IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社キーエンスの特許一覧

<>
  • 特許-光学式情報読取装置 図1
  • 特許-光学式情報読取装置 図2
  • 特許-光学式情報読取装置 図3
  • 特許-光学式情報読取装置 図4
  • 特許-光学式情報読取装置 図5
  • 特許-光学式情報読取装置 図6
  • 特許-光学式情報読取装置 図7
  • 特許-光学式情報読取装置 図8
  • 特許-光学式情報読取装置 図9
  • 特許-光学式情報読取装置 図10
  • 特許-光学式情報読取装置 図11
  • 特許-光学式情報読取装置 図12
  • 特許-光学式情報読取装置 図13
  • 特許-光学式情報読取装置 図14
  • 特許-光学式情報読取装置 図15
  • 特許-光学式情報読取装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】光学式情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
G06K7/10 436
G06K7/10 416
G06K7/10 404
G06K7/10 376
G06K7/10 476
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019077440
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020177309
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】田近 太一
(72)【発明者】
【氏名】伊▲崎▼ 知己
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-102403(JP,A)
【文献】特開平05-233863(JP,A)
【文献】特開平11-312210(JP,A)
【文献】特開2009-151446(JP,A)
【文献】特開2004-252600(JP,A)
【文献】特開2016-212861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0126245(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象となるシンボルを撮像して該シンボルを読み取るための光学式情報読取装置であって、
一方向に延長された矩形状に形成され、該一方向に沿った端部として前記シンボルに対向して撮像を行う側の第一端部及び該第一端部の反対側の第二端部を有する筐体部と、
前記筐体部の上面に設けられ、情報を表示させる表示面を有する表示モジュールと、
前記筐体部の第二端部から、前記表示モジュールの表示面から離れる方向に延伸する把持部と、
前記筐体部の下面側に配置され、前記表示面と略平行な撮像光軸を有し、シンボルを撮像する撮像体と、
前記筐体部の下面側において、前記把持部と離間し、かつ前記筐体部の下面から突出して設けられ、前記撮像体を収納する収納部と
前記把持部に設けられ、前記撮像体に撮像処理の開始を指示するトリガスイッチと、
を備え、
前記撮像体は、
光学系を有する結像モジュールと、
前記結像モジュールを介してシンボルからの反射光を受光する撮像素子と
を備え、
前記収納部は、前記撮像素子の前記撮像光軸が通過するよう開放させた撮像開口窓を形成しており、
前記撮像開口窓は、前記筐体部の第一端部から前記第二端部側にオフセットされており、
前記トリガスイッチは、前記把持部のうち、前記収納部と前記把持部の間で前記収納部と対向する部分に配置されてなる光学式情報読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式情報読取装置であって、
前記撮像開口窓が、前記表示モジュールの前記表示面と直交する方向において、該表示面とオーバラップする位置に設けられてなる光学式情報読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記筐体部の第二端部側であって、前記表示面から傾斜された傾斜面に設けられた、前記表示面における表示内容を操作する操作キーを備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項4】
請求項1~3いずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記把持部は、前記筐体部の第二端部側から、前記筐体部の長手方向に、該筐体部から離れる方向に傾斜されて延長されなる光学式情報読取装置。
【請求項5】
請求項1~4いずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
記トリガスイッチと前記収納部との間には、曲面状の凹部が形成されてなる光学式情報読取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光学式情報読取装置であって、
前記トリガスイッチの操作方向は前記表示モジュールの表示面と平行であって、前記筐体部の第一端部側から第二端部側に向かう方向であり、
前記収納部の撮像開口窓は、前記筐体部の第一端部から前記トリガスイッチの操作方向にオフセットして設けられる光学式情報読取装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記撮像体はさらに、
第一視野角を有する第一結像モジュールと、前記第一結像モジュールを介してシンボルからの反射光を受光する第一撮像素子とを含み、
前記第一視野角よりも狭い第二視野角を有する第二結像モジュールと、前記第二結像モジュールを介してシンボルからの反射光を受光する第二撮像素子とを含み、
