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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】電子機器、表示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/02 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
G06F15/02 315Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021207497
(22)【出願日】2021-12-21
(65)【公開番号】P2023092339
(43)【公開日】2023-07-03
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】檜垣 整
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108352128(CN,A)
【文献】特開2011-191962(JP,A)
【文献】特開2011-175400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数式の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって複数の数式の入力を受け付けた場合に、現在入力状態にある第1数式と過去に入力された第2数式とを異なる表示態様で表示部に一覧表示させる表示制御手段と、
前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されているか否か判別する判別手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、
前記第1数式を第1表示態様で表示させ、
前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されている場合には、前記第2数式を前記第1表示態様とは異なる第2表示態様で表示させ、
前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されていない場合には、前記第2数式を前記第1表示態様および前記第2表示態様のいずれとも異なる第3表示態様で表示させる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
前記第1数式を第1階調で表示させ、
前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されている場合には、前記第2数式を前記第1階調とは異なる第2階調で表示させ、
前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されていない場合には、前記第2数式を前記第1階調および前記第2階調のいずれとも異なる第3階調で表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2階調は、前記第1階調よりも薄い階調であり、
前記第3階調は、前記第2階調よりも薄い階調である、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記受付手段によって受け付けた数式の表示サイズに応じて前記表示部における表示領域のサイズを調整する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は電卓であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
数式を表示部に表示させる表示制御方法であって、
数式の入力を受け付けるステップと、
複数の数式の入力を受け付けた場合に、現在入力状態にある第1数式と過去に入力された第2数式とを異なる表示態様で前記表示部に一覧表示させるステップと、
前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されているか否か判別するステップと、
前記複数の数式を一覧表示させる際に、前記第1数式を第1表示態様で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されている場合には、前記第2数式を前記第1表示態様とは異なる第2表示態様で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されていない場合には、前記第2数式を前記第1表示態様および前記第2表示態様のいずれとも異なる第3表示態様で表示させるステップと、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項7】
数式を表示部に表示させる電子機器に実行されるプログラムであって、
数式の入力を受け付ける受付機能と、
