(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】ホスホリパーゼA2を処理してT細胞の細胞死を調節する方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0783 20100101AFI20230809BHJP
C12N 5/02 20060101ALI20230809BHJP
C12N 9/20 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N5/02
C12N9/20
(21)【出願番号】P 2019226752
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0082571
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 蜂毒(bvPLA2)にApoptosisを抑制して調節T細胞に及ぼす影響 1
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519449013
【氏名又は名称】ジーエムピー バイオ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ベ,ヒョン-ス
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユン-ソブ
(72)【発明者】
【氏名】ク,ス-ジョン
【審査官】小田 浩代
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0150951(US,A1)
【文献】Chung ES. et al.,Bee Venom Phospholipase A2, a Novel Foxp3+ Regulatory T Cell Inducer, Protects Dopaminergic Neurons by Modulating Neuroinflammatory Responses in a Mouse Model of Parkinson's Disease,J Immunol,2015年,Vol. 195(10),pp. 4853-4860
【文献】Costa-Junior HM. et al.,Apoptosis-inducing factor of a cytotoxic T cell line: involvement of a secretory phospholipase A2,Cell Tissue Res,2006年,Vol. 324(2),pp. 255-266
【文献】Cheroutre H. et al.,The light and dark sides of intestinal intraepithelial lymphocytes,Nat Rev Immunol,2011年,Vol. 11(7),pp. 445-456
【文献】村上 誠,ホスホリパーゼA2ファミリーの多様性と生命応答における役割,生化学,2018年,Vol. 90(3),pp. 348-360
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N1/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
In vitro上において、
蜂毒から分離されたホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)
でCD4陽性作用T細胞又は調節T細胞を処理して、CD4陽性作用T細胞又は調節T細胞のカスパーゼ-3の活性化を減少させ、シトクロムCの活性化を減少させ、PD-1およびCTLA-4の発現を増加させる方法。
【請求項2】
蜂毒から分離されたホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を含む
、CD4陽性作用T細胞又は調節T細胞のカスパーゼ-3の活性化を減少させ、シトクロムCの活性化を減少させ、PD-1及びCTLA-4の発現を増加させるための培地組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2;PLA2)によるT細胞の細胞死調節メカニズムとして、ガン、退行性疾患、脳疾患及び免疫関連疾患などの人間の殆ど全ての疾患に関与するT細胞の細胞死抑制効果に関する。
【背景技術】
【0002】
人間を構成している細胞の数を正確に測定することは難しいが、約数十兆個と推算する。そして、一日に500億から700億個の細胞は、細胞死(apoptosis)という細胞死機序を通じて死ぬと知られており、その分の細胞が新たに生成されるといえる。意図した細胞死(programmed cell death、apoptosis)は、多細胞生物の個体発生と組職の恒常性を維持するために必須であると同時に、病原体の感染に対する先天性免疫(innate immunity)の防御戦略でもある。この細胞死機序は、大きく二つに区分することができるが、一つは紫外線やガンマ線、化学物質、ウイルス感染、栄養欠乏、酸素欠乏、ガン誘発遺伝子の発現などのストレスにより発生するintrinsic apoptosisとTNF-α、FAS、TRAILなどのサイトカインが誘導するextrinsic apoptosisに区分することができる。二つの機序とも究極的にはcaspaseという細胞内タンパク質分解酵素の活性化を通じて細胞死を誘導するようになる。
【0003】
