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  • 特許-鍵盤装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】鍵盤装置
(51)【国際特許分類】
   G10B 3/12 20060101AFI20230809BHJP
   G10H 1/34 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
G10B3/12 130
G10H1/34
G10B3/12 111
G10B3/12 113
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021565231
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2019049596
(87)【国際公開番号】W WO2021124479
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】高田 征英
(72)【発明者】
【氏名】粕渕 政希
(72)【発明者】
【氏名】澤田 睦夫
【審査官】上田 雄
(56)【参考文献】
【文献】特許第3415605(JP,B2)
【文献】国際公開第2018/169079(WO,A1)
【文献】特開平07-036445(JP,A)
【文献】特開2001-265345(JP,A)
【文献】特許第6418229(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10B 1/00-3/24
G10C 1/00-9/00
G10H 1/00-1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、前記支持部材に連結され上方または下方に湾曲する板状に形成される複数のヒンジと、複数の前記ヒンジに後端が連結され前記ヒンジの弾性変形により前記支持部材に揺動可能に支持される複数の鍵と、押鍵時の前記鍵の下方への変位を規制可能に構成される押鍵ストッパと、を備え
前記押鍵ストッパは、前記鍵の後端側に位置する第1押鍵ストッパと、前記鍵の前端側に位置する第2押鍵ストッパと、から少なくとも構成され、
前記鍵は、白鍵と黒鍵とから構成され、
前記第1押鍵ストッパによって変位が規制されるまでの前記鍵の後端側の変位量は、前記黒鍵よりも前記白鍵の方が小さく設定されることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項2】
支持部材と、前記支持部材に連結され上方または下方に湾曲する板状に形成される複数のヒンジと、複数の前記ヒンジに後端が連結され前記ヒンジの弾性変形により前記支持部材に揺動可能に支持される複数の鍵と、を備え、
前記鍵は、白鍵と黒鍵とから構成され、
前記ヒンジは、前記白鍵が連結される白鍵ヒンジと、前記黒鍵が連結される黒鍵ヒンジと、から構成され、
前記白鍵ヒンジよりも前記黒鍵ヒンジの剛性が小さく設定されることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項3】
支持部材と、前記支持部材に連結され上方または下方に湾曲する板状に形成される複数のヒンジと、複数の前記ヒンジに後端が連結され前記ヒンジの弾性変形により前記支持部材に揺動可能に支持される複数の鍵と、前記鍵を押鍵前の初期位置に復帰させる復帰力を付与する復帰手段と、貫通孔を有するシャーシと、を備え、
前記鍵は、前記鍵の上方への変位を規制可能に構成され前記鍵の前後方向に所定間隔を隔てる一対の離鍵ストッパを備え、
一対の前記離鍵ストッパの間の領域に前記復帰手段からの復帰力が付与され、
前記離鍵ストッパは、前記鍵から下方に突出し前記貫通孔に挿入される基部と、前記基部の突出方向と直行する方向に屈曲し前記シャーシの下面に引っ掛けられる屈曲部と、を備え、
前記基部と前記貫通孔との引っ掛かりによって前記鍵の前後方向の変位が規制され、前記屈曲部と前記シャーシの下面との引っ掛かりによって前記鍵の上方への変位が規制され
ることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項4】
前記鍵の前後方向の変位を規制可能に構成される第1規制手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍵盤装置。
【請求項5】
前記鍵の左右方向の変位を規制可能に構成される第2規制手段を備え、
前記第2規制手段は、前記鍵の前後方向中央よりも後方側に設けられることを特徴とする請求項記載の鍵盤装置。
【請求項6】
前記鍵を押鍵前の初期位置に復帰させる復帰力を付与する復帰手段を備え、
