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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】面光源装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230809BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20230809BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230809BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20230809BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230809BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20230809BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230809BHJP
   F21Y 105/00 20160101ALN20230809BHJP
【FI】
F21S2/00 484
F21V5/00 510
F21V5/04
F21V7/28 250
F21V7/28
G02F1/13357
G02B5/02 A
F21Y115:10
F21Y105:00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019024744
(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公開番号】P2020135966
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 祐介
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭平
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037142(JP,A)
【文献】特許第6316494(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/00
F21V 5/04
F21V 7/28
G02F 1/13357
G02B 5/02
F21Y 105/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、前記底板と対向して配置された開口部とを有する筐体と、
前記底板上に配置され、少なくとも上面および側面の上端部から光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材とを有する発光装置と、
前記光束制御部材から出射される光が到達する、前記底板上の一部の領域に配置された反射調整部と、
前記開口部を塞ぐように配置され、光を拡散させつつ透過させる光拡散板と、
を有し、
前記光束制御部材は、
前記発光素子から出射された光を入射する入射面と、
前記入射面を挟んで前記発光素子と対向する位置に配置され、前記入射面から入射した光の一部を、前記発光素子の光軸と略垂直であり、かつ互いに反対向きである2つの方向にそれぞれ反射させる2つの反射面と、
前記2つの反射面を挟んで互いに対向して配置され、前記2つの反射面で反射された光をそれぞれ外部に出射させる2つの出射面と、
を有し、
前記発光素子の前記側面から出射される光は、前記上面から出射される光よりも黄色味が強く、
前記発光素子の前記側面から出射される光は、前記光束制御部材の前記入射面に入射した後、前記出射面の上端部から出射され、
前記反射調整部は、前記出射面の上端部の前記底板の表面からの高さをH、平面視したときの前記光束制御部材の出射面の下端部からの距離をL、前記出射面の上端部から出射される光の、前記出射面の上端部から前記底板の法線方向に沿って前記光拡散板へ向かう方向に対する角度をθ(θ≦θ≦θ)としたとき、少なくとも下記式(1)を満たす領域の全部に配置されており、
×tan(180-θ)≦L≦H×tan(180-θ) 式(1)
(式(1)において、θは100°であり、θは115°である)
前記反射調整部の、波長450nmの光の反射率をR1450、波長550nmの光の反射率をR1550、波長630nmの光の反射率をR1630としたとき、前記反射調整部は、下記式(2)を満たし、
R1450>R1550、R1630≧60% 式(2)
前記底板の表面の、波長550nmの光の反射率をR2550、波長630nmの光の反射率をR2630としたとき、前記底板は、下記式(3)および(4)を満たす、
R2550>R1550 式(3)
R2630>R1630 式(4)
面光源装置。
【請求項2】
下記式(2’)をさらに満たす、
請求項1に記載の面光源装置。
R1450>R1550、R1630≧80% 式(2’)
【請求項3】
前記発光装置は、複数配置されており、
前記複数の発光装置は、前記2つの出射面が対向する方向および前記発光素子の光軸に略垂直な方向に沿って並べられている、
請求項1または2に記載の面光源装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の面光源装置と、
前記面光源装置から出射された光が照射される表示部材と、
を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、バックライトとして直下型の面光源装置を使用することがある。近年、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されるようになってきている。
