(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/56 20060101AFI20230809BHJP
E06B 9/42 20060101ALI20230809BHJP
E06B 9/322 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
E06B9/56 A
E06B9/42 Z
E06B9/322
(21)【出願番号】P 2019197159
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝明
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-163880(JP,A)
【文献】特開平05-044380(JP,A)
【文献】特開平07-301066(JP,A)
【文献】特開2011-075015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定面に取付けられる支持部材と、
前記支持部材によって回転可能に支持される回転体と、
前記回転体を回転駆動可能な操作部材と、
前記操作部材の操作による前記回転体の回転によって昇降可能な遮蔽材と、
前記操作部材に接続され、当該操作部材の駆動力を前記回転体に伝達する駆動手段と
を具備し、
前記駆動手段は、前記回転体に前記遮蔽材の上昇方向の付勢力を付与する付勢部材を有し、
前記付勢部材は、前記遮蔽材が上昇動作の上限位置よりも手前である所定高さまで上昇すると作動し、前記操作部材の操作によらず当該付勢部材の付勢力によって前記遮蔽材を前記上限位置まで上昇させる
遮蔽装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遮蔽装置であって、
前記駆動手段は、
支持軸と、
前記操作部材から前記駆動力を伝達される入力部材と、
前記付勢部材に連結されるとともに、前記支持軸と係合するクラッチ部材と、を有し、
前記付勢部材は、前記操作部材の操作によって前記入力部材を介して前記クラッチ部材と前記支持軸との係合を解除することで作動する
遮蔽装置。
【請求項3】
請求項2に記載の遮蔽装置であって、
前記クラッチ部材は、
前記支持軸に形成される被係合部に係合可能な係合部と、
前記付勢部材と連動するとともに、前記支持軸上で軸支されるクラッチケースと、を有し、
前記クラッチケースは、
前記係合部が被係合部に係合することで、前記支持軸に対して相対回転不能とされ、
前記係合部が前記被係合部から離脱されることで、前記支持軸に対して相対回転可能とされる
遮蔽装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の遮蔽装置であって、
前記駆動手段は、前記支持軸に沿って移動可能な移動部材を有し、
前記入力部材は、前記移動部材に前記支持軸方向へ移動するための駆動力を伝達し、
前記付勢部材は、前記操作部材の操作によって前記入力部材を介して前記移動部材が前記支持軸に沿って移動し、当該移動部材が前記クラッチ部材を切り替えることで、作動する
遮蔽装置。
【請求項5】
請求項4に記載の遮蔽装置であって、
前記操作部材の操作を前記入力部材に伝達するプーリをさらに具備し、
前記支持軸はネジ軸であり、
前記入力部材は前記ネジ軸及び前記移動部材を内部に収容可能な円筒体であり、
前記円筒体は、前記移動部材と係合する凸部又は凹部を有し、当該円筒体が回転することで、前記凸部又は凹部と係合した前記移動部材が前記ネジ軸上を移動する
遮蔽装置。
【請求項6】
請求項4に記載の遮蔽装置であって、
前記操作部材の操作を前記入力部材に伝達するプーリをさらに具備し、
前記支持軸は、前記移動部材を当該支持軸方向に摺動可能に当該移動部材と係合し、
前記移動部材は、外周面に雄ネジを有し、
前記入力部材は前記支持軸及び前記移動部材を内部に収容可能な円筒体であり、
前記円筒体は、内周面に前記雄ネジと螺合する雌ネジを有し、当該円筒体が回転することで、前記係合した前記移動部材が前記支持軸上を移動する
遮蔽装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかに記載の遮蔽装置であって、
前記駆動手段は、前記付勢部材に接続され、前記付勢力による前記遮蔽材の上昇速度を減速する減速手段を有する
遮蔽装置。
【請求項8】
請求項7に記載の遮蔽装置であって、
前記減速手段は、前記付勢部材に接続されるブレーキケースと、当該ブレーキケースに収容されるブレーキ本体と、を有し、
前記クラッチ部材は、
前記支持軸に形成される被係合部に係合可能な係合部と、
前記付勢部材と連動するとともに、前記支持軸上で軸支されるクラッチケースと、を有し、 前記クラッチケースは、
前記係合部が被係合部に係合することで、前記支持軸に対して相対回転不能とされ、
前記係合部が前記被係合部から離脱されることで、前記支持軸に対して相対回転可能とされ、
前記ブレーキケースに対して前記支持軸方向に相対移動可能かつ一体回転可能に係合される
遮蔽装置。
【請求項9】
請求項1に記載の遮蔽装置であって、
前記操作部材は、一部にトリガー部材を有する無端状のコード又はチェーンであり、
前記駆動手段は、ケースと、当該ケースに沿って移動可能な前記付勢部材と、前記トリガー部材が当接することで前記付勢部材を作動可能なスイッチと、を有し、
前記操作部材は、少なくとも一部が前記ケースを挿通しており、
前記付勢部材は、前記トリガー部材と前記スイッチが当接すると、前記操作部材に前記駆動力を伝達する
遮蔽装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の遮蔽装置であって、