前記鍵は、前記鍵の上方への変位を規制可能に構成され前記鍵の前後方向に所定間隔を隔てる一対の離鍵ストッパを備え、
一対の前記離鍵ストッパの間の領域に前記復帰手段からの復帰力が付与されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍵盤装置。
【請求項7】
押鍵時の前記鍵の下方への変位を規制可能に構成される押鍵ストッパを備え、
前記押鍵ストッパは、前記鍵の後端側に位置する第1押鍵ストッパと、前記鍵の前端側に位置する第2押鍵ストッパと、から少なくとも構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の鍵盤装置。
【請求項8】
前記第1押鍵ストッパによって変位が規制されるまでの前記鍵の後端側の変位量は、前記第2押鍵ストッパによって変位が規制されるまでの前記鍵の前端側の変位量よりも小さく設定されることを特徴とする請求項記載の鍵盤装置。
【請求項9】
前記鍵は、白鍵と黒鍵とから構成され、
前記第1押鍵ストッパによって変位が規制されるまでの前記鍵の後端側の変位量は、前記黒鍵よりも前記白鍵の方が小さく設定されることを特徴とする請求項又はに記載の鍵盤装置。
【請求項10】
前記鍵は、白鍵と黒鍵とから構成され、
前記ヒンジは、前記白鍵が連結される白鍵ヒンジと、前記黒鍵が連結される黒鍵ヒンジと、から構成され、
前記白鍵ヒンジよりも前記黒鍵ヒンジの剛性が小さく設定されることを特徴とする請求項からのいずれかに記載の鍵盤装置。
【請求項11】
前記支持部材は、前記黒鍵ヒンジが連結される下段支持部材と、前記下段支持部材の上面に重ねられ前記白鍵ヒンジが連結される上段支持部材と、から少なくとも構成され、
前記下段支持部材から前記黒鍵までの前記黒鍵ヒンジの全長は、前記上段支持部材から前記白鍵までの前記白鍵ヒンジの全長よりも長く設定されることを特徴とする請求項2又は10に記載の鍵盤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵盤装置に関し、特に、アコースティックピアノに近似した演奏感を付与できる鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の第1図に示されるように、アコースティックピアノの鍵の回転中心2は、鍵の前端(演奏者側)から比較的離れた後端側に位置している。よって、アコースティックピアノの鍵の押鍵時には、鍵(押鍵が可能な領域)の後端部分も所定量下方に沈み込むように変位する。
【0003】
これに対して特許文献1には、第2図に示されるように、回動支持部27の円弧面に沿って鍵を回転させる鍵盤楽器が記載されている。この鍵盤楽器では、回動支持部27の円弧面の中心O、即ち、鍵の回転中心Oが鍵の後端よりも後方側に位置しているため、押鍵時に鍵の後端部分のストローク(下方への変位量)を確保し易くできる。よって、アコースティックピアノに近似した演奏感を付与できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平02-167594号公報(例えば、第2頁第5欄第2~17行目第1,2図)
【文献】特開平10-240225号公報(例えば、段落0025,0026、図2,3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献2には、ヒンジ(ヒンジ部13)の弾性変形によって鍵を揺動させる鍵盤楽器が記載されている。この種の鍵盤楽器においては、ヒンジに近い鍵の後端部分のストロークを確保することが難しいため、アコースティックピアノに近似した演奏感を付与することが困難であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ヒンジの弾性変形によって鍵を揺動させる場合においても、アコースティックピアノに近似した演奏感を付与できる鍵盤装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の鍵盤装置は、支持部材と、前記支持部材に連結され上方または下方に湾曲する板状に形成される複数のヒンジと、複数の前記ヒンジに後端が連結され前記ヒンジの弾性変形により前記支持部材に揺動可能に支持される複数の鍵と、押鍵時の前記鍵の下方への変位を規制可能に構成される押鍵ストッパと、を備え、前記押鍵ストッパは、前記鍵の後端側に位置する第1押鍵ストッパと、前記鍵の前端側に位置する第2押鍵ストッパと、から少なくとも構成され、前記鍵は、白鍵と黒鍵とから構成され、前記第1押鍵ストッパによって変位が規制されるまでの前記鍵の後端側の変位量は、前記黒鍵よりも前記白鍵の方が小さく設定される。
