(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】ナイセリア・メニンギティディスのワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/095 20060101AFI20230809BHJP
A61K 39/385 20060101ALI20230809BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230809BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
A61K39/095
A61K39/385
A61P37/04
A61P31/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022021720
(22)【出願日】2022-02-16
(62)【分割の表示】P 2020150938の分割
【原出願日】2017-09-01
【審査請求日】2022-02-16
(32)【優先日】2016-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517055195
【氏名又は名称】サノフィ パスツール インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・デイヴィッド・ケンシンガ-
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・エル・ハウザー
【審査官】山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-134829(JP,A)
【文献】特表2016-515539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
A61P 31/04
A61P 37/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイセリア・メニンギティディスMenA莢膜多糖と担体タンパク質との結合体を生成する方法であって、
a)MenA莢膜多糖を、カルバメート連結を形成することができる活性化剤で活性化する工程であり、活性化剤が、MenA莢膜多糖の20倍から50倍のモル過剰量で存在する工程;
b)活性化されたMenA莢膜多糖を部分的にクエンチし、活性化されたMenA莢膜多糖を、MenA莢膜多糖反復単位に対して0.3~1.0のモル比で添加されたジヒドラジドリンカーで誘導体化する工程であり、MenA莢膜多糖が、10~100個の糖反復単位当たり1つのジヒドラジドリンカーの比で誘導体化される工程;
c)誘導体化されたMenA莢膜多糖をカルボジイミド化学物質により担体タンパク質に結合させる工程であり、MenA莢膜多糖が、結合反応の開始時に、担体タンパク質に対して3:1~5:1の重量対重量比(weight-to-weight ratio)で存在し、それによって結合体を形成する工程を含
み、ここで、担体タンパク質は破傷風トキソイドであり、結合体は0.7~1.4の多糖対担体タンパク質質量比を有する、該方法。
【請求項2】
ジヒドラジドリンカーがMenA莢膜多糖反復単位に対して0.4~0.6のモル比で添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
グリセロールにより反応をクエンチする工程を更に含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ジヒドラジドリンカーがアジピン酸ジヒドラジドである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
誘導体化されたMenA莢膜多糖が、結合反応において10g/L~20g/Lの出発濃度である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
活性化剤が、CDI(1,1’-カルボニルジイミダゾール)である、請求項1~5の
いずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
活性化剤が、MenA莢膜多糖の35倍から45倍のモル過剰量で活性化工程に存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
結合工程が、担体タンパク質をN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドと反応させることを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ナイセリア・メニンギティディス莢膜多糖と担体タンパク質との結合体を生成する方法であって、
a)莢膜多糖を過ヨウ素酸塩処理(periodate treatment)により活性化し、それによって、ジオールを、多糖1mg当たりアルデヒド
を少なくとも50nmo
lまでアルデヒドに変換する工程;
b)活性化された莢膜多糖を、還元的アミノ化により担体タンパク質に結合させる工程であり、活性化された莢膜多糖が、担体タンパク質に対して1:1~5:1の重量対重量比で結合反応に存在し、それによって結合体
、結合体では莢膜多糖が第二級アミンを介して担体タンパク質に直接結合している、を形成する工程を含み、
ここで、
担体タンパク質が破傷風トキソイドであり、莢膜多糖が、
多糖mg当たり0.3μmolから多糖mg当たり1.6μmolのO-アセチル化レベルを有するMenC莢膜多糖である、該方法。
【請求項10】
莢膜多糖が、担体タンパク質に対して1.5~3:1の重量対重量比で結合反応に存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
還元的アミノ化が、シアノ水素化ホウ素、ピリジンボラン(C
5H
8BN)またはピコリンボラン錯体(C
6H
7N・BH
3)を使用してイミンをアミンに還元することを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
結合体における未反応アルデヒドを還元試薬によりアルコールに変換することを更に含み、ここで、還元試薬が水素化ホウ素である、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
過ヨウ素酸塩(periodate)を1mM~4mMまたは1.5mM~3mMの濃度で添加して、莢膜多糖を活性化する、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
莢膜多糖が、結合反応の前に100~200kDa、または125~175kDaのサイズに低減される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
結合体を疎水性相互作用クロマトグラフィーにより精製することを更に含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
結合体を混合モード樹脂クロマトグラフィーにより精製することを更に含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の方法であって、該方法が、
a)ナイセリア・メニンギティディスMenA莢膜多糖と担体タンパク質の第1の結合体;
b)ナイセリア・メニンギティディスMenC莢膜多糖と担体タンパク質の第2の結合体;
c)ナイセリア・メニンギティディスMenW-135莢膜多糖と担体タンパク質の第
3の結合体;および
d)ナイセリア・メニンギティディスMenY莢膜多糖と担体タンパク質の第4の結合体を含
むワクチン組成物を調整する工程をさらに含み、
ここで、第1の結合体が、請求項1~8,14~1
6のいずれか1項に記載の方法で得られたものであり、そして、
第
2の結合体が、請求項9~1
6のいずれか1項に記載の方法で得られたものである、
該方法。
【請求項18】
ワクチン組成物がアジュバントを含まない、請求項
17に記載の
方法。
【請求項19】
ワクチン組成物が薬学的に許容される緩衝液を更に含む、請求項
17または18に記載の
方法。
【請求項20】
ワクチン組成物がpHが5.5~6.5の酢酸緩衝液を含む、請求項
19に記載の
方法。
【請求項21】
該ワクチン組成物が薬学的に許容される塩を更に含む、ここで、薬学的に許容される塩が塩化ナトリウムである、請求項
17~20のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項22】
第1、第2、第3、および第4の結合体の少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ全てが、多糖と担体タンパク質との複数の結合点を含む、請求項
17~21のいずれか1項に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)(N.メニンギティディス)は、世界中の細菌性髄膜炎および敗血症の主な原因である。ナイセリア・メニンギティディスの血清型A、C、Y、およびW-135(それぞれMenA、MenC、MenY、およびMenWであり、集合的にMenACYWと呼ばれる)は、世界中の大部分の髄膜炎菌性疾患に関与している。現在、N.メニンギティディスから保護するために6種類のワクチンがあり、Menactra(登録商標)、Nimenrix(登録商標)、およびMenveo(登録商標)のような四価髄膜炎菌結合型ワクチン、Menomune(登録商標)のような髄膜炎菌多糖ワクチン、Neisvac-C(登録商標)、Menjugate(登録商標)、およびMenitorix(登録商標)のような血清型C髄膜炎菌ワクチン、MenAfriVac(登録商標)のような血清型A髄膜炎菌ワクチン、MenHibrix(登録商標)のような血清型CおよびY髄膜炎菌ワクチン、ならびにBexsero(登録商標)およびTrumenba(登録商標)のような血清型B髄膜炎菌ワクチンである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
N.メニンギティディスについての疫学は、複雑であり、予測不能であり、地域的に差があり、経時的に変化するものである、と記載することができる。このように、改善されたN.メニンギティディスワクチンを開発する必要性が存在している。特に、現存する多糖結合体ワクチンは、1人またはそれ以上の乳幼児、幼児、青年、および/もしくは高齢者への投与に適していないことがある、または一部のレシピエントには弱い、もしくは検出不能な血清応答をもたらすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一部の実施形態において、本明細書に開示されている組成物、方法、および/または使用は、1つもしくはそれ以上の利益を提供する、または少なくとも社会に有用な選択肢を提供する。そのような利益は、MenA、MenC、MenY、およびMenWの1つ、2つ、3つ、または4つ全てに対する改善された免疫原性;2人、3人、または4人の乳幼児、幼児、青年、および高齢者における免疫原性;ならびに液体製剤として、例えば、冷蔵下で複数年(例えば、2.5、3、3.5、4、または4.5年間)、または室温で複数月(例えば、2、3、4、5、または6カ月間)にわたる長期保管を可能にする十分な安定性のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。
【0004】
したがって、以下の実施形態が提供される。実施形態1は、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物であって、a)MenA莢膜多糖と担体タンパク質の第1の結合体;b)MenC莢膜多糖と担体タンパク質の第2の結合体;c)MenW-135莢膜多糖と担体タンパク質の第3の結合体;およびd)MenY莢膜多糖と担体タンパク質の第4の結合体を含み、第2の結合体が、両方とも第二級アミンを介して担体タンパク質に結合している二重末端連結結合型多糖および単一末端連結結合型多糖を含む個体群であり、第2の結合体の多糖が、多糖mg当たり0.3μmolから多糖mg当たり1.6μmolのO-アセチル化レベルを有する、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物である。O-アセチル化のレベルは、多糖mg当たり0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、または1.2μmol以上である。O-アセチル化のレベルは、多糖mg当たり0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5μmol以下である。例えば、レベルは、多糖mg当たり0.6~1.5μmol、または多糖mg当たり0.8~1.4μmolの範囲である。O-アセチ
ル含有量を、Hestrin法(Hestrinら、J.Biol.Chem.1949年、180巻、249頁)により測定することができる。
【0005】
実施形態2は、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物であって、a)MenA莢膜多糖と担体タンパク質の第1の結合体;b)MenC莢膜多糖と担体タンパク質の第2の結合体;c)MenW-135莢膜多糖と担体タンパク質の第3の結合体;およびd)MenY莢膜多糖と担体タンパク質の第4の結合体を含み、第2の結合体が、第二級アミンを介して担体タンパク質に結合している単一末端連結結合型多糖を含む個体群であり、単一末端連結結合型多糖が、末端非連結糖を有し、末端糖が、7位に第一級ヒドロキシルもしくは第二級アミン連結を有する、または還元末端が、(2-ヒドロキシ)エトキシもしくは第二級アミン連結により修飾されている、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物である。第2の結合体個体群は、多糖の両方の末端に、例えば、第二級アミンを介して連結している担体タンパク質を有する二重末端連結結合体を、更に含むことができる。
【0006】
実施形態3は、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物であって、a)MenA莢膜多糖と担体タンパク質の第1の結合体;b)MenC莢膜多糖と担体タンパク質の第2の結合体;c)MenW-135莢膜多糖と担体タンパク質の第3の結合体;およびd)MenY莢膜多糖と担体タンパク質の第4の結合体を含み、MenA莢膜多糖が、カルバメート、スペーサー、およびアミドを含むリンカーを介して担体タンパク質に結合しており、スペーサーが、カルバメートとアミドの間にあり、2~10個の直鎖炭素を含み、第1の結合体が、0.3~1.5の多糖対担体タンパク質質量比を有する、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物である。第1の結合体は、例えば、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.3~1.4、または1.4~1.5の多糖対担体タンパク質質量比を有することができる。
【0007】
