(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】生成装置、生成方法および生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 15/50 20110101AFI20230809BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230809BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20230809BHJP
【FI】
G06T15/50
F21S2/00 490
G06T19/00 A
(21)【出願番号】P 2019094762
(22)【出願日】2019-05-20
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2018145282
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 洋邦
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 克典
(72)【発明者】
【氏名】西 かおり
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-192069(JP,A)
【文献】特表2006-506745(JP,A)
【文献】特開2005-149027(JP,A)
【文献】特開2016-078715(JP,A)
【文献】特開昭62-229381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/50
F21S 2/00
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想視点
に対して照明装置が有する光源よりも遠い位置に前記光源の光を反射する反射面を設定する設定部と;
前記設定部によって設定された前記反射面による反射光を前記光源の発光面として表示する仮想画像を生成する生成部と;
を具備することを特徴とする生成装置。
【請求項2】
前記生成部は、
前記反射面、前記光源を非表示とした前記仮想画像を生成すること
を特徴とする請求項
1に記載の生成装置。
【請求項3】
前記生成部は、
前記反射面若しくは前記光源に対する角度に応じた輝度を前記発光面に設定した前記仮想画像を生成すること
を特徴とする請求項
1または
2に記載の生成装置。
【請求項4】
前記設定部は、
前記反射面を前記光源よりも大きく設定すること
を特徴とする請求項1~
3のいずれか1つに記載の生成装置。
【請求項5】
前記生成部は、
前記発光面の輝度分布、色分布および分光分布のうち、少なくとも1つの分布を変化させた前記仮想画像を生成すること
を特徴とする請求項1~
4のいずれか1つに記載の生成装置。
【請求項6】
仮想視点に対して照明装置が有する光源よりも遠い位置に前記光源の光を反射する反射面を設定する設定部と;
前記設定部によって設定された前記反射面による反射光を前記光源の発光面として表示する仮想画像を生成する生成部と;
を具備し、
前記生成部は、
前記反射面および前記光源によって前記発光面の一部を描出し、描出した前記発光面の一部に基づいて残りの部分を複製して前記発光面全体を表示すること
を特徴とす
る生成装置。
【請求項7】
前記生成部は、
前記発光面全体に設定された前記反射面および前記光源のうち、前記発光面の一部に対応する前記反射面および前記光源から当該発光面の一部を描出し、描出した前記発光面の一部に基づいて残りの部分を複製して前記発光面全体を表示すること
を特徴とする請求項
6に記載の生成装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する生成方法であって、
仮想視点
に対して照明装置が有する光源よりも遠い位置に前記光源の光を反射する反射面を設定する設定工程と;
前記設定工程によって設定された前記反射面による反射光を前記光源の発光面として表示する仮想画像を生成する生成工程と;
を含むことを特徴とする生成方法。
【請求項9】
仮想視点
に対して照明装置が有する光源よりも遠い位置に前記光源の光を反射する反射面を設定する設定手順と;
前記設定手順によって設定された前記反射面による反射光を前記光源の発光面として表示する仮想画像を生成する生成手順と;
