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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】便座用漏れ防止具
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20230809BHJP
   A47K 13/24 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
A47K17/00
A47K13/24
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019095208
(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公開番号】P2020188900
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】519181825
【氏名又は名称】昭和ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】鶴谷 和矢
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3120727(JP,U)
【文献】国際公開第2018/039528(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0260031(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 17/00
A47K 13/24
E03D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座の裏面に配置され、前記便座と便器本体との隙間から小便が漏れるのを防止するための便座用漏れ防止具であって、
前記隙間を遮蔽するための可撓性を有する帯形状の遮蔽部と、
前記遮蔽部を前記便座の裏面に設置するための可撓性を有する帯形状の設置部と、
前記設置部の一方の面の全面に積層されている粘着性を有する粘着層と、
前記粘着層の前記設置部とは反対側の面に剥離可能に積層されている剥離シートと
を備え、前記遮蔽部と前記設置部とが、それぞれ前記帯形状の長手方向において隣接しており、
前記設置部、前記粘着層、および前記剥離シートを備える帯形状の積層部分が、その帯形状の長手方向にわたって複数の切れ目を有し、
前記帯形状の積層部分が、前記遮蔽部側から、その帯形状の幅の全長の10~18%の長さにわたって、前記切れ目の存在しないマージン部分を有する便座用漏れ防止具。
【請求項2】
前記設置部の前記粘着層が積層されている面と、それに隣接する前記遮蔽部の面との境界線に、溝を有する請求項に記載の便座用漏れ防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座用漏れ防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
便器は、通常、便器本体と、その上に、上げ下げ可能に設置された便座とを備える。便座の裏面には、一般に、複数の突出したクッション部が設けられており、このクッション部が、便座を下げた際に、便器本体の縁部上面に接する。このとき、便器本体の縁部上面と便座の裏面との間には、クッション部によって隙間が形成される。
【0003】
このような便器を使用する際、便座に着座して排尿しても、通常であれば、上述した隙間から小便が漏れることはほとんどないが、小児や高齢者が使用する場合は、不手際が起こり易く、隙間から小便が漏れて、便器周りや使用者の衣服を汚してしまうことが多く発生し得るという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、便器の排尿もれ防止装置として、便座の前端部下面に便器本体内へ垂下するとともに、便器本体の前縁曲部に沿って湾曲面状に形成された遮蔽板と、この遮蔽板の基端から直交に延び、遮蔽板を便座下面に貼付けるための接着層を有する取付面とを備えた装置が記載されている。特許文献2には、小便遺漏防止具として、合成樹脂などの可撓性を有するシート状(短冊状)の遮蔽部材と、この遮蔽部材の長手方向の一端縁に積層された接着剤層とを備えた防止具が記載されている。特許文献3には、排出された尿を受けて便器内に導く尿受け具として、便座下面に接着される接着部および接着部から延びる返し部と、これらに対して直交に延び、尿が当たる案内部とを備えた受け具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭64-4197号公報
【文献】特開平11-61938号公報
