IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オプティルの特許一覧

特許7328711気流のダスト含有量を測定するための装置および方法
<>
  • 特許-気流のダスト含有量を測定するための装置および方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】気流のダスト含有量を測定するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/02 20060101AFI20230809BHJP
   G01N 1/22 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
G01N1/02 C
G01N1/22 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021510388
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 IB2019056372
(87)【国際公開番号】W WO2020044141
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】2018/5603
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】521073877
【氏名又は名称】オプティル
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィレムス,イヴ
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/087583(WO,A1)
【文献】特開昭58-190718(JP,A)
【文献】米国特許第04686848(US,A)
【文献】中国特許出願公開第106092846(CN,A)
【文献】特開2006-226866(JP,A)
【文献】特開平07-146227(JP,A)
【文献】特開平09-218154(JP,A)
【文献】特開平09-089733(JP,A)
【文献】特開2013-202571(JP,A)
【文献】実開平02-043640(JP,U)
【文献】実開昭61-044551(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 21/00 -21/61
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流(14)のダスト含有量を測定するための装置(1)であって、前記装置(1)は、
前記装置(1)に前記気流(14)を供給するための入口開口部(4)を有する供給ライン(3)と、
前記気流(14)の前記ダスト含有量を測定するための測定チャンバ(5)であって、前記供給ライン(3)と流体連通している測定チャンバ(5)と、
前記供給ライン(3)を介して前記気流(14)を前記測定チャンバ(5)に向けて吸引するための調節可能な流量のポンプ(6)であって、前記ポンプ(6)の前記流量が、所定の制御パラメータに従って調節可能であるポンプ(6)と、
前記入口開口部(4)における前記供給ライン(3)の外部で、前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の速度、温度、圧力、および湿度を測定するために配置された第1の測定システム(7)と、
前記測定チャンバ(5)内の前記気流(14)の前記流量、前記温度、前記圧力および前記湿度を前記測定チャンバ(5)内で測定するために配置された第2の測定システム(8)と、
前記測定チャンバ(5)内において、好ましくは光学的測定によって、前記気流(14)の前記ダスト含有量を測定するために配置された第3の測定システム(9)と、
前記装置(1)を制御するための制御ユニット(10)であって、前記ポンプ(6)、前記第1の測定システム(7)、前記第2の測定システム(8)、および前記第3の測定システム(9)に動作可能に接続されている制御ユニット(10)と、
を備え、
前記供給ライン(3)および前記測定チャンバ(5)は、前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の所与の流量での、前記ポンプ(6)の前記制御パラメータと前記測定チャンバ(5)内の前記気流(14)の前記流量との間の所定の関係を確立するために、所定の形状および寸法を有する、
装置(1)。
【請求項2】
