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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】締固め砂杭造成方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/10 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
E02D3/10 104
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020180500
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071498
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100088708
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐司
(72)【発明者】
【氏名】原田 健二
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-261933(JP,A)
【文献】実開平06-074625(JP,U)
【文献】特開2009-243057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00-3/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダー側に設けられたラック又はピンラックと噛み合うピニオン又はスプロケットを有し、前記ピニオン又はスプロケットの駆動により中空管を前記リーダーに沿って昇降する強制昇降装置を備え、前記中空管を地盤の設計深度まで貫入した後、地表まで引抜く過程で前記中空管を一定深さ引抜きつつ下端から中空管内の砂材料を排出する引抜工程と、前記中空管を再貫入して排出した砂材料を締固める締固め工程とを繰り返すことで締固め砂杭を造成する締固め砂杭造成方法において、
前記強制昇降装置に対し昇降方向に所定長さ往復運動可能であると共に駆動制御可能な状態に設けられた反復往復装置を有し、
前記中空管を再貫入して排出した砂材料を締固める締固め工程で前記強制昇降装置と合わせて前記反復往復装置を稼働し、前記中空管の引抜工程から次の引抜工程の間の締固め工程で前記反復往復装置を少なくとも2往復させて、前記中空管の下降速度に緩急を与えることを特徴とする締固め砂杭造成方法。
【請求項2】
前記反復往復装置による往復運動のストロークを、前記締固め工程の中空管の下降長さを往復回数の2倍で除した長さとする特徴とする請求項1に記載の締固め砂杭造成方法。
【請求項3】
前記反復往復装置は、前記強制昇降装置に対して5から10cm往復移動可能になっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の締固め砂杭造成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中に砂材料を締固めて所定強度の締固め砂杭を造成する方法において、特に昇降装置として強制昇降装置を用いる場合に好適な締固め砂杭造成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象の締固め砂杭造成方法は、図9に示した特許文献1のごとく中空管8をリーダー2に沿って昇降する強制昇降装置(昇降手段)4、及び中空管8を正転又は逆転する回転装置(回転手段)5やホッパ25等を有したアタッチメント43を備え、図10において中空管8を符号(1)から(3)のごとく地盤の設計深度まで貫入した後、地表まで引抜く過程で中空管8を一定深さ引抜きつつ下端から中空管内の砂材料を排出する符号(4)の引抜工程と、中空管8を再貫入して排出した砂材料を締固める符号(5)の締固め工程とを繰り返すことで締固め砂杭を造成するものである。ここで、強制昇降装置4は、リーダー2に沿って設けられたラック22と、ラック22と噛み合うよう筐体40側に軸支されて不図示の油圧モータ等により駆動されるピニオン42を有し、ラック22に対するピニオン42の回動を伴って中空管8を昇降する。
【0003】