実施形態4は、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物であって、a)MenA莢膜多糖と担体タンパク質の第1の結合体;b)MenC莢膜多糖と担体タンパク質の第2の結合体;c)MenW-135莢膜多糖と担体タンパク質の第3の結合体;およびd)MenY莢膜多糖と担体タンパク質の第4の結合体を含み、MenA莢膜多糖が、カルバメート、スペーサー、およびアミドを含むリンカーを介して担体タンパク質に結合しており、スペーサーが、カルバメートとアミドの間にあり、2~10個の直鎖炭素を含み、MenC、MenW-135、およびMenY莢膜多糖が、第二級アミンを介して担体タンパク質に結合し、結合体のうちの少なくとも1つが、300kDa~1500kDaの範囲の重量平均分子量を有する、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物である。
【0008】
実施形態5は、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物であって、a)MenA莢膜多糖と担体タンパク質の第1の結合体;b)MenC莢膜多糖と担体タンパク質の第2の結合体;c)MenW-135莢膜多糖と担体タンパク質の第3の結合体;およびd)MenY莢膜多糖と担体タンパク質の第4の結合体を含み、担体タンパク質が、破傷風トキソイドであり、第1、第2、第3、および第4の結合体の1つまたはそれ以上が、300kDa~1500kDaの範囲の重量平均分子量を有し、組成物が、総多糖に対して20重量%未満の遊離多糖を含む、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物である。組成物中の少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの結合体は、300kDa~1500kDaの範囲の重量平均分子量を有することができる。組成物中の少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの結合体の重量平均分子量は、400kDa、500kDa、600kDa、700kDa、800kDa、900kDa、1000kDa、または1100kDa以上である。組成物中の少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの結合
体の重量平均分子量は、600kDa、700kDa、800kDa、900kDa、1000kDa、1100kDa、1200kDa、1300kDa、または1400kDa以下である。少なくとも1つの結合体は、700~800、800~900、900~1000、1000~1100、1100~1200、1200~1300、1300~1400、または1400~1500kDaの範囲の分子量を有することができる。MenA結合体は、700~800、800~900、900~1000、1000~1100、1100~1200、1200~1300、1300~1400、または1400~1500kDaの範囲の分子量を有することができる。MenC結合体は、700~800、800~900、900~1000、1000~1100、1100~1200、1200~1300、1300~1400、または1400~1500kDaの範囲の分子量を有することができる。MenY結合体は、700~800、800~900、900~1000、1000~1100、1100~1200、1200~1300、1300~1400、または1400~1500kDaの範囲の分子量を有することができる。MenW-135結合体は、700~800、800~900、900~1000、1000~1100、1100~1200、1200~1300、1300~1400、または1400~1500kDaの範囲の分子量を有することができる。
【0009】
実施形態6は、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物であって、a)MenA莢膜多糖と担体タンパク質の第1の結合体;b)MenC莢膜多糖と担体タンパク質の第2の結合体;c)MenW-135莢膜多糖と担体タンパク質の第3の結合体;およびd)MenY莢膜多糖と担体タンパク質の第4の結合体を含み、担体タンパク質が、破傷風トキソイドであり、第1、第2、第3、および第4の結合体の1つまたはそれ以上が、0.3~1.5の多糖対担体タンパク質質量比を有し、組成物が、総多糖に対して20重量%未満の遊離多糖を含む、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物である。第1の結合体は、例えば、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.3~1.4、または1.4~1.5の多糖対担体タンパク質質量比を有することができる。第2の結合体は、例えば、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.3~1.4、または1.4~1.5の多糖対担体タンパク質質量比を有することができる。第3の結合体は、例えば、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.3~1.4、または1.4~1.5の多糖対担体タンパク質質量比を有することができる。第4の結合体は、例えば、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.3~1.4、または1.4~1.5の多糖対担体タンパク質質量比を有することができる。
【0010】
実施形態7は、第1、第2、第3、および/または第4の結合体が、700kDa~1400kDaまたは800kDa~1300kDaの範囲の分子量を有する分子を含む個体群である、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。第1および第2の結合体は、700kDa~1400kDaまたは800kDa~1300kDaの範囲の分子量を有する分子を含む個体群である。第1および第3の結合体は、700kDa~1400kDaまたは800kDa~1300kDaの範囲の分子量を有する分子を含む個体群である。第1および第4の結合体は、700kDa~1400kDaまたは800kDa~1300kDaの範囲の分子量を有する分子を含む個体群である。第2および第3の結合体は、700kDa~1400kDaまたは800kDa~1300kDaの範囲の分子量を有する分子を含む個体群である。第2および第4の結合体は、700kDa~1400kDaまたは800kDa~1300kDaの範囲の分子量を有する分子を
含む個体群である。第3および第4の結合体は、700kDa~1400kDaまたは800kDa~1300kDaの範囲の分子量を有する分子を含む個体群である。
【0011】
実施形態8は、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物であって、MenC莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含み、結合体が、両方とも第二級アミンを介して担体タンパク質に結合している二重末端連結結合型多糖および単一末端連結結合型多糖を含む個体群であり、MenC莢膜多糖と担体タンパク質の結合体における多糖が、多糖mg当たり0.3μmolから多糖mg当たり1.6μmolの範囲のO-アセチル化レベルを有する、ナイセリア・メニンギティディスワクチン組成物である。O-アセチル化のレベルは、多糖mg当たり0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、または1.2μmol以上である。O-アセチル化のレベルは、多糖mg当たり0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5μmol以下である。例えば、レベルは、多糖mg当たり0.6~1.5μmol、または多糖mg当たり0.8~1.4μmolの範囲である。O-アセチル含有量を、Hestrin法(Hestrinら、J.Biol.Chem.1949年、180巻、249頁)により測定することができる。
【0012】
実施形態9は、結合体が、(a)300kDa~1500kDaの範囲の重量平均分子量を有する、または(b)700kDa~1400kDaまたは800kDa~1300kDaの範囲の分子量を有する分子を含む個体群である、実施形態8に記載のワクチン組成物である。
【0013】
実施形態10は、分子量が多角度光散乱(MALS)により決定される、実施形態4、5、7、または9のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0014】
実施形態11は、MenC多糖が、多糖mg当たり0.6~1.5μmolまたは多糖mg当たり0.8~1.4μmolの範囲のO-アセチル化度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0015】
実施形態12は、O-アセチル化度が、多糖mg当たり0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、または1.2μmol以上である、実施形態11に記載のワクチン組成物である。
【0016】
実施形態13は、O-アセチル化度が、多糖mg当たり0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、または1.4μmol以下である、実施形態11に記載のワクチン組成物である。
【0017】
実施形態14は、MenC多糖を含む結合体が、二重末端連結結合型多糖および単一末端連結結合型多糖を含む個体群である、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0018】
実施形態15は、第2の結合体の単一末端連結多糖が、末端非連結糖を含み、単一末端連結結合型多糖が、末端非連結糖を有し、末端糖が、7位に第一級ヒドロキシルを有する、または還元末端が、(2-ヒドロキシ)エトキシにより修飾されている、実施形態14に記載のワクチン組成物である。
【0019】
実施形態16は、MenC多糖を含む結合体が、(i)7位の第一級ヒドロキシル、(ii)還元末端の(2-ヒドロキシ)エトキシ、および(iii)担体タンパク質への結合から選択される1つまたはそれ以上の修飾を含み、修飾が多糖mg当たり25nmol以上で存在する、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0020】
実施形態17は、(i)未変性のMenW-135またはMenY多糖の近接ジオールの位置にある第一級ヒドロキシル、および(ii)担体タンパク質への結合から選択される1つまたはそれ以上の修飾を含むMenW-135および/またはMenY多糖の結合体を含み、修飾が多糖mg当たり60nmol以上で存在する、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0021】
実施形態18は、修飾が、多糖mg当たり200nmol未満、多糖mg当たり150nmol未満、多糖mg当たり100nmol未満、または多糖mg当たり80nmol未満の量で存在する、実施形態16または17に記載のワクチン組成物である。
【0022】
実施形態19は、MenC多糖が、未変性MenC多糖に対してサイズが3倍~8倍低減されている、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0023】
実施形態20は、0.5~1.5の多糖対担体タンパク質質量比を有する、MenA莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。実施形態20Aは、0.7~1.4の多糖対担体タンパク質質量比を有する、MenA莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含む、実施形態20に記載のワクチン組成物である。
【0024】
実施形態21は、MenA結合体が、0.8~1.3の多糖対担体タンパク質質量比を有する、実施形態20に記載のワクチン組成物である。
【0025】
実施形態22は、0.3~1.1の多糖対担体タンパク質質量比を有する、MenCおよび/またはMenY莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0026】
実施形態23は、MenC結合体が、0.4~0.8の多糖対担体タンパク質質量比を有する、実施形態22に記載のワクチン組成物である。
【0027】
実施形態24は、0.3~1.3の多糖対担体タンパク質質量比を有する、MenW-135莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0028】
実施形態25は、MenW-135結合体が、0.6~1.3の多糖対担体タンパク質質量比を有する、実施形態24に記載のワクチン組成物である。
【0029】
実施形態26は、0.5~1.3の多糖対担体タンパク質質量比を有する、MenY莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0030】
実施形態27は、MenY結合体が、0.5~0.9の多糖対担体タンパク質質量比を有する、実施形態26に記載のワクチン組成物である。
【0031】
実施形態28は、組成物が20重量%未満の遊離多糖を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0032】
実施形態29は、組成物が、10重量%未満の遊離多糖を含む、5重量%未満の遊離多糖を含む、または実質的に遊離多糖を欠いている、実施形態28に記載のワクチン組成物である。
【0033】
実施形態30は、MenA、MenC、MenW-135、またはMenY結合体が、リンカーを介して担体タンパク質に結合している、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0034】
実施形態31は、リンカーが2~10個の直鎖炭素を含む、実施形態30に記載のワクチン組成物である。
【0035】
実施形態32は、リンカーが、MenA、MenC、MenW-135、またはMenY結合体に、10~100個の糖反復単位当たり1つのリンカーの比で存在する、実施形態30および31に記載のワクチン組成物である。
【0036】
実施形態33は、リンカーが、MenA、MenC、MenW-135、またはMenY結合体に、20~60個の糖反復単位当たり1つのリンカーの比で存在する、実施形態30および31に記載のワクチン組成物である。
【0037】
実施形態34は、リンカーが、第1のカルボニルと第2のカルボニルの間にスペーサーを含み、スペーサーが4~8個の炭素を含む、実施形態30および31に記載のワクチン組成物である。
【0038】
実施形態35は、MenA結合体のリンカーがジヒドラジドの残基を含む、実施形態30~34のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0039】
実施形態36は、MenA結合体のリンカーがアジピン酸ジヒドラジドの残基を含む、実施形態35に記載のワクチン組成物である。
【0040】
実施形態37は、MenA、MenC、MenW-135、および/またはMenY結合体の多糖が、式I:
【化1】
[式中、PSは多糖への結合を示し、PRは担体タンパク質への結合を示す]
のリンカーを介して担体タンパク質に結合している、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0041】
