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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】綴じ具
(51)【国際特許分類】
   B42F 13/22 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
B42F13/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019160547
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021037704
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000115821
【氏名又は名称】株式会社リヒトラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 莞二
(72)【発明者】
【氏名】有本 佳照
(72)【発明者】
【氏名】岩本 真一
(72)【発明者】
【氏名】長和 伸晃
(72)【発明者】
【氏名】岩上 優樹
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-046527(JP,A)
【文献】国際公開第2017/042952(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された一対の半リング部材からなるリング部材が一方向に複数並設されており、前記リング部材の各半リング部材の一端部同士が係合する綴じ具において、
前記リング部材の少なくとも一方の半リング部材は、両端部の間のシフト部のみが前記両端部に対して前記一方向にシフトしており、
前記一対の半リング部材において各シフト部のシフト量の和は、前記一方向における前記リング部材の寸法の少なくとも1倍であることを特徴とする綴じ具。
【請求項2】
各半リング部材の前記一端部は、前記一対の半リング部材の対向方向にて直線状をなすことを特徴とする請求項1に記載の綴じ具。
【請求項3】
各半リング部材の他端部が固定されるベース部を備え、
前記一対の半リング部材の他端部同士は、前記対向方向にて対向していることを特徴とする請求項2に記載の綴じ具。
【請求項4】
各半リング部材の前記シフト部は、
前記一方向と直交する方向に直線状に延びることを特徴とする請求項2又はに記載の綴じ具。
【請求項5】
前記リング部材は、各半リング部材が前記一方向において相互逆向きに移動することによって前記係合が解除され、
各半リング部材において、前記シフト部は、前記移動の向きと反対向きにシフトしていることを特徴とする請求項1からの何れか一つに記載の綴じ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向配置された一対の半リング部材からなるリング部材が並設された綴じ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二つの構成部材からなり、各構成部材の一端部同士が係合又は解除するリング部材を複数備える、いわゆるリングファイルが普及している。
【0003】
例えば、特許文献1においては、表紙体の背表紙に取り付けられたベースと、該ベース部に支持されて閉ループを形成するリング部材とを備えるファイルが開示されており、前記リング部材を構成する2つの構成部材が、前記ベースから上方に向けられる基部と、該基部に連なる起立軸部と、該起立軸部の上方から内方に向けられた湾曲軸部とを有することについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特願2010-274544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなファイルにおいては、例えば、該ファイルを本棚に複数横並べる場合、隣り合うファイルのリング部材(起立軸部)同士が衝突することから、各ファイルはその並び方向において少なくともリング部材の幅だけのスペースが必要であった。これは、綴じられるシート材が少ない場合であっても同様であり、非効率的である。