本発明の鍵盤装置は、支持部材と、前記支持部材に連結され上方または下方に湾曲する板状に形成される複数のヒンジと、複数の前記ヒンジに後端が連結され前記ヒンジの弾性変形により前記支持部材に揺動可能に支持される複数の鍵と、を備え、前記鍵は、白鍵と黒鍵とから構成され、前記ヒンジは、前記白鍵が連結される白鍵ヒンジと、前記黒鍵が連結される黒鍵ヒンジと、から構成され、前記白鍵ヒンジよりも前記黒鍵ヒンジの剛性が小さく設定される。
本発明の鍵盤装置は、支持部材と、前記支持部材に連結され上方または下方に湾曲する板状に形成される複数のヒンジと、複数の前記ヒンジに後端が連結され前記ヒンジの弾性変形により前記支持部材に揺動可能に支持される複数の鍵と、前記鍵を押鍵前の初期位置に復帰させる復帰力を付与する復帰手段と、貫通孔を有するシャーシと、を備え、前記鍵は、前記鍵の上方への変位を規制可能に構成され前記鍵の前後方向に所定間隔を隔てる一対の離鍵ストッパを備え、一対の前記離鍵ストッパの間の領域に前記復帰手段からの復帰力が付与され、前記離鍵ストッパは、前記鍵から下方に突出し前記貫通孔に挿入される基部と、前記基部の突出方向と直行する方向に屈曲し前記シャーシの下面に引っ掛けられる屈曲部と、を備え、前記基部と前記貫通孔との引っ掛かりによって前記鍵の前後方向の変位が規制され、前記屈曲部と前記シャーシの下面との引っ掛かりによって前記鍵の上方への変位が規制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は、一実施形態における鍵盤装置の上面図であり、(b)は、鍵盤装置の斜視図である。
図2図1(a)のII-II線における鍵盤装置の断面図である。
図3図2の状態から白鍵が押鍵された状態を示す鍵盤装置の断面図である。
図4図2のIV部分を拡大した鍵盤装置の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、鍵盤装置1の全体構成について説明する。図1(a)は、一実施形態における鍵盤装置1の上面図であり、図1(b)は、鍵盤装置1の斜視図である。
【0010】
なお、図1(b)では、パネル3(図1(a)参照)を取り外した状態の鍵盤装置1を図示すると共に、1オクターブに対応する部位のみを部分的に図示している。また、図1の矢印U-D方向、F-B方向、L-R方向は、それぞれ鍵盤装置1の上下方向、前後方向、左右方向を示しており、以降の図においても同様とする。
【0011】
図1(a)に示すように、鍵盤装置1は、複数(本実施形態では、88個)の鍵2と、それら複数の鍵2の周囲を取り囲むパネル3と、を備える鍵盤楽器(電子ピアノ)として構成される。鍵2は、幹音を演奏するための複数(本実施形態では、52個)の白鍵10と、派生音を演奏するための複数(本実施形態では、36個)の黒鍵20と、から構成され、それら複数の白鍵10及び黒鍵20が左右(矢印L-R方向)に並べて設けられる。
【0012】
パネル3は、正面パネル3aと、その正面パネル3aと前後方向(矢印F-B方向)で対向配置される背面パネル3bと、正面パネル3a及び背面パネル3bの左右方向端部同士を接続する一対の端パネル3cとを備え、それら正面パネル3a、背面パネル3b、及び、一対の端パネル3cによって白鍵10及び黒鍵20が取り囲まれる。
【0013】
背面パネル3bの上面には、例えば、LEDや液晶ディスプレイなどから形成され各種の状態を表示するための表示装置、ボリューム調整やモード変更などを行うための複数の操作子などが設けられる(いずれも図示せず)。また、背面パネル3bの背面には、例えば、電源スイッチ、MIDI信号やオーディオ信号を入出力するための複数のジャックなどが設けられる(いずれも図示せず)。
【0014】
図1(b)に示すように、鍵盤装置1には、合成樹脂や鋼板等を用いて形成される板状の底板4が左右方向(矢印L-R方向)に延びるように設けられる。底板4の上面には、鍵2を支持するためのシャーシ5が固定される。
【0015】
シャーシ5は、前後(矢印F-B方向)に所定間隔を隔てる一対の脚部50と、それら一対の脚部50の上端同士を前後に接続する支持部51と、を備える。シャーシ5の各部(脚部50及び支持部51)は、合成樹脂や鋼板等を用いて板状に形成され、シャーシ5は、左右方向視において支持部51と底板4との間に空間を有するコ字状(C字状)に形成される。
【0016】
支持部51の上面には、1オクターブを構成する白鍵10がユニット化された白鍵ユニット110と、1オクターブを構成する黒鍵20がユニット化された黒鍵ユニット120と、が支持される。図示は省略するが、鍵盤装置1には、複数の白鍵ユニット110及び黒鍵ユニット120が左右に並べて設けられている。
【0017】
