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  • 特許-オレフィンのオリゴマー化方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】オレフィンのオリゴマー化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/08 20060101AFI20230809BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20230809BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20230809BHJP
   C08F 10/02 20060101ALI20230809BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230809BHJP
【FI】
C07C2/08
C07C11/02
B01J31/22 Z
C08F10/02
C07B61/00 300
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020512419
(86)(22)【出願日】2018-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2018010533
(87)【国際公開番号】W WO2019107713
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2017-0162909
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ウースン
(72)【発明者】
【氏名】パク チャンセム
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒョスン
(72)【発明者】
【氏名】ソン スンレル
(72)【発明者】
【氏名】ソン インヒョプ
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/095272(WO,A1)
【文献】特表2012-529499(JP,A)
【文献】特開平10-007593(JP,A)
【文献】特開平08-053374(JP,A)
【文献】特表2015-519338(JP,A)
【文献】特開2007-153825(JP,A)
【文献】特表2009-516672(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02447288(EP,A1)
【文献】特表2015-527311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器にオリゴマー化遷移金属触媒、助触媒、オレフィン単量体、および溶媒を投入し、オレフィンのオリゴマー化反応を行うステップと、
前記オリゴマー化反応の反応生成物にガス状の酸素含有無機物を含む触媒不活性化剤を投入するステップとを含む、オレフィンのオリゴマー化方法であって、
前記遷移金属触媒は、ML(L(X)またはM (L(X)、(式中、Mは、遷移金属であり、Lは、下記化学式3で表されるヘテロリガンドであり、Lは、有機リガンドであり、XおよびXは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、pは、0または1以上の整数であり、qは、(Mの酸化数-p)の整数であり、yは、2以上の整数であり、zは、(2×Mの酸化数)-yの整数である。)で表され、
化学式3
【化1】
(化学式3および4中、
51 ~R 54 は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり、
55 およびR 56 は、それぞれ独立して、ヒドロカルビルまたは置換されたヒドロカルビルであり、R 55 とR 56 は、互いに、ヒドロカルビレン、置換されたヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレンまたは置換されたヘテロヒドロカルビレンで結合され環を形成してもよい。)
前記酸素含有無機物は、O、CO、CO、HO、NO、SO、またはこれらの混合物であり、
前記オリゴマー化反応における反応生成物内の直鎖状アルファオレフィン100重量%に対して、1-オクテン(1-Octene)が30重量%以上含まれる、オレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項2】
前記酸素含有無機物は、25℃、1気圧(atm)でガス状である、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項3】
前記酸素含有無機物は、O、またはCOである、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項4】
前記触媒不活性化剤は、0.5~100重量%の酸素含有無機物を含む、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項5】
前記触媒不活性化剤を投入するステップは、80℃以上100℃以下で行われる、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項6】
前記触媒不活性化剤を投入するステップの後、
不活性化した触媒を含むゲル(gel)または固体(solid)状の成分を固液分離するステップをさらに含む、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項7】
前記触媒不活性化剤を投入するステップの後、
未反応の触媒不活性化剤を蒸留または吸着により分離するステップをさらに含む、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項8】
前記触媒不活性化剤を投入するステップにおける未反応のオレフィン単量体を含む反応生成物を、前記オリゴマー化反応を行うステップに再循環させるステップをさらに含む、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項9】
前記再循環させるステップにおいて、未反応のオレフィン単量体を含む反応生成物内の触媒不活性化剤を吸着除去する、請求項8に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項10】
前記助触媒は、アルミニウム化合物、有機アルミノキサン、有機ホウ素化合物またはこれらの混合物である、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項11】
前記触媒不活性化剤の投入量は、
モル数を基準として、触媒不活性化剤内の酸素含有無機物が、前記助触媒内のアルミニウム、ホウ素、またはこれらを合わせた総モル数に対して、1~50倍になるようにする量である、請求項10に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項12】
前記オレフィン単量体は、エチレンであり、前記オリゴマーは、C4~C40直鎖状アルファオレフィンの混合物を含む、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンのオリゴマー化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンは、その生産量および消費量を国の化学産業規模の指標として判断するほどに、化学産業の基礎原料として使用される原料である。通常、エチレンは、ポリエチレンなどの重合体を製造する単量体として使用しており、場合によっては、重合度を調節し、約C4~C40の炭素長さ(または鎖)を有する直鎖状アルファオレフィン(Linear Alpha Olefin、LAO)を製造し、様々な化学物質を製造するために使用している。
【0003】
LAOの製造技術が重要な理由は、LAOが、原油から由来した硫黄(sulfur)および窒素(nitrogen)が含有されていない化学物質である点である。通常、原油は、硫黄および窒素成分のような不純物を数重量%水準に含有しており、かかる不純物が含有されていない純粋な炭化水素からなる化合物質を直接製造することは困難である。
【0004】