複数の数式の入力を受け付けた場合に、現在入力状態にある第1数式と過去に入力された第2数式とを異なる表示態様で前記表示部に一覧表示させる表示制御機能と、
前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されているか否か判別する判別機能と、
を実現させ、
前記表示制御機能は、前記複数の数式を一覧表示させる際に、前記第1数式を第1表示態様で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されている場合には、前記第2数式を前記第1表示態様とは異なる第2表示態様で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されていない場合には、前記第2数式を前記第1表示態様および前記第2表示態様のいずれとも異なる第3表示態様で表示させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の一般的な関数電卓による表示方法を示す模式図である。関数電卓では、n×mドットからなる液晶表示器を用いることで、図9に示すように、数式を入力・表示することを可能としている。一方、パソコンなどでは何か作業をしているときに別ウィンドウを表示して並行して作業をするのは一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
そこで、関数電卓においても、複数の数式を入力可能とし、入力された複数の数式やそれぞれの数式に対する計算結果を液晶表示器に表示することで、ユーザの利便性を向上させることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-149440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の関数電卓では、メモリ機能等を活用して計算結果等を記憶しておくことができたが、計算式そのものを記憶することはできず、数式を入力し始めてしまうと、他の計算を行いたい場合、AC(オールクリア)やDEL(デリート)によりそれまで入力した数式を全て消す必要があった。仮に、複数の数式を入力可能とし、入力された数式やその計算結果を液晶表示器に表示するとしても、従来の関数電卓では、液晶表示器はモノクロが主であり、0か1(例えば白か黒)といった2階調の表示形態であるため、現在、どの数式を入力している途中なのかなど判別できず、利便性の向上に繋がらないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、計算に係る複数の数式を入力・表示可能とし、現在の入力状態を明示してユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電子機器は、数式の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって複数の数式の入力を受け付けた場合に、現在入力状態にある第1数式と過去に入力された第2数式とを異なる表示態様で表示部に一覧表示させる表示制御手段と、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されているか否か判別する判別手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第1数式を第1表示態様で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されている場合には、前記第2数式を前記第1表示態様とは異なる第2表示態様で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されていない場合には、前記第2数式を前記第1表示態様および前記第2表示態様のいずれとも異なる第3表示態様で表示させる、ことを特徴とする。
【0008】
この発明に係る表示制御方法は、数式を表示部に表示させる表示制御方法であって、数式の入力を受け付けるステップと、複数の数式の入力を受け付けた場合に、現在入力状態にある第1数式と過去に入力された第2数式とを異なる表示態様で前記表示部に一覧表示させるステップと、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されているか否か判別するステップと、前記複数の数式を一覧表示させる際に、前記第1数式を第1表示態様で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されている場合には、前記第2数式を前記第1表示態様とは異なる第2表示態様で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されていない場合には、前記第2数式を前記第1表示態様および前記第2表示態様のいずれとも異なる第3表示態様で表示させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
