(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】縦型製袋充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/213 20120101AFI20230809BHJP
B65B 31/04 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
B65B9/213
B65B31/04 A
(21)【出願番号】P 2019192991
(22)【出願日】2019-10-23
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100193998
【氏名又は名称】渡辺 純一
(72)【発明者】
【氏名】折原 直人
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/121032(WO,A1)
【文献】特開平10-297619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00- 9/24
B65B31/00-31/10
B65B47/00-47/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取りロールから繰り出される面状の包装材を製品包装用の筒状包装材とする製袋充填筒と、この製袋充填筒の下方に配設され前記製品が投入された前記筒状包装材の製品投入側を
、一対の横シール部材により加熱シールする横シール装置とを備えた縦型製袋充填包装機であって、
前記一対の横シール部材をそれぞれ個別に囲い込むと共に
、一つからなる第1のサーボモータによって互いに接近・離間する
ことにより、前記一対の横シール部材を互いに接近・離間させる一対のバキュームボックスと、前記一対のバキュームボックスの対向面同士の接触動作後に機能し前記加熱シール施工前に前記筒状包装材の内部の空気を吸引し且つ外部に排出する吸引脱気手段とを有し、
この吸引脱気手段は、前記一対のバキュームボックスの内一方のバキュームボックス
に他方のバキュームボックス側に
対して
エアシリンダによって前後進自在に設けられ
たスライド部材を備え、
こ
のスライド部材は、
前記他方のバキュームボックス側に対して前進した状態で前記他方のバキュームボックスに当接して前記一対の横シール部材間に隙間を形成することにより、この隙間を介して前記筒状包装材の内部の空気を吸引し且つ外部に排出する前記吸引脱気手段による作業を可能にする機能と、
前記他方のバキュームボックスに当接したまま前記他方のバキュームボックス側に対して後退した状態になって前記一対の横シール部材同士を前記筒状包装材を挟んで接触させることにより、前記筒状包装材を加熱シールする前記一対の横シール部材による作業を可能とする機能
とを有していることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項2】
請求項1記載の縦型製袋充填包装機において、
前記吸引脱気手段は、前記
筒状包装材の少なくとも一部に空気抜き用の孔をあける孔あけ作業を実行する孔明け部材と、
孔明け後の前記筒状包装材の
両側面を開く開き作業を実行する開口用吸着部材と、
開口された前記筒状包装材の内部の空気を吸引する空気吸引作業を実行する空気吸引部材とを備え、
前記孔明け部材は、前記一対の横シール部材のそれぞれのシール面に形成された横溝内に挿通可能に形成され、
前記開口用吸着部材は、前記各バキュームボックスのそれぞれの下部に取付けられると共に、孔明け後の前記筒状包装材の製品投入側の両側面を吸着し且つその両側面を開く機能を有し、
前記空気吸引部材は、前記各バキュームボックスの内他方のバキュームボックスに設けられ前記開口された前記筒状包装材の内部の空気を吸引する機能を有していることを特徴とする縦型製袋充填包装機
【請求項3】
請求項2記載の縦型製袋充填包装機において、
前記開口用吸着部材を、前記筒状包装材の前記両側面に吸着する吸着部、この吸着部に連続する蛇腹部、およびこの蛇腹部に連続するホース接続部とで構成し、
前記吸着部先端は、前記吸着前の時点では前記各バキュームボックスのそれぞれの前面側端部より突出していることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項4】
請求項2または3に記載の縦型製袋充填包装機において、
前記スライド部材は、前記一
方のバキュームボックスの前面内部と接触する基部と、この基部の前面に貼り付けられた弾性部材と、この弾性部材の前面に貼り付けられ前記他方のバキュームボックスの前面側端部と接触する接触部材との三層構造となっていることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか一項に記載の縦型製袋充填包装機において、
前記他方のバキュームボックスの前面側端部には弾性部材が設けられていることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の縦型製袋充填包装機において、
前記一方のバキュームボックスは一方のベース部材に固定されると共に前記他方のバキュームボックスは他方のベース部材に固定され、
前記各ベース部材は、当該各ベース部材間に架けわたされたガイド部材に沿って且つ前記第1のサーボモータの駆動により接近・離間自在となっていることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項7】
請求項
6に記載の縦型製袋充填包装機において、
第2のサーボモータを更に備え、
前記各ベース部材およびガイド部材は、前記第2のサーボモータの駆動により上下方向に移動可能となっており、
前記各バキュームボックスのそれぞれの少なくとも下面に、当該各バキュームボックスの間に位置している前記筒状包装材を挟んだ状態で上方から下方にしごくしごき用シャッター部材を設け、
これらの各しごき用シャッター部材の対向する先端面は、それぞれ前記各バキュームボックスの対向する前面側端部より前方に突出していることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項8】
請求項
6に記載の縦型製袋充填包装機において、
