(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】半導体部品を個片化する方法および半導体部品
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
H01S5/02
(21)【出願番号】P 2020537009
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2018097046
(87)【国際公開番号】W WO2019137816
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102018100763.9
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514272140
【氏名又は名称】オスラム オーエルイーディー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OSRAM OLED GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, 93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルックナー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハイネ ウルス
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ナーレ ラーズ
(72)【発明者】
【氏名】レフラー アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ソマーズ アンドレ
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-017791(JP,A)
【文献】特開2011-243857(JP,A)
【文献】特開平08-116137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0243558(US,A1)
【文献】特開2016-127176(JP,A)
【文献】特開2013-120891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア(21)を設けるステップと、
前記キャリア(21)上に少なくとも2つの半導体チップ(22)を適用するステップと、
半導体チップ(22)に面する前記キャリア(21)の側面に少なくとも1つの破断核(23)をエッチングするステップであって、パッシベーション層(27)が
エッチングにより形成された前記少なくとも1つの破断核(23)上に部分的に適用さ
れ、前記パッシベーション層(27)によって覆われていない前記破断核(23)の領域が粗面化される、エッチングするステップと、
前記少なくとも1つの破断核(23)に沿って前記キャリア(21)を破断することによって少なくとも2つの半導体部品(20)を個片化するステップと、
を含み、
前記少なくとも1つの破断核(23)は、少なくとも部分的に垂直方向(z)に延在し、前記垂直方向(z)は前記キャリア(21)の主延在面に垂直であり、
前記少なくとも1つの破断核(23)は、横方向(x)において前記2つの半導体チップ(22)の間に配置され、前記横方向(x)は前記キャリア(21)の主延在面に平行であり、
前記半導体部品(20)は、それぞれ前記半導体チップ(22)の少なくとも1つを含み、
前記少なくとも1つの破断核(23)の前記垂直方向(z)の広がりは、キャリア(21)の前記垂直方向(z)の広がりの1%以上である、半導体部品(20)を個片化する方法。
【請求項2】
部品キャリア(33)と、
前記部品キャリア(33)上に配置される半導体チップ(22)と、
を備える半導体部品(20)であって、
前記部品キャリア(33)は、前記部品キャリア(33)の主延在面に対して横方向に延在する破断端(24)を有し、
前記破断端(24)の少なくとも1つは、少なくとも部分的に切欠き(25)を有し、前記部品キャリア(33)とは反対側の前記半導体部品(20)の上面(28)上の横方向(x)内における前記半導体部品(20)の横方向の広がりは、前記部品キャリア(33)の領域における、前記半導体部品(20)の前記横方向(x)内の横方向の広がりよりも少なくとも部分的に小さく、前記横方向(x)は、前記部品キャリア(33)の主延在面に平行であり、
前記破断端(24)は、前記切欠き(25)の領域におけるエッチング処理の痕跡を部分的にのみ示し、
前記切欠き(25)は
、部分的に粗面化処理の痕跡を示し、
前記切欠き(25)の垂直方向(z)の広がりは、前記部品キャリア(33)の前記垂直方向(z)の広がりの1%以上であり、前記垂直方向(z)は前記部品キャリア(33)の主延在面に対して垂直である、半導体部品(20)。
【請求項3】
少なくとも1つの破断核(23)の垂直方向(z)の広がりが、キャリア(21)の垂直方向(z)の広がりの5%以上かつ40%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記破断核(23)は、プラズマエッチングによって生成される、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体部品(20)は、半導体レーザである、請求項1および3から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記破断核(23)の前記横方向(x)の広がりは、半導体チップ(22)の前記横方向(x)の広がりよりも小さい、請求項1および3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記破断核(23)の前記横方向(x)の広がりは、半導体チップ(22)の前記横方向(x)の広がりよりも大きい、請求項1および3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記キャリア(21)の主延在面に平行な面において、前記破断核(23)の主延在方向は、前記キャリア(21)の結晶方向に対して垂直である、請求項1および3から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの破断核(23)に沿って前記キャリア(21)を破断する前に、前記キャリア(21)が結晶方向に沿って破断する、請求項1および3から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記破断核(23)の形状は、非対称である、請求項1および3から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記破断核(23)は、溝の形状を有する、請求項1および3から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記溝は、側壁(26)を有し、少なくとも2つの対向する側壁(26)は、異なった形状を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記破断核(23)の前記垂直方向(z)の広がりは、一定でない、請求項1および3から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの切欠き(25)の垂直方向(z)の広がりが、前記部品キャリア(33)の垂直方向(z)の広がりの5%以上かつ40%以下である、請求項2に記載の半導体部品(20)。
