(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】空気圧式サージ抑制装置
(51)【国際特許分類】
F04B 23/02 20060101AFI20230809BHJP
F04B 53/00 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
F04B23/02 C
F04B53/00 B
(21)【出願番号】P 2020565735
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 US2019033481
(87)【国際公開番号】W WO2019226748
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-25
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】308025451
【氏名又は名称】グラコ ミネソタ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロマン, ティモシー, エス.
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-035942(JP,A)
【文献】国際公開第2017/125802(WO,A1)
【文献】特開平02-023272(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0196771(US,A1)
【文献】特開昭48-049015(JP,A)
【文献】特開平10-030553(JP,A)
【文献】特開昭59-084800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 23/02
F04B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力制御部材と、
空気ハウジング内に配置さ
れ、前記空気ハウジングを第1チャンバと第2チャンバとに分割する増力部材と、
前記増力部材と前記圧力制御部材との間に延在し、且つ前記増力部材と前記圧力制御部材とを接続するシャフトと、を備え、
前記空気ハウジングに取付けられ、前記増力部材の第1の側に配置された第1圧力制御弁と、
前記空気ハウジングに取付けられ、前記増力部材の第2の側に配置された第2圧力制御弁と、を更に備え、
前記第1圧力制御弁は、開状態と閉状態との間で作動されるように構成されており、前記開状態において、第1圧力制御弁は、前記第1チャンバと作動流体源とを流体接続し、前記閉状態において、前記第1圧力制御部弁は、前記第1チャンバと前記作動流体源とを流体的に分離し、
前記第2圧力制御弁は、開状態と閉状態との間で作動されるように構成されており、前記開状態において、第2圧力制御弁は、前記第1チャンバからの流体経路を開放して前記第1チャンバから作動流体を排出し、前記閉状態において、前記第2圧力制御弁は、前記流体経路を閉鎖し、
前記増力部材は、前記空気ハウジング内において少なくとも部分的に第1チャンバを画定し、前記第1チャンバは作動流体によって加圧され
て前記増力部材に作用するように構成されており、これにより、前記増力部材及び前記シャフトを介して前記圧力制御部材を第1の方向に付勢する、サージ抑制装置。
【請求項2】
前記増力部材はピストンである、請求項1記載のサージ抑制装置。
【請求項3】
前記ピストンは第1の有効面積を有し、
前記圧力制御部材は第2の有効面積を有し、
前記第1の有効面積は前記第2の有効面積よりも大きい、請求項2記載のサージ抑制装置。
【請求項4】
前記増力部材は、前記空気ハウジング内において少なくとも部分的に
前記第2チャンバを画定し、前記第1チャンバは、前記増力部材の第1の側に設けられており、前記第2チャンバは、前記増力部材の第2の側に設けられている、請求項2記載のサージ抑制装置。
【請求項5】
前記空気ハウジングは、前記
第2チャンバを少なくとも部分的に画定するチャンバ壁を含み、
前記チャンバ壁は、第1直径を有する第1端部と、第2直径を有する第2端部とを含み、
前記ピストンの周囲に延在し、且つ前記チャンバ壁と係合するピストンシールが設けられている、請求項4記載のサージ抑制装置。
【請求項6】
前記第2直径は前記第1直径よりも大きく、
前記第1端部は、前記第2端部と前記第1チャンバとの間に配置されている、請求項5記載のサージ抑制装置。
【請求項7】
前記圧力制御部材はダイヤフラムを含み、前記ダイヤフラムは、該ダイヤフラムの第1の側において少なくとも部分的にプロセス流体チャンバを画定するとともに、前記ダイヤフラムの第2の側において少なくとも部分的に空気チャンバを画定する、請求項4記載のサージ抑制装置。
【請求項8】
前記シャフトは、前記
第2チャンバを貫通し、前記
第2チャンバと前記空気チャンバとの間に配置された壁部であって前記
第2チャンバと前記空気チャンバとを分割する壁部を貫通し、さらに前記空気チャンバを貫通し、前記増力部材と前記圧力制御部材との間に延在している、請求項7記載のサージ抑制装置。
【請求項9】
前記空気チャンバに流体接続された逆止弁を更に備え、
前記逆止弁は、前記空気チャンバから空気を排出できるように構成されており、且つ、前記空気チャンバからの液体の排出を防止するように構成されている、請求項8記載のサージ抑制装置。
【請求項10】
前記空気ハウジングは、上部ハウジングと下部ハウジングとを含み、前記上部ハウジングは、少なくとも部分的に前記第1チャンバを画定しており、
前記増力部材及び前記下部ハウジングは、
前記第2チャンバを画定しており、
前記第1圧力制御弁は、前記上部ハウジングに取付けられており、
前記第2圧力制御弁は、前記下部ハウジングに取付けられている、請求項
1記載のサージ抑制装置。
【請求項11】
前記第2圧力制御弁は、前記作動流体を前記
第2チャンバに排出するように構成されており、
前記
第2チャンバは、大気に流体接続されており、前記作動流体を大気中に排出する、請求項
10記載のサージ抑制装置。
【請求項12】
前記シャフトの周囲に配置されたシールを更に備え、
前記シールは、前記空気ハウジングの
前記第2チャンバと、前記圧力制御部材によって少なくとも部分的に画定された空気チャンバとの間を、前記シャフトの周囲を通って流体が流れることを防止する、請求項1記載のサージ抑制装置。
【請求項13】
流体入口、流体出口、及びプロセス流体チャンバを含む抑制装置ハウジングと、
前記抑制装置ハウジングに取付けられた空気ハウジングと、
前記空気ハウジングと前記抑制装置ハウジングとの間に延在している抑制機構と、
前記空気ハウジングに接続された作動流体源と、を備え、
前記抑制機構は、
前記空気ハウジング内に配置され、前記空気ハウジングを第1チャンバ及び第2チャンバに分割する増力部材と、
前記空気ハウジングと前記抑制装置ハウジングとの間で固定され、空気チャンバと前記プロセス流体チャンバとを流体的に分離する圧力制御部材と、
前記増力部材と前記圧力制御部材との間に延在し、且つ前記増力部材と前記圧力制御部材とを接続するシャフトであって、
前記空気チャンバと、前記空気チャンバと前記第2チャンバとの間に配置された壁部
と、前記第2チャンバと、を貫通して延びるシャフトと、を含み、
前記増力部材はピストンであり、
前記空気ハウジングのチャンバ壁は、前記第2チャンバを少なくとも部分的に画定し、前記チャンバ壁は、前記チャンバ壁に沿って前記チャンバ壁の直径が変化するような傾斜部分を有し、
前記増力部材は、前記傾斜部分と係合しており、前記空気ハウジングの内部で前記チャンバ壁に対して前記傾斜部分に沿って移動するように構成されており、
前記作動流体源は、前記空気ハウジングにおける前記第1チャンバに作動流体を供給するように構成されており、これにより前記第1チャンバを加圧し、
前記作動流体は、前記圧力制御部材を、前記増力部材及び前記シャフトを介して、前記プロセス流体チャンバ内に付勢するように構成されている、流体システム。
【請求項14】