しかし、原油の接触分解反応から取得されたエチレンをLAOに転換し、これをまた所望の化学物質に転換する場合、不純物が含有されていない純粋な炭化水素からなる化学物質を得ることができる。
【0005】
エチレン重合反応は、主に、空気-敏感性(air-sensitive)条件およびメタロセン触媒の存在下で、回分式反応器(batch reactor)を用いて行われる。メタロセン触媒は、非常に強い単一酸点を有する触媒であるため、エチレンが触媒の単一酸点で選択的に重合され、かかる特性によって触媒の酸点で直鎖状に成長する。結局、LAOの製造反応により生成されるオレフィンは、エチレンを単量体として使用することから、偶数個の炭素数を有する直鎖状アルファオレフィンの構造を有することになる。
【0006】
LAOの製造工程により生成された直鎖状アルファオレフィンは、炭素数に応じて互いに区別される物性を有しており、これより製造された化学物質の物性も、原料物質であるLAOによって区別される物性を有することになる。例えば、2個のエチレン単量体が重合されて取得されるC4 LAOの場合、ガス状に存在し、その重合から得られた高分子は、分子内の枝が多すぎるため、特定の製品、例えば、潤滑油基油として適用することが困難である。一方、3個のエチレン単量体が重合されて得られたC6 LAOも、高分子に転換されるとしても分子内の枝が多いため、潤滑油基油などとして適用することは困難である。ただし、エチレンとC6 LAOを共重合する場合には、従来のポリエチレンと相違する物性を有するエチレン-1-ヘキセン共重合体を製造することができる。4個のエチレン単量体が重合されたC8 LAOの場合、重合によりグループIV潤滑油基油として適用することもでき、C6 LAOでのように、エチレンとの共重合体を製造するために使用され得る。また、C10~C12のLAOは、重合し、主に、グループIV潤滑油基油として使用されており、C14~C16のLAOは、アミンまたはコハク酸と反応させて、様々な機能性化学物質として適用されるか、混合して低価のドリリング流体などとして適用され得る。また、C18以上のLAOは、潤滑油の添加剤またはワックス状に使用され得る。
【0007】
一方、エチレンのオリゴマー化反応の後、反応器の後端での副反応を抑制するための触媒不活性化剤として、2-エチルヘキサノール(2-ethylhexanol)がよく使用されている。2-エチルヘキサノール(2-ethylhexanol)は、触媒不活性化効率が良好であるが、後端工程として蒸留の際に、特定のLAO成分との分離が難しいという問題がある。
【0008】
具体例として、2-エチルヘキサノール(2-ehthylhexanol)の場合、C10 LAOと互いに分離され難いという問題があり、オリゴマー化反応生成物からこれを分離するためには、さらなる反応器が必要であるか、過酷な(severe)反応条件が必要となり、分離効率が劣るだけでなく、工程コストが上昇するという問題がある。
【0009】
そのため、反応後、十分な触媒不活性化が確保され、且つ反応生成物を高い分離効率で分離することができるエチレンのオリゴマー化反応による直鎖状アルファオレフィンの製造工程が必要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一様態は、反応器の後端での無駄な副反応を抑制することで、高い純度および収率で直鎖状アルファオレフィンの製造が可能であり、且つ製造されたLAOを高い分離効率で分離することで、高純度のLAOを経済的に製造することができるオレフィンから直鎖状アルファオレフィン(Linear Alpha Olefin、LAO)を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一様態は、反応器にオリゴマー化遷移金属触媒、助触媒、オレフィン単量体、および溶媒を投入し、オレフィンのオリゴマー化反応を行うステップと、オリゴマー化反応の反応生成物にガス状の酸素含有無機物を含む触媒不活性化剤を投入するステップとを含むオレフィンのオリゴマー化方法を提供する。
【0012】
酸素含有無機物は、25℃、1気圧(atm)でガス状であってもよい。
【0013】
酸素含有無機物は、O、CO、CO、HO、NO、SO、またはこれらの混合物であってもよい。
【0014】
酸素含有無機物は、O、またはCOであってもよい。
【0015】
触媒不活性化剤は、0.5~100重量%の酸素含有無機物を含んでもよい。
【0016】
触媒不活性化剤を投入するステップは、80℃以上100℃以下で行われてもよい。
【0017】
触媒不活性化剤を投入するステップの後、不活性化した触媒を含むゲル(gel)または固体(solid)状の成分を固液分離するステップをさらに含んでもよい。
【0018】
触媒不活性化剤を投入するステップの後、未反応の触媒不活性化剤を蒸留または吸着により分離するステップをさらに含んでもよい。
【0019】
触媒不活性化剤を投入するステップにおける未反応のオレフィン単量体を含む反応生成物を、オリゴマー化反応を行うステップに再循環させるステップをさらに含んでもよい。
【0020】
再循環させるステップにおいて、未反応のオレフィン単量体を含む反応生成物内の触媒不活性化剤を吸着除去してもよい。
【0021】
オリゴマー化反応における反応生成物内の直鎖状アルファオレフィン100重量%に対して、1-オクテン(1-Octene)が30重量%以上含まれてもよい。
【0022】
助触媒は、アルミニウム化合物、有機アルミノキサン、有機ホウ素化合物またはこれらの混合物であってもよい。
【0023】
触媒不活性化剤の投入量は、モル数を基準として、触媒不活性化剤内の酸素含有無機物が、助触媒内のアルミニウム、ホウ素、またはこれらを合わせた総モル数に対して、1~50倍になるようにする量であってもよい。
【0024】
遷移金属触媒は、ML(L(X)またはM (L(X)、(式中、Mは、遷移金属であり、Lは、ヘテロリガンドであり、Lは、有機リガンドであり、XおよびXは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、pは、0または1以上の整数であり、qは、(Mの酸化数-p)の整数であり、yは、2以上の整数であり、zは、(2×Mの酸化数)-yの整数である。)で表されてもよい。
【0025】
オレフィン単量体は、エチレンであり、オリゴマーは、C4~C40直鎖状アルファオレフィンの混合物を含んでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一様態のオレフィンのオリゴマー化方法によると、反応器の後端または反応末期での無駄な副反応を抑制することで、高い純度および収率で直鎖状アルファオレフィンを製造することができる。
【0027】
また、同時に製造されたLAOを高い分離効率で分離することで、工程エネルギーの減少および工程効率の増加が可能になるだけでなく、不純物を最小化したLAOを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法を行うことができるプラントの例示的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
他の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が共通して理解し得る意味で使用され得る。明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とした時に、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また単数型は、文章で特に断らない限り、複数型をも含む。
【0030】
本発明の一様態は、オレフィンのオリゴマー化方法であって、反応器にオリゴマー化遷移金属触媒、オレフィン単量体、および溶媒を投入し、オレフィンのオリゴマー化反応を行って、オリゴマーを生成するステップと、オリゴマー化反応の反応生成物に、25℃、1気圧(atm)でガス状であり、酸素含有無機物を含む触媒不活性化剤を投入し、触媒を不活性化するステップとを含むオレフィンのオリゴマー化方法を提供する。
【0031】
本発明の一様態のオレフィンのオリゴマー化方法は、オリゴマー化反応の末期に、25℃、1気圧(atm)でガス状であり、酸素含有無機物を含む触媒不活性化剤を投入することができる。これにより、オリゴマー化反応の反応選択度が向上することができる。オリゴマー化反応の反応選択度は、反応生成物内の1-オクテン(1-octene)の純度で評価され得、1-オクテンは、重合によりグループIV潤滑油基油として適用することもでき、C6 LAOのように、エチレンとの共重合体を製造するのに使用され得る高価の物質であるため、1-オクテンの純度が高いほど、反応の高付加化が可能である。
