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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
A41D13/11 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023538897
(86)(22)【出願日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2023014243
【審査請求日】2023-06-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523233145
【氏名又は名称】イハヴィール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(72)【発明者】
【氏名】ショロム ニキータ
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-48049(JP,A)
【文献】登録実用新案第3169951(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2022/0071323(US,A1)
【文献】特開2021-175833(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106418802(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口を覆う中央部と、前記中央部の両側から延出して頭のうち前記口の両外側領域に配置される一対の横延長部とを含むマスク本体と、
前記一対の横延長部の一方から前記中央部を横切って前記一対の横延長部の他方に向って延在し、前記一対の横延長部を前記両外側領域に向けて押付ける弾性保持フレームと、
を備え、
前記弾性保持フレームは、前記マスク本体に着脱可能に装着されており、
前記一対の横延長部のそれぞれが前記中央部に向って開口する袋状部を有し、
前記弾性保持フレームの中央フレーム部が前記中央部の内側を通り、前記弾性保持フレームの両端部の取付部が前記一対の横延長部のそれぞれの前記袋状部に挿入され、
前記マスク本体は、シートが山折り部と谷折り部とが交互に並ぶように折られると共に、前記山折り部及び前記谷折り部の延在方向の途中で鏡映反転するように折られて、前記口からその両外側領域にかけて配置可能な湾曲形状に形成されており、
前記一対の横延長部のそれぞれは、内側から見て谷をなす第1横谷折り部と、前記第1横谷折り部の上側又は下側に位置し、内側から見て谷をなす第2横谷折り部とを有し、
前記第1横谷折り部は、その少なくとも一部を前記口の外側領域に対向させるように展開可能であり、
前記第2横谷折り部が、前記袋状部を形成するように折られている、マスク。
【請求項2】
請求項1に記載のマスクであって、
前記一対の横延長部のそれぞれの内側で、前記口の外側領域に対向するように配置された一対の滑り止め部材をさらに備え、
前記弾性保持フレームの両端部が前記一対の滑り止め部材を前記口の両外側領域に押付ける位置に配置されている、マスク。
【請求項3】
口を覆う中央部と、前記中央部の両側から延出して頭のうち前記口の両外側領域に配置される一対の横延長部とを含むマスク本体と、
前記一対の横延長部の一方から前記中央部を横切って前記一対の横延長部の他方に向って延在し、前記一対の横延長部を前記両外側領域に向けて押付ける弾性保持フレームと、
を備え、
前記一対の横延長部のそれぞれの内側で、前記口の外側領域に対向するように配置された一対の滑り止め部材をさらに備え、
前記弾性保持フレームの両端部が前記一対の滑り止め部材を前記口の両外側領域に押付ける位置に配置され、
前記弾性保持フレームが、前記一対の横延長部の内側で、前記口の外側領域に対向するように配置された一対の内側延出部を含み、
前記一対の内側延出部のそれぞれが前記滑り止め部材を支持している、マスク。
【請求項4】
口を覆う中央部と、前記中央部の両側から延出して頭のうち前記口の両外側領域に配置される一対の横延長部とを含むマスク本体と、
前記一対の横延長部の一方から前記中央部を横切って前記一対の横延長部の他方に向って延在し、前記一対の横延長部を前記両外側領域に向けて押付ける弾性保持フレームと、
を備え、
