(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】撹拌装置を備えた流体撹拌装置
(51)【国際特許分類】
B01F 27/13 20220101AFI20230809BHJP
B01F 27/96 20220101ALI20230809BHJP
B01F 35/45 20220101ALI20230809BHJP
C09D 7/80 20180101ALI20230809BHJP
【FI】
B01F27/13
B01F27/96
B01F35/45
C09D7/80
(21)【出願番号】P 2019570854
(86)(22)【出願日】2018-06-18
(86)【国際出願番号】 FR2018051438
(87)【国際公開番号】W WO2019012197
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-03-22
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514100429
【氏名又は名称】フィロン テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】サン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】グレコ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】バルベロ,フィリップ
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02014451(EP,A1)
【文献】米国特許第02778614(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0037163(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0097093(US,A1)
【文献】ソ連国特許発明第00997772(SU,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/00 - 27/96
B01F 35/00 - 35/95
B44D 3/06
C09D 7/80
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(20)内に収容された流体を撹拌するための装置(1)において、前記装置(1)は、回転駆動されうる撹拌シャフト(2)、撹拌要素(3)、及び前記撹拌要素(3)と前記撹拌シャフト(2)を連結するための手段(4)を備え、前記撹拌シャフト(2)が、使用構成で、その下側端(5)からその上側端(6)の方向に垂直方向に位置決めでき、前記撹拌要素(3)が、前記撹拌シャフト(2)を部分的に取り囲む環状リング部分(7)を備え、このリング部分(7)が、前記使用構成に対応する前記撹拌シャフト(2)の
垂直位置で、前記撹拌シャフト(2)に対して傾けられ、前記撹拌シャフト(2)のまわりでこのリング部分(7)の下側端(8)からこのリング部分(7)の上側端(9)の方向に展開して、上昇勾配をとる平面内に配置され、このリング部分(7)を環状ケージとして形成することにより、このリング部分(7)がその空洞(10)と外部を連通するための開口(11)を備えた中空リング部分を形成する、装置(1)であって、
前記撹拌シャフト(2)と前記撹拌要素(3)を連結するための前記手段(4)が、前記撹拌シャフト(2)の前記下側端(5)と前記撹拌要素(3)の前記下側端(8)の間に配置された前記撹拌シャフト(2)に対して放射状で前記下側端(5,8)を共に接続する少なくとも1つのアーム(12)を備え、この放射状アーム(12)は、スクレーパとして働き下側連結アーム(12)と呼ばれることがあり、前記撹拌シャフト(2)に対して垂直な平面内で少なくとも部分的に延在する装置(1)。
【請求項2】
前記下側連結アーム(12)が、前記撹拌シャフト(2)の回転方向に対して見て、前長手方向縁又は前縁(121)、後長手方向縁(122)を有するブレード(120)の形をとり、前記前長手方向縁(121)と後長手方向縁(122)が、前記撹拌シャフト(2)の使用構成で、それぞれ前記ブレード(120)の上部(123)と下部(124)の面を構成する2つの面によって接続され、前記ブレード(120)の前記前長手方向縁(121)が、前記撹拌シャフト(2)に対して垂直な平面内で延在し、前記ブレード(120)の前記上部(123)の前記面が、前記後長手方向縁(122)から前記前長手方向縁(121)への下降勾配を有する傾斜面を形成する、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記下側連結アーム(12)を構成する前記ブレード(120)の前記上部(123)の前記面が凹状である、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記撹拌シャフト(2)と前記撹拌要素(3)を連結するための前記手段(4)が、前記下側連結アーム(12)に加えて、前記撹拌シャフト(2)に対して放射状の少なくとも
