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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】作動ライン格納システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/02 20060101AFI20230809BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20230809BHJP
【FI】
A61F2/02
A61F2/95
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021549301
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 US2019019131
(87)【国際公開番号】W WO2020171819
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.シェパード
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ディー.シルバーマン
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0107760(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0282881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/02
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の作動ライン及び第二の作動ラインを使用し、前記第一の作動ラインの作動の開始と、前記第二の作動ラインの作動の開始との間に遅延が求められるメディカルデバイス展開装置であって、前記メディカルデバイス展開装置は、作動前に、順次整列された複数のループを含む第一の作動ラインを含み、前記複数のループは、張力が前記第一の作動ライン及び前記第二の作動ラインの両方に加えられたときに、前記第一の作動ラインの直線作動を遅らせるための所定のたるみを提供する、メディカルデバイス展開装置。
【請求項2】
解放材料をさらに含み、ここで、前記複数のループは前記解放材料に解放可能に接着されて、作動前に前記複数のループのシーケンスを維持する、請求項1記載のメディカルデバイス展開装置。
【請求項3】
前記解放材料はチューブを含む、請求項2記載のメディカルデバイス展開装置。
【請求項4】
前記複数のループは前記チューブの内側に解放可能に接着されている、請求項3記載のメディカルデバイス展開装置。
【請求項5】
前記第二の作動ラインは前記チューブを通って配線されている、請求項3又は4記載のメディカルデバイス展開装置。
【請求項6】
前記複数のループは繰り返しの8の字パターンを画定する、請求項1~5のいずれか1項記載のメディカルデバイス展開装置。
【請求項7】
第一の作動ライン及び第二の作動ラインを使用し、前記第一の作動ラインの作動の開始と、前記第二の作動ラインの作動の開始との間に遅延が求められるメディカルデバイス展開装置であって、前記メディカルデバイス展開装置は、作動前に、順次の複数の巻線の形態で解放材料に解放可能に接着されている第一の作動ラインを含み、前記複数の巻線は、張力が前記第一の作動ライン及び前記第二の作動ラインの両方に加えられたときに、前記第一の作動ラインの直線作動を遅らせるための所定のたるみを提供する、メディカルデバイス展開装置。
【請求項8】
前記解放材料はチューブを含む、請求項7記載のメディカルデバイス展開装置。
【請求項9】
前記解放材料はシートを含む、請求項7記載のメディカルデバイス展開装置。
【請求項10】
前記複数の巻線は複数のループを含む、請求項7~9のいずれか1項記載のメディカルデバイス展開装置。
【請求項11】
前記複数の巻線は8の字構成を含む、請求項10記載のメディカルデバイス展開装置。
【請求項12】
前記複数の巻線は、第一の作動ラインのアコーディオン折り畳みを含む、請求項7~11のいずれか1項記載のメディカルデバイス展開装置。
【請求項13】
第一の部分、第二の部分、及び、前記第一の部分と前記第二の部分との間に延在している中間部分を画定する第一の作動ライン、ここで、前記中間部分はたるみパターンで構成されている、及び、