前記装置(1)は、ハウジング(2)をさらに備え、前記供給ライン(3)は、前記ハウジング(2)の外部に前記入口開口部(4)が存在する状態で、前記ハウジング(2)の内部に少なくとも部分的に配置され、前記第1の測定システム(7)は、前記入口開口部(4)において前記供給ライン(3)の外部に配置され、前記測定チャンバ(5)、前記ポンプ(6)、前記第2の測定システム(8)、前記第3の測定システム(9)、および前記制御ユニット(10)は、前記ハウジング(2)の内部に配置されている、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記装置(1)は、前記測定チャンバ(5)内の前記気流(14)の前記ダスト含有量を重量測定によって決定するために、前記第3の測定システム(9)の後に、前記測定チャンバ(5)内にフィルタ(11)をさらに備える、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記装置は、前記気流(14)を除湿するために、前記測定チャンバ(5)と前記ポンプ(6)との間に除湿システム(12)をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記除湿システム(12)は、スチームトラップおよびシリカフィルタを含む、請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記ポンプ(6)はダイアフラムポンプである、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の測定システム(7)は、前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の速度を測定するために、ピトー管と差圧センサとを備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記第2の測定システム(8)は、前記測定チャンバ(5)内の前記気流(14)の前記流量を測定するために、ホットワイヤー式マスフローメータを備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(1)によって、ダクト(13)内の気流(14)のダスト含有量を測定するためのコンピュータ実施方法であって、前記装置(1)の前記供給ライン(3)は、前記気流(14)内の前記入口開口部(4)と共に前記ダクト(13)に配置され、前記方法は、前記制御ユニット(10)によって実行される以下のステップ、
a)前記第1の測定システム(7)によって、前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の速度、温度、圧力および湿度を測定するステップ、
b)第1の測定システム(7)によって測定された、前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の速度、温度、圧力、および湿度に基づいて、前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の前記流量を計算するステップ、
c)前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の前記計算された流量に略等しい、前記測定チャンバ(5)内の前記気流(14)の流量を確立するために、前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の所与の前記流量での、前記ポンプ(6)の前記制御パラメータと前記測定チャンバ(5)内の前記気流(14)の流量との間の所定の関係に従って、前記ポンプ(6)の前記必要な制御パラメータを計算するステップ、
d)前記計算された制御パラメータに従って、前記供給ライン(3)を介して前記ダクト(13)の前記気流(14)を前記測定チャンバ(5)に向けて吸引するために前記ポンプ(6)を制御するステップ、
e)前記第2の測定システム(8)によって、前記測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流の前記流量、前記温度、前記圧力、および前記湿度を測定するステップ、
f)前記第2の測定システム(8)により測定された、測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流(14)の前記流量、温度、圧力、および湿度に基づいて、前記測定チャンバ(5)の前記吸引された気流(14)の前記流量を計算するステップ、
g)前記測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流(14)の前記計算された流量と前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の前記計算された流量を比較し、前記測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流(14)の前記計算された流量と前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の前記計算された流量とが実質的に等しくない場合、前記測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流(14)の前記計算された流量と前記供給ライン(3)の前記入口開口部(4)での前記気流(14)の前記計算された流量とが略等しくなるまで、前記ポンプ(6)の前記制御パラメータを調整し、それに従って、前記ポンプ(6)の前記調整された制御パラメータを使用して、ステップd)からg)を繰り返すステップ、
