(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】リフレクトメトリ終了点イメージング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230809BHJP
C23F 4/00 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
H01L21/302 103
C23F4/00 A
(21)【出願番号】P 2020134511
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-06-26
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512221197
【氏名又は名称】エスピーティーエス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリバー アンセル
(72)【発明者】
【氏名】ハリー ゴードン-モイス
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168625(JP,A)
【文献】特開平03-283615(JP,A)
【文献】特表2006-528428(JP,A)
【文献】特開平02-077129(JP,A)
【文献】特表2015-532544(JP,A)
【文献】特開昭61-207583(JP,A)
【文献】特開2018-026558(JP,A)
【文献】特表2020-510311(JP,A)
【文献】特開2006-186221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23F 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をプラズマエッチングする装置であって、
チャンバと、
そのチャンバ内に配置された基板支持器でありプラズマエッチングされるべき基板を支持する
支持面を有する基板支持器と、
プラズマエッチングプロセス中に前記基板の一領域を照明する白色光照明源であり、
前記基板支持器の前記支持面の法線に対し約10°未満の入射角を有する入射光ビームで以てその基板領域を照明するよう実装された
白色光照明源と、
その照明源により照明された領域の連続画像を撮るよう配列されたカメラ
であり、前記白色光照明源とカメラは前記支持面から前記チャンバと反対側に配置されて前記支持面に対向し、カメラで受光する光は前記入射角で前記基板の領域に照射される全てである、カメラと、
それら画像を対象に画像処理技術を実行することで、前記基板上の少なくとも1個のフィーチャの所在個所
に対応する前記画像内の1つ以上の画素を識別し
前記1つ以上の画素からの反射率信号を計測するよう、構成されたプロセッサと、
を備え、そのプロセッサが、前記個所にて計測された反射率信号に応じ前記プラズマエッチングプロセスを修正するよう構成され
、前記1つ以上の画素は前記基板上のフィーチャのサイズよりも小さい領域を有する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記プロセッサが、前記個所にて計測された反射率信号の変化に応じ前記プラズマエッチングプロセスを修正するよう構成された装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の装置であって、
前記
入射角は、前記基板支持器の前記支持面の法線に対し約5°未満
である装置。
【請求項4】
請求項
1に記載の装置であって、更に、
前記照明源により放射された光を前記基板上及び/又は前記カメラ内に集束させるよう配列された光学配列を備える装置。
【請求項5】
請求項
1に記載の装置であって、更に、
前記カメラに入る光のうち諸指定波長をフィルタリングするよう位置決めされた光学フィルタを備える装置。
【請求項6】
請求項
1に記載の装置であって、
前記画像処理技術が画像パターン認識及び/又は画像パターンマッチングを含む装置。
【請求項7】
基板をプラズマエッチングする方法であって、
(a)白色光照明源を用い、プラズマエッチングされるべき基板の一領域を、
前記基板の前記領域の照明に用いる全ての光が前記基板の前面の法線に対し10°未満の入射角を有する入射光ビームで以て照明するステップと、
(b)カメラを用い、プラズマエッチングプロセス中に、照明される領域の連続画像を撮るステップと、
(c)それら画像に画像処理技術を適用することで、前記基板上の少なくとも1個のフィーチャの所在個所
に対応する前記画像内の1つ以上の画素を識別し
前記1つ以上の画素での反射率信号を計測
し、前記1つ以上の画素は前記基板上のフィーチャのサイズよりも小さい領域を有するステップと、
(d)前記個所にて計測された反射率信号に応じ前記プラズマエッチングプロセスを修正するステップと、
を有する方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の方法であって、
前記照明される領域が、0.75~100mm
2の範囲内の面積を有する方法。
【請求項9】
請求項
7に記載の方法であって、
前記
入射角が、
前記基板の前記前面の法線に対し5°未満の入射角
である方法。
【請求項10】
請求項
7に記載の方法であって、
前記入射光ビームが前記基板
の前記前面に対しほぼ垂直な方法。
【請求項11】
請求項
7に記載の方法であって、
前記カメラが、前記基板で反射された光をある検出波長にて検出し、前記照明源により放射される光が、その検出波長にて前記プラズマエッチングプロセスのプラズマにより放射される光よりも、その検出波長にて高い強度を有する方法。
【請求項12】
請求項
7に記載の方法であって、
前記画像処理技術が画像パターン認識及び/又は画像パターンマッチングを含む方法。