解放材料の内腔を画定する内面を有する解放材料、
を含み、
前記第一の作動ラインの中間部分は、前記解放材料の内面によってたるみパターンで解放可能に維持され、その結果、前記第一の作動ラインの第一の部分に張力をかけると、前記中間部分は、前記第一の作動ラインの第二の部分に張力を伝達することなく、たるみパターンに従って解放材料の内面から順次に解放される、作動アセンブリのための繊維格納システム。
【請求項14】
前記たるみパターンはらせん部分を含む、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記たるみパターンは複数の順次に整列されたループを含む、請求項13又は14記載のシステム。
【請求項16】
前記たるみパターンは複数の順次に整列された8の字を含む、請求項13~15のいずれか項記載のシステム。
【請求項17】
前記たるみパターンは直径方向のテーパーを含む、請求項13~16のいずれか1項記載のシステム。
【請求項18】
前記解放材料は、該解放材料の内面を画定する内腔を有する中空チューブを含む、請求項13~17のいずれか1項記載のシステム。
【請求項19】
第一の部分、第二の部分及び中間部分を画定する第二の作動ラインをさらに含み、前記第二の作動ラインは、前記第一の作動ラインのたるみパターンを通って延在している、請求項13~18のいずれか1項記載のシステム。
【請求項20】
前記第一の作動ラインの第一の部分は、前記第一の作動ラインに対する張力が前記第二の作動ラインに同時に加えられるように、前記第二の作動ラインの第一の部分に動作可能に結合され、さらに、前記第一の作動ラインのたるみパターンは、前記第二の作動ラインの第二の部分に張力をかけることなく、前記第一の作動ラインの第一の部分が張力をかけることができるように、第一のライン及び第二の作動ラインの第二の部分を切り離す、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、
拡張可能なメディカルデバイス、及び
前記メディカルデバイスを直径方向に拘束するスリーブ、
を含み、
前記第一の作動ラインは前記スリーブを解放するように構成され、前記第二の作動ラインは前記スリーブをリトラクトするように構成されている、請求項19又は20記載の繊維格納システムを含む、メディカルデバイスシステム。
【請求項22】
請求項21記載のメディカルシステムの拡張可能なメディカルデバイスを展開する方法であって、
第一の作動ラインに張力を加えて、スリーブを拡張可能なメディカルデバイスから引き戻すこと、及び
第二の作動ラインに張力を加えて、前記拡張可能なメディカルデバイスから前記スリーブを解放すること、
を含み、
前記第二の作動ラインの第一の部分に加えられる張力は、前記第二の作動ラインの第二の部分への張力に変換され、前記第一の作動ラインの第一の部分に加えられる張力は、前記第二の作動ラインの第二の部分に変換されることなく、前記第二の作動ラインの中間部分に最初に変換される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、作動ライン格納システム、より具体的には、メディカルデバイスの展開中の遅延作動のための作動ライン格納システム、ならびにその関連する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なメディカルデバイスデリバリーシステムは、複数のワイヤ、ストリング、繊維又は1つ以上の構成要素(例えば、スリーブデリバリー拘束体及び/又は拡張可能なインプラント可能デバイス)の作動を制御する他の適切な作動ラインを含む、複数のアクチュエータを有する。他の問題の中でも、複数のアクチュエータを有するシステムは、比較的により複雑であり、追加の作動ラインに対応するための、より大きなハンドル及び/又はより厚いカテーテルを必要とし、そして作動ラインのもつれ、結び目又は干渉による誤動作のリスクが高まる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
第一の例(「例1」)によれば、メディカルデバイス展開装置は、第一の作動ライン及び第二の作動ラインを使用し、前記第一の作動ラインの作動の開始と、第二の作動ラインの作動の開始との間に遅延が求められる。メディカルデバイスは、作動前に、順次整列された複数のループを含む第一の作動ラインを含む。複数のループは、張力が第一の作動ライン及び第二の作動ラインの両方に加えられたときに、第一の作動ラインの直線作動を遅らせるための所定のたるみを提供する。