【0032】
また、25℃、1気圧(atm)でガス状であり、酸素含有無機物を含む触媒不活性化剤を添加することで、オリゴマー化反応の際、反応器の後端、または反応末期に無駄に発生する副反応を抑制し、C4~C40の直鎖状アルファオレフィンの収率を向上させることができる。また、かかる触媒不活性化剤を使用することで、後工程で蒸留などにより生成された直鎖状アルファオレフィンを分離する際、触媒不活性化剤と直鎖状アルファオレフィンが互いに分離される効率が向上する結果として生成された直鎖状アルファオレフィンの最終収率がより向上することができる。より具体的には、1-オクテンの最終収率が向上し、全工程の高付加化が増大し得る。
【0033】
より具体的には、後工程で蒸留により生成された直鎖状アルファオレフィンを分離する場合、25℃、1気圧(atm)でガス状である触媒不活性化剤を低い工程エネルギーの投入だけで生成された直鎖状アルファオレフィンと高効率で分離することができ、直鎖状アルファオレフィンを高純度で触媒不活性化剤と分離することができる。
【0034】
結果、オリゴマー化反応生成物において触媒不活性化剤などから目的とする直鎖状アルファオレフィンを分離するために、さらなる反応器が必要であるか、過酷な(severe)反応条件が必要になるという問題を解決することができる。また、直鎖状アルファオレフィンの分離効率が向上し、工程エネルギーおよび工程時間が著しく短縮され得る。
【0035】
後述の実施例からも確認されるように、従来、触媒不活性化剤として使用されていた2-エチルヘキサノール(2-ethylhexanol)の場合、沸点が、分離しようとする直鎖状アルファオレフィン成分の間に分布し、2-エチルヘキサノール(2-ethylhexanol)と類似した沸点を有する直鎖状アルファオレフィン成分と2-エチルヘキサノール(2-ethylhexanol)を分離するためにさらなる反応器(例えば、さらなる蒸留塔)が必要である。そのため、工程におけるプラントコスト、運転コスト、および維持コストが上昇し、全工程におけるエネルギー負荷が増加し、工程経済性が低下するという問題がある。
【0036】
酸素含有無機物は、非限定的な例示として、O、CO、CO、HO、NO、SO、またはこれらの混合物であってもよい。具体的には、O、CO、CO、またはこれらの混合物であってもよく、より具体的には、COおよびOであってもよい。さらに具体的には、COは、様々な産業分野において副生成物または排気ガスとして発生する物質であり、安く手に入れることができるため、工程経済性向上の面で好ましい。
【0037】
ここで、NOは、例示的に、NO、NO、NO、N、N、N、またはこれらの混合物であってもよいが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0038】
SOは、SO、SO、またはこれらの混合物であってもよいが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0039】
触媒不活性化剤は、酸素含有無機物とともに、他の25℃、1気圧(atm)でガス状である他の無機物をさらに含んでもよく、一例として、N、Ar、Heなどの不活性ガスをさらに含んでもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の触媒不活性化剤は、25℃、1気圧(atm)でガス状である酸素含有無機物を含み、オレフィンのオリゴマー化反応で他の副反応を引き起こさないものであれば、制限なく使用可能である。
【0040】
触媒不活性化剤は、0.5~100重量%の酸素含有無機物を含み、残りの重量として上述の他の25℃、1気圧(atm)でガス状であり、オレフィンのオリゴマー化反応で他の副反応を引き起こさない物質を含んでもよい。より具体的には、触媒不活性化剤は、1~100重量%、2~50重量%、または3~30重量%の酸素含有無機物を含んでもよい。ただし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0041】
かかる触媒不活性化ステップは、50℃以上150℃以下、より具体的には80℃以上100℃以下で行われ得る。かかる範囲の温度条件で、触媒不活性化剤の投入および不活性化反応が行われる場合、触媒不活性化剤と助触媒の反応結果物が沈殿物として析出されるか、または炭素個数が多いポリマー生成物の凝集によって反応器の後端が詰まる(plugging)現象を抑制できるため、好ましい。
【0042】
反応圧力は、大気圧~500barの圧力であり、具体的には大気圧~100bar、より具体的には大気圧~80barの圧力であってもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0043】
本発明の一様態のオレフィンのオリゴマー化方法は、触媒を不活性化するステップの後に、不活性化した触媒を含むゲル(gel)または固体(solid)状の成分を固液分離するステップをさらに含んでもよい。触媒不活性化剤によって不活性化した触媒および/または助触媒は、凝集してゲルまたは固体状の凝集体であり、反応物内で固体状態として存在することができる。かかるゲルまたは固体状の凝集体は、放置による沈降(decanting)または濾過(filtering)により除去することができる。
【0044】
また、本発明の一様態のオレフィンのオリゴマー化方法は、触媒を不活性化するステップの後、未反応の触媒不活性化剤を蒸留または吸着により分離するステップをさらに含んでもよい。
【0045】
本ステップは、未反応の触媒不活性化剤を分離するためのステップであり、25℃、1気圧(atm)でガス状である未反応の触媒不活性化剤を生成された直鎖状アルファオレフィンと容易に分離することができる。具体的には、低いエネルギーの投入だけで触媒不活性化剤を生成された直鎖状アルファオレフィンと高効率で分離し、高純度の直鎖状アルファオレフィンを低い工程コストで分離することができる。
【0046】
また、本様態による触媒不活性化剤は、従来の触媒不活性化剤として使用されていた2-エチルヘキサノールとは異なる沸点が生成されたC10 LAOなどの特定のLAOと類似していないことから、2-エチルヘキサノールとC10 LAOなどの特定のLAOを分離するためにさらなる蒸留塔を設ける必要のある問題が発生せず、プラントコスト、運転コスト、およびプラントの維持コストが削減し、工程の経済性が非常に向上することができる。
【0047】
さらに、本ステップの後、最終に回収される反応生成物内の1-オクテンの濃度が向上することができ、製品の品質が向上し、全工程の高付加化が増大し得る。
【0048】
蒸留により未反応の触媒不活性化剤を分離する場合、蒸留器は、特定の形態の蒸留器に限定されず、蒸留塔の段数は、必要に応じて調節され得る。蒸留方式も特定の蒸留方式に限定されず、必要に応じて適切な蒸留方法を採用することができる。非限定的な一例示を挙げると、ボトムリボイラ(Bottom reboiler)およびオーバヘッドコンデンサ(Over head condenser)を含み、段数が50以上100段以下である複数の蒸留塔を用いることができる。
【0049】
吸着により未反応の触媒不活性化剤を分離する場合、触媒不活性化剤に含まれている25℃、1気圧(atm)でガス状である酸素含有無機物を吸着できる吸着剤が充填された吸着塔を用いることができる。吸着塔の段数は、必要に応じて調節され得、特に制限されない。吸着剤の非限定的な例示として、酸素含有無機物の吸着除去可能吸着剤として、金属酸化物またはゼオライト吸着剤を採用することができ、具体例示としては、CuO、CuOなどの銅酸化物、またはゼオライト4A(Zeolite 4A)を採用することができる。
【0050】
一方、本発明の一様態のオレフィンのオリゴマー化方法は、触媒を不活性化するステップの後、未反応のオレフィン単量体を含む反応生成物を、オリゴマー化反応を行うステップに再循環させるステップをさらに含んでもよい。
【0051】
これにより、原料物質の損失を最小化して工程効率を増大することができ、本ステップにおいて、触媒を不活性化するステップの反応生成物に含まれている触媒不活性化剤を除去した後、再循環させる必要がある。
【0052】
本発明の一様態のオレフィンのオリゴマー化方法は、本ステップにおいて触媒を不活性化するステップの反応生成物内に含まれている触媒不活性化剤を上述の吸着塔を用いて除去することができる。
