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特許7328733絶縁された作業空間の形成又は確保治具及び当該治具を用いた作業空間の形成又は確保方法
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  • 特許-絶縁された作業空間の形成又は確保治具及び当該治具を用いた作業空間の形成又は確保方法 図1
  • 特許-絶縁された作業空間の形成又は確保治具及び当該治具を用いた作業空間の形成又は確保方法 図2
  • 特許-絶縁された作業空間の形成又は確保治具及び当該治具を用いた作業空間の形成又は確保方法 図3
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  • 特許-絶縁された作業空間の形成又は確保治具及び当該治具を用いた作業空間の形成又は確保方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】絶縁された作業空間の形成又は確保治具及び当該治具を用いた作業空間の形成又は確保方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
H02G1/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019062598
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020162396
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】大久保 和郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆之
(72)【発明者】
【氏名】田中 健太
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-092868(JP,A)
【文献】特開2007-189758(JP,A)
【文献】特開2012-105489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
H02G 1/06
H02G 3/04
H02G 7/00
H02B 3/00
H02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電部に隣接した箇所に絶縁された作業空間を形成する絶縁シートであって、
一方向には剛性を有し、当該一方向に対して直角な方向に対しては可撓性及び弾性を有する絶縁シート状部材から成り、
当該絶縁シート状部材を前記作業空間の前方から後方へ、剛性のある方向に前記絶縁シート状部材を合わせて挿入し、前記可撓性がある方向に折り曲げ又は湾曲させて当該絶縁シート状部材を立体化させ、前記作業空間に隣接した充電部との間に絶縁シート状部材を介在させる構造であることを特徴とする、絶縁された作業空間形成又は確保治具。
【請求項2】
前記絶縁シート状部材は、断面がU字型、L字型、O型、四角形型のいずれかに立体化させて成ることを特徴とする、請求項1に記載の絶縁された作業空間形成又は確保治具。
【請求項3】
充電部に隣接した箇所に絶縁された作業空間を形成又は確保する方法において、
一方向には剛性を有し、当該一方向に対して直角な方向に対しては可撓性及び弾性がある絶縁シート状部材を前記作業空間の形状に合わせて折り曲げ又は湾曲させて立体化し、
当該絶縁シート状部材を、剛性のある方向に合わせて前記作業空間の前方から後方に挿入し、隣接する充電部との間に当該絶縁シート状部材を介在させることを特徴とする、絶縁された作業空間形成又は確保方法。
【請求項4】
前記絶縁シート状部材を複数枚使用して立体化し、各絶縁シート状部材相互の接続箇所を絶縁テープで接着することを特徴とする、請求項3に記載の絶縁された作業空間を形成又は確保する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配電盤等の充電部に近接した場所での機器の点検や保守作業、ケーブル接続作業をする際、当該作業の間一時的に絶縁された作業空間を形成、確保するための治具及び当該治具を用いた作業空間の形成又は確保方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キュービクル、配電盤、制御盤、分電盤、路上開閉器等の活線や充電部に隣接した箇所で作業者が当該箇所に手を入れて機器等の修理、保守、点検等の作業を行う場合、作業前に絶縁シートや絶縁カバーなどで、充電部等を被い、安全性を確保してから作業を行っていた。
【0003】
これらの絶縁シートや絶縁カバーは、例えば特許文献1~4に示すように、充電部の形状に合わせて種々の形状に成形されていたり、可撓性のあるシート状のものから構成されており、これらの物を充電部に被せているものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3147883号公報
【文献】特開2010-140698号公報
【文献】特開2012-105489号公報
【文献】特開2013-27058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、作業者は、まず、これらの絶縁シートや絶縁カバーを前記充電部に被せなければならず、この充電部に絶縁シートや絶縁カバーを掛ける作業自体、作業者が充電部に接触して感電する危険がある。
【0006】
そこで、この発明は上述の課題を解決するため、上記のような充電部に近接した箇所で作業を行う場合に、充電部を被うという発想でなく、充電部に近接した箇所に、絶縁された作業空間を安全で簡易に形成し、確保する治具及びこの冶具を用いた当該作業空間の形成又は確保方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、充電部に隣接した箇所に絶縁された作業空間を形成する絶縁シートであって、一方向には剛性を有し、当該一方向に対して直角な方向に対しては可撓性及び弾性を有する絶縁シート状部材から成り、当該絶縁シート状部材を前記作業空間の前方から後方へ、剛性のある方向に前記絶縁シート状部材を合わせて挿入し、前記可撓性がある方向に折り曲げ又は湾曲させて当該絶縁シート状部材を立体化させ、前記作業空間に隣接した充電部との間に絶縁シート状部材を介在させる構造である、絶縁された作業空間形成又は確保治具とした。