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、綴じ具(ファイル)を並べる際、隣り合う綴じ具のリング部材同士の衝突を回避し、より効率的に複数の綴じ具を並べることができる綴じ具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る綴じ具は、対向配置された一対の半リング部材からなるリング部材が一方向に複数並設されており、前記リング部材の各半リング部材の一端部同士が係合する綴じ具において、前記リング部材の少なくとも一方の半リング部材は、両端部の間に、他方の半リング部材に対して前記一方向にシフトしているシフト部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、前記一対の半リング部材のうち一方の半リング部材、又は両方の半リング部材が前記シフト部を有しており、前記リング部材の並設方向において、一方の半リング部材のシフト部は他方の半リング部材に対してシフトしている。従って、綴じ具同士が隣り合う場合、前記リング部材同士の衝突を回避できる。
【0009】
本発明に係る綴じ具は、各半リング部材の前記一端部は、前記一対の半リング部材の対向方向にて直線状をなすことを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、一方の半リング部材の一端部又は/及び他方の半リング部材の一端部は、前記一方の半リング部材及び前記他方の半リング部材の対向方向において直線状に延びる。従って、被綴じシート材の孔を一方の半リング部材又は他方の半リング部材の一端部に通し易い。
【0011】
本発明に係る綴じ具は、前記一対の半リング部材において各シフト部のシフト量の和は、前記一方向における前記リング部材の寸法の少なくとも1/2であることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、一方の半リング部材のシフト部のシフト量、及び、他方の半リング部材のシフト部のシフト量の和は、前記一方向における前記リング部材の寸法の少なくとも1/2である。従って、綴じ具同士が隣り合う場合、前記リング部材同士の衝突を極力抑えることができる。
【0013】
本発明に係る綴じ具は、各半リング部材の他端部が固定されるベース部を備え、前記一対の半リング部材の他端部同士は、前記対向方向にて対向していることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、一方の半リング部材の他端部と、他方の半リング部材の他端部とは、前記対向方向にて対向している。従って、一方の半リング部材の他端部及び他方の半リング部材の他端部に掛止される被綴じシート材の間にて、前記一方向におけるズレが発生しない。
【0015】
本発明に係る綴じ具は、各半リング部材の前記シフト部は、前記一方向と直交する方向に直線状に延びることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、各半リング部材の前記シフト部は、前記一方向と直交する方向、即ち前記対向方向から見て直線状に延びる。従って、綴じ具の製造工程において各半リング部材の取り扱いが容易である。
【0017】
本発明に係る綴じ具は、前記リング部材は、各半リング部材が前記一方向において相互逆向きに移動することによって前記係合が解除され、各半リング部材において、前記シフト部は、前記移動の向きと反対向きにシフトしていることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、前記係合を解除する際に各半リング部材が移動する向きと反対向きに各半リング部材の前記シフト部がシフトしている。従って、前記係合を解除する際にユーザが各半リング部材を移動させる操作が容易である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、綴じ具(ファイル)を並べる際、隣り合う綴じ具のリング部材同士の衝突を回避し、より効率的に複数の綴じ具を並べることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施の形態に係る綴じ具の正面図である。
図2】本実施の形態に係る綴じ具の平面図である。
図3】本実施の形態に係る綴じ具の側面図である。
図4】本実施の形態に係る綴じ具の背面図である。
図5】本実施の形態に係る綴じ具において、リング部材と、ハウジングと、ベース部との位置関係を示す図である。
図6】本実施の形態に係る綴じ具の左側ベース部を概略的に示す概略図である。
図7】本実施の形態に係る綴じ具において、リング部材の付近を拡大して示す拡大図である。
図8図3のVII-VII線による断面図である。