前記回転体は巻取パイプであり、
前記遮蔽材は、前記巻取パイプの回転によって巻取られることで上昇する
遮蔽装置。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載の遮蔽装置であって、
前記回転体は巻取ドラムであり、
前記遮蔽材は、当該遮蔽材の一部に一端が連結された昇降コードが前記巻取ドラムに巻取られることによって上昇する
遮蔽装置。
【請求項12】
固定面に取付けられる支持部材と、
前記支持部材によって回転可能に支持される回転体と、
前記回転体を回転駆動可能な操作部材と、
前記操作部材の操作による前記回転体の回転によって開閉可能な遮蔽材と、
前記操作部材に接続され、当該操作部材の駆動力を前記回転体に伝達する駆動手段と
を具備し、
前記駆動手段は、前記遮蔽材の開放又は閉鎖方向の付勢力を前記回転体に付与する付勢部材を有し、
前記付勢部材は、前記遮蔽材が開閉動作の開放限界位置又は閉塞限界位置よりも手前である所定位置まで開閉すると作動し、前記操作部材の操作によらず当該付勢部材の付勢力によって前記遮蔽材を前記開放限界位置又は前記閉塞限界位置まで開閉させる
遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばロールスクリーン等の遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロールスクリーンやブラインド等の遮蔽装置においては、操作コードによって遮蔽材の昇降を行っている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、セットフレームの両端に設けられるサイドプレートに巻取パイプの両端を回転可能に支持し、巻取パイプにスクリーンの一端を巻取り又は巻解き可能に連結し、巻取パイプの一端側において巻取パイプと一体に回転可能なホイールに操作コードを巻き掛けた遮蔽装置としてロールスクリーンが開示されている。
【0004】
さらに上記特許文献1の技術では、巻取パイプの一端部はエンドキャップが嵌合わされ、サイドプレートからはエンドキャップ内を挿通するように支持軸が固定されており、支持軸に相対回転不能に嵌合わされたスリーブ上にホイールが回転自在に支持され、ホイールにはエンドキャップに向かって突起部が一体的に形成され、ホイールが回転すると、突起部がスリーブ上に嵌合わされたクラッチバネを介してエンドキャップに回転を伝達するようになっている。
【0005】
これによれば、操作コードの一方側を引くと、ホイールを介して巻取パイプをスクリーン巻戻し方向に回転することでスクリーンは下降し、操作コードを他方側を引くと、ホイールを介して巻取パイプをスクリーン巻取り方向に回転することで、スクリーンは上昇するようになっており、スクリーンの自重による巻取パイプの回転はクラッチバネの締結によって阻止され、スクリーンが自重で下降してしまうことを防止でき、操作コードを引くことを止めると、スクリーンは操作を止めたときの高さで停止するため、スクリーンを所望の昇降高さで停止させやすいという特徴を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、操作コードの操作によってスクリーンを完全に巻取る上限位置まで上昇させるためには、スクリーン下端が上限位置に到達するまで、操作コードを連続的に引き続ける必要があり、操作性に課題があった。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、遮蔽材を開閉させる際の操作性を向上させることが可能な遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る遮蔽装置は、固定面に取付けられる支持部材と、上記支持部材によって回転可能に支持される回転体と、上記回転体を回転駆動可能な操作部材と、上記操作部材の操作による上記回転体の回転によって昇降可能な遮蔽材と、上記操作部材に接続され、当該操作部材の駆動力を上記回転体に伝達する駆動手段とを有する。上記駆動手段は、上記回転体に上記遮蔽材の上昇方向の付勢力を付与する付勢部材を有する。上記付勢部材は、上記遮蔽材が上昇動作の上限位置よりも手前である所定高さまで上昇すると作動し、上記操作部材の操作によらず当該付勢部材の付勢力によって上記遮蔽材を上記上限位置まで上昇させる。
【0010】
この構成によれば、操作部材の連続操作によって遮蔽材を上昇させ、遮蔽材の上昇位置が上限位置よりも手前となる所定高さまで達すると、操作部材を操作しなくても、付勢部材が自動で遮蔽材を上限位置まで上昇させることができ、操作性が向上する。付勢部材は例えばスプリングやウエイト等であるが、これに限られない。所定高さは、例えば、支持部材の下端から450mm程下方の位置であるが、これに限られない。
【0011】
上記駆動手段は、支持軸と、上記操作部材から上記駆動力を伝達される入力部材と、上記付勢部材に連結されるとともに、上記支持軸と係合するクラッチ部材と、を有してもよい。この場合上記付勢部材は、上記操作部材の操作によって上記入力部材を介して上記クラッチ部材と上記支持軸との係合を解除することで作動してもよい。
【0012】
この構成によれば、操作部材の操作に伴って、入力部材を介してクラッチ部材を切り替えることで、付勢部材を作動させることができる。
【0013】
上記クラッチ部材は、上記支持軸に形成される被係合部に係合可能な係合部と、上記付勢部材と連動するとともに、上記支持軸上で軸支されるクラッチケースと、を有してもよい。この場合上記クラッチケースは、上記係合部が被係合部に係合することで、上記支持軸に対して相対回転不能とされ、上記係合部が上記被係合部から離脱されることで、上記支持軸に対して相対回転可能とされてもよい。