前記空気ハウジングに取付けられ、前記第1チャンバ内に少なくとも部分的に延在している第1圧力制御弁と、
前記空気ハウジングに取付けられ、前記第2チャンバ内に少なくとも部分的に延在している第2圧力制御弁と、を更に備え、
前記第1圧力制御弁は、開状態と閉状態との間で作動可能であり、前記開状態において、前記第1圧力制御弁は、前記作動流体源と前記第1チャンバとを流体接続し、前記閉状態において、前記第1圧力制御弁は、前記作動流体源と前記第1チャンバとを流体的に分離し、
前記第2圧力制御弁は、開状態と閉状態との間で作動可能であり、前記開状態において、前記第2圧力制御弁は、前記第1チャンバと前記第2チャンバとを流体接続し、前記閉状態において、前記第2圧力制御弁は、前記第1チャンバと前記第2チャンバとを流体的に分離する、請求項
13記載の流体システム。
【請求項15】
前記圧力制御部材はダイヤフラムを含む、請求項
13記載の流体システム。
【請求項16】
前記増力部材は第1の有効面積を有し、前記圧力制御部材は第2の有効面積を有し、前記第1の有効面積は前記第2の有効面積よりも大きい、請求項
13記載の流体システム。
【請求項17】
サージ抑制装置の増力部材における第1の側に第1圧力制御弁を接触させ、これにより、前記第1圧力制御弁を第1開状態に移動させる工程と、
前記第1圧力制御弁を前記第1開状態にし、前記第1圧力制御弁を通じて、空気ハウジングの上部チャンバ内に作動流体を流入させる工程であって、前記作動流体が前記上部チャンバ内の充填圧力を増加させる工程と、
前記増力部材における第2の側に第2圧力制御弁を接触させ、これにより、前記第2圧力制御弁を第2開状態に移動させる工程と、
前記第2圧力制御弁を前記第2開状態にし、前記第2圧力制御弁を通じて、前記上部チャンバから作動流体を排出させる工程であって、前記上部チャンバ内の前記充填圧力を減少させる工程と、を備え、
前記増力部材は、前記増力部材と圧力制御部材との間に延在するシャフトによって、前記サージ抑制装置の前記圧力制御部材に接続されており、
前記圧力制御部材は、プロセス流体が流れる流体チャンバを少なくとも部分的に画定し、且つ、前記プロセス流体における振動を減衰するように構成されている、方法。
【請求項18】
前記上部チャンバ内に作動流体を流入させる工程は、空気圧縮機によって
圧縮空気を発生させる工程と、前記第1圧力制御弁を通じて前記上部チャンバ内に前記圧縮空気を流入させる工程とを含み、前記圧縮空気が前記作動流体である、請求項
17記載の方法。
【請求項19】
前記増力部材の前記第1の側に前記第1圧力制御弁を接触させる工程は、
前記第1圧力制御弁を形成するポペット弁のステムを、前記増力部材を形成するピストンの頂部側に接触させる工程と、
前記頂部側とともに上方に前記ステムを押し上げ、前記第1圧力制御弁を前記第1開状態に移動させる工程と、を含む、請求項
17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2018年5月25日に出願された「空気圧式サージ抑制装置」という名称の米国仮出願第62/676413号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、流体移動に関する。より具体的には、本開示は、流体ポンプおよび振動減衰に関する。
【0003】
サージ抑制装置は、多くの産業において、流体処理システムにおける圧力変動および圧力スパイクを減衰させるのを助けるために使用されている。塗料循環システムにおいて、サージ抑制装置は、ポンプストロークを切り換える間に往復ポンプの出力によって生じる圧力脈動を減衰させるために使用される。
【0004】
空気圧式サージ抑制装置は、典型的には、圧縮空気等の作動流体と塗料等のプロセス流体との間に配置されたダイヤフラムを含んでおり、作動流体は当該ダイヤフラムの一方の側にあり、プロセス流体はダイヤフラムの他方の側にある。設計は、本質的には、空気圧をダイヤフラムの他方の側の流体圧力の約75~100%とすることを要求する。多くの塗装システムは、高圧で作動する。その結果、抑制装置は、店舗で入手しやすく、工業的設定においてよく見られる空気圧より高い空気圧で充填されなければならず、それは通常、平方インチあたり約100ポンド(psi)(0.7MPa)である。このことは、オペレータに、特別な高圧空気タンク又は高圧窒素タンクを用いた抑制装置の充填を要求するととともに、増大するコスト、時間、及び労力を必要とする。システムの中には、空気圧増幅器を含むものもあり、当該空気圧増幅器は、空気をさらに圧縮して、空気圧式サージ抑制装置に供給される作動流体の圧力を増大させる、空気圧で駆動する装置である。空気圧増幅器は、サージ抑制装置の空気入口部の内部に配管され得る。空気圧増幅器は費用がかかることがあり、長期に亘る信頼性に問題を有することがある。
【0005】
サージ抑制装置内の空気圧は、通常、手動で設定、維持される。これには、僅かな漏れとシステム流体圧力の変化を考慮に入れるための常時監視と調整が必要である。サージ抑制装置の中には、圧力を自動調整し且つダイヤフラムを中心に保持しようとして、空気を加えたり放出したりするスプール弁を組み込んだものがある。自動調整システムのバルブには、チャタリング及び漏れが発生しやすく、定期的に自己調整を行う必要がある。
【0006】
ダイヤフラムは、プロセス流体と作動流体との間の境界を提供する。ダイヤフラムが破裂すると、相互汚染および漏れが起こり得る。サージ抑制装置の内部構成要素は塗料で汚染される可能性があり、ユーザはサージ抑制装置の様々な構成要素を分解し、洗浄する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、サージ抑制装置は、圧力制御部材と、空気ハウジング内に配置された増力部材と、増力部材と圧力制御部材との間に延在し、且つ増力部材と圧力制御部材とを接続するシャフトと、を含む。増力部材は、空気ハウジング内において少なくとも部分的に第1チャンバを画定し、第1チャンバは作動流体によって加圧されるように構成されており、これにより、増力部材及びシャフトを介して圧力制御部材を第1の方向に付勢する。
【0008】
本開示の別の態様によれば、流体システムは、流体入口、流体出口、及びプロセス流体チャンバを含む抑制装置ハウジングと、抑制装置ハウジングに取付けられた空気ハウジングと、記空気ハウジングと抑制装置ハウジングとの間に延在している抑制機構と、空気ハウジングに接続され、空気ハウジングにおける第1チャンバに作動流体を供給し、前記第1チャンバを加圧するように構成された作動流体源と、を備える。抑制機構は、空気ハウジング内に配置され、空気ハウジングを第1チャンバ及び第2チャンバに分割する増力部材と、空気ハウジングと抑制装置ハウジングとの間に固定され、空気チャンバとプロセス流体チャンバを流体的に分離する圧力制御部材と、増力部材と圧力制御部材との間に延在し、且つ増力部材と圧力制御部材とを接続するシャフトであって、空気チャンバと第2チャンバとの間に配置された壁部を貫通して延びるシャフトと、を含む。作動流体は、圧力制御部材を、増力部材及びシャフトを介して、プロセス流体チャンバ内に付勢するように構成されている。
【0009】
本開示のさらに別の態様によれば、方法は、サージ抑制装置の増力部材における第1の側に第1圧力制御弁を接触させ、これにより、第1圧力制御弁を第1開状態に移動させる工程と、第1圧力制御弁を第1開状態にし、第1圧力制御弁を通じて、空気ハウジングの上部チャンバ内に作動流体を流入させる工程であって、作動流体が、上部チャンバ内の充填圧力を増加させる工程と、増力部材における第2の側に第2圧力制御弁を接触させ、これにより、第2圧力制御弁を第2開状態に移動させる工程と、第2圧力制御弁を第2開状態にし、第2圧力制御弁を通じて、上部チャンバから作動流体を排出させる工程であって、上部チャンバ内の充填圧力を減少させる工程と、を備え、増力部材は、当該増力部材と圧力制御部材との間に延在するシャフトによって、サージ抑制装置の圧力制御部材に接続されており、圧力制御部材は、プロセス流体が流れる流体チャンバを少なくとも部分的に画定し、且つ、プロセス流体における振動を減衰するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ポンピングシステムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、流体処理システム10の概略ブロック図である。流体処理システム10は、容器12、ポンプ14、流体ライン16、サージ抑制装置18、出口部20、および作動流体源22を含む。サージ抑制装置18は、空気ハウジング24、プロセスハウジング26、抑制機構28、作動流体チャンバ30、およびプロセス流体チャンバ32を含む。抑制機構28は、増力部材34、シャフト36、および圧力制御部材38を含む。