一方、細胞死機序は、ガン及び退行性疾患、脳疾患、免疫疾患などの人間の殆ど全ての疾患に関与しており、結果としてこれらの疾病の主要ターゲットとして研究されている。しかし、細胞死の場合、殆ど全ての細胞で共通して起こる現象であるため、p53、TNF-αなどの一般的な細胞死因子をターゲットとする場合、予期せぬ副作用が発生するなど、これらをターゲットとするには限界点となって来た。細胞死はその機能が喪失されれば、ガン細胞の場合、DNA損傷、シグナル伝逹系の不均衡、anoxia、loss of anchorageなどの刺激下でも生存できるようになる。ガン細胞は生存と繁栄のために細胞死機序を無力化することができる多様な方法を考案した。腫瘍細胞がさらに悪性形質を有するように進化する過程は、細胞死過程を回避して生存するように広範囲な遺伝子変化が生じることである。もし細胞死に抵抗性を持つと、ガン発生だけでなく坑がん治療にも耐性を表す。
【0004】
蜂毒は、密蜂(Apis cerana Fabricius)のしっぽ部の毒嚢から排出される毒汁として、副腎皮質ホルモン類似作用、中枢神経系統に作用、循環系統に影響、消化系統に作用、陣痛作用、神経痛に作用、抗菌作用などがあると知られている。メリチン(melittin)と蜂毒由来のホスホリパーゼA2(以下、bvPLA2)が蜂毒の主要構成成分として知られているが、メリチンは26個のアミノ酸で構成された細胞分解性タンパク質であり、bvPLA2は細胞膜の燐脂質を加水分解する酵素である。
【0005】
現在まで知られた密蜂の蜂毒成分は40余類で、多様な生理活性を示すメリチン(melittin)、アパミン(apamin)、MCD-ペプチド(MCD-peptide)のような活性ペプチド、ヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2)のような酵素とドパミン、ヒスタミン等のようなアミン類がある。
【0006】
蜂毒は、昆虫の自己防御物質として、人体や動物に一時的または永久的に害を与えるために持っている化学的物質である。多様な成分で構成された蜂毒は、縫針療法で古くから民間療法の一つとして関節炎、通風などの疾患に使用されている。また、蜂毒は強い抗菌効果だけでなく、坑がん、坑痴呆、肌再生効果などが報告されている。特に、蜂毒由来PLA2は、調節T細胞を活性化させて免疫恒常性の調節、自己免疫疾患の抑制、アレルギーの抑制などの多様な免疫関連疾患でその効能が報告された。
【0007】
蜂毒治療法は、治療用蜂を直接患部に刺されるようにするか、精製された蜂毒抽出物を経穴点などに注射する方法であり、蜂毒治療法が抗炎症(anti-inflammation)、抵細胞死(anti-apoptosis)、抗線維症(anti-fibrosis)効果があるという研究結果も多数発表され、臨床では局所的炎症やリウマチ、パーキンソン病などの多様な疾患に使われて来た。
【0008】
蜂毒由来のPLA2(bvPLA2)は、細胞膜燐脂質のsn-2エステル結合を加水分解して、アラキドン酸とリソリン脂質が遊離するように触媒する酵素である。多くの研究において、bvPLA2がアレルギー性喘息、アルツハイマー疾患、シスプラチン(cisplatin)による臓器炎症だけでなく、多様な疾患に保護効果があると報告されている。また最近の研究では、PGE2の分泌を調節して免疫抑制作用を媒介するbvPLA2の新しい効能が明かされた。bvPLA2がdendritic cells(DC)表面のCD206受容器(receptor)に直接結合してPGE2の発現を誘導し、PGE2は未接触T細胞(naiveT cells)のEP2受容器(receptor)に結合してCD4+CD25+Foxp3+調節T細胞(Treg cells)への分化を誘導する。
【0009】
一方、T細胞は、まだ抗原に会わなかった未接触T細胞と、抗原に会って成熟した効果T細胞(補助T細胞、細胞毒性T細胞、自然殺傷T細胞)、そして記憶T細胞に分類される。未接触T細胞(Naive T cell)は、分化と成熟を経たが、未だ末梢で抗原に会わなかったT細胞である。抗原伝達細胞に提示された未だ認知されていないMHC:抗原複合体に会えばT細胞抗原受容体シグナル伝達過程(T-Cell Receptor signaling pathway)を通じて抗原を認識し、効果T細胞として活性化されて適応免疫が始まる。表面には細胞接着分子(cell adhesion molecule)であるL-セレクチン(CD62L)が存在する一方、効果T細胞の特徴であるCD25、CD44、CD69と記憶T細胞の特徴であるCD45などは殆ど存在しない。ヘルパーT細胞(Helper T cell、またはTh cell)は、効果T細胞の中で他の白血球の分化及び活性化を調節することで体液性免疫を促進する細胞をいう。細胞表面にCD4タンパク質を持っているという特徴のため、CD4T細胞ともいう。補助T細胞は、細部機能によって再びTh1、Th2、Th17、Tregなどに分類される。Th1細胞は、インターフェロンガンマ(interferon-gamma、IFN-γ)と腫瘍怪死因子ベータ(Tumor Necrosis Factor beta、TNF-β)を分泌することで、大食細胞の内部でエンドソームとリソソームが融合してエンドリソソームを形成するように誘導する。
【0010】