【0014】
この構成によれば、付勢部材をクラッチケースに連動させることで、クラッチケースが係合されているときは付勢部材に付勢力を蓄積可能な状態となり、クラッチケースの係合が解除されたときは、付勢部材の付勢力を解放することができる。
【0015】
上記駆動手段は、上記支持軸に沿って移動可能な移動部材を有してもよい。この場合上記入力部材は、上記移動部材に上記支持軸方向へ移動するための駆動力を伝達してもよい。この場合上記付勢部材は、上記操作部材の操作によって上記入力部材を介して上記移動部材が上記支持軸に沿って移動し、当該移動部材が上記クラッチ部材を切り替えることで、作動してもよい。
【0016】
この構成によれば、操作部材の操作に伴って、支持軸に沿って移動する移動部材がクラッチ部材を切り替えることで、付勢部材が作動する"所定高さ"を一定化できる。
【0017】
上記遮蔽装置は、上記操作部材の操作を上記入力部材に伝達するプーリをさらに有してもよい。この場合上記支持軸はネジ軸であり、上記入力部材は上記ネジ軸及び上記移動部材を内部に収容可能な円筒体であってもよい。この場合上記円筒体は、上記移動部材と係合する凸部又は凹部を有し、当該円筒体が回転することで、上記凸部又は凹部と係合した上記移動部材が上記ネジ軸上を移動してもよい。
【0018】
また上記支持軸は、上記ネジ軸に代えて、上記移動部材を当該支持軸方向に摺動可能に当該移動部材と係合してもよい。この場合上記移動部材は、外周面に雄ネジを有し、上記円筒体は、内周面に上記雄ネジと螺合する雌ネジを有し、当該円筒体が回転することで、上記係合した上記移動部材が上記支持軸上を移動してもよい。
【0019】
これらの構成によれば、操作部材の操作に伴って、プーリを介して入力部材に回転を伝達する構造とし、回転体から入力部材に直接的に駆動力を伝達しない構造としたことで、遮蔽材の自重による影響を受けることなく、付勢部材の付勢力を回転体に伝達できる。
【0020】
上記駆動手段は、上記付勢部材に接続され、上記付勢力による上記遮蔽材の上昇速度を減速する減速手段を有してもよい。
【0021】
この構成によれば、減速手段によって付勢部材による自動での上昇速度を減速でき、安全性及び安心感が向上する。
【0022】
上記減速手段は、上記付勢部材に接続されるブレーキケースと、当該ブレーキケースに収容されるブレーキ本体と、を有してもよい。この場合上記クラッチケースは、上記ブレーキケースに対して上記支持軸方向に相対移動可能かつ一体回転可能に係合されてもよい。
【0023】
この構成によれば、クラッチ部材の軸方向の移動を規制することなくクラッチケースに制動力を付与し、ブレーキ本体をコンパクトに収容できる。
【0024】
上記操作部材は、一部にトリガー部材を有する無端状のコード又はチェーンであってもよい。この場合、上記操作部材に上記駆動力を伝達可能な上記駆動手段は、ケースと、当該ケースに沿って移動可能な上記付勢部材と、上記トリガー部材が当接することで上記付勢部材を作動可能なスイッチと、を有してもよい。またこの場合上記操作部材は、少なくとも一部が上記ケースを挿通しており、上記付勢部材は、上記トリガー部材と上記スイッチが当接すると、上記操作部材に上記駆動力を伝達してもよい。
【0025】
この構成によれば、駆動手段を遮蔽装置の機構部分に内蔵せず、操作部材であるチェーンの移動部分に設けるため、既設の遮蔽装置に操作性向上の機能を追加できる。
【0026】
上記回転体は巻取パイプであってもよい。この場合上記遮蔽材は、上記巻取パイプの回転によって巻取られることで上昇してもよい。
【0027】
この構成によれば、当該遮蔽装置を、遮蔽材を巻取パイプに巻取るロールスクリーン及びシャッター等として実現できる。
【0028】
上記回転体は巻取ドラムであってもよい。この場合上記遮蔽材は、当該遮蔽材の一部に一端が連結された昇降コードが上記巻取ドラムに巻取られることによって上昇してもよい。
【0029】
この構成によれば、当該遮蔽装置を、昇降コードをドラムに巻取ることで遮蔽材を上昇させるベネシャンブラインド、プリーツスクリーン、ハニカムスクリーン及びローマンシェード等として実現できる。
【0030】
本発明の他の形態に係る遮蔽装置は、固定面に取付けられる支持部材と、上記支持部材によって回転可能に支持される回転体と、上記回転体を回転駆動可能な操作部材と、上記操作部材の操作による上記回転体の回転によって開閉可能な遮蔽材と、上記操作部材に接続され、当該操作部材の駆動力を上記回転体に伝達する駆動手段とを有する。上記駆動手段は、上記遮蔽材の開放又は閉鎖方向の付勢力を上記回転体に付与する付勢部材を有する。上記付勢部材は、上記遮蔽材が開閉動作の開放限界位置又は閉塞限界位置よりも手前である所定位置まで開閉すると作動し、上記操作部材の操作によらず当該付勢部材の付勢力によって上記遮蔽材を上記開放限界位置又は上記閉塞限界位置まで開閉させる。
【0031】
この構成によれば、操作部材の連続操作によって遮蔽材を開放又は閉鎖させ、遮蔽材の位置が開放限界位置または閉鎖限界位置よりも手前となる所定位置まで達すると、操作部材を操作しなくても、付勢部材が自動で遮蔽材を限界位置まで開放または閉鎖させることができ、操作性が向上する。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、遮蔽材を開閉させる際の操作性を向上させることができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロールスクリーンの一部透過正面図である。
【
図2】
図1のロールスクリーンが有する巻取パイプ内の正面側断面図である。
【
図3】
図2のA-A断面図、B-B断面図、C-C断面図、D-D断面図、E-E断面図である。
