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特許7329015ナビゲートされた脊椎手術のための機械学習システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】ナビゲートされた脊椎手術のための機械学習システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20230809BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20230809BHJP
   G16H 50/00 20180101ALI20230809BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALI20230809BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B34/35
G16H50/00
G16Y10/60
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021092790
(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公開番号】P2021186683
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】16/891,870
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】デビッド シー.,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ノーバート ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】チャド グレールム
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0303552(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0078180(US,A1)
【文献】CHANG MICHAEL ET AL,The Role of Machine Learning in Spine Surgery: The Future Is Now,FRONTIERS IN SURGERY,2020年01月01日,v o l . 7 , 1 January2020
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00-34/37
G16H 50/00
G16Y 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎手術のコンピュータ支援ナビゲーションのための外科手術ガイダンスシステムであって、前記外科手術ガイダンスシステムが、
脊椎手術を受けた複数の以前の患者の各々について、分散型ネットワークコンピュータによって提供される、前記以前の患者の脊椎の幾何学的構造を特徴付け、前記以前の患者に対して行われた外科的処置を特徴付け、前記以前の患者の脊椎に外科的に埋め込まれたインプラントデバイスを特徴付け、前記以前の患者の外科手術のアウトカムを特徴付ける、フィードバックデータを得る、
前記フィードバックデータに基づいて、機械学習モデルをトレーニングする、
計画された外科手術の候補患者の脊椎の幾何学的構造を特徴付ける術前データを、前記分散型ネットワークコンピュータのうちの1つから得る、
前記機械学習モデルを介した前記術前データの処理に基づいて、前記候補患者の外科手術計画を生成する、および
ユーザによる視覚的レビューのために、前記外科手術計画の少なくとも一部分をディスプレイデバイスに提供する、ように動作し、
前記外科手術ガイダンスシステムは、前記ディスプレイデバイスを含むエクステンデッドリアリティ(XR)ヘッドセットを含み、
前記XRヘッドセットは、視野内で実施されるユーザのハンドジェスチャの識別のためにキャプチャすることによって、ジェスチャセンサとして動作する1つまたは複数のカメラを含み、
前記ユーザは、片手または両手のハンドジェスチャを使って前記外科手術計画を操作してもよく、
前記外科手術ガイダンスシステムは外科手術ロボットと通信し、前記外科手術ロボットはロボット基部と、前記ロボット基部に接続され外科手術器具の動きを誘導するエンドエフェクタに接続するように構成されロボットアームと、前記ロボット基部に対して前記ロボットアームを移動させるように動作可能に接続された少なくとも1つのモータを含み、
前記外科手術ロボットは、少なくとも1つのモータに接続され、脊椎インプラントデバイスの埋め込み中に、計画された軌道に沿って前記外科手術器具の動きを誘導しながら、前記エンドエフェクタの計画された姿勢に対する前記エンドエフェクタの姿勢を決定し、前記エンドエフェクタの計画された姿勢と前記決定された姿勢との比較に基づいて、ナビゲーション情報を生成するように動作する少なくとも1つのコントローラを含み、
前記ナビゲーション情報は、前記外科手術器具が、患者に向かって、計画された軌道に沿って前記エンドエフェクタによって誘導されるように、前記計画された姿勢と一致するように前記エンドエフェクタを移動させる必要のある場所を示し、
動的参照アレイ(DRA)がXRヘッドセット上に形成され、前記外科手術ガイダンスシステムが前記XRヘッドセットの前記DRAを追跡し、目標の解剖学的構造体に関連する前記DRAの姿勢を決定する、
外科手術ガイダンスシステム。
【請求項2】
前記機械学習モデルが、
前記候補患者の前記脊椎における外科的埋め込みのために提案された脊椎インプラントデバイスのタイプおよび寸法サイジングを特定する前記外科手術計画を出力するために、前記術前データを処理するように動作する、
請求項1に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項3】
前記機械学習モデルが、前記候補患者の前記脊椎における前記脊椎インプラントデバイスの外科的埋め込みから、前記候補患者について予測される外科手術アウトカムの成功の推定レベルのさらなる特定を有する前記外科手術計画を出力するために、前記術前データを処理するようにさらに動作し、外科手術アウトカムの成功の前記推定レベルが、前記候補患者の前記脊椎における前記脊椎インプラントデバイスの外科的埋め込みによって得られる、最も可能性の高い患者報告アウトカム尺度または脊椎変形矯正測定値を示す、請求項2に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項4】
前記機械学習モデルが、前記候補患者の前記脊椎における前記脊椎インプラントデバイスの埋め込みのための計画された姿勢のさらなる特定を有する前記外科手術計画を出力するために、前記術前データを処理するようにさらに動作する、請求項2に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項5】
前記外科手術計画によって特定された前記候補患者の前記脊椎の前記計画された姿勢への前記脊椎インプラントデバイスの埋め込みのための計画された軌道を決定する、
カメラ追跡システムから、前記候補患者の前記脊椎に前記脊椎インプラントデバイスを埋め込むために使用されている外科手術器具の現在の姿勢を得る、
前記外科手術器具の前記現在の姿勢と前記計画された軌道との比較に基づいて、前記計画された軌道と一致させるためにどのように前記外科手術器具を姿勢決めする必要があるかを示す、ナビゲーション情報を生成する、および
前記ナビゲーション情報の少なくとも第1の部分をディスプレイデバイスに提供する、ようにさらに動作する、請求項4に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項6】
前記外科手術器具の動きを誘導するエンドエフェクタを有するロボットアームの動きを制御するために、前記ナビゲーション情報の少なくとも第2の部分を、外科手術ロボットに提供するようにさらに動作し、前記ナビゲーション情報の前記少なくとも第2の部分が、前記候補患者の前記脊椎における前記脊椎インプラントデバイスの前記計画された姿勢への前記脊椎インプラントデバイスの埋め込みのために、前記外科手術器具が前記計画された軌道に沿って前記エンドエフェクタによって誘導されるように、前記エンドエフェクタを移動させる必要のある場所を示す、請求項5に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項7】
前記機械学習モデルが、スペーサタイプの前記脊椎インプラントデバイスの挿入を可能にするために除去されるべき前記患者の椎間板の一部分のさらなる特定を有する前記外科手術計画を出力するために、前記術前データを処理するようにさらに動作する、請求項2に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項8】
前記脊椎インプラントデバイスの三次元モデルを得るために、前記外科手術計画を処理して、エクステンデッドリアリティ(XR)ヘッドセット内の前記ディスプレイデバイスを介して表示するための前記三次元モデルのグラフィカル表現を、前記候補患者のオーバーレイとして提供するようにさらに動作する、請求項2に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項9】
前記機械学習モデルをトレーニングするために使用され、前記以前の患者の外科手術のアウトカムを特徴付ける前記フィードバックデータが、患者報告アウトカム尺度または脊椎変形矯正測定値を特徴付ける術後フィードバックデータを含む、請求項1に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項10】
前記機械学習モデルをトレーニングするために使用される前記フィードバックデータが、前記以前の患者に対して行われた脊椎の外科的処置のタイプ、ならびに前記以前の患者に埋め込まれた脊椎インプラントデバイスのタイプおよび寸法サイジングを特徴付ける、請求項1に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項11】
前記機械学習モデルをトレーニングするために使用される前記フィードバックデータが、前記以前の患者に埋め込まれたときに、前記脊椎インプラントデバイスとともに使用された骨移植量をさらに特徴付ける、請求項10に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項12】
前記機械学習モデルをトレーニングするために使用される前記フィードバックデータが、
術前段階中に計画された前記以前の患者の脊椎矯正の計画されたレベルと、術中段階または術後段階中に測定された前記以前の患者の脊椎矯正の達成されたレベルとの間の偏差、
術前段階中に計画された、計画された外科的処置と、術中段階中に前記以前の患者に対して行われた、使用された外科的処置との間の偏差、
術前段階中に計画された脊椎インプラントデバイスのタイプおよび寸法サイジングと、術中段階中に前記以前の患者に埋め込まれた脊椎インプラントデバイスの使用されたタイプおよび寸法サイジングとの間の偏差、
術前段階中に計画された前記以前の患者の前記脊椎への固定のための脊椎インプラントデバイスの計画された姿勢と、術中段階中の前記以前の患者の前記脊椎への固定後の前記脊椎インプラントデバイスの使用された姿勢との間の偏差、および
術前段階中に計画された前記以前の患者の前記脊椎への前記脊椎インプラントデバイスの埋め込みのための計画された挿入軌道と、術中段階中に前記以前の患者の前記脊椎に埋め込まれたときに、前記脊椎インプラントデバイスがそれに沿って移動された、使用された軌道との間の偏差、のうちの少なくとも1つをさらに特徴付ける、請求項10に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項13】
定義されたルールを満たす類似性を有する前記フィードバックデータのサブセットを形成する、
前記各サブセット内で、前記フィードバックデータの少なくともいくつかの値の間の相関関係を特定する、および
前記各サブセットについて特定された前記相関関係に基づいて、前記機械学習モデルをトレーニングする、ようにさらに動作する、請求項1に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項14】
前記機械学習モデルが、
入力ノードを有する入力層、各々が複数の結合ノードを有する一連の隠れ層、および出力ノードを有する出力層を含むニューラルネットワーク構成要素と、
前記ニューラルネットワーク構成要素の前記入力ノードのうちの異なる入力ノードに、前記術前データの異なるエントリを提供し、前記ニューラルネットワーク構成要素の前記出力ノードの出力に基づいて、前記外科手術計画を生成するように動作する少なくとも1つの処理回路と、を含む、請求項1に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項15】
フィードバックトレーニング構成要素をさらに含み、前記フィードバックトレーニング構成要素が、
前記フィードバックデータの値に基づいて、前記ニューラルネットワーク構成要素の前記結合ノードによって使用される重みおよび/または発火閾値を適応させるように動作する、請求項14に記載の外科手術ガイダンスシステム。
【請求項16】
外科手術システムであって、前記外科手術システムが、
脊椎手術中のコンピュータ支援ナビゲーションのための外科手術ガイダンスシステムであって、前記外科手術ガイダンスシステムが、
脊椎手術を受けた複数の以前の患者の各々について、分散型ネットワークコンピュータによって提供される、前記以前の患者の脊椎の幾何学的構造を特徴付け、前記以前の患者に対して行われた外科的処置を特徴付け、前記以前の患者の脊椎に外科的に埋め込まれたインプラントデバイスを特徴付け、前記以前の患者の外科手術アウトカムを特徴付ける、フィードバックデータを得る、
前記フィードバックデータに基づいて、機械学習モデルをトレーニングする、
計画された外科手術の候補患者の脊椎の幾何学的構造を特徴付ける術前データを、前記分散型ネットワークコンピュータのうちの1つから得る、および
前記機械学習モデルを介した前記術前データの処理に基づいて、前記候補患者の前記脊椎における外科的埋め込みのための脊椎インプラントデバイスのタイプおよび寸法サイジングを特定し、前記脊椎インプラントデバイスの埋め込みのための計画された軌道を特定する、前記候補患者の外科手術計画を生成する、ように動作する、外科手術ガイダンスシステムと、
前記候補患者の前記脊椎に前記脊椎インプラントデバイスを埋め込むために使用されている外科手術器具の現在の姿勢を決定するように動作する追跡システムと、
前記外科手術器具の前記現在の姿勢と前記計画された軌道との比較に基づいたナビゲーション情報を生成するように動作する少なくとも1つのコントローラであって、前期ナビゲーション情報が、前記計画された軌道と一致させるためにどのように前記外科手術器具を姿勢決めする必要があるかを示し、前記ナビゲーション情報をディスプレイデバイスに提供する、コントローラと、を含み、
前記外科手術ガイダンスシステムは、前記ディスプレイデバイスを含むエクステンデッドリアリティ(XR)ヘッドセットを含み、
前記XRヘッドセットは、視野内で実施されるユーザのハンドジェスチャの識別のためにキャプチャすることによって、ジェスチャセンサとして動作する1つまたは複数のカメラを含み、
前記ユーザは、片手または両手のハンドジェスチャを使って前記外科手術計画を操作してもよく、
動的参照アレイ(DRA)が前記XRヘッドセット上に形成され、前記外科手術ガイダンスシステムが前記XRヘッドセットの前記DRAを追跡し、目標の解剖学的構造体に関連する前記DRAの姿勢を決定する、
外科手術システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのコントローラが、前記計画された軌道に沿って前記外科手術器具のオペレータの動きを誘導するために、前記XRヘッドセットの前記ディスプレイデバイスに提供される前記ナビゲーション情報のグラフィカル表現を生成するように動作する、請求項16に記載の外科手術システム。
【請求項18】
外科手術ロボットであって、
ロボット基部と、
前記ロボット基部に接続されたロボットアームであって、前記ロボットアームが、前記外科手術器具の動きを誘導するエンドエフェクタに接続するように構成されている、ロボットアームと、
前記ロボット基部に対して前記ロボットアームを移動させるように動作可能に接続された少なくとも1つのモータと、を含む、外科手術ロボットをさらに含み、
前記少なくとも1つのコントローラが、前記少なくとも1つのモータに接続され、
前記脊椎インプラントデバイスの埋め込み中に、前記計画された軌道に沿って前記外科手術器具の動きを誘導しながら、前記エンドエフェクタの計画された姿勢に対する前記エンドエフェクタの姿勢を決定する、および
前記エンドエフェクタの前記計画された姿勢と前記決定された姿勢との比較に基づいて、前記外科手術器具が、前記患者に向かって、前記計画された軌道に沿って前記エンドエフェクタによって誘導されるように、前記計画された姿勢と一致するように前記エンドエフェクタを移動させる必要のある場所を示す、ナビゲーション情報を生成する、ように動作する、請求項16に記載の外科手術システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのコントローラが、
前記エンドエフェクタの前記決定された姿勢が前記計画された姿勢と一致するように、前記ナビゲーション情報に基づいて、前記エンドエフェクタを再位置決めするために、前記少なくとも1つのモータの動きを制御するようにさらに動作する、請求項18に記載の外科手術システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのコントローラが、
前記エンドエフェクタの前記決定された姿勢が前記計画された姿勢と一致するように、前記ナビゲーション情報を、前記エンドエフェクタのオペレータの動きを視覚的に誘導するための表示のために前記ディスプレイデバイスに提供するようにさらに動作する、請求項18に記載の外科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスおよびシステムに関し、より具体的には、脊椎手術のためにユーザおよび/または外科手術ロボットにナビゲーション情報を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎動物の脊椎は、骨格の軸であり、体の他の部分に構造的な支持を提供する。脊椎の隣接する椎骨は、軸骨格の椎骨分節間の制御された運動を可能にする機械的なクッションとして機能する椎間板によって支持されている。椎間板は、髄核(「核」)、線維輪(「輪」)、および2つの椎骨終板の3つの構成要素で構成される独特の構造である。
【0003】
椎間板は、外傷、病気、変性欠損、または長期間にわたる摩耗により、変位または損傷する可能性がある。例えば、椎間板ヘルニアは、線維輪が弱くなったり裂けたりして、核の内部組織が永久に膨らんだときに発生する。ヘルニア状態の、または「滑った」核組織の塊は、脊髄神経を圧迫し、脚の痛み、筋肉制御の喪失、さらには麻痺を引き起こす可能性がある。さらに、場合によっては、変性した核は、その水結合能力を失い、収縮する可能性があり、それによって核の高さが減少し、特定の領域で輪が座屈する原因となる。
【0004】
椎間板ヘルニアまたは変性によって引き起こされる腰痛を軽減するために、椎間板を除去して、残りの骨の生体構造の融合を促進するインプラントと置換することができる。スペーサまたはケージ本体などのインプラントは、広範囲の負荷条件下で脊椎を支持するのに十分な強度が必要である。インプラントはまた、外科医によって脊椎に位置決めされた後も、所定の位置に留まる可能性が高いように構成する必要がある。さらに、インプラントは、低侵襲的に、または少なくとも比較的小さな切開を通して所望の位置に送達することができなければならない。
【0005】