一方、Th2細胞は、様々な種類のインターロイキン(interleukin、IL)を分泌してB細胞が形質細胞に分化するようにする。Th17細胞は、インターロイキン-17(IL-17)を分泌して好中性白血球を集まらせる。調節T細胞ともいうTreg細胞は、免疫反応を促進するのではなくむしろ抑制することで免疫の恒常性を維持し、自己免疫反応などを遮断する。調節T細胞(Treg cells)は、免疫反応が最大に発生した後に再び普段状態に回復するimmune homeostasisと自己由来組織には免疫反応をしない自己寛容(self-tolerance)を核心機能とする特殊なT細胞である。生体外で増殖されたCD4+CD25+Treg cellsが体内に移植された時、多様な病理的変化を予防し、特に移植片対宿主病(Graft versus Host Disease、GvHD)は、調節T細胞の臨床適用に非常に適合な疾患として知られている。細胞毒性T細胞は、グランザイム(granzyme)やパーフォリン(perforin)のような細胞毒性物質を分泌してウイルスに感染された細胞や腫瘍細胞などを殺す細胞である。細胞表面にCD8タンパク質を持っているため、CD8 T細胞ともいう。補助T細胞とは反対に細胞性免疫を媒介してウイルス及びガン細胞を除去する。自然殺傷T細胞は、補助T細胞及び細胞毒性T細胞に比べて少ない割合で分布する効果T細胞の一つであり、表面にT細胞のようなT細胞抗原受容体(T Cell Receptor、TCR)を持っているが、NK1.1のような自然殺細胞の特異的分子も持っている。自然殺傷T細胞は、ガンマインターフェロン、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-10(IL-10)などを分泌して免疫反応を調節する役割をする。記憶T細胞は、抗原を認知したT細胞が分化及び選別過程を経た後、長期間生存して、後で抗原が再び侵入した時に速く活性化して効果T細胞の機能ができる潜在的能力を持った細胞をいう。未接触T細胞が抗原に会って活性化された状態の細胞、または効果T細胞がインターロイキン-7(IL-7)とインターロイキン-15(IL-15)の影響を受けて長期生存可能な記憶T細胞に分化する。
【0011】
免疫システムで抗原に対する免疫反応で増殖されたリンパ球は、免疫反応が終結した後は、細胞死(apoptosis)を通じて恒常性(homeostasis)を回復する。活性化されたリンパ球では、死滅受容体(death receptor)の発現が高く表れるので、リンパ球は細胞死(apoptosis)に非常に敏感に作用する。調節T細胞も細胞死シグナル(apoptosis signal)に敏感に反応し、細胞死シグナルの変化は調節T細胞の生存可否と高い関連性がある。
【0012】
本研究では、ホスホリパーゼA2(PLA2)を処理した免疫細胞で、細胞死シグナル(apoptotic signaling)の変化を調べるために蜂毒由来のPLA2(bvPLA2)を処理した後、caspase-3とAnnexin Vの両方に陽性である初期死滅細胞(early apoptotic cell)を流動細胞分析法(flow cytometry)で分析した。また、細胞死(apoptosis)の初期過程を開始させるcaspase-3の活性化程度をウエスタンブロット(western blot)で分析した。さらに、細胞死(apoptosis)を抑制するCTLA-4とPD-1の発現程度を流動細胞分析法(flow cytometry)で分析した結果、有意性のある結果を導出した。
【0013】
即ち、本発明は、ホスホリパーゼA2(PLA2)によるT細胞の調節メカニズムとして、ガン、退行性疾患、脳疾患及び免疫関連疾患などの人間の殆ど全ての疾患に関与するT細胞の細胞死抑制効果に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本研究では、ホスホリパーゼA2(PLA2)がT細胞の細胞死を調節するのかを確認し、特に、PLA2がT細胞を増加させることが細胞死(apoptosis)と関連があるかを調べた。また、細胞死初期段階(early apoptosis)にPLA2が及ぼす影響を確認するために、流動細胞分析(flow cytometry)を行い、マウス膵膓細胞にPBSとPLA2の処理後にanti-CD3/anti-CD28抗体のように72時間培養した。その後、Tリンパ球の中で細胞死した細胞の数及び初期状態の細胞死した細胞数を測定した。細胞死(apoptosis)の初期過程を開始させるcaspase-3の活性化に対する影響を確認するために、ウエスタンブロット(western blot)を行い、さらに、細胞死(apoptosis)を抑制するCTLA-4とPD-1の発現程度を流動細胞分析(flow cytometry)した。
【0015】
その結果、本発明のPLA2を処理した実験群で細胞死初期段階のT細胞が顕著に減少し、PLA2を処理した実験群でcaspase-3の活性化が劇的に減少し、細胞死(apoptosis)を抑制するタンパク質であるCTLA-4とPD-1が相当増加した。また、細胞死のマーカーであるFoxp3、Heliosの発現が増加することから、結果としてPLA2が細胞死(apoptosis)を抑制してT細胞を増加させることで、ガン、退行性疾患、脳疾患及び免疫関連疾患に保護効果があることを確認した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明は、In vitro上において、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を処理して、T細胞の細胞死(apoptosis)を調節する方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、In vitro上において、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を処理して、T細胞の細胞死(apoptosis)を抑制する方法を提供する。
【0018】