前記第1のサーボモータにより、前記各ベース部材が、第1位置(待機位置)、第2位置(吸引位置)、第3位置(シール位置)、の順に移動し、前記第1位置に戻る動作をすることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【請求項9】
請求項
7に記載の縦型製袋充填包装機において、
前記第1のサーボモータと前記第2のサーボモータの協働により、前記各ベース部材が第1位置(垂直座標:しごき高さ、水平座標:しごき待機位置)、第2位置(垂直座標:しごき高さ、水平座標:しごき開始位置)、第3位置(垂直座標:シール高さ、水平座標:しごき終了位置)、第4位置(垂直座標:シール高さ、水平座標:吸引位置)、第5位置(垂直座標:シール高さ、水平座標:シール位置)、第6位置(垂直座標:シール高さ、水平座標:しごき待機位置)の順に移動し前記第1位置に戻る動作をすることを特徴とする縦型製袋充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縦型製袋充填包装機に係り、さらに詳しくは、「カット野菜」や「もやし」等を包装する縦型製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原反ロールから繰り出された包装用フィルムを製袋器で筒状に成形し、この筒状フィルムを垂直下方に給送して、筒状フィルムの重合端縁部に縦シールを施した後、被包装品である製品が投入、充填され、次いで、製品と製品の間の位置で、筒状フィルムの幅方向に横シールを施し、当該横シールの中央部においてカッタで切断することにより、製品が袋部内に充填された所謂ピロー包装体を製作する縦型製袋充填包装機が各種の産業分野で広く使用されている。
【0003】
上記縦型製袋充填包装機において用いられる横シール装置では、筒状フィルムを挟んで対向する一方と他方の横シール部材を有しており、これらの横シール部材は、互いに接近・離間自在となっている。
また、各横シール部材にはヒータが内蔵されており、各横シール部材で筒状フィルムを押圧した状態でヒータにより熱が加えられ、これにより、押圧された部分が軟化し、かつ固着されるようになっている。つまり、横シールが施工されるようになっている。
【0004】
以上のような縦型製袋充填包装機においては、横シールの不良等の包装不良が生じることがある。そして、この横シールのシール不良の要因としては、圧力不足によるシールの溶着不良や横シール領域に被包装物がはみだして、横シール時にその被包装物を噛み込んで発生するシール不良等が挙げられる。
【0005】
これらの課題への解決策として、従来、横シーラの駆動アクチュエータにサーボモータを使用し、このサーボモータへの制御電流値を制御することでシール圧力を適切に保つ方法(例えば特許文献1)や、横シールの前段階でしごき部材により筒状フィルムをしごいて被包装物を下方へ沈め、シール用域から排除する方法(例えば特許文献2)や、万一、噛み込みが発生しても横シール時にサーボモータの駆動電流の変化をモニターすることで噛み込みの発生を検知して不良品が下流に流れることを防止する方法など(例えば特許文献3)が実施されている。
【0006】
ところで、縦型製袋充填包装機で、「カット野菜」や「もやし」等を包装することが行われている。この場合、横シールを施す前に筒状フィルム内の空気を抜くことが求められ、そのため、通常の横シール工程の他に、脱気という工程が加わる。
また、「カット野菜」や「もやし」等は筒状フィルム内に落下した状態では嵩張って沈み込まず、噛み込みの危険性も高い。
【0007】
これらの課題に対しての解決策として、脱気部材としごき部材の両方を横シーラに備える製袋装置および製袋方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
この特許文献4に開示された製袋装置および製袋方法の場合、脱気は筒状フィルムの前後をスポンジで押圧することで筒状フィルム内の空気を上方に押し出して脱気する構成となっている。
また、しごき部材は脱気の時の上方への空気の流れを阻害しないように適度な隙間を設けた構成となっている。
【0008】
また、筒状フィルム内の空気を抜く脱気方法について、筒状フィルムをスポンジ等で押圧して空気を抜くのではなく、横シーラ―の周りを囲むチャンバーを形成し、このチャンバー内で吸引することで脱気を行う方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平05-139419号公報
【文献】特開2000-226006号公報
【文献】特開2007-302261号公報
【文献】特開2016-083798号公報
【文献】WO2015/121032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献4に開示された製袋包装機では、脱気を実行する際は、筒状フィルムの前後をスポンジで押圧することで、筒状フィルム内の空気を上方に押し出して脱気するようになっているが、スポンジを強く押圧すると、被包装物を傷つけて商品価値を低下させるおそれがあり、これに対して、スポンジを押圧する力が弱いと十分な脱気が出来ないという問題が生じる。
【0011】
また、しごきを実施する場合、下方の横シールを破裂させないために、しごき部材間に袋内の空気を上方に逃すためのある程度の隙間は必要であるが、その隙間は、脱気の為に必要とされる隙間よりは小さい。一方、隙間が大きすぎるとしごきの効果がなくなる。
そのため、しごきの効果と脱気の効果の両方が得られる隙間が必要となるが、その調整は困難である、という問題が生じる。
【0012】
上記特許文献5に開示された製袋包装機では、横シーラの駆動および脱気がチャンバー外に設けられた作動手段で行うようになっているが、この場合、装置が嵩張らないようコンパクトに構成しようとすると、通常は作動手段としてエアシリンダ等を用いる場合が多い。
しかし、エアシリンダを用いた場合、エアシリンダは圧力調整が不安定なので、適正なシール圧の確保が困難となり、同時に、噛み込みの検出機能が働かなくなる、という不具合が生じる。
さらに、これらの機能を盛り込むために、作動手段としてサーボモータをチャンバー内あるいはそのチャンバー周辺に設置しようとすると、複数のサーボモータ及び回転運動を直線運動に変換する複数の変換機構が必要となるなど、大掛かりな装置となってしまう、という問題が生じる。
【0013】
〔発明の目的〕