白鍵ユニット110は、後述する下段支持部材121の上面に固定される上段支持部材111と、その上段支持部材111に接続される白鍵ヒンジ112と、その白鍵ヒンジ112に接続される白鍵10と、を備え、それら上段支持部材111、白鍵ヒンジ112、及び、白鍵10が樹脂材料を用いて一体的に形成される。
【0018】
上段支持部材111は、左右に延びる板状に形成され、上段支持部材111には、白鍵ヒンジ112が左右に並ぶようにして複数接続される。白鍵ヒンジ112は、上方(矢印U側)に凸の湾曲形状に形成される板状体であり、この白鍵ヒンジ112に白鍵10の後端が接続されるため、白鍵ヒンジ112の弾性変形によって上段支持部材111に対する白鍵10の回転(揺動)が可能となっている。湾曲する板状の白鍵ヒンジ112は、前後に延びる平板状のヒンジに比べて撓み易いため、押鍵時に白鍵10の後端部分(矢印B側の端部)のストローク(下方への変位量)を確保し易くできる。よって、アコースティックピアノに近似した演奏感を付与できる。
【0019】
黒鍵ユニット120は、シャーシ5の支持部51の上面に固定される下段支持部材121と、その下段支持部材121に接続される黒鍵ヒンジ122と、その黒鍵ヒンジ122に接続される黒鍵20と、を備え、それら下段支持部材121、黒鍵ヒンジ122、及び、黒鍵20が樹脂材料を用いて一体的に形成される。
【0020】
下段支持部材121は、左右に延びる板状に形成され、下段支持部材121には、黒鍵ヒンジ122が左右に並ぶようにして複数接続される。黒鍵ヒンジ122は、上方に凸の湾曲形状に形成される板状体であり、この黒鍵ヒンジ122に黒鍵20の後端が接続されるため、黒鍵ヒンジ122の弾性変形によって下段支持部材121に対する黒鍵20の回転(揺動)が可能となっている。湾曲する板状の黒鍵ヒンジ122は、前後に延びる平板状のヒンジに比べて撓み易いため、押鍵時に黒鍵20の後端部分(矢印B側の端部)のストロークを確保し易くできる。よって、アコースティックピアノに近似した演奏感を付与できる。
【0021】
ここで、例えば、前後に延びる平板状にヒンジであっても、ヒンジの厚みを薄くすることや、ヒンジの前後方向寸法を長くする構成であれば、白鍵10及び黒鍵20の後端部分のストロークを確保できる。しかしながら、そのような構成では、ヒンジの耐久性が低下するという問題点や、白鍵ユニット110及び黒鍵ユニット120の前後方向の配置スペースが増大するという問題点が生じる。
【0022】
これに対して本実施形態では、白鍵ヒンジ112及び黒鍵ヒンジ122が湾曲する板状であるため、白鍵ヒンジ112及び黒鍵ヒンジ122を薄く形成することなく、白鍵10及び黒鍵20の後端部分のストロークを確保できる。よって、白鍵ヒンジ112及び黒鍵ヒンジ122の耐久性を確保できる。更に、白鍵ヒンジ112及び黒鍵ヒンジ122が湾曲する板状であるため、白鍵ヒンジ112及び黒鍵ヒンジ122の前後方向の寸法を短く形成しつつ、各ヒンジの全長を長くすることができる。よって、白鍵ユニット110及び黒鍵ユニット120の前後方向の配置スペースを低減しつつ、白鍵10及び黒鍵20の後端部分のストロークを確保できる。
【0023】
このように、本実施形態では、白鍵ヒンジ112及び黒鍵ヒンジ122を湾曲する板状に形成しているため、白鍵10及び黒鍵20の後端部分のストロークを確保できる一方で、白鍵ヒンジ112及び黒鍵ヒンジ122が撓み易く、押鍵前や押鍵時の白鍵10及び黒鍵20の姿勢が不安定になり易い。これに対して本実施形態では、かかる白鍵10及び黒鍵20の姿勢を安定させることができる構成を採用している。この構成について、図2及び図3を参照して説明する。
【0024】
図2は、図1(a)のII-II線における鍵盤装置1の断面図であり、図3は、図2の状態から白鍵10が押鍵された状態を示す鍵盤装置1の断面図である。なお、図面を簡素化するために、図2及び図3では、鍵盤装置1の一部(例えば、パネル3等)の図示を省略し、図3では、押鍵された白鍵10を除く他の白鍵10及び黒鍵20の図示を省略している。
【0025】
なお、黒鍵20をヒンジの弾性変形により回転可能に支持する構造、黒鍵20の押鍵または離鍵に連動してハンマー7を回転させる構造、及び、黒鍵20の押鍵または離鍵時の変位を規制する(ガイドする)構造は、白鍵10と実質的に同一である。よって、以下に説明する白鍵10の構成による作用・効果は、黒鍵20においても同様に奏するものである。
【0026】
図2及び図3に示すように、シャーシ5の支持部51には、白鍵10及び黒鍵20の変位をガイドするためのガイド部材6が固定される。ガイド部材6は、支持部51の下面に固定される天板60と、その天板60の上面から上方に突出する柱状のガイド61と、を備える。シャーシ5の支持部51には貫通孔51aが形成され、この貫通孔51aにガイド61が挿入されることにより、ガイド61が白鍵10の下面に向けて突出するようにして配置される。