実施形態38は、リンカーがMenA結合体の中にある、実施形態30~37のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0042】
実施形態39は、リンカーがMenC結合体の中にある、実施形態30~37のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0043】
実施形態40は、リンカーがMenW-135結合体の中にある、実施形態30~37のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0044】
実施形態41は、リンカーがMenY結合体の中にある、実施形態30~37のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0045】
実施形態42は、MenA、MenC、MenW-135、および/またはMenY結合体の多糖が、式II:PR-NH-CH2-PS(II)[式中、PSは多糖への結合を示し、PRは担体タンパク質への結合を示す]に示されているように担体タンパク質に結合している、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0046】
実施形態43は、MenA結合体の多糖が、式IIに示されているように担体タンパク質に結合している、実施形態42に記載のワクチン組成物である。
【0047】
実施形態44は、MenC結合体の多糖が、式IIに示されているように担体タンパク質に結合している、実施形態42に記載のワクチン組成物である。
【0048】
実施形態45は、MenW-135結合体の多糖が、式IIに示されているように担体タンパク質に結合している、実施形態42に記載のワクチン組成物である。
【0049】
実施形態46は、MenY結合体の多糖が、式IIに示されているように担体タンパク質に結合している、実施形態42に記載のワクチン組成物である。
【0050】
実施形態47は、担体タンパク質が、組み換えエキソプロテインA(exoprotein A)(rEPA)、ジフテリアトキソイド、またはジフテリア毒素のBフラグメント、CRM197、破傷風トキソイド、または破傷風毒素のCフラグメントを含む、またはそれからなる、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0051】
実施形態48は、担体タンパク質が破傷風トキソイドである、先行実施形態のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0052】
実施形態49は、ナイセリア・メニンギティディス莢膜多糖と担体タンパク質との結合体を生成する方法であって、a)多糖を、カルバメート連結を形成することができる活性化剤で活性化する工程であり、活性化剤が、多糖の20倍から50倍のモル過剰量で存在する工程;b)活性化された多糖を部分的にクエンチし、活性化された多糖を、多糖反復単位に対して0.3~1.0のモル比で添加されたジヒドラジドリンカーで誘導体化する工程であり、多糖が、10~100個の糖反復単位当たり1つのジヒドラジドリンカーの比で誘導体化される工程;c)誘導体化された多糖をカルボジイミド化学物質により担体タンパク質に結合させる工程であり、多糖が、結合反応の開始時に、担体タンパク質に対して3:1~5:1の重量対重量比(weight-to-weight ratio)で存在し、それによって結合体を形成する工程を含む方法である。
【0053】
実施形態50は、ジヒドラジドリンカーが多糖反復単位に対して0.4~0.6のモル比で添加される、実施形態49に記載の方法である。
【0054】
実施形態51は、グリセロールにより反応をクエンチする工程を更に含む、実施形態49に記載の方法である。
【0055】
実施形態52は、ジヒドラジドリンカーがアジピン酸ジヒドラジドである、実施形態49~51のいずれか1つに記載の方法である。
【0056】
実施形態53は、誘導体化された多糖が、結合反応において10g/L~20g/Lの出発濃度である、実施形態49~51のいずれか1つに記載の方法である。
【0057】
実施形態54は、活性化剤が、CDI(1,1’-カルボニルジイミダゾール)および
CDT(1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)、または他の適切な脱離基のような、2つのN連結ヘテロアリールに結合しているカルボニルを含む、実施形態49~51のいずれか1つに記載の方法である。
【0058】
実施形態55は、活性化剤がカルボニルジイミダゾールである、実施形態54に記載の方法である。
【0059】
実施形態56は、活性化剤が、多糖の35倍から45倍のモル過剰量で活性化工程に存在する、実施形態49~51のいずれか1つに記載の方法である。
【0060】
実施形態57は、結合工程が、担体タンパク質をN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドと反応させることを含む、実施形態49~51のいずれか1つに記載の方法である。
【0061】
実施形態58は、多糖がMenA莢膜多糖である、実施形態49~51のいずれか1つに記載の方法である。
【0062】
実施形態59は、多糖がMenC莢膜多糖である、実施形態49~51のいずれか1つに記載の方法である。
【0063】
実施形態60は、多糖がMenW-135またはMenY莢膜多糖である、実施形態49~51のいずれか1つに記載の方法である。
【0064】
実施形態61は、ナイセリア・メニンギティディス莢膜多糖と担体タンパク質との結合体を生成する方法であって、a)多糖をアルカリ加水分解により部分的に脱O-アセチル化する工程;b)多糖を過ヨウ素酸塩処理により活性化し、それによって、ジオールを、多糖1mg当たりアルデヒド少なくとも20nmolの程度までアルデヒドに変換する工程;c)活性化された多糖を、還元的アミノ化により担体タンパク質に結合させる工程であり、多糖が、担体タンパク質に対して1:1~5:1の重量対重量比で結合反応に存在し、それによって結合体を形成する工程を含む方法である。
【0065】
実施形態62は、多糖が、担体タンパク質に対して1.5~3:1の重量対重量比で結合反応に存在する、実施形態61に記載の方法である。
【0066】
実施形態63は、脱O-アセチル化が、多糖におけるO-アセチル化の初期量を40%~70%、または50%~60%低減する、実施形態61に記載の方法である。
【0067】
実施形態64は、脱O-アセチル化の後に、多糖が、多糖mg当たり0.6μmolから多糖mg当たり1.5μmol、または多糖mg当たり0.8~1.4μmolのO-アセチル化度を有する、実施形態61~63のいずれか1つに記載の方法である。
【0068】
実施形態65は、O-アセチル化度が、多糖mg当たり0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、または1.2μmol以上である、実施形態64に記載の方法である。
【0069】
実施形態66は、O-アセチル化度が、多糖mg当たり0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、または1.4μmol以下である、実施形態64に記載の方法である。
【0070】
実施形態67は、活性化された多糖が、結合反応において20g/L~50g/Lの出発濃度である、実施形態61~66のいずれか1つに記載の方法である。
【0071】
実施形態68は、多糖がMenC莢膜多糖である、実施形態61~66のいずれか1つに記載の方法である。
【0072】
実施形態69は、多糖がMenA莢膜多糖である、実施形態61~66のいずれか1つに記載の方法である。
【0073】
実施形態70は、多糖がMenW-135またはMenY莢膜多糖である、実施形態61~66のいずれか1つに記載の方法である。
【0074】
実施形態71は、多糖が、結合反応の前に30~150kDa、または50~100kDaのサイズに低減される、実施形態61~66のいずれか1つに記載の方法である。
【0075】
実施形態72は、ナイセリア・メニンギティディス莢膜多糖と担体タンパク質との結合体を生成する方法であって、a)多糖を過ヨウ素酸塩処理により活性化し、それによって、ジオールを、多糖1mg当たりアルデヒド少なくとも50nmolの程度までアルデヒドに変換する工程;b)活性化された多糖を、還元的アミノ化により担体タンパク質に結合させる工程であり、多糖が、担体タンパク質に対して1:1~5:1の重量対重量比で結合反応に存在し、それによって結合体を形成する工程を含む方法である。
【0076】
実施形態73は、多糖が、担体タンパク質に対して1.5~3:1の重量対重量比で結合反応に存在する、実施形態72に記載の方法である。
【0077】
実施形態74は、多糖がMenW-135またはMenY莢膜多糖である、実施形態72および73のいずれか1つに記載の方法である。
【0078】
実施形態75は、多糖がMenC莢膜多糖である、実施形態72および73のいずれか1つに記載の方法である。
【0079】
実施形態76は、多糖がMenA莢膜多糖である、実施形態72および73のいずれか1つに記載の方法である。
【0080】
実施形態77は、多糖が、結合反応の前に100~200kDa、または125~175kDaのサイズに低減される、実施形態72~76のいずれか1つに記載の方法である。
【0081】
実施形態78は、多糖が酸加水分解および/または熱によりサイズが低減される、実施形態49、61、および72のいずれか1つに記載の方法である。
【0082】
実施形態79は、多糖が酸化的開裂によりサイズが低減される、実施形態49、61、および72のいずれか1つに記載の方法である。
【0083】
実施形態80は、還元的アミノ化が、シアノ水素化ホウ素、またはピリジンボラン(C5H8BN)およびピコリンボラン錯体(C6H7N・BH3)のような他の還元試薬を使用して、イミンをアミンに還元することを含む、実施形態72~79のいずれか1つに記載の方法である。
【0084】
実施形態81は、結合体における未反応アルデヒドを還元試薬によりアルコールに変換することを更に含む、実施形態72~79のいずれか1つに記載の方法である。
【0085】
実施形態82は、還元試薬が水素化ホウ素である、実施形態81に記載の方法である。
【0086】
実施形態83は、過ヨウ素酸塩を1mM~4mMまたは1.5mM~3mMの濃度で添加して、多糖を活性化する、実施形態72~79のいずれか1つに記載の方法である。
【0087】
実施形態84は、結合体を疎水性相互作用クロマトグラフィーにより精製することを更に含む、実施形態49~83のいずれか1つに記載の方法である。
【0088】
実施形態85は、結合体を混合モード樹脂クロマトグラフィーにより精製することを更に含む、実施形態49~83のいずれか1つに記載の方法である。
【0089】
実施形態86は、ナイセリア・メニンギティディス莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を、結合体、塩、および遊離多糖を含有する混合物から精製する方法であって、a)疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂を混合物と接触させる工程であり、結合体が樹脂に結合する工程;b)遊離多糖を樹脂から溶出する工程;およびc)結合体を水性液体により樹脂から溶出する工程であり、水性液体が塩を含まない、または混合物より少ない塩を含有し、それによって、精製された結合体を含む組成物を得る工程を含む方法である。
【0090】
実施形態87は、塩が硫酸アンモニウムを含む、実施形態86に記載の方法である。
【0091】
実施形態88は、混合物が、0.5~1.5Mまたは0.8~1.2Mの範囲の量で塩を含む、実施形態86または実施形態87に記載の方法である。
【0092】
実施形態89は、水性液体が0.2、0.1、または0.05M未満の塩を含む、実施形態86~88のいずれか1つに記載の方法である。
【0093】
実施形態90は、水性液体が水である、実施形態86~89のいずれか1つに記載の方法である。
【0094】
実施形態91は、組成物が、20重量%未満の遊離多糖を含む、10重量%未満の遊離多糖を含む、5重量%未満の遊離多糖を含む、または遊離多糖を実質的に欠いている、実施形態86~90のいずれか1つに記載の方法である。
【0095】
実施形態92は、疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂が、フェニル、プロピル、またはブチル樹脂である、実施形態86~91のいずれか1つに記載の方法である。
【0096】
実施形態93は、担体タンパク質が破傷風トキソイドである、実施形態49~92のいずれか1つに記載の方法である。
【0097】
実施形態94は、実施形態49~85のいずれか1つに記載の方法によって生成された結合体である。
【0098】
実施形態95は、ワクチン組成物であって、a)MenA莢膜多糖と担体タンパク質の第1の結合体;b)MenC莢膜多糖と担体タンパク質の第2の結合体;c)MenW-135莢膜多糖と担体タンパク質の第3の結合体;およびd)MenY莢膜多糖と担体タンパク質の第4の結合体を含み、第1、第2、第3、および第4の結合体の1つ、2つ、3つ、または全てが、実施形態49~85のいずれか1つに記載の方法によって生成されたワクチン組成物である。
【0099】
実施形態96は、アジュバントを含まない、実施形態1~48または95のいずれか1
つに記載のワクチン組成物である。
【0100】
実施形態97は、薬学的に許容される緩衝液を更に含む、実施形態1~48または95および96のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0101】
実施形態98は、pHが5.5~6.5の酢酸緩衝液を含む、実施形態97に記載のワクチン組成物である。
【0102】
実施形態99は、薬学的に許容される塩を更に含む、実施形態1~48または95~98のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0103】
実施形態100は、薬学的に許容される塩が塩化ナトリウムである、実施形態99に記載のワクチン組成物である。
【0104】
実施形態101は、薬学的に許容される塩が、0.45%~0.9%w/v、または0.5%w/v~0.85%w/vで存在する、実施形態99または100に記載のワクチン組成物である。
【0105】
実施形態102は、第1、第2、第3、および第4の結合体の少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ全てが、多糖と担体タンパク質との複数の結合点を含む、実施形態1~48または95~101のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0106】
実施形態103は、筋肉内投与用に製剤化される、実施形態1~48または95~102のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0107】
実施形態104は、それぞれ6μg~15μgのMenA、MenC、MenW-135、およびMenY多糖を含む、実施形態1~48または95~103いずれか1つに記載のワクチン組成物の単一単位用量である。
【0108】
