(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】界面活性剤応答性乳化重合マイクロゲル
(51)【国際特許分類】
C08F 220/28 20060101AFI20230809BHJP
C08L 33/14 20060101ALI20230809BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20230809BHJP
C08K 5/103 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
C08F220/28
C08L33/14
C08L71/02
C08K5/103
(21)【出願番号】P 2019532721
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(86)【国際出願番号】 US2017066655
(87)【国際公開番号】W WO2018118679
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-09
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】リ, ドンツイ
(72)【発明者】
【氏名】スー, シュイ-ジェン レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】チャリ, クリシュナン
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/100183(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/033012(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 20/00ー 20/70
C08F 220/00-220/70
C08F 290/00-290/14
C08L 33/00- 33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーを調製する方法であって、ここで、該方法は、
(a)モノマー組成物を調製することであって、
a) 20~50重量%のヒドロキシルエチルメタクリレート、
b) 10~30重量%のアクリル酸エチル、
c) 10~30重量%のアクリル酸ブチル、
d) 1~15重量%の少なくとも1種の会合性および/または半疎水性モノマー(ここで、モノマーの重量%はすべて、一不飽和モノマーの全重量に対するものである)、
e) 0.01~5重量部の、両親媒性架橋剤から選択される少なくとも1種の架橋剤(該架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)、ならびに
f) 1~15重量部(該架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)の、式
【化19】
(式中、Qはポリオール残基を表し、Aはポリ(エチレングリコール)残基を表し、Rは、飽和および不飽和C
10~C
22アシル基ならびにポリ(プロピレングリコール)残基から選択され、R
23は、H、飽和および不飽和C
10~C
22アシル基、ならびにポリ(プロピレングリコール)残基から独立して選択され、aは0または1であり、bは0または1であり、cは1~4の数値であり、但しbが0である場合はaおよびcが1であり、bが1である場合はaが0であり、R
23はポリ(プロピレングリコール)残基ではないものとする)
から選択される両親媒性添加剤
をプレミックスすることにより、モノマー組成物を調製すること、および
(b)前記モノマー組成物を重合
して、該架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーを調製すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記両親媒性添加剤が、飽和および不飽和C
10~C
22脂肪酸でエステル化されたポリエトキシ化アルキルグルコシド、飽和および不飽和C
10~C
22脂肪酸でエステル化されたポリ(エチレングリコール)のジエステル、ならびにポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックコポリマーから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記両親媒性添加剤が、式:
【化20】
(式中、R
23は、H、ならびに飽和および不飽和C
10~C
22アシル基から独立して選択され、R
24は、C
1~C
10アルキル基から選択され、w+x+y+zの合計は、60~150の範囲であり、但し2個以下のR
23は同時にHであり得るものとする)
によって表される化合物から選択されるポリエトキシ化アルキルグルコシドエステルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記両親媒性添加剤が、式:
【化21】
(式中、Bは、飽和および不飽和C
10~C
22アシル基から独立して選択され、nは、9~120の範囲である)
によって表される、飽和および不飽和C
10~C
22脂肪酸でエステル化されたポリ(エチレングリコール)から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記両親媒性添加剤が、ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックコポリマーである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記重合性モノマー組成物中に存在する両親媒性添加剤の量が、1~15重量部(一不飽和モノマー100重量部に対して)の範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記会合性モノマーが、式:
【化23】
(式中、R
1は水素またはメチルであり;R
15は、C
2H
4、C
3H
6およびC
4H
8から独立して選択される二価のアルキレン部分であり、nは10~60の範囲の整数を表し、(R
15-O)はランダム構成に配置されていてもブロック構成に配置されていてもよく;R
16は、C
2~C
30アルキル置換フェニル、アラルキル置換フェニル、またはC
8~C
30直鎖アルキル、C
8~C
30分枝鎖アルキル、C
8~C
30炭素環式アルキル、およびアリール置換C
2~C
30アルキルから選択される置換または非置換のアルキルであり、ここで、R
16の該アルキル基、アリール基、フェニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシル基、ベンジル基 スチリル基およびハロゲン基からなる群より選択される1つまたはそれより多くの置換基を必要に応じて含む)
で表される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記半疎水性モノマーが、以下の式:
CH
2=C(R
1)C(O)O-(C
2H
4O)
a(C
3H
6O)
b-H
CH
2=C(R
1)C(O)O-(C
2H
4O)
a(C
3H
6O)
b-CH
3
(式中、R
1は水素またはメチルであり、「a」は、0または2~120の範囲の整数であり、「b」は、0または2~120の範囲の整数であるが、「a」と「b」が同時に0にはなり得ないものとする)
で表される少なくとも1つのモノマーから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記両親媒性架橋剤が、式:
【化24】
(式中、
R
21は、C
10~24アルキル、アルカリール、アルケニル、またはシクロアルキルであり、
R
20は、CH
3、CH
2CH
3、C
6H
5、またはC
14H
29であり、
R
22は、HまたはZ
-M
+であり、
Z
-は、SO
3
-またはPO
3
2-であり、
M
+は、Na
+、K
+、NH
4
+、またはアルカノールアミンであり、
xは2~10であり、
yは0~200であり、
zは4~200である)
の化合物であるか、または
前記両親媒性架橋剤が、式:
【化25】
(式中、
nは、1または2であり
zは、4~40であり、
R
22は、H、SO
3
-M
+、またはPO
3
2-M
+であり、Mは、Na
+、K
+、NH
4
+、またはアルカノールアミンから選択される)
の化合物である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記モノマー組成物が、慣用的な架橋剤をさらに含み、該架橋剤が、0.01~1重量部(前記架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)で前記ポリマーに組み込まれるのに充分な量で存在している、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記慣用的な架橋剤が、トリメチロールプロパンのポリアリルエーテル、ペンタエリスリトールのポリアリルエーテル、スクロースのポリアリルエーテルおよびその混合物から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モノマー組成物が、0または1~15重量部(前記組成物中の一不飽和モノマー100重量部に対して)のC
6~C
22アルキル(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記モノマー組成物が、
a) 20~50重量%のヒドロキシエチルメタクリレート、
b) 10~30重量%のアクリル酸エチル、
c) 10~30重量%のアクリル酸ブチル、
d) 1~15重量%の、少なくとも1種の会合性および/または半疎水性モノマー(ここで、モノマーの重量%はすべて、一不飽和モノマーの全重量に対するものである)
を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記モノマー組成物が、保護コロイドの非存在下で重合されるか、または前記モノマー組成物が、ポリ(ビニルアルコール)およびポリ(酢酸ビニル)の非存在下で重合される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
(A)水;
(B)0.1~5重量%の請求項1~14のいずれか一項に従って調製された、少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマー;および
(C)降伏応力流体の総重量に対して5~50重量%の少なくとも1つの界面活性剤を含む降伏応力流体組成物の製造における、請求項1~14のいずれか一項に従って調製された、架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーの使用。
【請求項16】
請求項1~14のいずれかに記載の方法により調製された、架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーを内部に組み込むことによって、降伏応力流体を含有する界面活性剤の透明度を改善する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示技術の分野
本開示の技術はレオロジー調整剤に関し、より詳しくは、界面活性剤応答性マイクロゲルを含むものである降伏応力流体に関する。本開示の技術は、改善された透明度を有する、レオロジー的に相安定性の界面活性剤応答性マイクロゲル組成物の形成にも関する。さらに、本開示の技術は、電解質および/または低pH有機酸保存料の存在下で、微粒子、不溶性材料、香料、および芳香剤を懸濁させるために広範なpH範囲で使用され得る、透明でレオロジー的に相安定性の界面活性剤応答性マイクロゲル組成物の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
開示技術の背景
我々の日常生活は降伏応力流体に囲まれている。簡単に言うと、降伏応力流体は、充分な応力が加わるまでは静止状態のままであり、充分な応力が加わった時点で流動するものである。これは、応力下で流動するための初期抵抗とみなされる場合があり得、降伏値とも称される。降伏応力は、粘度と類似しているが粘度に依存性でない測定可能な量である。一部の特定のレオロジー調整剤は、これが含まれた組成物を増粘させ得る、またはその粘度を向上させ得るが必ずしも望ましい降伏応力特性を有するものではない。
【0003】
望ましい降伏応力特性は、液状媒体中における一定の物理的および審美的特徴、例えば、粒子の無期限懸濁、不溶性液の液滴、または液状媒体内での気泡の安定化を得るために極めて重要である。液状媒体中に分散された粒子は、該媒体の降伏応力(降伏値)が該粒子に対する重力または浮力の効果に打ち勝つのに充分であれば懸濁されたままである。降伏値を配合ツールとして使用すると、液状媒体中で不溶性液の液滴が上昇および合体するのを妨げることができ、気泡を懸濁させて一様に分布させることができる。降伏応力流体の一例はマイクロゲルレオロジー調整剤であり、これは、水性組成物のレオロジー特性を調整または改変するために一般的に使用されている。かかる特性としては、限定されないが、粘度、流速、経時的な粘度変化に対する安定性、および無期限期間の粒子懸濁能が挙げられる。これは、いくつかの民生用および産業用の用途に有用である。重要な民生用途としては、パーソナルケア製品、例えばボディウォッシュ、スキンクリーム、歯磨き粉、シャンプー、整髪用ゲルおよび他の化粧料の配合における使用が挙げられる。産業用途では、これは、石油およびガス産業における地下層処理流体として掘削流体およびフラクチャリング流体の一成分として有用である。典型的には、これは、塩基感受性または酸感受性のいずれかであるpH応答性官能部を有する化学架橋ポリマーを含むものである。該ポリマーは、他の構成成分と混合されて配合物にされ、次いで、中和剤(酸または塩基など)の添加により中和される。酸感受性増粘剤は、酸性剤と接触させると活性化されるものであり、一方、塩基感受性増粘剤は、アルカリ性剤と接触させると活性化されるものである。中和されると該ポリマーは有意に膨潤し、膨潤した架橋マイクロゲル粒子のランダム密充填(RCP)型の詰まった網目が形成され、所望のレオロジープロフィール、すなわち、降伏応力、弾性率および粘度ならびに光学的透明度が該配合物に付与される。
【0004】
このような型のレオロジー調整剤は当該技術分野でよく知られている。例えば、米国特許第2,798,053号;同第2,858,281号;同第3,032,538号;および同第4,758,641号には、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸またはメタクリル酸モノマーをベースにした架橋カルボン酸ポリマーが記載されている。米国特許第6,635,702号には、1つまたはそれより多くのカルボン酸モノマーと1つまたはそれより多くの酸でないビニルモノマーを含むものであるアルカリ膨潤性架橋アクリレートコポリマーが記載されている。米国特許第7,378,479号には、低pHで陽イオン性である少なくとも1つの塩基性アミノ置換基、会合性(associative)ビニルモノマーに由来する少なくとも1つの疎水変性ポリオキシアルキレン置換基、および半疎水性ビニル界面活性剤モノマーに由来する少なくとも1つのポリオキシアルキレン置換基を含む酸膨潤性架橋ポリマーが開示されている。このようなpH応答性マイクロゲルの枢要な特長は、中和されたときの個々の架橋ポリマー粒子の直径(またはサイズ)の増大が非常に大きいことである。高い膨潤効率により、配合者が比較的少量のポリマーを用いて所望の降伏応力および粘度を得ることが可能になり、使用期間費用が低くなる。Dalmont、PinprayoonおよびSaunders(Langmuir 第24巻,第2834頁,2008)により、アクリル酸エチルとブタンジオールジアクリレートで架橋されたメタクリル酸とのコポリマーのマイクロゲル分散体中の個々の粒子は、pH活性化または中和されると直径が少なくとも3倍増大することが示されている。この膨潤レベルでは、少なくとも27(33)の体積分率の増大が引き起こされる。中和(または活性化)されると比較的低濃度のポリマー(3重量%未満)で詰まった網目が得られる。
【0005】
pH応答性マイクロゲルは、配合者により望まれる降伏応力流体を高効率でもたらすが、その増粘能力が、媒体中に塩化ナトリウム、塩化カルシウム、および硫酸マグネシウムなどの電解質が適量存在することによって大幅に低減されるという大きな欠点がある。ゲルは、その粘度を効果的に維持せず、無機電解質の存在下で劇的な粘度損失が観察される。さらに、レオロジー特性は広範なpH範囲で一様なものではなく、pHの関数として急な変化を示す。さらに、これらのpH応答性増粘剤を利用する商業的生成物配合者は、このプロセスに必要とされるその他の配合工程および/または成分に必ずしも適合するとは限らない必要な中和工程を説明する、製造プロセスを設計しなければならない。このような問題点を解決するため、種々の非イオン性増粘剤が提案されている。米国特許第4,722,962号には、水溶性モノエチレン性不飽和モノマーと非イオン性ウレタンモノマーを含むものである非イオン性会合性増粘剤が記載されている。このポリマーは水性配合物の粘度の増大または増粘を示し、粘度の増大または増粘は比較的pH非依存性であるがこのポリマーは架橋されたものでなく、純粋な会合性相互作用では降伏応力はもたらされない。
【0006】
pH応答性マイクロゲルに加えて、温度応答性マイクロゲルも当該技術分野で知られている。Senff and Richtering(Journal of Chemical Physics,第111巻,第1705頁,1999)には、非イオン性化学架橋ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)マイクロゲル粒子のサイズの温度の関数としての変化が記載されている。該粒子は、温度を35℃から10℃に下げた場合、直径がほぼ2.5倍(体積分率に換算すると15倍)に膨潤する。これは相当な膨潤度を表すが、マイクロゲルを活性化させるために温度を使用することは望ましくない。周囲条件下で自由流動性懸濁液から詰まった降伏応力流体への転換を可能にする活性化方法が必要である。
【0007】
Wu and Zhou(Journal of Polymer Science:Part B:Polymer Physics,第34巻,第1597頁,1996)には、水中での化学架橋PNIPAMホモポリマーマイクロゲル粒子の膨潤に対する界面活性剤の効果が記載されている。多くの配合物は界面活性剤を共構成成分として含有しているため、マイクロゲルを活性化させるための界面活性剤の使用は魅力的である。しかしながら、Wu and Zhouに報告された膨潤効率は極めて低い。陰イオン性界面活性剤であるドデシル(ラウリル)硫酸ナトリウムで、架橋PNIPAM粒子のサイズは室温で1.4倍しか増大しない。さらに、Wu and Zhouには、高い光学的透明度を有する剪断減粘性降伏応力流体をどのようにして作出するかが教示されていない。
【0008】
Hidi,Napper and Sangster(Macromolecules,第28巻,第6042頁,1995)には、水中でのポリ(酢酸ビニル)ホモポリマーマイクロゲルの膨潤に対する界面活性剤の効果が記載されている。架橋されたものでないマイクロゲルについて、ドデシル(ラウリル)硫酸ナトリウムの存在下で元の粒子の体積の30~60倍の変化に相当する3~4倍の直径の増大が報告されている。しかしながら、膨潤は架橋粒子では劇的に低減される。この場合、観察される直径の増大は、わずか1.4倍である。この場合も、Hidi,Napper and Sangsterには、高い光学的透明度を有する剪断減粘性降伏応力流体をどのようにして作出するかが教示されていない。
【0009】
必要なレオロジープロフィールを得ること以外に、相安定系内における固形分および/または不溶性物質の懸濁も、レオロジー調整剤にとって等しく重要である。石油およびガスのための掘削のため、地下層処理流体(例えば、掘削流体および破砕流体)は典型的には、所望のレオロジー特性がもたらされるようにゲル化剤で改質される。ゲル化剤としては、流体の粘度を、例えばマイクロゲルの形成によって増大させ得る任意の物質が挙げられる。このような剤は、流体の流動およびポンプ輸送可能性に関して望ましいレオロジー特性を有するものでなければならないだけでなく、動的条件下と静的条件下のどちらにおいても固形分を懸濁させる能力も有するものでなければならない。能動的掘削作業中、掘削流体は、形成された掘り屑が地表に運ばれるのに充分な構造を有するものでなければならず、また、ポンプ輸送可能であるのに必要な剪断減粘性特性も有するものでなければならない。非掘削期間中では、掘削流体はボーリング孔内で一度に数時間またはさらには数日間、静止状態のままであり得る。この期間中、該流体が大きな粒子状物と小さな粒子状物の両方を支持するのに充分な構造を有するものでない場合は、内包固形分の沈降が問題となり得る。
【0010】
フラクチャリングは、地下層からの炭化水素(石油または天然ガスなど)の生産を促進するために使用される。このプロセスでは、ゲル化剤が含有されたフラクチャリング流体が坑井から注入され、含水地層に対して、含水地層に亀裂および破砕が引き起こされ、それにより累層内に閉じ込められた炭化水素の遊離がもたらされるのに充分な高圧によって押し込まれる。また、フラクチャリング流体は破砕部位に対するプロパントも担持している。プロパント粒子は破砕部に留まり、それにより坑井の製作時に破砕部を開口状態に「支持(prop)」する。プロパント物質は典型的には、砂、焼結ボーキサイト、ガラス玉、ポリスチレンビーズなどから選択される。フラクチャリングに使用される処理流体には充分なレオロジー特性が重要であるが、累層内でのプロパント物質の破砕部位への輸送のための満足のいく懸濁能も必要である。
【0011】
地下層内の条件は厳しく、ゲル化剤は、温度の変動、汽水性環境、広いpH範囲および剪断力の変化に対して安定でなければならない。
【0012】
石油分野の用途における地下層処理流体は種々の問題に直面しており、さまざまな温度、pHおよび汽水性環境ならびに高い剪断条件に曝露されたときのゲルの熱安定性の欠如が挙げられる。これはゲルのレオロジー特性の変化をもたらし得、最終的に該流体がボーリング孔の掘り屑およびまたはプロパント物質を懸濁させる能力に影響し得る。粒子状物質が該処理流体から時期尚早に失われた場合、累層の掘削および開拓に対して有害効果がもたらされ得る。さらに、ゲルの不安定性は、累層内へと流体が大量に失われることになり、それにより作業効率が低下し得る。
【0013】
粒子および/または他の水不溶性物質を懸濁させることができるパーソナルおよびホームケア組成物は非常に望ましい。このような物質はさまざまなユーザー利益、例えば限定されないが、剥奪、美観および/または使用時の有益な剤の封入と放出を付与するか、または該利益に寄与する。パーソナルおよびホームケア組成物において粒子状物質および不溶性物質を審美活性剤として懸濁させることは、配合者に次第に普及し始めている。典型的には、粒子はこれらの組成物中に、構造体系、例えばアクリレートポリマー、構造体ガム(例えば、キサンタンガム)、デンプン、寒天、ヒドロキシルアルキルセルロースなどを用いて懸濁させる。しかしながら、パーソナルケア組成物へのビーズまたは粒子の添加は問題となる傾向にある。例えば、問題点の1つは、粒子または不溶性物質が非常に高頻度で、これらが添加されている組成物の連続相と異なる密度になることである。この密度の不一致により、連続相からの粒子の分離および全体的な製品安定性の欠如がもたらされ得る。一態様において、添加された粒子の密度が組成物の連続相のものより低い場合、該粒子はかかる相の上部に上昇する傾向になる(「クリーミング」)。別の態様において、添加された粒子が連続相のものより大きい密度を有する場合、該粒子はかかる相の底部に沈下する傾向になる(「沈降」)。大きな粒子を懸濁させることが所望される場合(例えば、ポリエチレン粒子、グアービーズなど)、典型的には、懸濁ビーズに対する構造体の増大をもたらすためにポリマーの使用レベルを上げる。懸濁ビーズに対する構造体をもたらすために液を増粘させると、液粘度の有意な増大および対応する注出可能性(常に望ましいとは限らない特性)の低下が引き起こされる結果になる。高粘性の製品は典型的には、特に、粘度向上剤の剪断減粘性プロフィールが欠陥性である場合、塗布すること、および洗い流すことが困難である。また、高粘度は、パッケージング、調剤、溶解、ならびに製品の発泡特性および体感特性に有害な影響を及ぼすこともあり得る。さらに、慣用的な構造の液は多くの場合、不透明であるかまたは濁っており、それにより消費者には懸濁ビーズがよく見えず、これは製品の審美アピールに有害な影響を及ぼす。
【0014】
多くの一般的な増粘剤、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カラギーナンならびにアクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーは陰イオン性であり、したがって、陽イオン性界面活性剤と反応して該陽イオンと増粘剤の沈殿を引き起こし得るか、または陽イオン性界面活性剤の有効性を低下させ得る。非イオン性増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は陽イオン性の系に粘度をもたらし得るが該流体に付与される懸濁特性は非常に少ない。陽イオン増粘剤、例えば、ポリクオタニウム-10(陽イオンで改質されたHEC)および陽イオン性グアーは陽イオン性の系に増粘をもたらすが、懸濁はもたらされない。一部のアクリル系ポリマーは陽イオン性の系の増粘に有効であるがpHに制限される場合があり得、高濃度が必要とされ、高い使用期間費用を有し、多くの場合、陽イオン性物質との適合性の範囲が狭い。
【0015】