【0003】
たとえば、直下型の面光源装置は、基板、複数の発光素子、複数の光束制御部材(レンズ)および光拡散部材を有する。発光素子は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。複数の発光素子は、基板上に、マトリクス状に配置(例えば複数の発光素子を含む列が複数列配置)されている。各発光素子の上には、各発光素子から出射された光を基板の面方向に拡げる光束制御部材が配置されている。光束制御部材から出射された光は、光拡散部材により拡散され、被照射部材(例えば液晶パネル)を面状に照らす。
【0004】
図1AおよびBは、特許文献1の照明装置12(面光源装置)の構成を示す図である。図1AおよびBに示されるように、特許文献1の照明装置12は、液晶パネル側が開口したシャーシ22と、シャーシ22内のLED基板25上の反射シート29の挿入孔29d内に配置されたLED24と、拡散レンズ27と、複数の反射パターン31と、シャーシ14の開口部を塞ぐように配置された光学部材23とを有する。拡散レンズ27は、入射面27aと、出射面27bおよび27eとを有する。反射パターン31は、LED基板25の反射層30に設けられた孔であり、その底部にはLED基板25の実装面25aが露出している。LED基板25の実装面25aの反射率は、反射層30の反射率よりも低い。反射パターン31は、平面視したときに、LED基板25の拡散レンズ27と重なる領域だけでなく、拡散レンズ27の外側の領域、すなわち、拡散レンズ27とレンズ挿入孔29dの縁との間の領域まで配置されている(図1B参照)。
【0005】
特許文献1の照明装置12では、LED24から出射された光の多くは、拡散レンズ27の入射面27aで入射し、出射面27bおよび27eから出射される。このとき、LED基板25の配線パターン25cを覆うソルダーレジスト(不図示)の厚みが不均一であったり、LED基板25の反射層30の厚みが不均一であったりすると、LED基板25の表面における反射率が不均一になりやすい。これに対し、特許文献1のように、LED基板25の反射層30の反射率よりも低い反射率を有する反射パターン31を、LED24の周囲から拡散レンズ27の周囲にわたって配置することで、LED基板25の表面における反射率を均一にし、輝度ムラを低減することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-143273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、大型の面光源装置を安価に製造する観点から、発光素子の数を少なくすること(例えば複数の発光素子を含む列の数を少なくすること)が求められている。すなわち、複数の発光素子を含む列の数を少なくしても、面光源装置の隅々まで光を到達させることが求められている。これに伴い、発光素子から出射される光を、図1AおよびBに示されるような等方的に(全方向に)配光させる発光装置ではなく、発光素子から出射される光を、水平方向で互いに反対向きである2つの方向に反射させて、異方的に配光させる(楕円配光を示す)発光装置が使用されつつある。
【0008】
また、発光素子としては、発光素子の上面からだけでなく、側面からも光を出射するものがある。そのような発光素子では、蛍光体の存在分布の偏りなどに起因して、発光素子の側面から出射される光は、発光素子の上面から出射される光と比べて、黄色味が強いことがある。
【0009】
しかしながら、そのような発光素子を、異方的に配光させる(楕円配光を示す)発光装置に用いると、当該発光装置を有する面光源装置では、発光素子の側面から出射された黄色味が強い光は、光束制御部材の内部を拡散した後、その出射面の上端部付近から(黄色味が強いまま)出射されやすく、その少なくとも一部は、底板上で反射されやすい。それにより、光拡散板から出射される光の黄色味も強くなりやすいという問題があった。それにより、面光源装置において色ムラを生じやすく、面内色度分布の均一性が低下しやすいという問題があった。
【0010】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、発光素子の側面からの出射される光の黄色味が強い場合であっても、それによる色ムラを低減することができる面光源装置および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る面光源装置は、底板と、前記底板と対向して配置された開口部とを有する筐体と、前記底板上に配置され、少なくとも上面および側面の上端部から光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材とを有する発光装置と、前記光束制御部材から出射される光が到達する、前記底板上の一部の領域に配置された反射調整部と、前記開口部を塞ぐように配置され、光を拡散させつつ透過させる光拡散板と、を有し、前記光束制御部材は、前記発光素子から出射された光を入射する入射面と、前記入射面を挟んで前記発光素子と対向する位置に配置され、前記入射面から入射した光の一部を、前記発光素子の光軸と略垂直であり、かつ互いに反対向きである2つの方向にそれぞれ反射させる2つの反射面と、前記2つの反射面を挟んで互いに対向して配置され、前記2つの反射面で反射された光をそれぞれ外部に出射させる2つの出射面と、
を有し、前記反射調整部は、前記出射面の上端部の前記底板の表面からの高さをH、平面視したときの前記光束制御部材の出射面の下端部からの距離をL、前記出射面の上端部から出射される光の、前記出射面の上端部から前記底板の法線方向に沿って前記光拡散板へ向かう方向に対する角度をθ(θ≦θ≦θ)としたとき、少なくとも下記式(1)を満たす領域の全部に配置されており、