本発明は上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、吸引式の脱気方法で、標準的な縦型製袋充填包装機で実施されているサーボモータを駆動源とすることで適正なシール圧の保持やかみ込みの検出機能をコンパクトな構成で実現でき、さらに、必要に応じてしごき動作を付加でき、それにより適正なしごきも実施できる縦型製袋充填包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明の縦型製袋充填包装機は、巻取りロールから繰り出される面状の包装材を製品包装用の筒状包装材とする製袋充填筒と、この製袋充填筒の下方に配設され前記製品が投入された前記筒状包装材の製品投入側を、一対の横シール部材により加熱シールする横シール装置とを備えた縦型製袋充填包装機であって、
前記一対の横シール部材をそれぞれ個別に囲い込むと共に、一つからなる第1のサーボモータによって互いに接近・離間することにより、前記一対の横シール部材を互いに接近・離間させる一対のバキュームボックスと、前記一対のバキュームボックスの対向面同士の接触動作後に機能し前記加熱シール施工前に前記筒状包装材の内部の空気を吸引し且つ外部に排出する吸引脱気手段とを有し、
この吸引脱気手段は、前記一対のバキュームボックスの内一方のバキュームボックスに他方のバキュームボックス側に対してエアシリンダによって前後進自在に設けられたスライド部材を備え、
このスライド部材は、
前記他方のバキュームボックス側に対して前進した状態で前記他方のバキュームボックスに当接して前記一対の横シール部材間に隙間を形成することにより、この隙間を介して前記筒状包装材の内部の空気を吸引し且つ外部に排出する前記吸引脱気手段による作業を可能にする機能と、
前記他方のバキュームボックスに当接したまま前記他方のバキュームボックス側に対して後退した状態になって前記一対の横シール部材同士を前記筒状包装材を挟んで接触させることにより、前記筒状包装材を加熱シールする前記一対の横シール部材による作業を可能とする機能とを有していることを特徴とする。
。
【発明の効果】
【0015】
本発明の縦型製袋充填包装機によれば、一対の横シール部材をそれぞれ個別に囲い込んだ一対のバキュームボックスがサーボモータ駆動により互いに接近・離間するようになっており、加熱シール施工前に吸引脱気手段の隙間形成用スライド部材により筒状包装材の内部の空気吸引作業を実行した後、一対の横シール部材により横シールを施工するようになっているので、適正なシール圧の保持が可能となる。
また、一対の横シール部材が横シールを施工する際、筒状包装材の内部の製品を噛み込んだ場合、サーボモータの駆動電流の変化をモニターすることで噛み込みの検出を行うことができる。
さらに、標準的な縦型製袋充填包装機で実施されている一つのサーボモータを駆動源として利用できるので、コンパクトな装置を構成でき、コストも安くなり、その結果、経済的にも優れた縦型製袋充填包装機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る縦型製袋充填包装機の第1実施形態を示す全体斜視図である。
【
図2】前記実施形態の横シール装置および吸引脱気手段の概略を示し、
図2(A)は全体平面図であり、
図2(B)は
図2(A)のB矢視図である。
【
図3】前記実施形態の横シール装置および吸引脱気手段の詳細を示す部分拡大詳細図である。
【
図4】前記実施形態の横シール装置を構成する一方および他方のヒータブロックを示し、
図4(A)は各ヒータブロックが離れている状態、
図4(B)は各ヒータブロックの先端加熱シール部が当接した状態、
図4(C)は
図4(B)におけるC矢視図である。
【
図5】前記実施形態の横シール装置および吸引脱気手段を構成するカッタを示す全体平面図である。
【
図6】前記実施形態の吸引脱気手段を構成する吸着具を示す側面図である。
【
図7】前記実施形態のスライド部材が装備された一方側バキュームボックスと、他方側バキュームボックスとの幅方向の寸法関係を示す模式図である。
【
図8】前記実施形態の一方側および他方側バキュームボックスの動作を示す模式図であり、
図8(A)は両バキュームボックスが開いている状態、
図8(B)は吸引位置にある状態、
図8(C)は一方側および他方側ヒータブロックがシール位置にある状態を、それぞれ示す模式図である。
【
図9】
図8の状態をさらに具体的に示す動作図である。
【
図10】本発明に係る縦型製袋充填包装機の第2実施形態を示す全体斜視図である。
【
図11】前記第2実施形態のしごき動作を示す模式図である。
【
図12】前記
図11に基づくしごき動作を示した具体例を示す模式図で、
図12(A)は一対のバキュームボックスが待機位置にあるとき、
図12(B)(C)は一対のバキュームボックスがそれぞれしごき位置にあるときの動作を示す模式図である。
【
図13】前記
図11に基づくしごき動作を示した具体例を示す模式図で、
図13(D)は一対のバキュームボックスが吸引位置にあるとき、
図13(E)は一対のバキュームボックスがシール位置にあるとき、
図13(F)(G)は一対のバキュームボックスがそれぞれ待機位置にあるときの動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、
図1~9を参照して本発明に係る縦型製袋充填包装機の第1実施形態を説明する。
【0018】
〔縦型製袋充填包装機の全体構成〕
図1に示すように、縦型製袋充填包装機1は、所定量の帯状フィルムFwが巻付けられた巻取りロールFrを備えている。
巻取りロールFrの帯状フィルムFwの流れの下流側には、帯状フィルムFwに、矢印Aで示す方向に遥動して最適のテンションを付与するテンション機構2が配置されており、このテンション機構2の流れのさらに下流側には、当該テンション機構2を経由した帯状フィルムFwを筒状に形成する製筒器3と、この製筒器3で形成された筒状包装材である筒状フィルムFtを装着する製袋充填筒4が配置されている。
【0019】
製袋充填筒4には、筒状フィルムFtを下流に送る紙送り機構5が設けられると共に、この紙送り機構5と直交する一方側の側方には、筒状フィルムFtの重ね合わされた両端部に縦シールを施す縦シール装置6が配置されている。
【0020】
縦シール装置6の下流には、製袋充填筒4の上方に配設された製品投入部4Aから、例えば、一定量の「カット野菜」や「もやし」等の製品P2が投入された筒状フィルムFtの製品投入側を、両側から加圧接触させ、その後に加熱シールする一方側および他方側横シール部材であるヒータブロック12,13からなる一対の横シール用部材11を備えた横シール装置10が配設されている。
