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  • 特許-ハイドロアキュムレータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】ハイドロアキュムレータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/24 20060101AFI20230809BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
F15B1/24
G01N21/84 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020573016
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019065672
(87)【国際公開番号】W WO2020002004
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】102018005204.5
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】フランク バウアー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クロフト
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-196641(JP,A)
【文献】実開昭56-113645(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0258449(US,A1)
【文献】実開平05-063601(JP,U)
【文献】特開2001-255047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 1/24
G01N 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキュムレータ筐体(10)と、前記アキュムレータ筐体(10)の内部に配置されており、流体側(22)をガス側(24)から分離する、特にピストンの形式の分離要素(20)と、を備える、特にピストンアキュムレータの形式の、ハイドロアキュムレータであって、
少なくとも前記ガス側(24)を、前記アキュムレータ筐体(10)の内部に固定された少なくとも1つの覗き窓(34、36)によって、少なくとも部分的に検査することができ、
2つの覗き窓(34、36)が前記アキュムレータ筐体(10)の内部に固定されており、その内の1つの覗き窓(34、36)は、外部光源からの光を供給するために用いられており、かつ、もう1つの覗き窓(34、36)は、光学的観察のために用いられる、ことを特徴とするハイドロアキュムレータ。
【請求項2】
前記覗き窓(34、36)を製造するために、その後の冷却で、ガラス材料が前記覗き窓(34、36)を形成しながら硬化し、かつ、金属材料によって輪状に締め付けられるように、前記ガラス材料を包囲する前記金属材料は、前記ガラス材料が、前記金属材料と接触した状態で、液状となり、かつ、前記金属材料へ流れる温度まで、前記ガラス材料と共に加熱される、ことを特徴とする請求項1に記載のハイドロアキュムレータ。
【請求項3】
前記金属材料は、前記アキュムレータ筐体(10)の材料から、又は、好ましくは、耐腐食性のステンレス鋼から成り、前記アキュムレータ筐体(10)の内部に挿入されている独立した金属リング(44、46)から、構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載のハイドロアキュムレータ。
【請求項4】
前記覗き窓(34、36)は、
-合わせ安全ガラス、
-ソーダ石灰ガラス、
-ホウケイ酸ガラス、
-ガラスセラミック、又は、
-石英ガラス若しくはサファイアガラス、
である、ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のハイドロアキュムレータ。
【請求項5】
前記覗き窓(34、36)は、露出した前面(56、58)において、切断され、かつ、好ましくは研磨されている、ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のハイドロアキュムレータ。
【請求項6】
前記覗き窓(34、36)は、
-倍率、
-コーティング、及び/又は、
-プリズム特性、
のような、光学的特性を備えている、ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のハイドロアキュムレータ。
【請求項7】