【0027】
白鍵10の下面には、下方に開口を有するガイド孔11が形成され、このガイド孔11にガイド61が挿入される。図2に示す押鍵前の初期位置(以下「初期位置」と称す)においては、ガイド孔11の内周面とガイド61の外周面との間には僅かに隙間が形成されている。これにより、図3に示すように、押鍵によって白鍵ヒンジ112が弾性変形して白鍵10が回転する際に、白鍵10の左右方向(矢印L-R方向)の変位や、左右方向への倒れ(白鍵10の前後方向軸周りのローリング)をガイド61によって規制できる。よって、白鍵ヒンジ112が撓み易い湾曲形状に形成される場合であっても、押鍵時に白鍵10を安定して回転させることができる。
【0028】
そして、白鍵10の左右の変位を規制するガイド61が白鍵10の前後方向中央よりも後方側に位置しているため、かかる白鍵10の変位を白鍵ヒンジ112の近傍で規制することができる。これにより、押鍵時に白鍵10をより安定して回転させることができる。
【0029】
ガイド部材6の天板60の下面からは側板62が下方に垂下し、側板62は、各白鍵10及び黒鍵20同士の境界部分の下方に設けられている。よって、各白鍵10及び黒鍵20のそれぞれの下方には、側板62によって区画された空間が形成されている。
【0030】
側板62同士の間には軸63が左右に架け渡され、この軸63回りにハンマー7が回転可能に設けられる。ハンマー7は、白鍵10の押鍵時の感触を付与するための質量部70と、白鍵10の押鍵時にスイッチSを押し込むための押圧部71と、から構成される。
【0031】
ハンマー7のうち、軸63よりも前方側(矢印F側)の部位が質量部70であり、軸63よりも後端側(矢印B側)の部位が押圧部71である。押圧部71の上面には、下方に凹む受け部72が形成され、受け部72と上下に対向する位置においては、シャーシ5の支持部51に貫通孔51bが形成される。
【0032】
白鍵10の下面からは突起部12が下方に突出して形成され、この突起部12が貫通孔51bを通してハンマー7の受け部72に接触している。よって、白鍵10が押鍵時には(図3参照)、白鍵10の突起部12が受け部72に沿って摺動することでハンマー7が軸63回りに回転し、このハンマー7の回転によって質量部70が持ち上がるように変位する。質量部70は、押鍵の感触を付与できる程度の重量を有しているため、ハンマー7の回転に伴う反力により、白鍵10を押鍵した際の感触(押鍵感触)が演奏者に付与される。
【0033】
一方、白鍵10が押鍵された際に押圧部71が下方に変位するが、押圧部71の下方には、上面にスイッチSを有する基板9が設けられるため、白鍵10が押鍵されることでスイッチSが押圧部71によって押し込まれる。このスイッチSのオン/オフ動作によって白鍵10の押鍵情報(ノート情報)が検出され、その検出結果に基づく楽音信号が外部に出力される。なお、基板9は、ガイド部材6の下部に固定されているが、底板4に基板9を支持させる構成でも良い。
【0034】
押圧部71によってスイッチSが押し込まれた状態(図3の状態)が白鍵10の押鍵の終端位置となり、その押鍵の終端位置における白鍵10の姿勢は、シャーシ5の支持部51の上面に設けられる緩衝材52,53によって規定される。即ち、押鍵時の白鍵10の下方への変位は緩衝材52,53によって規制されるようになっている。
【0035】
より具体的には、白鍵10の後端(矢印B側の端部)の下面からは、下方に突出する規制突起13が形成され、この規制突起13の下方に緩衝材52が配置される。また、白鍵10の前後方向中央よりも前端側(矢印F側)の部位であって、黒鍵20よりも前方側に位置する部位の下方に緩衝材53が配置される。これにより、押鍵時の白鍵10の下方への変位を前後に離れた一対の緩衝材52,53によって規制できるので、押鍵の終端位置の白鍵10の姿勢を安定させることができる。
【0036】
即ち、例えば、白鍵10の下方への変位を1つの緩衝材で規制する構成の場合、緩衝材から前方側または後方側に離れた位置で白鍵10が押鍵されると、その押鍵時の力により、押鍵の終端位置で白鍵10が緩衝材を支点にして回転するおそれがある(白鍵ヒンジ112が撓み易い湾曲形状に形成されているため)。
【0037】
これに対して本実施形態では、緩衝材52が白鍵10の後端の変位を規制し、緩衝材53が白鍵10の前端側の部位の変位を規制しているため、押鍵時の力が一対の緩衝材52,53の間の領域に加わり易くなる。これにより、押鍵時の力によって白鍵10が緩衝材52,53を支点にして回転することを抑制できるので、押鍵の終端位置での白鍵10の姿勢を安定させることができる。
【0038】