【0012】
流体処理システム10は、プロセス流体を出口部20に所定圧力下で供給するように構成されている。いくつかの例では、プロセス流体は塗料であり、これにより、流体処理システム10は塗料処理システムとなる。いくつかの例では、プロセス流体は潤滑剤であり、これにより、流体処理システム10は潤滑剤処理システムとなる。いくつかの例では、プロセス流体は、他の選択肢の中でも特に、油、クーラント、ワッシャ流体、および伝達流体のような自動車用の流体である。このように、流体処理システム10は、自動車用流体処理システムとすることができる。しかしながら、流体は、任意の所望のタイプであり得ることが理解される。
【0013】
ポンプ14は、流体ライン16を通じて容器12から出口部20へプロセス流体を送り込む。ポンプ14は、任意の所望のタイプのポンプとすることができる。例えば、ポンプ14は、容積型ポンプ、蠕動型ポンプ、回転ベーンポンプ、回転子-固定子ポンプ、または任意の他の所望のポンプであり得る。ポンプ14は、ピストン、プランジャー、ダイヤフラム、または任意の他の所望のポンピング機構を含むことができる。いくつかの例では、ポンプ14は、約300psi(約2.1MPa)までの高圧を発生することができる。しかしながら、サージ抑制装置18は、振動減衰が望まれる任意の流体処理システム10内に配置することができると理解される。例えば、プロセス流体圧力は、流体噴霧用途において、数千psiを超える、場合によっては3,000psi(約21MPa)に至ることができる。
【0014】
出口部20は、プロセス流体を出力するように構成される。いくつかの例では、出口部20は噴霧器であり、これにより、流体処理システム10は流体噴霧システムとなる。一例では、流体処理システム10が塗料噴霧システムである。いくつかの例では、出口部20は分配器である。一例において、流体処理システム10は、潤滑剤分配システムである。いくつかの例では、流体処理システム10は自動車用流体分配システムである。出口部20は容器12から流体を受け取り、その流体を出力するのに適した任意のタイプのものとし得ることを理解されたい。
【0015】
サージ抑制装置18は、流体ライン16に配置されている。空気ハウジング24はプロセスハウジング26に取り付けられている。流体ライン16は、プロセスハウジング26に接続されており、これにより、プロセスハウジング26内に配置されたプロセス流体チャンバ32に流体を供給する。流体ライン16は、プロセスハウジング26から出口部20へ下流側に延びている。サージ抑制装置18内には、抑制機構28が配置されている。増力部材34は、空気ハウジング24内に配置されており、作動流体チャンバ30を少なくとも部分的に画定している。圧力制御部材38は、プロセスハウジング26内に配置されており、プロセス流体チャンバ32を少なくとも部分的に画定している。シャフト36は、増力部材34と圧力制御部材38との間に延びており、これらを連結している。いくつかの例では、増力部材34はピストンであってよく、圧力制御部材38はダイヤフラムであってよい。いくつかの例では、増力部材34がダイヤフラムであってよく、圧力制御部材38がピストンであってもよい。他の例では、増力部材34および圧力制御部材38の両方がピストンおよびダイヤフラムの一方と同じものであってもよい。
【0016】
作動流体源22は、サージ抑制装置18に接続されており、サージ抑制装置18の作動流体チャンバ30に作動流体を提供する。作動流体は、充填圧力に至るまでサージ抑制装置18を満たす。いくつかの例では、作動流体源22は空気圧縮機であり、これにより、作動流体は圧縮空気となる。例えば、作動流体源22は、機械又は自動車工場における空気圧縮機とすることができる。しかしながら、作動流体は、圧縮空気または別の加圧ガスのような作動流体チャンバ30を加圧するために適切に構成された任意のタイプのものでもよいと理解される。例えば、作動流体は窒素とすることができる。圧縮ガスは、増力部材34を下方に押し上げるために必要なエネルギーを蓄えている。
【0017】
サージ抑制装置18は、出口部20に送り出されるプロセス流体における圧力変動および圧力スパイクを減衰するように構成されている。充填圧力およびプロセス流体圧力は、プロセス流体がプロセス流体チャンバ32を通って流れるときに、抑制機構28を用いて力平衡を生成する。いくつかの例では、増力部材34は、圧力制御部材38よりも大きな有効面積を有することができ、これは、作動流体によって作用される領域であるとともに、当該増力部材の変位をもたらす領域である。増力部材34の有効面積が圧力制御部材38の有効面積よりも大きいことは増力効果を提供し、このような増力効果により、抑制機構28は、当該抑制機構28に作用する作動流体の力よりも大きな力をプロセス流体に与える。したがって、作動流体圧力によって生成された力は抑制機構28を介して増幅され、それによってユーザは、高圧プロセス流体と低圧作動流体との間で振動を減衰させることができる。
【0018】
例えば、ユーザは、100psiの作動流体圧力を生成することができる作動流体源22を用いて、約300psiの圧力を有するプロセス流体における振動を減衰させることができる。このような振動を効果的に減衰するために、ユーザは、圧力制御部材38の有効面積の3倍の有効面積を有する増力部材34を含む抑制機構28を利用することができる。増力部材34は圧力制御部材38の有効面積の約3倍の有効面積を有するので、圧力制御部材38によってプロセス流体に加えられる力は、作動流体によって増力部材34に加えられる力の3倍になる。
【0019】
これにより、抑制機構28は、増力部材34に作用する作動流体圧力と、圧力制御部材38によってプロセス流体に加えられた圧力との間において力増幅を提供する。それにより、ユーザは、ポンプ14によって出力されたプロセス流体圧力よりも低い圧力を提供し得る作動流体源22を含むサージ抑制装置18を利用することができる。このように、サージ抑制装置18は低コストの圧力増幅器を提供し、既存の流体処理システムに容易に組み込むことができる。さらに、サージ抑制装置18は、増力部材34および圧力制御部材38の有効面積に基づいて、作動流体とプロセス流体との間に任意の所望の圧力比を提供するように構成し得る。
【0020】
図2Aは、サージ抑制装置118の第1断面図である。
図2Bは、サージ抑制装置118の第2断面図である。
図2Aおよび
図2Bは、一緒に説明される。サージ抑制装置118は、空気ハウジング124、プロセスハウジング126、抑制機構128、圧力制御弁140a、140b(
図2A)、逆止弁142(
図2B)、シャフトシール144、ベアリング146、および排出マフラ148(
図2A)を含む。抑制機構128は、増力部材134、シャフト136、および圧力制御部材138を含む。空気ハウジング124は、上部ハウジング150および下部ハウジング152を含む。増力部材134は、第1側部154、第2側部156、ピストン158、およびピストンシール160を含む。ピストン158は周縁部162を含む。シャフト136は、フランジ164、上部ボア166、および下部ボア168を含む。圧力制御部材138は、ダイヤフラム170、第1プレート172、および第2プレート173を含む。上部ハウジング150は、作動流体入口174(
図2A)および弁孔176a(
図2A)を含む。下部ハウジング152は、弁孔176b(
