部に位置決め突起が突設され、前記貫通穴の周縁部に位置決め突起挿通部が設けられていることが好ましい。係止板の位置決め突起と貫通穴の位置決め穴を位置合わせすることにより、係止板の貫通穴への組み付け作業性の向上を図ることができるからである。
【0021】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の端子接続ユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1について、図1から図10を参照しつつ説明する。端子接続ユニット10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、電池パック内を延びる高圧用の電線12(図10参照)が接続されるようになっている。このような高圧用の電線12は電線径が大きく曲がりにくいことから、電線12を曲げて公差を吸収することが困難とされている。図中には、分かり易さのために、公差により長さの異なる電線12a,12bおよび/またはこれらの電線12a,12bに接続される通電部材14a,14bを併せて図示する。尤も、本開示に係る端子接続ユニット10は、少なくとも1つの通電部材14を備えていればよく、2つの通電部材14a,14bが設けられることに関連して同様の構造が設けられる部分は、一方の構造についてのみ説明する。なお、端子接続ユニット10の車両搭載時の向きは限定されるものではないが、以下の説明において、上方向とは図1中のZ方向、前方向とは図1中のX方向、左方向とは図1中のY方向として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0023】
<端子接続ユニット10>
端子接続ユニット10は、電線12が接続される通電部材14と、通電部材14を固定的に支持する支持部16とを備えている。通電部材14において、電線12が接続される部分は接続部18とされており、接続部18が、装着部20を介して支持部16に取り付けられている。
【0024】
<支持部16>
実施形態1において、支持部16は、平面視が略矩形とされた中空形状とされており、図3にも示されるように、上下方向で分割可能な上端子台22と下端子台24とを含んで構成されている。
【0025】
上端子台22は、全体として下方に開口する略箱状とされており、絶縁性を有する合成樹脂により形成されている。即ち、上端子台22は、平面視が略矩形状とされた上底壁部26と当該上底壁部26の外周縁部から下方に突出する周壁部28とを備えている。実施形態1では、上端子台22の上面が段差を有しており、上端子台22の上面において、後方部分が前方部分よりも上方に位置している。この上端子台22の上面における後方部分が後述する通電部材14の固定部66を支持する支持面30とされている。また、上端子台22の上面における前方部分が、装着部20が組み付けられる組付面32とされている。
【0026】
この組付面32の形成領域(上底壁部26の前方部分)における前後方向中間部分には、第1方向(前後方向)で長尺となる貫通穴34が設けられている。実施形態1では、貫通穴34が、略長円形状とされている。また、貫通穴34の周縁部において、前後方向中央部分における左右方向両側には、左右方向内方に開口する位置決め突起挿通部36,36が形成されている。これにより、位置決め突起挿通部36,36の形成位置において、貫通穴34の左右方向寸法が部分的に大きくされている。更に、貫通穴34の周縁部において、位置決め突起挿通部36,36を除いた部分には、上方に突出するリブ38が設けられている。即ち、位置決め突起挿通部36,36を挟んだ前後方向両側には、略半周の周方向長さを有するリブ38,38が形成されている。実施形態1では、リブ38が、略半円形の断面を有している。更にまた、上底壁部26の下面における貫通穴34の周縁部において、位置決め突起挿通部36,36を除いた部分には、下方に突出する下方突出部39が設けられている。即ち、位置決め突起挿通部36,36を挟んだ前後方向両側には、略半周の周方向長さを有する下方突出部39,39が形成されている。
【0027】
また、支持面30の形成領域(上底壁部26の後方部分)において、貫通穴34の後方には、前方および上方に開口する切欠状の凹所40が設けられている。この凹所40の底壁部は、部分的に、下方に凸となる湾曲壁部42により構成されている。なお、実施形態1では、組付面32と凹所40の底面(湾曲壁部42を除く部分)とが同一の水平面(XY平面)上に位置しており、湾曲壁部42の形成位置において最も下方に位置する部分は、組付面32および凹所40の底面よりも下方に位置している。