なお、押鍵の終端位置での白鍵10の姿勢の安定させるためには、緩衝材52,53を前後に離れた位置に配置する方が良いため、緩衝材52は、白鍵10の押鍵が可能な領域よりも後方側に配置することが好ましい。一方、緩衝材53は、押鍵が可能な領域よりも前方側に配置することが実質的に困難であるため、緩衝材53は、黒鍵20の前端よりも前方側に配置することが好ましく、黒鍵の20の前端と白鍵10の前端との間の領域の前後方向中央よりも前方側に配置することがより好ましい。
【0039】
このように、押鍵の終端位置での白鍵10の姿勢が緩衝材52,53によって規定されるが、緩衝材52と規制突起13との対向間隔は、緩衝材53と白鍵10の下面との対向間隔よりも小さく設定されている。つまり、緩衝材52に変位が規制されるまで(押鍵前から押鍵の終端位置まで)の白鍵10の後端の変位量は、緩衝材53によって変位が規制されるまでの白鍵10の前端の変位量よりも小さく設定される。これにより、押鍵の終端位置までの白鍵10のストロークや、押鍵の終端位置における白鍵10の姿勢(傾き)をアコースティックピアノの鍵に近似させることができる。
【0040】
なお、緩衝材52によって変位が規制されるまでの白鍵10の後端の変位量は、緩衝材53によって変位が規制されるまでの白鍵10の前端の変位量の45%以上55%以下に設定することが好ましい。これにより、押鍵の終端位置までの白鍵10のストロークや、押鍵の終端位置における白鍵10の姿勢をアコースティックピアノの鍵により近似させることができる。
【0041】
一方、白鍵10が押鍵後に離鍵されると、ハンマー7の質量部70の重量によってハンマー7が初期位置(図2の状態)に戻るように回転するため、白鍵10を上方に押し上げる復帰力がハンマー7から付与される。このハンマー7の復帰力による白鍵10の上方への変位は、離鍵ストッパ14,15によって規制されるようになっている。
【0042】
離鍵ストッパ14,15は、白鍵10の下面から下方に突出する基部14a,15aと、その基部14a,15aの突出方向と直行する方向(本実施形態では、後方側)に屈曲する屈曲部14b,15bと、を備える。
【0043】
離鍵ストッパ14,15の基部14a,15aは、シャーシ5の貫通孔51a,51cに挿入される(貫通孔51cについては、図1(b)参照)。貫通孔51a,51cの後方側におけるシャーシ5の下面には緩衝材54,55が接着されており、初期位置(図2の状態)においては、緩衝材54,55の下面に屈曲部14b,15bが引っ掛けられる。
【0044】
つまり、離鍵時における白鍵10の上方への変位は、一対の緩衝材54,55によって規制される。そして、離鍵ストッパ14及び緩衝材54は、白鍵10の前後方向中央よりも後方側(矢印B側)に位置し、離鍵ストッパ15及び緩衝材55は、白鍵10の前後方向中央よりも前方側(矢印F側)に位置しているため、白鍵10の上方への変位を前後に離れた2点で規制できる。これにより、初期位置における白鍵10の姿勢を安定させることができる。
【0045】
ここで、例えば、白鍵10の突起部12とハンマー7の受け部72との当接位置(ハンマー7からの復帰力が付与される位置)が離鍵ストッパ15よりも前方側に位置する場合、ハンマー7から付与される復帰力によって白鍵10が傾くおそれがある。即ち、湾曲形状の白鍵ヒンジ112は撓み易いため、ハンマー7からの復帰力が離鍵ストッパ15よりも前方側に付与されると、緩衝材55を支点にして白鍵10が回転し、白鍵10が後方側に下降傾斜するように(離鍵ストッパ14の屈曲部14bが緩衝材54から離れるように)回転するおそれがある。
【0046】
これに対して本実施形態では、一対の離鍵ストッパ14,15の間の領域に突起部12が設けられているため、かかる領域にハンマー7からの復帰力を付与することができる。これにより、白鍵10が離鍵ストッパ14,15を支点にして回転することを抑制できるので、初期位置における白鍵10の姿勢を安定させることができる。
【0047】
また、離鍵ストッパ14の基部14aが貫通孔51aに挿入され、貫通孔51aの内面(矢印F側を向く面)とガイド部材6の天板60とによって基部14aが前後で挟まれているため、基部14aと貫通孔51a及び天板60との引っ掛かりによって白鍵10の前後方向の変位を規制できる。よって、白鍵ヒンジ112が撓み易い湾曲形状に形成される場合であっても、白鍵10を安定して回転させることができる。そして、上述した通り、白鍵10の左右の変位はガイド61によって規制されているため、白鍵10の前後方向および左右方向への変位を離鍵ストッパ14及びガイド61によって規制できる。よって、白鍵10を更に安定して回転させることができる。
【0048】
