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特許7328643人孔部における、管渠の管口を連結する管渠構造
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  • 特許-人孔部における、管渠の管口を連結する管渠構造 図1
  • 特許-人孔部における、管渠の管口を連結する管渠構造 図2
  • 特許-人孔部における、管渠の管口を連結する管渠構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】人孔部における、管渠の管口を連結する管渠構造
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/02 20060101AFI20230809BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20230809BHJP
   F16L 1/028 20060101ALI20230809BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20230809BHJP
   B29C 65/56 20060101ALI20230809BHJP
   B29C 65/48 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
E03F5/02
E03F3/04 Z
F16L1/028 Z
F16L5/02 J
B29C65/56
B29C65/48
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022091782
(22)【出願日】2022-06-06
【審査請求日】2022-07-15
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505102360
【氏名又は名称】株式会社トラストテクノ
(73)【特許権者】
【識別番号】595053777
【氏名又は名称】吉佳エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】大岡 太郎
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-002613(JP,A)
【文献】特開2004-336955(JP,A)
【文献】特開2009-114753(JP,A)
【文献】特開2020-008030(JP,A)
【文献】特開2008-150845(JP,A)
【文献】特開2004-011127(JP,A)
【文献】特開2002-146817(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0118652(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/02
E03F 3/04
E03F 7/00
F16L 1/028
F16L 5/02
B29C 65/56
B29C 65/48
E02D 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に敷設された管渠の任意の位置に有底の略円筒状を呈した人孔が設けられ、この所定距離を隔てて設けられる第1孔部及び第2孔部の第1及び第2管渠の管口との接続部位からの水の浸入を防止するための管渠構造であって、当該管渠構造は、
前記第1管渠の管口と前記第2管渠の管口に接続された接続管と、
前記第1及び第2管渠の少なくとも前記接続部位を被覆する水膨潤性止水手段と、
前記水膨潤性止水手段を被覆する止水シートと、
該止水シートに被覆された前記管口の接続部位と前記接続管を固定するジョイント部材とからなり、
ここで、当該前記ジョイント部材は、
前記接続管外周の半分を取り囲む1対の半円形の第1及び第2ジョイント部材と、
当該第1及び第2ジョイント部材を互いに固定するねじ止め部からなり、
前記第1及び第2のジョイント部材は、前記接続管の外周の上半分と下半分をそれぞれ取り囲んで締め付けるように構成され
ここで、前記第1及び第2ジョイント部材と前記接続管の間隙が、管口の端部の膨化した前記水膨潤性止水手段と、前記第1及び第2ジョイント部材の内壁に介在された前記止水シートによって、前記管渠構造と管口の間隙が密封されてなる、
ことを特徴とする、上下水道用の管渠構造。
【請求項2】
前記接続管は、主成分としてポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の管渠構造。
【請求項3】
前記止水シートは、主成分として合成樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の管渠構造。
