(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法及び集積回路
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
H04L27/26 310
H04L27/26 113
(21)【出願番号】P 2019528388
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2018019005
(87)【国際公開番号】W WO2019008916
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2017133818
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】高田 智史
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/067727(WO,A1)
【文献】特開2010-041446(JP,A)
【文献】INTERDIGITAL INC.,On the Coexistence of 802.11ax and 802.11ba Signals,IEEE 802.11-17/0659r3,Internet<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17,2017年05月08日
【文献】LG ELECTRONICS,Further Investigation on WUR Performance,IEEE 802.11-16/1144r0,Internet<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/16,2016年09月12日
【文献】Rui Cao (Marvell),WUR Link Budget Analysis Follow-up: Data Rates and SIG Bits Protection,IEEE 802.11-17/0676r1,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11-17-0676-01-00ba-wur-link-budget-follow-up-data-rates.pptx>,2017年05月07日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定振幅系列を周波数領域の13サブキャリアにマッピングし、前記定振幅系列の一部は2サブキャリア間隔で割り当てられる、工程と、
前記13サブキャリアの上端及び下端に1より小さい所定の係数を乗算する、工程と、
前記マッピングされた定振幅系列に逆フーリエ変換処理を行う工程と、
前記逆フーリエ変換処理により生成された時間領域信号にマンチェスタ符号化を行う工程と、
前記マンチェスタ符号化において、前記時間領域信号の後半区間及び前半区間の何れか一方をマスクアウトする工程と、によりon-off keying (OOK) 変調信号を生成する、回路と、
前記OOK変調信号を送信する、送信機と、を具備する、
通信装置。
【請求項2】
前記回路は、前記マンチェスタ符号化において、
前記マッピングされた定振幅系列について、前記OOK変調信号内のON信号区間内の時間波形における電力ピークが前記ON信号区間内の中央部分に配置されるように位相回転する工程により、前記OOK変調信号を生成する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記回路は、前記マンチェスタ符号化において、
前記OOK変調信号内の時間波形について、前記OOK変調信号内のON信号区間内の時間波形における電力ピークが前記ON信号区間内の中央部分に配置されるように巡回シフトする工程により、前記OOK変調信号を生成する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
定振幅系列を周波数領域の13サブキャリアにマッピングし、前記定振幅系列の一部は2サブキャリア間隔で割り当てられる、工程と、
前記13サブキャリアの上端及び下端に1より小さい所定の係数を乗算する、工程と、
前記マッピングされた定振幅系列に逆フーリエ変換処理を行う工程と、
前記逆フーリエ変換処理により生成された時間領域信号にマンチェスタ符号化を行う工程と、
前記マンチェスタ符号化において、前記時間領域信号の後半区間及び前半区間の何れか一方をマスクアウトする工程と、によりon-off keying (OOK) 変調信号を生成する、ステップと、
前記OOK変調信号を送信する、ステップと、を有する、
通信方法。
【請求項5】
定振幅系列を周波数領域の13サブキャリアにマッピングし、前記定振幅系列の一部は2サブキャリア間隔で割り当てられる、工程と、
前記13サブキャリアの上端及び下端に1より小さい所定の係数を乗算する、工程と、
前記マッピングされた定振幅系列に逆フーリエ変換処理を行う工程と、
前記逆フーリエ変換処理により生成された時間領域信号にマンチェスタ符号化を行う工程と、
前記マンチェスタ符号化において、前記時間領域信号の後半区間及び前半区間の何れか一方をマスクアウトする工程と、によりon-off keying (OOK) 変調信号を生成する、ステップと、
前記OOK変調信号を送信する、ステップと、を制御する、
集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線送信装置及び送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.11 Working GroupのTask Group baにおいて、端末の低消費電力化を目的としたIEEE 802.11ba(以下、「11ba」と呼ぶ)の技術仕様策定がWUR (Wake-up Radio) Study Groupにおいて進められている。
【0003】
ウェイクアップ無線(WUR)は、主接続無線(PCR: primary connectivity radio)と共に用いられ、PCRをスリープ状態からウェイクアップするために使用される。PCRには、例えば非特許文献1に記載されている無線LAN標準規格の方式、又は、IEEE802.11axのような将来規格化予定の方式が使用される。
【0004】
また、11baでは、制御情報のみを伝送する「ウェイクアップパケット」の規格化が進められている。ウェイクアップパケットの受信によりPCRがスリープ状態からウェイクアップされることになる。
【0005】
ウェイクアップパケットのペイロード部分の変調は、マンチェスタ符号を用いたOOK(OOK(オンオフ変調:On-Off Keying)with Manchester code)を使用することが検討されている。また、OOK波形はIEEE802.11 OFDM PHY(例えば、非特許文献1を参照)と同一パラメータのサブキャリア(すなわち、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)サブキャリア)に所定の値(係数)を設定することにより生成することが検討されている。なお、サブキャリアは「トーン(tone)」とも呼ばれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】IEEE Std 802.11TM-2016
【文献】IEEE 802.11ba framework (17/0575r1)
【文献】IEEE 802.11-16/1144r0 “Further Investigation on WUR Performance”
【文献】IEEE 802.11-17/0084r0 “High Level PHY Design”
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、OFDMベースのマンチェスタ符号を用いたOOK変調信号の生成方法については十分に検討がなされていない。
【0008】
本開示の一態様は、OFDMベースのマンチェスタ符号を用いたOOK変調信号を適切に生成することができる無線送信装置及び送信方法の提供に資する。
【0009】