前記マスク本体は、シートが山折り部と谷折り部とが交互に並ぶように折られると共に、前記山折り部及び前記谷折り部の延在方向の途中で鏡映反転するように折られて、前記口からその両外側領域にかけて配置可能な湾曲形状に形成されており、
前記中央部は、内側から見て谷をなす中央位置決め谷折り部を有し、
前記弾性保持フレームが前記中央位置決め谷折り部内に配置されている、マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、マスクに関する。

【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シートが折られることによって形成されたマスクを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際意匠登録番号DM/213458号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここにおいて、マスクの付け心地を向上させることが要請される。
【0005】
そこで、本開示は、付け心地が向上したマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、マスクは、口を覆う中央部と、前記中央部の両側から延出して頭のうち前記口の両外側領域に配置される一対の横延長部とを含むマスク本体と、前記一対の横延長部の一方から前記中央部を横切って前記一対の横延長部の他方に向って延在し、前記一対の横延長部を前記両外側領域に向けて押付ける弾性保持フレームと、を備える。
【0007】
また、マスク本体は、口を覆う中央部と、前記中央部の両側から延出して頭のうち前記口の両外側領域に配置される一対の横延長部と、を備え、前記中央部が弾性保持フレームの中央フレーム部を着脱可能に受入れる中央フレーム保持部を含み、前記一対の横延長部のそれぞれが、前記弾性保持フレームの両端の一対の取付部それぞれを着脱可能に受入れる端部フレーム保持部を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、付け心地が向上したマスクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施形態に係る展開されたマスクを示す斜視図である。
図2図2は同上のマスクを示す斜視図である。
図3図3は同上のマスクを示す斜視図である。
図4図4は折畳まれたマスクを示す平面図である。
図5図5図4のV-V線断面図である。
図6図6はシートの折目を示す図である。
図7図7は袋状部を形成するための折目の例を示す図である。
図8図8に示す変形例に係るマスクを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
{実施形態}
<全体構造>
以下、実施形態に係るマスクについて説明する。図1から図3は展開されたマスク20を示す斜視図である。図4は折畳まれたマスク20を示す平面図である。図5図4のV-V線断面図である。図1では、展開されたマスク20が人の顔10に装着された状態が示されている。図2は展開されたマスク20を前側から見た斜視図であり、図3は展開されたマスク20を後から見た斜視図である。図5において説明の便宜上、各部の寸法が誇張されている場合がある。なお、マスク20が後述する折目に沿って折られて扁平形態となった状態が折畳み状態である。マスク20が顔10に装着可能なように広げられた状態が展開状態である。説明の便宜上、マスク20が人の顔10に装着された状態を想定し、当該顔10を基準とする前後左右上下が参照されることがある。
【0011】
マスク20は、マスク本体30と、弾性保持フレーム50とを備える。
【0012】
マスク本体30は、中央部32と、一対の横延長部36とを含む。
【0013】
中央部32は、顔10の口12を覆う部分である。例えば、中央部32は、口12を覆うことができる程度の広がりを有する部分である。中央部32は、顔10の鼻13を覆ってもよい。この場合、中央部32は、口12及び鼻13を覆うことができる程度の広がりを有する部分である。
【0014】
一対の横延長部36は、上記中央部32の両側から延出し、顔10のうち口12の両外側領域15に配置される部分である。口12の両外側領域15は、口12と耳14との間の領域、例えば、頬である。
【0015】