前記第二結像モジュールは、前記収納部の内部において、前記表示モジュールの表示面と直交する方向において、前記第一結像モジュールよりも前記表示モジュールに近い側に配置される光学式情報読取装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光学式情報読取装置であって、
前記第一結像モジュールは、第一焦点距離を有し、
前記第二結像モジュールは、前記第一焦点距離よりも長い第二焦点距離を有する光学式情報読取装置。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記撮像体は、さらに、
前記シンボルに照明光を照射する照明モジュールと、
前記撮像素子の撮像領域を指示するためのエイミング光を照射するエイミングモジュールとを備え、
前記収納部の内部において、前記撮像素子は、前記照明モジュールと前記エイミングモジュールとの間の領域に配置されてなる光学式情報読取装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記撮像体により撮像されたシンボルの画像データに基づいて、該シンボルの情報を読み取る読取部を備えてなる光学式情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
読取対象となるシンボル(QRコード等)からの光を受光し、イメージセンサによりシンボルの画像データを取得し、その画像データを解析することでシンボルに応じた情報を読み取る、手持ち式(ハンディタイプ)の光学的情報読取装置が知られている。また、手持ち式の光学的情報読取装置で、印刷媒体とシンボルから反射された光を入射する読取口との距離が焦点位置、つまり読取り位置にきた場合には、自動的にシンボルの画像データを復元解読するデコード処理を行なう技術も知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-312210公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、光学式情報読限装置の操作性について配慮されていない。例えば、ガンタイプのコードスキャナは、一般にその先端部分にイメージセンサの読取面が設けられている。そのため、近距離にあるシンボルを読み取る場合には、読取面をシンボルから十分離さなければならない。なぜなら、読取面とシンボルとの間が近づきすぎると、焦点が合わなくなり読み取りにくくなるためである。したがって、シンボルからある程度の焦点距離を確保するべく、使用者自身が後方に下がってシンボルから離れる、使用者が腕を引く、曲げる等して読取面をシンボルから離す操作を使用者に強いる必要があり、使い勝手や操作性の点で好ましくなかった。
【0005】
本発明の目的の一は、操作性を改善した光学式情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明の第1の側面に係る光学式情報読取装置によれば、読取対象となるシンボルを撮像して該シンボルを読み取るための光学式情報読取装置であって、一方向に延長された矩形状に形成され、該一方向に沿った端部として前記シンボルに対向して撮像を行う側の第一端部及び該第一端部の反対側の第二端部を有する筐体部と、前記筐体部の上面に設けられ、情報を表示させる表示面を有する表示モジュールと、前記筐体部の第二端部から、前記表示モジュールの表示面から離れる方向に延伸する把持部と、前記筐体部の下面側に配置され、前記表示面と略平行な撮像光軸を有し、シンボルを撮像する撮像体と、前記筐体部の下面側において、前記把持部と離間し、かつ前記筐体部の下面から突出して設けられ、前記撮像体を収納する収納部と 前記把持部に設けられ、前記撮像体に撮像処理の開始を指示するトリガスイッチとを備え、また、前記撮像体は、光学系を有する結像モジュールと、前記結像モジュールを介してシンボルからの反射光を受光する撮像素子とを備え、前記収納部は、前記撮像素子の前記撮像光軸が通過するよう開放させた撮像開口窓を形成しており、前記撮像開口窓は、前記筐体部の第一端部から前記第二端部側にオフセットされており、前記トリガスイッチを、前記把持部のうち、前記収納部と前記把持部の間で前記収納部と対向する部分に配置することができる。上記構成により、撮像開口窓が筐体部の端部より手前側にあるため、筐体部の端部をシンボルに近づけても、シンボルとの焦点距離を確保できる。この結果、従来であれば使用者が撮像開口窓とシンボルとの距離を稼ぐために腕を引く等の操作を強いられる等の制約を少なくして、作業効率を向上させることができる。また、撮像開口窓を筐体部の端部から第二端部側にオフセットして配置することで、撮像体等の部材を先端に設ける構成と比べ、重量バランスの偏りを低減して取り回しがよくなる。さらに、撮像開口窓が筐体部端部より手前側としたことで、撮像開口窓が飛び出した構成と比べて、これを保護する効果も得られる。
【0007】
また、第2の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記構成に加えて、前記撮像開口窓を、前記表示モジュールの前記表示面と直交する方向において、該表示面とオーバラップする位置に設けることができる。このように、撮像開口窓を筐体部の第一端部から第二端部側であって、表示モジュールの表示面とオーバラップする程度にオフセットして設けることにより、シンボルと撮像開口窓との間の距離を確実に確保することができる。
【0008】
さらに、第3の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、さらに、前記筐体部の第二端部側であって、前記表示面から傾斜された傾斜面に設けられた、前記表示面における表示内容を操作する操作キーを備えることができる。
【0009】