【0004】
第二の例(「例2」)によれば、例1に加えて、メディカルデバイス展開装置は、解放材料をさらに含み、ここで、複数のループは解放材料に解放可能に接着されて、作動前に複数のループのシーケンスを維持する。
【0005】
第三の例(「例3」)によれば、例2に加えて、前記解放材料はチューブを含む。
【0006】
第四の例(「例4」)によれば、例3に加えて、前記複数のループは前記チューブの内側に解放可能に接着されている。
【0007】
第五の例(「例5」)によれば、例2~4のいずれか1つに加えて、前記第二の作動ラインは前記チューブを通って配線される。
【0008】
第六の例(「例6」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記複数のループは、繰り返しの8の字パターンを画定する。
【0009】
第七の例(「例7」)によれば、メディカルデバイス展開装置は、第一の作動ライン及び第二の作動ラインを使用し、第一の作動ラインの作動の開始と、第二の作動ラインの作動の開始との間に遅延が求められ、前記メディカルデバイス展開装置は、作動前に、順次の複数の巻線の形態の解放材料に解放可能に接着されている第一の作動ラインを含み、前記複数の巻線は、張力が第一の作動ライン及び第二の作動ラインの両方に加えられたときに、第一の作動ラインの直線作動を遅らせるための所定のたるみを提供する。
【0010】
第八の例(「例8」)によれば、例7に加えて、前記解放材料はチューブを含む。
【0011】
第九の例(「例9」)によれば、例7に加えて、前記解放材料はシートを含む。
【0012】
第十の例(「例10」)によれば、例7~9のいずれか1つに加えて、前記複数の巻線は複数のループを含む。
【0013】
第十一の例(「例11」)によれば、例10に加えて、前記複数の巻線は、8の字構成を含む。
【0014】
第十二の例(「例12」)によれば、例7~11のいずれか1つに加えて、前記複数の巻線は、第二の作動ラインのアコーディオン折り畳みを含む。
【0015】
第十三の例(「例13」)によれば、作動アセンブリのための繊維格納システムは、第一の部分、第二の部分、及び、前記第一の部分と前記第二の部分との間に延在している中間部分を画定する第一の作動ライン、ここで、前記中間部分はたるみパターンで構成されている、及び、解放材料の内腔を画定する内面を有する解放材料を含み、前記第一の作動ラインの中間部分は、前記解放材料の内面によってたるみパターンで解放可能に維持され、その結果、前記第一の作動ラインの第一の部分に張力をかけると、前記中間部分は、第一の作動ラインの第二の部分に張力を伝達することなく、たるみパターンに従って解放材料の内面から順次に解放される。
【0016】
第十四の例(「例14」)によれば、例13に加えて、前記たるみパターンはらせん部分を含む。
【0017】
第十五の例(「例15」)によれば、例13又は14のいずれか1つに加えて、前記たるみパターンは、複数の順次に整列されたループを含む。
【0018】
第十六番目の例(「例16」)によれば、例13~15のいずれか1つに加えて、前記たるみパターンは、複数の順次に整列された8の字を含む。
【0019】
第十七の例(「例17」)によれば、例13~16のいずれか1つに加えて、前記たるみパターンは、直径方向のテーパーを含む。
【0020】
第十八の例(「例18」)によれば、例13~17のいずれか1つに加えて、前記システムは、第一の部分、第二の部分及び中間部分を画定する第二の作動ラインをさらに含み、前記第二の作動ラインは、前記第一の作動ラインのたるみパターンを通って延在している。
【0021】
第十九の例(「例19」)によれば、例18に加えて、前記第一の作動ラインの第一の部分は、前記第一の作動ラインに対する張力が前記第二の作動ラインに同時に加えられるように、前記第二のラインの第一の部分に動作可能に結合され、さらに、前記第一の作動ラインのたるみパターンは、前記第二の作動ラインの第二の部分に張力をかけることなく、前記第一のラインの第一の部分が張力をかけることができるように、第一のライン及び第二のラインの第二の部分を切り離す。
【0022】
第二十の例(「例20」)によれば、例13~19のいずれか1つに加えて、前記解放材料は、該解放材料の内面を画定する内腔を有する中空チューブを含む。
【0023】
