(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】インクジェットプリンター
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 307
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2019169085
(22)【出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】小柴 翔
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119165(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0098025(US,A1)
【文献】特開2015-227014(JP,A)
【文献】特開2015-3459(JP,A)
【文献】特開2011-194819(JP,A)
【文献】特開2007-8104(JP,A)
【文献】特開2002-96441(JP,A)
【文献】米国特許第5570959(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交するX方向およびY方向に延在する平面であって記録媒体を支持する支持面が形成されるテーブルと、
前記支持面に支持されている前記記録媒体の表面に向けてインクを吐出するインク吐出面が形成されているインクジェットヘッドと、
前記テーブルおよび前記インクジェットヘッドの一方を他方に対して前記X方向および前記Y方向の少なくとも一方に相対的に移動させることによって、前記X方向および前記Y方向の少なくとも一方における前記表面に対する前記インク吐出面の位置を変更させる位置変更機構と、
前記X方向および前記Y方向の両方に直交するZ方向における前記表面に対する前記インク吐出面の位置を検出する位置センサーと
を備えるインクジェットプリンターであって、
前記位置変更機構は、前記Y方向としての主走査方向に延在していて前記インクジェットヘッドを前記主走査方向に移動可能に支持する主走査機構を備え、
前記インクジェットプリンターは、前記Z方向に直交する方向における複数の地点における前記Z方向における位置を前記位置センサーによって検出し、前記複数の地点にお
ける、前記表面から前記インク吐出面までの前記Z方向における距離であるヘッドギャップ
の平均と、理想的な前記ヘッドギャップとの差が最小となるよう、前記主走査方向における前記主走査機構の両端のそれぞれの前記Z方向における位置の調整
を行い、
前記複数の地点は、
前記主走査方向において前記主走査機構の一端に前記複数の地点の中で最も近い地点である一端側地点と、
前記主走査方向において前記主走査機構の他端に前記複数の地点の中で最も近い地点である他端側地点と、
前記一端側地点および前記他端側地点のいずれでもない地点と
を含むことを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項2】
前記支持面に直交する直交面における前記支持面に対する前記主走査機構の傾きとしての主走査機構傾きを変更可能な傾き変更機構と、
前記主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいて前記位置センサーによって検出される前記ヘッドギャップのばらつきを低減する傾きに前記主走査機構傾きを前記傾き変更機構によって調整する傾き調整部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【請求項3】
前記位置変更機構は、前記記録媒体および前記主走査機構の一方を他方に対して前記X方向としての副走査方向に移動可能にする副走査機構を備え、
前記
インクジェットプリンターは、
前記主走査方向における前記主走査機構の両端のそれぞれの前記Z方向における位置の調整を、前記副走査方向における複数の位置
において行うことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項4】
互いに直交するX方向およびY方向に延在する平面であって記録媒体を支持する支持面が形成されるテーブルと、
前記支持面に支持されている前記記録媒体の表面に向けてインクを吐出するインク吐出面が形成されているインクジェットヘッドと、
前記テーブルおよび前記インクジェットヘッドの一方を他方に対して前記X方向および前記Y方向の少なくとも一方に相対的に移動させることによって、前記X方向および前記Y方向の少なくとも一方における前記表面に対する前記インク吐出面の位置を変更させる位置変更機構と、
前記X方向および前記Y方向の両方に直交するZ方向における前記表面に対する前記インク吐出面の位置を検出する位置センサーと、
前記位置変更機構によって前記表面に対する前記インク吐出面の位置を変更して、前記Z方向に直交する方向における複数の地点における前記Z方向における位置を前記位置センサーによって検出し、前記複数の地点において、前記表面から前記インク吐出面までの前記Z方向における距離であるヘッドギャップのばらつきを低減するように、前記Z方向における前記表面に対する前記インク吐出面の位置を調整する調整機構と
を備え、
前記位置変更機構は、前記Y方向としての主走査方向に延在していて前記インクジェットヘッドを前記主走査方向に移動可能に支持する主走査機構を備え、
前記調整機構は、
前記支持面に直交する直交面における前記支持面に対する前記主走査機構の傾きとしての主走査機構傾きを変更可能な傾き変更機構と、
前記主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいて前記位置センサーによって検出される前記ヘッドギャップのばらつきを低減する傾きに前記主走査機構傾きを前記傾き変更機構によって調整する傾き調整部と