図2A)、チャンバ壁178、下部壁180、排出部入口182(
図2A)、排出経路184(
図2A)、排出口186(
図2A)、チェックベント188(
図2B)、および水平面189(
図2A)を含む。チャンバ壁178は、上端190および下端192を含む。下部壁180は、シャフト孔194を含む。プロセスハウジング126は、流体入口196および流体出口198(
図2A)を含む。圧力制御弁140a、140bは、それぞれ、弁ハウジング200a、200b、弁部材202a、202b、弁座204a、204b、ステム206a、206b、第1ばね208a、208b、および第2ばね210a、210bを含む。逆止弁142は、チェックライン212、チェック部材214、およびフロート216を含む。
【0021】
空気ハウジング124はプロセスハウジング126に取り付けられている。具体的には、空気ハウジング124の下部ハウジング152が、プロセスハウジング126に取り付けられている。ダイヤフラム170の周縁エッジは、下部ハウジング152とプロセスハウジング126との間に保持されている。プロセス流体チャンバ132は、圧力制御部材138とプロセスハウジング126とによって画定されている。動作中、プロセス流体は、流体入口196を通じてサージ抑制装置118に流入し、プロセス流体チャンバ132を通じて流れ、流体出口198を通じてサージ抑制装置118から流出する。空気チャンバ133は、圧力制御部材138と下部ハウジング152との間に配置される。
【0022】
上部ハウジング150は下部ハウジング152に取り付けられている。空気ハウジング124は別個のハウジング部品から形成されるように示されているが、空気ハウジング124は一体の部品として形成され得ることが理解される。増力部材134は空気ハウジング124内に配置されており、空気ハウジング124を上部チャンバ130及び下部チャンバ131に分離する。上部チャンバ130は、少なくとも部分的に、増力部材134の第1側部154及び上部ハウジング150によって画定されている。下部チャンバ131は、少なくとも部分的に、増力部材134の第2側部156及び下部ハウジング152によって画定されている。上部チャンバ130および下部チャンバ131は、サージ抑制装置118の動作中に容積の増減を行う。図示の例では、増力部材134は、空気ハウジング124内を往復運動するように構成されたピストン158を含む。ピストンシール160は、ピストン158の周縁部162の周りに配置されている。ピストンシール160は、ピストンが空気ハウジング124内を往復運動するときにチャンバ壁178と係合する。
【0023】
チャンバ壁178は、下部ハウジング152内に下部チャンバ131を部分的に画定する。ピストンシール160は、チャンバ壁178と係合し、これにより、上部チャンバ130と下部チャンバ131との間にシールを形成する。チャンバ壁178は、チャンバ壁178の上端190において第1直径D1を有する。チャンバ壁178は、チャンバ壁178の下端192に第2直径D2を有する。いくつかの例では、第2直径D2は第1直径D1よりも大きい。このようにして、チャンバ壁178は、上端190と下端192との間において傾斜している。
【0024】
ピストンシール160は、周縁部162の周りに配置されるとともに、かつピストン158の周囲に延在する溝内に配置される。ピストンシール160は付勢されており、これにより、ピストン158の往復運動中にチャンバ壁178の直径が変化するとき、チャンバ壁178との係合を維持するように、ピストンシール160が溝内で膨張および収縮する。ピストン158の直径が変化することにより、往復運動中にピストン158の可変有効面積が効果的に生成される。ピストン158が下方に移動すると、ピストン158の有効面積が増加する。ピストン158が上方に移動すると、ピストン158の有効面積は減少する。増力部材134の有効面積が変わると、抑制機構128を用いた力の増幅が変化する。当該変化する有効面積は、動作中、圧力制御弁140a、140bの間の浮動位置にピストン158を保持することを補助する。変化する有効面積は、ピストン158の移動による上部チャンバ130内の空気圧の変動の主要因となる。ピストン158が下方に移動すると、上部チャンバ130の膨張により、上部チャンバ130内の空気圧が低下する。ピストン158の有効面積が増加することから、ピストン158とダイヤフラム170との有効面積の間での比が増加し、これにより、上部チャンバ130の膨張による圧力低下を補償する。ピストン158が上方に移動すると、上部チャンバ130の容積の減少により、上部チャンバ130内の圧力は増加する。ピストン158の有効面積が減少することから、ピストン158とダイヤフラム170との有効面積の間での比が減少し、これにより、上部チャンバ130の容積の減少による圧力増加を補償する。このように、ピストン158は圧力制御弁140a、140bを作動させて、それぞれの開状態の使用頻度を低くし、それによって、チャタリングを防止し、作動中に利用される作動流体の体積を減少させる。
【0025】
弁孔176aは、上部ハウジング150内に延びている。圧力制御弁140aは、弁孔176a内に配置される。図示の例では、弁ハウジング200aが弁孔176a内に固定されており、これにより、圧力制御弁140aが上部ハウジング150に取り付けられる。弁ハウジング200aは任意の適切な方法、例えば、相互のねじ切りによって、または圧入によって、弁孔176a内に固定することができる。作動流体入口174は、上部ハウジング150内に延在し、弁孔176aと流体連通している。作動流体入口174は、作動流体源22(
図1)などの作動流体源に接続しており、作動流体をサージ抑制装置118に供給するように構成されている。例えば、作動流体入口174は、作動流体が圧縮空気である場合、空気圧縮機から延びるホースを受け入れることができる。圧力制御弁140aは、増力部材134によって開放されるように構成された常閉弁である。圧力制御弁140aは、閉状態にあるとき、作動流体入口174と上部チャンバ130との間の流体流路を閉じ、それによって作動流体が上部チャンバ130に流入することを阻止する。圧力制御弁140aは、開状態にあるとき、作動流体入口174と上部チャンバ130との間の流体流路を開き、それによって作動流体が上部チャンバ130に流入することを可能にする。図示の例では、圧力制御弁140aはポペット弁である。しかしながら、圧力制御弁140aは、当該圧力制御弁140aを跨ぐ作動流体の流れを制御するための任意の所望の構成とし得ることが理解される。
【0026】
弁孔176bは、下部ハウジング152内に延びている。圧力制御弁140bは、弁孔176b内に配置されている。図示の例では、弁ハウジング200bが弁孔176b内に固定されており、これにより、圧力制御弁140bが下部ハウジング152に取り付けられる。弁ハウジング200bは任意の適切な方法、例えば、相互のねじ切りによって、または圧入によって、弁孔176b内に固定することができる。圧力制御弁140bは、増力部材134によって開放されるように構成された常閉弁である。圧力制御弁140bは、閉状態にあるときに、上部チャンバ130と下部チャンバ131との間の流体流路を閉じ、それによって、作動流体が上部チャンバ130から下部チャンバ131に放出することを阻止する。圧力制御弁140bは、開状態にあるときに、上部チャンバ130と下部チャンバ131との間の流体流路を開き、それによって、作動流体を上部チャンバ130から下部チャンバ131へ放出する。図示の例では、圧力制御弁140bはポペット弁である。しかしながら、圧力制御弁140bは、圧力制御弁140bを跨ぐ作動流体の流れを制御するための任意の所望の構成とし得ることが理解される。
【0027】