×tan(180-θ)≦L≦H×tan(180-θ) 式(1)
(式(1)において、θは100°であり、θは115°である)
前記反射調整部の、波長450nmの光の反射率をR1450、波長550nmの光の反射率をR1550、波長630nmの光の反射率をR1630としたとき、前記反射調整部は、下記式(2)を満たし、
R1450>R1550、R1630≧60% 式(2)
前記底板の表面の、波長550nmの光の反射率をR2550、波長630nmの光の反射率をR2630としたとき、前記底板は、下記式(3)および(4)を満たす。
R2550>R1550 式(3)
R2630>R1630 式(4)
【0012】
本発明に係る表示装置は、本発明に係る面光源装置と、前記面光源装置から出射された光が照射される表示部材と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発光素子の側面からの出射される光の黄色味が強い場合であっても、それによる色ムラを低減することができる面光源装置および表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1AおよびBは、特許文献1の発光装置の構成を示す図である。
図2図2A~Cは、本実施の形態に係る面光源装置の構成を示す図である。
図3図3AおよびBは、本実施の形態に係る面光源装置の構成を示す図である。
図4図4A~Eは、本実施の形態に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図5図5AおよびBは、本実施の形態における反射調整部の領域を示す説明図である。
図6図6AおよびBは、作用を説明する図である。
図7図7は、変形例に係る面光源装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(面光源装置の構成)
図2A~Cおよび図3A、Bは、本実施の形態に係る面光源装置100の構成を示す図である。図2Aは、面光源装置100の平面図であり、図2Bは、側面図であり、図2Cは、正面図である。図3Aは、図2Aにおいて光拡散板150を外した平面図であり、図3Bは、図2AのA-A線における部分拡大断面図である。なお、図3Bでは、発光装置130の大きさを大きく表示するとともに、一部の部材のハッチングを省略している。
【0017】
図2A~Cおよび図3A、Bに示されるように、面光源装置100は、筐体110、基板120、複数の発光装置130、反射調整部140および光拡散板150を有する。また、図2Cに示されるように、面光源装置100は、液晶パネルなどの表示部材(被照射部材)160と組み合わせることで、表示装置100’としても使用できる。
【0018】
筐体110は、その内部に基板120および複数の発光装置130を収容するための、少なくとも一部が開口した箱であり、底板111、およびそれと対向して配置された開口部を有する。具体的には、筐体110は、底板111の表面である底面111a、2つの第1傾斜面112、および2つの第2傾斜面113を有する。
【0019】
底面111aは、水平面であり、反射面として機能しうる。(反射調整部140以外の領域の)底面111aの色は、特に限定されないが、例えば白色とすることができる。
【0020】
2つの第1傾斜面112および2つの第2傾斜面113は、それぞれ底面111aを挟むように配置され、かつ発光素子131から離れるにつれて光拡散板150に近づくように傾斜した面である。2つの第1傾斜面112および2つの第2傾斜面113は、発光装置130から略水平方向に出射される光を光拡散板150に向けて反射させて、発光装置130から出射される光を光拡散板150に集めやすくできる。すなわち、第1傾斜面112および第2傾斜面113は、それぞれ反射面として機能しうる。第1傾斜面112および第2傾斜面113は、それぞれ平面であってもよいし、曲面であってもよい。本実施の形態では、第1傾斜面112および第2傾斜面113は、いずれも平面である。
【0021】
第1傾斜面112の底面111aに対する傾斜角は、例えば6~9°であり、第2傾斜面113の底面111aに対する傾斜角は、例えば40~50°である。なお、第1傾斜面112(または第2傾斜面113)の底面111aに対する傾斜角とは、第1傾斜面112(または第2傾斜面113)と底面111aとのなす角度のうち小さいほうの角度をいう。また、底面111aの一部が傾斜している場合、底面111aに対する傾斜角は、底面111aの水平部に対する傾斜角を意味する。また、第1傾斜面112(または第2傾斜面113)が曲面である場合、第1傾斜面112(または第2傾斜面113)の底面111aに対する傾斜角とは、第1仮想断面において、底面111aと、第1傾斜面112(または第2傾斜面113)の仮想断面における曲線の接線とのなす角度のうち小さいほうの角度を意味する。
【0022】
筐体110をこのような形状とすることで、面光源装置100の見かけの厚みを薄くすることもできる。
【0023】
筐体110の底面111aと対向する側(本実施の形態では、底面111a、2つの第1傾斜面112および2つの第2傾斜面113と対向する側)には、開口部が設けられている。筐体110の開口部の大きさは、光拡散板150に形成される発光領域の大きさに相当し、例えば400mm×700mm(32インチ)である。この開口部は、光拡散板150により塞がれる。底面111aの表面から光拡散板150までの高さ(空間厚さ)は、特に限定されないが、10~40mm程度である。そして、筐体110は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)などの樹脂や、ステンレス鋼やアルミニウムなどの金属などから構成される。