を備え、
前記傾き変更機構は、前記主走査方向における前記主走査機構の両端のそれぞれの前記Z方向における位置を変更することによって前記主走査機構傾きを変更可能であり、
前記傾き調整部は、前記主走査機構傾きを前記傾き変更機構によって調整する場合に、前記主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいて前記位置センサーによって検出される前記ヘッドギャップの平均が特定の値になる位置に、前記主走査方向における前記主走査機構の両端のそれぞれの前記Z方向における位置を前記傾き変更機構によって調整することを特徴とす
るインクジェットプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出するインクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェットプリンターとして、記録媒体を支持する支持面が形成されるテーブルと、支持面に支持されている記録媒体の表面に向けてインクを吐出するインクジェットヘッドと、支持面の延在方向のうちの主走査方向に延在していて、インクジェットヘッドを主走査方向に移動可能に支持するYバーと、Yバーを記録媒体に対して支持面の延在方向のうちの、主走査方向に直交する副走査方向に移動可能にする2つのスライド機構と、テーブルの支持面に形成されている複数の吸引孔を介して気体を吸引することによって、支持面に記録媒体を吸着する吸引装置とを備えている、いわゆるフラットベッド型のインクジェットプリンターが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
また、従来のインクジェットプリンターとして、記録媒体の表面に向けてインクを吐出するノズルが形成されているインク吐出面が形成されているインクジェットヘッドと、記録媒体の表面からインクジェットヘッドのインク吐出面までの距離であるヘッドギャップを調整する機構とを備えるインクジェットプリンターも知られている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-042088号公報
【文献】特開2009-248559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているフラットベッド型のインクジェットプリンターは、吸引装置によってテーブルの支持面に記録媒体を吸着することによって、テーブルの支持面からの記録媒体の浮きを抑制することができる。
【0006】
しかしながら、記録媒体が、例えば比較的厚いアクリル板など、厚みが比較的大きいものである場合には、吸引装置によってテーブルの支持面に記録媒体を最大限に吸着したとしても、記録媒体の端部がテーブルの支持面から浮き上がることがある。そして、記録媒体の端部がテーブルの支持面から浮き上がると、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおけるヘッドギャップがばらついてしまう。
【0007】
ここで、ヘッドギャップを調整する方法としては、特許文献2に記載されているように、インクジェットヘッドを鉛直方向に上下させる方法が知られている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されているフラットベッド型のインクジェットプリンターにおいて、記録媒体の端部がテーブルの支持面から浮き上がっている場合に、インクジェットヘッドを鉛直方向に上下させることによってヘッドギャップを調整したとしても、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおけるヘッドギャップのばらつきは低減されない。したがって、記録媒体のうちテーブルの支持面から浮き上がっている箇所を基準にしてヘッドギャップを調整すると、記録媒体のうちテーブルの支持面から浮き上がっていない箇所に関しては、ヘッドギャップが大きくなり、その結果、インクジェットヘッドによって記録媒体に向けて吐出されたインクの飛行曲がりなどによって、記録媒体へのインクの着弾位置の精度が悪くなり、記録媒体に印刷した画像の質が低下する。
【0009】
また、特許文献1に記載されているフラットベッド型のインクジェットプリンターにおいて、記録媒体の端部がテーブルの支持面から浮き上がっていない場合であっても、テーブルに支持されている記録媒体の厚みが均一ではないとき、テーブルに支持されている記録媒体のうち厚みが厚い箇所を基準にして、インクジェットヘッドを鉛直方向に上下させることによってヘッドギャップを調整すると、テーブルに支持されている記録媒体のうち鉛直方向における厚みが薄い箇所に関しては、ヘッドギャップが大きくなり、その結果、インクジェットヘッドによって記録媒体に向けて吐出されたインクの飛行曲がりなどによって、記録媒体へのインクの着弾位置の精度が悪くなり、記録媒体に印刷した画像の質が低下する。
【0010】