これに対し、図11に示した特許文献2の締固め砂杭造成において、この昇降装置はアタッチメント6(中空管3、回転装置4、ホッパー装置5)をワイヤ8によってリーダー1の上部を通りかつ吊り下げた状態で昇降する巻取装置9からなり、アタッチメント6と巻取装置9との間にあるワイヤ8部分に設けられて、巻取装置9とは別個に中空管3を所定振幅で上下動するウエーブ発生装置10を有している。そして、中空管3を再貫入して排出した砂材料を締固める締固め工程において、ウエーブ発生装置10により中空管3を所定振幅で上下動することにより、締固め力としては中空管6及び回転装置4などの重量に加え、ウエーブ発生装置10による中空管3の上下動も加わって締固め力をより増大できるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-63803号公報
【文献】実開平6-74625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、中空管を強制昇降装置つまりリーダー上下方向に設けられたラックに対するピニオンの回動により中空管を強制的に昇降して引抜いたり回転圧入する。この強制昇降では、地盤の間隙水圧の上昇を抑制するよう時間をかけて施工することにより、地盤改良の締固めにおいて高い改良効果が得られることが分かっているが、施工に時間がかかるためコスト高となる(特開2017-82468号、特開2017-82469号公報)。
【0006】
一方、特許文献2では、ウエーブ発生装置により中空管を所定振幅で上下動して締固め力を増大させ、締固め砂杭の締固め力および杭径を増大できることが記載されている。この例では、昇降装置の速度をウエーブ発生装置を用いない通常施工と同等とすることで、施工時間が通常施工と等しくなる。しかし、図11(b)の拡大部にあるようにウエーブ施工時の各引き上げ過程において、中空管から砂材料が地中に過剰に排出され易い。この点は後述する図8を参照されたい。このため、より多くの砂材料が必要となりコスト高となる。
【0007】
本発明は以上のような背景から、通常施工と同じ時間で、通常施工より多くの砂材料を使用することなく、通常施工より改良地盤の液状化強度を高めることができるようにする、換言すると施工時間が従来とかわらずに液状化強度を増加し、砂材料のロスを少なくできるようにすることを目的としている。他の目的は以下の内容説明のなかで明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、リーダー側に設けられたラック又はピンラックと噛み合うピニオン又はスプロケットを有し、前記ピニオン又はスプロケットの駆動により中空管を前記リーダーに沿って昇降する強制昇降装置を備え、前記中空管を地盤の設計深度まで貫入した後、地表まで引抜く過程で前記中空管を一定深さ引抜きつつ下端から中空管内の砂材料を排出する引抜工程と、前記中空管を再貫入して排出した砂材料を締固める締固め工程とを繰り返すことで締固め砂杭を造成する締固め砂杭造成方法において、前記強制昇降装置に対し昇降方向に所定長さ往復運動可能であると共に駆動制御可能な状態に設けられた反復往復装置を有し、 前記中空管を再貫入して排出した砂材料を締固める締固め工程で前記強制昇降装置と合わせて前記反復往復装置を稼働し、前記中空管の引抜工程から次の引抜工程の間の締固め工程で前記反復往復装置を少なくとも2往復させて、前記中空管の下降速度に緩急を与えることを特徴としている。
【0009】
以上の本発明方法において、『砂』とは砂と共に砂利や砕石、更に砂類似の固化材等の粒状物を含む構成、つまり通常より広義な意味で使用している。また、強制昇降装置とは、図9に例示されるごとく中空管をリーダー側のピンラックやラック等に案内して機械的に昇降するタイプであり、図11に例示されるごとく中空管をワイヤによって吊り下げた状態で巻取装置により巻き上げるタイプに対するものである。反復往復装置としては、図1の模式図に示したごとく強制昇降装置に対し中空管を所定長さだけ昇降方向に駆動制御可能であればよく、駆動構造としてクランク機構、ジャッキ機構、ラックとピニオン機構、ソレノイド機構、リニアモータ機構等を有している。
【0010】
また、本発明方法は、以下のように具体化されることがより好ましい。すなわち、
(1)、前記反復往復装置による往復運動のストロークを、前記締固め工程の中空管の下降長さを往復回数の2倍で除した長さとする構成である(請求項)。