外科手術アウトカムの成功の程度は、特定の患者のニーズに最適な外科手術計画を設計および実施する外科医の能力に依存する。しかしながら、医学的に受け入れられている脊椎の外科的処置と多数の利用可能なインプラントのタイプおよび構成との無数の組み合わせから選択する際に、過去の診療経験を患者の特定の脊椎形状および矯正ニーズに適応させる外科医の能力には固有の限界があることから、最適な設計および実装を達成できない場合がある。
【0006】
したがって、これらの困難に対処する改善されたプロセスの必要性が残っている。
【発明の概要】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態は、脊椎手術中のコンピュータ支援ナビゲーションのための外科手術ガイダンスシステムを対象としている。外科手術ガイダンスシステムは、脊椎手術を受けた複数の以前の患者の各々について、分散型ネットワークコンピュータによって提供されるフィードバックデータを得るように動作する。フィードバックデータは、以前の患者の脊椎の幾何学的構造を特徴付け、以前の患者に行われた外科的処置を特徴付け、以前の患者の脊椎に外科的に埋め込まれたインプラントデバイスを特徴付け、以前の患者の外科手術アウトカムを特徴付ける。外科手術ガイダンスシステムは、フィードバックデータに基づいて、機械学習モデルをトレーニングするように動作する。外科手術ガイダンスシステムは、計画された外科手術の候補患者の脊椎の幾何学的構造を特徴付ける術前データを、分散型ネットワークコンピュータのうちの1つから得て、機械学習モデルを介した術前データの処理に基づいて、候補患者の外科手術計画を生成し、ユーザによる視覚的レビューのために、外科手術計画の少なくとも一部分をディスプレイデバイスに提供する。
【0008】
いくつかの他の実施形態は、外科手術ガイダンスシステム、追跡システム、および少なくとも1つのコントローラを含む外科手術システムを対象としている。外科手術ガイダンスシステムは、脊椎手術を受けた複数の以前の患者の各々について、分散型ネットワークコンピュータによって提供されるフィードバックデータを得て、フィードバックデータに基づいて、機械学習モデルをトレーニングし、計画された外科手術の候補患者の脊椎の幾何学的構造を特徴付ける術前データを、分散型ネットワークコンピュータのうちの1つから得て、機械学習モデルを介した術前データの処理に基づいて、候補患者の外科手術計画を生成するように動作する。外科手術計画は、候補患者の脊椎における外科的埋め込みのための脊椎インプラントデバイスのタイプおよび寸法サイジングを特定し、脊椎インプラントデバイスの埋め込みのための計画された軌道を特定する。追跡システムは、候補患者の脊椎に脊椎インプラントデバイスを埋め込むために使用されている外科手術器具の現在の姿勢を決定するように動作する。少なくとも1つのコントローラは、外科手術器具の現在の姿勢と計画された軌道との比較に基づいて、計画された軌道と一致させるためにどのように外科手術器具を姿勢決めする必要があるかを示すナビゲーション情報を生成し、ナビゲーション情報をディスプレイデバイスに提供するように動作する。
【0009】
外科手術システムは、ディスプレイデバイスを含むエクステンデッドリアリティ(XR)ヘッドセットをさらに含み得る。少なくとも1つのコントローラは、計画された軌道に沿って外科手術器具のオペレータの動きを誘導するために、XRヘッドセットのディスプレイデバイスに提供されるナビゲーション情報のグラフィカル表現を生成するように動作し得る。
【0010】
外科手術システムは、ロボット基部と、ロボット基部に接続されたロボットアームであって、ロボットアームは、外科手術器具の動きを誘導するエンドエフェクタに接続するように構成されている、ロボットアームと、ロボット基部に対してロボットアームを移動させるように動作可能に接続された少なくとも1つのモータと、を含む、外科手術ロボットをさらに含み得る。少なくとも1つのコントローラは、少なくとも1つのモータに接続され、脊椎インプラントデバイスの埋め込み中に、計画された軌道に沿って外科手術器具の動きを誘導しながら、エンドエフェクタの計画された姿勢に対するエンドエフェクタの姿勢を決定し、エンドエフェクタの計画された姿勢と決定された姿勢との比較に基づいて、ナビゲーション情報を生成するように動作し、ナビゲーション情報は、外科手術器具が、患者に向かって、計画された軌道に沿ってエンドエフェクタによって誘導されるように、計画された姿勢と一致するようにエンドエフェクタを移動させる必要のある場所を示す。
【0011】
実施形態による他の外科手術システム、外科手術ガイダンスシステム、ならびに対応する方法およびコンピュータプログラム製品は、以下の図面および詳細な説明を検討する際に当業者には明らかであるか、または明らかになるであろう。かかる全ての外科手術システム、外科手術ガイダンスシステム、ならびに対応する方法およびコンピュータプログラム製品は、本説明に含まれ、本開示の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。さらに、本明細書に開示される全ての実施形態は、別個に実装され得るか、または任意の方法および/もしくは組み合わせで組み合わされ得ることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、かつ本出願に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本発明の概念の特定の非限定的な実施形態を示す。図面では、以下のとおりである。
図1】本開示のいくつかの実施形態による外科手術システムの実施形態を示す。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、図1の外科手術システムの外科手術ロボット構成要素を示す。
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、図1の外科手術システムのカメラ追跡システム構成要素を示す。
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、図1の外科手術システムとともに使用され得る別のカメラ追跡システム構成要素の正面図を示す。
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、図1の外科手術システムとともに使用され得る別のカメラ追跡システム構成要素の等角図を示す。
図4】ロボットアームに接続可能であり、本開示のいくつかの実施形態に従って構成されている、エンドエフェクタの一実施形態を示す。
図5】外科手術ロボットおよびカメラシステムが患者の周りに配設されている、医療手術を示す。
図6】医療手術に使用されている図5の外科手術システムの構成要素のブロック図を示す。
図7】外科手術システムのナビゲーション機能を使用する場合に図5および6のディスプレイ上に表示され得る、様々なディスプレイ画面を示す。
図8】本開示のいくつかの実施形態による、外科手術ロボットのいくつかの電気構成要素のブロック図を示す。
図9】本開示のいくつかの実施形態による、カメラ追跡システムおよび/または外科手術ロボットに動作可能に接続され得る、コンピュータプラットフォームに接続された撮像デバイスを含む、外科手術システムの構成要素のブロック図を示す。
図10】本開示の様々な実施形態に従って、コンピュータプラットフォーム、撮像デバイスのうちの1つ以上、および/または外科手術ロボットに動作可能に接続され得るXRヘッドセットの電気的構成要素を示す。
図11】本開示のいくつかの実施形態に従って、医療処置中に、外科手術器具を操作しているユーザに、ナビゲーション支援を提供するためのXRヘッドセットを通した例示的なビューを示す。
図12】いくつかの実施形態に従って構成された外科手術ガイダンスシステム1220を使用するナビゲートされる外科手術ワークフローを示す。
図13】術前段階、術中段階、および術後段階中の関連付けられたデータフローを有する外科手術ガイダンスシステムのブロック図を示し、いくつかの実施形態に従って、ユーザディスプレイおよびロボット外科手術システムに提供される外科手術ガイダンスが示されている。
図14】いくつかの実施形態に従って、脊椎の椎間板間隙内の計画された姿勢への選択されたスペーサの挿入に適合された、選択された外科手術器具の使用を含む計画された外科的処置を示す。
図15】いくつかの実施形態に従って、脊椎の椎間板間隙内の計画された姿勢への選択されたスペーサの挿入に適合された、選択された外科手術器具の使用を含む計画された外科的処置を示す。
図16】いくつかの実施形態に従って、外科手術ガイダンスシステム、コンピュータプラットフォーム、カメラ追跡システム構成要素、および外科手術ロボット4を含み得る外科手術システムによって実行され得る動作のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、本発明の概念の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明の概念を以下でより完全に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、様々な本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。これらの実施形態が相互に排他的ではないことにも留意されたい。ある実施形態からの構成要素が、別の実施形態に存在するか、または別の実施形態で使用されると暗に想定され得る。
【0014】
本明細書に開示される様々な実施形態は、脊椎手術を計画および実施する場合にナビゲートされたガイダンスを提供する外科手術システムの動作の改善を対象としている。機械学習(ML)ガイダンスシステムが、術前段階の計画中、術中段階の外科的処置中、および術後段階の評価中に、患者にカスタマイズされたガイダンスを提供する。中央データベースには、以前にMLガイダンスシステムを使用した、または現在使用している全ての患者の各段階で得られるデータが記憶されている。MLシステムは、中央データベースからのデータに基づいて時間の経過とともにトレーニングされるため、患者にカスタマイズされたガイダンスにより、外科手術アウトカムが改善される。
【0015】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による外科手術システム2の実施形態を示す。整形外科手術または他の外科的処置の実施前に、例えば、図10のCアーム撮像デバイス104または図11のOアーム撮像デバイス106を使用して、またはコンピュータ断層撮影(CT)画像もしくはMRIなどの別の医療撮像デバイスから、患者の計画された外科手術エリアの三次元(「3D」)画像スキャンを行うことができる。このスキャンは、術前(例えば、最も一般的には処置の数週間前)または術中に行うことができる。しかしながら、外科手術システム2の様々な実施形態に従って、任意の既知の3D画像スキャンまたは2D画像スキャンを使用することができる。画像スキャンは、カメラ追跡システム構成要素6を含み得る外科手術システム900のコンピュータプラットフォーム910(図9)、外科手術ロボット4(例えば、図1のロボット2)、撮像デバイス(例えば、C-Arm 104、O-Arm 106など)、および患者の画像スキャンを格納するための画像データベース950など、外科手術システム2と通信するコンピュータプラットフォームに送信される。コンピュータプラットフォーム910(図9)のディスプレイデバイス上の画像スキャン(複数可)をレビューする外科医は、患者の解剖学的構造体に対する外科的処置中に使用される外科手術器具の目標姿勢を定義する外科手術計画を生成する。器具とも呼ばれる例示的な外科手術器具として、ドリル、スクリュードライバ、のこぎり、開創器、および、スクリュー、スペーサ、椎体間固定デバイス、プレート、ロッドなどのインプラントを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、目標平面を画定する外科手術平面は、ディスプレイデバイスに表示される3D画像スキャンで計画される。
【0016】
本明細書で使用される場合、「姿勢」という用語は、別の物体および/または画定された座標系に対する、ある物体(例えば、動的参照アレイ、エンドエフェクタ、外科手術器具、解剖学的構造など)の位置および/または回転角度を指す。したがって、姿勢は、別の物体および/または画定された座標系に対するある物体の多次元位置のみに基づいて、別の物体および/または画定された座標系に対する物体の多次元回転角度のみに基づいて、または多次元位置と多次元回転角度との組み合わせに基づいて画定され得る。したがって、「姿勢」という用語は、位置、回転角度、またはそれらの組み合わせを指すために使用される。
【0017】
図1の外科手術システム2は、例えば、器具を保持すること、器具を位置合わせすること、器具を使用すること、器具を誘導すること、および/または器具を使用するために位置決めすることによって、医療処置中に外科医を支援することができる。いくつかの実施形態では、外科手術システム2は、外科手術ロボット4およびカメラ追跡システム構成要素6を含む。外科手術ロボット4とカメラ追跡システム構成要素6とを機械的に結合する機能によって、外科手術システム2を単一ユニットとして操作し、移動させることが可能になり、外科手術システム2は、面積の小さいフットプリントを有することが可能になり、狭い通路および曲がり角を通る動きをより容易にすることが可能になり、ならびにより狭い面積内のストレージを可能にすることができる。
【0018】
整形外科手術処置は、外科手術システム2を医療ストレージから医療処置室に移動させることで開始することができる。外科手術システム2は、出入口、ホール、およびエレベータから医療処置室に到達するまで操作することができる。医療処置室内で、外科手術システム2は、2つの別個の異なるシステムである、外科手術ロボット4およびカメラ追跡システム6に、物理的に分離され得る。外科手術ロボット4は、医療従事者を適切に支援するために、任意の好適な場所で患者に隣接して位置決めされ得る。カメラ追跡システム構成要素6は、患者の基部、患者の肩、または、外科手術ロボット4および患者の部分の現在の姿勢と追跡位置の姿勢の移動とを追跡するのに好適な任意の他の場所に位置決めされ得る。外科手術ロボット4およびカメラ追跡システム構成要素6は、内蔵電力源によって電力供給され、かつ/または外壁コンセントに差し込まれ得る。
【0019】
外科手術ロボット4は、医療処置中に器具を保持および/または使用することによって外科医を支援するために使用され得る。器具を適切に利用および保持するために、外科手術ロボット4は、適切に機能する複数のモータ、コンピュータ、および/またはアクチュエータに依存することができる。図1に示されるように、ロボット本体8は、複数のモータ、コンピュータ、および/またはアクチュエータが外科手術ロボット4内に固設され得る構造体として作用し得る。ロボット本体8はまた、ロボット伸縮式支持アーム16のための支持を提供し得る。ロボット本体8のサイズは、取り付けられた構成要素を支持する強固なプラットフォームを提供することができ、かつ取り付けられた構成要素を動作させることができる複数のモータ、コンピュータ、および/またはアクチュエータを収容し、隠し、かつ保護することができる。
【0020】
ロボット基部10は、外科手術ロボット4の下部支持として作用し得る。いくつかの実施形態では、ロボット基部10は、ロボット本体8を支持することができ、かつロボット本体8を複数の動力付きホイール12に取り付けることができる。ホイールへのこの取り付けにより、ロボット本体8が、空間内を効率的に移動することを可能にし得る。ロボット基部10は、ロボット本体8の長さおよび幅に及び得る。ロボット基部10は、約2インチ~約10インチの高さであり得る。ロボット基部10は、動力付きホイール12を被覆、保護、および支持することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、図1に示されるように、少なくとも1つの動力付きホイール12をロボット基部10に取り付けることができる。動力付きホイール12は、任意の場所でロボット基部10に取り付けられ得る。各個々の動力付きホイール12は、任意の方向に垂直軸を中心として回転することができる。モータは、動力付きホイール12の上、その中、またはそれに隣接して配設され得る。このモータにより、外科手術システム2を任意の場所へと操作し、外科手術システム2を安定化、および/または水平にすることが可能となり得る。動力付きホイール12内またはそれに隣接して位置するロッドは、モータによって表面に押し込まれ得る。図示されていないロッドは、外科手術システム2を持ち上げるのに好適な任意の金属から作製され得る。ロッドは、外科手術システム2を持ち上げることができる動力付きホイール10を、患者に対して外科手術システム2の向きを水平にするか、または別様に固定するのに必要な任意の高さまで持ち上げることができる。外科手術システム2の重量は、各ホイール上のロッドによって小さな接触面積で支持され、外科手術システム2が医療処置中に移動することを防ぐ。この堅固な位置決めは、物体および/または人々が偶発的に外科手術システム2を移動させることを防ぎ得る。
【0022】
外科手術システム2の移動を、ロボットレール材14を使用して容易にすることができる。ロボットレール材14は、ロボット本体8を把持することなく、外科手術システム2を移動させる能力を人に提供する。図1に示されるように、ロボットレール材14は、ロボット本体8の長さ方向にロボット本体8よりも短く延びていてもよく、および/またはロボット本体8の長さよりも長く延びていてもよい。ロボットレール材14は、物体および/または従事者がロボット本体8に接触すること、ぶつかること、または衝突することを防ぐことができる、ロボット本体8に対する保護をさらに提供する。
【0023】
ロボット本体8は、以下で「SCARA」と呼ばれる、選択的コンプライアンス多関節ロボットアームに支持を提供することができる。SCARA 24は、ロボットアームの再現性およびコンパクトさゆえに、外科手術システム2内で使用するのに有益であり得る。SCARAのコンパクトさは、医療専門家が過度の動き回りおよび面積を限定することなく医療処置を行うことを可能にし得る追加のスペースを医療処置内に提供することができる。SCARA 24は、ロボット伸縮式支持体16、ロボット支持アーム18、および/またはロボットアーム20を備え得る。ロボット伸縮式支持体16は、ロボット本体8に沿って配置され得る。図1に示されるように、ロボット伸縮式支持体16は、SCARA 24およびディスプレイ34に支持を提供することができる。いくつかの実施形態では、ロボット伸縮式支持体16は、垂直方向に延在および収縮することができる。ロボット伸縮式支持体16の本体は、本体に加えられる応力および重量を支持するように構成された任意の幅および/または高さであり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、医療従事者は、医療従事者によって提出されたコマンドを介してSCARA 24を移動させることができる。コマンドは、以下にさらに詳細に説明するように、ディスプレイ34、タブレット、および/またはXRヘッドセット(例えば、図9のヘッドセット920)で受信した入力から生じ得る。XRヘッドセットは、医療従事者がディスプレイ34またはタブレットなどの任意の他のディスプレイを参照する必要性を排除することができ、これにより、ディスプレイ34および/またはタブレットなしでSCARA 24を構成することが可能になる。コマンドは、スイッチの押下および/または複数のスイッチの押下によって生成され得、および/または以下でさらに詳細に説明するように、XRヘッドセットによって感知されるハンドジェスチャコマンドおよび/または音声コマンドに基づいて生成され得る。
【0025】
起動アセンブリ60は、スイッチおよび/または複数のスイッチを含み得る。起動アセンブリ60は、移動コマンドをSCARA 24に送信して、オペレータがSCARA 24を手動で操作することを可能にするように動作可能であり得る。スイッチまたは複数のスイッチが押された場合、医療従事者は、適用された手の動きによってSCARA 24を移動する能力を有し得る。代替的または追加的に、オペレータは、以下にさらに詳細に説明するように、XRヘッドセットによって感知されるハンドジェスチャコマンドおよび/または音声コマンドによってSCARA 24の移動を制御することができる。さらに、SCARA 24が移動するためのコマンドを受信していない場合、SCARA 24は、従事者および/または他の物体による偶発的な移動を防ぐために、所定の位置にロックすることができる。所定の位置にロックすることにより、SCARA 24は、エンドエフェクタ26が医療処置中に外科手術器具を誘導することができる堅固なプラットフォームを提供する。