1つの補助アーム(13,14)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記補助アーム(13,14)の少なくとも1つが、前記撹拌シャフト(2)の回転方向に対して見て、前長手方向縁又は前縁(131,141)、後長手方向縁(132,142)を有するブレード(130,140)の形をとり、前記撹拌シャフト(2)の前記使用構成で、前記前長手方向縁(131,141)と後長手方向縁(132,142)が、2つの面によって接続され、前記2つの面はそれぞれ、前記ブレード(130,140)の上部(133,143)と下部(134,144)の面を形成し、前記ブレード(130,140)の前記上部(133,143)の前記面が、前記後長手方向縁(132,142)から前記前長手方向縁(131,141)の方へ下降勾配を有する傾斜面を形成する、請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記補助アーム(13,14)のそれぞれが、前記撹拌シャフト(2)に沿って前記下側連結アーム(12)に対して軸方向にずらされた、請求項4または5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記補助アーム(13,14)の1つが、前記撹拌シャフト(2)と前記撹拌要素の前記リング部分(7)の前記上側端(9)との間に配置された、請求項4~6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記リング部分(7)の前記下側端(8)が、前記下側連結アーム(12)への接続ゾーン内で、傾斜板を形成する谷部分(15)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記リング部分(7)が、前記撹拌シャフト(2)を部分的に取り囲む2つの同心平行環状部分(16)から構成され、異なる半径のこれらの2つの環状部分(16)が、前記撹拌シャフト(2)に対して放射状の平面内でそれぞれ延在する半リング(17)によって接続された、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記半リング(17)が、それぞれ延在する2つの連続物(171,172)で編成され、前記撹拌シャフト(2)の前記使用構成で、前記平面の上の一方の連続物(171)が、前記2つの環状部分(16)を通り、前記平面の下の他の連続物(172)が、前記2つの環状部分(16)を通る、請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記半リング(17)が、前記環状部分(16)に沿って一方の一連の半リングから他方の一連の半リングまで軸方向にずらされた、請求項9または10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記撹拌要素(3)、前記撹拌要素(3)と前記撹拌シャフト(2)を連結するための前記手段(4)、及び前記撹拌シャフト(2)の少なくとも一部分が単一片として作成された、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記リング部分(7)が、前記リング部分(7)の前記下側端(8)と前記リング部分(7)の前記上側端(9)の間で少なくとも90°にわたって展開する、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記撹拌シャフト(2)を中心とする前記リング部分(7)によって形成された扇形角度が、範囲90°~270°内である、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項15】
流体を収容するための容器(20)の蓋(21)であって、前記蓋(21)が、流体を撹拌するために装置(1)を備え、
流体を撹拌するための前記装置(1)が請求項1~14のいずれか一項に記載された、蓋(21)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶などの容器内に収容された塗料などの流体を撹拌するための装置、及びまた係る撹拌装置を備えた容器の蓋に関する。
【0002】
より詳細には、回転駆動されうる撹拌シャフト、撹拌要素、及び撹拌要素と撹拌シャフトの間を連結するための手段を備えた流体を撹拌するための装置に関し、撹拌シャフトは、使用構成で、その下側端からその上側端の方向に垂直方向に位置決め可能であり、撹拌要素は、撹拌シャフトのまわりに配置された環状リング部分を有し、このリング部分は、使用構成に対応する撹拌シャフトの垂直位置に、撹拌シャフトに対して傾けられ、撹拌シャフトのまわりでその「下側」端の1つからその他方の「上側」端の方向に展開して上昇勾配となる平面内に配置され、このリング部分は、環状ケージの方式で、空洞と外部の間を連通するための開口を備えた中空リング部分を構成する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1、特許文献2又は特許文献3によって示されたように塗料を撹拌するための多数の装置が存在する。そのような撹拌装置は、容器の底に沈殿することによって一部分が蓄積する生成物を撹拌するときに非効率的である。沈殿の生成物を再懸濁するには、一般に、実際の撹拌操作前に手動介入が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】EP 2 014 351