さらにまた、第4の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記把持部は、前記筐体部の第二端部側から、前記筐体部の長手方向に、該筐体部から離れる方向に傾斜されて延長させることができる。上記構成により、把持部を斜めに傾斜させることで、使用者が手で把持し易くなる。また、操作キーも第二端部側に設けられているため、使用者は片手で把持部を握って、握った手の親指で操作キーを操作できる。その結果、片手で全ての操作ができ、作業効率を向上することができる。また、重量バランスも手の側にあるため、操作が容易となる。
【0010】
さらにまた、第5の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、記トリガスイッチと前記収納部との間には、曲面状の凹部を形成させることができる。上記構成により、トリガスイッチと収納部との間に曲面状の凹部が形成されるため、使用者がトリガスイッチに人差し指などの指をかけた際、折曲させた指に自然に沿うようになり、使用者は無理なく指の上面の広い面積でもって光学式情報読取装置を支えることができる。また、人差し指を利用してトリガスイッチを操作するスペースを確保することも可能となり、操作性の向上が図られる。また、トリガスイッチ付近に収納部を配置することにより、重心が把持部寄りになり、安定して把持部を保持することができる。
【0011】
さらにまた、第6の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記トリガスイッチの操作方向は前記表示モジュールの表示面と平行であって、前記筐体部の第一端部側から第二端部側に向かう方向であり、前記収納部の撮像開口窓は、前記筐体部の第一端部から前記トリガスイッチの操作方向にオフセットして設けることができる。上記構成により、撮像開口窓とシンボルとの間にある程度の距離を確保することができ、シンボルとの焦点距離を確保できる。
【0012】
さらにまた、第7の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記撮像体はさらに、第一視野角を有する第一結像モジュールと、前記第一結像モジュールを介してシンボルからの反射光を受光する第一撮像素子とを含み、前記第一視野角よりも狭い第二視野角を有する第二結像モジュールと、前記第二結像モジュールを介してシンボルからの反射光を受光する第二撮像素子とを含み、前記第二結像モジュールは、前記収納部の内部において、前記表示モジュールの表示面と直交する方向において、前記第一結像モジュールよりも前記表示モジュールに近い側に配置される。上記構成により、第一結像モジュールよりも狭視野を有する第二結像モジュールを第一結像モジュールより表示モジュールに近い側に配置したことで、第二結像モジュールの視野の上側が筐体部下面の第一端部側と干渉するおそれを低減できる。一方、第一結像モジュールは表示モジュールからある程度離れるため、筐体部下面の第一端部側と干渉するおそれをさらに低減できる。これにより、撮像体の読取視野を十分に確保することができる。
【0013】
さらにまた、第8の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記第一結像モジュールは、第一焦点距離を有し、前記第二結像モジュールは、前記第一焦点距離よりも長い第二焦点距離を有することができる。
【0014】
さらにまた、第9の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記撮像体は、さらに、前記シンボルに照明光を照射する照明モジュールと、前記撮像素子の撮像領域を指示するためのエイミング光を照射するエイミングモジュールとを備え、前記収納部の内部において、前記撮像素子を、前記照明モジュールと前記エイミングモジュールとの間の領域に配置することができる。
【0015】
さらにまた、第10の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、さらに、前記撮像体により撮像されたシンボルの画像データに基づいて、該シンボルの情報を読み取る読取部を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る光学式情報読取装置を後方斜め上方から見た斜視図である。
図2図1の光学式情報読取装置を前方斜め下方から見た斜視図である。
図3図1の光学式情報読取装置を後方斜め下方から見た斜視図である。
図4図1の光学式情報読取装置の右側面図である。
図5図1の光学式情報読取装置の左側面図である。
図6図1の光学式情報読取装置の底面図である。
図7図1の光学式情報読取装置の右側面から見た部分断面模式図である。
図8図1の光学式情報読取装置の収納部の正面図である。
図9】二次電池を外した状態を示す光学式情報読取装置の分解斜視図である。
図10図1の光学式情報読取装置の機能ブロック図である。
図11】同じシンボルを異なる撮像距離の撮像素子で撮像する様子を示す模式図である。
図12】複数の固定焦点式の結像部の合焦範囲を示す模式図である。
図13図1の光学式情報読取装置の撮像体の変形例を示す斜視図である。
図14図13の撮像体の分解斜視図である。
図15図13の撮像体の正面図である。
図16】実施形態2に係る光学式情報読取装置の収納部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するため光学式情報読取装置を例示するものであって、本発明は光学式情報読取装置を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[実施形態1]
【0018】