【請求項15】
前記半導体部品(20)は、半導体レーザである、請求項2および14のいずれか一項に記載の半導体部品(20)。
【請求項16】
前記切欠き(25)の前記横方向(x)の広がりは、半導体チップ(22)の前記横方向(x)の広がりよりも小さい、請求項2および14から15のいずれか一項に記載の半導体部品(20)。
【請求項17】
前記部品キャリア(33)の主延在面に平行な面において、前記切欠き(25)の主延在方向は、前記部品キャリア(33)の結晶方向に対して垂直である、請求項2および14から16のいずれか一項に記載の半導体部品(20)。
【請求項18】
前記切欠き(25)の前記垂直方向(z)の広がりは、一定でない、請求項2および14から17のいずれか一項に記載の半導体部品(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体部品を個片化する方法および半導体部品が特定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本開示の目的は、効率的に行うことができる半導体部品を個片化するための方法を特定することである。また、効率的に動作可能な半導体部品を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0003】
半導体部品を個片化するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、キャリアが提供される方法ステップを含む。キャリアは例えば、接続ボード、回路ボード、プリント回路ボードまたはウエハであり得る。キャリアは三次元の本体であってもよく、例えば、円筒、円盤、または直方体の形を有する可能性がある。キャリアは、主延在面を有することができる。例えば、キャリアの主延在面は、キャリアの上面などの表面に平行であってもよい。キャリアは、半導体材料を含むことができる。例えば、キャリアは、導電路および/または接点のような導電性構造が適用および/または挿入されるシリコンで形成されてもよい。
【0004】
半導体部品を個片化するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、少なくとも2つの半導体チップがキャリア上に適用される方法ステップを含む。また、キャリアに複数の半導体チップを適用することもできる。半導体チップは、オプトエレクトロニクス半導体チップとすることができる。半導体チップは、動作中に電磁放射、とりわけ光線を放出するように設計することができる。半導体チップは例えば、発光ダイオードチップまたはレーザダイオードチップなどの発光性ダイオードチップである。少なくとも2つの半導体チップは、キャリアの上面において直接または間接的にキャリアに適用され、そこで固定されてもよい。特に、半導体チップははんだ付けまたは焼結によってキャリアに固定することができ、あるいはキャリア上に成長させ、エピタキシによって構造化することができる。半導体チップがキャリアの上面に間接的に適用される場合、キャリアと半導体チップとの間に少なくとも1つの追加部品が存在することがある。半導体チップには、キャリアとは反対側に上面がある。
【0005】
半導体チップの各々は、pドープ領域、活性領域およびnドープ領域を有することができる。活性領域は、半導体部品の動作中に電磁放射を放出するように設計することができる。活性領域は、pドープ領域とnドープ領域との間に配置することができる。活性領域は、キャリアとは反対側のpドープ領域上に配置することができる。nドープ領域は、活性領域上に配置することができる。
【0006】
半導体部品を個片化するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、少なくとも1つの破断核が半導体チップに面するキャリアの側面でエッチングされる方法ステップを含む。破断核は例えば、キャリアまたは半導体チップの上面でエッチングすることができる。これは、半導体チップが配置されているキャリアの側面で破断核がエッチングされることを意味する。半導体チップがキャリアの上面を完全に覆う場合、破断核は半導体チップの上面から、少なくとも1つの半導体チップを通して、キャリアの方向にエッチングされ得る。半導体チップがキャリアの上面を完全に覆わない場合、破断核は、少なくとも、キャリアの上面の場所でキャリアの上面とは反対側の面の方向にエッチングすることができる。破断核を形成するには、キャリアや半導体チップの材料をエッチングにより除去すればよい。したがって、破断核は、溝状の構成または凹部とすることができる。破断核は、キャリアの主延在面に対して横断方向のまたは垂直な側壁を有することができる。
【0007】
破断核の形は例えば、フォトテクノロジによって形成することができる。そのためには、マスキングをキャリアに適用するか、半導体チップを伴うキャリアに適用することができる。破断核の形は、マスキングによって画定することができる。破断核の形は、キャリアの主延在面に平行な面内において画定することができる。
【0008】
半導体部品を個片化するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、少なくとも2つの半導体部品が少なくとも1つの破断核に沿ってキャリアを破断することによって個片化される方法ステップを含む。キャリアは、キャリアの主延在面に対して横断方向に沿って破断することができる。また、キャリアが垂直方向に沿って破断してもよく、垂直方向は、キャリアの主延在面に垂直である。キャリアが少なくとも1つの破断核に沿って個片化されることは、それに沿ってキャリアが個片化される分離面が破断核を通って延在することを意味し得る。分離面はキャリアの上面から、上面とは反対側のキャリアの底面まで、破断核を通って延在することができる。例えば、分離面は、破断核の主延在方向に沿って延在することができる。
【0009】
破断核を使用して、キャリアが個片化される位置を決定することができる。また、破断核を成形することによって、破断核の位置におけるキャリアの個片化を他の位置に比べて単純化することもできる。このように、破断核をエッチングすることによって、半導体部品を個片化することができる離隔面を決定することができる。
【0010】