実施形態105は、担体タンパク質が50μg~80μgの量で存在する、実施形態104に記載の単一単位用量である。
【0109】
実施形態106は、シリンジに含有されている、実施形態104または105に記載の単一単位用量である。
【0110】
実施形態107は、シリンジがシリコーンを含まない、実施形態106に記載の単一単位用量である。
【0111】
実施形態108は、シリンジが市販または流通用に包装されている、実施形態106または107に記載の単一単位用量である。
【0112】
実施形態109は、対象にナイセリア・メニンギティディスのワクチン接種をする方法であって、実施形態1~48または95~103のいずれか1つに記載のワクチン組成物の用量を対象に投与することを含む方法である。実施形態109Aは、対象にナイセリア・メニンギティディスのワクチン接種をする方法であって、ワクチン組成物の用量を対象に投与することを含む方法に使用される、実施形態1~48または95~103のいずれか1つに記載のワクチン組成物である。
【0113】
実施形態110は、対象をナイセリア・メニンギティディスに対して免疫化するための、実施形態1~48もしくは95~103のいずれか1つに記載のワクチン組成物、また
は実施形態104~108のいずれか1つに記載の単一単位用量の使用である。実施形態110Aは、対象をナイセリア・メニンギティディスに対して免疫化するために使用される、実施形態1~48もしくは95~103のいずれか1つに記載のワクチン組成物、または実施形態104~108のいずれか1つに記載の単一単位用量である。
【0114】
実施形態111は、対象をナイセリア・メニンギティディスに対して免疫化する医薬の製造における、実施形態1~48もしくは95~103のいずれか1つに記載のワクチン組成物、または実施形態104~108のいずれか1つに記載の単一単位用量の使用である。実施形態111Aは、対象をナイセリア・メニンギティディスに対して免疫化する医薬として使用される、実施形態1~48もしくは95~103のいずれか1つに記載のワクチン組成物、または実施形態104~108のいずれか1つに記載の単一単位用量である。
【0115】
実施形態112は、ワクチンが筋肉内に投与される、実施形態109~111Aのいずれか1つに記載の方法、使用、または組成物である。
【0116】
実施形態113は、対象が6週齢から3歳である、実施形態109~112のいずれか1つに記載の方法、使用、または組成物である。
【0117】
実施形態114は、対象が、2カ月齢、6カ月齢、12カ月齢、または15カ月齢である、実施形態113に記載の方法、使用、または組成物である。
【0118】
実施形態115は、対象が、50歳もしくはそれ以上、55歳もしくはそれ以上、60歳もしくはそれ以上、または65歳もしくはそれ以上である、実施形態109~112のいずれか1つに記載の方法、使用、または組成物である。
【0119】
実施形態116は、ワクチンが0.5mLの用量で投与される、実施形態109~115のいずれか1つに記載の方法、使用、または組成物である。
【0120】
実施形態117は、ワクチンが、それぞれ4~10μgの血清型A、C、Y、およびW-135を含む、実施形態116に記載の方法、使用、または組成物である。
【0121】
実施形態118は、ワクチンが50~80μgの破傷風トキソイドタンパク質を含む、実施形態116に記載の方法、使用、または組成物である。
【0122】
実施形態119は、ワクチンが、それぞれ4~10μgの血清型A、C、Y、およびW-135、ならびに50~80μgの破傷風トキソイドタンパク質を含む、実施形態116に記載の方法、使用、または組成物である。
【0123】
実施形態120は、ナイセリア・メニンギティディスを対象としないワクチンを、MenACYW-TTワクチンと同時に投与することを更に含み、ただし、ナイセリア・メニンギティディスを対象としないワクチンがMenACYW-TTワクチンと同じ注射剤の中にない、実施形態109~119のいずれか1つに記載の方法、使用、または組成物である。
【0124】
実施形態121は、非ナイセリア・メニンギティディスワクチンが、水痘、ジフテリア、Hib、B型肝炎、はしか、ムンプス、百日咳、ポリオ、肺炎球菌、ロタウイルス、風疹、または破傷風感染の予防を対象とする、実施形態120に記載の方法、使用、または組成物である。
【0125】
実施形態122は、非ナイセリア・メニンギティディスワクチンが、DTaP5、Hib、HepB、DTap5-IPV/Hib、DTap5-IPV/Hib、HepB、MMR、IPV、PCV7、PCV13、RV1、またはRV5である、実施形態120に記載の方法、使用、または組成物である。
【0126】
実施形態123は、対象が、以前にナイセリア・メニンギティディス莢膜糖結合体ワクチンを受けていた、実施形態109~122のいずれか1つに記載の方法、使用、または組成物である。
【0127】
実施形態124は、対象が、ナイセリア・メニンギティディス莢膜糖結合体ワクチンを4カ月~10年前に受けていた、実施形態123に記載の方法、使用、または組成物である。実施形態124Aは、対象が、ナイセリア・メニンギティディス莢膜糖結合体ワクチンを2カ月~10年前に受けていた、実施形態123に記載の方法、使用、または組成物である。
【0128】
実施形態125は、対象が、以前にナイセリア・メニンギティディス莢膜糖結合体ワクチンを受けていなかった、実施形態109~122のいずれか1つに記載の方法、使用、または組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【
図1A】血清型A多糖-ADH連結タンパク質結合体の概略を示す図である。カルボニルジイミダゾール(CDI)による活性化、場合により、多糖のヒドロキシル基でのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)による誘導体化、およびタンパク質(例えば、破傷風トキソイド(TT))との反応によって形成された、反応性部位残基11を有する血清型A多糖10である。活性化された/誘導体化された多糖は、基14において直接的または間接的に連結12を介してタンパク質13に架橋される。例えば、直接的な連結は、例えば、カルバメート連結(例えば、CDIから誘導された)を形成することによって、タンパク質の第一級アミンを使用することができる。間接的な連結は、ADHおよびN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)から誘導され、タンパク質のカルボキシルを活性化する。
【
図1B】タンパク質のカルボキシル基(例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン側鎖、またはC末端における)と反応するN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)を使用する、担体タンパク質(例えば、TT)の活性O-アシルイソ尿素中間体の調製を例示する図である。この中間体は、活性化された誘導体化多糖(示されず)のアミン基へのカップリングに適している。
【
図1C】担体タンパク質(例えば、TT)に連結した血清型A多糖-ADH結合体の生成に使用することができる、活性化された誘導体化血清型A多糖を生成する一般スキームを例示する図である。この実施形態では、多糖をCDIによりヒドロキシル基で活性化して、イミダゾールカルバメート中間体を形成し、これをADHにより更に誘導体化する。ADH誘導体化血清型A多糖は、ADHリンカーの第一級アミン基と、担体タンパク質(示されず)の活性O-アシルイソ尿素中間体とのアミンカップリングを介して、担体タンパク質に共有結合することに適している。
【
図1D】カルバメートを介して破傷風トキソイド結合体に連結している血清型A多糖を生成する一般スキームを示す図である。多糖(PS)をCDIによりヒドロキシル基で活性化して、イミダゾールカルバメート活性中間体を形成する。次に活性中間体をタンパク質担体(PR)と反応させる。カルバメート連結を、求核置換反応を介して形成し、ここでタンパク質の第一級アミンは、カルバメート炭素に作用して、イミダゾールの欠失および多糖とタンパク質との間のカルバメート連結の形成をもたらす。
【
図1E】(E)CDI活性化の後、ならびに(F)CDI活性化およびADHによる誘導体化の後の血清型A多糖の構造を示す図である。
【
図1F】(E)CDI活性化の後、ならびに(F)CDI活性化およびADHによる誘導体化の後の血清型A多糖の構造を示す図である。
【
図1G】破傷風トキソイド担体タンパク質およびN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)から形成された、活性化された誘導体化多糖および活性O-アシルイソ尿素中間体からの担体タンパク質(例えば、TT)に連結した血清型A多糖-ADH結合体の生成を例示する図である。活性化された誘導体化多糖の第一級アミンは、脱離基として機能するイソ尿素を置換して、タンパク質が、アミド結合、ADHの残基、およびカルバメート連結を介して多糖に連結している生成物をもたらし、ここでカルボニルはCDIから誘導される。排除された尿素副産物は示されていない。
【
図1H】連結多糖反復単位(ADH残基を含む)の構造が描かれている、
図1Fにおける反応の生成物を示す図である。
【
図2A】血清型C多糖-タンパク質結合体の概略を示す図である。血清型C多糖20は、それらの末端でタンパク質(例えば、破傷風トキソイド)21に結合している。
【
図2B】メタ過ヨウ素酸ナトリウムを使用する血清型C多糖(多糖反復単位に従来の炭素番号付けを示している)の活性化を例示する図である。メタ過ヨウ素酸ナトリウム処理は、7番と8番の炭素の間に開裂をもたらし、多糖を酸化的に脱重合して、対応する末端アルデヒドにする。
【
図2C】還元的アミノ化を介した血清型C多糖-タンパク質(例えば、TT)結合体の形成を例示する図である。タンパク質(PR)の第一級アミン(例えば、リシン側鎖またはN末端)は、脱重合された活性化血清型C多糖(PS)の末端アルデヒドと反応して、シッフ塩基中間体(示されず)を形成し、これを還元して(例えば、ピリジンボラン、ピコリンボラン、またはシアノ水素化ホウ素を使用して)、第二級アミン連結をもたらす。多糖部分は、タンパク質に末端連結している。個別のタンパク質分子は、1つを超える多糖と反応することができ、一部の多糖末端は未反応であってもよい(示されず;
図2Aの例示を参照すること)。未反応アルデヒドをキャップすることができる、すなわち、シッフ塩基(示されず)を還元した後、水素化ホウ素ナトリウムのような適切な還元剤を使用して、アルコールに還元することができる。
【
図2D】連結多糖反復単位の構造が描かれている、
図2Cにおける反応の生成物を示す図である。追加の多糖へのタンパク質の連結が可能である(示されず)。
【
図3】血清型W-135または血清型Y多糖-タンパク質結合体の概略を示す図である。血清型W-135または血清型Y多糖31は、1つまたはそれ以上の位置で、1つまたはそれ以上のタンパク質(例えば、破傷風トキソイド)30に結合している。
【
図4A】血清型W-135多糖の脱重合および活性化を例示する図である。多糖を、例えば、高温の使用によって脱重合し、次にメタ過ヨウ素酸ナトリウムで処理して活性化し、このことは、例えばシアル酸部分の7番と8番の炭素の間のような近接ジオールを開裂し、酸化してアルデヒドにする。
【
図4B】還元的アミノ化を介した血清型W-135多糖-タンパク質(例えば、TT)結合体の形成を例示する図である。タンパク質(PR)の第一級アミン(例えば、リシン側鎖またはN末端)は、脱重合された活性化血清型W-135多糖(PS)のアルデヒドと反応して、シッフ塩基中間体(示されず)を形成する。中間体をシアノ水素化ホウ素ナトリウムで還元して、第二級アミン連結をもたらす。個別のタンパク質分子は、1つを超える多糖と反応することができ、その逆も同じである(示されず;
図3の例示を参照すること)。未反応アルデヒドをキャップすることができる、すなわち、シッフ塩基(示されず)を還元した後、水素化ホウ素ナトリウムのような適切な還元剤を使用して、アルコールに還元することができる。
【
図4C】連結多糖反復単位の1つの可能な構造が描かれている、
図4Bにおける反応の生成物を示す図である。追加の多糖へのタンパク質が可能であり、その逆も同じである(示されず;
図3の例示を参照すること)。
【
図5A】血清型Y多糖の脱重合および活性化を例示する図である。多糖を、例えば、高温の使用によって脱重合し、次にメタ過ヨウ素酸ナトリウムで処理して活性化し、このことは、例えばシアル酸部分の7番と8番の炭素の間のような近接ジオールを開裂し、酸化してアルデヒドにする。
【
図5B】還元的アミノ化を介した血清型Y多糖-タンパク質(例えば、TT)結合体の形成を例示する図である。タンパク質(PR)の第一級アミン(例えば、リシン側鎖またはN末端)は、脱重合された活性化血清型Y多糖(PS)のアルデヒドと反応して、シッフ塩基中間体(示されず)を形成する。中間体を還元して(例えば、ピリジンボラン、ピコリンボラン、またはシアノ水素化ホウ素を使用して)、第二級アミン連結をもたらす。個別のタンパク質分子は、1つを超える多糖と反応することができ、その逆も同じである(示されず;
図3の例示を参照すること)。未反応アルデヒドをキャップすることができる、すなわち、シッフ塩基(示されず)を還元した後、水素化ホウ素ナトリウムのような適切な還元剤を使用して、アルコールに還元することができる。
【
図5C】連結多糖反復単位の1つの可能な構造が描かれている、
図5Bにおける反応の生成物を示す図である。追加の多糖へのタンパク質が可能であり、その逆も同じである(示されず;
図3の例示を参照すること)。
【
図6】最後のワクチン投与の30日(D30)後に、血清型A、C、Y、およびWで1:8以上のhSBA力価を達成した群1~4における対象の百分率を示すグラフである。
【
図7】最後のワクチン投与のD30後に、血清型A、C、Y、およびWで1:8以上のrSBA力価を達成した群1~4における対象の百分率を示すグラフである。
【
図8】MenACYW-TTワクチン投与後の7日間以内に、1つまたはそれ以上の応答型(solicited)注射部位反応を報告した参加者の累積百分率を示すグラフである。
【
図9】MenACYW-TTワクチン+ルーチンワクチン、またはルーチンワクチンの単独のいずれかを投与した7日間以内に、応答型全身反応を有した対象の百分率を示すグラフである。
【
図10】MenACYW-TTワクチンまたはMenomune(登録商標)-A/C/Y/W-135(MPSV4)ワクチンのいずれかの投与のD30後に、異なる血清型においてhSBA力価の≧1:8を達成した対象の百分率を示すグラフである。
【
図11】MenACYW-TTワクチンまたはMPSV4ワクチンのいずれかの投与のD30後の、hSBA幾何学平均力価(GMT)の要約を示すグラフである。
【
図12】MenACYW-TTワクチンまたはMPSV4ワクチンのいずれかの投与のD30後に、異なる血清型においてrSBA力価の≧1:8を達成した対象の百分率を示すグラフである。
【
図13】MenACYW-TTワクチンまたはMPSV4ワクチンのいずれかの投与後に、応答型注射部位反応を有する対象の百分率をタイプおよびグレード別に示すグラフである。
【
図14】MenACYW-TTワクチンまたはMPSV4ワクチンのいずれかの投与後に、応答型全身反応を有する対象の百分率をタイプおよびグレード別に示すグラフである。