をコンピュータに実行させることを特徴とする生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、生成装置、生成方法および生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光の眩しさを評価するために、照明環境を仮想的に示した仮想画像を表示する技術がある。この種の仮想画像では、照明装置の輝度情報に基づいて被照射物の明暗等の照明効果を表現する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した技術では、照明装置によって照らされる物体の照明効果を対象としており、照明装置の発光面を表示することについては考慮されていなかった。このため、発光面が表示されていない仮想画像は、照明環境としてのリアリティに欠けるおそれがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、よりリアリティのある照明環境を提供することができる生成装置、生成方法および生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る生成装置は、設定部と、生成部とを具備する。前記設定部は、仮想視点に対して照明装置が有する光源よりも遠い位置に前記光源の光を反射する反射面を設定する。前記生成部は、前記設定部によって設定された前記反射面による反射光を前記光源の発光面として表示する仮想画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る仮想画像の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る生成方法の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る表示システムの構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る生成装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、変形例に係る発光面の設定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下で説明する実施形態に係る生成装置1は、設定部31と、生成部32とを具備する。設定部31は、照明装置が有する光源と仮想視点との位置関係に応じた位置に光源の光を反射する反射面を設定する。生成部32は、設定部31によって設定された反射面による反射光を光源の発光面として表示する仮想画像を生成する。
【0009】
以下で説明する実施形態に係る設定部31は、仮想視点に対して光源よりも遠い位置に反射面を設定する。
【0010】
以下で説明する実施形態に係る生成部32は、光源を非表示とした仮想画像を生成する。
【0011】
以下で説明する実施形態に係る生成部32は、前記反射面若しくは前記光源に対する角度に応じた輝度を前記発光面に設定した仮想画像を生成する。
【0012】
以下で説明する実施形態に係る設定部31は、反射面を光源よりも大きく設定する。
【0013】
以下で説明する実施形態に係る生成部32は、発光面の輝度分布、色分布および分光分布のうち、少なくとも1つの分布を変化させた仮想画像を生成する。
【0014】
(実施形態)
まず、
図1および
図2を用いて、実施形態に係る生成方法の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る仮想画像の一例を示す図である。
図2は、実施形態に係る生成方法の概要を示す図である。
図1に示す例では、生成装置1(
図3参照)によって生成された仮想画像IM11が、表示装置10の表示部11に表示された場合を示している。
図1では、タブレット型の表示装置10を示しているが、表示装置10は、ノートパソコンやモバイルパソコン、スマートフォン、ヘッドマウントディスプレイ、大型スクリーン等の種々の表示デバイスであってもよい。
【0015】
より具体的な例を挙げると、例えば、表示装置10は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。なお、表示装置10は、単一の画面により構成される表示装置であってもよく、複数の画面により構成される表示装置であってもよい。例えば、表示装置10は、複数の液晶ディスプレイを並べることで大型の画面を再現した表示装置であってもよく、例えば、右目用のディスプレイと左目用のディスプレイとを個別に有し、利用者に対して立体的な仮想空間の画像を提供可能な装置であってもよい。また、表示装置10は、例えば裸眼で立体視が可能な立体ディスプレイであってもよい。また、表示装置10は、画像として、静止画像のみならず、動画像を提供してもよく、3次元画像を提供してもよい。すなわち、以下の説明における「画像」とは、静止画像のみならず、動画像や3次元画像等、利用者が視認可能な物であれば、任意のコンテンツが採用可能である。