本開示の一態様に係る無線送信装置は、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto Correlation)系列を、周波数領域において隣接するM個のサブキャリア(Mは3以上の整数)のうち所定間隔に配置されたN個のサブキャリア(Nは2以上の整数)にマッピングし、前記マッピングされたCAZAC系列に対してInverse Fast Fourier Transform(IFFT)処理を行い、前記IFFT処理により生成された時間領域信号に対してマンチェスタ符号化を行うことにより、OOK(On-Off Keying)変調信号を生成する信号生成回路と、前記OOK変調信号を送信する送信部と、を具備する。
【0010】
本開示の一態様に係る送信方法は、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto Correlation)系列を、周波数領域において隣接するM個のサブキャリア(Mは3以上の整数)のうち所定間隔に配置されたN個のサブキャリア(Nは2以上の整数)にマッピングし、前記マッピングされたCAZAC系列に対してInverse Fast Fourier Transform(IFFT処理)を行い、前記IFFT処理により生成された時間領域信号に対してマンチェスタ符号化を行うことにより、OOK(On-Off Keying)変調信号を生成し、前記生成されたOOK信号変調を送信する。
【0011】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0012】
本開示の一態様によれば、OFDMベースのマンチェスタ符号を用いたOOK変調信号を適切に生成することができる。
【0013】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】周波数領域におけるOFDMサブキャリア割当例を示す図
【
図3】マンチェスタ符号化OOK信号の一例を示す図
【
図4】マンチェスタ符号化前後のスペクトラムの一例を示す図
【
図5】実施の形態1に係る無線送信装置の一部の構成を示すブロック図
【
図6】実施の形態1に係る無線送信装置の構成例を示すブロック図
【
図8】実施の形態1に係るPCR処理と共用する場合の無線送信装置の構成例を占めずブロック図
【
図9】実施の形態1に係る無線受信装置の構成例を示すブロック図
【
図10】実施の形態1に係る無線送信装置の動作例を示すフローチャート図
【
図11】Extension ZC及びTruncation ZCの一例を示す図
【
図12A】実施の形態1に係る周波数領域におけるOFDMサブキャリア割当例を示す図
【
図12B】実施の形態1に係るZC系列の一例を示す図
【
図13】ZC系列番号とCMとの関係の一例を示す図
【
図14】実施の形態2に係る無線送信装置の構成例を示すブロック図
【
図15】実施の形態2に係る位相回転処理の一例を示す図
【
図16】実施の形態2に係る無線送信装置の他の構成例を示すブロック図
【
図17】実施の形態2の変形例に係るOFDMサブキャリア割当例を示す図
【
図18】実施の形態2の変形例に係るZC系列の時間領域信号の一例を示す図
【
図19A】実施の形態3に係る無線送信装置の構成例及び動作例を示す図
【
図19B】実施の形態3に係る無線送信装置の構成例及び動作例を示す図
【
図20】実施の形態4に係る無線送信装置の構成例を示す図
【
図21】実施の形態4に係るBSS-IDとZC系列番号との対応付けの一例を示す図
【
図22】実施の形態4に係る端末情報とZC巡回シフト量との対応付けの一例を示す図
【
図23】実施の形態4に係る無線受信装置の構成例を示す図
【
図24】実施の形態4に係る端末番号とZC巡回シフト量との対応付けの一例を示す図
【
図25】実施の形態4に係る端末情報とZC系列番号との対応付けの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、WUR信号に対する周波数領域におけるサブキャリア(OFDMサブキャリア)の割当例を示す。
図1に示すように、20MHz帯域幅(例えば、64-OFDMサブキャリア、サブキャリア間隔312.5kHz)内の中央部の13サブキャリア(4.06MHz帯域幅に相当。以下、単に「4MHz」と表記する)に係数を設定することが検討されている(例えば、非特許文献2、3、4を参照)。
【0017】
11baにおいて検討中の時間領域のマンチェスタ符号を用いたOOK変調信号(以下、「マンチェスタ符号化OOK信号(Manchester coded OOK signal)」と呼ぶ)の情報シンボル「0/1」の生成方法の一例が非特許文献3に開示されている。具体的には、情報シンボル‘0’は、シンボル内の信号レベルの高(ON)から低(OFF)への遷移として定義され、情報シンボル‘1’は、シンボル内の信号レベルの低(OFF)から高(ON)への遷移として定義される。
【0018】
図2は、13サブキャリアへの係数の割当として、7サンプルの一定係数(全サンプルが振幅1.0の係数)を2サブキャリア間隔で割り当てた例を示す(例えば、非特許文献3を参照)。
図2に示すように、4MHz帯域内において2サブキャリア間隔のサブキャリア(偶数サブキャリア)に係数が割り当てられることにより、3.2usのFFT(Fast Fourier Transform)区間におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理後の時間波形は1.6us周期の波形となる。また、
図2に示すマンチェスタ符号化において、IFFT処理によって得られた3.2usの時間波形から、前半区間又は後半区間の信号をマスクアウトして1.6usの波形を抽出することにより、マンチェスタ符号化OOK信号(OOK bit)が生成される。
【0019】
なお、IEEE802.11 OFDM PHYと同様、3.2usの波形に、0.8usのガードインターバル(GI)が付加されることにより、4usのシンボルが得られる。例えば、
図3に示すように、マンチェスタ符号化OOK信号内のON信号(ON-Signal)に対応する1.6usの波形の直前に、GIとして0.4usのCP(Cyclic Prefix)を付加することにより、2usのON信号と2usのOFF信号(OFF-Signal)とから成る4usのシンボルが得られる(例えば、非特許文献3を参照)。
【0020】
WUR信号としては、周波数領域におけるフラットな特性、及び、低CM(Cubic Metric)/PAPR(Peak to Average Power Ratio)特性の2つの特性を両立することが好ましい。周波数領域におけるフラットな特性により、WUR信号の総送信電力を大きくできる効果が得られる。また、低CM/PAPR特性により、アクセスポイント(AP)、端末の消費電力を低減できる効果が得られる。
【0021】
周波数領域におけるフラットな特性と、低CM/PAPR特性とを有する系列として、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto- Correlation)系列がある。また、CAZAC系列の一つとして、例えば、Zadoff-Chu(ZC)系列がある。
【0022】
ただし、ZC系列を用いる場合のマンチェスタ符号化OOK信号の生成方法の詳細については十分に検討がなされていない。
【0023】
例えば、
図1と同様に、WUR信号に対して13サブキャリアを割り当てる際、単純に系列長13のZC系列を適用した場合には、マンチェスタ符号化後(マスクアウト後)のOOK変調信号は、
図4に示すように周波数領域でのフラットな特性を維持できない。また、
図4に示すように、ZC系列の係数が割り当てられた13キャリアの帯域以外に送信スペクトルが広がるため、他の通信への干渉の原因となる。このようなスペクトル形状の変化及び帯域幅の拡大は、ZC系列によるOOK変調信号に限るものではなく、マスクアウトによるマンチェスタ符号化を適用する場合の一般的な課題である。
【0024】
そこで、本開示の一態様では、周波数領域におけるフラットな特性及び低CM/PAPR特性を有するZC系列を用いたマンチェスタ符号化OOK信号生成方法について説明する。
【0025】
[通信システムの概要]
本開示の一実施の形態に係る通信システムは、無線送信装置100及び無線受信装置500を備える。例えば、無線送信装置100は、マンチェスタ符号化OOK信号を用いたウェイクアップパケットを送信するアクセスポイント(AP)である。また、無線受信装置500は、当該ウェイクアップパケットを受信する端末である。
【0026】