以上のような理由など、様々な理由によって、従来のインクジェットプリンターにおいては、記録媒体に印刷した画像の質が印刷の箇所によって不均一であるという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、記録媒体に印刷した画像における質の均一性を向上することができるインクジェットプリンターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のインクジェットプリンターは、互いに直交するX方向およびY方向に延在する平面であって記録媒体を支持する支持面が形成されるテーブルと、前記支持面に支持されている前記記録媒体の表面に向けてインクを吐出するインク吐出面が形成されているインクジェットヘッドと、前記テーブルおよび前記インクジェットヘッドの一方を他方に対して前記X方向および前記Y方向の少なくとも一方に相対的に移動させることによって、前記X方向および前記Y方向の少なくとも一方における前記表面に対する前記インク吐出面の位置を変更させる位置変更機構と、前記X方向および前記Y方向の両方に直交するZ方向における前記表面に対する前記インク吐出面の位置を検出する位置センサーと、前記位置変更機構によって前記表面に対する前記インク吐出面の位置を変更して、前記Z方向に直交する方向における複数の地点における前記Z方向における位置を前記位置センサーによって検出し、前記複数の地点において、前記表面から前記インク吐出面までの前記Z方向における距離であるヘッドギャップのばらつきを低減するように、前記Z方向における前記表面に対する前記インク吐出面の位置を調整する調整機構とを備えることを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、Z方向に直交する方向における複数の地点においてヘッドギャップのばらつきを低減するように、Z方向における記録媒体の表面に対するインクジェットヘッドのインク吐出面の位置を調整するので、インクジェットヘッドによって記録媒体の表面に向けて吐出されたインクの、記録媒体の表面への着弾位置の精度の、Z方向に直交する方向における均一性を向上することができ、その結果、記録媒体の表面に印刷した画像における質の、Z方向に直交する方向における均一性を向上することができる。
【0014】
本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記位置変更機構は、前記Y方向としての主走査方向に延在していて前記インクジェットヘッドを前記主走査方向に移動可能に支持する主走査機構を備え、前記調整機構は、前記支持面に直交する直交面における前記支持面に対する前記主走査機構の傾きとしての主走査機構傾きを変更可能な傾き変更機構と、前記主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいて前記位置センサーによって検出される前記ヘッドギャップのばらつきを低減する傾きに前記主走査機構傾きを前記傾き変更機構によって調整する傾き調整部とを備えても良い。
【0015】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいて位置センサーによって検出されるヘッドギャップのばらつきを低減する傾きに主走査機構傾きを傾き変更機構によって調整することによって、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいてヘッドギャップのばらつきを低減するので、インクジェットヘッドによって記録媒体の表面に向けて吐出されたインクの、記録媒体の表面への着弾位置の精度の、主走査方向における均一性を向上することができ、その結果、記録媒体の表面に印刷した画像における質の、主走査方向における均一性を向上することができる。
【0016】
本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記位置変更機構は、前記記録媒体および前記主走査機構の一方を他方に対して前記X方向としての副走査方向に移動可能にする副走査機構を備え、前記傾き調整部は、前記副走査方向における複数の位置のそれぞれにおける、前記主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいて前記位置センサーによって検出される前記ヘッドギャップのばらつきを低減する傾きに前記主走査機構傾きを前記傾き変更機構によって調整しても良い。
【0017】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、副走査方向における複数の位置のそれぞれにおける、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいて位置センサーによって検出されるヘッドギャップのばらつきを低減するので、インクジェットヘッドによって記録媒体の表面に向けて吐出されたインクの、記録媒体の表面への着弾位置の精度の、主走査方向および副走査方向の両方における均一性を向上することができ、その結果、記録媒体の表面に印刷した画像における質の、主走査方向および副走査方向の両方における均一性を向上することができる。
【0018】
本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記傾き変更機構は、前記主走査方向における前記主走査機構の両端のそれぞれの前記Z方向における位置を変更することによって前記主走査機構傾きを変更可能であり、前記傾き調整部は、前記主走査機構傾きを前記傾き変更機構によって調整する場合に、前記主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいて前記位置センサーによって検出される前記ヘッドギャップの平均が特定の値になる位置に、前記主走査方向における前記主走査機構の両端のそれぞれの前記Z方向における位置を前記傾き変更機構によって調整しても良い。
【0019】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、主走査機構傾きの変更と、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいて位置センサーによって検出されるヘッドギャップの平均の変更との両方を傾き変更機構によって実現するので、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおけるヘッドギャップの平均を変更するための機構を傾き変更機構以外に備える構成と比較して、小型化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のインクジェットプリンターは、記録媒体に印刷した画像における質の均一性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態に係るインクジェットプリンターの概略の斜視図である。