【0016】
仮想画像IM11は、照明環境等の所定の環境を仮想的に示した画像であり、いわゆる拡張現実(AR:Augmented Reality)や仮想現実(VR:Virtual Reality)等の仮想空間を表現した画像である。具体的には、拡張現実としての仮想画像IM11は、観察者が、現実に設置された照明装置ILを映したカメラ画像に仮想的な発光面を示す画像を重畳させた仮想画像である。また、仮想現実としての仮想画像IM11は、観察者の表示装置10に対する所定の操作に応じて、所定のアプリケーションが起動されることにより、仮想的な照明装置ILの画像と、仮想的な発光面の画像とを再現した仮想画像である。
【0017】
図1に示す仮想画像IM11では、照明装置IL11,IL12(以下、単に照明装置ILと記載する場合がある)と、照明装置IL11,IL12によって照らさせた屋外競技場とを含む照明環境を示している。なお、
図1では、照明装置IL11は、光源が点灯した照明状態を示しており、照明装置IL12は、光源が点灯していない照明状態を示している。
【0018】
また、
図1の仮想画像IM11では、屋外競技場を一例としたが、屋内競技場であってもよく、あるいは、オフィスや、店舗、道路・トンネル、倉庫、動植物園、美術館、博物館等といった照明装置が設置される場所や特定の地点であってもよい。また、競技は、球技(例えば、野球、テニス、ソフトテニス、ソフトボール、卓球、バドミントン、サッカー、バスケットボール、バレーボール、ラグビー、アメフト、ゴルフ、水球、ハンドボール、ホッケー等)や、陸上競技、体操競技、水泳競技、ボート競技等といった任意の競技であってもよい。また、仮想画像IM11が屋外を示す場合、照明装置IL(後述の発光面)の輝度は、天候や、時刻、緯度経度に応じて変化させてもよい。
【0019】
また、
図1に示す仮想画像IM11では、照明装置IL11,IL12が有する光源の発光面LF11,LF12(以下、単に発光面と記載する場合がある)が再現されている。具体的には、発光面LF11は、光源が点灯した照明状態を示し、発光面LF12は、光源が点灯していない照明状態を示している。
【0020】
ここで、従来の仮想画像について説明する。従来の仮想画像は、照明装置の輝度情報に基づいて被照射物の明暗等の照明効果を表現する、つまり、照明装置によって照らされる物体の照明効果を対象としており、照明装置の発光面を表示することについては考慮されていなかった。このため、発光面が表示されていない仮想画像は、照明環境としてのリアリティに欠けるおそれがあった。
【0021】
そこで、実施形態に係る生成装置1は、コンピュータグラフィックの処理によって、発光面が可視化された仮想画像IM11を生成する。
図2には、実施形態に係る生成方法の概要を示している。
【0022】
図2では、コンピュータグラフィックによって発光面を可視化する処理を模式的に示している。また、
図2では、仮想画像IM11における仮想視点VPを示している。つまり、表示装置10を視認する観察者は、仮想視点VPから発光面(あるいは仮想画像IM11)を見ることとなる。なお、仮想視点VPは、人の視点を想定したものに限定されず、例えば、ドローン等の小型飛行装置である移動体や、静止物体から見える視点を想定してもよい。また、
図2には、コンピュータグラフィックにより設定される光源50と、光源50の光を反射する反射面61を有したオブジェクト60とを示している。これら光源50やオブジェクト60は、照明装置ILの構造に関する3次元データに基づき設定される。すなわち、観察者は、仮想空間における光源50そのものではなく、仮想空間におけるオブジェクト60の反射面61や、反射面61により反射した光を疑似的な光源50の発光面として見ることとなる。
【0023】
実施形態に係る生成方法では、まず、照明装置ILが有する光源50と仮想視点VPとの位置関係に応じた位置に反射面61を設定する(ステップS1)。そして、実施形態に係る生成方法では、設定した反射面61による反射光(
図2の破線矢印)を光源50の発光面として表示する仮想画像IM11を生成する(ステップS2)。例えば、反射面61の反射率は100%に設定される。