陰イオン性界面活性剤は、その優れた洗浄特性および発泡特性のため、多くの場合、洗剤および洗浄用製品における洗浄用剤として使用される。このような配合物に従来より使用されている例示的な陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルスルフェートおよびアルキルベンゼンスルホネートが挙げられる。陰イオン性界面活性剤ならびに、特に陰イオン性スルフェートおよびスルホネートは効率的な洗浄用剤であるが、これらは、目に対する刺激が強く、敏感な一部の人に対して軽度から中等度の皮膚への刺激を引き起こすことがあり得る。したがって、消費者には、水性の洗浄用組成物が使用時に目や皮膚に刺激を与えないという点で低刺激であることが次第に重要になってきている。製造業者は、安定な懸濁が必要とされる不溶性の有益性および/または審美剤もまた組み込まれた低刺激の洗浄用製品を提供するために懸命に努力している。陰イオン性のスルフェートおよびスルホネートによって引き起こされる刺激は、そのエトキシ化形態を使用することにより低減され得ることが知られている。エトキシ化型界面活性剤により、これを含む組成物における目や皮膚への刺激が緩和され得るが、このような界面活性剤の使用における大きな問題点は、エトキシ化型の系において望ましい降伏応力特性を得ることが困難なことである。
【0016】
配合物を含有する水性ベースの界面活性剤を増粘するのに一般に用いられる、液体レオロジー調整剤の、1つの重要な種類は、アルカリ膨潤性またはアルカリ可溶性エマルジョン(ASE)ポリマーである。ASEポリマーは、(メタ)アクリル酸およびアルキルアクリレートから合成された直鎖状または架橋コポリマーである。架橋ポリマーは、無機または有機塩基で中和することによって即座に増粘する。液体エマルジョンとして、ASEポリマーは、生成物配合者によって、容易に加工されかつ液体界面活性剤を含有する配合物に配合される。ASEポリマーが増粘された界面活性剤をベースにする配合物の例は、米国特許第6,635,702号;国際公開出願WO01/19946;および欧州特許第1690878(B1)号に記載されており、界面活性剤を含有する水性組成物へのポリマー増粘剤の使用を開示している。これらの増粘剤は、中性付近のpH値(pH≧6.0)で良好な粘度、懸濁、および透明度の性質を、界面活性剤を含有する配合物に提供するが、酸性pH範囲では霞がかるようになり、その結果、透明度が不十分になる。
【0017】
化粧品、洗面用品、ならびにパーソナルおよびホームケア製品における、細菌、酵母、および/または真菌からの微生物汚染は、非常に一般的であり、何年にもわたってこの産業での大きな懸念事項であった。今日の界面活性剤を含有する生成物は、生成物が劣化、変色、または腐敗しないように、かつ生成物が、ホームケア用途での硬質表面基材および洗濯物品への、ならびにパーソナルおよび動物ケア用途でのヒトおよび動物の皮膚、頭皮、および毛髪への、局所塗布に関して確実に安全になるように、保存料と共に典型的には配合される。界面活性剤を含有する生成物に一般に使用される3種類の保存料化合物は、ジアゾリニル尿素、イミダゾリニル尿素、およびDMDMヒダントインなどのホルムアルデヒド供与体と;2,4-ジクロロベンジル-アルコール、クロロキシレノール(4-クロロ-3,5-ジメチル-フェノール)、ブロノポール(2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール)、およびヨードプロピニルブチルカルバメートを含むハロゲン化化合物と;メチル-パラベン、エチル-パラベン、プロピル-パラベン、ブチル-パラベン、イソプロピル-パラベン、およびベンジル-パラベンを含むパラベン化合物である。
【0018】
これらの保存料は、何年もにわたりパーソナルケア製品で首尾良く利用されてきたが、科学界および公衆においては、これらの化合物の一部は健康被害を構成し得るということが、最近懸念されている。したがって、良好な抗菌効力、穏やかさを維持しつつかつ安全性の懸念を増大させることなく、ヒトの皮膚、頭皮、または毛髪に局所塗布されるまたは接触するようになる、界面活性剤を含有する生成物の上述の化合物を置き換えることに、関心が持たれている。
【0019】
食品産業で保存料として使用されるような有機酸(例えば、ソルビン酸、クエン酸、および安息香酸)は、界面活性剤を含有する配合物中の前述の保存料系に代わる理想的な代替物として、ますます注目されてきた。有機酸の抗菌活性は、酸分子の会合またはプロトン化種に結び付けられる。有機酸を含有する配合物のpHが増大するにつれ、プロトンの解離が生じて酸塩を形成する。有機酸(酸塩)の解離形態は、単独で使用する場合に抗菌活性がなく、有機ベースの酸の使用を6よりも低いpH値まで効果的に制限する(Weber, K. 2005年 New alternatives to paraben-based preservative blends. Cosmetics & Toiletries 120巻(1号):57~62頁)。
【0020】
文献は、天然pH範囲(約3~5の間)にある配合生成物が、1)保存効力を強化することによって生成物に必要な保存料の量を低減させ、2)多くの化粧品用活性構成成分の有効性を安定化させおよび増大させ、3)皮膚障壁組織の修復および維持に有益であり、ならびに4)有害微生物による過剰コロニー化を排除するために天然皮膚微生物叢を支持することも提示している(Wiechers, J.W. 2008年 Formulating at pH 4-5: How lower pH benefits the skin and formulations. Cosmetics & Toiletries 123巻(12号):61~70頁)。
【0021】
米国特許第5,139,770号には、比較的高い粘度を得るために、界面活性剤含有配合物(コンディショニングシャンプーなど)におけるビニルピロリドンの架橋ホモポリマーの使用が記載されている。しかしながら、この特許には、高い光学的透明度を有し、剪断減粘性でもある降伏応力流体をどのようにして作出するかが教示されていない。
【0022】
産業は、酸性pH範囲で配合された、新たな増粘化界面活性剤ベースの生成物を求めているので、界面活性剤と組み合わせて使用したときに、良好な粘度/レオロジープロファイル、懸濁(降伏値)、および高い審美性を維持しながら、酸性pH条件下で高い透明度の配合物を提供する、レオロジー調整剤を開発する必要がある。
【0023】
米国特許第5,663,258号には、ビニルピロリドン/酢酸ビニルの架橋コポリマーの調製が記載されている。該ポリマーは水と併用すると高粘度が得られるが、界面活性剤によって活性化される降伏応力流体を作出するための該ポリマーの使用に関する教示はない。
米国特許第6,645,476号には、不飽和酸とその塩から選択される共重合性の第2のモノマーおよび/または無数の他のモノマー(例えば、N-ビニルラクタムおよび酢酸ビニル)と併用した疎水変性エトキシ化マクロマーのフリーラジカル重合により調製された水溶性ポリマーが開示されている。好ましいポリマーは架橋型であり、中和2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸と併用した疎水変性エトキシ化マクロマーを重合したものである。該ポリマーの1%水溶液の粘度は好ましくは20,000mPa・s~100,000mPa・sの範囲である。疎水変性エトキシ化マクロマー反復単位をもたず、実質的な粘度の増加なく良好な懸濁特性を示す降伏応力流体をもたらす界面活性剤活性化型ポリマーの教示はない。
国際公開第2015/095286号および国際公開第2016/100183号は、両親媒性架橋剤と架橋した、界面活性剤活性化非イオン性両親媒性ポリマーについて記述する。これらのポリマーは、組成物を含有する界面活性剤中に粒子および/または不溶性材料を効果的に懸濁させる能力を実証するだけでなく、低ポリマー使用レベルで、広範な温度、pH状態、および電解質濃度にわたって、望ましい穏やかさ、望ましいレオロジープロファイル、透明度、および審美的特性も示す。降伏応力、弾性係数、および光学的透明度は、pHから実質的に独立している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【文献】米国特許第2,798,053号明細書
【文献】米国特許第2,858,281号明細書
【文献】米国特許第3,032,538号明細書
【文献】米国特許第4,758,641号明細書
【文献】米国特許第6,635,702号明細書
【文献】米国特許第7,378,479号明細書
【文献】米国特許第4,722,962号明細書
【文献】米国特許第6,635,702号明細書
【文献】国際公開第01/19946号
【文献】欧州特許第1690878(B1)号明細書
【文献】米国特許第5,139,770号明細書
【文献】米国特許第5,663,258号明細書
【文献】米国特許第6,645,476号明細書
【文献】国際公開第2015/095286号
【文献】国際公開第2016/100183号
【非特許文献】
【0025】
【文献】Dalmont、PinprayoonおよびSaunders,Langmuir 第24巻,第2834頁,2008
【文献】Senff and Richtering,Journal of Chemical Physics,第111巻,第1705頁,1999
【文献】Wu and Zhou,Journal of Polymer Science:Part B:Polymer Physics,第34巻,第1597頁,1996
【文献】Hidi,Napper and Sangster,Macromolecules,第28巻,第6042頁,1995
【文献】Weber, K. 2005年 New alternatives to paraben-based preservative blends. Cosmetics & Toiletries 120巻(1号):57~62頁
【文献】Wiechers, J.W. 2008年 Formulating at pH 4-5: How lower pH benefits the skin and formulations. Cosmetics & Toiletries 123巻(12号):61~70頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
開示技術の概要
本発明の技術は、界面活性剤の存在下で膨潤することができる架橋された非イオン性両親媒性ポリマー(略して、両親媒性ポリマー)を提供する。これらの両親媒性ポリマーを含む界面活性剤組成物は、WO2015/095286およびWO2016/100183に記載されているポリマーを含有する界面活性剤組成物よりも、実質的に透明でありかつ濁っていない。本発明の技術の両親媒性ポリマーは、C
1~C
5ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマー、C
1~C
5アルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマー、会合性モノマー、半疎水性モノマー、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマー、ならびに両親媒性架橋モノマーを含むモノマー混合物の乳化重合によって調製される。架橋モノマーは、両親媒性架橋剤、または両親媒性架橋剤と従来の架橋剤との混合物である。意外にも、両親媒性ポリマーを調製するのに使用された重合性モノマー混合物が両親媒性添加剤を含む場合、これらの両親媒性ポリマーを含有する水性界面活性剤系のレオロジープロファイルは維持されかつこれらの界面活性剤系の透明度は改善される。透明度は、無機塩などの電解質、酸保存料、ならびに香料および芳香剤の存在下で改善される。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
a) 約20~約50重量%のヒドロキシルエチルメタクリレート、
b) 約10~約30重量%のアクリル酸エチル、
c) 約10~約30重量%のアクリル酸ブチル、
d) 約1~約15重量%の少なくとも1種の会合性および/または半疎水性モノマー(この場合、モノマーの重量パーセンテージはすべて、全一不飽和モノマーの重量に対するものである)、
e) 一態様では約0.01~約5重量部%、別の態様では約0.1~約3重量%、さらなる態様では約0.5~約1重量%の、両親媒性架橋剤から選択される少なくとも1種の架橋剤(該ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)、ならびに
f) 約1~約15重量部(該ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)の、式
【化19】
(式中、Qはポリオール残基を表し、Aはポリ(エチレングリコール)残基を表し、Rは、飽和および不飽和C
10
~C
22
アシル基ならびにポリ(プロピレングリコール)残基から選択され、R
23
は、H、飽和および不飽和C
10
~C
22
アシルラジカル、ならびにポリ(プロピレングリコール)残基から独立して選択され、aは0または1であり、bは0または1であり、cは1~4の数値であり、但しbが0である場合はaおよびcが1であり、bが1である場合はaが0であり、R
23
はポリ(プロピレングリコール)残基ではないものとする)
から選択される両親媒性添加剤
を含むモノマー組成物を重合することによって調製された、架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマー。
(項目2)
前記両親媒性添加剤が、飽和および不飽和C
10
~C
22
脂肪酸でエステル化されたポリエトキシ化アルキルグルコシド、飽和および不飽和C
10
~C
22
脂肪酸でエステル化されたポリ(エチレングリコール)のジエステル、ならびにポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックコポリマーから選択される、項目1に記載のエマルジョンポリマー。
(項目3)
前記両親媒性添加剤が、式:
【化20】
(式中、R
23
は、H、ならびに飽和および不飽和C
10
~C
22
アシル基から独立して選択され、R
25
は、C
1
~C
10
アルキル基から選択され、w+x+y+zの合計は、一態様では約60~約150、別の態様では約80~約135、さらなる態様では約90~約125の範囲であり、但し2個以下のR
23
は同時にHであり得るものとする)
によって表される化合物から選択されるポリエトキシ化アルキルグルコシドエステルである、項目2に記載のエマルジョンポリマー。
(項目4)
前記両親媒性添加剤において、R
2
がメチルであり、w+x+y+zの合計が120である、項目3に記載のエマルジョンポリマー。
(項目5)
前記両親媒性添加剤が、式:
【化21】
(式中、Bは、飽和および不飽和C
10
~C
22
アシルラジカルから独立して選択され、nは、一態様では約9~約120、別の態様では約12~約110、さらなる態様では約15~約100の範囲である)
によって表される、飽和および不飽和C
10
~C
22
脂肪酸でエステル化されたポリ(エチレングリコール)から選択される、項目2に記載のエマルジョンポリマー。
(項目6)
式(III)の前記両親媒性添加剤において、Bが、ステアリン酸残基、イソステアリン酸残基、オレイン酸残基、およびそれらの混合物から選択される、項目5に記載のエマルジョンポリマー。
(項目7)
前記両親媒性添加剤が、ポリ(エチレングリコール)ジオレエート、ポリ(エチレングリコール)ジステアレート、ポリ(エチレングリコール)ジイソステアレート、およびそれらの混合物から選択される、項目6に記載のエマルジョンポリマー。
(項目8)
前記両親媒性添加剤が、ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックコポリマーから選択される、項目2に記載のエマルジョンポリマー。
(項目9)
前記両親媒性添加剤が、式:
【化22】
(式中、r=tであり、かつ一態様では約5~約20、別の態様では約6~約15、さらなる態様では約8~約14の範囲であり、sは、一態様では約20~約30、別の態様では約21~約27、さらなる態様では約23~約25の範囲である)
によって表される、項目8に記載のエマルジョンポリマー。
(項目10)
前記両親媒性添加剤が、約1500~約3500Daの範囲の数平均分子量を有する、項目9に記載のエマルジョンポリマー。
(項目11)
前記両親媒性添加剤が、一態様では約35~約60重量%、別の態様では約40~約55重量%、さらなる態様では約45~約50重量%のポリ(エチレングリコール)を含有する、項目10に記載のエマルジョンポリマー。
(項目12)
前記重合性モノマー組成物中に存在する両親媒性添加剤の量が、一態様では約1~約15重量部、別の態様では約2~約10重量部、さらなる態様では約3~約6重量部(全モノマー100重量部に対して)の範囲である、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目13)
前記会合性モノマーが、式:
【化23】
(式中、R
14
は水素またはメチルであり;R
15
は、C
2
H
4
、C
3
H
6
およびC
4
H
8
から独立して選択される二価のアルキレン部分であり、nは約10~約60の範囲の整数を表し、(R
15
-O)はランダム構成に配置されていてもブロック構成に配置されていてもよく;R
16
は、C
8
~C
30
直鎖アルキル、C
8
~C
30
分枝鎖アルキル、C
8
~C
30
炭素環式アルキル、C
2
~C
30
アルキル置換フェニル、アラアルキル置換フェニルおよびアリール置換C
2
~C
30
アルキルから選択される置換または非置換のアルキルであり、ここで、R
16
の該アルキル基、アリール基、フェニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシル基、ベンジル基 スチリル基およびハロゲン基からなる群より選択される1つまたはそれより多くの置換基を必要に応じて含む)
で表される、先の項目のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
(項目14)
前記モノマー組成物中の前記会合性モノマーが、ラウリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、セチルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、セテアリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ステアリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、アラキジルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ベヘニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、セロチルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、モンタニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、メリシルポリエトキシ化(メタ)アクリレートから選択され、前記モノマーのポリエトキシ化部分が、一態様では約2~約50個のエチレンオキシド単位、別の態様では約10~40個のエチレンオキシド単位、さらに別の態様では約15~30個の単位を含有する、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目15)
前記半疎水性モノマーが、以下の式:
CH
2
=C(R
1
)C(O)O-(C
2
H
4
O)
a
(C
3
H
6
O)
b
-H
CH
2
=C(R
1
)C(O)O-(C
2
H
4
O)
a
(C
3
H
6
O)
b
-CH
3
(式中、R
1
は水素またはメチルであり、「a」は、一態様では0または2~約120、別の態様では約5~約45、さらなる一態様では約10~約25の範囲の整数であり、「b」は、一態様では約0または2~約120、別の態様では約5~約45、さらなる一態様では約10~約25の範囲の整数であるが、「a」と「b」が同時に0にはなり得ないものとする)
で表される少なくとも1つのモノマーから選択される、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目16)
bが0である、項目15に記載のエマルジョンポリマー。
(項目17)
前記両親媒性架橋剤が、式:
【化24】
(式中、
R
21
は、C
10~24
アルキル、アルカリール、アルケニル、またはシクロアルキルであり、
R
20
は、CH
3
、CH
2
CH
3
、C
6
H
5
、またはC
14
H
29
であり、
R
22
は、HまたはZ
-
M
+
であり、
Z
-
は、SO
3
-
またはPO
3
2-
であり、
M
+
は、Na
+
、K
+
、NH
4
+
、またはアルカノールアミンであり、
xは2~10であり、
yは0~200であり、
zは4~200である)
の化合物である、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目18)
前記両親媒性架橋剤が、式:
【化25】
(式中、
nは、1または2であり
zは、一態様では4~40、別の態様では5~38、さらなる態様では10~20であり、
R
22
は、H、SO
3
-
M
+
、またはPO
3
2-
M
+
であり、Mは、Na
+
、K
+
、NH
4
+
、またはアルカノールアミンから選択される)
の化合物である、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目19)
前記モノマー組成物が、慣用的な架橋剤をさらに含み、該架橋剤が、約0.01~約1重量部(前記ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)で前記ポリマーに組み込まれるのに充分な量で存在している、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目20)
前記モノマー混合物、が慣用的な架橋剤を含み、該架橋剤が、約0.01~約0.3重量部(前記ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)で前記ポリマーに組み込まれるのに充分な量で存在している、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目21)
前記少なくとも1つの慣用的な架橋剤が、トリメチロールプロパンのポリアリルエーテル、ペンタエリスリトールのポリアリルエーテル、スクロースのポリアリルエーテルおよびその混合物から選択される、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目22)
前記少なくとも1つの慣用的な架橋剤が、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルおよびその混合物から選択される、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目23)
前記モノマー混合物が、一態様では約0または1~約15重量部、別の態様では約2~約10重量部、別の態様では約3~約6重量部(前記混合物中の重合性一不飽和モノマー100重量部に対して)のC
6
~C
22
アルキル(メタ)アクリレートをさらに含む、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目24)
前記C
6
~C
22
アルキル(メタ)アクリレートが、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、およびそれらの混合物から選択される、項目23に記載のエマルジョンポリマー。
(項目25)
前記モノマー混合物が、
a) 約20~約50重量%のヒドロキシエチルメタクリレート、
b) 約10~約30重量%のアクリル酸エチル、
c) 約10~約30重量%のアクリル酸ブチル、
d) 約1~約15重量%の、少なくとも1種の会合性および/または半疎水性モノマー(この場合、モノマーの重量パーセンテージはすべて、全一不飽和モノマーの重量に対するものである)
を含む、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目26)
前記モノマー混合物が、保護コロイドの非存在下で重合される、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目27)
前記モノマー混合物が、ポリ(ビニルアルコール)およびポリ(酢酸ビニル)の非存在下で重合される、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目28)
前記モノマー混合物が、1~6重量%の残留イオン性またはイオン化性モノマーをさらに含む、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目29)
前記モノマー混合物が、残留量のメタクリル酸をさらに含む、先の項目のいずれか一項に記載のエマルジョンポリマー。
(項目30)
(A)水;
(B)約0.1~約5重量%の項目1~29のいずれか一項に従って調製された、少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマー;および
(C)降伏応力流体の総重量に対して約5~約50重量%の少なくとも1つの界面活性剤
を含む降伏応力流体組成物。
(項目31)
前記ポリマーの濃度が約0.5~約3重量%の範囲である、項目30に記載の組成物。
(項目32)
前記少なくとも1つの界面活性剤が、陰イオン性、陽イオン性、両性、非イオン性のまたはその混合物から選択される、項目30または31のいずれか一項の組成物。
(項目33)
前記少なくとも1つの界面活性剤が陰イオン性界面活性剤から選択される、項目30~32のいずれか一項に記載の組成物。
(項目34)
前記少なくとも1つの界面活性剤が陰イオン性界面活性剤および両性界面活性剤から選択される、項目30~33のいずれか一項に記載の組成物。
(項目35)
前記少なくとも1つの陰イオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウムまたはその混合物から選択される、項目30~34のいずれか一項に記載の組成物。
(項目36)
