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特許7328653患者の頭部の画像誘導ナビゲーションを含む手術ナビゲーションのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】患者の頭部の画像誘導ナビゲーションを含む手術ナビゲーションのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 46/10 20160101AFI20230809BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20230809BHJP
   A61B 50/00 20160101ALI20230809BHJP
【FI】
A61B46/10
A61B34/20
A61B50/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019513888
(86)(22)【出願日】2017-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 IB2017055400
(87)【国際公開番号】W WO2018047096
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-09-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】62/384,410
(32)【優先日】2016-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516108258
【氏名又は名称】インテリジョイント サージカル インク.
(73)【特許権者】
【識別番号】519081466
【氏名又は名称】ラディオ・アンドレ・ノヴォミール
(73)【特許権者】
【識別番号】519081477
【氏名又は名称】ファンソン・リチャード・タイラール
(73)【特許権者】
【識別番号】519081488
【氏名又は名称】リテルスキー・エリック・ジェイ
(73)【特許権者】
【識別番号】519081499
【氏名又は名称】フェラビー・ローワン
【住所又は居所原語表記】604-188 Spadina Ave, Toronto, Ontario M5T3A4, CANADA
(73)【特許権者】
【識別番号】519081503
【氏名又は名称】ナルシソ・ラファ
【住所又は居所原語表記】41105 Tantalus Road, Squamish, British Columbia V8B 0N3, CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】ラディオ・アンドレ・ノヴォミール
(72)【発明者】
【氏名】ファンソン・リチャード・タイラール
(72)【発明者】
【氏名】リテルスキー・エリック・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フェラビー・ローワン
(72)【発明者】
【氏名】ナルシソ・ラファ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】井上 哲男
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-50887(JP,A)
【文献】米国特許第5662111(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲート式の医療処置を実施するシステムであって、
記録媒体を含む情報処理装置と、
患者の解剖学的構造に固定されるクランプと、
そのクランプに固定されるトラッカーと、
前記情報処理装置に接続されるカメラであって、前記トラッカーの姿勢を捕捉するカメラとを備え、
前記記録媒体に記憶される命令が前記情報処理装置で実行されると、前記情報処理装置を、
前記患者の解剖学的構造と第1の位置関係を有する前記カメラ、及び、前記解剖学的構造と第2の位置関係を有する前記トラッカーの間の第1の姿勢を捕捉し、
捕捉された第1の姿勢に基づき、前記解剖学的構造と前記第1の位置関係を有する前記カメラの座標との位置合わせである第1の位置合わせを実行し、
前記第1の位置関係から動かした後の前記カメラであって前記解剖学的構造と第3の位置関係を有する前記カメラ、及び、前記第2の位置関係を有する前記トラッカーの間の第2の姿勢を捕捉し、
前記第1の位置合わせの実行結果、並びに、捕捉された第1の姿勢および第2の姿勢に基づき、前記解剖学的構造と前記第3の位置関係を有する前記カメラの座標との位置合わせである第2の位置合わせを実行するように構成することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記カメラを前記第1の位置関係で保持し、更に前記カメラが前記第3の位置関係へと移動できるように位置調節可能であるように構成されたカメラ取付アームを備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記トラッカーが前記第2の位置関係を有するように取り付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記トラッカーを前記第2の位置関係で保持するトラッカー取付アームを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記命令は、前記カメラから受信した前記第1の姿勢の姿勢データと前記解剖学的構造の医用画像とに基づ、前記医用画像における前記解剖学的構造と前記第1の位置関係を有する前記カメラの座標系との位置合わせを実行するように、前記情報処理装置を動作させるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記命令は、前記カメラを移動させるか又は姿勢を捕捉するかの少なくとも1つ機能を実行するようにユーザに指示する、図形による指示を表示装置に提供するように、前記情報処理装置を動作させるものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記命令は、前記第1の姿勢を捕捉した後であって前記第2の姿勢を捕捉する前に、前記カメラの作業範囲と手術部位との位置合わせを表す図形による指示を表示装置に提供するように、前記情報処理装置を動作させるものであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
者の解剖学的構造と第1の位置関係を有するカメラ、及び、前記解剖学的構造と第2の位置関係を有するトラッカーであって前記解剖学的構造に固定されるクランプに固定されるトラッカーの間の第1の姿勢を情報処理装置が捕捉するステップと、
捕捉された第1の姿勢に基づき、前記解剖学的構造と前記第1の位置関係を有する前記カメラの座標との位置合わせである第1の位置合わせを前記情報処理装置が実行するステップと、
前記第1の位置関係から動かした後の前記カメラであって前記解剖学的構造と第3の位置関係を有する前記カメラ、及び、前記第2の位置関係を有する前記トラッカーの間の第2の姿勢を前記情報処理装置が捕捉するステップと、
前記第1の位置合わせの実行結果、並びに、捕捉された第1の姿勢および第2の姿勢に基づき、前記解剖学的構造と前記第3の位置関係を有する前記カメラの座標との位置合わせである第2の位置合わせを前記情報処理装置が実行するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記カメラから受信した前記第1の姿勢の姿勢データと前記解剖学的構造の医用画像とに基づ、前記医用画像における前記解剖学的構造と前記第1の位置関係を有する前記カメラの座標系との位置合わせを実行するステップを含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記カメラを移動させるか又は姿勢を捕捉するかの少なくとも1つ機能を実行するようにユーザに指示する、図形による指示を、前記情報処理装置が表示装置に提供するステップを更に含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の姿勢を捕捉した後であって前記第2の姿勢を捕捉する前に、前記カメラの作業範囲と手術部位との位置合わせを表す図形による指示を、前記情報処理装置が表示装置に提供するステップを更に含むことを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌および非滅菌手術環境で使用される術中位置推定システムに関し、より詳細には、患者の解剖学的構造に対する機器の姿勢を追跡し、術中位置推定システムのカメラの座標フレームと患者の解剖学的構造との位置合わせを維持したままカメラを元の取付位置から移動させ、術中位置推定システムをドレープで覆って滅菌環境で使用できるようにし、かかる環境で患者の解剖学的構造の医用画像の視覚化像を表示する、システム、方法、およびデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くのタイプの外科手術が、患者の解剖学的構造(例えば、患者の頭部、脊椎、または関節)に対する外科用機器の精密な位置ナビゲーションから利益を得る。例えば、神経外科では、外科的治療は、生検、切除、アブレーションなどを実施するのに、術前画像(例えば、MRI)上で特定された患者の脳内の物理的病変の位置推定を含むことがある。例えば、ENT手術では、機能性内視鏡的副鼻腔手術(FESS)である。別の例は、脳深部刺激療法(DBS)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国仮特許出願第62/384,410号
【文献】米国仮特許出願第62/328,978号
【0004】
滅菌および非滅菌手術環境で患者の解剖学的構造が関与するナビゲート式の外科的処置を実施する、システム、方法、およびデバイスが本明細書に記載される。カメラは、患者の解剖学的構造に対するカメラ座標フレームの、又は任意に患者の解剖学的構造に対するトラッカーの位置合わせを判定するのに使用されても良い。滅菌手術環境で使用できるように、ドレープが適用されても良い。カメラは、カメラ座標フレームと患者の解剖学的構造との位置合わせを維持したまま、患者の解剖学的構造へアクセスできるように、元の位置から移動させられても良い。あるいは、カメラは、手持ち式またはヘッドマウント式で使用されても良い。患者の解剖学的構造の視覚化像は、機器またはカメラの姿勢によって規定される視覚化参照面とともに、コンピューティング装置に表示されても良い。視覚化像は、コンピューティング装置のディスプレイに、又はヘッドマウント式拡張現実システムの一部として提示されても良い。
【0005】
方法が記載され、方法は、非滅菌カメラ取付アームの近位端に患者の解剖学的構造を固定する外科用クランプを着脱可能に連結するステップと、非滅菌カメラ取付アームの遠位端に非滅菌カメラを着脱可能に連結するステップと、コンピューティング装置における非滅菌カメラの座標フレームと患者の解剖学的構造との位置合わせに続いて、患者の解剖学的構造に対する非滅菌カメラの位置を移動させることなく、非滅菌カメラ及び非滅菌カメラ取付アームをカメラドレープで覆うことで、患者の解剖学的構造と非滅菌カメラ及び非滅菌カメラ取付アームとの間に滅菌バリアを設けるステップを含む。
【0006】
カメラドレープは、カメラドレープで覆う前に作成した位置合わせを用いて、カメラドレープで覆った後に非滅菌カメラから受信した姿勢データをコンピューティング装置が使用できるように形成されても良い。
【0007】
非滅菌カメラをカメラドレープで覆うことは、非滅菌カメラをチューブ状のカメラドレープの閉止端で囲むことで実現され、カメラドレープは、非滅菌カメラ取付アームを囲むように延設しても良い。
【0008】
方法は、前記非滅菌カメラの上の適所でカメラドレープを保持する保持メカニズムを備えても良い。保持メカニズムは、非滅菌カメラを機械的に留めるシュラウドで構成され手も良い。
【0009】
方法は、カメラドレープにおける開放端の境界面を患者ドレープに封止することで、連続的な滅菌バリアを維持しても良い。患者ドレープは、前記非滅菌カメラ取付アームが中を通って延在する開口部を備えても良く、境界面が、前記患者ドレープの前記開口部と前記カメラドレープの前記開放端とによって規定されても良い。
【0010】
非滅菌カメラは、ケーブルを介してコンピューティング装置に連結されても良く、カメラドレープはケーブルの一部分を封入する。
【0011】
方法は、非滅菌トラッカーを患者の解剖学的構造に固定して位置合わせを実施することと、ドレーピングに続いて、滅菌トラッカーを患者の解剖学的構造に固定して、第2の位置合わせを実施することなく手術ナビゲーションを実施することとを含んでも良い。非滅菌トラッカー及び滅菌トラッカーが、同じ位置を有する同じトラッカー取付アームに固定されても良い。非滅菌トラッカーの形状と滅菌トラッカーの形状とが異なる場合、非滅菌トラッカー及び滅菌トラッカーそれぞれを使用するときに、これらの形状の違いをコンピューティング装置による姿勢の計算における因子として用いても良い。
【0012】