【請求項13】
請求項
7に記載の方法であって、
前記プラズマエッチングプロセス前の
前記基板の
前記前面に、相異なる反射率特性を有する少なくとも2個のエリアが備わる方法。
【請求項14】
請求項
7に記載の方法であって、
前記基板が、エッチングされるべき素材を部分的に覆うマスク層を備え、そのマスク層が、エッチングされるべき素材とは異なる反射率特性を有する方法。
【請求項15】
請求項
14に記載の方法であって、
前記マスク層が、エッチングされるべき素材のうち少なくとも90%を覆う方法。
【請求項16】
請求項
7に記載の方法であって、
ステップ(c)にて、前記カメラにより撮られた参照画像に画像処理技術を適用することで前記少なくとも1個のフィーチャの所在個所を識別し、その参照画像における当該少なくとも1個のフィーチャの所在個所にて参照反射率信号を計測し、そして連続画像上での当該少なくとも1個のフィーチャの所在個所にて計測された反射率信号とその参照反射率信号とを比較する方法。
【請求項17】
請求項
7に記載の方法であって、
前記少なくとも1個のフィーチャの所在個所を識別する際に、参照パターンを所在特定し、その参照パターンの所在個所との関連で当該少なくとも1個のフィーチャの所在個所を判別する方法。
【請求項18】
請求項
7に記載の方法であって、
前記反射率信号が輝度信号、強度及び/又は反射光の色である方法。
【請求項19】
請求項
7に記載の方法であって、
ステップ(d)にて、前記個所での反射率信号の変化に応じ前記プラズマエッチングプロセスを終結させる方法。
【請求項20】
請求項
7に記載の方法であって、
前記少なくとも1個のフィーチャが、ビア、シリコン基板に埋入された銅プラグ、或いはトレンチであ
り、前記基板がウェハ、キャリア構造上のウェハ、或いはテープでフレームに装着されたウェハである方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板をプラズマエッチングする装置、とりわけフィーチャ(外形特徴)をエッチングする装置に関する。本発明は、プラズマエッチングプロセスの終了点を決定する装置にも関する。本発明は、関連する基板プラズマエッチング方法及び関連するプラズマエッチングプロセス終了点決定方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマエッチングを用いることで、ウェハ例えばシリコンウェハにフィーチャをエッチングすることができる。エッチング条件に耐えるマスクをそのウェハ上に設ければよい。そのウェハの表面エリアのうちマスクで覆われていないところ(「開エリア」とも称する)を、そのエッチング条件に対し露出させて、選択的にエッチングすることができる。
【0003】
プラズマエッチング処理工程の終結は、終了点信号を用い決定することができる。終了点信号とされうるのは、例えば、ウェハの光学特性の変化計測結果や、プラズマの光学及び/又は化学特性の変化である。既知の終了点決定方法には、レーザ依拠リフレクトメトリ(反射計測)、インタフェトメトリ(干渉計測)及び光学放射スペクトロスコーピ(分光計測)(OES)がある。しかしながら、強い終了点信号を提供するのにこれらの技術が常に適するわけではなく、とりわけマスク内開エリア百分率が低い(例.約1%未満の)ときはそうである。
【0004】
リフレクトメトリ及びインタフェトメトリ技術はウェハの光学特性の変化に依存している。ウェハの光学特性の変化のなかには、エッチング停止層への到達によるものがある。レーザ依拠技術で提供されるのは、通常、レーザのスポットサイズで決まる局所エリアに亘る計測結果だけである。そのため、それら計測結果は小エリア(典型的には概ね1個又は少数のフィーチャをカバーするそれ)しか代表しておらず、ウェハ全体を真に代表するものではないかもしれない。信号を得るには、フィーチャを計測しようとしている領域内にレーザを正確に位置決め及び整列させねばならないが、これは難題となりうることであり、とりわけ、マスク内開エリアの百分率が低いときや、エッチングされるフィーチャの寸法がレーザのスポットサイズより小さいか同程度であるときにはそうなる。レーザが正しく整列していないとフィーチャが観測されないかもしれず、終了点信号が検出されないかもしれない。ある種の方法では、可動部品を利用することで、ウェハの表面全体をレーザで走査できるようにしている。しかしながら、そうしたシステムではコスト及び複雑性が装置の製造及び動作に付加されることとなる。
【0005】
OESは、プラズマの光学特性の変化のうち終了点を示すものに依存している。しかしながら、マスク内「開エリア」の百分率が下がるにつれ、ウェハからエッチングされる素材の量が相応に減るため、OES感度が低下する。従って、マスクの「開エリア」の百分率が低いときには、OESでは弱い終了点信号しか提供できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2018/0286643号
【文献】米国特許第6448094号
【文献】米国特許第7101805号
【文献】米国特許出願公開第2008/0014748号
【文献】米国特許第9640370号
【文献】米国特許出願公開第2015/0311129号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明、少なくともその実施形態のうち幾つかでは、上述した諸問題、期待及び需要のうち幾つかへの対処を図っている。本発明、少なくともその実施形態のうち幾つかでは、マスクの開エリアの比率が低いとき(例.約1%未満のとき)でも強い終了点信号を提供しそれによりエッチング終了点を決定する好適な装置を、提供する。本発明、少なくとも幾つかの実施形態では、更に、基板の広範囲を代表する終了点信号を提供する。本発明、少なくとも幾つかの実施形態によれば、更に、高アスペクト比フィーチャやトレンチ底露呈フィーチャの場合に強い終了点信号を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様により提供されるのは、基板をプラズマエッチングする装置であって、