【0028】
さらに、支持面30において、凹所40よりも後方には、収容凹部44が設けられている。この収容凹部44は、平面視で略矩形とされており、上方に開口している。実施形態1では、収容凹部44に、後述する通電部材14の固定部66を固定するナット46が収容されている。収容凹部44に対するナット46の固定手段は、限定されるものではないが、例えば凹凸嵌合であることが好ましい。なお、収容凹部44に対するナット46の固定手段は、凹凸嵌合に代えて、又は加えて、接着等が採用されてもよい。或いは、インサート成形によりナット46と上端子台22とが一体的に形成されてもよい。
【0029】
実施形態1では、収容凹部44にナット46を下方から保持する略有底筒形状の保持筒部47が一体的に形成されている。また、収容凹部44の後方には変形許容空間48が設けられており、収容凹部44を構成する後方の壁部が、前後方向で弾性変形可能とされている。なお、当該弾性変形可能な収容凹部44を構成する後方の壁部の上端には、前方になるにつれて下方に傾斜する傾斜面50が形成されている。また、ナット46の下面における前後方向両側には、前後方向内方になるにつれて下方に傾斜する傾斜面52,52が形成されている。これにより、収容凹部44にナット46を上方から押し込むことで、収容凹部44の傾斜面50とナット46の傾斜面52とが相互に当接して、収容凹部44を構成する後方の壁部が後方に弾性変形する。この結果、収容凹部44にナット46が収容可能とされて、収容凹部44を構成する後方の壁部が弾性的に復元変形することで、収容凹部44における保持筒部47上にナット46が保持された状態で固定され得る。
【0030】
また、実施形態1では、上底壁部26の左右両側に上下方向で貫通する円形の貫通孔54が形成されており、後述する下端子台24のボルト挿通孔64と連通して、図示しない取付ボルトが挿通され得る。
【0031】
下端子台24は、全体として上方に開口する略箱状または略平坦な板状とされており、実施形態1では、上端子台22における上底壁部26と略同形状とされた底壁部56と、当該底壁部56の外周縁部から上方に突出する周壁部58とを備えている。そして、上端子台22と下端子台24とを相互に重ね合わせて固着することで、上端子台22の下方開口部が下端子台24で覆われて閉塞されるようになっている。このような下端子台24は、例えば金属や合成樹脂により形成され得て、車両ボデーに装着されるブラケットにより構成されてもよい。
【0032】
下端子台24における底壁部56において、上端子台22の上底壁部26における下方突出部39,39と略対応する位置には、略長円形状の上方突出部60が設けられている。また、下端子台24における底壁部56において、上端子台22の湾曲壁部42と略対応する位置は、下方に凸となる湾曲壁部62により構成されている。これにより、上端子台22と下端子台24とを重ね合わせた際に、湾曲壁部42と底壁部56の相互の当接が回避され得る。更に、下端子台24において、上端子台22における貫通孔54と略対応する位置には、底壁部56を上下方向で貫通するボルト挿通孔64が形成されている。
【0033】
<通電部材14>
通電部材14は、導電性を有する金属により形成されており、実施形態1では、平面視が略矩形状とされている。通電部材14の前方部分は、略矩形板状の接続部18とされていると共に、通電部材14の後方部分は、支持部16により支持される、略矩形板状の固定部66とされている。そして、これら接続部18と固定部66が、第1方向となる前後方向で伸縮自在な伸縮部68により連結されている。これにより、通電部材14全体の前後方向長さが伸縮自在とされている。なお、これら接続部18と固定部66と伸縮部68とは、それぞれ異なる材質であってもよい。
【0034】
図中には、分かり易さのために、伸縮部68の前後方向長さに応じて、全体の前後方向長さが異ならされた通電部材14a,14bが併せて図示されている。即ち、図4には、伸縮部68が、前後方向長さが最も長くされた状態で示されていると共に、図6には、伸縮部68が、前後方向長さが最も短くされた状態で示されている。そして、図1等には、前後方向長さが最も長くされた伸縮部68aを有する通電部材14aと、前後方向長さが最も短くされた伸縮部68bを有する通電部材14bが、左右方向で並んで図示されている。
【0035】
