(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】折り畳み表示器及び当該表示器を複数用いた工事用バリケード又は表示器
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
E01F13/02 A
E01F13/02 Z
(21)【出願番号】P 2019168846
(22)【出願日】2019-09-17
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 順三
(72)【発明者】
【氏名】菅原 貴博
(72)【発明者】
【氏名】杉田 一広
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-250271(JP,A)
【文献】特開平03-125708(JP,A)
【文献】実開平02-053412(JP,U)
【文献】実公昭39-030392(JP,Y1)
【文献】特開平10-018246(JP,A)
【文献】登録実用新案第3125360(JP,U)
【文献】登録実用新案第3183035(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底辺が直線状である板体に、前記底辺から垂直な折り目を設け、当該折り目の両側をそれぞれ小板体とし、前記折り目箇所を折り曲げ、この状態で左右の小板体をそれぞれの底辺を床又は地面に当てて起立させ、
前記各小板体の上部に縦方向の切り込みを入れてなる折り畳み表示器を2個以上用意し、これらの各折り畳み表示器を間隔をあけて並べ、
各折り畳み表示器の前記一方の小板体の切り込みに板状バーの両端各端部を横から挿入して当該板状バーを当該切り込み脇の小板体と重合して係止させ、当該板状バーを隣接する各折り畳み表示器に渡したものであって、前記各折り畳み表示器の他の小板体が前記板状バーに対して同じ側に位置するように前記各折り畳み表示器を並べたことを特徴とする、工事用バリケード又は表示器。
【請求項2】
底辺に対して直角な突合せ辺を有する小板体を2つ設け、各突合せ辺を突き合わせて、当該突合せ辺に設けた蝶番で前記2つの小板体を回転自在に接続し、各小板体の相互を折り曲げ、この状態で左右の小板体をそれぞれの底辺を床又は地面に当てて起立させ、
前記各小板体の上部に縦方向の切り込みを入れてなる折り畳み表示器を2個以上用意し、これらの各折り畳み表示器を間隔をあけて並べ、
各折り畳み表示器の前記一方の小板体の切り込みに板状バーの両端各端部を横から挿入して当該板状バーを当該切り込み脇の小板体と重合して係止させ、当該板状バーを隣接する各折り畳み表示器に渡したものであって、前記各折り畳み表示器の他の小板体が前記板状バーに対して同じ側に位置するように前記各折り畳み表示器を並べたことを特徴とする、工事用バリケード又は表示器。
【請求項3】
前記各折り畳み表示器の広げた2つの小板体の相互の角度を保持する止め具を設け、当該止め具は、その両端に設けた係止体を各小板体の上端縁に掛けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の工事用バリケード又は表示器。
【請求項4】
前記各折り畳み表示器の広げた2つの小板体の各底辺を支持する台座を設けたことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の工事用バリケード又は表示器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に屋内線工事等において使用するカラーコーン(登録商標)等のロードコーンやその他の注意喚起表示としての折り畳み表示器及び当該表示器を複数用いた工事用バリケード又は表示器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記屋内線工事において、ロードコーンは、「区画の確保」、「注意喚起」等に使用されている。屋内線工事で使用するロードコーンは、屋外で使用するロードコーンと異なり「内照灯」が不要であり、また、風で飛ばされる心配がないので「移動防止具(ウエイト等)」も不要な場合が多く、軽量で簡易なものを使用することが多い。
【0003】
前記屋内線工事現場では、資機材置き場のスペースが限られており、未使用時のロードコーンの置き場に困っている。また、複数をまとめるとかさばるため、運搬も大変である。これに対して、折り畳みや組み立て式のロードコーンも使用されている。
【0004】