チャンバと、
そのチャンバ内に配置された基板支持器であり、プラズマエッチングされるべき基板を支持する基板支持器と、
プラズマエッチングプロセス中にその基板の一領域を照明する白色光照明源であり、法線に対し約10°未満の入射角を有する入射光ビームで以てその基板領域を照明するよう実装された照明源と、
その照明源により照明された領域の連続画像を撮るよう配列されたカメラと、
それら画像を対象に画像処理技術を実行することで、基板上の少なくとも1個のフィーチャの所在個所を識別しその個所にてそのフィーチャからの反射率信号を計測するよう、構成されたプロセッサと、
を備え、そのプロセッサが、前記個所にて計測された反射率信号に応じプラズマエッチングプロセスを修正するよう構成された装置である。
【0009】
前記プロセッサを、前記個所にて計測された反射率信号の変化に応じプラズマエッチングプロセスを修正するよう、構成してもよい。
【0010】
前記照明源を、法線に対し約5°未満の入射角を有する入射光ビームで以て前記基板領域を照明するよう、実装してもよい。法線に対し、随意的には入射光ビームの入射角が約2°未満、随意的には約1°未満、或いは随意的には約0°とされる。入射角が小さいため、高アスペクト比フィーチャの底にてカメラへと光を反射させること(即ちそれをそのカメラによりイメージングすること)ができる。そのため、そのフィーチャ内の光が平行光であることを踏まえ、ウェハ表面に対し約90°のところにそれらカメラ及び光源を配置するのが有益である。これを助けとして、露出フィーチャが視界から隠されないようにし、反射率信号の強さを改善することができる。
【0011】
前記白色光照明源は、本件技術分野で既知の通り、広い光学的帯域幅(通常は約100nm以上)に亘る光を提供する。この白色光源を用い、エッチングされるべき基板の広範囲を照明すればよい。それにより、その基板の広範囲に亘り反射率信号を検出することが可能となる。
【0012】
本装置が、更に、前記照明源により放射された光を基板上に集束させるよう配列された、光学配列を備えていてもよい。その光学配列により光をカメラ内に集束させてもよい。その光学配列は、1個又は複数個のレンズ及び/又は光学フィルタを備えるものとすることができる。
【0013】
本装置が、更に、カメラに入る光のうち諸指定波長をフィルタリングするよう位置決めされた、光学フィルタを備えていてもよい。光学フィルタを用いることで、特定の光波長、例えばプラズマにより放射される特定の諸波長が、そのカメラにより検出されないようにすることができる。その光学フィルタを、バンドパスフィルタとすることができる。
【0014】
カメラの位置を、そのカメラの視野により基板支持器上のある固定領域をイメージングできるよう、固定してもよい。使用時に、処理される基板及びカメラを互いに固定位置に固持してもよい。カメラの位置を固定することで、各連続画像上の対応する諸画素を、その基板上の同じ個所に対応付けることができる。そのため、(その基板の統合的なエリアに亘りデータを分析するのではなく)それら画素を分析することで、エッチングプロセスの進行を監視することができる。従って、マスク内開エリアの比率が低くても、その計測故に強い終了点信号をなおも実現することができる。そのカメラが相補型金属酸化物半導体(CMOS)検出器を有していてもよい。
【0015】
本発明の第2態様により提供されるのは、基板をプラズマエッチングする方法であって、
(a)白色光照明源を用い、プラズマエッチングされるべき基板の一領域を、法線に対し10°未満の入射角を有する入射光ビームで以て照明するステップと、
(b)カメラを用い、プラズマエッチングプロセス中に、照明されている領域の連続画像を撮るステップと、
(c)それら画像に画像処理技術を適用することで、基板上の少なくとも1個のフィーチャの所在個所を識別しその個所での反射率信号を計測するステップと、
(d)前記個所にて計測された反射率信号に応じプラズマエッチングプロセスを修正するステップと、
を有する方法である。
【0016】
カメラで撮る画像は、照明された領域内の個別フィーチャを分解できる分解能を有するものである。即ち、その画素サイズが、通常は、そのカメラによりイメージングされるフィーチャのサイズよりも小さい。
【0017】
ステップ(c)にて、諸画像に画像処理技術を適用することで、それら画像内の1個又は複数個の画素、即ち基板上のフィーチャの所在個所に対応する1個又は複数個の画素を識別してもよい。当該1個又は複数個の画素の反射率信号を計測することができる。それら画素の反射率信号は、通常、そのフィーチャの所在個所からの反射率信号と関連している。それら反射率信号を分析することで、プラズマエッチングプロセス中に反射率信号の値又は変化を計測することができる。プラズマエッチングプロセスを、当該少なくとも1個のフィーチャの所在個所に対応する1個又は複数個の画素の反射率信号の大きさが所定値超又は未満となるのに応じ、修正してもよい。プラズマエッチングプロセスを、当該少なくとも1個のフィーチャの所在個所に対応する1個又は複数個の画素の反射率信号の変化に応じ修正してもよい。
【0018】
プラズマエッチングプロセスを、前記個所での反射率信号の大きさが所定値超又は未満となるのに応じ修正してもよい。
【0019】
ステップ(d)にて、プラズマエッチングプロセスを、前記個所にて計測された反射率信号の変化に応じ修正してもよい。
【0020】
照明された領域に亘る統合的な信号を用いるのではなく、基板上の特定個所を分析することで、局所的な反射率変化を検出することが可能となる。これは、エッチングされるべき基板表面のうち約1%未満がマスク層の開エリアで組成されているときに、ひときわ適用性がある。