本発明の一実施例において、前記T細胞はCD4+CD25+調節T細胞であることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明の一実施例において、前記T細胞は、CD4+CD25-作用T細胞であることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0020】
本発明の一実施例において、前記T細胞は、CD8+細胞毒性T細胞であることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明の一実施例において、前記細胞死は、細胞死初期段階であることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0022】
本発明の一実施例において、前記方法は、caspase-3またはcytochrome Cの活性化を減少させることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明の一実施例において、前記方法は、細胞死マーカーであるFoxp3、PD-1、CTLA-4及びHeliosのいずれか一つ以上の発現を増加させることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0024】
また、本発明は、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を含む、T細胞の細胞死抑制用培地組成物を提供する。
【0025】
また、本発明は、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を個体に処理して、T細胞の細胞死(apoptosis)を抑制する方法を提供する。
【0026】
最後に、本発明は、上記の方法によってホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)が細胞死を抑制してT細胞を増加させることで、免疫恒常性の調節、自己免疫疾患の抑制、アレルギーの抑制などの多様な免疫関連疾患及びガン、退行性疾患、脳疾患の予防または治療に効果があることが期待される。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)によるT細胞の調節メカニズムとして免疫反応に重要な役割をするTリンパ球の細胞死(apoptosis)の抑制効果に関するもので、In vitro上において、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を処理してT細胞の細胞死(apoptosis)を抑制することでT細胞を増加させる効果があるため、多様な免疫疾患またはガン、退行性疾患、脳疾患の治療及び予防に効果的であり、その関連産業に有用に使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)が作用T細胞(Teff)及び調節T細胞(Treg)の細胞死数を示す図面である。
【
図2】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)が調節T細胞(Treg)の増加に及ぼす影響を示す図面である。
【
図3】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)が調節T細胞(Treg)の表現型に及ぼす影響を示す図面である。
【
図4】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)が細胞死(apoptosis)に及ぼす影響を示す図面である。
【
図5】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を処理した後、anti-CD3/anti-CD28抗体と培養して細胞死した細胞数を示す図面である。
【
図6】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)によるCD4
+T細胞の細胞死抑制機序がIL-2依存的な現象であるかを確認した結果を示す図面である。
【
図7】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)が細胞死初期段階(early apoptosis)に及ぼす影響を示す図面である。
【
図8】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を処理した後、anti-CD3/anti-CD28抗体と培養してT細胞の中で初期段階の細胞死した細胞の数を示す図面である。
【
図9】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)がcaspase-3の活性化に及ぼす影響を示す図面である。
【
図10】細胞死によって増加するcleaved caspase-3がホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)処理で減少することをウエスタンブロットを通じて確認した図面である。
【
図11】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)がPD-1タンパク質の発現に及ぼす影響を示す図面である。
【
図12】ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)がCTLA-4タンパク質の発現に及ぼす影響を示す図面である。
【