【0024】
つまり、実施形態に係る生成方法では、反射面61による反射光を光源50の発光面として代替表示させる。これにより、仮想画像IM11を見る観察者に対して発光面を表示することができる。従って、実施形態に係る生成方法によれば、光源50の発光面が仮想的に表示された仮想画像IM11を生成することで、よりリアリティのある照明環境を提供することができる。
【0025】
なお、実施形態に係る生成方法では、仮想画像に表示される発光面に所定のエフェクトを設定して発光面の見え方に動きを付けてもよい。ここで、エフェクトとは、レンダリング後の画像に対して適用されるエフェクトのみならず、レンダリング前にレンダリング対象となるオブジェクト等に対して適用されるエフェクトであってもよい。例えば、エフェクトとは、レンズフレア等、レンダリング後の画像に対して適用されるものだけではなく、光源50やオブジェクト60の形状を変化させるといったレンダリング前に適用されるものを含む概念である。かかる動きの設定については後述する。
【0026】
次に、
図3を用いて、実施形態に係る生成装置1を含む表示システムSについて説明する。
図3は、実施形態に係る表示システムSの構成例を示す図である。
図3に示すように、実施形態に係る表示システムSは、生成装置1と、表示装置10とを具備する。例えば、生成装置1は、所定のネットワークNを介して表示装置10と通信可能に接続される。表示システムSには、複数台の表示装置10や、複数台の生成装置1が含まれてもよい。なお、生成装置1と表示装置10とは一体であってもよい。例えば、生成装置1は、表示装置10の機能を有してもよい。この場合、生成装置1は、表示装置10の表示部11と同様の構成を有してもよい。
【0027】
また、表示システムSは、表示装置10内に仮想的な照明環境の空間を実現するために必要なデータ(以下、「光環境情報」と記載する場合がある)を有し、仮想的な照明環境を表示装置10内で実現できるように構成されるものとする。ここでいう光環境情報には、例えば、照明装置ILの発光面の種々の光情報が含まれる。例えば、光環境情報には、照明装置ILの発光面の輝度、光度、配光、光束発散度、色度、演色性等の種々の情報が含まれる。また、例えば、光環境情報には、照明装置ILの発光面の相対・絶対分光分布から計算される情報全体のうち、少なくもいずれか1つに関する情報や照明装置ILの構造に関するデータ(3次元CAD(Computer-Aided Design)データなど)の種々の情報が含まれる。また、例えば、光環境情報には、照明装置ILが設置された建物(例えば、屋外競技場)の設備や施設の構造に関するデータ(3次元CADデータなど)等の情報が含まれる。なお、この光環境情報は、表示装置10または生成装置1のいずれかに記憶されてもよく、あるいは、他の外部装置に記憶されてもよい。
【0028】
表示装置10は、表示部11を有する。表示部11は、例えば、液晶ディスプレイ等であり、各種情報を表示する。例えば、表示部11は、仮想画像IM11を含む画像情報を表示する。例えば、表示部11は、数百~数千cd/m2程度の輝度を再現可能である。
【0029】
次に、生成装置1の構成について説明する。生成装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4とを有する。なお、生成装置1は、生成装置1の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0030】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)によって実現される。通信部2は、ネットワークNと有線または無線で接続される。そして、通信部2は、ネットワークNを介して、表示装置10等との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部2は、表示装置10との間で画像情報の通信を行う。
【0031】
ここで、生成装置1は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ(HDD)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0032】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部3の設定部31および生成部32として機能する。
【0033】