排出部入口182は、下部ハウジング152の水平面189を通じて延在する。排出経路184は、排出部入口182と弁孔176bとの間を、下部ハウジング152を通って延びている。排出経路184は、上部チャンバ130から圧力制御弁140bへの流路を提供し、上部チャンバ130から下部チャンバ131への作動流体の排出を容易にする。排出口186は、下部ハウジング152を通じて、下部ハウジング152の外側と下部チャンバ131との間に延びている。排出口186には排出マフラ148が取り付けられている。圧力制御弁140bを介して下部チャンバ131に放出された作動流体は、排出口186および排出マフラ148を介して大気中に排出され得る。作動流体は大気中に排出されるものとして説明されているが、作動流体は、当該作動流体を受け入れるのに適した任意の場所に排出してもよいことを理解されたい。例えば、作動流体が油圧流体または別の液体である場合、作動流体は、当該作動流体を受け入れるのに適した容器に排出され得る。
【0028】
各圧力制御弁140a、140bについて、弁ハウジング200a、200bはそれぞれ弁孔176a、176bに取り付けられている。弁部材202a、202bは、弁ハウジング200a、200b内に配置されている。弁部材202a、202bは、圧力制御弁140a、140bを通る流れを防止するために弁座204a、204bと係合し、圧力制御弁140a、140bを通る流れを可能にするために弁座204a、204bから離脱する。ステム206a、206bは、それぞれ、弁部材202a、202bから上部チャンバ130および下部チャンバ131内に延びている。第1ばね208a、208bはそれぞれ、ステム206a、206bと弁部材202a、202bとの間に配置されている。第2ばね210a、210bはそれぞれ、弁ハウジング200a、200b内に配置されており、弁座204a、204bと係合する方向に弁部材202a、202bを付勢するように構成されている。
【0029】
圧力制御部材138は、プロセス流体チャンバ132と隣接しており、当該プロセス流体チャンバ132を少なくとも部分的に画定する。圧力制御部材138は、プロセス流体チャンバ132を通って流れるプロセス流体によって上下動するように構成される。抑制機構128は、圧力制御部材138を介してプロセス流体チャンバ132を流れるプロセス流体に圧縮力を及ぼす。当該圧縮力は、作動流体が増力部材134を介して抑制機構128を下方に押し込むことによって生成される。抑制機構128によって加えられる力は、プロセス流体内の圧力スパイクに対抗し、それによって、プロセス流体内の振動を減衰する。
【0030】
圧力制御部材138はまた、プロセス流体チャンバ132とは反対の圧力制御部材138の側において空気チャンバ133に隣接しており、当該空気チャンバ133を少なくとも部分的に画定する。圧力制御部材138は、空気チャンバ133とプロセス流体チャンバ132とを流体的に隔離する。
【0031】
シャフト136は、増力部材134と圧力制御部材138との間に延在しており、これらを接続する。フランジナット218は、ピストン158を通って延びている。フランジナット218の一部は、シャフト136の上部ボア166内に固定されている。例えば、フランジナット218は、上部ボア166内の雌ネジと結合する雄ネジを含むことができる。ピストン158は、フランジナット218とシャフト136のフランジ164との間に固定される。シャフト136は、ピストン158から、下部ハウジング152の下部壁180内のシャフト孔194を通って延在する。シャフトシール144は、シャフト孔194内に配置され、シャフト136の周囲を延在している。シャフトシール144は、シャフト136と下部ハウジング152との間に流体シールを生成し、これにより、下部チャンバ131と空気チャンバ133との間での流体漏洩を防止する。ベアリング146は、シャフト孔194内に配置され、シャフト136が往復運動するときにシャフト136を支持する。例えば、ベアリング146は、リニアベアリングであってもよい。
【0032】
図示の例では、圧力制御部材138は、ダイヤフラム組立体である。第1プレート172は、ダイヤフラム170の背面側に配置され、シャフト136からの力をダイヤフラムの広い領域にわたって分配することができる。第2プレート173は、ダイヤフラム170内にオーバーモールドされる。止めネジ220は、シャフト136の下部ボア168内に延びており、圧力制御部材138をシャフト136に固定する。止めねじ220は、圧力制御部材138およびシャフト136の各々に、任意の所望の様式(例えば、相互のねじ切り、圧入、またはこれらの組み合わせ)で接続され得る。いくつかの例では、止めねじ220は、ダイヤフラム170と一体である。例えば、止めネジ220は、ダイヤフラム170にオーバーモールドされ得る。
【0033】
チェックベント188は、下部ハウジング152を通って延びており、空気チャンバ133に流体接続されている。チェックライン212は、下部ハウジング152に取り付けられ、そこから延びている。逆止弁142はチェックライン212に取り付けられている。チェックライン212は、空気チャンバ133と逆止弁142との間の流路を提供する。逆止弁142のチェック部材214は通常閉じているが、チェックライン212内の圧力によりチェック部材214が開位置に移動し、これにより、空気チャンバ133から外部への流れを可能にする。例えば、チェック部材214は、ばねによって閉状態に向かって付勢されたボールを含むことができる。フロート216は、チェック部材214の上方に配置されている。フロート216は、図示の例では液体上に浮遊するように構成された中空ボールである。
【0034】
逆止弁142は、空気チャンバ133から空気を排出することを可能にするが、流体の漏出は防止する。作動中、空気は、チェックベント188、チェックライン212、およびチェック部材214を通じて、空気チャンバ133から排出することができる。空気圧によりチェック部材214が開放し、それによって、空気チャンバ133内の任意の圧力を解放することができる。空気はフロート216の傍を通過し、逆止弁142から出る。プロセス流体チャンバ132と空気チャンバ133との間に漏れが発生した場合、漏洩した流体は、チェックベント188及びチェックライン212を通じてチェック部材214に流れることができる。漏洩する流体の圧力により、チェック部材214は開放され得る。しかしながら、フロート216は逆止弁142のハウジング内の流体に接して上昇し、逆止弁142内においてフロート216の上方に配置されたシートと係合する。これにより、フロート216は、逆止弁142から外部への流体経路をシールして、流体の漏出を防止する。それによって、逆止弁142は、流体の漏れを防止しながら空気の放出を可能にする。空気チャンバ133内への流体の漏洩の場合、シャフトシール144が、シャフト136の周囲および下部チャンバ131内への流体の漏洩を防止する。このように、シャフトシール144は、作動流体が流れる通路の、プロセス流体による汚染を防止する。
【0035】
サージ抑制装置118は、作動流体の圧力によって生成される力とプロセス流体に働く力との間において力の増幅を提供することができる。そのように、サージ抑制装置118は、十分に高い圧力の作動流体が入手できない場合に、より高い圧力のプロセス流体での振動を効果的に減衰させることができる。増力部材134は第1有効面積を有し、圧力制御部材138は第2有効面積を有し得る。有効面積の間の比は、力の増幅を提供する。例えば、第1有効面積が第2有効面積よりも大きい場合、抑制機構128は、増力部材134と圧力制御部材138との間において力の増幅を提供する。増力部材134の有効面積が大きいということは、プロセス流体との力平衡を維持しつつ、より低い充填圧力を利用できることを意味する。したがって、より低い作動流体圧力を利用して、振動減衰を提供することができる。
【0036】
自動車工場は、100psiまでの作動流体圧力を提供することができる。第1有効面積と第2有効面積との間の適切な比は、用途のための所望のプロセス流体圧力に基づいて選択することができる。例えば、所望のプロセス流体圧力は300psiとすることができる。プロセス流体内の振動を効果的に減衰させるために、サージ抑制装置118は、圧力制御部材138を介してプロセス流体に約300psiを作用させる必要がある。第1有効面積と第2有効面積との間に3:1の比を有する抑制機構128を利用することにより、ユーザは、300psiのプロセス流体中の振動を100psiの作動流体で効果的に減衰させることができる。いくつかのシステムでは、ユーザは、空気ハウジング124とピストン158を変更し、特定の流体処理の必要性に合わせて有効面積間の比を増減させることができる。