図9】本実施の形態に係る綴じ具がファイル表紙体に取り付けられた場合を例示する例示図である。
図10】綴じ具が取り付けられたファイル表紙体が並べられた場合を例示する例示図である。
図11図2の破線の円部分を拡大して示す拡大図である。
図12】本実施の形態に係る左側半リング部材を示す部分的斜視図である。
図13】本実施の形態に係る綴じ具において左側半リング部材の上端部及び右側半リング部材の上端部の係合が解除された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態に係る綴じ具を図面に基づいて詳述する。
本実施の形態では、便宜上、図に示す前後、左右、上下の各方向により、綴じ具の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」を定義する。以下では、このように定義される前後、左右、上下の各方向を用いて説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る綴じ具1の正面図であり、図2は、本実施の形態に係る綴じ具1の平面図であり、図3は、本実施の形態に係る綴じ具1の側面図であり、図4は、本実施の形態に係る綴じ具1の背面図である。
【0023】
綴じ具1は、前後方向(一方向)に並設された略リング状のリング部材10,10と、リング部材10,10が固定されたベース部30と、ベース部30が収容されるハウジング20とを備えている。
【0024】
各リング部材10は2つの半リング部材11,12から構成され、左側の半リング部材11(以下、左側半リング部材11)及び右側の半リング部材12(以下、右側半リング部材12)が左右方向にて対向配置されている。左側半リング部材11及び右側半リング部材12は、夫々の上側端部同士が係合することにより閉ループを形成するように構成されている。即ち、左側半リング部材11の上端部111及び右側半リング部材12の上端部121が係合してリング形状をなす。
【0025】
綴じ具1は綴じ孔を有する被綴じシート材を綴じる。即ち、左側半リング部材11の上端部111及び右側半リング部材12の上端部121の係合を解除し、被綴じシート材の斯かる綴じ孔に左側半リング部材11及び右側半リング部材12を挿通させることによって、前記被綴じシート材を保持することができる。
【0026】
ハウジング20は、平面視長円形状であり、前後方向に延びる。ハウジング20の両端部にはリング部材10が夫々設けられている。本実施の形態においては、綴じ具1が2つのリング部材10を備える場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものでなく、綴じ具1が三つ以上のリング部材10を備えるように構成しても良い。
【0027】
左側半リング部材11及び右側半リング部材12の下側端部はベース部30に固定されている。図5は、本実施の形態に係る綴じ具1において、リング部材10と、ハウジング20と、ベース部30との位置関係を示す図である。図5においては説明の便宜上、ハウジング20を二点鎖線にて示している。
左側半リング部材11の下端部115及び右側半リング部材12の下端部125は、ハウジング20を貫通してベース部30に固定されている。
【0028】
ハウジング20は、両端部に扁平部を夫々設けており、各扁平部には貫通孔25が形成されている。例えば、リベットを貫通孔25に挿通させて、ハウジング20(綴じ具1)を市販のファイル表紙体の背表紙に取り付けることができる。
【0029】
ハウジング20は、表側において幅方向の中間部が盛り上がっており、これによって、裏側に、凹部21が形成されている(図4参照)。凹部21にベース部30が収容されている。
【0030】
ハウジング20では、両端部寄りに、ハウジング20を内外に貫通する貫通孔24が形成されている。即ち、ハウジング20は、長手方向の両端部であって幅方向の両端部に、一対の貫通孔24が夫々形成されている。一対の貫通孔24はハウジング20の幅方向にて斜めに対向するように形成されている。換言すれば、左側の貫通孔24は右側の貫通孔24と前後方向にて少しずれた位置に設けられている。
各貫通孔24を通して、左側半リング部材11の下端部115及び右側半リング部材12の下端部125がハウジング20の内側に挿入され、ベース部30にて固定される。ベース部30は、綴じ具1の取付面(例えば、ファイル表紙体の背表紙)に対して略垂直になるように左側半リング部材11及び右側半リング部材12を保持する。
【0031】