【請求項4】
前記ジョイント部材は、合成樹脂、金属、合金と合成金属からなる群から選択される1種以上からなる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の管渠構造。
【請求項5】
前記水膨潤性止水手段が、水膨潤ゴム、水膨潤性の接着剤からなる群から選択される1種以上である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の管渠構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人孔部における、管渠の管口を連結する管渠構造に関する。
【背景技術】
【0002】
令和2年度末における全国の下水道管渠の総延長は約49万kmで、このうち標準耐用年数である50年を経過した管渠の延長は約2.5万km(総延長の5%)にのぼる。
これらの既設管渠は、長年の経年劣化や地盤沈下、又は交通荷重の増大による老朽化が著しく、管渠の損傷等が原因と思われる漏水事故や道路陥没、臭気問題等が多発している。
標準耐用年数を経過し更生が必要な老朽管は、10年後には8.2万km(総延長の17%)、20年後には19万km(総延長の39%)と、今後急速に増加することがわかっており、持続的な下水道機能確保のため、計画的な維持管理・改築に実施が必要である。
【0003】
また、降雨時の確実な稼働が必要な雨水ポンプ場においても、令和2年度末で全国に約1600箇所ある雨水ポンプ場のうち、設備の標準耐用年数20年を経過した施設が約1300箇所(全体の81%)と同様の傾向にある。
【0004】
さらに、台風や突発的な集中豪雨に伴う地下水位の上昇等で雨天時浸入水量を含んだ、汚水量が下水道施設の処理能力を上回る事例が多発している。雨天時浸入水は長年、降雨に伴う一時的な現象として扱われ、施設計画においても十分に考慮されてこなかった。
【0005】
しかし、近年その水量の増大が問題となり、雨天時浸入水の要因としては、気候変動に伴う、降雨量の増加、汚水管渠施設の老朽化、排水設備の誤接続などがあげられ、雨天時浸入水量の増加により、汚水管路からの溢水、宅内への逆流、処理施設の機能低下による公共用水域への影響などが問題となり、浸入水対策が必要となっている。
【0006】
例えば、管渠内の汚水が浸入水と混ざることにより、管渠内の汚水量が増加し処理施設での汚水処理量が増量する。その結果、増量した汚水を処理するための処理能力が足りず時間を要し、その処理費用が莫大なものになる。
【0007】
浸入水対策として本管においては、管更生や布設替といった手法が確立し、老朽化した管渠の更生が行われている。
しかしながら、人孔更生工においては、既設管を更生するための工事費が膨大であることや、その構成が必要な対策施設数が膨大である為、高額な費用が発生する。また既設管は様々な工法により施工されており、各工法に合わせた施工を行うことは困難である。 そのため、様々な施工法による既設管への浸入水を防止し、かつ安価で汎用的な工法による侵入水防止工法の開発が求められている。
【0008】
特許文献1は、人孔部における管渠の管口を連結する管渠工法を用いて、老朽化した既設管渠を更生する工法を開示している。この工法では、連結部材を用いて2つの管渠を連結し、管渠の内周壁をライニングすることで止水機能を付与している。
このような連結部材による連結は、管渠内に施工されたライナを連結部材に圧着させるのみであり、ライニングされたパイプラインの内周壁への浸入水を防止できるが、連結部材と管渠の連結部に隙間が生じやすいため、人孔内に浸入した雨水等が、さらに管渠内へ浸入してしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特表2022-509049
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、人孔における管渠の管口と、当該管渠を連結する連結部材の間に生じる隙間によって、管口への浸入水が防止できないという技術的課題を解決するためになされたものであり、高い止水性及び耐久性を兼ね備えた管渠のための管渠構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、地中に敷設された管渠の任意の位置に有底の略円筒状を呈した人孔が設けられ、この所定距離を隔てて設けられる第1孔部及び第2孔部の第1及び第2管渠の管口との接続部位からの水の浸入を防止するための管渠構造であって、当該管渠構造は、前記第1管渠の管口と前記第2管渠の管口に接続された接続管と、前記第1及び第2管渠の少なくとも前記接続部位を被覆する水膨潤性止水手段と、前記水膨潤性止水手段を被覆する止水シートと、該止水シートに被覆された前記管口の接続部位と前記接続管を固定するジョイント部材とからなり、ここで、当該前記ジョイント部材は、前記接続管の外周の半分を取り囲む1対の半円形の第1及び第2ジョイント部材と、当該第1及び第2ジョイント部材を互いに固定するねじ止め部からなり、前記第1及び第2のジョイント部材は、前記接続管の外周の上半分と下半分をそれぞれ取り囲んで締め付けるように構成されることを特徴とする、上水道又は下水道用の管渠構造に関する。