【
図15】MenACYW-TTワクチンMCV4-TTワクチンのいずれかの投与のD30後に、hSBAワクチン血清応答を達成した対象の百分率を示すグラフである。
【
図16】MenACYW-TTワクチンまたはMCV4-TTワクチンのいずれかの投与後の、ワクチン接種後hSBA幾何学平均を示すグラフである。
【
図17】MenACYW-TTワクチンまたはMCV4-TTワクチンのいずれかの投与後D0~D7での応答型注射部位反応を示すグラフである。
【
図18】MenACYW-TTワクチンまたはMCV4-TTワクチンのいずれかの投与後D0~D7での応答型全身反応を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0130】
ここで、本発明の特定の実施形態を詳細に参照し、その例は添付の図面に例示されている。本発明は、例示の実施形態と共に記載されるが、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図していないことが理解されるべきである。対照的に、本発明は、全ての代替案、改変、および等価物を網羅することが意図され、これらは、特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲内に含まれる。
【0131】
本教示を詳細に記載する前に、本開示は、特定の組成物または方法工程に限定されず、それらは変わることが理解されるべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲に使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈から明白に示される場合を除いて、複数対象を含むことに留意するべきである。このように、例えば、「結合体」への参照は複数の結合体を含み、「細胞」への参照は、複数の細胞を含む、などである。
【0132】
数値範囲は、範囲を確定する数値も含める。測定値および測定可能値は、測定に関連する有効桁および誤差を考慮して近似値であることが理解されるべきである。また、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」の使用は、制限することを意図していない。前述の一般的な記載および詳細な記載は、両方とも単に例示的および説明的なものであり、本教示を限定しないことが理解されるべきである。
【0133】
上記の本明細書に特定的に示されていない限り、様々な構成成分を「含む(comprising)」ことを列挙する本明細書の実施形態は、列挙された構成成分「からなる(consisting of)」または「実質的になる(consisting essentially of)」ことも考慮され、様々な構成成分「からなる」ことを列挙する本明細書の実施形態は、列挙された構成成分「を含む」または「から実質的になる」ことも考慮され、様々な構成成分「から実質的になる」ことを列挙する本明細書の実施形態は、列挙された構成成分「からなる」または「を含む」ことも考慮される(この交換可能性は、特許請求の範囲における用語の使用には当てはまらない)。
【0134】
本明細書に使用されるセクションの見出しは、単に構成の目的のためであり、どのような方法でも、望ましい主題に限定していると解釈されるべきではない。参照によって組み入れられる任意の文献が本明細書において定義される任意の用語と矛盾する場合には、本明細書が優先される。本教示が様々な実施形態と共に記載されているが、本教示がそのような実施形態に限定されることを意図していない。対照的に、本教示は、様々な代替案、改変、および等価物を包含し、当業者には理解される。
【0135】
A.定義
特に記述のない限り、以下の用語および語句は、本明細書において使用されるとき、以下の意味を有する。
【0136】
用語「またはその組み合わせ」は、本明細書において使用されるとき、この用語に先行して列挙された用語の全ての並べ換えおよび組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはその組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つを含むことが意図され、特定の文脈において順序が重要である場合には、BA、CA、CB、ACB、CBA、BCA、BAC、またはCABのうちの少なくとも1つを含むことも意図される。この例を続けると、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどのような、1つまたはそれ以上の項目または用語の繰り返しを含有する組み合わせが明確に含まれる。当業者は、典型的には、文脈か
ら明白ではない限り、任意の組み合わせにおける項目または用語の数に制限はないことを理解する。
【0137】
本明細書において使用されるとき、用語「キット」は、1つまたはそれ以上の構成成分または組成物のような関連する構成成分と、溶媒、溶液、緩衝液、使用説明書、または乾燥剤のような、1つまたはそれ以上の関連する材料とのパッケージセットを指す。
【0138】
「または(or)」は、包括的な意味で使用され、すなわち、文脈から必要とされない限り、「および/または(and/or)」と同等である。
【0139】
用語「リンカー」および「連結」は、交換可能に使用され、担体タンパク質または多糖のような項目に共有結合している、または結合している原子の鎖を含む化学部分を意味する。
【0140】
「連結部分」は、別の分子と反応して、共有結合による連結を形成することができる、化学反応基、置換基、または部分、例えば、求核剤または求電子剤を意味する。
【0141】
「アルキル」は、親アルカン、アルケン、またはアルキンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された飽和または不飽和、分枝鎖、直鎖、分枝、または環状の炭化水素ラジカルを意味する。典型的なアルキル基は、1~12個の飽和および/または不飽和炭素からなり、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0142】
「反復単位」は、多糖において重合される単糖またはオリゴ糖残基である。MenAおよびMenCの反復単位は、単糖(それぞれ、N-アセチルマンノサミンおよびシアル酸)であり、MenW-135およびMenYの反復単位は、二糖である(MenYではシアル酸とグルコースであり、MenW-135ではシアル酸とガラクトースである)。反復単位は、側鎖によって(例えば、O-アセチル化)、および/または本明細書に開示されているような修飾によって、1つずつ隣が異なっていてもよい。
【0143】
MenA、MenC、MenW-135、およびMenYは、ナイセリア・メニンギティディスの血清型A、C、W-135、もしくはYのそれぞれ、またはその莢膜多糖の短縮形として使用される(例えば、「MenC結合体」の場合では、ナイセリア・メニンギティディスの血清型Cの莢膜多糖と担体タンパク質との結合体を意味する)。
【0144】
B.例示的なワクチン組成物
一部の実施形態において、ワクチン組成物が提供される。一部の実施形態において、ワクチン組成物は、MenC莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含む。一部の実施形態において、ワクチン組成物は、MenA莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含む。一部の実施形態において、ワクチン組成物は、MenW-135莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含む。一部の実施形態において、ワクチン組成物は、MenY莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含む。一部の実施形態において、ワクチン組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの、莢膜多糖と担体タンパク質の結合体を含む。少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの、莢膜多糖と担体タンパク質の結合体は、ナイセリア・メニンギティディスの異なる血清型からの莢膜多糖の結合体、例えば、MenA、MenC、MenY、およびMenW莢膜多糖と担体タンパク質、例えば、破傷風トキソイドとの結合体である。
【0145】
莢膜多糖を、米国特許出願第2003/0068336号、実施例1に記載された方法に従って調製することができる。莢膜多糖を、例えば米国特許第6,933,137号に
記載の培地および方法を使用して調製することもできる。
【0146】
担体タンパク質を含む結合体が本明細書に開示されている。タンパク質担体の例は、例えば、Pichichero ME.Protein carriers of conjugate vaccines:Characteristics,development,and clinical trials.Human Vaccines&Immunotherapeutics.2013年、9巻(12号):2505~2523頁.doi:10.4161/hv.26109において考察されており、参照によって本明細書に組み入れる。一部の実施形態において、担体タンパク質は、組み換えエキソプロテインアルファ(REPA)、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風トキソイド、または破傷風毒素のCフラグメントを含む、またはそれからなる。一部の実施形態において、タンパク質担体は破傷風トキソイドである。
【0147】
一部の実施形態において、破傷風トキソイド(TT)は、MuellerおよびMiller培地、または修飾MuellerおよびMiller培地に増殖させたクロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)(Harvard Strain)の培養物からの抽出、硫酸アンモニウム精製、および毒素のホルマリン不活性化によって調製される。一部の実施形態において、TTは、残留ホルムアルデヒドを低減するために加工され、塩化ナトリウムで濃縮され、滅菌濾過される。一部の実施形態において、TTは、硫酸アンモニウム精製ではなくクロマトグラフィーにより精製される。一部の実施形態において、修飾MuellerおよびMiller培地は、ビーフハートインフュージョン(beef heart infusion)を含有しない。一部の実施形態において、クロストリジウム・テタニは、国際公開第2006/042542号、16頁、表3に記載されている培地に増殖される。
【0148】
下記に考察される特定の実施形態は、化学部分(例えば、ヒドロキシルまたはO-アセチル化)、または担体タンパク質との結合体のような特徴に関連し、これは多糖の質量単位当たり所定の量で存在する。例えば、ある特定の特徴、または特徴の組み合わせは、25nmol/g未満の多糖のようなレベルで存在する。これは、多糖1mg当たり、特徴または特徴の組み合わせが少なくとも15×1015倍で生じることを意味する(25nmol=25×10-9モル×(6.02×1023項目/モル)=15×1015項目)。
【0149】
一部の実施形態において、MenC莢膜多糖と担体タンパク質との結合体における多糖は、多糖mg当たり0.3μmolから多糖mg当たり1.6μmolの範囲のO-アセチル化レベルを有する。一部の実施形態において、O-アセチル化のレベルは、多糖mg当たり0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、または1.2μmol以上である。一部の実施形態において、O-アセチル化のレベルは、多糖mg当たり0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5μmol以下である。例えば、レベルは、多糖mg当たり0.6~1.5μmol、または多糖mg当たり0.8~1.4μmolの範囲である。O-アセチル含有量を、Hestrin法(Hestrinら、J.Biol.Chem.1949年、180巻、249頁)により測定することができる。
【0150】
一部の実施形態において、組成物中の少なくとも1つの結合体は、300kDa~1500kDaの範囲の重量平均分子量を有する。一部のそのような実施形態において、重量平均分子量は、400kDa、500kDa、600kDa、700kDa、800kDa、900kDa、1000kDa、または1100kDa以上である。一部のそのような実施形態において、重量平均分子量は、600kDa、700kDa、800kDa、900kDa、1000kDa、1100kDa、1200kDa、1300kDa、ま
たは1400kDa以下である。重量平均分子量は、当該技術に既知の方法、例えば、多角度光散乱(MALS)により決定される。一部の実施形態において、組成物中の少なくとも1つの結合体は、700kDa~1400kDaの分子量を有する分子を含む(すなわち、分子の個体群である)。個体群の一部の分子は、重量平均または数平均分子量が範囲内であっても、なくても、この範囲の重量を有することに留意するべきである。例えば、600kDa~1500kDaの重量平均分子量を有する分子の個体群は、700kDa~1400kDaの範囲の分子量を有する分子を含有する可能性がある。一部の実施形態において、組成物中の少なくとも1つの結合体は、800kDa~1300kDaの分子量を有する分子を含む。一部の実施形態において、組成物中の少なくとも1つの結合体は、700~800、800~900、900~1000、1000~1100、1100~1200、1200~1300、1300~1400、または1400~1500kDaの範囲の分子量を有する分子を含む。一部の実施形態において、MenA結合体は、上記に記載された分子量を有する。一部の実施形態において、MenC結合体は、上記に記載された分子量を有する。一部の実施形態において、MenW-135結合体は、上記に記載された分子量を有する。一部の実施形態において、MenY結合体は、上記に記載された分子量を有する。一部の実施形態において、分子量は、多角度光散乱(MALS)を使用して決定される。一部の実施形態において、分子量は、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)を使用して決定される。
【0151】
一部の実施形態において、MenCの結合体のような結合体は、単一末端連結結合型多糖、二重末端連結結合型多糖、またはこれらの組み合わせを含む個体群である。単一末端連結結合型多糖は、一方の末端で担体タンパク質に結合している。二重末端連結結合型多糖は、両方の末端で担体タンパク質に結合している。末端連結結合型多糖は、例えば、多糖主鎖における近接ジオールを、例えば過ヨウ素酸塩処理により開裂および活性化して、活性化末端を露出することによって、形成することができる。例えば、MenC多糖は、シアル酸反復単位に、その反復単位で7および8位がO-アセチル化されない程度に7,8近接ジオールを有する。この近接ジオールは、それを開裂すると1つの多糖を隣から分離するので、多糖の主鎖の中にある、すなわち、近接ジオールは側鎖の一部ではない。活性化した後、活性化末端を、担体タンパク質と反応させて(または、次に担体タンパク質に結合させる、もしくは既に結合しているリンカーと反応させて)、末端連結多糖結合体を形成することができる。結合体は、多糖の末端(末端糖残基)の一方のみが担体タンパク質に連結する場合(適用可能であれば、リンカーを介することを含む)、単一末端連結している。二重末端連結結合体は、多糖の両方の末端に連結した担体タンパク質を有する。一般に、担体タンパク質に対して高い化学量論の多糖、または反応体の低い全体濃度は、結合反応を単一末端連結生成物の方へ偏向させる。対照的に、担体タンパク質に対して低い化学量論の多糖、または反応体の高い全体濃度は、結合反応を二重末端連結生成物の方へ偏向させる。