マスク本体30を形成する材料は、特に限定されない。マスク本体30は、例えば、空気を通すことができるが、粒子を遮ることができる材料で形成される。例えば、マスク本体30は、不織布又は織布によって形成される。
【0016】
マスク本体30は、単層構造を有していてもよいし、積層構造を有していてもよい。マスック本体30が積層構造を有する場合、積層数は任意である。マスク本体30が遮る粒子は、例えば、空気中の浮遊物、若しくは、口又は鼻からの飛沫である。浮遊物は、例えば、ウイルス、細菌、花粉又は塵である。
【0017】
弾性保持フレーム50は、一対の横延長部36の一方から中央部32を通って一対の横延長部36の他方に向って延在する。弾性保持フレーム50は、一対の横延長部36を両外側領域15に向けて押付ける。
【0018】
弾性保持フレーム50は、元の形状に戻ることができる弾性材によって形成される。弾性材は、例えば、バネ性を有する金属線であってもよい。バネ性を有する金属線は、例えば、バネ性を有する鋼線又はピアノ線である。弾性材は、樹脂であってもよい。
【0019】
弾性保持フレーム50は、上記中央部32を横切るように配置される中央フレーム部52と、当該中央フレーム部52の両端からさらに延出する一対の端部54とを含む。
【0020】
中央フレーム部52は、例えば、前方に凸となるように曲った形状に形成されていてもよい。この場合、中央フレーム部52が中央部32を口12の近傍部分の形状に合せて、外側に膨らむ形状に保ち易い。例えば、中央フレーム部52は、V字状に曲るように形成される。中央フレーム部52は、台形状又は弧状に曲った形状に形成されてもよい。
【0021】
一対の端部54は、当該中央フレーム部52の両端部から曲って同じ方向側に延びている。一対の端部54の最小間隔は、一般的な成人の顔10の横幅よりも小さくてもよい。例えば、一対の端部54の最小間隔は、15cよりも小さくてもよい。
【0022】
本実施形態では、中央フレーム部52がV字状に曲っている。一対の端部54は、中央フレーム部52の両端から中央フレーム部52とは逆側に延びている。また、一対の端部54の後側に向うほど、一対の端部54の間隔が狭くなっている。かかる形状の弾性保持フレーム50は、例えば、バネ性を有する金属線を曲げ加工等することによって形成され得る。
【0023】
弾性保持フレーム50は、マスク本体30に一体的に組込まれていてもよい。例えば、マスク本体30が積層構造を有し、弾性保持フレーム50が層間に配置されていてもよい。弾性保持フレーム50は、マスク本体30に着脱可能であってもよい。この場合、例えば、弾性保持フレーム50を汚れたマスク本体30から取外し、新しいマスク本体30に装着することができる。これにより、弾性保持フレーム50を他のマスク本体30に対して再利用できる。本実施形態では、主に、弾性保持フレーム50が、マスク本体30に着脱可能な例が説明される。
【0024】
例えば、弾性保持フレーム50はマスク本体30に対して次の構成によって着脱可能である。
【0025】
一対の横延長部36のそれぞれが袋状部37を有している。袋状部37は、中央部32に向って開口する袋状に形成されている。袋状部37は、例えば、横延長部36の先端側に向って徐々に狭くなる形状であってもよい。袋状部37は、例えば、横延長部36の前後方向中間部において前側に開口している。
【0026】
また、弾性保持フレーム50の一対の端部54のそれぞれが上記袋状部37に挿入される取付部55を含む。本実施形態では、端部54の先端部が取付部55である。取付部55は、直線状に延びる部分であってもよいし、曲っている部分であってもよい。例えば、取付部55は、袋状部37の形状に合わせて、V字状又は三角形状に曲っている部分であってもよい。取付部55が袋状部37の形状に合わせたV字状又は三角形状に曲っている部分であれば、袋状部37内における取付部55の位置が安定し、また、取付部55が袋状部から抜け難い。
【0027】
上記袋状部37は、弾性保持フレーム50の取付部55を着脱可能に受入れる端部フレーム保持部の一例である。
【0028】
そして、弾性保持フレーム50の中央フレーム部52を中央部32の内側に配置し、弾性保持フレーム50を弾性変形させつつ、一対の端部54のそれぞれを、対応する袋状部37内に挿入する。なお、一対の端部54のそれぞれを、対応する袋状部37内に挿入した後、弾性保持フレーム50の中央フレーム部52を中央部32の内側に配置してもよい。
【0029】
