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  • 特許-天板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】天板
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/18 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
A47B96/18 D
A47B96/18 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019095707
(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公開番号】P2020188928
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】301042505
【氏名又は名称】コバヤシ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】小林 武則
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-044281(JP,A)
【文献】特開平10-248645(JP,A)
【文献】特開平11-034233(JP,A)
【文献】実開平07-015331(JP,U)
【文献】特開2015-208375(JP,A)
【文献】特開平07-143916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/18
A47B 13/08
A47B 96/20
B32B 1/00-43/00
E04C 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面材と裏面材との間に発泡樹脂からなる平板状の芯材が設けられた天板であって、
前記芯材は、第1の発泡樹脂からなる第1の発泡樹脂部と、第2の発泡樹脂からなる第2の発泡樹脂部とを備え、前記第1の発泡樹脂部の外周面の少なくとも一部が、前記第2の発泡樹脂部により覆われており、
前記第1の発泡樹脂の発泡倍率が、前記第2の発泡樹脂の発泡倍率よりも高く、
前記第2の発泡樹脂部は、前記第1の発泡樹脂部の外周全体を取り囲むように枠状に形成されて、前記第2の発泡樹脂部の外周面である露出部を保護するための表面処理が施されている天板。
【請求項2】
前記第1の発泡樹脂は、発泡ポリスチレンからなり、前記第2の発泡樹脂は、発泡ABSからなる請求項1に記載の天板。
【請求項3】
脚部取付用のポップナットが、前記第1の発泡樹脂部に埋設されている請求項1または2に記載の天板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机やテーブル等に使用される天板に関する。
【背景技術】
【0002】
机やテーブル等に使用される従来の天板として、特許文献1には、表面材と裏面材との間に、発泡樹脂等からなる板状パネルを複数積層した構成が開示されている。板状パネルの周囲には、合成樹脂やアルミニウム等からなるエッジが接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-65684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の天板は、板状パネルの材料となる発泡樹脂の発泡倍率が高いと強度が不足しやすいのに対し、発泡倍率が低いと低コスト化や軽量化が困難になるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、強度を維持しつつ軽量で安価な天板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、表面材と裏面材との間に発泡樹脂からなる平板状の芯材が設けられた天板であって、前記芯材は、第1の発泡樹脂からなる第1の発泡樹脂部と、第2の発泡樹脂からなる第2の発泡樹脂部とを備え、前記第1の発泡樹脂部の外周面の少なくとも一部が、前記第2の発泡樹脂部により覆われており、前記第1の発泡樹脂の発泡倍率が、前記第2の発泡樹脂の発泡倍率よりも高く、前記第2の発泡樹脂部は、前記第1の発泡樹脂部の外周全体を取り囲むように枠状に形成されて、前記第2の発泡樹脂部の外周面である露出部を保護するための表面処理が施されている天板により達成される。
【0008】
また、前記第1の発泡樹脂は、発泡ポリスチレンからなることが好ましく、前記第2の発泡樹脂は、発泡ABSからなることが好ましい。
【0009】
上記の天板は、脚部取付用のポップナットが、前記第1の発泡樹脂部に埋設された構成にすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、強度を維持しつつ軽量で安価な天板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る天板の平面図である。
図2図1に示す天板の要部断面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る天板の平面図である。
図4】本発明の更に他の実施形態に係る天板の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る天板の平面図であり、図2は、図1に示す天板の要部断面図である。図1および図2に示すように、天板1は、平面視矩形状に形成されており、表面材2と裏面材3との間に芯材4が設けられている。
【0013】