図5は本開示の実施の形態に係る無線送信装置100の一部の構成を示すブロック図である。
図5に示す無線送信装置100において、信号生成部10は、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto Correlation)系列を、周波数領域において隣接するM個のサブキャリア(Mは3以上の整数)のうち所定間隔に配置されたN個のサブキャリア(Nは2以上の整数)にマッピングし、前記マッピングされたCAZAC系列に対してInverse Fast Fourier Transform(IFFT)処理を行い、IFFT処理により生成された時間領域信号に対してマンチェスタ符号化を行うことにより、OOK(On-Off Keying)変調信号を生成する。無線送信部107は、OOK変調信号を送信する。
【0027】
[無線送信装置の構成]
図6は、本実施の形態に係る無線送信装置100の構成を示すブロック図である。無線送信装置100は、ウェイクアップパケットデータを生成し、無線受信装置500へ送信する。
【0028】
図6において、無線送信装置100は、割当指示部101と、系列生成部102と、サブキャリア割当部103と、IFFT部104と、マンチェスタ符号化部105と、GI挿入部106と、無線送信部107と、アンテナ108と、を有する。なお、割当指示部101~GI挿入部106は、マンチェスタ符号化OOK信号を生成するマンチェスタ符号化OOK信号生成部10を構成する。
【0029】
割当指示部101は、ウェイクアップパケットを割り当てる帯域のサブキャリア数及びサブキャリア間隔を示す情報を系列生成部102及びサブキャリア割当部103に通知する。例えば、割当指示部101は、ウェイクアップパケットを割り当てる帯域のサブキャリア数として、64-OFDMサブキャリア(20MHz帯域幅)内の中央部の13サブキャリア(4.06MHz帯域幅に相当)を指示し、サブキャリア間隔として2サブキャリア間隔を通知してもよい。なお、割当指示部101が通知するサブキャリア数及びサブキャリア間隔は、これらの値に限定されるものではない。
【0030】
系列生成部102は、割当指示部101から入力される情報に基づいてCAZAC系列(例えば、ZC系列)を生成し、サブキャリア割当部103へ出力する。なお、系列生成部102における系列生成方法の詳細な動作については後述する。
【0031】
サブキャリア割当部103は、割当指示部101から入力される情報(サブキャリア数、サブキャリア間隔等)に基づいて、系列生成部102から入力される系列を周波数リソース(サブキャリア)に割り当てる。サブキャリア割当部103は、サブキャリア割当後の周波数領域信号(64-OFDMサブキャリア)をIFFT部104に出力する。なお、サブキャリア割当部103におけるサブキャリア割当方法の詳細な動作については後述する。
【0032】
IFFT部104は、サブキャリア割当部103から入力される周波数領域信号に対してIFFT(逆フーリエ変換)処理を行い、時間領域信号(例えば、3.2usの時間領域信号)を得る。
【0033】
マンチェスタ符号化部105は、IFFT部104から入力される時間領域信号に対してマンチェスタ符号化を行う。例えば、マンチェスタ符号化部105は、入力されるウェイクアップパケットデータ(情報シンボル‘0’又は‘1’)に応じて、IFFT部104から入力される時間領域信号(例えば、3.2usの信号)の後半区間及び前半区間の何れか一方の1.6us区間をマスクアウトして、他方の1.6us区間の波形(ON信号)を抽出することにより、マンチェスタ符号化OOK信号を生成する。
【0034】
GI挿入部106は、マンチェスタ符号化部105から入力されるマンチェスタ符号化OOK信号内のON信号にGI(ガード区間)を付加する。GI挿入部106は、例えば、
図7のa),c)に示すように、一定の振幅0期間(Blank GIと呼ばれる)をON信号及びOFF信号全体(ON+OFF信号全体)に付加してもよく、
図7のb)に示すようにGIをON信号及びOFF信号のそれぞれに付加してもよい。または、GI挿入部106は、
図7のd),e)に示すように、Blank GI ではなく、ON信号の一部を先頭又は後尾にコピーしたCP(Cyclic Prefix)をGIとして付加してもよい。GIを付加することで、マルチパス又はフィルタ応答による符号間干渉(ISI; Inter-Symbol Interference)を低減できる。
【0035】
無線送信部107は、GI挿入部106から入力されるマンチェスタ符号化OOK信号に対してD/A変換、キャリア周波数にアップコンバート等の所定の無線送信処理を施し、無線送信処理後の信号をアンテナ108を介して送信する。
【0036】
[PCR処理と共用する場合の無線送信装置の構成]
図8は、PCR処理とWUR処理とを共用する場合の無線送信装置150の構成を示すブロック図である。なお、
図8において、
図6に示す無線送信装置100と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
具体的には、
図8に示す無線送信装置150は、
図6に示す無線送信装置100の構成に対して、PCR/WURの切り替え制御を行う切替制御部151と、PCRパケットデータのサブキャリア割当を行うPCRサブキャリア割当部152と、PCR/WUR切替を行う選択部153とが新たに設けられる。
【0038】
切替制御部151は、PCR/WURの選択、及び、マンチェスタ符号化部105及びGI挿入部106の動作の切替を制御する。具体的には、切替制御部151は、PCR時には、マンチェスタ符号化部105の機能をOFFにする制御を行う。また、切替制御部151は、GI挿入部106に対して、PCR時及びWUR時の各仕様に従ったGIの挿入動作を制御する。例えば、
図7のc)に示すWUR信号を生成する場合、GI挿入部106の時間的な動作(タイミング)はPCR時とWUR時とで共通となり、切替制御部151は、CP挿入か(PCR時)、Blank GI挿入か(WUR時)を切り替えることになる。
【0039】
選択部153は、切替制御部151からの制御に従って、IFFT部104への出力データとして、PCR時にはサブキャリア割当部152から入力されるPCRパケットデータを選択し、WUR時にはサブキャリア割当部103から入力されるウェイクアップパケットデータを選択する。
【0040】
IFFT部104及びGI挿入部106は、PCR/WURに対して共用となる。また、マンチェスタ符号化部105はPCR時には機能OFFとなる。
【0041】
[無線受信装置の構成]
図9は、本実施の形態に係る無線受信装置500の構成を示すブロック図である。無線受信装置500は、無線送信装置100から送信されるウェイクアップパケットデータを受信する。なお、無線受信装置500は、電力(信号レベル)に基づいてマンチェスタ符号化OOK信号の情報シンボル(0又は1)の判定を行う(envelop detection)。
【0042】
図9において、無線受信装置500は、アンテナ501と、無線受信部502と、低域通過フィルタ部503と、GI抜去部504と、電力検出部505と、オンオフ判定部506とを有する。なお、GI抜去部504、電力検出部505及びオンオフ判定部506は、マンチェスタ復号部50を構成する。
【0043】
無線受信部502は、無線送信装置100から送信されたウェイクアップパケットをアンテナ501を介して受信し、受信した信号にダウンコンバート、A/D変換等の所定の無線受信処理を施し、無線受信処理後の信号を低域通過フィルタ部503に出力する。
【0044】
低域通過フィルタ部503は、無線受信部502から入力される信号に対して、雑音成分を抑圧するように高域周波数成分をカットするフィルタ処理を行う。
【0045】
GI抜去部504は、低域通過フィルタ部503から入力される信号から、無線送信装置100にて挿入されたGI部分を取り除く処理を行う。
【0046】
電力検出部505は、GI抜去部504から入力される信号の電力を検出する。具体的には、電力検出部505は、マンチェスタ復号を行うために、情報シンボル区間の前半1.6us及び後半1.6usのそれぞれの総電力を求める。
【0047】
オンオフ判定部506は、電力検出部505で求められた情報シンボル区間の前半の総電力と後半の総電力とを大小比較し、情報シンボルの判定を行い、ウェイクアップパケットデータを出力する。
【0048】
[無線送信装置100の動作]