装着状態では、中央フレーム部52が、中央部32の上下方向中間部の内側を横切るように配置される。弾性保持フレーム50の一対の端部54が一対の横延長部36のうちの前部の内側を通り、袋状部37内に挿入された状態となる。弾性保持フレーム50の一対の端部54の先端部は袋状部37の奥に達するまで当該袋状部37内に挿入されるとよい。
【0030】
上記のように、弾性保持フレーム50がマスク本体30に取付けられた状態で、中央フレーム部52が、中央部32の後方への移動を規制する。中央部32の後方への移動が規制されるため、袋状部37が端部54の先端側に移動することが規制される。これにより、弾性保持フレーム50の端部が袋状部37から脱することが抑制され、弾性保持フレーム50がマスク本体30に取付けられた状態が保たれる。
【0031】
上記とは逆に、例えば、弾性保持フレーム50を弾性変形させながら、弾性保持フレーム50の中央フレーム部52を中央部32の上外側又は下外側に移動させ、一対の端部54のそれぞれを、対応する袋状部37内から抜く。なお、一対の端部54のそれぞれを、対応する袋状部37内から抜いた後、弾性保持フレーム50の中央フレーム部52を中央部32の上外側又は下外側に移動させてもよい。いずれにせよ、弾性保持フレーム50の弾性変形及びマスク本体30の変形を利用して弾性保持フレーム50がマスク本体30に対して着脱される。
【0032】
<マスク本体の形状例>
上記マスク本体30は、例えば、次の構成によって立体的に口12を覆う形状に形成されてもよい。
【0033】
すなわち、マスク本体30を形成するためのシート30Bが折られることによって立体的な形状に形成されている。より具体的には、図6に示すように、シート30Bは、山折り部Mと谷折り部Vとが上下方向において交互に並ぶように折られている。ここで、内側、即ち、顔10側から見て凸となっている折り線を山折り部M、顔10から見て凹む折り線を谷折り部Vとする。シート30Bは、山折り部Mと谷折り部Vとが上下方向において交互に並ぶように折られることで、シート30Bは、上端と下端とを上下方向中間部よりも内側に配置するように、湾曲することができる。
【0034】
また、シート30Bは、山折り部Mと谷折り部Vの延在方向の途中で鏡映反転するように折られている。鏡映反転とは、対象部分が、鏡の中に見える形状に反転されることをいう。より具体的には、シート30Bが、山折り部Mと谷折り部Vとに交差する鏡映反転折れ線RFで、山と谷とを逆にするように折られる。この場合、山折り部Mは、鏡映反転折れ線RFで、谷折り部Vに変り、谷折り部Vは、鏡映反転折れ線RFで、山折り部Mに変る。これにより、シート30Bのうち鏡映反転折れ線RFで折られた部分の一方側部分が、当該鏡映反転折れ線RFで折られないと想定した仮想部分に対して鏡映反転された形状をなす。図4において、鏡映反転折れ線RFが通過する鏡映反転面Rの一部が図示され、図6において、鏡映反転折れ線RFが図示されている。
【0035】
シート30Bが鏡映反転折れ線RFで折られることによって、シート30Bは、中央部32の幅方向中央部分をその幅方向両端部分よりも前側に位置させると共に、中央部32を一対の横延長部36よりも前側に位置させるように、湾曲することができる。
【0036】
上記マスク本体30において、袋状部37は、次のように形成されてもよい。
【0037】
上記したようにシート30Bは、山折り部Mと谷折り部Vとで蛇腹状に折られる。横延長部36も、同様に、山折り部Mと谷折り部Vとで蛇腹状に折られる。図7は、折畳まれた横延長部36を示す平面図である。図5において折畳まれた横延長部36が2点鎖線で示され、展開された横延長部36が1点鎖線で示されている。
【0038】
横延長部36は、内側から見て谷をなす第1横谷折り部V1と、第1横谷折り部V1の上側又は下側に位置し、内側から見て谷をなす第2横谷折り部V2a、V2bとを有する。第2横谷折り部V2a、V2bは、第1横谷折り部V1の上側のみ、又は、下側のみに位置してもよい。
【0039】
上記第1横谷折り部V1は、内側から見て谷をなしているため、その少なくとも一部を口12の外側領域15に対向させるように展開可能できる(図5において1点鎖線で示される横延長部36参照)。
【0040】