【
図2】
図1に示すインクジェットプリンターの正面図である。
【
図3】
図1に示すインクジェットヘッドが記録媒体に対して鉛直方向に配置されている場合のインクジェットヘッドのインク吐出面の近傍の正面図である。
【
図4】伸びている状態での
図2に示す昇降機構の斜視図である。
【
図5】(a)伸びている状態での
図2に示す昇降機構の側面図である。 (b)伸びている状態での
図2に示す昇降機構の、
図5(a)に示す側とは反対側の側面図である。
【
図6】(a)短くなっている状態での
図2に示す昇降機構の、
図5(a)に示す側と同一の側の側面図である。 (b)短くなっている状態での
図2に示す昇降機構の、
図6(a)に示す側とは反対側の側面図である。
【
図7】
図1に示すインクジェットプリンターのブロック図である。
【
図8】ヘッドギャップを調整する場合の
図1に示すインクジェットプリンターの動作のフローチャートである。
【
図9】主走査方向における
図1に示す記録媒体に対する特定の位置における、実際のヘッドギャップと、理想的なヘッドギャップとの差の一例を示す図である。
【
図10】ヘッドギャップを調整する場合の
図1に示すインクジェットプリンターの動作の、
図8に示す例とは異なる例でのフローチャートである。
【
図11】ヘッドギャップを調整する場合の
図1に示すインクジェットプリンターの動作の、
図8および
図10に示す例とは異なる例でのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
まず、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0024】
図1は、テーブル11に記録媒体90が支持されている状態での、本実施の形態に係るインクジェットプリンター10の概略の斜視図である。
図2は、インクジェットプリンター10の正面図である。
図3は、インクジェットヘッド13が記録媒体90に対して鉛直方向に配置されている場合のインクジェットヘッド13のインク吐出面13aの近傍の正面図である。
【0025】
図1~
図3に示すように、インクジェットプリンター10は、矢印Zで示す鉛直方向における下側から記録媒体90を支持する支持面11aが鉛直方向における上端に形成されているテーブル11と、テーブル11を支持する脚12と、テーブル11に支持されている記録媒体90の表面90aに向けてインクを吐出するノズルが複数形成されているインク吐出面13aが鉛直方向における下端に形成されている複数のインクジェットヘッド13と、複数のインクジェットヘッド13を搭載するキャリッジ14と、キャリッジ14に搭載されて記録媒体90の表面90aからインクジェットヘッド13のインク吐出面13aまでの鉛直方向における距離であるヘッドギャップ91を検出するヘッドギャップセンサー15と、鉛直方向に直交する矢印Yで示す左右方向に延在していて、キャリッジ14を左右方向である主走査方向に移動可能に支持する主走査機構としてのYバー16と、Yバー16をテーブル11に対して鉛直方向に移動可能に支持する2つの昇降機構20と、鉛直方向および左右方向の両方に直交する矢印Xで示す前後方向に延在していて、昇降機構20を介してYバー16をテーブル11に対して前後方向である副走査方向に移動可能に支持する副走査機構としての2つのスライド機構17とを備えている、いわゆるフラットベッド型のインクジェットプリンターである。
【0026】
記録媒体90としては、例えば比較的厚いアクリル板など、様々なものが採用されることが可能である。
【0027】
テーブル11は、気体を吸引するための複数の吸引孔(図示していない。)が支持面11aに形成されている。
【0028】
ヘッドギャップセンサー15は、鉛直方向における記録媒体90の表面90aに対するインクジェットヘッド13のインク吐出面13aの位置を検出する位置センサーである。ヘッドギャップセンサー15は、テーブル11に支持されている記録媒体90の表面90aにピンなどの部材を接触させることによってヘッドギャップ91を検出する接触式のセンサーでも良いし、例えば光学式などの非接触式のセンサーでも良い。
【0029】
昇降機構20は、左右方向におけるテーブル11の両側に1つずつ設けられている。
【0030】
図4は、伸びている状態での昇降機構20の斜視図である。
図5(a)は、伸びている状態での昇降機構20の側面図である。
図5(b)は、伸びている状態での昇降機構20の、
図5(a)に示す側とは反対側の側面図である。
図6(a)は、短くなっている状態での昇降機構20の、
図5(a)に示す側と同一の側の側面図である。
図6(b)は、短くなっている状態での昇降機構20の、
図6(a)に示す側とは反対側の側面図である。
【0031】
図4~
図6に示すように、昇降機構20は、Yバー16(
図2参照。)を支持してYバー16を昇降させる昇降部材21と、スライド機構17(
図2参照。)の可動側の部分に固定される固定部材22と、昇降部材21を固定部材22に対して鉛直方向に移動可能に支持する2つのLM(Linear Motion)ガイド23と、昇降部材21を固定部材22に対して鉛直方向に移動させるボールネジ24およびモーター25と、固定部材22に対して昇降部材21を鉛直方向の上側に付勢する2つのガススプリング26とを備えている。
【0032】
LMガイド23は、鉛直方向に延在していて固定部材22に固定されているガイドレール23aと、鉛直方向に移動可能にガイドレール23aに支持されていて昇降部材21に固定さている2つのガイドブロック23bとを備えている。