前記少なくとも1つの両性界面活性剤がコカミドプロピルベタインである、項目30~35のいずれか一項に記載の組成物。
(項目37)
前記界面活性剤の濃度が前記降伏応力流体の重量に対して25重量%未満である、項目30~36のいずれか一項に記載の組成物。
(項目38)
前記界面活性剤の濃度が全組成物の重量に対して約6~約20重量%(活性物質)の範囲である、項目30~37のいずれか一項に記載の組成物。
(項目39)
陰イオン性界面活性剤対両性界面活性剤(活性物質)の比が一態様では10:1~約2:1、別の態様では9:1、8:1、7:1 6:1、5:1、4.5:1、4:1または3:1である、項目34~38のいずれか一項に記載の組成物。
(項目40)
項目1から29のいずれかに記載のポリマーを内部に組み込むことによって、降伏応力流体を含有する界面活性剤の透明度を改善する方法。
【0027】
一態様では、本開示の技術は、架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーおよび界面活性剤を含み、両親媒性エマルジョンポリマーが両親媒性添加剤の存在下で調製される、降伏応力流体に関する。
【0028】
一態様では、本開示の技術は、両親媒性エマルジョンポリマーが、両親媒性添加剤の存在下でかつ保護コロイドまたはポリマー安定剤の非存在下で調製される、架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーおよび界面活性剤に関する。
【0029】
一態様では、本開示の技術は、架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーおよび界面活性剤であって、両親媒性エマルジョンポリマーが、両親媒性添加剤の存在下でかつポリ(ビニルアルコール)または部分加水分解ポリ(酢酸ビニル)の非存在下で調製されるものに関する。
【0030】
別の態様では、本開示の技術は、架橋された非イオン性両親媒性エマルジョンポリマーおよび少なくとも1つの界面活性剤を含む、改善された透明性質を有する水性増粘組成物であって、該両親媒性エマルジョンポリマーは、該両親媒性添加剤を含有するモノマー混合物から調製され、該両親媒性エマルジョンポリマーの濃度は組成物の総重量に対して5重量%以下であり、該少なくとも1つの界面活性剤は該組成物の70重量%以下であり、そして該組成物の降伏応力は、約0.1~約1秒-1(reciprocal second)の剪断速度において0.5未満の剪断減粘指数で少なくとも1mPaまたは0.1Paであり、該組成物の降伏応力、弾性率および光学的透明度は約2~約14の範囲のpHに実質的に非依存性である水性増粘組成物に関する。
【0031】
さらに別の態様では、本開示の技術の一実施形態は、架橋された非イオン性両親媒性ポリマーおよび少なくとも1つの界面活性剤を含む水性増粘組成物であって、該両親媒性エマルジョンポリマーは、両親媒性添加剤を含有するモノマー混合物から調製され、該両親媒性エマルジョンポリマーの濃度は組成物の総重量に対して5重量%以下であり、該少なくとも1つの界面活性剤は該組成物の70重量%以下であり、降伏応力、弾性率および光学的透明度の測定値の平均に対する標準偏差の比が、約2~約14のpH範囲で一態様では0.3未満、別の態様では0.2未満である水性増粘組成物に関する。
【0032】
さらに別の態様では、本開示の技術の一実施形態は、架橋された非イオン性両親媒性ポリマーおよび少なくとも1つの界面活性剤を含む水性増粘組成物であって、該両親媒性エマルジョンポリマーは、両親媒性添加剤を含有するモノマー混合物から調製され、該ポリマーの濃度は組成物の総重量に対して5重量%以下であり、少なくとも1つの界面活性剤は該組成物の70重量%以下であり、該組成物の降伏応力は、約0.1~約1秒-1の剪断速度において0.5未満の剪断減粘指数で少なくとも1mPaまたは0.1Paであり、該組成物の降伏応力、弾性率および光学的透明度は約2~約14の範囲のpHに実質的に非依存性であり、該組成物が0.5~1.5mmのサイズのビーズを懸濁させ得るものであり、水に対するビーズの比重の差が室温で少なくとも4週間、0.2~0.5の範囲である水性増粘組成物に関する。
【0033】
さらに別の態様では、本開示の技術の一実施形態は、架橋された非イオン性両親媒性ポリマーおよび1つまたはそれより多くの界面活性剤を含む水性増粘組成物であって、該両親媒性エマルジョンポリマーは、両親媒性添加剤を含有するモノマー混合物から調製され、該ポリマーの濃度は組成物の総重量に対して5重量%以下であり、界面活性剤の総濃度は該組成物の70重量%以下であり、該組成物の降伏応力は、約0.1~約1秒-1の剪断速度において0.5未満の剪断減粘指数で少なくとも1mPaまたは0.1Paであり、該組成物の降伏応力、弾性率および光学的透明度は約2~約14の範囲のpHに実質的に非依存性であり、該組成物が、0.5~1.5mmのサイズのビーズを懸濁させ得るものであり、水に対するビーズの比重の差が室温で少なくとも4週間、0.2~0.5の範囲であり、該界面活性剤のうち1つがエチレンオキシド部分を含むものであり、前記界面活性剤は全界面活性剤の75%(重量基準)より多い水性増粘組成物に関する。
【0034】
さらに別の態様では、本開示の技術の実施形態は、架橋された非イオン性両親媒性ポリマーと少なくとも1種の界面活性剤とを含む、増粘水性組成物であって、該両親媒性エマルジョンポリマーは、両親媒性添加剤を含有するモノマー混合物から調製され、ポリマーの濃度が組成物の総重量に対して5重量%以下であり、少なくとも1種の界面活性剤が組成物の70重量%以下であり、剪断速度が約0.1から約1秒-1の間で剪断減粘指数が0.5未満のときに組成物の降伏応力が少なくとも1mPaまたは0.1Paであり、組成物の粘度、降伏応力、弾性率、および光学的透明度は、約2から約14の範囲のpHに実質的に依存せず、粘度および降伏応力などのレオロジープロファイルは、無機塩などの電解質の存在下で相乗的に向上する、増粘水性組成物に関する。
【0035】
さらに別の態様では、本開示の技術の実施形態は、架橋された非イオン性両親媒性ポリマーと少なくとも1つの界面活性剤とを含む増粘水性組成物であって、該両親媒性エマルジョンポリマーは、両親媒性添加剤を含有するモノマー混合物から調製され、ポリマーの濃度が組成物の総重量に対して5重量%以下であり、少なくとも1種の界面活性剤が組成物の70重量%以下であり、剪断速度が約0.1から約1秒-1の間で剪断減粘指数が0.5未満のときに組成物の降伏応力が少なくとも1mPaまたは0.1Paであり、組成物の粘度、降伏応力、弾性率および光学的透明度が、低pH有機酸保存料の存在下で維持される、増粘水性組成物に関する。
【0036】
本開示の技術の架橋された非イオン性両親媒性ポリマー組成物ならびに該非イオン性両親媒性ポリマー組成物および少なくとも1つの界面活性剤を含む水性増粘流体は好適には、本明細書に概略を記載した成分、要素およびプロセスを含むもの、これらからなるもの、または本質的にこれらからなるものであり得る。本明細書に例示として開示した本開示の技術は好適には、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素の非存在下で実施され得る。
【0037】
特に記載のない限り、本明細書に示したパーセンテージ、部および比はすべて、本開示の技術の組成物中に含まれた成分の総重量に対するものである。
【0038】
本明細書で用いる場合、用語「両親媒性ポリマー」は、該ポリマー物質が別個に親水性部分と疎水性部分を有することを意味する。「親水性」は典型的には、水および他の極性分子と分子内相互作用する部分を意味する。「疎水性」は典型的には、水性媒体よりも油、脂肪または他の無極性分子と優先的に相互作用する部分を意味する。
【0039】
本明細書で用いる場合、用語「親水性モノマー」は、実質的に水溶性のモノマーを意味する。「実質的に水溶性の」とは、物質が、25℃の蒸留(または同等の)水に、一態様では約3.5%(重量基準)の濃度で可溶性であること、別の態様では約10%(重量基準)で可溶性であることをいう(水+モノマーの重量に対して計算)。
【0040】
本明細書で用いる場合、用語「疎水性モノマー」は、実質的に水不溶性のモノマーを意味する。「実質的に水不溶性の」とは、物質が、25℃の蒸留(または同等の)水に、一態様では約3%(重量基準)の濃度で可溶性でないこと、別の態様では約2.5%(重量基準)で可溶性でないことをいう(水+モノマーの重量に対して計算)。
【0041】
用語「非イオン性(nonionic)」は、本明細書で用いる場合、イオン部分もしくはイオン化性部分がない(「非イオン化性(nonionizable)」の)モノマー、モノマー組成物またはモノマー組成物を重合したものであるポリマーと、「実質的に非イオン性」のモノマー、モノマー組成物またはモノマー組成物を重合したものであるポリマーの両方を包含している。
【0042】
イオン化性部分は、酸または塩基での中和によりイオン性となり得るもの任意の基である。
【0043】
イオン部分またはイオン化部分は、酸または塩基によって中和されている任意の部分である。
【0044】
「実質的に非イオン性」とは、モノマー、モノマー組成物、またはモノマー組成物から重合されたポリマーが、一態様では15重量%未満またはそれに等しい、別の態様では10重量%未満またはそれに等しい、さらに別の態様では5重量%未満またはそれに等しい、さらなる態様では3重量%未満またはそれに等しい、なおさらなる態様では1重量%未満またはそれに等しい、さらなる態様では0.5重量%未満またはそれに等しい、なおさらなる態様では0.1重量%未満またはそれに等しい、さらなる態様では0.05重量%未満またはそれに等しいイオン化性および/またはイオン化部分を含有することを意味する。当業者なら、商業的供給元に応じて、一部の非イオン性モノマーが、イオン性またはイオン化性の特徴を持つ残留量のモノマーを含有し得ることが、理解されよう。イオン性またはイオン化性部分を含有する非イオン性モノマー組成物中の残留モノマーの量は、特定の非イオン性モノマーの重量に対して0、0.05、0.5、1、2、3、4、または5~15重量%の範囲である可能性がある。
【0045】
本明細書の解釈上、接頭語「(メタ)アクリル」は「アクリル」ならびに「メタクリル」を包含している。例えば、用語「(メタ)アクリレート」はアクリレートとメタクリレートの両方を包含している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、比較例1の架橋された非イオン性両親媒性ポリマーを含有する、様々なpH値で配合された界面活性剤配合物の光透過率曲線(%T対可視光の波長)である。
【0047】
【
図2】
図2は、比較例1および例示的な実施例2のポリマーを含有する界面活性剤配合物の拡散反射率(%反射率対可視光の波長)を比較するプロットである。
【0048】
【
図3】
図3は、比較例1および例示的な実施例2から4のポリマーを含有する界面活性剤配合物に関する、光透過率曲線(%T対可視光の波長)を比較するプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
例示的な実施形態の説明
本開示の技術による例示的な実施形態を説明する。本明細書に記載の例示的な実施形態の種々の改変、適合または変形は、開示されているため当業者に自明となり得よう。本開示の技術の教示に依存するかかる改変、適合または変形および本教示により本技術分野を発展させたものにするかかる改変、適合または変形はすべて、本開示の技術の範囲および精神に含まれるとみなされることは理解されよう。
【0050】
本開示の技術の選択した実施形態および態様に対して、本開示の技術の組成物中に含有され得る種々の成分および構成成分について重複する重量範囲を示しているが、本開示の組成物およびポリマー成分中の各成分の具体的な量は、その開示された範囲から、該組成物中のすべての成分の合計がトータル100重量パーセントになるように各成分の量が調整されるように選択されることは容易にわかるはずである。使用量は所望の製品の目的および性質によって異なり、当業者が容易に決定することができよう。
【0051】
意外にも、ある特定の化学的に架橋された非イオン性(または実質的に非イオン性)の両親媒性エマルジョンポリマーが水中で界面活性剤と混合された場合、広範なpH範囲にわたって優れた剪断減粘および光学的透明度を持つ非常に効率的な降伏応力流体が得られることが、発見された。両親媒性架橋剤との架橋、および重合が開始される前の重合性モノマー混合物への両親媒性添加剤の添加は、粒子の機械的剛性と水性界面活性剤媒体の膨張と間で正しいバランスを持つと共に、含有される場合には界面活性剤組成物の改善された透明度特性を持つ、ポリマーを提供することが決定された。本発明の技術の架橋された非イオン性(または実質的に非イオン性)両親媒性ポリマーは、水中で高い界面活性剤活性化型膨潤を示し、粒子直径は一態様では少なくとも2.5倍、別の態様では少なくとも2.7倍増大する。さらに、本開示の技術のポリマーベースの膨潤マイクロゲルは、水性界面活性剤媒体中で互いに相互作用して、pHに実質的に非依存性である高い降伏応力および剪断減粘性フローを有する軟質ガラス状物質(SGM)をもたらす。さらに、ポリマーは、それが含まれる水性界面活性剤系のレオロジープロファイル(例えば、粘度および降伏値)を維持するだけでなく、そのような組成物の透明度および濁度特性も改善することが、意外にもわかった。
両親媒性ポリマー
【0052】
本開示の技術の一態様では、架橋された非イオン性両親媒性ポリマーが、フリーラジカル重合性一不飽和を含有するモノマー成分から重合される。一実施形態では、本開示の技術の実施の際に有用な架橋された非イオン性両親媒性ポリマーは、a)C1~C5ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマー;b)C1~C5アルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマー;c)会合性モノマー、半疎水性モノマー、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマー;d)少なくとも1種のポリ不飽和両親媒性架橋モノマー;およびe)両親媒性添加剤を含み、両親媒性添加剤を含有する重合性モノマー混合物が保護コロイドおよび/またはポリマー安定剤を含まない、モノマー混合物から調製される。一実施形態では、モノマー混合物は、保護コロイドおよび/またはポリマー立体安定剤のない媒体中で重合される。
【0053】
一実施形態では、本開示の技術の実施の際に有用な架橋された非イオン性両親媒性ポリマーは、a)2-ヒドロキシエチルメタクリレートから選択される少なくとも1種のモノマー;b)アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマー;c)セテアリルポリエトキシ化メタクリレート、ベヘニルポリエトキシ化メタクリレート、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマー;d)両親媒性架橋モノマー;およびe)両親媒性添加剤を含み、両親媒性添加剤を含有する前記重合性モノマー混合物が保護コロイドおよび/またはポリマー安定剤を含まない、モノマー混合物から調製される。一実施形態では、モノマー混合物は、保護コロイドおよび/またはポリマー立体安定剤のない媒体中で重合される。
【0054】
ヒドロキシ(C
1~C
5)アルキル(メタ)アクリレートは、構造が下記の式:
【化1】
によって表されるものであり得、式中、R
1は水素またはメチルであり、R
2は、1~5個の炭素原子を含む二価のアルキレン部分であり、ここで、該アルキレン部分は必要に応じて、1つまたはそれより多くのメチル基で置換されていてもよい。代表的なモノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよびその混合物が挙げられる。
【0055】
(C
1~C
5)アルキル(メタ)アクリレートは、構造が下記の式:
【化2】
(式中、R
1は水素またはメチルであり、R
3はC
1~C
5アルキルである)
によって表されるものであり得る。代表的なモノマーには、限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、およびイソ-ブチル(メタ)アクリレート、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0056】
本開示の技術の一態様では、重合性モノマー混合物は、式:
【化3】
(式中、R
1は水素またはメチルであり、R
4はC
6~C
22アルキルである)
によって表される長鎖アルキル(メタ)アクリレートを必要に応じて含有する。式(IV)の代表的なモノマーには、限定されないが、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、およびそれらの混合物が含まれる。
【0057】
重合性モノマー混合物で利用される長鎖アルキル(メタ)アクリレートの量は、混合物中の重合性一不飽和モノマーの総重量に対して、一態様では約0または1~約15重量%、別の態様では約2~約10重量%、別の態様では約3~約6重量%の範囲である。
【0058】
本開示の技術の会合性モノマーは、本開示の技術のその他のモノマーとの付加重合のためのエチレン性不飽和末端基部分(i);生成物ポリマーに選択的な親水性および/または疎水性の特性を付与するためのポリオキシアルキレンの中央セクション部分(ii)、ならびに該ポリマーに選択的疎水性特性をもたらすための疎水性末端基部分(iii)を有するものである。
【0059】
エチレン性不飽和末端基を供給する部分(i)は、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸に由来する残基であり得る。あるいはまた、会合性モノマーの部分(i)は、アリルエーテルもしくはビニルエーテル;非イオン性ビニル置換ウレタンモノマー、例えば、米国再発行特許第33,156号もしくは米国特許第5,294,692号に開示されているもの;またはビニル置換尿素反応生成物、例えば、米国特許第5,011,978号に開示されているものに由来する残基であり得る;各々の該当する開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
中央セクション部分(ii)は、一態様では約2~約150個、別の態様では約10~約120個、さらなる一態様では約15~約60個のC2~C4アルキレンオキシド反復単位のポリオキシアルキレンセグメントである。中央セクション部分(ii)としては、一態様では約2~約150個、別の態様では約5~約120個、さらなる一態様では約10~約60個のエチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位および/またはブチレンオキシド単位を含み、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位および/またはブチレンオキシド単位がランダムシーケンスまたはブロックシーケンスで配置されたポリオキシエチレンセグメント、ポリオキシプロピレンセグメントおよびポリオキシブチレンセグメントならびにその組合せが挙げられる。
【0061】
会合性モノマーの疎水性末端基部分(iii)は、以下の炭化水素類型:C8~C30直鎖アルキル、C8~C30分枝鎖アルキル、C8~C30炭素環式アルキル、C2~C30アルキル置換フェニル、アラアルキル(araalkyl)置換フェニルおよびアリール置換C2~C30アルキル基のうちの1つに属する炭化水素部分である。
【0062】
会合性モノマーの好適な疎水性末端基部分(iii)の非限定的な例は約8~約30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、例えば、カプリル(C8)、イソ-オクチル(分枝鎖C8)、デシル(C10)、ラウリル(C12)、ミリスチル(C14)、セチル(C16)、セテアリル(C16~C18)、ステアリル(C18)、イソステアリル(分枝鎖C18)、アラキジル(C20)、ベヘニル(C22)、リグノセリル(C24)、セロチル(C26)、モンタニル(C28)、メリッシル(C30)などである。
【0063】
約8~約30個の炭素原子を有し、天然供給源に由来する直鎖および分枝鎖のアルキル基の例としては、限定されないが、水添ピーナッツ油、ダイズ油およびキャノーラ油(すべて、主としてC18)、水添獣脂油(C16~C18)など;ならびに水添C10~C30テルペノール、例えば、水添ゲラニオール(分枝鎖C10)、水添ファルネソール(分枝鎖C15)、水添フィトール(分枝鎖C20)などに由来するアルキル基が挙げられる。
【0064】
好適なC2~C30アルキル置換フェニル基の非限定的な例としては、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、ヘキサデシルフェニル、オクタデシルフェニル、イソオクチルフェニル、sec-ブチルフェニルなどが挙げられる。
【0065】
例示的なアリール置換C2~C40アルキル基としては、限定されないが、スチリル(例えば、2-フェニルエチル)、ジスチリル(例えば、2,4-ジフェニルブチル)、トリスチリル(例えば、2,4,6-トリフェニルヘキシル)、4-フェニルブチル、2-メチル-2-フェニルエチル、トリスチリルフェノリルなどが挙げられる。
【0066】
好適なC8~C30炭素環式(carbocylic)アルキル基としては、限定されないが、動物性供給源のステロール、例えば、コレステロール、ラノステロール、7-デヒドロコレステロールなどに由来する基;植物性供給源、例えば、フィトステロール、スチグマステロール、カンペステロールなどに由来する基;および酵母供給源、例えば、エルゴステロール、ミコステロールなどに由来する基が挙げられる。本開示の技術に有用な他の炭素環式アルキル疎水性末端基としては、限定されないが、シクロオクチル、シクロドデシル、アダマンチル、デカヒドロナフチル、および天然炭素環式物質、例えばピネン、水添レチノール、ショウノウ、イソボルニルアルコールに由来する基などが挙げられる。
【0067】
有用な会合性モノマーは、当該技術分野で知られた任意の方法によって調製され得る。例えば、Changらに対する米国特許第4,421,902号;Sonnabendに対する同第4,384,096号;Shayらに対する同第4,514,552号;Ruffnerらに対する同第4,600,761号;Ruffnerに対する同第4,616,074号;Barronらに対する同第5,294,692号;Jenkinsらに対する同第5,292,843号;Robinsonに対する同第5,770,760号;およびWilkerson,IIIらに対する同第5,412,142号を参照のこと;これらの関連する開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
一態様において、例示的な会合性モノマーとしては、以下の式:
【化4】
で表されるものが挙げられ、式中、R
1は水素またはメチルであり;Aは-CH
2C(O)O-、-C(O)O-、-O-、-CH
2O-、-NHC(O)NH-、-C(O)NH-、-Ar-(CE
2)
z-NHC(O)O-、-Ar-(CE
2)
z-NHC(O)NH-または-CH
2CH
2NHC(O)-であり;Arは二価のアリーレン(例えば、フェニレン)であり;EはHまたはメチルであり;zは0または1であり;kは約0~約30の範囲の整数であり、mは0または1であるが、kが0である場合はmが0であり、kが1~約30の範囲である場合はmが1であるものとし;Dはビニルまたはアリル部分を表し;(R
15-O)
nはポリオキシアルキレン部分であり、該部分は、C
2~C
4オキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり得、R
15は、C
2H
4、C
3H
6またはC
4H
8およびその組合せから選択される二価のアルキレン部分であり;nは、一態様では約2~約150、別の態様では約10~約120、さらなる一態様では約15~約60の範囲の整数であり;Yは-R
15O-、-R
15NH-、-C(O)-、-C(O)NH-、-R
15NHC(O)NH-または-C(O)NHC(O)-であり;R
16は、C
8~C
30直鎖アルキル、C
8~C
30分枝鎖アルキル、C
8~C
30炭素環式アルキル、C
2~C
30アルキル置換フェニル、アラアルキル置換フェニルおよびアリール置換C
2~C
30アルキルから選択される置換または非置換のアルキルであり;ここで、R
16の該アルキル基、アリール基、フェニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシル基、ベンジル基 フェニルエチル基およびハロゲン基からなる群より選択される1つまたはそれより多くの置換基を必要に応じて含む。
【0069】
一態様において、疎水変性会合性モノマーは、8~30個の炭素原子を含む疎水性基を有し、下記の式:
【化5】
で表されるアルコキシ化(メタ)アクリレートであり、式中、R
1は水素またはメチルであり;R
15は、C
2H
4、C
3H
6およびC
4H
8から独立して選択される二価のアルキレン部分であり、nは、一態様では約2~約150、別の態様では約5~約120、さらなる一態様では約10~約60の範囲の整数を表し、(R
15-O)はランダム構成に配置されていてもブロック構成に配置されていてもよく;R
16は、C
8~C
30直鎖アルキル、C
8~C
30分枝鎖アルキル、C
8~C
30炭素環式アルキル、C
2~C
30アルキル置換フェニルおよびアリール置換C
2~C
30アルキルから選択される置換または非置換のアルキルである。
【0070】