【0021】
照明される領域の面積は、0.75~100mm2、随意的には1~50mm2、随意的には2~25mm2、或いは随意的には3~5mm2の範囲内とすることができる。照明される領域を十分に大きくすることで、基板位置決め及び整列(アライメント)における公差を満足させつつ、少なくとも1個のフィーチャの所在個所を照明することができる。前記照明源により、複数個のフィーチャを備える基板領域を照明してもよい。
【0022】
照明される領域を照らす入射光ビームの入射角を、5°未満、随意的には2°未満、或いは随意的には1°未満としてもよい。その入射光ビームを基板に対しほぼ垂直としてもよい。入射角を小さくすることで、高アスペクト比フィーチャの底にてカメラ内へと光を反射させること(即ちそれをそのカメラによりイメージングすること)が可能となる。そのため、そのフィーチャ内の光が平行光であることを踏まえ、ウェハ表面に対し約90°のところにそれらカメラ及び光源を配置するのが有益である。これを助けとして、露出フィーチャが視界から隠されないようにし、反射率信号の強さを改善することができる。
【0023】
カメラにより、ある検出波長にて、基板からの反射光を検出してもよい。前記照明源により放射される光を、検出波長にてプラズマエッチングプロセスのプラズマにより放射される光よりも、検出波長にて高い強度又は輝度を有するものにすればよい。カメラが有感な波長はユーザが選択することができる。好ましいことに、用いる検出波長を、プラズマが光を放射する波長ピークとは異なるものとすることで、そのプラズマからの信号で撮影画像が飽和されないようにすることができる。
【0024】
画像処理技術に画像パターン認識及び/又は画像パターンマッチングを含めてもよい。画像パターンマッチングを用いることで、プラズマエッチング装置での振動、並びにあらゆるカメラ・基板間相対運動に対処することができる。画像パターン認識により、エッチングに先立ちマスク層の開エリアを定めマッチングさせてもよい。画像パターン認識により、既存(例.参照)画像からの画像関連付けを行ってもよい。画像パターン認識により、その画像上の参照マーク、例えばデバイスデザイン又はダイシングに隣接するダイのエッジを探し、適合度を計算してもよい。他の画像パターン認識方法、例えば人工知能及び機械学習を用いるそれも考慮されうる。
【0025】
プラズマエッチングプロセス前の基板の前面に、相異なる反射率特性を有する少なくとも2個のエリアが備わっていてもよい。
【0026】
基板に、エッチングされるべき素材を部分的に覆うマスク層が備わっていてもよい。そのマスク層が、エッチングされるべき素材とは異なる反射率特性を有していてもよい。そのマスク層で、エッチングされるべき素材のうち少なくとも90%、随意的には少なくとも95%、或いは随意的には少なくとも約99%を覆ってもよい。即ち、その基板表面上における開エリアの比率を、約10%以下、5%以下、2%以下又は約1%以下とすることができる。本方法によれば、基板上における開エリアの比率がごく低いときでさえ、強い終了点信号が提供されうるようにすることができる。
【0027】
ステップ(c)にて、カメラにより撮られた参照画像(例.1枚目の画像)に画像処理技術を適用することで、前記少なくとも1個のフィーチャの所在個所を識別してもよい。その画像処理技術により、例えばその参照画像における当該少なくとも1個のフィーチャの所在個所にて、参照反射率信号を計測してもよい。その画像処理技術により、連続画像上の当該少なくとも1個のフィーチャの所在個所にて計測された反射率信号を、その参照反射率信号と比較してもよい。ステップ(c)にて、参照画像との比較により、当該少なくとも1個のフィーチャの所在個所にて反射率信号の変化を計測してもよい。例えば、参照画像中のその個所からの反射率信号を、後続画像中のその個所からの反射率信号と比較してもよい。また例えば、ある(連続)画像におけるそのフィーチャの所在個所からの反射率信号を参照値、例えばフィーチャと関わりのない個所(例.マスク層の一部分)からの反射率信号と比較してもよい。
【0028】
少なくとも1個のフィーチャの所在個所を識別する際に、参照パターンを所在特定してもよい。当該少なくとも1個のフィーチャの所在個所を、その参照パターンの所在個所との関連で識別してもよい。
【0029】
反射率信号を、輝度信号、強度及び/又は反射光の色としてもよい。反射率信号の変化を、輝度信号の変化、強度及び/又は色変化としてもよい。例えば、反射率信号の変化を、検出波長における光強度の変化としてもよい。ステップ(d)にて、プラズマエッチングプロセスを、前記個所での反射率信号の変化に応じ終結させてもよい。その個所での反射率信号の変化を、エッチング停止信号と関連付けてもよい。
【0030】
前記少なくとも1個のフィーチャ(例.エッチングされるビア)の反射率特性は、通常、基板の別エリアでありフィーチャとは関わりのないところ(例.マスク層)と比べ、異なるものとなる。例えば、そのフィーチャがマスク層の開エリアである場合、その開エリアの反射率特性はマスク層と比べ異なるものとなりうる。このことにより、反射率のみを用いフィーチャの所在個所を識別することが可能となる。当該少なくとも1個のフィーチャがビアであってもよい。当該少なくとも1個のフィーチャがトレンチ、例えばマスク層に開いたトレンチであってもよい。フィーチャが、基板例えばシリコン基板に埋入された銅プラグであってもよい。
【0031】
基板にエッチング停止層、例えばGaAs層が備わっていてもよい。エッチング停止層の反射率特性は、通常、エッチングされる素材(例.フィーチャ)及び/又はその基板上の別エリアでありフィーチャとは関わりのないところ(例.マスク層)と比べ、異なるものとなる。前記個所での反射率信号の変化が、エッチング停止層への接近又はその一部分の露出の結果であることもありうる。この変化はエッチング停止信号を示すものとなりうる。