【0033】
ボールネジ24は、鉛直方向に延在していて固定部材22に回転可能に支持されているネジ軸24aと、昇降部材21に固定さていてネジ軸24aに螺合するナット部材24bとを備えている。
【0034】
モーター25は、ネジ軸24aを回転させるための動力を発生するモーターである。モーター25としては、例えば、ステッピングモーター、サーボモーターなど、任意の種類のモーターが採用されることが可能である。
【0035】
2つの昇降機構20は、テーブル11(
図2参照。)の支持面11a(
図2参照。)に直交して左右方向に延在する直交面における支持面11aに対するYバー16の傾きとしての主走査機構傾き(以下「Yバー傾き」という。)を変更可能な傾き変更機構を構成している。2つの昇降機構20は、主走査方向におけるYバー16の両端のそれぞれの鉛直方向における位置を変更することによってYバー傾きを変更可能である。
【0036】
図2に示すように、スライド機構17は、左右方向におけるテーブル11の両端部に1つずつ設置されている。スライド機構17における固定側の部分は、テーブル11に固定されている。スライド機構17における可動側の部分には、昇降機構20の固定部材22が固定されている。
【0037】
図7は、インクジェットプリンター10のブロック図である。
【0038】
図7に示すように、インクジェットプリンター10は、上述したインクジェットヘッド13と、ヘッドギャップセンサー15と、モーター25と、キャリッジ14(
図1参照。)をYバー16(
図1参照。)に沿って左右方向、すなわち、主走査方向に移動させるキャリッジ走査装置31と、前後方向、すなわち、副走査方向にYバー16をテーブル11(
図1参照。)に対して移動させるYバー走査装置32と、テーブル11の支持面11a(
図1参照。)に形成されている複数の吸引孔を介して気体を吸引することによって、テーブル11に記録媒体90(
図1参照。)を吸着する吸引装置33と、種々の操作が入力される例えばボタンなどの操作部41と、種々の情報を表示する例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示部42と、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部43と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部44と、インクジェットプリンター10全体を制御する制御部45とを備えている。
【0039】
制御部45は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部44に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0040】
制御部45は、ROMまたは記憶部44に記憶されているプログラムを実行することによって、Yバー傾きを調整する傾き調整部45aと、印刷を実行する印刷実行部45bとを実現する。
【0041】
次に、インクジェットプリンター10の動作について説明する。
【0042】
まず、ヘッドギャップ91を調整する場合のインクジェットプリンター10の動作について説明する。
【0043】
なお、傾き調整部45aは、ヘッドギャップ91を調整する際、吸引装置33によって記録媒体90をテーブル11の支持面11aに吸着している。
【0044】
図8は、ヘッドギャップ91を調整する場合のインクジェットプリンター10の動作のフローチャートである。
【0045】
傾き調整部45aは、例えば、ヘッドギャップ91の調整が操作部41を介して指示されたタイミングなど、特定のタイミングで、
図8に示す動作を実行する。
【0046】
図8に示すように、傾き調整部45aは、Yバー走査装置32によって副走査方向にYバー16をテーブル11に対して移動させることによって、副走査方向における記録媒体90に対する特定の複数の位置のうち、主走査方向においてヘッドギャップ91を未だ検出していないいずれかの位置にヘッドギャップセンサー15を移動させる(S101)。
【0047】
次いで、傾き調整部45aは、キャリッジ走査装置31によって主走査方向にキャリッジ14を移動させることによって、主走査方向における記録媒体90に対する特定の複数の位置において、ヘッドギャップセンサー15によってヘッドギャップ91を検出する(S102)。
【0048】
次いで、傾き調整部45aは、副走査方向における記録媒体90に対する特定の複数の位置のうち、主走査方向においてヘッドギャップ91を未だ検出していない位置が存在するか否かを判断する(S103)。
【0049】
傾き調整部45aは、副走査方向における記録媒体90に対する特定の複数の位置のうち、主走査方向においてヘッドギャップ91を未だ検出していない位置が存在するとS103において判断すると、S101の処理を実行する。
【0050】
傾き調整部45aは、副走査方向における記録媒体90に対する特定の複数の位置のうち、主走査方向においてヘッドギャップ91を未だ検出していない位置が存在しないとS103において判断すると、2つの昇降機構20のそれぞれに実行させるべき昇降量を、S102において検出した全ての位置のヘッドギャップ91に基づいて決定する(S104)。
【0051】
以下、2つの昇降機構20のそれぞれに実行させるべき昇降量の決定方法の一例について説明する。
【0052】
図9は、主走査方向における記録媒体90に対する特定の位置における、実際のヘッドギャップ91と、理想的なヘッドギャップとの差の一例を示す図である。
【0053】
図9において、Y軸は、主走査方向における位置を示す軸である。位置YLは、2つの昇降機構20のうち左側の昇降機構20がYバー16を支持している位置である。位置YRは、2つの昇降機構20のうち右側の昇降機構20がYバー16を支持している位置である。位置Y1~Y5は、主走査方向における記録媒体90に対する特定の複数の位置の一例である。