半導体部品を個片化するための本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの破断核は垂直方向に少なくとも部分的に延在し、垂直方向は、キャリアの主延在面に垂直である。破断核は例えば、キャリアまたは半導体チップの上面から垂直方向にエッチングすることができる。これにより、破断核は、垂直方向に広がり(Ausdehnung)を有することができる。また、破断核は、垂直方向以外の方向に広がりを有していてもよい。
【0011】
半導体部品を個片化するための本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの破断核は、横方向において2つの半導体チップの間に配置され、横方向はキャリアの主延在面に平行である。これは、例えば、破断核が2つの半導体チップの間のキャリアの上面に配置されることを意味する。破断核は、半導体チップから離して配置することができる。また、2つの半導体チップ間の、半導体チップの上面に破断核を配置することもできる。
【0012】
キャリア上に複数の半導体チップを配置することができ、複数の破断核をエッチングすることができる。破断核は、それぞれ、面に沿って第1の横方向に延在することができる。第1の横方向に垂直な第2の横方向では、2つの半導体チップの間に破断核を配置することができる。
【0013】
半導体部品を個片化するための本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体部品の各々は、半導体チップの少なくとも1つを含む。破断核に沿ってキャリアを破断することによって、個々の半導体部品を生成することができる。半導体部品の各々は、少なくとも1つの半導体チップ及びキャリアの一部を含むことを特徴とすることができる。好ましくは、半導体部品がほぼ同じ大きさを有する。
【0014】
半導体部品は、半導体部品を個片化することから生じる破断端を有することができる。破断端は、キャリアの主延在面を横断してもよく、主延在面に対して垂直であってもよい。半導体チップのさまざまな領域が、破断端において露出してもよい。例えば、各々の半導体チップのnドープ領域およびpドープ領域は、それぞれの半導体部品の少なくとも1つの破断端に延在してもよい。したがって、それぞれの半導体チップのpドープ領域およびnドープ領域を、少なくとも1つの破断端で露出させることができる。
【0015】
半導体部品を個片化するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの破断核の垂直方向の広がりは、キャリアの垂直方向の広がりの1%以上である。なお、破断核の垂直方向の広がりは、例えばエッチングされた溝状の組織の深さによって事前に画定されている。また、キャリアの垂直方向の広がりは、例えばキャリアの垂直方向の厚さによって事前に画定されている。破断核の垂直方向の広がりは、半導体チップを伴うキャリアの垂直方向の広がりの100%以下にすることができる。
【0016】
本明細書に記載されている半導体部品を個片化する方法は、とりわけ、破断核を導入することによって、半導体部品の個片化が単純化されるという考えに基づいている。1つまたは複数の破断核は、半導体部品がそれに沿って個片化される位置または向きを画定することができる。したがって、1つまたは複数の破断核は、半導体部品が個片化される位置を画定する。したがって、半導体部品は、所定の大きさを有することができる。
【0017】
さらに、破断核をエッチングした後、化学洗浄および材料残留物の除去を必要としないので、半導体部品を個片化するための方法が単純化される。1つまたは複数の破断核はエッチングによって製造されるので、破断核の側壁の領域には、材料残留物は全く残らないか、またはほんのわずかしか残らない。これは、半導体部品の破断端の領域においてさえ、材料残留物が全く残らないか、またはごくわずかしか残らないことを意味する。半導体部品内の短絡または漏れ電流につながる可能性があるので、半導体部品の破断端の領域における材料残留物を回避することが有益である。例えば、pドープ領域およびnドープ領域が半導体部品の破断端で露出される場合、材料の残留物を回避することが有利である。なぜなら、これらは、半導体部品の動作中に、破断端の領域に漏れ電流または短絡を引き起こす可能性があるからである。
【0018】
さらに、本明細書で説明する方法によって、半導体部品の効率的な個片化が可能になる。破断核は、半導体チップがキャリア上の合成物中に依然として存在しているときに、既にエッチングすることができる。その後、複数の半導体部品を破断核に沿って同時に個片化することができる。
【0019】
また、本明細書で説明した方法を用いて、効率的に動作可能な半導体部品を生成することができる。半導体チップの活性領域はキャリアとは反対側のpドープ領域の側面に配置することができ、nドープ領域は活性領域上に配置することができる。材料残留物の回避により、この設計では半導体部品内の漏れ電流と短絡が回避される。さらに、この設計によって、例えば、pドープ領域とキャリアとの間に配置されたはんだ材料を介して、放熱性を改善することが可能になる。従って、構成要素の安定性及び寿命を改善することができ、半導体部品を高出力レベルで動作させることができる。
【0020】
半導体部品を個片化するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、キャリアが設けられ、少なくとも2つの半導体チップがキャリア上に適用され、少なくとも1つの破断核が半導体チップに対向するキャリアの側面にエッチングされ、少なくとも2つの半導体部品が少なくとも1つの破断核に沿ってキャリアを破断することによって個片化される、方法ステップを備え、少なくとも1つの破断核は、垂直方向に少なくとも部分的に延在し、垂直方向はキャリアの主延在面に垂直であり、少なくとも1つの破断核は、横方向において2つの半導体チップの間に配置され、横方向はキャリアの主延在面に平行であり、半導体部品は、それぞれ半導体チップの少なくとも1つを含み、少なくとも1つの破断核の垂直方向の広がりは、キャリアの垂直方向の広がりの1%以上である。
【0021】
さらに、半導体部品が特定される。半導体部品は、本明細書で説明される方法を用いて作成することが望ましい。言い換えれば、半導体部品を個片化するための方法について開示された全ての特徴も、半導体部品について開示され、またその逆も開示されている。
【0022】
本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体部品は部品キャリアを含む。部品キャリアは、キャリアの一部であってもよい。キャリアは例えば、接続ボード、回路ボード、プリント回路ボードまたはウエハであり得る。部品キャリアは、半導体部品を個片化することによって形成することができる。キャリアは、各々の半導体部品が1つの部品キャリアを含む複数の部品キャリアに個片化することができる。部品キャリアには主延在面がある。
【0023】