光学式情報読取装置は、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取ってデータの登録、照合を行う部材であり、ハンディスキャナ、ハンディターミナル、業務用PDA等とも呼ばれる。本発明の実施形態に係る光学式情報読取装置を図1図10に示す。これらの図において、図1は本発明の実施形態に係る光学式情報読取装置を後方斜め上方から見た斜視図、図2図1の光学式情報読取装置を前方斜め下方から見た斜視図、図3図1の光学式情報読取装置を後方斜め下方から見た斜視図、図4図1の光学式情報読取装置の右側面図、図5図1の光学式情報読取装置の左側面図、図6図1の光学式情報読取装置の底面図、図7図1の光学式情報読取装置の右側面から見た部分断面模式図、図8図1の光学式情報読取装置の収納部の正面図、図9は二次電池を外した状態を示す光学式情報読取装置の分解斜視図、図10は、図1の光学式情報読取装置の機能ブロック図を、それぞれ示している。
【0019】
これらの図に示す光学式情報読取装置100は、表示モジュール11を上面に設けた筐体部10と、この筐体部10の後端から斜めに延出された把持部20とを備える。把持部20は、トリガスイッチ30を備えている。使用者は把持部20を握って、トリガスイッチ30を指で操作することにより、シンボルの読み取り等の処理を実行させる。図5は、使用者が右手で把持部20を握り、トリガスイッチ30に人差し指をかけた状態を示している。この状態で、使用者はシンボルSBに向かう姿勢に光学式情報読取装置100を構えて、トリガスイッチ30を引いて読み取りを行う。また光学式情報読取装置100は、使用者に読取可能な範囲を指示するために、レーザやLED等で撮像体の撮像位置を指示するエイミング光を照射させることができる。このため光学式情報読取装置100は、後述する図8に示すエイミング光を照射するエイミングモジュール60を備えている。さらに光学式情報読取装置100は、撮像体50Aにより撮像されたシンボルの画像データに基づいて、該シンボルの情報を読み取る後述する図10に示す読取部81を備える。
(筐体部10)
【0020】
筐体部10は、図1等に示すように、上面を平坦面とし、表示モジュール11を設けている。表示モジュール11は、一方向に延長された矩形状の表示面12を有する。表示面12は、読み取った情報や設定情報等を表示させるための面である。ここでは表示面12は、液晶や有機EL等のディスプレイで構成される表示モジュール11の表示を行う面である。この表示面12は、タッチパネルとすることができる。また表示モジュール11を含む筐体部10は、この表示面12の長手方向に沿った端部として、シンボルSBと対向して撮像を行う第一端部18と、この第一端部18の反対側の第二端部19を有する。第一端部18は筐体部10の先端側、すなわちシンボルSBの読み取りを行う面側であり、第二端部19は筐体部10の後端側に位置される。
【0021】
また第二端部19は、表示面12から把持部20側に向かって傾斜させた傾斜面13を設けている。この傾斜面13には、使用者が指で操作するための各種の操作キー40を配置している。使用者は操作キー40を操作することで、表示面12における表示内容に対して種々の操作を実行したり、照明光やエイミング光の照射、読み取り、画像の撮像などの各種の処理を行う。この筐体部10は、外部からの衝撃に耐えうる程度の強度を有する材質、例えば樹脂製とすることが好ましい。これにより、光学式情報読取装置を軽量化できる。またアルミニウム等の金属製としてもよい。
【0022】
ここで照明光は、読取対象となる二次元コード等のシンボルを照明するための光であり、後述する図8に示す照明モジュール70から照射される。またエイミング光は、光学式情報読取装置100の読み取り位置を示す光であり、エイミングモジュール60から照射される。エイミング光は、半導体レーザなどで示される点や十字、線などのパターンとすることで、このようなエイミング光のパターンに基づいて読み取り領域を使用者に示すことができる。好ましくは、エイミング光のパターンに水平線を含めることで、使用者にバーコードスキャンを行う走査の線をイメージさせて、その目的を視覚的に把握させやすくなる。また、水平線の中央に縦線を交差させた十字状とすることで、中心の位置を把握しやすくなる。十字状のパターンとしたエイミング光は、例えば横線を長く、縦線を短くした横長の十字状として、横長のバーコードをイメージさせやすくなる。
(操作キー40)
【0023】
図1等の例では、操作キー40として傾斜面13の中心に十字キー41を、その右側にエンターキー42、左側に第一ファンクションキー43を設けている。十字キー41は、表示面12における方向性を示す操作を行うためのキースイッチである。またエンターキー42は、表示モジュール11の表示面12における表示内容に関連する決定操作を行うためのキースイッチである。このように傾斜面13に操作キー40を配置することで、光学式情報読取装置100の上面側からでも、背面側からでも、操作キー40を視認でき、操作が可能となる。加えて、把持部20を持った手の親指で、傾斜面13に設けた操作キー40を操作できるようになり、片手で光学式情報読取装置100を把持しながら操作キー40を操作可能とできる。
【0024】
さらに筐体部10の側面にも、各種のキーを設けている。この例では図1図5に示すように、使用者が把持した状態で使用者側から見て筐体部10の左側側面に電源キー44と、第二ファンクションキー45を、また図2図4に示すように筐体部10の右側側面に+キー46と-キー47を、それぞれ設けている。これらの+キー46や-キー47は、ボリューム等の数値の増減に使用したり、他のキーと組み合わせて特定の機能を実行するショートカットキーとして利用できる。
【0025】
なお、図1等で示す光学式情報読取装置100では、物理的なテンキーを備えていない。テンキーは、ソフトウェアキーボードを表示面12に表示させて実現している。これにより、表示面12に物理テンキーを配置するスペースを省いて、その分で表示面12のディスプレイに広い面積を確保できる。
(撮像体50A)
【0026】