コンピュータ実装方法が開示され、方法は、コンピューティング装置で、非滅菌カメラの座標フレームと患者の解剖学的構造との位置合わせを実施するステップであって、非滅菌カメラが非滅菌カメラ取付アームの遠位端に着脱可能に連結され、非滅菌カメラ取付アームの近位端が患者の解剖学的構造を固定する外科用クランプに着脱可能に連結され、非滅菌カメラが姿勢データをコンピューティング装置に通信する、ステップと、患者の解剖学的構造に対する非滅菌カメラの位置を移動させることなく、非滅菌カメラ及び非滅菌カメラ取付アームをカメラドレープで覆うことで、患者の解剖学的構造と非滅菌カメラ及び非滅菌カメラ取付アームとの間に滅菌バリアを設けた後、位置合わせを使用して患者の解剖学的構造に対する滅菌機器の姿勢をコンピューティング装置によって計算して、外科的処置中の手術ナビゲーションを提供するステップとを含むカメラドレープは、光学信号を歪みなく非滅菌カメラに送信できるように構成されても良い。
【0013】
位置合わせは、非滅菌機器の姿勢データを使用して実行されても良い。
【0014】
カメラドレープはドレープ光学窓を備えても良く、非滅菌カメラの光学部品との固定された適正な位置合わせで光学窓を保持する保持メカニズムを備えても良い。
【0015】
コンピュータ実装方法は、患者の解剖学的構造に固定された非滅菌トラッカーの非滅菌カメラからの姿勢データを、コンピューティング装置で受信して、位置合わせを実行するステップと、ドレーピングに続いて、患者の解剖学的構造に固定された滅菌トラッカーの非滅菌カメラからの姿勢データを、コンピューティング装置で受信して、第2の位置合わせを実行することなく手術ナビゲーションを提供するステップとを含んでも良い。非滅菌トラッカー及び滅菌トラッカーが、同じ位置を有する同じトラッカー取付アームに固定されても良い。非滅菌トラッカーの形状と前記滅菌トラッカーの形状とが異なる場合、非滅菌トラッカー及び前記滅菌トラッカーそれぞれを使用するときに、これらの形状の違いを因子としてコンピューティング装置による姿勢の計算に入れる。
【0016】
患者の解剖学的構造は頭蓋であっても良い。
【0017】
患者、カメラ取付アーム、及びそれに取り付けられたカメラをドレープで覆って、ナビゲート式の外科的処置を実施するための滅菌バリアを設けるシステムが開示され、カメラドレープは、カメラ取付アーム及びカメラ取付アームの遠位端に取り付けられたカメラを被覆するものであって、該カメラドレープで覆ったときにカメラに隣接する閉止端と前記閉止端の遠位側にある開放端とを備え、カメラドレープを、前記患者を被覆する滅菌患者ドレープに対して封止して、連続的な滅菌バリアを維持する封止メカニズムとを備える。
【0018】
滅菌患者ドレープは、カメラ取付アームの近位端を受け入れる開口部を設けても良い。滅菌カメラドレープの開放端および滅菌患者ドレープの開口部は、封止メカニズムによって実質的に封止される境界面を形成しても良い。
【0019】
封止メカニズムは滅菌弾性バンドを含んでも良く、滅菌弾性バンドは、カメラドレープを開放端またはその付近で、滅菌患者ドレープを開口部またはその付近で係合して、境界面を形成する。
【0020】
滅菌弾性バンドは、開放端またはその付近で滅菌カメラドレープに固定されても良い。
【0021】
封止メカニズムを、滅菌カメラドレープの開放端またはその付近を接着する接着剤で構成しても良い。接着剤が、接着側と滅菌カメラドレープの開放端またはその付近に固定された側とを備える、1つ若しくは複数の円周方向接着リングを含んでよく、1つ若しくは複数の円周方向接着リングの前記接着側が、滅菌患者ドレープを開放端またはその付近で係合して境界面を形成する。
【0022】
滅菌患者ドレープは、閉止端が滅菌患者ドレープの遠位側にあるチューブ状突起と、そのチューブ状突起の閉止端またはその付近にあって、滅菌患者ドレープの非滅菌側にある非滅菌コネクタと滅菌患者ドレープの滅菌側にある滅菌コネクタとを備えるアダプタとを備え、非滅菌コネクタがトラッカー取付アームに付着するように構成され、滅菌コネクタが、滅菌トラッカー又は滅菌トラッカーマウントに付着するように構成される。
【0023】
滅菌患者ドレープは、閉止端が滅菌患者ドレープの遠位側にある閉止端を有するチューブ状突起と、そのチューブ状突起の閉止端は、滅菌トラッカーとトラッカー取付アームとの間で係合されても良く、チューブ状突起の閉止端は、トラッカー取付アームに取り付けられた滅菌トラッカーの位置に著しく影響しないように十分に薄くても良い。
【0024】
コンピュータ実装方法が開示され、方法は、患者の手術の非滅菌段階中に使用される非滅菌トラッカーと、患者の手術の滅菌段階中に非滅菌トラッカーの代わりに使用される滅菌トラッカーとの形状の違いを、コンピューティング装置によって格納するステップと、非滅菌段階中の非滅菌トラッカーに対するカメラの位置合わせをコンピューティング装置によって計算するステップと、非滅菌トラッカーの代わりに滅菌トラッカーが使用され、患者が患者ドレープで覆われている滅菌段階中、姿勢を計算する際に、コンピューティング装置によって格納された位置合わせ及び形状の違いを使用するステップとを含む。
【0025】
コンピュータ実装方法は、更新された位置合わせを計算するステップの前に、患者ドレープが適用される前に取付アームに取り付けられたときの非滅菌トラッカーと、アダプタの形状の特徴に基づいて患者ドレープが適用された後に患者ドレープの滅菌トラッカーアダプタを介して取付アームに取り付けられたときの滅菌トラッカーとの相対位置であって、滅菌トラッカーアダプタの形状の特徴に基づいた相対位置を、コンピューティング装置によって格納するステップと、非滅菌トラッカーの代わりに滅菌トラッカーが使用され、患者が患者ドレープで覆われている滅菌段階中、姿勢を計算する際に、コンピューティング装置によって格納された相対位置を使用するステップとを更に含んでも良い。
【0026】
ナビゲート式の医療処置を実施するシステムが開示され、システムは、記録媒体を含む情報処理装置と、患者の解剖学的構造に固定されるクランプと、そのクランプに固定されるトラッカーと、 情報処理装置に接続されるカメラであって、トラッカーの姿勢を捕捉するカメラとを備え、記録媒体に記憶される命令情報処理装置で実行されると、情報処理装置を、患者の解剖学的構造第1の位置関係を有するカメラ、及び、解剖学的構造と第2の位置関係を有するトラッカーの間の第1の姿勢を捕捉し、捕捉された第1の姿勢に基づき、解剖学的構造第1の位置関係を有するカメラの座標フレームとの位置合わせを実行し、第1の位置関係から動かした後のカメラであって解剖学的構造と第3の位置関係を有するカメラ、及び、第2の位置関係を有するトラッカーの間の第2の姿勢を捕捉し、先に実行された解剖学的構造とカメラの座標フレームとの位置合わせ、並びに、捕捉された第1の姿勢および第2の姿勢に基づ、更新された解剖学的構造とカメラの座標フレームとの位置合わせを実行するように構成する。
【0027】
システムは、カメラを第1の位置関係で保持し、更にカメラが第3の位置関係へと移動できるように位置調節可能であるように更に構成された、カメラ取付アームを備えても良い。
【0028】
システムは、トラッカーが第2の位置関係を有するように取り付けられても良い。
【0029】
システムは、トラッカーを第2の位置関係で保持するトラッカー取付アームを備えても良い。
【0030】
命令は、カメラから受信した第1の姿勢の姿勢データと解剖学的構造の医用画像とに基づいた、カメラと解剖学的構造との位置合わせを計算するように、情報処理装置を構成しても良い。
【0031】
命令は、カメラを移動させるか又は姿勢を捕捉するかの少なくとも1つ機能を実行するようにユーザに指示する、図形による指示を表示装置に提供するように、情報処理装置を構成しても良い。
【0032】
命令は、第1の姿勢を捕捉した後であって第2の姿勢を捕捉する前に、カメラの作業範囲と手術部位との位置合わせを表す図形による指示を表示装置に提供するように、情報処理装置を構成しても良い。
【0033】
コンピュータ実装方法が開示され、方法は、患者の解剖学的構造第1の位置関係を有するカメラ、及び、患者の解剖学的構造と第2の位置関係を有するトラッカーであって解剖学的構造に固定されるクランプに固定されるトラッカーの間の第1の姿勢を情報処理装置が捕捉するステップと、捕捉された第1の姿勢に基づき、解剖学的構造第1の位置関係を有するカメラの座標フレームとの位置合わせを情報処理装置が実行するステップと、第1の位置関係から動かした後のカメラであって解剖学的構造と第3の位置関係を有するカメラ、及び、第2の位置関係を有するトラッカーの間の第2の姿勢を情報処理装置捕捉するステップと、先に実行された解剖学的構造とカメラの座標フレームとの位置合わせ、並びに、捕捉された第1の姿勢および第2の姿勢に基づ、更新された解剖学的構造とカメラの座標フレームとの位置合わせを情報処理装置が実行するステップとを含む。
【0034】
コンピュータ実装方法は、カメラから受信した第1の姿勢の姿勢データと解剖学的構造の医用画像とに基づいて、カメラと解剖学的構造との位置合わせを情報処理装置が実行するステップを更に含んでも良い。
【0035】
コンピュータ実装方法は、カメラを移動させるか又は姿勢を捕捉する機能の少なくとも1つを実施するようにユーザに指示する図形による指示を、情報処理装置表示装置に提供するステップを更に含んでも良い。
【0036】
コンピュータ実装方法は、第1の姿勢を捕捉した後であって第2の姿勢を捕捉する前に、カメラの作業範囲と手術部位との位置合わせを表す図形による指示を、情報処理装置表示装置に提供するステップを更に含んでも良い。
【0037】
患者の解剖学的構造を視覚化するシステムが開示され、システムは、患者の解剖学的構造に対して固定の位置関係を有するトラッカーから、姿勢データを含む光学信号を受信し、光学信号をコンピューティング装置に通信するように構成されたカメラと、命令を格納する記録デバイスとを備え、命令は、コンピューティング装置で実行されると、患者の解剖学的構造の医用画像に基づいた患者の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを、表示装置に提供してユーザに対して表示し、姿勢データを含む光学信号をカメラから受信し、姿勢データ及び位置合わせデータに基づいて、患者の解剖学的構造に対するカメラの姿勢を計算し、カメラ基準の参照面およびカメラの姿勢に基づいてビューを変更するように、コンピューティング装置を構成する。トラッカーは患者に非侵襲的に取り付けられても良い。カメラは手持ち式であっても良く、カメラの移動によってコンピューティング装置がビューを変更しても良い。カメラはヘッドマウント式であっても良く、頭部の移動によってコンピューティング装置がビューを変更しても良い。表示装置はヘッドマウントディスプレイを含んでも良く、ディスプレイに提供されるビューは患者のユーザビュー上に重ね合わされても良い。表示装置は、ユーザが表示装置を通して見ることができるように透明であっても良い。表示装置に提供されるビューは部分的に透明であっても良い。システムは、患者の解剖学的構造上にカメラ基準の参照面に対応する可視パターンを投影するプロジェクタを更に備えても良い。カメラ基準の参照面は、カメラの光学軸に垂直、且つカメラから前記光学軸に沿って正の距離dだけ離れた1の面であって、患者の解剖学的構造の関心範囲がカメラから距離dに位置するときにトラッカーがカメラの視野内にあるような面であっても良い。距離dは変更可能に構成されても良い。
【0038】
コンピュータ実装方法が開示され、方法は、患者の解剖学的構造の医用画像に基づいて、患者の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを、コンピューティング装置によって表示装置に提供してユーザに対して表示するステップと、患者の解剖学的構造に対して固定の位置関係を有するトラッカーの姿勢データを含むカメラからの光学信号を、コンピューティング装置によって受信するステップと、姿勢データ及び位置合わせデータに基づいて、患者の解剖学的構造に対するカメラの姿勢をコンピューティング装置によって計算するステップと、カメラ基準の参照面およびカメラの姿勢に基づいて、コンピューティング装置によってビューを変更するステップとを含む。
【0039】
これら及び他の態様が当業者には明白となるであろう。本明細書の一部の教示は、システム(若しくは装置)又は方法(もしくはシステム)などの1つの態様を参照して記載されることがあるが、等価の態様が適用可能であるように本明細書に含まれることが理解されるであろう。例えば、コンピュータシステムが本明細書で開示される場合、等価のコンピュータ実装方法も含まれ、その逆もまた真である。コンピュータシステムを構成するか、又はコンピュータ実装方法を実施する命令を格納する非一時的媒体を備える、等価のコンピュータプログラム製品も、開示のコンピュータシステム(若しくは情報処理装置)及びコンピュータ実装方法に対して想起される。
【0040】
本明細書に開示する実施形態は、本出願の一部を形成する詳細な説明および対応する図面から、更に十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】ヘッドクランプに取り付けられたカメラ及びプローブに取り付けられたトラッカーを使用するナビゲート式の頭蓋処置で用いられる術中位置推定システムを示す図である。
図2】放射形メカニズムコネクタを備えたヘッドクランプを示す図である。