また、制御部3の設定部31および生成部32の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0034】
また、記憶部4は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、生成装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0035】
生成装置1の制御部3は、例えば、3次元画像処理技術や描画技術等の技術を適宜用いて、仮想画像IM11等を生成する。例えば、制御部3は、レンダリングに関する種々の技術を適宜用いて、仮想画像IM11等を生成してもよい。例えば、制御部3は、種々の視覚効果に関する技術を用いて、仮想画像IM11等を生成してもよい。例えば、制御部3は、レンズフレア等の現象に対応する描画を行うことにより、観察者に眩しさの印象を与える仮想画像IM11等を生成してもよい。
【0036】
設定部31は、照明装置ILが有する光源50と仮想視点VPとの位置関係に応じた位置に光源50の光を反射する反射面61(オブジェクト60)を設定する。例えば、設定部31は、反射面61から光源50までの距離や、反射面61から仮想視点VPまでの距離、反射面61の大きさ等を設定するが、かかる点については、
図4で後述する。
【0037】
また、設定部31は、反射面61の反射率を設定する。反射率は、例えば、100%であることが好ましい。なお、設定部31は、オブジェクト60若しくは光源50と、仮想視点VPとの角度に応じた配光を再現するように、反射率の設定を行ってもよい。すなわち、設定部31は、発光面の輝度分布、色分布および分光分布のうち、少なくとも1つの分布を変化するように反射率を設定してもよいが、かかる点については、
図8および
図9で後述する。
【0038】
生成部32は、設定部31によって設定された反射面61による反射光を光源50の発光面として表示する仮想画像IM11を生成する。例えば、生成部32は、反射光に所定のエフェクトを設定して発光面に動きを付けた仮想画像IM11を生成する。エフェクトとしては、例えば、配光角により輝度が変化するエフェクトや、時間(昼や、夜等)により輝度が変化すエフェクト、仮想視点VPの位置に応じて発光面を瞬かせるエフェクト、レンズフレアを発生させるエフェクト等あるが、これらのエフェクトについては、
図5で後述する。また、生成部32は、エフェクトとして、発光面の形状が変化するように、反射面の形状や光源の形状を変化させるエフェクト、若しくは、反射面61による反射光により構成される発光面の形状を変化させるエフェクトを設定してもよい。
【0039】
次に、
図4~
図9を用いて、設定部31および生成部32を具備する制御部3の処理内容を具体的に説明する。
図4~
図9は、制御部3の処理内容を示す図である。
【0040】
図4および
図5に示すように、制御部3の設定部31は、反射面61から光源50までの距離D、反射面61から仮想視点VPまでの距離Lおよび反射面61の法線NVに対する仮想視点VPの角度θを設定する。なお、
図4では、角度θがゼロ度であることとする。
【0041】
図4および
図5に示すように、設定部31は、反射面61から光源50までの距離Dよりも反射面61から仮想視点VPまでの距離Lのほうが長くなるようにする。つまり、設定部31は、仮想視点VPに対して光源50よりも遠い位置に反射面61を設定する。これにより、仮想視点VPからは反射面61で反射した反射光のみを見せることができる。
【0042】
また、
図4および
図5に示すように、設定部31は、反射面61を光源50よりも大きく設定する。具体的には、設定部31は、反射面61の面積を光源50の面積(反射面61と対向する面)よりも広くする。これにより、光源50の全体形状を反射面61に映すことができるとともに、後述の角度θがゼロ度ではない場合(例えば、30度等)に光源50が見切れることを防止できる。また、設定部31は、反射面61の形状と光源50の形状とが略同じであることが好ましい。これにより、よりリアリティのある光源50を再現することができる。なお、反射面61が光源50よりも大きい際にVRやAR上での見え方に異変があれば、反射面61よりも光源50を大きくすることも可能である。つまり、設定部31は、反射面61を光源50よりも大きく設定することで、仮想画像IM11における発光面の形状等の表示態様が異常となる場合には、反射面61よりも光源50を大きくしてもよい。
【0043】
また、