【0152】
一部の実施形態において、単一末端連結結合型多糖(例えば、MenC結合体)は、末端非連結糖を有し、そこには7位に第一級ヒドロキシルがある、または還元末端が(2-ヒドロキシ)エトキシで修飾されている。このことは、7,8近接ジオールを含む多糖を過ヨウ素酸塩により活性化すること(末端アルデヒドをもたらす)、例えば、水素化ホウ素試薬により、一方の末端で結合すること、および他方の末端で未反応アルデヒドを還元することによって、もたらされる。7位の第一級ヒドロキシルは、切断シアル酸残基の末端であると考慮される。(2-ヒドロキシ)エトキシにより修飾された還元末端は、還元末端において、別の残基の9番および8番炭素、ならびにこれらに関連する酸素のフラグメントに結合したシアル酸と考慮される。
【0153】
一部の実施形態において、結合体は、(i)未変性のMenW-135またはMenY多糖の近接ジオールの位置にある第一級ヒドロキシル、および(ii)担体タンパク質へ
の結合から選択される1つまたはそれ以上の修飾を含むMenW-135および/またはMenY多糖であり、修飾は、多糖mg当たり60nmol以上で存在する。修飾は、過ヨウ素酸塩による酸化、続く担体タンパク質への結合、および未反応アルデヒドの還元によって形成される。多糖残基の過ヨウ素酸塩誘導開裂は、シアル酸の7,8または8,9位のような近接ジオール位置において、潜在的には反復単位のヘキソース環においても、特にジオールがシス配列の場合に生じる。一部の実施形態において、修飾は、多糖mg当たり200nmol未満、多糖mg当たり150nmol未満、多糖mg当たり100nmol未満、または多糖mg当たり80nmol未満の量で存在する。
【0154】
一部の実施形態において、多糖は、第二級アミンを介して担体タンパク質に連結している。一部の実施形態において、多糖は、式II:
PR-NH-CH2-PS(II)
[式中、PSは多糖への結合を示し、PRは担体タンパク質への結合を示す]
に示されているように担体タンパク質に連結している。そのような第二級アミン連結は、例えば還元的アミノ化を介して形成することができ、ここでは、タンパク質の第一級アミン(例えば、リシン側鎖のN末端またはアミノ基)が多糖の活性化された基(例えば、アルデヒド)に作用して、シッフ塩基を形成し、次にこれを還元して、第二級アミンを形成する。還元は、シアノ水素化ホウ素(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム)、またはボラン(例えば、ピリジンボランまたはピコリンボラン)のような適切な還元試薬を使用して実施することができる。
【0155】
一部の実施形態において、MenC多糖の結合体は、未変性MenC多糖に対してサイズが3倍~8倍、例えば、3倍~4倍、4倍~5倍、5倍~6倍、6倍~7倍、または7倍~8倍低減される。過ヨウ素酸塩開裂は、隣接反復単位を分離し、それによって多糖サイズの低減をもたらす。サイズは、熱および/または酸のような処理によって、例えば、過ヨウ素酸処理の前に更に低減される。超音波処理またはマイクロフルイダイゼーション(microfludization)のような、サイズを低減する他の既知の処理を使用することもできる。
【0156】
一部の実施形態において、MenA多糖の結合体は、0.3~1.5、例えば、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.3~1.4、または1.4~1.5の多糖対担体タンパク質質量比を有する。一部の実施形態において、MenA多糖の結合体は、0.5~1.5の多糖対担体タンパク質質量比を有する。
【0157】
一部の実施形態において、MenC多糖の結合体は、0.3~1.1、例えば、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、または1.0~1.1の多糖対担体タンパク質質量比を有する。
【0158】
一部の実施形態において、MenW-135多糖の結合体は、0.3~1.3、例えば、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、または1.2~1.3の多糖対担体タンパク質質量比を有する。
【0159】
一部の実施形態において、MenY多糖の結合体は、0.5~1.3、例えば、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、または1.2~1.3の多糖対担体タンパク質質量比を有する。
【0160】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるワクチン組成物は、20重量%未満の遊離多糖を含む、例えば、10重量%未満の遊離多糖を含む、5重量%未満の遊離多糖を含む、または遊離多糖を実質的に欠いている。「遊離多糖を実質的に欠いている」とは、遊離多糖のレベルが、デオキシオコール酸塩沈殿アッセイの検出限界を下回っていることを意味し、これは、タンパク質結合型多糖がデオキシオコール酸塩によって沈殿し、溶液中に残った多糖がアッセイされるものであり、例えば、Leiら、「Quantification of free polysaccharide in meningococcal polysaccharide-diphtheria toxoid
conjugate vaccines」、Dev Biol(Basel).2000年、103巻:259~64頁(PMID:11214246)に記載されている。
【0161】
一部の実施形態において、多糖は、2~10個の直鎖炭素、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素を含むリンカーを介して、担体タンパク質に結合している。「直鎖炭素」は、多糖から担体タンパク質に導く鎖に沿った炭素であり、この鎖の分枝の炭素を含まない。一部の実施形態において、リンカーは、第1のカルボニルと第2のカルボニルの間にスペーサーを含み、スペーサーは、4~8個の炭素(例えば、4、5、6、7、または8個の炭素)を含み、これらは直鎖炭素である。第1のカルボニルは、カルバメートの一部である。第2のカルボニルは、アミドの一部である。第1のカルボニルは、多糖の近位および担体タンパク質から遠位にある。第2のカルボニルは、担体タンパク質の近位および多糖から遠位にある。リンカーは、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)のようなジヒドラジドの残基を含むことができる。一部の実施形態において、多糖は、式I:
【化2】
[式中、PSは多糖への結合を示し、PRは担体タンパク質への結合を示す]
のリンカーを介して担体タンパク質に結合している。個別の多糖を、1つ、または1つを超える担体タンパク質に(異なる位置で)結合することができ、その逆も同じである。
【0162】
一部の実施形態において、リンカーは、10~100個、例えば20~60個の糖反復単位当たり1つのリンカーの比で結合体に存在する。これには、担体タンパク質および多糖の両方が結合しているリンカー、ならびに多糖のみに結合している、すなわち、担体タンパク質と結合を形成しなかったリンカーも含まれる。
【0163】
一部の実施形態において、リンカーを介したナイセリア・メニンギティディス莢膜多糖と担体タンパク質との結合体が提供され、ここでリンカーは、多糖の10~100個の反復単位当たり1つのリンカー、例えば、10~20個の反復単位当たり1つのリンカー、20~30個の反復単位当たり1つのリンカー、30~40個の反復単位当たり1つのリンカー、40~50個の反復単位当たり1つのリンカー、50~60個の反復単位当たり1つのリンカー、または60~70個の反復単位当たり1つのリンカーの量で存在する。一部の実施形態において、MenA多糖は、上記に記載されたリンカーを介して担体タンパク質に結合している。一部の実施形態において、MenC多糖は、上記に記載されたリンカーを介して担体タンパク質に結合している。
【0164】
一部の実施形態において、本開示による多糖結合体組成物は、現存の製剤と比べて改善
された安定性を有する。一部の実施形態において、安定性は、それぞれの結合型多糖に対応する遊離多糖レベルが、2℃~8℃で、例えば、2.5、3、3.5、4、または4.5年間保管された後に40%を下回ったままであるかを試験する。一部の実施形態において、安定性は、それぞれの結合型多糖に対応する遊離多糖レベルが、23℃~27℃で、例えば、2、3、4、5、または6カ月間保管された後に40%を下回ったままであるかを試験する。特定の四価MenACYW多糖結合体ワクチンは、少なくとも部分的には、1つまたはそれ以上の構成結合体が液体製剤として低い安定性をもたらすので、凍結乾燥または他の保存手段を必要とする。凍結乾燥は、単一液体製剤と比べて製造および投与の両方において複雑にする。一部の実施形態において、多糖は、複数の点で担体タンパク質に結合している。複数の結合点は、一般に、結合化学の結果であり、例えば、過ヨウ素酸塩活性化、続く還元的アミノ化またはカルボニルジイミダゾールに基づいたカップリング(場合によりリンカーを用いる)であり、適切な多糖サイズおよび装填比を伴って、担体タンパク質と多糖の格子を形成することができる。そのような例示的な化学の詳細な考察については、下記の実施例を参照すること。複数の結合点を伴うタンパク質-多糖格子の形成に適合する例示的な多糖サイズおよび装填比は、少なくとも30kDa(および上記に考察された例示的なサイズ範囲)、ならびに多糖/タンパク質比の0.3~1.5(および上記に考察された例示的な装填比範囲)である。特定の理論に束縛されるものではないが、多糖と担体タンパク質の間に複数の結合点を有する結合体を提供することは、複数の開裂(例えば、加水分解)事象が担体タンパク質から多糖フラグメントを遊離するために必要であるので、接合体の長期安定性に貢献する。この長期安定性への貢献は、液体による保管がグリコシド結合より不安定であるホスホジエステル連結を有するMenA多糖にとって、とりわけ関連性がある。一部の実施形態において、組成物は、担体タンパク質への複数の結合点を有するMenA多糖を含む。一部の実施形態において、組成物は、担体タンパク質への複数の結合点を有するMenC多糖を含む。一部の実施形態において、組成物は、担体タンパク質への複数の結合点を有するMenY多糖を含む。一部の実施形態において、組成物は、担体タンパク質への複数の結合点を有するMenW-135多糖を含む。一部の実施形態において、組成物は、MenA、MenC、MenY、およびMenW-135多糖を含み、それぞれ担体タンパク質への複数の結合点を有する。
【0165】
一部の実施形態において、本明細書に記載されているワクチン組成物は、シリンジによる液体製剤として、例えば、充填済のおよび/またはシリコーンを含まないシリンジとして提供される。一部の実施形態において、そのようなシリンジは、販売および/または流通用に商業的に包装されている。
【0166】
C.結合体およびワクチンの例示的な生成方法
莢膜多糖と担体タンパク質との結合体を生成および/または精製する方法が、本明細書において提供される。
【0167】
試薬(例えば、活性化剤)は、関連する工程または反応の際の任意の時点で(例えば、反応が開始されるときに)所定の量で存在する場合、工程(例えば、活性化工程)においてそのような量で存在すると考慮される。
【0168】
一部の実施形態において、多糖と担体タンパク質との結合体を生成する方法が提供される。一部の実施形態において、多糖は、例えばアルカリ加水分解により脱O-アセチル化される。例えば、NaOHまたはKOHのような水酸化物を、例えば、50~150、60~140、70~130、80~120、90~110、または95~100mMの濃度で使用することができる。一部の実施形態において、水酸化物は、50、60、70、80、90、または100mMの濃度である。一部の実施形態において、水酸化物は100mMの濃度である。脱Oーアセチル化は、多糖を出発量と比較して40%~70%または50%~60%脱O-アセチル化するのに十分な時間および温度で実施される。一部の
実施形態において、脱O-アセチル化は、多糖を出発量と比較して30、40、50、60、70、80、90、100%脱O-アセチル化するのに十分な時間および温度で実施される。特定の実施形態において、脱O-アセチル化の後に、多糖は、多糖mg当たり0.6μmolから多糖mg当たり1.5μmol、または多糖mg当たり0.8~1.4μmolのO-アセチル化度を有する。一部の実施形態において、O-アセチル化度は、多糖mg当たり0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2,0μmol以上である。
【0169】
一部の実施形態において、O-アセチル化度は、多糖mg当たり0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、または1.4μmol以下である。
【0170】
一部の実施形態において、多糖は、例えば、熱、酸処理、超音波処理、マイクロフルイダイゼーション、または熱と酸のようなこれらの組み合わせによって脱重合される。例えば、多糖は、40℃~80℃(例えば、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、または75℃)に加熱される、および/または5、55、6、もしくは6.5以上のような弱酸性pHに曝露される。多糖は、例えば、50、75、100、125、150、175、または200kDaのように、50kDa~200kDaの重量平均分子量まで脱重合される。
【0171】
一部の方法は、カルバメート連結を形成することができる活性化剤を使用し、その例は当該技術において知られている。カルバメート連結を形成することができる活性化剤は、2つの良好な脱離基、例えば、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、プリン、トリアジン、ピラジン、チアジン、チアゾールなどのようなN連結へテロアリールに結合しているカルボニルを有する化合物である。一部の実施形態において、活性化剤は、カルボニルジイミダゾールである。活性化剤は、多糖に対して、20倍から540倍、例えば、20倍から25倍、25倍から30倍、30倍から35倍、35倍から40倍、40倍から45倍、または45倍から50倍のモル過剰量で存在することができる。
【0172】
一部の実施形態において、ジヒドラジドリンカーのようなリンカーは、活性化された多糖と、例えば、多糖反復単位に対して、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、または0.9~1.0のように、0.3~1.0のモル比で反応する。一部の実施形態において、ジヒドラジドリンカーは、アジピン酸ジヒドラジドである。いくつかの実施形態において、多糖は、10~100個の反復単位当たり1つのリンカー、例えば、10~20個、20~30個、30~40個、40~50個、50~60個、60~70個、70~80個、80~90個、または90~100個の反復単位当たり1つのリンカーを含有するように、リンカーによって誘導体化される。一部の実施形態において、多糖は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59 60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100個の反復単位当たり1つのリンカーを含有するように、リンカーによって誘導体化される。