ハウジング20は左右側の両側面に夫々4つの窪みを設けてある。4つの窪みのうち、前後方向の端部寄りの窪みは、貫通孔24より下側に貫通孔24と隣り合うように設けられている。各窪みは、ハウジング20の側面をかしめてハウジング20の内側に湾曲させたものである。換言すれば、凹部21において、各窪みに該当する位置には、突起が形成されている。ハウジング20の左側の窪み(突起)と、左側の窪み(突起)とは、貫通孔24と同様、前後方向にて少しずれた位置に設けられている。
【0032】
ベース部30は、ハウジング20の長手方向に沿って延びる矩形の板状であり、その左右方向(幅方向)の両縁部が4つの前記突起によって支持されている。即ち、ベース部30は、ハウジング20の内側面と前記突起との間に介在している。前記突起は、ベース部30が前後方向に摺動できるようにベース部30を保持している。
【0033】
ベース部30は、左側ベース部31及び右側ベース部32に二分されており、左側ベース部31及び右側ベース部32は何れも細長い長方形である。左側ベース部31及び右側ベース部32は幅方向の寸法がハウジング20の幅方向の寸法の訳1/2であり、長手方向の寸法はハウジング20の長手方向の寸法より少し小さい。左側ベース部31及び右側ベース部32はその長手方向がハウジング20の長手方向と平行であるように、ハウジング20内に収容されている。左側ベース部31及び右側ベース部32は、隣り合うように、ハウジング20の幅方向に沿って並設されている。
【0034】
図6は、本実施の形態に係る綴じ具1の左側ベース部31を概略的に示す概略図である。図6は、左側ベース部31の下面を示している。
左側ベース部31は、長手方向(前後方向)の両端部に、矩形貫通孔316が夫々形成されている。左側半リング部材11の下端部115は、貫通孔24を通してハウジング20の内側に挿入され、矩形貫通孔316を介して、左側ベース部31を上面側から下面側に貫通する。
左側半リング部材11の下端部115の端に対して例えばカシメ処理によって変形され、抜け止め頭部116が形成される。これによって、左側半リング部材11は左側ベース部31にしっかり固定される。
【0035】
また、左側ベース部31では、前後方向において両端から夫々約1/3の位置に、略矩形の切り欠き312,315が夫々形成されている。切り欠き312,315は、左側ベース部31における2つの長辺のうち、右側、即ち、右側ベース部32に近い長辺の縁部に形成されている。切り欠き312,315は前後方向に延びる。前後方向において、切り欠き312は後側よりに形成され、切り欠き315は前側よりに形成されている。
【0036】
切り欠き312,315の後側には矩形の突起311,314が設けられている。突起311は切り欠き312に隣り合うように設けられ、突起314は切り欠き315に隣り合うように設けられている。突起311,314は左側ベース部31の右側縁から右側ベース部32側に突設されている。
【0037】
左側ベース部31の下面には、切り欠き312の近傍に、後述するコイルバネ40の一端側のリングを掛けるための掛けフック313が設けられている。
【0038】
右側ベース部32は、左側ベース部31と同様の形状であり、左側ベース部31と対応する形状を有している(図4参照)。
即ち、右側ベース部32においては、長手方向の両端部に、矩形貫通孔(図示せず)が夫々形成されている。また、右側ベース部32は、左側長辺の縁部に、切り欠き321,324が形成されており、切り欠き321,324の前側に突起322,325が設けられている。切り欠き321と隣り合うように突起322が設けられ、切り欠き324と隣り合うように突起325が設けられている。また、右側ベース部32の下面には、切り欠き324の近傍に、コイルバネ40の他端側のリングを掛けるための掛けフック323が設けられている。
【0039】
右側ベース部32の切り欠き321及び切り欠き324は、左側ベース部31の切り欠き315及び切り欠き312と夫々同一形状をなす。また、右側ベース部32の突起322及び突起325は、左側ベース部31の突起314及び突起311と夫々同一形状をなす。右側ベース部32は、左側ベース部31と同様の形状であるので、図示及び詳しい説明を省略する。
【0040】
左側ベース部31及び右側ベース部32がハウジング20内に収容される場合、左側ベース部31の右側の縁と、右側ベース部32の左側の縁とが当接するように配置される。この際、左側ベース部31の突起311,314は、右側ベース部32の切り欠き321,324の内側に夫々位置し、右側ベース部32の突起322,325は、左側ベース部31の切り欠き312,315の内側に夫々位置する。従って、突起311,314は、切り欠き321,324に係る範囲内に限って、前後方向に移動可能であり、突起322,325は、切り欠き312,315に係る範囲内に限って、前後方向に移動可能である。