【
図4】上記ロールスクリーンが有する駆動手段の分解斜視図である。
【
図7】上記駆動手段を含むロールスクリーンの主要部の斜視図である。
【
図8】上記駆動手段の動作を示した正面側断面図である。
【
図9】上記ロールスクリーンの上昇操作時における駆動手段のクラッチ部材の動作を示した図である。
【
図10】上記ロールスクリーンの下降操作時における駆動手段のクラッチ部材の動作を示した図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るハニカムスクリーンの一部透過正面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係るロールスクリーンの一部透過正面図及び側面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係るロールスクリーンの駆動手段の動作を示した図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係るロールスクリーンの変形例に係る駆動手段の動作を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0035】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0036】
[ロールスクリーンの構成]
図1は、本実施形態に係るロールスクリーンの一部透過正面図である。
【0037】
同図に示すように、本実施形態に係るロールスクリーン100は、支持部材としてのセットフレーム1と、セットフレーム1に支持される回転体としての巻取パイプ2と、操作部材としてのチェーン3及びプーリ4と、遮蔽材としてのスクリーン5と、回転体を駆動させる駆動手段10とを有する。
【0038】
セットフレーム1は、横長直方体形状を有し、ロールスクリーン100を建物の窓枠や出窓等の開口部に設置するために、ブラケット9を介してネジ止め等によって天井や壁等に取付けられる。セットフレーム1の両端にはサイドプレート16が設けられており、上記巻取パイプ2は当該サイドプレート16に回転可能に支持される。
【0039】
巻取パイプ2には、スクリーン5の一端側が巻取可能に連結されている。スクリーン5の他端側はウエイトバー7に連結されている。
【0040】
当該巻取パイプ2の一端には、当該巻取パイプ2を回転駆動させるための上記チェーン3及びプーリ4が設けられる。当該チェーン3は、環状(無端状)に形成され、プーリ4の外周に巻き掛けられており、プーリ4はサイドプレート16に組み付けられている。スクリーン2は、当該チェーン3の操作による巻取パイプ2の回転によって同
図Y方向に昇降可能とされている。
【0041】
駆動手段10は、上記チェーン3及びプーリ4と接続されており、これらの回転駆動力を巻取パイプ2に伝達する。駆動手段10は、上記巻取パイプ2に、スクリーン2の上昇方向の付勢力(巻取り力)を付与する付勢部材としての巻取スプリング6を有する。
【0042】
詳細は後述するが、巻取スプリング6は、スクリーン2が上昇動作の上限位置(ウエイトバー7がセットフレーム1と当接する位置)よりも手前である所定高さまで上昇すると作動し、上記チェーン3の操作によらず当該巻取スプリングの付勢力によってスクリーン5を上記上限位置まで自動上昇させることが可能である。
【0043】
巻取パイプ2の他端には、スクリーン2の上昇時における操作荷重を軽減するための補助スプリング8が設けられている。
【0044】
[駆動手段の構成]
次に、上記駆動手段10の詳細について説明する。
図2は当該ロールスクリーンが有する巻取パイプ内の正面側断面図である。また
図3は、
図2のA-A断面図(同
図A)、B-B断面図(同
図B)、C-C断面図(同
図C)、D-D断面図(同
図D)、E-E断面図(同
図E)をそれぞれ示した図である。また
図4は、駆動手段10の分解斜視図であり、
図5は駆動手段10の一部分解斜視図であり、
図6は駆動手段10の斜視図である。また
図7は、駆動手段10を含むロールスクリーン100の巻取パイプ2内の主要部の斜視図である。
【0045】
これらの図に示すように、駆動手段10は、上記チェーン3及びプーリ4から駆動力を伝達される入力部材としての円筒体12を有する。当該円筒体12は、各
図X方向に延びサイドプレート16に固定された固定軸17にシャフト21を介して固定的に支持されるネジ軸11と、当該ネジ軸11に沿って移動可能な移動部材13を内部に収容しており、移動部材13にネジ軸11方向(X方向)へ移動するための駆動力を伝達する。
【0046】
より詳細には、円筒体12は、その内周面に移動部材13と係合する凸部12aを有し、移動部材13は上記凸部12aと係合する凹部13aを有する。またネジ軸11は、表面に上記移動部材13の内周面と螺合する雄ネジを有する。当該円筒体12が回転することで、上記凸部12a及び凹部13aにより係合した移動部材13が上記ネジ軸11上を移動する。移動部材13はスクリーン2の上昇及び下降に伴って移動するため、ネジ軸11は、スクリーン2の上昇位置及び下降位置の検出手段としても機能する。
【0047】
上記プーリ4は、上記固定軸17に回転可能に支持され、一部がホイールケース18に収容されている。固定軸17とホイールケース18との間には、クラッチバネ19が設けられる。当該クラッチバネ19は、その付勢力により、スクリーン5(ウエイトバー7)の自重により巻取パイプ2が回転してスクリーン2が巻解かれてしまうのを防止する。ホイールケース18の周囲には、巻取パイプ2の端部に嵌合するアダプタ22が接続されている。
【0048】