図4に示すように、生成部32は、光源50を非表示とした仮想画像IM11を生成する。例えば、生成部32は、光源50の透過率100%(反射率0%)とし、反射光が光源50を透過するようにする。これにより、発光面に光源50の影が映ることを防止することができ、反射面61、光源50および仮想視点VPが直線上に重なる場合、若しくは、仮想視点VPが直線上からずれているが、視野内に光源50が含まれる場合等に、光源50の影が映ることを防止することができる。
【0044】
また、
図5に示すように、生成部32は、角度θがゼロ度ではない場合、すなわち、反射面61、光源50および仮想視点VPが重ならない場合、上記した直線上に重なる場合に比べて、発光面の輝度を低くした仮想画像IM11を生成する。
【0045】
つまり、生成部32は、
図4に示す角度θがゼロ度の場合、発光面の輝度が最も高くなり、角度θが大きくなる(時計回りまたは反時計回り)に従い、輝度が低くなるように反射光にエフェクトをかける。これは、照明装置ILがなみだ型の配光特性であることを考慮した配光エフェクトである。
【0046】
このように、仮想視点VPの角度θに応じて輝度を変化させることで、所定の配光特性を考慮した発光面を表示できるため、観察者に対してよりリアリティのある照明環境を提供できる。
【0047】
なお、生成部32は、角度θがゼロ度の場合に発光面の輝度が最も高くなるようにしたが、例えば、角度θがゼロ度以外の特定の角度である場合に輝度が最も高くなるようにしてもよい。
【0048】
また、生成部32の配光エフェクトは、なみだ型の配光特性に基づくものに限定されず、例えば、所定の角度θ(ゼロ度以外の角度)の場合に輝度が最も高くなるバッドウィング型の配光特性に基づくものであってもよい。すなわち、生成部32は、角度θに応じた配光を再現するように、発光面を含む仮想画像を生成してもよい。例えば、生成部32は、発光面の輝度が角度θに応じた輝度となるように、反射面61の反射率を変更してもよく、光源50が反射面に対して出力する光の輝度を変更してもよい。また、生成部32は、反射面61の法線NVに対する仮想視点VPの角度θではなく、例えば、光源50の法線に対する仮想支店VPの角度に応じて、発光面の輝度を設定してもよい。
【0049】
また、生成部32は、配光エフェクト以外のエフェクトとして、角度θがゼロ度のみの場合に発生するレンズフレアのエフェクトを設定してもよい。また、生成部32は、角度θが大きくなるに従い、発光面の外縁領域を瞬かせるエフェクトを設定してもよい。
【0050】
さらに、生成部32は、上記したエフェクトに加えて、照明環境の時間に伴うエフェクトを設定してもよい。例えば、生成部32は、日中の明るい時間には反射光の輝度を全体的に低下させ、夜の暗い時間には反射光の輝度を全体的に高くさせてもよい。
【0051】
また、生成部32は、表示装置10がヘッドマウントディスプレイである場合、光の残像を発生させるエフェクトを設定してもよい。具体的には、生成部32は、仮想視点VPの位置が変更された場合、表示部11の中心付近に発光面の形状に類似した残像光を発生させる。かかる残像光は、発光面の補色である。あるいは、残像光の色は、発光面の輝度に応じて変化させてもよい。
【0052】
また、上述では、生成部32が反射光にエフェクトをかける場合について説明したが、例えば、設定部31によって反射面61にエフェクトの機能を付与し、反射面61の反射時に光にエフェクトがかかるようにしてもよい。
【0053】
あるいは、生成部32によるエフェクトは、反射光のみならず、仮想画像IM11の背景や、被照射物(
図1に示すスタジアム)に適用されてもよい。例えば、仮想画像IM11の背景にエフェクトを設定する場合、照明装置ILの光の強度が強く、一方で、背景の光の強度が弱い場合、背景を見えづらくするエフェクトを設定する。具体的には、背景である夜空に星を設定した場合に、照明装置ILまでの距離が近い星や、照明装置ILの配光範囲のうち、光の強度が所定の閾値以上となる配光範囲に位置する星については、見えづらくしたエフェクトを設定する。一方で、照明装置ILまでの距離が遠い星や、照明装置ILの配光範囲のうち、光の強度が所定の閾値未満となる配光範囲に位置する星については、星の光の強度を強くするエフェクトを設定してもよい。また、生成部32は、輝度そのものやオブジェクトそのものの設定(例えば、形状、輝度、透明度、テクスチャ等)を変更するエフェクトを設定してもよい。
【0054】