【0026】
ロボット支持アーム18は、様々な機構によってロボット伸縮式支持体16に接続され得る。いくつかの実施形態では、図1および図2に最もよく見られるように、ロボット支持アーム18は、ロボット伸縮式支持体16に対して任意の方向に回転する。ロボット支持アーム18は、ロボット伸縮式支持体16の周りで360度回転することができる。ロボットアーム20は、任意の好適な位置で、ロボット支持アーム18に対して任意の方向への回転を可能にする様々な機構によって、ロボット支持アーム18に接続され得る。一実施形態では、ロボットアーム20は、ロボット支持アーム18に対して360度回転することができる。この自由回転により、オペレータは、外科手術計画に従ってロボットアーム20を位置決めすることができる。
【0027】
図4および図5の受動的なエンドエフェクタ100は、外科手術ロボット4によって位置決めされたロボットアーム20のエンドエフェクタカプラ22などの任意の適切な場所でロボットアーム20に取り付けることができる。図示の受動的なエンドエフェクタ100は、外科手術計画に従って、目標の患者の解剖学的構造(例えば、椎骨)に対して姿勢を取るようにロボットアーム20を制御するナビゲーションシステムによって位置決めされるガイドチューブを含む。次に、外科医は、目標の患者の解剖学的構造に対して器具の適切な軌道を維持するガイドチューブを通して器具を挿入することができる。
【0028】
受動的なエンドエフェクタ100には、動的参照アレイ52が取り付けられていてもよい。本明細書で「DRA」および「参照アレイ」とも呼ばれる動的参照アレイは、手術室内の従事者によって着用されている1つ以上のXRヘッドセット、エンドエフェクタ、外科手術ロボット、ナビゲートされる外科的処置における外科手術器具、および患者の解剖学的構造(例えば、骨)上に取り付けられ得るかまたは形成され得る剛体、マーカ、または他の指標であり得る。カメラ追跡システム構成要素6または他の3D位置特定システムと組み合わされるコンピュータプラットフォーム910は、DRAの姿勢(例えば、位置および回転の向き)をリアルタイムで追跡するように構成されている。DRAは、示されるボールの配列などの基準を含み得る。DRAの3D座標のこの追跡により、外科手術システム2は、図5の患者50の目標の解剖学的構造体に関連する任意の多次元空間におけるDRAの姿勢を決定することを可能にし得る。
【0029】
図1に示されるように、光インジケータ28は、SCARA 24の頂部上に位置決めされ得る。光インジケータ28は、外科手術システム2が現在動作している「状況」を示すために、任意のタイプの光として照明し得る。いくつかの実施形態では、光は、光インジケータ28の周りにリングを形成し得るLED電球によって生成され得る。光インジケータ28は、光インジケータ28の全体にわたって光を輝かせることができる完全に透過性の材料を含み得る。光インジケータ28は、下部ディスプレイ支持体30に取り付けられ得る。図2に示されるように、下部ディスプレイ支持体30により、オペレータが、ディスプレイ34を任意の好適な場所まで操作することを可能にし得る。下部ディスプレイ支持体30は、任意の好適な機構によって光インジケータ28に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、下部ディスプレイ支持体30は、光インジケータ28を中心として回転することができるか、または光インジケータ28に堅固に取り付けられ得る。上部ディスプレイ支持32は、任意の好適な機構によって下部ディスプレイ支持体30に取り付けられ得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、タブレットをディスプレイ34と併せて、および/またはディスプレイ34なしで使用し得る。タブレットは、ディスプレイ34の代わりに上部ディスプレイ支持体32上に配設され得、医療手術中に上部ディスプレイ支持体32から取り外し可能であり得る。さらに、タブレットは、ディスプレイ34と通信することができる。タブレットは、任意の好適な無線および/または有線接続によって外科手術ロボット4に接続することができる場合がある。いくつかの実施形態では、タブレットは、医療手術中に外科手術システム2をプログラムおよび/または制御することができる場合がある。タブレットを用いて外科手術システム2を制御している場合、全ての入力および出力コマンドをディスプレイ34上で複製することができる。タブレットの使用により、オペレータが、患者50の周り、および/または外科手術ロボット4まで移動する必要なしに、外科手術ロボット4を操作することを可能にし得る。
【0031】
図3Aおよび図5に示されるように、カメラ追跡システム構成要素6は、有線または無線の通信ネットワークを介して外科手術ロボット4と協働する。図1図3、および図5を参照すると、カメラ追跡システム構成要素6は、外科手術ロボット4と同様のいくつかの構成要素を含むことができる。例えば、カメラ本体36は、ロボット本体8に見られる機能を提供し得る。ロボット本体8は、カメラ46がその上に取り付けられる補助追跡バーを提供し得る。ロボット本体8内の構造はまた、カメラ追跡システム構成要素6を動作させるために使用される電子機器、通信デバイス、および電源のための支持体も提供し得る。カメラ本体36は、ロボット本体8と同じ材料で作製され得る。カメラ追跡システム構成要素6は、無線および/または有線のネットワークによってXRヘッドセット、タブレット、および/またはディスプレイ34と直接通信して、XRヘッドセット、タブレット、および/またはディスプレイ34がカメラ追跡システム構成要素6の機能を制御することを可能にし得る。
【0032】
カメラ本体36は、カメラ基部38によって支持される。カメラ基部38は、ロボット基部10として機能し得る。図1の実施形態では、カメラ基部38は、ロボット基部10よりも幅広い場合がある。カメラ基部38の幅により、カメラ追跡システム構成要素6が、外科手術ロボット4と接続することを可能にし得る。図1に示されるように、カメラ基部38の幅は、ロボット基部10の外側に嵌合するのに十分な大きさであり得る。カメラ追跡システム構成要素6と外科手術ロボット4とが接続されている場合、カメラ基部38の追加の幅により、外科手術システム2の追加の操作性と外科手術システム2の支持を可能にし得る。
【0033】
ロボット基部10と同様に、複数の動力付きホイール12がカメラ基部38に取り付けられ得る。動力付きホイール12により、カメラ追跡システム構成要素6が、ロボット基部10および動力付きホイール12の動作と同様に、患者50に対して固定された向きを安定化して水平にするか、またはそれを設定することを可能にし得る。この安定化により、カメラ追跡システム構成要素6が医療処置中に移動することを防ぐことができ、図3Aおよび図5に示されるように、補助追跡バー上のカメラ46が、XRヘッドセットおよび/または外科手術ロボット4に接続されたDRAの追跡を見失うこと、および/または指定された面積56内の解剖学的構造体54および/または器具58に接続された1つ以上のDRA52の追跡を見失うことを防ぐことができる。追跡のこの安定性と維持は、カメラ追跡システム構成要素6で効果的に動作する外科手術ロボット4の能力を強化する。さらに、幅広いカメラ基部38は、カメラ追跡システム構成要素6に追加の支持を提供し得る。具体的には、図3Aおよび図5に示されるように、幅広いカメラ基部38は、カメラ46が患者の上に配設された場合に、カメラ追跡システム構成要素6が転倒するのを防ぎ得る。
【0034】
カメラ伸縮式支持体40は、補助追跡バー上でカメラ46を支持し得る。実施形態では、伸縮式支持体40は、カメラ46を垂直方向に上下に移動させる。カメラハンドル48は、任意の好適な位置でカメラ伸縮式支持体40に取り付けられ得、オペレータが医療手術の前にカメラ追跡システム構成要素6を計画された位置に移動させることを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、カメラハンドル48を使用して、カメラ伸縮式支持体40を下降および上昇させる。カメラハンドル48は、ボタン、スイッチ、レバー、および/またはそれらの任意の組み合わせの押下によって、カメラ伸縮式支持体40の上昇および下降を実施し得る。
【0035】
下部カメラ支持アーム42は、任意の好適な場所でカメラ伸縮式支持体40に取り付けられ得、実施形態では、図1に示されるように、下部カメラ支持アーム42は、伸縮式支持体40の周りで360度回転することができる。この自由な回転により、オペレータが、カメラ46を任意の好適な場所に位置決めすることを可能にし得る。下部カメラ支持アーム42は、任意の好適な機構によって伸縮式支持体40に接続され得る。下部カメラ支持アーム42を使用して、カメラ46のための支持を提供することができる。カメラ46は、任意の好適な機構によって下部カメラ支持アーム42に取り付けられ得る。カメラ46は、カメラ46と下部カメラ支持アーム42との間の取り付け面積で任意の方向に旋回することができる。実施形態では、湾曲レール44は、下部カメラ支持アーム42上に配設され得る。
【0036】
湾曲レール44は、下部カメラ支持アーム42上の任意の好適な場所に配設され得る。図3Aに示されるように、湾曲レール44は、任意の好適な機構によって下部カメラ支持アーム42に取り付けられ得る。湾曲レール44は、任意の好適な形状であり得、好適な形状は、三日月形、円形、卵形、楕円形、および/またはそれらの任意の組み合わせであり得る。カメラ46は、湾曲レール44に沿って移動可能に配置され得る。カメラ46は、例えば、ローラ、ブラケット、ブレース、モータ、および/またはそれらの任意の組み合わせによって、湾曲レール44に取り付けられ得る。示されていないモータおよびローラを使用して、湾曲レール44に沿ってカメラ46を移動させることができる。図3Aに示されるように、医療処置中に、カメラ46が1つ以上のDRAを視認することを物体が阻止している場合、モータは、それに応答して湾曲レール44に沿ってカメラ46を移動させ得る。この電動化された動きにより、カメラ46が、カメラ追跡システム構成要素6を移動させることなく、物体によってもはや妨げられない新たな位置に移動することを可能にし得る。カメラ46が1つ以上の追跡されるDRAを視認することが妨げられている間、カメラ追跡システム構成要素6は、停止信号を外科手術ロボット4、XRヘッドセット、ディスプレイ34、および/またはタブレットに送信することができる。停止信号は、カメラ46が追跡されるDRA52を再取得するまで、および/またはXRヘッドセットを装着しているおよび/またはディスプレイ34および/またはタブレットを視認しているオペレータに警告することができるまで、SCARA 24が移動することを防ぐことができる。このSCARA 24は、カメラ追跡システムがDRAの追跡を再開することができるまで、ベースおよび/またはエンドエフェクタカプラ22のさらなる移動を停止することによって、停止信号の受信に応答するように構成され得る。
【0037】
エンドエフェクタカプラ22は、鞍関節と、接続された受動的なエンドエフェクタとの間に介在するロードセルを含み得る。ロードセルは、力を検出および測定するために使用される任意の適切な器具であり得る。いくつかの実施例では、ロードセルは、6軸ロードセル、3軸ロードセル、または単軸ロードセルであり得る。ロードセルを使用して、エンドエフェクタカプラ22に加えられた力を追跡することができる。いくつかの実施形態では、ロードセルは、複数のモータ850、851、852、853、および/または854と通信することができる。ロードセルが力を感知すると、加えられた力の量に関する情報を、コントローラ846(図8)に配信することができる。コントローラ846は、ロードセルから力情報を取得し、それをスイッチアルゴリズムで処理することができる。スイッチアルゴリズムは、コントローラ846によって使用されて、モータドライバ842を制御する。モータドライバ842は、モータのうちの1つ以上の動作を制御する。モータドライバ842は、特定のモータに、例えば、モータを介してロードセルによって測定された等しい量の力を生成するように指示することができる。いくつかの実施形態では、生成される力は、コントローラ846によって指示されるように、複数のモータ、例えば850~854から生じ得る。さらに、モータドライバ842は、コントローラ846から入力を受信することができる。コントローラ846は、ロードセルによって感知された力の方向に関してロードセルから情報を受信することができる。コントローラ846は、運動コントローラアルゴリズムを使用して、この情報を処理することができる。このアルゴリズムを使用して、特定のモータドライバ842に情報を提供することができる。力の方向を複製するために、コントローラ846は、特定のモータドライバ842を起動および/または起動解除することができる。コントローラ846は、1つ以上のモータ、例えば、850~854のうちの1つ以上を制御して、ロードセルによって感知された力の方向に受動的なエンドエフェクタ100の動きを誘導することができる。この力制御型の動きにより、オペレータが、SCARA 24および受動的なエンドエフェクタ100を楽に、および/またはほとんど抵抗なく移動することを可能にし得る。受動的なエンドエフェクタ100の動きは、医療従事者が使用するために、受動的なエンドエフェクタ100を任意の好適な姿勢(すなわち、画定された三次元(3D)直交基準軸に対する場所および角度の向き)に位置決めするように実施され得る。
【0038】
図3Bおよび図3Cは、図1の外科手術システムとともに使用され得るか、または外科手術ロボットとは独立して使用され得る別のカメラ追跡システム構成要素6’の正面図および等角図を示す。例えば、カメラ追跡システム構成要素6’は、ロボットガイダンスの使用を伴わないナビゲートされる外科手術を提供するために使用され得る。図3Bおよび図3Cのカメラ追跡システム構成要素6’と図3Aのカメラ追跡システム構成要素6との違いの1つは、図3Bおよび図3Cのカメラ追跡システム構成要素6’が、コンピュータプラットフォーム910を運搬するハウジングを含むことである。コンピュータプラットフォーム910は、カメラ追跡動作を実施してDRAを追跡し、外科手術ナビゲーション情報をディスプレイデバイス、例えば、XRヘッドセットおよび/または他のディスプレイデバイスに提供するナビゲートされる外科手術動作を実施し、本明細書に開示される他の計算動作を実施するように構成され得る。したがって、コンピュータプラットフォーム910は、図14の1つ以上のナビゲーションコンピュータなどのナビゲーションコンピュータを含むことができる。
【0039】
図6は、医療手術に使用される図5の外科手術システムの構成要素のブロック図を示す。図6を参照すると、補助追跡バー上の追跡カメラ46は、ナビゲーション視野600を有し、ここで、患者に取り付けられた参照アレイ602の姿勢(例えば、位置および向き)、外科手術器具に取り付けられた参照アレイ604、およびロボットアーム20が追跡される。追跡カメラ46は、以下に記載される動作を実施するように構成されたコンピュータプラットフォーム910を含む、図3Bおよび図3Cのカメラ追跡システム構成要素6’の一部であり得る。参照アレイは、既知のパターンで光を反射することによって追跡を可能にし、既知のパターンがデコードされて、外科手術ロボット4の追跡サブシステムによってそれぞれの姿勢を決定する。患者の参照アレイ602と補助追跡バー上の追跡カメラ46との間の視線が(例えば、医療従事者、器具などによって)遮断された場合、外科手術器具のさらなるナビゲーションを実施することができない可能性があり、応答通知は、ロボットアーム20および外科手術ロボット4のさらなる移動を一時的に停止し、ディスプレイ34に警告を表示し、および/または医療従事者に可聴警告を提供することができる。ディスプレイ34は、外科医610および助手612がアクセス可能であるが、視認するには、患者から顔をそらし、眼の焦点を異なる距離および場所に変化させる必要がある。ナビゲーションソフトウェアは、外科医からの音声指示に基づいて、技術従事者614によって制御され得る。
【0040】
図7は、外科手術システム2のナビゲーション機能を使用する場合に、外科手術ロボット4によって図5および図6のディスプレイ34上に表示され得る様々なディスプレイ画面を示す。ディスプレイ画面は、開発された外科手術計画に基づいて、および/または追跡される参照アレイのポーズに基づいて、解剖学的構造に対してディスプレイに位置決めされた器具のモデルのグラフィック表現がオーバーレイされた患者の放射線写真、外科的処置の異なる段階および仮想的に投影されたインプラントの寸法パラメータ(例えば、長さ、幅、および/または直径)を制御するためのユーザ選択可能なメニューを含むことができるが、これに限定されない。
【0041】
ナビゲートされる外科手術のために、外科手術の術前計画、例えば、インプラント配置、および計画された外科的処置中の1人または複数のユーザにナビゲーション情報を提供するためのコンピュータプラットフォーム910への計画の電子転送を可能にする、以下に記載される様々な処理構成要素(例えば、コンピュータプラットフォーム910)および関連付けられたソフトウェアが提供される。
【0042】
ロボットナビゲーションのために、外科手術の術前計画、例えば、インプラント配置、および外科手術ロボット4への計画の電子転送を可能にする、以下に記載される様々な処理構成要素(例えば、コンピュータプラットフォーム910)および関連付けられたソフトウェアが提供される。外科手術ロボット4は、計画を使用して、ロボットアーム20および接続されたエンドエフェクタ26を誘導して、計画された外科的処置のステップのための患者の解剖学的構造に対する手術道具の目標ポーズを提供する。
【0043】
以下の様々な実施形態は、外科医610、助手612、および/または他の医療従事者が着用できる1つ以上のXRヘッドセットを使用して、外科手術ロボット、カメラ追跡システム6/6’、および/または手術室の他の医療機器から情報を受信し、および/またはこれらに制御コマンドを提供するための改善されたユーザインターフェースを提供することを対象とする。
【0044】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、外科手術ロボット4のいくつかの電気的構成要素のブロック図を示す。図8を参照すると、ロードセル(図示せず)は、エンドエフェクタカプラ22に加えられた力を追跡するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、ロードセルは、複数のモータ850、851、852、853、および/または854と通信することができる。ロードセルが力を感知する際、加えられた力の量に関する情報が、スイッチアレイおよび/または複数のスイッチアレイからコントローラ846に配信されることができる。コントローラ846は、ロードセルから力情報を取得し、力情報をスイッチアルゴリズムで処理することができる。スイッチアルゴリズムは、コントローラ846によって使用されて、モータドライバ842を制御する。モータドライバ842は、モータ850、851、852、853、および854のうちの1つ以上の動作を制御する。モータドライバ842は、特定のモータに、例えば、モータを介してロードセルによって測定された等しい量の力を生成するように指示することができる。いくつかの実施形態では、生成される力は、コントローラ846の指示どおりに、複数のモータ、例えば、850~854から生じることができる。さらに、モータドライバ842は、コントローラ846から入力を受信することができる。コントローラ846は、ロードセルによって感知された力の方向に関してロードセルから情報を受信することができる。コントローラ846は、運動コントローラアルゴリズムを使用して、この情報を処理することができる。このアルゴリズムを使用して、特定のモータドライバ842に情報を提供することができる。力の方向を再現するために、コントローラ846は、あるモータドライバ842を有効にする、かつ/または無効にすることができる。コントローラ846は、1つ以上のモータ、例えば850~854のうちの1つ以上を、ロードセルによって感知された力の方向にエンドエフェクタ26の動きを誘導するように制御することができる。この力によって制御される運動により、オペレータが、SCARA 24および受動的なエンドエフェクタ26を楽に、かつ/またはほとんど抵抗なく移動することを可能にし得る。エンドエフェクタ26の移動は、医療従事者が使用するために、エンドエフェクタ26を任意の好適なポーズ(すなわち、規定された三次元(3D)直交基準軸に対する場所および角度の向き)に位置決めするように実行され得る。