【0037】
動作中、プロセス流体は、プロセス流体チャンバ132を通じて、流体入口196から流体出口198まで流れる。抑制機構128は、プロセス流体内のあらゆる振動を減衰させるように構成される。上部チャンバ130の作動流体は、増力部材134の第1側部に作用し、抑制機構128に下方へ向かう圧力をかける。この力は、シャフト136を介して圧力制御部材138に伝達される。圧力制御部材138によってプロセス流体に加えられた力は、プロセス流体内のあらゆる圧力スパイクおよび振動を減衰させる。効果的な減衰を提供するために、圧力制御部材138によってプロセス流体に加えられる力は、プロセス流体圧力によって抑制機構128に加えられる上向きの力とほぼ等しく維持される。抑制機構128の各側部にかかる力(例えば、作動流体によって加えられる下向きの力と、プロセス流体によって加えられる上向きの力)が均衡することにより、ピストン158は、圧力制御弁140a、140bの中間で空気ハウジング124内に浮遊する。
【0038】
プロセス流体圧力および作動流体圧力の変動は、作動中に発生する可能性がある。サージ抑制装置118は、上部チャンバ130内の作動流体の充填圧力を増減させることによって、圧力差に自動的に適応し、当該圧力差を調整するように構成される。
【0039】
作動流体は、作動流体入口174および圧力制御弁140aを通じて上部チャンバ130に提供される。作動流体は、上部チャンバ130を所定の充填圧力まで満たす。充填圧力は、増力部材134の第1側部154に作用して、抑制機構128を下方に付勢する。プロセス流体圧力は、圧力制御部材138に作用して、抑制機構128を上方に付勢する。圧力が均衡すると、圧力制御弁140a、140bはそれぞれの閉状態を維持しつつ、ピストン158は圧力制御弁140a、140bの間を浮遊する。
【0040】
抑制機構128に作用する上向きの力が抑制機構128に作用する下向きの力を超えると、ピストン158は空気ハウジング124内で上昇する。ピストン158は、第1側部154が圧力制御弁140aに到達し、当該圧力制御弁140aを開状態に駆動するまで、空気ハウジング124内で上昇し続ける。
【0041】
第1側部154は、最初にステム206aに接触し、ステム206aを上方に駆動する。ステム206aは上方に移動し、ステム206aと弁部材202aとの間で第1ばね208aを圧縮する。第1ばね208aは、弁部材202aを上方に押し上げ、弁部材202aの下流側に第1の力を及ぼす。第2ばね210aおよび圧力制御弁140aの上流側の作動流体圧力は、作動流体入口174において、弁部材202aを下方に押し、それによって、弁部材202aの上流側に第2の力を及ぼす。このように、第1の力は、最初は第1ばね208bの機械的な力、及び、上部チャンバ130内の流体圧力である。第2の力は、最初は第2ばね210bの機械的な力、及び、作動流体入口174内の作動流体圧力の流体力である。いくつかの例では、第1ばね208aおよび第2ばね210aが実質的に同等のばね力を有する。いくつかの例では、第1ばね208aは第2ばね210aよりも大きなばね力を有し、その結果、第1ばね208aは第2ばね210aよりも大きな力をステム206aに及ぼす。
【0042】
圧力制御弁140aの上流側における作動流体圧力によって、最初は第2の力が第1の力よりも大きいため、弁部材202aは直ちに開状態に移行しない。ピストン158が上昇し続けると、第1の力は最終的に第2の力に達し、それを超える。次いで、弁部材202aは弁座204aを外れて移動し、当該弁座204aから離脱する。弁座204aから離脱する弁部材202aは、圧力制御弁140aを通る流路を開放する。作動流体はその流路を流れ、流体圧力は弁部材202aによって均等となる。圧力が均等になるため、第2の力は、作動流体の流体圧および第2ばね210aの機械的な力を複合した状態から、ちょうど第2ばね210aの機械的な力にまで、突然低下する。弁部材202aの両側で作動流体圧力が均等化されると、第1の力は、第1ばね208aによって生成される機械的な上向きの力となり、第2の力は、第2ばね210によって生成される機械的な下向きの力となる。第1ばね208aはステム206aが移動するにつれて圧縮されるが、弁部材202aが閉状態に維持されるので、最初、第2ばね210aは圧縮されない。弁部材202aが弁座204aから離脱すると、第2の力の急激な低下によって、第1ばね208aによって加えられた力と第2ばね210aによって加えられた力との間で弁部材202aに力の差が生じる。これらの力は、第1ばね208aが伸張し、第2ばね210aが収縮することによって釣り合い、それによって弁部材202aが急に開く。弁部材202aが急に開くことにより、圧力制御弁140aを通る広い流路が開放される。弁部材202aが急に全開になると、開状態と閉状態との間で弁が迅速に往復するときに発生し得る弁のチャタリングが防止される。
【0043】
このように、ステム206aが押圧されると、弁部材202aの下流側のばね力及び圧力が、第2ばね210bのばね力及び弁部材202aの上流側の圧力と等しくなるまで、ステム206aが移動する。これが起こると、圧力制御弁140aは開口し始め、その流れによって、弁部材202aの上方の圧力が低下する。これにより、力バランスが崩れ、弁部材202aは、第1ばね208aの全範囲まで急に開く。これは、ヒステリシス効果を生成し、圧力制御弁140aが単に僅かに開き、ゆっくり漏洩することを防止する。
【0044】
作動流体は、圧力制御弁140aを通って作動流体チャンバに流れ、上部チャンバ130内の充填圧力を増加させる。上部チャンバ130内の充填圧力は、作動流体圧力がピストン158を下方に移動させ、弁部材202aを開状態に維持する力を除去するまで上昇し続ける。弁部材202aは、ピストン158aの移動に追従する。ピストン158はステム206から離脱し、弁部材202aが弁座204aと再び係合し、それによって、圧力制御弁140aを通る流路が閉鎖される。圧力制御弁140aは、閉鎖状態にあるとき、作動流体入口174および上部チャンバ130を流体的に隔離し、それによって、作動流体が上部チャンバ130に流入するのを防止する。
【0045】
作動流体はピストン158を空気ハウジング124内で下方に押し、これにより、作動流体圧力とプロセス流体圧力との間で抑制機構128を用いた力のバランスを取る。プロセス流体圧力が低下すると、ピストン158は空気ハウジング124内に入り込む。力の差は、増力部材134が圧力制御弁140aに到達し、当該圧力制御弁140bを開状態に駆動するまで崩れ続ける。
【0046】
第2側部156は、最初にステム206bに接触し、ステム206bを下方に駆動する。ステム206bは下方に移動し、ステム206bと弁部材202bとの間で第1ばね208bを圧縮する。第1ばね208bは、弁部材202bを下方に押し下げ、弁部材202bの下流側に第1の力を及ぼす。第2ばね210bおよび上圧力制御弁140bの上流の部チャンバ130内における作動流体圧力は、弁部材202bを上方に押し、それによって、弁部材202bの上流側に第2の力を及ぼす。このように、第1の力は、最初は第1ばね208bの機械的な力および下部チャンバ131内の流体圧力である。いくつかの例では、下部チャンバ131内の流体圧力は大気圧であり得る。第2の力は、最初は第2ばね210bの機械的な力および上部チャンバ130内の作動流体圧力の流体力である。いくつかの例では、第1ばね208bおよび第2ばね210bは、実質的に同等のばね力を有する。いくつかの例では、第1ばね208bは、第2ばね210bよりも大きなばね力を有し、その結果、第1ばね208bは、第2ばね210bよりも大きな力をステム206bに及ぼす。
【0047】