撮像体50Aは、筐体部10の下面側に配置される。この撮像体50Aは、表示面12と平行状とした撮像光軸でもってシンボルを撮像する。このため撮像体50Aは、レンズ等の光学系を含む結像モジュールと、結像モジュールを介してシンボルSBからの反射光を受光する撮像素子とを含む撮像ユニットを備える。結像モジュールは、それぞれ異なる焦点距離の、固定焦点式とすることができる。
【0027】
撮像体50Aは、少なくとも第一撮像ユニット50aと、第二撮像ユニット50bを備える。本実施形態においては、図7に示すように、第一撮像ユニット50aと、第二撮像ユニット50bを、筐体部10の下面から突出した収納部14内に、表示モジュール11の表示面12と直交する方向に配置している。第一撮像ユニット50aは、第一焦点距離と第一視野角とを有する第一結像モジュール51aと、第一結像モジュール51aを介してシンボルからの反射光を受光する第一撮像素子52aとを含む。一方、第二撮像ユニット50bは、第一焦点距離よりも長い第二焦点距離を有し、また、第一視野角よりも狭い第二視野角を有する第二結像モジュール51bと、第二結像モジュール51bを介してシンボルからの反射光を受光する第二撮像素子52bとを含む。さらに第一撮像ユニット50aと第二撮像ユニット50bは、収納部14において高低差を設けて配置してもよい。この際、第二撮像ユニット50bは、第一撮像ユニット50aよりも表示モジュール11に近い側に配置することが好ましい。図7に示すように、第一結像モジュール51aより狭視野の第二結像モジュール51bを有する第二撮像ユニット50bを、第一結像モジュール51aを有する第一撮像ユニット50aより表示モジュール11に近い側に配置することにより、第二撮像ユニット50bの視野の上側が筐体部10の下面の第一端部18側と干渉するおそれを低減する。また、第一撮像ユニット50aは、表示モジュール11からある程度離れるため、筐体部10の下面の第一端部18側と干渉するおそれをさらに低減することができる。これにより、撮像体50Aの読取視野を十分に確保することができる。仮に広視野を有する第一撮像ユニット50aを第二撮像ユニット50bよりも表示モジュール11の近くに配置すると、視野の上側が筐体部10の下面の第一端部18側と干渉してしまい、読取視野を十分に確保できないおそれがある。これに対して、上述の通り狭視野を有する第二撮像ユニット50bを、第一撮像ユニット50aよりも表示モジュール11に近い側に配置することにより、このようなおそれを回避して、視野が遮られる事態を抑制できる。
(収納部14)
【0028】
上述の通り、筐体部10の下面からは、筐体部10の第一端部18から奥まった位置にオフセットさせて収納部14を部分的に突出させている。収納部14は、平面視において、概ね矩形状で、筐体部10の第一端部18側の端部に、撮像素子の撮像光軸が通過するよう開放させた撮像開口窓15を備える。収納部14は、図8に示すようにエイミングモジュール60と、照明モジュール70を含む撮像体50Aを収納している。本実施形態においては、収納部14の中央部分に、第一撮像ユニット50a、第一撮像ユニット50aの上側に第二撮像ユニット50bを縦一列に配置している。そして、第一撮像ユニット50a及び第二撮像ユニット50bの左側にエイミングモジュール60を、右側に照明モジュール70を配置している。このように第一撮像ユニット50a及び第二撮像ユニット50bをエイミングモジュール60及び照明モジュール70と重複しない位置に配置している。これにより、撮像体50Aをよりコンパクトにすることができる。ただ、このような配置は一例であって、第一撮像ユニット50a及び第二撮像ユニット50bの右側にエイミングモジュール60を、左側に照明モジュール70を配置できることはいうまでもない。また、第一撮像ユニット50a及び第二撮像ユニット50bの片側にエイミングモジュール60と照明モジュール70を共に配置してもよい。
【0029】
また撮像開口窓15は、筐体部10の第一端部18から第二端部19側にオフセットされて配置される。図4図6に示す例では、撮像開口窓15が第一端部18からオフセット距離Dだけ第二端部19側にオフセットされている。このように、撮像開口窓15を筐体部10の第一端部18より手前側に位置させて、筐体部10の第一端部18側が収納部14よりもシンボルSB側に対して突出するような形状としている。
【0030】
ここで、撮像開口窓とシンボルとの間が近づきすぎると、焦点が合わなくなり、視野も狭くなってシンボルを読み取りにくくなる。仮に、撮像開口窓を筐体部の第一端部と同一平面上に設けた場合、シンボルを読み取れるように、使用者自身が後方に下がって光学式情報読取装置をシンボルから離したり、使用者が腕を引いたり曲げたりして、撮像開口窓をシンボルから離す等して距離を稼ぐ必要があり、使用者に所与の動作や姿勢を強いることとなる。これに対して、本実施形態においては、撮像開口窓15を第一端部18からオフセット距離Dだけ離したことで、筐体部10の端部をシンボルに近づけても、オフセット距離Dの分だけ結像モジュールとシンボルSBとを離間させることができ、シンボルSBを読み取りし易くできる。このように、撮像開口窓15とシンボルSBとの距離を稼ぐような操作や配慮を使用者に強いることを不要として、光学式情報読取装置100の操作時の制約が少ない、使い勝手のよい環境を実現できる。
【0031】
また、撮像開口窓15を筐体部10の第一端部18から第二端部19側にオフセットして配置すると、撮像体50A等の部材を先端に設ける構成と比べ、重量バランスの偏りを低減して取り回しがよくなる。さらに、撮像開口窓15を筐体部10の第一端部18より手前側としたことで、撮像開口窓が飛び出した構成と比べて、これを保護する効果も得られる。この撮像開口窓15は、表示モジュール11の表示面12と直交する方向において、表示面12とオーバラップする位置に設けることが好ましい。オフセット距離Dは、例えば、筐体部10の長辺を18cm程度とした場合5cm程度の長さとすることができる。または、撮像開口窓15を第一端部18から、長辺の1/5以上奥まって配置した際の、撮像開口窓15と第一端部18間の長さとすることができる。