【0045】
図5に最もよく例示されている起動アセンブリ60は、エンドエフェクタカプラ22を包むブレスレットの形態をなし得る。起動アセンブリ60は、SCARA 24の任意の部分、エンドエフェクタカプラ22の任意の部分に位置することができ、医療従事者および/またはそれらの任意の組み合わせによって着用される(および無線で通信する)ことができる。起動アセンブリ60は、一次ボタンおよび二次ボタンを含み得る。
【0046】
一次ボタンを押し下げることにより、オペレータが、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を移動することを可能にし得る。一実施形態によれば、一旦設置されると、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22は、オペレータがSCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を移動させるように外科手術ロボット4をプログラムするまで移動しないことが可能であるか、または一次ボタンを使用して移動される。いくつかの例では、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22がオペレータコマンドに応答する前に、少なくとも2つの隣接しない一次起動スイッチを押し下げることを必要とすることができる。少なくとも2つの一次起動スイッチを押し下げることにより、医療処置中のSCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22の偶発的な移動を防止し得る。
【0047】
一次ボタンによって起動されると、ロードセルは、オペレータ、すなわち、医療従事者によってエンドエフェクタカプラ22に及ぼされる力の大きさおよび/または方向を測定し得る。この情報は、1つ以上のモータ、例えば、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を動かすのに使用され得るSCARA 24内の850~854のうちの1つ以上に転送され得る。ロードセルによって測定された力の大きさおよび方向に関する情報によって、1つ以上のモータ、例えば850~854のうちの1つ以上に、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22をロードセルによって感知されたのと同じ方向に移動させることができる。この力制御型の動きにより、モータはSCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を移動させるのと同時に、オペレータがSCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を移動させるために、オペレータが、楽に、かつ大きな労力なしに、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を移動することを可能にし得る。
【0048】
いくつかの例では、二次ボタンは、「選択」デバイスとしてオペレータによって使用されることができる。医療手術中、外科手術ロボット4は、XRヘッドセット(単数または複数)920、ディスプレイ34および/または光インジケータ28によって特定の状況を医療従事者に通知することができる。XRヘッドセット(複数可)920は各々、シースルーディスプレイ画面上に画像を表示して、シースルーディスプレイ画面を通して視認可能な現実世界の物体上にオーバーレイされる拡張現実画像を形成するように構成されている。医療従事者は、外科手術ロボット4によって、機能、モードを選択し、および/または外科手術システム2の状況を評価するように促されることがある。二次ボタンを1回押し下げることにより、特定の機能、モードが起動され、および/またはXRヘッドセット(単数または複数)920、ディスプレイ34、および/もしくは光インジケータ28を介して医療従事者に伝達される情報が確認されることができる。さらに、二次ボタンを素早く連続して複数回押し下げると、追加の機能、モードを起動し、および/またはXRヘッドセット(単数または複数)920、ディスプレイ34、および/もしくは光インジケータ28を介して医療従事者に伝達される情報を選択することができる。
【0049】
図8をさらに参照すると、外科手術ロボット4の電気的構成要素は、プラットフォームサブシステム802、コンピュータサブシステム820、運動制御サブシステム840、および追跡サブシステム830を含む。プラットフォームサブシステム802は、バッテリ806、配電モジュール804、コネクタパネル808、および充電ステーション810を含む。コンピュータサブシステム820は、コンピュータ822、ディスプレイ824、およびスピーカ826を含む。運動制御サブシステム840は、ドライバ回路842、モータ850、851、852、853、854、スタビライザ855、856、857、858、エンドエフェクタコネクタ844、およびコントローラ846を含む。追跡サブシステム830は、位置センサ832、およびカメラコンバータ834を含む。外科手術ロボット4はまた、取り外し可能なフットペダル880、および取り外し可能なタブレットコンピュータ890を含み得る。
【0050】
入力電力は、配電モジュール804に提供され得る電源を介して外科手術ロボット4に供給される。配電モジュール804は、入力電力を受け取り、かつ外科手術ロボット4の他のモジュール、構成要素、およびサブシステムに提供される異なる電源電圧を生成するように構成されている。配電モジュール804は、コンピュータ822、ディスプレイ824、スピーカ826、ドライバ842などの他の構成要素に、例えば、動力モータ850~854およびエンドエフェクタカプラ844に提供され、かつカメラコンバータ834および外科手術ロボット4の他の構成要素に提供され得る、異なる電圧供給をコネクタパネル808に提供するように構成され得る。配電モジュール804はまた、バッテリ806に接続されてもよく、バッテリは、配電モジュール804が入力電力から電力を受信しない場合の一時的な電源として役立つ。他の場合には、配電モジュール804は、バッテリ806を充電するのに役立つ場合がある。
【0051】
コネクタパネル808は、異なるデバイスおよび構成要素を外科手術ロボット4ならびに/または関連付けられた構成要素およびモジュールに接続するのに役立ち得る。コネクタパネル808は、異なる構成要素からの配線または接続部を受容する1つ以上のポートを含有し得る。例えば、コネクタパネル808は、外科手術ロボット4を他の機器に接地することができる接地端子ポートと、フットペダル880を接続するポートと、位置センサ832、カメラコンバータ834、およびDRA追跡カメラ870を含むことができる追跡サブシステム830に接続するポートとを有し得る。コネクタパネル808はまた、コンピュータ822などの他の構成要素へのUSB、Ethernet、HDMI通信を可能にする他のポートも含み得る。いくつかの実施形態によれば、コネクタパネル808は、1つ以上のXRヘッドセット920を追跡サブシステム830および/またはコンピュータサブシステム820に動作可能に接続するための有線および/または無線インターフェースを含むことができる。
【0052】
制御パネル816は、外科手術ロボット4の動作を制御し、かつ/またはオペレータが観察するための外科手術ロボット4からの情報を提供する、様々なボタンまたはインジケータを提供し得る。例えば、制御パネル816は、外科手術ロボット4の電源を入れたり切ったりするため、垂直支柱16を持ち上げたり下降させたりするため、ならびにキャスタ12と係合して外科手術ロボット4を物理的に移動しないようにロックするように設計されることができるスタビライザ855~858を持ち上げたり下降させたりするための、ボタンを含むことができる。他のボタンは、緊急事態の際に外科手術ロボット4を停止することができ、これにより、全てのモータ電力を取り除いて、機械的ブレーキを適用して、全ての運動の発生を停止することができる。コントロールパネル816は、ラインパワー表示器などの特定のシステム状態、またはバッテリ806の充電状態を手術者に通知する表示器も備え得る。いくつかの実施形態によれば、1つ以上のXRヘッドセット920は、例えばコネクタパネル808を介して、外科手術ロボット4の動作を制御するよう、かつ/またはXRヘッドセット920を装着している人による観察対象の外科手術ロボット4によって生成された情報を受信および表示するように、通信することができる。
【0053】
コンピュータサブシステム820のコンピュータ822は、外科手術ロボット4の割り当てられた機能を動作させるためのオペレーティングシステムおよびソフトウェアを含む。コンピュータ822は、情報をオペレータに表示するために、他の構成要素(例えば、追跡サブシステム830、プラットフォームサブシステム802、および/または運動制御サブシステム840)から情報を受信および処理することができる。さらに、コンピュータサブシステム820は、スピーカ826を介してオペレータに出力を提供することができる。スピーカは、外科手術ロボットの一部であり得るか、XRヘッドセット920の一部であり得るか、または外科手術システム2の別の構成要素内にあり得る。ディスプレイ824は、図1および図2に示されるディスプレイ34に対応することができる。
【0054】
追跡サブシステム830は、位置センサ832、およびカメラコンバータ834を含むことができる。追跡サブシステム830は、図3のカメラ追跡システム構成要素6に対応し得る。DRA追跡カメラ870は、位置センサ832とともに動作して、DRA52の姿勢を判定する。この追跡は、LEDまたは反射基準(マーカとも呼ばれる)などのDRA52の能動的または受動的な要素の場所をそれぞれ追跡する赤外線または可視光技術の使用を含む、本開示に矛盾しない様式で行うことができる。
【0055】
DRA52などのこれらのタイプのマーカを有する構造の場所、向き、および位置は、コンピュータ822に提供され、ディスプレイ824上でオペレータに示すことができる。例えば、図4および5に示されるように、DRA52を有するか、またはこの様式で追跡されるDRA52を有するエンドエフェクタカプラ22に接続されている、外科手術鋸1040(ナビゲーション空間とも称され得る)は、患者の解剖学的構造の三次元画像に関連してオペレータに示され得る。
【0056】
追跡サブシステム830およびコンピュータサブシステム820の機能的動作は、図3Aおよび図3Bのカメラ追跡システム構成要素6’によって運搬され得るコンピュータプラットフォーム910に含まれ得る。追跡サブシステム830は、姿勢、例えば、追跡されるDRAの位置および角度の向きを判定するように構成されることができる。コンピュータプラットフォーム910はまた、判定された姿勢を使用して、計画された外科的処置中に、位置登録された患者画像および/または追跡される解剖学的構造に対する追跡される器具の動きを誘導するナビゲーション情報をユーザに提供するように構成されたナビゲーションコントローラを含むことができる。コンピュータプラットフォーム910は、図3Bおよび図3Cのディスプレイ、および/または1つ以上のXRヘッドセット920に情報を表示することができる。コンピュータプラットフォーム910は、外科手術ロボットとともに使用される場合、図8のコンピュータサブシステム820および他のサブシステムと通信して、エンドエフェクタ26の動きを制御するように構成され得る。例えば、以下に説明するように、コンピュータプラットフォーム910は、患者の解剖学的構造体、外科ツール、ユーザの手などのグラフィカル表現を、表示されたサイズ、形状、色、および/または1つ以上の追跡対象のDRAの確定された姿勢に基づき制御されている姿勢で、生成することができ、表示されるグラフィカル表現は、経時で、確定された姿勢の変化を追跡するように動的に修正され得る。
【0057】
運動制御サブシステム840は、垂直支柱16、上部アーム18、下部アーム20を物理的に移動させるか、またはエンドエフェクタカプラ22を回転させるように構成され得る。物理的な動きは、1つ以上のモータ850~854を使用することによって行うことができる。例えば、モータ850は、垂直支柱16を垂直に持ち上げるまたは下降させるように構成されることができる。モータ851は、図2に示されるように、垂直支柱16との係合点の周りで上部アーム18を横方向に移動させるように構成されることができる。モータ852は、図2に示されるように、上部アーム18との係合点の周りで下部アーム20を横方向に移動させるように構成されることができる。モータ853および854は、エンドエフェクタカプラ22を移動させて、三次元軸の周りに沿って並進の動きおよび回転を提供するように構成されることができる。図9に示されるコンピュータプラットフォーム910は、エンドエフェクタカプラ22の動きを誘導するコントローラ846に制御入力を与えて、エンドエフェクタカプラ22に接続されている受動エンドエフェクタを、予定の外科処置中に手術される解剖学的構造体に対する予定の姿勢(すなわち、定義された3D直交基準軸に対する場所および角度向き)で位置付けることができる。モーションコントロールサブシステム840は、一体型位置センサ(例えば、エンコーダ)を使用して、エンドエフェクタカプラ22および/またはエンドエフェクタ26の位置を測定するように構成され得る。
【0058】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、カメラ追跡システム構成要素6(図3A)または6’(図3B図3C)、および/または外科手術ロボット4に動作可能に接続され得るコンピュータプラットフォーム910に接続された撮像デバイス(例えば、Cアーム、Oアームなど)を含む外科手術システムの構成要素のブロック図を示す。あるいは、コンピュータプラットフォーム910によって実施されるものとして本明細書に開示される少なくともいくつかの動作は、追加的または代替的に、外科手術システムの構成要素によって実施され得る。
【0059】
図9を参照すると、コンピュータプラットフォーム910は、ディスプレイ912、少なくとも1つのプロセッサ回路914(簡潔にするためにプロセッサとも呼ばれる)、コンピュータ可読プログラムコード918を内包する少なくとも1つのメモリ回路916(簡潔にするためにメモリとも呼ばれる)、および少なくとも1つのネットワークインターフェース902(簡潔にするためにネットワークインターフェースとも呼ばれる)を含む。ディスプレイ912は、本開示のいくつかの実施形態に従って、XRヘッドセット920の一部とすることができる。ネットワークインターフェース902は、Cアーム撮像デバイス104、Oアーム撮像デバイス106、別の医療撮像デバイス、患者の医療画像を内包する画像データベース950、外科手術ロボット4の構成要素、および/または他の電子機器に接続するように構成され得る。
【0060】
外科手術ロボット4とともに使用される場合、ディスプレイ912は、図2のディスプレイ34、および/または図8のタブレット890、および/または外科手術ロボット4に動作可能に接続されたXRヘッドセット920に対応することができ、ネットワークインターフェース902は、図8のプラットフォームネットワークインターフェース812に対応することができ、プロセッサ914は、図8のコンピュータ822に対応することができる。XRヘッドセット920のネットワークインターフェース902は、有線ネットワーク、例えば、シンワイヤEthernetを介して、および/または1つ以上の無線通信プロトコル、例えば、WLAN、3GPP 4Gおよび/または5G(新無線)セルラー通信規格などに従って無線RF送受信リンクを介して通信するように構成されることができる。
【0061】
プロセッサ914は、汎用および/または専用プロセッサ、例えば、マイクロプロセッサおよび/またはデジタル信号プロセッサなどの1つ以上のデータ処理回路を含むことができる。プロセッサ914は、メモリ916内のコンピュータ可読プログラムコード918を実行して、外科手術計画、ナビゲートされる外科手術、および/またはロボット外科手術のために実行されるものとして本明細書に記載される動作の一部または全てを含むことができる動作を実行するように構成されている。
【0062】
プロセッサ914は、撮像デバイス104および106のうちの一方から、および/またはネットワークインターフェース902を介して画像データベース950から受信された骨の画像をディスプレイデバイス912上に表示するように動作し得る。プロセッサ914は、計画された外科手術(複数可)のためにディスプレイ912上の場所を選択するオペレータタッチによって、または計画された手術(複数可)の場所を定義するためにマウスベースのカーソルを使用することなどによって、1つ以上の画像内に示される、切断される、穴が開けられる、または他の外科手術が行われる解剖学的構造、すなわち、1つ以上の骨の場所のオペレータの定義を受信する。
【0063】
コンピュータプラットフォーム910は、外科手術計画機能性を提供するように構成され得る。プロセッサ914は、撮像デバイス104および106のうちの一方から、および/またはネットワークインターフェース902を介して画像データベース950から受信された解剖学的構造、例えば椎骨の画像をディスプレイデバイス912および/またはXRヘッドセット920上に表示するように動作し得る。プロセッサ914は、計画された外科的処置のためにオペレータタッチがディスプレイ912上の場所を選択することによって、または計画された外科的処置のための場所を定義するためにマウスベースのカーソルを使用することなどによって、1つ以上の画像で示される解剖学的構造が、外科的処置、例えばスクリュー配置を受ける場所のオペレータの定義を受信する。画像がXRヘッドセット920に表示される場合、XRヘッドセットは、着用者によって形成されたジェスチャベースのコマンドで感知するように、および/または着用者によって話されたボイスベースのコマンドを感知するように構成されることができ、これを使用してメニュー項目間の選択を制御し、および/または以下にさらに詳述するように、XRヘッドセット920にオブジェクトがどのように表示されるかを制御することができる。
【0064】
コンピュータプラットフォーム910は、生体構造の測定を可能にするように構成することができ、これは、椎骨および椎間板の間隔の寸法測定などの脊椎手術に特に有用であり得る。いくつかの測定は、自動的とすることができ、一方、いくつかの他の測定は、人間の入力または支援を伴う。このコンピュータプラットフォーム910により、オペレータが、サイズおよび一致度の選択を含む、患者のための正しいインプラントを選択することが可能になる。以下でさらに説明するように、MLガイダンスシステム1220は、術前計画中、および外科手術計画の術中外科手術実行中に、ユーザにガイダンスを提供する。MLガイダンスシステムにより、インプラント(複数可)の自動または半自動(人間の入力を伴う)選択と外科手術計画の生成とが可能になる。
【0065】
外科手術計画コンピュータ910により、CT画像または他の医療画像の自動または半自動(人間の入力を伴う)セグメント化(画像処理)が可能になる。患者の外科手術計画は、外科手術ロボット800による検索のために中央データベース1210(図12)に記憶され得る。外科手術中、外科医は、コンピュータ画面(例えば、タッチスクリーン)、または、例えば、ヘッドマウントディスプレイを介した拡張現実の相互作用を使用して、外科手術計画のどの構成要素が行われているのかを選択する。外科手術ロボット4は、エンドエフェクタによって誘導されるツールが、患者の目標場所に対して計画された軌道に沿って最適に方向付けされるように、ロボットアーム エンドエフェクタを計画された姿勢に自動的に移動させることができる。