最初は第2の力が第1の力よりも大きいので、弁部材202bは直ちに開状態に移行しない。ピストン158が上昇し続けると、第1の力は上昇し続け、最終的に第2の力に達し、それを超える。次いで、弁部材202bは、弁座204bを外れて移動し、当該弁座204bから離脱する。弁座204bから離脱する弁部材202bは、圧力制御弁140bを通る流路を開く。作動流体は、上部チャンバ130から、排出部入口182を通って排出経路184へ流れ、そして弁部材202bへ流れる。作動流体は、弁部材202bと弁座204bとの間の流路を通って、下部チャンバ131に流入する。下部チャンバ131から、作動流体は、排出口186および排出マフラ148を通って大気中に排出することができる。下部チャンバ131は大気中に排出するものとして説明されているが、下部チャンバ131は、排出された作動流体を受け入れるのに適した任意の環境に排出することができると理解される。
【0048】
弁部材202bが弁座204bから離脱すると、流体圧力は、圧力制御弁140bによって均等化される。圧力が均等になるため、第2の力は、作動流体の流体圧および第2ばね210bの機械的な力を複合した状態から、ちょうど第2ばね210bの機械的な力にまで突然低下する。弁部材202bの両側で作動流体圧力が均等化されると、第1の力は、第1ばね208bによって生成される機械的な上向きの力となる。第1ばね208bはステム206bが移動するにつれて圧縮されるが、弁部材202bが閉状態に維持されるので、最初、第2ばね210bは圧縮されない。弁部材202bが弁座204bから離脱すると、第2の力の急激な低下によって、第1ばね208bによって加えられた力と第2ばね210bによって加えられた力との間で弁部材202bに力の差が生じる。これらの力は、第1ばね208bが伸張し、第2ばね210bが収縮することによって釣り合い、これによって、弁部材202bが急に開放する。弁部材202bが急に開くことにより、圧力制御弁140bを通る広い流路が開放される。弁部材202bが急に全開になると、開状態と閉状態との間で弁が迅速に往復するときに発生し得る弁のチャタリングが防止される。
【0049】
圧力制御弁140bが開状態の場合、作動流体は、排出経路184および圧力制御弁140bを通って上部チャンバ130から下部チャンバ131に流れることができる。下部チャンバ131へ排出する作動流体は、排出口186および排出マフラ148を介して大気中に排出される。上部チャンバ130内の充填圧力は、作動流体が上部チャンバ130から排出されるにつれて低下する。当該充填圧力は、抑制機構128を跨ぐ力の差によって抑制機構128が上昇し、それによってピストン158が空気ハウジング124内で上昇するまで、低下し続ける。ピストン158は空気ハウジング124内で上昇し続け、弁部材202bは弁座204bと再び係合する。弁座204bに係合している弁部材202bは、圧力制御弁140bを通る流路を閉じ、それによって作動流体の排出を阻止する。
【0050】
上部チャンバ130内の充填圧力は、サージ抑制装置118によって自動的に制御される。増力部材134は、圧力制御弁140aを開放させ、作動流体を上部チャンバ130内に流入させて、これにより充填圧力が増加する。充填圧力が所望のレベルに到達し、これにより抑制機構128を跨いで力が均衡すると、増力部材134は、圧力制御弁140aから離間して動き、当該圧力制御弁140aを閉じる。増力部材134は、圧力制御弁140bを開放させ、作動流体を上部チャンバ130から排出させて、これにより充填圧力を低下させる。充填圧力が所望のレベルに到達し、これにより抑制機構128を跨いで力が均衡すると、増力部材134は、圧力制御弁140bから離間して動き、当該圧力制御弁140bを閉じる。それによって、サージ抑制装置118は、プロセス流体圧力によって生成される力と作動流体圧力との間の変化する力の差に応じて、充填圧力を自動的に増加および/または減少させる。ユーザは、圧力制御弁140aの上流側の作動流体圧力を任意の所望の圧力レベルに設定することができ、サージ抑制装置118は上部チャンバ130への流れを自動的に調節し、それにより、過剰な加圧および/または過少の加圧を防止する。
【0051】
サージ抑制装置118は、重要な利点を提供する。増力部材134は圧力制御弁140a、140bの間で往復動し、作動流体を自動的に上部チャンバ130に流入させ、作動流体を自動的に上部チャンバ130から排出させ、それによって上部チャンバ130内の充填圧力を調節することができる。圧力制御弁140a、140bは、ヒステリシスを含んでおり、これにより、望ましくない動作、例えば、サイクル毎の空気圧の過剰な充填及び減衰(チャタリング)が防止される。圧力制御弁140a、140bは、ヒステリシスを生成するためにばねを組み込んでおり、このヒステリシスは、開状態への圧力制御弁140a、140bの移動を遅延させる。ヒステリシスは、弁のチャタリングを防止するとともに、流体圧力の変更などの必要に応じて、又はゆっくりとした長期間に亘る漏れを補償するために、圧力制御弁140a、140bが接触すると直ぐにではなく、圧力制御弁140a、140bが確実に開くことを保証する。
【0052】
サージ抑制装置118は力の増幅も行う。このように、サージ抑制装置118は、プロセス流体圧力よりも低い圧力を有する作動流体を利用して、当該プロセス流体内の振動を抑制することができる。力の増幅により、サージ抑制装置118は、十分に高い圧力の作動流体が利用できないシステムにおいて、より高い圧力でのポンプ動作に関して効果的な圧力減衰を提供することができる。抑制機構128によって力の増幅が提供されるため、作動流体源によって生成される最大レベルを超えて作動流体の圧力を増加させる充填圧増幅器およびサージ抑制装置とは別個の他のそのような装置は不要となる。このように、抑制機構128は、振動を効果的に減衰させるための低コストでコンパクトな機構を提供する。
【0053】
さらに、サージ抑制装置118は、始動時に自動的にバランスをとる。プロセス流体の前に作動流体が流れ始める場合、圧力制御弁140aは、プロセス流体が流れ始めるまで、作動流体が上部チャンバ130に流入することを妨げる。プロセス流体が流れ始めると、プロセス流体圧力によって抑制機構128が上昇し、これにより、増力部材134が圧力制御弁140aを開状態に作動させる。作動流体は、力のバランスが達成されるまで、上部チャンバ130内に流入し、当該上部チャンバ130を充填する。力のバランスにより、ピストン158は、圧力制御弁140a、140bの間で空気ハウジング124内の最適化された位置に移動する。ユーザは動作中に充填圧力を監視し、調整する必要がない。そのように、圧力減衰はより効率的となり、直接的なユーザの操作をほとんど必要としない。さらに、サージ抑制装置118は、運転停止時に作動流体を上部チャンバ130から自動的に排出し、それによって上部チャンバ130内の充填圧力を解放し、過剰な加圧を防止する。運転停止時に、プロセス流体は流れを停止し、充填圧力は抑制機構128を下方に駆動する。増力部材134は圧力制御弁140bを開放し、それによって、上部チャンバ130と下部チャンバ131との間の排出経路184を開放する。作動流体は上部チャンバ130から排出し、それによって、上部チャンバ130は減圧される。
【0054】
図3は、サージ抑制装置318の断面図である。空気ハウジング324、プロセスハウジング326、抑制機構328、逆止弁342、シャフトシール344、およびサージ抑制装置318のベアリング346が示されている。抑制機構328は、増力部材334、シャフト336、および圧力制御部材338を含む。空気ハウジング324は、上部ハウジング350および下部ハウジング352を含む。増力部材334は、第1側部354、第2側部356、ダイヤフラム358、上部プレート359、下部プレート361、および、ねじ418を含む。シャフト336は、フランジ364、上部ボア366、および下部ボア368を含む。圧力制御部材338は、ダイヤフラム370、第1プレート372、第2プレート373、および止めねじ420を含む。下部ハウジング352の下部壁380が示され、下部壁380はシャフト孔394を含む。プロセスハウジング326の流体入口396が示されている。チェックライン412は逆止弁342まで延びている。