前記覗き窓(34、36)を包囲する金属リング(44、46)は、前記アキュムレータ筐体(10)の内ねじ(52、54)を介して、前記金属リング(44、46)を前記アキュムレータ筐体(10)に固定する、外ねじ(48、50)を有している、ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のハイドロアキュムレータ。
【請求項8】
2つの覗き窓(34、36)が並べて配置されており、かつ、長手方向軸(L1、L2)が前記アキュムレータ筐体(10)の長手方向軸(R)に対して平行に延在するように、前記アキュムレータ筐体(10)に固定されている、ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載のハイドロアキュムレータ。
【請求項9】
2つの覗き窓(34、36)を取り付ける位置は、前記アキュムレータ筐体(10)の前側に配置された、前記アキュムレータ筐体(10)の一部としてのエンドカバー(16)とされている、ことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載のハイドロアキュムレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキュムレータ筐体と、アキュムレータ筐体の内部に配置されており、流体側をガス側から分離する、特に、ピストンの形式の分離要素と、を備える、特に、ピストンアキュムレータの形式の、ハイドロアキュムレータに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス圧アキュムレータとも称される、アキュムレータは、アキュムレータ筐体の内部でガス側を液体側から分離するために使用される分離要素に応じて、ピストンアキュムレータ、ブラダー型アキュムレータ、ダイアフラムアキュムレータ及びベローズアキュムレータと称される。上述したハイドロアキュムレータは、少なくとも各流体回路に接続される前に、ガス側において予め決定可能な圧力設定値を有しており、該圧力設定値は、アキュムレータガス予圧とも称される。
【0003】
分離要素が故障した場合、液体は、アキュムレータの液体側からガス側へ移動し、これが、ガス予圧の損失をもたらし、かつ、定期的にハイドロアキュムレータを使用できない状態にする。
【0004】
このような不具合を検出するために、特許文献1において、アキュムレータ筐体の内側で移動することができる、分離要素としてのピストンの予め決定可能な設定位置を確認するための装置が提案されており、アキュムレータ筐体は、分離要素の一方の側においてガスで満たされており、他方の側において流体回路に接続可能とされており、設定位置は、予め決定可能なガス予圧と関連付けられている。既知の解決法では、分離しているピストンは、分離要素の設定位置を特定する、アキュムレータ筐体の外側の可視マーキングが割り当てられた、試験体を有しており、マーキングに関して、各試験体に設けられた超音波検査装置を、アキュムレータ上に取り付け可能である。その後の作動の間に、かつ、超音波検査装置によって、実際の位置が、予め決定可能なガス予圧に相当する分離しているピストンの設定位置からずれていることを再度確認する場合に、ハイドロアキュムレータが、もはや適切に作動していないことを提示する。
【0005】
ハイドロアキュムレータのための更なる監視装置は、特許文献2から知られている。上述した従来技術において、ハイドロアキュムレータの作動状態の検査は、適切なセンサ技術を有する検査装置の介在に基づかないとできなかった一方で、この監視装置は、アキュムレータ上に検査のために配置された視覚的に認識可能なディスプレイを設けている。この目的のために、筐体の壁に監視装置の一部としての覗き窓が配置されており、覗き窓を通して、媒体搬送方式でガスチャンバに接続されると共に、液体で濡らすと光学特性が認識できるように変化するインジケータを観察することができる。ここで、液体で濡れることは、分離要素が故障したために、液体が、意図せずに気体側へ移動したときに定期的に発生する。アキュムレータ筐体に直接取り付けられており、圧密に閉鎖された覗き窓を介してインジケータを観察することによって、機能は、作動の間、とりわけ簡単に、かつ、外側から安全に、監視することができる。
【0006】
2つの監視装置に共通するのは、分離要素の故障の場合に、アキュムレータの液体側からガス側への液体の移動だけが、検出できる不具合のケースである。しかしながら、このような方法では、他の損傷ケースを検出することができず、ハイドロアキュムレータの他の状態を観察することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第4227657号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014001283号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、このような従来技術に基づいて、本発明の課題は、他の可能性のある不具合の原因に関しても、アキュムレータの状態が監視できるように、既知の解決法をさらに改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、その全体において請求項1の特徴を有するハイドロアキュムレータが解決する。