本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体部品は、部品キャリア上に配置された半導体チップを含む。
【0024】
本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、部品キャリアは、部品キャリアの主延在面に対して横断方向にある破断端を有する。破断端は、部品キャリアの主延在面に対して横断方向または垂直方向にある部品キャリアの側面を含んでもよい。破断端は、部品キャリアの主延在面に対して横断方向または垂直方向にある半導体チップの側面を付加的に含むことができる。破断端は、破断端に沿って半導体部品を個片化することによって作成することができる。また、破断端が部品キャリアの主延在面に対して垂直になっていることも可能である。部品キャリアの破断端は、部品キャリアの主延在面に対して垂直である部品キャリアの任意の外面であってよい。破断端は、部品キャリアの主延在面に垂直な半導体チップのすべての外面に沿ってさらに延在することができる。破断端は、少なくとも部分的に個片化処理の痕跡を示すことができる。
【0025】
本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、破断端の少なくとも1つは、少なくとも部分的に切欠き(Einkerbung)を有し、その結果、部品キャリアとは反対側の半導体部品の上面上の横方向における半導体部品の横方向の広がりは、部品キャリアの領域の横方向における半導体部品の横方向の広がりよりも少なくとも部分的に小さくなり、横方向は部品キャリアの主延在面に平行である。例えば、切欠きは、部品キャリアまたは半導体チップの材料が除去された領域であり得る。切欠きは、例えば、凹部とすることができる。切欠きは、半導体部品の片側に配置することができる。また、半導体部品のいくつかの面に切欠きを配置したり、半導体部品にいくつかの切欠きを持たせたりすることも可能である。
【0026】
切欠きの領域では、半導体部品の上面上の横方向における半導体部品の横方向の広がりは、切欠きが配置されていない部品キャリアの領域における半導体部品の横方向の広がりよりも小さい。これは、横方向における半導体部品の横方向の広がりが少なくとも切欠きのために部分的に小さくなることを意味する。
【0027】
本半導体部品の少なくとも1つの実施態様によれば、本破断端は、切欠きの領域におけるエッチング処理の痕跡を示す。破断端は、切欠きの全領域におけるエッチング処理の痕跡を示すことができる。切欠きは、エッチング処理によって形成することができる。これは、完成品の半導体部品上で、例えば顕微鏡検査によって検出することができる客観的な特徴である。
【0028】
本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、切欠きの垂直方向の広がりは垂直方向における部品キャリアの垂直方向の広がりの1%以上であり、垂直方向は、部品キャリアの主延在面に垂直である。このように、切欠きは、半導体部品の垂直方向の広がりの少なくとも一部にわたって延在する。これは、切欠きが配置されている垂直方向の位置で、横方向における半導体部品の横方向の広がりが小さくなることを意味する。切欠きが配置されていない垂直位置では、横方向における半導体部品の横方向の広がりは小さくならない。
【0029】
本明細書に記載された半導体部品は、とりわけ、半導体部品における漏れ電流および短絡が回避されるという考えに基づいている。切欠きは、エッチングプロセスの痕跡を示しており、エッチングプロセスによって形成することができる。これは、破断端に残留する材料が全くないか、またはほんのわずかであることを意味する。半導体チップのpドープ領域およびnドープ領域は破断端の領域または切欠きの領域において露出され得るので、この領域における材料残留物は漏れ電流または短絡につながり得る。したがって、これらの領域内の材料残留物を回避することによって、半導体部品内の漏れ電流および短絡が回避され、半導体部品をより効率的に動作させることができる。
【0030】
半導体チップのpドープ領域と部品キャリアとの間には、材料、例えば、はんだ材料を配置することができ、この材料を通して、動作中に半導体チップ内で発生する熱を放散させることができる。したがって、半導体部品は高出力レベルで有利に動作させることができ、部品の安定性および寿命が増加する。
【0031】
本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体部品は、部品キャリアと、部品キャリア上に配置される半導体チップとを備え、部品キャリアは、部品キャリアの主延在面まで横方向に延在する破断端を有し、破断端の少なくとも1つは少なくとも部分的に切欠きを有し、その結果、部品キャリアとは反対側の半導体部品の上面上の横方向における半導体部品の横方向の広がりは、部品キャリアの領域内の横方向における半導体部品の横方向の広がりよりも少なくとも部分的に小さく、横方向は部品キャリアの主延在面に平行であり、破断端は切欠きの領域内のエッチング処理の痕跡を示し、切欠きの垂直方向の広がりは、部品キャリアの垂直方向の広がりの1%以上であり、垂直方向は部品キャリアの主延在面に垂直である。
【0032】
以下の実施形態は、本明細書で説明する方法と本明細書で説明する半導体部品の両方を参照することができる。
【0033】
本発明の方法または半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの破断核または切欠きの垂直方向の広がりは、キャリアまたは部品キャリアの垂直方向の広がりの5%以上かつ40%以下である。この破断核の垂直方向の広がりの範囲に対して、破断核に沿った半導体部品の個片化が簡略化される。これらの値に対して、破断は、半導体部品を個片化するために破断核に沿って案内されることができる。したがって、半導体部品の大きさは、破断核の配置によって決定され得る。半導体部品は、有利には5%以上かつ40%以下の垂直方向の広がりを伴う切欠きを有する。なぜならば、半導体部品は従って、所定の大きさを有し、簡略化された方法で個片化することができるからである。
【0034】
本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、破断核はプラズマエッチングによって生成される。破断核の形を画定するために、マスキングを使用することができる。破断核がプラズマエッチングによって生成される場合、有利には、破断核の領域に材料残留物が全く残らないか、またはごくわずかしか残らない。
【0035】
本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体部品は半導体レーザである。例えば、半導体部品はリッジ導波路レーザであってもよい。
【0036】