また、上記横シール装置10を装備した状態で、筒状フィルムFtの内部の空気を抜く吸引脱気手段20が配設されている。
【0021】
そして、横シール装置10および吸引脱気手段20は、以下に述べる第1のサーボモータであるバキュームボックス駆動用サーボモータ29の駆動により、各ヒータブロック12,13が接近・離間する方向(X軸方向)に移動自在となっている。
なお、上記バキュームボックス駆動用サーボモータ29は、標準的な縦型製袋充填包装機において利用されているサーボモータである。そのため、サーボモータの駆動電流の変化をモニターすることで、例えば、袋内の製品の噛み込みの検出を行うことができる。
【0022】
〔横シール装置と吸引脱気手段の説明〕
次に、
図2,3に基づいて、まず、横シール装置10を説明する。
ここで、
図2は、一対のバキュームボックス21と、一対の横シール部材であるヒータブロック11と、隙間形成用スライド部材(以下、単にスライド部材と言う)27と、第1のサーボモータであるバキュームボックス駆動用サーボモータ29との相互関係を示す概略図であり、
図3は、これらの各部材を実際に組み立てた状態を示す図である。
【0023】
横シール装置10を構成する一方側ヒータブロック12は、一方側(
図2,3において左側)に配設されている一方側バキュームボックス22内にスライド部材27を介して収容されており、他方側ヒータブロック13は、他方側(
図2,3において右側)に配設されている他方側バキュームボックス23内に収容されている。
【0024】
各ヒータブロック12,13は、
図4にも示すように、断面ホームベース状の横長部材で形成されており、各ヒータブロック12,13には、それぞれ、図示しないヒータが内蔵されている。
また、各ヒータブロック12,13は、図示しないビス止め等により、それぞれ一方側および他方側バキュームボックス22,23に固定されている。
【0025】
図4に示すように、一方側ヒータブロック12の前面は、多数状の横溝等で形成された上シール面12aと下シール面12bとなっており、また、他方側ヒータブロック13の前面は、多数状の横溝等で形成された上シール面13aと下シール面13bとなっている。
なお、一方側バキュームボックス22内において、一方側ヒータブロック12と一方側バキュームボックス22の内側面との間には、一方側バキュームボックス22および一方側ヒータブロック11に対して前後方向にスライド可能なスライド部材27が設けられている。
【0026】
上シール面12aと下シール面12b、および上シール面13aと下シール面13bとの間には、それぞれカッタ摺動用溝12c,13cが形成されており、シール後の筒状フィルムFtの所定位置を切断する際にカッタ28(孔あけ切断部材)がカッタ摺動用溝12c,13c内を前後進できるようになっている。
【0027】
ここで、カッタ摺動用溝12c,13cについては、
図4に示すように、一方側ヒータブロック12のカッタ摺動用溝12cは、当該一方側ヒータブロック12の後面に形成されているカッタ差込空間12dから、当該ヒータブロック12の前面側端面にわたって貫通して形成されている。
これに対して、他方側ヒータブロック13におけるカッタ摺動用溝13cは、
図4に示すように、当該他方側ヒータブロック13の前面側端面から後面側に所定寸法切り込んで形成され、上記カッタ28の先端部が筒状フィルムFtの所定位置を切断した後、その先端を受けるカッタ受け溝となっている。
【0028】
図5に示すように、カッタ28は、カッタ駆動用エアシリンダ38〔
図3参照〕に接続される接続部28cを有する本体部28aと、その本体部28aの先端に形成された刃部28bとで形成されている。
カッタ28の刃部28bは、複数(3箇所)の凸部28b1と2箇所の凹部28b2とで形成されており、これらは交互に形成されている。
【0029】
このカッタ28は、凸部28b1、凹部28b2とも筒状フィルム
Ftに接触しない位置(後進位置;第1位置)と、凸部28b1のみが筒状フィルム
Ftを突っ切る位置(吸引口形
成位置;第2位置)と、凸部28b1、凹部28b2も袋を突っ切る位置(切断位置;第3位置)の3位置に移動可能となっている。
そして、カッタ28の移動は、一方側ベース部材32(
図3参照)に配設された駆動用エアシリンダ38(
図3参照)の駆動により実行される。
【0030】
図2,3に示すように、前記一方側バキュームボックス22と他方側バキュームボックス23とは、それぞれ、一方側ヒータブロック12と他方側ヒータブロック13の上下左右を囲んで収容できるように、一方側が開口した箱状に形成されている。
【0031】
一方側バキュームボックス22には、前記スライド部材27が入れ子状態で設けられている。
このスライド部材27は、筒状フィルムFtの少なくとも一部に空気抜き用の孔をあける孔あけ作業、孔明け後の筒状フィルムFtの両側面を開く袋開き作業、および開口された筒状フィルムFtの内部の空気を吸引する空気吸引作業を可能とする機能を有している。
【0032】
スライド部材27は、金属製の基部27a、弾性部材27b、および樹脂製の接触部材27cからなる三層構造となっている。そして、このスライド部材27は、一方側べース部材32に配設されたスライド部材駆動用エアシリンダ37の駆動により、一方側バキュームボックス22に対して、例えば、4mm程度前後進できるようになっている。ただし、この4mmに限定されない。
また、一方側バキュームボックス22は、一方側ベース部材32に図示しないビス止め等により取付け固定されている。
【0033】
他方側バキュームボックス23は、他方側べース部材33に図示しないビス止め等により取付け固定されている。この他方側バキュームボックス23の前面には、全周にわたってパッキンを構成する弾性部材23aが貼り付けられている。弾性部材23aは、例えば、ゴム部材で構成されている。
【0034】
前述のように、一方側バキュームボックス22のスライド部材27の前面側先端が樹脂製の接触部材27cとなっており、これに対して、他方側バキュームボックス23の前面側先端に弾性部材23aが設けられているので、一方側バキュームボックス22のスライド部材27と、他方側バキュームボックス23とが当接したとき、両者27,23の内部空間の密閉性をより高めることができる。
【0035】
一方側べース部材32と他方側べース部材33とは、それぞれの長さ方向両端がそれぞれガイドバー34により連結されている。