図3】放射形メカニズムコネクタを備えた取付アームを示す図である。
図4】グースネック形メカニズムを備えた代替の取付アームを示す図である。
図5】カメラがヘッドクランプに取付されているカメラ-ヘッドクランプアセンブリを示す図である。
図6】カメラがカメラ取付アームに取り付けられているカメラ-取付アームアセンブリを示す図である。
図7】カメラ及びトラッカーがヘッドクランプに取り付けられているカメラ-トラッカー-ヘッドクランプアセンブリを示す図である。
図8】トラッカーがヘッドクランプに取り付けられたカメラが別個にカートに取り付けられた、術中位置推定システムを示す図である。
図9】カメラドレープを備えた滅菌ドレープ付き術中位置推定システムを示す図である。
図10】カメラドレープ及び患者ドレープを備えた滅菌ドレープ付き術中位置推定システムを示す図である。
図11】カメラドレープと、患者ドレープと、滅菌バリアを破壊することなく患者ドレープの下で取付アームに取り付けられたトラッカーとを備えた、滅菌ドレープ付き術中位置推定システムを示す図である。
図12】滅菌トラッカー及び非滅菌トラッカーの形状の違いを格納し、患者に対する手術の滅菌段階中に姿勢を計算する際に、カメラ及び非滅菌トラッカーの位置合わせ並びに格納された違いを使用する、コンピュータ実装方法を示す図である。
図13】カメラを第1の姿勢から第2の姿勢へと移動させたとき、トラッカー及び患者の解剖学的構造に対するカメラの姿勢に基づいて、患者の解剖学的構造に対するカメラの位置合わせを更新する、コンピュータ実装方法を示す図である。
図14】患者の解剖学的構造の視覚化医用画像の4アップビューを示す図である。
図15】プローブに対して設定された直交断面を示す図である。
図16】カメラがユーザの手の中で移動可能であり、トラッカーが患者の頭部の構造に取り付けられる、手持ち式術中位置推定システムを示す図である。
図17】カメラ座標フレームの姿勢によって設定される直交参照面を示す図である。
図18】カメラ参照面およびカメラの姿勢に基づいて、医用画像中の患者の解剖学的構造の視野を変更する、コンピュータ実装方法を示す図である。
図19】カメラがユーザの頭部の構造に取り付けられ、トラッカーが患者の頭部の構造に取り付けられる、ヘッドマウント式術中位置推定システムを示す図である。
図20】プローブ及び対応する仮想プローブを示す図である。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【発明を実施するための形態】
【0061】
患者の解剖学的構造が関与するナビゲート式の外科的処置を実施するシステム及び方法を、本明細書に記載する。主要な実施例として、画像誘導頭蓋神経外科治療が提供されるが、本明細書に記載するシステム、デバイス、装置、方法、およびコンピュータ実装方法は、治療を要するあらゆる解剖学的構造(例えば、頭蓋、脊髄、骨盤、大腿骨、脛骨、臀部、膝、肩、もしくは足首)に適用されても良いことが明白であろう。
【0062】
いくつかのシステム、方法、およびデバイスについて、実施形態として以下に記載する。特許請求の範囲は、実施例で説明する実施形態に限定されるべきではなく、明細書全体と一致する最も広範な解釈が与えられるべきである。
【0063】
本明細書において、「一実施形態」、「好ましい実施形態」、「(1つの)実施形態」、または「(複数の)実施形態」という言及は、実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造、特性、または機能が、少なくとも1つの実施形態に含まれ、1つを超える実施形態に含まれても良いことを意味する。また、本明細書中の様々な箇所におけるそのような語句は、同じ1つ若しくは複数の実施形態を必ずしも指すものではない。
【0064】
情報処理装置は、少なくとも1つの処理装置と、本明細書で更に記載するように、情報処理装置の実行を構成するソフトウェア(命令および/またはデータ)を格納するメモリなど、少なくとも1つの記憶デバイスとを有する、ラップトップ、ワークステーション、又は他のコンピューティングデバイスを含んでも良い。
【0065】
図1は、ナビゲート式の頭蓋(脳)処置に用いられる術中位置推定システム100を示している。この術中位置推定システム100では、カメラ102が、ヘッドクランプ108にしっかり取り付けられた、取付アーム104を介して取り付けられており、その視界は手術部位に向けられている。トラッカー106は機器110(例えばプローブ)に取り付けられており、カメラ102による検出のため、光学的に検出可能な特徴が設けられている。機器は、プローブ、組織を切断または切除する器具、組織を牽引する器具、または超音波プローブなどの結像器具など、手術環境で使用される任意の機器であっても良い。カメラ102は、カメラデータ(トラッカー106と関連付けられた画像データ又は姿勢データを含む)を情報処理装置114に送信する。情報処理装置114は、患者の解剖学的構造112(即ち、脳)に対する機器110の位置および向き(姿勢)を計算し、臨床関連情報を外科医に対して表示するのに必要な処理を実行する。情報処理装置114はまた、医用画像データ(患者の解剖学的構造、即ち頭部/脳の、磁気共鳴(MRI)画像および/またはコンピュータ断層撮影(CT)画像等)を取得し、その医用画像に対するナビゲーション情報を更に表示しても良い。
【0066】
術中位置推定システム100は、患者の解剖学的構造112を位置合わせする。具体的に術中位置推定システム100は、情報処理装置114が認識している術中位置推定システム100の座標フレームにおける、患者の解剖学的平面/軸/特徴を位置合わせする。
【0067】
手術中において、術中位置推定システムは、(1)術前セットアップ、(2)患者のセットアップ、位置合わせ、及び計画、ならびに(3)手術ナビゲーションという3つの段階で使用される。
【0068】
術中位置推定システム100を使用する場合の手術前のセットアップは、次の例示的なステップを含む。具体的には、(a)必要に応じて、位置合わせ及び計画に使用される非滅菌機器110を較正するステップ、(b)患者の解剖学的構造112の医用画像データ(例えば、MRIデータ、CTデータ)を情報処理装置114にロードするステップ、(c)位置合わせの方法に応じて、必要であれば、位置合わせ用の目印を選択するステップである。手術前のセットアップステップは手術室に入る前に実施されても良い。例示の術中位置推定システム100は小さく、可搬型なので、手術前のセットアップステップは、任意の便利な時間または場所で、訓練されたユーザによって現場外で実施されても良い。
【0069】
機器110の較正は、一般に、機器110の「エフェクタ」と、機器と関連付けられたトラッカー106との空間的関係を、決定または確認することを指す。様々な器具/ジグ/ソフトウェアルーチンを、機器110の較正に使用しても良い。機器110の「エフェクタ」は、ナビゲーション情報が有用である機器110の状況を指す。例えば、生検針の先端、プローブのシャフト軸線、レーザーの軸線、面、もしくはパターン、埋込み可能なデバイスの位置および/または向きである。
【0070】
術中位置推定システム100を使用する患者のセットアップ、位置合わせ、及び計画は、以下の例示的なステップを含む。具体的には、(a)患者および術中位置推定システム100を手術室に入れるステップ、(b)患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)を、ヘッドクランプ108で固定するステップ、(c)カメラ102を取付アーム104に装着し、アームをヘッドクランプ108に接続するステップ、(d)位置合わせ用の目印および/または特徴を位置推定して、「ローカライザシステムレジストレーション(Localizer System Registration)」と呼ばれるカメラ座標フレームと患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)との位置合わせをし、任意に「イメージレジストレーション(Image Registration)」と呼ばれる、カメラ座標フレームと医用画像またはモデルとのマッピングとしての、カメラ102と患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)との位置合わせをするステップ(「位置合わせ」という用語は、一般に、少なくともローカライザシステムレジストレーションを指すが、必要に応じて、イメージレジストレーションも含んでも良い)、(e)位置合わせを検証するステップ(例えば、患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)に対する追跡された機器110の仮想空間が、実際に追跡された機器110と患者の解剖学的構造(即ち、頭部)との物理的な空間的関係と合致することを確認する)、(f)切除および/または生検を行うべき病変に向かう最適な経路とされる開頭術の位置を特定することによって、外科的処置を計画するステップである。
【0071】
術中位置推定システム100による手術ナビゲーションは、滅菌された外科的処置中の以下の例示的なステップを含む。具体的には、(a)患者に対して手術の準備処置をして、ドレープで覆うステップ、(b)患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)に対する位置を動かすことなく、カメラ102をドレープで覆うステップ、(c)滅菌機器110(例えば、トラッカー106に接続されたプローブ)を較正するステップである。手術ナビゲーションは、滅菌か非滅菌かにかかわらず、少なくとも1つの機器110の姿勢を計算し、その機器110の表現(情報)を、情報処理装置114上における患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)の医用画像に対して表示するステップを含む。任意に、術中位置推定システム100のカメラ102に対する患者の位置が正確であるかをチェックするのに、更なる位置合わせの検証を実施しても良い。
【0072】
ヘッドクランプ108は、患者の頭部の移動を拘束する任意のタイプのクランプであっても良い。図2は、3つの固定点204で圧締めすることによって患者の頭骨を固定する、メイフィールド式クランプの形態である例示のヘッドクランプ200を示している。ヘッドクランプ200は、ヘッドクランプ200を手術台に、また任意に他の取付アームに接続する、コネクタ202を含んでも良い。ヘッドクランプ200のコネクタ202は任意の形態のコネクタであっても良い。図2に示される例示のコネクタは、放射形メカニズムである。放射形メカニズムは、接続時の回転調節が可能であるが、固定されると、力または衝撃が加えられた時にずれにくい非常にしっかりした構造をもたらすので、しっかりとした接続をするのに有利である。
【0073】
図3を参照すると、一実施形態では、取付アーム300が設けられ、その取付アーム300が、ヘッドクランプ108に装着するように構成されることで、患者の解剖学的構造112に対するしっかりした基準を提供する(即ち、頭骨、ヘッドクランプ108、及び取付アーム300がしっかりした固定の位置関係を有する)。取付アーム300には、カメラ102の位置合わせを可能にする、アームメカニズムに接続されたカメラマウント306が設けられる。取付アーム300には、ヘッドクランプコネクタ202に対して(形状が)補完的なコネクタ302を設けても良い。補完的なコネクタ302は任意の形態のコネクタであっても良い。図3に示される例示の補完的なコネクタ302は、補完的な放射形メカニズムである。
【0074】
取付アーム300のコネクタ302は、ヘッドクランプ108にしっかり固定するのに使用され、任意に、更なる取付けのための(例えば、手術台に付着する、又は第2の取付アーム300を取り付ける)、コネクタ302と同じ放射形の表面を持つ追加のコネクタを設けても良い。取付アーム300は、好ましくは調節可能に、即ちカメラの作業範囲を、手術部位と呼ばれる外科用機器110の作業範囲と位置合わせできるように構成される。これによって、患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)に対して、最大6つの自由度(DOF)の位置調節を、取付アーム300に提供することによって実現される。取付アーム300は、位置合わせを実現する任意のメカニズムを組み込んでも良い。図3の例示の実施形態は、1DOFを提供する放射形コネクタ302と、別のDOFを提供する角度継手308と、複数の自由度をそれぞれ提供する2つの玉継手304とを示しており、これらを統合して構成される、取付アーム300のこの例示の実施形態は、6DOFの位置合わせを提供する。
【0075】
手術部位に対して所望の向きで位置合わせされると、取付アーム300はしっかりと適所で係止されなければならない。これは、係止可能な玉継手304、係止可能な角度継手308、係止可能なグースネック形メカニズム、又は他の任意の形態の移動可能であってしっかりと係止可能なメカニズムを含む、様々なメカニズムを介して実現しても良い。ユーザが取付アームを適所で係止できるように、ノブが設けられても良い。
【0076】