【文献】FR 2 704 453
【文献】DE 20 205 449
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の目的は、前述のタイプの撹拌装置を提案することであり、その設計は、沈殿しやすい生成物の場合を含めて均一混合物を得ることを可能にする。
【0006】
本発明の更に他の目的は、前述タイプの撹拌装置を提案することであり、その設計は容易な製造を可能にする。
【0007】
このため、本発明の目的は、缶などの容器内に収容された塗料などの流体を撹拌するための装置であり、前記装置は、回転駆動可能な撹拌シャフト、撹拌要素、及び前記撹拌要素と前記撹拌シャフトを連結するための手段を備え、前記撹拌シャフトは、使用構成で、その下側端からその上側端の方向に垂直方向に位置決めでき、前記撹拌要素は、前記撹拌シャフトを部分的に取り囲む環状リングを備え、このリング部分は、前記使用構成に対応する前記撹拌シャフトの垂直位置に、前記撹拌シャフトに対して傾けられ、撹拌シャフトのまわりに展開し、その前記「下側」端の一方からその他方の前記「上側」端の方向への上昇勾配となる平面内に配置され、このリング部分は、環状ケージの手法で、その空洞と外部を連通するための開口を備えた中空リング部分を構成し、前記撹拌シャフトと前記撹拌要素を連結するための前記手段が、前記撹拌シャフトの前記下側端と前記撹拌要素の前記下側端の間に配置された前記撹拌シャフトに対して放射状で、前記下側端を接続する少なくとも1つのアームを備え、この放射状アームは、スクレーパとして働き下側連結アームと呼ぶことができ、前記撹拌シャフトに対して垂直な平面内に少なくとも部分的に延在する。
【0008】
前記撹拌要素を完全なリングではなくリング部分の形で作成することにより、缶などの前記容器から前記撹拌要素を飛散なしに挿入し取り出すことが容易になる。スクレーパとして働きうるアームの存在によって、前記撹拌装置は、かなりの量の沈殿残留物を生成しやすい前記生成物の場合を含めて、十分に効率的になりうる。前記傾斜したリング部分/スクレーパアームの組み合わせは、撹拌流体の均質化を改善できる。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記下側連結アームは、前記撹拌シャフトの回転方向に対して見て、前長手方向縁又は前縁、後長手方向縁を有するブレードの形をとり、前記前及び後長手方向縁は、前記撹拌シャフトの前記使用構成で、それぞれ前記ブレードの上部と下部の面を構成する2つの面によって接続され、前記ブレードの前記前長手方向縁は、前記撹拌シャフトに対して垂直な平面内で延在し、前記ブレードの上部の面は、前記後長手方向縁から前記前長手方向縁の方に下降勾配を有する傾斜面を形成する。
【0010】
前記下側連結アームを構成する前記ブレードの上部の面の形は、前記流体がリングの方向に上昇することを可能にする。
【0011】
前記下側連結アームを構成する前記ブレードの上部の面は、凹状であることが好ましい。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記撹拌シャフトと前記撹拌要素を連結するための前記手段は、前記下側連結アームに加えて、前記撹拌シャフトに対して放射状の少なくとも1つの補助アームを備える。
【0013】
一実施形態によれば、前記補助シャフトの少なくとも1つは、前記撹拌シャフトの回転方向に対して見て、前長手方向縁又は前縁、後長手方向縁を有するブレードの形をとり、前記前及び後長手方向縁は、前記撹拌シャフトの前記使用構成で、それぞれ前記ブレードの上部と下部の面を構成する2つの面によって接続され、前記ブレードの上部の面は、前記後長手方向縁から前記前長手方向縁の方への下降勾配を有する傾斜面を形成する。
【0014】
この構成によって、前記装置の機械的強度が高くなるが、得られる混合物の均質性は損なわれない。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記補助アームはそれぞれ、前記撹拌シャフトに沿って前記下側連結アームに対して軸方向にずらされる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記補助アームの1つは、前記撹拌シャフトと前記撹拌要素の前記リング部分の上側端との間に配置される。
【0017】
前記リング部分の下側端は、前記下側連結アームへの接続ゾーン内に、傾斜板を形成する谷部分を有することが好ましい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記リング部分は、前記撹拌シャフトを部分的に取り囲む2つの同心平行環状部分から形成され、異なる半径のこれらの2つの環状部分は、前記撹拌シャフトに対して放射状の平面内でそれぞれ延在する半リングによって接続される。
【0019】