このように、本実施形態では、離鍵ストッパ14の基部14aと貫通孔51aとの引っ掛かりによって白鍵10の前後の変位が規制され、屈曲部14bと緩衝材54との引っ掛かりによって白鍵10の上方への変位が規制されている。即ち、離鍵ストッパ14は、白鍵10の上方への変位を規制する機能と、白鍵10の前後の変位を規制する機能とを有している。よって、それらの機能を有する部位(部材)を別々に設ける場合に比べて構造を簡素化できる。
【0049】
ここで、アコースティックピアノの黒鍵の回転軸は、白鍵の回転軸よりも後方側に位置しているため、押鍵の終端位置までの黒鍵の後端部分のストロークは、白鍵の後端部分のストロークよりも大きくなる。これに対して本実施形態では、それらのストロークの違いを再現できる構成となっている。この構成ついて、図4を参照して説明する。
【0050】
図4は、図2のIV部分を拡大した鍵盤装置1の部分拡大断面図である。なお、図4では、理解を容易にするために、白鍵ユニット及び黒鍵ユニットのハッチングを省略している。また、図4では、白鍵ユニットによって隠れている黒鍵ユニットの黒鍵ヒンジ122と、黒鍵の規制突起21とを破線で図示している。
【0051】
図4に示すように、白鍵10が接続される上段支持部材111は、黒鍵が接続される下段支持部材121の上面に重ねられており、それら上段支持部材111及び下段支持部材121がねじ(図示せず)によって共締めされることでシャーシ5の支持部51に固定される。
【0052】
よって、黒鍵ヒンジ122の全長(下段支持部材121との接続位置から黒鍵との接続位置までの長さ)は、上段支持部材111の厚みtの分、白鍵ヒンジ112の全長よりも長く形成されている。これにより、押鍵時の撓みに対する黒鍵ヒンジ122の剛性を白鍵ヒンジ112よりも小さくできるので、押鍵時の黒鍵20(図1(b)参照)の後端部分のストロークを白鍵10よりも大きく確保し易くできる。よって、アコースティックピアノに近似した演奏感を付与できる。
【0053】
この場合、単に黒鍵ヒンジ122の全長を長くすることを目的とするのであれば、黒鍵ヒンジ122が接続される支持部材を、白鍵ヒンジ112が接続される支持部材の上面に重ねる構成でも良い。しかしながら、そのような構成では、黒鍵ヒンジ122の全長が長い分、黒鍵ヒンジ122が白鍵ヒンジ112よりも上方に突出するため、上下方向における黒鍵ヒンジ122の配置スペースが増大する。
【0054】
これに対して本実施形態では、白鍵ヒンジ112が接続される上段支持部材111を、黒鍵ヒンジ122が接続される下段支持部材121の上面に重ねている。これにより、黒鍵ヒンジ122の全長を白鍵ヒンジ112よりも長く形成した場合であっても、黒鍵ヒンジ122の上端の高さを白鍵ヒンジ112の上端と揃えることができる。これにより、上下方向における黒鍵ヒンジ122の配置スペースを低減できる。
【0055】
また、黒鍵の後端部分の下面からは規制突起21が下方に突出され、その規制突起21の下方に緩衝材52が配置されているが、黒鍵の規制突起21の突出寸法は、白鍵10の規制突起13の突出寸法よりも短く形成されている。つまり、緩衝材52に当接するまでの白鍵10の後端の変位量は、黒鍵の後端の変位量よりも小さく設定されている。これにより、押鍵の終端位置までの黒鍵の後端部分のストロークを白鍵10よりも大きくできるので、アコースティックピアノに近似した演奏感を付与できる。
【0056】
以上、上記実施形態に基づき説明をしたが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0057】
上記実施形態では、鍵盤装置1が電子ピアノとして構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、他の電子楽器(例えば、電子オルガン、シンセサイザ、アコーディオン等)においても、上記実施形態の技術思想を適用できる。
【0058】
上記実施形態では、鍵2を押鍵前の初期位置に復帰させる復帰手段としてハンマー7を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ばね等の弾性体によって鍵2を初期位置に復帰させる構成でも良い。
【0059】
上記実施形態では、鍵2の前後方向の変位を規制する第1規制手段の一例として離鍵ストッパ14を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、鍵2またはシャーシ5側のいずれか一方に孔(凹み)を形成し、その孔に挿入される突起を他方に形成し、孔の内面と突起との接触によって鍵2の前後の変位を規制しても良い。
【0060】
また、ガイド61によっても鍵2の前後の変位を概ね規制することができるため、ガイド61のみによって鍵2の前後の変位を規制する構成でも良い。また、鍵2の前後の変位を規制できる程度に離鍵ストッパ15の基部15aと貫通孔51cの内面との隙間を小さくし、離鍵ストッパ15によって鍵2の前後の変位を規制する構成でも良い。