【0054】
図9において、Z軸は、実際のヘッドギャップ91と、理想的なヘッドギャップとの差を示す軸である。なお、理想的なヘッドギャップは、主走査方向における記録媒体90に対するいずれの位置においても同一であり、
図9においてはZ軸上の値として0で示されている。Z軸の値が正の値であるということは、実際のヘッドギャップ91が理想的なヘッドギャップより大きいということである。例えば、差Z1は、位置Y1における、実際のヘッドギャップ91と、理想的なヘッドギャップとの差である。同様に、差Z2~Z5は、それぞれ、位置Y2~Y5における、実際のヘッドギャップ91と、理想的なヘッドギャップとの差である。ただし、ZLは、差Z1~Z5のみを考慮して求められる、2つの昇降機構20のうち左側の昇降機構20に実行させるべき昇降量を示している。同様に、ZRは、差Z1~Z5のみを考慮して求められる、2つの昇降機構20のうち右側の昇降機構20に実行させるべき昇降量を示している。ここで、
図9において、昇降量が正の値である場合、その値分だけ昇降機構20によってYバー16を下降させるべきであることを意味している。同様に、
図9において、昇降量が負の値である場合、その値分だけ昇降機構20によってYバー16を上昇させるべきであることを意味している。
【0055】
傾き調整部45aは、主走査方向における記録媒体90に対する特定の位置における、実際のヘッドギャップ91と、理想的なヘッドギャップとの差として
図9に示す差Z1~Z5が得られた場合、例えば最小二乗法などによって、
図9に示すように近似直線51を求めることができる。そして、傾き調整部45aは、近似直線51と平行であって、位置Y1~Y5におけるZ軸上の値の平均が0になる直線52を求めることができる。ここで、Z軸上の値が0ということは、上述したように、理想的なヘッドギャップであるということを示している。したがって、直線52は、位置Y1~Y5におけるヘッドギャップ91の平均が特定の値、すなわち、理想的なヘッドギャップになる直線である。傾き調整部45aは、直線52によってZLおよびZRを求めることができる。
【0056】
傾き調整部45aは、副走査方向における記録媒体90に対する特定の複数の位置におけるZLを求めると、これらを平均することによって、2つの昇降機構20のうち左側の昇降機構20に実行させるべき昇降量を求めることができる。同様に、傾き調整部45aは、副走査方向における記録媒体90に対する特定の複数の位置におけるZRを求めると、これらを平均することによって、2つの昇降機構20のうち右側の昇降機構20に実行させるべき昇降量を求めることができる。
【0057】
以上においては、2つの昇降機構20のそれぞれに実行させるべき昇降量の決定方法の一例について説明したが、2つの昇降機構20のそれぞれに実行させるべき昇降量は、以上において説明した方法以外の方法によって決定されても良い。
【0058】
図8に示すように、傾き調整部45aは、S104の処理の後、2つの昇降機構20のそれぞれのモーター25を駆動して2つの昇降機構20のそれぞれをS104において決定した昇降量で昇降させることによって、Yバー16をテーブル11に対して2つの昇降機構20のそれぞれで昇降させて(S105)、
図8に示す動作を終了する。
【0059】
次に、印刷を実行する場合のインクジェットプリンター10の動作について説明する。
【0060】
なお、印刷実行部45bは、記録媒体90の表面90aに印刷を実行する際、吸引装置33によって記録媒体90をテーブル11の支持面11aに吸着している。
【0061】
印刷実行部45bは、通信部43を介して印刷データを受信すると、この印刷データに基づいて、記録媒体90の表面90aに対して印刷を実行する。すなわち、印刷実行部45bは、キャリッジ走査装置31によって主走査方向にキャリッジ14を移動させてインクジェットヘッド13によって記録媒体90の表面90aに向けてインクを吐出することによって、主走査方向における記録媒体90の表面90aに対する印刷を実行する。また、印刷実行部45bは、主走査方向における記録媒体90の表面90aに対する印刷を実行すると、必要に応じて、Yバー走査装置32によって副走査方向にYバー16をテーブル11に対して移動させることによって、副走査方向における記録媒体90の表面90aに対する印刷の位置を変更した後、再び主走査方向における記録媒体90の表面90aに対する印刷を実行する。
【0062】
以上に説明したように、インクジェットプリンター10は、鉛直方向に直交する方向、すなわち、水平方向における複数の地点においてヘッドギャップ91のばらつきを低減するように、鉛直方向における記録媒体90の表面90aに対するインクジェットヘッド13のインク吐出面13aの位置を調整する(S101~S105)ので、インクジェットヘッド13によって記録媒体90の表面90aに向けて吐出されたインクの、記録媒体90の表面90aへの着弾位置の精度の、水平方向における均一性を向上することができ、その結果、記録媒体90の表面90aに印刷した画像における質の、水平方向における均一性を向上することができる。
【0063】
インクジェットプリンター10は、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいてヘッドギャップセンサー15によって検出されるヘッドギャップ91のばらつきを低減する傾きにYバー傾きを2つの昇降機構20によって調整する(S101~S105)ことによって、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいてヘッドギャップ91のばらつきを低減するので、インクジェットヘッド13によって記録媒体90の表面90aに向けて吐出されたインクの、記録媒体90の表面90aへの着弾位置の精度の、主走査方向における均一性を向上することができ、その結果、記録媒体90の表面90aに印刷した画像における質の、主走査方向における均一性を向上することができる。