別の例(「例21」)によれば、例17~20のいずれか1つに加えて、前記システムは、拡張可能なメディカルデバイスと、該メディカルデバイスを直径方向に拘束するスリーブとをさらに含み、前記第一の作動ラインは前記スリーブを解放するように構成され、前記第二の作動ラインは前記スリーブをリトラクトするように構成されている。
【0024】
別の例(「例22」)によれば、例21のメディカルデバイスの拡張可能なメディカルデバイスを展開する方法は、第一の作動ラインに張力を加えて、スリーブを拡張可能なメディカルデバイスから引き戻すこと、及び、第二の作動ラインに張力を加えて、前記拡張可能なメディカルデバイスから前記スリーブを解放することを含み、ここで、前記第二の作動ラインの第一の部分に加えられる張力は、前記第二の作動ラインの第二の部分への張力に変換され、前記第一の作動ラインの第一の部分に加えられる張力は、前記第二の作動ラインの第二の部分ではなく、前記第二の作動ラインの中間部分に変換される。
【0025】
上述の例は、例示の目的で提供されており、本開示の残りの部分で扱われる様々な概念の発明の範囲を制限すると考えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0027】
図1図1は、幾つかの実施形態による、メディカルデバイス展開システムの概略図である。
【0028】
図2図2は、幾つかの実施形態による、メディカルデバイス展開システムの斜視図である。
【0029】
図3図3は、幾つかの実施形態による、メディカルデバイス展開ハンドルの斜視図である。
【0030】
図4図4は、幾つかの実施形態による、メディカルデバイス展開ハンドルの内部図である。
【0031】
図5図5は、幾つかの実施形態による、作動ライン格納装置の斜視図である。
【0032】
図6図6は、幾つかの実施形態による、図1の作動ライン格納装置の画像である。
【0033】
図7図7は、幾つかの実施形態による、作動ライン格納装置の斜視図である。
【0034】
図8図8は、幾つかの実施形態による、図5の作動ライン格納装置の画像である。
【0035】
図9図9は、幾つかの実施形態による、テーパー化作動ライン格納装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の様々な態様は、メディカルデバイス展開装置のための(例えば、メディカルデバイス展開シーケンス中の遅延作動操作を容易にするための)作動ライン格納システムに関する。そのようなシステムは、一般に、デリバリーカテーテル、インプラント可能な拡張可能メディカルデバイス、及び、スリーブ、シース、又は、圧縮されたデリバリー構成でメディカルデバイスを直径方向に拘束する他の拘束体を含む。特定のシナリオにおいて、メディカルデバイス展開システムは、例えば、スリーブ、メディカルデバイス及び/又は必要に応じて他の構成要素などの展開装置の様々な態様を選択的に作動させることができるワイヤ、ストリング、繊維又は他の適切な作動ラインも含むことができる。
【0037】
本開示による作動ライン格納システムの様々な例は、より少ないスペースを必要とし、動作中の作動ラインのもつれ、結び目又は他の誤動作の可能性を除去又は低減し、既知の作動ラインシステムに対する他の追加又は代替の機能及び利点を達成する。
【0038】
図1は、幾つかの例による、作動ライン格納システム1000を含むメディカルデバイス展開システム100の概略図である。示されるように、メディカルデバイス展開システム100はまた、第一の作動機構A1、第二の作動機構A2、第一の作動ライン1020、第二の作動ライン1040、第一の作動要素E1及び第二の作動要素E2を含む。第一の作動ライン1020は、第一の作動機構A1を介して作動可能であり、第一の作動要素E1を開始し、そして第二の作動ライン1040は、第二の作動機構A2を介して作動可能であり、第二の作動要素E2を開始する。
【0039】
第一の作動機構及び第二の作動機構A1及びA2は、作動ハンドル、例えば、図2に示される作動ハンドル600の一部であることができる。例えば、作動機構は、それぞれ第一の作動ライン及び第二の作動ライン1020及び1040の作動を起こすことができるボタン、トグル、スイッチ、ダイヤル、回転可能なカフス又は他のアクチュエータであることができる。第一の作動機構及び第二の作動機構A1及びA2は別個の構成要素であることを必要としない。例えば、第一の作動機構及び第二の作動機構は、第一の作動ライン及び第二の作動ライン1020及び1040の両方が結合されているが、第一の作動ライン1020のための第一の作動機構A1として及び第二の作動ライン1040のための第二の作動機構A2として作動することができる単一のボタン、トグル、スイッチ、ダイヤル、回転可能なカフス又は他のアクチュエータの一部であることができる。