本方法または本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、破断核または切欠きの横方向の広がりは、半導体チップの横方向の広がりよりも小さい。これは少なくとも1つの横方向において、破断核または切欠きが、半導体チップの横方向の広がり全体にわたって延在しないことを意味し得る。したがって、少なくとも1つの横方向において、半導体チップが破断核または切欠きよりも大きな広がりを有する。また、破断核や切欠きの横方向の広がりが半導体部品の、横方向の広がりよりも小さくなることも可能である。破断核によって半導体部品の大きさを画定するためには、破断核または切欠きの横方向の広がりが半導体チップの横方向の広がりよりも小さいことで充分である。
【0037】
本方法または本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、破断核または切欠きの横方向の広がりは、半導体チップの横方向の広がりよりも大きい。破断核は、2つ以上の半導体チップの広がりにわたって横方向に延在することができる。複数の半導体チップがキャリア上に配置されている場合、破断核は、複数の半導体チップの広がりにわたって横方向に延在することができる。これは、半導体部品を個片化するために必要な破断核の総数が少ないことを意味する。さらに、切欠きは、半導体部品の広がり全体にわたって横方向に延在することができる。半導体部品の半導体チップの横方向の広がりが部品キャリアよりも小さい場合には、切欠きのこの横方向の広がりを半導体チップのこの横方向の広がりよりも大きくすることができる。したがって、切欠きは、半導体部品の側面のうちの少なくとも1つに沿って均等に延在することができる。
【0038】
本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、キャリアまたは部品キャリアの主延在面に平行な面において、破断核または切欠きの主延在方向は、キャリアまたは部品キャリアの結晶方向に垂直である。例えば、キャリアまたは部品キャリアの主延在面に平行な面は、半導体チップの上面、或いは、キャリアまたは部品キャリアの上面であってもよい。破断核または切欠きは、第1の横方向に主延在方向を有してもよい。この第1の横方向は、キャリアまたは部品キャリアの主延在面に平行であってもよい。キャリアは、結晶構造を有する材料を含むことができる。例えば、キャリアは、半導体材料を含むことができる。キャリアの結晶方向の1つは、第2の横方向に平行にすることができる。第2の横方向は、第1の横方向に対して垂直であってもよく、キャリアの主延在面に対して平行であってもよい。有利には、半導体部品を個片化するために、キャリアは、キャリアの結晶方向に沿って、かつ破断核の主延在方向に沿って破断され得る。
【0039】
本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの破断核に沿ってキャリアを破断する前に、キャリアは結晶方向に沿って破断される。結晶方向に沿ったキャリアの破れから生じる破断端は、キャリアの主延在面に対して横方向にあっても垂直方向にあってもよい。半導体部品を個片化するために、キャリアを結晶方向に沿って2つのそれぞれの半導体チップの間で破断することができる。半導体部品を個片化するために、キャリアは、全体として少なくとも2つの分離面に沿って個片化することができ、2つの分離面は互いに垂直である。第1の分離面は、キャリアの結晶方向によって与えることができる。第1の分離面は、結晶方向に沿ってキャリアが破断する面とすることができる。第2の分離面は、キャリアが破断核に沿って破断される面とすることができる。
【0040】
キャリア上に複数の半導体チップが配置されている場合、第一段階において、2つのそれぞれの半導体チップの間でキャリアを結晶方向に沿って破断することができる。キャリアは、複数の半導体チップが一方向に配列された断片に個片化される。これらの断片の各々について、破断核は、2つのそれぞれの半導体チップの間に配置される。半導体部品を完全に個片化するために、キャリアを破断核に沿って破断することができる。このようにして、半導体部品を効率的に個片化することができる。
【0041】
本方法または本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、破断核の形状は非対称である。破断核は、キャリアの主延在面に平行な面内に断面を有することができる。この断面は、非対称形状であってもよい。これは、断面が対称軸を有していないことを意味し得る。これはまた、破断核の主延在方向に沿った断面が対称軸を有していないことを意味し得る。例えば、破断核の2つの対向する側壁は、異なった形状を有する可能性がある。破断核の断面の形状は、例えばフォトテクノロジによって形成することができる。
【0042】
破断核はまた、破断核の側壁に隣り合う底面を有してもよい。底面は、キャリアの主延在面に平行であってもよい。
【0043】
破断核は、好ましくはキャリアの主延在面に平行な主延在方向を有する。半導体部品は、破断核の主延在方向に沿って個片化することができる。破断核は、その広がりの主方向に沿って2つの対向する側壁を有することができる。破断核の断面に非対称性を導入することによって、個片化中にキャリアが2つの対向する側壁のどちらに沿って破断されるかを事前に画定することができる。2つの対向する側壁が同じ形状を有する場合、キャリアは、個片化中にそれぞれの側壁の一方に沿って破断し得る。つまり、一部の半導体部品は、側壁の一方に沿って個片化され、他の半導体部品は、もう一方の側壁に沿って個片化される。したがって、個片化される半導体部品は異なった横方向の広がりを有することができ、これは望ましくないことがある。破断核の断面の非対称性は、キャリアが好ましい側壁に沿って破断されることにつながり得る。したがって、好ましい側壁に沿って半導体部品の各々についてキャリアを破断することができる。この場合、個片化半導体部品は同じ横方向の広がりを持つ。
【0044】
本方法または本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、破断核は溝の形状を有する。溝は、エッチングによって半導体チップおよび/またはキャリアに形成することができる。溝は、半導体チップの上面からキャリアに向かって形成することができる。溝は、少なくとも部分的にキャリアを通して延在することができる。破断核を導入することにより、半導体部品が個片化される位置を画定することができる。さらに、破断核の導入は、個片化処理を単純化する。
【0045】
本方法または半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、溝は側壁を有し、少なくとも2つの対向する側壁は、異なった形状を有する。側壁は、キャリアの主延在面に対して横方向または垂直方向にあってもよい。側壁の少なくとも2つは、溝の主延在方向に沿って延在してもよい。これらの2つの側壁は、互いに対向することができる。2つの対向する側壁は異なった形状を有するので、破断核は非対称形状を有する。したがって、2つの対向する側壁は、側壁の一方が半導体部品を個片化するための好ましい側壁であるように成形することができる。有利には、半導体部品が溝の同じ側壁に沿って個片化される。したがって、すべての半導体部品は、横方向に同じ大きさにすることができる。