【0066】
椎骨の間にスペーサを挿入することを伴う外科手術計画の場合、例えば、スペーサのための空間を作成した後、外科医は、コンピュータ画面(例えば、タッチスクリーン)、または、例えば、エクステンデッドリアリティ(XR)ヘッドセット920を介したXRの相互作用(例えば、ハンドジェスチャベースのコマンドおよび/または音声ベースのコマンド)を使用して、スペーサ挿入のための軌道のためのガイダンスを開始することができる。コンピュータプラットフォーム910は、外科的処置を実行するために外科医に視覚的ガイダンスを提供するナビゲーション情報を生成することができる。外科手術ロボット4とともに使用される場合、コンピュータプラットフォーム910は、スペーサを挿入するための外科手術器具が、スペーサを受け入れる準備ができている椎間板空間に向かって計画された軌道と一致するように、外科手術ロボット4がエンドエフェクタ26を目標姿勢に自動的または半自動的に移動することを可能にするガイダンスを提供することができる。
【0067】
システム900は、XRヘッドセット920を動作させて、脊椎上の目標場所にオーバーレイされた、XRヘッドセット920を介して視認できるスペーサの三次元(3D)コンピュータ生成表現を表示することができる。コンピュータ生成表現は、コンピュータプラットフォーム910のガイダンス下で、ディスプレイ画面上で患者に対してスケーリングおよび姿勢決めされ、姿勢は、XRヘッドセット920を介して視認される間、外科医によって操作されることができる。外科医は、例えば、XRヘッドセット920によって感知されるハンドジェスチャベースのコマンドおよび/または音声ベースのコマンドを使用して、解剖学的構造、インプラント、外科手術器具などの表示されたコンピュータ生成表現を操作することができる。
【0068】
例えば、術前段階中、外科医は、仮想インプラント上に表示された仮想ハンドルを視認することができ、仮想ハンドルを操作し(例えば、つかんで移動させ)て、仮想インプラントを所望の姿勢に移動させ、患者の脊椎または他の解剖学的構造のグラフィカル表現に対する計画されたインプラント配置を調整することができる。その後、外科手術中に、コンピュータプラットフォーム910は、XRヘッドセット920を介して、インプラントを挿入するために外科手術計画により正確に従う、および/または、脊椎に別の外科的処置を行う外科医の能力が増進するナビゲーション情報を表示することができる。外科的処置が骨除去を伴う場合、骨除去の進行、例えば切込みの深さを、XRヘッドセット920を介してリアルタイムで表示することができる。
【0069】
コンピュータプラットフォーム910は、解剖学的構造を切断するために、オペレータによって選択された場所で、表示された解剖学的構造と交差する1つ以上の切断面をグラフィカルに示すことができる。コンピュータプラットフォーム910はまた、外科手術器具の切断面と目標面とが一致して、オペレータが定義された切断を実施するように、エンドエフェクタカプラ22を位置決めしなければならない角度の向きおよび場所の1つ以上のセットを決定し、それらの角度の向きおよび場所のセットを外科手術計画データ構造内のデータとして記憶する。コンピュータプラットフォーム910は、受動的なエンドエフェクタの器具取り付け機構の移動の既知の範囲を使用して、ロボットアーム20に取り付けられたエンドエフェクタカプラ22を位置決めする必要がある場所を決定する。
【0070】
外科手術ロボット800のコンピュータサブシステム820は、外科手術計画データ構造からデータを受信し、また、切断される解剖学的構造の現在の姿勢を示し、かつ、受動的なエンドエフェクタおよび/またはDRAを介して追跡された外科手術鋸の現在の姿勢を示す、カメラ追跡システム構成要素6からの情報を受信する。コンピュータサブシステム820は、解剖学的構造が切断される場所を定義する外科手術計画に基づいて、かつ、解剖学的構造の姿勢に基づいて、目標面の姿勢を決定することができる。コンピュータサブシステム820は、目標面の姿勢と外科手術鋸の姿勢との比較に基づいて操縦情報を生成することができる。操縦情報は、鋸ブレードの切断面と目標面とが一致し、鋸ブレードが、受動的なエンドエフェクタの用具取り付け機構の動きの範囲内にある、切断される解剖学的構造からの距離に位置決めされるように、受動的なエンドエフェクタを移動させる必要がある場所を示す。
【0071】
上で説明されるように、外科手術ロボットは、ロボット基部と、ロボット基部に接続されたロボットアームと、ロボット基部に対してロボットアームを移動させるように動作可能に接続された少なくとも1つのモータと、を含む。外科手術ロボットはまた、少なくとも1つのモータに接続され、動作を実施するように構成されている、少なくとも1つのコントローラ、例えば、コンピュータサブシステム820および運動制御サブシステム840を含む。
【0072】
自動撮像システムを外科手術計画コンピュータ910および/または外科手術システム2と併せて使用して、患者の術前、術中、術後、および/またはリアルタイムの画像データを取得することができる。いくつかの実施形態では、自動撮像システムは、Cアーム撮像デバイスまたはO-arm(登録商標)である。(O-arm(登録商標)は、Louisville,Colo.,USAに事業所があるMedtronic Navigation,Inc.が著作権を所有している)X線システムで必要とされ得る、患者の頻繁な手動による再位置決めを必要とすることなく、いくつかの異なる位置から患者のX線を撮影することが望ましい場合がある。CアームX線診断機器は、頻繁な手動による再位置決めの問題を解決することができ、外科手術および他の介入処理の医療分野でよく知られている。Cアームは、「C」字形状の対向する遠位端で終端する細長いC字形部材を含む。C字形部材は、X線源および受像器に取り付けられている。アームのCアーム内の空間は、X線支持構造からの干渉が実質的にない状態で、医師が患者に対応する空間を提供する。
【0073】
Cアームは、2つの自由度における(すなわち、球面運動における2つの直交軸を中心とする)アームの回転の移動を可能にするように取り付けられている。Cアームは、X線支持構造に摺動可能に取り付けられ、これにより、Cアームの曲率中心を中心とした周回回転方向の移動が可能になり、X線源および受像器を垂直および/または水平方向に選択的に向けることを可能にすることができる。Cアームはまた、横方向(すなわち、患者の幅および長さの双方に対するX線源および受像器の選択的に調節可能な位置決めを可能にする周回方向に対して直交方向)に回転可能であってもよい。Cアーム装置の球面回転の態様により、医師は、撮像されている特定の解剖学的状況に関して決定された最適な角度で患者のX線を撮像することができる。
【0074】
O-arm(登録商標)には、図示されていない画像キャプチャ部分を取り囲むことができるガントリハウジングが含まれる。画像キャプチャ部分は、X線源および/または放射部分と、X線受信および/または画像受信部分とを含み、これらを互いに約180度に配設し、画像キャプチャ部分の軌道に対してロータ上に取り付けることができる。画像キャプチャ部分は、画像取得中に360度回転するように動作可能であってもよい。画像キャプチャ部分は、中心点および/または軸を中心として回転することができ、患者の画像データが複数の方向から、または複数の平面で取得されることを可能にする。
【0075】
ガントリハウジングを備えたO-arm(登録商標)は、撮像される物体の周りに位置決めするための中央開口部と、ガントリハウジングの内部の周りで回転可能な放射線源とを有し、放射線源は、複数の異なる投影角度から放射線を投影するように適合されることができる。検出器システムは、各投影角度で放射線を検出して、物体画像を複数の投影面から擬似的に同時に取得するように適合されている。ガントリは、カンチレバー様式で、ホイールを有するホイール付き移動式カートなどの支持構造Oアーム(登録商標)支持構造に取り付けることができる。位置決めユニットは、好ましくはコンピュータ化された運動制御システムの制御下で、ガントリを計画された位置および向きに並進および/または傾斜させる。ガントリは、ガントリ上で互いに対向して配設された供給源および検出器を含むことができる。供給源および検出器は、供給源および検出器を互いに協調させてガントリの内部の周りで回転させることができる電動ロータに固設されることができる。供給源は、ガントリの内側に位置する目標オブジェクトの多平面撮像のために、部分的および/または完全に360度の回転にわたって複数の位置および向きでパルス化されることができる。ガントリは、ロータが回転するときにロータを誘導するためのレールおよび支承システムをさらに備えることができ、これは、供給源および検出器を搬送することができる。O-arm(登録商標)およびCアームの双方および/またはいずれかを自動撮像システムとして使用して、患者をスキャンし、情報を外科手術システム2に送ることができる。
【0076】
自動撮像システムによってキャプチャされた画像は、外科手術計画コンピュータ910、外科手術ロボット800、および/または外科手術システム2の別の構成要素のディスプレイデバイスに表示され得る。
【0077】
図10は、本開示の様々な実施形態に従って、コンピュータプラットフォーム910に、Cアーム撮像デバイス104、Oアーム撮像デバイス106、および/もしくは画像データベース950などの撮像デバイスのうちの1つ以上に、ならびに/または、外科手術ロボット800に動作可能に接続され得るXRヘッドセット920の電気的構成要素を示す。データベース950は、過去の医療画像、病歴などを含むことができる患者データのリポジトリとすることができる。
【0078】
XRヘッドセット920は、ナビゲートされる外科的処置を実行するための改善されたヒューマンインターフェースを提供する。XRヘッドセット920は、例えば、コンピュータプラットフォーム910を介して、ハンドジェスチャベースのコマンドおよび/または音声ベースのコマンドの識別、ディスプレイデバイス1050上のXRグラフィカル物体のうちのいずれか1つ以上を含むが、これらに限定されるわけではない、機能性をもたらすように構成され得る。ディスプレイデバイス1050は、表示されたXRグラフィカルオブジェクトをディスプレイ画面上に投射するビデオプロジェクタ、フラットパネルディスプレイなどであり得る。ユーザは、XRグラフィカルオブジェクトを、ディスプレイ画面を介して視認される特定の実世界のオブジェクトに固定されたオーバーレイとして視認することができる。XRヘッドセット920は、追加的または代替的に、1つ以上のXRヘッドセット920に取り付けられたカメラおよび他のカメラからのビデオフィードをディスプレイ画面1050上に表示するように構成され得る。
【0079】
XRヘッドセット920の電気的構成要素は、複数のカメラ1040、マイクロフォン1042、ジェスチャセンサ1044、姿勢センサ(例えば、慣性測定ユニット(IMU))1046、ディスプレイデバイス1050を含有するディスプレイモジュール1048、および無線/有線通信インターフェース1052を含むことができる。XRヘッドセットのカメラ1040は、可視光キャプチャカメラ、近赤外線キャプチャカメラ、または双方の組み合わせとすることができる。
【0080】
カメラ1040は、カメラ(複数可)1040の視野内で実施されるユーザのハンドジェスチャの識別のためにキャプチャすることによって、ジェスチャセンサ1044として動作するように構成され得る。あるいは、ジェスチャセンサ1044は、近接センサ、ならびに/またはジェスチャセンサ1044に近接して実施されるハンドジェスチャ、および/もしくは物理的接触、例えばセンサまたはエンクロージャ1304をタッピングすることを感知するタッチセンサであり得る。姿勢センサ1046、例えばIMUは、1つ以上の画定された座標軸に沿ったXRヘッドセット920の回転および/または加速度を感知することができる多軸加速度計、傾斜センサ、および/または別のセンサを含むことができる。これらの電気的構成要素のいくつかまたは全ては、構成要素エンクロージャ1304に内包され得るか、または腰もしくは肩などの他の箇所で着用されるように構成された別のエンクロージャに内包され得る。
【0081】
上で説明したように、外科手術システム2は、カメラ追跡システム構成要素6/6’と、コンピュータプラットフォーム910の一部であり得る追跡サブシステム830とを含む。外科手術システムは、撮像デバイス(例えば、C-arm 104、O-arm 106、および/または画像データベース950)および/または外科手術ロボット4を含み得る。追跡サブシステム830は、解剖学的構造体、エンドエフェクタ、外科ツールなどに取り付けられたDRAの姿勢を確定するように構成されている。ナビゲーションコントローラ828は、例えば、外科処置が解剖学的構造体に対して外科ツールを使用して行われる個所を定義する、図9のコンピュータプラットフォーム910によって果たされる外科計画立案機能からの外科計画に基づき、また、追跡サブシステム830によって確定された解剖学的構造体の姿勢に基づき、解剖学的構造体対する外科ツールの目標姿勢を確定するように構成されている。ナビゲーションコントローラ828は、さらに、外科手術器具の目標姿勢、解剖学的構造の姿勢、および外科手術器具および/またはエンドエフェクタの姿勢に基づいて操舵情報を生成するように構成されることができ、ここで、操舵情報は、外科手術計画を実行するために外科手術器具および/または外科手術ロボットのエンドエフェクタが移動される必要がある場合を示す。
【0082】
XRヘッドセット920の電気的構成要素は、有線/無線インターフェース1052を介してコンピュータプラットフォーム910の電気的構成要素に動作可能に接続され得る。XRヘッドセット920の電気的構成要素は、例えば、様々な撮像デバイス、例えば、Cアーム撮像デバイス104、I/Oアーム撮像デバイス106、画像データベース950に、および/または有線/無線インターフェース1052を介して他の医療機器に対して、コンピュータプラットフォーム910を介して動作可能に接続され得るか、または直接接続され得る。
【0083】
外科手術システム2は、XRヘッドセット920、コンピュータプラットフォーム910、および/または有線ケーブルおよび/または無線通信リンクで接続された別のシステム構成要素に存在し得る少なくとも1つのXRヘッドセットコントローラ1030(簡潔にするために「XRヘッドセットコントローラ」とも呼ばれる)をさらに含む。様々な機能性は、XRヘッドセットコントローラ1030によって実行されるソフトウェアによって提供される。XRヘッドセットコントローラ1030は、解剖学的構造に対する外科的処置中にユーザにガイダンスを提供するナビゲーションコントローラ828からナビゲーション情報を受信するように構成されており、シースルーディスプレイ画面1302上での投影のためのディスプレイデバイス1050での表示のためにナビゲーション情報に基づいてXR画像を生成するように構成されている。
【0084】
ディスプレイ画面(「シースルーディスプレイ画面」とも呼ばれる)1302に対するディスプレイデバイス1050の構成は、XRヘッドセット920を装着しているユーザが、実世界にあるように見えるXR画像を、ディスプレイ画面1302を介して見るようにXR画像を表示するように構成されている。ディスプレイ画面1302は、ユーザの眼の前のヘッドバンド1306によって位置決めされ得る。
【0085】
XRヘッドセットコントローラ1030は、ディスプレイ画面1302を視認する間、ユーザの頭またはユーザの体の他の箇所に着用されるように構成されたハウジング内にあり得るか、またはディスプレイ画面1302に通信可能に接続されている間にディスプレイ画面1302を視認しているユーザから遠隔に位置付けされ得る。XRヘッドセットコントローラ1030は、カメラ1040、マイクロフォン142、および/または姿勢センサ1046からの信号伝達を動作可能に処理するように構成され得、ディスプレイ画面1302上で視認するユーザのためにディスプレイデバイス1050上にXR画像を表示するように接続されている。したがって、XRヘッドセット920内の回路ブロックとして示されるXRヘッドセットコントローラ1030は、XRヘッドセット920の他の図示の構成要素に動作可能に接続されているが、必ずしも共通のハウジング(例えば、図13の電子構成要素筐体1304)内に存在するとは限らないか、またはそうでなければユーザによって移動可能であると理解されるべきである。例えば、XRヘッドセットコントローラ1030は、ひいては図3Bおよび図3Cに示されるコンピュータ追跡システム構成要素6’のハウジング内に存在し得るコンピュータプラットフォーム910内に存在し得る。
【0086】
図11は、本開示のいくつかの実施形態に従って、医療処置中に、外科手術器具1102を操作しているユーザに、ナビゲーション支援を提供するためのXRヘッドセット920のディスプレイデバイス1050を介した例示的なビューを示す。図11を参照すると、外科手術器具1102に接続された動的参照アレイ1130および1132が、XRヘッドセット920および/または補助追跡バー46の追跡カメラの視野内になるように、外科手術器具1100が、追跡される解剖学的構造(例えば、脊椎の椎骨)の近傍に持ってこられると、器具のグラフィカル表現1100は、解剖学的構造(脊椎の椎骨)のグラフィカル表現1110に関連して、2Dおよび/または3D画像内に表示され得る。ユーザは、視認されたグラフィカル表現を使用して、器具のグラフィカル表現1100から解剖学的構造のグラフィカル表現1610を通って延在するものとして示され得る外科手術器具1102の軌道1120を調整することができる。あるいは、軌道1120は、ユーザが、器具のグラフィカル表現1100の軌道を、計画された軌道1120と一致させることができるように、解剖学的構造のグラフィカル表現1110をインターセプトする器具の計画された軌道に対応してもよい。XRヘッドセット920はまた、テキスト情報および他のオブジェクト1140も表示することができる。視認されるディスプレイ画面を横切って延在する破線1150は、XRヘッドセット920の異なる不透明度レベルの上側バンドと下側バンドとの間の分割例を表す。
【0087】
ディスプレイデバイス1050に表示することができる他のタイプのXR画像(仮想コンテンツ)は、これらに限定されないが、以下のいずれか1つ以上を含むことができる:
1)患者の生体構造の2Dの体軸ビュー、矢状ビュー、および/または冠状ビュー、
2)計画された器具と現在追跡されている器具との対比と、外科手術インプラント場所と、のオーバーレイ、
3)術前画像のギャラリー、
4)顕微鏡および他の同様のシステム、またはリモートビデオ会議からのビデオフィード、
5)オプションならびに構成の設定およびボタン、
6)外科手術計画情報を有する患者の生体構造の浮遊3Dモデル、
7)浮遊する患者の生体構造に関連する外科手術器具のリアルタイム追跡、
8)指示およびガイダンスを有する患者の生体構造の拡張オーバーレイ、および
9)外科手術機器の拡張オーバーレイ。
【0088】
ナビゲートされる整形外科手術のための機械学習システム:
上で説明したように、外科手術アウトカムの成功の程度は、特定の患者のニーズに最適な外科手術計画を設計および実施する外科医の能力に依存する。しかしながら、医学的に受け入れられている脊椎の外科的処置と多数の利用可能なインプラントのタイプおよび構成との無数の組み合わせから選択する際に、過去の診療経験を患者の特定の脊椎形状および矯正ニーズに適応させる外科医の能力には固有の限界があることから、最適な設計および実装を達成できない場合がある。これは、以前の医療処置および関連する革新では対処されていない問題があることを示唆している。
【0089】
外科手術のアウトカムに影響を与える可能性のある多くの不確定要素がある:
・計画:どのように外科手術をより患者固有のものに適応させるか?モデルからの現在の患者の変形をどのように考慮するか?目標の変形矯正は何であるか?