【0040】
一般に、第一の作動機構A1は、第一の作動ライン1020を操作(例えば、張力)するように動作し、次に、第一の作動ラインはシステム100の第一の作動要素E1を作動させるように動作する。例えば、システム100の第一の作動要素E1は、メディカルデバイスを覆う外側スリーブ及びメディカルデバイスの一部を拘束された直径に維持する拘束スリーブのリトラクション、又は、メディカルデバイスの拡張及び/又は展開であることができる。
【0041】
次に、第二の作動機構A2は、第二の作動ライン1040を操作(例えば、張力)するように動作して、次いで、システム100の第二の作動要素E2の作動を引き起こす。1つの例として、第二の作動要素E2は、図2に示される拘束スリーブ400及びメディカルデバイス300などの拡張可能なメディカルデバイス上の拘束スリーブの長手方向変位であることができる。
【0042】
示されるように、第一の作動ライン1020は作動ライン格納システム1000を通過し、それは第一の作動ライン1020の所望の長さ又は部分を保持する。この長さ、又は第一の作動ライン1020の格納部分は、作動ライン1020が動作して第一の作動要素E1を実行させる前に、作動ライン1020の所望のたるみ量又は格納された材料に張力がかかるようなタイミング又は遅延機構として機能することができる。
【0043】
図1に示されるように、第二の作動ライン1080は、場合により、図1の破線1040によって示されるように作動ライン格納システム1000を通過する。幾つかの例において、作動ライン間のもつれ又は干渉を防止するために、第二の作動ライン1040は第一の作動ライン1020と相互作用することなく作動ライン格納システム1000を通過することができる。例えば、第二の作動ライン1040は、作動ライン格納システム1000を真っ直ぐ通過することができ、一方、第一の作動ライン1020は、所定のたるみパターンで構成されることができ、例えば、作動ライン格納システム1000の周りに順次に巻かれている。他の例において、第二の作動ライン1040は、作動ライン格納システム1000を通過することはできず、格納システム1000の外側に又は完全に別の構成で配線されうる。
【0044】
幾つかの実施形態において、システム100はまた、第二の作動ライン格納システム1080を含むことができる。したがって、第一の作動ライン1020は、第一の作動ライン1020の所望の長さ又は部分を保持する作動ライン格納システム1000を通過することができ、そして第二の作動ライン1040は、第二の作動ライン1080の所望の長さ又は部分を保持する第二の作動ライン格納システム1080を通過することができる。このようにして、両方の作動ラインは、所望のとおりの作動要素に様々な量の遅延を提供するように配置されうる。言い換えると、作動ライン格納システム1000は、作動要素及び/又はシステム100で望まれる遅延の量に応じて、第一の作動ライン格納体1000、第二の作動ライン格納体1080又は第一の作動ライン格納体及び第二の作動ライン格納体の両方を含むことができる。
【0045】
2つの作動ライン及び格納システムを上記に記載してきたが、デリバリーシステムの複雑さに応じて、任意の数の作動ライン及び格納システムを使用できることを知っておくべきである。例えば、幾つかの例において、デリバリーシステムは、複数の拘束スリーブ、複数のメディカルデバイス、又は様々な構成要素のための複数の作動要素を有することができる。したがって、システムは、所望に応じて、2つを超える作動ライン及び/又は格納システムを含むことができる。
【0046】
図2は、幾つかの例によるデリバリーシステム100を示す。示されるように、デリバリーシステム100は、カテーテル本体200、メディカルデバイス300、メディカルデバイス300の第一の部分320をデリバリー構成に拘束する任意選択的な第一の拘束体400、メディカルデバイス300の第二の部分340をデリバリー構成に拘束する任意選択的な第二の拘束体420、作動ハンドル600内に配置された作動機構500、第一の拘束体400をリトラクト又は解放するなどのデリバリーシステム100の様々な要素を操作するように構成された第一の作動ライン1020、及び、第二の拘束体420をリトラクト又は解放する、バルーンを膨張させる、インプラント可能なデバイスを拡張する、メディカルデバイス及び/又は他の同様の要素を展開するなどのデリバリーシステム100の様々な要素を操作するように構成された第二の作動ライン1040を含む。デリバリーシステム100はまた、デリバリーシステム100内に配置された作動ライン格納システム1000を含む。カテーテル本体200内に示されているが、作動ライン格納システム1000は、例えば、作動ハンドル600内など、デリバリーシステム100内の任意の適切な位置に配置することができる。