図13】調節T細胞関連の細胞死のマーカーであるFoxp3、PD-1、CTLA-4、Heliosの発現程度を確認した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、In vitro上において、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を処理して、T細胞の細胞死(apoptosis)を調節する方法を提供することを目的とする。
【0030】
また、本発明は、In vitro上において、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を処理して、T細胞の細胞死(apoptosis)を抑制する方法を提供する。
【0031】
本発明の一実施例において、前記T細胞は、CD4+CD25+調節T細胞であることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
本発明の一実施例において、前記T細胞は、CD4+CD25-作用T細胞であることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
本発明の一実施例において、前記T細胞は、CD8+細胞毒性T細胞であることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
本発明の一実施例において、前記細胞死は、細胞死初期段階であることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
本発明の一実施例において、前記方法は、caspase-3またはcytochrome Cの活性化を減少させることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
本発明の一実施例において、前記方法は、細胞死マーカーであるFoxp3、PD-1、CTLA-4及びHeliosのいずれか一つ以上の発現を増加させることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0037】
また、本発明は、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を含む、T細胞の細胞死抑制用培地組成物を提供する。
【0038】
また、本発明は、ホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)を個体に処理して、T細胞の細胞死(apoptosis)を抑制する方法を提供する。
【0039】
従って、本発明は、上記の方法によってホスホリパーゼA2(phospholipase A2、PLA2)が細胞死を抑制してT細胞を増加させることで、免疫恒常性の調節、自己免疫疾患の抑制、アレルギーの抑制などの多様な免疫関連疾患及び、ガン、退行性疾患、脳疾患の予防または治療に効果があることが期待される。
【0040】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態で本発明を詳しく説明する。但し、下記の実施形態は、本発明に対する例示として提示されるもので、当業者に周知著名な技術または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断される場合は、その詳細な説明を省略することができ、これによって本発明が制限されるものではない。本発明は、後述する特許請求の範囲の記載及びこれから解釈される均等範疇内で多様な変形及び応用が可能である。
【0041】
また、本明細書で使用される用語(terminology)は、本発明の好ましい実施例を適切に表現するために使用された用語であり、これは、使用者、運用者の意図または本発明が属する分野の慣例などによって変わることができる。従って、本用語に対する定義は、本明細書全般にわたった内容に基づいて出されるべきである。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とすると、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0042】
本明細書全体にわたって、特定物質の濃度を表すために使用される「%」は、別途の言及がない場合、固体/固体は(w/w)%、固体/液体は(w/v)%、そして液体/液体は(v/v)%である。
【0043】
以下で、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。但し、上記実施例及び実験例は、本発明に対する例示として提示されるもので、当業者に周知著名な技術または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断される場合は、その詳細な説明を省略することができ、これにより本発明が制限されるものではない。本発明は、後述する特許請求の範囲の記載及びこれから解釈される均等範疇内で多様な変形及び応用が可能である。
【実施例】
【0044】
実施例1.実験の準備及び実験方法
1.1.実験用マウスの準備及び細胞培養
生後6~7週の雄Foxp3EGFPC57BL/7マウスをThe Jackson Lab.(Bar Harbor,ME,USA)から購買した。全ての実験用マウスに空調され、病原体(pathogen)のない環境で12時間ずつ昼/夜を交互に維持させた。また、実験期間中は、飼料と水を自由に摂取させた。全ての過程は<Rules for Animal care>、<Guiding Principles for Experiment Using Animals>を遵守して行われた。
【0045】