h)前記第3の測定システム(9)によって、前記測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流(14)の前記ダスト含有量を測定し、且つ、前記第2の測定システム(8)によって、前記測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流(14)の前記温度、圧力、および湿度を測定するステップ、および、
i)前記第3の測定システム(9)によって測定された、前記測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流(14)の前記ダスト含有量、および前記第2の測定システム(8)によって測定された、前記測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流の前記温度、圧力、および湿度に基づいて、通常の条件下における前記測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流(14)の前記ダスト含有量を計算するステップ、
を含む、方法。
【請求項10】
ステップh)およびi)が、通常の条件下で、前記測定チャンバ(5)内の前記吸引された気流(14)の平均ダスト含有量を計算するために、所定の期間にわたって周期的に繰り返される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくはダクトにおける気流のダスト含有量を測定するための装置に関する。さらに、本発明はまた、本発明による装置を使用して、ダクトの気流のダスト含有量を測定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気流のダスト含有量を測定するための装置は、特許文献1または特許文献2から知られている。そのような装置は、気流を装置に供給するための入口開口部を有する供給ラインを備えている。さらに、そのような装置はまた、供給ラインと流体連通している測定チャンバを含む。この装置は、供給ラインを介して測定チャンバに向かって気流を吸引するための調整可能な流量を有するポンプを備えている。測定チャンバには、気流のダスト含有量を測定するための測定システムが備わっている。特許文献1では、測定システムは、光源および光電池を含む。気流のダスト含有量が、気流の通過時に光電池が受け取る光の強度の変化から判定される。特許文献2では、測定システムは、2つの電極を含み、その間を気流が流れることができる。気流のダスト含有量は、印加される電圧の関数として両方の電極間に流れる電流から判定される。ダスト含有量の測定を等速条件下で実行できるようにするために、入口開口部での供給ラインの外部の気流の速度は、ピトー管によって測定され、供給ラインの気流の速度がベンチュリ管によって測定される。次に、両方の速度の差に基づいて、両方の速度が実質的に等しくなるまでポンプの流量が調整される。
【0003】
そのような装置は、例えば圧力、温度および湿度などの気流のパラメータが、供給ラインを介して測定チャンバに向かって気流を吸引するときに変化する可能性があるという欠点を生じる。しかし、これらのパラメータは、入口開口部での供給ラインの外部の気流の速度を、供給ラインまたは測定チャンバ内の気流の速度と正しい方法で比較できるようにするために着目され、等速条件下でダスト含有量の測定を実行できるようにしている。さらに、これらのパラメータはまた、測定システムによって測定された測定チャンバ内のダスト含有量に基づいて、装置に供給される気流のダストの量を正確に示すことを可能にするために、着目される。
【0004】
このような装置のさらなる欠点は、入口開口部での供給ラインの外部の気流と供給ラインの速度との間の速度の差に基づいてポンプを制御することにより、等速条件に到達するのに幾分かの時間を要する場合があるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2010/053386A1
【文献】US3,784,902A
【発明の概要】
【0006】
本発明は、気流のダスト含有量の正確かつ直接的な測定を可能にする装置および方法を提供することを目的としている。
【0007】
この目的は、第1の独立クレームの特徴を示す装置と、第2の独立クレームによる特徴を示す方法とによって実現される。
【0008】
この目的のために、本発明は、好ましくはダクトにおける気流のダスト含有量を測定するための装置を提供する。装置は、気流を装置に供給するための入口開口部を有する供給ラインを備える。この装置は、気流のダスト含有量を内部で測定するための測定チャンバを備える。測定チャンバは、供給ラインと流体連通している。この装置は、供給ラインを介して測定チャンバに向けて気流を吸引するための調整可能な流量を有するポンプを備える。ポンプは測定チャンバと流体連通している。ポンプの流量は、所定の制御パラメータに従って調整可能である。この装置は、供給ラインの入口開口部での気流の速度、温度、圧力、および湿度を、入口開口部における供給ラインの外部で測定するために配置された第1の測定システムを備える。好ましくは、第1の測定システムは、気流の速度、絶対温度、絶対圧力、および絶対湿度を、入口開口部における供給ラインの外部で測定するために配置されている。この装置は、測定チャンバ内の気流の流量、温度、圧力、および湿度を、測定チャンバ内で測定するために配置された第2の測定システムを備える。