【0010】
本発明によれば、この目的のために、ハイドロアキュムレータの少なくともガス側は、アキュムレータ筐体の内部に固定された、少なくとも1つの覗き窓によって、少なくとも部分的に、検査することができる。本発明による解決法は、複雑に構成された検査装置の使用を必要とせず、かつ、通常は、化学的なインジケータとして形成されており、ハイドロアキュムレータは、その長期間の作動の間に、応答特性を変化させ、又は、場合によっては完全に失わせてしまう、インジケータ物質も必要としない。一方、本発明による解決法は、少なくともガス側において、アキュムレータ筐体の内側の永続的な目視観察を許容する。
【0011】
ハイドロアキュムレータの作業ガスは、通常、透明な窒素ガスから形成されているため、アキュムレータ筐体の内部及びガス空間内の観察は、邪魔されない。むしろ、ハイドロアキュムレータのガス側は、光学的観察のために自由にアクセス可能とされている。これによれば、分離要素を介した液体のアキュムレータのガス側への不用意な移動が、既知の解決策のように問題なく観察できるだけでなく、腐食、コーティングの剥がれ、例えば、長手方向の運動の間にアキュムレータ筐体の内壁に沿って分離されているピストンを案内するために使用するために取り付けられた、シール部品及びガイド部品を含む、アキュムレータ筐体及び各分離要素からの破損又は分離された部品、といった、起こり得る、さらなる多数の欠陥を観察する事ができる。特に、ピストンアキュムレータが、流体側において圧力変動を平滑化するための脈動ダンパーとして使用される場合に、びびりマーク(chatter mark)又は溝マークが、ピストンアキュムレータの残りの耐用年数についての情報を提供するアキュムレータ筐体の内壁上にしばしば現れる。
【0012】
このような欠陥や故障の検出とは別に、覗き窓は、例えば、作動中の分離要素の機能を見ることによって、分離要素が適切に作動しており、したがって問題がないかどうかを確認するために、ハイドロアキュムレータの状態について視覚的に表示するためにも使用されている。各分離要素(膜又はブラダー)にエラストマー材料が使用されている場合には、その品質、例えば、分離要素の間隙率に関する信頼性を表示することができる。
【0013】
好ましくは、ハイドロアキュムレータのガス側において、光学的状態監視を行う場合に、そこに導入される流体の量によって外部からの光学的観察が損なわれる場合であっても、流体側を追加的に、又は、代わりに監視することも可能である。このようにすれば、例えば、ガス側から液体側に、意図せずに気泡の形で定期的に移動するガス量を光学的に検出することができる。
【0014】
適切なセンサ技術が用いられる場合には、アキュムレータ自体を保守要員及び運用要員を必要とすることなく監視することができ、これには、カメラ技術の利用も含まれる。
【0015】
ハイドロアキュムレータの取り付け位置に応じて、各覗き窓は、カバー上、アキュムレータ筐体の底部又は側壁に配置することができる。アキュムレータ筐体の側壁に配置する場合、アキュムレータ筐体に挿入された覗き窓は、分離要素の運動を妨げないようにされなければならず、例えば、覗き窓がアキュムレータ筐体の内壁と面一とされて、それゆえ、分離されているピストンは、障害物なしで通過できる。覗き窓の大きさは、覗き窓を通してアキュムレータ筐体の内部に入る光が検査のために十分であるように、便宜的に選択される。
【0016】
本発明によるハイドロアキュムレータの好ましい実施形態では、覗き窓を製造するために、その後の冷却で、ガラス材料が、覗き窓を形成している間に固化し、金属材料によって輪状に締め付けられるように、ガラス材料を取り囲む金属材料は、ガラス材料と接触している間に、ガラス材料が液体であり、かつ、金属材料に流れる温度までガラス材料と共に加熱される。アキュムレータ筐体への覗き窓の流体密の取り付けは、覗き窓のガラス材料とアキュムレータ筐体又は別個の金属リングの金属材料との間に材料の気密な接続を形成することによって達成される。これによって、ハイドロアキュムレータの筐体開口部に挿入された覗き窓では、ガスなどの流体が、アキュムレータ筐体の環境に望ましくない形で到達することがないという利点がもたらされる。リング状の断面の代わりに、覗き窓とそれに関連する筐体開口部の他の任意の外側の輪郭、例えば、正方形、三角形、星形、楕円形、又は、これらに続く任意の自由形状が考えられる。覗き窓と関連する筐体開口部との間の別個の金属部分は、例えば、円形の覗き窓を長方形状の筐体開口部に固定するために、又は、その逆に、筐体開口部の内側の輪郭とは独立して、覗き窓の外側の輪郭を形成するために使用されてもよい。
【0017】