【0032】
また収納部14は、読取部81を含んでいる。読取部81は、撮像体50Aにより撮像されたシンボルの画像データに基づいて、このシンボルの情報を読み取る。なお本実施形態において、読取部81を収納部14内に配置しているが、読取部は別部材として、筺体部10のうち収納部14外(例えば、表示モジュール11に略平行に配置された回路基板など)に設けてもよいし、筐体部10の外部に設けてもよい。
[変形例]
(撮像体50B)
【0033】
上述の通り撮像体50Aは、表示モジュール11の表示面12と反対の面側に配置される。この撮像体50Aは、表示面12と平行状とした撮像光軸でもってシンボルを撮像する。ただ、本発明の撮像体は上述の態様に限定されるものではない。例えば、図13図15に示す変形例に係る撮像体50Bは、撮像モジュール50を備えてもよい。撮像モジュール50は、シンボルを撮像する撮像素子53と、撮像素子53上に結像させるための結像部を含む。撮像素子53は、CMOSやCCD等の半導体受光素子で構成される。結像部は、撮像素子53と光学的に結合された一又は複数の結像モジュールで構成できる。結像モジュールには、一又は複数の結像レンズ54等の光学系が利用できる。
【0034】
結像部は、複数設けてもよい。結像部を複数の結像モジュールで構成する場合、図11に示すように、光学式情報読取装置100は、複数の結像モジュールで同じシンボルSBからの反射光をそれぞれ受光し、異なる焦点距離でそれぞれ結像する。そして各結像モジュールに対応して設けられた撮像素子53で、結像モジュールにより結像された反射光を電気信号に変換して画像データを生成する。図11の例では、結像モジュールとして、焦点距離の異なる第一結像モジュール~第四結像モジュールを、撮像素子53として第一撮像素子53A、第二撮像素子53B、第三撮像素子53C、第四撮像素子53Dをそれぞれ設けて、画像データID1~ID4を撮像した例を示している。これら第一結像モジュール~第四結像モジュールは、それぞれ結像レンズで構成し、第一結像レンズ54A~第四結像レンズ54Dとできる。
【0035】
複数の結像部は、それぞれ異なる焦点距離を有する固定焦点式とすることができる。これによって、オートフォーカスのための結像部の移動機構などを省略でき、構成を簡素化できる。この場合において各結像部の合焦範囲(焦点深度)は、図12に示すように、互いに異なる範囲に割り当てつつ、範囲が隣接する結像部については、一部の範囲がオーバーラップするように設定することが好ましい。これにより、複数の結像部を組み合わせることで、オートフォーカスを用いずとも連続的な広い合焦範囲を確保できる。
【0036】
このような複数の結像部を備える撮像モジュール50においては、撮像素子53を結像部毎にそれぞれ1:1で設けてもよいし、一の撮像素子53で領域を分割して、各領域に結像部を個別に割り当ててもよい。
【0037】
また撮像体50Bに、シンボルの撮像時にシンボルに対して照明光を照射する照明モジュール70を含めてもよい。例えばバーコードを用いる場合だけでなく、シンボルとしてQRコード(商品名)などの二次元コードを用いる場合も、照明光を照射することが好ましい。
【0038】
撮像体50Bの一例を、図13図15に示す。これらの図において、図13は撮像体50Bの斜視図、図14図13の撮像体50Bの分解斜視図、図15は撮像体50Bの正面図を、それぞれ示している。これらの図に示す撮像体50Bは、シンボルの撮像を行う撮像モジュール50と、撮像前にエイミング光を照射するエイミングモジュール60と、照明光を照射する照明モジュール70を含む。撮像体50Bは、図14に示すように基板56と、レンズホルダ57と、レンズカバー58で構成される。基板56上には、撮像素子53が実装されている。レンズホルダ57には、結像部やエイミングモジュール60、照明モジュール70が保持されている。またレンズホルダ57に結像部をセットした状態で、レンズカバー58を被せてこれらを固定する。レンズカバー58やレンズホルダ57は、螺合により固定されている。
【0039】
撮像モジュール50は、結像部を複数設けることができる。この例では4つの結像部として、第一焦点距離を有する第一結像レンズ54A、第一焦点距離よりも長い第二焦点距離を有する第二結像レンズ54B、第二焦点距離よりも長い第三焦点距離を有する第三結像レンズ54C、第三焦点距離よりも長い第四焦点距離を有する第四結像レンズ54Dを設けている。またこの例では、撮像素子53を各結像レンズ54毎に設けている。ここでは撮像素子53として、第一撮像素子53A、第二撮像素子53B、第三撮像素子53C、第四撮像素子53Dを準備し、図13及び図14に示すように、結像レンズ54を構成する第一結像レンズ54Aは第一撮像素子53A、第二結像レンズ54Bは第二撮像素子53B、第三結像レンズ54Cは第三撮像素子53C、第四結像レンズ54Dは第四撮像素子53Dに、それぞれ光学的に結合されている。ここで、各結像レンズ54と撮像素子53とで撮像ユニット55を構成してもよい。すなわち、撮像モジュール50を複数の撮像ユニット55で構成し、各撮像ユニット55に結像レンズ54と撮像素子53とを含めてもよい。ここでは、撮像モジュール50を第一撮像ユニット55A、第二撮像ユニット55B、第三撮像ユニット55C、第四撮像ユニット55Dの4つで構成し、第一撮像ユニット55Aは第一結像レンズ54Aと第一撮像素子53Aを含み、第二撮像ユニット55Bは第二結像レンズ54Bと第二撮像素子53Bを含み、第三撮像ユニット55Cは第三結像レンズ54Cと第三撮像素子53Cを含み、第四撮像ユニット55Dは第四結像レンズ54Dと第四撮像素子53Dを含んでいる。これら複数の撮像ユニット55は、それぞれ同じ方向を向いているが、合焦範囲が異なる。つまり図12で示したように、ある距離においては一部の撮像素子53でのみピントが合うように結像部が設計されている。図12の例において、第一焦点距離を有する第一結像レンズ54Aの第一合焦範囲をDF1、第二焦点距離を有する第二結像レンズ54Bの第二合焦範囲をDF2、第三焦点距離を有する第三結像レンズ54Cの第三合焦範囲をDF3、第四焦点距離を有する第四結像レンズ54Dの第四合焦範囲をDF4として、それぞれ示している。