【0032】
基板をウェハ、キャリア構造上のウェハ、或いはテープでフレームに装着されたウェハとしてもよい。基板を半導体ウェハ、例えばシリコン又はシリコンカーバイドウェハとしてもよい。即ち、エッチングされるべき素材が半導体素材、例えばシリコン又はシリコンカーバイドであってもよい。
【0033】
本発明について上述したが、これは以上の説明にあり或いは後続の記述、図面又は特許請求の範囲中にある諸特徴のあらゆる新規な組合せに敷衍される。例えば、本発明の第1態様との関連で開示された何れの特徴も、本発明の第2態様のあらゆる特徴と組み合わせることができる。
【0034】
さて、本発明に係る基板及び方法の諸実施形態について、以下の添付図面を参照し記述することにする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態に係る装置の模式図である。
【
図2A】プラズマエッチング前基板におけるフィーチャの断面図である。
【
図2B】プラズマエッチング後基板におけるフィーチャの断面図である。
【
図3】基板の一領域の諸画像に、比較のためレーザリフレクトメトリトレースを重ねて示した図である。
【
図4A】プラズマエッチング前基板における埋入フィーチャの断面図である。
【
図4B】プラズマエッチング後基板における露呈フィーチャの断面図である。
【
図5】本発明の諸実施形態に係るプロセスのフロー図である。
【
図6】本発明の諸実施形態に係るプロセスのフロー図である。
【
図7】本発明の諸実施形態に係るプロセスのフロー図である。
【
図8】本発明の諸実施形態に係るプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1はプラズマエッチング装置の模式的外観を示しており、その全体が10で示されている。プラズマエッチング装置10に備わる幾つかの周知特徴、例えばプラズマ生成手段及びガスインレット/アウトレットについては、簡略性を考慮し図面から省いてある。こうしたプラズマエッチングチャンバ内でのプラズマ生成動作は本件技術分野で周知であるので、本発明の理解のため必要な場合を除き記述しないことにする。
【0037】
本装置10は、チャンバ14内に配置された基板支持器12を備えている。チャンバ14はプラズマ32を入れておくのに適している。基板支持器12は、エッチングされるべき基板16の前面を上に向け基板16を略水平姿勢で保持しうるように、工夫されている。基板16は、例えばウェハ、キャリア構造上のウェハ、或いはテープでフレームに装着されたウェハとすることができる。基板16は、例えば、ダイシングレーンにより分離された複数個のダイを備えるものと、することができる。基板16の前面のうち一部分を、プラズマ処理条件に耐えるマスク層で以てパターニングすることができる。基板のうちそのマスクで覆われた諸部分はエッチングされない。他方、基板16のうちプラズマ処理条件に曝され続ける諸部分(別称「開エリア」)は、プラズマエッチングプロセス中に選択的にエッチングされることとなる。
【0038】
チャンバ14は、基板支持器の上方にありそれと対面する頂壁18(又は蓋)を備えている。窓(又は看取ポート)20が、基板支持器12の上方となるようその頂壁18に配列されているので、基板支持器12のうち少なくとも一部分を、窓20越しに、平面外観の態で看取することができる。
【0039】
白色光照明源22は、基板16の一領域が窓20越しに入射光ビーム24で以て照明されるように配列されている。白色光照明源22は、本件技術分野で既知の通り、広い光学的帯域幅(通常は約100nm以上)に亘る光を提供する。基板16のうち照明源22により照明される領域は、入射光ビーム24のスポットサイズによって決まる。このスポットサイズの直径は約2mm、或いは約5mmとされうる。このスポットサイズは、基板上にありエッチングされる個別フィーチャのサイズよりも大きい。スポットサイズが十分大きいので、基板16のうち複数個のフィーチャが備わる領域を照明することができる。エッチングされるべきフィーチャの反射率特性は、通常、基板の別エリアでありフィーチャと関わりのないところと比べ異なっている。単なる例としては、そのフィーチャをマスクの開口とすることができ、それを用い、エッチングされる素材内にトレンチ又はビアを形成することができる。マスク及びその開口が異なる反射率特性を有しているため、開口ではマスクと比べ異なる反射率信号が現れることとなる。そのため、プラズマエッチングプロセス前には、それら開エリアを見ることができる。埋入フィーチャ例えば銅プラグは、基板内に埋め込まれているため、エッチングプロセス開始時には見ることができないであろう。とはいえ、それらのフィーチャは、シリコンがエッチバックされて埋入フィーチャ(例.銅プラグ)が露わになっていくことで、現れることとなる。
【0040】
開エリアがエッチングされる際には、通常、エッチングがエッチング停止層にて停止されることとなる。これに代え、少々不均一なエッチング深さ制御につながりうるものの、エッチングを時間制限することもできる。フィーチャの底にてエッチング停止層が露わになったことは、エッチング工程が完遂された(例.トレンチ又はビアフィーチャが全面形成された)兆候たりうる。例えば、エッチング停止層の反射率特性を、エッチングされる素材及び/又はその基板上にありフィーチャと関わりのない個所(例.マスク層又はバルク基板素材)と比べ、異なるものとすることができる。また例えば、参照パターンを用いその基板上の既知個所を識別し、その参照パターンの所在個所との関係で諸フィーチャの所在個所を判別することができる。フィーチャは、通常、約100μm未満の寸法を有している。
【0041】