実験用マウスを吸入麻酔剤(isoflurane)で麻酔させた後、脾臓を摘出して40μm細胞濾過器(Corning,NY,USA)に通過させた。赤血球が溶解された後に脾臓細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗い出し、RPMI-1640(WelGENE INC.,大邱,韓国)で再浮遊させた。培養液には、10%のFBS、50IU/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン(Hyclone,Logan,UT,USA)が添加された。脾臓細胞には、plate-bound CD3(5μg/ml)とsoluble CD28(2μg/ml)の単一クローン抗体(BD Biosciences,San Jose,CA,USA)と共に0.4μg/mlのPLA2(Sigma-Aldrich,ST.Louis,MO,USA)を処理した。100nMのラパマイシン(rapamycin)のみを単独で処理した細胞群が実験対照群として備えられた。脾臓細胞を37℃で72時間培養させた。
【0046】
1.2.流動細胞分析(Flow Cytometry)方法
培養された細胞をチューブに分液した後、stain buffer(BD Biosciences)で洗い出し、蛍光標識された抗体と共に4℃で30分間培養させた。anti-CD4-PE-Cy7、anti-CD25-APC-Cy7、anti-CD127-PE、anti-CD62L-APC、anti-CTLA-4-PE、及びanti-PD-1-PE抗体が流動細胞分析(flow cytometry)に使用された。細胞死(apoptosis)有無を確認するために、Annexin V-APC、PI、anti-activated caspase-3/7-FITC 抗体(BD Biosciences)を標識者として使用した。機器はBD FACS Calibur flow cytometer(BD Biosciences)を使用し、統計分析はFLOWJO software(Tree star,Ashland,OR,USA)を利用して施された。
【0047】
1.3.ウエスタンブロット(western blot)方法
細胞をPro-PREP Protein Extraction Solution(iNtRON Biotechnology,ソウル,韓国)で溶解させ、4℃で30分間維持した。タンパク質濃度は小血清アルブミン(BSA)を基準値として、Bradford方式を利用して測定した。抽出されたタンパク質の中で同一の量をSDS-PAGE電気泳動で分離して、ニトロセルロースメンブレン(nitrocellulose membrane)(Bio-Rad,Hercules,CA,USA)に移動させた。その後、メンブレン(membrane)全体に3%の無脂肪牛乳を塗布し、0.05%のTween-20が含有されたPBSで室温で1時間維持した。
【0048】
また、caspase-3抗血清(Cell Signaling,Boston,MA,USA)とβ-actin(Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA,USA)をそれぞれ1:1000で希釈して室温で2時間培養した。メンブレン(membrane)を一度洗浄した後、1:5000で希釈された2次抗体(horseradish peroxidase付着)と1時間培養した。また、実験対照群として同一のメンブレン(membrane)をβ-actin特異抗体を利用して再測定した。化学発光試薬(ECL,Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway,NJ,USA)を使って特定バンドが表れるようにした。
【0049】
1.4.調節T細胞の準備
脾臓細胞の中でCD4+CD25+Treg細胞は、CD4+CD25+ Regulatory T Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec,USA)を利用してmagnetic-activated cell sorting(MACS)方法で分離された。biotinylated antibody混合液とanti-biotin magnetic beadsを利用してCD4+T細胞を先ず選別した後、PE-labeled anti-CD25 antibodyとanti-PE magnetic beadsを利用してCD4+CD25+T細胞を選別した。流動細胞分析法(flow cytometry)で分析した結果、Treg細胞の純度は78%以上と確認された。
【0050】
1.5.統計処理方法
二つまたは二つ以上の実験群から出た非正規分布データにはone-way Analysis of Variance(ANOVA)分析とTukey’s Multiple Comparison Testを利用するか、Prism 5.01 software(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA,USA)を利用してStudent’s t-testで有意性検証をした。P<0.05の場合,統計的に有意であるみて、実験結果は平均±平均の標準偏差(Standard error of mean,SEM)で表した。
【0051】
実施例2.ホスホリパーゼA2が調節T細胞(Treg)に及ぼす影響の確認
2.1.ホスホリパーゼA2を処理していない状態におけるT細胞の細胞死
実験に使用されたホスホリパーゼA2(phospholipase A2)は、蜂毒由来のホスホリパーゼA2(bvPLA2)を使って以下の実験を進行した。
【0052】