ホイールケース18は、上記アダプタ22を介して巻取パイプ2と回転を伝達可能に連結されるとともに、コネクタ20を介して円筒体12と回転を伝達可能に連結されている。
【0049】
プーリ4からの回転は、クラッチバネ19を緩めて、ホイールケース18及びアダプタ22を介して巻取パイプ2に伝達される。一方、巻取パイプ2からの回転は、アダプタ22及びホイールケース18を介してクラッチバネ19を巻締め、これにより巻取パイプ2の回転が規制される。
【0050】
また駆動手段10は、円筒体12に対してプーリ4とは反対側に、巻取スプリング6に連結されるとともにネジ軸11と係合するクラッチ部材14を有する。当該クラッチ部材14は、巻取スプリング6と連動し、巻取スプリング6とプーリ4との接続(巻取スプリング6の付勢力の保持と伝達)を一定の位置で切り替えるためのものである。
【0051】
上記ネジ軸11は、
図4及び
図5に示すように、プーリ4とは反対側よりの位置に例えば凹状の被係合部11aを有する。クラッチ部材14は、当該被係合部11aに係合可能な係合部141と、巻取スプリング6と連動するとともに、ネジ軸11上で軸支されるクラッチケース142とを有する。
【0052】
より詳細には、
図3Dに示すように、係合部141は例えばH字(S字)形状を有し、クラッチケース142に回動可能に軸支され、その回動端の凸部が上記被係合部11aに係合可能である。
【0053】
クラッチケース142は、上記係合部141が被係合部11aに係合することで、ネジ軸11に対して相対回転不能とされている。またクラッチケース142は、ネジ軸11に沿って移動する移動部材13が係合部141に係合することによって当該係合部141が被係合部11aから離脱されることで、ネジ軸11に対して相対回転可能とされている。
【0054】
また
図2乃至
図4に示すように、移動部材13のX方向の先端には、当該X方向に突出しクラッチ部材14の係合部141の、上記回動端の凸部とは反対側の凹部と係合するピン131が一体的に設けられている。
【0055】
そして巻取スプリング6は、上記チェーン3の操作によって上記円筒体12を介して移動部材13がネジ軸11に沿って移動し、当該移動部材13のピン131が上記クラッチ部材14の係合部141とネジ軸11の被係合部11aとの係合を解除することによって作動する。換言すると、係合部141がネジ軸11の被係合部11aと係合することで、巻取スプリング6の解放が規制されている。
【0056】
このように、チェーン3の操作に伴って、ネジ軸11に沿って移動する移動部材13がクラッチ部材14を切り替えることで、巻取スプリング6が作動する"所定高さ"を一定化することができる。
【0057】
また上述のように、チェーン3の操作に伴って、プーリ4を介して円筒体12に回転を伝達する構造とし、巻取パイプ2から円筒体12に直接的に駆動力を伝達しない構造としたことで、スクリーン5の自重による影響を受けることなく、巻取スプリング6の付勢力を巻取パイプ2に伝達することができる。
【0058】
駆動手段10はさらに、上記巻取スプリング6に接続され、当該巻取スプリング6に制動力を付与し、上記付勢力によるスクリーン5の上昇速度を減速する減速手段としてのブレーキ15を有する。またブレーキ15は、巻取スプリング6によるスクリーン5の自動巻上げの速度を一定に保つ機能も担う。
【0059】
ブレーキ15は、ブレーキ本体151と、当該ブレーキ本体を収容するブレーキケース152とを有する。ブレーキ本体151はオイルダンパーであり、ブレーキケース152は、クラッチケース142と巻取スプリング6とを、ブレーキ本体151を介して接続する。
図3E及び
図5に示すように、上記クラッチケース142は、ブレーキケース152に対してネジ軸11方向(X方向)に相対移動可能かつ一体回転可能に係合されている。
【0060】
ブレーキ15をこのような構造とすることで、クラッチ部材14のX方向の移動を規制することなくクラッチケース142に制動力を付与し、スクリーン5の自動上昇時の安全性及び安心感を向上できるとともに、ブレーキ本体151をコンパクトに収容できる。
【0061】
図2及び
図7に示すように、巻取スプリング6は、支持パイプ61の周囲に支持されており、固定端62によって係止されている。固定端62は、軸を固定した調整具で回転止めされており、巻取スプリング6のトルク調整手段を兼ねている。
【0062】
[ロールスクリーンの動作]
次に、以上のように構成されたロールスクリーン100の動作について説明する。
図8は、ロールスクリーン100の上昇操作時における駆動手段10の動作を示した正面側(Z方向)断面図である。
図9は、上記上昇操作時における駆動手段10のクラッチ部材14の動作を示した側面側(X方向)断面図であり、
図10は、上記ロールスクリーン100の下降操作時における駆動手段10のクラッチ部材14の動作を示した側面側(X方向)断面図及び外観図である。
図9及び
図10において、各
図A1乃至D1は円筒体12の断面を示し、各
図A2乃至D2はチェーン3及びスクリーン5の外観を示す。
【0063】
まずロールスクリーン100の上昇動作について説明する。
【0064】
図8A及び
図9Aに示すように、まず、ユーザがチェーン3の操作(
図9の黒色矢印)によりスクリーン5を上昇させている途中においては、プーリ4の回転が、クラッチバネ19を緩めながらホイールケース18を介してコネクタ20に伝達される。コネクタ20からの回転(
図8の回転方向の実線矢印)が円筒体12に入力され、円筒体12の回転(
図8の回転方向の破線矢印)に伴って、移動部材13が回転しながら
図8左方向(
図8の左矢印)に移動する。この上昇操作に伴い、移動部材13のピン131が回転しながらクラッチ部材14に接近する。
【0065】