通電部材14における接続部18には、上下方向で貫通する貫通孔70が形成されている。また、接続部18における貫通孔70よりも後方において、左右方向両側縁部には、左右方向外方に開口する切欠状の位置決め凹部72,72が形成されている。更に、通電部材14における固定部66にも、上下方向で貫通する貫通孔74が形成されている。
【0036】
実施形態1における伸縮部68は、図4にも示されるように、複数枚の金属平板が上下方向で多層に重ね合わされてなる積層バスバーにより構成されている。そして、積層バスバーにより構成される伸縮部68の前後方向両端部が、それぞれ接続部18および固定部66に溶着等の手段により固着されている。
【0037】
<装着部20>
装着部20は、絶縁性を有する合成樹脂により形成されており、通電部材14の接続部18を保持するホルダ76と、支持部16に係止される係止板78とを備えている。これらホルダ76と係止板78とは上下方向で離隔しており、即ち係止板78が、ホルダ76の底面79に隙間を隔てて対向配置されている。
【0038】
ホルダ76は、全体として前後方向に延びており、略矩形板状の保持板部80を備えていると共に、当該保持板部80の左右方向両端部において縦壁部82,82が上方に突出している。実施形態1では、図5にも示されるように、縦壁部82,82が上下方向に対して傾斜しており、上方になるにつれて左右方向外方へ傾斜している。これら縦壁部82,82は、保持板部80の前後方向略全長に亘って一体的に形成されている。即ち、ホルダ76において、前後方向両側には縦壁部82は設けられておらず、保持板部80と縦壁部82,82で囲まれる空間が前後方向両側に開放されている。これにより、ホルダ76の前端に前方開口部84が形成されていると共に、ホルダ76の後端に後方開口部86が形成されている。
【0039】
なお、縦壁部82,82の前端部分には、対向方向内方に延びる前壁部87,87が一体的に形成されている。この結果、後方開口部86における縦壁部82,82間の左右方向寸法に比して、前方開口部84における縦壁部82,82間の左右方向寸法の方が小さくされている。
【0040】
実施形態1では、縦壁部82,82の後方部分において、対向方向内方(左右方向内方)に突出する位置決め凸部88,88が設けられている。また、一方の縦壁部82(実施形態1では左方の縦壁部82)には、左右方向内方(即ち右方)に開口する係合凹部90が一体的に形成されており、当該係合凹部90が、ある程度の前後方向寸法をもって形成されている。これにより、縦壁部82,82の左右方向対向距離が、係合凹部90の形成部分で部分的に大きくされている。
【0041】
さらに、ホルダ76の保持板部80には、上方に開口する締結部品収容部92が設けられており、実施形態1では、締結部品としてのナット94が収容されている。また、実施形態1では、保持板部80の略中央に締結部品収容部92が設けられている。締結部品収容部92における構造は支持部16における収容凹部44と同様であり、即ち締結部品収容部92には、ナット94を下方から保持する保持筒部95が一体的に形成されている。更にまた、締結部品収容部92の前方には変形許容空間96が設けられており、締結部品収容部92を構成する前方の壁部が前後方向で弾性変形可能とされている。また、締結部品収容部92の前方を構成する壁部の上端には、後方になるにつれて下方に傾斜する傾斜面98が形成されている。
【0042】
ナット94の構造は、収容凹部44に収容されるナット46と同様であり、ナット94の下面における前後方向両側には、前後方向内方になるにつれて下方に傾斜する傾斜面100,100が形成されている。締結部品収容部92にナット94を収容する際に、締結部品収容部92の傾斜面98とナット94の傾斜面100とが相互に当接することで、締結部品収容部92にナット94が案内されて、スムーズに収容され得る。なお、ナット94は、締結部品収容部92に対して上記の如き凹凸嵌合に代えて、または加えて、接着等により固着されてもよいし、インサート成形によりナットと装着部20とが一体的に形成されてもよい。
【0043】
係止板78は、図8にも示されるように、全体として略長円または角丸の矩形状とされており、保持板部80の延びる方向に対して直交する方向に長尺とされている。即ち、支持部16への組付状態では、係止板78が左右方向に延びている。この係止板78の長手方向寸法は、支持部16に設けられた貫通穴34の長軸方向寸法よりも小さくされていると共に、貫通穴34の短軸方向寸法よりも大きくされている。そして、係止板78の長手方向と貫通穴34の長手方向とが揃えられた状態では、係止板78が貫通穴34を挿通可能とされている。
【0044】