好ましくは、第2の測定システムは、測定チャンバ内の気流の流量、絶対温度、絶対圧力、および絶対湿度を、測定チャンバ内で測定するために配置されている。この装置は、気流のダスト含有量を測定チャンバ内で測定するために配置された第3の測定システムを備える。好ましくは、第3の測定システムは、電子読取可能なセンサを使用して気流のダスト含有量を測定するように構成されている。好ましくは、第3の測定システムは、光学的測定によって気流のダスト含有量を測定チャンバ内で測定するために配置されている。好ましくは、第3の測定システムは、気流中のダスト粒子で散乱された光によって気流のダスト含有量を測定チャンバ内で測定するように構成される。この装置は、装置を制御するための制御ユニットを備える。制御ユニットは、ポンプ、第1の測定システム、第2の測定システム、および第3の測定システムに動作可能に接続されている。供給ラインおよび測定チャンバは、供給ラインの入口開口部での気流の所与の流量での、ポンプの制御パラメータと測定チャンバ内の気流の流量との間の所定の関係を確立するために、所定の形状および寸法を有する。
【0009】
第1の測定システムおよび第2の測定システムは、速度または流量を測定することに加えて、それぞれ入口開口部における供給ラインの外部および測定チャンバ内の気流の温度、圧力、および湿度を測定するために配置され、このことは、等速条件下で、第3の測定システムを使用して、測定チャンバ内でダスト含有量の測定を実行できるようにするために、これらのパラメータを考慮に入れて、入口開口部における供給ラインの外部の気流の速度を、測定チャンバ内の気流の速度と正しい方法で比較できるという利点を提供する。
【0010】
それぞれ、入口開口部における供給ラインの外部および測定チャンバ内の気流の温度、圧力、および湿度を測定するために配置された第1の測定システムおよび第2の測定システムはまた、これらのパラメータが、第3の測定システムによって測定される測定チャンバ内の気流のダスト含有量に基づいて、装置に供給された気流中のダストの量を正確に示すためにも使用され得るという利点を提供する。
【0011】
供給ラインおよび測定チャンバの所定の形状および寸法は、気流の速度、温度、圧力、および湿度である、第1の測定システムによって測定されたパラメータから決定される、入口開口部における供給ラインの外部の気流の流量に基づいて、ポンプの制御パラメータを、入口開口部における供給ラインの外部の気流の流量と略等しい、測定チャンバ内の気流の流量を生成すようために直接設定できるという利点を提供する。この目的のために、測定条件を、等速条件に迅速に至らせることができ、この条件下で、測定チャンバ内の気流のダスト含有量の測定が、第3の測定システムによって実行され得る。気流の流量、温度、圧力、および湿度である、第2の測定システムによって測定されたパラメータから決定される、測定チャンバ内の気流の流量は、必要に応じて、ポンプの制御パラメータに対してより小さな補正を実行するためにさらに使用することができ、入口開口部における供給ラインの外部の気流の流量に高精度で近づく、測定チャンバ内の気流の流量を達成することができる。
【0012】
本発明による装置の一実施形態では、装置は、ハウジングをさらに備える。好ましくは、装置は、携帯型ハウジングを含む。供給ラインは、少なくとも部分的にハウジングの内部に配置され、入口開口部はハウジングの外側にある。第1の測定システムは、入口開口部における供給ラインの外部に配置される。測定チャンバ、ポンプ、第2の測定システム、第3の測定システム、および制御ユニットは、ハウジング内に配置されている。
【0013】
本発明による装置の様々な部分をハウジングに設置することは、測定に影響を与え得る任意の外的影響からその様々な部分を保護し、したがって測定の精度を改善するので有利である。装置の様々な部分を携帯型ハウジングに設置することは、装置を移動できるようにし、直接かつ正確な測定をその場で迅速に実行できるようにするため、有利である。
【0014】
本発明による装置の一実施形態では、第2の測定システムは、測定チャンバ内の気流の酸素含有量を測定するようにさらに構成される。
【0015】
第3の測定システムによって測定された測定チャンバ内の気流のダスト含有量に基づいて、装置に供給される気流中のダストの量を正確に示すことができる、特定の条件下で着目され得るさらなるパラメータは、測定チャンバ内の気流の酸素含有量である。この目的のため、測定チャンバ内の気流の酸素含有量も決定するために第2の測定システムをさらに構成することが有利であり、これにより、第3の測定システムによって測定された測定チャンバ内の気流のダスト含有量から決定される、装置に供給される気流中のダスト量の精度が改善される。
【0016】
本発明による装置の一実施形態では、装置は、測定チャンバ内の気流のダスト含有量を重量測定で決定するために、第3の測定システムの後に、測定チャンバ内にフィルタをさらに備える。
【0017】
測定チャンバ内にフィルタをさらに備えることは、測定チャンバ内の気流のダスト含有量の重量測定をさらに実行でき、その測定が、第3の測定システムによって測定チャンバ内の気流のダスト含有量を測定するための制御として機能し得るという利点を提供する。これにより、本発明による装置の正確さがさらに向上する。