【0024】
基板120は、筐体100の底板111(底面111a)上に配置されている。基板120は、複数の発光装置130を筐体110内に所定の間隔で配置するための平板である。基板120の表面は、発光装置130から到達した光を光拡散板150に向けて反射させる。すなわち、基板120の表面は、反射面としても機能しうる。
【0025】
複数の発光装置130は、基板120上に、後述する光束制御部材132の2つの出射面173が対向する方向(X軸方向)に略垂直で、かつ発光素子131の光軸LA(Z軸方向)に略垂直な方向(Y軸方向)に沿って、一列に配置されている。基板120上に配置される発光装置130の数は、特に限定されない。基板120上に配置される発光装置130の数は、筐体110の開口部により規定される発光領域(発光面)の大きさに基づいて適宜設定される。
【0026】
複数の発光装置130は、それぞれ発光素子131、および光束制御部材132を有する。複数の発光装置130は、発光素子131の光軸(後述する発光素子131の光軸LA)が、基板120の表面に対する法線に沿うようにそれぞれ配置され、かつ発光素子131から出射される光を2つの第1傾斜面112に向けて出射するようにそれぞれ配置されている。
【0027】
発光素子131は、基板120上に配置されている。発光素子131は、面光源装置100(および発光装置130)の光源であり、上面および側面の上端部から光を出射する。発光素子131は、例えば発光ダイオード(LED)である。発光素子131の発光中心付近から出射される光の色は、適宜設定できる。発光素子131の発光中心付近から出射される光の色は、白色であってもよいし、青色であってもよい。本実施の形態では、発光素子131の発光中心付近から出射される光の色は、白色である。また、発光素子131から出射された光を、光束制御部材132の入射面171に効率よく入射させる観点から、発光素子131の発光面の高さは、光束制御部材132の裏面176と同じかそれよりも高いことが好ましい。
【0028】
光束制御部材132は、発光素子131から出射された光の配光を制御する。光束制御部材132は、その中心軸CAが発光素子131の光軸LAに一致するように、発光素子131の上に配置されている(図3B参照)。「発光素子131の光軸LA」とは、発光素子131からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。「光束制御部材132の中心軸CA」とは、例えば2回対称の対称軸を意味する。また、光束制御部材132は、発光素子131から出射される光を、後述する2つの出射面173から2つの第1傾斜面112に向かって出射するように(後述する2つの出射面173が、2つの第1傾斜面112とそれぞれ対向するように)配置される。
【0029】
以下、各発光装置130について、発光素子131の発光中心を原点として、発光素子131の光軸LAに平行な軸をZ軸とし、Z軸と直交し、かつ発光素子131の発光中心を含む仮想平面において、複数の発光装置130が並ぶ方向に平行な軸をY軸とし、前記仮想平面において、Y軸と直交する軸をX軸とする。また、発光装置130を、光軸LAとX軸とを含む第1仮想平面(XZ平面)で切断した断面を第1仮想断面とし、光軸LAとY軸とを含む第2仮想平面(YZ平面)で切断した断面を第2仮想断面とし、X軸とY軸とを含む第3仮想平面(XY平面)で切断した断面を第3仮想断面とする。本実施の形態において、光束制御部材132は、第1仮想平面(XZ平面)および第2仮想平面(YZ平面)に対してそれぞれ面対称である。また、本実施の形態では、光束制御部材132は、光学面(後述する入射面171、反射面172および出射面173)が、X軸と平行な軸を回転軸とした略回転対称の物体の一部である。
【0030】
光束制御部材132の材料は、所望の波長の光を通過させ得るものであれば特に限定されない。たとえば、光束制御部材132の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。光束制御部材132の構成については、別途詳細に説明する。
【0031】
2つの反射調整部140は、底面111a上の、光束制御部材132から出射される光が到達する、底面111aの一部の領域に配置されている(図3AおよびB参照)。本実施の形態では、2つの反射調整部140は、光束制御部材132の2つの出射面が対向する方向(X軸方向)において、底面111a上の、光束制御部材132を挟んだ両側に配置されている。反射調整部140は、発光素子131の側面の上端部から出射される光に起因して光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射され、底面111aに到達する光のうち黄色味の強い光(長波長側の光)を適度に吸収する、すなわち、黄色味の強い光(長波長側の光)の反射率を適度に低くする。それにより、発光素子131の側面の上端部から出射された光に起因して光束制御部材132の出射面の上端部から出射され、底面111a上で反射される光の黄色味を低減することができる。
【0032】
なお、反射調整部140は、底面111a上において、光束制御部材132に対して、2つの出射面が対向する方向と直交する方向(Y軸方向)の一方または両方には配置されていない(図3AおよびB参照)。光束制御部材132からY軸方向に出射される光は、出射面173から出射される光と比べて底面111a上で反射されにくく、輝度に対する寄与も少ないからである。反射調整部140の構成については、別途詳細に説明する。
【0033】