実験に先立ち、bvPLA2を処理していない状態におけるT細胞の細胞死の数を染色を通じて測定してみた。
図1に示すように、(A)作用T細胞(Teff;CD4
+CD25
-)と(B)調節T細胞(Treg;CD4
+CD25
+)の染色を通じて7-AADとAnnexin Vのいずれも陽性である細胞死数が調節T細胞で2倍以上存在することを確認し、(C)作用T細胞(Teff;CD4
+CD25
-)と(D)調節T細胞(Treg;CD4
+CD25
+)の染色を通じてcaspase-3とAnnexin Vのいずれも陽性である初期細胞死数が調節T細胞で顕著に増加することを確認した。
【0053】
2.2.ホスホリパーゼA2がCD4+CD25+Foxp3+Tregの増加に及ぼす影響
bvPLA2が調節T細胞(Treg)の増殖を誘導する効果を確認するために、脾臓細胞にPBS、bvPLA2、ラパマイシン(rapamycin)をそれぞれ処理した後、72時間後にanti-CD4-PE-Cy7とanti-CD25-APC-Cy7と標識した後、流動細胞分析法(Flow Cytometry)で分析した。調節T細胞(Treg)を識別するために、先ず全体リンパ球細胞の中でCD4+細胞をプログラムで選択し、その中でCD25+細胞とFoxp3+細胞を選別して結果を導出した。
【0054】
また、ラパマイシン(rapamycin)が実験室環境でmurine(ネズミ科の動物)と人間のFoxp3+ Treg cells増殖を促進するという研究結果に基づいて、実験群の正常な発現を確認するためにラパマイシン(rapamycin)を処理した実験対照群を準備した。
【0055】
その結果、
図2のように、CD4
+CD25
+Foxp3
+ Treg cellsは、PBS処理群(A)で2.99%、ラパマイシン(rapamycin)処理群(B)で6.03%、bvPLA2を処理群(C)で5.79%、bvPLA2とラパマイシンを処理した実験群でPBS処理群より有意に高いことが表れ(p<0.05)、bvPLA2処理群とラパマイシン処理群の間には大きな差異点がなかった。
【0056】
実施例3.ホスホリパーゼA2がCD4+CD25+Foxp3+ Tregの表現型に及ぼす影響の確認
CD4+CD25+Foxp3+ Treg cellは、CD62L(L-Selectin)とCD127の発現程度によってresting Treg(CD62LhiCD127low)、activated effectorTreg(CD62LlowCD127low)、memory Treg(CD62LlowCD127hi)に区分することができる。
【0057】
脾臓細胞をTreg cell表現型マーカー(CD4、CD25、Foxp3、CD62L、CD127)で染色した後、流動細胞分析法(flow cytometry)で分析した。
【0058】
実験の結果、
図3(A)に示すように、resting Tregの割合は、bvPLA2(p<0.01)とラパマイシン(rapamycin)(p<0.001)処理群でPBS処理群に比べて有意に増加し、一方、
図3(B)及び
図3(C)を参照すると、effector Treg(p<0.05)とmemory Treg(p<0.01)の割合は、bvPLA2処理群でPBS処理群に比べて有意に減少した。
【0059】
実施例4.ホスホリパーゼA2が細胞死(apoptosis)に及ぼす影響の確認
bvPLA2がT細胞の細胞死に如何なる影響を及ぼすかを確認するために、Annexin V-APCとpropidium iodide(PI)染色を利用した。Annexin Vは、死滅細胞(apoptotic cell)の細胞膜phosphatidic serin(PS)と結合し、PI染色はlate-stage apoptotic cellとnecrotic cellで細胞核と結合するため、Annexin VとPIを同時に利用して初期段階(early-stage)と末期段階(late-stage)の死滅細胞(apoptotic cell)を判別することができる。
【0060】
(1)実験の結果、
図4に示すように、Annexin VとPIの両方に陽性を表したTreg cellの割合は、PBS処理群(A)で6.55%、ラパマイシン(rapamycin)処理群(B)で6.59%、bvPLA2処理群(C)で3.66%と表れた。Annexin VとPIの両方に陽性を表したTreg cellの数字はPBS処理群とラパマイシン処理群よりbvPLA2処理群で非常に有意に少なかった(p<0.01)。即ち、bvPLA2を処理した群でapoptotic Treg cellの絶対的な数字と割合のいずれもが減少することを確認した。
【0061】
(2)また、
図5に示すように、マウス膵膓細胞をPBSとbvPLA2処理した後、anti-CD3/anti-CD28抗体のように72時間培養した後、CD4
+Tリンパ球中で細胞死した細胞の数を測定した結果、PIとAnnexin Vのいずれも陽性である細胞死がbvPLA2を処理した細胞では1.5倍ほど減少することを確認した。
【0062】
(3)bvPLA2によるCD4
+T細胞の細胞死抑制機序がIL-2依存的な現象であるかを確認した結果、
図6に示すように、IL-2の添加に非依存的にbvPLA2処理群で細胞死の減少が表れることを確認することができた。
【0063】
実施例5.ホスホリパーゼA2が細胞死初期段階(early apoptosis)に及ぼす影響の確認