次に、上述した無線送信装置100の動作について詳細に説明する。
【0049】
図10は、無線送信装置100(
図6)の動作を示すフローチャートである。
【0050】
系列生成部102は、CAZAC系列を生成する(ST101)。
【0051】
例えば、系列生成部102は、CAZAC系列として、次式(1)に示すZC系列を生成する。
【数1】
【0052】
ここで、qはZC系列の系列番号を示し、1≦q≦NZC-1の整数である。また、NZCはZC系列の系列長を示す。また、mはZC系列を構成するサンプルの番号を示す。
【0053】
例えば、NZCは、割当指示部101から通知されたウェイクアップパケットを割り当てる帯域のサブキャリア数(M)及びサブキャリア間隔(P)に基づいてceil(M/P)(ただし、関数ceil(x)はx以上の整数の最小値を返す関数である)の値に近い素数の値でもよい。すなわち、系列長NZCは、サブキャリア数(M)を所定間隔(P)で割ることにより得られる値以上の最小の素数でもよい。
【0054】
一例として、本実施の形態では、M=13、P=2とし、ceil(13/2) (=7)の値に近い素数である7をN
ZCとする。なお、ceil(M/P)とZC系列長とが異なる場合、系列生成部102は、ZC系列長をceil(M/P)に合わせるために、
図11に示すように、生成したZC系列の一部を繰り返す方法(extension ZC)又は生成したZC系列の一部を削除する方法(Truncation ZC)を用いてもよい。
【0055】
次に、サブキャリア割当部103は、ウェイクアップパケットを割り当てる帯域のサブキャリア数(M)及びサブキャリア間隔(P)に基づいて、系列生成部102において生成されたZC系列をサブキャリアに割り当てる(
図10のST102)。
【0056】
図12Aは、ウェイクアップパケットを割り当てる帯域のサブキャリア数M=13とし、サブキャリア間隔P=2とし、ZC系列の系列長N
ZC=7とした場合のZC系列のサブキャリア割当例を示す。また、
図12Bは、一例として、系列長N
ZC=7、系列番号q=1のZC系列の各サンプルm=0~6の値を示す。
【0057】
サブキャリア割当部103は、
図12Aに示すように、割当指示部101から通知されたウェイクアップパケットを割り当てる帯域のサブキャリア(M=13)の位置に、2サブキャリア間隔(P=2)でZC系列を割り当てる。すなわち、サブキャリア割当部103は、周波数領域において隣接する13個(M=13)のサブキャリアのうち所定間隔(P=2)に配置された7個(N=7)のサブキャリアにZC系列をマッピングする。
【0058】
そして、IFFT部104は、ZC系列がサブキャリアにマッピングされた周波数領域信号に対してIFFT処理を行い(ST103)、マンチェスタ符号化部105は、IFFT処理後の時間領域信号に対してマンチェスタ符号化(マスクアウト)を行ってマンチェスタ符号化OOK信号を生成する(ST104)。そして、無線送信部107は、マンチェスタ符号化OOK信号を無線受信装置200へ送信する(ST105)。
【0059】
ここで、ZC系列は、フーリエ変換後もZC系列の特性を維持する特徴を有する。よって、2サブキャリア間隔でZC系列をサブキャリアに割り当てた結果、IFFT後の時間領域の波形は、1.6us長のZC系列を2周期繰り返した信号となる。すなわち、マンチェスタ符号化部105は、2周期繰り返される1.6us長のZC系列の何れか一方(OFF信号に相当)をマスクアウトし、他方(ON信号に相当)を抽出する。つまり、マンチェスタ符号化OOK信号(マスクアウト後のOOK変調信号のON信号)は1.6us長のZC系列となる。これにより、マンチェスタ符号化OOK信号は、ZC系列が有する周波数領域でのフラットな特性、及び、低CM・PAPR特性の双方を有する。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態では、無線送信装置100は、CAZAC系列(ZC系列)を所定間隔のサブキャリアにマッピングし、CAZAC系列がマッピングされた周波数領域信号に対してIFFT処理を行い、IFFT処理後の時間領域に対してマンチェスタ符号化を行うことにより、マンチェスタ符号化OOK信号を生成する。この処理により、生成されるマンチェスタ符号化OOK信号では、ZC系列の特性である周波数領域でフラットな特性と低CM/PAPR特性とを維持することができる。
【0061】
よって、本実施の形態によれば、OFDMベースのマンチェスタ符号を用いたOOK変調信号を適切に生成することができる。これにより、WURの受信性能を向上させることができる。
【0062】
また、マンチェスタ符号化OOK信号(つまり、WUR信号)において周波数領域でフラットな特性を得ることにより、法規制等によって電力密度レベル(例えば1MHz当たりの送信電力)に制限がある場合でも無線送信装置100におけるWUR信号の総送信電力を大きくすることができる。また、周波数ダイバーシチ効果によって、無線受信装置500におけるWUR信号の検出性能を改善することができる。具体的な効果の例としては、周波数選択性による一部帯域の品質劣化による性能劣化を抑えることができる。
【0063】
また、マンチェスタ符号化OOK信号(つまり、WUR信号)において低CM/PAPR特性を得ることにより、最大送信電力の小さい送信機でも所要平均送信電力が得られるため、無線送信装置100の消費電力を低減できる。
【0064】
<実施の形態1の変形例1>
なお、本実施の形態では、CAZAC系列がマッピングされるサブキャリアの間隔を2サブキャリア間隔とする場合について説明した。しかし、CAZAC系列がマッピングされるサブキャリアの間隔は2サブキャリア間隔に限定されない。例えば、サブキャリア間隔(P=4)の場合、無線送信装置100は、マンチェスタ符号化OOK信号をレピティションした信号を生成してもよい。具体的には、無線送信装置100は、系列NZC=3のZC系列を、4サブキャリア間隔で4MHz帯域にマッピングしてもよい。これにより、128点IFFT処理後の時間領域の波形は、1.6us長のZC系列が4周期繰り返した信号となる。マンチェスタ符号化部105は、例えば、4周期のZC系列のうち、2番目と4番目のZC系列をマスクすることにより情報シンボル‘0’のレピティション信号を生成し、1番目と3番目のZC系列をマスクすることにより情報シンボル‘1’のレピティション信号を生成することが可能となる。また、無線送信装置100は、マスクのパターンを増やすことにより、レピティションに限らず任意のデータの組み合わせによる2シンボルのマンチェスタ符号化OOK信号を一度に生成することもできる。
【0065】
<実施の形態1の変形例2>
系列生成部102で生成されるZC系列は、系列番号によってCM/PAPRが異なる。そこで、無線送信装置100は、CM/PAPRが最も低い系列番号を用いてマンチェスタ符号化OOK信号を生成することで、無線受信装置500(端末)の消費電力をより低減できる効果がある。例えば、
図13に示すように、系列長が7のZC系列(Nzc = 7)は、系列番号「q=1又はNzc-1」を用いた場合にCMが最も低くなる。Nzc = 8~97でも同様に系列番号「q=1又はNzc-1」を用いた場合にCMが最も低くなる。そこで、無線送信装置100(系列生成部102)は系列番号「q=1又はNzc-1」のZC系列を用いてマンチェスタ符号化OOK信号を生成してもよい。このように、系列番号「q=1又はNzc-1」のZC系列に限定することで、無線受信装置500(端末)の消費電力をより低減することができる。
【0066】
(実施の形態2)
マンチェスタ符号化OOK信号のON信号内の端部の送信電力が高い場合、マルチパス又はフィルタ応答による符号間干渉(シンボル間干渉と呼ばれることもある)(ISI: Inter-Symbol Interference)の影響により、高い電力領域の信号成分が、隣接するOFF信号領域に重畳して干渉となり、WUR性能が劣化してしまう。
【0067】
また、受信側では、マンチェスタ符号化OOK信号に含まれるCP部分を取り除いて復号処理を行う。このため、ON信号内の端部がCPである場合、送信電力が高いCP部分が取り除かれてしまい、電力効率が低下してしまう。
【0068】
そこで、本実施の形態では、マンチェスタ符号化OOK信号内のON信号の波形内における送信電力の増減に伴うWUR性能の劣化又は電力効率の低下を防止する方法について説明する。
【0069】