代表的な会合性モノマーとしては、ラウリルポリエトキシ化メタクリレート(LEM)、セチルポリエトキシ化メタクリレート(CEM)、セテアリルポリエトキシ化メタクリレート(CSEM)、ステアリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、アラキジルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ベヘニルポリエトキシ化メタクリレート(BEM)、セロチルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、モンタニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、メリッシルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、フェニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ω-トリスチリルフェニルポリオキシエチレンメタクリレート(ここで、該モノマーのポリエトキシ化部分は、一態様では約2~約150個、別の態様では約5~約120個、なお別の態様では約10~約60個、さらなる一態様では10~40個、なおさらなる態様では15~30個のエチレンオキシド単位を含むものである);オクチルオキシポリエチレングリコール(8)ポリプロピレングリコール(6)(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(6)ポリプロピレングリコール(6)(メタ)アクリレート、およびノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0071】
本開示の技術の半疎水性モノマーは、構造が上記の会合性モノマーと類似しているが、実質的に非疎水性の末端基部分を有する。半疎水性モノマーは、本開示の技術のその他のモノマーとの付加重合のためのエチレン性不飽和末端基部分(i);生成物ポリマーに選択的な親水性および/または疎水性の特性を付与するためのポリオキシアルキレンの中央セクション部分(ii)ならびに半疎水性末端基部分(iii)を有するものである。付加重合のためのビニルまたは他のエチレン性不飽和末端基を供給する不飽和末端基部分(i)は、好ましくはα,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸に由来するものである。あるいはまた、末端基部分(i)は、アリルエーテル残基、ビニルエーテル残基または非イオン性ウレタンモノマーの残基に由来するものであってもよい。
【0072】
ポリオキシアルキレンの中央セクション(ii)は具体的には、上記の会合性モノマーのポリオキシアルキレン部分と実質的に類似しているポリオキシアルキレンセグメントを含むものである。一態様において、ポリオキシアルキレン部分(ii)としては、一態様では約2~約150個、別の態様では約5~約120個、さらなる一態様では約10~約60個のランダムシーケンスまたはブロック状シーケンスで配置されたエチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位および/またはブチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン単位、ポリオキシプロピレン単位および/またはポリオキシブチレン単位が挙げられる。
【0073】
必要に応じて、少なくとも1つの半疎水性モノマーが、本開示の技術の両親媒性ポリマーの調製に使用され得る。半疎水性モノマーは、構造が会合性モノマーと類似しているが、ヒドロキシルまたは1~4個の炭素原子を含む部分から選択される実質的に非疎水性の末端基を有する。
【0074】
一態様において、半疎水性モノマーは、下記の式:
【化6】
で表されるものであり得、式中、R
1は水素またはメチルであり;Aは-CH
2C(O)O-、-C(O)O-、-O-、-CH
2O-、-NHC(O)NH-、-C(O)NH-、-Ar-(CE
2)
z-NHC(O)O-、-Ar-(CE
2)
z-NHC(O)NH-または-CH
2CH
2NHC(O)-であり;Arは二価のアリーレン(例えば、フェニレン)であり;EはHまたはメチルであり;zは0または1であり;kは約0~約30の範囲の整数であり、mは0または1であるが、kが0である場合はmが0であり、kが1~約30の範囲である場合はmが1であるものとし;(R
15-O)
nはポリオキシアルキレン部分であり、該部分は、C
2~C
4オキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり得、R
15は、C
2H
4、C
3H
6またはC
4H
8およびその組合せから選択される二価のアルキレン部分であり;nは、一態様では約2~約150、別の態様では約5~約120、さらなる一態様では約10~約60の範囲の整数であり;R
17は、水素ならびに直鎖または分枝鎖のC
1~C
4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソ-ブチルおよびtert-ブチル)から選択され;Dはビニルまたはアリル部分を表す。
【0075】
一態様において、半疎水性モノマーは、下記の式:
CH2=C(R1)C(O)O-(C2H4O)a(C3H6O)b-H
CH2=C(R1)C(O)O-(C2H4O)a(C3H6O)b-CH3
で表されるものであり得、式中、R1は水素またはメチルであり、「a」は、一態様では0または2~約120、別の態様では約5~約45、さらなる一態様では約10~約25の範囲の整数であり、「b」は、一態様では約0または2~約120、別の態様では約5~約45、さらなる一態様では約10~約25の範囲の整数であるが、「a」と「b」が同時に0にはなり得ないものとする。
【0076】
半疎水性モノマーの例としては、製品名Blemmer(登録商標)PE-90(R1=メチル,a=2,b=0)、PE-200(R1=メチル,a=4.5,b=0)、およびPE-350(R1=メチル a=8,b=0,)で入手可能なポリエチレングリコールメタクリレート;製品名Blemmer(登録商標)PP-1000(R1=メチル,b=4-6、a=0)、PP-500(R1=メチル,a=0,b=9)、PP-800(R1=メチル,a=0,b=13)で入手可能なポリプロピレングリコールメタクリレート;製品名Blemmer(登録商標)50PEP-300(R1=メチル,a=3.5,b=2.5)、70PEP-350B(R1=メチル,a=5,b=2)で入手可能なポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート;製品名Blemmer(登録商標)AE-90(R1=水素,a=2,b=0)、AE-200(R1=水素,a=2,b=4.5)、AE-400(R1=水素,a=10,b=0)で入手可能なポリエチレングリコールアクリレート;製品名Blemmer(登録商標)AP-150(R1=水素,a=0,b=3)、AP-400(R1=水素,a=0,b=6)、AP-550(R1=水素,a=0,b=9)で入手可能なポリプロピレングリコールアクリレートが挙げられる。Blemmer(登録商標)は日油株式会社(東京,日本)の商標である。
【0077】
半疎水性モノマーのさらなる例としては、製品名Visiomer(登録商標)MPEG 750 MA W(R1=メチル,a=17,b=0)、MPEG 1005 MA W(R1=メチル,a=22,b=0)、MPEG 2005 MA W(R1=メチル,a=45,b=0)、およびMPEG 5005 MA W(R1=メチル,a=113,b=0)(Evonik Roehm GmbH(Darmstadt,Germany)製);Bisomer(登録商標)MPEG 350 MA(R1=メチル,a=8,b=0)、およびMPEG 550 MA(R1=メチル,a=12,b=0)(GEO Specialty Chemicals(Ambler PA)製);Blemmer(登録商標)PME-100(R1=メチル,a=2,b=0)、PME-200(R1=メチル,a=4,b=0)、PME400(R1=メチル,a=9,b=0)、PME-1000(R1=メチル,a=23,b=0)、PME-4000(R1=メチル,a=90,b=0)で入手可能なメトキシポリエチレングリコールメタクリレートが挙げられる。
【0078】
一態様において、半疎水性モノマーは、下記の式:
CH2=CH-O-(CH2)d-O-(C3H6O)e-(C2H4O)f-H
CH2=CH-CH2-O-(C3H6O)g-(C2H4O)h-H
で表されるものであり得、式中、dは2、3または4の整数であり;eは、一態様では約1~約10、別の態様では約2~約8、さらなる一態様では約3~約7の範囲の整数であり;fは、一態様では約5~約50、別の態様では約8~約40、さらなる一態様では約10~約30の範囲の整数であり;gは、一態様では1~約10、別の態様では約2~約8、さらなる一態様では約3~約7の範囲の整数であり;hは、一態様では約5~約50、別の態様では約8~約40の範囲の整数であり;e、f、gおよびhは0であってもよいが、eとfが同時に0にはなり得ず、gとhが同時に0にはなり得ないものとする。
【0079】
半疎水性モノマーは、商品名Emulsogen(登録商標)R109、R208、R307、RAL109、RAL208およびRAL307(Clariant Corporationにより販売);BX-AA-E5P5(Bimax,Inc.により販売)で市販されているもの;およびその組合せである。EMULSOGEN(登録商標)R109は、実験式CH2=CH-O(CH2)4O(C3H6O)4(C2H4O)10Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシ化された1,4-ブタンジオールビニルエーテルであり;Emulsogen(登録商標)R208は、実験式CH2=CH-O(CH2)4O(C3H6O)4(C2H4O)20Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシ化された1,4-ブタンジオールビニルエーテルであり;Emulsogen(登録商標)R307は、実験式CH2=CH-O(CH2)4O(C3H6O)4(C2H4O)30Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシ化された1,4-ブタンジオールビニルエーテルであり;Emulsogen(登録商標)RAL109は、実験式CH2=CHCH2O(C3H6O)4(C2H4O)10Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシ化されたアリルエーテルであり;Emulsogen(登録商標)RAL208は、実験式CH2=CHCH2O(C3H6O)4(C2H4O)20Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシ化されたアリルエーテルであり;Emulsogen(登録商標)RAL307は、実験式CH2=CHCH2O(C3H6O)4(C2H4O)30Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシ化されたアリルエーテルであり;BX-AA-E5P5は、実験式CH2=CHCH2O(C3H6O)5(C2H4O)5Hを有するランダムにエトキシ化/プロポキシ化されたアリルエーテルである。
【0080】
本開示の技術の会合性モノマーおよび半疎水性モノマーにおいて、これらのモノマーに含まれたポリオキシアルキレンの中央セクション部分は、該部分を含むポリマーの親水性および/または疎水性を個別調整するために使用され得る。例えば、エチレンオキシド部分を高含有の中央セクション部分はより親水性となるが、プロピレンオキシド部分を高含有の中央セクション部分はより疎水性となる。これらのモノマー内に存在するプロピレンオキシド部分に対するエチレンオキシド部分の相対量を調整することにより、これらのモノマーを含むポリマーの親水性特性と疎水性特性が所望のとおりに個別調整され得る。
【0081】
本開示の技術のポリマーの調製に使用される会合性モノマーおよび/または半疎水性モノマーの量は広くさまざまであり得、とりわけ、ポリマーに所望される最終的なレオロジー特性および審美特性に依存する。使用する場合、モノマー反応混合物には、上記に開示した会合性モノマーおよび/または半疎水性モノマーから選択される1つまたはそれより多くのモノマーを、全モノマーの重量に対して一態様では約0.01~約15重量%、別の態様では約0.1重量%~約10重量%、さらに別の態様では約0.5~約8重量%、さらなる一態様では約1、2または3~約5重量%の範囲の量で含める。
イオン化性モノマー
【0082】
本開示の技術の一態様では、本開示の技術の架橋された非イオン性両親媒性ポリマー組成物は、本開示の技術のポリマーが含まれる降伏応力流体の降伏応力値または透明度が有害な影響を及ぼさない限り(即ち、流体の降伏応力値が1mPaまたは0.1Paよりも下に降下しない)、全モノマーの重量に対して、一態様では約0~約15.0重量%、別の態様では約0.1~約15重量%、さらに別の態様では約0.5~約10重量%、さらなる態様では約1~約8重量%、およびなおさらなる態様では約2または3~約5重量%のイオン化性および/またはイオン化モノマーを含むモノマー組成物から重合することができる。
【0083】
別の態様では、本開示の技術の両親媒性ポリマー組成物は、全モノマーの重量に対して、一態様では3重量%未満、さらなる一態様では1重量%未満、なおさらなる一態様では0.5重量%未満、さらなる一態様では0.1重量%未満、さらなる一態様では0.05重量%未満のイオン化性部分および/またはイオン化部分を含むモノマー組成物から重合することができる。
【0084】
イオン化性モノマーとしては、塩基中和性部分を有するモノマーと酸中和性部分を有するモノマーが挙げられる。塩基中和性モノマーとしては、3~5個の炭素原子を含むオレフィン性不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸ならびにその塩ならびにその無水物が挙げられる。例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびその組合せが挙げられる。他の酸性モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標)モノマー)、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸;およびその塩が挙げられる。
【0085】
酸中和性モノマーとしては、塩を形成し得る塩基性窒素原子または酸が付加すると塩を形成し得る4級化部分を含むオレフィン性不飽和モノマーが挙げられる。例えば、このようなモノマーとしては、ビニルピリジン、ビニルピペリジン、ビニルイミダゾール、ビニルメチルイミダゾール、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレートおよびメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ならびにジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
架橋性モノマー
【0086】
架橋性モノマーは両親媒性架橋剤である。両親媒性架橋剤は、共有結合性架橋体を両親媒性ポリマー主鎖に重合させるために使用される。一部の場合では、慣用的な架橋剤は、界面活性剤含有流体中でのマイクロゲル粒子の体積膨張または膨潤に影響を及ぼすことがあり得る。例えば、高レベルの慣用的な架橋剤では高い降伏応力がもたらされ得るが、限定的なマイクロゲルの膨張により、望まない高いポリマー使用レベルおよび低い光学的透明度がもたらされ得る。他方において、低レベルの慣用的な架橋剤では高い光学的透明度がもたらされ得るが、降伏応力は低い。高分子マイクロゲルにより、望ましい降伏応力が維持されたまま最大限の膨潤が可能であることが望ましく、慣用的な架橋剤の代わりに、または慣用的な架橋剤とともに両親媒性架橋剤を使用することにより、まさにこのような有益性がもたらされ得ることがわかった。また、両親媒性架橋剤は容易に反応して両親媒性ポリマーになり得ることがわかった。多くの場合、慣用的な架橋剤では、光学的透明度と降伏応力間の適正なバランスを得るために段階法などの特定の加工手法が必要とされ得る。対照的に、両親媒性架橋剤は、一段階でモノマー混合物に単に添加すればよいことがわかった。
【0087】
両親媒性架橋剤は、反応性界面活性剤として当該技術分野で知られている化合物のサブセットである。反応性界面活性剤は、ポリマー粒子の表面と共有結合できるように少なくとも1つの反応性部分を含む表面活性剤である。粒子と結合することにより、反応性界面活性剤は、粒子表面から脱着するための界面活性剤の抵抗によりラテックス粒子のコロイド安定性を改善し得る。当該技術分野における反応性界面活性剤は、一般的に、かかる脱着を抑制するための反応性部分を1つしか有しない、または1つしか必要でない。
【0088】
一態様において、本発明の技術での使用に適した例示的な両親媒性架橋剤としては、限定されないが、US2013/0047892(2013年2月28日に公開されたPalmer,Jr.らに対するもの)に開示された、下記の式:
【化7】
(式中、R
20=CH
3、CH
2CH
3、C
6H
5またはC
14H
29;n=1、2または3;xは2~10であり、yは0~200であり、zは4~200、より好ましくは約5~60、最も好ましくは約5~40であり;ZはSO
3
-またはPO
3
2-のいずれかであり、M
+は、Na
+、K
+、NH
4
+、またはアルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどである);
【化8】
(式中、R
20=CH
3、CH
2CH
3、C
6H
5またはC
14H
29;n=1、2、3;xは2~10であり、yは0~200であり、zは4~200、より好ましくは約5~60、最も好ましくは約5~40である);
【化9】
(式中、R
21はC
10~24アルキル、アルカリール(alkaryl)、アルケニルまたはシクロアルキルであり、R
20=CH
3、CH
2CH
3、C
6H
5またはC
14H
29;xは2~10であり、yは0~200であり、zは4~200、より好ましくは約5~60、最も好ましくは約5~40であり;R
22はHまたはZ
-M
+であり、ZはSO
3
-またはPO
3
2-のいずれかであり、M
+は、Na
+、K
+、NH
4
+、またはアルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどである)
で表されるものなどの化合物が挙げられ得る。
【0089】
一実施形態において、両親媒性架橋剤は、本開示の技術の非イオン性両親媒性ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマーの総重量に対して、一態様では約0.01から約3重量%に及ぶ量で、別の態様では約0.05から約0.1重量%、およびさらなる態様では約0.1から約0.9重量%に及ぶ量で、使用することができる。別の言い方をすれば、以下に論じられる両親媒性架橋剤および/または従来の架橋モノマーの量は、本開示の技術のポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー全体100重量部(100%活性材料)当たりの重量部(100%活性材料)に基づいて計算することができる。
【0090】
別の実施形態では、両親媒性架橋剤は、平均で約1.5または2個の不飽和部分を含むものであり得、本開示の技術の非イオン性両親媒性ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して一態様では約0.01~約3重量部%(parts by 重量%)、別の態様では約0.02~約1重量部%、さらなる一態様では約0.05~約0.9重量部%、なおさらなる一態様では約0.075~約0.5重量部%、別の態様では約0.1~約0.15重量部%の範囲の量で使用され得る。
【0091】
一態様において、両親媒性架橋剤は、式(III)、(IV)または(V)の化合物から選択される
【化10】
(式中、nは1または2であり;zは一態様では4~40、別の態様では5~38、さらなる一態様では10~20であり;R
4はH、SO
3
-M
+またはPO
3
-2M
+であり、Mは、Na、KおよびNH
4から選択される)。
【化11】
【0092】
式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)に従う前述の両親媒性架橋剤は、米国特許出願公開公報番号US2014/0114006(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されており、Ethox Chemicals,LLCのE-Sperse(商標)RSシリーズの商品名(例えば、品番構成RS-1617、RS-1618、RS-1684)で市販されている。
【0093】
一実施形態において、架橋性モノマーとしては、両親媒性架橋剤と慣用的な架橋剤の組合せが挙げられ得る。これらは比較的低分子量の多価不飽和化合物である(300ダルトン未満)。一態様において、慣用的な架橋剤は、少なくとも2個の不飽和部分を含む多価不飽和化合物である。別の態様では、慣用的な架橋剤は少なくとも3個の不飽和部分を含む。例示的な多価不飽和化合物としては、ジ(メタ)アクリレート化合物、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2’-ビス(4-(アクリルオキシ-プロピルオキシフェニル)プロパン、および2,2’-ビス(4-(アクリルオキシジエトキシ-フェニル)プロパン;トリ(メタ)アクリレート化合物、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、およびテトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート;テトラ(メタ)アクリレート化合物、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ヘキサ(メタ)アクリレート化合物、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;アリル化合物、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、およびマレイン酸ジアリル;1分子あたり2~8個のアリル基を有するスクロースのポリアリルエーテル、ペンタエリスリトールのポリアリルエーテル、例えば、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルおよびペンタエリスリトールテトラアリルエーテルならびにその組合せ;トリメチロールプロパンのポリアリルエーテル、例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテルおよびその組合せが挙げられる。他の好適な多価不飽和化合物としては、ジビニルグリコール、ジビニルベンゼンおよびメチレンビスアクリルアミドが挙げられる。
【0094】
別の態様では、好適な多価不飽和モノマーは、エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドまたはその組合せから作製されたポリオールと、不飽和無水物、例えば無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物とのエステル化反応、あるいは不飽和イソシアネート、例えば3-イソプロペニル-α-α-ジメチルベンゼンイソシアネートとの付加反応によって合成され得る。
【0095】
また、前述の多価不飽和化合物のうちの2つまたはそれより多くの混合物を用いて非イオン性両親媒性ポリマーを架橋してもよい。一態様において、慣用的な不飽和の架橋性モノマーの混合物は平均で2個の不飽和部分を含む。別の態様では、慣用的な架橋剤の混合物は平均で2.5個の不飽和部分を含む。さらに別の態様では、慣用的な架橋剤の混合物は平均で約3個の不飽和部分を含む。さらなる一態様では、慣用的な架橋剤の混合物は平均で約3.5個の不飽和部分を含む。
【0096】
一実施形態において、慣用的な架橋剤成分は、本開示の技術の非イオン性両親媒性ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して一態様では約0.01~約1重量部、別の態様では約0.05~約0.75重量部、さらなる一態様では約0.1~約0.5重量部の範囲の量で使用され得る。
【0097】
本開示の技術の別の実施形態では、慣用的な架橋剤成分は平均で約3個の不飽和部分を含むものであり、本開示の技術の非イオン性両親媒性ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して一態様では約0.01~約0.3重量部、別の態様では約0.02~約0.25重量部、さらなる一態様では約0.05~約0.2重量部、なおさらなる一態様では約0.075~約0.175重量部、別の態様では約0.1~約0.15重量部の範囲の量で使用され得る。
【0098】
一態様において、慣用的な架橋剤は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルおよび1分子あたり3個のアリル基を有するスクロースのポリアリルエーテルから選択される。
【0099】
別の態様では、非イオン性両親媒性ポリマーは、慣用的な架橋剤と両親媒性架橋剤の組合せを用いて架橋されたものであり得る。慣用的な架橋剤と両親媒性架橋剤は、本開示の技術の非イオン性両親媒性ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して一態様では約0.01~約1重量部、別の態様では約0.05~約0.75重量部、さらなる一態様では約0.1~約0.5重量部の範囲の総量で使用され得る。
【0100】
別の実施形態では、慣用的な架橋剤と両親媒性架橋剤の組合せは、平均で約2または3個の不飽和部分を含むものであり得、本開示の技術の非イオン性両親媒性ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して一態様では約0.01~約2重量部、別の態様では約0.02~約0.3重量部、さらなる一態様では約0.05~約0.2重量部、なおさらなる一態様では約0.075~約0.175重量部、別の態様では約0.1~約0.15重量部の範囲の量で使用され得る。
【0101】