金属と溶融された覗き窓は、実質的に、金属リングの内部で溶融された覗き窓から成る。機械的な予圧によって、このように金属溶融された覗き窓は、強靭材料のように挙動し、かつ、熱的に予圧された覗き窓と比べて増加した安全性を有する。閉鎖された空間としてのハイドロアキュムレータの内部で発生するプロセスを視覚制御するために、金属溶融された覗き窓は、圧力、温度及び媒体負荷に対して必要とされる耐性及び見通すために必要とされる透明性を有する。
【0018】
本発明によるハイドロアキュムレータのさらなる好ましい実施形態では、金属材料は、アキュムレータ筐体の材料、又は、別個の金属リングの材料から成り、好ましくは、アキュムレータ筐体に挿入される耐腐食性のステンレス鋼から成る。別個の構成要素としての金属リングは、覗き窓のガラス材料との接続に適した金属材料の選択を許容し、アキュムレータ筐体に挿入される、金属溶融の覗き窓の別個の製造を可能にする。金属リングは、アキュムレータの外壁と、又は、アキュムレータの外壁の上の、マウントフレームに相当する突出部と面一に取り付けることができる。アキュムレータ筐体の外壁を越えて外側に突出するフレームは、目視検査の割り当てられた障害に加えて、覗き窓を保護するために使用することができ、特に、側部からもたらされる汚れ粒子から保護するために使用することができる。1つの覗き窓又は複数の覗き窓をアキュムレータの外壁に面一で取り付けることの利点は、視覚的に魅力的であり、かつ、清掃が容易であるハイドロアキュムレータの滑らかで突起のない外壁である。
【0019】
覗き窓が、合わせ安全ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、ガラスセラミック、又は、石英ガラス若しくはサファイアガラスであることも有利である。この選択は、ハイドロアキュムレータの内部に収容される液体及び気体に対する耐圧性、温度耐性、透明性、及び材料抵抗に関して選択される、個別の用途のための覗き窓の選択を許容する。選択されたガラス材料に加えて、覗き窓のための筐体開口部の大きさとガラス枠の厚さは、目視検査の品質と覗き窓の寿命に決定的な影響を与える。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、覗き窓の露出した前面は切断され、かつ、好ましくは研磨されている。これにより、覗き窓を通じた目視検査の制限を効果的に取り除くことができる。干渉する傷や凹凸が除去され、かつ、必要に応じて清掃が容易な、視覚的に魅力的な表面が、覗き窓の前面側に形成される。覗き窓は、ハイドロアキュムレータの内部のプロセスを監視するための、メンテナンスフリーの光学検査装置、例えば、ピストンの運動を監視するための装置を、構造的に単純かつ費用対効果の高い方法で提供する。
【0021】
本発明によるハイドロアキュムレータの好ましい実施形態では、覗き窓は、倍率、コーティング及び/又はプリズム特性といった光学特性を設けている。覗き窓の光学特性は、内部に配置された分離要素を有するアキュムレータ筐体の目視検査を促進するために、要件に合わせて調整される。例えば、適切なコーティングは、個々の構成要素間のコントラストを増加させ、構成要素の視野を拡大及び/又は歪ませ、反射防止コーティングによって覗き窓上の正反射を妨害することを防止する。レンズは、いわゆる魚眼として形成されてもよく、覗き窓を通してアキュムレータ筐体の内部を見るときに、対応する歪みを生じさせてもよい。コーティングとは、レンズ、対物レンズ、プリズム又はプレートの光学面の反射を抑制し、透過率を高めるための反射防止コーティングである。要約すると、本発明によって形成された覗き窓は、向上した品質で信頼性の高い目視検査を許容する。
【0022】
ハイドロアキュムレータのもう1つの好ましい実施形態では、覗き窓を取り囲む金属リングは、内ネジを介して金属リングをアキュムレータ筐体に固定する外ネジを有する。外ねじは、内ねじと相互作用して、アキュムレータ筐体の割り当てられた筐体開口部に覗き窓を安全に取り付けると共に、位置的に安定して配置することを許容する。
【0023】
2つの覗き窓がアキュムレータ筐体に固定されており、その内の1枚の覗き窓は、光、好ましくは外部光源からの光を供給するために使用され、もう1枚の覗き窓は、光学的な観察のために使用されることも有利である。このような覗き窓の配置によって、点灯されていないハイドロアキュムレータの内部の照明が実現され、ハイドロアキュムレータ内部の動きや相互作用と同様に、構成要素の観察を促進する。2つの覗き窓を使用する場合は、例えば、照明用の小さな覗き窓と人間による観察用の大きな覗き窓のように、これらの覗き窓は、異なる直径を有してもよい。
【0024】
もう一つの利点は、両方の覗き窓が並んで配置されると共に、これらの長手方向軸が、アキュムレータ筐体の長手方向軸と平行に延在するようにアキュムレータ筐体に固定されていることである。この覗き窓の配置は、観察者の両方の目が、個別のガラスに割り当てられている、双眼鏡に相当するようにハイドロアキュムレータの内部を見ることを許容する。
【0025】