【0053】
本発明の一様態のオレフィンのオリゴマー化方法における触媒不活性化剤は、25℃、1気圧(atm)でガス状である物質であるため、これを吸着できる吸着剤が装入された吸着塔に通過させるだけで、触媒不活性化剤を吸着除去することができる。
【0054】
これにより、未反応のオレフィンを再循環させるために高エネルギーが消費されるさらなる蒸留工程を行わなくてもよく、工程コストが非常に削減され得、吸着剤を用いて、触媒不活性化剤をほとんど除去できることから、未反応のオレフィンを再循環させて再循環ストリーム内の存在する触媒不活性化剤によって反応転換率が低下するという問題を解決することができる。
【0055】
本発明において、オリゴマー化反応の反応生成物の直鎖状アルファオレフィンは、C4~C40の直鎖状アルファオレフィンであってもよく、より具体的にはC4~C30またはC4~C20の直鎖状アルファオレフィンであってもよい。
【0056】
さらに具体的には、直鎖状アルファオレフィンは、1-オクテンを30重量%以上、または50重量%以上含んでもよい。1-オクテンは、活用範囲が広く、高価の物質である点から、1-オクテンを上述の範囲で含むことで、オレフィンのオリゴマー化工程の高付加化が増大し得る。また、直鎖状アルファオレフィンの中に1-オクテンの含量が多いことから、高炭素の直鎖状アルファオレフィンが反応生成物とともに混合されていても、1-オクテンのみを高純度で分離しやすいという利点がある。ただし、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0057】
本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法において、反応器に、オリゴマー化遷移金属触媒、オレフィン単量体および溶媒を投入し、オレフィンのオリゴマー化反応を行う際、助触媒をさらに投入してもよい。
【0058】
助触媒は、有機アルミニウム化合物、有機アルミノキサン、有機ホウ素化合物またはこれらの混合物であってもよい。
【0059】
有機アルミニウム化合物は、AlR(Rは、それぞれ独立して、(C1-C12)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C12)アルコキシまたはハロゲンである。)の化合物またはLiAlHであってもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0060】
より具体的には、有機アルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ-n-オクチルアルミニウム、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、アルミニウムイソプロポキシド、エチルアルミニウムセスキクロライドおよびメチルアルミニウムセスキクロライドから選択される一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0061】
本発明の有機アルミノキサンは、これに限定されるものではないが、トリメチルアルミニウムに水を添加して製造され得るオリゴマー化合物であってもよい。このように製造されたアルミノキサンオリゴマー化合物は、直鎖状、環状、かご(cage)状またはこれらの混合物であってもよい。
【0062】
具体的には、有機アルミノキサンは、アルキルアルミノキサン、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン(EAO)、テトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)およびイソブチルアルミノキサン(IBAO)だけでなく、修飾アルキルアルミノキサン、例えば、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)から選択されてもよい。修飾メチルアルミノキサン(Akzo Nobel社製)は、メチル基の他に、イソブチルまたはn-オクチル基のような混成アルキル基を含んでもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0063】
より具体的には、有機アルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン(EAO)およびテトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)、イソブチルアルミノキサン(IBAO)から選択される一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0064】
本発明の有機ホウ素化合物は、これに限定されるものではないが、ボロキシン、NaBH、トリエチルボラン、トリフェニルボラン、トリフェニルボランアンモニア錯化合物、トリブチルボレート、トリイソプロピルボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリチル(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、ジエチルフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレートまたはエチルジフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレートであってもよく、これらの有機ホウ素化合物は、有機アルミニウム化合物、または有機アルミノキサンとの混合物として使用することができる。
【0065】
触媒不活性化剤を投入して触媒を不活性化するステップにおいて、触媒不活性化剤の投入量は、モル数基準で、触媒不活性化剤内の酸素含有無機物が、助触媒内のアルミニウム、ホウ素、またはこれらを合わせた総モル数に対して、1~50倍になるようにする量であってもよい。触媒不活性化剤を前記範囲で投入した場合、触媒の不活性化が十分に生じ得、且つオリゴマー化反応生成物内の直鎖状アルファオレフィンと容易に互いに分離することができるため、好ましい。ただし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。より具体的には1.5~10倍、2~8倍、または3~7倍であってもよい。
【0066】
本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法は、任意の類型の反応器を含むプラントで行われ得る。図1は本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法を行うことができるプラントの例示的な模式図である。以下、本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法について、図1を参照して付加説明する。ただし、本発明は図1に限定されるものではなく、通常の技術者であれば、本発明の技術的思想の範囲で自由に変形して実施することができる。
【0067】
プラントは、オリゴマー化が行われる反応器10と、反応器10にオレフィン、および触媒組成物を注入するための注入ライン30と、反応器10からオリゴマー化反応生成物を流出するための流出ライン40と、流出ライン40に触媒不活性化剤を投入するための触媒不活性化剤注入ライン50と、オリゴマー化反応生成物を分離するための蒸留器20と、流出ライン40に排出される流出物のうち未反応のオレフィンを再循環させるための再循環ライン60と、再循環される未反応のオレフィン含有混合物から触媒不活性化剤を除去するための吸着塔70とを含んでもよく、この際、触媒組成物は、本発明に開示されているオレフィンオリゴマー化触媒組成物として、遷移金属供給源およびヘテロ原子リガンドまたはこれより製造されたオリゴマー化遷移金属触媒、助触媒を含むことができる。
【0068】
反応器10は、回分式反応器と、半回分式反応器と、連続式反応器とを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0069】
蒸留器20は、特定の形態の蒸留器に限定されず、蒸留塔の段数は、必要に応じて調節され得る。蒸留方式も特定の蒸留方式に限定されず、必要に応じて、適切な蒸留方法を採用することができる。一例示を挙げると、ボトムリボイラ(BTM reboiler)およびオーバヘッドコンデンサ(OVHD condenser)を含み、段数が50段以上100段以下である複数の蒸留塔を用いてもよい。