(2)、前記反復往復装置は、前記強制昇降装置に対して5から10cm往復移動可能になっている構成である(請求項3)
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、強制昇降装置に対し昇降方向に所定長さ往復運動可能であると共に駆動制御可能な状態に設けられた反復往復装置を有し、図7に例示したごとく中空管を再貫入して排出した砂材料を締固める砂杭の造成時に強制昇降装置と合わせて反復往復装置を稼働させ、反復往復装置にて中空管の下降速度に緩急を与えることにより中空管から砂材料の地中への余分な排出量を抑えることができる。この原理は、図8図7の比較から明らかになるごとく、図8の従来方法だと中空管が締固め工程においてウエーブ発生装置により昇降装置による下降ラインを超えて引き上げられる。これに対し、図7の本発明方法だと中空管が反復往復装置により強制昇降装置による下降ラインよりも上側に引き上げられないよう制御可能になるめである。
【0012】
換言すると、まず、本発明の反復往復装置と特許文献2のウエーブ発生装置を比較すると、上述したごとく文献2のウエーブ施工だと中空管が昇降装置による下降ラインを超えて引き上げられるので、その都度、中空管から余分な砂材料が排出され易くなる。これに対し、本発明の反復往復装置により中空管が強制昇降装置による下降ラインより引き上げられないよう制御可能なため余分な砂の排出が抑制される。
【0013】
ところで、最近、砂地盤を締固めて液状化強度を増大させるには、より多くの締固め回数を地盤に与えることが有効であると分かってきた。本発明方法は、引抜き・打ち戻しのストロークを小さくして回数を増やすことにもなるため液状化強度の増大も期待できる。この点では、特開2017-82468号、特開2017-82469号が施工時の間隙水圧の上昇を抑制することにより杭間N値を増大させることを開示し、また、特許文献2ではウエーブ施工により砂杭自体の強度を増大させることを開示しているが、本発明方法はそれらに代わる簡易な構成となる。
【0014】
すなわち、本発明方法では、反復往復装置を稼働さえしておけば、通常施工と同じ操作で施工することができるのでオペレーターへの負荷も少なく、しかも既存の装置に反復往復装置を付加するだけでよいので改造に大がかりな手間と費用を要しない。そして、図9及び図10に示したような通常施工と同じ時間でより高い液状化強度を得ることが可能となり、打設本数(改良率)の低減による経済効果が得られる。
【0015】
また、本発明では、図7図8の比較から分かるごとく、従来30cm打ち戻していたものを、反復住復装置を2往復させることにより、15cmづつ2回に分けて締め固めることになる。これにより締固め回数が2倍となる(勿論、3回に分けて締め固めれば3倍となる)。また、例えば反復往復装置を2往復させると、最初の1往復で、中空管を15cm下降すればよく、反復往復装置を7.5cm下降させると、強制昇降装置による下降と合わせて、7.5cm+7.5cm=15cm下降することとなる。この7.5cmを求めるには、請求項2のごとく30cmを往復回数の2倍の4で除することとなる。
【0016】
請求項3の発明では、反復往復装置の往復移動が強制昇降装置に対し5から10cmと僅かであるため簡易な構造と制御を維持し易い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明方法に用いられる強制昇降装置と反復住復装置の配置例を図9のA部に対応して示す模式図である。
図2】本発明方法において、中空管を50cm引抜完了、締固め前状態を示す模式図である。
図3】1回目の強制昇降装置下降・反復往復装置下降終了状態を示す模式図である。
図4】1回目の強制昇降装置下降・反復往復装置上昇終了状態を示す模式図である。
図5】2回目の強制昇降装置下降・反復往復装置下降終了状態を示す模式図である。
図6】2回目の強制昇降装置下降・反復往復装置上昇終了状態を示す模式図である。
図7】本発明方法により締固め砂杭を造成している途中を示す模式図である。
図8】特許文献2により締固め砂杭を造成している途中を示す模式図である。
図9】特許文献1に開示の締固め砂杭造成方法に用いられる装置の模式図である。
図10】特許文献1に開示の締固め砂杭造成方法を示す模式図である。