【0046】
本方法または本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、破断核または切欠きの垂直方向の広がりは、一定ではない。破断核の垂直方向の広がりは、破断核または溝の垂直方向の深さとすることができる。これは、破断核の底面全体がキャリアの主延在面に平行であるわけではないことを意味する。底面は、キャリアの主延在面に0°より大きい角度を形成することができる。また、破断核は少なくとも2つの底面を有し、底面は、破断核の異なった垂直位置に配置されていてもよい。これは、破断核の深さが垂直方向に一定でないことを意味する。
【0047】
切欠きは、切欠きの側壁に隣り合う底面を有してもよい。底面から半導体チップの上面までの間隔は必ずしも一定ではない。本破断核について説明したように、切欠きの底面は、部品キャリアの主延在面に対して少なくとも部分的に平行に延在してもよく、または少なくとも部分的に部品キャリアの主延在面に0°より大きい角度を形成してもよい。また、切欠きは少なくとも2つの底面を有することができ、これらの底面は切欠きの異なった垂直位置に配置される。
【0048】
破断核または切欠きの垂直方向の広がりが一定でない場合、破断核内の好ましい位置を画定することができ、それに沿ってキャリアが破断される。このようにしても、個片化された半導体部品はすべて横方向に同じ広がりを有することが達成され得る。
【0049】
本方法または本半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、パッシベーション層は、破断核上に部分的に適用される。パッシベーション層は、半導体チップを保護するために適用することができる。したがって、半導体チップは、個片化中にパッシベーション層によって保護することができる。別の可能性は、パッシベーション層が破断核上に部分的にのみ適用されることである。パッシベーション層によって覆われていない領域は、例えばKOHによって化学的に粗面化することができる。次に、パッシベーション層を再び除去することができる。この場合、破断核は、化学的に粗面化された領域と、化学的に粗面化されていない領域とを有する。このようにして、キャリアが破断される好ましい位置を画定することができる。例えば、キャリアは、化学的に粗面化されていない破断核の側面で破断され得る。キャリアが破断される好ましい位置を事前に画定することによって、すべての個片化された半導体部品が横方向に同じ大きさを有することを保証することができる。半導体部品のさらなる加工のために、全ての半導体部品が横方向において同じ大きさを有するならば、有利となり得る。
【0050】
以下では、本明細書で説明する半導体部品を個片化するための方法および本明細書で説明する半導体部品を、例示的な実施形態およびそれらの対応する図に関連して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1A】
図1Aは、例示的な実施形態による半導体部品を通る概略的な断面を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、例示的な実施形態による半導体部品を通る概略的な断面を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、複数の半導体チップを有するキャリアの上面図によって、半導体部品を個片化するための本方法の例示的実施形態を説明する。
【
図2B】
図2Bは、複数の半導体チップを有するキャリアの上面図によって、半導体部品を個片化するための本方法の例示的実施形態を説明する。
【
図2C】
図2Cは、複数の半導体チップを有するキャリアの上面図によって、半導体部品を個片化するための本方法の例示的実施形態を説明する。
【
図2D】
図2Dは、複数の半導体チップを有するキャリアの上面図によって、半導体部品を個片化するための本方法の例示的実施形態を説明する。
【
図3A】
図3Aは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図3B】
図3Bは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図3C】
図3Cは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図3D】
図3Dは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図3E】
図3Eは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図3F】
図3Fは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図3G】
図3Gは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図4A】
図4Aは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図4B】
図4Bは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図4C】
図4Cは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図4D】
図4Dは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図4E】
図4Eは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図4F】
図4Fは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図4G】
図4Gは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図4H】
図4Hは、様々な例示的実施形態による対称破断核による断面を示す。
【
図5A】
図5Aは、様々な例示的実施形態による非対称形状を有する破断核を通る断面を示す。
【
図5B】
図5Bは、様々な例示的実施形態による非対称形状を有する破断核を通る断面を示す。
【
図5C】
図5Cは、様々な例示的実施形態による非対称形状を有する破断核を通る断面を示す。
【
図6A】
図6Aは、様々な例示的実施形態による非対称形状を有する破断核を通る断面を示す。
【
図6B】
図6Bは、様々な例示的実施形態による非対称形状を有する破断核を通る断面を示す。
【
図6C】
図6Cは、様々な例示的実施形態による非対称形状を有する破断核を通る断面を示す。
【
図6D】