また、生成部32は、上記したように、反射光や背景、被照射物にエフェクトを設定した後に仮想画像IM11を生成する場合に限定されず、例えば、仮想画像IM11を生成した後(つまり、レンダリング結果となる画像)に、仮想画像IM11に上記したエフェクトを設定してもよい。
【0055】
次に、
図6では、地面に光を照射する場合について説明する。設定部31は、地面に光を照射した仮想画像IMを生成する場合、仮想視点VPに対して反射面61よりも近い位置に光源50aを配置するとともに、反射面61よりも遠い位置に光源50bを配置する。そして、光源50aおよび光源50bについて反射面61までの距離Dを同じする。つまり、光源50aとは逆方向に向かせた光源50bを配置する。このような配置にすることによって、光源50aの位置に配置したときと同じ光の広がり方で光を照射することができる。
【0056】
また、設定部31は、
図7に示すように、反射面61に対して光源50とは逆側には、光源50の光の情報が反映されない暗領域DRを設定する。これにより、コンピュータグラフィックのソフトウェアの処理によって、オブジェクト60が遮蔽物として誤認識されることを防止することができる。
【0057】
次に、
図8および
図9を用いて、反射面61について具体的に説明する。
図8には、反射面61を正面(光源50)から見た正面図を示している。また、
図9は、
図8の反射面61による反射光、すなわち発光面の形状と、径方向の輝度分布とを示している。
図8に示すように、反射面61は、例えば、円形状である。つまり、反射面61と同じ形状である光源50も同様に円形状である。
【0058】
図8に示すように、設定部31は、例えば、反射面61の領域を反射率が高い領域と、反射率が低い領域とに分けて設定する。具体的には、設定部31は、反射面61の中心が外縁よりも反射率を高くする。
【0059】
これにより、
図9に示すように、発光面は、中央の輝度が高い領域と、外縁の輝度が徐々に減少していく領域とにより構成される。つまり、
図8のように部分的に反射率を変えることで、よりリアリティのある照明環境を提供できる。
【0060】
なお、
図8および
図9では、反射面61の中心が外縁よりも反射率を高くなるようにしたが、逆に、外縁が中心よりも反射率が高くなるようにしてもよい。つまり、照明装置ILの照明特性に応じて任意の反射率が設定されてもよい。
【0061】
あるいは、円形である反射面61のうち、半月状に2分割した一方の半月の反射率を高くし、他方の半月の反射率を低くしてもよい。つまり、必要となる発光面の特性に応じて反射面61における任意の位置や、面積、形状で反射率を変化させてよい。
【0062】
また、
図9では、発光面の中央の輝度分布は一様(直線)になるようにしたが、例えば、中央の輝度分布が連続的に変化する(波形状)ようにしてもよい。
【0063】
また、
図8では、反射面61の反射率を変化させたが、例えば、反射面61の表面のテクスチャを変化させてもよい。例えば、設定部31は、反射面61の表面に微細な凹凸を有するテクスチャを設定してもよい。
【0064】
つまり、反射面61に設定された微細な凹凸は、プリズムとして機能するため、発光面の配光を拡散光に基づくもの変化させたり、スポット光(集光させた光)に基づくものに変化させたりできるため、発光面の配光特性を自在に変化させることができる。
【0065】
なお、
図9では、発光面の輝度分布を変化させる場合を示したが、例えば、発光面の色分布や分光分布等の他の分布を変化させてもよい。このように、発光面の分布を変化させることで、よりリアリティのある照明環境を提供することができる。
【0066】
また、
図8では、発光面が真円形である場合を示したが、発光面の形状は、楕円形や多角形等の他の形状であってもよい。
【0067】
次に、
図10を用いて、実施形態に係る生成装置1が実行する処理の手順について説明する。
図10は、実施形態に係る生成装置1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【0068】
図10に示すように、設定部31は、仮想視点VPと、光源50とを設定する(ステップS101)。つづいて、設定部31は、光源50と仮想視点VPとの位置関係に応じた位置に光源50の光を反射する反射面61を設定する(ステップS102)。
【0069】
続いて、生成部32は、角度θに応じて発光面の輝度を設定する(ステップS103)。そして、生成部32は、光源50を非表示の対象とした状態で(ステップS104)、仮想画像の生成を行う(ステップS106)。
【0070】