【0018】
本発明による装置の一実施形態では、装置は、気流を除湿するため、測定チャンバとポンプとの間に、除湿システムをさらに備える。装置のポンプの前に存在する除湿システムは、湿気による潜在的な損傷からポンプを保護するのに有利である。
【0019】
本発明による装置の一実施形態では、除湿システムは、スチームトラップおよびシリカフィルタを含む。
【0020】
本発明による装置の一実施形態では、ポンプはダイアフラムポンプである。
【0021】
本発明による装置の一実施形態では、第1の測定システムは、供給ラインの入口開口部での気流の速度を測定するためのピトー管および差圧センサを備える。
【0022】
本発明による装置の一実施形態では、第2の測定システムは、測定チャンバ内の気流の流量を測定するためのホットワイヤー式マスフローメータを備える。
【0023】
本発明による装置の実施形態では、供給ラインは、供給ラインの気流を加熱するためのヒータを備える。
【0024】
さらに、本発明はまた、本発明による装置によってダクトの気流のダスト含有量を測定するためのコンピュータ実施方法を提供する。装置の供給ラインは、気流中に、入口開口部と共にダクト内に配置される。この方法は、制御ユニットによって実行される以下のステップを含む。この方法は、第1の測定システムによって、供給ラインの入口開口部での気流の速度、温度、圧力、および湿度を測定するステップa)を含む。好ましくは、この方法は、第1の測定システムによって、供給ラインの入口開口部での気流の速度、絶対温度、絶対圧力、および絶対湿度を測定するステップa)を含む。この方法は、第1の測定システムによって測定された、供給ラインの入口開口部での気流の速度、温度、圧力、および湿度に基づいて、供給ラインの入口開口部での気流の流量を計算するステップb)を含む。この方法は、供給ラインの入口開口部での気流の計算された流量と略等しい、測定チャンバ内の気流の流量を確立するために、供給ラインの入口開口部での気流の所与の流量での、ポンプの制御パラメータと測定チャンバ内の気流の流量との間の所定の関係に従って、ポンプの必要な制御パラメータを計算するステップc)を含む。この方法は、供給ラインを介してダクトの気流を測定チャンバに向けて吸引するために、計算された制御パラメータに従ってポンプを制御するステップd)を含む。この方法は、第2の測定システムによって、測定チャンバ内の吸引された気流の流量、温度、圧力、および湿度を測定するステップe)を含む。好ましくは、この方法は、第2の測定システムによって、測定チャンバ内の吸引された気流の流量、絶対温度、絶対圧力、および絶対湿度を測定するステップe)を含む。この方法は、第2の測定システムにより測定された、測定チャンバ内の吸引された気流の流量、温度、圧力、および湿度に基づいて、測定チャンバ内の吸引された気流の流量を計算するステップf)を含む。この方法は、測定チャンバ内の吸引された気流の計算された流量と供給ラインの入口開口部での気流の計算された流量とを比較するステップg)を含む。測定チャンバ内の吸引された気流の計算された流量と供給ラインの入口開口部での気流の計算された流量が実質的に等しくない場合、ステップg)は、さらに、測定チャンバ内の吸引された気流の計算された流量と供給ラインの入口開口部での気流の計算された流量とが略等しくなるまで、ポンプの制御パラメータを調整し、それに従って、ポンプの調整された制御パラメータを使用して、ステップd)からg)を繰り返すことを含む。この方法は、第3の測定システムによって、測定チャンバ内の吸引された気流のダスト含有量を測定するステップh)を含む。ステップh)は、第2の測定システムによって、測定チャンバ内の吸引された気流の温度、圧力、および湿度を測定することをさらに含む。好ましくは、ステップh)は、第2の測定システムによって、測定チャンバ内の吸引された気流の絶対温度、絶対圧力、および絶対湿度を測定することをさらに含む。この方法は、第3の測定システムによって測定された、測定チャンバ内の吸引された気流のダスト含有量、および第2の測定システムによって測定された、測定チャンバ内の吸引された気流の温度、圧力、および湿度に基づいて、通常の条件下における測定チャンバ内の吸引された気流のダスト含有量を計算するステップi)を含む。
【0025】
本発明による方法の一実施形態では、ステップh)はまた、第2の測定システムによって、測定チャンバ内の吸引された気流の酸素含有量を測定することを含む。ステップi)では、通常の条件下での測定チャンバ内の吸引された気流のダスト含有量はまた、第2の測定システムによって測定された測定チャンバ内の吸引された気流の酸素含有量に基づいて計算される。
【0026】
本発明による方法の一実施形態では、ステップh)およびi)は、通常の条件下で測定チャンバ内の吸引された気流の平均ダスト含有量を計算するために、所定の期間にわたって周期的に繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下の説明および添付の図を用いて、この後本発明をさらに詳細に説明する。
【0028】