一態様において、慣用的な架橋剤と両親媒性架橋剤の組合せは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルおよび1分子あたり3個のアリル基を有するスクロースのポリアリルエーテルおよびその組合せから選択される(selected from selected from)慣用的な架橋剤と、式(III)、(V)の化合物およびその組合せから選択される両親媒性架橋剤とを含むものであり得る。
両親媒性添加剤
【0102】
本発明の技術の一態様によれば、両親媒性添加剤は、モノマー混合物を重合媒体に導入する前に、両親媒性架橋剤を含有する重合性モノマー混合物に混合される。モノマー混合物(分散相)ならびに重合媒体(連続相)には、例えば、WO2015/095286およびWO2016/100183に例示されるようなポリ(ビニルアルコール)およびポリ(酢酸ビニル)などの保護コロイド、ならびに/またはポリマー立体安定剤がない。意外にも、両親媒性添加剤と重合性モノマー混合物とを混合し、保護コロイドを乳化重合媒体から除去することによって、得られたポリマー生成物を含有する界面活性剤組成物の透明度および濁度特性が改善されることがわかった。
【0103】
本発明の技術の両親媒性添加剤は、非イオン性であり、少なくとも1種の親水性セグメントおよび少なくとも2種の疎水性セグメントを含有する。
【0104】
一実施形態では、本発明の技術の両親媒性添加剤は、式:
【化12】
(式中、Qはポリオール残基を表し;Aはポリ(エチレングリコール)残基を表し;Rは、飽和および不飽和C
10~C
22アシル基ならびにポリ(プロピレングリコール)残基から選択され;R
23は、H、飽和および不飽和C
10~C
22アシルラジカル、ならびにポリ(プロピレングリコール)残基から独立して選択され;aは0または1であり;bは0または1であり;cは1~4の数値であり;但し、bが0である場合はaおよびcが1であり、そしてbが1である場合はaが0であり、かつR
23がポリ(プロピレングリコール)残基ではないものとする)
によって表される。
【0105】
本開示の技術の一態様では、両親媒性添加剤は、式:
【化13】
(式中、R
23は、H、ならびに飽和および不飽和C
10~C
22アシル基から独立して選択され;R
24はC
1~C
10アルキル基から選択され;w+x+y+zの合計は、一態様では約60~約150、別の態様では約80~約135、さらなる態様では約90~約125、なおさらなる態様では約100~約120の範囲であり;但し2個以下のR
23は同時にHであり得るものとする)
によって表されるポリエトキシ化アルキルグルコシドエステルである。
【0106】
一態様では、R23は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸(steric acid)、イソステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸 バクセン酸、リノール酸(アルファおよびガンマ)、アラキジン酸、ベヘン酸、およびそれらの混合物のアシル残基であり、R25はメチルである。
【0107】
適切なポリエトキシ化アルキルグルコシドエステルは、Glucamate(商標)LT(INCI名:トリオレイン酸PEG-120メチルグルコース(および)プロピレングリコール(および)水)、Glucamate(商標)VLT(INCI名:トリオレイン酸PEG-120メチルグルコース(および)プロパンジオール)、およびGlucamate(商標)DOE-120(INCI名:ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース)という商品名で市販されている。
【0108】
本開示の技術の一態様では、両親媒性添加剤は、式:
【化14】
(式中、Bは飽和および不飽和C
10~C
22アシルラジカルから独立して選択され;かつnは、一態様では約10~約120、別の態様では約12~約110、さらなる態様では約15~約100の範囲である)
によって表される、ポリ(エチレングリコール)(PEG)が飽和および不飽和C
10~C
22脂肪酸でエステル化されたポリ(エチレングリコール)ジエステルから選択される。
【0109】
一態様では、Bは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸 バクセン酸、リノール酸(アルファおよびガンマ)、アラキジン酸、ベヘン酸、およびそれらの混合物のアシル残基である。
【0110】
例示的なPEGジエステルには、限定されないが、PEG-400、PEG-600、PEG-1000、PEG-2000、およびPEG-4000の、ラウリン酸ジエステル、パルミチン酸ジエステル、パルミトレイン酸ジエステル、ステアリン酸ジエステル、イソステアリン酸ジエステル、およびオレイン酸ジエステルが含まれる。
【0111】
本開示の技術の一態様では、両親媒性添加剤は、式:
【化15】
(式中、r=tであり、一態様では約5~約20、別の態様では約6~約15、さらなる態様では約8~約14の範囲であり;sは、一態様では約20~約30、別の態様では約21~約27、さらなる態様では約23~約25の範囲である)
によって表されるポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックコポリマーである。
【0112】
一態様では、ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックコポリマーは、約1500~約3500Daの範囲の数平均分子量を有する。
【0113】
ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックコポリマーは、一態様では約35~約60、別の態様では約40~約55重量%、さらに別の態様では約45~約50重量%のポリ(エチレングリコール)を含有する。適切なポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックコポリマーは、Pluronic(商標)10R5およびPluronic(商標)17R4という商品名でBASF Corporation、Florham Park、NJから販売されている。
【0114】
重合性モノマー混合物と混合される両親媒性添加剤の量は、本開示の技術の非イオン性両親媒性ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して、一態様では約1~約15重量部、別の態様では約2~約10重量部、さらに別の態様では約3~約6重量部の範囲である。
両親媒性ポリマーの合成
【0115】
本開示の技術の架橋された非イオン性両親媒性ポリマーは、慣用的なフリーラジカル乳化重合手法を用いて作製され得る。該重合法は酸素の非存在下、窒素などの不活性雰囲気下で行なわれる。該重合は適当な溶媒系で、例えば水中で行なわれ得る。少量の炭化水素溶媒、有機溶媒ならびにその混合物を使用してもよい。該重合反応は適当なフリーラジカルの生成をもたらす任意の手段によって開始される。熱により誘導したラジカル(この場合、ラジカル種は、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、パースルフェート、パーカーボネート、ペルオキシエステル、過酸化水素およびアゾ化合物の等方性熱分解により生成する)を使用してもよい。開始剤は、重合反応に使用される溶媒系に応じて水溶性であっても水不溶性であってもよい。
【0116】
開始剤化合物は、乾燥ポリマーの総重量に対して一態様では30重量%まで、別の態様では0.01~10重量%、さらなる一態様では0.2~3重量%の量で使用され得る。
【0117】
例示的な水溶性のフリーラジカル開始剤としては、限定されないが、無機パースルフェート化合物、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウム;過酸化物、例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチルおよび過酸化ラウリル;有機ヒドロペルオキシド、例えば、クメンヒドロペルオキシドおよびt-ブチルヒドロペルオキシド;有機過酸、例えば過酢酸、ならびに水溶性アゾ化合物、例えば、アルキル基上に水溶化性置換基を有する2,2’-アゾビス(tert-アルキル)化合物が挙げられる。例示的な油溶性のフリーラジカル化合物としては、限定されないが2,2’-アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。過酸化物および過酸を、還元剤で、例えば、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムまたはアスコルビン酸、遷移金属、ヒドラジンなどで、必要に応じて活性化してもよい。一態様において、アゾ重合触媒としては、Vazo(登録商標)フリーラジカル重合開始剤(DuPontから入手可能)、例えば、Vazo(登録商標)44(2,2’-アゾビス(2-(4,5-ジヒドロイミダゾリル)プロパン)、Vazo(登録商標)56(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド)、Vazo(登録商標)67(2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル))、およびVazo(登録商標)68(4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸))が挙げられる。
【0118】
必要に応じて、重合開始剤として既知のレドックス開始剤系の使用を用いてもよい。かかるレドックス開始剤系は酸化剤(開始剤)と還元剤を含むものである。好適な酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-アミルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、過リン酸およびその塩、過マンガン酸カリウム、ならびにペルオキシ二硫酸のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩が挙げられ、典型的には乾燥ポリマー重量に対して0.01%~3.0%(重量基準)のレベルで使用される。好適な還元剤としては、例えば、含硫酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、例えば、ナトリウムの亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロ亜硫酸塩、硫化物、水硫化物または亜ジチオン酸塩、ホルムアミジンスルフィン酸、ヒドロキシメタンスルホン酸、アセトンビスルファイト、アミン、例えばエタノールアミン、グリコール酸、グリオキシル酸水和物、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸、酒石酸および前述の酸の塩が挙げられ、典型的には乾燥ポリマー重量に対して0.01%~3.0%(重量基準)のレベルで使用される。一態様では、ペルオキソ二硫酸塩と重亜硫酸のアルカリ金属または重亜硫酸アンモニウムとの組合せ、例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと重亜硫酸アンモニウムが使用され得る。別の態様では、酸化剤としての過酸化水素含有化合物(t-ブチルヒドロペルオキシド)と還元剤としてのアスコルビン酸またはエリソルビン酸の組合せが使用され得る。過酸化物含有化合物対還元剤の比は30:1~0.05:1の範囲である。
【0119】
重合反応は、一態様では20~200℃、別の態様では50~150℃、さらなる一態様では60~100℃の範囲の温度で行なわれ得る。
【0120】
一態様では、重合は連鎖移動剤の存在下で行なわれ得る。好適な連鎖移動剤としては、限定されないが、チオ-およびジスルフィド含有化合物、例えばC1~C18アルキルメルカプタン、例えば、tert-ブチルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン ヘキサデシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン;メルカプトアルコール、例えば、2-メルカプトエタノール、2-メルカプトプロパノール;メルカプトカルボン酸、例えば、メルカプト酢酸および3-メルカプトプロピオン酸;メルカプトカルボン酸エステル、例えば、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸ドデシル、3-メルカプトプロピオン酸イソオクチルおよび3-メルカプトプロピオン酸ブチル;チオエステル;C1~C18アルキルジスルフィド;アリールジスルフィド;多官能性チオール、例えば、トリメチロールプロパン-トリス-(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラ-(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラ-(チオグリコレート)、ペンタエリスリトール-テトラ-(チオラクテート)、ジペンタエリスリトール-ヘキサ-(チオグリコレート)など;亜リン酸塩および次亜リン酸塩;C1~C4アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド;ハロアルキル化合物、例えば、四塩化炭素、ブロモトリクロロメタンなど;ヒドロキシルアンモニウム塩、例えば、硫酸ヒドロキシルアンモニウム;ギ酸;重亜硫酸ナトリウム;イソプロパノール;ならびに触媒性連鎖移動剤、例えば、コバルト錯体(例えば、コバルト(II)キレート)などが挙げられる。
【0121】
連鎖移動剤は一般的に、重合媒体中に存在するモノマーの総重量に対して0.1~10重量%の範囲の量で使用される。
乳化法
【0122】
本開示の技術の例示的な一態様において、架橋された非イオン性両親媒性ポリマーは乳化法によって重合されたものである。乳化法は単一の反応器内で行なってもよく、多数の反応器内で行なってもよく、これは当該技術分野でよく知られている。モノマーはバッチ混合物として添加してもよく、各モノマーを段階的プロセスで反応器内に計量してもよい。乳化重合における典型的な混合物は、水、モノマー(1つまたは複数)、開始剤(通常、水溶性)および乳化剤を含むものである。モノマーは、1段階、2段階または多段階重合法にて乳化重合の技術分野でよく知られた方法に従って乳化重合され得る。2段階重合法では、第1段階のモノマーをまず、水性媒体中に添加して重合させた後、第2段階のモノマーを添加して重合させる。水性媒体に必要に応じて有機溶媒を含有させてもよい。使用する場合、有機溶媒は水性媒体の約5重量%未満である。水混和性有機溶媒の好適な例としては、限定されないが、エステル、アルキレングリコールエーテル、アルキレングリコールエーテルエステル、低分子量脂肪族アルコールなどが挙げられる。
【0123】
モノマー混合物の乳状化を助長するため、乳化重合を少なくとも1つの安定化性界面活性剤の存在下で行なう。用語「安定化性界面活性剤」は、乳状化を助長するために使用される界面活性剤との関連において用いる。一実施形態において、乳化重合は、総モノマー(重量基準)に対して一態様では約0.2%~約5%(重量基準)、別の態様では約0.5%~約3%、さらなる一態様では約1%~約2%(重量基準)の範囲の量の安定化性界面活性剤(活性重量基準)の存在下で行なわれる。また、乳化重合反応混合物には1つまたはそれより多くのフリーラジカル開始剤も含まれており、該開始剤はモノマー総重量に対して約0.01%~約3%(重量基準)の範囲の量で存在させる。重合は水性媒体中または水性アルコール媒体中で行なわれ得る。乳化重合を助長するための安定化性界面活性剤としては、陰イオン性、非イオン性、両性および陽イオン性の界面活性剤ならびにその反応性誘導体およびその混合物が挙げられる。「その反応性誘導体」により、平均1個未満の反応性部分を有する界面活性剤または界面活性剤混合物を意図する。最も一般的には、陰イオン性および非イオン性の界面活性剤ならびにその混合物が安定化性界面活性剤として使用され得る。
【0124】
乳化重合を助長するための好適な陰イオン性界面活性剤は当該技術分野でよく知られており、限定されないが、(C6~C18)アルキルスルフェート、(C6~C18)アルキルエーテルスルフェート(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウレス硫酸ナトリウム)、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミノ塩およびアルカリ金属塩、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ジメチルエタノールアミン、(C6~C16)アルキルフェノキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、(C6~C16)アルキルフェノキシベンゼンスルホン酸二ナトリウム、(C6~C16)ジ-アルキルフェノキシベンゼンスルホン酸二ナトリウム、ラウレス-3スルホコハク酸二ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ-sec-ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸二ナトリウム、n-オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウム、分枝鎖アルコールエトキシレートのリン酸エステルなど、ならびにその反応性誘導体が挙げられる。
【0125】
乳化重合を助長するのに適した非イオン性界面活性剤はポリマーの技術分野でよく知られており、限定されないが、直鎖または分枝鎖のC8~C30脂肪族アルコールエトキシレート、例えば、カプリルアルコールエトキシレート、ラウリルアルコールエトキシレート、ミリスチルアルコールエトキシレート、セチルアルコールエトキシレート、ステアリルアルコールエトキシレート、セテアリルアルコールエトキシレート、ステロールエトキシレート、オレイルアルコールエトキシレートおよびベヘニルアルコールエトキシレート;アルキルフェノールアルコキシレート、例えば、オクチルフェノールエトキシレート;およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなど、ならびにその反応性誘導体が挙げられる。非イオン性界面活性剤として好適なさらなる脂肪族アルコールエトキシレートは後述するものである。他の有用な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレングリコールのC8~C22脂肪酸エステル、エトキシ化モノ-およびジグリセリド、ソルビタンエステルおよびエトキシ化ソルビタンエステル、C8~C22脂肪酸グリコールエステル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーおよびその組合せ、ならびにその反応性誘導体が挙げられる。前述の各エトキシレート内のエチレンオキシド単位の数は一態様では2およびそれより多く、別の態様では2~約150の範囲であり得る。
【0126】
必要に応じて、乳化重合の技術分野でよく知られた他の乳化重合添加剤および加工助剤、例えば、補助溶媒、緩衝剤、キレート剤、無機電解質、殺生剤およびpH調整剤を重合系内に含めてもよい。
【0127】
一態様では、2段階乳化重合反応を利用して、本発明の技術のポリマーを調製する。一不飽和モノマー、両親媒性架橋剤、および両親媒性添加剤の混合物を、不活性雰囲気下で第1の反応器に加えて、乳化界面活性剤(例えば、陰イオン性界面活性剤)の水溶液に添加する。モノマー混合物には、保護コロイドおよび/またはポリマー立体安定剤、例えばポリ(ビニルアルコール)またはポリ(酢酸ビニル)が含まれない。第1の反応器の内容物を撹拌して、モノマーエマルジョン(分散相)を調製する。撹拌子、不活性ガス入口、および供給ポンプを備えた第2の反応器に、不活性雰囲気下で、所望量の水と追加の陰イオン性界面活性剤(分散媒体または連続相)とを添加する。一態様では、保護コロイドおよび/または立体安定剤を分散媒体中で利用しない)。第2の反応器の内容物を撹拌混合しながら加熱する。第2の反応器の内容物が約55~98℃の範囲の温度に達した後、界面活性剤水溶液中にフリーラジカル開始剤を注入し、第1の反応器のモノマーエマルジョンを第2の反応器内に、典型的には約1時間半~約4時間の範囲の時間にわたって徐々に計量する。反応温度は約45~約95℃の範囲に制御する。モノマーの添加終了後、さらなる量のフリーラジカル開始剤を必要に応じて第2の反応器に添加してもよく、得られた反応混合物を典型的には、約45~95℃の温度で、重合反応が完了してポリマーエマルジョンが得られるのに充分な時間、保持する。
【0128】
一態様では、本開示の技術の架橋された非イオン性両親媒性ポリマーは、約20~約60重量%の少なくとも1種のC1~C5ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;約10~約50重量%の少なくとも1種のC1~C5アルキル(メタ)アクリレート;約0、0.1、1、5、または7~約15重量%の少なくとも1種の会合性および/または半疎水性モノマー(この場合、モノマーの重量パーセンテージはすべて、一不飽和モノマーの総重量に対するものである);および一態様では約0.01~約5重量部、別の態様では約0.1~約3重量部、さらなる態様では約0.5~約1重量部の少なくとも1種の両親媒性架橋剤(ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)、ならびに一態様では約1~約15重量部、別の態様では約2~10重量部、さらなる態様では約3~6重量部の少なくとも1種の両親媒性添加剤(ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)を含むモノマー混合物から重合されたエマルジョンポリマーから選択される。
【0129】
一態様では、本開示の技術の架橋された非イオン性両親媒性ポリマーは、約20~50重量%のヒドロキシエチルメタクリレート;約10~約30重量%のアクリル酸エチル;約10~約35重量%のアクリル酸ブチル;約1~約10または15重量%の少なくとも1種の会合性および/または半疎水性モノマー(この場合、モノマーの重量パーセンテージはすべて、全モノマーの重量に対するものである);および一態様では約0.01~約5重量部、別の態様では約0.1~約3重量部、さらなる態様では約0.5~約1重量部の少なくとも1種の両親媒性架橋剤(ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)、ならびに一態様では約1~約15重量部、別の態様では約2~10重量部、さらなる態様では約3~6重量部の少なくとも1種の両親媒性添加剤(ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)を含むモノマー混合物から重合されたエマルジョンポリマーから選択される。
【0130】
一態様では、本開示の技術の架橋された非イオン性両親媒性ポリマーは、約40から50重量%のヒドロキシエチルメタクリレート;約10から約20重量%のアクリル酸エチル;約20から約30重量%のアクリル酸ブチル;約5または6から約15重量%の、ラウリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、セチルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、セテアリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ステアリルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、アラキジルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、ベヘニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、セロチルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、モンタニルポリエトキシ化(メタ)アクリレート、メリシルポリエトキシ化(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種の会合性モノマー(ここで、該モノマーのポリエトキシ化部分は、約2から約50個のエチレンオキシド単位を含有する(この場合、モノマーの重量パーセンテージはすべて、全モノマーの重量に対するものである))、;および、一態様では約0.01から約5重量部、別の態様では約0.1から約3重量部、さらなる態様では約0.5から約1重量部(ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)の、両親媒性架橋剤から選択される少なくとも1種の橋かけ剤、および一態様では約1から約15重量部、別の態様では約2から約10重量部、さらなる態様では約3から約6重量部(ポリマーを調製するのに利用された一不飽和モノマー100重量部に対して)の、少なくとも1種の両親媒性添加剤を含むモノマー混合物から重合された、乳化重合体から選択される。
降伏応力流体
【0131】
本開示の技術の例示的な一態様において、降伏応力流体は:i)先に記載の少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性ポリマー(1つまたは複数);ii)少なくとも1つの陰イオン性界面活性剤、少なくとも1つの陽イオン性界面活性剤、少なくとも1つの両性界面活性剤、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤およびその組合せ;ならびにiii)水を含むものである。
【0132】
本開示の技術の別の例示的な態様では、降伏応力流体は:i)先に記載の少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性ポリマー(1つまたは複数);ii)少なくとも1つの陰イオン性界面活性剤;およびiii)水を含むものである。
【0133】
本開示の技術の別の例示的な態様では、降伏応力流体は:i)先に記載の少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性ポリマー(1つまたは複数);ii)少なくとも1つの陰イオン性界面活性剤と少なくとも1つの両性界面活性剤;およびiii)水を含むものである。