【0070】
吸着塔70としては、触媒不活性化剤に含まれている25℃、1気圧(atm)でガス状である酸素含有無機物を吸着することができる吸着剤が充填された吸着塔を用いることができる。吸着塔の個数は、必要に応じて調節可能であり、特に制限されない。吸着剤の非限定的な例示として、酸素含有無機物の吸着除去可能吸着剤として、金属酸化物またはゼオライト吸着剤を採用することができ、具体例示としては、CuO、CuOなどの銅酸化物、またはゼオライト4A(Zeolite 4A)を採用することができる。
【0071】
触媒組成物は、オリゴマー化遷移金属触媒として、遷移金属供給源およびヘテロ原子リガンドまたはこれより製造されたオリゴマー化遷移金属触媒と助触媒を含むことができる
【0072】
本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法において、オレフィンは、エチレンであってもよく、オリゴマーは、C4~C40の直鎖状アルファオレフィンの混合物を含んでもよい。ただし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0073】
本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法において、反応器に、オリゴマー化遷移金属触媒、オレフィン単量体、および溶媒を投入する際、溶媒は、不活性溶媒であってもよい。すなわち、オリゴマー化遷移金属触媒、助触媒および触媒不活性化剤と反応しない任意の不活性溶媒が使用され得、不活性溶媒は、脂肪族炭化水素を含むことができる。脂肪族炭化水素は、飽和脂肪族炭化水素であり、CH2n+2(この際、nは、1~15の整数)で表される直鎖状の飽和脂肪族炭化水素、C2m(この際、mは、3~8の整数)で表される脂環族飽和脂肪族炭化水素およびこれらの炭素原子数1~3の低級アルキル基が一つまたは2以上置換された飽和脂肪族炭化水素を含む。これらを具体的に挙げると、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノネン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,3,4-トリメチルペンタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,2-ジメチルヘキサン、2,4-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,4-ジメチルヘキサン、2-メチルヘプタン、4-メチルヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサンおよび1,2,4-トリメチルシクロヘキサンから選択された1種以上であり、これに限定されるものではない。
【0074】
また、本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法において、オリゴマー化反応ステップの反応温度は、0~200℃の温度、具体的には15~130℃の温度、さらに具体的には40~100℃の温度であってもよく、これに制限されない。反応圧力は、大気圧~500barの圧力であり、具体的には大気圧~100bar、より具体的には大気圧~80barの圧力であってもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0075】
以下、本発明の一様態のオレフィンオリゴマー化触媒について詳細に説明する。ただし、本発明のオリゴマー化触媒は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0076】
オレフィンオリゴマー化触媒は、直接製造して使用するか、商業的に販売されるオリゴマー化触媒を使用してもよく、オリゴマー化触媒を製造できる構成成分、すなわち、遷移金属供給源およびヘテロ原子リガンドを使用してもよい。
【0077】
本発明の一様態による遷移金属供給源は、遷移金属無機塩、遷移金属有機塩、遷移金属配位化合物または遷移金属と有機金属の複合体であってもよく、遷移金属供給源の遷移金属は、4族、5族、または6族の遷移金属であってもよく、具体的には、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、バナジウムまたはジルコニウムであってもよく、好ましくはクロムであってもよい。
【0078】
遷移金属供給源は、一例として、遷移金属と様々な有機リガンドが結合することができ、かかる有機リガンドは、下記構造から選択されてもよい。
【0079】
【化1】
(R41~R45は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビルまたは置換されたヘテロヒドロカルビルである。)
【0080】
有機リガンドは、好ましくは、下記化学式2で表されるアセチルアセトネート系リガンドであってもよい。
【0081】
化学式2
【化2】
(化学式2中、
46~R48は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルキル、ハロ(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、(C3-C7)シクロアルキル、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、フッ素が置換された(C2-C10)アルキニルシリル、(C6-C20)アリールシリル、(C3-C20)ヘテロアリールまたは5員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
46~R48のアリール、アラルキル、アルキル、アラルケニル、アルケニル、アラルキニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アリールオキシおよびハロゲンから選択される一つ以上でさらに置換されてもよい。)
【0082】
好ましくは、化学式2中、R46およびR47は、それぞれ独立して、水素、ハロゲンまたはハロ(C1-C10)アルキルであってもよく、R48は、水素、または(C1-C10)アルキルであってもよい。
【0083】
本発明の一実施形態による化学式2のアセチルアセトネート系リガンドは、下記構造から選択されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0084】
【化3】
【0085】
遷移金属供給源の具体的な一例として、遷移金属がクロムである場合、クロム(III)アセチルアセトネート、クロム(III)クロライド、クロム(III)ナフテネート、クロム(III)2-エチルヘキサノエート、クロム(III)アセテート、クロム(III)2,2,6,6-テトラメチルヘプタジオネート、クロム(III)オクタノエートおよびクロムヘキサカルボニルから選択される一つまたは二つ以上であってもよく、好ましくは、クロム(III)アセチルアセトネートまたはクロム(III)クロライドであってもよい。
【0086】
好ましくは、本発明の一実施形態によるヘテロ原子リガンドは、(R)B-C-D(R)であってもよく、ここで、BおよびDは、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、ビズマス、硫黄、セレンおよび窒素から選択されるいずれか一つであり、Cは、BとDとの連結基であり、Rは、同一または相違していてもよく、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビルおよび置換されたヘテロヒドロカルビル基から選択され、nおよびmは、それぞれ、BまたはDの各原子価および酸化状態で決定されてもよく、好ましくは、BおよびDは、独立して、リンであり、Cは、BとDとの連結基であり、アルキレンまたはN(R´)(ここで、R´は、アルキルである。)であってもよく、Rは、同一または相違していてもよく、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビルおよび置換されたヘテロヒドロカルビル基から選択され、nおよびmは、それぞれ、BまたはDの各原子価および酸化状態で決定されてもよい。
【0087】
ヘテロ原子リガンドは、下記化学式3で表されるP-C-C-P骨格構造または化学式4で表されるP-N-P骨格構造であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0088】