また、係止板78の略中央部分には、上下方向で貫通する略矩形の貫通孔101が形成されており、締結部品収容部92に一体的に設けられて下方に突出する保持筒部95が貫通孔101内に入り込んでいる。更に、係止板78の周縁部において、係止板78の延びる方向(組付状態では左右方向)の中央部分からは、直交する方向(組付状態では前後方向)の両方向外方に突出する位置決め突起102,102が一体的に設けられている。
【0045】
ホルダ76と係止板78とは、上下方向に延びる連結部104により連結されている。連結部104は、全体として略円筒形状とされており、ホルダ76の底面79と係止板78の略中央部分を連結している。具体的には、ホルダ76における締結部品収容部92よりも外周側と、係止板78における貫通孔101よりも外周側が、連結部104により連結されている。
【0046】
そして、連結部104の上下方向中間部分には、外周側に突出する案内板部106が一体的に形成されている。実施形態1では、案内板部106は、XY平面上に広がる略矩形板形状とされている。また、連結部104における上下方向の略中央部分に設けられており、ホルダ76および係止板78と上下方向である程度の離隔距離をもって対向している。特に、実施形態1では、案内板部106と係止板78との上下方向間距離が、支持部16における貫通穴34の周縁部における上下方向寸法、即ちリブ38の上端から下方突出部39の下端までの上下方向寸法と略等しいか、僅かに大きくされている。なお、ホルダ76と案内板部106との上下方向間には、例えば前後方向に延びるリブが、補強等を目的として設けられてもよい。
【0047】
<端子接続ユニット10の組み付け工程>
続いて、端子接続ユニット10の組み付け工程の一例について説明する。端子接続ユニット10の組み付け工程は、以下の記載に限定されない。
【0048】
先ず、通電部材14、装着部20、上端子台22、下端子台24をそれぞれ準備する。そして、装着部20と上端子台22とを組み付ける。なお、装着部20と上端子台22には、それぞれ締結部品収容部92および収容凹部44にナット94,46が嵌め込まれるが、ナット94,46の嵌込みは、装着部20と上端子台22の組付前であっても組付後であってもよい。
【0049】
装着部20と上端子台22との組付けに際しては、図8に示されるように、先ず、装着部20における係止板78の長手方向と上端子台22の貫通穴34の長手方向(第1方向である前後方向)とを略一致させる。そして、この状態で装着部20を上端子台22に接近させて、係止板78を貫通穴34に挿通する。即ち、係止板78を、長手方向が第1方向となる方向に配向した状態で、貫通穴34に挿通させる。その際、貫通穴34の周縁部に設けられた位置決め突起挿通部36と、係止板78の周縁部に設けられた位置決め突起102を位置合わせすることで、係止板78を貫通穴34へ容易に挿通させることができる。この状態では、装着部20におけるホルダ76が左右方向に延びている。また、貫通穴34の周縁部に設けられたリブ38,38上に装着部20の案内板部106が上方から重ね合わされる。
【0050】
次に、上端子台22に対して装着部20を、上下方向に延びる連結部104を回動軸として90°回転させる。これにより、装着部20は、図9に示されるように、係止板78が第1方向と直交する方向となる左右方向に延びる、支持部16に対する正規位置に組み付けられる。この正規位置では、係止板78が、貫通穴34の周縁部に係合する。この結果、装着部20の上端子台22からの上方への抜出しが防止され得る。そして、図5にも示されるように、係止板78と案内板部106との上下方向間に貫通穴34の周縁部が入り込む。即ち、貫通穴34内には連結部104が位置しており、貫通穴34内を連結部104が前後方向で移動することで、装着部20が上端子台22に対して第1方向である前後方向で変位可能とされている。
【0051】
特に、実施形態1では、装着部20が上端子台22に対して移動する際、略半円形断面を有するリブ38上を案内板部106が摺動することから、摺動抵抗が小さくされて、スムーズな移動が実現され得る。なお、図9では、装着部20が上端子台22の前方に位置している状態が示されているが、例えば装着部20は上端子台22に対して回転させた後、前後方向で移動させてもよいし、装着部20を上端子台22に対して前後方向で移動させた後、回転させてもよい。
【0052】