・選択された患者に最適なインプラントのタイプは何であるか?外科医が患者のために選択することができる利用可能なインプラントのタイプには、数十を超えるタイプがあり得ることに留意されたい。
【0090】
これらの不確定要素は、選択された患者のための整形外科手術で使用するために、外科医が選択する必要がある多数の可能な組み合わせをもたらす。
【0091】
本開示のいくつかの実施形態は、患者の外科手術の術前段階、術中段階、および術後段階中に得られたおよび/または報告されたデータを処理する機械学習処理回路を含む外科手術ガイダンスシステムを対象としている。時間の経過とともに、機械学習処理回路は、例えば、術前段階中に外科医によって選択された不確定要素(メトリックまたは他のデータ)の間で決定された過去の相関および/または他の傾向、ナビゲートされる外科手術中の追跡された動き、および結果として生じる患者のアウトカムに基づいて、機械学習モデルをトレーニングする。トレーニングには、人工知能(AI)アルゴリズムのルール、決定動作の1つ以上のセットのうちのルール、ならびに/または、ニューラルネットワークモードのノードの重みおよび/もしくは発火閾値を適応させて、1つ以上の定義されたキーパフォーマンス外科手術アウトカムを、満たされている1つ以上の定義された閾値または他のルール(複数可)に向かわせることが含まれ得る。外科手術ガイダンスシステムは、機械学習モデルを通じて新しい特許の特性についての術前データを処理し、インプラント選択を伴う外科手術計画を生成する際に、術前段階中に、外科医にナビゲートされたガイダンスを提供する。外科手術計画をナビゲーションシステムに提供して、術中段階中に、外科医にガイダンスを提供して、外科医が外科手術計画を実行するのを支援することができる。さらに、外科手術計画をロボット外科手術システムに提供して、外科手術計画の実行中に、外科医を支援するロボットアームの移動を制御することができる。
【0092】
機械学習の文脈において、様々な実施形態が説明されており、機械学習モデルは時間の経過とともにトレーニングされるが、機械学習モデルは、通常、ゼロ知識の開始点から適応されるわけではない。代わりに、これらおよび他の実施形態は、定義された特性を有する患者に対して1つ以上の定義された外科的処置を実行するために、定義された外科手術器具およびインプラントのセットから選択するための人間が定義したベストプラクティスに基づいて事前にプログラムされた機械学習モデルとともに使用され得る。
【0093】
図12は、いくつかの実施形態に従って構成された外科手術ガイダンスシステム1220を使用するナビゲートされる外科手術ワークフローを示す。図12を参照すると、ワークフローの3つの段階:術前段階1200、術中段階1202、および術後段階1204が示されている。術前段階1200中に、ユーザ(例えば、外科医)は、外科手術ガイダンスシステム1220からの支援を受けて、解析された患者画像に基づいて外科手術計画(ケース)を生成する。術中段階1202中に、ユーザは、正確な計画実行のための外科手術ロボット4の動作を含み得るナビゲートされる支援を、外科手術ガイダンスシステム1220によって提供される。術後段階1204中に、外科手術アウトカムを特徴付ける術後フィードバックデータが、患者測定および/または患者調査などによって、外科手術ガイダンスシステム1220によって収集される。3つのフェーズ1200、1202、および1204にわたって得られるデータは、機械学習処理回路1222の機械学習モデルをトレーニングするために、外科手術ガイダンスシステム1220が使用するために、中央データベース1210に記憶され得る。機械学習モデルには、人工知能(AI)プロセス、ニューラルネットワーク構成要素などが含まれ得る。機械学習モデルは、時間の経過とともにトレーニングおよび使用されて、改善された外科手術アウトカムをもたらす外科手術計画が生成される。
【0094】
図12に示される例示的な外科手術ガイダンスシステム1220は、術前計画構成要素1224、術中ガイダンス構成要素1226、機械学習処理回路1222、およびフィードバックトレーニング構成要素1228を含む。
【0095】
以下にさらに詳述するように、フィードバックトレーニング構成要素1228は、複数の患者の外科手術アウトカムに関して分散型ネットワークコンピュータによって提供される術後フィードバックデータを得て、術後フィードバックデータに基づいて、機械学習モデルをトレーニングするように構成されている。図12は、術後段階1204中に、中央データベース1210に記憶するために、1つ以上のネットワーク1230(例えば、パブリック(インターネット)ネットワークおよび/またはプライベートネットワーク)を介して外科手術ガイダンスシステム1220に、術後フィードバックデータを提供する単一のコンピュータ、例えば、スマートフォンを示しているが、多くのネットワークコンピュータ(例えば、数百のコンピュータ)が、多くの以前の患者(例えば、数百の患者)の各々の術後フィードバックデータを、機械学習モデルのトレーニングに使用するために、外科手術ガイダンスシステム1220(すなわち、フィードバックトレーニング構成要素1228)に提供することを理解されたい。さらに、以下でさらに詳述するように、フィードバックトレーニング構成要素1228は、以前の患者の術前段階1200中に得られた術前データ(例えば、外科手術計画)に基づいて、かつ、以前の患者の術中段階1202中に得られた術中データ(例えば、どの外科的処置(複数可)が使用されたか、どのインプラント(複数可)が使用されたか、どの器具(複数可)が使用されたか、特定された外科的処置(複数可)中の器具(複数可)の6自由度(DOF)の追跡された移動など)に基づいて、機械学習モデルをさらにトレーニングすることができる。例えば、トレーニングには、AIアルゴリズムのルール、決定動作の1つ以上のセットのうちのルール、ならびに/または、ニューラルネットワークモードのノードの重みおよび/もしくは発火閾値を適応させて、機械学習モデル1300の1つ以上の出力(例えば、外科手術計画(複数可))を、満たされている1つ以上の定義された閾値または他のルール(複数可)(例えば、術後段階データによって示される、定義されたキーパフォーマンス外科手術アウトカム)に向かわせることが含まれ得る。
【0096】
術前計画構成要素1224は、外科手術的矯正が考慮される脊椎状態を有する候補患者を特徴付ける術前データを、分散型ネットワークコンピュータのうちの1つから得て、機械学習モデルを介した術前データの処理に基づいて、候補患者の外科手術計画を生成する。術前計画構成要素1224は、ユーザ、例えば、外科医によるレビューのために、外科手術計画をディスプレイデバイスに提供する。したがって、機械学習処理回路1222の術前計画構成要素1224は、以前の患者の外科手術アウトカムに関する術後フィードバックデータに基づいてトレーニングされた機械学習モデルを使用して、候補患者の外科手術計画を生成する。機械学習モデルのトレーニングは、フィードバックトレーニング構成要素1228によってより多くの術後フィードバックが得られるにつれて繰り返すことができるため、生成される外科手術計画は、結果として生じる患者の外科手術アウトカムの継続的な改善をもたらす。
【0097】
図13は、術前段階、術中段階、および術後段階中の関連付けられたデータフローを有する外科手術ガイダンスシステム1220のブロック図を示し、ユーザディスプレイおよびロボット外科手術システムに提供される外科手術ガイダンスを示す。
【0098】
図13を参照すると、外科手術ガイダンスシステム1220は、フィードバックトレーニング構成要素1228、術前計画構成要素1224、および術中ガイダンス構成要素1226を含む。外科手術ガイダンスシステム1220はまた、機械学習モジュール1300を含む機械学習処理回路122を含み、機械学習モジュール1300は、以下でさらに詳述するように、人工知能構成要素および/またはニューラルネットワーク構成要素1310を含み得る。図13は、通信の主要な方向を示すために通信経路上の矢印を含んでいるが、通信は、描かれた矢印とは反対の方向に発生してもよく、また、要素間で発生することができ、これらに対して、図を簡略化するために矢印は示されていないことを理解されたい。
【0099】
機械学習モデルのトレーニング:
フィードバックトレーニング構成要素1228は、分散型ネットワーク化コンピュータによって提供される、脊椎状態の治療を試みるためにリハビリテーション療法および/または外科手術を完了した以前の患者の外科手術アウトカムを特徴付ける術後段階フィードバックデータを得るように動作し得る。フィードバックトレーニング構成要素1228はまた、以前の患者の術前段階データおよび/または術中段階データを得るように動作し得る。術前段階のデータは、患者およびその脊椎の状態を特徴付けることができる。術中段階データは、以前の患者のために計画された外科的処置(複数可)、以前の患者のために計画された(脊椎インプラント処置のための)外科手術インプラント(複数可)、以前の患者で使用するために計画された外科手術器具(複数可)、外科的処置(複数可)中の器具(複数可)および/または外科手術インプラント(複数可)の計画された軌道および移動、(脊椎減圧処置のための)脊椎減圧量、外科的処置の様々な段階の持続時間測定値、外科的処置の様々な段階で評価された難易度、ならびに以下で説明するその他の情報を特徴付けることができる。フィードバックトレーニング構成要素1228は、得られた術前段階データ、術中段階データ、および術後段階データを使用して、機械学習モデル1300をトレーニングする。
【0100】
機械学習モデル1300は、以下に説明するように、術前段階データ、術中段階データ、および術後段階データの間の相関を特定するようにトレーニングされるAI駆動アルゴリズム構成要素および/またはニューラルネットワーク構成要素を含み得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、フィードバックトレーニング構成要素1228は、各以前の患者の術前段階データ(「術前フィードバックデータ」とも呼ばれる)に基づいて、機械学習モデル1300をトレーニングするように構成されている。データは、患者の人口統計(例えば、年齢、性別、BMI、人種、併存疾患)、患者の病歴、および医療画像解析(例えば、脊椎の湾曲、椎体の寸法、椎骨のエンドキャップの輪郭、椎間孔の面積/ボリューム、脊柱管の面積/ボリューム、ヘルニアおよび/または骨棘の場所など)、のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0102】
フィードバックトレーニング構成要素1228はまた、各以前の患者について、その患者での実行が計画された外科手術の詳細を特徴付ける術前段階データに基づいて、機械学習モデル1300をトレーニングするように動作し得る。同様に、フィードバックトレーニング構成要素1228はまた、外科的処置中に収集され、各以前の患者について、その患者に対して行われた外科手術の詳細を特徴付ける術中段階データ(「術中フィードバックデータ」とも呼ばれる)に基づいて、機械学習モデル1300をトレーニングするように構成され得る。この術前段階データおよび/または術中段階データは、以下のいずれか1つ以上を含み得る:
(1)術前に計画された、または術中に使用された(「計画されたまたは使用された」)処置タイプ
(a)椎骨の減圧、
(b)椎骨の拡散、および
(c)ヘルニア組織および/または椎間板を除去し、スペーサを挿入するための腰椎椎間板切除術など、
(2)インプラント(複数可)の計画されたまたは使用されたタイプ(例えば、Globus Medical社の側方固定スペーサインプラントタイプであるCALIBER-L拡張可能高さスペーサ、TransContinental固定高さスペーサ、InterContinentalスペーサ、PLYMOUTHスペーサ、ELSA拡張可能な統合側方椎体間固定スペーサなどの椎体固定スペーサインプラント)、
(3)計画されたまたは使用されたインプラントの寸法サイジング
(a)インプラントの長さ、
(b)インプラントの幅、
(c)インプラントの高さ(固定された前方の高さ、拡張可能な前方の高さの範囲、後方のテーパー)、
(d)インプラントのプレート-スペーサ矢状プロファイル(例えば、0°、6°、20°、25°前弯)、および/または
(e)インプラントスクリューの長さ、直径、挿入軌道角度、
(4)インプラントとともに使用される(例えば、インプラント内および/またはインプラントの周囲に追加される)骨移植片(例えば、同種移植片、骨形成タンパク質(BMP)など)の計画されたまたは使用されたボリューム、
(5)終板に対する計画されたまたは使用されたインプラント場所の配置および構成、
(a)インプラントの挿入経路および固定位置、
(b)インプラントの拡張量、
(c)インプラントおよび周囲の椎間板腔の移植片アクセス穴への追加の自家骨移植片挿入の量、および/または
(d)準備されたスクリュー穴の軌道および深さ、ならびに使用された器具(複数可)(例えば、皮質に穴を開けるための突き錐、スクリュー穴を作成するためのドリル)、
(6)計画されたまたは使用された器具(複数可)のタイプ(例えば、インプラント挿入器具、突き錐、ドリル、椎間板ボックスカッタ、椎間板鉗子、ケリソン、キュレット、スクレーパ、およびラスプなど)、ならびに、患者および6DOFの計画された移動に対する計画されたまたは使用された軌道を含み得る、
(7)計画されたまたは実行された脊椎減圧の量、
(8)計画されたまたは使用された患者の切開の場所、
(9)計画されたまたは使用された、患者に対するカニューレ挿入経路、
(10)計画されたまたは使用された開創器の構成(例えば、開創器の選択(例えば、GlobusのMinimal Access Retractor System(MARS))、ブレードの長さの選択)、
(11)脊椎の目標場所へのアクセスを得るための計画されたまたは使用された開創器動作(開創器の位置決め、ブレードの挿入経路および深さ、ブレードの側方の動き、ブレードのアンギュレーション)など、
(12)椎間板準備の計画されたまたは使用された量、
(13)椎間板準備の計画されたまたは使用された量、および、椎間板および/または骨棘の一部分を除去することにより作成された椎間板腔の量、ならびに、そのプロセス(複数可)のために計画されたまたは使用された器具(複数可)(例えば、椎間板ボックスカッタ、椎間板鉗子、ケリソン、キュレット、スクレーパ、およびラスプ)、
(14)終板の準備の計画されたまたは使用された量(例えば、出血している骨を露出させるために除去された軟骨終板の表層の量)、および、そのプロセス(複数可)のために計画されたまたは使用された器具(複数可)(例えば、スクレーパおよびラスプ)、
(15)計画された処置と使用された処置との誤差、
(16)計画されたインプラント特性と使用されたインプラント特性との誤差(例えば、外科手術中に患者に埋め込まれたインプラントデバイスサイズの、外科手術計画によって定義されたインプラントデバイスサイズからの誤差)、
(17)計画されたインプラントの位置決めおよび/または挿入軌道と、使用されたインプラントの位置決めおよび/または挿入軌道との誤差(例えば、外科手術中の患者への埋め込み後のインプラントデバイスの姿勢の、術前の外科手術計画によって定義されたインプラントデバイスの姿勢からの誤差を示すデータ)、
(18)脊椎矯正の計画されたレベルと、術中に達成されたレベルとの誤差、ならびに、
(19)外科手術イベント(例えば、外科的処置中の問題、失敗、エラー、観察。
【0103】
いくつかの追加のまたは代替の実施形態では、フィードバックトレーニング構成要素1228は、術後段階データ(「術後フィードバックデータ」とも呼ばれる)に基づいて、機械学習モデル1300をトレーニングするように動作する。術後段階データは、患者報告アウトカム尺度、測定されたアウトカム(例えば、変形矯正測定、可動域(ROM)テスト、軟組織バランス測定、運動学測定、曲率測定、他の機能的アウトカム)、ログに記録された外科手術イベント、および観測メトリック、のうちのいずれか1つ以上を含み得る。ログに記録される外科手術イベントには、タイミング、問題(例えば、計画からのロボット軸の位置の誤差、計画からのエンドエフェクタの位置の誤差、計画からの外科手術器具の位置の誤差、計画からのインプラントデバイスの位置の誤差、ロボットアームの予測される、計画されていないユーザの再位置決めからのインプラント適合の誤差、計画からのアクション器具の動きの誤差、計画されていない外科手術ステップなど)、失敗(例えば、外科医が、計画の完了前に、外科手術ロボットシステムの使用を時期尚早に停止するなど)、およびエラー(例えば、予測された間隙の実際の間隙からの誤差、カメラ追跡システムの処置ステップ中の追跡マーカの喪失など)を含み得る。一部の術後段階データは、スタンドアロンで動作することができるモバイルアプリケーション(例えば、スマートフォンまたは他のコンピュータのアプリケーション)を使用して収集されてもよいし、また、脊椎手術の前後での体系的なデータ収集(機能データおよび患者報告アウトカム尺度PROM)のために、1つ以上の患者用ウェアラブルデバイスと通信接続(例えば、WiFiまたはBluetoothペアリング)されていてもよい。
【0104】
フィードバックトレーニング構成要素1228は、術前段階データ、術中段階データ、および/または術後段階データを処理して、定義されたルールを満たす類似性を有するデータのサブセットを形成することができる。サブセットの各々において、フィードバックトレーニング構成要素1228は、データの少なくともいくつかの値の間の相関を特定し、次に、サブセットの各々について特定された相関に基づいて、機械学習モデルをトレーニングすることができる。トレーニングは、AIアルゴリズムのルール、決定動作の1つ以上のセットのうちのルール、ならびに/または、ニューラルネットワークモードのノードの重みおよび/もしくは発火閾値を、特定された相関に基づいて適応させて、機械学習モデル1300の1つ以上の出力(例えば、外科手術計画(複数可))を、満たされている1つ以上の定義された閾値または他のルール(複数可)(例えば、術後段階データによって示される、定義されたキーパフォーマンス外科手術アウトカム)に向かわせるように動作し得る。
【0105】