図11】(a)は特許文献2に開示の締固め砂杭造成装置を示し、(b)はその装置を用いた締固め砂杭造成方法の施工サイクルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の締固め砂杭造成方法を図面を参照し説明する。この説明では、本発明方法に使用される砂杭造成装置を概説した後、本発明の締固め砂杭造成方法の要部作用を図2から図6により明らかにし、更に図7及び図8により文献2の従来方法と比較し本発明の利点を明らかにする。
【0019】
(装置構造例)図1は本発明の締固め砂杭造成方法に好適な砂杭造成装置の要部を示している。この砂杭造成装置1は、図9の装置に対し同図のA部を変更したものであり、A部以外は従来構造と同じである。すなわち、砂杭造成装置1は、図9のベースマシン10を介して移動可能に立設されたリーダ2と、リーダー2に沿って昇降駆動される強制昇降装置5と、強制昇降装置5により昇降移動されるアタッチメント4と、強制昇降装置5とアタッチメント4の間に配置されて強制昇降装置5に対しアタッチメント4を往復移動可能で、駆動制御可能な反復往復装置6とを備えている。また、アタッチメント4には、図9と同じく中空管3が保持され、中空管3に砂材料を投入するホッパー、中空管3を正転又は逆転する回転装置、中空管3にスイベルを介して砂材料を投入するホッパなどが設けられている。
【0020】
ここで、強制昇降装置5は、従来と同様であり、例えばリーダー2側に設けられたラック又はピンラックと、リーダー2側に摺動自在に嵌合されると共にラック又はピンラックと噛み合うピニオン又はスプロケットを有し、ピニオン又はスプロケットの駆動によりリーダー2に沿って制御された速度で昇降移動される。なお、以上のアタッチメント4及び強制昇降装置5の細部説明は省略するが、反復往復装置6を除いて特許文献1や特開2014-190096号公報を参照されたい。
【0021】
反復往復装置6は、強制昇降装置5に対し昇降方向に所定長さ(好ましくは5から10cm程度)往復運動可能であると共に駆動制御可能な状態に連結されている。アタッチメント4に装着された状態において、背面側が強制昇降装置5に対する摺動面6aに設定されている。この例では、反復往復装置6が強制昇降装置5に対し油圧式ジャッキ機構7などを介して上下動ないしは昇降可能となっている。すなわち、反復往復装置6は、強制昇降装置5に対し所定範囲だけ摺動可能に組込保持されると共に、不図示の油圧やモーター等を利用して駆動制御可能となっている。そして、反復往復装置6は、図7に例示したごとく中空管を再貫入して排出した砂材料を締固める砂杭の造成時、中空管3の下降時に強制昇降装置5と合わせて稼働されることになる。
【0022】
(締固め砂杭造成方法)図2図6は本発明方法の要部を模式的に示している。
(ア)、この締固め砂杭造成方法でも、図10と同じく中空管3が強制昇降装置2により図10の符号(1)から符号(3)のごとく地盤の設計深度まで貫入される。その後、中空管3を地表まで引抜く過程で、中空管3を一定深さ引抜きつつ下端から中空管内の砂材料を排出する図10の符号(4)の引抜工程と、中空管3を再貫入して排出した砂材料を締固める図10の符号(5)の締固め工程とを繰り返す点で従来と同じ。
【0023】
(イ)、異なる点は、中空管3を再貫入して排出した砂材料を締固めるときの作動制御にある。すなわち、図3図4は、中空管3が再貫入、つまり図2の状態から1回目の再貫入時の作動を示している。この例では、中空管3が再貫入時の締固め工程で強制昇降装置5と共に反復往復装置6も稼働される。図3において、中空管3が強制昇降装置5により下降されて7.5cm(-7.5cm)貫入され、同時に反復往復装置6により下降されて7.5cm(-7.5cm)貫入される。この結果、中空管3の移動距離は合計15cm(-15cm)となる。
【0024】
(ウ)、続いて、図4において、中空管3が強制昇降装置5により更に7.5cm(-7.5cm)下降されて合計15cm(-15cm)貫入される。この過程では、反復往復装置6が強制昇降装置5に対し7.5cm上昇されて図2の元の位置まで上昇される。このため、中空管3の下降ないしは貫入量は図3と同じ。
【0025】
(エ)、続いて、2回目の強制昇降装置の下降において、中空管3が強制昇降装置5により更に7.5cm(-7.5cm)下降されると共に、反復往復装置6も稼働される。図5において、中空管3が強制昇降装置5により更に7.5cm(-7.5cm)下降され、同時に反復往復装置6により更に7.5cm(-7.5cm)下降される。このため、反復往復装置6の下降終了時には、中空管3の移動距離が15cm(-15cm)となり、中空管3が合計15cm+15cm=30cm(-30cm)貫入される。