上記第2横谷折り部V2aが袋状部37を形成するように折られる。より具体的には、横延長部36が第2横谷折り部V2aを含む。ここでは、横延長部36は、第1横谷折り部V1及び第2横谷折り部V2a、V2bを形成するように、蛇腹状に折られている。横延長部36のうち第1横谷折り部V1よりも上側の部分が、折り線Wで上側に折返される。折り線Wは、平面視において、横延長部36の後端外側角部から横延長部36の内側部分であって後端から前側に離れた位置に向う線である。横延長部36の上側の部分が折り線Wで折返されることによって、横延長部36の上側の部分の後端縁が、横延長部36のうち第1横谷折り部V1の外側に配置される。これにより、第2横谷折り部V2aの延長上に、当該第2横谷折り部V2aと上記折り線Wによる折り部との間で囲まれる袋状部37が形成される。袋状部37は、前側に開口し、かつ、後方に向って徐々に狭くなる形状を示す。なお、下側の第2横谷折り部V2bの延長上に、袋状部が形成され、当該袋状部に弾性保持フレームの端部が挿入されてもよい。
【0041】
また、横延長部36のうち第1横谷折り部V1よりも下側の部分が、上記とは逆の下側に、折り線Wで折返される。これにより、横延長部36の下側の部分の後端縁が、横延長部36のうち第1横谷折り部V1の外側に配置される。そして、横延長部36の上側の部分の後端縁と横延長部36の下側の部分の後端縁とが、横延長部36の外側で重ね合わされ、両後端縁が接合される。接合は、例えば、熱溶着、接着剤による接着又は縫付け等によってなされてもよい。これにより、横延長部36が袋状部37を形成した状態が維持される。
【0042】
上記したように、弾性保持フレーム50の一対の端部54の取付部55のそれぞれが一対の袋状部37に挿入されて取付けられる。弾性保持フレーム50の端部54の取付部55が袋状部37内に挿入されていると、弾性保持フレーム50が顔10に直接接し難くなる。このため、付け心地がよくなる。
【0043】
弾性保持フレーム50の中央フレーム部52は、中央部32の内側を通る。中央フレーム部52は、中央部32の谷折り部Vを通ることで、安定した位置に配置され易い。例えば、中央部32に形成された谷折り部Vのうち幅方向中央位置で前後方向中央の谷折り部Vを、中央位置決め谷折り部Vmとする。本実施形態では、中央位置決め谷折り部Vmは、点状の狭い箇所に存在する。そして、中央フレーム部52の中央部が当該中央位置決め谷折り部Vm内に配置される。これにより、中央フレーム部52の中央部が当該中央部32の中央位置に安定して配置された状態に保たれる。
【0044】
中央位置決め谷折り部Vmは、弾性保持フレーム50の中央フレーム部52を着脱可能に受入れる中央フレーム保持部の一例である。
【0045】
<滑り止めのための構成例>
マスク20は、一対の横延長部36のそれぞれの内側で、口12の外側領域15に対向するように配置された一対の滑り止め部材60を備える。弾性保持フレーム50の一対の端部54は、一対の滑り止め部材60を両外側領域15に押付ける位置に配置されている。
【0046】
本実施形態では、横延長部36のうち展開状態で外側領域15を向く部分に滑り止め部材60が取付けられている。滑り止め部材60は、顔10に対してマスク本体30よりも滑り難い材料によって形成される。例えば、滑り止め部材60は、シリコーンゴム等のゴムによって形成される。滑り止め部材60は、横延長部36のうち展開状態で外側領域15を向く部分に、線状、点状又は面状に存在していてもよい。本実施形態では、滑り止め部材60は、V字状に形成されており、横延長部36のうち展開状態で外側領域15を向く部分に後方に向けて徐々に狭くなる姿勢で取付けられている。滑り止め部材60は、横延長部36に直接塗布されてもよい。所定形状に形成された滑り止め部材60が接着剤等で横延長部36に接着されてもよい。
【0047】
そして、弾性保持フレーム50が横延長部36を外側領域15に向けて押付けると、上記滑り止め部材60が外側領域15に押付けられる。これにより、横延長部36が外側領域15から滑り落ち難くなる。
【0048】
マスク20は、他の滑り止め部材65を備えていてもよい。例えば、マスク本体30の中央部32のうち幅方向中央の上部に滑り止め部材65が取付けられていてもよい。滑り止め部材65は、滑り止め部材60と同様に、シリコーンゴム等のゴムによって形成された滑り難い部材であってもよい。滑り止め部材65が、鼻13の上部に接することで、鼻13から下方にずれ落ち難くなる。
【0049】