より具体的には、トレーニングにより、機械学習モデル1300は、以前の患者のセットについて得られたデータのセット間の類似性(相関の閾値レベル)を見つけ、以前の患者の当該セットのうちの1人以上の以前の外科手術患者に対して使用されたことが分かっている、最良の外科手術計画であると学習されたものを特定する。データセット内の要素は、患者にとって最良の外科手術アウトカムを達成する手術計画を生成するプロセスにおいて定義された、または学習された効果のレベルに基づいて、異なる重み付けを有し得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、機械学習モデル1300は、入力ノードを有する入力層、各々が複数の結合ノードを有する一連の隠れ層、および出力ノードを有する出力層を含むニューラルネットワーク構成要素を含む。機械学習モデルは、ニューラルネットワークモデルの入力ノードのうちの異なる入力ノードに、術前データの異なるエントリを提供し、ニューラルネットワーク構成要素の出力ノードの出力に基づいて、術前の外科手術計画を生成するように構成された少なくとも1つの処理回路(すなわち、機械学習処理回路1222の)によって処理される。フィードバックトレーニング構成要素1228は、術前段階データ、術中段階データ、および/または術後段階データの値に基づいて、ニューラルネットワーク構成要素の結合ノードによって使用される重みおよび/または発火閾値を適応させるように構成され得る。
【0107】
例えば、ランタイムモード1322、および/またはフィードバックトレーニング構成要素1228を使用するトレーニングモード中、入力層の入力ノード、隠れ層の結合ノード、および出力層の出力ノード間のニューラルネットワークの相互接続された構造は、入力された(処理された)データ値が同時に処理されて、外科手術計画の生成に使用される生成された出力値に影響を与えることができる。入力層の入力ノードの各々は、入力データ値に、入力ノードに割り当てられた重みを掛けて、重み付きノード値を生成する。重み付きノード値が、入力ノードに割り当てられた発火閾値を超えると、入力ノードは、一連の隠れ層のうちの最初の隠れ層のノードの結合ノードに、重み付きノード値を提供する。重み付きノード値が割り当てられた発火閾値を超えるという条件が満たされない限り、入力ノードは、重み付きノード値を出力しない。
【0108】
さらに、ニューラルネットワークは、一連の隠れ層のうちの最初の隠れ層の結合ノードを、それに割り当てられた重みを使用して動作させて、入力ノードによって提供された重み付きノード値を乗算および数学的に結合して結合ノード値を生成する。結合ノードのうちの1つによって生成された結合ノード値が、結合ノードに割り当てられた第1の発火閾値を超えると、一連の隠れ層のうちの次の隠れ層の結合ノードに、結合ノード値を提供する。さらに、ニューラルネットワーク回路は、一連の隠れ層のうちの最後の隠れ層の結合ノードを、それに割り当てられた重みを使用して動作させて、一連の隠れ層のうちの前の隠れ層の複数の結合ノードによって提供された結合ノード値を乗算および結合して結合ノード値を生成する。結合ノードのうちの1つの結合ノードによって生成された結合ノード値が、結合ノード値に割り当てられた第1の発火閾値を超えると、出力層の出力ノードに、結合ノード値を提供する。最後に、出力層の出力ノードを動作させて、一連の隠れ層のうちの最後の隠れ層からの結合ノード値を結合して、外科手術計画の生成に使用される出力値を生成する。
【0109】
様々なタイプの得られたデータの正規化および/または重み付けを提供することなどによって、得られたデータを前処理する機械学習データ事前調整回路1320が提供され得る。データは、その後、ランタイムモード1322中に機械学習処理回路1222に提供されるか、または、機械学習モデル1300のトレーニングで使用するためのトレーニングモード中にフィードバックトレーニング構成要素1228に提供される。いくつかの実施形態では、トレーニングは、トレーニングモード中にのみ実行され、他のいくつかの実施形態では、トレーニングは、ランタイムモード中に継続的にまたは少なくとも時折実行される。
【0110】
術前計画構成要素1224は、分散型ネットワークコンピュータのうちの1つからの、候補(定義された)患者を特徴付ける術前データを内包し、機械学習モデル1300を介して術前データを処理することに基づいて、候補患者の外科手術計画を生成し、ユーザ、例えば、外科医によるレビューのために、ディスプレイデバイスに外科手術計画を提供する。
【0111】
したがって、上で説明したように、トレーニングは、ニューラルネットワークモードのノードの重みおよび/または発火閾値を適応させて、機械学習モデル1300の1つ以上の出力(例えば、外科手術計画(複数可))を、満たされている1つ以上の定義された閾値または他のルール(複数可)(例えば、術後段階によって示される、定義されたキーパフォーマンス外科手術アウトカム)に向けて駆動することが含まれ得る。
【0112】
術前計画のための機械学習モデルの使用:
本開示の様々な実施形態は、上記のシステムのうちの1つ以上と、または、他の既存のもしくは新規のシステムと連携して、機械学習処理回路1222を介して、脊椎矯正外科手術の候補患者について得られた術前段階データを処理して、1つ以上のランク付けされた外科手術計画を生成することができる。
【0113】
候補患者について得られる術前段階データには、患者の人口統計(例えば、年齢、性別、BMI、人種、併存疾患)、患者の病歴、および患者の医療画像解析、のうちのいずれか1つ以上を含み得る。患者の医療画像は、椎骨終板の輪郭、椎間板の間隔、椎体の寸法、脊椎の湾曲、椎間孔の面積/ボリューム、脊柱管の面積/ボリューム、ヘルニアおよび/または骨棘の場所などのトポグラフィー測定を可能にする3D CTスキャンおよび/または他の撮像手法から得ることができる。画像には、患者の前方/後方(A/P)および横方向画像が含まれ得る。外科手術ガイダンスシステム1220または別のシステムは、椎骨終板の輪郭、椎間板の間隔、椎体の寸法、脊椎の湾曲などのトポグラフィー測定値を決定するように動作し得る。
【0114】
本明細書の様々な実施形態は、Globus MedicalのGENUシステム(術前計画および術中ロボット支援実行を提供する)、StrykerのMAKOロボットシステム(Makoシステム)(手術計画および術中ロボット支援実行を提供する)、Smith and NephewのNAVIO(Navioシステム)(術中計画および実行を提供する)、Zimmer BiometのROSA(Rosaシステム)(術前計画、ロボットによる術中実行、ならびに、ウェアラブルズおよびモバイルアプリケーション、例えばmymobilityを使用した術後フォローアップを実装する)、などの現在利用可能な様々な製品と組み合わせて使用することができる。
【0115】
機械学習処理回路1222は、機械学習モデル1300を介して候補患者について得られた術前段階データを処理して、外科手術計画、または、代替外科手術計画のランク付けされたリストを生成することができ、代替外科手術計画の各々は、関連付けられた外科手術計画によって提供されると予測される外科手術アウトカムの成功の推定レベルに基づいた順位を有する。
【0116】
処理は、外科手術を計画されている候補患者の新しい術前段階データと、候補患者の新しい術前段階データと術前段階データが類似している(相関の閾値レベル)1人以上の以前の外科手術患者に使用されていることが決定されている最良の外科手術計画であると学習された(機械学習モデル1300にトレーニングされた)ものとの類似性を見つけるように動作し得る。
【0117】
1つ以上の外科手術計画を、ユーザ、例えば、外科医に表示するために術前計画構成要素1224に提供して、外科医が、外科手術計画の構成要素をレビューおよび受け入れること、または、外科手術計画の構成要素を修正することを可能にし得る。外科手術計画の修正は、機械学習処理回路1222をトリガして、修正された外科手術計画に対して処理を繰り返して、修正された外科手術計画によって提供されると予測される外科手術アウトカムの成功のレベルの改良された推定値を提供し得る。修正された外科手術計画によって提供されると予測される外科手術アウトカムの成功のレベルの推定値は、過去の入力(術前段階データおよび/または術中段階データ)と、過去の外科手術アウトカム(術後段階データ)との間で中央データベース1210において収集されたデータからのトレーニングを介して学習されたものの類似性を特定することに基づき得る。
【0118】
これらの実施形態は、ユーザが以前の患者のパフォーマンス、および中央データベース1210に存在する他の尺度の要約統計量をレビューすることができるダッシュボードを備えた術前計画(すなわち、人工知能(AI)ベース、ルールベース、またはニューラルネットワークベースの計画アシスタントの有無にかかわらず)に使用することができる。
【0119】
このプロセスにより、ユーザが、術前計画段階中に、外科手術計画の構成要素が外科手術アウトカムの成功の推定レベルにどのように影響するかを理解することができ、外科医が、候補患者に固有の特性に合わせてカスタマイズされ、最適な外科手術アウトカムをもたらす可能性が最も高い外科手術計画を生成することがもたらされ得る。さらに、ユーザは、外科手術計画の構成要素を調整し、そのような調整が外科手術アウトカムに及ぼす影響を即座に観察することができる。
【0120】
生成される各外科手術計画は、以下のいずれか1つまたは複数を特徴付けることができる:
(1)処置タイプ
(2)インプラント(複数可)のタイプ(例えば、Globus Medical社の側方固定スペーサインプラントタイプであるCALIBER-L拡張可能高さスペーサ、TransContinental固定高さスペーサ、InterContinentalスペーサ、PLYMOUTHスペーサ、ELSA拡張可能な統合側方椎体間固定スペーサなどの椎体固定スペーサインプラント)、
(3)インプラントの寸法サイジング
(a)インプラントの長さ、
(b)インプラントの幅、
(c)インプラントの高さ(固定された前方の高さ、拡張可能な前方の高さの範囲、後方のテーパー)、
(d)インプラントのプレート-スペーサ矢状プロファイル(例えば、0°、6°、20°、25°前弯)、および/または
(e)インプラントスクリューの長さ、直径、挿入軌道角度、
(4)インプラントとともに使用される(例えば、インプラント内および/またはインプラントの周囲に追加される)骨移植片(例えば、同種移植片、骨形成タンパク質(BMP)など)のボリューム、
(5)終板に対するインプラント場所の配置および構成、
(a)インプラントの挿入経路および固定位置、
(b)インプラントの拡張量、
(c)インプラントおよび周囲の椎間板腔の移植片アクセス穴への任意の追加の自家骨移植片挿入の量、および/または
(d)準備されたスクリュー穴の軌道および深さ、ならびに使用された器具(複数可)(例えば、皮質に穴を開けるための突き錐、スクリュー穴を作成するためのドリル)、
(6)計画されたまたは使用された器具(複数可)のタイプ(例えば、インプラント挿入器具、突き錐、ドリル、椎間板ボックスカッタ、椎間板鉗子、ケリソン、キュレット、スクレーパ、およびラスプなど)、ならびに、患者および6DOFの計画された移動に対する計画されたまたは使用された軌道を含み得る、
(7)脊椎減圧の量、
(8)患者の切開の場所、
(9)患者に対するカニューレ挿入経路、
(10)開創器の構成(例えば、開創器の選択(例えば、GlobusのMinimal Access Retractor System(MARS))、ブレードの長さの選択)、
(11)脊椎の目標場所へのアクセスを得るための開創器動作(開創器の位置決め、ブレードの挿入経路および深さ、ブレードの側方の動き、ブレードのアンギュレーション)など、
(12)椎間板および/または骨棘の一部分を計画的に除去することによって椎間板腔を作成するプロセス、および、そのプロセス(複数可)中に使用することが計画される器具(複数可)(例えば、椎間板ボックスカッタ、椎間板鉗子、ケリソン、キュレット、スクレーパ、およびラスプ)、
(13)終板の準備のためのプロセス(例えば、出血している骨を露出させるために除去される軟骨終板の表層の量)、および、そのプロセス(複数可)のために計画された器具(例えば、スクレーパおよびラスプ)、
(14)関連付けられた外科手術計画によって提供されると予測される外科手術アウトカムの成功の推定レベル
(a)推定される外科手術後の変形矯正(例えば、推定された脊椎の湾曲、椎間板の間隔)、
(b)推定される外科手術後のインプラント適合;
(c)推定される患者報告アウトカム尺度、
(d)推定される外科手術後の可動域(ROM)、
(e)他の推定される外科手術後の機能的アウトカム、
(f)計画された外科的処置フェーズの持続時間、
(g)計画された処置と使用された処置との誤差の特定、
(h)計画されたインプラント特性と使用されたインプラント特性との誤差(例えば、外科手術中に患者に埋め込まれたインプラントデバイスサイズの、外科手術計画によって定義されたインプラントデバイスサイズからの誤差)、
(i)計画されたインプラントの位置決めおよび/または挿入軌道と、使用されたインプラントの位置決めおよび/または挿入軌道との誤差(例えば、外科手術中の患者への埋め込み後のインプラントデバイスの姿勢の、術前の外科手術計画によって定義されたインプラントデバイスの姿勢からの誤差を示すデータ)、
(j)脊椎矯正の計画されたレベルと、術中に達成されたレベルとの誤差、ならびに、
(k)定義された外科手術の問題のあるイベントの発生確率
(i)カメラ追跡システムの処置ステップ中の追跡マーカの喪失、
(ii)計画されたインプラントデバイスのタイプおよび/または寸法の、外科手術インプラントからの誤差、
(Iii)計画されたインプラントデバイスの位置の、外科手術後のインプラント固定位置からの誤差、
(iv)計画されたインプラントデバイス適合の、外科手術後のインプラント適合からの誤差、
(v)予測された椎間板間隔の間隙の、外科手術後の間隙からの誤差、
(vi)ナビゲートされる外科手術中に、ユーザが外科手術器具の位置を計画から外す必要性、
(vii)ロボット支援外科手術中に、ユーザがロボット軸の位置を計画から外す必要性、および
(viii)ロボット支援外科手術中に、ユーザがエンドエフェクタの位置を計画から外す必要性。
【0121】
図14および図15は、脊椎1420の隣接する椎骨1410aおよび1410b間に作成される椎間板間隙1510内の計画された姿勢に、選択されたサイジングのCALIBER-L拡張可能高さスペーサ1500を挿入するように適合された、選択された外科手術器具1400を使用することを含む計画された外科的処置を示す。術前計画中に、術前計画構成要素1224は、外科手術器具1400、スペーサ1500、および脊椎1420のグラフィカルモデル表現を使用して、ユーザに外科的処置を表示することができる。脊椎1420は、患者の医療画像(複数可)から得られたデータに基づいて適合され得るグラフィカルモデルによって表すことができるか、または、患者の医療画像(複数可)自体によって表すことができる。外科手術計画の実行のための術中段階中に、術中ガイダンス構成要素1226は、患者にオーバーレイされていると視認され、患者の脊椎内への軌道ナビゲーションを提供するように姿勢決めされ得るナビゲーション情報を表示することができる。
【0122】
機械学習処理回路1222によって出力される外科手術計画は、候補患者の術前段階データを処理して、1つ以上の候補外科手術計画、および外科手術アウトカムの成功の計算された推定レベルを提供する。次のステップでは、ユーザは、計画、例えば、インプラントのサイズおよび配置を修正し、医療画像に表示される更新された視覚的フィードバックを提供する外科手術ガイダンスシステム1220によるそのような修正の結果を観察することができる。ユーザが、計画の受け入れ可能性を示すと、計画は、外科手術のために承認されたものとして認可される。
【0123】
機械学習処理回路1222を介して外科手術ガイダンスシステム1220によって生成された外科手術計画は、ユーザ(例えば、外科医)に表示されて、外科医が、視覚ダッシュボードを使用して、パフォーマンスを経時的に追跡するのを助けることができる、ならびに/または、例えば、外科医自身の外科手術および/もしくは他の外科医(匿名化され得る)によって実施された外科手術からの容易にアクセス可能な解析データをレビューすることによって、外科医がパフォーマンスを改善することができる。
【0124】
術前計画構成要素1224は、外科手術計画の構成要素を示すデータを、ナビゲーションコントローラ828およびコンピュータプラットフォーム910(図10)に提供することができ、コンピュータプラットフォーム910は、XRヘッドセット920(図9)内のディスプレイデバイスなどのユーザディスプレイ(複数可)上での表示のために、外科手術計画のグラフィカル表現を、患者の医療画像上のオーバーレイとして、および/または、患者の医療画像に基づいてコンピュータ生成されたモデルと組み合わせて生成して、計画された外科的処置を実行しながらユーザにナビゲートされたガイダンスを提供する。
【0125】
術中ガイダンス構成要素1226は、ロボット外科手術システムに、外科手術計画の構成要素を示すデータを提供して、計画された外科的処置の自動化または半自動化されたナビゲートされたパフォーマンスを提供し得る。例えば、術中ガイダンス構成要素1226は、外科手術ロボット4(図9)の少なくとも1つのコントローラに、エンドエフェクタの一連の姿勢を示すデータを提供して、外科手術が患者に対する姿勢と連続的に一致するように、外科手術ロボットのアームに取り付けられたエンドエフェクタの一連の動きを制御することができる。
【0126】
対応する動作プロセス:
図16は、外科手術ガイダンスシステム1220(図13)、コンピュータプラットフォーム910(図10)、カメラ追跡システム構成要素6/6’(図10)、および外科手術ロボット4(図10)を含み得る外科手術システムによって実行され得る動作のフローチャートを示す。
【0127】