この発明に係るプログラムは、数式を表示部に表示させる電子機器に実行されるプログラムであって、数式の入力を受け付ける受付機能と、複数の数式の入力を受け付けた場合に、現在入力状態にある第1数式と過去に入力された第2数式とを異なる表示態様で前記表示部に一覧表示させる表示制御機能と、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されているか否か判別する判別機能と、を実現させ、前記表示制御機能は、前記複数の数式を一覧表示させる際に、前記第1数式を第1表示態様で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されている場合には、前記第2数式を前記第1表示態様とは異なる第2表示態様で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されていない場合には、前記第2数式を前記第1表示態様および前記第2表示態様のいずれとも異なる第3表示態様で表示させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、計算に係る複数の数式を入力・表示可能とし、現在の入力状態を明示してユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の電子機器1の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態の電子機器1の外観構成を示す正面図である。
図3】本実施形態の階調表示方法を示す概念図である。
図4】本実施形態の電子機器1の動作(入力動作)を示すフローチャートである。
図5】本実施形態の電子機器1の動作(表示動作)を示すフローチャートである。
図6】本実施形態による電子機器1の表示方法の一例を示す模式図である。
図7】本実施形態による電子機器1の表示方法の一例を示す模式図である。
図8】本実施形態による電子機器1の数式入力の一例を示す模式図である。
図9】従来の電子機器の表示方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.実施形態
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
図1は、本実施形態の電子機器(電卓)1の構成を示すブロック図である。電子機器1は、プロセッサ11と、メモリ12と、操作キー13と、ディスプレイドライバ(DD)14と、ディスプレイ15とを有している。電子機器1は、卓上計算機、所謂電卓であってよい。電子機器1は、電卓以外の数値の計算機能を有する各種の電子機器であってもよい。また、電子機器1は、図1で示した以外の構成を有していてもよい。
【0014】
プロセッサ11は、電子機器1の各種動作を制御するプロセッサである。プロセッサ11は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、プロセッサ11は、2つ以上のプロセッサで構成されていてもよい。プロセッサ11は、操作キー13のうちの特定の操作キーの操作方法を判定する判定部として動作する。また、プロセッサ11は、特定の操作キーの操作方法に応じて実行する処理を変える制御部として動作する。
【0015】
メモリ12は、RAM及びROMを含む。RAMは、揮発性のメモリである。RAMは、プロセッサ11における各種のデータを一時記憶する作業メモリや、入力される複数の数式(関数、記号、数値、小数点、演算子及び計算結果を含む)をディスプレイ15に表示するためのフレームメモリ等に用いられる。ROMは、不揮発性のメモリである。ROMには、各種の電子機器能を実行するための計算プログラム等の各種プログラムが記憶されている。また、ROMには、数値計算等に用いられる各種の特定の数値等が引数として記憶されている。
【0016】
操作キー13は、ユーザが電子機器1を操作するための各種のキーである。操作キー13を用いた操作が受け付けられたとき、その操作に応じた入力信号がプロセッサ11に伝達される。
【0017】
ディスプレイドライバ14は、プロセッサ11の制御の下、ディスプレイ15を駆動する。ディスプレイドライバ14は、ディスプレイ15の駆動に必要な各種の信号をディスプレイ15に送出する。ディスプレイ15は、液晶ディスプレイ等のm×nドットの表示器である。ディスプレイ15は、電卓機能に係る各種の表示を行う。
【0018】
特に、本実施形態では、プロセッサ11及びディスプレイドライバ14は、操作キー13の操作に応じて複数の数式を入力可能とするとともに、ディスプレイ15の表示領域を複数の領域(例えば、4行)に分割し、それぞれの分割領域に入力された数式(関数、記号、数値、小数点、演算子及び計算結果を含む)を表示するように動作する。また、プロセッサ11は、数式の入力に際して、他の数式の計算結果を引用した数式を入力できるように動作する。