なお、本実施の形態に係る無線受信装置は、実施の形態1に係る無線受信装置500と基本構成が共通するので、
図9を援用して説明する。
【0070】
[無線送信装置の構成]
図14は、本実施の形態に係る無線送信装置200の構成を示すブロック図である。なお、
図14において、実施の形態1(
図6)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
無線送信装置200において、位相回転部201は、サブキャリア割当部103から入力される信号に対して位相回転を施す。具体的には、位相回転部201は、後段のマンチェスタ符号化部105において生成されるマンチェスタ符号化OOK信号内のON信号の区間内の時間波形における電力ピークが当該ON信号の区間内の中央部分に配置されるように周波数領域の信号に対して位相回転を実施する。そして、位相回転部201は、位相回転後の信号をIFFT部104に出力する。
【0072】
以下、位相回転部201の動作について詳細に説明する。
【0073】
ここでは、系列生成部102において生成される系列として、ZC系列を用いる場合について説明する。
【0074】
図15は、系列長Nzc=7、系列番号q=1のZC系列を割当帯域のサブキャリア(M=13)の位置にサブキャリア間隔P=2で割り当てた場合の周波数スペクトラム及び時間波形を示す。
【0075】
図15に示すように、周波数領域ではサブキャリア間隔(P=2)毎に一定振幅(1.0)となっているが、オーバサンプリングの影響により、IFFT後の時間波形は一定とならない。このため、送信電力が高い部分が時間波形の両端部にある場合、マルチパス又はフィルタ応答による符号間干渉(ISI)の影響により、高い電力領域の信号成分がマンチェスタ符号化後のOFF信号領域に重畳して干渉となり、WUR性能が劣化してしまう。
【0076】
これに対して、無線送信装置200では、位相回転部201は、サブキャリア割当部103から入力される周波数領域の出力信号に対して位相回転を行う。フーリエ変換の性質により、周波数領域の出力信号に対して位相回転を行うことによって、時間領域では、
図15に示すように、時間波形を巡回シフトすることができる。すなわち、位相回転部201は、送信電力の高い部分が時間波形の両端部とならないように時間波形を巡回シフトする。こうすることにより、マルチパス又はフィルタ応答による符号間干渉(ISI)の影響による性能劣化を改善することができる。
【0077】
このように、本実施の形態によれば、ON信号の時間波形内における送信電力の増減に伴うISIを低減でき、WUR性能を向上させることができる。また、CPを用いる場合は、電力効率も改善できる。
【0078】
なお、
図14に示す無線送信装置200が備える位相回転部201の代わりに、
図16に示す無線送信装置300のように、IFFT部104の出力である時間領域信号に対して巡回シフトを行う巡回シフト部301を備えてもよい。巡回シフト部301は、マンチェスタ符号化OOK信号内のON信号の区間内の時間波形における電力ピークが当該ON信号の区間内の中央部分に配置されるように、時間領域信号に対して巡回シフトを行う。これにより、位相回転を施す場合と同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、ZC系列を用いる場合、ON信号の区間内の時間波形における電力ピークをON信号の中央部分に配置するための位相回転量又は巡回シフト量についてはZC系列番号qに依存する。そこで、無線送信装置200,300は、ZC系列番号毎に、位相回転量又は巡回シフト量を変えてもよい。これにより、全ての系列番号において、時間波形における電力のピーク値を中央部分に配置することができるので、マルチパス又はフィルタ応答による符号間干渉(ISI)の影響による性能劣化を改善することができる。
【0080】
<実施の形態2の変形例>
系列生成部102で生成される系列はZC系列に限らず、サブキャリア係数が一定の系列でもよい。例えば、
図2に示すように、13サブキャリアへの係数の割り当てとし、7サンプルの一定係数(全サンプルが振幅1.0の係数)を2サブキャリア間隔で割り当てる例(非特許文献2を参照)について説明する。
【0081】
図17は、サブキャリア毎のの位相回転量をπとした場合の系列の一例を示す。位相回転量がπの場合、
図17に示すように、サブキャリア係数の値は、2サンプル毎に-1, +1, -1, +1, -1, +1, -1のように符号反転した値となる。
図17に示す位相回転により、
図18に示すように、ON信号内の時間波形における電力ピークをON信号の中央部分に配置することができる。2サンプル毎に符号反転した値となる係数は、IEEE 802.11 OFDM PHYにおけるBPSK等のサブキャリア変調の信号点に対応させることができるので、OFDM PHYの変調部をそのままWUR信号の生成に使用することができる。これにより、無線送信装置200,300の構成を更に簡略化できる効果がある。
【0082】
なお、サブキャリア毎の位相回転量は、πに限定されず、ON信号内の時間波形における電力ピークがON信号の両端部分に配置されない値であればよい。
【0083】
また、上述サブキャリア係数の値は相対的な値であり、所望の送信電力を実現するために一定の正規化係数を乗算することができる。また、同等のスペクトル及びCM/PAPR特性を有する変形として、全係数に一定の位相回転を与えて得られる値をサブキャリア係数として使用してもよい。これらは本実施の形態に限るものではなく、本開示における全てのサブキャリア係数に適用される。
【0084】
(実施の形態3)
本実施の形態では、ZC系列を用いて、ウェイクアップパケットを割り当てる13サブキャリア全てに係数を割り当てる場合(つまり、1サブキャリア間隔で係数を割り当てる場合)でも、周波数領域においてフラットな特性と低CM/PAPR特性とを有するOOK波形を生成する方法について説明する。
【0085】
なお、本実施の形態に係る無線受信装置は、実施の形態1に係る無線受信装置500と基本構成が共通するので、
図9を援用して説明する。
【0086】
図19A又は
図19Bは、本実施の形態に係る無線送信装置100aの構成及び動作例を示す図である。なお、
図19A及び
図19Bにに示す無線送信装置100aにおいて、実施の形態1(
図6)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、無線送信装置100aにおいて、系列生成部102aの動作が実施の形態1と異なる。
【0087】
図19A及び
図19Bに示す系列生成部102aは、ZC系列生成部121とサンプル選択部122を備える構成を採る。
【0088】
なお、
図19A及び
図19Bでは、ウェイクアップパケットデータが13サブキャリア全てに割り当てられる例を示す。すなわち、
図19A及び
図19Bでは、系列生成部102aは、13サブキャリアにそれぞれ割り当てられる13サンプルの系列を生成する。
【0089】
また、以下では、系列生成部102aにおいて生成されるZC系列を構成する複数のサンプルのうち、隣接するサンプル間の位相差を「mod 2π」(2πのモジュロ演算)で表す。すなわち、ZC系列の隣接するサンプル間の位相差は0以上2π未満の値となる。
【0090】
この場合、無線送信装置100aは、
図19A及び
図19Bに示すように、隣接するサンプル間の位相差が、サンプル(サンプル番号)の増加に伴って単調増加するZC系列を用いる。例えば、
図19A及び
図19Bでは、系列番号q=1のZC系列において、サンプルm=0からm=28に渡って、隣接するサンプル間の位相差が、0~2πの区間において単調増加している。
【0091】
具体的には、
図19Aに示すように、無線送信装置100aは、ZC系列のサンプル間の位相差が0からπとなる区間において、位相差が単調増加する13サンプルをサブキャリア係数として用いて、第一の時間波形(例えば、情報シンボル‘0’に相当)を生成する。
【0092】
一方、
図19Bに示すように、無線送信装置100aは、ZC系列のサンプル間の位相差がπから2πとなる区間において、位相差が単調増加する13サンプルをサブキャリア係数として用いて、第二の時間波形(例えば、情報シンボル‘1’に相当)を生成する。
【0093】