化学式3
【化4】
【0089】
化学式4
【化5】
【0090】
(化学式3および4中、
51~R54は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり、
55およびR56は、それぞれ独立して、ヒドロカルビルまたは置換されたヒドロカルビルであってもよく、R55とR56は、互いに、ヒドロカルビレン、置換されたヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレンまたは置換されたヘテロヒドロカルビレンで結合され環を形成してもよい。)
【0091】
化学式3および4におけるR51~R54は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルキニルカルボニルアミノ、(C3-C7)シクロアルキル、チオ(C1-C10)アルキル、チオ(C2-C10)アルケニル、チオ(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、(C2-C10)アルキニルシリル、(C6-C20)アリールシリル、(C3-C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキルまたは-NR6162であり、R61およびR62は、それぞれ独立して、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C6-C20)アリール、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノまたはジ(C2-C10)アルキニルアミノであり、
55およびR56は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C3-C7)シクロアルキル、(C3-C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルキニルカルボニルアミノ、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノ、ジ(C2-C10)アルキニルアミノ、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、(C2-C10)アルキニルシリルまたは(C6-C20)アリールシリルであってもよく、R55とR56は、(C3-C10)アルキレンまたは(C3-C10)アルケニレンで連結されて環を形成してもよく、
51~R54のアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびR55およびR56のアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルケニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルキルシリル、アルケニルシリル、アルキニルシリルまたはアリールシリルは、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノ、ジ(C2-C10)アルキニルアミノおよびハロゲンから一つ以上がさらに置換されてもよい。
【0092】
好ましくは、化学式3および4中、R51~R54は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリールであり、
55およびR56は、それぞれ独立して、(C1-C10)アルキルであってもよい。
【0093】
化学式3および4中、具体的には、R51~R54は、それぞれ、フェニル、ベンジル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、メシチル、キシリル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、n-プロピル、i-プロピル、プロペニル、プロピニル、n-ブチル、t-ブチル、ブテニル、ブチニル、メチルフェニル、エチルフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、イソプロピルフェニル、イソプロポキシフェニル、t-ブチルフェニル、クミル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、トリルオキシ、ジメチルアミノフェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、イソプロピルシクロヘキシル、ジメチルアミノ、チオメチル、トリメチルシリルまたはジメチルヒドラジルであり、
55およびR56は、それぞれ独立して、メチル、エチル、エテニル、エチニル、n-プロピル、i-プロピル、プロペニル、プロピニル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、ブテニル、ブチニル、フェニル、ベンジル、トリル、キシリル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノであってもよく、R55とR56は、プロピレン、ブチレン、ペンチレンまたはブテニレンで連結され、5員~7員の環を形成してもよい。
【0094】
化学式3におけるP-C-C-P骨格構造のリガンドは、(フェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(フェニル)、(4-メトキシフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(4-メトキシフェニル)、(4-メチルフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(4-メチルフェニル)、(4-エチルフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(フェニル)、(2-エチルフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-エチルフェニル)、(2-イソプロピルフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)P-(2-イソプロピルフェニル)、(2-メチルフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)P-(2-メチルフェニル)、(2-エチルフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(フェニル)、(3-メトキシフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(3-メトキシフェニル)、(4-エトキシフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-エトキシフェニル)、(4-ジメチルアミノフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(4-ジメチルアミノフェニル)、(4-エチルシクロヘキシル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(4-エチルシクロヘキシル)、(2-メトキシフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-メトキシフェニル)、(2-エトキシフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-エトキシフェニル)、(2-ジメチルアミノフェニル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-ジメチルアミノフェニル)、(2-エチルシクロヘキシル)P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-エチルシクロヘキシル)、(4-エチルフェニル)P-CH(エチル)CH(メチル)-P(4-エチルフェニル)、(4-メトキシフェニル)P-CH(エチル)CH(メチル)-P(フェニル)、(2-エチルフェニル)P-CH(エチル)CH(メチル)-P(2-エチルフェニル)、(4-エチルフェニル)P-CH(エチル)CH(エチル)-P(4-エチルフェニル)、(フェニル)P-CH(エチル)CH(エチル)-P(フェニル)、(2-エチルフェニル)P-CH(エチル)CH(エチル)-P(2-エチルフェニル)、(フェニル)P-CH(イソプロピル)CH(メチル)-P(フェニル)、(4-メトキシフェニル)P-CH(イソプロピル)CH(メチル)-P(4-メトキシフェニル)、(4-エチルフェニル)P-CH(イソプロピル)CH(メチル)-P(4-エチルフェニル)、(2-エチルフェニル)P-CH(イソプロピル)CH(メチル)-P(2-エチルフェニル)、(フェニル)P-CH(n-プロピル)CH(メチル)-P(フェニル)、(4-メトキシフェニル)P-CH(n-プロピル)CH(メチル)-P(4-メトキシフェニル)、(4-エチルフェニル)P-CH(n-プロピル)CH(メチル)-P(4-エチルフェニル)、(2-エチルフェニル)P-CH(n-プロピル)CH(メチル)-P(2-エチルフェニル)、(フェニル)P-CH(イソプロピル)CH(エチル)-P(フェニル)、(4-メトキシフェニル)P-CH(イソプロピル)CH(エチル)-P(4-メトキシフェニル)、(4-エチルフェニル)P-CH(イソプロピル)CH(エチル)-P(4-エチルフェニル)、(2-エチルフェニル)P-CH(イソプロピル)CH(エチル)-P(2-エチルフェニル)、1,2-ジ-(P(フェニル))シクロヘキサン、1,2-ジ-(P(4-メトキシフェニル))シクロヘキサン、1,2-ジ-(P(4-エチルフェニル))シクロヘキサン、1,2-ジ-(P(2-エチルフェニル))シクロヘキサン、1,2-ジ-(P(フェニル))シクロペンタン、1,2-ジ-(P(4-メトキシフェニル))シクロペンタン、1,2-ジ-(P(4-エチルフェニル))シクロペンタン、1,2-ジ-(P(2-エチルフェニル))シクロペンタン、(4-エチルフェニル)P-CH(ジメチルアミノ)CH(ジメチルアミノ)-P(4-エチルフェニル)および(2-エチルフェニル)P-CH(ジメチルアミノ)CH(ジメチルアミノ)-P(2-エチルフェニル)から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0095】
化学式4におけるP-N-P骨格構造のリガンドは、(フェニル)PN(メチル)P(フェニル)、(フェニル)PN(ペンチル)P(フェニル)、(フェニル)PN(フェニル)P(フェニル)、(フェニル)PN(p-メトキシフェニル)P(フェニル)、(フェニル)PN(p-tブチルフェニル)P(フェニル)、(フェニル)PN((CH-N-モルホリン)P(フェニル)、(フェニル)PN(Si(CH)P(フェニル)、(((フェニル)P)NCHCH)N、(エチル)PN(メチル)P(エチル)、(エチル)PN(イソプロピル)P(フェニル)、(エチル)(フェニル)PN(メチル)P(エチル)(フェニル)、(エチル)(フェニル)PN(イソプロピル)P(フェニル)、(フェニル)P(=Se)N(イソプロピル)P(フェニル)、(フェニル)PCHCHP(フェニル)、(o-エチルフェニル)(フェニル)PN(イソプロピル)P(フェニル)、(o-メチルフェニル)PN(イソプロピル)P(o-メチルフェニル)(フェニル)、(フェニル)PN(ベンジル)P(フェニル)、(フェニル)PN(1-シクロヘキシルエチル)P(フェニル)、(フェニル)PN[CHCHCHSi(OMe)]P(フェニル)、(フェニル)PN(シクロヘキシル)P(フェニル)、(フェニル)PN(2-メチルシクロヘキシル)P(フェニル)、(フェニル)PN(アリル)P(フェニル)、(2-ナフチル)PN(メチル)P(2-ナフチル)、(p-ビフェニル)PN(メチル)P(p-ビフェニル)、(p-メチルフェニル)PN(メチル)P(p-メチルフェニル)、(2-チオフェニル)PN(メチル)P(2-チオフェニル)、(フェニル)PN(メチル)N(メチル)P(フェニル)、(m-メチルフェニル)PN(メチル)P(m-メチルフェニル)、(フェニル)PN(イソプロピル)P(フェニル)および(フェニル)P(=S)N(イソプロピル)P(フェニル)から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0096】
本発明によるオレフィンのオリゴマー化触媒を構成するヘテロ原子リガンドは、当業者にとって公知の様々な方法を用いて製造され得る。
【0097】
本発明によるオレフィンのオリゴマー化触媒は、単核または二核性であってもよく、具体的には、ML(L(X)またはM (L(X)で表されてもよく、Mは、遷移金属であり、Lは、ヘテロリガンドであり、Lは、有機リガンドであり、XおよびXは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、pは、0または1以上の整数であり、qは、(Mの酸化数-p)の整数であり、yは、2以上の整数であり、zは、(2×Mの酸化数)-y-2の整数である。
【0098】
好ましくは、本発明の一実施形態によるオリゴマー化触媒は、下記化学式5または化学式6で表されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0099】
化学式5
【化6】
【0100】
化学式6
【化7】
【0101】
(化学式5および6中、
46~R48は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルキル、ハロ(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、(C3-C7)シクロアルキル、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、(C2-C10)アルキニルシリル、(C6-C20)アリールシリル、(C3-C20)ヘテロアリールまたは5員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
46、R47およびR48のアリール、アラルキル、アルキル、アラルケニル、アルケニル、アラルキニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アリールオキシおよびハロゲンから選択される一つ以上でさらに置換されてもよく、
51~R54は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルキニルカルボニルアミノ、(C3-C7)シクロアルキル、チオ(C1-C10)アルキル、チオ(C2-C10)アルケニル、チオ(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、(C2-C10)アルキニルシリル、(C6-C20)アリールシリル、(C3-C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキルまたは-NR2122であり、R21およびR22は、それぞれ独立して、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C6-C20)アリール、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノまたはジ(C2-C10)アルキニルアミノであり、
55およびR56は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C3-C7)シクロアルキル、(C3-C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルキニルカルボニルアミノ、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノ、ジ(C2-C10)アルキニルアミノ、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、(C2-C10)アルキニルシリルまたは(C6-C20)アリールシリルであってもよく、R45とR46は、(C3-C10)アルキレンまたは(C3-C10)アルケニレンで連結されて環を形成してもよく、
51~R54のアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびR55およびR56のアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルケニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルキルシリル、アルケニルシリル、アルキニルシリルまたはアリールシリルは、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノ、ジ(C2-C10)アルキニルアミノおよびハロゲンから一つ以上がさらに置換されてもよく、