このガイドバー34はベース支持部材35に支持されており、このベース支持部材35は、上記両ベース部材32,33の略中間部において、前記各バキュームボックス22,23の前後移動用の駆動源としての前記サーボモータ29を含む駆動機構(図略)に接続されている。
これにより、上記サーボモータ29および駆動機構を駆動させることで、一方側べース部材32と他方側ベース部材33とがガイドバー34に沿って互いに接近、離間できるようになっている。
【0036】
一方側べース部材32の外面には、2個の前記スライド部材摺動用エアシリンダ37が、スライド部材27の長さ方向両側に対応した位置の左右2箇所に配設されている。
また、一方側べース部材32には、前記カッタ28の前後移動を可能とする前記カッタ駆動用エアシリンダ38が設けられている。
【0037】
そして、前記一対のヒータブロック11、およびこれらのヒータブロック11を収容した一対のバキュームボックス21、カッタ28、一方側および他方側べース部材32,33、バキュームボックス駆動用のサーボモータ29等を備えて、前記横シール装置10が構成されている。
【0038】
次に、
図3に基づいて、前記吸引脱気手段20について説明する。
この吸引脱気手段20は、前記横シール装置10による横シール施工を実施する前に機能させるものである。
【0039】
吸引脱気手段20は、前記筒状フィルムFtの少なくとも一部(例えば、3箇所)に空気抜き用の孔をあけると共に最終的に筒状フィルムFtを切断する前記カッタ28と、孔明け後の筒状フィルムFtの製品投入側の両側面に吸着して当該両側面をあける開口用吸着部材である吸着パット40と、開口された筒状フィルムFtの内部の空気を吸引する空気吸引部材である吸引管41と、前記スライド部材27とを備えて構成されている。
【0040】
カッタ28は、前述のように、一対のバキュームボックス21の内、一方側バキュームボックス22に設けられている。そして、一方側および他方側ヒータブロック12,13のそれぞれのシール面12a,12bおよび13a,13bに形成されたカッタ摺動用溝12c,13c内に挿通可能となっている。
【0041】
上記吸着パット40は、
図3に示すように、一方側バキュームボックス22の下部および他方側バキュームボックス23の下部に、それぞれ複数個(実施形態では4個)設けられている。
それぞれの吸着パット40,40は、
図6に示すように、いずれも吸着部40aと、蛇腹部40bと、ホース接続部40cとで構成されている。
そして、ホース接続部40cは、吸着駆動源側にホース部40-1を介して接続されている。
【0042】
吸着パット40の吸着部40aは、筒状フィルムFtの両表面に吸着していない状態、つまり、一方側および他方側バキュームボックス22,23が離れている状態では、吸着部40aが各バキュームボックス22,23の前面よりわずかに突出した状態となるように取付けられている。
そのため、両バキュームボックス22,23が駆動され、一方側バキュームボックス22のスライド部材27の前面接触部と、他方側バキュームボックス23の前面部の弾性部材23aとが接近し、かつ当接したとき、対向する両側の吸着部40a,40aの前面部が筒状フィルムFtの表面に自動的に吸着するようになっている。
【0043】
そして、一方側バキュームボックス22のスライド部材27の前面部と、他方側バキュームボックス23の弾性部材23aとにより、一方側ヒータブロック12と他方側ヒータブロック13とをそれぞれ囲む密閉空間を作った後、カッタ28が前記吸引口形成位置(第2位置;
図8参照)に移動して、カッタ28の3箇所の凸部28b1により筒状フィルムFtに3箇所の孔があけられる。
その後、吸着パット40により筒状フィルムFtの吸着を開始することで、
図6に示すように、筒状フィルムFtの吸引口Vを開口(5mm程度)させ、その後、吸引管41による筒状フィルムFtの内部の空気の吸引が行われるようになっている。
【0044】
次に、前記吸引管41について説明する。
図3,9に示すように、吸引管41は、一方側および他方側バキュームボックス22,23のそれぞれの左右方向2箇所に設けられている。
吸引管41は、塩ビパイプ等で形成されており、他方側バキュームボックス23内に差し込まれた吸込み側先端が、例えば、L字状に形成されており、吸着パット40により開かれた筒状フィルムFt内の空気を吸引し易い形状となっている。
【0045】
吸引管41の後端部は、一方側および他方側バキュームボックス22,23の下面から外部に突出して設けられ、この外部に突出した部分には、例えば、蛇腹状のホース〔図略〕を介して、機械本体側に配設されている吸引駆動源(図略)に接続されている。そして、吸引管41は、常時ON状態となっている。
そのため、吸着パット40により開かれた筒状フィルムFt内の空気は、合計4本の吸引管41により吸引され、かつ外部に排出されるようになっている。
【0046】
前述したように、前記スライド部材27は、前述したように、筒状フィルムFtの少なくとも一部に前記カッタ28により空気抜き用の孔をあける孔あけ作業、孔明け後に前記吸着パット40により筒状フィルムFtの両側面を開く袋開き作業、および開口された筒状フィルムFtの内部の空気を前記吸引管41により吸引する空気吸引作業を可能とする機能を有している。
そして、このスライド部材27は、前述したように、一方のべース部材32に配設されたスライド部材駆動用エアシリンダ37の駆動により、一方側バキュームボックス22に対して、寸法S(例えば、4mm程度)で前後進できるようになっている。
【0047】
次に、スライド部材27の前後進について、
図7および
図8(A)~(C)に基づいて説明する。
【0048】
図7には、一方側および他方側バキュームボックス22,23と、一方側バキュームボックス22に設けられたスライド部材27との相互間の寸法が模式的に示されている。
【0049】
図7(イ)では、スライド部材27の前進時の一方側バキュームボックス22とスライド部材27との幅方向寸法がAに設定され、他方側バキュームボックス23の幅寸法はCとなっている。
図7(ロ)では、スライド部材27が後進時において、一方側バキュームボックス22とスライド部材27との幅方向寸法はBとなっている。
そして、これらの寸法の関係は、B=Cであり、A=C+4となっている。
【0050】
図8には、
図7に基づく各部材同士の動作が示されている。