図4を参照すると、やはり6DOFの位置合わせが可能である、代替のグースネック形取付アーム400が示されている。グースネック形取付アーム400の例示の実施形態は、6DOFの位置合わせを可能にする、「グースネック」アームメカニズム404に接続されたカメラ及び/又はトラッカーマウント406を備え、次いで、クランプ402に接続されて、グースネック形取付アームを、手術台、ヘッドクランプ108、又は手術環境の他の任意の表面にしっかり接続する。
【0077】
例示の取付アーム300及び代替のグースネック形取付アーム400は、カメラの代わりにトラッカーを固定するように構成しても良い。
【0078】
図5は、患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)を保持するヘッドクランプ108と、取付アーム104と、カメラ102とを備え、カメラ102が患者の解剖学的構造112にほぼ向けられている(カメラの作業範囲と手術部位との位置合わせを示している)、例示のカメラ-ヘッドクランプアセンブリ500を示している。
【0079】
カメラ102は、カメラマウント306を介して取付アーム104にしっかり固定されても良く、それによって、カメラ102を取付アーム104に固定するしっかりした取付けメカニズムがもたらされる。カメラ102を取付アーム104に接続するしっかりしたメカニズムは、(例えば、一体的に形成されることによって、溶接、接着、もしくは締結を介して、カムロック、ねじ式コネクタ、ダブテール接続、または磁気コネクタを介して)カメラ102が取付アーム104に恒久的に取り付けられるものを含んでも良い。カメラマウント306のしっかりしたメカニズムは、少なくとも外科的処置のナビゲートされる間、カメラ102を取付アーム104に対して固定の位置で保持する。あるいは、カメラ102が取付アーム104のカメラマウント306から取り外され(例えば、便宜のため)、正確に同じ位置で再び取り付けられるように、着脱可能で反復可能な接続も想起される。この目的のため、磁気動的マウント(マグネティック・キネマティック・マウント)を含む、任意の高度に反復可能なメカニズムが想起される。カメラ取付アーム104は、ヘッドクランプ108のコネクタ202が、取付アーム104の補完的なコネクタ302に接続されていることによって、ヘッドクランプ108に接続される。
【0080】
図6は、例示のカメラ-取付アームアセンブリ600(図5のアセンブリ500と同様)を示している。カメラ102は、カメラクランプ602を介して取付アーム104に取り付けられている(クランプ602は、上側部分および下側部分と、ねじ式調節メカニズムと、ヒンジ継手とを有しており、ねじ式調節メカニズムは、カメラ102をしっかりと適所で保持するのに十分な力を加えることができ、クランプ602は、力付与機構(例えば、磁石)と動的位置決め機構(この場合、噛合する半球形機構およびV字スロット)とで構成されるカメラマウント608を更に有する)。取付アーム104は補完的に噛合するカメラマウント306を提供する。その結果、(a)カメラ102/クランプ602を、カメラマウント306を介して取付アーム104に取り付けることができ、(b)カメラ102/クランプ602を、カメラマウント306から外すことによって取付アーム104から取り外すことができ、(c)カメラ102/クランプ602を、カメラマウント306を介して取付アームに対して正確に同じ位置関係で再び取り付けることができる。カメラ102は、シュラウドを任意に接続するように構成された機構604を含む。機構604は、(図示されるような)カメラ本体の形状から隆起した表面、または窪み(図示なし)、又はシュラウドの協働面(対応した面)を受け入れるそれらの組み合わせであっても良い。
【0081】
いくつかの実施形態では、カメラが固定されていない、或いは手術部位に対するカメラ102の位置を移動または再位置付けする能力を有するかが望ましいことがある。これらの選択肢を容易にするため、システムは、例えばトラッカーに対する取付アームを介する等、ヘッドクランプ108に対して、固定のしっかりした位置関係のトラッカーを含んでも良い。
【0082】
例えば、図7のカメラ-トラッカー-ヘッドクランプアセンブリ700は、患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)の移動を拘束するヘッドクランプ108に、カメラ102及びトラッカー708の両方を取り付けた場合を示している。カメラ102は、カメラマウント306を介してカメラ取付アーム104に取り付けられても良い。カメラ取付アーム104は、コネクタ302を介して、補完的なヘッドクランプコネクタ202に接続されても良い。カメラ102は、手術部位に向けられても良く、トラッカー708は、好ましくは、カメラ102の作業範囲内である位置で固定される(即ち、トラッカー708は、手術部位に近接しており、カメラ102の作業範囲内であるようにほぼ向けられている。)トラッカー708は、(外科的処置の間)恒久的にヘッドクランプ108にしっかり取り付けられていても良い。例えば、トラッカー708は、それ自体の取付アーム702と一体的に形成されても良く、そのアームは次いで、例えばクランプ704を介して、ヘッドクランプ108に接続される。トラッカー708はまた、トラッカーマウント706を介して(非常に高度に位置的に反復可能に)トラッカー取付アーム702に着脱可能および反復可能に連結されても良い。トラッカー708は、取付アーム702/ヘッドクランプ108にしっかり取り付けられると、患者の解剖学的構造112に対するしっかりした基準となるので、カメラ102を患者の解剖学的構造112に対してしっかりと固定する必要はない。本明細書で更に記載するように、情報処理装置114のソフトウェアは、トラッカー708と患者の解剖学的構造112との位置関係を位置合わせするように位置合わせを実施し、その後、カメラ102が位置合わせした位置と異なる位置にある場合であっても、カメラ102の視界(作業範囲)で患者の解剖学的構造112の姿勢を追跡するように構成しても良い。この構成の例示の利点としては、カメラ102の位置を外科的処置の途中に調節できること(例えば、手術部位のより良好な視角を獲得できること)、並びにカメラ102を、カート、手術台(標準的な手術台取付けレールを介する)など、患者の解剖学的構造112以外の物体に取り付けできること、又は手持ち式もしくは外科医にマウントする形(例えば、ヘッドマウント式)でカメラを使用できることが挙げられる。
【0083】
図8は、カメラ102が、情報処理装置114を設置するカート802にしっかり取り付けられた、例示の術中位置推定システム800を示している。カメラ102は取付アーム104に取り付けられ、そのアームは次いで、カート802にしっかり接続される。ヘッドクランプ108は患者の解剖学的構造112の移動を拘束する。トラッカー708は、トラッカーマウント706を介してトラッカー取付アーム702に取り付けられ、そのアームは次いで、例えばクランプ704を介して、ヘッドクランプ108にしっかり接続される。
【0084】
滅菌/非滅菌環境で使用される患者およびカメラドレープ
図9~11を参照すると、術中位置推定システムを滅菌された外科的処置において使用することが望ましい。図9は、例示の滅菌ドレープ付き術中位置推定システム900を示している。例示の術中位置推定システム900では、カメラ102はカメラマウント306を介して取付アーム104に取り付けられる。カメラ102は更に、シュラウド902を介してカメラ102に固定された滅菌ドレープ904に封入される。滅菌ドレープ904は、取付アーム104をヘッドクランプコネクタ202においてヘッドクランプ108に取り付ける、取付アームコネクタ102の付近にある取付アーム104の基部まで延設される。ヘッドクランプ108は患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)の運動を拘束する。カメラ102は、ケーブル908を介して情報処理装置114に接続される。
【0085】
例示の実施形態では、術中位置推定システム900は、遠位端に光学窓906を有する滅菌ドレープ904を含む。滅菌ドレープ904は、カメラ102を封入する長いチューブ状本体を含み、ケーブル908の近位部分は、カメラ102を情報処理装置114及び取付アーム104に接続する。滅菌ドレープ904は、取付アーム104の基部、即ちコネクタ302(即ちヘッドクランプ108のコネクタ202に対する接続部)で終端しても良い。ケーブルにおける近位部分は、一般的に、少なくとも、カメラから(多かれ少なかれ)取付アーム104の長さまで延設されるケーブルの部分である。この長さは、滅菌要件に影響を及ぼすことなく取付アーム104を移動させるのに十分な自由度を提供する。それよりもわずかに長い又は短い長さでも同様に機能し得る。ドレープ904によって、患者の頭部付近の手術位置もしくはその周りで、(滅菌性が維持されるべき手術中に)作業者または器具と接触することがある、ケーブルの部分が被覆される。
【0086】
例示の術中局在化システム900は、ドレープ904をカメラ102上の適所で保持するメカニズムを提供する。これは、ドレープ窓906を、カメラ102の光学部品(例えば、レンズ開口部(図示なし)周りのガラスもしくは他の材料)または光学経路と整列させて保持するために望ましい。このメカニズムは、シュラウド902によって実現しても良い。シュラウド902は、滅菌バリア(即ち滅菌ドレープ904をシュラウド902の本体とカメラ102との間に挟むことによるもの)を穿孔するか又は損なうことなく、ドレープ窓906をカメラの光学部品との固定の適正な位置で保持しながら、カメラ102のシュラウド接続機構604を介してカメラ102に機械的に嵌まるか若しくは別の形で接続する部材である。シュラウド902は、シュラウド902が有するばね力によって、カメラ102及びドレープ904の組み合わせ(アセンブリ)をともに保持しつつ、これらの方向を変更可能に構成しても良い。シュラウド902は、カメラ102上の補完的な位置決め機構と噛合するように形成された位置決め機構によって、シュラウド902とカメラ102との間の適正な位置合わせを可能に構成しても良い。また、ドレープ窓906は、光学信号を歪みのなく伝達できるように設けられ、剛性で薄く平らな、透明な材料で構成しても良い。
【0087】
図10を参照すると、更なる例示では、滅菌ドレープ付き術中位置推定システム1000はシステム900に類似しており、外科的処置のために患者もドレープで覆われる場合に使用される。カメラ102、シュラウド902、取付アーム104、ヘッドクランプ108(図示なし)、カメラドレープ904、及びドレープ窓906は、図9に示される例示の位置推定システム900に関して上述したのと同様に配置されても良い。本実施形態において、患者ドレープ1002は、患者およびヘッドクランプ108を被覆する。患者ドレープ1002は、患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)の手術部位を露出される開口部1006を有する。患者ドレープ1002は、カメラドレープ904で被覆されたカメラ102及び取付アーム104が、患者ドレープ1002を通って突き出すことができるように、取付アーム104の開口部1004が更に設けられる。ドレーピング手順は無菌技術にしたがって実施される。
【0088】
患者ドレープ1002とカメラドレープ904との境界面は、連続的な滅菌バリアを維持するようにしっかりと封止されても良い。この滅菌バリアを維持するため、滅菌患者ドレープ1002及びカメラドレープ904を次のやり方で構成しても良い。滅菌弾性バンドを、患者ドレープ1002の開口部をカメラ102ドレープ904の周りできつく保持するのに使用しても良い。弾性バンドは、別個の滅菌パッケージングである滅菌患者ドレープ1002とカメラドレープ904とに設けられても良い。或いは、弾性バンドは、カメラドレープ904又は患者ドレープ1002に予め取り付けられても良い。カメラドレープ904は、患者ドレープ1002をカメラドレープ904の外周に沿ってドレープ904に接着できるように、カメラドレープ904の端部(窓側端部よりも遠位側)もしくはその付近に接着剤を有する、1つ又は複数の円周方向リング(若しくは、らせん)を備えても良い。接着リング(の接着面)は、ストリップによって被覆され、接着剤ストリップカバーを除去することによって使用のために(接着面を)露出させても良い。患者ドレープ1002及びカメラドレープ904の境界面の長さに沿った所望の位置で使用されても良いように、複数の円周方向による接着リングを設けても良い。カメラドレープ904は、部分的に又は着脱可能に取り付けられた、接着剤ストリップを提供しても良い。接着剤ストリップを、カメラドレープ904を患者ドレープ1002に対して定着するのに使用しても良い。かぎホック、プル式締結具など、滅菌バリアを維持するように構成された他の締結具が想起されても良い。
【0089】
図11を参照すると、特定の外科的ナビゲート式処置では、同じ処置において非滅菌環境および滅菌環境で術中位置推定システム100を使用するのが望ましいことがある。例えば、神経外科的用途では、位置合わせ目印は非滅菌なので、滅菌野を確立する前に位置合わせ(即ち「ローカライザシステムレジストレーション」及び/又は「イメージレジストレーション」)を実施するのが望ましいことがある。
【0090】