2つの覗き窓の取り付け位置は、好ましくは、アキュムレータ筐体の一部として前方側に配置されたエンドカバーである。給油口から離れて、エンドカバーは、通常、他のいかなるアタッチメントからも解放された状態で保持される。このことは、目視検査のために両方の覗き窓に目を近づけることができる観察者に良好なアクセス性を提供する。
【0026】
有利なことに、エンドカバーは、アキュムレータ筐体から取り外し可能とされており、比較的少ない労力で覗き窓の可能な修理及びメンテナンスを許容する。
【0027】
分離要素の形態に応じて、油圧アキュムレータは、特に、ピストンアキュムレータ、ベローズアキュムレータ、ブラダーアキュムレータ又はダイアフラムアキュムレータとして形成される。少なくとも1つの覗き窓は、アキュムレータ筐体の内部を監視するための検査窓を提供する。
【0028】
本発明の更なる利点及び特徴は、図面及び実施形態の説明から明らかにされる。上述した特徴及び更に言及する特徴は、本発明によって、個別に、又は、任意に組み合わせることによって、ハイドロアキュムレータにおいて実現することができる。図に示される特徴は、純粋に図式的であり、かつ、縮尺どおりではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、内部に配置された分離要素及び上方側のエンドカバーの前端に配置された2つの覗き窓を有する、本発明に係るハイドロアキュムレータの縦断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
唯一の図は、底側に設けられた底部14と、上端に設けられたエンドカバー16と、を有する中空円筒形状の本体部12を有する、アキュムレータ筐体10を有するハイドロアキュムレータを縦断面で示す。底部14とエンドカバー16とは、それぞれの側からアキュムレータ筐体10の本体部12の内部へ挿入されており、かつ、シール部材18を用いて、アキュムレータ筐体に対して流体密に密閉されている。アキュムレータ筐体10の内部には、分離要素20が直線移動可能に配置されている。分離要素20は、底部14側に割り当てられた液体側又はオイル側22をエンドカバー16側に割り当てられたガス側24から分離する、ポット形状のピストンの形状を有する。さらに、分離要素20は、ガス側24に対向するポット形状の開口部を有する。内部に配置された分離要素20を有するアキュムレータ筐体10は、図の表示において垂直に並べられている、ハイドロアキュムレータの長手方向軸Rに対して回転対称とされている。ハイドロアキュムレータは、長手方向軸Rの方向に長く延在しているため、図では中断して描写されている。
【0031】
アキュムレータ筐体10の内部における分離要素20の移動を促進するために、分離要素20の径方向外側に、シールリング26を有するスライディングガイドが形成されている。底部14の内部には流体ポート28が、エンドカバー16の内部にはガスポート30が、いずれも長手方向軸Rに対して同軸に形成されている。図示されたハイドロアキュムレータの機能位置において、流体ポート28は、流体を流体側22へ供給し、又は、流体側から排出するための、図示されない流体管と接続するために開放されている。プラグ32は、予め定められた圧力によってガス側24が充填された後に、ガスポート30を閉鎖するために用いられている。
【0032】
ガス側24のアキュムレータ筐体10の内部を検査するために、第1の覗き窓34及び第2の覗き窓36が、エンドカバー16の第1の貫通穴38及び第2の貫通穴40に配置されている。矢印42によって示されるように、2つの覗き窓34、36は、ハイドロアキュムレータのガス側24の観察、及び、アキュムレータ筐体10内部の分離要素20の位置の監視を許容する。覗き窓34、36は、第1の金属リング44及び第2の金属リング46に材料を適合させて挿入されており、観察グラスを形成する。これらの金属溶融覗き窓34、36の製造のために、ガラス材料を取り囲む金属材料は、その後の冷却時にガラス材料が固化し、各覗き窓を形成し、金属材料、ここでは金属リング44、46によって輪状に締め付けられるように、ガラス材料が、金属材料と接触した状態で、液状となり、かつ、金属材料へ流れる温度まで、覗き窓34、36と共に加熱される。
【0033】
各覗き窓34、36を包囲する金属リング44、46は、好ましくは、耐腐食性のステンレス鋼から成り、かつ、それぞれ、各貫通孔38、40の外側端部に設けられた内ねじ52、54と螺合され、このようにしてアキュムレータ筐体10に固定されている、外ねじ48、50を有する。2つの覗き窓34、36の露出した前面56、58は、切断され、好ましくは、研磨され、対応する金属リング44、46と面一とされている。各覗き窓34、36の好ましいガラス材料は、合わせ安全ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、ガラスセラミック又は石英ガラス若しくはサファイアガラスとされている。2つの覗き窓34、36は、同一の材料から形成されることが推奨されるが、異なるガラス材料を選択することも考えられる。覗き窓34、36及びこれらによって生成される光学効果を通じた視認性を改善するために、覗き窓34、36は、倍率、コーティング及び/又はプリズム特性といった光学特性を備えてもよい。