【0012】
請求項に係る発明は、前記接続管は、主成分としてポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の管渠構造に関する。
【0013】
請求項に係る発明は、前記止水シートは、主成分として合成樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の管渠構造に関する。
【0014】
請求項に係る発明は、前記ジョイント部材は、合成樹脂、金属、合金と合成金属からなる群から選択される1種以上からなる、請求項1乃至のいずれか1項に記載の管渠構造に関する。
【0015】
請求項に係る発明は、前記水膨潤性止水手段が、水膨潤ゴム、水膨潤性の接着剤からなる群から選択される1種以上である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の管渠構造に関する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、地中に敷設された管渠の任意の位置に有底の略円筒状を呈した人孔が設けられ、この所定距離を隔てて設けられる第1孔部及び第2孔部の第1及び第2管渠の管口との接続部位からの水の浸入を防止するための管渠構造であって、当該管渠構造は、前記第1管渠の管口と前記第2管渠の管口に接続された接続管と、前記第1及び第2管渠の少なくとも前記接続部位を被覆する水膨潤性止水手段と、前記水膨潤性止水手段を被覆する止水シートと、該止水シートに被覆された前記管口の接続部位と前記接続管を固定するジョイント部材とからなり、ここで、当該前記ジョイント部材は、
前記接続管の外周の半分を取り囲む1対の半円形の第1及び第2ジョイント部材と、
当該第1及び第2ジョイント部材を互いに固定するねじ止め部からなり、前記第1及び第2のジョイント部材は、前記接続管の外周の上半分と下半分をそれぞれ取り囲んで締め付けるように構成されることを特徴とする、上水道又は下水道用の管渠構造は、上水道又は下水道のジョイント部材内に設けられた止水シートと水膨潤ゴムにより接続管と管口の隙間を埋めることで、管口への浸入水を確実に防ぐことができ、水漏れの虞がない。
また第1及び第2ジョイント部がねじ止め部で密接に固定されることで、ジョイント部材の内部に設けられた止水シート及び水膨潤ゴムをしっかりと固定し、さらにジョイント部材同士の接着面も密に固定されている。
このため、請求項1に係る管渠構造は、管渠の管口において優れた止水性を備えた管渠構造を形成することができるという作用効果を奏する。
【0017】
請求項に係る管渠構造によれば、接続管は、主成分としてポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の管渠構造であり、より優れた性能と長期間に亘り高い耐水性を維持することができるので、高い止水性及び耐久性を備えた接続管を形成することができるという作用効果を奏する。
【0018】
請求項に係る管渠構造によれば、止水シートは、主成分として合成樹脂を含むことを特徴としているので、優れた耐薬品性と耐摩耗性を維持することができる。このため、止水シートは、高い止水性を有する管渠構造を形成することができるという作用効果を奏する。
【0019】
請求項に係る管渠構造によれば、ジョイント部材は、合成樹脂、金属、合金と合成金属からなる群から選択される1種以上である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の管渠構造であるため、耐久性に優れた管渠構造を形成することができるという作用効果を奏する。
【0020】
請求項に係る発明によれば、水膨潤性止水手段が、水膨潤ゴム、水膨潤性の接着剤からなる群から選択される1種以上である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の管渠構造であるため、耐久性及び耐熱性に優れた管渠構造を形成することができる。
このため、水膨潤ゴム、水膨潤性の接着剤からなる群から選択される1種以上を含む管渠構造は、耐久性が高く、長期間にわたり管渠の老朽化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る管渠構造の一実施形態である、管渠に接続管が設置された管渠構造を示す斜視図である。