図11は、滅菌ドレープ付き術中位置推定システム1100を示している。例示の術中位置推定システム1100は、滅菌カメラドレープ904があってもなくても使用されるように構成されているので、同じ外科的処置内で滅菌環境および非滅菌環境の両方で使用できる。滅菌カメラドレープ904は、カメラ102を患者の解剖学的構造112に対して移動させることなく、カメラ102及び/又は取付アーム104に適用しても良いので、手術環境が非滅菌環境の間と、ドレーピング技術が適用されて手術環境を滅菌環境とした後で、カメラ102の位置は同じである。例示の術中位置推定システム1100が滅菌環境で使用されるとき、滅菌環境を維持するために、滅菌機器110のみの使用を要する。対照的に、例示の術中位置推定システム1100が非滅菌環境で使用されるとき、非滅菌機器110(非滅菌位置合わせ機器110)を使用しても良い。
【0091】
上述したように、トラッカー708を患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)に対してしっかり固定することが有利である。トラッカー708を滅菌環境で患者の解剖学的構造112に対してしっかり固定するのが望ましい。図11に示される例示の実施形態では、滅菌トラッカー708は、患者ドレープ1002を通してヘッドクランプ108にしっかり取り付けられる。患者ドレープ1002は、患者の解剖学的構造112が見えるようにする窓1006を含む。滅菌トラッカー708は、滅菌性を損なうことなく、患者ドレープ1002を通して非滅菌トラッカーマウント1102に接続される。患者ドレープ1002は、トラッカー取付アーム702に取り付けるための非滅菌側アダプタと、滅菌トラッカー708及び/又は滅菌トラッカーマウント1102に取り付けるための滅菌側アダプタとを含んでも良い。これらのアダプタの形状の特徴は情報処理装置114が認識しているので、非滅菌トラッカー708(患者ドレープ1002が適用される前にトラッカー取付アーム702に取り付けられる)と滅菌トラッカー708(患者ドレープ1002が適用された後にトラッカー取付アーム702に取り付けられる)との相対位置は、術中位置推定システム1100には認識されている。それに加えて、トラッカー708における光学的に検出可能な特徴の位置も、認識されていても良い。
【0092】
滅菌トラッカー708はまた、患者ドレープ1002を貫通し、トラッカー取付アーム702及び/又はトラッカーマウント1102に固定するように構成しても良い。これによって、患者ドレープ1002の貫通部分がトラッカー708の基部によって被覆される(塞がれる)ので、患者ドレープ1002の滅菌側が汚染する確率を非常に低くできる。
【0093】
患者ドレープ1002は、滅菌トラッカー708とトラッカー取付アーム702との間に挟まれても良い。患者ドレープ1002は十分に薄いので、トラッカー取付アーム702上における滅菌トラッカー708の位置に著しく影響することはなく、更に外科的処置中の患者ドレープ1002の移動によって、滅菌トラッカー708がトラッカー取付アーム702から外れることがないように、滅菌トラッカー708とトラッカー取付アーム702との間を十分強力に接続できる。
【0094】
術中位置推定システム1100は、外科的処置の異なる段階で滅菌トラッカー708及び非滅菌トラッカー708を使用しても良い。滅菌トラッカー708は非滅菌トラッカー708と同じ形状でも良く、或いはそれぞれ異なった形状でも良く、その場合、これらの形状の違いを情報処理装置114が認識し、外科的処置の異なる段階における姿勢の計算の因子として、適宜加えられても良い。
【0095】
カメラ102、カメラ取付アーム104、カメラドレープ904、カメラドレープ窓906、及びシュラウド902は、上述した滅菌ドレープ付きカメラ術中位置推定システム1000と同様に構成しても良い。カメラ取付アーム104はカメラ取付アーム開口部1004から突出する。カメラ102に、ユーザインターフェース(例えば、ボタン、インジケータ灯、および/またはディスプレイからなる)を設けても良い。術中位置推定システム1100は、滅菌時および非滅菌時の両方で、ユーザがユーザインターフェースにアクセス可能にしても良い。カメラドレープ904が適用されることで、手術環境が滅菌である場合に、滅菌カメラドレープ904を通して、ユーザインターフェースにアクセス可能および/または機能可能に構成されても良い。これは、例えば、透明で可撓性を有する材料からなるカメラドレープ904で実現されても良い。
【0096】
次に、図12を参照して、非滅菌トラッカーと滅菌トラッカー708との形状の違いを格納し、患者に対する手術の滅菌段階中において姿勢を計算する際に、カメラ102と非滅菌トラッカー708との位置合わせ、並びに格納された形状の違いを使用する、コンピュータ実装方法1200を説明する。情報処理装置114は(1202で)、患者の手術の非滅菌段階中に使用される非滅菌トラッカー708と、患者の手術の滅菌段階中に使用される滅菌トラッカー708との形状の違いを格納する。情報処理装置114は(1204で)、非滅菌段階中の非滅菌トラッカー708に対するカメラ102の位置合わせを計算する。非滅菌トラッカー708の代わりに滅菌トラッカー708が使用され、患者が患者ドレープ1002で覆われている滅菌段階中において、情報処理装置114は(1206で)、姿勢を計算する際に、位置合わせ及び情報処理装置114に格納された形状の違いを使用する。
【0097】
一実施形態では、情報処理装置114は、患者ドレープ1002が適用される前に取付アーム702に取り付けられたときの非滅菌トラッカー708と、患者ドレープ1002が適用された後に患者ドレープ1002の滅菌トラッカーアダプタを介して取付アーム702に取り付けられたときの滅菌トラッカー809とにおける、滅菌トラッカーアダプタの形状の特徴に基づいた相対位置を格納しても良い。非滅菌トラッカー708の代わりに滅菌トラッカー708が使用され、患者が患者ドレープ1002で覆われている滅菌段階中に、情報処理装置114が姿勢を計算する際に格納された相対位置を使用しても良い。
【0098】
「カメラ移動」機能
例えば、外科的処置の一部として追跡されている機器110のより良好な視角を達成するために、カメラ102の位置を再設定するのが望ましい。しかしながら、カメラ102がヘッドクランプ108にしっかり取り付けられている場合、カメラ102と患者の解剖学的構造112との位置関係は位置合わせされていることがあり、カメラ102の移動によって、この位置合わせが損なわれてしまう。
【0099】
本明細書では、患者の解剖学的構造112に対する機器110の位置および向きの追跡を可能にする位置合わせを維持したまま、カメラ102を複数の位置および向きの間で移動させることができる、「カメラ移動」機能を提供するシステムが開示される。
【0100】
情報処理装置114のメモリに格納される、カメラ102と患者の解剖学的構造の位置合わせを生成するため、カメラ102を患者の解剖学的構造112に取り付け後に、カメラ102は、以下のシステムを使用して、位置合わせを損なうことなく、その位置を変更しても良い。トラッカー708は、滅菌または非滅菌のどちらであっても、ヘッドクランプ108にしっかり取り付けられるので、カメラ102の視界内で追跡可能である。情報処理装置114は、カメラ102と患者の解剖学的構造112に対してしっかり取り付けられたトラッカー708との第1の姿勢を捕捉し、この第1の姿勢に基づいて、トラッカー708と患者の解剖学的構造の位置合わせ(即ちトラッカー708の座標フレームと患者の解剖学的構造112間との位置合わせ)を計算し、この位置合わせを情報処理装置114のメモリに格納する。次に、しっかり取り付けられたトラッカー708の対象となる手術部位がカメラ102の視界および作業範囲内で追跡できる範囲内で、カメラ102を所望の位置に変更する。情報処理装置114は、カメラ102に対してしっかり取り付けられたトラッカー708と、患者の解剖学的構造112との第2の姿勢を捕捉し、新しいカメラとトラッカーの位置合わせ(即ち新しい位置および向きにあるカメラ102の座標フレームと、しっかり取り付けられたトラッカー708との位置合わせ)を計算する。次に情報処理装置114のメモリに格納されたトラッカーと患者の解剖学的構造との位置合わせを、新しいカメラとトラッカーの位置合わせに適用することによって、新しいカメラと患者の解剖学的構造の位置合わせ(即ち新しい位置および向きにあるカメラ102の座標フレームと患者の解剖学的構造112の座標フレームとの位置合わせ)を計算する。
【0101】
情報処理装置114のメモリは、カメラ102の姿勢の捕捉の仕方や、それに応じた位置合わせの計算を、ユーザに対して表示する命令を含んでも良い。情報処理装置114はまた、上述のステップをガイドする図形による指示を、ユーザに対して情報処理装置114のディスプレイに表示しても良い。
【0102】
情報処理装置114は更に、第1の姿勢を捕捉した後であって第2の姿勢を捕捉する前に、どのようにしてカメラの作業範囲を手術部位に合わせるかの図形による指示を表示するように構成しても良い(即ちカメラの視野を変更された手術部位に合わせるのを助ける、視覚的フィードバックをユーザに与えるため)。
【0103】
次に図13を参照して、カメラ102を第1の姿勢から第2の姿勢へと移動させたとき、トラッカー708及び患者の解剖学的構造112に対するカメラの姿勢に基づいて、患者の解剖学的構造112に対するカメラ102の位置合わせを更新する、コンピュータ実装方法1300を説明する。情報処理装置114は(1302で)、患者の解剖学的構造112に対して第1の位置関係を有するカメラ102とトラッカー708との間の第1の姿勢を捕捉する。情報処理装置114は(1304で)、患者の解剖学的構造112に対して第3の位置関係を有するカメラ102とトラッカー708との間の第2の姿勢を捕捉する。第1の姿勢、第2の姿勢、および第1の位置合わせを使用して、情報処理装置112は(1306で)、患者の解剖学的構造112に対するカメラ102の更新された位置合わせを計算する。
【0104】
患者の解剖学的構造の視覚化
画像誘導による医学的な治療処置の計画および実行中、ナビゲーションシステムに対して患者の解剖学的構造112を視覚化する必要がある。患者の解剖学的構造の「4アップ」(「4-up」)式の視覚化像を、患者の解剖学的構造112の三次元(「3D」)医用画像(例えば、MRI又はCT画像)の複数の面を表示しても良い。
【0105】
図14は、術中位置推定システムの情報処理装置のディスプレイに表示される「4アップ」ビュー1400を示している。「4アップ」式の視覚化像1400は、患者の3D医用画像内の現在の位置に関して、(1)患者の解剖学的構造112の冠状面1402における3D医用画像の二次元断面と、(2)患者の解剖学的構造112の矢状面1404における3D医用画像の二次元断面と、(3)患者の解剖学的構造112の横断面1406における3D医用画像の二次元断面と、(4)3D医用画像の等角図1408とを含む。
【0106】
外科的処置におけるナビゲーション中、「4アップ」ビュー1400は、ナビゲート式外科用機器110の位置に基づいてリアルタイムに更新しても良い。例えば、3D医用画像の二次元の冠状、矢状、および横断面(1402、1404、1406)は、追跡されたプローブの位置を反映するようにリアルタイムで更新されても良く、その場合、3D画像の冠状、矢状、および横断二次元断面の面(1402、1404、1406)は、患者の解剖学的構造112に対する現在のプローブの先端を反映する。
【0107】
等角図1408を、関心のある解剖学的特徴の視覚化を促すように変更しても良い。例えば、等角図1408を患者の解剖学的構造112の切断図、即ち関心のある領域における解剖学的な範囲(例えば、脳)の内部が表示されるように変更しても良い。関心のある領域は、手術前における計画中に特定される構造または病変を含んでも良い。更に、関心のある領域は、解剖学的構造内の他の範囲と視覚的に区別されるように表示されても良い。例えば、関心のある領域は、手術前に特定されても良く、他の解剖学的構造とは独立して視認および/または操作できるように医用画像内において手術前に細分化(セグメント化)されても良い。
【0108】
等角図1408を、追跡されたプローブの姿勢に基づいてリアルタイムに変更しても良い。例えば、追跡されたプローブの姿勢に基づいて、患者の解剖学的構造112の切断図が表示されても良い。図15は、プローブ1514の姿勢によって設定される直交三次元断面1500を示している。プローブは、光学的に追跡可能な機構を有する、シャフト1508と、先端1510と、本体1512とを備えても良い。第1の断面1502は、プローブ1514のシャフト1508に垂直であって、プローブ1514の先端1510によって規定される点を含むものとして設定される。第2の断面1504は、プローブ1514の前面に平行であって、プローブ1514のシャフト1508によって規定されるベクトルを含むものとして設定される。第3の断面1506は、プローブ1514の前面に垂直であって、プローブ1504のシャフト1508によって規定されるベクトルを含むものとして設定される。
【0109】