【0019】
そのため、本実施形態では、メモリ(RAM)12は、図1に示すように、複数の数式(例えば4つ)を保持するための数式記憶領域121と、それぞれの数式の計算結果を保持するための計算結果記憶領域123とを有する。数式記憶領域121には、各々、どの領域(行)の数式が「未入力」、「アクティブ」、「準アクティブ」、あるいは「非アクティブ」であるかを指示するフラグ122が設けられている。ここで、「未入力」とは、未だ数式が入力されていないことを意味し、「アクティブ」とは、現在入力中の数式であることを意味し、「準アクティブ」とは、計算結果が他の数式に引用されている数式であることを意味し、「非アクティブ」とは、「アクティブ」でも「準アクティブ」でもない、過去に入力(演算)された数式であることを意味する。プロセッサ11は、ユーザの操作キー13による数式の入力操作に応じて、フラグ122の状態を制御するとともに、フラグ122の状態に応じて各行の表示状態を制御する。なお、本実施形態では、未入力の行を「0」、「アクティブ」を「1」、「準アクティブ」を「2」、「非アクティブ」を「3」とするが、これに限定されない。
【0020】
ユーザは、操作キー13(カーソルキー)の操作によって任意の行の数式を「アクティブ」とすることが可能である。また、ユーザは、操作キー13(REFキー)の操作によって任意の行の計算結果を引用する数式を入力することが可能である。上述したように、プロセッサ11は、数式が未入力である行を「未入力」(フラグ「0」とし、新たな行が指定された時点で、該当行を自動的に「アクティブ」(フラグ「1」)とし、過去に入力(演算)された行を「アクティブ」(フラグ「1」)から「非アクティブ」(フラグ「3」)とし、引用された時点で該当行を「非アクティブ」(フラグ「3」)から「準アクティブ」(フラグ「2」)とする。
【0021】
プロセッサ11は、入力される数式(関数、記号、数値、小数点、演算子及び計算結果を含む)をディスプレイ15に表示する際に、所定のルールに従って階調の違い(4階調)によって表示するようになっている。すなわち、プロセッサ11は、「アクティブ」の領域(行)の数式(関数、記号、数値、小数点、演算子及び計算結果を含む)を「黒」で表示し、「準アクティブ」の領域(行)の数式を「ダークグレー」で表示し、「非アクティブ」の領域(行)の数式を「ライトグレー」で表示し、未入力の領域(行)を非点灯とするように制御する。これにより、ディスプレイ15の表示状態を見るだけで、その表示階調の違いから現在の入力状態、すなわち現在入力中の数式である「アクティブ」であるのか、計算結果が他の数式に引用されている数式である「準アクティブ」であるのか、過去に入力(演算)された数式であり、引用もされていない「非アクティブ」であるのか、あるいは未入力であるかを容易に知ることができる。
【0022】
図2は、本実施形態による電子機器1の外観正面図である。図2に示すように、電子機器1の筐体正面には、操作キー13とディスプレイ15とが設けられている。ディスプレイ15は、192×63ドットの表示領域を4分割し、それぞれの表示領域(行)に独立した数式を表示することができるように構成されている。図示の例では、第1行目(1)には「7+2=9」、第2行目(2)には「4÷2=2」、第3行目(3)には「15×3=45」、第4行目(4)には「(3)÷(1)=5」が入力・表示されている。第4行目において、(3)は第3行目の数式(の計算結果)を引用していることを示し、(1)は第1行目の数式(の計算結果)を引用していることを示している。なお、詳細は後述するが、本実施形態では、複雑な数式(表示サイズが大きくなってしまう数式)を表示するために、2つの行を1つに結合して1つの行として用いることが可能となっている。
【0023】
そして、第4行目が現在入力中の数式である「アクティブ」であるので、「黒」で表示されている。また、第4行目の数式が第3行目と第1行目とを引用しているので、第3行目と第1行目とが他の数式(この場合、第4行目)に引用されている数式である「準アクティブ」であるので、「ダークグレー」で表示されている。また、第2行目は過去に入力(演算)された数式であり、引用もされていない「非アクティブ」であるので、「ライトグレー」で表示されている。
【0024】
操作キー13は、数値キーと、関数・記号・演算キーと、機能キーとを有している。数値キーは、数値を入力するためのキーであって、例えば0から9のそれぞれの数値に対応したキーを含む。関数・記号・演算キーは、計算式や関数式を入力する際に操作される「log」「ln」「sin」「cos」「tan」などの関数記号キーや、+(加算)、-(減算)、×(乗算)、÷(除算)のそれぞれの演算子に対応した演算子キーと、=(演算実行)イコールキーとを含む。機能キーは、電子機器1の各種機能の実施のためのキーであって、例えば引用キー(REFキー)、オールクリアキー(ACキー)、クリアキー(Cキー)、メモリキー(MRCキー、M+キー、M-キー)を含む。
【0025】