図2】本発明に係る管渠構造の一実施形態である、管渠に接続管が設置された管渠構造を示す断面図である。
図3】本発明に係る管渠構造の一実施形態である、管渠に接続管が設置された管渠構造を示す側面図である。
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る実施形態に係る管口への浸入水を防止する管渠構造について詳述する。
【0023】
ここでは管渠は、下水道管路の本管として例示しているが、これに限定されず、本発明の管渠構造は、例えば、工業用水用の管路、農業用水用の管路などにも適用可能である。また管渠の材料として、コンクリート管、陶管、塩化ビニル管などを採用することができるが、特定の材料に限られることはない。
【0024】
本発明に含まれるポリエチレン系樹脂には、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低密度等ポリエチレン、直鎖上低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンやEVA樹脂等が使用されるが、特定の材料に限られることはない。
【0025】
<人孔における管渠の管口に接続管が設けられた管渠構造>
図1図2図3は、本発明の一実施形態である、管渠に接続管が設置された管渠構造を示す図である。
図1~3を参照すると、本発明の一実施形態である、管渠に接続管が設置された管渠構造は、地中に敷設された管渠(2、2a、2b)の任意の位置に有底の略円筒状を呈した人孔(1)が設けられ、この所定距離(L)を隔てて設けられる第1孔部及び第2孔部(H1、H2)の第1及び第2管渠(2a、2b)の管口(H1、H2)との接続部位からの水の浸入を防止するための管渠構造である。まず当該管渠構造は、管渠(2)の管口に水膨潤性止水手段(6)を装着し、水膨潤性止水手段(6)を止水シート(5)で被覆した後に、止水シート(5)に被覆された前記管口の接続部位とポリエチレン系樹脂からなる接続管(3)をジョイント部材(4)で固定する。ポリエチレン系樹脂に含まれる組成物は、前述のとおりである。
【0026】
図示はしていないが、本発明の一実施形態である、管渠に接続管が設置された管渠構造は、向かい合う管口(H1、H2)の位置に段差が生じていても連結可能である。
なお、最大50mmまでの段差に対応することができる。
【0027】
図示はしていないが、ジョイント部材(4)を用いた固定方法は、接続管外周の半分を取り囲む1対の半円形の第1及び第2ジョイント部材と、当該第1及び第2ジョイント部材を互いに固定するねじ止め部で接合してもよく、前記第1及び第2のジョイント部材は、前記接続管の外周の上半分と下半分をそれぞれ取り囲んで締め付けるように構成してもよい。
【0028】
ジョイント部材(4)は、合成樹脂、金属、合金と合成金属からなる群(例えば、高密度ポリエチレン、ステンレス、チタン、アルミニウム、ニッケル合金、クロム、ニオブ、タンタル等)から選択される1種以上からなる。
【0029】
接続管(3)の材料としては、高密度ポリエチレン樹脂を使用することが望ましい。
接続管(3)の材料としては、汎用的に塩化ビニル樹脂が使用されるが、耐摩耗性が、高密度ポリエチレンと比較すると約30倍程度低いため、長期的に浸入水を防止できるとはいえない。
しかし本発明の管渠構造では、耐摩耗性をはじめとする耐久性に優れているため、長期的な浸入水の防止を可能とする。
【0030】
水膨潤性止水手段(6)は、水膨潤ゴム、水膨潤性の接着剤からなる群から選択される1種以上であり、水膨潤ゴムや水膨潤性の接着剤は、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分としたポリマーポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム塩等が使用される。
【実施例
【0031】
以下、本発明の管渠構造について実施例に基づき更に詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
本発明の管渠構造を設置した管口からの浸入水について、この浸入水抑制効果について確認するため、試験体を用いた各種試験をおこなった。
【0032】
雨天時浸入水流入抑制試験(雨天時浸入水)は、本発明の管渠構造の設置前後の管口への浸入水量を比較したものである。
降雨量を146mmと想定した際の推定雨天時浸入量(m)を計測した
以下に示す表は、本発明の管渠構造の一実施例である管渠構造から造られた試験体を設置する前の試験区と、設置後の試験区との浸入水量を比較したものである。
また、雨天時浸入水量算定式は、
本発明の管渠構造設置前:y=4.92x―36.48
本発明の管渠構造設置後:y=4.48x―33.67