【文献】特開2001-137153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の便器の排尿もれ防止装置は、湾曲面状に形成された遮蔽板と、便座下面に貼付けられる接着層を有する取付面とが、直交するものであるから、このような3次元形状の装置では、プラスチック材料を金型で射出成形して製造する必要があり、金型作製などの製造コストが高く、また商品としてサイズもかさばるという問題がある。これらの問題は、接着部および返し部と、案内部とが直交するものである特許文献3に記載の尿受け具でも同様である。
【0007】
一方、特許文献2に記載の小便遺漏防止具は、合成樹脂などの可撓性を有するシート状(短冊状)の遮蔽部材の長手方向の一端縁に接着剤層を積層させていることから、金型で射出成形することなく製造でき、製造コストが安く、また、商品として薄い形状であるが、接着剤層を便座の内側端面という非常に平らな面積が小さい箇所に取り付けることとなり、固定が困難であったり、固定できても長期の使用により外れ易いという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、便座に容易に固定することができ、且つ長期の使用でも外れ難く、また、商品としてもコンパクトで製造コストも低く抑えることができる便座用漏れ防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る、便座の裏面に配置され、前記便座と便器本体との隙間から小便が漏れるのを防止するための便座用漏れ防止具は、前記隙間を遮蔽するための可撓性を有する帯形状の遮蔽部と、前記遮蔽部を前記便座の裏面に設置するための可撓性を有する帯形状の設置部と、前記設置部の一方の面に積層されている粘着性を有する粘着層と、前記粘着層の前記設置部とは反対側の面に剥離可能に積層されている剥離シートとを備えるものであり、前記遮蔽部と前記設置部とは、それぞれ前記帯形状の長手方向において隣接しており、前記設置部、前記粘着層、および前記剥離シートを備える帯形状の積層部分は、その帯形状の長手方向にわたって複数の切れ目を有する。
【0010】
前記帯形状の積層部分は、前記遮蔽部側から、その帯形状の幅の全長の10~18%の長さにわたって、前記切れ目の存在しないマージン部分を有することが好ましい。
【0011】
また、前記設置部の前記粘着層が積層されている面と、それに隣接する前記遮蔽部の面との境界線には、溝を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、本発明の便座用漏れ防止具は、隙間を遮蔽するための可撓性を有する帯形状の遮蔽部と、遮蔽部を便座の裏面に設置するための可撓性を有する帯形状の設置部とが、それぞれ帯形状の長手方向において隣接しており、また、設置部の一方の面に、粘着性を有する粘着層と、粘着層から剥離可能の剥離シートが順に積層されており、この設置部と粘着層と剥離シートを備える帯形状の積層部分が、その帯形状の長手方向にわたって複数の切れ目を有することから、この便座用漏れ防止具を使用する際に、遮蔽部と設置部とが約90度の角度をなすように折り曲げることができ、また、遮蔽部を長手方向に湾曲させると、設置部と粘着層と剥離シートを備える帯形状の積層部分は、複数の切れ間を介して複数の矩形に分割され、放射状に広がることから、遮蔽部を便座の内周の形状に合わせて容易に湾曲させることができる。よって、本発明の便座用漏れ防止具は、剥離シートを剥がすことで、便座に容易に固定することができ、また、複数の矩形の粘着層で便座裏面に固定されることから、長期の使用でも外れ難く、更に、帯形状の遮蔽部と設置部とは平面状に形成されており、商品として流通する間に必ずしも直交させておく必要がないことから、商品としてコンパクトで製造コストも低く抑えることができる。
【0013】
また、前記帯形状の積層部分が、遮蔽部側から、その帯形状の幅の全長の10~18%の長さにわたって、切れ目の存在しないマージン部分を有することで、便座用漏れ防止具を使用する際に、剥離シートを粘着層から一度に全て剥がすことができるとともに、遮蔽部を便座の形状に合わせて容易に湾曲させることができる。
【0014】
更に、設置部の粘着層が積層されている面と、それに隣接する遮蔽部の面との境界線に、溝を有することで、平面状に形成された帯形状の遮蔽部と設置部とが、約90度の角度をなすように容易に折り曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る便座用漏れ防止具の一実施の形態に示す斜視図である。
図2図1に示す便座用漏れ防止具の裏面図である。
図3図1に示す便座用漏れ防止具の側面図である。
図4図1に示す便座用漏れ防止具の使用態様を示す斜視図である。
図5図1に示す便座用漏れ防止具を便器の便座裏面に貼った状態を示す斜視図である。
図6図1に示す便座用漏れ防止具を貼った状態の便器の使用態様を説明する一部断面の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る便座用漏れ防止具の一実施の形態について説明する。
【0017】