図3は、本実施形態の階調表示方法を示す概念図である。
本実施形態では、ディスプレイ15に設定された複数の行のそれぞれに表示する数式(関数、記号、数値、小数点、演算子及び計算結果を含む)を、所定のルールに従って階調の違い(4階調)によって表示する。所定のルールとは、入力されていない数式を非点灯とし、現在入力中の数式を「黒」で、過去に入力され、かつ他の数式で計算結果が引用されている数式を「ダークグレー」で、そして、過去に入力されたものの、他の数式で引用されていない数式を「ライトグレー」で表示するようになっている。このため、一例として、FRC(Frame Rate Control)法を用いる。具体的には、3つのフレームを1周期として、フレーム毎にON/OFFを制御する。3フレーム全てをOFFにすることで非点灯(消灯)、3フレーム中1回点灯でライトグレー、3フレーム中2回点灯でダークグレー、3フレーム中全て点灯で黒となる。なお、図3においては、ライトグレー、ダークグレーを便宜上、ハッチングの密度で表わしているが、実際には、それぞれライトグレー、ダークグレーの単色で表示される。また、図3の例では、数値「3」の例を示しているが、数式(関数、記号、数値、小数点、演算子及び計算結果を含む)についても同様に表示する。
【0026】
なお、FRC法以外にも、RAMを2面備え、0/1の2階調から00/01/10/11の4階調を表現したり、RAMを下位ビットと上位ビットで分けたりして、階調を制御するようにしてもよい。
【0027】
B.実施形態の動作
図4は、本実施形態の電子機器1の入力時の動作を示すフローチャートである。プロセッサ11は、操作キー13からの数式の入力行を受け付ける(ステップS10)。ユーザは、カーソルキーなどによって任意の行を指定する。プロセッサ11は、指定された入力行がアクティブ(フラグ「1」)以外の行であるか否かを判断する(ステップS12)。例えば、現在入力中(アクティブ)の数式を修正したり、新たな数式を入力するために指定したりするために現在アクティブである行を入力行として指定した場合、表示形態(フラグの状態)を変更する必要がない。これに対して、アクティブ(フラグ「1」)以外の行が指定された場合には、表示形態(フラグの状態)を変更する必要がある。
【0028】
そして、プロセッサ11は、指定された入力行がアクティブ(フラグ「1」)以外の行である場合には(ステップS12のYES)、指定された入力行の数式記憶領域121のフラグ122を、アクティブ(「1」)とし、既にアクティブ(「1」)であった他行のフラグ122を非アクティブ(「3」)とし、引用されていた準アクティブ(「2」)であった他行のフラグ122を準アクティブ(「2」)のまま維持する(ステップS14)。
【0029】
なお、入力行について、より具体的には、入力行に既に数式があり、アクティブ(「1」)の場合には、そのままアクティブ(「1」)とし、既に数式があるが、非アクティブ(「3」)の場合には、非アクティブ(「3」)からアクティブ(「1」)に変更し、既に引用されている準アクティブ(「2」)の場合には、準アクティブ(「2」)からアクティブ(「1」)に変更する。その後、プロセッサ11は、ステップS16に進む。
【0030】
一方、指定された入力行がアクティブ(「1」)以外の行でない場合、すなわちアクティブ(「1」)である場合には(ステップS12のNO)、他の行も含めて、数式記憶領域121のフラグ122を変更する必要がないので、プロセッサ11は、何もせずに次のステップS16へ進む。
【0031】
次に、プロセッサ11は、操作キー13から数式の入力を受け付ける(ステップS16)。ユーザは、操作キー13の数値キーや、関数・記号・演算キーなどを操作して、所望する数式を入力する。プロセッサ11は、入力された数式内に他の行の数式(計算結果)が引用されていないか否かを判断する(ステップS18)。そして、入力された数式内に他の行の数式(計算結果)が引用されていない場合には(ステップS18のYES)、プロセッサ11は、フラグを変更することなく、ステップS10に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0032】
一方、入力された数式内に他の行の数式(計算結果)が引用されている場合には(ステップS18のNO)、引用された行の数式記憶領域121のフラグ122を、準アクティブ(「2」)とする(ステップS20)。より具体的には、引用された行が非アクティブ(「3」)の場合には、非アクティブ(「3」)から準アクティブ(「2」)に変更し、引用された行が既に準アクティブ(「2」)の場合には、準アクティブ(「2」)を維持する。
【0033】
なお、当該動作では、入力された数式の演算動作や、数式を消去するオールクリア動作等の詳細については省略するが、例えば、オールクリアされた場合には、該当行の数式記憶領域121のフラグ122を「0」にするなどの処理を行う。
【0034】