特許文献1に示す折り畳み式のカラーコーン(登録商標)は、設置した状態で上下方向に蛇腹方式で伸縮自在になっている。具体的には当該ロードコーンはコーン上部と、複数段錐型伸縮管体から成る環状管とコーン台から成る一体型のもので、コーン上部をコーン台から引き離す方向に引っ張り上げ、環状管を適当な高さに調整することができるものである。
【0005】
また、特許文献2のカラーコーン(登録商標)は組み立て式となっている。これは角錐本体又は円錐本体を二つ折りにする縦方向の折曲線と下端縁に突出部を設け、二つ折りの座板に同形の抜き孔を穿孔し、当該座板の抜き孔の辺又は縁に沿って嵌合して組み立てられるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3165563号公報
【文献】特開2003-206515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1及び2のカラーコーン(登録商標)は、収納時にはコンパクトになるが、実際に使用するときは略円錐形状となり、その底部の設置面積が大きく、その分広さが必要である。従って、狭隘な屋内線工事現場においては、作業スペースや動線の確保に支障がでる場合がある。
【0008】
この発明は、上記の点に着目し、設置面積を取らず、組み立てが容易で、収納の際はコンパクトに畳める、ロードコーンや注意喚起等を表示する折り畳み表示器及び当該表示器を複数用いた工事用バリケード又は表示器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、底辺が直線状である板体に、前記底辺から垂直な折り目を設け、当該折り目の両側をそれぞれ小板体とし、前記折り目箇所を折り曲げ、この状態で左右の小板体をそれぞれの底辺を床又は地面に当てて起立させ、前記各小板体の上部に縦方向の切り込みを入れてなる折り畳み表示器を2個以上用意し、これらの折り畳み表示器を間隔をあけて並べ、各折り畳み表示器の前記一方の小板体の切り込みに板状バーの両端各端部を横から挿入して当該板状バーを当該切り込み脇の小板体と重合して係止させ、当該板状バーを隣接する各折り畳み表示器に渡したものであって、前記各折り畳み表示器の他の小板体が前記板状バーに対して同じ側に位置するように前記各折り畳み表示器を並べた、工事用バリケード又は表示器とした。
【0010】
また、請求項2の発明は、底辺に対して直角な突合せ辺を有する小板体を2つ設け、各突合せ辺を突き合わせて、当該突合せ辺に設けた蝶番で前記2つの小板体を回転自在に接続し、各小板体の相互を折り曲げ、この状態で左右の小板体をそれぞれの底辺を床又は地面に当てて起立させ、前記各小板体の上部に縦方向の切り込みを入れてなる折り畳み表示器を2個以上用意し、これらの折り畳み表示器を間隔をあけて並べ、各折り畳み表示器の前記一方の小板体の切り込みに板状バーの両端各端部を横から挿入して当該板状バーを当該切り込み脇の小板体と重合して係止させ、当該板状バーを隣接する各折り畳み表示器に渡したものであって、前記各折り畳み表示器の他の小板体が前記板状バーに対して同じ側に位置するように前記各折り畳み表示器を並べた、工事用バリケード又は表示器とした。
【0011】
また、請求項3の発明は、前記各折り畳み表示器の広げた2つの小板体の相互の角度を保持する止め具を設け、当該止め具は、その両端に設けた係止体を各小板体の上端縁に掛けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の工事用バリケード又は表示器とした。
【0012】
また、請求項4の発明は、前記各折り畳み表示器の広げた2つの小板体の各底辺を支持する台座を設けた、請求項1~3のいずれかに記載の工事用バリケード又は表示器とした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1又は2の発明における折り畳み表示器は、使用時には、左右の小板体を折り曲げることによって、床又は地面に起立させることができ、従来のロードコーンと同様に、工事や注意喚起等の標識乃至は表示器としての使用もできる。その際、床や地面に接する底面が鍵型形状となるため、従来の円錐型のものと比べて、設置面積が極めて小さい。従って、場所をとらない。また、不要時には各板体を広げて一枚ものとして扁平にしたり、重ねて畳むことができ、保管や運搬の際場所を取らない。また、重ねて折り畳むと持ち運びにも便利である。
【0016】
また、請求項1又は2の発明によれば、複数の隣接する折り畳み表示器を板状バーでつなぐことにより、工事現場や機材、資材置き場への立ち入り禁止等の工事用バリケードや注意喚起等の表示器とすることができる。また、これらの置き場を当該表示器及び前記板状バーで囲むことができ、立ち入れ禁止効果をより高くすることができる。その際、各折り畳み表示器の折り曲げた各小板体の内側を前記資材等の脇にぴったり付けて設置でき、場所を取らない。しかも、板状バーの取り付け取り外しが容易であり、また、各表示器も折り畳み自在であるため、組み立て、取り壊しが容易で取り扱いが便利である。