それにより、前記撹拌装置をモールド成形することによって、螺旋の等価物を単純な手法で形成する環状及び半リング部分を容易に製造できる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記半リングは、それぞれ延在する2つの連続物で編成され、前記撹拌シャフトの前記使用構成で、前記平面の上の一方の連続物が2つの環状部分を通り、前記平面の下の他方の連続物が2つの環状部分を通る。
【0021】
前記半リングは、一方の一連の半リングから他方の一連の半リングまで前記環状部分に沿って軸方向にずらされることが好ましい。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記撹拌要素、前記撹拌要素と前記撹拌シャフトを連結するための前記手段、及び前記撹拌シャフトの少なくとも一部分が、単一片として作成される。
【0023】
一実施形態によれば、前記リング部分は、その上側端とその下側端の間で、少なくとも90°、好ましくは180°にわたって生じる。
【0024】
一実施形態によれば、前記リング部分によって形成された扇形角度は、範囲90°~270°内である。
【0025】
本発明の更に他の目的は、流体を収容するための容器の蓋であり、前記蓋は、流体を撹拌するための装置を備え、前記流体を撹拌するための装置が前述のタイプのものであることを特徴とする。
【0026】
本発明は、添付図面に関して、典型的な実施形態の以下の記述を読むことにより、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による撹拌装置を有する蓋を備えた容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
前述したように、本発明の目的は、流体(詳細には液体)を撹拌するため、より詳細には蓋21によって閉じられた缶などの容器20内に収容された塗料を撹拌するのに適した装置1であり、撹拌装置1は、少なくとも部分的に蓋21から突出している。
【0029】
この撹拌装置1は、回転駆動され(詳細にはそれ自体で回転され)うる撹拌シャフト2、撹拌要素3、及び撹拌要素3と撹拌シャフト2を連結するための手段4を備え、撹拌シャフト2は、使用構成で、その下側端5からその上側端6の方向に、即ち、容器20の底を形成する面に対してほぼ垂直方向に位置決め可能である。
【0030】
撹拌シャフト2は、撹拌装置1が配置された環境により、種々の異なる手法で回転駆動されうる。したがって、撹拌シャフト2は、塗料缶撹拌キャビネットを備える駆動ヘッドに結合されうる。あるいは、この撹拌シャフト2は、ドリルなどの工具の駆動シャフトに結合されうる。
【0031】
図1に示されたように、この撹拌シャフト2が、容器20の蓋21を備えるとき、撹拌シャフト2は、蓋内の貫通口を通り、撹拌シャフト2の上側端は、蓋の上に配置され、シャフトを回転駆動するための手段と係合し、一方、撹拌シャフト2の下側端5、撹拌要素3、及び撹拌要素3と撹拌シャフト2を連結するための手段4が、容器20内の蓋21の下に配置される。
【0032】
撹拌要素3は、撹拌シャフト2を部分的に取り囲む環状リング部分7を備える。このリング部分7は、使用構成に対応する撹拌シャフト2の垂直位置にあり、撹拌シャフト2に対して傾けられた平面内に配置される。換言すると、リング部分7の下側端8と上側端9を通るリング部分7の環状平面は、撹拌シャフト2に垂直な平面と概略5°~45°、好ましくは約15°の角度Aをなす。このリング部分7は、中心が空いたトーラス部分の一般形態をとり、トーラスの表面は穿孔される。このリング部分7は、その下側端8とその上側端9の間で、少なくとも90°、好ましくは180°にわたって展開する。リング部分7によって形成される扇形角度は、範囲90°~270°であることが好ましい。
【0033】
したがって、示された例では、このリング部分7は、環状ケージの方式で、空洞10と外部とを連通するための開口11を備えた環状断面の中空トーラス又は中空リング部分を構成する。詳細には、示された例では、リング部分7は、撹拌シャフト2を部分的に取り囲む2つの同心平行環状部分16から構成され、異なる半径のこれらの2つの環状部分16は、撹拌シャフト2に対して放射状の平面内でそれぞれ延在する半リング17によって接続される。半リング17は、それぞれ延在する2つの連続物171,172で編成され、撹拌シャフト2の使用構成で、平面の上の一方の連続物171は、2つの環状部分16を通り、平面の下の他方の連続物172は、2つの環状部分16を通る。半リング17は、一方の一連の半リングから他方の一連の半リングまで環状部分16に沿って軸方向にずらされる。
【0034】
一方の連続物の半リング17は、示された例では、一定ピッチだけ互いに離される。連続物の各中間半リング17(即ち、連続物の端の半リング以外の半リングによって構成された)は、他方の一連の半リングのうちの2つの連続した半リングの間で空いた空間に面するように構成される。したがって、半リング17は、リング部分7の下側端8からリング部分7の上側端9の方向に、環状部分16を通る平面の下と上に交互に延在する。
【0035】