図16は、カメラ102の視界1610にあるトラッカー708の姿勢を追跡しながら、ユーザの手1612で保持されているカメラ102を示し、トラッカー708が患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)に対して位置合わせされる、手持ち式の術中位置推定システム1600を示している。位置合わせは、患者の解剖学的構造112に対する患者の医用画像に対する上記の「イメージレジストレーション」を含む。トラッカー708は患者の解剖学的構造112に対して、取付構造1614を介してヘッドクランプ104に取り付けられても良い。その取付構造1614は、患者の解剖学的構造112に直接固定されても良い(例えば、骨ねじ、吸盤、弾性ストラップ、若しくは耳、鼻、目などの患者の構造によらない眼鏡式フレームような構造物を介して)。トラッカー708は、患者の解剖学的構造112に取り付けられた、(光学的に)追跡可能なアレイを形成する個々の基準マーカーを含んでも良い。いくつかの適用例では、トラッカー708が、非侵襲的な(生体を傷つけないような)手段(例えば、吸盤、弾性ストラップ、眼鏡フレーム、ステッカー、個々に取付け可能な基準マーカー、クランプ)によって取り付けられるのが有利なことがある。また、いくつかの適用例では、トラッカー708が、骨ねじなどの侵襲的な手段を使用して、骨に直接しっかり固定されるのが有利なことがある。図16に示される例示の実施形態では、トラッカー708は、ヘッドバンドと患者の耳および鼻梁(鼻柱)に接触するフレームとを含む取付構造1614を介して、患者の解剖学的構造112(即ち、頭部)に取り付けられる。この実施形態では、カメラ102の姿勢を、情報処理装置114に表示される視覚化像を変更するのに使用されても良い(例えば、冠状面1402、矢状面1404、横断面1406及び等角図1408がカメラ102の座標フレームに対応するように、カメラ102の姿勢を変更する)。
【0110】
図17は、カメラ座標フレームによって設定される、カメラ102基準の直交参照面1700を示している。カメラ102はユーザの手1612で保持されても良く、直交三次元断面1700がカメラ102の現在の姿勢と対応するように設定される。4アップビュー1400(図14)に表示される冠状面1402を変更するのに使用されるカメラ基準の参照面が、冠状面1702である。4アップビュー1400に表示される矢状面1404を変更するのに使用されるカメラ参照面が、矢状面1704である。4アップビュー1400に表示される横断面1406を変更するのに使用されるカメラ参照面が、横断面1706である。直交参照面(冠状面1702、矢状面1704、及び横断面1706)はそれぞれ、カメラ102から離れた共通の原点1708を共有しても良い。図17に示される例示の実施形態では、原点1708は、光学軸1712に沿ってカメラ102から距離「d」だけ離れている。距離「d」は任意の距離であっても良く、ユーザによって選択されても良い。更に、距離「d」は、任意の関心のある解剖学的構造が原点1708に配置されたとき、トラッカー708がカメラ102によって見える(即ちトラッカー708がカメラ102の作業範囲内にある)ように、選択されても良い。冠状面1702は更に、カメラ102の光学画像装置1710の面に対して平行であって、カメラ102の光学軸1712に対して垂直であるように設定されても良い。矢状面1704は更に、カメラの光学画像装置1710の面に対して垂直であって、カメラ102の垂直軸1714のベクトルに対して平行であるように設定されても良い。横断面1706は更に、カメラ102の光学画像装置1710の面に対して垂直であって、カメラ102の垂直軸1714のベクトルに対して垂直であるように設定されても良い。解剖学的面の代わりに、冠状面1702、矢状面1704、及び横断面1706を使用することで、情報処理装置114のディスプレイに表示される4アップ式の視覚化像に示される「スライス」によって、患者の解剖学的構造112を視覚化しても良い。あるいは、患者の解剖学的な参照面が使用されても良い。システムは、ユーザが、例えばカメラ102に位置するボタンを介して、どの参照面が表示されるかを(即ちカメラ基準または患者基準で)選択可能にしても良い。等角図1408も、二次元スライスと併用して、又はそれとは独立して、カメラ基準の参照面1702、1704、1706に対応するように変更されても良い。等角図1408がスライスとは独立して、カメラ基準の参照面1702、1704、1706に対応するように変更される場合、情報処理装置114のディスプレイに表示される4アップ式の視覚化像の二次元スライスは、患者基準の冠状面、矢状面、及び横断面のままである。
【0111】
次に、図18を参照して、カメラ参照面およびカメラの姿勢に基づいて、医用画像中の患者の解剖学的構造のビューを変更する、コンピュータ実装方法1800を説明する。情報処理装置114は(1802で)、患者の解剖学的構造112の少なくとも1つのビューを、ユーザに対して表示する。情報処理装置114は(1804で)、患者の解剖学的構造112に対して固定の位置関係を有するトラッカー708の姿勢データを含む、カメラ102からの光学信号を受信する。姿勢データを使用して、情報処理装置114は(1806で)、患者の解剖学的構造112に対するトラッカー座標フレームの位置合わせを計算し、(1808で)患者の解剖学的構造112に対するカメラ102の姿勢を計算する。情報処理装置は(1810で)、カメラ基準の参照面、および患者の解剖学的構造112に対するカメラ102の姿勢に基づいて、少なくとも1つのビューを変更する。
【0112】
情報処理装置114のディスプレイに表示されるビューとカメラ102のビューとの視覚的関係を改善するのを支援するため、情報処理装置114のディスプレイに表示されるビューがカメラ基準の参照面1702、1704、1706に基づく場合、またはそれらによって変更される場合、カメラ102は、可視パターンを患者の解剖学的構造112上に投影する「プロジェクタ」を提供しても良い。プロジェクタは、可視パターンを患者の解剖学的構造112上に投影する任意の手段であっても良い。例えば、可視パターンは2つの平面レーザーを介して生成されても良く、平面レーザーは、互いに垂直であって、矢状面1704及び横断面1706に対して平行であり、更に原点1708を通り、カメラから距離「d」だけ離れている。このように、参照面が患者の外表面(例えば、患者の皮膚)と交差する位置は、患者上に物理的に表現されても良く、情報処理装置114のディスプレイに表示されるビューは、それらの同じ参照面に基づいたものとなる。あるいは、線が原点を通る、線生成レーザーが使用されても良い。したがって、ユーザは、表示されるビュー及び患者上に投影されるパターンに基づいて、患者の解剖学的構造112の視覚化を改善できる。
【0113】
図19を参照すると、別の実施形態では、手持ち式の代わりに、カメラ102及びディスプレイ1902は、ヘッドマウント式であっても良く、外科医1906が着用する拡張現実ヘッドセット1904に収容されても良い。ディスプレイ1902は、プロジェクタとその上に投影される投影面とを含んでも良い。図19の例示では、投影面は、眼鏡フレームが支持するレンズなど、ヘッドセット1904のガラス又はプラスチックの表面であっても良い。ヘッドセット1904は、1つ又は複数のケーブル/配線1908などを介して情報処理装置114に連結されて、拡張現実システム1900を提供しても良い。情報処理装置114はまた、外科医1906又はその他に対して情報を提示する、統合型のディスプレイ表示装置(例えば、ディスプレイ画面)を備えても良い。本明細書に記載されるように、情報処理装置114は、外科医1906が頭部を移動させたときに、トラッカー708及び患者の解剖学的構造112に対するカメラ102の姿勢を計算する。これにより、ユーザ(外科医1906)における患者の実際のビューと、患者の解剖学的構造112の仮想ビューとの重ね合わせを、適正な位置合わせで実現できる。ヘッドセットは情報処理装置114自体を組み込んでも良い(図示なし)。カメラ102が外科医1906の目とより近くに位置するように、ヘッドセット1904のフレームの角部、ガラス/プラスチックレンズの一部分の前方などに配置されても良い。
【0114】
かかる拡張現実システム1900におけるディスプレイ1902を透過式とすることで、外科医1906が情報処理装置114のディスプレイ1902を通して患者を直接見ることができる。情報処理装置114は、カメラ112から患者の解剖学的構造の画像をリアルタイムに受信しても良い。このようなカメラ112からのこのリアルタイムな画像の受信は、情報処理装置114のディスプレイ1902に表示されても良い。重ね合わされた患者の解剖学的構造112の仮想ビューは、不透明または部分的に透明であっても良い。任意のヘッドセットの実施形態では、情報処理装置114の非拡張現実ディスプレイに表示される「4アップ」ビューではなく、単一のビューのみを表示するのが好ましいことがある。単一のビューが表示される場合、冠状面1702及び原点1708に基づいても良い。任意の予め特定された(患者の医用画像において予め特定された)関心のある領域の仮想ビューはまた、カメラ座標フレームに一致する視点を持続的に表示しても良く、これによって、外科医1906における患者の解剖学的構造112の実際の視点が表示される。
【0115】
手持ち式かヘッドマウント式かにかかわらず、カメラの姿勢に基づいて4アップビューを変更するこれらの代替実施形態の利点は、基礎となる患者の解剖学的構造112をより直感的な形でユーザに対して表示することである。
【0116】
更に、患者に取り付けられたトラッカー708と、ユーザによって姿勢を操作することができるカメラ102との相対的な姿勢は、ユーザに対して表示される等角図1408のパン及びチルトを制御するのに使用されても良い。カメラ102はボタンを提供しても良く、該ボタンが押されると、カメラ102に接続された情報処理装置114がパン又はチルトモードに入り、トラッカー708及びカメラ102の相対的な姿勢を変更することによって、表示された等角図1408のパン及び/又はチルトを変化させる。チルトモードでは、例えば、トラッカー708及びカメラ102の相対的な姿勢の変化に対応して、医用画像の表示された等角図1408のチルトが変化する。パンモードでは、例えば、トラッカー708及びカメラ102の相対的な平行移動に対応して、医用画像の等角図1408が平行移動する。
【0117】
ナビゲーション手順の計画
一実施形態では、図20を参照すると、術中位置推定システムは、外科的処置のナビゲーション手順の計画を支援する、仮想プローブを提供しても良い。図20は、対応するプローブと仮想プローブとの対2000を示している。システムは、本体2008を備える仮想プローブ2004を有する。その本体2008は、光学的に追跡可能な機構と、ユーザが把持する部材やハンドルとを有する。また、仮想プローブ2004は、物理的なシャフト又は先端を省略しても良い。仮想プローブ2004を使用する術中位置推定システムは、仮想プローブ2004の本体2008から距離「d」に位置する仮想先端2006の位置を取得する、情報処理装置114を更に備えても良い。例えば、情報処理装置114は、仮想プローブの定義(例えば、プローブモデル)を格納するか、又はその格納された定義を取得する。そして、情報処理装置114は、患者の解剖学的構造112のナビゲーション表示を提供し、表示されるビューは仮想プローブ2004の仮想先端2006の位置に基づいて変更される。システムはまた、光学的に追跡可能な機構とユーザが把持する位置とを有する本体1512、並びに本体1512から延設されるシャフト1508及び先端1510を有する、プローブ1514を提供しても良い。プローブ1514及び仮想プローブ2004は、それぞれの本体1512、2008に、類似または同一の機構を有しても良い。2つのプローブ1514、2004の主な違いは、プローブ1514は位置推定のための先端1510を有する物理的なシャフト1508を設けるが、仮想プローブ2004は該シャフト1508が設けられないことである。更なる実施形態では、情報処理装置114によって取得される、仮想プローブ本体2008に対する仮想先端2006の位置は、プローブ本体1512に対するプローブ1512の物理的先端1510の位置と同じである。システムは更に、非滅菌環境では仮想プローブ2004を、滅菌環境ではプローブ1514を提供するように構成しても良い。
【0118】
ナビゲート式の医療処置を実施するシステムが開示され、システムは、取付アームによって患者の解剖学的構造に対して取り付けられるように構成され、手術部位における物体の姿勢情報を含む光学信号を検出し、姿勢を計算するために光学信号を情報処理装置に提供するように構成された、カメラと、カメラによって検出される光学信号を提供するように構成され、物体に取り付けられるか又は本質的にその一部であるトラッカーとを備え、取付アームは、カメラを手術部位に向けて位置調節を提供するように更に構成され、カメラ及び取付アームは、滅菌野内で使用するために滅菌カメラドレープ内に封入されるように更に構成され、滅菌カメラドレープ内に封入されたときでも、解剖学的構造に対するカメラの位置は変化しない。
【0119】
システムは、滅菌カメラドレープを更に含んでも良い。滅菌カメラドレープは更に、姿勢情報を含む信号を光学的に送信するのを可能にする、窓を設けても良い。システムは、滅菌カメラドレープをカメラに定着させるシュラウドを更に備えても良い。カメラは、シュラウドをカメラと噛合させて滅菌カメラドレープを固定する機構を更に有しても良い。システムは、窓がカメラの光学経路と整列して固定されるようにして、滅菌カメラドレープをカメラに固定させるように構成されても良い。シュラウドは、ばね力を介してカメラドレープをカメラに固定させるように構成されても良い。