【0064】
特に、インクジェットプリンター10は、副走査方向における複数の位置のそれぞれにおける、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいてヘッドギャップセンサー15によって検出されるヘッドギャップ91のばらつきを低減する(S101~S105)ので、インクジェットヘッド13によって記録媒体90の表面90aに向けて吐出されたインクの、記録媒体90の表面90aへの着弾位置の精度の、主走査方向および副走査方向の両方における均一性を向上することができ、その結果、記録媒体90の表面90aに印刷した画像における質の、主走査方向および副走査方向の両方における均一性を向上することができる。
【0065】
なお、インクジェットプリンター10は、
図8に示す動作において、副走査方向における複数の位置における、主走査方向における複数の位置のヘッドギャップ91に基づいて、2つの昇降機構20のそれぞれに実行させるべき昇降量を決定している。しかしながら、インクジェットプリンター10は、
図10に示すように、副走査方向における1つの位置における、主走査方向における複数の位置のヘッドギャップ91に基づいて、2つの昇降機構20のそれぞれに実行させるべき昇降量を決定しても良い。
【0066】
図10は、ヘッドギャップ91を調整する場合のインクジェットプリンター10の動作の、
図8に示す例とは異なる例でのフローチャートである。
【0067】
傾き調整部45aは、例えば、ヘッドギャップ91の調整が操作部41を介して指示されたタイミングなど、特定のタイミングで、
図10に示す動作を実行する。
【0068】
図10に示すように、傾き調整部45aは、Yバー走査装置32によって副走査方向にYバー16をテーブル11に対して移動させることによって、副走査方向における記録媒体90に対する特定の位置にヘッドギャップセンサー15を移動させる(S111)。ここで、副走査方向における位置のうち、S111においてヘッドギャップセンサー15を移動させる位置は、例えば、副走査方向におけるYバー16の位置が原点の位置である場合の位置でも良い。
【0069】
次いで、傾き調整部45aは、キャリッジ走査装置31によって主走査方向にキャリッジ14を移動させることによって、主走査方向における記録媒体90に対する特定の複数の位置において、ヘッドギャップセンサー15によってヘッドギャップ91を検出する(S112)。
【0070】
次いで、傾き調整部45aは、2つの昇降機構20のそれぞれに実行させるべき昇降量を、S112において検出した全ての位置のヘッドギャップ91に基づいて決定する(S113)。
【0071】
次いで、傾き調整部45aは、2つの昇降機構20のそれぞれのモーター25を駆動して2つの昇降機構20のそれぞれをS113において決定した昇降量で昇降させることによって、Yバー16をテーブル11に対して2つの昇降機構20のそれぞれで昇降させて(S114)、
図10に示す動作を終了する。
【0072】
なお、インクジェットプリンター10は、例えば
図11に示す動作のように、副走査方向における1つの位置における、主走査方向における両端のヘッドギャップ91のみに基づいて、2つの昇降機構20のそれぞれに実行させるべき昇降量を決定しても良い。
【0073】
図11は、ヘッドギャップ91を調整する場合のインクジェットプリンター10の動作の、
図8および
図10に示す例とは異なる例でのフローチャートである。
【0074】
傾き調整部45aは、例えば、ヘッドギャップ91の調整が操作部41を介して指示されたタイミングなど、特定のタイミングで、
図11に示す動作を実行する。
【0075】
図11に示すように、傾き調整部45aは、Yバー走査装置32によって副走査方向にYバー16をテーブル11に対して移動させることによって、副走査方向における記録媒体90に対する特定の位置にヘッドギャップセンサー15を移動させる(S121)。ここで、副走査方向における位置のうち、S121においてヘッドギャップセンサー15を移動させる位置は、例えば、副走査方向におけるYバー16の位置が原点の位置である場合の位置でも良い。
【0076】
次いで、傾き調整部45aは、キャリッジ走査装置31によって主走査方向にキャリッジ14を移動させることによって、主走査方向における記録媒体90の右端の位置において、ヘッドギャップセンサー15によってヘッドギャップ91を検出する(S122)。
【0077】
次いで、傾き調整部45aは、2つの昇降機構20のうち主走査方向における右側の昇降機構20に実行させるべき昇降量を、S122において検出したヘッドギャップ91に基づいて決定する(S123)。例えば、傾き調整部45aは、主走査方向における記録媒体90の右端の位置において、ヘッドギャップセンサー15によって検出されるヘッドギャップ91が理想的なヘッドギャップになるために必要な昇降量を、S123において決定する。
【0078】
次いで、傾き調整部45aは、2つの昇降機構20のうち主走査方向における右側の昇降機構20のモーター25を駆動してこの昇降機構20をS123において決定した昇降量で昇降させることによって、Yバー16をテーブル11に対してこの昇降機構20で昇降させる(S124)。
【0079】
次いで、傾き調整部45aは、キャリッジ走査装置31によって主走査方向にキャリッジ14を移動させることによって、主走査方向における記録媒体90の左端の位置において、ヘッドギャップセンサー15によってヘッドギャップ91を検出する(S125)。
【0080】