図6Dは、様々な例示的実施形態による非対称形状を有する破断核を通る断面を示す。
【
図7A】
図7Aは、さらなる例示的な実施形態による破断核を通る断面を示す。
【
図7B】
図7Bは、さらなる例示的な実施形態による破断核を通る断面を示す。
【
図7C】
図7Cは、さらなる例示的な実施形態による破断核を通る断面を示す。
【
図7D】
図7Dは、さらなる例示的な実施形態による破断核を通る断面を示す。
【
図7E】
図7Eは、さらなる例示的な実施形態による破断核を通る断面を示す。
【
図7F】
図7Fは、さらなる例示的な実施形態による破断核を通る断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
同等または類似の要素、ならびに同等の機能の要素は、図面において同じ参照符号で示されている。図面および図面に示された要素の相互の比率は、正確な縮尺であると見なされるべきではない。むしろ、個々の要素はより良好な表現性および/または理解性のために大きく示されてもよい。
【0053】
図1Aは、例示的実施形態による半導体部品20を通る概略的な断面を示す。半導体部品20は、部品キャリア33と半導体チップ22とを備えている。半導体チップ22は、部品キャリア33上に配置される。半導体チップ22は、例えば半導体レーザであってもよい。このとき、半導体チップ22はリッジ導波路レーザである。レーザモード30は概略的に示すように、ストリップ31の下方で生成される。
【0054】
部品キャリア33は、部品キャリア33の主延在面に垂直な破断端24を有する。また、破断端24は、半導体チップ22に沿って延びている。破断端24の一方は、切欠き25を有する。切欠き25は横方向xで半導体レーザのストリップ31の隣に配置され、横方向xは部品キャリア33の主延在面に平行である。切欠き25は半導体チップ22内の凹部または溝であり、これは、エッチング処理によって形成することができる。したがって、破断端24は、切欠き25の領域におけるエッチング処理の痕跡を示す。切欠き25は、側壁26及び底面29を有する。半導体部品20の部品キャリア33とは反対側の上面28における横方向x内の半導体部品20の横方向の広がりは、切欠き25の領域において、半導体チップ22とは反対側の部品キャリア33の面に近い部品キャリア33の領域における横方向x内の半導体部品20の横方向の広がりよりも小さい。
【0055】
部品キャリア33の主延在面に垂直である垂直方向zにおける切欠き25の広がりは、垂直方向zにおける部品キャリア33の広がりの1%以上である。好ましくは、垂直方向zにおける切欠き25の広がりが垂直方向zにおける部品キャリア33の広がりの5%以上かつ40%以下である。他の例示的な実施形態では、切欠き25はまた、部品キャリア33の領域内に延在することができ、半導体チップ22の領域内にも延在することができる。
【0056】
図1Bは、半導体部品20の他の例示的な実施形態を通じた断面を示す。この例示的な実施形態では、切欠き25が
図1Aに示されているものとは反対側のストリップ31に配置されている。切欠き25は、
図1Bには示されていない。
図1Aの例示的な実施形態と比較して、
図1Bの半導体部品20は、切欠き25の側壁26に沿って個片化される。
図1Aに示された半導体部品20は、
図1Bに示された半導体部品20とは異なった切欠き25内の位置に沿って個片化される。
【0057】
図2Aに示された複数の半導体チップ22を備えたキャリア21上の上面図によって、半導体部品20を個片化するための方法の例示的な実施形態が説明される。キャリア21の上面28上のキャリア21上には、複数の半導体チップ22が配置されている。半導体チップ22は、規則的な格子のノードに配置されている。半導体チップ22に対向するキャリア21の側面では、それぞれの場合において、2つの半導体チップ22の間に破断核23がエッチングされる。破断核23は、例えばプラズマエッチングにより形成することができる。また、破断核23は、それぞれの場合に、横方向xにおいて2つの半導体チップ22の間に配置され、垂直方向zに延在する。破断核23の垂直方向zの広がりは、キャリア21の垂直方向zの広がりの1%以上である。好ましくは、破断核23の垂直方向zの広がりがキャリア21の垂直方向zの広がりの5%以上かつ40%以下である。
【0058】
破断核23は、第1の横方向xに沿った直線に沿って互いに離間して配置されている。破断核23は、第1の横方向xに平行な主延在方向を有する。この例示的な実施形態では、破断核23はまた、第1の横方向xに平行な対称軸を有する。第1の横方向xにおける2つのそれぞれの破断核23の間の距離は、10μm以上かつ50μm以下とすることができる。好ましくは、第1の横方向xにおける2つのそれぞれの破断核23の間の距離は、25μm以上かつ30μm以下である。破断核23の第1の横方向xの広がりは、半導体チップ22の第1の横方向xの広がりよりも小さい。
【0059】
第2の横方向yにおいて、それぞれの場合に。1つの半導体チップ22が2つの破断核23の間に配置されている。第2の横方向yは、第1の横方向xおよび垂直方向zに垂直である。例えば、5つの破断核23のみが
図2Aに示されている。しかしながら、キャリア21上には、さらなる破断核23およびさらなる半導体チップ22が、両横方向x,yに配置され得る。
【0060】
図2Aに示すように、破断核23の2つの側壁26の間の角は、90°以上かつ179°以下であってよい。好ましくは、図示の角度は130°より大きい。第2の横方向yにおける破断核23の広がりは、1μm以上かつ50μm以下であってもよい。好ましくは、第2の横方向yにおける破断核23の広がりは、10μm以下である。
【0061】
キャリア21は、結晶構造を有する材料を含む。キャリア21の一方の結晶方向は、第2の横方向yに平行である。これは、破断核23の主延在方向がキャリア21の結晶方向に垂直であることを意味する。
【0062】
次の段階では、キャリア21が結晶方向に沿って分離される。キャリア21は、第2の横方向yに平行な結晶方向に沿って破断している。キャリア21は、それぞれの場合において、2つの半導体部品20の間で結晶方向に沿って破断される。これにより、複数の半導体チップ22が第2の横方向yに沿って並んで配置された断片が作成される。
【0063】
次のステップにおいて、半導体部品20は、半導体部品20のそれぞれの2つの半導体チップ22の間に配置された破断核23に沿ってキャリア21を破断することによって個片化される。このように、各断片は破断核23の各々に沿ってキャリア21を破断することにより、個々の半導体部品20に個片化される。個片化された半導体部品20の各々は、少なくとも1つの半導体チップ22を含む。
【0064】
図2Bは、半導体部品20を個片化するための方法のさらなる例示的な実施形態を説明する。
図2B内の構造は、
図2A内の構造に対応する。
図2Bは、半導体チップ22を備えたキャリア21の上面図において、破断核23の配置に対する2つの可能性を示している。