【0047】
図3は、幾つかの実施形態による、作動ハンドル600の斜視図である。示されるように、作動ハンドル600は、作動機構500(図2)の作動を開始するように構成されたアクチュエータ520を含む。アクチュエータ520は、例えば、ボタン、トグル、スイッチ、回転可能なカフス、又は、作動ハンドル600内で作動機構500の作動を開始するためにオペレータによって押され、回転され又は他の方法で操作されうる任意の他の外部機構であることができる。例えば、図3は、回転可能なカフスの形態のアクチュエータ520を示している。矢印の方向に回転すると、アクチュエータ520は、作動機構500の作動を開始し、次に、第一の作動ライン及び第二の作動ライン1020、1040の作動を開始する。
【0048】
図4は、幾つかの実施形態による、作動ハンドル600の内部図である。示されるように、作動機構500は、アクチュエータ520に結合されるか又は別の方法でアクチュエータ520と相互作用し、その結果、オペレータがアクチュエータ520を作動させると、作動機構500も開始される。図4には示されていないが、第一の作動ライン及び第二の作動ライン1020、1040は作動機構500に固定されうる。したがって、作動機構500の作動が開始されると、張力が第一の作動ライン及び第二の作動ライン1020、1040に同時に加えられ、次いで、第一の作動要素E1及び第二の作動要素E2に加えられる。作動ライン格納システム1000は、作動ハンドル600内に配置することもできる。例えば、幾つかの例において、作動ライン格納システム1000は、図4に矢印で示される位置に固定されうる。
【0049】
図5は、幾つかの実施形態による作動ライン格納システム1000を示す。作動ライン格納システム1000は、第一の作動ライン1020、作動ライン格納部分1060及び第二の作動ライン1040を含む。第一の作動ライン1020は、第一の部分1020a、第二の部分1020b、及び、第一の部分1020aと第二の部分1020bとの間に延在している中間部分1020cを画定する。幾つかの実施形態において、第一の部分1020aは、第一の作動機構A1に結合され、その結果、第一の作動機構A1の作動は、第一の作動ライン1020の第一の部分1020aに張力をかける。第二の部分1020bは、第一の作動機構E1に結合され、それは、幾つかの例において、図2に示されるように、メディカルデバイス300を覆っている拘束スリーブ400であることができる。幾つかの実施形態において、中間部分1020cはたるみパターンで構成される。言い換えれば、中間部分1020cは、第一の作動要素E1要素E1の作動を遅らせるのに適した第一の作動ライン1020の所定の量のたるみ又は所望の長さ又は部分を有する。例えば、拘束スリーブ400のリトラクションは、作動ライン格納システム1000内に配置されたたるみの量によって遅延されうる。
【0050】
幾つかの実施形態において、第一の作動ライン1020のたるみパターンは、張力が第一の作動ライン1020の第一の部分1020aに加えられると、順次巻き出し又は解放する複数の連続した巻線を含む。これらの巻線により、第一の作動ライン1020の第一の部分1020aが、第一の作動ライン1020の第二の部分1020bに張力を即座に伝達することなく張力をかけられ、したがって、第一の作動要素E1の作動を遅らせる。
【0051】
示されるように、第二の作動ライン1040は、作動ライン格納部分1060を通過することができる。第二の作動ライン1040はまた、第一の部分1040a、第二の部分1040b及び中間部分1040cを含む。幾つかの実施形態において、第二の作動ライン1040は、第一の作動ライン1020と干渉しない又は絡み合わないように実質的に直線構成の作動ライン格納部分1060を通して延在する。第二の作動ライン1040はたるみパターンで配置されておらず、所定量のたるみを含まないので、第二の作動ライン1040の作動は、第一の作動ライン1020の作動前に開始することができ、それにより、第一の作動要素E1の前に第二の作動要素E2を作動させる。例えば、拘束スリーブ400は、メディカルデバイス300が体内で展開及び/又は解放される前にリトラクトされることができ、又はその逆も可能である。