Xは、ハロゲンであり、
aは、0または1~3の整数であり、bおよびcは、それぞれ独立して、1または2の整数である。)
【0102】
好ましくは、化学式5および6中、R46~R48は、それぞれ独立して、水素、(C1-C10)アルキルまたはハロ(C1-C10)アルキルであり、R51~R54は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリールであり、R55およびR56は、それぞれ独立して、(C1-C10)アルキルである化合物であってもよく、またはR51~R54は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリールであり、R55およびR56は、それぞれ独立して、(C1-C10)アルキルであり、aは、0である化合物であってもよい。
【0103】
以下、本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。しかし、下記実施例は、本発明の好ましい一実施例であって、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0104】
[製造例]
エチレンのオリゴマー化のための触媒として、ビス-[(S,S)-(フェニル)PCH(メチル)CH(メチル)P(フェニル)二塩化(μ-塩化)クロム](5.3μmol-Cr)を下記の方法で製造した。
【0105】
塩化クロム(III)テトラヒドロフラン(CrCl(THF))2.1mg(5.3μmol)を二塩化メタン1mLに溶解し、この溶液に、(S,S)-(フェニル)PCH(メチル)CH(メチル)P(フェニル)リガンド化合物2.4mg(5.6μmol)を二塩化メタン1mLに溶解した溶液を徐々に加え、60分間反応させた。次に、5分間さらに撹拌した後、ナトリウムヘキサフルオロアセチルアセトネート1.3mg(5.6μmol)を徐々に加えた。次に、反応物を3時間さらに撹拌した後、0.2μmのシリンジフィルタ(syringe filter)を使用して濾過した。濾過した液体を真空で揮発物を除去し、乾燥した暗緑色の固体を取得し、これを後述する実施例および比較例のオリゴマー化触媒として準備した。
【0106】
本触媒は、エチレンのオリゴマー化反応の活性および選択度が非常に優れた触媒であり、韓国特許出願10-2016-0065709号を参照して、より明確に把握することができる。
【0107】
[実施例1]
2000mLのステンレス鋼の圧力反応器を窒素、真空で洗浄した後、メチルシクロヘキサン(MCH)1Lを投入し、助触媒として改質されたメチルアルミノキサン(m-MAO3A、Akzo Nobel社製、18wt%in heptane)(1.57g、4mmol)を順次に投入した後、反応器の温度を60℃に上げた。次に、製造例で準備したビス-[(S,S)-(フェニル)PCH(メチル)CH(メチル)P(フェニル)二塩化(μ-塩化)クロム]3.1mg(5.3μmol-Cr)を投入した後、エチレンで反応器内の圧力を20barまで満たした後、圧力を維持しながら連続してエチレンを供給し、2時間250rpmで撹拌し、オリゴマー化反応を行った。次に、撹拌を終了し、反応器内の気相のエチレンをすべて排出し、反応器の温度を10℃に冷却した。
【0108】
次に、触媒不活性化剤としてCOガスを、ディップチューブを用いて、1barの圧力で10分間投入し、反応溶液にバブリング(bubbling)して反応を終了した後、反応生成物を濾過、分離した。次に、濾過された生成物20mLを別のフラスコで1時間100度で乾燥した後、Internal standardとしてヘプタンを使用してGC-FID分析を実施し、1-オクテンの純度を確認し、その結果を下記表1にまとめた。COの投入量は、モル数を基準として、助触媒内のアルミニウムの総モル数に対して5倍である。
【0109】
[実施例2]
実施例1でCOガスの代わりに、COガスを使用する以外は、同様に行って反応生成物を取得した。濾過された生成物20mLを別のフラスコで1時間100度に加熱する。Internal standardとしてヘプタンを使用してGC-FID分析を実施し、1-オクテンの純度の変化を確認し、その結果を下記表1にまとめた。
【0110】
[実施例3]
実施例1でCOガスの代わりに、O/N混合ガス(5wt%O、95wt%N)を使用する以外は、同様に行って反応生成物を取得した。濾過された生成物20mLを別のフラスコで1時間100度に加熱する。Internal standardとしてヘプタンンを使用してGC-FID分析を実施し、1-オクテンの純度の変化を確認し、その結果を下記表1にまとめた。
【0111】
[実施例4]
生成された直鎖状アルファオレフィン(LAO)の触媒不活性化剤の種類別に分離効率を評価するために、ASPEN PLUS V8.8(AspenTech社製)を用いて、触媒不活性化剤の分離工程を模擬した。C20成分まで製品として活用することを想定し、反応器流出物に触媒不活性化剤としてCOガスを投入した後、各沸点別に製品を分離するように、5個の蒸留塔のうち最初の蒸留塔に流入される混合物の組成を、下記表2のように設定した。蒸留塔の段数は50段にした。混合物内の触媒不活性化剤を0.1%以下に分離するために必要な凝縮器の熱負荷(MMkcal/hr、1MMkcal=10kcal)、再熱器に必要な熱負荷(MMkcal/hr)、反応生成物の純度を計算した。その結果は表3にまとめた。
【0112】
[実施例5]
オリゴマー化反応後の触媒不活性化剤としてCOガスを使用した以外は、実施例4と同一の方法で分離工程を模擬して反応生成物の純度を確認し、触媒不活性化剤の分離効率を評価した。その結果は表3にまとめた。
【0113】
[実施例6]
オリゴマー化反応後の触媒不活性化剤として5wt%O/95wt%Nガスを使用した以外は、実施例4と同一の方法で分離工程を模擬して反応生成物の純度を確認し、触媒不活性化剤の分離効率を評価した。その結果は表3にまとめた。
【0114】
[比較例1]
実施例1でCOガスを使用しない以外は、同様に行って反応生成物を取得した。濾過された生成物20mLを別のフラスコで1時間100度に加熱する。Internal standardとしてヘプタンンを使用してGC-FID分析を実施し、1-オクテンの純度の変化を確認し、その結果を下記表1にまとめた。
【0115】
[比較例2]
工程模擬でオリゴマー化反応後の触媒不活性化剤として2-エチル-1-ヘキサノールを使用した以外は、実施例4と同一の方法で反応生成物の純度を確認し、触媒不活性化剤の分離効率を評価し、表3にまとめた。工程模擬では、2-エチルヘキサノールの沸点が、分離しようとする成分の間に分布するため、2個の蒸留塔をさらに使用する必要があり、7個の蒸留塔の段数をそれぞれ50段に設定した。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
【0119】
表1において、実施例1~3のいずれも、オリゴマー化反応生成物内の1-オクテンの純度が比較例1に比べて高いことが分かる。
【0120】
表3において、比較例2は、直鎖状アルファオレフィンと触媒不活性化剤を蒸留により分離する際、凝縮器と再熱器に必要な熱負荷(heat duty)が実施例に比べて非常に大きく、2-エチルヘキサノールの沸点が、分離しようとする成分の間に分布して、同一の製品を製造するために、実施例に比べてさらに多数の蒸留塔が必要であった。すなわち、さらに多数の蒸留塔を使用するにもかかわらず、凝縮器と再熱器に必要な熱負荷が、実施例に比べてより大きいことが分かる。したがって、比較例2の場合、生成物から触媒不活性化剤を分離するための工程エネルギーおよび蒸留塔の個数の増加が不可避であり、これは、工程の経済性を大幅に低下させ、実際の産業適用可能性を相当低下させる要因になる。
【0121】
また、表3において、最終的に分離した1-オクテンの純度が、実施例4~6の場合、比較例2に比べて向上した。
【0122】
したがって、本発明の触媒不活性化剤の場合、比較例に比べ、オリゴマー化反応生成物との分離効率が非常に優れることが確認された。これにより、本発明は、エチレンのオリゴマー化反応の高効率化および高付加化が可能であり、実際の産業に適用されることで、工程コストを著しく削減できることが期待される。
図1