入射光ビームは光学系26を用い集束及びスポットサイズ制御される。光学系26は、光ビームを集束させる1個又は複数個のレンズを備えるものとすることができる。光学系26は、更に、特定の諸波長の光のみを通過させる光学フィルタを、備えるものとすることができる。
【0042】
入射光ビーム24は基板16の前面にて反射され、それにより反射光ビーム28がもたらされる。入射光ビームを差し向け、エッチングされるフィーチャ例えばトレンチの底を照明することで、その反射光ビーム28を、そのフィーチャの所在個所からの反射率信号を含むものとすることができる。好ましくは、その入射光ビームを、基板表面に対しほぼ垂直(即ち約90°)とする。これは、入射光のうちより多くの部分を高アスペクト比フィーチャの底にて反射させられるので、高アスペクト比フィーチャ、例えば高アスペクト比トレンチを解像及び看取する助けとなる。とはいえ、より低アスペクト比なフィーチャ向けにより大きな入射角を用いてもよい。
【0043】
カメラ30は、反射光ビーム28を検出しうるように位置決めされている。カメラ30は、基板支持器12との関係で、固定位置に実装されている。反射光ビーム28は、光学系26内及び/又はフィルタ(図示せず)内を通した上で、カメラ30のレンズに入れることができる。そのフィルタにより、どの光波長がカメラ30により検出されるかを決めることができる。カメラ30はCMOSカメラとすることができる。とはいえ、他のカメラ例えばCCDカメラも用いうる。
【0044】
カメラ30は、基板上の照明領域にほぼ対応する視野を有している。付随的には、その視野を、基板の照明領域よりも小さく又は大きくすることができる。カメラ30を動作させることで、プラズマエッチングプロセス中に、照明領域からの反射光を捉え、基板の照明領域の連続画像を撮ることができる。照明源はその基板のうち比較的大きなエリアを照明するものであり、十分に大きいのでフィーチャが存在する個所複数個が入りうる。照明領域も、エッチングされるフィーチャのサイズと比べ相対的に大きい。通常、画像サイズ(ひいては照明領域)を十分に大きくすることで、エッチングされるべきフィーチャが少なくとも1個含まれるようにしつつ、基板位置及び整列の公差を満足させることができる。カメラ30により、エッチングされるフィーチャからの反射光ビーム28を検出することができる。
【0045】
捕捉される画像中の各画素がエッチングされるフィーチャの寸法未満の寸法に対応するよう、カメラ30の焦点を合わせることができる。そのカメラにて撮られた画像にて、個別フィーチャを解像することができる。例えば、エッチングされるフィーチャの寸法を約25μmとする一方、1枚目の画像中の各画素を約10μm×10μmに対応付けることができる。そのため、エッチングされるべきフィーチャの所在個所が捕捉画像にて1個又は複数個の画素に亘ることとなりうる。各画素には、個別個所での反射率信号に関する情報が入っている。例えば、その基板上の特定個所での反射光ビームの強度及び/又は色についての情報が画素に含まれうる。
【0046】
カメラ30により撮られた画像は、プロセッサへと転送され画像処理に供される。画像処理技術、例えば画像パターンマッチング及び画像パターン認識が、それら画像に適用される。画像処理技術の適用には商業的に入手可能なソフトウェア、例えばCognex Corporation(米国マサチューセッツ州ネイティック)により販売されたCognexVisionPro(商標)を用いることができる。それら画像内にあり諸フィーチャの所在個所に対応する諸画素が識別される。それら画素の反射率信号を分析することができる。諸フィーチャの所在個所での反射率信号に閾値超えの変化があった場合、プロセッサから信号を送りプラズマエッチングプロセスを修正することができる。例えばそのプラズマエッチングプロセスを停止させることができ、或いはそのプラズマプロセスの次段階を開始させることができる。
【0047】
カメラにより撮られる連続画像はそれぞれ基板の同じ領域上に合焦している。従って、連続画像中の相対応する画素には、基板上の同じ個所についての反射率情報が含まれている。そのため、ひとたびフィーチャの所在個所が判別された後は、エッチングプロセスの進行を分析するのに、(例.他の諸画素を用い)他の諸個所からの反射率信号を用いる必要がない。その代わりに、フィーチャの所在個所に対応する画素にて生じる変化を分析し、エッチングプロセスの進行具合を指し示すことができる。そのため、フィーチャが露出している(例.エッチング停止層が露呈している)ときに、マスク層内開エリア比率の如何によらず強い終了点信号を判別することができる。
【実施例1】
【0048】
実施例1
専ら例として、
図2Aに、プラズマエッチング前における一例基板34の断面概要を示す。基板34は、バルクシリコンカーバイド(SiC)層38を部分的に覆うマスク層36を備えている。SiC層38の厚みは約100μmである。マスク層は銅製で約5μmの厚みを有している。マスク層における開エリア40の比率は約0.2%である。基板34は、更に、金層44上に形成されていてエッチング停止層として働く砒化ガリウム(GaAs)層42を備えている。SiC層の反射率特性は、光の特定諸波長にて、そのGaAs停止層と異なっている。SiC層の反射率特性は特定の諸波長にてマスク層と異なっている。GaAs停止層の反射率特性は特定の諸波長にてマスク層と異なっている。
【0049】
白色光照明源によりある基板領域を照明してみた。CMOSカメラを用い、その照明領域の画像を撮ってみた。その画像で、基板上にあり約2×2mmの寸法を有するエリアをカバーさせた。各画素を、基板上にあり約10×10μmの寸法を有するエリアに対応させた。10nmの帯域幅を有する緑色フィルタを用い、カメラに入る光をフィルタリングしてみた。
【0050】
エッチング終了点を、上述した本発明の諸実施形態に係る装置及び方法を用い判別してみた。
図2Bは、そのエッチング終了点における基板34の断面概要である。GaAsエッチング停止層42が露出し、ビア46が全面形成されている。