【0052】
幾つかの実施形態において、作動ライン格納部分1060は解放材料2000を含む。解放材料2000は、第一の作動ライン1020の中間部分1020cが作動前にたるみパターンで解放可能に接着されそして維持できる任意のチューブ、シート又は任意の他の表面であることができる。幾つかの例において、解放材料2000は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又は、たるみパターンで第一の作動ライン1020を解放可能に維持することができる他の適切な材料を含むことができる。
【0053】
幾つかの実施形態において、解放材料2000は、内面1090を画定する内腔を有する中空チューブを含む。第一の作動ライン1020の中間部分1020cは、チューブの内面1090に解放可能に接着される。言い換えれば、中間部分1020cは、解放材料2000の内面1090によってたるみパターンに維持されることができ、その結果、第一の作動ライン1020の第一の部分1020aに張力をかけると、中間部分1020cは、解放材料2000の内面1090から連続的又は順次に解放される。幾つかの実施形態において、たるみパターンは、図5に示されるように、チューブの内面1090に接着される複数の順次に整列されたループを形成するらせん部分を含む。
【0054】
図5には示されていないが、幾つかの例において、第一の作動ライン1020の第一の部分1020aは第二の作動ライン1040の第一の部分1040aに作動可能に結合され、その結果、第一の作動ライン1020に加えられる張力は第二の作動ライン1040に同時に加えられる。幾つかの実施形態において、第一の作動ライン1020のたるみパターンは、その後に、第一の作動ライン及び第二の作動ライン1020及び1040の第二の部分1020b及び1040bを切り離し、その結果、第一の作動ライン1020の第一の部分1020aは、第二の作動ライン1040の第二の部分1040bに張力をかけることなく張力をかけることができる。
【0055】
図6は、幾つかの実施形態による、図5の作動ライン格納システム1000の画像を示す。上記のように、第一の作動ライン1020は、チューブの内面1090の周りに巻かれ、複数の順次に整列したループを形成する。図示されていないが、第二の作動ライン1040は、第一の作動ライン1020がチューブの内面1090から解放されるときに第一の作動ライン1020に接触又は干渉しないように、チューブの中心を通って配線されうる。これは、第一の作動ライン及び第二の作動ライン1020及び1040が互いに絡み合い又は干渉し、展開システム1000の誤動作を引き起こすリスクを低減する。
【0056】
図7は、幾つかの実施形態による、作動ライン格納システム1000を示す。示されるように、第一の作動ライン1020のたるみパターンは、繰り返しの8の字パターンを画定することができる。図5で参照して記載されたループ状たるみパターンと同様に、第一の作動ライン1020は、繰り返しの8の字パターンでチューブの内面1090の周りに順次巻かれている。次に、第二の作動ライン1040は、第一の作動ライン1020がチューブの内面1090から連続的に又は順次に解放されるときに、第一の作動ライン1020と干渉又は絡み合わないように、8の字パターンの第一のアパチャ1120又は第二のアパチャ1140のいずれかを通して配線されうる。
【0057】
図8は、幾つかの実施形態による、図7の作動ライン格納システム1000の画像を示す。示されるように、第一の作動ライン1020は、繰り返しの8の字パターンでチューブの内面1090の周りに巻かれる。図8には示されていないが、第二の作動ライン1040は、第一の作動ライン1020がチューブの内面1090から解放されるときに、第二の作動ライン1040が第一の作動ライン1020と干渉しないように、第一のアパチャ1120又は第二のアパチャ1140のいずれかを通って配線されうる。上記に論じられるように、これは、第一の作動ライン及び第二の作動ライン1020及び1040が互いに絡み合い又は干渉し、展開システム1000の誤動作を引き起こすリスクを低減する。
【0058】