続いて、
図8B及び
図9Bに示すように、上記チェーン3の操作により、スクリーン5が上昇動作の限界位置である上限位置よりも手前となる所定高さHまで上昇すると(
図9の白抜き矢印)、移動部材13のピン131が、クラッチ部材14の係合部141に当接する。
【0066】
続いて
図9B´に示すように、上記ピン131の回転によって、係合部141の回動端がピン131に引き上げられ、ネジ軸11の被係合部11aとの係合が解除され、クラッチケース142の固定が解除される。これにより、ピン131の移動が規制され、ピン131は、クラッチ部材14の係合部141を介して巻取スプリング6とブレーキ15に接続する。
【0067】
すると、
図8C及び
図9Cに示すように、ユーザがチェーン3の操作を止めても、巻取スプリング6の付勢力によって、クラッチケース142から円筒体12、コネクタ20、ホイールケース18及びアダプタ22を介して巻取パイプ2に回転が伝達されることで、スクリーン5が所定高さHから自動上昇を開始する。
【0068】
ここで、上記上限位置と上記所定高さHとの差(自動上昇する長さ)は、例えば450mmであり、これは巻取パイプ2の約3回転分に相当するものである。この程度の長さがあれば、ユーザも自らの操作に寄らず自動でスクリーン5が上昇している感覚を得ることができる。しかし、当該長さはこれに限られない。
【0069】
そして、
図8D及び
図9Dに示すように、クラッチケース142の回転がブレーキケース152に伝達されることで、スクリーン5はブレーキ15によって制動力が付与されながら、チェーン3の操作によらず巻取スプリング6の付勢力によって巻取パイプ2が回転し上限位置まで自動上昇し、ピン131はクラッチ部材14の係合部141の回転に追随する。
【0070】
この際、上記ブレーキ15により、ウエイトバー7がセットフレーム1の下端に当たった場合の衝撃音が大幅に軽減されている。またユーザはブレーキの回転抵抗で操作が重くなり、チェーン3及びスクリーン5が引きこまれるような感覚を得ることになる。
【0071】
またこのとき、
図9Dに示すように、スクリーン5が上限位置まで自動上昇すると、巻取スプリング6は、付勢力が完全に解放された状態ではなく付勢力が残っているため、クラッチ部材14の係合部141には図中反時計周りに回転しようとする力が作用しており、ピン131は係合部141によって時計回りの回転が規制された状態で停止する。
【0072】
次にロールスクリーン100の下降動作について説明する。
【0073】
まず、
図10Aに示すように、スクリーン5が上限位置で停止した状態から、ユーザがチェーン3を下降方向に操作し(同図黒色矢印)、スクリーン5が下降を開始すると(同図白抜き矢印)、
図10Bに示すように、移動部材13のピン131がクラッチ部材14と共に時計回りに回転する。このとき、クラッチ部材14の時計回りの回転によって、巻取スプリング6には付勢力が蓄えられていく。
【0074】
続いて
図10Cに示すように、ユーザがチェーン3をさらに下降操作するとスクリーン5が上記所定高さHまで下降する。
【0075】
そうすると、
図10C´に示すように、クラッチ部材14の係合部141先端がネジ軸11の被係合部11aに係止される。
【0076】
そして、ユーザがチェーン3をさらに下降操作を継続すると、
図10Dに示すように、クラッチ部材14と移動部材13との係合が解除され、クラッチ部材14の回転が規制されて移動部材13のみが回転するようになる。これによりスクリーン5が操作量に伴って下降するとともに、巻取スプリング6に付勢力が蓄えられた状態でその解放が規制された状態となる。
【0077】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザがチェーン3の連続操作によってスクリーン5を上昇させ、スクリーン5の上昇位置が上限位置よりも手前となる所定高さH(巻取終了直前)まで達すると、チェーン3を操作しなくても、巻取スプリング6が自動でスクリーン5を上限位置まで上昇させることができるため、操作性が向上する。
【0078】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態及びこれ以降の実施形態において、上記第1実施形態と同様の機能を有する箇所には同一の符号を付す。
【0079】
本実施形態では、上記ロールスクリーン100に代わって本発明をハニカムスクリーンに適用している。
図11は、本実施形態に係るハニカムスクリーンの一部透過正面図である。
【0080】
同図に示すように、ハニカムスクリーン200は、ヘッドボックス30の内部に、回転体として上記第1実施形態の巻取パイプ2に代えて複数の巻取ドラム25を有する。
【0081】
巻取ドラム25にはシャフト28が連動可能となっており、巻取ドラム25とシャフト28は一体に回転可能に支持される。
【0082】
図示しないが、巻取ドラム25の内部には、上記第1実施形態と同様のネジ軸11、円筒体12、移動部材13、クラッチ部材13、ブレーキ15が設けられている。
【0083】
また本実施形態におけるスクリーン29は、同
図Y方向に断面6角形の複数の筒状のセルが連結されて畳み込み及び展開可能に形成されたハニカムスクリーンである。当該スクリーン29の生地は、例えば光を透過しない素材で形成されているが、シースルー状の素材で形成されていてもよい。
【0084】
スクリーン29内部には昇降コード26挿通孔(図示せず)が形成されており、当該昇降コード挿通孔には、上記セットフレーム1から垂下された昇降コード26が挿通されている。当該昇降コード26の上端は、ヘッドボックス30内で巻取ドラム25に巻取り及び巻解き可能に連結されており、昇降コード26の他端は、ボトムレール40に連結されている。