【0134】
驚くべきことに、本発明の両親媒性ポリマーは、界面活性剤によって活性化されて、望ましいレオロジー特性および審美特性を有し、粒子状物質および不溶性物質を水性媒体中にpH非依存的に無期限期間、懸濁させる能力を有する安定な降伏応力流体をもたらし得る。降伏応力値、弾性率および光学的透明度は、これらが含まれた組成物中において実質的にpH非依存性である。本開示の技術の降伏応力流体は、一態様では約2~約14、別の態様では約3~11、さらなる一態様では約4~約9のpH範囲で有用である。所望のレオロジープロフィールを付与するために酸または塩基での中和が必要とされるpH応答性架橋ポリマー(酸または塩基感受性)とは異なり、本開示の技術のレオロジープロフィールの架橋された非イオン性両親媒性ポリマーは実質的にpH非依存性である。実質的にpH非依存性により、本開示の技術のポリマーが含まれた降伏応力流体により、広いpH範囲(例えば、約2~約14)において所望のレオロジープロフィール(例えば少なくとも1mPa(0.001Pa)、別の態様では少なくとも少なくとも0.5Pa、さらに別の態様では少なくとも1Pa、さらなる一態様では少なくとも2Paの降伏応力)が付与されることを意図し、ここで、該pH範囲における降伏応力値の標準偏差は、本開示の技術の一態様では1Pa未満、別の態様では0.5Pa未満、さらなる一態様では0.25Pa未満である。
【0135】
本開示の技術の例示的な一態様において、降伏応力流体は少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性ポリマー、少なくとも1つの陰イオン性界面活性剤、必要に応じた非イオン性界面活性剤および水を含むものである。
【0136】
別の例示的な態様では、降伏応力流体は少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性ポリマー、少なくとも1つの陰イオン性界面活性剤、少なくとも1つの両性界面活性剤、必要に応じた非イオン性界面活性剤および水を含むものである。
【0137】
さらに別の例示的な態様では、降伏応力流体は少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性ポリマー、少なくとも1つの陰イオン性のエトキシ化型界面活性剤、必要に応じた非イオン性界面活性剤および水を含むものである。一態様において、陰イオン性界面活性剤の平均エトキシ化度は約1~約3の範囲であり得る。別の態様では、平均エトキシ化度は約2である。
【0138】
さらなる例示的な一態様では、降伏応力流体は少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性ポリマー、少なくとも1つの陰イオン性のエトキシ化型界面活性剤、少なくとも1つの両性界面活性剤、必要に応じた非イオン性界面活性剤および水を含むものである。一態様において、陰イオン性界面活性剤の平均エトキシ化度は約1~約3の範囲であり得る。別の態様では、平均エトキシ化度は約2である。
【0139】
なおさらなる例示的な一態様では、降伏応力流体は少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性ポリマー、少なくとも1つの陰イオン性の非エトキシ化型界面活性剤、少なくとも1つの陰イオン性のエトキシ化型界面活性剤、必要に応じた非イオン性界面活性剤および水を含むものである。一態様において、陰イオン性界面活性剤の平均エトキシ化度は約1~約3の範囲であり得る。別の態様では、平均エトキシ化度は約2である。
【0140】
別の例示的な態様では、降伏応力流体は少なくとも1つの架橋された非イオン性両親媒性ポリマー、少なくとも1つの陰イオン性の非エトキシ化型界面活性剤、少なくとも1つの陰イオン性のエトキシ化型界面活性剤、少なくとも1つの両性界面活性剤、必要に応じた非イオン性界面活性剤および水を含むものである。一態様において、陰イオン性界面活性剤の平均エトキシ化度は約1~約3の範囲であり得る。別の態様では、平均エトキシ化度は約2である。
【0141】
本開示の技術の降伏応力流体の配合に使用される両親媒性ポリマーの量は、全組成物の重量に対してポリマー固形分(100%活性剤ポリマー)が約0.5~約5重量%の範囲である。別の態様では、該配合に使用される両親媒性ポリマーの量は約0.75重量%~約3.5重量%の範囲である。さらに別の態様では、降伏応力流体中に使用される両親媒性ポリマーの量は約1~約3重量%の範囲である。さらなる一態様では、降伏応力流体中に使用される両親媒性ポリマーの量は約1.5重量%~約2.75重量%の範囲である。なおさらなる一態様では、降伏応力流体中に使用される両親媒性ポリマーの量は約2~約2.5重量%の範囲である。本開示の技術の降伏応力流体の配合に使用される架橋された非イオン性両親媒性ポリマーは乳化重合体である。
【0142】
降伏応力流体は、活性化性界面活性剤を添加することにより調製され得る。本開示の技術の降伏応力流体を配合するために使用される活性化性界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびその混合物から選択され得る。用語「活性化性界面活性剤」は、降伏応力流体を作出するために両親媒性ポリマーを活性化するために使用される界面活性剤との関連において用いる。一部の活性化性界面活性剤は安定化性界面活性剤でもあり得る。活性化性界面活性剤の種々の非限定的な例は以下に示している。
【0143】
陰イオン性界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition,1998(Allured Publishing Corporationにより出版);およびMcCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992)に開示されており;これらはどちらも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。陰イオン性界面活性剤は、水性界面活性剤組成物の技術分野で知られているか、またはこれまで使用されている任意の陰イオン性界面活性剤であり得る。好適な陰イオン性界面活性剤としては、限定されないが、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルカリールスルホネート、α-オレフィン-スルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルカリールポリエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルモノグリセリルエーテルスルフェート、アルキルモノグリセリドスルフェート、アルキルモノグリセリドスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルスルホスクシナメート(succinamate)、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート;アルキルスルホアセテート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルキルアミドエーテルカルボキシレート、N-アルキルアミノ酸、N-アシルアミノ酸、アルキルペプチド、N-アシルタウリン、アルキルイセチオネート、アシル基が脂肪酸に由来するカルボン酸塩;ならびにそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミンおよびトリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0144】
一態様において、前述の塩の陽イオン部分は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、モノ-、ジ-およびトリエタノールアミン塩、ならびにモノ-、ジ-およびトリ-イソプロピルアミン塩から選択される。前述の界面活性剤のアルキル基およびアシル基は一態様では約6~約24個の炭素原子、別の態様では8~22個の炭素原子、さらなる一態様では約12~18個の炭素原子を含むものであり、飽和型であっても不飽和であってもよい。該界面活性剤のアリール基はフェニルまたはベンジルから選択される。上記に示したエーテル含有界面活性剤は、一態様では界面活性剤分子1つあたり1~10個のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位、別の態様では界面活性剤分子1つあたり1~3個のエチレンオキシド単位を含むものであり得る。
【0145】
好適な陰イオン性界面活性剤の例としては、限定されないが、1、2、3、4または5モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたラウレススルフェート、トリデセススルフェート、ミレススルフェート、C12~C13パレススルフェート、C12~C14パレススルフェートおよびC12~C15パレススルフェートのナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウムおよびアンモニウムの塩;ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、アンモニウムおよびトリエタノールアミンラウリルスルフェート、ココスルフェート、トリデシルスルフェート、ミリスチル(myrstyl)スルフェート、セチルスルフェート、セテアリルスルフェート、ステアリルスルフェート、オレイルスルフェート、獣脂スルフェート、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、C12~C14オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウレス-6カルボン酸ナトリウム、メチルココイルタウリンナトリウム、ココイルグリシンナトリウム、ミリスチルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸カリウム、トリエタノールアミンのモノラウリルリン酸塩、ならびに脂肪酸の石鹸、例えば、約8~約22個の炭素原子を含む飽和型および不飽和の脂肪酸のナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびトリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0146】
陽イオン性界面活性剤は、水性界面活性剤組成物の技術分野で知られているか、またはこれまで使用されている陽イオン性界面活性剤のいずれかであり得る。有用な陽イオン性界面活性剤は、例えば、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition,1998(上掲)およびKirk-Othmer.Encyclopedia of Chemical Technology,第4版,第23巻,第478~541頁(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているもののうちの1つまたはそれより多くであり得る。好適な類型の陽イオン性界面活性剤としては、限定されないが、アルキルアミン、アルキルイミダゾリン、エトキシ化アミン、第4級化合物および4級化エステルが挙げられる。また、アルキルアミンオキシドは、低pHでは陽イオン性界面活性剤としての機能を果たし得る。
【0147】
アルキルアミン界面活性剤は、第1級、第2級および第3級脂肪族C12~C22アルキルアミン(置換または非置換)ならびに場合によっては「アミドアミン」と称される物質の塩であり得る。アルキルアミンおよびその塩の非限定的な例としては、ジメチルコカミン、ジメチルパルミチルアミン(palmitamine)、ジオクチルアミン、ステアラミンジメチル、ソイアミン(soyamine)ジメチル、ソイアミン、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N-獣脂プロパンジアミン、エトキシ化ステアリルアミン、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、アラキジルベヘニルアミン、ジメチルラウラミン、ステアリルアミン塩酸塩、ソイアミンクロリド、ステアリルアミンギ酸塩、N-獣脂プロパンジアミンジクロリド、およびアモジメチコンが挙げられる。
【0148】
アミドアミンおよびその塩の非限定的な例としては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミンクエン酸塩、パルミトアミドプロピルジエチルアミン、およびコカミドプロピルジメチルアミン乳酸塩が挙げられる。
【0149】
アルキルイミダゾリン界面活性剤の非限定的な例としては、アルキルヒドロキシエチルイミダゾリン、例えば、ステアリルヒドロキシエチルイミダゾリン、ココヒドロキシエチルイミダゾリン、エチルヒドロキシメチルオレイルオキサゾリンなどが挙げられる。
【0150】
エトキシ化(ethyoxylated)アミンの非限定的な例としては、PEG-ココポリアミン、PEG-15獣脂アミン、クオタニウム-52などが挙げられる。
【0151】
陽イオン性界面活性剤として有用な第4級アンモニウム化合物の中でも、一部のものは一般式:(R20R21R22R23N+)E-に該当するものであり、式中、R20、R21、R22およびR23は、1~約22個の炭素原子を有する脂肪族基または芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリールもしくはアルキルアリール基(該アルキル鎖内に1~約22個の炭素原子を有する)から独立して選択され;E-は、塩形成性陰イオン、例えば、ハロゲン(例えば、クロリド、ブロミド)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ナイトレート、スルフェートおよびアルキルスルフェートから選択されるものである。脂肪族基は、炭素原子と水素原子に加えて、エーテル結合、エステル結合および他の基(アミノ基など)を含むものであり得る。長鎖脂肪族基(例えば、約12個またはそれより多くの炭素のもの)は飽和型であっても不飽和であってもよい。一態様において、アリール基はフェニルおよびベンジルから選択される。
【0152】
例示的な第4級アンモニウム界面活性剤としては、限定されないが、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジエイコシルジメチルアンモニウムクロリド、ジドコシルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムアセテート、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ならびにジ(ココナッツアルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、ジ獣脂ジメチルアンモニウムクロリド、ジ(水添獣脂)ジメチルアンモニウムクロリド、ジ(水添獣脂)ジメチルアンモニウムアセテート、ジ獣脂ジメチルアンモニウムメチルスルフェート、ジ獣脂ジプロピルアンモニウムホスフェート、およびジ獣脂ジメチルアンモニウムナイトレートが挙げられる。
【0153】
低pHでは、アミンオキシドはプロトン化してN-アルキルアミンと同様の挙動を示し得る。例としては、限定されないが、ジメチル-ドデシルアミンオキシド、オレイルジ(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、ジメチルテトラデシルアミンオキシド、ジ(2-ヒドロキシエチル)-テトラデシルアミンオキシド、ジメチルヘキサデシルアミンオキシド、ベヘンアミンオキシド、コカミンオキシド、デシルテトラデシルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルC12~C15アルコキシプロピルアミンオキシド、ジヒドロキシエチル コカミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウラミンオキシド、ジヒドロキシエチルステアラミンオキシド、ジヒドロキシエチル獣脂アミンオキシド、水添パーム核アミンオキシド、水添獣脂アミンオキシド、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルC12~C15アルコキシプロピルアミンオキシド、ラウラミンオキシド、ミリスタミンオキシド、セチルアミンオキシド、オレアミドプロピルアミンオキシド、オレアミンオキシド、パルミチルアミン(palmitamine)オキシド、PEG-3ラウラミンオキシド、ジメチルラウラミンオキシド、カリウムトリホスホノメチルアミンオキシド、ダイズ由来アミドプロピルアミンオキシド、コカミドプロピルアミンオキシド、ステアラミンオキシド、獣脂アミンオキシドおよびその混合物が挙げられる。
【0154】
用語「両性界面活性剤」は、本明細書で用いる場合、両性イオン性界面活性剤も包含していることを意図し、両性イオン性界面活性剤は両性界面活性剤のサブセットとして、当業者である配合者によく知られている。両性界面活性剤の非限定的な例はMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition(上掲)およびMcCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(上掲)に開示されており;これらはどちらも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。好適な例としては、限定されないが、アミノ酸(例えば、N-アルキルアミノ酸およびN-アシルアミノ酸)、ベタイン、スルタイン、およびアルキルアンホカルボキシレートが挙げられる。
【0155】
本開示の技術の実施に適したアミノ酸系界面活性剤としては、式:
【化16】
で表される界面活性剤が挙げられ、式中、R
25は、10~22個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の炭化水素基または9~22個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の炭化水素基を含むアシル基を表し、Yは水素またはメチルであり、Zは、水素、-CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH
2CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)CH
2CH
3、-CH
2C
6H
5、-CH
2C
6H
4OH、-CH
2OH、-CH(OH)CH
3、-(CH
2)
4NH
2、-(CH
2)
3NHC(NH)NH
2、-CH
2C(O)O
-M
+、-(CH
2)
2C(O)O
-M
+から選択される。Mは塩形成性陽イオンである。一態様において、R
25は、直鎖または分枝鎖のC
10~C
22アルキル基、直鎖または分枝鎖のC
10~C
22アルケニル基、R
26C(O)-(式中、R
26は、直鎖または分枝鎖のC
9~C
22アルキル基、直鎖または分枝鎖のC
9~C
22アルケニル基から選択される)で表されるアシル基から選択されるラジカルを表す。一態様において、M
+は、ナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびトリエタノールアミン(TEA)から選択される陽イオンである。
【0156】
アミノ酸界面活性剤は、α-アミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、セリン、チロシンおよびバリンなどのアルキル化およびアシル化により誘導されるものであり得る。代表的なN-アシルアミノ酸界面活性剤は、限定されないが、N-アシル化グルタミン酸のモノ-およびジ-カルボン酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびTEA)、例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、パルミトイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、およびミリストイルグルタミン酸カリウム;N-アシル化アラニンのカルボン酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびTEA)、例えば、ココイルアラニンナトリウム、およびラウロイルアラニンTEA;N-アシル化グリシンのカルボン酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびTEA)、例えば、ココイルグリシンナトリウム、およびココイルグリシンカリウム;N-アシル化サルコシンのカルボン酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびTEA)、例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレイルサルコシンナトリウム、およびラウロイルサルコシンアンモニウム;ならびに前述の界面活性剤の混合物である。
【0157】
本開示の技術に有用なベタインおよびスルタインは、アルキルベタイン、アルキルアミノベタインおよびアルキルアミドベタインならびに式:
【化17】
で表される該当スルホベタイン(スルタイン)から選択され、式中、R
27はC
7~C
22アルキルまたはアルケニル基であり、各R
28は独立してC
1~C
4アルキル基であり、R
29はC
1~C
5アルキレン基またはヒドロキシ置換C
1~C
5アルキレン基であり、nは2~6の整数であり、Aはカルボキシレート基またはスルホネート基であり、Mは塩形成性陽イオンである。一態様において、R
27はC
11~C
18アルキル基またはC
11~C
18アルケニル基である。一態様において、R
28はメチルである。一態様において、R
29はメチレン、エチレンまたはヒドロキシプロピレンである。一態様において、nは3である。さらなる一態様では、Mは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウムならびにモノ-、ジ-およびトリエタノールアミン陽イオンから選択される。
【0158】
好適なベタインの例としては、限定されないが、ラウリルベタイン、ココベタイン、オレイルベタイン、ココヘキサデシルジメチルベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、ココアミドプロピルベタイン(CAPB)、およびコカミドプロピルヒドロキシスルタインが挙げられる。
【0159】
アルキルアンホカルボキシレート、例えば、アルキルアンホアセテートおよびアルキルアンホプロピオネート(一置換および二置換カルボキシレート)は、式:
【化18】
で表され得るものであり、式中、R
27はC
7~C
22アルキルまたはアルケニル基であり、R
30は-CH
2C(O)O
-M
+、-CH
2CH
2C(O)O
-M
+または-CH
2CH(OH)CH
2SO
3
-M
+であり、R
31は水素または-CH
2C(O)O
-M
+であり、Mは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウムならびにモノ-、ジ-およびトリエタノールアミンから選択される陽イオンである。
【0160】
例示的なアルキルアンホカルボキシレートとしては、限定されないが、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、カプリロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、ラウロアンホジ酢酸二ナトリウム、カプリルアンホジ酢酸二ナトリウム、カプリロアンホジ酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、およびカプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウムが挙げられる。
【0161】
非イオン性界面活性剤の非限定的な例はMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition,1998(上掲);およびMcCutcheon’s,Functional Materials,North American(上掲)に開示されており;これらはどちらも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。非イオン性界面活性剤のさらなる例は、Barratらに対する米国特許第4,285,841号およびLeikhimらに対する米国特許第4,284,532号に記載されており、これらはどちらも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。非イオン性界面活性剤は、典型的には、疎水性部分、例えば、長鎖アルキル基またはアルキル化アリール基と、種々のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度(例えば、1~約50)のエトキシ部分および/またはプロポキシ部分を含む親水性部分とを有するものである。使用され得る一例の類型の非イオン性界面活性剤の例としては、限定されないが、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化およびプロポキシ化脂肪族アルコール、メチルグルコースのポリエチレングリコールエーテル、ソルビトールのポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマー、脂肪酸のエトキシ化エステル、エチレンオキシドと長鎖アミンまたはアミドとの縮合生成物、エチレンオキシドとアルコールと縮合生成物およびその混合物が挙げられる。
【0162】