図8(A)は開き位置であり、一方側バキュームボックス22と他方側バキュームボックス23とは開いており、スライド部材27は一方側ヒータブロック12の前面シール面から4mm突出している。
【0051】
図8(B)は吸引位置であり、
図8(A)の状態から、一方側および他方側ヒータブロック12,13が接近し、前記それぞれのシール面12a,12bと13a,13bとが噛み合い位置の手前、寸法S1(例えば2mm)まで移動する。
そして、このとき、一方側バキュームボックス22のスライド部材27の前面端面と、他方側バキュームボックス23の前面の弾性部材23aとが当接する。これに対して、一方側および他方側ヒータブロック12,13のそれぞれのシール面12a,12bと13a,13bとの間には寸法S(4mm)の隙間が形成されている。
【0052】
図8(C)はシール位置であり、
図8(B)の状態から、一方側および他方側ヒータブロック12,13が接近し、それぞれのシール面12a,12bと13a,13bとが噛み合う位置まで移動する。
そして、このとき、一方側および他方側ヒータブロック12,13のそれぞれのシール面12a,12bと13a,13bとが噛み合って横シールが施行される。また、一方側バキュームボックス22に装備されたスライド部材27は、他方側バキュームボックス23に押されて寸法S1(2mm)後退している。
【0053】
次に、
図9に基づいて、本第1実施形態の吸引脱気手段20の動作を説明する。
図9は、通常の動作(しごきを行わない開閉のみの動作)であり、
図8の各部材の動作をさらに具体的に表現したものである。
【0054】
図9において、開き位置とは、一方側および他方側ベース部材32,33に固着されたバキュームボックス22,23等の横シーラ関連部材が接触せず、かつ筒状フィルムFtが通過可能な距離にある位置のことであり、吸引位置とは、一方側バキュームボックス22のスライド部材27と他方側バキュームボックス23とが接触し、一方側および他方側ヒータブロック12,13は接触しない位置のことである。
また、シール位置とは、一方側および他方側バキュームボックス22,23が接触し、一方側および他方側ヒータブロック12,13も接触して、筒状フィルムFtの横シール部分を加熱圧接する位置のことである。
【0055】
さらに、具体的に説明すると、
図9(A)は、一方側および他方側ベース部材32,33に固着されたバキュームボックス22,23等の横シーラ関連部材が開き位置にあり、このとき、スライド部材駆動エアシリンダ37がONされており、スライド部材27が前進可能状態である。
また、吸引管41は吸引中であり、吸着パット40はOFFの状態であり、カッタ28は後進位置にある状態である。
【0056】
図9(B)は、各部材が吸引位置にあり、このとき、スライド部材駆動エアシリンダ37がONされており、スライド部材27が前進状態である。また、吸引管41は吸引中であり、吸着パット40はONの状態であり、カッタ28は吸引口形成位置(第2位置;
図8参照)にある状態である。
このとき、
図8(B)で示すように、一方側および他方側ヒータブロック12,1
3のシール面12a,12bと13a,13bとが噛み合い位置手前の寸法S1(例えば2mm)まで移動している。
この位置で、吸着パット40によりで筒状フィルムFtを開いて、吸引管41により筒状フィルムFtの内部の空気を吸引する。
【0057】
図9(C)は、各部材がシール位置にあり、このとき、スライド部材駆動エアシリンダ37がONされており、スライド部材27が前進状態である。
また、吸引管41は吸引中であり、吸着パット40はOFFの状態であり、カッタ28は切断位置(第3位置;
図8参照)にある。つまり、
図8(C)で示すように、シール面同士が噛み合い、内部に「カット野菜」等が充填された筒状フィルムFtが横シールされた後、切断され、
包装体BPとして生産される。
そして、このとき、スライド部材27はONの状態(前進状態)であるが、他方側バキュームボックス23に押されて後退した位置にある。
【0058】
図9(C)に示すように筒状フィルムFtが横シールされ、切断された後、各部材は離れて、
図9(A)に示す状態となる。つまり、生産予定数に達するまで
図9(A)から
図9(C)が繰り返される。
【0059】
以上に説明したように、第1実施形態の横シール装置10および吸引脱気手段20の動作は、前記第1のサーボモータ29により、各バキュームボックス22,23が取付けられている各ベース部材32,33が、前記
図8(A)、
図9(A)で示す第1位置(待機位置;開き位置)、前記
図8(B)、
図9(B)で示す第2位置(吸引位置)、前記
図8(C)、
図9(C)で示す第3位置(シール位置)、の順に移動し、その後、第1位置に戻る動作となっている。
【0060】
次に、以上のような構成の縦型製袋充填包装機1の全体の作用を説明する。
まず、制御装置により、巻取りロールFr、紙送り機構5等を駆動させることにより、巻取りロールFrから帯状フィルムFwが連続的に繰り出される。
帯状フィルムFwは、テンション機構2を経由して製筒器3に送られ、この製筒器3を通過して製袋充填筒4に移行し、その製袋充填筒4により筒状フィルムFtに形成される。
【0061】
製袋充填筒4の内面形状に沿って形成された筒状フィルムFtに対して、縦シール装置6により縦シールが施された後、被収容物である、例えばカット野菜やもやし等の製品P2が製品投入部4Aから所定間隔ごとに筒状フィルムFt内に供給される。
そして、その筒状フィルムFtは上記製品P2を内包した状態で下方に送られ、所定の位置で、前述のように、吸引脱気手段20により筒状フィルムFtの内部の空気が吸引された後、横シール装置10により横シールの施工後、カッタ28により切断され、これにより、製品P2を内包した包装体BPが完成する。
【0062】
以上のような構成の縦型製袋充填包装機1によれば、次のような効果が得られる。
(1)一対のヒータブロック11をそれぞれ個別に囲い込んだ一対のバキュームボックス21がサーボモータ29の駆動により互いに接近・離間するようになっており、加熱シール施工前に吸引脱気手段20のスライド部材27により筒状フィルムFtの内部の空気吸引作業を実行した後、一対のヒータブロック11により横シールを施工するようになっているので、適正なシール圧の保持が可能となる。
【0063】
(2)一対のヒータブロック11が横シールを施工する際、筒状フィルムFtの内部の製品P2を噛み込んだ場合、サーボモータ29の駆動電流の変化をモニターすることで噛み込みの検出を行うことができる。その場合、噛み込んだ袋を取り除くなど処理した後、次の製袋作業に移行することができ、不良品の発生を少なくすることができる。