【0120】
取付アームは、カメラにしっかり固定するように構成されても良い。システムは、カメラをしっかり保持するカメラクランプを更に備えても良く、カメラクランプは更に、取付メカニズムを取付アームに提供するように構成される。取付アームは、カメラに対して着脱可能かつ反復可能に付着するように構成されても良い。カメラ又はカメラクランプは動的取付メカニズムを提供しても良く、取付アームは補完的な動的取付メカニズムを提供しても良い。取付アームは、係止可能な継手を介して位置調整を提供しても良い。
【0121】
取付アームは、少なくとも1つの継手が係止可能な玉継手である場合、位置調節のための少なくとも1つの継手を設けても良い。取付アームは、複数の継手が単一のユーザ調節可能なメカニズムによって係止可能である場合、複数の継手を設けても良い。取付アームの位置調節は、例えば、ドレープを通して把持可能な調節部材を介して、滅菌カメラドレープ内に封入されたときに実施されても良い。
【0122】
取付アームは、患者固定化装置又は患者位置付け装置に取り付けるように構成されても良い。患者固定化装置はヘッドクランプであっても良い。
【0123】
取付アームは、患者の解剖学的構造にしっかり固定するように構成されても良い。例えば、メイフィールドクランプによって固定されても良いし、又は骨ねじを介して固定されても良い。
【0124】
患者の解剖学的構造は、頭蓋、脊髄、骨盤、大腿骨、脛骨、臀部、膝、肩、足首のうちの1つであっても良い。
【0125】
ナビゲート式の外科的処置を実施するシステムが開示され、システムは、カメラ取付アーム及びそれに取り付けられたカメラに対する滅菌バリアを提供するように構成された、滅菌カメラドレープを有する。滅菌ドレープは、滅菌バリアを提供するとき、位置調節可能なカメラ取付アームの位置調節が可能であるように構成されても良い。
【0126】
滅菌カメラドレープは更に、カメラから情報処理装置に姿勢情報を含む信号を送信するのを可能にする、滅菌カメラドレープ窓を設けても良い。滅菌カメラドレープ窓は、剛性の薄く平坦で透明な材料で形成されても良い。滅菌カメラドレープは、光学窓がカメラの光学経路と整列するようにして、カメラと整列して定着されるように構成されても良い。
【0127】
滅菌カメラドレープは、カメラから少なくともカメラ取付アームの基部まで延設されるように構成されても良い。
【0128】
滅菌カメラドレープは、患者ドレープとの連続的な滅菌バリアを提供するメカニズムを設けても良い。該メカニズムは、患者ドレープを滅菌カメラドレープとともにしっかりと保持するように構成された、滅菌弾性バンドであっても良いし、滅菌カメラドレープ及び患者ドレープが交わる位置で適用されるように構成された、接着剤ストリップでも良い。更に該メカニズムは、カメラドレープの長さに沿った所望の位置で患者ドレープに円周方向で接着できるように構成された、滅菌カメラドレープの長さに沿って様々な位置で滅菌カメラドレープを取り囲む、複数の接着面であっても良い。
【0129】
ナビゲート式の医療処置を実施するシステムが開示され、システムは、手術部位における物体の姿勢情報を含む光学信号を検出し、姿勢を計算するために光学信号を情報処理装置に提供するように構成された、カメラに付着するように構成された取付アームが設けられる。その取付アームは、取付けメカニズムを設ける近位端と、基部取付メカニズムを設ける遠位端とを有する。
【0130】
取付アームは、最大6DOFで近位端および遠位端の相対的な位置および向きを調節する、ユーザ調節可能なメカニズムを設けても良い。ユーザ調節可能なメカニズムは少なくとも1つの係止可能な玉継手を含んでも良い。ユーザ調節可能なメカニズムはグースネック形メカニズムを含んでも良い。
【0131】
基部取付メカニズムは、移動カート、手術台、手術室の台レールに対する適合可能なクランプ、ヘッドクランプ、放射形コネクタの1つに取り付けられるように構成されても良い。
【0132】
取付アームは遠位端に第2のコネクタを設けても良い。第2のコネクタは、基部取付メカニズムに対して補完的なコネクタを含んでも良い。
【0133】
取付アームは、トラッカーを選択的に取り付けるように更に構成されても良い。
【0134】
システムは、トラッカーを取り付けられるように構成された、第2の取付アームを設けても良い。第2の取付アームは、例えば、滅菌トラッカー及び非滅菌トラッカーを、一度に1つずつ取り付けるように構成されても良い。第2の取付アームは、滅菌患者ドレープを通して滅菌トラッカーを取り付けるように構成されても良い。
【0135】
ナビゲート式の医療処置を実施するシステムが開示され、システムは、トラッカーとユーザが把持する表面(例えば、ハンドル)とを提供する本体が形成される仮想プローブを設け、仮想プローブのトラッカーは、姿勢データを含む光学信号を、情報処理装置と接続しているカメラに提供するように構成される。情報処理装置は、医用画像に基づいたユーザの解剖学的構造のビューを表示するように構成され、情報処理装置は更に、位置合わせに基づいて、また更に仮想プローブの先端の位置に基づいて、ビューを変更するように構成され、姿勢データによって表されるトラッカーの姿勢に対する仮想プローブの先端の位置は、情報処理装置のメモリにおいて取得可能である。
【0136】
ビューは、医用画像における仮想プローブの先端の位置を示すように変更されても良い。医用画像はCTスキャン及びMRIスキャンの1つであっても良い。
【0137】
システムは、トラッカーとユーザ把持可能な側面とを設ける本体を有し、本体から延設されるシャフト及び先端を更に設ける、プローブを更に有しても良い。
【0138】
仮想プローブの先端の位置は、仮想プローブ先端本体に対して、プローブ先端とプローブ本体との位置的関係と同じ位置的関係を有しても良い。
【0139】
仮想プローブは非滅菌時に使用し、プローブは滅菌時に使用しても良い。
【0140】
患者の解剖学的構造は頭蓋および脳であっても良いし、臀部または膝であっても良いし、椎骨であっても良い。
【0141】
この主題は、記載した特定の実施形態に限定されず、またそのため、様々であっても良いことが理解されるべきである。また、本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、限定的であることを意図しないことが理解されるべきである。
【0142】
本開示を読むことで当業者には明白となるように、本明細書に記載され例示される個々の実施形態はそれぞれ、本明細書の教示から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかにおける特徴とは容易に区別されるか又はそれらと組み合わされても良い、別個の構成要素および特徴を有する。任意の引用される方法は、引用されたイベントの順序で、又は論理的に可能な他の任意の順序で実施することができる。
【0143】
様々な実施形態について、添付図面を参照して本明細書に記載してきた。しかしながら、以下の特許請求の範囲で説明されるような開示の実施形態のより広範な範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更が行われても良く、追加の実施形態が実現されても良いことが明白となるであろう。
【0144】
<その他>
<手段>
技術的思想1の方法は、非滅菌カメラ取付アームの近位端に患者の解剖学的構造を固定する外科用クランプを着脱可能に連結するステップと、前記非滅菌カメラ取付アームの遠位端に非滅菌カメラを着脱可能に連結するステップと、情報処理装置における前記非滅菌カメラの座標フレームと前記患者の解剖学的構造との位置合わせに続いて、前記患者の解剖学的構造に対する前記非滅菌カメラの位置を移動させることなく、前記非滅菌カメラ及び前記非滅菌カメラ取付アームをカメラドレープで覆うことで、前記患者の解剖学的構造と前記非滅菌カメラ及び前記非滅菌カメラ取付アームとの間に滅菌バリアを設けるステップを含んでいる。
技術的思想2の方法は、技術的思想1に記載の方法において、前記カメラドレープは、前記カメラドレープで覆う前に作成した前記位置合わせを用いて、前記カメラドレープで覆った後に前記非滅菌カメラから受信した姿勢データを前記情報処理装置が使用できるように形成されている。
技術的思想3の方法は、技術的思想1又は2に記載の方法において、前記カメラドレープは、光学信号を歪みなく前記非滅菌カメラに送信できるように形成されている。
技術的思想4の方法は、技術的思想1から3のいずれかに記載の方法において、前記非滅菌カメラを前記カメラドレープで覆うことは、前記非滅菌カメラをチューブ状の前記カメラドレープの閉止端で囲むことで実現され、前記カメラドレープは、前記非滅菌カメラ取付アームを囲むように延設されている。
技術的思想5の方法は、技術的思想1から4のいずれかに記載の方法において、前記非滅菌カメラの上の適所で前記カメラドレープを保持する保持メカニズムを備えている。
技術的思想6の方法は、技術的思想5の方法において、前記保持メカニズムは、前記非滅菌カメラを機械的に留めるシュラウドで構成されている。
技術的思想7の方法は、技術的思想5又は6に記載の方法において、前記カメラドレープはドレープ光学窓を備え、前記保持メカニズムが、前記非滅菌カメラの光学部品との固定された適正な位置合わせで前記光学窓を保持する。
技術的思想8の方法は、技術的思想1から7のいずれかに記載の方法において、前記カメラドレープにおける開放端の境界面を患者ドレープに封止することで、連続的な滅菌バリアを維持する。
技術的思想9の方法は、技術的思想8記載の方法において、前記患者ドレープは、前記非滅菌カメラ取付アームが中を通って延在する開口部を備え、前記境界面が、前記患者ドレープの前記開口部と前記カメラドレープの前記開放端とによって設定されている。
技術的思想10の方法は、技術的思想9記載の方法において、前記カメラドレープが滅菌弾性バンド又は接着剤を含み、前記方法は、前記境界面を封止するときに前記滅菌弾性バンド又は接着剤を使用するステップを含んでいる。
技術的思想11の方法は、技術的思想1から10のいずれかに記載の方法において、前記非滅菌カメラが、ケーブルを介して前記情報処理装置に連結され、前記カメラドレープが前記ケーブルの一部分を封入する。
技術的思想12の方法は、技術的思想1から11のいずれかに記載の方法において、非滅菌トラッカーを前記患者の解剖学的構造に固定して前記位置合わせを実施するステップと、前記ドレーピングに続いて、滅菌トラッカーを前記患者の解剖学的構造に固定して、第2の位置合わせを実施することなく手術ナビゲーションを実施するステップとを含んでいる。
技術的思想13の方法は、技術的思想12記載の方法において、前記非滅菌トラッカー及び前記滅菌トラッカーが、同じ位置を有する同じトラッカー取付アームに固定されている。
技術的思想14の方法は、技術的思想13記載の方法において、前記非滅菌トラッカーの形状と前記滅菌トラッカーの形状とが異なる場合、前記非滅菌トラッカー及び前記滅菌トラッカーそれぞれを使用するときに、これらの形状の違いを前記情報処理装置による姿勢の計算における因子として用いる。
技術的思想15のコンピュータ実装方法は、情報処理装置で、非滅菌カメラの座標フレームと患者の解剖学的構造との位置合わせを実施するステップであって、前記非滅菌カメラが非滅菌カメラ取付アームの遠位端に着脱可能に連結され、前記非滅菌カメラ取付アームの近位端が前記患者の解剖学的構造を固定する外科用クランプに着脱可能に連結され、前記非滅菌カメラが姿勢データを前記情報処理装置に通信する、ステップと、前記患者の解剖学的構造に対する前記非滅菌カメラの位置を移動させることなく、前記非滅菌カメラ及び前記非滅菌カメラ取付アームをカメラドレープで覆うことで、前記患者の解剖学的構造と前記非滅菌カメラ及び前記非滅菌カメラ取付アームとの間に滅菌バリアを設けた後、前記位置合わせを使用して前記患者の解剖学的構造に対する滅菌機器の姿勢を前記情報処理装置によって計算して、外科的処置中の手術ナビゲーションを提供するステップとを含んでいる。
技術的思想16のコンピュータ実装方法は、技術的思想15記載のコンピュータ実装方法において、前記カメラドレープが、光学信号を歪みなく前記非滅菌カメラに送信できるように構成されている。
技術的思想17のコンピュータ実装方法は、技術的思想15又は16に記載のコンピュータ実装方法において、前記位置合わせは、非滅菌機器の姿勢データを使用して実行される。
技術的思想18のコンピュータ実装方法は、技術的思想15から17のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記カメラドレープがドレープ光学窓を備え、前記非滅菌カメラの光学部品との固定された適正な位置合わせで前記光学窓を保持する保持メカニズムを備えている。
技術的思想19のコンピュータ実装方法は、技術的思想15から18のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記患者の解剖学的構造に固定された非滅菌トラッカーの前記非滅菌カメラからの姿勢データを、前記情報処理装置で受信して、前記位置合わせを実行するステップと、前記ドレーピングに続いて、前記患者の解剖学的構造に固定された滅菌トラッカーの前記非滅菌カメラからの姿勢データを、前記情報処理装置で受信して、第2の位置合わせを実行することなく前記手術ナビゲーションを提供するステップとを含んでいる。