yは推定雨水進入量(m)を示し、xは降雨量(mm)を示す。
【0033】
<雨天時浸入水流入抑制試験(雨天時浸入水)>


【0034】
試験の結果、本発明の管渠構造を管口へ設置することで、降雨量146mm想定時雨水浸入削減量(m)が約9%削減されることがわかった。
したがって、本発明の管渠構造を管口へ設置することにより、管口への浸入水が十分に防止されることが示された。
【0035】
雨天時浸入水流入抑制試験(常時侵入水量)は、本発明の管渠構造の設置前後の管口への常時浸入水量を比較したものである。試験区はA:晴天日平均流量(m/日)、B:深夜最小流量(推定常時侵入水量)(m/日)、C:基礎汚水量(m/日)、基礎汚水量に対する常時侵入水量割合(%)である。以下に示す表は雨天時浸入水流入抑制試験(常時侵入水量)を示したものである。
【0036】
<雨天時浸入水流入抑制試験(常時侵入水量)>

【0037】
試験の結果、本発明の管渠構造を管口へ設置することで、基礎汚水量に対する常時侵入水量(m)が約14.5%削減されることがわかった。
この結果は、本発明の管渠構造を管口へ設置することにより、管口への汚水の浸入が軽減され、雨水と汚水が混ざり合うことが軽減できる。浸入水が十分に防止されることが示された。
【0038】
また、試験において人孔内へ流入した雨水等は、本発明の管渠構造の効果により、管渠内へ侵入しないため、人孔内へと溜まる。しかし、人孔壁面の隙間を通じ人孔外へと流れ、地下水となるため、人孔内へ溜まった雨水等を別途排出する必要がない。
そのため、排出等に必要な費用を削減できる。
【0039】
本発明の管渠構造の耐久性について確認するため、以下の試験をおこなった。
外水圧試験は、本発明の管渠構造を既設管渠に設置し、人孔内に注水し、鉄製の蓋をした後、水圧ポンプを用いて当該管渠構造に0.050MPa、0.060MPa、0.075MPa、0.090MPa、0.100MPaをそれぞれ3分間加圧した際の管口への漏水の有無を確認したものである。
以下に示す表は、外水圧試験結果を表したものである。
【0040】

【0041】
試験の結果、最大0.010Paで3分間加圧を行うことによる漏水がないことがわかった。
したがって、本発明の管渠構造を管口へ設置することにより、優れた耐荷性を備え、管渠構造から管渠への浸入水を防止できることがわかった。
【0042】
本発明の管渠構造の耐久性について確認するため、以下の試験をおこなった。
外水圧繰り返し試験は、本発明の管渠構造を既設管渠に設置し、人孔内に注水し、鉄製の蓋をした後、水圧ポンプを用いて当該管渠構造に0.020MPaと0.050MPaの水圧を交互に加圧を10回繰り返し、漏水の有無を確認したものである。
以下に示す表は、外水圧試験結果を表したものである。
【0043】

【0044】
試験の結果、0.020MPaと0.050MPa水圧を交互に加圧を10回繰り返したが、本発明の管渠構造を設置した管渠から漏水がないことがわかった。
したがって、本発明の管渠構造を管口へ設置することにより、優れた耐荷性を備え、継続的に管渠構造から管渠への浸入水を防止できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る管渠構造は、下水道用管渠から上水道用管渠、工業用水用の管路、農業用水用の管路等、幅広い種類の管渠に適用可能であり、尚且つ本発明に係る管渠構造は、管渠の管口への浸入水を防止する管渠構造を形成できることから、管口への浸入水を防止するための管渠や既設管渠の更生に用いられる管渠構造として最適な管渠構造を提供できる。
【符号の説明】
【0046】
1 人孔
2 管渠
2a 第1管渠
2b 第2管渠
3 接続管
4 ジョイント部材
5 止水シート
6 水膨潤ゴム
H1 第1孔部、第1管口
H2 第2孔部、第2管口
L 所定距離
【要約】
【課題】
人孔と管渠の管口と、当該管渠を連結する連結部材の間に生じる隙間によって、管口への浸入水が防止できないという技術的課題を解決するためになされたものであり、高い止水性及び耐久性を兼ね備えた管渠のための管渠構造を提供すること。
【解決手段】
地中に敷設された管渠の任意の位置に有底の略円筒状を呈した人孔が設けられ、この所定距離を隔てて設けられる第1孔部及び第2孔部の第1及び第2管渠の管口との接続部位からの水の浸入を防止するための管渠構造であって、当該管渠構造は、前記第1管渠の管口と前記第2管渠の管口に接続された接続管と、前記第1及び第2管渠の少なくとも前記接続部位を被覆する水膨潤性止水手段と、前記水膨潤性止水手段を被覆する止水シートと、該止水シートに被覆された前記管口の接続部位と前記接続管を固定するジョイント部材と、を設けてなることを特徴とする管渠構造を備えている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3