光拡散板150は、筐体110の開口部を塞ぐように配置されている。光拡散板150は、光透過性および光拡散性を有する板状の部材であり、光束制御部材132の出射面173からの出射光を拡散させつつ透過させる。光拡散板150は、例えば面光源装置100の発光面となりうる。
【0034】
光拡散板150の材料は、光束制御部材132の出射面173からの出射光を拡散させつつ透過させ得るものであれば適宜選択できる。光拡散板150の材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂が含まれる。光拡散性を付与するため、光拡散板150は、その表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散板150の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0035】
本実施の形態に係る面光源装置100では、各発光素子131から出射された光は、光束制御部材132により光拡散板150の広範囲を照らすように、特に第1傾斜面112へ向かう光(発光素子131の光軸LAに対して略垂直方向に、かつ互いに略反対向きである2つの方向(図3AにおけるX軸方向)に向かう光)に変えられて出射される。出射された光の一部は、第1傾斜面112で反射されて、光拡散板150に到達する。出射された光の他の一部は、底面111a上で反射されて、光拡散板150に到達する。光拡散板150に到達したこれらの光は、光拡散板150によりさらに拡散されて、外部に出射される。それにより、面光源装置100の面全体に光を行き渡らせることができる。
【0036】
(光束制御部材132の構成)
図4A~Eは、光束制御部材132の構成を示す図である。図4Aは、光束制御部材132の平面図であり、図4Bは、正面図であり、図4Cは、底面図であり、図4Dは、側面図であり、図4Eは、図4Aに示されるA-A線の断面図である。なお、以下の説明では、基板120側(発光素子131側)を「裏側」、光拡散板150側を「表側」と称する。
【0037】
光束制御部材132は、発光素子131から出射された光の配光を制御する。図4A~Eに示されるように、光束制御部材132は、入射面171、2つの反射面172、2つの出射面173、2つの鍔部174および4つの脚部175を有する。
【0038】
入射面171は、発光素子131から出射された光を入射させる。入射面171は、光軸LAと交わるように、光束制御部材132の裏側(発光素子131側、裏面176)に配置されている。入射面171の形状は、上記の機能を発揮できれば、特に限定されない。入射面171の形状は、平面であってもよいし、裏面176に開口した凹部177の内面であってもよい。本実施の形態では、入射面171は、裏面176に開口した凹部177の内面である。
【0039】
凹部177の形状も、特に制限されない。本実施の形態では、凹部177は、内天面177a(第1入射面)と、それを挟んでX軸方向において対向した内側面177b(第2入射面)とを有する。内天面177a(第1入射面)および内側面177b(第2入射面)の数は、特に限定されず、それぞれ1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。本実施の形態では、内天面177aおよび内側面177bの数は、それぞれ2つである。
【0040】
内天面177a(第1入射面)および内側面177b(第2入射面)は、それぞれ平面であってもよいし、曲面であってもよい。本実施の形態では、内天面177aは、入射した光を反射面172に到達させやすくする観点などから、第1仮想断面において裏側に凸となるような曲面であり、内側面177bは、平面である。凹部177の内面(入射面171)は、他の面をさらに有していてもよい。
【0041】
2つの反射面172は、入射面171を挟んで発光素子131と対向する位置(表側)に配置されている。また、2つの反射面172は、少なくとも内天面177aで入射した光の少なくとも一部を、発光素子131の光軸LAと略垂直であり、かつ互いに略反対向きである2つの方向(いずれもX軸に沿う方向)に反射させる。2つの反射面172は、第1仮想断面において、光軸LAから離れるにつれ、X軸から離れるようにそれぞれ形成されている。具体的には、2つの反射面172は、発光素子131の光軸LAを含む断面(第1仮想断面)において、発光素子131の光軸LAから端部(出射面173)に向かうにつれて、接線の傾きが徐々に小さくなるように(X軸に沿うように)それぞれ形成されている。
【0042】
2つの出射面173は、2つの反射面172を挟んで(X軸方向に)対向して配置されている。2つの出射面173は、内天面177aで入射し、反射面172で反射した光と、内側面177bで入射し、直接到達した光とを、それぞれ外部に(筐体110の第1傾斜面112に向かって)出射させる。
【0043】
出射面173は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。本実施の形態では、出射面173は、第1仮想断面において、光軸LAと略平行な面(第2仮想断面と平行な平面)である。「光軸LAと略平行」とは、第1仮想断面において、光軸LAと出射面173とのなす角度のうち小さいほうの角度が3°以下であることを意味する。なお、出射面173が曲面である場合には、光軸LAと出射面173とのなす角度のうち小さいほうの角度は、第1仮想断面において、光軸LAと、出射面173の第1仮想断面における曲線の接線とのなす角度のうち小さいほうの角度を意味する。
【0044】