続いて、上端子台22の下方開口部に対して下端子台24を重ね合わせて固着する。これにより、上端子台22の下方開口部が覆蓋されて、係止板78が、上下端子台22,24における下方突出部39および上方突出部60間でゼロタッチまたは僅かな隙間をもって挟持される。これにより、装着部20が上端子台22に対して、略傾くことなく、前後方向と略平行に移動することができる。また、上端子台22の下方開口部が下端子台24で覆われることで係止板78への外部からのアクセスが不能となり、係止板78(装着部20)が意図せず回転して装着部20が貫通穴34から脱落するおそれが低減され得る。なお、上端子台22と下端子台24との固着手段は、溶着や接着等であってもよいし、凹凸嵌合やボルト固定等であってもよい。
【0053】
このように装着部20が組み付けられた支持部16に対して通電部材14が固定的に支持されている。即ち、支持部16の支持面30上に通電部材14の固定部66を載置して、収容凹部44に収容されたナット46と、通電部材14の固定部66に設けられた貫通孔74とを位置合わせする。そして、貫通孔74に固定ボルト108を挿通してナット46に締結することで、支持部16の支持面30上に通電部材14の固定部66が固定的に支持される。なお、図示しない外部から延びる電線端末に設けられた端子金具と固定部66とを重ね合わせて、固定ボルト108で共締めすることで、外部から延びる電線と通電部材14とが電気的に接続され得る。
【0054】
また、通電部材14の接続部18が、装着部20の保持板部80上に重ね合わされてホルダ76に装着される。即ち、装着部20における接続部18の装着位置が、保持板部80の上面とされている。その際、接続部18に設けられた位置決め凹部72,72内にホルダ76に設けられた位置決め凸部88,88が入り込むことで、接続部18とホルダ76とが相互に位置決めされる。これにより、接続部18に設けられた貫通孔70と装着部20の締結部品収容部92に収容されたナット94が位置合わせされた状態で保持される。即ち、接続部18の後端がホルダ76の後方開口部86から後方に突出して伸縮部68に連結されており、伸縮部68の伸縮に応じて、装着部20が支持部16に対して前後方向で移動可能とされている。
【0055】
なお、実施形態1では、固定部66を支持する支持面30が、貫通穴34が設けられる組付面32よりも上方に位置している。また、支持面30は、接続部18が載置される保持板部80の上面よりも上方に位置していると共に、特に実施形態1では、支持面30が、装着部20の上端と等しいか、僅かに上方に位置している。これにより、固定部66が接続部18よりも上方に位置しており、固定部66から前方に延びる伸縮部68は支持部16の凹所40内に収容されている。なお、図6にも示されるように、伸縮部68bの前後方向長さが最も小さくされた状態、即ち伸縮部68bが変形して最も弛んだ状態であっても、伸縮部68bと凹所40に設けられた湾曲壁部42とが当接しないようにされている。
【0056】
上記の如き工程をもって端子接続ユニット10が組み付けられている。以下、端子接続ユニット10に対して電線12を接続する方法を説明する。なお、電線の構造は限定されるものではないが、電線端末に端子金具が設けられて、当該端子金具に貫通孔が形成されていればよい。実施形態1では、端子金具110の周縁部において、左方に突出する係合凸部112が設けられている。
【0057】
すなわち、端子接続ユニット10の前方から延びる電線12の端子金具110が、装着部20のホルダ76内に差し入れられる。その際、例えば右手で装着部20を把持すると共に、左手で端子金具110を把持して、端子金具110をホルダ76内に差し入れることとなるが、装着部20が前後方向で移動可能であることから、ホルダ76内への端子金具110の差入れが容易とされ得る。そして、ホルダ76の前壁部87,87と端子金具110とが係合することで、装着部20からの端子金具110の脱落が防止され得る。これにより、ホルダ76の前方開口部84を通じて前方に電線12が延び出している。なお、実施形態1では、左方の縦壁部82に係合凹部90が設けられていると共に、端子金具110にも係合凸部112が設けられており、これら係合凹部90と係合凸部112とが係合することでも、装着部20からの端子金具110の抜けが防止されている。
【0058】
また、実施形態1では、縦壁部82が上方になるにつれて左右方向外方に傾斜する拡開形状とされており、縦壁部82の内面によってホルダ76への端子金具110の差入れが案内されるようになっている。特に、実施形態1では、係合凹部90および係合凸部112が設けられていることから、例えば係合凸部112を、左方の縦壁部82上を前後方向で摺動させることで、係合凹部90に対して係合凸部112を容易に差し入れることができる。これにより、端子金具110とホルダ76とが前後方向で位置決めされて、端子金具110の貫通孔と接続部18の貫通孔70と装着部20に設けられたナット94とが位置合わせされる。