図5は、本実施形態の電子機器1の表示処理の動作を示すフローチャートである。プロセッサ11は、所定の時間間隔で図5に示す表示処理を実行する。プロセッサ11は、まず、数式記憶領域121の順番をカウントするための変数iを「1」とする(ステップS30)。次に、プロセッサ11は、変数iで示される数式記憶領域121のフラグ122を読み込む。
【0035】
次に、プロセッサ11は、変数iで示される数式記憶領域121のフラグ122が「0」であるか否か、すなわち未入力の行であるか否かを判断する(ステップS34)。そして、フラグ122が「0」である場合、すなわち未入力の行である場合には(ステップS34のYES)、その行に対するディスプレイ15の表示領域を非点灯とする(ステップS36)。
【0036】
一方、フラグ122が「0」でない場合、すなわち未入力の行でない場合には(ステップS34のNO)、プロセッサ11は、フラグ122が「1」であるか否か、すなわちアクティブの行であるか否かを判断する(ステップS38)。そして、フラグ122が「1」のアクティブの行である場合、すなわち現在入力中の行である場合には(ステップS38のYES)、その行に対するディスプレイ15の表示領域を「黒」で表示する(ステップS40)。
【0037】
一方、フラグ122が「1」でない場合、すなわちアクティブの行でない場合には(ステップS38のNO)、プロセッサ11は、フラグ122が「2」であるか否か、すなわち準アクティブの行(他の行の数式に引用されている数式)であるか否かを判断する(ステップS42)。そして、フラグ122が「2」の準アクティブの行である場合、すなわち他の行の数式に引用されている行である場合には(ステップS42のYES)、その行に対するディスプレイ15の表示領域を「ダークグレー」で表示する(ステップS44)。
【0038】
一方、フラグ122が「2」でない場合、すなわち準アクティブの行でない場合には(ステップS42のNO)、プロセッサ11は、フラグ122が「3」であると判断し、すなわち非アクティブの行(現在入力中でも引用もされていない行)であると判断し、その行に対するディスプレイ15の表示領域を「ライトグレー」で表示する(ステップS46)。
【0039】
上記ステップS36、S40、S44、S46の処理を終了すると、プロセッサ11は、変数iを1つインクリメントし(ステップS48)、変数iが「5」になったか否かを判断する(ステップS50)。そして、変数iが「5」より小さい場合には(ステップS50のNO)、まだ表示していない行があるので、ステップS32に戻り、次の数式記憶領域121のフラグ122に対して、上述した表示処理を繰り返す。以降、順に#1~#4のフラグ122に対する処理を終了すると、変数iが「5」となるので(ステップS50のYES)、当該表示処理を終了する(メインルーチンへ戻る)。
【0040】
図6は、本実施形態による電子機器1の表示方法の一例を示す模式図である。なお、図面上では、視認性を考慮して、ライトグレーを「LG」、ダークグレーを「DG」、黒を「BLK」と表記する。図6に示す例では、第1行目~第3行目は、既に数式が入力されている行であり、第4行目は、現在数式が入力されている行である。
【0041】
つまり、第4行目が入力行として指定された時点で、第4行目の数式記憶領域121のフラグ122が「1」となるので、第4行目の数式及び計算結果((4) (3)÷(1)=5)が「黒(BLK)」で表示される(ステップS40を参照)。また、第4行目では、第3行目の数式(計算結果(3))と第1行目の数式(計算結果(1))とが引用されているので、第3行目及び第1行目の数式記憶領域121のフラグ122が「2」となり、引用されている第3行目の数式及び計算結果((3) 15×3=45)と第1行目との数式及び計算結果((1) 7+2=9)が「ダークグレー(DG)」で表示される。また、第2行目は、「アクティブ」でも、引用されている「準アクティブ」でもないので、フラグ122が「3」となり、「ライトグレー(LG)」で表示される。
【0042】
より詳細に説明すれば、第4行目が入力行として指定された時点で、第1行目~第3行目のフラグ122が全て非アクティブを示す「3」となり、第1行目~第3行目が「ライトグレー(LG)」で表示されることになる(ステップS46を参照)。そして、第4行目の数式入力過程で、第3行目(の計算結果)が引用された時点で、第3行目のフラグが非アクティブを示す「3」から準アクティブを示す「2」となって、第3行目が「ダークグレー(DG)」で表示されることになり(ステップS44を参照)、第1行目(の計算結果)が引用された時点で、第1行目のフラグが非アクティブを示す「3」から準アクティブを示す「2」となり、第1行目が「ダークグレー(DG)」で表示される(ステップS44を参照)。なお、他行の数式(計算結果)の引用方法については後述する。
【0043】