このようにサンプル間の位相差の区間のうち、前半区間(0からπ)又は後半区間(πから2π)の区間の位相差が単調増加するサンプルをサブキャリアに割り当てた場合、フーリエ変換の性質により、IFFT処理後の時間領域の信号波形として、信号成分が前半又は後半に集中した時間波形が得られる。具体的には、
図19Aでは、信号成分が前半に集中した第一の時間波形が得られ、
図19Bでは、信号成分が後半に集中した第二の時間波形が得られる。つまり、
図19Aでは、時間波形の前半区間をON信号とし、後半区間をOFF信号とするマンチェスタ符号化OOK信号が生成される。同様に、
図19Bでは、時間波形の前半区間をOFF信号とし、後半区間をON信号とするマンチェスタ符号化OOK信号が生成される。
【0094】
よって、このようにして得られた2種類の時間波形は、マンチェスタ符号化部105においてマスク処理をしなくてもマンチェスタ符号化OOK信号として使用することができる。なお、マンチェスタ符号化部105において時間波形を整形するためにマスク処理を施してもよく、この場合でも、マスク処理によるスペクトルの乱れを低減することができる。
【0095】
より具体的には、系列生成部102aのZC系列生成部121は、上述した系列の性質を満たすサンプルを選定するために、系列長が使用キャリア数の2倍以上であるZC系列を生成する。
図19A及び
図19Bでは、ZC系列生成部121は、使用キャリア数13の2倍以上である系列長29のZC系列を生成する。この際、ZC系列生成部121は、上述したように、CM/PAPRが最も低い系列番号「q=1又はN
ZC-1」のZC系列を生成してもよい。
【0096】
また、系列生成部102aのサンプル選択部122は、入力されるウェイクアップパケットデータ(情報シンボル‘0’又は‘1’)に応じて、ZC系列生成部121から入力されるZC系列の前半部分(
図19Aでは前半のm=0~13)又は後半部分(
図19Bでは後半のm=14~28)から、位相差が単調増加する13サンプルを選択し、帯域中央の所定範囲の全サブキャリア(13サブキャリア)に割り当てるサブキャリア係数を生成する。
【0097】
なお、
図19A及び
図19Bでは、サンプル間の位相差が単調増加するZC系列(例えば、系列番号q=1)について説明したが、サンプル間の位相差が単調減少するZC系列(例えば、系列番号q=N
ZC-1)についても同様である。
【0098】
また、
図19A及び
図19Bでは、ウェイクアップパケットデータが割り当てられるサブキャリア数(13サブキャリア)の2倍に近い系列長N
ZC=29のZC系列を生成する場合について説明した。しかし、ZC系列生成部121が生成するZC系列は、使用サブキャリア数の2倍に近い系列長のZC系列に限定されない。ZC系列生成部121は、位相差が単調増加(又は単調減少)するZC系列であれば、使用サブキャリア数の2倍に近い系列長よりも更に長い系列長のZC系列を用いてもよい。
【0099】
ZC系列の前半又は後半のサンプル数が、ウェイクアップパケットデータが割り当てられるサブキャリア数より多い場合、サンプル選択部122は、ZC系列を構成する前半又は後半のサンプルの中の一部(使用サブキャリア数に相当する範囲)を選択してもよい。
図19A及び
図19Bに示すように、ZC系列の前半13サンプル又は後半13サンプルを抜き取ることは、0からπの位相差の区間又はπから2πの位相差の区間を区切って切り出すことになる。これにより、フーリエ変換の性質によって、
図19A及び
図19Bに示すように、時間波形として、前半又は後半に電力(振幅)が集中した信号波形が得られる。
【0100】
次に、マンチェスタ符号化部105の動作について詳細に説明する。以下、本実施の形態に係るマンチェスタ符号化方法1、2及び3についてそれぞれ説明する。
【0101】
<マンチェスタ符号化方法1>
マンチェスタ符号化部105は、IFFT後の時間波形に対して、実施の形態1と同様に、マンチェスタ符号化(前半又は後半をマスクアウト)することにより、OOK情報シンボル‘0’又はOOK情報シンボル‘1’を生成する。
【0102】
これにより、OFF信号の送信信号電力が0となるため、受信処理によるON信号とOFF信号との電力差が大きくなり、無線受信装置500のオンオフ判定部506での信号検出精度を向上させることができる。
【0103】
<マンチェスタ符号化方法2>
マンチェスタ符号化部105は、IFFT後の時間波形に対して、RRC(ルートレイズドコサインフィルタ)等の窓関数をOFF信号の一部に乗算することにより、OOK情報シンボル‘0’又はOOK情報シンボル‘1’を生成する。
【0104】
これにより、時間波形の連続性が維持され、帯域外への与干渉を低減し、帯域内の周波数フラット性が向上するという効果が得られる。窓関数の最もシンプルな例として、マンチェスタ符号化部105は、周波数領域においてZC系列のサンプルが割り当てられる上端及び下端のサブキャリアに、1より小さい所定の係数を乗算してもよい。所定の係数として、0.5又は0.5の平方根を用いてもよい。良好な窓関数効果を得るためには、所定の係数を、0.5以上、0.5の平方根以下とするのが好ましい。
【0105】
<マンチェスタ符号化方法3>
マンチェスタ符号化部105は、IFFT後の時間波形に対して、マスクアウト又は窓関数を乗算せずに、OOK情報シンボル‘0’又はOOK情報シンボル‘1’を生成する。
【0106】
上述したように、本実施の形態に係る系列生成方法では、時間波形の前半又は後半に電力が集中した信号波形が得られる。このため、マスクアウト又は窓関数が乗算されなくても、ON信号及びOFF信号を得ることができ、マンチェスタ符号化と同様な効果を得ることができる。
【0107】
これにより、生成したZC系列の周波数特性(周波数フラット)が維持され、帯域外への与干渉を低減することができるという効果が得られる。
【0108】
以上、マンチェスタ符号化方法1、2及び3について説明した。
【0109】
なお、マンチェスタ符号化部105は、WUR信号が割り当てられるリソースの周辺のリソースにおける他の信号の割当状況に応じて、マンチェスタ符号化方法1、2及び3を切り替えてもよい。例えば、周辺リソースにおける信号の割り当てがない場合(帯域外へ与干渉の影響が小さい場合)、マンチェスタ符号化方法1の使用により、WUR信号の受信性能を向上させことができる。また、周辺リソースにおける信号の割り当てがある場合(帯域外への与干渉の影響が大きい場合)、マンチェスタ符号化方法2又は3の使用により、帯域外への与干渉を低減させることができる。
【0110】
また、マンチェスタ符号化方法2は、本実施形態に限らず、実施の形態1及び実施の形態2におけるマスクアウトの代わりに使用されてもよい。これにより、スペクトルの乱れをマスクアウトよりも小さくできるため、帯域外へ与干渉を低減し、帯域内の周波数フラット性を向上させることができる。
【0111】
このように、本実施の形態では、ウェイクアップパケットデータを割り当てる全サブキャリアに係数を設定する場合(1サブキャリア間隔の場合)に、無線送信装置100aは、複数のサンプルのうち隣接するサンプル間の位相差が、サンプル番号mの増加に伴って単調増加又は単調減少するZC系列を用いる。具体的には、無線送信装置100aは、位相差を0から2πの区間で表す場合(位相差を「mod 2π」で表す場合)、位相差が0からπの区間内のサンプルをサブキャリアにそれぞれマッピングすることにより、情報シンボル‘0’に対応する時間波形を有するマンチェスタ符号化OOK信号を生成し、位相差がπから2πの区間内のサンプルをサブキャリアにそれぞれマッピングすることにより、情報シンボル‘1’に対応する時間波形を有するマンチェスタ符号化OOK信号を生成する。
【0112】
これにより、本実施の形態によれば、ZC系列を用いて、ウェイクアップパケットを割り当てる13サブキャリア全てに係数を割り当てる場合でも、周波数領域においてフラットな特性と低CM/PAPR特性とを有するOOK波形を生成することができる。
【0113】
なお、本実施の形態ではZC系列を用いる例について説明したが、本実施の形態において設定されるサブキャリア係数はZC系列に限定せず、上述した位相差の特性を有する系列に対しても同様に適用することができる。上述した位相差の特性を有する系列を用いることで、無線送信装置100aは、周波数領域におけるフラットな特性と低CM/PAPR特性とを有するOOK波形を生成することができる。
【0114】
また、ZC系列のサンプル間の位相差は、厳密な単調増加(又は単調減少)でなくてもよく、一部の区間を除いた大半の区間(好ましくは80%以上の区間)において単調増加(単調減少)となるような、実質的な単調増加(又は単調減少)であればよい。