表面材2および裏面材3は、平板状の部材であり、従来の天板が備える表面材および裏面材の材料と同様の材料により形成可能である。一例を挙げると、表面材2は、厚さが1mm程度のメラミン化粧板により形成することができ、裏面材3は、厚さが1mm程度のMDFや合板などの木質材料により形成することができる。裏面材3は、メラミンやフェノールバッカー等により形成してもよい。表面材2および裏面材3には、外周に沿ってR面取りや糸面取り等の小口加工を施すことが好ましい。
【0014】
芯材4は、大きな厚み(例えば20mm程度)の平板状に形成されており、平面視矩形状の第1の発泡樹脂部4aと、第1の発泡樹脂部4aの外周全体を取り囲むように枠状に形成された第2の発泡樹脂部4bとを備えている。第2の発泡樹脂部4bは、表面材2および裏面材3の外周に沿うように配置されている。第1の発泡樹脂部4aおよび第2の発泡樹脂部4bは、接着剤により互いに接着されると共に、表面材2および裏面材3に対しても接着剤により接着される。第2の発泡樹脂部4bの外周面は外部に露出しており、この露出部を保護するための表面処理が施されている。表面処理の具体例としては、合成樹脂等からなるコーティング剤を露出面に塗布してコーティング層を形成する方法や、シンナー等の溶剤により露出面の近傍を溶かして保護層を形成する方法などを挙げることができる。
【0015】
第1の発泡樹脂部4aおよび第2の発泡樹脂部4bは、それぞれ第1の発泡樹脂および第2の発泡樹脂により形成されている。第1の発泡樹脂および第2の発泡樹脂は、発泡倍率が互いに相違しており、第1の発泡樹脂の発泡倍率が、第2の発泡樹脂の発泡倍率よりも高くなるように設定されている。第1の発泡樹脂および第2の発泡樹脂の具体的な発泡倍率は特に制限されないが、例えば1.1~60倍の範囲でそれぞれ設定することができ、好ましくは、第1の発泡樹脂の発泡倍率を25~60倍、第2の発泡樹脂の発泡倍率を1.5~10倍の範囲に設定する。発泡倍率は、発泡前の樹脂の密度を発泡後の樹脂の見かけ密度で割った値である。第1の発泡樹脂部4aおよび第2の発泡樹脂部4bの厚みは、例えば、5~30mm程度に設定することが好ましい。
【0016】
第1の発泡樹脂および第2の発泡樹脂の発泡倍率を上記のように設定することで、芯材4の中央部を高発泡にして軽量化および低コスト化を図りつつ、芯材4の周縁部を低発泡にして天板1に必要な強度を維持することができる。第1の発泡樹脂部4aおよび第2の発泡樹脂部4bの好ましい組み合わせの一例として、第1の発泡樹脂部4aには、発泡倍率が30~40倍程度の発泡ポリスチレンからなる「スタイロフォーム(登録商標)」(ダウ化工株式会社製)を使用し、第2の発泡樹脂部4bには、発泡倍率が2~5倍程度の発泡ABSからなる「ハッポーライト」(ハッポー化学工業株式会社製)を使用する。
【0017】
第1の発泡樹脂部4aおよび第2の発泡樹脂部4bの材料としては、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ABS、発泡AES、発泡塩化ビニル等の種々の発泡樹脂材料を挙げることができる。第1の発泡樹脂部4aおよび第2の発泡樹脂部4bは同じ材料により形成することができ、あるいは、互いに異なる材料で形成することもできる。
【0018】
また、本実施形態の天板1は、裏面材3にポップナット5が取り付けられている。ポップナット5は、天板1の角部にそれぞれ対応して合計4か所に設けられており、図2は、そのうちの1つを示している。ポップナット5の配置や数は特に限定されるものではなく、例えば、矩形状の天板1の互いに対向する一対の長辺部に沿って合計8か所にポップナット5を設けて、一対の脚部をそれぞれ長辺部に沿って取り付けることが可能である。
【0019】
ポップナット5は、裏面材3に形成された貫通孔3aの周縁に係合する円板状の鍔部5aと、内周面に雌ねじが形成された筒部5bとの間を、マンドレル(図示せず)の操作により座屈させて座屈部5cが形成される公知の構成であり、鍔部5aおよび座屈部5cで裏面材3を挟持することにより、ポップナット5が裏面材3に固定される。ポップナット5の筒部5bには、脚部Lの先端に設けられたボルト部Bを螺合することにより脚部Lを天板1に固定することができる。ポップナット5の具体的な形状は特に限定されないが、例えば、座屈部5cに複数のスリットが形成されたスリットナットを好適に使用することができる。
【0020】
ポップナット5は、本実施形態のように、高発泡である第1の発泡樹脂部4aに埋設される位置に取り付けることが好ましく、貫通孔3aに挿入されたポップナット5の押圧による第1の発泡樹脂部4aの変形を促して、ポップナット5の取り付けを容易に行うことができる。一方、第2の発泡樹脂部4bに脚部Lを取り付ける場合には、タッピングねじ等を使用することができる。
【0021】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、第1の発泡樹脂部4aの外周面の全体を第2の発泡樹脂部4bで覆うように構成しているが、第1の発泡樹脂部4aの外周面の一部のみを第2の発泡樹脂部4bで覆う構成であってもよい。例えば、図3に示すように、矩形状に形成された第1の発泡樹脂部4aの互いに対向する一対の縁部に第2の発泡樹脂部4b,4bを設ける一方、他の一対の縁部には従来と同様にエッジバンド6等を設けてもよい。
【0022】
また、本実施形態においては、第2の発泡樹脂部4bの断面形状を矩形状としているが、例えば図4に示すように、外方に向けて先細になる形状等であってもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 天板
2 表面材
3 裏面材
4 芯材
4a 第1の発泡樹脂部
4b 第2の発泡樹脂部
5 ポップナット
L 脚部
B ボルト部材
図1
図2
図3
図4