【0173】
一部の実施形態において、多糖は、過ヨウ素酸塩、例えば、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(過ヨウ素酸ナトリウムとしても知られている)のような酸化剤による処理によって活性化される。一部の実施形態において、酸化剤は多糖と反応して、アルデヒドを形成する。
一部の実施形態において、アルデヒドは、多糖の、例えば、MenW-135およびMenY多糖の側鎖に形成される。一部の実施形態において、アルデヒドは、多糖主鎖を開裂することによって形成され、例えば、MenC多糖では末端に形成される。酸化処理は、酸化剤をほぼ2mM、例えば、1.5~3mMで使用して実施することができる。酸化処理は、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0mMで実施することができる。酸化処理は、多糖mg当たり少なくとも20nmol、例えば、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~100、20~150、20~160、20~170、20~180、20~190、または20~200nmolを生成するのに十分な温度および時間で実施することができる。酸化処理は、多糖mg当たり少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200nmolを生成するのに十分な温度および時間で実施することができる。一部の実施形態において、酸化処理は、6.5~9.5の範囲のpHである、または6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、もしくは9.5のpHを有する。一部の実施形態において、酸化処理は、室温を下回って、例えば、20℃、15℃、10℃、または5℃未満で液体溶液において実施される。
【0174】
結合が還元的アミノ化を介する場合、シッフ塩基は、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(例えば、NaCNBH3)、またはピリジンボランもしくはピコリンボランのようなボランのように、適切な還元剤によって還元される。
【0175】
結合した後に未反応アルデヒドが存在する場合、結合体は、アルデヒドを還元またはアミン化することによって安定化される。NABH4のような水素化ホウ素が、適切な還元試薬である。アンモニア、メチルアミン、グリシン、アラニンなどが、未反応アルデヒドのアミノ化に適している。
【0176】
一部の実施態様において、結合体は精製される。1つの精製方法は、硫酸アンモニウムの存在下での限外濾過を伴い、米国特許第6,146,902号に記載されている。あるいは、結合体は、とりわけ、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、疎水性相互作用クロマトグラフィー、混合モード樹脂クロマトグラフィー、または硫酸アンモニウム分画を含むいくつもの標準的な技術によって、未反応タンパク質および多糖から精製することができる。例えば、P.W.Andersonら、(1986年).J.Immunol.137巻:1181~1186頁を参照すること。また、H.J.Jennings and C.Lugowski(1981年)J.Immunol.127巻:1011~1018頁も参照すること。
【0177】
一部の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)が実施される。フェニル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシル樹脂のような樹脂を使用することができる。混合物を樹脂に装填して、結合体を遊離多糖から精製することができる。一部の実施形態において、混合物は、硫酸アンモニウムのような塩を含む。一部の実施形態において、装填された混合物のpHは、pHが中性に近づくように調整される。一部の実施形態において、装填された混合物のpHは、5.5~8.5、6~8、6.5~7.5、もしくは7である、またはこれらに調整される。塩は、例えば、0.5M~0.7M、0.7M~0.9M、0.9M~1.1M、1.1M~1.3M、または1.3M~1.5Mのように、0.5M~1.5Mの濃度で存在する。装填した後、樹脂を、例えば硫酸アンモニウムを含む塩溶液で洗浄することができ、ここで塩濃度は、例えば前の行で示されているようなものである。一部の実施形態において、樹脂はカラムの中にあり、洗浄液は、少なくとも2、3、4、5、または6カラム体積、例えば、7、8、9、または10カラム体積までのものである。一部の実施形態において、樹脂は、塩溶液のバ
ッチにより、例えば、装填前の混合物の体積の少なくとも2、3、4、5、6、または7倍の体積を有する累積バッチ体積を有する、2つまたはそれ以上のバッチにより洗浄される。結合体は、より強く、例えば、高いイオン強度で樹脂と相互作用することができ、遊離多糖を洗い流すことができる。結合体を、水、例えば、WFIのような低イオン強度溶出液を使用して洗浄した後に、樹脂から溶出させることができる。あるいは、低塩溶液を使用することができ、例えば、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01、または0.005M以下の塩濃度を有するもの(例えば、酢酸ナトリウムのような酢酸塩)である。一部の実施形態において、溶出液は、20重量%未満の遊離多糖を含む、例えば、10重量%未満の遊離多糖を含む、5重量%未満の遊離多糖を含む、または遊離多糖を実質的に欠いている。
【0178】
一部の実施形態において、ナイセリア・メニンギティディス莢膜多糖と担体タンパク質との結合体を生成する方法は、
a)多糖を、カルバメート連結(例えば、カルボニルジイミダゾール)を形成することができる活性化剤で活性化し、活性化剤が、多糖の20倍から50倍のモル過剰量で存在すること;
b)活性化剤をクエンチし(例えば、水を使用して)、活性化された多糖を、多糖反復単位に対して0.3~1.0のモル比で添加されたジヒドラジドリンカーで誘導体化し、多糖が、10~100個の糖反復単位当たり1つのジヒドラジドリンカーの比で誘導体化されること;
c)誘導体化された多糖をカルボジイミド化学物質により担体タンパク質に結合し、多糖が、結合反応の開始時に、担体タンパク質に対して3:1~5:1の重量対重量比で存在し、それによって結合体を形成すること
を含む。
【0179】
一部の実施形態において、ナイセリア・メニンギティディス莢膜多糖と担体タンパク質との結合体を生成する方法は、
a)多糖をアルカリ加水分解により部分的に脱O-アセチル化すること;
b)多糖を過ヨウ素酸塩処理により活性化し、それによって、ジオールを、多糖1mg当たりアルデヒド少なくとも10、15、20、25、30、35、40、または50nmolの程度まで変換すること;
c)活性化された多糖を還元的アミノ化により担体タンパク質に結合し、多糖が、担体タンパク質に対して0.5:1~5:1の重量対重量比で結合反応に存在し、それによって結合体を形成すること
を含む。
【0180】
一部の実施形態において、ナイセリア・メニンギティディス莢膜多糖と担体タンパク質との結合体を生成する方法は、
a)多糖を過ヨウ素酸塩処理により活性化し、それによって、ジオールを、多糖1mg当たりアルデヒド少なくとも25、30、35、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75nmolの程度までアルデヒドに変換すること;
b)活性化された多糖を還元的アミノ化により担体タンパク質に結合し、多糖が、担体タンパク質に対して1:1~5:1の重量対重量比で結合反応に存在し、それによって結合体を形成すること
を含む。
【0181】
一部の実施形態において、精製方法は、結合体を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により精製することを更に含む。
【0182】
A.例示的なワクチン製剤
本発明のワクチン組成物の製剤は、当該技術において認識されている方法によって達成される。本発明のワクチン組成物/製剤は、1つまたはそれ以上のアジュバントを含有することもできる。アジュバントには、アルミニウムアジュバント、フロイトアジュバント、BAY、DC-chol、pcpp、モノホスホリルリピドA、CpG、QS-21、コレラ毒素、およびホルミルメチオニルペプチドが例として限定されることなく含まれる。例えば、Vaccine Design the Subunit and Adjuvant Approach、1995年(M.F.Powell and M.J.Newman編、Plenum Press,N.Y.)を参照すること。存在する場合、アジュバントは、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムのようなアルミニウムアジュバントである。一部の実施形態において、ワクチン組成物および製剤、例えば、MenACWY-TTワクチンは、アジュバントを含まない。一部の実施形態において、ワクチン組成物および製剤、例えば、MenACWY-TTワクチンは、アジュバントを含む。
【0183】
本発明のワクチン組成物および製剤(例えば、結合体ワクチン/MenACWY-TTワクチン)を単回用量により、または連続して(すなわち、「1つのブースター」または「複数のブースター」と共に)、またはナイセリア・メニンギティディス莢膜糖結合体ワクチンのような異なるナイセリア・メニンギティディスワクチンの早期投与後にブースターとして、投与することができる。例えば、小児は、単回用量を人生の初期に受けることができ、10年後までにブースター用量が投与され、これは、小児期疾患を予防するために他のワクチンにおいて現在推奨されているものである。一部の実施形態において、本明細書に記載されているワクチンの用量は、ナイセリア・メニンギティディス莢膜糖結合体ワクチンが予め投与された2~4カ月、4~6カ月、6~12カ月、1年~2年、2年~3年、3年~4年、4年~5年、5年~6年、6年~7年、7年~8年、8年~9年、または9年~10年後のように、ナイセリア・メニンギティディス莢膜糖結合体ワクチンが予め投与された2カ月~10年後に投与される。
【0184】
ブースター用量は、感作されたB細胞から、すなわち既往応答によって抗体を生じる。換言すると、ワクチン組成物および製剤、例えば、MenACWY-TTワクチンは、若年および高齢者集団において高い一次機能性抗体応答を(すなわち、ワクチンの単回投与後に)誘発し、既往応答を(すなわち、ブースター投与後に)誘発することができ、ワクチン組成物および製剤、例えば、本発明のMenACWY-TTワクチンによるり誘発された防御免疫応答が長続きすることを実証している。
【0185】
一部の実施形態において、投与は筋肉内注射である。一部の実施形態において、投与は、皮下、皮内、腹腔内、非経口、または静脈内である。組成物および製剤を、酢酸ナトリウム緩衝食塩水、滅菌水、生理学的食塩水などのような、適切な担体、希釈剤、または賦形剤と混合してもよい。組成物/製剤を凍結乾燥することもできる。組成物/製剤は、湿潤または乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化または粘性増強添加剤、防腐剤などのような補助物質を、投与経路および望ましい調合剤に応じて含有することができる。「REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCE」、17版、1985年のような標準的な教科書を、過度な実験を行うことなく適切な調合剤を調製するために参考にすることができ、参照により本明細書に組み入れる。
【0186】
一部の実施形態において、ワクチン組成物/製剤は、液体調合剤である。一部の実施形態において、ワクチン組成物/製剤、例えば、MenACWY-TTワクチンは、動物、小児、特に幼児、高齢者、例えば、55、60、65、70、75、80、または90歳を超える高齢者に注射により投与される液体組成物である。
【0187】
適切な担体および他の添加剤の選択肢は、正確な投与経路および特定の剤形の性質に応
じて決まる。
【0188】
一実施形態において、ワクチン組成物および製剤、例えば、MenACYW-TTワクチンは、薬学的に許容される防腐剤、担体、緩衝賦形剤などを含む。一実施形態において、薬学的に許容される防腐剤、担体、または賦形剤は、組成物の貯蔵寿命を増加または延長する。一部の実施形態おいて、ワクチンは緩衝液を含む。一部の実施形態において、緩衝液は酢酸ナトリウムである。一部の実施形態において、緩衝液はリン酸ナトリウムである。一部の実施形態において、緩衝液は、10mM~100mM、例えば、10mM~70mM、15mM~45mM、20mM~40mM、40mM~60mM、または60mM~100mMの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態において、緩衝液は、4.5~7.5、4.5~7.0、4.5~6.5、4.5~6.0、4.5~5.5、または4.5~5.0のpHを有する。一部の実施態様において、緩衝液は、5.5~7.0、例えば、5.75~6.25または6.25~6.75の範囲のpHを有する。一部の実施形態において、緩衝液は、5.5~6.5のpHを有する。一部の実施形態において、緩衝液は、5または6のpHを有する。一部の実施態様において、ワクチン組成物は、薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態において、ワクチン組成物/製剤は、食塩水を含む。一部の実施形態において、食塩水は、NaClを含む、またはNaClである。NaClは、0.5%~0.85%w/v、または0.6%~0.8%w/v、または0.6w/v%、0.67w/v%、0.75w/v%、0.8w/v%、0.85w/v%、もしくは0.9%w/vのように、0.45%~0.9w/vの濃度で存在することができる。
【0189】
一実施形態において、組成物におけるそれぞれの構成成分は、N.メニンギティディス多糖-タンパク質担体結合体に対して化学的に不活性である
【0190】
一部の実施形態において、ワクチン組成物および製剤、例えば、MenACWY-TTワクチンは、単一単位用量として製剤化される。一部の実施形態において、単一単位用量は、それぞれ6μg~15μgのMenA、MenC、MenW-135、およびMenY多糖を含む。一部の実施形態において、単一単位用量は、それぞれ4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15μgのMenA、MenC、MenW-135、およびMenY多糖を含む。一部の実施形態において、担体タンパク質は、単一単位用量において50μg~80μgの量で存在する。一部の実施形態において、担体タンパク質は、単一単位用量において45、50、66、60、65、70、75、または80μgの量で存在する。