【0034】
図示されている実施例において、2つの覗き窓34、36が、アキュムレータ筐体10の内部に固定されているが、本体部12及び底部14内に配置された、1つだけ、又は、2つよりも多い覗き窓34、36を設けることも考えられる。図示された実施例において、2つの覗き窓34、34を取り付ける位置は、アキュムレータ筐体10の一部として前方側に配置されたエンドカバー16とされている。2つの覗き窓34、36は、軸方向に突出すると共に、エンドカバー16のカバー前方側60上にわずかな突き出し部分を有する。2つの覗き窓34、36は、並べて配置されると共に、これらの長手方向軸L1、L2が、アキュムレータ筐体の長手方向軸Rと平行に延在するように、アキュムレータ筐体10に固定されている。有利には、一方の覗き窓34は、好ましくは、図に示されていない外部光源からの光を供給するために使用されており、他方の覗き窓36は、光学的観察のために同時に使用されている。
【0035】
本発明による解決法は、構造的に単純で信頼性が高く、かつ、費用対効果の高い方法で、1つ又は複数の覗き窓34,36を介して、ハイドロアキュムレータのアキュムレータ筐体10内部のガス側24と、そこに配置された分離要素20と、更なる構成要素と、を観察することを許容する。各覗き窓34,36が挿入する解決法の態様でねじ挿入部に組み込まれている場合、このようなねじ挿入部は、標準化された構造で大量に製造することができ、レトロフィットキットの態様で作動中の既存のハイドロアキュムレータに挿入することができる。その際、好ましくは、対応する外ねじを設けた金属リング44,46が、挿入ホルダとして使用される。
態様(1)において、アキュムレータ筐体(10)と、前記アキュムレータ筐体(10)の内部に配置されており、流体側(22)をガス側(24)から分離する、特にピストンの形式の分離要素(20)と、を備える、特にピストンアキュムレータの形式の、ハイドロアキュムレータであって、少なくとも前記ガス側(24)を、前記アキュムレータ筐体(10)の内部に固定された少なくとも1つの覗き窓(34、36)によって、少なくとも部分的に検査することができる、ことを特徴とするハイドロアキュムレータが提供される。
態様(2)において、前記覗き窓(34、36)を製造するために、その後の冷却で、ガラス材料が前記覗き窓(34、36)を形成しながら硬化し、かつ、金属材料によって輪状に締め付けられるように、前記ガラス材料を包囲する前記金属材料は、前記ガラス材料が、前記金属材料と接触した状態で、液状となり、かつ、前記金属材料へ流れる温度まで、前記ガラス材料と共に加熱される、ことを特徴とする。
態様(3)において、前記金属材料は、前記アキュムレータ筐体(10)の材料から、又は、好ましくは、耐腐食性のステンレス鋼から成り、前記アキュムレータ筐体(10)の内部に挿入されている独立した金属リング(44、46)から、構成されている、ことを特徴とする。
態様(4)において、前記覗き窓(34、36)は、
-合わせ安全ガラス、
-ソーダ石灰ガラス、
-ホウケイ酸ガラス、
-ガラスセラミック、又は、
-石英ガラス若しくはサファイアガラス、である、ことを特徴とする。
態様(5)において、前記覗き窓(34、36)は、露出した前面(56、58)において、切断され、かつ、好ましくは研磨されている、ことを特徴とする。
態様(6)において、前記覗き窓(34、36)は、
-倍率、
-コーティング、及び/又は、
-プリズム特性、のような、光学的特性を備えている。
態様(7)において、前記覗き窓(34、36)を包囲する金属リング(44、46)は、前記アキュムレータ筐体(10)の内ねじ(52、54)を介して、前記金属リング(44、46)を前記アキュムレータ筐体(10)に固定する、外ねじ(48、50)を有している、ことを特徴とする。
態様(8)において、2つの覗き窓(34、36)が前記アキュムレータ筐体(10)の内部に固定されており、その内の1つの覗き窓(34、36)は、好ましくは外部光源からの、光を供給するために用いられており、かつ、もう1つの覗き窓(34、36)は、光学的観察のために用いられる、ことを特徴とする。
態様(9)において、2つの覗き窓(34、36)が並べて配置されており、かつ、長手方向軸(L1、L2)が前記アキュムレータ筐体(10)の長手方向軸(R)に対して平行に延在するように、前記アキュムレータ筐体(10)に固定されている、ことを特徴とする。
態様(10)において、2つの覗き窓(34、36)を取り付ける位置は、前側に配置された、前記アキュムレータ筐体(10)の一部としてのエンドカバー(16)とされている、ことを特徴とする。
図1