2つの鍔部174は、光軸LA近傍の2つの反射面172の間において、光軸LAに対してY軸方向に突出するように配置されている。鍔部174は、光束制御部材132の取り扱いおよび位置合わせを容易にさせる。なお、鍔部174の形状は、鍔部174に入射した光を制御して出射できるような形状にしてもよい。
【0045】
4つの脚部175は、裏面176から突出している略円柱状の部材である。脚部175は、発光素子131に対して適切な位置に光束制御部材132を支持する(図3B参照)。脚部175を、基板120に形成した穴部に嵌合させて位置決めに用いてもよい。また、脚部175は、光学的に悪影響が及ばないように考慮された上で、光束制御部材132を基板120に安定して固定できればよく、脚部175の位置、形状および数は、特に制限されない。本実施の形態では、脚部175は、裏面176において、入射面171の周囲に合計4つ配置されている。
【0046】
なお、面と面とが接するエッジ部分は、金型作製上、成形上、または光学特性上、製品に僅かなR形状が付与されていてもよい。特に、発光素子131の光軸LAと交わる線分で示される箇所は、光学特性上、完全なエッジ(R0)の場合、発光装置130の直上が暗くなるため、明るさを補うために、曲率半径Rが0.05~0.07mm程度のR形状を設けることが好ましい。
【0047】
(反射調整部140の構成)
図5AおよびBは、本実施の形態における反射調整部140の領域を示す説明図である。
【0048】
2つの反射調整部140は、前述の通り、底面111a上において、光束制御部材132の2つの出射面173が対向する方向(X軸方向)において、光束制御部材132を挟んで配置されている(図3AおよびB参照)。
【0049】
すなわち、発光素子131の側面の上端部から出射される黄色味の強い光は、光束制御部材132の入射面177(特に、内天面177a)で入射し、反射面172のうち発光素子131から離れた端部付近で反射された後、出射面173の上端部付近から出射されやすい(後述の図6AおよびB参照)。当該出射面173の上端部付近から出射される光のうち少なくとも一部は、底面111a上で反射されやすい。このとき、当該光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射される光は、発光素子131の側面の上端部から出射される光の黄色味を維持しており、黄色味が強いことから、底面111a上で反射される光も黄色味が強くなりやすい。本実施の形態では、反射調整部140が、底面111a上のうち、当該光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射される光が到達する領域に配置されている。それにより、発光素子131の側面の上端部から出射される光に起因して光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射される光は、反射調整部140で適度に吸収される。それにより、底面111a上で反射される光の黄色味を低減することができ、面光源装置100の発光面における色ムラを抑制することができる。
【0050】
具体的には、光束制御部材132の出射面173の上端部の、底面111aの表面からの高さをH、平面視したときの光束制御部材132の出射面173の下端部からの距離(具体的にはX軸方向の距離)をL、光束制御部材132の側面の上端部から出射される光の底面111aの法線に対する角度をθ(θ≦θ≦θ)としたとき、反射調整部140は、下記式(1)を満たす第1領域140aの全部に配置されている(図5A参照)。すなわち、反射調整部140は、第1領域140aを含む領域に配置されている。
×tan(180-θ)≦L≦H×tan(180-θ) 式(1)
【0051】
なお、本実施の形態のように、光束制御部材132が基板120上に配置されている場合、本発明における「(光束制御部材132の出射面173の上端部の)底板の表面からの高さH」は、「(光束制御部材132の出射面173の上端部の)基板120の表面からの高さ」を意味する。また、本発明における「(平面視したときの)光束制御部材132の出射面173の下端部からの距離L」は、「底面111aに沿った方向における、光束制御部材132の出射面173の下端部からの距離」を意味する。
【0052】
光束制御部材132の出射面173の上端部の基板120の表面からの高さHは、光束制御部材132の形状や大きさにもよるが、例えば2~15mmでありうる。光束制御部材132の出射面173の上端部から出射される光の底面111aの法線に対する角度θは、底面111aの法線に対する極角を示す(図5A参照)。具体的には、光束制御部材132の出射面173の上端部から、底面111aの法線方向に沿って光拡散板150へ向かう方向を0°としたときの、光束制御部材132の出射面173の上端部から出射される光の角度をいう。θは、100°であることが好ましく、θは、115°であることが好ましい。
【0053】
すなわち、式(1)を満たす第1領域140aは、光束制御部材132の出射面173の上端部から底面111aの法線に対してθ以上θ以下の角度(極角)で出射される光が、底面111aに到達する領域を示す。反射調整部140を、そのような領域に配置することで、発光素子131の側面の上端部から出射される光に起因して光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射される光のうち、底面111aに到達する黄色味が強い光を適度に吸収することができる。それにより、光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射され、底面111a上で反射される光の黄色味を低減することができるため、面光源装置100の発光面における色ムラを抑制することができる。
【0054】