図1】本発明の実施形態による装置の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を特定の実施形態に関して特定の図面を参照して説明するが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ定義される。ここに示されている図面は概略的な描写であり、非限定的である。図面では、要素の一部のサイズが誇張されている場合がある。つまり、問題にされる部分は一定の縮尺で描かれてはおらず、説明の目的のみを意図している。寸法および相対的な寸法は、必ずしも本発明の実施に対する実際の縮小に一致しているわけではない。
【0030】
さらに、説明および特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的または時系列の順序を説明するためではない。問題の用語は、適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示されたもの以外の順序で作動させることができる。
【0031】
さらに、説明および特許請求の範囲における「上(top)」、「下(bottom)」、「上(over)」、「下(under)」などの用語は、説明の目的で使用され、必ずしも相対的な位置を示すためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示されたもの以外の方向で動作することができる。
【0032】
特許請求の範囲で使用される「備える(含む)」という用語およびその派生語は、その後に記載された手段に限定されると解釈されるべきではない。他の要素やステップを除外するものではない。言及された場合、規定された特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を指定するものとして解釈されるべきであるが、1つまたは複数の追加の特徴、整数、ステップまたは構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。したがって、「手段AおよびBを備える装置」などの表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなる装置に限定されない。それどころか、本発明に関して、装置の唯一の関連する構成要素がAおよびBであるということを意味する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による、気流14のダスト含有量を測定するための装置1の概略図を示す。
【0034】
装置1は、装置1に供給される気流14の供給ライン3を除いて、装置1の主要な部品が配置されたハウジング2を備える。供給ライン3は入口開口部4を有し、入口開口部4を通って気流14は供給ライン3に流入することができる。入口開口部4は、ハウジング2の外部に配置されている。供給ライン3は、入口開口部4からハウジング2まで延在し、供給ライン3は、次いでハウジング2の内部に続く。気流14の装置1への適切な供給を達成するために、入口開口部4は、好ましくは、気流14の流れの方向に対して略垂直に配置される。供給ライン3は、任意選択で、供給ライン3内の気流14を加熱するためのヒータを備えていてもよい。供給ライン3はさらに、供給ライン3を遮断するための遮断弁を備えてもよく、それにより、装置1で、漏れの試験を実施することができるようになる。
【0035】
装置1はさらに、供給ライン3と流体連通している測定チャンバ5を備え、気流14は供給ライン3から測定チャンバ5に向けて流れることができる。測定チャンバは、その内部で気流14のダスト含有量を測定するために配置されている。
【0036】
装置1はさらに、測定チャンバ5と流体連通しているポンプ6も備える。ポンプ6は、供給ライン3を介して測定チャンバ5に向けて気流14を吸引するために配置されている。ポンプ6は、ポンプ6の流量が制御パラメータに従って調整可能であるように構成されている。制御パラメータは、例えば、ポンプ6の制御電圧、または例えば、デジタル制御されたポンプ6の場合はデジタル信号であり得る。制御パラメータによってポンプ6の流量を設定することにより、気流14のダスト含有量の測定は、等速条件下で測定チャンバ5内にて実行することができ、この場合、入口開口部4での供給ライン3の外部の気流14の速度は、測定チャンバ5内の気流14の速度と略等しい。
【0037】
ポンプ6として、例えば、ダイアフラムポンプを使用することができる。ダイアフラムポンプ6には、比較的コンパクトで軽量であるという利点がある。これにより、ポンプ6をハウジング2に容易に設置することができ、さらに、装置1を軽量かつコンパクトに保つことができる。さらに、ダイアフラムポンプ6はまた、気流14を吸引するための広範囲の流量を処理することができ、そのため、装置1は、等速条件下で、様々な速度の気流14のダスト含有量を測定するために使用され得る。しかし、当業者に知られている他の適切なポンプも使用できることを理解されたい。
【0038】