図9は、幾つかの実施形態による、テーパー型作動ライン格納システム1000を示す。示されるように、作動ライン格納部分1060は直径テーパーを含むことができる。言い換えれば、第一の作動ライン1020の中間部分1020cは、中間部分1020cの第一の端部1160が中間部分1020cの第二の端部1180よりも小さい直径を有するように、又はその逆になるようにテーパー化されうる。同様に、解放材料2000もテーパー化されうる。幾つかの例において、直径テーパーは、展開システム100内で、又は、より具体的に、展開ハンドル300内での格納を容易にすることができる。図9は、ループ状構成の中間部分1020cのテーパー化たるみパターンを示しているが、テーパー化たるみパターンは、上記の8の字構成、又は所望に応じて他の適切な構成を画定することができる。
【0059】
ループ状のたるみパターン及び8の字たるみパターンが上記で記載されているが、他のたるみパターンも可能である。例えば、幾つかの実施形態において、たるみパターンは、第一の作動ライン1020の中間部分1020cのアコーディオン折り畳みを画定することができる。言い換えれば、第一の作動ライン1020は、折り畳まれるか、又は一般に繰り返しパターンでプリーツを付けられることができる。他の実施形態において、たるみパターンは、例えば、ループ構成及び8の字構成の両方などの複数の構成を画定することができる。
【0060】
作動ライン格納部分1060は、第一の作動ライン1020に関して上記で記載されてきたが、第二の作動ライン1040はまた、図1に示されるように、場合により、格納部分を含むことができる。同様の実施形態はまた、所望のように、任意の追加の数の作動ラインについて実現されうる。例えば、上記の実施例及び実施形態は、任意選択の第三の作動ライン、第四の作動ライン及び必要に応じて任意の他の量の作動ラインについて使用されうる。
【0061】
幾つかの実施形態において、拡張可能でインプラント可能なメディカルデバイスを展開する方法は、第一の作動ライン1020又は第一の作動ライン1020の第一の部分1020aに張力をかけて、第一の作動要素E1を作動させることを含む。例えば、メディカルデバイス300から拘束スリーブ400を解放し、又は、メディカルデバイス300を拡張する。この方法はまた、第二の作動ライン1040又は第二の作動ライン1040の第一の部分1040aに張力をかけて、第二の作動要素E2を作動させることを含む。例えば、拘束スリーブ400をメディカルデバイス300から引き戻し又はリトラクトする。幾つかの実施形態において、第二の作動ライン1040の第一の部分1040aに加えられる張力は、第二の作動ライン1040の中間部分1040c及び第二の部分1040bの両方に加えられる張力に即座に変換される。したがって、第二の作動要素E2は、第一の作動要素E1の前に開始される。第一の作動ライン1020の第一の部分1020aに加えられる張力は、第一の作動ライン1020の中間部分1020cに変換されるが、第一の作動ライン1020の第二の部分1020bに即座には変換されない。したがって、第二の作動要素E2は、第一の作動ライン1020のたるみパターンが完全に巻き出しされた後に開始される。
【0062】
上記の作動ライン格納システム1000は、様々な方法で形成することができる。幾つかの例において、ワイヤ、ストリング、繊維又は別の適切な作動ラインは、ステンレス鋼マンドレルなどの筒形マンドレルの周りに巻き付けられる。次に、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)チューブなどの適切な長さのチューブを繊維及びマンドレル上でスライドされる。次に、チューブに熱を加えて、作動ライン上でチューブをリトラクトさせる。これにより、さらなる加工中にマンドレル上にチューブを配置させたままにする。次に、繊維をチューブの内面に適切に接着するのに適した時間、マンドレルをオーブンに入れる。オーブンから取り出したときに、チューブ及び繊維を室温まで冷却し、その後、チューブ及び繊維をマンドレルから取り外して、デリバリーシステム100の内部に配置することができる。
【0063】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれおらず、本開示の様々な態様を例示するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定として解釈されるべきでないことに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9