マスク20のマスク本体30の中央部32のうち幅方向中央の上部に、当該上部を鼻13の凹凸形状に応じた形状に保つ部品が取付けられてもよい。当該部品は、例えば、曲げられことで鼻13の凹凸形状に応じに保たれる線状の樹脂部品であってもよい。かかる部品はノーズワイヤと呼ばれる部品であってもよい。当該部品によって、鼻13が隆起する上部で顔10とマスク本体30との隙間を小さくできる。また、当該部品が、鼻13が隆起し始める上部に乗ることで、マスク本体30がずり落ち難くなる。
【0050】
<効果等>
以上のように構成されたマスク20によると、弾性保持フレーム50が一対の横延長部36を両外側領域15に向けて押付けるため、耳又は後頭部に紐又はバンドを掛けなくても20を顔10に装着できる。よって、マスク20の付け心地が向上する。
【0051】
また、弾性保持フレーム50がマスク本体30に着脱可能であれば、弾性保持フレーム50を他のマスク本体30に対して再利用できる。例えば、マスク本体30が汚れた場合に、弾性保持フレーム50をマスク本体30から外して他の新しいマスク本体30に装着することができる。これにより、マスク20の利用コストの低減が可能となる。また、弾性保持フレーム50を再利用できるので、省資源化が可能となる。
【0052】
また、一対の横延長部36のそれぞれが袋状部37を有し、弾性保持フレーム50の両端部54が、一対の横延長部36のそれぞれの袋状部に挿入されている取付部55を含むため、弾性保持フレーム50がマスク本体30に対して容易に着脱される。また、弾性保持フレーム50の中央フレーム部52が中央部32の内側を通ることで、マスク本体30の中央部32が口12の唇から離れた位置に配置され、この点からも付け心地がよくなる。
【0053】
また、マスク本体30は、山折り部Mと谷折り部Vとが交互に並ぶように折られると共に、山折り部M及び谷折り部Vの延在方向の途中で鏡映反転するように折られて、口12からその両外側領域にかけて配置可能な湾曲形状に形成されている。このため、シート30Bを、口12及びその両外側領域15を覆う立体的形状に形成できる。また、横延長部36の第1横谷折り部V1は、その少なくとも一部を外側領域15に対向させるように展開可能であり、第2横谷折り部V2aが袋状部37を形成するように折られている。このため、横延長部36において山折り部Mと谷折り部Vとが交互に並ぶ構成を利用して、弾性保持フレーム50ではなくマスク本体30が顔10に接触するようにしつつ、弾性保持フレーム50の端部54を挿入可能な袋状部37を形成できる。
【0054】
また、一対の横延長部36のそれぞれの内側に一対の滑り止め部材60が配置され、弾性保持フレーム50の両端部が滑り止め部材60を、外側領域15に押付ける位置に配置されている。このため、弾性保持フレーム50が滑り止め部材60を外側領域に安定して押付けられ、マスク20が顔10から落ち難くなる。
【0055】
また、マスク本体30の中央部32は、内側から見て谷をなす中央位置決め谷折り部Vmを有し、弾性保持フレーム50が当該中央位置決め谷折り部Vm内に配置されているため、中央部32に対する弾性保持フレーム50の位置ずれが抑制される。
【0056】
上記マスク20は、マスク本体30に弾性保持フレーム50が装着された形態で流通してもよい。マスク本体30だけが流通してもよく、弾性保持フレーム50だけが流通してもよい。マスク本体30だけが流通すれば、弾性保持フレーム50を再利用し易い。
【0057】
{変形例}
上記実施形態では、滑り止め部材60が横延長部36に取付けられている例が説明された。図8に示す変形例に係るマスク120のように、滑り止め部材160が弾性保持フレーム150に支持されていてもよい。
【0058】
すなわち、本変形例では、マスク本体30に取付けられた滑り止め部材60が省略される。代りに、弾性保持フレーム50に対応する弾性保持フレーム150が一対の内側延出部158を含む。例えば、上記取付部55に対応する取付部155は、袋状部37の開口側に戻るようにV字状に形成される。取付部155から内側延出部158が延出する。内側延出部158は、横延長部36のうち外側領域15に対向する面に沿って延びる。また、内側延出部158は、袋状部37の開口から横延長部36の後端に向い、さらに、袋状部37の開口に折返すV字状部分を含む。
【0059】