【0061】
即ち、鍵2の前後の変位を規制できる構成であれば、第1規制手段を離鍵ストッパ14以外のものから構成しても良く、離鍵ストッパ14に加え、別の規制手段を更に設ける構成でも良い。
【0062】
上記実施形態では、白鍵10(黒鍵20)と、白鍵ヒンジ112(黒鍵ヒンジ122)と、上段支持部材111(下段支持部材121)とがそれぞれ樹脂材料を用いて一体に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、白鍵および黒鍵と、ヒンジと、支持部材とのそれぞれ(又は一部)を別部材とし、公知の連結手段(例えば、接着やねじ止め等)を用いて連結しても良い。
【0063】
上記実施形態では、一対の離鍵ストッパ14,15によって鍵2の上方への変位を規制する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、鍵2に設ける離鍵ストッパは1つでも良く、3以上であっても良い。
【0064】
上記実施形態では、白鍵10の規制突起13や黒鍵20の規制突起21の突出長さ(緩衝材52までの距離)を調節することで黒鍵20の後端部分のストロークを白鍵10よりも大きくする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、規制突起13,21の突出長さを同一にし、緩衝材52の高さや硬さの違いでストロークの調節を行っても良い。また、白鍵10及び黒鍵20の後端部分のストロークを同一に設定する構成でも良い。
【0065】
上記実施形態では、鍵2の下方への変位を規制する押鍵ストッパの一例として、緩衝材52,53を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。緩衝材52,53以外のもの(例えば、シャーシ5側から上方に突出する柱状の突起等)を設ける構成や、緩衝材52,53を省略する構成でも良い。また、上記実施形態では、緩衝材52~55の材質の例示を省略したが、緩衝材52~55は、フェルトや発泡ウレタン等、公知のものを用いれば良い。
【0066】
上記実施形態では、前後一対の緩衝材52,53(押鍵ストッパ)によって鍵2の下方への変位を規制する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、緩衝材(押鍵ストッパ)は、1つでも良く、3以上であっても良い。
【0067】
上記実施形態では、ガイド61によって鍵2の左右の変位やローリングが規制される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ガイド61を省略しても良い。ガイド61を省略する場合には、離鍵ストッパ14,15の左右の変位や倒れを規制するためのガイドを別途設けることが好ましい。これにより、鍵2の上方への変位を規制する機能と、鍵2の前後左右への変位を規制する機能とを離鍵ストッパ14,15に持たせることができる。
【0068】
上記実施形態では、白鍵ヒンジ112及び黒鍵ヒンジ122が上方に凸の湾曲形状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、白鍵ヒンジ112及び黒鍵ヒンジ122が下方に凸の湾曲形状に形成される構成でも良い。
【0069】
上記実施形態では、白鍵ヒンジ112よりも黒鍵ヒンジ122の全長を長くすることにより、黒鍵ヒンジ122の撓みに対する剛性を小さくする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、黒鍵ヒンジ122の厚みを薄くすることや、黒鍵ヒンジ122に孔を設けることで剛性を小さくする構成でも良い。また、白鍵ヒンジ112及び黒鍵ヒンジ122の剛性(全長)を同一とする構成でも良い。
【0070】
上記実施形態では、下段支持部材121に黒鍵20が接続される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、下段支持部材121に白鍵10を接続し、上段支持部材111に黒鍵20を接続する構成でも良い。
【符号の説明】
【0071】
1 鍵盤装置
2 鍵
5 シャーシ
51a 貫通孔
7 ハンマー(復帰手段)
10 白鍵(鍵)
14 離鍵ストッパ(第1規制手段)
14a 基部
14b 屈曲部
15 離鍵ストッパ
15a 基部
15b 屈曲部
20 黒鍵(鍵)
52 緩衝材(第1押鍵ストッパ)
53 緩衝材(第2押鍵ストッパ)
61 ガイド(第2規制手段)
111 上段支持部材(支持部材)
121 下段支持部材(支持部材)
112 白鍵ヒンジ(ヒンジ)
122 黒鍵ヒンジ(ヒンジ)
図1
図2
図3
図4