【0017】
また、請求項3の発明によれば、各折り畳み表示器に止め具を取り付けるため、各小板体の折り曲げ角度が保持され、広く表示器として安定して使用できる。
【0018】
また、請求項4の発明によれば、各折り畳み表示器の下端に台座を設けることにより、各小板体折り曲げ状態でその形状が保持され、かつ、各小板体が倒れることなく、安定して起立する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器の斜視図である。
【
図2】この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器を広げた状態の正面図である。
【
図3】この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器を折り畳んだ状態の斜視図である。
【
図4】この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器に切り込み及び取っ手を設け、当該折り畳み表示器を折り畳んだ状態の斜視図である。
【
図5】この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器の両側の小板体をチェーンで接続した斜視図である。
【
図6】この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器の両側の小板体をひもで接続した斜視図である。
【
図8】この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器の両側の小板体を止め具で接続した斜視図である。
【
図9】この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器の止め具の斜視図である。
【
図10】この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器の両側の小板体の底部に台座を嵌めて、当該台座に折り畳み表示器を載せた状態の斜視図である。
【
図11】この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器の小板体を切り離して、蝶番で接続した状態の正面図である。
【
図12】この発明の実施の形態例1の2つの折り畳み表示器を板状バーでつないだバリケード又は表示器の斜視図である。
【
図13】この発明の実施の形態例1の4つの折り畳み表示器及び板状バーで資材を囲んだ状態のバリケード又は表示器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1の折り畳み表示器Aを
図1~
図11に基づいて説明する。
【0022】
この折り畳み表示器Aは、
図2に示すように、底辺1aが直線状である板体1に、前記底辺1aから垂直な折り目2を設け、当該折り目2の両側をそれぞれ小板体3、3とし、
図1に示すように、前記折り目2箇所を略直角に折り曲げ、この状態で、左右の小板体3、3をそれぞれの底辺1aで床又は地面に起立させる構成となっている。これにより従来のロードコーンと同様に注意喚起、立ち入り禁止等の表示器として使用できる。
【0023】
また、この折り畳み表示器Aは、
図2に示すように、板体1を広げて扁平にすることができ、また、
図3に示すように、前記折り目2を介して、小板体3、3を重ねて折り畳むことも可能である。
【0024】
そして、
図4に示すように、小板体3には、上端に円形くり抜き4aを有し、当該くり抜き4aに続いて下部が縦方向に伸びた切り込み4を有している。また、場合によっては、外側縁に取っ手5を設けることもでき、作業者はこの取っ手5をもって折り畳み表示器Aを持ち運ぶことができる。
【0025】
そして、この折り畳み表示器Aの使用に際しては、左右の小板体3、3を約30度~120度に折り曲げ、この状態で、左右の小板体3、3をそれぞれの底辺1aを床又は地面に当てて起立させて、表示器として使用するものであるが、
図5に示すように、小板体3、3の上端にチェーン7を渡して、これ以上小板体3が開かないようにすることもできる。図示は省略したが、具体的には上記チェーン7の両端にクリップが設けられ、当該クリップを各小板体3に係止させてチェーン7を渡す。
【0026】
また、
図6及び