これにより、ディスプレイ15の表示状態を見るだけで、その表示階調の違いから現在の入力状態、すなわち現在入力中の数式である「アクティブ」であるのか、計算結果が他の数式に引用されている数式である「準アクティブ」であるのか、過去に入力(演算)された数式であり、引用もされていない「非アクティブ」であるのか、あるいは未入力であるかを容易に知ることができる。
【0044】
図7は、本実施形態による電子機器1の表示方法の一例を示す模式図である。本実施形態では、積分等の式の表示領域を多く使う計算に関して、表示領域を結合することが可能となっている。図示の例では、第1行目と第2行目とを結合し、1つの行として用いていている。また、この場合、第3行目が入力行として指定された時点で、第3行目の数式記憶領域121のフラグ122が「1」となるので、第3行目の数式及び計算結果が「黒(BLK)」で表示される。また、第3行目では、第1行目の数式(計算結果(1))が引用されているので、第1行目の数式記憶領域121のフラグ122が「1」となり、引用されている第1行目の数式及び計算結果が「ダークグレー(DG)」で表示される。また、第2行目は、「アクティブ」でも、引用されている「準アクティブ」でもないので、「ライトグレー(LG)」で表示される。
【0045】
図8は、本実施形態による電子機器1の数式入力の一連の動作を示す模式図である。まず、最上段に示すように、第1行目と第2行目とが結合され、1つの行(第1行目)として数式が入力されており、現在入力行でも引用されてもいないので、「ライトグレー(LG)」で表示されている。また、第2行目が現在入力行として指定されおり、「黒(BLK)」で表示されている。
【0046】
次に、ユーザが第3行目を新たな入力行として指定すると、当該第3行目が「黒(BLG)」で表示され、一旦、第1行目(結合行)と第2行目とが「ライトグレー(LG)」で表示される。
【0047】
次に、ユーザが「REF」キーを押下した状態で「1」キーを押下すると、表示部に「(1)」と表示され、第1行目の数式(計算結果)が引用された状態になり、第1行目が「ダークグレー(DG)」で表示される。第2行目は引用されていないので「ライトグレー(LG)」のままとなる。
【0048】
さらに、ユーザが第3行目の数式入力において、「×2=」と入力すると、第3行目には、「(1)×2=134.49017442」と計算結果が「黒(BLK)」で表示されることになる。このとき、第1行目は引用されているので「ダークグレー(DG)」のまま表示され、第2行目は引用されていないので「ライトグレー(LG)」のまま表示されることなる。
【0049】
本実施形態によれば、複数の行に独立して数式を入力することができるので、いずれかの行に対する数式入力中でも、他の行への数式入力が可能であるので、先に入力した数式を消去することなく、別の計算を容易に実行できる。また、数式内に他の計算結果を引用可能とすることにより、ユーザの数式入力に対する負担を軽減できる。また、入力した数式を数式記憶領域121に保持することができるので、数式を容易に編集することができるとともに、変数や定数を変えて容易に再計算できる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、引用された数式をその計算結果を含めて全て「ダークグレー」で表示するようにしたが、数式自体をダークグレーで表示し、その計算結果を「黒」で表示するようにしてもよい。これにより、どの計算結果を引用しているのかを容易に識別することができる。
【0051】
また、上述した実施形態では、他の行の数式の計算結果のみを引用可能としたが、数式の途中の数値等を引用できるようにしてもよい。この場合、引用された数式において、引用した数値を「黒」で表示し、その他の数値や符号などをダークグレーで表示するようにしてもよい。
【0052】
また、上述した実施形態においては、表示形態を変える方法として、異なる階調で表示するとしたが、現時点で入力途中、入力直後であることが判別することができれば、例えば、多色表示が可能な電卓では、予め定められた色の違いで色分けするようにしてもよい。
【0053】
また、上述した実施形態においては、表示形態を変える方法として、異なる階調で表示するとしたが、現時点で入力途中、入力直後であることを判別することができれば、階調表現ではなく、「ライトグレー」で表示するところを所定の周期を有する「点滅表示」とし、「ダークグレー」で表示するところを異なる周期の「点滅表示」としてもよい。
【0054】
上述した本実施形態によれば、複数の数式の入力を受け付けた場合には、前記複数の数式を表示部に一覧表示させる際に、現在入力状態にある第1数式と、過去に入力された第2数式と、を異なる表示態様で表示させるようにしたので、現在入力状態にある第1数式か、過去に入力された第2数式かを容易に識別することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0055】