【0040】
なお撮像素子や撮像ユニット、撮像モジュールの数は、例示した4個に限られず、3個以下、あるいは5個以上としてもよい。これらの複数の撮像素子は、互いに異なる合焦範囲を有しており、合焦範囲の一部を他の撮像素子と重複させている。
【0041】
図15に示す例では、撮像モジュール50の左右に、それぞれエイミングモジュール60と照明モジュール70を配置している。このように配置することで、撮像モジュール50とエイミングモジュール60、撮像モジュール50と照明モジュール70とをそれぞれ近接して配置し、エイミング光と実際の撮像位置のずれ、あるいは照明位置と実際の撮像位置のずれを低減できる。特にシンボルと光学式情報読取装置との撮像距離が長くなると、これらのずれが大きくなる傾向にあるため、極力撮像モジュールとエイミングモジュール、照明モジュールを近接して配置することが好ましいところ、エイミングモジュールと照明モジュールとが抵触しないように近接配置させると、撮像体の厚さ方向が幅広となってしまい、光学式情報読取装置の小型化が図れなくなる。そこで、撮像体50Bの薄型化を維持しつつ、長手方向に沿って、撮像モジュール50の両側にそれぞれエイミングモジュール60と照明モジュール70を配置することで、これらの近接配置の要求を満たしている。図15の例では、撮像体50Aの長手方向の中央に撮像モジュール50を配置し、向かって左側にエイミングモジュール60、右側に照明モジュール70を配置している。言い換えると、エイミングモジュール60と照明モジュール70で撮像モジュール50を挟み込むように配置することで、撮像体50Bの薄型化と近接配置を両立させている。
(把持部20)
【0042】
把持部20は、筐体部10の第二端部19側、すなわち使用者が把持部20を握った姿勢で手前側となる端面から、筐体部10から離れる方向に傾斜されて延伸されている。このように斜めに傾斜させることで、使用者が手で把持し易くなる。また筐体部10の第二端部19側に設けた傾斜面13と連なるように把持部20を延伸させている。特に、表示モジュール11の上面から傾斜面13を傾斜させると共に、傾斜面13から更に把持部20で傾斜させることで、筐体部10の後端側をスムーズに折曲させて、取り扱いが容易となる。
(把持突出片21)
【0043】
把持部20はさらに、図5に示すように、把持部20の延伸方向の中間において、この延伸方向と直交する方向に突出する把持突出片21を設けている。これにより、使用者が把持部20を把持する際には、把持突出片21の下面を指で支持することが可能となって、把持部20を握る握力以外に光学式情報読取装置100を支持する支点を付加して、光学式情報読取装置100を支える負荷を分散させることができ、保持の安定性が向上される。
(トリガスイッチ30)
【0044】
把持部20はさらにまた、撮像体50Aの撮像処理を開始させるトリガスイッチ30を備える。トリガスイッチ30は、把持部20が筐体部10の下面と面する領域に設けられる。図2図4図5等の例では、トリガスイッチ30は把持部20の上部に、収納部14と離間して対向する部分に設けられる。これにより、トリガスイッチ30と収納部14との間に曲面状の凹部22が形成される。そして、使用者がトリガスイッチ30に人差し指などの指をかけた際、折曲させた指に自然に沿うように凹部22が曲面状に形成されているため、使用者は無理なく指の上面の広い面積でもって光学式情報読取装置100を支えることができる。また、人差し指を利用してトリガスイッチ30を操作するスペースを確保することも可能となり、操作性の向上が図られる。また、トリガスイッチ30付近に収納部14を配置することにより、重心が把持部20寄りになり、安定して把持部20を保持することができる。
【0045】
ここで、上述した収納部14の後端面は、上述した曲面状の凹部22の一部を形成している。すなわち、収納部14の後端面は、トリガスイッチ30から前方に離間し、且つ、トリガスイッチ30の前端面と対向する対向面を形成している。
【0046】
把持部20はさらにまた、把持部20の上部に、トリガスイッチ30を直動可能に支持するトリガ支持部材16を形成している。トリガ支持部材16は、トリガスイッチ30の動作方向が表示モジュール11の表示面12とほぼ平行であって、筐体部10の第一端部18側から第二端部19側に向かう方向となるように、トリガスイッチ30を保持している。そして、収納部14の撮像開口窓15は、筐体部10の第一端部18からトリガスイッチ30の操作方向にオフセットして設けている。これにより、上述同様、オフセット距離Dを形成することができ、撮像開口窓15とシンボルSBとの間にある程度の距離を確保することができる。その結果、撮像開口窓15とシンボルSBとの焦点距離を確保できる。
(電池蓋25)
【0047】
この光学式情報読取装置100は、各電子部品を動作させる電源として二次電池24を内蔵している。二次電池24は、好ましくは把持部20に内蔵される。このため把持部20は、図3等に示すようにその底面に開閉式の電池蓋23を備えている。電池蓋23は、開閉のロックを行うロックレバーを備える。ロックレバーは把持部20の底面の面内で回転自在に連結されており、ロック解除方向にロックレバーを回転させることで、電池蓋23のロックが解除され、電池蓋25が開放される。
【0048】