上記内側延出部158が滑り止め部材160を支持している。例えば、内側延出部158の外周面に滑り止め部材160がディップコート等によって形成される。内側延出部158に滑り止め部材160を取付けるための構成は特に限定されない。滑り止め部材160の形状も特に限定されない。例えば、内側延出部158をインサート部分として、滑り止め部材160を金型成形してもよい。滑り止め部材160を内側延出部158に接着剤等で接着してもよい。滑り止め部材は、内側延出部158の形状に沿ってV字状に形成されていてもよいし、三角形の3辺に沿う形状に形成されていてもよい。滑り止め部材は、内側延出部158の内部を埋めて板状に広がる形状、例えば、三角板状に形成されていてもよい。
【0060】
本変形例によると、弾性保持フレーム150の内側延出部158が横延長部36の内側で外側領域15に対して押付けられる。内側延出部158は、滑り止め部材160を支持しているので、内側延出部158が外側領域15に対して滑り難い。よって、弾性保持フレーム150が外側領域15から滑り落ちにくく、当該弾性保持フレーム150が装着されているマスク本体30も顔10から落ち難い。
【0061】
また、弾性保持フレーム150の取付部155が袋状部37に挿入されているので、当該取付部155が袋状部37を外側領域15に向けて押付ける。内側延出部158は、袋状部37と外側領域15との間に配置されるので、内側延出部158に支持される滑り止め部材160も、袋状部37と外側領域15との間に配置される。滑り止め部材160は、外側領域15及び横延長部36の双方に対して滑り難いので、横延長部36は、外側領域15に対して滑り難くなる。よって、横延長部36も外側領域15から滑り落ち難くなる。
【0062】
なお、滑り止め部材160は、横延長部36に取付けられていてもよいし、取付けられていなくてもよい。
【0063】
本変形例によると、弾性保持フレーム50によって滑り止め部材60を支持すればよい。弾性保持フレーム50に対する滑り止め部材160の取付は、マスク本体30に対する滑り止め部材60の取付よりも容易である可能性がある。このため、滑り止め部材160の組付作業が容易となり、マスク120の生産コストを低減できる可能性がある。
【0064】
なお、上記実施形態及び変形例において、マスク本体30が折られることによって形成されていることは必須では無い。マスク本体30が折られることによって形成される場合においても、折目の数は任意であり、山折り部及び谷折り部のパターンも任意であり、山折りの及び谷折りのサイズも任意である。さらに、同じマスク内において、一連の山折り及び谷折りのうちの一部の折りパターン又はサイズが、他の山折り又は谷折りに対して異なっていてもよい。
【0065】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0066】
本開示は下記の各態様を開示する。
【0067】
第1の態様は、口を覆う中央部と、前記中央部の両側から延出して頭のうち前記口の両外側領域に配置される一対の横延長部とを含むマスク本体と、前記一対の横延長部の一方から前記中央部を横切って前記一対の横延長部の他方に向って延在し、前記一対の横延長部を前記両外側領域に向けて押付ける弾性保持フレームと、を備えるマスクである。
【0068】
このマスクによると、耳や後頭部にバンドを掛けなくてもマスクを装着でき、マスクの付け心地が向上する。
【0069】
第2の態様は、第1の態様に係るマスクであって、前記弾性保持フレームは、前記マスク本体に着脱可能に装着されていてもよい。
【0070】
この場合、弾性保持フレームが、マスク本体に対して着脱可能であるため、当該弾性保持フレームを他のマスク本体に対して再利用できる。
【0071】
第3の態様は、第2の態様に係るマスクであって、前記一対の横延長部のそれぞれが前記中央部に向って開口する袋状部を有し、前記弾性保持フレームの中央フレーム部が前記中央部の内側を通り、前記弾性保持フレームの両端部の取付部が前記一対の横延長部のそれぞれの前記袋状部に挿入されているものである。
【0072】
この場合、弾性保持フレームがマスク本体に対して容易に着脱される。また、弾性保持フレームの中央部が中央部の内側を通ることで、マスク本体の中央部が唇から離れた位置に配置され、この点からも付け心地がよくなる。
【0073】
第4の態様は、第3の態様に係るマスクであって、前記マスク本体は、シートが山折り部と谷折り部とが交互に並ぶように折られると共に、前記山折り部及び前記谷折り部の延在方向の途中で鏡映反転するように折られて、前記口からその両外側領域にかけて配置可能な湾曲形状に形成されており、前記一対の横延長部のそれぞれは、内側から見て谷をなす第1横谷折り部と、前記第1横谷折り部の上側又は下側に位置し、内側から見て谷をなす第2横谷折り部とを有し、前記第1横谷折り部は、その少なくとも一部を前記口の外側領域に対向させるように展開可能であり、前記第2横谷折り部が、前記袋状部を形成するように折られているものである。