【0008】
請求項2の発明は、前記絶縁シート状部材は、断面がU字型、L字型、O型、四角形型のいずれかに立体化させて成る、請求項1に記載の絶縁された作業空間形成又は確保治具とした。
【0009】
また、請求項3の発明は、充電部に隣接した箇所に絶縁された作業空間を形成又は確保する方法において、一方向には剛性を有し、当該一方向に対して直角な方向に対しては可撓性及び弾性がある絶縁シート状部材を前記作業空間の形状に合わせて折り曲げ又は湾曲させて立体化し、当該絶縁シート状部材を、剛性のある方向に合わせて前記作業空間の前方から後方に挿入し、隣接する充電部との間に当該絶縁シート状部材を介在させる、絶縁された作業空間形成又は確保方法とした。
【0010】
また、請求項4の発明は、前記絶縁シート状部材を複数枚使用して立体化し、各絶縁シート状部材相互の接続箇所を絶縁テープで接着する、前記請求項3に記載の絶縁された作業空間を形成又は確保する方法とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1~4の各発明によれば、作業空間の前方からスライドさせて絶縁シート状部材から成る治具を作業空間に挿入できるため、作業空間脇の充電部に作業者の手を近づけることなく、治具を作業空間に設置でき、安全である。
【0012】
しかも、絶縁シート状部材は、折り曲げたり、丸めたりしても、その形状が元に戻る素材から成るので、作業空間の側面に突っ張り、作業空間が簡易にしっかり確保、維持できる。従って、充電部が隣接していても、絶縁された作業空間となるため、当該作業空間内で安全に作業をすることが出来る。
【0013】
また、当該作業空間形成又は確保治具は、絶縁シート状部材を折り曲げたり湾曲させたりして形成するため、作業が終われば、容易に撤去でき、極めて便利である。しかも、上述の様に復元性があるため、他の作業空間の確保において当該絶縁シート状部材から成る治具を何度でも使用できる。
【0014】
特に、請求項4の発明では、複数枚の絶縁シート状部材を立体化させるのに、絶縁テープを用いて各絶縁シート部材相互を接着させて接続するため、組み立てられた治具が強固になり、作業中無闇に崩れたりしない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態例1の絶縁された作業空間の形成又は確保方法を示す斜視図である。
図2】この発明の実施の形態例1の絶縁された作業空間の形成又は確保方法に使用する治具の斜視図である。
図3】この発明の実施の形態例1の絶縁された作業空間の形成又は確保方法により形成した作業空間の正面図である。
図4】この発明の実施の形態例1の絶縁された作業空間の形成又は確保方法に使用する他の形態の治具の斜視図である。
図5】この発明の実施の形態例1の絶縁された作業空間の形成又は確保方法に使用する他の形態の治具の斜視図である。
図6】この発明の実施の形態例1の絶縁された作業空間の形成又は確保方法に使用する他の形態の治具の斜視図である。
図7】この発明の実施の形態例1の絶縁された作業空間の形成又は確保方法を用いる配電盤の扉を外した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1の絶縁された作業空間の形成又は確保治具及び方法を図1図6に基づいて説明する。
【0017】
まず、この発明の絶縁された作業空間の形成又は確保治具を用いる、充電部が近接した作業箇所の例を説明する。図7に示すように箱型の配電盤Aがある。図7は配電盤の扉を取り外した正面図であり、多数の充電部B1が存在し、これらの充電部B1に隣接した箇所や、当該充電部B1の奥部の箇所を補修したり点検したりする作業の必要がある。
【0018】
この様な補修や点検に際して、絶縁された作業空間を簡易に形成し、確保する必要がある。そこでこれらの作業空間を形成又は確保する治具を開発した。
【0019】
当該治具として、一方向には剛性を有し、当該一方向に対して直角な方向に対しては可撓性及び弾性を有する絶縁シート部材1を用意する。当該絶縁シート部材1はとしては、具体的には、プラスチックダンボール等が挙げられる。
【0020】
この絶縁シート状部材1は四辺形のものを2枚用意し、図2に示すように、夫々を断面L字型に折り曲げ、相互に反対向きにして絶縁四辺形筒2を形成させる。この場合、絶縁シート状部材1の可撓性及び弾性を有する側で折り曲げる。
【0021】
そして、図1に示すように、これらのL字型に折り曲げた各絶縁シート1を、配電盤Bの充電部B1に近接した箇所に、手前から奥部に差し込む。この場合、絶縁シート状部材1の剛性を有する側を前後にして差し込む。これにより前記絶縁四辺形筒2により四方を絶縁シート1で囲まれた作業空間3が形成される。
【0022】
この際、2枚の絶縁シート状部材1、1の各端部に絶縁テープ(図示省略)を貼ってこれらの2枚の絶縁シート状部材1を接続すると、作業空間3が無闇に崩れたりしない。
【0023】
従って、作業者は、図3に示すように、当該作業空間3に手を入れて奥部の接続部材4の作業等をすることが出来、その際、当該作業空間3に隣接して充電部B1があっても、絶縁シート状部材1が介在しているので、当該作業空間3の中で安全に作業を行うことが出来る。
【0024】
図4は、絶縁シート状部材11を断面L字型に折り曲げたもので、当該L字型の絶縁シート状部材11を用いて作業空間3を形成する場合もある。
【0025】
また、図5に示すように、絶縁シート状部材12を折り曲げて逆向きのチャネル溝型の作業空間3を形成することもできる。さらに、図6に示すように、絶縁シート状部材13を断面U字型に湾曲させて作業空間3を形成することもできる。
【0026】
なお、上記実施の形態例では、充電部に近接した箇所での作業箇所として配電盤Bを示したが、配電盤に限らず、キュービクル、制御盤、分電盤、路上開閉器等の活線や充電部に隣接した箇所に広く適用できる。
【符号の説明】
【0027】
B 配電盤 B1 充電部
1 絶縁シート状部材 2 絶縁四辺形筒
3 作業空間 4 接続端子
11 絶縁シート状部材 12 絶縁シート状部材
13 絶縁シート状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7