【0064】
(3)標準的な縦型製袋充填包装機で実施されている一つのサーボモータ29を駆動源として利用できるので、モータの回転運動を直線運動に変換する変換機構を増やすことなく、コンパクトな装置を構成でき、コストも安くなり、その結果、経済的にも優れた縦型製袋充填包装機を得ることができる。
【0065】
(4)一方側バキュームボックス22に装備されているスライド部材27の前面側先端は樹脂製となっており、他方側バキュームボックス23の前面側端面には弾性部材23aが張付けられている。そのため、両者27,23が当接したとき、スライド部材27、ひいては一方側バキュームボックス22と他方側バキュームボックス23内の気密性をより高めることができる。その結果、筒状フィルムFt内の空気を効率よく吸引することができる。
【0066】
(5)筒状フィルムFt内の空気を抜く作業は、スライド部材27と他方側バキュームボックス23とが互いに2mmまで接近した時点で、筒状フィルムFtの一部に孔あけした後、その部分を開いて吸引管41で吸引し脱気できる。4mmの隙間内でこれらの作業を行えるので、作業が容易となり、かつ効率よく吸引脱気が可能となる。
【0067】
(6)スライド部材27はスライド部材駆動用エアシリンダ37で駆動されており、吸引脱気用の隙間を形成し、各種の作業を実行した後に横シールを施工する際は、サーボモータ29の駆動により一対のバキュームボックス21の接近し、他方側バキュームボックス23に押されて後退するので、一対のヒータブロック11による横シール施工に支障を及ぼすことがなく、その結果、筒状フィルムFtの横シールを安全に実行することができる。
【0068】
(7)吸着パット40は、一方側および他方側バキュームボックス22,23の下面に均等間隔で4個装備されており、筒状フィルムFtの対向する表面をバランスよく吸着し、開くことができる。その結果、その後の吸引作業を効率よく実行できる。
【0069】
次に、
図10~13に基づいて本発明に係る縦型製袋充填包装機1Aの第2実施形態を説明する。
【0070】
図10には、第2実施形態の縦型製袋充填包装機1Aにおける横シール装置10および吸引脱気手段20が示されている。
この第2実施形態の横シール装置10は、前記筒状フィルムFtに製品P2が投入された後、所定の間隔を上下方向にしごき、製品の詰まりを防止しようとするものである。
【0071】
すなわち、前記各バキュームボックス22,23の上下に、それぞれ一対のしごき用シャッター50,51が装備されている。
そして、一方側および他方側バキュームボックス22,23が取付けられている前記一方側および他方側べース部材32,33を前後方向(X軸方向)の移動の他、上下方向(Z軸方向)の移動も可能な第2のサーボモータ(図略)を備えた構成となっている。
【0072】
なお、横シール装置10、吸引脱気手段20等、他の構成は第1実施形態と全く同じである。従って、同一構成部材等には、同一符号を付すと共にそれらについての詳細な説明は省略する。
【0073】
しごき用シャッタ
ー50,51は、シャッター収容ケース52内に収容されており、このシャッター収容ケース52は、前記各ベース部材32,33の上面に固定されている。
シャッター収容ケース52は、一端が開口された薄くて細長い箱状に形成されており、このシャッター収容ケース52の奥側には、図示しないバネが装備され、このバネの一端が、しごき用シャッター部材50,51の他方側端面と当接している。
したがって、しごき用シャッター50,51部材は前後方向に移動できるようになっている。
また、各しごき用シャッター部材50,51の先端面は、
図12等にも示すように、各バキュームボックス22,23が開いているとき、各バキュームボックス22,23の前面端部より所定寸法突出している。
【0074】
前記ベース支持部材35の一部には、上下スライド用バー52が、ベース支持部材35を貫通して立設されており、このベース支持部材35は上下方向駆動用の前記第2のサーボモータ(図略)に接続されている。
そして、上記第1のサーボモータ29および第2のサーボモータを含む駆動機構を協働させることで、一方側および一方側べース部材32,33とが、開閉方向(X軸方向)の他、上下方向(Z軸方向)にも移動できるようになっている。
【0075】
次に、
図11~13に基づいて、上記各しごき用シャッタ
ー50,51を用いたしごきの動作を説明する。
図11は、各バキュームボックス22,23の上下面のそれぞれに取付けられたしごき用シャッタ
ー50,51の上側シャッター部材50a,51aと、下側シャッター部材50b,51bとの内の下側シャッター部材50b,51bの動き、いわゆるボックスモーションの動きを説明する模式図である。
【0076】
図11において、(A)~(G)で示す動きは下側シャッター部材50b,51bによるボックスモーションの動きを示し、これらの
図11(A)~(G)は、具体的には、以下の
図12(A)~(C)、および
図13(D)~(G)に相当する。
【0077】
そして、
図11~13において、しごき待機位置とは、水平方向では、下側シャッター部材50b,51bと横シーラ関連部材(一対のヒータブロック11等)が接触せず、かつ下側シャッター部材50b,51bとの間を筒状フィルムFtが通過可能な距離にある位置であり、垂直方向では、しごきを開始する高さのことを言う。具体的には、以下の
図12(A)の状態である。
【0078】
また、しごき開始位置とは、水平方向では、一方側および他方側の下側シャッター部材50b,51bが筒状フィルムFtを挟んで接触し、横シーラ関連部材が接触しない位置であり、垂直方向では、しごきを開始する高さのことを言う。具体的には、以下の
図12(B)の状態である。
【0079】
さらに、しごき終了位置とは、水平方向では、一方側および他方側の下側シャッター部材50b,51bが筒状フィルムFtを挟んで接触し、横シーラ関連部材が接触しない位置であり、垂直方向では、しごきが終了する高さのことを言う。具体的には、以下の
図12(C)の状態である。
【0080】
また、吸引位置とは、水平方向では、一方側および他方側バキュームボックス22,23が接触し、一方側および他方側ヒータブロック12,13は接触しない位置であり、垂直方向では横シール高さのことを言う。具体的には、以下の
図12(D)の状態である。