【0115】
以下では、特殊な例として、サンプル間の位相差が一定、すなわち単調増加の増加量を0とした場合について説明する。
【0116】
無線送信装置100aは、サンプル間の位相差が0からπの区間内の一定値になるサンプルをサブキャリア係数として用いて第一の波形(例えば、情報シンボル‘0’に相当)を生成する。好ましくは、一定の値としてπ/2を用いてもよい。
【0117】
また、無線送信装置100aは、サンプル間の位相差がπから2πの区間内の一定値になるサンプルをサブキャリア係数として用いて第二の波形(例えば、情報シンボル‘1’に相当)を生成する。好ましくは、一定の値として(3/2)πを用いてもよい。または、等価的に、一定の値として-π/2を用いてもよい。
【0118】
具体例として、無線送信装置100aは、位相差がπ/2となるサンプル列[-1,-j,+1,+j]を繰り返しサブキャリア係数としてサブキャリアに割り当てて第一の波形を生成し、位相差が-π/2になるサンプル列[-1,j,+1,-j]を繰り返しサブキャリア係数としてサブキャリアに割り当てて第二の波形を生成してもよい。ただし、jは虚数単位である。または、無線送信装置100aは上記サンプルを一定量(例えばπ/4)位相回転させたサンプル列を用いてもよい。
【0119】
上記具体例によれば、サブキャリア係数をIEEE 802.11 OFDM PHYにおけるQPSK又はQAM等のサブキャリア変調の信号点に対応させることができるので、OFDM PHYの変調部をそのままWUR信号の生成に使用することができる。これにより、無線送信装置100aの構成をさらに簡略化できる効果がある。
【0120】
(実施の形態4)
本実施の形態では、無線受信装置において相関検出することを前提とし、無線送信装置において複数の系列番号又は巡回シフト(CS:Cyclic-shift)のZC系列の何れかを用いてWUR信号を送信する方法について説明する。
【0121】
[無線送信装置の構成]
図20は、本実施の形態に係る無線送信装置400の構成例を示すブロック図である。なお、
図20において、実施の形態1(
図6)又は実施の形態2(
図16)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0122】
無線送信装置400において、端末情報マッピングテーブル401では、端末(後述する無線受信装置600)に通知するパラメータ情報である端末情報(例えば、BSS-ID又は送信バッファサイズ等)と、複数のZC系列(異なるZC系列番号又は異なる巡回シフト量)とが対応付けられる。一例として、
図21は、BSS-IDとZC系列との対応付けを示し、
図22は、送信バッファサイズとZC系列の巡回シフト量との対応付けを示す。
【0123】
なお、端末情報とZC系列情報(ZC系列番号又は巡回シフト量)との対応付けは
図21、
図22に示す例に限定されるものではない。また、端末情報も
図21、
図22に示す例(BSS-ID、送信バッファサイズ)に限定されず、他の情報(例えば、WURスケジュール情報(デューティサイクル又は期間))等の無線送信装置500(AP)と無線受信装置600(端末)との間でやり取りしたいパラメータ情報でもよい。
【0124】
系列生成部402は、端末情報マッピングテーブル401において決定されたZC系列番号に基づいてZC系列を生成し、巡回シフト部403は、端末情報マッピングテーブル401において決定された巡回シフト量に基づいて、実施の形態2(
図16を参照)と同様にしてIFFT後の信号の巡回シフトを行う。
【0125】
[無線受信装置の構成]
図23は、本実施の形態に係る無線受信装置600の構成例を示すブロック図である。なお、
図23において、実施の形態1(
図9)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
無線受信装置600において、系列生成部601は、無線送信装置500がウェイクアップパケットデータ(マンチェスタ符号化OOK信号)の生成に用いる可能性のあるZC系列を生成する。具体的には、系列生成部601は、複数のZC系列番号又は複数の巡回シフト量を選択し、選択したZC系列番号又は巡回シフト量にそれぞれ対応する複数のZC系列を生成する。
【0127】
相関検出部602は、系列生成部601で生成された複数のZC系列を用いて、GI抜去部504から入力される、GI抜去後の受信信号との相関検出を行い、複数の相関値を判定部603に出力する。
【0128】
判定部603は、相関検出部602から入力される、複数の相関値(複数の系列番号・巡回シフト量に対応した相関値)を比較して、ウェイクアップパケットデータとして、どの系列番号又はどの巡回シフト量が使用されているかを判定し、判定結果を端末情報マッピングテーブル604に出力する。
【0129】
端末情報マッピングテーブル604には、端末情報マッピングテーブル401と同様、端末情報とZC系列情報(ZC系列番号又は巡回シフト量)とが対応付けられている(例えば、
図21又は
図22を参照)。端末情報マッピングテーブル604は、判定部603において判定された系列番号又は巡回シフト量に対応付けられた端末情報(BBS-ID、送信バッファサイズ等)を読み取って出力する。例えば、
図21に示す端末情報マッピング例の場合、端末情報マッピングテーブル604は、判定された系列番号に対応付けられたBSS-IDを読み取る。また、
図22に示す端末情報マッピング例の場合、端末情報マッピングテーブル604は、判定された巡回シフト量に対応付けられた送信バッファサイズを読み取る。
【0130】
次に、端末情報とZC系列とのマッピングの具体例4-1、4-2、4-3についてそれぞれ説明する。
【0131】
<具体例4-1>
無線送信装置400の端末情報マッピングテーブル401では、隣接BSS間でZC系列番号が異なるように設定される。
【0132】
例えば、
図21に示すように、ZC系列番号qが異なる複数のZC系列は、異なるBSS(BSS-ID)にそれぞれ対応付けられる。
【0133】
無線受信装置600は、判定部603で判定されたZC系列番号と、端末情報マッピングテーブル604の端末情報マッピング(例えば、
図21を参照)とからBSS-IDを得ることができる。
【0134】
異なるZC系列番号のZC系列間の相互相関は低い(理想的には1/√Nzcとなる)ので、隣接BSSからの干渉を低減できる効果がある。
【0135】
<具体例4-2>
図24に示すように、無線送信装置400の端末情報マッピングテーブル401では、ウェイクアップパケットを送信する対象の端末(無線受信装置600)毎に、選択される巡回シフト量が異なる。すなわち、複数のZC系列は、異なる端末にそれぞれ対応付けられる。
【0136】
異なる巡回シフト量のZC系列は受信側で直交するため、各端末(無線受信装置600)は、自機宛ての信号成分を抽出することができる。すなわち、無線送信装置400は、複数の端末向けの信号をCDM多重することができる。
【0137】
これにより、収容端末数を増加することができる効果がある。
【0138】
<具体例4-3>
図25に示すように、複数のZC系列(ZC系列番号q、又は巡回シフト量でもよい)は、所定の端末情報(例えば、送信バッファサイズ)に一意に対応付けられる。
【0139】
無線送信装置400は、ウェイクアップパケットデータを送信する端末(無線受信装置600)に対して通知する端末情報に対応付けられたZC系列(ZC系列番号q)を用いて、マンチェスタ符号化OOK信号を生成する。すなわち、無線送信装置400は、ウェイクアップパケットデータを用いて、他のパラメータ(ここでは送信バッファサイズ)を無線受信装置600へ暗黙的に通知する。
【0140】
また、複数の系列番号は、複素共役の関係となるq=Xとq=NZC-Xとしてもよい。これにより、受信処理を簡易化することができる。Xの値としては、上述したように、低CM/PAPR特性を有するX=1(すなわち、q=1又はNZC-1)でもよい。
【0141】
無線送信装置400は、受信したウェイクアップパケットデータに使用されたZC系列(ZC系列番号q)に対応付けられた端末情報(ここでは送信バッファサイズ)を特定する。
【0142】
このように、具体例4-3によれば、新たなシグナリング情報の追加なく、マンチェスタ符号化OOK信号を用いて端末情報を通知することができる。