上述したように、実施形態に係る生成装置1は、設定部31と、生成部32とを具備する。設定部31は、照明装置ILが有する光源50と仮想視点VPとの位置関係に応じた位置に光源50の光を反射する反射面61を設定する。生成部32は、設定部31によって設定された反射面61による反射光を光源50の発光面として表示する仮想画像IM11を生成する。これにより、よりリアリティのある照明環境を提供することができる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、1つの光源50と1つの反射面61とを設定する場合を示したが、例えば、複数の光源50の光を1つの反射面61が反射してもよく、1つの光源50を複数の反射面61が反射してもよい。
【0072】
あるいは、複数の光源50それぞれに反射面61を1つずつ設定してもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、仮想視点VPから見た画像を生成する処理について記載した。ここで、生成装置1は、複数の仮想支店VPから見た画像を生成してもよい。例えば、生成装置1は、左目と対応する位置の仮想視点、および、右目と対応する位置の仮想視点のそれぞれについて、静止画像や動画像を生成してもよい。例えば、生成装置1は、配光を考慮することにより、左目用の画像と右目用の画像とで異なる輝度の発光面を含む画像を生成してもよい。このような視点をずらした画像は、ヘッドマウントディスプレイ等において立体的な画像を提供するために用いることができる。
【0074】
また、上述した実施形態では、光源50および反射面61によって1つの発光面を表現する場合を示したが、例えば、発光面の一部をミラーコピーして1つの発光面を表現してもよい。かかる点について、
図11を用いて説明する。
【0075】
図11は、変形例に係る発光面の設定方法を示す図である。生成装置1は、光源50および反射面61によって発光面の一部を描出し、描出した発光面の一部に基づいて残りの部分を複製して発光面全体を表示する。
【0076】
例えば、
図11に示す例において、生成部32は、まず、モデリング時に、発光面全体を表示可能となるように光源50および反射面61を設定しておく。そして、生成部32は、レンダリング時に、モデリング時に設定した発光面全体のうち、左側の半円分の発光面のみをレンダリングする。つづいて、生成部32は、レンダリングした左側の半円分の発光面をミラーコピーして、右側の半円分の発光面を生成する。そして、生成部32は、レンダリングした左側の半円分の発光面と、ミラーコピーした右側の半円分の発光面とを合成することで、円状の発光面全体を生成する。つまり、生成部32は、発光面全体に設定された反射面61および光源50のうち、発光面の一部に対応する反射面61および光源50から当該発光面の一部を描出し、描出した発光面の一部に基づいて残りの部分を複製して発光面全体を表示する。これにより、円状の発光面全体をレンダリングする場合に比べて、レンダリング処理を半分にできる。すなわち、右側の半円分の発光面については、レンダリング処理を行う必要がない。したがって、変形例に係る生成装置1によれば、発光面を表示するための処理負荷を軽減できる。
【0077】
なお、生成部32は、モデリング時に、発光面全体を表示可能となるように光源50および反射面61を設定する場合に限らず、半円分の発光面のみを表示可能となるように光源50および反射面61を設定してもよい。かかる場合、生成部32は、モデリング時に設定した光源50および反射面61によって左側の半円分の発光面をレンダリングし、描出した左側の半円分の発光面をミラーコピーすることで、右側の半円分の発光面を生成する。そして、生成部32は、左側の半円分の発光面と、右側の半円分の発光面とを合成することで、円状の発光面全体を表示する。これにより、モデリング時における生成部32の処理負荷を軽減できる。
【0078】
なお、
図11では、半円分の発光面をコピー元としてミラーコピーする場合を示したが、コピー元となる発光面は、例えば、4分の1や6分の1の発光面であってもよく、3等分以上に分割されたうちの1つの扇形の発光面であってもよい。
【0079】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1 生成装置
2 通信部
3 制御部
4 記憶部
10 表示装置
11 表示部
31 設定部
32 生成部
50 光源
60 オブジェクト
61 反射面
IL 照明装置
IM11 仮想画像
S 表示システム