【0055】
サージ抑制装置318は、サージ抑制装置318(
図2Aおよび
図2B)およびサージ抑制装置18(
図1)と実質的に同様である。サージ抑制装置318は、本明細書で説明する技術に従って動作するように構成される。
【0056】
空気ハウジング324はプロセスハウジング326に取り付けられている。具体的には、下部ハウジング352がプロセスハウジング326に取り付けられている。上部ハウジング350は、下部ハウジング352に取り付けられて、空気ハウジング324を形成する。増力部材334は、上部ハウジング350と下部ハウジング352との間に固定される。増力部材334は、空気ハウジング324を、上部チャンバ330および下部チャンバ331に分割する。上部チャンバ330は、増力部材334の第1側部354と上部ハウジング350とによって画定される。下部チャンバ331は、増力部材334の第2側部356と下部ハウジング352とによって画定される。上部チャンバ330および下部チャンバ331のそれぞれの容積は、抑制機構328に作用する力の差が動作中に変動することにつれて増減する。
【0057】
ダイヤフラム358の周縁362は、上部ハウジング350と下部ハウジング352との間に保持される。ダイヤフラム358は、圧力制御部材338が動作中に移動するにつれて、動作中に撓むように構成される。ダイヤフラム358は、上部プレート359と下部プレート361との間に固定される。上部プレート359は、増力部材334の第1側部354に配置される。下部プレート361は、増力部材334の第2側部に配置される。いくつかの例では、上部プレート359および下部プレート361は、圧力制御弁140a、140b(
図2Aおよび2B)などの弁と接触して、これらの弁を作動させ、上部チャンバ330内の充填圧力を制御するように構成される。しかしながら、増力部材334は、任意の適切な手段で圧力制御弁を作動するように構成され得ることが理解される。
【0058】
ねじ418は、上部プレート359、ダイヤフラム358、および下部プレート361を貫通して、シャフト336の上部ボア366内に延在する。ねじ418は、増力部材334をシャフト336に固定する。シャフト336は、下部ハウジング352内のシャフト孔394を通って延在し、圧力制御部材338に接続される。シャフトシール344は、シャフト336の周囲に延在しており、シャフト336と下部ハウジング352との間でシャフト孔394におけるシールを提供する。シャフトシール344は、下部チャンバ331と空気チャンバ333との間の流体の漏出を防止する。ベアリング346a、346bは、壁孔内に配置されており、シャフト336が往復運動するときにシャフト336を支持する。
【0059】
圧力制御部材338は、圧力制御部材338の第1側部においてプロセス流体チャンバ332に隣接しており、当該プロセス流体チャンバ332を少なくとも部分的に画定する。圧力制御部材338は、プロセス流体チャンバ332を流れるプロセス流体によって上下動して、任意の下流側の振動を減衰するように構成される。圧力制御部材338はまた、圧力制御部材338の第2側部において空気チャンバ333に隣接しており、当該空気チャンバ333を少なくとも部分的に画定する。圧力制御部材338は、空気チャンバ333とプロセス流体チャンバ332とを流体的に隔離する。
【0060】
動作中、プロセス流体は、プロセス流体チャンバ332を通って流れる。プロセス流体圧力は、抑制機構328の圧力制御部材338に第1の力を及ぼし、当該第1の力が抑制機構328を上方に押し上げる。作動流体は、上部チャンバ330に供給され、所定の充填圧力まで上部チャンバ330を充填する。充填圧力は、抑制機構328の増力部材334に第2の力を及ぼし、当該第2の力が抑制機構328を下方に押し下げる。抑制機構328は、当該抑制機構328に作用する力をバランスさせるように構成されており、これにより、プロセス流体チャンバ332を通って流れるプロセス流体における圧力スパイクおよび振動が減衰される。
【0061】
プロセス流体圧力によって生成される力が作動流体圧力によって生成される力を克服すると、増力部材334は上部チャンバ330内で上昇する。増力部材334は上昇し、圧力制御弁140aなどの第1圧力制御弁に接触し、第1圧力制御弁を開状態に作動させる。第1圧力制御弁を開状態にすると、作動流体が上部チャンバ330に流入し、それによって、上部チャンバ330内の流体圧力が上昇する。充填圧力は、力の差によって増力部材334が下方に移動するまで増加し続け、それによって、第1圧力制御弁から力を取り除き、第1圧力制御弁が閉状態に戻ることを可能にする。
【0062】
作動流体圧力によって生成される力がプロセス流体圧力によって生成される力を克服すると、増力部材334は上部チャンバ330内に入り込む。増力部材334は下降し、圧力制御弁140bなどの第2圧力制御弁に接触し、第2圧力制御弁を開状態に作動させる。第2圧力制御弁を開状態にすると、作動流体は、排出経路184(
図2A)などの排出経路を通じて、上部チャンバ330から下部チャンバ331に流出する。作動流体は、任意の所望の方法で下部チャンバ331から排出することができる。例えば、作動流体が圧縮空気である場合、作動流体を大気中に排出することができる。
【0063】
作動流体が上部チャンバ330から下部チャンバ331に排出されると、上部チャンバ330内の充填圧力が低下する。抑制機構328に作用する力の差によって増力部材334が上方に移動するまで充填圧力は減少し続け、それによって、第2圧力制御弁から力を除去し、第2圧力制御弁が閉状態に戻ることを可能にする。
【0064】
サージ抑制装置318は、著しい利点を提供する。抑制機構328は、作動流体圧力およびプロセス流体圧力が作用する異なる有効面積を有する。異なる有効面積は、抑制機構328を用いた力の増幅を提供する。このようにして、抑制機構328は、より低い圧力の作動流体を利用して、より高い圧力のプロセス流体における振動を減衰させることができる。例えば、店舗は、100psiまでの作動流体圧力を提供することができる。第1有効面積と第2有効面積との適切な比率は、用途に応じて適宜選択することができる。所望のプロセス流体圧力が300psiである場合、第1有効面積は、第2有効面積の3倍の大きさとすることができる。
【0065】
増力部材334のダイヤフラム370の周縁は、上部ハウジング350と下部ハウジング352との間に固定されており、これにより、上部チャンバ330と下部チャンバ331を静的シールによって分離している。したがって、サージ抑制装置318から、いくつかの可動部品を取り外すことができる。また、サージ抑制装置318は、充填圧力とプロセス流体圧力との間の力の平衡を自動的に取る。したがって、ユーザの監視および関与が低減され、作業効率が向上し、ユーザは自由に他の業務を遂行し得る。増力部材334は、第1圧力制御弁および第2圧力制御弁の間で往復動して、作動流体を自動的に上部チャンバ330に流入させ、作動流体を自動的に上部チャンバ330から排出させており、それによって上部チャンバ330内の充填圧力を調節することができる。圧力制御弁はヒステリシスを含むことができ、これにより、望ましくない動作、例えば、サイクル毎の空気圧の、過剰な充填および過剰な減衰(チャタリング)が防止される。
【0066】
サージ抑制装置318はまた、始動時に空気ハウジング324内で自動的にバランスをとる。また、サージ抑制装置318は運転停止時に上部チャンバ330からの圧力を自動的に解放し、過剰な加圧を防止する。ユーザは、動作中に充填圧力を監視し、調整する必要がない。このように、圧力減衰はより効率的となり、直接的なユーザの関与をほとんど必要としない。
【0067】
本発明は好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形式上および細部において様々な変更がなされてもよいことは認識できる。