【0051】
比較例として、25μmのレーザスポットサイズを有する既知のレーザリフレクトメトリ及びインタフェトメトリシステムを用いやはりエッチング終了点を判別してみた。レーザビームは、エッチングされるフィーチャに類似する寸法にした。エッチングされるフィーチャに類似する寸法を有するレーザビームの整列は、基板の少量移動がレーザの誤整列につながりかねず、それが計測の貧弱化又は不能化につながるため、難題となりうる。この場合、基板又はレーザの再整列が必要となるであろうが、それには時間がかかる。
【0052】
図3にその比較例のレーザリフレクトメトリトレース、即ちエッチングプロセスにおける反射(レーザ)信号の強度と時間との関係を示す。
図3には、そのプラズマエッチング中に本発明の諸実施形態を用い取得された4枚のカメラ画像も組み込まれている。
図3中の4枚の代表画像はカメラにより撮られたものである。図示されていないが、より多数の画像をそのエッチングプロセス中にカメラで撮影した。エッチングプロセス中にカメラで画像を撮る頻度及びその枚数は、利用できる処理パワーを踏まえ選択することができる。
【0053】
プラズマエッチングプロセスは三工程で実行された。第1工程はデスカム工程48である。デスカム工程は、例えばバルクエッチングに先立ち開エリア40から不要素材を除去することで、後続のエッチングプロセスに備えマスクの開エリア40を調製する工程である。画像148は、エッチングプロセスの開始後300秒にて捕捉されたカメラ画像である。露出しているSiC層38の反射率特性がマスク層36とは異なっているので、エッチングされるべきフィーチャの所在個所が、この例ではより淡彩な画素149のアレイとして見えていて識別することができる。
【0054】
第2工程は主バルクエッチング工程50である。この工程では、開エリア40の所在個所にてSiC層の大部分がエッチングされる。このバルクエッチングでは、本件技術分野で既知なあらゆるプロセス条件を用いることができる。画像152は、エッチングプロセスの開始から1800秒にて捕捉されたカメラ画像であり、主エッチング工程50中に撮られたものである。フィーチャ149の所在個所における反射率信号は弱まっていて、マスクの開エリアはもはや見えていない。何れの理論や推量にも拘泥されない心持で言えば、バルクエッチング工程では基板の表面が荒れ又は曲がり、ひいてはそのフィーチャからの反射率信号が一時的に弱まるのだと考えられる。
【0055】
第3工程はソフトランディング工程52であり、このランディング工程のエッチングレートはバルクエッチング工程50向けのエッチングレートより低くされている。ソフトランディング工程52では、秀逸なSiC層38・GaAsエッチング停止層42間エッチング選択性が現れる。これを助けとして、各エッチドフィーチャ(例.ビア)の形成を基板34全体に亘り確と完遂させる(即ちビア内にSiC素材を残留させないようにする)ことができ、それを助けとして基板34全体に亘りエッチング均一度を改善することができる。画像152はエッチングプロセスの開始後約4500秒にて捕捉されたカメラ画像であり、ソフトランディング工程52中に撮られたものである。SiC層が薄くなるにつれその層の反射率特性が変化する。そのため、エッチング前線がエッチング停止層42に近づくにつれ、フィーチャが所在する個別個所にてカメラにより検出される反射率信号に変化が現れ、それらフィーチャの個別所在個所が再び観測可能となる。
【0056】
フィーチャの所在個所における反射率信号の変化(例.輝度、強度及び/又は色の変化)が閾値を超えたことは、エッチング停止層(又はビア)が露わになったことを示している。即ち、そのプラズマエッチングプロセスが完遂されたことを示している。画像154はエッチングプロセスの開始後約4800秒にて捕捉されたカメラ画像であり、埋入フィーチャ155が見えていてエッチングプロセスが完遂されている。
【0057】
本発明の諸実施形態にてもたらされる計測結果は、比較対象たるリフレクトメトリトレースと良好に一致している。しかしながら、本発明の諸実施形態には多数の長所がある。第1に、より簡便に入射光ビームを整列及び集束させることができるため、エッチングされるべきフィーチャを確と照明すること、とりわけウェハ位置決め装置における公差を満足させつつそうすることができる。これは、時間を食う基板再整列工程を避ける助けとなりうる。第2に、(照明された領域全体に亘り信号が積分されるのではなく)個別のフィーチャからの反射率信号が取得及び分析されるため、マスク内開エリア比率の如何によらず強い終了点信号を検出することができる。例えば、本発明の諸実施形態には、開エリアが些少な(例.約1%未満の)基板にて終了点信号を検出する、という際立った用途がある。更には、そのカメラの視野が広いため、処理されるデータによって、基板のより広い範囲に亘り、プラズマエッチングの進行についてのより良好な表現がもたらされる。
【0058】
実施例2
図4Aに、プラズマエッチング前における一例シリコン基板56の模式的断面外観を示す。この基板56はマスク層を備えていない。その一方で、基板56はトレンチ60内に2個の埋入フィーチャ58を備えている。それら埋入フィーチャ58は銅製のスルーシリコンビア(TSV)プラグであり、通常は薄い誘電体層例えばSiO
2でくるまれている。
【0059】
プラズマエッチングプロセス中には、基板の一領域が照明源により照明され、その照明領域の連続画像がカメラにより撮られる。その照明源は、
図4A中に矢印で示した如く、基板54の表面に対しほぼ垂直に入射光ビームを差し向けるよう、位置決めされる。入射の(即ち法線に対する)角度をごく小さくすることが望ましく、そうすることでその入射光ビームをトレンチの底面のほぼ全エリアで確と反射させることができる。入射角が大きめであると、トレンチの底のうち幾ばくかが視界から隠されてしまいかねず、カメラに全く反射率情報がもたらされなくなりうる。