【0041】
図2では、左側半リング部材11及び右側半リング部材12が係合している場合を示しており、図4はこの際の左側ベース部31及び右側ベース部32の位置関係を示している。図4に示すように、前後方向において、左側ベース部31の突起311,314は右側ベース部32の突起322,325と夫々当接しており、突起311,314より後側に隙間が生じており、突起322,325よい前側に隙間が生じている。従って、左側ベース部31は後側へ移動可能であり、右側ベース部32は前側に移動可能である。即ち、左側ベース部31及び右側ベース部32は互いに反対向きに移動可能である。
【0042】
一方、コイルはね40の一端側リング41は左側ベース部31の掛けフック313に掛けられており、コイルばね40の他端側リング42は右側ベース部32の掛けフック323に掛けられている。従って、左側ベース部31は前側に向けて付勢され、右側ベース部32は後側に向けて付勢されている。即ち、コイルばね40によって、左側ベース部31の後側への移動が抑制され、右側ベース部32の前側への移動が抑制され、左側半リング部材11及び右側半リング部材12の係合状態が維持される。
【0043】
図7は、本実施の形態に係る綴じ具1において、リング部材10の付近を拡大して示す拡大図であり、図8は、図3のVII-VII線による断面図である。
上述したように、各リング部材10において、左側半リング部材11及び右側半リング部材12は等しい形状を有しており、左側半リング部材11及び右側半リング部材12は、左右方向にて対向するように配置されている。また、左側半リング部材11の上端部111及び右側半リング部材12の上端部121は係合して閉ループを形成する。また、左側半リング部材11の下端部115及び右側半リング部材12の下端部125はベース部30に固定されている。
【0044】
また、図7及び図8に示すように、左側半リング部材11の下端部115と、右側半リング部材12の下端部125とは、左側半リング部材11及び右側半リング部材12の対向方向、即ち左右方向にて対向するように設けられている。例えば、下端部115と下端部125とは、左側半リング部材11及び右側半リング部材12の対向方向にて整合する位置に設けられている。
【0045】
また、左側半リング部材11において下端部115の真上には上端部111が位置しており、右側半リング部材12において下端部125の真上には上端部121が位置している。即ち、上下方向において、左側半リング部材11の下端部115及び上端部111は整合する位置に有り、右側半リング部材12の下端部125及び上端部121は整合する位置に有る。
【0046】
左側半リング部材11は、上端部111及び下端部115の間に、右側半リング部材12に対して前後方向にシフトしたシフト部113を有している。また、右側半リング部材12は、上端部121及び下端部125の間に、左側半リング部材11に対して前後方向にシフトしたシフト部123を有している。
左側半リング部材11のシフト部113及び右側半リング部材12のシフト部123は、左右方向及び前後方向と直交する方向、即ち、上下方向に直線状に延びる部分である。
【0047】
即ち、左側半リング部材11のシフト部113は、右側半リング部材12の下端部125(又は左側半リング部材11の下端部115)の位置(図7の一点鎖線参照)に対して前側にシフトしている。また、右側半リング部材12のシフト部123は、左側半リング部材11の下端部115(又は右側半リング部材12の下端部125)の位置(図7の一点鎖線参照)に対して後側にシフトしている(図7参照)。
【0048】
左側半リング部材11において、シフト部113の下端は、下湾曲部114を介して下端部115に連結されており、シフト部113の上端は、上湾曲部112を介して上端部111に連結されている。即ち、下湾曲部114はシフト部113と下端部115を連結する湾曲部であり、上湾曲部112はシフト部113と上端部111とを連結する湾曲部である。
【0049】
右側半リング部材12において、シフト部123の下端は、下湾曲部124を介して下端部125に連結されており、シフト部123の上端は、上湾曲部122を介して上端部121に連結されている。即ち、下湾曲部124はシフト部123と下端部125を連結する湾曲部であり、上湾曲部122はシフト部123と上端部121とを連結する湾曲部である。