次いで、傾き調整部45aは、2つの昇降機構20のうち主走査方向における左側の昇降機構20に実行させるべき昇降量を、S125において検出したヘッドギャップ91に基づいて決定する(S126)。例えば、傾き調整部45aは、主走査方向における記録媒体90の左端の位置において、ヘッドギャップセンサー15によって検出されるヘッドギャップ91が理想的なヘッドギャップになるために必要な昇降量を、S126において決定する。
【0081】
次いで、傾き調整部45aは、2つの昇降機構20のうち主走査方向における左側の昇降機構20のモーター25を駆動してこの昇降機構20をS126において決定した昇降量で昇降させることによって、Yバー16をテーブル11に対してこの昇降機構20で昇降させて(S127)、
図11に示す動作を終了する。
【0082】
インクジェットプリンター10は、Yバー傾きの変更と、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいてヘッドギャップセンサー15によって検出されるヘッドギャップ91の平均の変更との両方を2つの昇降機構20によって実現するので、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおけるヘッドギャップ91の平均を変更するための機構を傾き変更機構以外に備える構成と比較して、小型化することができる。
【0083】
なお、インクジェットプリンター10は、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおけるヘッドギャップ91の平均を変更するための機構を傾き変更機構以外に備えても良い。インクジェットプリンター10は、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおけるヘッドギャップ91の平均を変更するための機構を傾き変更機構以外に備える場合、主走査方向におけるYバー16の一端側のみに昇降機構20を備え、主走査方向におけるYバー16の他端側を、鉛直方向における位置が固定された前後方向に延在する直線を中心として回動可能にしても良い。
【0084】
インクジェットプリンター10は、本実施の形態において、インクジェットヘッド13を搭載するキャリッジ14を主走査方向に移動させることによって、主走査方向における記録媒体90の表面90aに対するインクジェットヘッド13のインク吐出面13aの位置を変更させている。しかしながら、インクジェットプリンター10は、テーブル11およびインクジェットヘッド13の一方を他方に対して主走査方向に相対的に移動させることによって、主走査方向における記録媒体90の表面90aに対するインクジェットヘッド13のインク吐出面13aの位置を変更させれば良い。例えば、インクジェットプリンター10は、記録媒体90を主走査方向に移動させることによって、主走査方向における記録媒体90の表面90aに対するインクジェットヘッド13のインク吐出面13aの位置を変更させても良い。
【0085】
インクジェットプリンター10は、本実施の形態において、Yバー16を副走査方向に移動させることによって、副走査方向における記録媒体90の表面90aに対するインクジェットヘッド13のインク吐出面13aの位置を変更させている。しかしながら、インクジェットプリンター10は、テーブル11およびインクジェットヘッド13の一方を他方に対して副走査方向に相対的に移動させることによって、副走査方向における記録媒体90の表面90aに対するインクジェットヘッド13のインク吐出面13aの位置を変更させれば良い。例えば、インクジェットプリンター10は、記録媒体90を副走査方向に移動させることによって、副走査方向における記録媒体90の表面90aに対するインクジェットヘッド13のインク吐出面13aの位置を変更させても良い。
【0086】
インクジェットプリンター10は、本実施の形態において、Yバー16を傾けることによってヘッドギャップ91を調整している。しかしながら、インクジェットプリンター10は、テーブル11の支持面11aを傾けることによってヘッドギャップ91を調整しても良い。インクジェットプリンター10は、テーブル11の支持面11aを傾けることによってヘッドギャップ91を調整する場合、X方向に延在する回転軸を中心とした回転方向における傾きだけでなく、X方向以外の方向に延在する回転軸を中心とした回転方向における傾きを変更可能である。すなわち、インクジェットプリンター10は、テーブル11の支持面11aを傾けることによってヘッドギャップ91を調整する場合、副走査方向における複数の位置のそれぞれにおける、主走査方向における複数の位置のそれぞれにおいてヘッドギャップセンサー15によって検出されるヘッドギャップ91のばらつきを低減することができる。
【0087】
ヘッドギャップセンサー15は、鉛直方向におけるインクジェットヘッド13のインク吐出面13aの位置を直接検出する構成でなくても良い。例えば、ヘッドギャップセンサー15は、インクジェットヘッド13を搭載するキャリッジ14の一部の鉛直方向における位置や、インクジェットヘッド13を搭載するキャリッジ14を支持するYバー16の一部の鉛直方向における位置など、インクジェットヘッド13のインク吐出面13a以外の箇所の鉛直方向における位置を検出することによって、ヘッドギャップ91を間接的に検出しても良い。
【符号の説明】
【0088】
10 インクジェットプリンター
11 テーブル
11a 支持面
13 インクジェットヘッド
13a インク吐出面
15 ヘッドギャップセンサー(位置センサー)
16 Yバー(位置変更機構、主走査機構)
17 スライド機構(位置変更機構、副走査機構)
20 昇降機構(調整機構、傾き変更機構)
45a 傾き調整部(調整機構)
90 記録媒体
90a 表面
91 ヘッドギャップ
X 矢印(X方向を示す矢印、副走査方向を示す矢印)
Y 矢印(Y方向を示す矢印、主走査方向を示す矢印)
Z 矢印(Z方向を示す矢印)