カスパーゼ(Caspase)の活性化は、細胞死(apoptosis)の初期段階に必須な過程である。細胞死の初期過程にbvPLA2が関与するかを確認するために、fluorogenic capase-3 substrateとAnnexin V-APC、7-AAD(DNA bindig dye)で蛍光標識して流動細胞分析法(flow cytometry)で分析した。7-AADに陰性である細胞を選別した後、caspase-3とAnnexin Vの両方に陽性である初期死滅細胞(early apoptotic cell)を測定した。
【0064】
(1)測定の結果、
図7に示すように、PBS処理群(A)では10.9%、ラパマイシン(rapamycin)処理群(B)では5.88%、bvPLA2処理群(C)では0.15%と観察された。bvPLA2処理群で初期死滅細胞(early apoptotic cell)がPBS処理群に比べて統計的に非常に有意に減少した(p<0.01)。ラパマイシン処理群でも初期死滅細胞(early apoptotic cell)の減少が確認されるが、統計的に優位な程度ではなかった。
【0065】
(2)
図8に示すように、マウス膵膓細胞をPBSとbvPLA2処理した後、anti-CD3/anti-CD28抗体のように72時間培養した後、CD4+ T細胞の中で初期状態の細胞死した細胞の数を測定した結果、active caspase-3とAnnexin Vのいずれも陽性である初期細胞死がbvPLA2を処理した細胞では顕著に減少した。
【0066】
実施例6.ホスホリパーゼA2がcaspase-3の活性化に及ぼす影響の確認
(1)細胞死(apoptosis)の過程の中でcaspase-3の活性化は核心的なメカニズムである。caspase-3は、32kDaのタンパク質加水分解性の全酵素として、12kDaと17kDaのサブユニット(subunit)に分割されながら活性化される。実施例4と実施例5で bvPLA2が死滅細胞(apoptotic cell)を減少させることを確認した後、bvPLA2がcaspase-3の活性化にも影響を及ぼすかを確認するために、脾臓細胞にbvPLA2を処理して37℃の室温で0、1、3、6、24、72時間、それぞれ培養してウエスタンブロット(western blot)方式でタンパク質バンドを測定した。
【0067】
その結果、
図9(A)に示すように、bvPLA2処理群でcaspase-3の分割が非常に顕著に減少したことを確認した。PBS処理群では、caspase-3の分割が1時間(1h)以後に明確に観察されるが、bvPLA2処理群では、24時間(24h)以後の結果からcaspase-3の分割が観察された。また、
図9(B)は、マウス膵膓細胞のウエスタンブロットの結果でPBS処理した正常群の場合、培養72時間目にProcaspase-3がbvPLA2を処理した群よりさらに活性化されることを確認することができた。
【0068】
(2)また、細胞死によって増加するcleaved caspase-3が蜂毒由来のPLA2処理で減少することをウエスタンブロット(western blot)を通じて確認した。Magnetic-beadで分離した作用T細胞(Teff;CD4
+CD25
-)と調節T細胞(Treg;CD4
+CD25
+)をanti-CD3/anti-CD28抗体のように72時間培養した後、細胞死が増加することを細胞死マーカーであるcleaved caspase-3とcytochrome Cを通じて観察した。その結果、
図10に示すように、蜂毒由来のPLA2を処理した時にcleaved caspase-3とcytochrome Cの発現が減少することを確認することができた。
【0069】
実施例7.ホスホリパーゼA2が細胞死マーカーの発現に及ぼす影響の確認
T細胞のCTLA-4とPD-1タンパク質は、T細胞の活性を抑制する抑制受容器(inhibitory receptor)である。bvPLA2がこれらの抑制性タンパク質の発現に及ぼす影響を確認するために、anti-CD4 antibody、anti-CD25 antibody、anti-CTLA-4 antibody、anti-PD-1 antibody染色を利用して流動細胞分析(flow cytometry)をした。
【0070】
実験の結果、
図11及び
図12に示すように、PBS処理群のPD-1が9.07%、CTLA-4が1.59%であり、bvPLA2処理群のPD-1が20.4%、CTLA-4が3.81%と確認された。即ち、bvPLA2処理群でCD4
+CD25
+ Treg cellにおけるPD-1(p<0.05)とCTLA-4(p<0.05)発現が有意に増加した。
図13は、調節T細胞関連の細胞死のマーカーであるFoxp3、PD-1、CTLA-4、Heliosの発現程度を確認した結果であり、調節T細胞関連の細胞死マーカーのいずれもがbvPLA2を処理した時に正常より増加する傾向を表すことを確認した。
【0071】
従って、本発明を通じて蜂毒(bee venom)由来の有効物質ホスホリパーゼA2(PLA2)によるT細胞の調節メカニズムとして免疫反応に重要な役割をするTリンパ球の細胞死(apoptosis)を抑制することで、T細胞を増加させる方法を確認した。
【0072】
これまで本発明についてその好ましい実施例を中心として説明した。
【0073】
本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者は本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形された形態に具現可能なことが理解できるであろう。従って、開示された実施例は限定的な観点ではなく説明的な観点で考慮されるべきである。本発明の範囲は前述した説明ではなく、特許請求の範囲に表れており、それと同等な範囲内にある全ての差異点は、本発明に含まれると解釈されるべきである。