【0050】
各リング部材10において、シフト部113の前側へのシフト量と、シフト部123の後側へのシフト量との和は、前後方向におけるリング部材10の寸法(L)の少なくとも1/2である。例えば、シフト部113が前側にLの1/4だけシフトし、シフト部123が後側にLの1/4だけシフトしている。
【0051】
なお、前後方向において、左側半リング部材11及び右側半リング部材12の寸法は一定である。また、左側半リング部材11及び右側半リング部材12は、両端間にて一定な寸法を有する。
【0052】
本実施の形態に係る綴じ具1はこれに限定されるものではない。例えば、左側半リング部材11のシフト部113及び右側半リング部材12のシフト部123の何れか一方のみが前後方向にシフトするように構成しても良い。この場合は、前側へのシフト部113のみのシフト量、又は後側へのシフト部123のみのシフト量がLの1/2となるように構成すれば良い。
【0053】
各リング部材10において、シフト部113のシフト量及びシフト部123のシフト量の和はLの1/2-3倍であれば良い。好ましくは、シフト部113のシフト量及びシフト部123のシフト量の和はLの1-2倍であれば良い。より好ましくは、シフト部113のシフト量及びシフト部123のシフト量の和は、図7に示すように、Lの1倍である。
【0054】
このように、リング部材10が、シフト部113又は/及びシフト部123を有することから、本実施の形態に係る綴じ具1は被綴じシート材を省スペース的に収納することができる。以下、詳しく説明する。以下においては、説明の便宜上、綴じ具1をファイル表紙体に取り付けた場合を例に説明する。
【0055】
図9は、本実施の形態に係る綴じ具1がファイル表紙体Fに取り付けられた場合を例示する例示図であり、図10は、綴じ具1が取り付けられたファイル表紙体Fが並べられた場合を例示する例示図である。図10では、例えば、本棚に2つのファイル表紙体Fが横並べられた場合を示しており、説明の便宜上、ファイル表紙体Fは二点鎖線にて示しており、一部の表示を省略している。また、図10では、リング部材10がシフト部113及びシフト部123を有する場合を示している。
【0056】
綴じ具1はファイル表紙体Fの背表紙F2の内側面に取り付けられている。ファイル表紙体Fの表表紙F1には、表表紙F1を厚み方向に貫通する2つの貫通長孔F11が形成されている。また、裏表紙F3には、裏表紙F3を厚み方向に貫通する2つの貫通長孔F311が形成されている。ファイル表紙体Fと閉じた際、貫通長孔F11には左側半リング部材11の一部(例えば、シフト部113)が挿通され、貫通長孔F31には右側半リング部材12の一部(例えば、シフト部123)が挿通される(図10参照)。
【0057】
図10に示すように、2つのファイル表紙体Fを横並べた場合、左側のファイル表紙体Fの右側半リング部材12と、右側のファイル表紙体Fの左側半リング部材11とが隣り合う。しかし、左側の右側半リング部材12のシフト部123は上側にシフトしており、右側の左側半リング部材11のシフト部113は下側にシフトしている。このように、左側の右側半リング部材12のシフト部123と、右側の左側半リング部材11のシフト部113とが互いに反対向きにシフトしているので、上下方向においてリング部材10同士が重畳するものの、相互衝突しない。従って、複数ファイル表紙体Fの並び方向(図10中、左右方向)において、ファイル表紙体Fによって占められる空間をリング部材10の幅以下に減らすことができ、より多くのファイル表紙体Fを並べることができる。
【0058】
また、綴じ具1においては、上述したように、左側半リング部材11のシフト部113及び右側半リング部材12のシフト部123は、図10の左右方向、即ち左側半リング部材11及び右側半リング部材12の対向方向から見て、直線状に延びる。
従って、シフト部113及びシフト部123が斜めである場合に比べて、シフト部113及びシフト部123に対応する貫通長孔F11又は貫通長孔F31の位置決め及び加工が容易である。また、左側半リング部材11及び右側半リング部材12を左側ベース部31及び右側ベース部32に固定する際に、前記矩形貫通孔に通す作業が容易である。
【0059】
更に、綴じ具1においては、上述したように、左側半リング部材11の下端部115と、右側半リング部材12の下端部125とが左右方向にて整合する位置に設けられている。従って、左側半リング部材11の下端部115に掛けられた被綴じシート材と、右側半リング部材12の下端部125に掛けられた被綴じシート材とが、リング部材10の並設方向において位置ずれが生じず、見栄えが良い。