図7に示すように、折り畳み表示器Aの両側の小板体3、3の上部の切り込み4に、両端に結び目8aのある紐8の、各結び目8aを円形くり抜き4aに入れて、紐8を下方に引っ張れば、紐8の両端は、各切り込み4の下部に行き、当該切り込み4の幅より大きい各結び目8aが各切り込み4に係止され、これにより、紐8が両側の小板体3に係止され、両側の小板体3、3はこれ以上開かず、折り畳み表示器Aとして安定して起立し、上記のものと同様に、表示器として使用できる。
【0027】
また、
図8及び
図9に示すように、折り畳み表示器Aの両側の小板体3、3の各上端に、両端の係止体9aを有する止め具9の各係止体9aを係止して当該止め具9を小板体3、3間に渡したすこともできる。この止め具9の各係止体9aは各小板体3の上端縁に上から嵌める下向き凹部9bが形成されたものである。これにより、前記小板体3、3の折り畳み角度を略直角に維持し、折り畳み表示器Aとして安定して起立し、表示器として使用できる。
【0028】
また、
図10に示すように、当該折り畳み表示器Aの底縁に複数の端部台座10a、角部台座10bを取り付け、当該端部台座10a及び角部台座10bに折り畳み表示器Aを載せて支持することもできる。この場合は、2個の端部台座10a、10aと角部台座10bから成り、それぞれ折り畳み表示器Aの小板体3の底縁を嵌める直線状嵌合溝11が各端部台座10aに、また、直角状嵌合溝12が角部台座10bにそれぞれ設けられている。
【0029】
これらの直線状嵌合溝11及び直角状嵌合溝12に折り畳み表示器Aの小板体3の端部及び角部を嵌めて、これらの端部台座10a、角部台座10bに折り畳み表示器Aを載置させると、折り畳み表示器Aが安定して支持され、折り畳み角度も規制され、むやみに折り畳み表示器Aが倒れたりしない。また、この実施の形態例1に替えて、端部台座10aと角部台座10bを一体に形成した平面視鍵型の台座とすることもできる。
【0030】
また、前記折り畳み表示器Aは一体な板体1を、折り目2を介して両側に小板体3、3を設けているが、
図11に示すように、前記板体1を折り目2から切り離して、小板体3、3をそれぞれ設け、各小板体3の突合せ縁に沿って複数の蝶番13を設けて各小板体3を相互に回転自在に接続したものでもよい。
【0031】
この折り畳み表示器Aは、単体のロードコーンとして使用できるが、複数個の折り畳み表示器Aを用意して、これらの折り畳み表示器Aの間に板状バーBをわたして立ち入り禁止や通行禁止の工事用バリケードや注意喚起等の表示器としたり、工事区域や資材置き区域を囲み、立ち入り禁止区域を表示するバリケード又は表示器にすることができる。
【0032】
図12は、2個の折り畳み表示機Aを間隔をあけて立て、これらの折り畳み表示器A間に板状バーBを渡し、通行禁止や、立ち入り禁止のバリケード、又は注意喚起等の表示器としたものである。その際、板状バーBの両端は、各折り畳み表示器Aの小板体3の切り込み4に入れて係止したものである。
【0033】
また、
図13は工事用の資材置き場を、4個の折り畳み表示器A及び板状バーBで囲んだバリケードとしたものである。その場合、工事用資材14の四隅に、各折り畳み表示器Aを置き、各折り畳み表示器Aの各小板体3の上部にある切り込み4に、前記各板状バーBの両端を挿入して隣接する折り畳み表示器A間に板状バーBを渡したものである。
【0034】
この様な場合に、従来のロードコーンは円錐形のため、場所を取り、工事用資材14の周囲にスペースができてしまうが、この折り畳み表示器Aの場合は、1枚の板を2つに折り畳んでいるため、場所を取らず、工事用資材14の脇にぴったりと寄せて立てることができ、場所を取らない。
【0035】
なお、上記実施の形態例1では、小板体3に切り込み4を入れているが、この切り込みは発明の必須要件ではない。また、
図1、2、3では折り目2の両側に同形同大の小板体3を設けているが、この小板体3は折り目2を介して左右同じ形状、大きさでなくてもよい。多少異なっていてもよい。また、両側の小板体3の折り曲げ角度は、直角が最も良いが、30度~120度でも安定して起立できる。
【0036】
また、上記実施の形態例1では、小板体3を台形形状としているが、この形状に限るものではなく、矩形、三角形等の形状としてもよい。従って、ロードコーンとしての使用は勿論、他の注意喚起等の表示器として使用できる。その場合、小板体3又は板状バーBに「注意」や「工事中」、「立ち入り禁止」等適宜の文字を入れた表示器とすることもできる。
【符号の説明】
【0037】
A 折り畳み表示器 B 板状バー
1 板体 1a 底辺
2 折り目 3 小板体
4 切り込み 4a 円形くり抜き
5 取っ手 7 チェーン
8 紐 8a 結び目
9 止め具 9a 停止体
9b 下向き凹部 10a 端部台座
10b 角部台座 11 直線状嵌合溝
12 直角状嵌合溝 13 蝶番
14 工事用資材