図1図4に示すように、本実施の形態の便座用漏れ防止具1は、便器本体と便座との隙間を遮蔽するための帯形状の遮蔽部11と、この遮蔽部11の長手方向に沿って位置し、遮蔽部を便座の裏面に設置するための帯形状の設置部12と、この設置部12の一方の面に積層されている粘着性を有する粘着層20と、この粘着層20の設置部とは反対側の面(すなわち外側面)に剥離可能に積層されている剥離シート21とを主に備えている。
【0018】
遮蔽部11と設置部12は、可撓性を有する合成樹脂材10により一体的に構成されている。合成樹脂材10としては、例えば、ポリプロピレンや、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどが好ましい。遮蔽部11は、例えば、長手方向が180~220mm、幅方向が10~20mmの帯形状の形状を有することが好ましく、長手方向が190~210mm、幅方向が13~17mmの帯形状の形状を有することがより好ましい。設置部12は、例えば、長手方向が180~220mm、幅方向が10~20mmの帯形状の形状を有することが好ましく、長手方向が190~210mm、幅方向が13~17mmの帯形状の形状を有することがより好ましい。
【0019】
遮蔽部11と設置部12はどちらも厚さは0.5~1.5mmが好ましく、0.8~1.0mmがより好ましい。このような厚さであれば、遮蔽部11を自由に湾曲させることができるとともに、便座用漏れ防止具1を取り付けようとする便座に対して便座用漏れ防止具1が長すぎる場合に、便座用漏れ防止具1の端部をハサミで容易に切断でき、長さを調節することができる。遮蔽部11と設置部12の厚さは、同じとすることが好ましく、これにより一枚の合成樹脂材10から遮蔽部11と設置部12を容易に形成することができる。
【0020】
遮蔽部11と設置部12は、互いの面で約90度の角度をなすように配置されている。遮蔽部11の2つの面のうち、設置部12に約90度の角度で向き合う側を裏面11bと呼び、その反対側を遮蔽面11aと呼ぶ。また、設置部12の2つの面のうち、遮蔽部11に約90度の角度で向き合う側を裏面12bと裏面と呼び、その反対側を設置面12aと呼ぶ。遮蔽部11と設置部12が約90度の角度をなして容易に折り曲がるようにするため、例えば、合成樹脂材10の遮蔽部11の遮蔽面11aと設置部12の設置面12aとの境界線に溝(図示省略)を設けてもよい。また、遮蔽部11の遮蔽面11aを抗菌加工してもよい。
【0021】
設置部12の設置面12a全面には、粘着性を有する粘着層20と、更にその外側に剥離シート21が積層されている。粘着層20としては、遮蔽部11を湾曲させた状態で設置部20を便座の裏面に固定することができる粘着性能を有する粘着剤を用いて形成する。このような粘着剤としては、例えば、ポリエステル系、ウレタン系、ポリ酢酸ビニル系、アクリル系、シリコーン系、またはニトリルゴム系の粘着剤を用いることが好ましい。剥離シート21としては、粘着層20の粘着性を保護することができ、且つ粘着層20から容易に剥離することできる性質のプラスチックシートを用いる。このようなプラスチックシートとしては、例えば、アクリル系、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリエチレンナフタレート系、ポリエチレンテレフタレート系、またはフッ素樹脂系のプラスチックシートを用いることが好ましい。
【0022】
設置部12と粘着層20と剥離シート21とからなる帯形状の積層部分は、帯形状の長手方向にわたって複数の切れ目30を有する。切れ目30は、設置部12の裏面12bから剥離シート21の表面までを貫通するものである。これにより、図4に示すように、遮蔽部11を遮蔽面11aが凹状になるように湾曲させた際に、帯形状の積層部分は、切れ目30によって複数の矩形の積層体31に分割され、放射状に広がることとなる。切れ目30の数は、特に限定されないが、便座の形状に合わせて遮蔽部11を湾曲できるように、例えば、10~30個とすることが好ましく、12~20個とすることがより好ましい。また、切れ目30は、図2に示すように、帯形状の積層部分の幅Wの全長にわたり設けるのではなく、剥離部11側に切れ目30の存在しないマージン部分Mを残す。マージン部分Mの長さは、帯形状の積層部分の幅Wの全長の10~18%が好ましく、12~16%がより好ましく、13~14%が更に好ましい。切れ目30は、図1図2では、カッター等の切断器具による実質的に線状の切り幅(切れ目30の切り幅が、隣接する一方の矩形の積層体31の長さに対して約5%)を示したが、本発明はこれに限定されず、より大きな切り幅の切れ目を設けてもよい。
【0023】
このようにマージン部分Mを残して、設置部12と粘着層20と剥離シート21とからなる帯形状の積層部分に切れ目30を設けることで、便座用漏れ防止具1を使用する際に、剥離シート21を粘着層20から一度に全て剥がすことができるとともに、図4に示すように、遮蔽部11を便座の形状に合わせて遮蔽面11aが凹状になるように湾曲させることができる。
【0024】