図2Aと同様に、破断核23は互いに離間している。破断核23は、平面視で円形の断面を有することができる。また、破断核23は、上面視において
図2Aに示される断面を有していてもよい。
【0065】
図2Cは、半導体部品20を個片化するための方法のさらなる例示的な実施形態を説明する。
図2C内の構造は、
図2A内の構造に対応する。
図2Aに記載された破断核23に加えて、さらなる破断核32がエッチングされる。さらなる破断核32は、キャリア21の第1の横方向xの広がり全体にわたって延在する。したがって、さらなる破断核32の第1の横方向xの広がりは、半導体チップ22の第1の横方向xの広がりよりも大きい。さらなる破断核32は、破断核23よりも垂直zに小さい広がりを有している。さらなる破断核32の第2の横方向yの広がりは、破断核23の第2の横方向yの広がりに等しい。しかしながら、さらなる破断核32の第2の横方向yの広がりは、破断核23の第2の横方向yの広がりよりも小さくても大きくてもよい。さらに、破断核23は、
図2Cに示されるものとは異なった形状を有してもよい。さらなる破断核32により、半導体部品20の個片化をさらに単純化することができる。
【0066】
図2Dは、半導体部品20を個片化するための本方法のさらなる例示的実施形態を記載する。
図2D内の構造は、
図2A内の構造に対応する。この例示的な実施形態によれば、第1の横方向xに沿って延在するパッシベーション層27が、破断核23上に部分的に適用される。パッシベーション層27によって覆われていない破断核23の領域は、例えばKOHによって化学的に粗面化される。その後、パッシベーション層27が再び除去される。ここで、破断核23は、化学的に粗面化された領域と、パッシベーション層27によって覆われ、粗面化されていない領域とを有する。このようにして、キャリア21が破断される好ましい位置を定めることができる。好ましくは、キャリア21が粗面化されていない破断核23の側面で破断される。キャリア21が破断される好ましい位置を事前に画定することによって、全ての個片化された半導体部品20が横方向xに同じ大きさを有することを確実にすることができる。
【0067】
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、
図3E、
図3F、および
図3Gは、様々な例示的実施形態による上面図から対称破断核23を通る断面を示す。ここで、対称とは、破断核23が第1の横方向xに平行な対称軸を有することを意味する。
【0068】
図3Aでは、破断核23の断面が、斜角のついた辺を有する長方形の形状を有する。
【0069】
図3Bにおいて、破断核23の断面は、長方形の形状を有する。
【0070】
図3Cでは、破断核23の断面が丸みを帯びた辺を有する長方形の形状を有する。
【0071】
図3Dでは、破断核23の断面が丸みを帯びた角を有する長方形の形状を有する。
【0072】
【0073】
図3Fでは、破断核23の断面が円の2つの弧によって形成される。
【0074】
図3Gでは、破断核23の断面が長方形の形状を有し、長方形の一方の辺は斜角をつけられ、長方形の他方の辺は面取りされている。
【0075】
【0076】
図5A、
図5B、
図5C、
図6A、
図6B、
図6Cおよび
図6Dは、様々な例示的実施形態による非対称形状を有する破断核23を通る断面を示す。ここで非対称とは、破断核23が第1の横方向xに沿った対称軸を有していないことを意味する。
【0077】
図5A、
図5Bおよび
図5Cでは、破断核23が第1の横方向xに沿った直線状の側壁26と、対向する不規則または粗面化された側壁26とを有する。これは、示された破断核23がキャリア21の主延在面に垂直な面を張る第1の側壁26を有することを意味し得る。さらに、図示の破断核23は第1の側壁26に対向し、不規則な構成を有する第2の側壁26を有する。第2の側壁26の不規則な構成は、例えば化学的粗面化により形成することができる。
【0078】
【0079】
破断核23の断面に非対称性を導入することによって、2つの対向する側壁26のうちのどちらに沿ってキャリア21が個片化中に破断されるかを画定することができる。破断核23の断面の非対称性は、キャリア21が好ましい側壁26に沿って破断されることにつながり得る。従って、半導体部品20の各々のキャリア21を好ましい側壁26に沿って破断することができる。この場合、個片化された半導体部品20は、同じ横方向の広がりを有する。
【0080】
図7A、
図7B、
図7C、
図7D、
図7E、および
図7Fは破断核23の垂直方向zの広がりが一定でない、さらなる例示的な実施形態による破断核23を通る断面を示す。破断核23は、キャリア21の主延在面に垂直な面に沿った断面として示されている。このように、破断核23の垂直方向zの延在が示されている。
【0081】
図7Aでは、破断核23がキャリア21の主延在面に平行でない底面29を有する。破断核23の側壁26は、キャリア21の主延在面に垂直である。
【0082】
図7Bでは、破断核23がキャリア21の主延在面に平行でない底面29を有する。側壁26は、垂直方向zに0°より大きい角度を形成する。
【0083】
図7Cでは、破断核23は2つの底面29を有し、これらの底面は異なった垂直位置に配置されている。したがって、1つの底面29の領域内では、他の底面29の領域内よりも、溝の深さが大きい。したがって、半導体部品20を個片化するためにキャリア21がそれに沿って破断される好ましい側面を画定することができる。
【0084】
図7Dおよび7Eでは、破断核23は3つの底面29を有する。ここでも、1つの底面29の領域内では、他の底面29の領域よりも、溝の深さが大きい。
【0085】
図7Fでは、破断核23がキャリア21の主延在面に平行でない底面29を有する。一方の側壁26は垂直方向zに平行に延在し、他方の側壁26は、垂直方向zに対して0°より大きい角度で延在する。
【0086】
本発明は、発明の詳細な説明に基づく説明による例示的な実施形態に限定されるものではない。むしろ、本発明は、とりわけ、特許請求の範囲における特徴の任意の組み合わせを含む任意の新しい特徴および特徴の任意の組み合わせを含み、たとえこの特徴または組み合わせ自体が特許請求の範囲または例示的な実施形態において明示的に述べられていなくても、任意の新しい特徴および特徴の任意の組み合わせを含む。
【0087】
本特許出願は独国特許出願DE 10 2018 100 763.9の優先権を主張し、その開示内容は、参照により本明細書に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
20 半導体部品
21 キャリア
22 半導体チップ
23 破断核
24 破断端
25 切欠き
26 側壁
27 パッシベーション層
28 上面
29 底面
30 レーザモード
31 ストリップ
32 さらなる破断核
33 部品キャリア
x 横方向
z 垂直方向