上述した本実施形態によれば、現在入力状態にある前記第1数式を第1階調で表示させ、過去に入力された前記第2数式を前記第1階調よりも薄い第2階調で表示させるようにしたので、現在入力状態にある第1数式か、過去に入力された第2数式かを容易に識別することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0056】
上述した本実施形態によれば、前記第1数式と、前記第2数式とを異なる表示形態で表示させる際に、前記第1数式を第1階調で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されている場合には、前記第2数式を前記第1階調よりも薄い第2階調で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されていない場合には、前記第2数式を前記第2階調よりも薄い第3階調で表示させるようにしたので、現在入力状態にある第1数式か、過去に入力された第2数式か、他の数式に引用されている第3数式かを容易に識別することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0057】
上述した本実施形態によれば、前記受付手段によって受け付けた数式の表示サイズに応じて前記表示部における表示領域のサイズを調整するようにしたので、通常より大きな表示領域を要する複雑な数式であっても表示することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0058】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0059】
(付記1)
付記1に記載の発明は、数式の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって複数の数式の入力を受け付けた場合に、前記複数の数式を表示部に一覧表示させる表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記複数の数式を一覧表示させる際に、現在入力状態にある第1数式と、過去に入力された第2数式と、を異なる表示態様で表示させる、ことを特徴とする電子機器である。
【0060】
(付記2)
付記2に記載の発明は、前記表示制御手段は、現在入力状態にある前記第1数式を第1階調で表示させ、過去に入力された前記第2数式を前記第1階調よりも薄い第2階調で表示させることで、前記第1数式と前記第2数式とを識別可能に表示させる、ことを特徴とする付記1に記載の電子機器である。
【0061】
(付記3)
付記3に記載の発明は、前記第2数式の計算結果が、前記第1数式に引用されているか否か判別する判別手段を更に備え、前記表示制御手段は、前記第1数式と、前記第2数式とを異なる表示形態で表示させる際に、前記第1数式を第1階調で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されている場合には、前記第2数式を前記第1階調よりも薄い第2階調で表示させ、前記第2数式の計算結果が前記第1数式に引用されていない場合には、前記第2数式を前記第2階調よりも薄い第3階調で表示させる、ことを特徴とする付記1に記載の電子機器である。
【0062】
(付記4)
付記4に記載の発明は、前記表示制御手段は、前記受付手段によって受け付けた数式の表示サイズに応じて前記表示部における表示領域のサイズを調整する、ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一つに記載の電子機器である。
【0063】
(付記5)
付記5に記載の発明は、前記電子機器は電卓であることを特徴とする付記1乃至4のいずれか一つに記載の電子機器である。
【0064】
(付記6)
付記6に記載の発明は、数式を表示部に表示させる表示制御方法であって、数式の入力を受け付けるステップと、複数の数式の入力を受け付けた場合に、前記複数の数式を前記表示部に一覧表示させるステップと、前記複数の数式を一覧表示させる際に、現在入力状態にある第1数式と、過去に入力された第2数式と、を異なる表示態様で表示させるステップと、を含むことを特徴とする表示制御方法である。
【0065】
(付記7)
付記7に記載の発明は、数式を表示部に表示させる電子機器に実行されるプログラムであって、数式の入力を受け付ける受付機能と、複数の数式の入力を受け付けた場合に、前記複数の数式を前記表示部に一覧表示させる表示制御機能と、を実現させ、前記表示制御機能は、前記複数の数式を一覧表示させる際に、現在入力状態にある第1数式と、過去に入力された第2数式と、を異なる表示態様で表示させる、ことを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0066】
1…電子機器、11…プロセッサ、12…メモリ、121…数式記憶領域、122…フラグ、123…計算結果記憶領域、13…操作キー、14…ディスプレイドライバ(DD)、15…ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9