特定のこの構成は、螺旋を型から取り出すことを難しくすることなく、半リング組立体を螺旋形に近い形にする。それにより、撹拌要素3、撹拌要素3と撹拌シャフト2を連結するための手段4、及び撹拌シャフト2の少なくとも一部分を単一片として作成可能である。
【0036】
したがって、リング部分7の外部と連通するための開口11は、一連のリングの2つの連続した半リングの間で空いたままの空間によって形成される。
【0037】
撹拌シャフト2と撹拌要素3を連結するための手段4は、撹拌シャフト2の下側端5と撹拌要素3の下側8の間に配置された、撹拌シャフト2に対して放射状の少なくとも1つのアーム12を備える。
【0038】
この放射状アーム12は、撹拌シャフトの下側端と撹拌要素の下側端を接続する。この放射状アーム12は、スクレーパとして働き、下側連結アーム12と呼ぶことができ、撹拌シャフト2に対して垂直な平面内で少なくとも部分的に延在する。この機構は、容器の底に沈殿することによって蓄積した材料を処理し、混合物の均質性に有害になる材料のそのような蓄積を防ぐことを実質的に可能にする。
【0039】
示された例では、下側連結アーム12は、撹拌シャフト2の回転方向に対して見て、前長手方向縁又は前縁121、後長手方向縁122及び2つの横縁を有するブレード120の形をとる。ブレードの横縁の1つは、ブレードを撹拌シャフト2の下側端に連結する縁を構成する。一方、リング部分7の下側端8は、ブレード120の後長手方向縁又は長手方向後縁122で、下側連結アーム12を構成するブレード120に接続される。
【0040】
したがって、ブレード120は、撹拌シャフト2の回転方向に対して見て、リング部分7の下側端8の前方に延在する。このブレード120は、リング部分7の外周縁まで延在する。
【0041】
示された例では、ブレード120の前長手方向縁121と後長手方向縁122は、撹拌シャフト2の使用構成で、ブレード120の上部123と下部124の面をそれぞれ形成する2つの面によって接続される。
【0042】
ブレード120の前長手方向縁121は、撹拌シャフト2に対して垂直な平面内で延在し、ブレード120の上部123の面は、ブレード120の後長手方向縁122から前長手方向縁121の方に上昇勾配を有する傾斜面を形成する。
【0043】
更に、示された例では、下側連結アーム12を構成するブレード120の上部123の面は凹状である。変形物では、上部123の面は平面でもよい。一般に、ブレードの下部と上部の面は、互いに平行である。
【0044】
ブレードのこの傾斜構成は、材料の取り出しと、材料のリング部分7の方への案内を容易にする。
【0045】
この案内を改善するために、リング部分7の下側端8は、下側連結アーム12への接続ゾーン内に、傾斜板を形成する谷部分15を有する。
【0046】
装置の機械的強度を補強し、均質性に関して混合物の品質を改善するために、撹拌シャフト2と撹拌要素3を連結するための手段4は、下側連結アーム12に加えて、撹拌シャフトに対して放射状の少なくとも1つの補助アームを備える。
【0047】
補助アームの少なくとも1つは、「上側」放射状アーム14である。この上側放射状アームは、リング部分7の上側端9と撹拌シャフト2の間に配置される。
【0048】
示された例では、それぞれ13と14で示された2つの補助アームが提供される。図に14で示されたアームの1つは、撹拌シャフト2の回転方向に対して見て、前長手方向縁141と後長手方向縁142を有するブレード140の形をとる。これらの前長手方向縁141と後長手方向縁142は、撹拌シャフトの使用構成で、それぞれブレード140の上部143と下部144の面を構成する2つの面によって接続され、ブレード140の上部143の面は、後長手方向縁から前長手方向縁141の方に下降勾配を有する傾斜面を形成する。
【0049】
図に13で示された放射状アームは、撹拌シャフトの回転方向に対して見て、前長手方向縁又は前縁131及び後長手方向縁132を有するブレード130の形をとる。前長手方向縁131と後長手方向縁132は、撹拌シャフト2の使用構成で、それぞれブレード130の上部133と下部134の面を構成する2つの面によって接続され、ブレードの上部133の面は、ブレード130の後長手方向縁132から前長手方向縁131の方に下降勾配を有する傾斜面を形成する。
【0050】
この補助放射状アーム13は、この場合、下側12及び上側14アームから等距離に延在する。補助アーム13及び14は、それぞれ少なくとも部分的にリング部分7の中央又は周囲平面内で延在し、この平面は部分の下側端と上側端を通る。補助アームを構成するブレードの上部の面は、平面(即ち、直線)でも凹状でもよい。一般に、ブレードの下部及び上部の面は互いに平行である。
【0051】
そのような撹拌装置1は、従来の撹拌装置と同じように作動する。そのような撹拌装置を使用して容器の内容物の撹拌を可能にするために、
図1に示されたように、理想的には撹拌シャフト2の下側端が容器の底に届くまで、撹拌装置を容器に挿入し、次に撹拌シャフト2を回転駆動することで十分であり、リング部分の下側端が前縁である。
【0052】
撹拌シャフト2の下側端5と容器20の底の早期摩耗を防ぐために、図に示されたように、この下側端5は球状であることが好ましい。