【0085】
ユーザがチェーン3を操作することにより、昇降コード26が昇降しボトムレール40が昇降することでスクリーン29を伸縮させることができる。本実施形態では、当該昇降コード26の巻取ドラム25への自動巻取に上記と同様の駆動手段10が用いられる。
【0086】
また本実施形態では、例えば複数の巻取ドラム25のうち最もプーリ4に近い巻取ドラム25とプーリ4との間に、回転体である巻取ドラム25と同軸に一体回転可能に連動ギア27が設けられている。当該連動ギア27の回転がシャフト28を介して、他の巻取ドラム25に伝達されることで、複数の巻取ドラム25の回転が同期される。
【0087】
本実施形態において
図11のようにスクリーン29が展開した状態から畳み込む場合、ユーザがチェーン3を操作して昇降コード26を巻取方向に回転させると、シャフト28と巻取ドラム25が一体に回転して巻取ドラム25が昇降コード26を巻取り、ボトムレール30が上昇してスクリーン29が最下端のセルから上端のセルに向かって順次畳み込まれる。
【0088】
そして、ユーザのさらなるチェーン3の操作により、ボトムレール30が、その上昇動作の限界位置である上限位置よりも手前となる所定高さHまで上昇すると、上記第1実施形態と同様に駆動手段10によって巻取スプリング6が作動し、昇降コード26が上限位置まで自動で巻取ドラム25に巻き取られることになる。
【0089】
このように、回転体として巻取ドラム25が採用された場合でも、駆動手段10による巻取スプリング6の作動によって所定高さHから昇降コード26の自動巻取(スクリーン29の自動上昇)が可能となる。
【0090】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係るロールスクリーンの一部透過正面図及び側面図であり、
図13は、本実施形態に係るロールスクリーンの駆動手段の動作を示した側面側一部断面図である。
【0091】
両図に示すように、本実施形態に係るロールスクリーン300は、チェーン3に接続された駆動手段10を有する。
【0092】
すなわち、本実施形態における駆動手段10は、
図12に示すように、チェーン3を挿通させ例えば壁等の固定面に取付けられる縦長直方体形状のケース51と、チェーン3の一部に設けられた例えば円筒状のトリガー部材52とを有する。
【0093】
また
図13に示すように、駆動手段10は、上記ケース51に沿って移動可能な付勢部材としてのウエイト55と、上記トリガー部材52が当接することでウエイト55を作動可能なスイッチ54とを有する。
【0094】
またケース51内には、チェーン3を挿通させ上記トリガー部材52の上端と当接することでトリガー部材52と連動して上昇及び下降が可能なトリガーキャップ53が設けられている。当該トリガーキャップ53は、トリガー部材52との非当接時においては、ケース51内部に固定されるホルダー53aに保持されている。
【0095】
スイッチ54は例えば鈍角に屈曲した板状または棒状を有する。上記ウエイト55は、当該スイッチ54の底面に設けられている。
【0096】
またケース51内には、例えば2列ほぼ平行に形成された案内溝56が設けられる。スイッチ54は、例えば同
図X方向に突出して設けられた2つの軸部を介して、両案内溝56に案内されるように係合している。案内溝56は、その上端部が屈曲し、その他の部分が直線状の形状を有している。
【0097】
このように構成されたロールスクリーン300の上昇動作について説明する。
【0098】
まず、同
図Aに示すように、スクリーン5の上昇途中においては、トリガー部材52がスイッチ54に当接しておらず、スイッチ54がウエイト55を作動させていない状態であり、スイッチ54は上記案内溝56の屈曲端に係止されている。
【0099】
この状態から、ユーザがさらにチェーン3を操作すると、トリガー部材52が上昇していき、同
図Bに示すように、スクリーン5が上記上限高さ手前の所定高さに達すると、トリガー部材52がトリガーキャップ53と当接し、トリガーキャップ53がホルダー53aを離れてトリガー部材52と共に上昇する。
【0100】
そして、同
図Cに示すように、トリガーキャップ53を介してトリガー部材52がスイッチ54と当接し、ウエイト55を案内溝56の屈曲部分から直線部分の方向へ押し出す。このときスイッチ54は、屈曲部分から直線部分へ向けて同図反時計回りに回転する。
【0101】
これにより、同
図Dに示すように、ウエイト55が案内溝56に沿って自重降下し、ウエイト55の付勢力によって、スイッチ54の上記トリガー部材52との当接端とは反対側の端部と係合するチェーン3に駆動力が伝達されることでチェーン3が同図白抜き矢印で示す長さに相当する分だけ下方向に引かれ、それに応じてスクリーン5は自動で上限位置まで上昇する。
【0102】
このように、本実施形態によれば、駆動手段10をロールスクリーン300のセットフレーム1内の機構部分に内蔵せず、チェーン3の移動部分に設けるため、既設のロールスクリーンに操作性向上の機能を容易に追加できる。
【0103】
<第3実施形態の変形例>
図14は、上記第3実施形態に係るロールスクリーン300の変形例に係る駆動手段10の動作を示した図である。
【0104】
同図に示すように、本実施形態では、付勢部材として、上記ウエイト55に代えて、ケース内51にバネ57が設けられる。バネ57は、例えばその上端がスイッチ54の底面に接続され、その下端がケース57の底面に接続される。
【0105】
バネ57は、トリガー部材52がスイッチ54に当接していない状態では、付勢力を蓄えた状態でスイッチ54を案内溝56の屈曲端部分に係止させている。
【0106】
その状態から、同