【0060】
エッチングプロセスの開始時には埋入フィーチャが見えておらず、基板56におけるそれらの所在個所を判別することができない。プラズマエッチングプロセス中には、カメラにより、照明されている領域の連続画像が撮られる。処理技術を以てその画像を走査することで、そのウェハに亘る反射率信号の変化が求まる。ある個所にて反射率信号の変化が閾値超えの変化なら、それに応じプロセッサにてエッチングプロセスに対する改変を開始することができる。例えば、特定個所における反射率信号の変化(例.輝度、強度及び/又は色の変化)に応じ、そのエッチングプロセスを停止させることができる。
【0061】
実施例3
図5は基板確認方法のフロー図である。エッチングされるべき基板が基板支持器上に位置決めされ、所定の位置にてクランプされる。エッチングされるべき基板には可視な参照パターン、例えばマスク層の開エリアからなるパターンが備わる。その基板のうち参照パターンが備わる領域が照明源により照明され、その照明領域の画像がカメラにより撮られる。プロセッサでは、画像パターン認識及び/又は画像パターンマッチング技術を用いその参照パターンが識別される。参照パターンがある場合、即ち正しい基板であると確認された場合には、次の基板処理段階に進むことができる。参照パターンがない場合、即ち不正な基板が本装置にロードされている場合には、そのプロセスをアボートすることができる。
【0062】
実施例4
図6は基板確認方法のフロー図である。本方法も、エッチング終了点を判別するのに用いることができる。エッチングされるべき基板は、実施例3と同じやり方で位置決め及びクランプされる。エッチングされるべき基板には埋入参照パターン、例えば埋入フィーチャが備わっているので、エッチングが進めばそのパターンが出現する。その基板の一領域が照明源により照明され、その照明領域の連続画像がカメラにより撮られる。チャンバ内でプラズマが生成され、プラズマエッチングプロセスが始まる。プロセス中に参照パターンが露呈してくるため、プロセッサにて画像パターン認識又は画像パターンマッチングを用いることで、その参照パターン(例.埋入フィーチャ)を識別することができる。その参照パターンの所在個所における反射率信号の変化が閾値超えの変化であったときに、プロセッサはそのプラズマエッチングプロセスを修正する。この変化は終了点信号を示している。例えば、参照パターンの所在個所における反射率信号の変化に応じ、プロセッサが、ある絶対オーバエッチング時間に亘る、或いは終了点信号への到達に必要な時間の百分率で以て、オーバエッチングプロセスを開始させることができる。その後、そのエッチングプロセスを停止させること、或いはそのエッチングプロセスの次工程に進めることができる。
【0063】
実施例5
図7は終了点判別方法を示すフロー図である。エッチングされるべき基板(マスク層を備えるもの)が、実施例3と同じやり方で位置決め及びクランプされる。エッチングされるべき基板には可視な参照パターン、例えばダイシングレーンと隣り合うダイのエッジが備わる。その可視参照パターンを、マスク層における開エリアのパターンとすることができる。その基板の一領域が照明源により照明され、その照明領域の連続画像がカメラにより撮られる。プロセッサでは、画像パターン認識又は画像パターンマッチング技術を用いその参照パターンが識別される。参照パターンがなければ、不正な基板が本装置にロードされたことがプロセッサにて検出されることとなり、そのプロセスをアボートすることができる。
【0064】
参照パターンは基板上の既知個所にある。エッチングされるべきフィーチャの所在個所を、その参照パターンの所在個所との関係で、識別することができる。エッチングされるべきフィーチャの所在個所が識別されたときに、それらの個所を分析することで、それら個別個所での反射率信号がいつ閾値より上に変化したかを判別することができる。それらフィーチャの所在個所での反射率信号の変化は、1枚目の参照画像を基準として計測することができる。終了点信号は、その反射率信号が閾値を超え変化したときに検出される。
【0065】
プロセッサが、フィーチャの所在個所にて検出された反射率信号の変化に応じプラズマエッチングプロセスを修正することができる。例えば、実施例4に関し記述したのと同じやり方で、プロセッサが、エッチングプロセスの終結又は変更に先立ちオーバエッチングプロセスを開始させることができる。これに代え、直ちに、エッチングプロセスを終結させること又はそのプロセスの次段階へと進めることもできる。
【0066】
実施例6
図8は終了点判別方法を示すフロー図である。エッチングされるべき基板は、実施例3と同じやり方で位置決め及びクランプされる。マスク付の基板が、エッチング停止層に到達するまでプラズマエッチングされる。そのプラズマエッチングプロセスでは、基板の一領域が照明源により照明され、その照明領域の連続画像がカメラにより撮られる。
【0067】
プラズマエッチングプロセス中に露呈してくるので、プロセッサにて画像パターン認識又は画像パターンマッチングを用いることで、参照パターンの所在個所を識別することができる。エッチングされるべきフィーチャの所在個所を、その参照パターンの所在個所との関係で識別することができる。エッチングされるべきフィーチャの所在個所が識別されたときにそれらの個所を分析することで、それらの個所での反射率信号が終了点信号を示すものにいつ変化したかを、判別することができる。この例における反射率信号は輝度レベルである。
【0068】
プロセッサでは、実施例5と同じやり方で、フィーチャの個別所在個所にて検出された反射率信号の変化に応じ、プラズマエッチングプロセスを修正することができる。
【符号の説明】
【0069】
12 ウェハ支持器、14 チャンバ、16 ウェハ、22 光源、30 カメラ、32 プラズマ。