電池蓋23を開けて、二次電池24を把持部20から外した状態を示す光学式情報読取装置100の分解斜視図を、図9に示す。この図に示すように電池蓋23は、把持部20の下端側、ここでは前方側にヒンジを設けている。このような構成により、光学式情報読取装置100を持った状態で電池蓋23が自重で閉塞する方向に回動することを防ぐことができる。二次電池24は、リチウムイオン二次電池(例えば角形、あるいは18650型などの円筒型)等が好適に利用できる。
【0049】
なお把持部20は、筐体部10と一体的に形成してもよいし、別部材で構成してもよい。
(被覆弾性部材17)
【0050】
さらに光学式情報読取装置100は、弾性を有する被覆弾性部材17を備えることができる。被覆弾性部材17は、図1等に示すように載置時に接触する隅部を少なくとも被覆する。これにより、光学式情報読取装置100を不意に落下させたときでも、隅部に設けた被覆弾性部材17で落下の衝撃を吸収することにより、光学式情報読取装置100を保護できる。
(ブロック図)
【0051】
ここで光学式情報読取装置100の構成を、図10のブロック図に基づいて説明する。この図に示す光学式情報読取装置100は、撮像体50Aと、エイミングモジュール60と、照明モジュール70と、エイミングスイッチ43Bと、表示モジュール11と、トリガスイッチ30と、演算部80と、記憶部90と、メモリ部91と、通信部92とを備える。
【0052】
演算部80は、読取部81の機能を実現する。読取部81は、撮像体50Aの撮像処理により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る。この演算部80は、CPUやMPU等で構成される。また演算部80は、DSPを含んでもよい。図10の例では、読取部81をDSPで構成している。
【0053】
記憶部90は、画像データや設定情報等の各種の情報を保持するための部材である。例えば撮像体50Aで撮像された画像データや、コンピュータプログラム、ファームウェア等を保持する。この記憶部90は、ROM等の不揮発性メモリで構成できる。
【0054】
メモリ部91は、記憶部90からコンピュータプログラム等をロードして実行するための作業領域である。このメモリ部91は、RAMなどで構成される。
【0055】
通信部92は、外部機器と通信を行うためのインターフェースである。
【0056】
撮像体50Aは、撮像を行う部材であり、C-MOSやCCD等の撮像素子を含む。
【0057】
照明モジュール70は、照明光を照射させる部材であり、LED等の光源を含む。
【0058】
エイミングモジュール60は、エイミング光を照射するための部材である。エイミング光は、読取範囲がどのあたりに位置しているかを使用者に示す指針となる。
【0059】
エイミングスイッチ43Bは、エイミングモジュール60からエイミング光を照射するためのスイッチである。使用者がエイミングスイッチ43BをONすると、エイミングモジュール60からエイミング光が照射される。
【0060】
読取部81は、撮像素子で撮像された画像データから、シンボルを抽出し、シンボルにエンコードされた情報をデコードして読み取る。演算部80は読取部81でデコードした情報を、通信部92を介して出力する。また必要に応じて、表示モジュール11に表示させる。
[実施形態2]
【0061】
以上の例では、撮像体が複数の撮像ユニットを含む例について説明した。ただ本発明は、撮像ユニットの数を複数に限定するものでなく、単一の撮像ユニットを備えるものでもよい。例えば図11に示す実施形態2に係る光学式情報読取装置200のように、撮像体50Cの中央部分に撮像ユニット50cを1つ設けてもよい。この場合、撮像ユニットの数を減らすことができるため、撮像体50Cの厚みを減少させることができ、撮像体50Cをよりコンパクトにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の光学式情報読取装置は、倉庫や工場、店舗、病院等で使用されるハンディスキャナやハンディターミナル、業務用PDA等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0063】
100、200…光学式情報読取装置
10…筐体部
11…表示モジュール
12…表示面
13…傾斜面
14…収納部
15…撮像開口窓
16…トリガ支持部材
17…被覆弾性部材
18…第一端部
19…第二端部
20…把持部
21…把持突出片
22…凹部
23…電池蓋
24…二次電池
30…トリガスイッチ
40…操作キー
41…十字キー
42…エンターキー
43…第一ファンクションキー
43B…エイミングスイッチ
44…電源キー
45…第二ファンクションキー
46…+キー
47…-キー
50A、50B、50C…撮像体
50…撮像モジュール
50a…第一撮像ユニット
50b…第二撮像ユニット
50c…撮像ユニット
51a…第一結像モジュール
51b…第二結像モジュール
52a…第一撮像素子
52b…第二撮像素子
53…撮像素子
53A…第一撮像素子
53B…第二撮像素子
53C…第三撮像素子
53D…第四撮像素子
54…結像レンズ
54A…第一結像レンズ
54B…第二結像レンズ
54C…第三結像レンズ
54D…第四結像レンズ
55…撮像ユニット
55A…第一撮像ユニット
55B…第二撮像ユニット
55C…第三撮像ユニット
55D…第四撮像ユニット
56…基板
57…レンズホルダ
58…レンズカバー
60…エイミングモジュール
70…照明モジュール
80…演算部
81…読取部
82…読取モード切替部
90…記憶部
91…メモリ部
92…通信部
SB…シンボル
D…オフセット距離
DF1…第一合焦範囲;DF2…第二合焦範囲;DF3…第三合焦範囲;DF4…第四合焦範囲;
ID1~ID4…画像データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16