【0081】
また、シール位置とは、一方側および他方側バキュームボックス22,23が接触し、一方側および他方側ヒータブロック12,13も接触し、筒状フィルムFtの横シール部分を加熱圧接する位置であり、垂直方向では、横シール高さのことを言う。具体的には、以下の
図12(E)の状態である。
【0082】
次に、
図12(A)~(C)、
図13(D)~(G)に基づいて、上記各動作を具体的に説明する。
【0083】
図12(A)は、しごき待機位置であり、上記のように、一方側および他方側の下側シャッター部材50b,51bの水平座標は待機位置で、垂直座標はしごき高さである。
この状態から、下側シャッター部材50b,51b等を、矢印m1,m2で示すように、しごき待機位置からしごき開始位置まで水平移動させるが、垂直移動はさせないで、
図12(B)のしごき開始位置に移行させる。
【0084】
図12(B)は、しごき開始位置であり、上記のように、下側シャッター部材50b,51bの水平座標はしごき位置で、垂直座標はしごき高さである。
この状態から、下側シャッター部材50b,51b等を、水平移動はさせないで、矢印m3,m4で示すように、しごき高さからシール高さまで垂直移動させて、
図12(C)に示すようなしごき終了位置に移行させる。
【0085】
図12(C)は、しごき終了位置であり、上記のように、下側シャッター部材50b,51b等の水平座標はしごき高さ位置で、垂直座標はシール高さである。
この状態から、下側シャッター部材50b,51b等を、垂直移動はさせないで、矢印m1,m2で示すように、しごき高さ位置から吸引位置まで水平移動させて、
図13(D)に示すような吸引位置に移行させる。
【0086】
図13(D)は、吸引位置であり、上記のように、下側シャッター部材50b,51b等の水平座標は吸引位置で、垂直座標はシール高さである。
この状態から、下側シャッター部材50b,51b等を、垂直移動はさせないで、矢印m1,m2で示すように、吸引位置からシール位置まで水平移動させて、
図13(E)に示すようなシール位置に移行させる。
【0087】
図13(E)は、シール位置であり、上記のように、下側シャッター部材50b,51b等の水平座標はシール位置で、垂直座標はシール高さである。
この状態から、下側シャッター部材50b,51b等を、垂直移動はさせないで、矢印m5,m6で示すように、シール位置からしごき待機位置まで水平移動させて、
図13(F)に示すような待機位置に移行させる。
【0088】
図13(F)は、しごき待機位置であり、上記のように、下側シャッター部材50b,51b等の水平座標は待機位置で、垂直座標はシール高さである。
この状態から、下側シャッター部材50b,51b等を、水平移動はさせないで、矢印m7,m8で示すように、シール高さ位置からしごき高さ位置まで垂直移動させて、
図13(G)に示すような待機位置に移行させる。
【0089】
図13(G)は、待機位置であり、上記のように、下側シャッター部材50b,51b等の水平座標は待機位置で、垂直座標はしごき高さである。
そして、この状態は
図12(A)と同じである。つまり、
図12(A)~
図13(G)までが、
包装体BPの予定の生産量に達するまで繰り返される。
【0090】
以上に説明したように、第2実施形態の横シール装置10および吸引脱気手段20の動作は、前記第1のサーボモータ29と第2のサーボモータの協働により、各バキュームボックス22,23が取付けられている各ベース部材32,33が、前記
図12(A)で示す第1位置(垂直座標:しごき高さ、水平座標:しごき待機位置)、前記
図12(B)で示す第2位置(垂直座標:しごき高さ、水平座標:しごき開始位置)、前記12(C)で示す第3位置(垂直座標:シール高さ、水平座標:しごき終了位置)、前記
図13(D)で示す第4位置(垂直座標:シール高さ、水平座標:吸引位置)、前記
図13(E)で示す第5位置(垂直座標:シール高さ、水平座標:シール位置)、前記
図13(F)で示す第6位置(垂直座標:シール高さ、水平座標:しごき待機位置)の順に移動し、その後、第1位置に戻る動作となっている。
【0091】
以上のような構成の第2実施形態の縦型製袋充填包装機1Aによれば、前記(1)~(7)と同様の効果の他、次のような効果が得られる。
(8)「カット野菜」や「もやし」等は筒状フィルムFt内に落下した状態では嵩張って沈み込み難く、噛み込みの危険性が高いが、収納された状態で、しごき用シャッター50,51により所定範囲にわたって上下方向にしごかれるので、確実に袋内に収納される。その結果、製品の詰まりを防止することができる。
【0092】
(9)シャッター収容ケース52内に収容されているしごき用シャッター50,51は、シャッター収容ケース52の奥側に装備されているバネにより、常時前方側に突出するように付勢されているので、しごき用シャッター50,51の先端部が筒状フィルムFtを確実に押圧できる。その結果、確実なしごき動作を行うことができる。
【0093】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0094】
例えば、前記第2実施形態では、各バキュームボックス22,23のそれぞれの上面と下面との両方にしごき用シャッター部材50a,51a,50b,51bを設けた構成としたが、これに限らない。各バキュームボックス22,23の下面のみにしごき用シャッター部材50b,51bを設けた構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、筒状フィルムFtの袋部に「カット野菜」や「もやし」等を収納する際に利用できる。
【符号の説明】
【0096】
1 縦型製袋充填包装機
3 製筒器
4 製袋充填筒
10 横シール装置
11 一対のヒータブロック(横シール部材)
12 一方側ヒータブロック
13 他方側ヒータブロック
20 吸引脱気手段
21 一対のバキュームボックス
22 一方側バキュームボックス
23 他方側バキュームボックス
23a 弾性部材
27 スライド部材
28 カッタ
29 第1のサーボモータ
32 一方側ベース部材
33 他方側ベース部材
37 スライド部材駆動用エアシリンダ
38 カッタ駆動用エアシリンダ
40 吸着パット
41 吸引管
50 しごき用シャッター
51 しごき用シャッター
53 上下スライドバー
Fr 巻取りロール
Ft 筒状フィルム(筒状包装材)
BP 包装体
P2 被収容物である製品