【0059】
そして、端子金具110に設けられた貫通孔と接続部18に設けられた貫通孔70と締結部品収容部92に収容されたナット94とを位置合わせした状態で、固定ボルト114を挿通してナット94に締結することで、電線12と通電部材14が共締めされて電線12と通電部材14が電気的に接続されるようになっている。
【0060】
なお、前述のように、電線12は太径であり、曲げること等により公差を吸収することが困難とされている。即ち、例えば電線12において端子接続ユニット10に接続される側と反対側の端部が特定の同じ場所に固定される場合でも、公差によって、図10に示される電線12a,12bのように前後方向長さが異なる場合がある。このような場合であっても、実施形態1の端子接続ユニット10では、伸縮部68を変形させることで、伸縮部68の前後方向長さ、即ち接続部18および装着部20の前後方向位置を調節することができて、端子金具110と接続部18の位置の公差が吸収され得る。特に、接続部18や端子金具110に従来構造の如き長穴を設けるものでなく、接続部18と端子金具110との接触面積を十分に確保することができることから、発熱が大きくなるといった問題も回避され得る。
【0061】
また、実施形態1では、伸縮部68が積層バスバーにより構成されていることから、伸縮部68の前後方向における伸縮変形が容易に実現され得る。
【0062】
さらに、実施形態1では、装着部20は、支持部16に対して所定の移動位置で固定されるものではなく、第1方向である前後方向で変位自在とされている。即ち、電線12と通電部材14とを接続した後にも接続部18および装着部20が前後方向で移動可能とされていることから、例えば周辺の熱環境により電線12が伸縮したり車両の走行により振動が入力される場合等にも、電線12の変位が吸収され得る。
【0063】
更にまた、実施形態1では、支持部16に凹所40が設けられており、当該凹所40内に通電部材14の伸縮部68が収容されている。特に、実施形態1では凹所40の底壁部が部分的に湾曲壁部42により構成されており、伸縮部68が最も短くなった場合でも、伸縮部68と凹所40の底面との当接が回避されている。これにより、例えば伸縮部68の収縮時に、伸縮部68と凹所40の底面とが当接して、伸縮部68の収縮が制限されるといった不具合等が回避され得る。
【0064】
また、実施形態1では、通電部材14の固定部66が支持される支持面30が、通電部材14の接続部18が支持される保持板部80の上面より上方に位置しており、特に実施形態1では、支持面30が、接続部18の全体よりも上方に位置している。これにより、通電部材14において固定部66が接続部18よりも上方に位置しており、例えば固定部が接続部よりも下方に位置する場合に比べて、伸縮部68の伸縮変形時に伸縮部68が装着部20に接触するおそれが低減される。この結果、接続部18および装着部20の変位がよりスムーズに実現され得る。
【0065】
さらに、実施形態1では、装着部20に締結部品収容部92が設けられており、締結部品であるナット94が収容されている。これにより、装着部20に通電部材14の接続部18と電線12の端子金具110を重ね合わせて固定ボルト114で共締めすることにより、電線12と通電部材14とが電気的に接続されて、電線12の固定および電気的な接続作業が効率的に実現され得る。
【0066】
更にまた、実施形態1では、装着部20における係止板78と支持部16に設けられた貫通穴34が何れも略長円形状とされており、係止板78を貫通穴34に挿通して回転させるという簡単な操作で、装着部20が支持部16に離脱不能且つ前後方向で変位可能に組み付けられ得る。
【0067】
特に、実施形態1では、係止板78の周縁部と貫通穴34の周縁部に、位置決め突起102と位置決め突起挿通部36とが設けられており、係止板78の貫通穴34への挿通の際に相互に位置決めされるようになっている。換言すれば、これら位置決め突起102および位置決め突起挿通部36とが位置合わせされなければ、支持部16からの装着部20の離脱が防止されることから、高度な抜け防止効果が発揮され得る。