【0074】
これにより、シートを、口及びその両側外側領域を覆う立体的形状に形成できる。また、横延長部の第1横谷折り部は、その少なくとも一部を前記口の外側領域に対向させるように展開可能であり、第2横谷折り部が袋状部を形成するように折られている。このため、横延長部において山折り部と谷折り部とが交互に並ぶ構成を利用して、弾性保持フレームの端部を挿入可能な袋状部を形成できる。
【0075】
また、第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係るマスクであって、前記一対の横延長部のそれぞれの内側で、前記口の外側領域に対向するように配置された一対の滑り止め部材をさらに備え、前記弾性保持フレームの両端部が前記一対の滑り止め部材を前記口の両外側領域に押付ける位置に配置されている、マスクである。
【0076】
これにより、弾性保持フレームが滑り止め部材を、口の外側領域に安定して押付けやすい。
【0077】
また、第6の態様は、第5の態様に係るマスクであって、前記弾性保持フレームが、前記一対の横延長部の内側で、前記口の外側領域に対向するように配置された一対の内側延出部を含み、前記一対の内側延出部のそれぞれが前記滑り止め部材を支持していてもよい。
【0078】
これにより、弾性保持フレームがマスク本体に装着されると、滑り止め部材がマスク本体に組付けられる。このため、滑り止め部材の組付作業が容易である。
【0079】
また、第7の態様は、第1から第6の態様に係るマスクであって、前記マスク本体は、シートが山折り部と谷折り部とが交互に並ぶように折られると共に、前記山折り部及び前記谷折り部の延在方向の途中で鏡映反転するように折られて、前記口からその両外側領域にかけて配置可能な湾曲形状に形成されており、前記中央部は、内側から見て谷をなす中央位置決め谷折り部を有し、前記弾性保持フレームが前記中央位置決め谷折り部内に配置されていてもよい。
【0080】
これにより、中央部に対する弾性保持フレームの位置ずれが抑制される。
【0081】
また、第8の態様は、口を覆う中央部と、前記中央部の両側から延出して頭のうち前記口の両外側領域に配置される一対の横延長部と、を備え、前記中央部が弾性保持フレームの中央フレーム部を着脱可能に受入れる中央フレーム保持部を含み、前記一対の横延長部のそれぞれが、前記弾性保持フレームの両端の一対の取付部それぞれを着脱可能に受入れる端部フレーム保持部を含む、マスク本体である。
【0082】
このマスク本体によると、弾性保持フレームの中央部を中央フレーム保持部に着脱可能に配置し、弾性保持フレームの両端の一対の取付部それぞれを、一対の横延長部の端部フレーム保持部に着脱可能に配置することができる。マスク本体に弾性保持フレームを取付けることによって、マスク本体の一対の横延長部を、頭のうちの口の両外側領域に向けて押付けることができる。このため、耳や後頭部にバンドを掛けなくてもマスクを装着でき、マスクの付け心地が向上する。また、弾性保持フレームが、マスク本体に対して着脱可能であるため、当該弾性保持フレームを他のマスク本体に対して再利用できる。
【0083】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0084】
10 顔
12 口
15 外側領域
20、120 マスク
30 マスク本体
30B シート
32 中央部
36 横延長部
37 袋状部
50、150 弾性保持フレーム
52 中央フレーム部
54 端部
55、155 取付部
60、160 滑り止め部材
158 内側延出部
M 山折り部
V R 鏡映反転面
RF 鏡映反転折れ線
V1 第1横谷折り部
V2a 第2横谷折り部
Vm 中央位置決め谷折り部
W 折り線
【要約】
付け心地が向上したマスクを提供することを目的とする。マスクは、口を覆う中央部と、中央部の両側から延出して頭のうち口の両外側領域に配置される一対の横延長部とを含むマスク本体と、一対の横延長部の一方から中央部を横切って一対の横延長部の他方に向って延在し、一対の横延長部を両外側領域に向けて押付ける弾性保持フレームと、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8