好適な非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル多糖、アルコールエトキシレート、ブロックコポリマー、ヒマシ油エトキシレート、セト/オレイルアルコールエトキシレート、セテアリルアルコールエトキシレート、デシルアルコールエトキシレート、ジノニルフェノールエトキシレート、ドデシルフェノールエトキシレート、末端キャップ型エトキシレート、エーテルアミン誘導体、エトキシ化アルカノールアミド、エチレングリコールエステル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪族アルコールアルコキシレート、ラウリルアルコールエトキシレート、モノ-分枝鎖アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、オクチルフェノールエトキシレート、オレイルアミンエトキシレート、ランダムコポリマーアルコキシレート、ソルビタンエステルエトキシレート、ステアリン酸エトキシレート、ステアリルアミンエトキシレート、獣脂油脂肪酸エトキシレート、獣脂アミンエトキシレート、トリデカノールエトキシレート、アセチレンジオール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびその混合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の種々の具体例としては、限定されないが、メチルグルセス-10、ジステアリン酸PEG-20メチルグルコース、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、セテス-8、セテス-12、ドドキシノール-12、ラウレス-15、PEG-20ヒマシ油、ポリソルベート20、ステアレス-20、ポリオキシエチレン-10セチルエーテル、ポリオキシエチレン-10ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン-20セチルエーテル、ポリオキシエチレン-10オレイルエーテル、ポリオキシエチレン-20オレイルエーテル、エトキシ化ノニルフェノール、エトキシ化オクチルフェノール、エトキシ化ドデシルフェノール、またはエトキシ化脂肪族(C6~C22)アルコール(3~20個のエチレンオキシド部分を含むもの)、ポリオキシエチレン-20イソヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン-23グリセロールラウレート、ポリオキシエチレン-20グリセリルステアレート、PPG-10メチルグルコースエーテル、PPG-20メチルグルコースエーテル、ポリオキシエチレン-20ソルビタンモノエステル、ポリオキシエチレン-80ヒマシ油、ポリオキシエチレン-15トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン-6トリデシルエーテル、ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4、PEG-3ヒマシ油、PEG 600ジオレエート、PEG 400ジオレエート、ポロキサマー、例えばポロキサマー188、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、ソルビタンカプリレート、ソルビタンココエート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンイソステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタンステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンウンデシレネートまたはその混合物が挙げられる。
【0163】
また、アルキルグリコシド非イオン性界面活性剤を使用してもよく、これは一般的には、単糖または単糖に加水分解性の化合物をアルコール(脂肪族アルコールなど)と酸媒体中で反応させることにより調製される。例えば、米国特許第5,527,892号および同第5,770,543号には、アルキルグリコシドおよび/またはその調製方法が記載されている。好適な例は、Glucopon(商標)220、225、425、600および625、PLANTACARE(登録商標)ならびにPLANTAPON(登録商標)の名称で市販されているものであり、これらはすべて、Ambler,PennsylvaniaのCognis Corporationから入手可能である。
【0164】
別の態様では、非イオン性界面活性剤としては、限定されないが、アルコキシ化メチルグルコシド、例えば、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、PPG-10メチルグルコースエーテル、およびPPG-20メチルグルコースエーテル(Lubrizol Advanced Materials,Inc.から、それぞれ商品名Glucam(登録商標)E10、Glucam(登録商標)E20、Glucam(登録商標)P10、およびGlucam(登録商標)P20で入手可能)などが挙げられ;疎水変性アルコキシ化メチルグルコシド、例えば、ジオレイン酸PEG 120メチルグルコース、トリオレイン酸PEG-120メチルグルコース、およびセスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース(Lubrizol Advanced Materials,Inc.から、それぞれ商品名Glucamate(登録商標)DOE-120、Glucamate(商標)LT、およびGlucamate(商標)SSE-20で入手可能)もまた好適である。他の例示的な疎水変性アルコキシ化メチルグルコシドは米国特許第6,573,375号および同第6,727,357号に開示されており、これらの開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0165】
他の有用な非イオン性界面活性剤としては、水溶性シリコーン、例えば、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-14ジメチコン、PEG-17ジメチコン、PPG-12ジメチコン、PPG-17ジメチコンおよびその誘導体化形態/官能性付与形態、例えば、ビス-PEG/PPG-20/20ジメチコン ビス-PEG/PPG-16/16 PEG/PPG-16/16ジメチコン、PEG/PPG-14/4ジメチコン、PEG/PPG-20/20ジメチコン、PEG/PPG-20/23ジメチコン、およびペルフルオロノニルエチルカルボキシデシルPEG-10ジメチコンが挙げられる。
【0166】
本開示の技術の降伏応力流体の配合に使用される該少なくとも1つの界面活性剤の量(活性重量基準)は降伏応力流体組成物全体の重量に対して約1~約70重量%の範囲である。別の態様では、該配合に使用される該少なくとも1つの界面活性剤の量は約2~約50重量%または約3~約25重量%の範囲である。さらに別の態様では、降伏応力流体中に使用される該少なくとも1つの界面活性剤の量は約5~約22重量%の範囲である。さらなる一態様では、使用される該少なくとも1つの界面活性剤の量は約6~約20重量%の範囲である。なおさらなる一態様では、該少なくとも1つの界面活性剤の量は降伏応力流体の総重量(total weight yield of the stress fluid)に対して約10、12、14、16および18重量%である。
【0167】
本開示の技術の一実施形態において、陰イオン性界面活性剤(非エトキシ化型および/またはエトキシ化型)対両性界面活性剤の重量比(活性物質に対して)は一態様では約10:1~約2:1の範囲であり得、別の態様では9:1、8:1、7:1 6:1、5:1、4.5:1、4:1または3:1であり得る。エトキシ化型陰イオン性界面活性剤を非エトキシ化型陰イオン性界面活性剤および両性界面活性剤と併用して使用する場合、エトキシ化型陰イオン性界面活性剤対非エトキシ化型陰イオン性界面活性剤対両性界面活性剤の重量比(活性物質に対して)は一態様において約3.5:3.5:1から別の態様において約1:1:1までの範囲であり得る。
【0168】
一実施形態において、該流体の降伏応力値は少なくとも約1mPa、または一態様では0.1Pa、一態様では約0.5Pa、別の態様では少なくとも約1Pa、さらなる一態様では少なくとも約1.5Paである。別の実施形態では、該流体の降伏応力は一態様では約0.1~約20Pa、別の態様では約0.5Pa~約10Pa、さらなる一態様では約1~約3Pa、なおさらなる一態様では約1.5~約3.5の範囲である。
【0169】
必要に応じて、本開示の技術の降伏応力流体に電解質を含めてもよい。好適な電解質は既知の化合物であり、多価陰イオンの有機および無機の塩、例えば、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウムおよびクエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム、多価陽イオンの塩、例えば、アルカリ土類金属塩、例えば、塩化カルシウムおよび臭化カルシウムならびにハロゲン化亜鉛、塩化バリウムおよび硝酸カルシウム、一価陽イオンと一価陰イオンとの塩、例えば、アルカリ金属またはアンモニウムのハロゲン化物、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよび臭化アンモニウム、アルカリ金属硝酸塩または硝酸アンモニウムならびにそのブレンドが挙げられる。
【0170】
使用される電解質の量は、一般的には組み込まれる両親媒性ポリマーの量に依存するが、全組成物の重量に対して一態様では約0.1~約4重量%、別の態様では約0.2~約3重量%、さらなる態様では約0.5~約2.5、なおさらなる態様では約0.75~約1.5重量%の濃度レベルで使用され得る。
【0171】
必要に応じて、本開示の技術の降伏応力流体は、有機酸保存料およびその塩を含有することができる。パーソナルケア、ホームケア、ヘルスケア、施設および産業用ケア製品に有用な、任意の酸をベースにした保存料は、本発明の組成物に使用することができる。一態様において、酸保存料は、式:R40C(O)OH(式中、R40は、水素、1~8個の炭素原子を含む飽和および不飽和ヒドロカルビル基、またはC6~C10アリールを表す)によって表されるカルボン酸化合物である。別の態様では、R40は、水素、C1~C8アルキル基、C2~C8アルケニル基、またはフェニルから選択される。例示的な酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ソルビン酸、カプリル酸、および安息香酸、ならびにその混合物であるが、これらに限定するものではない。
【0172】
別の態様では、適切な酸には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、グリセリン酸、タルトロン酸 リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸、アスコルビン酸、サリチル酸、フタル酸、マンデル酸、ベンジル酸、およびその混合物が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0173】
前述の酸の塩も、低pH値で効力を保持する限り有用である。適切な塩には、上記列挙された酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム)およびアンモニウム塩が含まれる。
【0174】
酸をベースにした保存料および/またはその塩は、単独で、またはパーソナルケア、ホームケア、ヘルスケア、施設および産業用ケア製品に典型的に用いられる非酸性保存料と組み合わせて、使用することができる。
【0175】
保存料は、本発明のパーソナルケア組成物の総重量の、一態様では約0.01%から約3.0%(重量基準)、別の態様では約0.1%から約1%(重量基準)、およびさらなる態様では約0.3%から約1%(重量基準)を典型的には構成する。
【0176】
降伏応力流体は0.1~1秒-1の剪断速度において0.5未満の剪断減粘指数で容易に注出可能なものでなければならない。降伏応力流体は少なくとも10%の光透過を有するものであり得る。付加的または択一的に、降伏応力流体は、50またはそれより小さい、あるいは40またはそれより小さい、あるいはさらには30もしくは20またはそれより小さいネフェロ分析濁度単位(NTU)値を有するものであり得る。本開示の技術の降伏応力流体を、増粘液の降伏値を向上させるためのレオロジー調整剤(増粘剤)と併用して使用してもよい。一態様において、本開示の技術の降伏応力流体は非イオン性レオロジー調整剤と併用され得、該レオロジー調整剤は、単独で使用した場合は充分な降伏応力値を有しない。レオロジー調整剤は、水に可溶性であり、安定であり、イオン基またはイオン化性基を含んでいない限り、任意のものが適する。好適なレオロジー調整剤としては、限定されないが、天然ガム(例えば、フェヌグリーク、カッシア、イナゴマメ、タラおよびグアーから選択されるポリガラクトマンナンガム)、修飾セルロース(例えば、エチルヘキシルエチルセルロース(EHEC)、ヒドロキシブチルメチルセルロース(HBMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)およびセチルヒドロキシエチルセルロース);ならびにその混合物メチルセルロース、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 4000、PEG 6000、PEG 8000、PEG 10000、PEG 20000)、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド(ホモポリマーおよびコポリマー)、ならびに疎水変性エトキシ化ウレタン(HEUR)が挙げられる。レオロジー調整剤は、組成物の総重量の重量に対して一態様では約0.5~約25重量%、別の態様では約1~約15重量%、さらなる一態様では約2~約10重量%の範囲の量で使用され得る。
【0177】
本開示の技術の降伏応力流体は、降伏応力特性が必要とされる任意の用途に使用され得る。降伏応力流体は単独で使用してもよく、その降伏応力値を向上させるための他の流体と併用して使用してもよい。
【0178】
一実施形態において、本開示の技術の降伏応力流体は、水性組成物内の粒子状物質および不溶性の液滴を懸濁させるために使用され得る。かかる流体は、石油およびガス産業、パーソナルケア、ホームケア、コーティングおよびインクおよび接着剤/結合剤の産業に有用である。
【0179】
石油およびガス産業では、本開示の技術の降伏応力流体は、掘削流体および水圧破砕流体の降伏応力値を向上させるために使用され得、ボーリング孔の掘り屑およびフラクチャリング用プロパント、例えば、砂、焼結ボーキサイト、ガラス玉、セラミック物質、ポリスチレンビーズなどを懸濁させるために使用され得る。
【0180】
パーソナルおよびホームケア産業では、本開示の技術の降伏応力流体は、洗浄用組成物、ヘアケアおよびスキンケア組成物ならびに化粧料の降伏応力特性を改善するために使用され得、不溶性のシリコーン、乳白剤および真珠光沢付与剤(例えば、雲母、コーティング雲母)、顔料、剥離剤、ふけ予防剤、クレイ、膨潤性クレイ、ラポナイト、気泡、リポソーム、マイクロスポンジ、化粧料用ビーズ、香料 フレグランスオイル、フレグランスマイクロカプセル、フレグランス粒子、マイクロカプセルおよび粒子を含有する有益剤(benefit agent)、化粧料用マイクロカプセルおよびフレークを懸濁させるために使用され得る。本開示の技術の降伏応力流体は、このような物質を懸濁状態で一態様では23℃で少なくとも1ヶ月、別の態様では少なくとも6ヶ月、さらなる一態様では少なくとも1年間安定化させ得る。
【0181】
例示的な香料、芳香剤、およびフレグランスオイルには、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アンブレットリド、Ambrox(登録商標)DL(ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチルナフト[2,1-b]フラン)、安息香酸アミル、ケイ皮酸アミル、アミルケイ皮酸アルデヒド、サリチル酸アミル、アネトール、アウランチオール、ベンゾフェノン、酪酸ベンジル、イソ吉草酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、カジネン、カンピルシクロヘキサール、セドロール、酢酸セドリル、ケイ皮酸シンナミル、酢酸シトロネリル、イソ酪酸シトロネリル、プロピオン酸シトロネリル、クミンアルデヒド、シクロヘキシルサリチレート、シクラメンアルデヒド、シクロミラール、イソジャスモン酸ジヒドロ、ジフェニルメタン、ジフェニルオキシド、ドデカナール、ドデカラクトン、エチレンブラシレート、フェニルグリシッド酸エチルメチル、ウンデシレン酸エチル、エキサルトリド、Galoxilide(登録商標)(1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ(hexhydro),4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-γ-2-ベンゾピラン)、酢酸ゲラニル、イソ酪酸ゲラニル、ヘキサデカノリド、サリチン酸ヘキセニル、ヘキシルケイ皮アルデヒド、サリチル酸ヘキシル、α-イオノン、β-イオノン、γ-イオノン、α-イロン、安息香酸イソブチル、イソブチルキノリン、Iso E Super(登録商標)(7-アセチル,1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ,1,1,6,7-テトラメチルナフタレン(napthalene))、cis-ジャスモン、リリアル、安息香酸リナリル、20メトキシナフタリン、ケイ皮酸メチル、メチルオイゲノール、γ-メチルイオノン、リノール酸メチル、リノレン酸メチル、ムスクインダノン、ムスクケトン、ムスクチベチン、ミリスチシン、酢酸ネリル、δ-ノナラクトン、γ-ノナラクトン、パチュリアルコール、ファントリド、安息香酸フェニルエチル、フェニルエチルフェニルアセテート、2-フェニルエタノール、フェニルヘプタノール、フェニルヘキサノール、α-サンタロール、チベトリド、トナリド、δ-ウンデカラクトン、γ-ウンデカラクトン、ベルテネックス、酢酸ベチベリル、ヤラ-ヤラ、イルアンゲン、allo-オシメン、カプロン酸アリル、ヘプタン酸アリル、アニソール、カンフェン、カルバクロール、カルボン、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルニトリル、クマリン、シクロヘキシルエチルアセテート、p-シメン、デカナール、ジヒドロミルセノール、酢酸ジヒドロミルセニル、ジメチルオクタノール、エチルリナロール、エチルヘキシルケトン、ユーカリプトール、酢酸フェンキル、ゲラニオール、ギ酸ゲルニル、イソ酪酸ヘキセニル、酢酸ヘキシル、ネオペンタン酸ヘキシル、ヘプタナール、酢酸イソボルニル、イソオイゲノール、イソメントン、酢酸イソノニル、イソノニルアルコール、イソメントール、イソプレゴール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、酢酸メンチル、メチルカビコール、メチルオクチルアセトアルデヒド、ミルセン、ナフタレン、ネロール、ネラール、ノナナール、2-ノナノン、酢酸ノニル、オクタノール、オクタナール、α-ピネン、β-ピネン、ローズオキシド、α-テルピネン、γ-テルピネン、α-テルピネノール、テルピノレン、酢酸テルピニル、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロミルセノール、ウンデセナール、ベラトロール、ベルドックス、アセタニソール;酢酸アミル;アニスアルデヒド;アニシルアルコール;ベンズアルデヒド;酢酸ベンジル;ベンジルアセトン;ベンジルアルコール;ギ酸ベンジル;ヘキセノール;ラエボ-カルベオール;d-カルボン;シンナムアルデヒド;ケイ皮アルコール;酢酸シンナミル;ギ酸シンナミル;酢酸cis-3-ヘキセニル;シクラールC(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド);ジヒドロキシインドール;ジメチルベンジルカルビノール;酢酸エチル;エチルアセトアセテート;ブタン酸エチル;酪酸エチル;エチルバニリン;トリシクロデセニルプロピオネート;フルフラール;ヘキサナール;ヘキセノール;ヒドロアトロパ酸アルコール;ヒドロキシシトロネラール;インドール;イソアミルアルコール;酢酸イソプレギル;イソキノリン;リグストラール;リナロールオキシド;メチルアセトフェノン;メチルアミルケトン;アントラニル酸メチル;安息香酸メチル;メチルベンジルアセテート;メチルヘプテノン;メチルヘプチルケトン;メチルフェニルカルビニルアセテート;サリチル酸メチル;オクタラクトン;パラ-クレゾール;パラ-メトキシアセトフェノン;パラ-メチルアセトフェノン;フェネチルアルコール;フェノキシエタノール;フェニルアセトアルデヒド;フェニルエチルアセテート;フェニルエチルアルコール;酢酸プレニル;酪酸プロピル;サフロール;バニリン、およびビリジンが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0182】
コーティング、インク、および接着剤/結合剤の産業では、降伏応力流体およびその少なくとも1種の両親媒性架橋剤を含む非イオン性両親媒性ポリマー組成物は、様々な種々のpH値で利用することができ、流体の粘度を調節して:a)連続媒体(しばしば、水をベースにする)よりも稠密なまたは稠密ではない、固体粒子、分散した液体、捕捉された気体、微粒子(懸濁に役立つ)の、沈降またはクリーミングを制御しまたは最小限に抑えるのに;b)基材に対する、コーティング、インク、または接着剤の連続または不連続層の付着粘度を制御するのに;c)付着直前に、またはコーティング、インク、もしくは接着剤が連続ゲル化ポリマーを形成するまでの付着後のある期間、コーティング、インク、または接着剤の動きまたは流れを最小限に抑えるのに;e)一部の付着プロセスで、飛散およびミスト化を低減させるのに;f)その他、最適な貯蔵、付着の容易さ、およびそれら付着における最終表面仕上げを、促進させるのに、有用である。コーティング、インク、および接着剤は、粒状または繊維状の充填剤、顔料、染料、他のポリマー、界面活性剤および/または分散剤、合体剤、可塑剤、殺生物剤、ならびにコーティング、インク、および接着剤に用いられるその他の従来の添加剤を含んでいてもよい。コーティングは、金属、プラスチック、木材、石造物、織物、紙などに使用することができる。インクは、紙、ポリマー、織布、不織布、フィルムなどの、任意のインク基材上で使用することができる。両親媒性ポリマーは、コーティング、インク、または接着剤の、粘度制御および光学的透明度の両方に寄与することができる(顔料が付着された組成物の色の強さを助ける)。
【0183】
この安定な組成物は、円滑な許容できるレオロジーを維持しており、良好な剪断減粘性特性を有しており、粘度の有意な増減を伴わず、相分離(例えば、沈降もしくはクリーミングによる分離(表面への上昇)または透明度の低下)が長期間にわたって、例えば45℃で少なくとも1ヶ月無い。
【0184】
例示的なビーズ成分としては、限定されないが、寒天ビーズ、アルギネートビーズ、ホホバビーズ、ゼラチンビーズ、Styrofoam(商標)ビーズ、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンビーズ、Unispheres(商標)およびUnipearls(商標)化粧料用ビーズ(Induchem USA,Inc.,New York,NY)、Lipocapsule(商標)、Liposphere(商標)およびLipopearl(商標)マイクロカプセル(Lipo Technologies Inc.,Vandalia,OH)ならびにConfetti II(商標)経皮送達フレーク(United-Guardian,Inc.,Hauppauge,NY)が挙げられる。ビーズは審美物質として使用され得るか、あるいは有益な剤を、環境の有害効果から保護するため、または送達、放出および最終製品における性能の最適性ために封入するために使用され得る。
【0185】
一態様において、化粧料用ビーズはサイズが約0.5~約1.5mmの範囲である。別の態様では、ビーズと水の比重の差が一態様では約+/-0.01~0.5、別の態様では約+/-0.2~0.3g/mlである。
【0186】
一態様において、マイクロカプセルはサイズが約0.5~約300μmの範囲である。別の態様では、マイクロカプセルと水の比重の差が約+/-0.01~0.5である。マイクロカプセルビーズの非限定的な例は米国特許第7,786,027号(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0187】
本開示の技術の一態様では、粒子状成分および/または不溶性液滴の量は組成物の総重量に対して約0.1%~約10%(重量基準)の範囲であり得る。
【0188】
本開示の技術の選択した実施形態および態様に対して、本開示の技術の降伏応力流体中に含有され得る種々の成分および構成成分について重複する重量範囲を示しているが、組成物中の各成分の具体的な量はその開示された範囲から、各成分の量が、該組成物中のすべての成分の合計がトータル100重量パーセントになるように調整されるように選択されることは容易にわかるはずである。使用量は所望の製品の目的および性質によって異なり、当該配合の当業者が、および文献から容易に決定することができよう。
【0189】
本開示の技術を以下の実施例により例示する。本実施例は例示の目的のためのものにすぎず、本開示の技術の範囲または実施され得る様式を限定するものとみなされるべきでない。特に記載のない限り、部およびパーセンテージは重量基準で示している。
試験方法
降伏応力
【0190】
ポリマーの降伏応力値は、25℃で、平行板幾何形状(40mm 2°コーンプレート幾何形状)を利用する、制御された応力レオメーター(TA Instruments Discovery HR-2レオメーター、New Castle、DE)上での振動剪断測定および定常剪断測定によって決定される。振動測定は、固定周波数1rad/秒で行われる。弾性率(および粘性率(それぞれ、G’およびG”)は、増大する応力振幅の関数として得られる。G’およびG”の交差に対応する応力を、降伏応力として記述する。