【0068】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2について、図11を参照しつつ説明する。図11に示される端子接続ユニット120は、全体として、実施形態1の端子接続ユニット10と同様の構造ではあるが、伸縮部122の構造が異なっている。具体的には、実施形態2の伸縮部122は、複数の金属の線条体を編組して形成される編組体から構成されている。なお、複数の線条体の編組態様は限定されるものではなく、編み、組み、織り等、従来公知の編組や編織態様が採用され得る。なお、実施形態2においても、最も伸長した状態の伸縮部122aと最も収縮した状態の伸縮部122bとを併せて示す。また、以下の説明において、実施形態1と実質的に同一の部材又は部位には、図中に、実施形態1と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0069】
編組体から構成された伸縮部122においても第1方向となる前後方向で伸縮可能であることから、前記実施形態1と同様の効果が発揮され得る。
【0070】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0071】
(1)前記実施形態では、伸縮部68,122は、最も長く伸びた状態(伸縮部68a,122a)で下方に凸となる湾曲形状とされており、この状態から収縮することでより下方に突出するようになっていたが、例えば伸縮部は、最も長く伸びた状態で上方に凸となる湾曲形状とされて、この状態から収縮することでより上方に突出するようになっていてもよい。
【0072】
(2)前記実施形態では、締結部品収容部92に収容される締結部品がナット94とされていたが、締結部品収容部に収容される締結部品は、例えば上方に突出するボルトであってもよい。その場合には、ボルトの頭部が、前記実施形態と同様の構造とされた締結部品収容部に凹凸嵌合により固定され得る。なお、収容凹部44に収容される部材も、ナット46ではなくボルトであってもよい。
【0073】
(3)前記実施形態では、装着部20は、支持部16に対して前後方向で変位自在とされていたが、例えば装着部は、支持部に対する前後方向の所定の位置で固定可能であってもよい。
【0074】
(4)支持部の形状は周辺の部材の位置関係等に応じて変更可能であり、前記実施形態に記載の態様に限定されるものではない。また、通電部材における固定部や接続部における形状も、平面視で矩形のものに限定されず、支持部の形状等に応じて適宜設定され得る。
【0075】
(5)前記実施形態では、装着部20と端子金具110に係合凹部90と係合凸部112が設けられていたが、これらは必須なものではない。また、前記実施形態では、縦壁部82が上方に対して傾斜して突出していたが、上方に真っ直ぐ突出していてもよい。尤も、本開示において縦壁部は必須なものではない。
【0076】
(6)本開示に係る端子接続ユニットは、前記実施形態の如き端子台構造のもの以外に、ケース内に通電部材が収容された電気接続箱における外部電線の接続部位に設けたものであってもよい。
【0077】
(7)前記実施形態では、分かり易さのために、長さの異なる電線12a,12bと、これらの電線12a,12bに対応して長さの異なる通電部材14a,14bを示したが、本開示に係る端子接続ユニットに設けられる通電部材は2つである必要はなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 端子接続ユニット
12,12a,12b 電線
14,14a,14b 通電部材
16 支持部
18 接続部
20 装着部
22 上端子台
24 下端子台
26 上底壁部
28 周壁部
30 支持面
32 組付面
34 貫通穴
36 位置決め突起挿通部
38 リブ
39 下方突出部
40 凹所
42 湾曲壁部
44 収容凹部
46 ナット
47 保持筒部
48 変形許容空間
50,52 傾斜面
54 貫通孔
56 底壁部
58 周壁部
60 上方突出部
62 湾曲壁部
64 ボルト挿通孔
66 固定部
68,68a,68b 伸縮部
70 貫通孔
72 位置決め凹部
74 貫通孔
76 ホルダ
78 係止板
79 底面
80 保持板部
82 縦壁部
84 前方開口部
86 後方開口部
87 前壁部
88 位置決め凸部
90 係合凹部
92 締結部品収容部
94 ナット(締結部品)
95 保持筒部
96 変形許容空間
98,100 傾斜面
101 貫通孔
102 位置決め突起
104 連結部
106 案内板部
108 固定ボルト
110 端子金具
112 係合凸部
114 固定ボルト
120 端子接続ユニット
122,122a,122b 伸縮部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11