気流14内の凝縮する水分の湿気による損傷からポンプ6を保護するために、装置1はさらに、任意選択で、測定チャンバ5とポンプ6との間に除湿システム12を備えることができる。除湿システム12は、例えば、気流14内の凝縮する水分の大部分を除去するためのスチームトラップを備えることができる。除湿システム12は、必要に応じて、スチームトラップを出た後で且つポンプ6の前の気流14をさらに乾燥させるためにシリカフィルタをさらに補充することができる。
【0039】
入口開口部4における供給ライン3の外部に、装置1は、第1の測定システム7を備えている。第1の測定システム7は、この位置での気流14の速度、温度、圧力、および湿度を測定するために配置されている。好ましくは、気流14の絶対温度、絶対圧力、および絶対湿度がこれにより測定される。気流14の速度を測定するために、第1の測定システム7は、例えば、差圧センサと組み合わせたピトー管を備えているが、気流14の速度を測定するための当業者に知られている他の適切なセンサもまた、使用することができる。
【0040】
測定チャンバ5内において、装置1は、第2の測定システム8を備えている。第2の測定システム8は、測定チャンバ5内の気流14の流量、温度、圧力、および湿度を測定するために配置されている。好ましくは、気流14の絶対温度、絶対圧力、および絶対湿度がこれにより測定される。気流14の流量を測定するために、第2の測定システム8は、例えば、ホットワイヤー式マスフローメータを備えているが、気流14の流量を測定するための、当業者に知られている他の適切なセンサも使用することができる。第2の測定システム8はまた、好ましくは、測定チャンバ5内の気流14の酸素含有量を測定するために配置される。
【0041】
測定チャンバ5内に、装置1はまた、第3の測定システム9を備えている。第3の測定システム9は、測定チャンバ5内の気流14のダスト含有量を測定するために配置されている。気流14のダスト含有量を測定するために、好ましくは、気流14を照明するためのレーザ光源と、気流14のダスト粒子によって、レーザ光源のレーザビームの方向とは異なる1つまたは複数の方向に散乱された光を測定するためのセンサとの組み合わせが使用される。そのような光学的測定は、気流14のダスト含有量の迅速な測定を可能にし、測定されたダスト含有量を、センサから電子的に読み取ることができる。しかし、ダスト含有量の迅速な測定および測定されたダスト含有量の電子的な読み取りを可能にする、気流14のダスト含有量を測定するための当業者に知られている他のセンサも使用することができる。
【0042】
任意選択で、装置1はまた、ポンプ6に向かう供給ライン3の入口開口部4の気流14の流れる方向に従って見て、測定チャンバ5内の第3の測定システムの後に配置されるフィルタ11を備えてもよい。フィルタ11は、測定チャンバ5内の気流14のダスト含有量の重量測定のために配置されている。ここで、気流14に含まれるダストは、既知の重量のフィルタ11上に堆積され、測定後、フィルタ11および堆積されたダストの重量が測定され、測定チャンバ5内の気流14のダストの量が決定される。この追加の測定は、第3の測定システム9によって、測定チャンバ5内の気流14のダスト含有量を測定するための制御として機能する。
【0043】
供給ライン3、測定チャンバ5、および拡張により、測定チャンバ5とポンプ6との間の任意の接続部は、所定の形状および寸法を有する。これは、ポンプ6の制御パラメータと供給ライン3の入口開口部4での気流14の所与の流量に対する測定チャンバ5内の気流14の流量との間に所定の関係を確立する。この所定の関係により、第1の測定システム1を使用して入口開口部4での気流14の流量を決定し、その後、その関係に基づいて、供給ライン3の入口開口部4での気流14の流量に略等しい、測定チャンバ5内の気流14の流量を達成するためにポンプ6の適切な制御パラメータを選択することが可能になり、その結果、第3の測定システム9を使用して、測定チャンバ5内の気流14のダスト含有量の測定が、等速条件下で実施できる。
【0044】
装置1は、装置1の異なる部分を制御するための制御ユニット10をさらに備える。したがって、制御ユニット10は、入口開口部4での供給ライン3の外部の気流14の速度、温度、圧力、および湿度を測定するための第1の測定システム7と、測定チャンバ5内の気流14の流量、温度、圧力、湿度、および任意選択で酸素含有量を測定するための第2の測定システム8と、測定チャンバ5内の気流14のダスト含有量を測定するための第3の測定システム9とに動作可能に接続される。制御ユニット10は、測定を実行するように測定システム7、8、9に指示し、それぞれの測定システム7、8、9によって測定された値を読み取り、さらなる使用のために測定値を処理することができる。
【0045】
さらに、制御ユニット10はまた、制御パラメータに基づいてポンプ6を制御するために、ポンプ6に動作可能に接続されている。制御パラメータは、ポンプ6の制御パラメータと、供給ライン3の入口開口部4での気流14の流量に対する測定チャンバ5内の気流14の流量との間の関係に従って、制御ユニット10によって、第1の測定システム7によって測定された値に基づいて計算され、決定され得る。ここでは、第2の測定システム8によって測定された値に基づいて計算された、測定チャンバ5内の気流14の流量と、ポンプ6の制御に対する補正を実行するために、第1の測定システム7によって測定された値に基づいて計算された、入口開口部4での供給ライン3の外部の気流14の流量との間で、さらに比較を行うことができる。