【0060】
なお、上述したように、上下方向において(図7参照)、左側半リング部材11の下端部115及び上端部111は整合する位置に有り、右側半リング部材12の下端部125及び上端部121は整合する位置に有る。換言すれば、左側半リング部材11の上端部111も、右側半リング部材12の上端部121と左右方向(左側半リング部材11及び右側半リング部材12の対向方向)にて整合している(図2図10参照)。且つ、上端部111及び上端部121は、前記対向方向へ直線状に延びる部分である。
【0061】
これによって、綴じ具1においては、被綴じシート材の綴じ孔を左側半リング部材11及び右側半リング部材12に通す作業が容易である。
【0062】
図11は、図2の破線の円部分を拡大して示す拡大図であり、図12は、本実施の形態に係る左側半リング部材11を示す部分的斜視図である。図11においては、左側半リング部材11の上端部111及び右側半リング部材12の上端部121が係合している場合を示している。また、左側半リング部材11は右側半リング部材12と同一形状であり、右側半リング部材12についての図示は省略する。
【0063】
左側半リング部材11の上端部111は、その先端に、右側半リング部材12の上端部121との係合のための係合部117を有しており、右側半リング部材12の上端部121は、その先端に、左側半リング部材11の上端部111との係合のための係合部127を有している。また、上端部111には、係合部117と隣り合うように、被係合凹部118が形成されており、上端部121には、係合部127と隣り合うように、被係合凹部128が形成されている。
【0064】
左側半リング部材11の被係合凹部118は右側半リング部材12の係合部127に倣う形状を有しており、右側半リング部材12の被係合凹部128は左側半リング部材11の係合部117に倣う形状を有している。
【0065】
従って、上端部111及び上端部121が係合する際、左側半リング部材11の被係合凹部118は右側半リング部材12の係合部127と係合し、右側半リング部材12の被係合凹部128は左側半リング部材11の係合部117と係合する。
【0066】
左側半リング部材11は、係合部117が前側に突出しており、被係合凹部118は前側に開放されている。また、右側半リング部材12は、係合部127が後側に突出しており、被係合凹部128は後側に開放されている。また、係合部117及び係合部127は突き合わせ側端面が湾曲している。
【0067】
図13は、本実施の形態に係る綴じ具1において左側半リング部材11の上端部111及び右側半リング部材12の上端部121の係合が解除された状態を示す図である。
上端部111及び上端部121を係合させる場合、ユーザは左側半リング部材11と右側半リング部材12との対向方向においてこれらが近づける方向(図13の矢印参照)に移動させる。この際、係合部117及び係合部127が夫々の湾曲面を互いに摺動しながら移動する。従って、係合部117と被係合凹部128との係合、及び、係合部127と被係合凹部118との係合が案内される。
【0068】
また、上端部111及び上端部121の係合を解除するためには、ユーザは左側半リング部材11(シフト部113)を後側(図11の黒塗り矢印参照)に押し、右側半リング部材12(シフト部123)を前側(図11の白塗り矢印参照)に押す。これによって、左側ベース部31(左側半リング部材11)は後側へ移動し、右側ベース部32(右側半リング部材12)は前側に移動するので、上端部111及び上端部121の係合は解除される。
【0069】
一方、左側半リング部材11のシフト部113は前側にシフトしており、右側半リング部材12のシフト部123は後側にシフトし、互いに反対向きにシフトしている(図2参照)。即ち、シフト部113及びシフト部123は、上端部111及び上端部121の係合を解除する際に、左側半リング部材11及び右側半リング部材12が移動する方向と反対向きにシフトしている。
従って、上端部111及び上端部121の係合を解除するユーザの操作が容易である。
【符号の説明】
【0070】
1 綴じ具
10 リング部材
11 左側半リング部材
12 右側半リング部材
30 ベース部
111,121 上端部
113,123 シフト部
115,125 下端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13