【0026】
(オ)、続いて、図6において、中空管3は強制昇降装置5により更に7.5cm(-7.5cm)下降されて合計30cm(-30cm)貫入される。この過程では、反復往復装置6は強制昇降装置5に対し7.5cm上昇されて図2の元の位置まで上昇される。このため、強制昇降装置5の下降・反復往復装置6の上昇終了時には、中空管3の下降ないしは貫入量が図5と同じ。
【0027】
(カ)、以上の例では、従来だと中空管を30cm打ち戻していたものを、反復住復装置6を2往復させることにより、15cmづつ2回に分けて締め固めることになる。これにより締固め回数が2倍となる。このようにして、反復往復装置6を2往復させると、最初の1往復で、反復往復装置6を7.5cm(-7.5cm)下降させると、強制昇降装置5の下降と合わせて、中空管3は合計15cm(-15cm)下降することとなる。なお、この7.5cmを求めるには、30cmを往復回数の2倍の4で除することとなる。
【0028】
(キ)、図7図8は本発明方法と従来方法の相違をより分かりやすくなるよう図示ものであり、それぞれ再貫入工程を2回行った態様で比較している。ここで、図8のウエーブ発生装置を用いた従来方法では、中空管の上下動による締固め力を専ら期待したものであり、図10(b)の拡大部に示されるごとく中空管が上側に引き上げられる必要がある。これに対し、反復往復装置6を用いた本発明方法では、中空管を積極的に引き上げない、或いは限定された範囲で引き上げるようにしたものである。換言すると、図8の従来方法では締固め砂杭自体の強度を高めるために中空管を上下動しているが、本発明方法では図7から分かるように締固め回数が反復往復装置6により増えることにより液状化強度も増加されることになる。
【0029】
(ク)、図8の従来方法では、ウエーブ発生装置によるストロークを調整しても本発明方法と同様の動きにすることは不可能である。図7の本発明方法では、強制昇降装置(リーダー側に設けられたラック又はピンラックと、リーダー側に摺動自在に嵌合されると共にラック又はピンラックと噛み合うピニオン又はスプロケットを有し、ピニオン又はスプロケットの駆動によりリーダーに沿って制御された速度で昇降移動させる装置)5を基本としており、中空管を正確に制御しつつ押し込み可能である。図7の上側に記載した速度はその制御例を示している。これにより、本発明の場合は、反復往復装置6による下降時にさらに早く強力な押し込み力を得ることができる。これに対し、従来方法では、ワイヤで懸架する構造であり、いくらワイヤを早く巻き出してもワイヤが弛むだけで、押し込み力の増加にはならない。本発明方法では、上述したように中空管を強制昇降装置5と反復往復装置6により制御しながら引き上げ、下降させるため押し込み力が大きく得られる。
【0030】
(ケ)、従来のウエーブ発生装置は、リーダーの頂部の近傍下部側に設けられており、所定間隔を保って配置される2組のシーブ装置と、この一方を上下動する油圧シリンダーなどから構成されている(文献2の段落0009)。そして、この場合は、中空管の軌跡が図11(b)の拡大部に示されるようになればよいので振幅などを細かく調整する必要がない。これに対し、本発明の反復往復装置6は、図7に示したごとくストロークを正確に制御して中空管が強制昇降装置5で下降される軌跡より上にいかない範囲で更に下降させる必要がある。
【0031】
なお、以上の形態例は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、請求項で特定される技術要素を備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更可能なものである。例えば、強制昇降装置や反復往復装置の具体的な制御は以上の形態例を参考にして、施工域の地盤性状、要求される締固め度合い等により適宜に展開されることになる。
【符号の説明】
【0032】
1・・・・締固め砂杭造成装置
2・・・・リーダー
3・・・・中空管
4・・・・アタッチメント
5・・・・強制昇降装置
6・・・・反復往復装置
7・・・・ジャッキ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11