【0046】
必要に応じて、制御ユニット10はまた、供給ライン3を開閉するために、供給ライン3に設けられた遮断弁に動作可能に接続され得る。制御ユニット10は、供給ライン3が遮断弁によって閉じられている間に、装置1で漏れの試験を実行するようにさらに構成され得る。
【0047】
次に、本発明の一実施形態による装置1を使用した、ダクト13の気流14のダスト含有量の測定は、以下のように行われる。
【0048】
第1に、装置1の供給ライン3は、ダクト13内に、入口開口部4と共に配置される。入口開口部4は、気流14の装置1への適切な供給を達成するために、好ましくは、気流14の流れる方向に略垂直にダクト13内部に配置されている。
【0049】
続いて、第1の測定システム7は、供給ライン3の入口開口部4での気流14の速度、温度、圧力、および湿度を測定するために、制御ユニット10によって制御される。次に、第1の測定システム7によって測定された値に基づいて、供給ライン3の入口開口部4での、気流14のダクト13内の流量が、制御ユニット10によって計算される。
【0050】
後続のステップでは、第1の測定システム7によって測定された値に基づいて制御ユニット10によって計算された、供給ライン3の入口開口部4での気流14の流量に略等しい、測定チャンバ5内の気流14の流量を達成する必要性のために、ポンプ6の制御パラメータが制御ユニット10によって計算される。これは、供給ライン3の入口開口部4での気流14の所与の流量での、ポンプ6の制御パラメータと測定チャンバ5内の気流14の流量との間の既知の関係に基づいて行われる。
【0051】
さらなるステップでは、ポンプ6は、供給ライン3を介してダクト5の気流14を測定チャンバ5に向けて吸引するために、計算された制御パラメータに従って、制御ユニット10によって制御される。
【0052】
続いて、第2の測定システム8は、測定チャンバ5内において、測定チャンバ5に向けてポンプ6によって吸引された気流14の流量、温度、圧力、湿度、および任意選択で酸素含有量を測定するため、制御ユニット10によって制御される。次に、第2の測定システム8によって測定された値に基づいて、測定チャンバ5内の気流14の流量が、制御ユニット10によって計算される。
【0053】
次に、第2の測定システム8によって測定された値に基づいて計算された、測定チャンバ5内の気流14の流量が、次のステップで、第1の測定システム7によって測定された値に基づいて計算された、供給ライン3の入口開口部4での気流14の流量と、制御ユニット10によって比較される。計算された両方の流量が実質的に等しくない場合、ポンプ6の調整された制御パラメータが、計算された流量間の差に基づいて、制御ユニット10によって計算される。次に、調整された制御パラメータを使用して、ポンプ6の制御から始まる前述のステップを、計算された流量が実質的に等しくなるまで、制御ユニット10によって繰り返すことができる。計算された流量が略等しい場合、等速条件が達成され、気流14のダスト含有量を測定するために以下に記載されるステップを実行することができる。
【0054】
これらのステップでは、第3の測定システム9は、測定チャンバ5内において、ポンプ6によって測定チャンバ5に向けて吸引された気流14のダスト含有量を測定するために、制御ユニット10によって制御される。ここで、第2の測定システム8はまた、測定チャンバ5内において、ポンプ6によって測定チャンバ5に向けて吸引された気流14の温度、圧力、湿度、および任意選択で酸素含有量を測定するため、制御ユニット10によって制御される。これらの測定は、所定の期間にわたって実行され、必要に応じて、平均値を計算するために繰り返すことができる。
【0055】
次に、第3の測定システム9によって測定されたダスト含有量および第2の測定システム8によって測定された値に基づいて、ポンプ6によって測定チャンバ5に向けて吸引された気流14の通常の条件下でのダスト含有量が制御ユニット10によって計算される。必要に応じて、測定中に、供給ライン3の入口開口部4での気流14の流量および測定チャンバ5内の気流14の流量もまた、制御ユニット10によって、ならびに、第1の測定システム7および第2の測定システム8それぞれによって監視され得る。これは、第3の測定システム9による測定チャンバ5内の気流14のダスト含有量の測定中に等速条件が維持されているかどうかを検証するためである。
【0056】
必要に応じて、装置1を使用してダクト13の気流14のダスト含有量を測定する前および後に、漏れの試験を追加して実施して、ダスト含有量の測定に影響を与え得る漏れが装置1に存在していないことを確認することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 装置
2 ハウジング
3 供給ライン
4 入口開口部
5 測定チャンバ
6 ポンプ
7 第1の測定システム
8 第2の測定システム
9 第3の測定システム
10 制御ユニット
11 フィルタ
12 除湿システム
13 ダクト
14 気流
図1