図Aに示すように、トリガーキャップ53を介してトリガー部材52がスイッチ54と当接し、ウエイト55を案内溝56の屈曲部分から直線部分の方向へ押し出す。
【0107】
これにより、同
図Bに示すように、バネ57の付勢力によって案内溝56に沿ってスイッチ54が下降し、係合するチェーン3に駆動力が伝達されることでチェーン3が同図白抜き矢印で示す長さに相当する分だけ下方向に引かれ、それに応じてスクリーン5は自動で上限位置まで上昇する。
【0108】
<その他の変形例>
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0109】
上述の第1及び第2実施形態では、チェーン3の操作によって移動部材13がネジ軸11上を移動することでクラッチ部材14とネジ軸11との係合を解除していたが、当該係合の解除は移動部材13によるものに限られない。例えば、ネジ軸11が、スクリーン5が上記所定高さHまで上昇する分だけ回転したことを電気的に検知して上記クラッチ部材14とネジ軸11との係合を解除するスイッチが設けられてもよい。
【0110】
上述の第1及び第2実施形態では、円筒体12が凸部12aを有し移動部材13が凹部13aを有し両者が係合していたが、円筒体12が凹部を有し移動部材13が凸部を有して両者が係合してもよい。
【0111】
上述の第1及び第2実施形態では、支持軸としてネジ軸11が設けられ、当該ネジ軸11に移動部材13が螺合し、移動部材13の外周面に設けられた凹部13a(または凸部)が、円筒体12の内周面に設けられた凸部12a(または凹部)と係合して両者が相対回転不可能とされることで、円筒体12の回転により移動部材13がネジ軸11上を移動可能となっていた。しかし、これに代えて、支持軸がネジ切りを有さない軸とされて、上記と同様の凹凸構造によって軸方向に摺動可能に移動部材13の内周面と係合してもよい。そして移動部材13は、外周面に雄ネジを有し、円筒体12が内周面に上記雄ネジと係合する雌ネジを有し、当該円筒体12が回転することで、上記係合した移動部材13が支持軸上を移動可能となっていてもよい。
【0112】
上述の第1及び第2実施形態では、入力部材としての円筒体12は、コネクタ20及びアダプタ22を介してプーリ4と接続されていたが、円筒体12とアダプタ22とが別個に設けられる必要は無く、コネクタ20が設けられずアダプタ22が円筒体12と一体的に設けられてもよい。
【0113】
上述の第1及び第2実施形態では、ネジ軸11はサイドプレート16に固定されていたが、ネジ軸11を所定トルク分だけ例えばネジ等によって回転移動可能として、そのトルク分、巻取スプリング6の作動長さを調整できるようにしてもよい。
【0114】
上述の各実施形態では、遮蔽材としてロールスクリーン及びハニカムスクリーンを用いた例が示された。しかし、遮蔽材はこれに限られない。例えば、特に回転体として巻取ドラムが用いられる場合、上記第2実施形態のハニカムスクリーン以外に、金属製・樹脂製または木製のスラットを用いたベネシャンブラインド、プリーツスクリーン、及びローマンシェード等の他のブランドについても本発明は同様に適用可能である。また例えば、上記第3実施形態に係る駆動手段10は、支持部材であるセットフレーム1内の構造を従来と変更する必要がなく、遮蔽材自体の自重を利用しないため、ベネシャンブラインド等の昇降式の遮蔽材だけでなく、バーチカルブラインド、シャッター、アコーディオンドア、引き戸又はパネルドア等の横方向への開閉式の遮蔽材等、あらゆる遮蔽材に容易に適用することができる。この場合の回転体としては、巻取パイプ又は巻取ドラムだけでなく、遮蔽材の種類に応じて回転軸等、操作部材によって操作される回転部材を用いることができる。
【0115】
上記横方向への開閉式の遮蔽材が用いられる場合、駆動手段は、遮蔽材の開放又は閉鎖方向の付勢力を回転体に付与する付勢部材を有し、当該付勢部材は、上記遮蔽材が開閉動作の開放限界位置又は閉塞限界位置よりも手前である所定位置まで開閉すると作動し、操作部材の操作によらず当該付勢部材の付勢力によって上記遮蔽材を上記開放限界位置又は上記閉塞限界位置まで開閉させることになる。
【0116】
上述の第3実施形態では、ケース51は壁に設置されたが、セットフレーム1(ヘッドボックス30)から吊下げられるように設けられてもよい。これにより壁への設置すらも不要となるため、従来のブラインドにさらに容易に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
1…セットフレーム(支持部材)
2…巻取パイプ(回転体)
3…チェーン(操作部材)
4…プーリ(操作部材)
5…スクリーン(遮蔽材)
6…巻取スプリング(付勢部材)
7…ウエイトバー
8…補助スプリング
9…ブラケット
10…駆動手段
11…ネジ軸(支持軸)
11a…被係合部
12…円筒体(入力部材)
12a…凸部
13…移動部材
13a…凹部
14…クラッチ部材
15…ブレーキ(減速手段)
16…サイドプレート
17…固定軸
18…ホイールケース
19…クラッチバネ
20…コネクタ
21…シャフト
22…アダプタ
25…巻取ドラム(回転体)
26…昇降コード
27…連動ギア
28…シャフト
29…ハニカムスクリーン(遮蔽材)
30…ヘッドボックス(支持部材)
40…ボトムレール
51…ケース
52…トリガー部材
53…トリガーキャップ
53a…ホルダー
54…スイッチ
55…ウエイト(付勢部材)
56…案内溝
57…ばね(付勢部材)
61…支持パイプ
62…固定端
100、300…ロールスクリーン
131…ピン
141…係合部
142…クラッチケース
143…突起
151…ブレーキ本体
152…ブレーキケース
200…ハニカムスクリーン
H…所定高さ