技術的思想20のコンピュータ実装方法は、技術的思想19記載のコンピュータ実装方法において、前記非滅菌トラッカー及び前記滅菌トラッカーが、同じ位置を有する同じトラッカー取付アームに固定されている。
技術的思想21のコンピュータ実装方法は、技術的思想20記載のコンピュータ実装方法において、前記非滅菌トラッカーの形状と前記滅菌トラッカーの形状とが異なる場合、前記非滅菌トラッカー及び前記滅菌トラッカーそれぞれを使用するときに、これらの形状の違いを因子として前記情報処理装置による姿勢の計算に入れる。
技術的思想22のコンピュータ実装方法は、技術的思想15から21のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記患者の解剖学的構造が頭蓋である。
技術的思想23のシステムは、患者、カメラ取付アーム、及び該カメラ取付アームに取り付けられたカメラをカメラドレープで覆って、ナビゲート式の外科的処置を実施するための滅菌バリアを設けるシステムであって、前記カメラドレープは、前記カメラ取付アーム及び前記カメラ取付アームの遠位端に取り付けられた前記カメラを被覆するものであって、該カメラドレープで覆ったときに前記カメラに隣接する閉止端と前記閉止端の遠位側にある開放端とを備え、前記カメラドレープを、前記患者を被覆する滅菌患者ドレープに対して封止して、連続的な滅菌バリアを維持する封止メカニズムとを備えている。
技術的思想24のシステムは、技術的思想23記載のシステムにおいて、前記滅菌患者ドレープが、前記カメラ取付アームの近位端を受け入れる開口部を設け、前記滅菌カメラドレープの前記開放端および前記滅菌患者ドレープの前記開口部が、前記封止メカニズムによって実質的に封止される境界面を形成する。
技術的思想25のシステムは、技術的思想23又は24に記載のシステムにおいて、前記封止メカニズムが滅菌弾性バンドを含み、前記滅菌弾性バンドが、前記カメラドレープを前記開放端またはその付近で、前記滅菌患者ドレープを前記開口部またはその付近で係合して、前記境界面を形成する。
技術的思想26のシステムは、技術的思想25記載のシステムにおいて、前記滅菌弾性バンドが、前記開放端またはその付近で前記滅菌カメラドレープに固定されている。
技術的思想27のシステムは、技術的思想23から26のいずれかに記載のシステムにおいて、前記封止メカニズムは、前記滅菌カメラドレープの前記開放端またはその付近を接着する接着剤で構成されている。
技術的思想28のシステムは、技術的思想27記載のシステムにおいて、前記接着剤が、接着側と前記滅菌カメラドレープの前記開放端またはその付近に固定された側とを備える、1つ若しくは複数の円周方向接着リングを含み、前記1つ若しくは複数の円周方向接着リングの前記接着側が、前記滅菌患者ドレープを前記開放端またはその付近で係合して前記境界面を形成する。
技術的思想29のシステムは、技術的思想23から28のいずれかに記載のシステムにおいて、前記滅菌患者ドレープは、閉止端が前記滅菌患者ドレープの遠位側にあるチューブ状突起と、そのチューブ状突起の閉止端またはその付近にあって、滅菌患者ドレープの非滅菌側にある非滅菌コネクタと滅菌患者ドレープの滅菌側にある滅菌コネクタとを備えるアダプタとを備え、前記非滅菌コネクタがトラッカー取付アームに付着するように構成され、前記滅菌コネクタが、滅菌トラッカー又は滅菌トラッカーマウントに付着するように構成されている。
技術的思想30のシステムは、技術的思想23から28のいずれかに記載のシステムにおいて、前記滅菌患者ドレープは、該滅菌患者ドレープの遠位側にある閉止端を有するチューブ状突起と、そのチューブ状突起の前記閉止端は、前記滅菌トラッカーとトラッカー取付アームとの間で係合され、前記チューブ状突起の前記閉止端が、前記トラッカー取付アームに取り付けられた前記滅菌トラッカーの位置に著しく影響しないように十分に薄い。
技術的思想31のコンピュータ実装方法は、患者の手術の非滅菌段階中に使用される非滅菌トラッカーと、患者の手術の滅菌段階中に前記非滅菌トラッカーの代わりに使用される滅菌トラッカーとの形状の違いを、情報処理装置によって格納するステップと、前記非滅菌段階中の前記非滅菌トラッカーに対する前記カメラの位置合わせを前記情報処理装置によって計算するステップと、前記非滅菌トラッカーの代わりに前記滅菌トラッカーが使用され、前記患者が患者ドレープで覆われている前記滅菌段階中、姿勢を計算する際に、前記情報処理装置によって格納された前記位置合わせ及び前記形状の違いを使用するステップとを含んでいる。
技術的思想32のコンピュータ実装方法は、技術的思想31記載のコンピュータ実装方法において、前記更新された位置合わせを計算する前記ステップの前に、前記患者ドレープが適用される前に取付アームに取り付けられたときの前記非滅菌トラッカーと、前記患者ドレープが適用された後に前記患者ドレープの滅菌トラッカーアダプタを介して前記取付アームに取り付けられたときの前記滅菌トラッカーとの相対位置であって、前記滅菌トラッカーアダプタの形状の特徴に基づいた前記相対位置を前記情報処理装置によって格納するステップと、前記非滅菌トラッカーの代わりに前記滅菌トラッカーが使用され、前記患者が前記患者ドレープで覆われている前記滅菌段階中、姿勢を計算する際に、前記情報処理装置によって格納された前記相対位置を使用するステップとを更に含んでいる。
技術的思想33のシステムは、ナビゲート式の医療処置を実施するシステムであって、命令を格納する記録媒体を備え、該命令が、情報処理装置で実行されると、患者の解剖学的構造に対して第1の位置関係を有するカメラと前記患者の解剖学的構造に対して第2の位置関係を有するトラッカーとの間の第1の姿勢を捕捉し、前記患者の解剖学的構造に対して第3の位置関係を有する前記カメラと前記第2の位置関係を有する前記トラッカーとの間の第2の姿勢を捕捉し、第1の位置合わせ、前記第1の姿勢、および前記第2の姿勢に基づいて、前記患者の解剖学的構造に対するカメラの更新された位置合わせを計算するように、前記情報処理装置を構成する。
技術的思想34のシステムは、技術的思想33記載のシステムにおいて、前記カメラを前記第1の位置関係で保持し、更に前記カメラが前記第3の位置関係へと移動できるように位置調節可能であるように構成されたカメラ取付アームを備えることを特徴とする。
技術的思想35のシステムは、技術的思想33又は34に記載のシステムにおいて、前記トラッカーが前記第2の位置関係を有するように取り付けられる。
技術的思想36のシステムは、技術的思想33から35のいずれかに記載のシステムにおいて前記トラッカーを前記第2の位置関係で保持するトラッカー取付アームを備えている。
技術的思想37のシステムは、技術的思想33から36のいずれかに記載のシステムにおいて、前記命令は、姿勢データと前記患者の解剖学的構造の医用画像とに基づいた前記第1の位置合わせを計算するように、前記情報処理装置を構成する。
技術的思想38のシステムは、技術的思想33から37のいずれかに記載のシステムにおいて、前記命令は、前記カメラを移動させるか又は姿勢を補足するかの少なくとも1つ機能を実行するようにユーザに指示する、図形による指示を表示装置に提供するように、前記情報処理装置を構成する。
技術的思想39のシステムは、技術的思想33から38のいずれかに記載のシステムにおいて、前記命令は、前記第1の姿勢を捕捉した後であって前記第2の姿勢を捕捉する前に、前記カメラの作業範囲と手術部位との位置合わせを表す図形による指示を表示装置に提供するように、前記情報処理装置を構成する。
技術的思想40のコンピュータ実装方法は、患者の解剖学的構造に対して第1の位置関係を有するカメラと前記患者の解剖学的構造に対して第2の位置関係を有するトラッカーとの間の第1の姿勢を、情報処理装置によって捕捉するステップと、前記患者の解剖学的構造に対して第3の位置関係を有する前記カメラと前記第2の位置関係を有する前記トラッカーとの間の第2の姿勢を、前記情報処理装置によって捕捉するステップと、第1の位置合わせ、前記第1の姿勢、および前記第2の姿勢に基づいて、前記患者の解剖学的構造に対する前記カメラの更新された位置合わせを前記情報処理装置によって計算するステップとを含んでいる。
技術的思想41のコンピュータ実装方法は、技術的思想40記載のコンピュータ実装方法において、姿勢データと前記患者の解剖学的構造の医用画像とに基づいた前記第1の位置合わせを前記情報処理装置によって計算するステップを含んでいる。
技術的思想42のコンピュータ実装方法は、技術的思想40又は41に記載のコンピュータ実装方法において、前記カメラを移動させるか又は姿勢を補足するかの少なくとも1つ機能を実行するようにユーザに指示する、図形による指示を、前記情報処理装置によって表示装置に提供するステップを更に含んでいる。
技術的思想43のコンピュータ実装方法は、技術的思想40から42のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記第1の姿勢を捕捉した後であって前記第2の姿勢を捕捉する前に、前記カメラの作業範囲と手術部位との位置合わせを表す図形による指示を、前記情報処理装置によって表示装置に提供するステップを更に含んでいる。
技術的思想44のシステムは、患者の解剖学的構造を視覚化するシステムであって、患者の解剖学的構造に対して固定の位置関係を有するトラッカーから、姿勢データを含む光学信号を受信し、前記光学信号を情報処理装置に通信するように構成されたカメラと、命令を格納する記録デバイスとを備え、該命令が、前記情報処理装置で実行されると、前記患者の解剖学的構造の医用画像に基づいた前記患者の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを、表示装置に提供してユーザに対して表示し、前記姿勢データを含む前記光学信号を前記カメラから受信し、前記姿勢データ及び位置合わせデータに基づいて、前記患者の解剖学的構造に対する前記カメラの姿勢を計算し、カメラ基準の参照面および前記カメラの姿勢に基づいて前記ビューを変更するように、前記情報処理装置を構成する。
技術的思想45のシステムは、技術的思想44記載のシステムにおいて、前記トラッカーが前記患者に非侵襲的に取り付けられる。
技術的思想46のシステムは、技術的思想44又は45に記載のシステムにおいて、前記カメラが手持ち式であり、前記カメラの移動によって前記情報処理装置が前記ビューを変更する。
技術的思想47のシステムは、技術的思想44から46のいずれかに記載のシステムにおいて、前記カメラがヘッドマウント式であり、頭部の移動によって前記情報処理装置が前記ビューを変更する。
技術的思想48のシステムは、技術的思想47記載のシステムにおいて、前記表示装置がヘッドマウントディスプレイを含むことを特徴とする。
技術的思想49のシステムは、技術的思想48記載のシステムにおいて、前記ヘッドマウントディスプレイに提供される前記ビューが前記患者の前記ユーザビュー上に重ね合わされる。
技術的思想50のシステムは、技術的思想46記載のシステムにおいて、前記表示装置は、ユーザが前記表示装置を通して見ることができるように透明である。
技術的思想51のシステムは、技術的思想49記載のシステムにおいて、前記表示装置に提供される前記ビューが部分的に透明である。
技術的思想52のシステムは、技術的思想44から51のいずれかに記載のシステムにおいて、前記患者の解剖学的構造上に、カメラ基準の参照面に対応する可視パターンを投影するプロジェクタを更に備えている。
技術的思想53のシステムは、技術的思想44から52のいずれかに記載のシステムにおいて、前記カメラ基準の参照面が、前記カメラの光学軸に垂直、且つ前記カメラから前記光学軸に沿って正の距離dだけ離れた1の面であって、前記患者の解剖学的構造の関心範囲が前記カメラから距離dに位置するときに前記トラッカーが前記カメラの視野内にあるような面である。
技術的思想54のシステムは、技術的思想53記載のシステムにおいて、前記距離dが変更可能に構成される。
技術的思想55のコンピュータ実装方法は、患者の解剖学的構造の医用画像に基づいて、前記患者の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを、情報処理装置によって表示装置に提供してユーザに対して表示するステップと、前記患者の解剖学的構造に対して固定の位置関係を有するトラッカーの姿勢データを含むカメラからの光学信号を、前記情報処理装置によって受信するステップと、前記姿勢データ及び位置合わせデータに基づいて、前記患者の解剖学的構造に対する前記カメラの姿勢を前記情報処理装置によって計算するステップと、カメラ基準の参照面および前記カメラの姿勢に基づいて、前記情報処理装置によって前記ビューを変更するステップとを含んでいる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15
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図17
図18
図19
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