また、反射調整部140は、光束制御部材132の出射面173の上端部から出射され、底面111a上に到達する光のうち黄色味の強い光を吸収しやすくする観点から、θ<θ<θ≦θ≦θ<θ<θとしたとき、反射調整部140は、前述の第1領域140aに加えて、下記式(7)で表される第2領域140bと下記式(8)で表される第3領域140cの少なくとも一方の全部にもさらに配置されていることが好ましい(図5B参照)。
×tan(180-θ)<L≦H×tan(180-θ) 式(7)
(式(7)において、θは98°である)
×tan(180-θ)≦L<H×tan(180-θ) 式(8)
(式(8)において、θは120°である)
【0055】
さらに、反射調整部140は、前述の第1領域140a、第2領域140bおよび第3領域140cに加えて、下記式(9)で表される第4領域140dと下記式(10)で表される第5領域140eの少なくとも一方の全部にもさらに配置されていることがより好ましい(図5B参照)。
×tan(180-θ)<L≦H×tan(180-θ) 式(9)
(式(9)において、θは95°である)
×tan(180-θ)≦L<H×tan(180-θ) 式(10)
(式(10)において、θは135°である)
【0056】
光束制御部材132の出射面173の上端部から出射され、底面111aに到達する光は、底面111aに到達する位置が光束制御部材132に近いものほど強い。そのため、光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射され、底面111aに到達する黄色味の強い光をより多く吸収させる観点では、反射調整部140は、第1領域140a、および(それよりも光束制御部材132に近い)第3領域140cを含む領域に配置されていることが好ましく、第1領域140aおよび第3領域140cに加えて、(それよりもさらに光束制御部材132に近い)第5領域140eをさらに含む領域に配置されていることがより好ましい。
【0057】
ただし、反射調整部140の配置領域が広すぎると、輝度の低下が生じる虞があることから、反射調整部140は、底面111aの範囲内とし、かつ、底面111aと2つの傾斜面112、113との境界線近傍では白色となるように、光の反射率が滑らかに変化していることが好ましい。
【0058】
反射調整部140は、波長450nmの光の反射率をR1450、波長550nmの光の反射率をR1550、波長630nmの光の反射率をR1630としたとき、下記式(2)を満たす。
R1450>R1550、R1630≧60% 式(2)
【0059】
式(2)に示されるように、長波長側(例えば黄色域)の反射率を、短波長側の反射率(例えば青色域)よりも低くする。それにより、発光素子131の側面から出射された光に起因して、光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射され、底面111aに到達する光のうち黄色味の強い光を、反射調整部140で多く吸収させることができる。それにより、当該光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射され、底面111a上で反射される光の黄色味を低減することができる。また、これらの反射率を60%以上とすることで、輝度の低下を抑制できる。
【0060】
反射調整部140の反射率R1450、R1550およびR1630は、輝度の低下を一層抑制しやすくする観点では、低すぎないことが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0061】
反射調整部140の反射率R1550とR1450との差(ΔR=R1450-R1550)を適度に大きくすることで、反射調整部140は、光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射され、底面111aに到達する光のうち黄色味の強い光を特に吸収することができる。一方で、ΔRが大きすぎると、反射調整部140は、光束制御部材132の出射面173の上端部付近から出射され、底面111aに到達する光のうち青味の強い光を十分には吸収できず、青味がかった反射光を生じることがある。
【0062】
また、底面111aの、波長550nmの光の反射率をR2550、波長630nmの光の反射率をR2630としたとき、反射調整部140(または底板111)は、下記式(3)および(4)を満たす。
R2550>R1550 式(3)
R2630>R1630 式(4)
【0063】
式(3)および(4)に示されるように、反射調整部140の長波長側(黄色域)の反射率R1550、R1630は、底面111aの長波長側(黄色域)の反射率R2550、R2630よりも低い。つまり、反射調整部140が配置されていない底面111aでは、光束制御部材132の出射面173から出射される光の反射率が維持されるため、輝度の低下を抑制できる。
【0064】
反射調整部140や底面111aの反射率は、JIS 8722 (2009)に準拠して測定することができる。具体的には、分光測定器を用いて、入射角45°で、波長450nm、550nmまたは630nmにおける光の反射率を測定する。測定は、波長400~700nmの範囲で行う。
【0065】
反射調整部140の反射率やL値、a値およびb値は、反射調整部140の明度や色度などによって調整することができる。前述の式(2)~(4)やL値、a値およびb値の範囲を満たしやすくする観点では、反射調整部140は、薄い青色、青みを帯びた灰色、または灰色の着色層であることが好ましい。
【0066】