ブルックフィールド粘度
【0191】
ブルックフィールド回転スピンドル法(本明細書に報告される全ての粘度測定は、記述されていてもいなくても、ブルックフィールド法によって実行される):粘度測定は、ブルックフィールド回転スピンドル粘度計、Model RVT(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.)を用い、分当たり約20回転(rpm)で、周囲温度約20から25℃で(BV粘度)、mPa・sを単位として計算される。スピンドルサイズは、製造業者からの標準操作の推奨に従い選択される。一般に、スピンドルサイズは下記の通り選択される:
【表A】
【0192】
スピンドルサイズの推奨内容は、単なる例示を目的とする。当業者なら、測定される系に適切なスピンドルサイズを選択するであろう。No.4または5のスピンドルを、本明細書の粘度測定に利用した。
ビーズ懸濁試験
【0193】
活性のおよび/または審美的に満足のいく、不溶性の油状および粒状材料を懸濁させるポリマー系の能力は、生成物の効力および魅力の観点から重要である。6ドラムのバイアル(高さ約70mm×直径25mm)に、50mmの点まで試験配合物を満たす。各試料バイアルを遠心分離して、配合物に含有される全ての捕捉された気泡を除去する。混合ビーズLipopearls DS5293ビーズ(粒径=300~3000μm)(Lipo Technologiesから市販されている)およびUnispheres(商標)NTL-2512ビーズ(粒径=1000~1500μm)およびNTL-2103ビーズ(粒径=500~900μm)(InduChem AGから市販されている)の約0.1の等量部分(重量による)を、各試料バイアルに添加し、試料全体にわたって均一に分散するまで木製の棒で穏やかに撹拌する。様々なサイズのビーズの混合物は、ポリマー系の懸濁能力の完全な評価を可能にする。各試料バイアル内のビーズの位置を、調製直後に写真に撮って記録して、配合物内のビーズの初期位置を確立する。バイアルを40~50℃でオーブン焼き付け(oven age)して、6週間~3カ月の週間にわたりそのままにする。各試料のビーズ懸濁特性を、6または12週の試験期間の終了時に目視評価する。ビーズ全ての初期位置が試験期間の終了後に変らない場合、試料は合格である。ビーズの1つまたは複数の初期位置が試験期間終了後に変化した場合(またはビーズが頂部にクリーム化する、および/またはバイアルの底部に沈降する)、試料は不合格である。
光透過率(光学的透明度)
【0194】
試験組成物の光学的透明度(透過率パーセントまたは%Tとして表される)を、島津3600 UV-可視-NIR分光光度計により、波長800nmから300nmで、約20から25℃の周囲室温で、%T(透過率)を単位として測定する。4mLのPMMAキュベットセルのほぼ最上面まで試験試料で満たし、全ての泡が除去されるまで1400rpmで遠心分離する。遠心分離後、各試料バイアルをティシュペーパーで拭いて汚れを全て除去し、その後、分光光度計内に配置する。透明度の測定は、脱イオン水(透明度のランク 100%)に対して行う。400nmの低波長において、約70%(T)またはそれ超の透明度値を有する組成物は、実質的に透明である。約45から69%(T)の範囲の透明度値を有する組成物は、実質的に半透明である。80%およびそれ超の透明度値を有する組成物は、透明と見なす。
濁度
【0195】
組成物の濁度(曇り度またはヘーズ度)は、約20から25℃の周囲温度で比濁分析濁度計(Mircro 100 Turbidimeter、HF Scientific,Inc.)を用い、比濁計濁度単位(NTU)で決定される。蒸留水(NTU=0)を標準として利用する。6ドラムのスクリューキャップバイアル(70mm×25mm)を、ほぼ最上部まで試験試料で満たし、全ての泡が除去されるまで2200rpmで遠心分離にかける。遠心分離後、各試料バイアルをティシュペーパーで拭いて、濁度計に配置する前にいかなる汚れも除去する。試料を濁度計に配置し、読取りを行う。読取りが安定したら、NTU値を記録する。バイアルを4分の1回転させ、もう一度読取りを行い記録する。これを、4つの読取りが得られるまで繰り返す。4つの読取りの最低値を、濁度値として報告する。濁度値が低いほど、より透明な(それほど濁っていない)組成物を示す。
拡散反射試験
【0196】
拡散反射は、鏡面反射の場合に入射光線がただ1つの角度ではなく多くの角度で反射するような、表面からの光の反射である。それは観察者の目に物体の画像を形成する、拡散的に散乱した光である。ポリマー配合物の構造色の強度を定量するために、島津ISR-3100 60mm積分球を使用する島津3600 UV-可視-NIR分光光度計によって、拡散反射を測定する。試験をしたポリマーを、式Aの成分で配合する。4mLのPMMAキュベットセルに、そのほぼ最上面まで試験試料を満たし、全ての泡が除去されるまで1400rpmで遠心分離する。遠心分離後、各試料バイアルをティシュペーパーで拭いて、汚れを全て除去した後に、分光光度計内に配置する。パーセント反射率(y軸)を、波長、nm(x軸)に対してプロットする。より低い反射率ピークは、より透明な組成物を示す。
ラテックスポリマー粒径
【0197】
ラテックスポリマー粒子の平均粒径を、Zetasizer Nano ZS(商標)DLS機器(Malvern Instruments Inc.)を利用する標準的な動的光散乱(DLS)技法により測定する。脱イオン水中のポリマーラテックス(0.03重量%)の希釈分散体を調製し、DLSを介して25℃で測定する。
【0198】
下記の略語および商品名を、実施例で利用する。
【表B】
下記の実施例は、本明細書に開示される技術を示す。全ての実施例において、報告される両親媒性架橋剤の量は、一不飽和モノマー100重量部当たりの架橋剤の重量部に基づく。
【実施例】
【0199】
実施例1(比較)
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0200】
この実施例は、保護コロイドPVOHの存在下で調製されたポリマーを示す。エマルジョンポリマーを下記の通り調製した。モノマープレミックスを、D.I.D.I.水140グラム、E-Sperse RS-1618両親媒性架橋剤4グラム、(EA)75グラム、(n-BA)125グラム、(HEMA)225グラム、(BEM)100グラム(Solvay製)を混合することによって作製した。開始剤Aを、Azo VA-086 5グラムをD.I.D.I.水40グラムに溶解することによって調製した。開始剤Bを、Azo VA-086 2.5グラムをD.I.水100グラムに溶解することによって調製した。3リットルの反応器にD.I.D.I.水770グラム、SLS 6.67グラム、およびPVOH(Selvol 203)10グラムを仕込み、次いで撹拌しながら窒素ブランケット下で87℃に加熱した。反応器の内容物を87℃で1時間保持した後、次いで開始剤Aを反応器に添加した。3分後、モノマープレミックスを、120分の期間にわたり反応槽内に計量した。モノマープレミックス計量の開始の約1分後、開始剤Bを、150分の期間にわたり反応器内に計量した。反応温度を87℃で維持した。開始剤Bの供給終了後、反応器内容物の温度を、60分の期間にわたり85℃に低下させた。次いで反応器の内容物を49℃に冷却した。70%TBHP 0.61グラム、およびSLS 0.38グラムを16.8グラムのD.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。5分後、エリソルビン酸0.59グラムを16.8グラムのD.I.D.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。反応器の内容物を49℃で維持した。30分後、70%TBHP 0.64グラムおよびSLS 0.38グラムを16.8グラムのD.I.D.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。5分後、エリソルビン酸0.59グラムを16.8グラムのD.I.D.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。反応器の内容物を、49℃で30分間維持した。次いで反応器の内容物を室温(約22℃)に冷却し、100ミクロンのメッシュクロスに通して濾過した。得られたエマルジョンのpHを、水酸化アンモニウムで4.5に調節した。ポリマーエマルジョンをD.I.D.I.水340グラムで希釈し、pHが4.1、固形分含量24.7重量%、粘度18mPa・s、および平均粒径86nmであった。
実施例2
【0201】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー))(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0202】
エマルジョンポリマーを下記の通り調製した。モノマープレミックスを、D.I.水200グラム、E-Sperse RS-1618両親媒性架橋剤4グラム、Glucamate(商標)VLTエトキシ化MEGトリエステル両親媒性添加剤28.41グラム、EA 75グラム、n-BA 125グラム、HEMA 225グラム、BEM 100グラムを混合することによって調製した。開始剤Aを、Azo VA-086 4グラムをD.I.水40グラムに溶解することによって調製した。開始剤Bを、Azo VA-086 0.75グラムをD.I.水100グラムに溶解することによって調製した。3リットルの反応器に、D.I.水770グラム、SLS 6.67グラムを仕込み、次いで内容物を、撹拌しながら窒素ブランケット下で90℃に加熱した。次いで開始剤Aを反応器に添加した。3分後、モノマープレミックスを、120分の期間にわたり反応槽内に計量した。モノマープレミックスの供給開始の約1分後、開始剤Bを、150分の期間にわたり反応器内に計量した。次いで反応温度を87℃で維持した。開始剤Bの供給終了後、反応槽の内容物の温度を60分間で85℃に低下させた。次いで反応器を49℃に冷却した。TBHP 0.61グラムおよびSLS 0.38グラムを16.8グラムのD.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。5分後、エリソルビン酸0.59グラムを16.8グラムのD.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。反応器の内容物を49℃で維持した。30分後、TBHP 0.64グラムおよびSLS 0.38グラムを16.8グラムのD.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。5分後、エリソルビン酸0.59グラムを16.8グラムのD.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。反応器の内容物を49℃で30分間維持した。次いで反応器の内容物を室温(約22℃)に冷却し、100ミクロンのメッシュクロスに通して濾過した。得られたエマルジョンは、pH3.1、固形分含量29.1重量%、粘度125mPa・s、および平均粒径82nmを有していた。
実施例3
【0203】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0204】
エマルジョンポリマーを下記の通り調製した。モノマープレミックスを、D.I.水225グラム、SLS 3.33グラム、E-Sperse RS-1618両親媒性架橋剤4グラム、Glucamate(商標)LTエトキシ化MEGトリエステル両親媒性添加剤47.62グラム、EA 75グラム、n-BA 125グラム、HEMA 225グラム、およびBEM 100グラムを混合することによって調製した。開始剤Aを、Azo VA-086 4グラムをD.I.水40グラムに溶解することによって調製した。開始剤Bを、Azo VA-086 0.75グラムをD.I.水100グラムに溶解することによって調製した。3リットルの反応器に、D.I.水770グラム、SLS6.67グラムを仕込み、内容物を、撹拌しながら窒素ブランケット下で90℃に加熱した。次いで開始剤Aを反応器に添加した。約3分後、モノマープレミックスを、120分の期間にわたり反応槽内に計量した。モノマープレミックスの供給開始の1分後、開始剤Bを、150分の期間にわたり反応器内に計量した。反応温度を、供給中は87℃で維持した。開始剤Bの供給終了後、反応槽の内容物の温度を85℃に低下させ、この温度を60分間維持した。次いで反応器を49℃に冷却した。TBHP 0.61グラムおよびSLS 0.38グラムを16.8グラムのD.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。5分後、エリソルビン酸0.59グラムを16.8グラムのD.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。反応器の内容物を49℃で維持した。30分後、TBHP 0.64グラムおよびSLS 0.38グラムを16.8グラムのD.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。5分後、エリソルビン酸0.59グラムを16.8グラムのD.I.水中に含む溶液を、反応器に添加した。反応器の内容物を、49℃で30分間維持し、次いで室温(約22℃)に冷却し、100ミクロンのメッシュクロスに通して濾過した。ポリマーエマルジョンをD.I.水で希釈し、pH2.7、固形分含量25.5重量%、粘度11mPa・s、および平均粒径87nmが得られた。
実施例4
【0205】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0206】
エマルジョンポリマーは、エトキシ化MEGトリエステル(Glucamate(商標)LT増粘剤)47.62グラムをエトキシ化MEGジエステル両親媒性添加剤(Glucamate(商標)DOE 120増粘剤)20グラムに置き換えたこと以外、実施例3で述べたように調製した。ポリマーエマルジョンは、pH2.7、固形分含量25.9重量%、粘度15mPa・s、および平均粒径86nmを有していた。
実施例5
【0207】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0208】
エマルジョンポリマーは、Glucamate(商標)LT組成物47.62グラムをポリ(エチレングリコール-4000)ジオレエート両親媒性添加剤22.5グラムに置き換え、かつ反応器に最初に仕込まれたSLSを6.67グラムから2.5グラムに低減させたこと以外、実施例3で述べたように調製した。ポリマーエマルジョンは、pH3.6、固形分含量26重量%、粘度23mPa・s、および平均粒径84nmを有していた。
実施例6
【0209】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0210】
エマルジョンポリマーは、Glucamate(商標)LT組成物47.62グラムをポリ(エチレングリコール-1000)ジオレエート両親媒性添加剤22.5グラムに置き換え、かつ反応器に最初に仕込まれたSLSを6.67グラムから2.5グラムに低減させたこと以外、実施例3で述べたものと同じ手法で調製した。ポリマーエマルジョンは、pH3.55、固形分含量25.3重量%、粘度20mPa・s、および平均粒径84nmを有していた。
実施例7
【0211】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0212】
エマルジョンポリマーは、Glucamate(商標)LT組成物47.62グラムをポリ(エチレングリコール-600ジオレエート)両親媒性添加剤22.5グラムに置き換え、かつ反応器に最初に仕込まれたSLSを6.67グラムから2.5グラムに低減させたこと以外、実施例3で述べたものと同じ手法で調製した。ポリマーエマルジョンは、pH3.6、固形分含量24.8重量%、粘度18mPa・s、および平均粒径84nmを有していた。
実施例8
【0213】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0214】
エマルジョンポリマーは、Glucamate(商標)LT組成物47.62グラムをポリ(エチレングリコール-600ジステアレート)両親媒性添加剤22.5グラムに置き換えたこと以外、実施例3で述べたものと同じ手法で調製した。ポリマーエマルジョンは、pH3.5、固形分含量24.8重量%、粘度16mPa・s、および平均粒径84nmを有していた。
実施例9
【0215】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0216】
エマルジョンポリマーは、Glucamate(商標)LT成分47.62グラムをPPG-PEG-PPGブロックコポリマー22.5グラムに置き換え、かつ反応器に最初に仕込まれたSLSを6.67グラムから2.5グラムに低減させたこと以外、実施例3で述べたものと同じ手法で調製した。ポリマーエマルジョンは、pH3.4、固形分含量25.15重量%、粘度17mPa・s、および平均粒径82nmを有していた。
実施例10(比較)
【0217】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0218】
エマルジョンポリマーは、両親媒性添加剤成分をモノマーミックスに組み込まず、かつ反応器内のSLSを6.67グラムから4.17グラムに低減させたこと以外、実施例3で述べたものと同じ手法で調製した。ポリマーエマルジョンは、pH3.4、固形分含量25.10重量%、粘度17mPa・s、および平均粒径89nmを有していた。
実施例11(比較)
【0219】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0220】
エマルジョンポリマーは、両親媒性添加剤成分をモノマーミックスで利用せず、かつ反応器に最初に仕込まれたSLSを6.67グラムから2.5グラムに低減させたこと以外、実施例3で述べたものと同じ手法で調製した。ポリマーエマルジョンは、pH3.4、固形分含量25.10重量%、粘度20mPa・s、および平均粒径99.4nmを有していた。
実施例12(比較)
【0221】
モノマー組成物=HEMA/n-BA/EA/BEM/AX*(45/25/15/15/0.8)(重量%全モノマー)(*AX=全一不飽和モノマー重量に対して0.8重量%)。
【0222】
エマルジョンポリマーは、エトキシ化MEGジエステル両親媒性添加剤(Glucamate(商標)DOE 120増粘剤)20グラムを、モノマープレミックスと混合する代わりに反応器に仕込んだこと以外、実施例4で述べたものと同じ手法で調製した。最終の水希釈工程も省いた。ポリマーラテックスは、pH3.3、固形分含量27.5重量%、粘度11mPa・s、および粒径137nmを有していた。
実施例13
【0223】
比較例1のポリマーを、表1で述べる成分で配合した。
【表1】
1) パートAの成分を、両親媒性ポリマーをD.I.水に添加することによって調製し、その後、均質になるまで200rpmでオーバーヘッドミキサーで混合した。
2) パートBの成分を、パートAに添加し、350rpmで5分間オーバーヘッドミキサーを介してまたはパートAB混合物が透明になるまで混合した。
3) 個別の槽内で、パートC成分を均質になるまで混合し、混合物をパートABの混合物に滴下添加し、それによって混合物は即座に半透明になった。パートABCの混合物を、オーバーヘッドミキサーで350rpmで5分間、またはフレグランスが均質に分散されかつ混合物が元の透明な状態になるまで(約5分)混合した。
4) パートDをABC混合物に添加し、均質なABCD混合物が得られるまで撹拌した。
5) 等しい一定量(99.4g)のABCD混合物を、個別の槽に移し、パートE成分(クエン酸溶液)を個々の試料のそれぞれに添加して、pHを所望の値に調節した。次いで各試料を、オーバーヘッドミキサーで、350rpmで約30分間混合した。
6) 次いで各試料を、24時間、室温(約22℃)と平衡にし、遠心分離して、気泡および溶解していない全ての固形分を除去し、その後、物理的特性に関して試験をした。
光学的透明度
【0224】
実施例1の比較ポリマーを含有しpHを4.1、4.5、および4.9の値に調節した配合物の試料を、上述の光透過率方法論で述べたように透明度に関して試験をした。pHに対する、各配合物に関する光透過率試験の結果を、
図1にプロットする。
【0225】
構造的着色は天然でよく見られ、可視光スペクトルに干渉する、微視的に構造化された表面による色の創出である。
図1に示されるように、比較例1のポリマー(ポリビニルアルコールで調製された)を含有する界面活性剤組成物の透明度は、波長400nmで≦60%Tであり、これは半透明の外観を示す。さらに、青色領域付近(波長450から495nm)の試験された配合物の%T値は、青味がかった構造色によって影響を受け、波長475nm付近で急峻な遷移が観察された。したがって、比較例1のポリマーを含有する配合物に関する、より低い波長での透明度は、良好ではなかった。
実施例14
【0226】
本発明の技術のポリマーを含有する界面活性剤配合物の構造色の強度を定量するために、実施例2のポリマーを、実施例13で述べたものと同じ成分および方法で配合した。試料の拡散反射特性を、上述の拡散反射試験で記述された方法によって測定した。比較例1のポリマーを、同一に配合し、試験した。
【0227】
図2に示されるように、比較例1のポリマーを含有する配合物は、青色波長領域で反射ピークを示し、反射強度は、実施例2のポリマーを含有する配合物よりも非常に大きかった。
実施例15
【0228】
比較例1および実施例2から4のポリマーを、実施例12で述べるものと同じ成分および手順を利用して配合した。ポリマー配合物のそれぞれのレオロジーおよび透明度特性(濁度および%T)を、上述の方法で述べたように測定した。レオロジーおよび濁度の結果を表2に報告し、透明度の値(%T)を
図3にプロットする。
【表2】
【0229】
比較例1のポリマー(PVOH立体安定剤の存在下で調製)および実施例2から4のポリマー(本発明の技術のポリマー改質剤の存在下で調製)を含有する界面活性剤配合物のレオロジー特性(粘度および降伏応力)は類似しているが、濁度および透明度特性は、本発明の技術のポリマーを利用したときに著しく改善される。
実施例16
【0230】
降伏応力強化ポリマーを含有する界面活性剤組成物を、表3に示す成分で配合した。ポリマー配合物のそれぞれのレオロジー(粘度および降伏応力)および透明度特性(濁度)を、上述の方法で述べたように測定した。レオロジーおよび濁度の結果を、表4に報告する。
【表3】
1) パートAの成分を、両親媒性ポリマーをD.I.水に添加することによって調製し、その後、均質になるまで200rpmでオーバーヘッドミキサーで混合した。
2) パートBの成分を、パートAに添加し、350rpmで5分間オーバーヘッドミキサーを介してまたはパートAB混合物が透明になるまで混合した。
3) パートCの成分を、パートAB混合物に、滴下添加により列挙される順序で(上から下に)個々に添加した。各成分を均質混合し、その後、次の成分を添加した。全てのパートCの成分が添加された後、ABCの混合物を、オーバーヘッドミキサーで350rpmで5分間、撹拌した。
4) パートDをABC混合物に添加し、均質なABCD混合物が得られるまで撹拌した。
5) 等しい一定量(99.4g)のABCD混合物を、個別の槽に移し、成分E(クエン酸溶液)を個々の試料のそれぞれに添加して、pHを所望の値に調節した。次いで各試料を、オーバーヘッドミキサーで、350rpmで約30分間混合した。
6) 次いで各試料を、24時間、室温(約22℃)と平衡にし、遠心分離して、気泡および溶解していない全ての固形分を除去し、その後、物理的特性に関して試験をした。
【表4】
【0231】
PVOH立体安定剤と共にまたは立体安定剤なしでおよび両親媒性重合添加剤なしで調製されたポリマーを含有する界面活性剤配合物は、両親媒性重合添加剤と共に調製されたポリマーを含有する界面活性剤組成物に類似するレオロジー特性を有していたが、劣った濁度特性を示した。
実施例17
【0232】
本発明の技術の両親媒性添加剤の後添加が、本発明の技術の両親媒性添加剤の存在下で調製されなかった架橋された両親媒性ポリマーを含有する界面活性剤組成物の濁度の値に改善を与えるか否かを決定するために、実施例3のポリマーを調製するのに使用されたものと等量の両親媒性添加剤を、実施例16の表4のポリマー実施例No.10および11に関する界面活性剤配合物に後添加した。レオロジー特性および濁度の値を表5に報告する。
【表5】
【0233】
結果は、両親媒性添加剤(前添加)を含有するモノマー混合物を重合することによって調製されたポリマーを含有する界面活性剤配合物が濁度の値を改善し、一方、両親媒性添加剤を含まないモノマー混合物を重合することによって調製されたポリマーを含有する界面活性剤配合物であるが、前添加プロセスで使用されたものと等量の両親媒性添加剤モノマー混合物を、ポリマー配合物を含有する界面活性剤に後添加した界面活性剤配合物は、濁度を改善しないことを示す。
実施例18
【0234】
比較例12のポリマーを、実施例16の表3に示す成分、量、および手順で配合した。配合物の物理的特性を、表6に示す。
【表6】
【0235】
結果は、重合性モノマー組成物内に混合される代わりに重合媒体中に入れた両親媒性添加剤を有するモノマー混合物を重合することによって調製されたポリマーを含有する界面活性剤配合物は、両親媒性添加剤が重合前にモノマー混合物と混合されている、モノマー混合物を重合することによって調製された本発明の技術のポリマーを含有する界面活性剤組成物よりも、著しく濁っていることを示す。比較ポリマーを含有する界面活性剤組成物は、40℃で12週間後および50℃で6週間後のビーズ懸濁試験にも不合格である。
【0236】
一部の特定の代表的な実施形態および詳細事項を、主題の技術の実例を説明する目的で示したが、開示した主題の技術の範囲から逸脱することなく種々の変更および修正が行なわれ得ることが当業者には自明であろう。これに関して、本開示の技術の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。