【0143】
以上、具体例4-1、4-2、4-3について説明した。
【0144】
なお、本実施の形態では、マンチェスタ符号化を用いる場合について説明したが、マンチェスタ符号化を行わない場合のOFDM変調を用いたOOK信号波形生成にも適用することができる。例えば、情報シンボル‘0’及び‘1’のそれぞれにON信号とOFF信号とを1対1で割り当てる場合、又は、情報シンボル‘0’及び‘1’のそれぞれにON/OFF信号の組み合わせを割り当てる場合等も含む。
【0145】
また、本実施の形態は、実施の形態1~3と組み合わせてもよい。
【0146】
また、
図20では、無線送信装置400が巡回シフト部403を備える場合について説明したが、無線送信装置400は、実施の形態1(
図6)と同様、巡回シフト部を備えない構成でもよい。この場合、端末情報マッピングテーブル401では、端末情報とZC系列番号との対応付けが決定される。
【0147】
また、本実施の形態では、一例として、BSS-IDとZC系列とを対応付ける場合について説明したが、ZC系列に対応付けられるパラメータは、BSS-IDに限らず、例えば、AP又はセルのグループでもよい。
【0148】
以上、本開示の一実施の形態について説明した。
【0149】
なお、上記実施の形態では、13個(M=13)のサブキャリア(4.06MHz帯域幅に相当)に対して系列長が7(N=7)のZC系列を適用する場合(すなわち、7個のサブキャリアにZC系列をマッピングする場合)について説明した(ただし、Mは3以上の整数、Nは2以上の整数)。しかし、サブキャリア数が13以外の数Mに対してZC系列を割り当てる場合も同様に、系列長(M+1)/2(M:奇数)又はM/2(M:偶数)のZC系列を適用してもよい。
【0150】
また、複素数で表されるZC系列のサンプル値をそのままサブキャリア係数として用いる代わりに、例えば、IEEE 802.11 OFDM PHYで用いられるQAMの信号空間にマッピングして、コンスタレーションを構成する信号点で近似してもよい。これにより、OFDM PHY変調部をWUP信号の生成にも利用することができ、無線送信装置の構成を簡略化することができる。
【0151】
また、本開示はWURに限らず、超低消費電力無線通信など、他の無線通信システムにも適用可能である。
【0152】
また、上記実施の形態では、CAZAC系列としてZC系列を用いる場合について説明したが、ZC系列に限定されず、他の系列を用いてもよい。
【0153】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0154】
本開示の無線送信装置は、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto Correlation)系列を、周波数領域において隣接するM個のサブキャリア(Mは3以上の整数)のうち所定間隔に配置されたN個のサブキャリア(Nは2以上の整数)にマッピングし、前記マッピングされたCAZAC系列に対してInverse Fast Fourier Transform(IFFT)処理を行い、前記IFFT処理により生成された時間領域信号に対してマンチェスタ符号化を行うことにより、OOK(On-Off Keying)変調信号を生成する信号生成回路と、前記OOK変調信号を送信する送信部と、を具備する。
【0155】
本開示の無線送信装置において、前記所定間隔は、2サブキャリア間隔であり、前記信号生成回路は、前記マンチェスタ符号化において、前記時間領域信号の前半区間及び後半区間の何れか一方をマスクアウトすることにより、前記OOK変調信号を生成する。
【0156】
前記CAZAC系列は、系列長NZCの複数のZC(Zadoff-Chu)系列のうちの一つであり、前記Mは、前記OOK変調信号を送信する帯域幅に含まれるサブキャリア数であり、前記系列長NZCは、前記Mを前記所定間隔で割ることにより得られる値以上の最小の素数である。
【0157】
本開示の無線送信装置において、前記CAZAC系列は、系列長NZCの複数のZC(Zadoff-Chu)系列のうちの一つであり、前記信号生成回路は、前記複数のZC系列のうち系列番号が1又はNZC-1の前記ZC系列を用いて、前記OOK変調信号を生成する。
【0158】
本開示の無線送信装置において、前記信号生成回路は、更に、前記OOK変調信号内のON区間内の時間波形における電力ピークが、当該ON区間内の中央部分に配置されるように、前記マッピングされたCAZAC系列に対して位相回転を行う。
【0159】
本開示の無線送信装置において、前記信号生成回路は、更に、前記OOK変調信号内のON区間内の時間波形における電力ピークが、当該ON区間内の中央部分に配置されるように、前記時間波形に対して巡回シフトを行う。
【0160】
本開示の無線送信装置において、前記所定間隔は1サブキャリア間隔であり、前記CAZAC系列はZC(Zadoff-Chu)系列であって、前記ZC系列を構成する複数のサンプルのうち隣接するサンプル間の位相差が、前記サンプル番号の増加に伴って単調増加又は単調減少し、前記信号生成回路は、前記位相差を0から2πの区間で表す場合、前記位相差が0からπの区間において、前記位相差が単調増加又は単調減少する複数のサンプルを前記サブキャリアにそれぞれマッピングすることにより、第1の時間波形を有する前記OOK変調信号を生成し、前記位相差がπから2πの区間において、前記位相差が単調増加又は単調減少する複数のサンプルを前記サブキャリアにそれぞれマッピングすることにより、前記第1の時間波形に対してON信号及びOFF信号が反転した第2の時間波形を有する前記OOK変調信号を生成する。
【0161】
本開示の無線送信装置において、前記信号生成回路は、複数の前記CAZAC系列のうちの1つのCAZAC系列を用いて前記OOK変調信号を生成する。
【0162】
本開示の無線送信装置において、前記複数のCAZAC系列は、系列番号又は巡回シフト量が異なる複数のZC(Zadoff-Chu)系列であり、前記複数のZC系列は、異なるグループにそれぞれ対応付けられている。
【0163】
本開示の無線送信装置において、前記複数のCAZAC系列は、系列番号又は巡回シフト量が異なる複数のZC(Zadoff-Chu)系列であり、前記複数のZC系列は、異なる無線受信装置にそれぞれ対応付けられている。
【0164】
本開示の無線送信装置において、前記複数のCAZAC系列は、系列番号又は巡回シフト量が異なる複数のZC(Zadoff-Chu)系列であり、前記複数のZC系列の各々は、パラメータ情報に一意に対応付けられ、前記信号生成回路は、前記複数のZC系列のうち、前記無線受信装置へ通知する前記パラメータ情報に対応付けられた前記ZC系列を用いて前記OOK変調信号を生成する。
【0165】
本開示の送信方法は、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto Correlation)系列を、周波数領域において隣接するM個のサブキャリア(Mは3以上の整数)のうち所定間隔に配置されたN個のサブキャリア(Nは2以上の整数)にマッピングし、前記マッピングされたCAZAC系列に対してInverse Fast Fourier Transform(IFFT処理)を行い、前記IFFT処理により生成された時間領域信号に対してマンチェスタ符号化を行うことにより、OOK(On-Off Keying)変調信号を生成し、前記生成されたOOK信号変調を送信する。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本開示の一態様は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0167】
100,100a,150,200,300,400 無線送信装置
101 割当指示部
102,102a,402,601 系列生成部
103,152 サブキャリア割当部
104 IFFT部
105 マンチェスタ符号化部
106 GI挿入部
107 無線送信部
108,501 アンテナ
121 ZC系列生成部
122 サンプル選択部
151 切替制御部
153 選択部
500,600 無線受信装置
502 無線受信部
503 低域通過フィルタ部
504 GI抜去部
505 電力検出部
506 オンオフ判定部
201 位相回転部
301,403 巡回シフト部
401,604 端末情報マッピングテーブル
602 相関検出部
603 判定部