図16を参照すると、外科手術システムは、外科手術中のコンピュータ支援ナビゲーションのための外科手術ガイダンスシステムを含む。外科手術ガイダンスシステムは、脊椎手術を受けた複数の以前の患者の各々について、分散型ネットワークコンピュータによって提供されるフィードバックデータを得る(1600)ように動作する。フィードバックデータは、以前の患者の脊椎の幾何学的構造を特徴付け、以前の患者に対して行われた外科的処置を特徴付け、以前の患者の脊椎に外科的に埋め込まれたインプラントデバイスを特徴付け、以前の患者の外科手術アウトカムを特徴付ける。外科手術ガイダンスシステムは、フィードバックデータに基づいて機械学習モデルをトレーニングする(1602)ようにさらに動作する。外科手術ガイダンスシステムは、計画された外科手術の候補患者の脊椎の幾何学的構造を特徴付ける術前データを、分散型ネットワークコンピュータのうちの1つから得(1604)、機械学習モデルを介した術前データの処理に基づいて、候補患者の外科手術計画を生成する(1606)ようにさらに動作する。外科手術計画は、候補患者の脊椎への外科的埋め込みのための脊椎インプラントデバイスのタイプおよび寸法サイジングを特定し、脊椎インプラントデバイスの埋め込みのための計画された軌道を特定する。外科手術計画の少なくとも一部分は、ユーザによる視覚的レビューのためにディスプレイデバイスに提供される(1608)。
【0128】
上で説明したように、術前計画構成要素1224(図13)は、ユーザ、例えば外科医に外科手術計画を表示して、外科医が、外科手術計画の構成要素をレビューおよび受け入れること、または、外科手術計画の構成要素を修正することを可能にし得る。外科手術計画の修正は、機械学習処理回路1222(図13)をトリガして、修正された外科手術計画に対して処理を繰り返して、修正された外科手術計画によって提供されると予測される外科手術アウトカムの成功のレベルの改良された推定値を提供し得る。外科手術計画が、さらなる変更なしに受け入れられると決定される(1610)と(すなわち、最終的な外科手術計画)、外科手術計画を処理してナビゲーション情報を生成することができる。
【0129】
少なくとも1つのコントローラ(例えば、ナビゲーションコントローラ828)は、外科手術器具および/またはロボットエンドエフェクタの現在の姿勢と、外科手術器具の動きのための計画された軌道との比較に基づいて、ナビゲーション情報を生成するように動作することができ、また、ディスプレイデバイス(例えば、XRヘッドセット920)にナビゲーション情報を提供することができる。ナビゲーション情報は、計画された軌道と一致させるために、どのように外科手術器具または外科手術ロボットのエンドエフェクタを姿勢決めする必要があるかを示すことができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、ナビゲーション情報は、ロボット基部と、ロボット基部に接続されたロボットアームと、ロボット基部に対してロボットアームを移動させるように動作可能に接続された少なくとも1つのモータとを含む外科手術ロボットに提供される。ロボットアームは、外科手術器具の動きを誘導するエンドエフェクタに接続するように構成されている。少なくとも1つのコントローラは、少なくとも1つのモータに接続され、脊椎インプラントデバイスの埋め込み中に、計画された軌道に沿って外科手術器具の動きを誘導しながら、エンドエフェクタの計画された姿勢に対するエンドエフェクタの姿勢を決定し、エンドエフェクタの計画された姿勢と決定された姿勢との比較に基づいて、ナビゲーション情報を生成するように動作し、ナビゲーション情報は、外科手術器具が、患者に向かって、計画された軌道に沿ってエンドエフェクタによって誘導されるように、計画された姿勢と一致するようにエンドエフェクタを移動させる必要のある場所を示す。
【0131】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコントローラは、エンドエフェクタの決定された姿勢が計画された姿勢と一致するように、ナビゲーション情報に基づいて少なくとも1つのモータの動きを自律的または半自律的に制御して、エンドエフェクタを再位置決めするように動作する。いくつかの他の実施形態では、少なくとも1つのコントローラは、エンドエフェクタの決定された姿勢が計画された姿勢と一致するように、ナビゲーション情報を、表示のためにディスプレイデバイス(例えば、ヘッドセット920として機能する)に提供して、エンドエフェクタのオペレータの動きを視覚的に誘導するように動作する。
【0132】
上で説明したように、機械学習モデルは、術前データを処理して、候補患者の脊椎への外科的埋め込みのために提案された脊椎インプラントデバイスのタイプおよび寸法サイジングを特定する外科手術計画を出力するように動作し得る。
【0133】
機械学習モデルは、術前データを処理して、候補患者の脊椎への脊椎インプラントデバイスの外科的埋め込みから、候補患者について予測される外科手術アウトカムの成功の推定レベルのさらなる特定を有する外科手術計画を出力するようにさらに動作し得る。外科手術アウトカムの成功の推定レベルが、候補患者の脊椎への脊椎インプラントデバイスの外科的埋め込みによって得られる、可能性が最も高い患者報告アウトカム尺度または脊椎変形矯正測定値を示す。
【0134】
機械学習モデルは、術前データを処理して、候補患者の脊椎への脊椎インプラントデバイスの埋め込みのための計画された姿勢のさらなる特定を有する外科手術計画を出力するようにさらに動作し得る。
【0135】
外科手術ガイダンスシステムは、外科手術計画によって特定された候補患者の脊椎における計画された姿勢への脊椎インプラントデバイスの埋め込みのための計画された軌道を決定し、候補患者の脊椎に脊椎インプラントデバイスを埋め込むために使用されている外科手術器具の現在の姿勢を、カメラ追跡システムから得て、外科手術器具の現在の姿勢と計画された軌道との比較に基づいて、計画された軌道と一致させるためにどのように外科手術器具を姿勢決めする必要があるかを示すナビゲーション情報を生成し、ナビゲーション情報の少なくとも第1の部分をディスプレイデバイスに提供するように動作し得る。外科手術ガイダンスシステムは、ナビゲーション情報の少なくとも第2の部分を外科手術ロボットに提供して、外科手術器具の動きを誘導するエンドエフェクタを有するロボットアームの動きを制御するようにさらに動作し得る。ナビゲーション情報の少なくとも第2の部分は、候補患者の脊椎における脊椎インプラントデバイスの計画された姿勢への脊椎インプラントデバイスの埋め込みのために、外科手術器具が、計画された軌道に沿ってエンドエフェクタによって誘導されるように、エンドエフェクタを移動させる必要のある場所を示す。
【0136】
機械学習モデルは、術前データを処理して、スペーサタイプの脊椎インプラントデバイスの挿入を可能にするために除去されるべき患者の椎間板の一部分のさらなる特定を有する外科手術計画を出力するようにさらに動作し得る。
【0137】
外科手術ガイダンスシステムは、外科手術計画を処理して、脊椎インプラントデバイスの三次元モデルを得て、エクステンデッドリアリティ(XR)ヘッドセット内のディスプレイデバイスを介して表示するための三次元モデルのグラフィカル表現を、候補患者上のオーバーレイとして、提供するように動作し得る。
【0138】
機械学習モデルをトレーニングするために使用され、以前の患者の外科手術アウトカムを特徴付けるフィードバックデータには、患者報告アウトカム尺度または脊椎変形矯正測定値を特徴付ける術後フィードバックデータが含まれ得る。機械学習モデルをトレーニングするために使用されるフィードバックデータは、以前の患者に対して行われた脊椎の外科的処置のタイプ、ならびに、以前の患者に埋め込まれた脊椎インプラントデバイスのタイプおよび寸法サイジングを特徴付け得る。機械学習モデルをトレーニングするために使用されるフィードバックデータは、以前の患者に埋め込まれたときに脊椎インプラントデバイスとともに使用された骨移植片のボリュームを特徴付け得る。
【0139】
機械学習モデルをトレーニングするために使用されるフィードバックデータは、術前段階中に計画された以前の患者の脊椎矯正の計画されたレベルと、術中段階または術後段階中に測定された以前の患者の脊椎矯正の達成されたレベルとの誤差、術前段階中に計画された、計画された外科的処置と、術中段階中に以前の患者に対して行われた、使用された外科的処置との誤差、術前段階中に計画された脊椎インプラントデバイスのタイプおよび寸法サイジングと、術中段階中に以前の患者に埋め込まれた脊椎インプラントデバイスの使用されたタイプおよび寸法サイジングとの誤差、術前段階中に計画された以前の患者の脊椎への固定のための脊椎インプラントデバイスの計画された姿勢と、術中段階中の以前の患者の脊椎への固定後の脊椎インプラントデバイスの使用された姿勢との誤差、および、術前段階中に計画された以前の患者の脊椎への脊椎インプラントデバイスの埋め込みのための計画された挿入軌道と、術中段階中に以前の患者の脊椎に埋め込まれたときに、脊椎インプラントデバイスがそれに沿って移動された、使用された軌道との誤差、のうちの少なくとも1つを特徴付け得る。
【0140】
外科手術ガイダンスシステムは、定義されたルールを満たす類似性を有するフィードバックデータのサブセットを形成し、サブセットの各々において、フィードバックデータの少なくともいくつかの値の間の相関を特定し、サブセットの各々について特定された相関に基づいて、機械学習モデルをトレーニングするようにさらに動作し得る。
【0141】
機械学習モデルは、入力ノードを有する入力層、各々が複数の結合ノードを有する一連の隠れ層、および出力ノードを有する出力層を含むニューラルネットワーク構成要素と、ニューラルネットワークモデルの入力ノードのうちの異なる入力ノードに、術前データの異なるエントリを提供し、ニューラルネットワーク構成要素の出力ノードの出力に基づいて、外科手術計画を生成するように動作する少なくとも1つの処理回路とを含み得る。フィードバックトレーニング構成要素は、フィードバックデータの値に基づいて、ニューラルネットワーク構成要素の結合ノードによって使用される重みおよび/または発火閾値を適応させるように構成され得る。
【0142】
さらなる定義および実施形態:
本発明概念の様々な実施形態の上記の発明を実施するための形態において、本明細書で使用される用語が、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明概念を限定することを意図したものではないことを理解されたい。別様に定義されない限り、本明細書において使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明の概念が属する技術の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されるような用語は、本明細書および関連する技術分野の文脈におけるそれらの意味に矛盾しない意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義された理想化された、または過度に形式的な意味では解釈されないことがさらに理解されよう。
【0143】
ある要素が別の要素に対して「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、「応答する(responsive)」、またはそれらの変異型であるように参照される場合、その要素は、他の要素に直接接続、結合、もしくは応答することができるか、または介在する要素が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素に対して「直接接続された(directly connected)」、「直接結合された(directly coupled)」、「直接応答する(directly responsive)」、またはそれらの変異型であるように参照される場合、介在する要素は存在しない。同様の符号は、全体を通して同様の要素を指す。さらにまた、本明細書において使用される場合、「結合された(coupled)」、「接続された(connected)」、「応答する(responsive)」、またはそれらの変異型は、無線で結合、接続、または応答することを含むことができる。本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことを意図している。周知の機能または構造は、簡潔さおよび/または明確さのために詳細に説明されない場合がある。「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のいずれかおよび全ての組み合わせを含む。
【0144】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語を使用して様々な要素/動作を説明することがあるが、これらの要素/動作は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素/動作を他の要素/動作から区別するためにのみ使用される。したがって、いくつかの実施形態における第1の要素/動作は、本発明の概念の教示から逸脱することなく、他の実施形態における第2の要素/動作と呼ぶことができる。同じ参照番号または同じ参照符号は、明細書全体を通して同じまたは類似の要素を示す。
【0145】
本明細書において使用される場合、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「備える(comprises)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはそれらの変異型は、限定がなく、1つ以上の記された特徴、整数、要素、ステップ、構成要素、または機能を含むが、1つ以上の他の特徴、整数、要素、ステップ、構成要素、機能、またはそれらのグループの存在もしくは追加を排除するものではない。さらにまた、本明細書において使用される場合、ラテン語の「例えば(exempli gratia)」から派生した一般的な略語「例えば(e.g.)」は、前述の項目の全般的な例(複数可)を紹介または指定するために使用されてもよく、かかる項目を限定することを意図するものではない。ラテン語の「すなわち(id est)」から派生した一般的な略語「すなわち(i.e.)」は、より全般的な列挙から特定の項目を指定するために使用されてもよい。
【0146】
例示的な実施形態は、コンピュータ実装方法、装置(システムおよび/もしくはデバイス)、ならびに/またはコンピュータプログラム製品を示すブロック図および/またはフローチャート図を参照して本明細書において説明される。ブロック図および/またはフローチャート図のブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図におけるブロックの組み合わせは、1つ以上のコンピュータ回路によって実行されるコンピュータプログラム命令によって実装されることができることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ回路、専用コンピュータ回路、および/または他のプログラム可能なデータ処理回路のプロセッサ回路に提供して機械を生成することができ、それにより、コンピュータのプロセッサおよび/または他のプログラム可能なデータ処理装置を介して実行される命令は、トランジスタ、メモリの場所に記憶された値、およびかかる回路網内の他のハードウェア構成要素を変換および制御して、ブロック図および/またはフローチャートブロック(複数可)において指定された機能/作用を実装し、且つそれによって、ブロック図および/またはフローチャートブロック(複数可)において指定された機能/作用を実装するための手段(機能)および/または構造を作り出す。
【0147】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に記憶された命令がブロック図および/またはフローチャートブロックまたは複数のブロックにおいて指定された機能/作用を実装する命令を含む製造物品を製造するように、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置が特定の方法で機能するように指示することができる有形のコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。したがって、本発明の概念の実施形態は、集合的に「回路網」、「モジュール」、またはそれらの変異型と称されることができる、デジタル信号プロセッサなどのプロセッサで動作するハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)で具体化されることができる。
【0148】
また、いくつかの代替実装形態では、ブロックに記載されている機能/作用が、フローチャートに記載されている順序とは異なる順序で発生する場合があることにも留意されたい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、関与する機能/作用に応じて、実際には実質的に同時に実行されてもよいかまたはブロックが逆の順序で実行されてもよい。さらに、フローチャートおよび/またはブロック図の所与のブロックの機能は、複数のブロックに分離されてもよく、および/またはフローチャートおよび/またはブロック図の2つ以上のブロックの機能は、少なくとも部分的に統合されてもよい。最後に、本発明の概念の範囲から逸脱することなく、図示されているブロックの間に他のブロックが追加/挿入されてもよく、および/またはブロックまたは動作が省略されてもよい。さらに、いくつかの図は、通信の主要な方向を示すために通信経路上に矢印を含んでいるが、通信は、描かれた矢印と反対の方向で発生する場合があることを理解されたい。
【0149】
本発明の概念の原理から実質的に逸脱することなく、実施形態に対して多くの変更および修正を行うことができる。全てのかかる変更および修正は、本発明の概念の範囲内で本明細書に含まれることが意図されている。したがって、上記で開示された主題は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであり、添付の実施形態の例は、本発明の概念の趣旨および範囲内にある全てのかかる修正例、強化例、および他の実施形態を網羅することを意図するものである。したがって、法律によって許される最大限の範囲で、本発明概念の範囲は、以下の実施形態の例およびそれらの均等物を含む本開示の最も広い許容可能な解釈によって決定されるべきであり、前述の発明を実施するための形態に制限または限定されるものではないとする。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16