反射調整部140は、底面111aの表面に配置された着色層(好ましくは薄い青色、青みを帯びた灰色、灰色の層)であってもよい。着色層は、塗布または転写などにより形成されてもよい。着色層の厚みは、着色層の段差によって、面光源装置100に影が生じるのを抑制する観点から、100μm以下であることが好ましい。
【0067】
(作用)
本実施の形態に係る面光源装置100の作用について、比較用の面光源装置と対比しながら説明する。図6Aは、比較用の面光源装置10の作用を説明する図であり、図6Bは、本実施の形態に係る面光源装置100の作用を説明する図である。比較用の面光源装置10は、底面111a上に反射調整部140を有しない以外は、本実施の形態に係る面光源装置100と同様に構成されている。また、同図では、発光素子131の側面の上端部から出射される光(黄色味の強い光)の光路の一例を示す。
【0068】
すなわち、比較用の面光源装置10および本実施の形態に係る面光源装置100では、発光素子131から出射される光は、入射面171で入射する。入射面171で入射した光の一部(例えば内天面177aで入射した光)は、2つの反射面172で反射されて、発光素子131の光軸LAと略垂直であり、かつ互いに略反対向きである2つの方向(第1傾斜面112に向かう方向)に進み、2つの出射面173に到達する。一方、入射面171で入射した光の他の一部(例えば内側面177bで入射した光)は、直接、2つの出射面173に到達する。そして、2つの出射面173に到達したこれらの光は、2つの出射面173から2つの第1傾斜面112に向かってそれぞれ出射される。
【0069】
ここで、発光素子131から出射される光には、発光素子131の上面から出射される光だけでなく、発光素子131の側面の上端部から出射される光も含まれる。発光素子131の側面の上端部から出射される光は、発光素子131の上面から出射される光よりも黄色味が強い。このような、発光素子131の側面の上端部から出射される光は、光束制御部材132の入射面177(特に内天面177a)で入射し、発光素子131から離れた反射面172の端部付近で反射され、出射面173の上端部付近から出射される(図6AおよびB参照)。
【0070】
比較用の面光源装置10は、底面111a上に反射調整部140を有しない(図6A参照)。したがって、発光素子131の側面の上端部から出射される光に起因して、光束制御部材132の出射面173の上端部から出射される光のうち底面111a上に到達する光は、底面111a上でほとんど吸収されることなく反射される(図6Aの点線矢印参照)。そのため、底面111aで反射された光は、発光素子131の側面の上端部から出射される光に起因する黄色味をそのまま維持するため、黄色味が強く、面光源装置10の発光面における色ムラを生じやすい。
【0071】
これに対して本実施の形態に係る面光源装置100は、光束制御部材132の周囲の所定の領域に、底面111a上に2つの反射調整部140を有する(図6B参照)。それにより、発光素子131の側面の上端部から出射され、反射調整部140に到達する光のうち黄色味の強い光は、当該反射調整部140上で適度に吸収される(図6Bの点線矢印参照)。そのため、反射調整部140上で反射された光は、発光素子131の側面の上端部から出射される光に起因する黄色味が低減され、黄色味が少ないため、面光源装置100の発光面における色ムラを抑制することができる。
【0072】
(変形例)
なお、本実施の形態では、反射調整部140の平面視形状が、矩形状である例を示したが、これに限定されず、ストライプ状、格子状、ドット状、またはヘリンボーン状に配置されてもよい。その場合、反射調整部140は、反射調整機能を有する複数の部分と、それらの間に形成される隙間とで構成される。すなわち、当該隙間を含めて、反射調整部140とする。
【0073】
また、本実施の形態では、反射調整部140が、底面111a上に配置される例を示したが、式(1)を満たす領域に基板120が配置される場合は、基板120上に配置されてもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、筐体110の底面111a、第1傾斜面112および第2傾斜面113がいずれも反射面として機能する例を示したが、これに限定されず、底面111a、第1傾斜面112および第2傾斜面113の表面に、それぞれ反射シートを配置し、その表面を反射面として機能させてもよい。その場合、「本発明における底板の表面の反射率R2550、R2630」は、「反射シートの表面の反射率R2550、R2630」を意味する。
【0075】
また、本実施の形態では、反射調整部140を図3に示されるように配置する例を示したが、これに限定されない。
【0076】
図7は、変形例に係る面光源装置100の構成を示す図である。図7に示されるように、反射調整部140は、光束制御部材132の配列に沿う方向において、光束制御部材132のピッチとは無関係に反射率が変化するように設けられてもよい。それにより、光束制御部材132の配列に平行なすじ状の色ムラを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る光束制御部材を有する面光源装置は、例えば、液晶表示装置のバックライトや看板、一般照明などに適用できる。
【符号の説明】
【0078】
100 面光源装置
100’ 表示装置
110 筐体
111 底板
111a 底面
112 第1傾斜面
113 第2傾斜面
120 基板
130 発光装置
131 発光素子
132 光束制御部材
140 反射調整部
150 光拡散板
160 表示部材
171 入射面
172 反射面
173 出射面
174 鍔部
175 脚部
176 裏面
177 凹部
177a 内天面
177b 内側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7