このような構成を備える便座用漏れ防止具1の使用方法について説明する。便座用漏れ防止具1を便器に取り付けるために、先ず、便座用漏れ防止具1の粘着層20の表面を覆う剥離シート21を剥がす。この際、帯形状の剥離シート21の4つの隅のうち、剥離面11a側の2つの隅のどちらかから剥離シート21をめくることで、複数の切れ目30があっても、一度に剥離シート21を粘着層20から容易に剥がすことができる。そして、図5に示すように、便座用漏れ防止具1を取り付ける便器50の蓋53および便座51を便器本体54から上げて、便座51の裏面に、便座用漏れ防止具1の設置部12の粘着層20を貼り付ける。
【0025】
この際、便座51の内周の形状に合わせて、便座用漏れ防止具1の遮蔽面11aが凹状になるように遮蔽部11を湾曲させて、便座51の裏面から突出して設けられているクッション部52よりも内周側の位置に、放射状に広がる複数の矩形の積層体31の各粘着層20を貼っていくことで、便座51と便器本体54との隙間を遮蔽部11が遮蔽するように便座用漏れ防止具1を便器50に取り付けることができる。
【0026】
そして、このように便器50に便座用漏れ防止具1を取り付けることで、図6に示すように、使用者60が便座51に着座して排尿するとき、便座51と便器本体54との隙間に尿61が向けられても、尿61は便座用漏れ防止具1の遮蔽部11の遮蔽面11aに当たり、便器本体54内に留まる。よって、便座51と便器本体54との隙間から尿61が外へ漏れることを防ぐことができ、便器周辺や使用者の衣服が尿により汚れることを防ぐことができる。
【0027】
なお、図5図6では、温水洗浄装置55が付いた便器50を示しており、このような便器50では、洗浄ノズル(図示省略)から放出された温水が使用者60に当たった後に広く飛散する場合があるが、便座用漏れ防止具1が取り付けてあれば、その遮蔽面11aで遮蔽した便座51と便器本体54との隙間に関しては、飛散した温水が便器の外へ漏れるのを防ぐことができる。もちろん、本発明の便座用漏れ防止具は、このような温水洗浄装置55が付いた便器50に限定されず、便座を備えた洋式便器に広く使用することができる。
【実施例
【0028】
便座用漏れ防止具を実際に作製して試験を行った。合成樹脂材として厚さ1mm、長さ200mm、幅30mmの長方形のポリプロピレン材を用意し、治具を用いて、幅方向の中心位置で長手方向に沿ってポリプロピレン材を約90度に折り曲げた。これにより、幅15mmの帯形状の遮蔽部と、長さ200mm、幅15mmの帯形状の設置部とを一体的に作製した。そして、設置面の外側表面の全面に、剥離テープを備えたアクリル系の両面粘着性テープ(積水化学社製)を貼った。そして、設置部の端から幅方向に向かって13mmの長さにわたり、剥離テープを備えた両面粘着性テープと設置部の両方を、ニッパー(KEIBA社製)、カッター(OLFA社製)及び治具で切断して、切り目を設けた。切り目は、設置部の長手方向にわたってほぼ均等に19箇所に設けた。
【0029】
このようにして作製した便座用漏れ防止具は、遮蔽部と設置部が容易に約90度の角度をなすように合成樹脂材を容易に折り曲げることができた。また、設置面の幅15mmに対して切り目の長さを13mmとし、設置面の遮蔽部側に、切り目の存在しないマージン部分を2mm(設置面の幅に対して約13%)の幅で設けたことから、剥離テープを両面粘着性テープから剥がす際に、途中で千切れずに一度に容易に剥がすことができたとともに、遮蔽部の遮蔽面を便器の内周の形状に合わせて容易に湾曲させることができた。
【0030】
そして、この便座用漏れ防止具を便座の裏面に取り付ける前後の便器を、実際に、幼児に使用させたところ、便座用漏れ防止具を取り付ける前の便器では、幼児が便座の奥に座ることができないことから、尿が便座と便器本体の隙間から漏れることが頻繁に繰り返されていたところ、便座用漏れ防止具を取り付けた後の便器では、便座用漏れ防止具の遮蔽面に尿が当たり、便座と便器本体との隙間を介して便器の外へ尿が漏れるのを防止することができたことを確認した。
【0031】
なお、マージン部分を3mm(設置面の幅に対して20%)の幅で設けた点を除き、上記と同様にして便座用漏れ防止具を作製した。この便座用漏れ防止具では、剥離テープを両面粘着性テープから剥がす際に、途中で千切れずに一度に容易に剥がすことができたものの、遮蔽部の遮蔽面を便器の内周の形状に合わせて湾曲させるのは困難であった。
【0032】
また、切れ目を設置面の全幅に対して設けた点を除き、上記と同様にして便座用漏れ防止具を作製した。この便座用漏れ防止具では、遮蔽部の遮蔽面を便器の内周の形状に合わせて容易に湾曲させることができたものの、剥離テープを両面粘着性テープから剥がす際に、剥離テープは切れ目で切れていることから、剥離テープを両面粘着性テープから剥がす作業を20回も行うことになり、便座用漏れ防止具を便座に取り付けるための作業が非常に煩わしいものであった。
【符号の説明】
【0033】
1 便座用漏れ防止具
10 合成樹脂材
11 遮蔽部
11a 遮蔽面
12 設置部
20 粘着層
21 剥離シート
30 切れ目
50 便器
51 便座
52 クッション部
53 蓋
54 便器本体
55 温水洗浄装置
60 使用者
61 尿
図1
図2
図3
図4
図5
図6