【0191】
一部の実施形態において、ワクチン組成物および製剤、例えば、MenACWY-TTワクチンは、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム緩衝生理食塩水、または類似した緩衝液により0.5mLの用量で製剤化される。一部の実施形態において、0.5mL用量は、50、55、60、65、70、80、85、または90μgの破傷風トキソイドタンパク質に結合した、それぞれ2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15μgの血清型A、C、Y、およびW-135を含む。一部の実施形態において、この0.5mL用量は、筋肉内に投与される。
【0192】
B.例示的な方法および使用
一部の実施形態において、対象にナイセリア・メニンギティディスのワクチン接種をする方法には、ワクチン組成物または製剤、例えば、本明細書に記載されているMenACWY-TTワクチンの投与を含むことが包含される。一部の実施形態において、本発明は、対象をナイセリア・メニンギティディスに対して免疫化するための、本明細書に記載されているワクチン組成物または製剤の使用を含む。一部の実施形態では、対象をナイセリア・メニンギティディスに対して免疫化する医薬の製造における、本明細書に記載されて
いるワクチン組成物または製剤の使用が包含される。
【0193】
一部の実施形態において、対象は、ワクチンが接種されたとき12カ月齢以上である。一部の実施形態において、対象は、ワクチンが接種されたとき高齢者である。一部の実施形態において、高齢者は、ワクチンが接種されたとき、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または100歳である。
【0194】
一部の実施形態において、対象は、ワクチンが接種されたとき、6週齢から3歳である。一部の実施形態において、対象は、ワクチンが接種されたとき、4、5、6、7、8、9、または10週齢である。一部の実施形態において、対象は、ワクチンが接種されたとき、2カ月齢、4可決齢、6カ月齢、12カ月齢、および/または15カ月齢である。一部の実施態様において、対象には、年齢に基づいてワクチンが接種される。一部の実施形態において、対象には、3用量のワクチン組成物または製剤、例えば、本明細書に記載されているMenACWY-TTワクチンが、6~8、10~12、および14~16週間にわたって与えられる。
【0195】
一部の実施形態において、対象には、人生の全体を通して1回を超えてワクチンが接種される。一部の実施形態において、対象は、1回目の用量の3年以上後にブースター用量を受ける。一部の実施形態において、対象は、1回目の用量の4年以上後にブースター用量を受ける。一部の実施形態において、対象は、最初の誕生日の前に3回まで、最初の誕生日の頃または後に1回ワクチン接種を受ける。一部の実施形態において、1回目のワクチン接種は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10週齢の時である。一部の実施形態において、1回目または2回目のワクチン接種は、3、4、または5カ月齢の時である。一部の実施形態において、1回目、2回目、または3回目のワクチン接種は、5、6、または7カ月齢の時である。一部の実施形態において、1回目、2回目、3回目、または4回目のワクチン接種は、11、12、13、14、または15カ月齢の時である。一部の実施形態において、1回目、2回目、3回目、または4回目のワクチン接種は、14、15、16、17、または18カ月齢の時である。一部の実施形態において、1回目のワクチン接種は、6、7、8、または9カ月齢の時であり、2回目のワクチン接種は、24カ月齢までに与えられる。一部の実施形態において、対象には、以前にナイセリア・メニンギティディスのMenACWY-TTまたは他のワクチンを受けていたかにかかわりなく、高齢者としてワクチンが接種される。一部の実施形態において、対象は、ワクチン組成物または製剤、例えば、本明細書に記載されているMenACWY-TTワクチンでワクチン接種されたとき、50歳以上、55歳以上、60歳以上、または65歳以上である。
【0196】
一部の実施形態において、ワクチン組成物または製剤、例えば、本明細書に記載されているMenACWY-TTワクチンは、他のルーチンワクチンと同時に投与される。一部の実施形態において、ルーチンワクチンには、例えば、Pentacel(登録商標)(DTaP5-IPV/Hib)、Prevnar(登録商標)(PCV7)、Prevnar 13(登録商標)(PCV13)、RotaTeq(登録商標)(RV5)、ROTARIX(登録商標)(RV1)、ENGERIX-B(登録商標)(HepB)、RECOMBIVAX HB(登録商標)(HepB)、M-M-R(登録商標)(MMR)、M-M-R(登録商標)II(MMR)、およびVARIVAX(登録商標)(V)ワクチンが含まれる。一部の実施形態において、ルーチンワクチンには、例えば、Adacel(登録商標)(Tdap5)およびGardasil(登録商標)(HPV4)が含まれる。一部の実施形態において、ルーチンワクチンには、DTaP5-IPV/HibHepBが含まれる。他のルーチンワクチンが当該技術において知られており、ワクチン組成物または製剤、例えば、本明細書に記載されているMenACWY-TTワクチンと同時に、その前、または後に対象に提供される。
【実施例】
【0197】
以下は、本明細書に開示されている方法、使用、および組成物の実施例である。上記に提供された一般的および詳細な記載を考慮して、様々な他の実施例を実施できることが理解される。以下の実施例は、本教示を例示する目的で提示されており、本開示または特許請求の範囲の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0198】
1.群A結合体の調製
実施例1A
群A精製済莢膜多糖を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の10重量%の塩化テトラブチルアンモニウム(TBAC)に溶解して、標的濃度の8mg/mLにした。溶液を、多糖が完全に溶解するまで19~25℃で混合した。溶解した多糖を、N-アセチルマンノサミンホスフェート反復単位(PS RU)1つ当たり標的濃度の35~45モル過剰量のカルボニルジイミダゾール(CDI)の添加によって活性化し、19~25℃で50~70分間混合した(
図1C、第1の反応;生成物は
図1Eに示されている)。多糖溶液をWFI(50%v/v)で1:2に希釈して、活性化された多糖の濃度を、50%のDMSO中4mg/mlに調整した。溶液をアジピン酸ジヒドラジド(ADH)の添加(PR RUの1~3mol当たり1.0molのADH)により誘導体化し(
図1C、第2の反応;生成物は
図1Fに示されている)、室温で一晩混合した。反応から、10~100個の多糖反復単位当たり1つの結合ADH、例えば、20、30、40、50、または60個の多糖反復単位当たり1つの結合ADHとなるような誘導体化の量を得た。活性化された多糖を、10kDaのMWCO PES膜の限外濾過により濃縮し、次に生理学的食塩水の12~18体積交換によりダイアフィルトレーション(diafilter)した。標的濃度は、およそ30mg/mLであった。活性化された多糖を濾過し、1~5℃で保管した。
【0199】
精製された破傷風トキソイドタンパク質(TT)を0.2ミクロン膜で濾過し、1~5℃で保管した。誘導体化された多糖および濃縮した破傷風タンパク質を、0.5:1、1:1、2:1、3:1、4:1、または5:1の比で一緒に混合した。1.0MのMES緩衝液、pH5.7中の交差架橋剤1-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)の100mg/mLのアリコートを、最終濃度のEDACが10mg/mLおよびMESが100mMとなるように、多糖-タンパク質混合物に加えた。食塩水を加えて、標的濃度の16mg/mLの多糖および4mg/mLのTTを得た。最終pHを5.5~5.9に調整し、反応を15.6~23.9℃で16~24時間混合した。この時間の間に、EDACおよびTTは反応して、O-アシルイソ尿素中間体(
図1B)を形成した。次にO-アシルイソ尿素中間体および誘導体化された多糖は、結合体を形成した(
図1G;生成物は
図1Hおよび
図1Aに示されている)。
【0200】
硫酸アンモニウムを結合体反応に加えて、1Mの硫酸アンモニウム濃度を生じた。pHを7に調整し、溶解するまで室温で混合した。結合体反応混合物を、フェニル樹脂を充填したHICカラムに適用した。非結合多糖を、2~7カラム体積の1M硫酸アンモニウム溶液で溶出した。結合体をWFIで溶出した。本および続く実施例において、結合体のHIC精製は、20質量%未満の多糖が遊離(非結合)多糖である生成物をもたらすことができた。結合体溶出液を、100kDaのMWCO PES膜を使用して、50mM酢酸ナトリウム、pH6.0の10体積交換によってダイアフィルトレーションした。精製された結合体の最終濾過を0.2ミクロン膜の使用によって実施し、結合体を1~5℃で保管した。
【0201】
実施例1B
群A精製済莢膜多糖を、塩化テトラブチルアンモニウム(TBAC)/ジメチルスルホ
キシド(DMSO)に重量に基づいて溶解して、標的濃度の6mg/mLにした。溶液を19~25℃で16~24時間混合した。溶解した多糖を、N-アセチルマンノサミンホスフェート反復単位(PS RU)1つ当たり標的濃度の35~45モル過剰量のカルボニルジイミダゾール(CDI)の添加によって活性化し、19~25℃で50~70分間混合した(
図1C、第1の反応;生成物は
図1Eに示されている)。多糖溶液を、活性化された多糖が、50%のDMSO中3mg/mlの標的濃度になるように、WFI(45~55%v/v)で1:2に希釈した。
【0202】
精製した破傷風トキソイドタンパク質(TT)を0.2ミクロン膜で濾過し、1~5℃で保管した。破傷風タンパク質を最終濃度の1mg/mLで加えた。この時間の間に、活性化された多糖およびTTが反応して、カルバメート連結を有する結合体を形成した(
図1D)。反応を室温で一晩進行させた。
【0203】
硫酸アンモニウムを結合体反応に加えて、1Mの硫酸アンモニウム濃度を生じた。pHを7に調整し、溶解するまで室温で混合した。 結合体反応混合物を、フェニル樹脂を充填したHICカラムに適用した。非結合多糖を、2~7カラム体積の1M硫酸アンモニウム溶液で溶出した。結合体をWFIで溶出した。本および続く実施例において、結合体のHIC精製は、20質量%未満の多糖が遊離(非結合)多糖である生成物をもたらすことができた。結合体溶出液を、100kDaのMWCO PES膜を使用して、50mM酢酸ナトリウム、pH6.0の10体積交換によってダイアフィルトレーションした。精製された結合体の最終濾過を0.2ミクロン膜の使用によって実施し、結合体を1~5℃で保管した。
【0204】
2.群C結合体の調製
実施例2A
群C精製済莢膜多糖を生理学的食塩水に溶解して、標的濃度の10mg/mLにした。溶液を、溶解するまで混合した。多糖溶液の温度を37℃に調整し、水酸化ナトリウム(NaOH)を加えて、標的最終濃度の100mMのNaOHにした。溶液を混合し、20分間インキュベートして、最終結合体中の多糖が多糖mg当たりOAc0.8~1.4μmolのO-アセチル化レベルおよび/または出発材料のO-アセチル化レベルに対して50%~60%の低減を有するような、部分的な脱O-アセチル化をもたらした。未変性MenC多糖は、単糖反復単位当たり2つの潜在的なO-アセチル化位置を有し、一般に、全体的なO-アセチル化レベルの40~45%を全ての可能なO-アセチル化部位において有する。出発材料に対するO-アセチル基の50%低減は、25%未満の全体的な(全ての可能なO-アセチル化部位の)O-アセチル化レベルをもたらす。
【0205】
pHを6に調整し、温度を15℃に下げた。溶解した多糖を、標的濃度が2mMになるように、メタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加により活性化した(
図2B)。pHを6に調整し、溶液を15℃で混合した。過ヨウ素酸塩が酸化して、隣接ジオール位置を切断し、アルデヒド末端鎖をもたらした。反応を、HPSECで決定して平均分子サイズが50,000~100,000ダルトンに低減されるまで混合した。還元活性(アルデヒドの量を反映する)は、多糖mg当たり40~100nmolであった。反応を、多糖1グラム当たり0.5mLのグリセロールの量のグリセロールを添加してクエンチし、最低5分間混合した。多糖を、最初に5kDaのMWCO再生セルロースフィルターを使用する限外濾過により濃縮し、次に50mMの酢酸ナトリウム緩衝液、pH6.0の8~12体積交換によりダイアフィルトレーションした。材料を更に濃縮して、標的濃度の50mg/mLにした。脱重合/活性化された多糖を濾過し、保管した。
【0206】
精製された破傷風トキソイドタンパク質を、10kDaのMWCO PES膜で濃縮して標的最終濃度の100mg/mLまでにして、次に0.2ミクロンフィルターに通した
。濾過されたタンパク質溶液を1~5℃で保管した。脱重合/活性化された多糖および濃縮した破傷風タンパク質を、0.5:1、1:1、2:1、3:1、4:1、または5:1(多糖:タンパク質)の質量比で一緒に混合した。2.0Mのリン酸塩緩衝液中のシアノ水素化ホウ素ナトリウムの100mg/mLのアリコートを、シアノ水素化ホウ素ナトリウムが10mg/mLになり、リン酸塩緩衝液が200mM、pH8.0になるように、多糖-タンパク質混合物に加えた。食塩水を加えて、濃度を調整して、例えば、多糖の標的である15~50mg/mLにした。反応(
図2C)を37℃で16~30時間混合した。反応を、6mMのリン酸塩緩衝食塩水(PBS)で1:2に希釈した。6mMのPBS中の水素化ホウ素ナトリウムの100mg/mLのアリコートを反応混合物に加えて、標的である反応体積1mL当たり0.5mgの水素化ホウ素ナトリウムを得た。反応を室温で最低15分間混合した。水素化ホウ素ナトリウムは、未反応アルデヒドをアルコールに還元することによってキャップして、第一級ヒドロキシルを7位に有する末端非連結糖をもたらした、または還元末端は(2-ヒドロキシ)エトキシで修飾された。生成物(末端糖は示されていない)を、
図2Dおよび
図2Aに例示する。結合体溶液を、50kDaのMWCO PES膜による6mMのPBSの10体積交換によってダイアフィルトレーションした。溶液を1~5℃で保管した。
【0207】
硫酸アンモニウムを結合体反応に加えて、1Mの硫酸アンモニウム濃度を生じた。pHを7に調整し、溶解するまで室温で混合した。結合体反応混合物を、フェニル樹脂を充填したHICカラムに適用した。非結合多糖を、2~7カラム体積の1M硫酸アンモニウム溶液で溶出した。結合体をWFIで溶出した。本および続く実施例において、結合体のHIC精製は、20質量%未満の多糖が遊離(非結合)多糖である生成物をもたらすことができた。結合体溶出液を、100kDaのMWCO PES膜を使用して、50mM酢酸ナトリウム、pH6.0の10体積交換によってダイアフィルトレーションした。精製された結合体の最終濾過を0.2ミクロン膜の使用によって実施し、結合体を1~5℃で保管した。
【0208】
実施例2B
群C精製済莢膜多糖を生理学的食塩水に溶解して、標的濃度の10mg/mLにした。溶液を、溶解するまで混合した。pHを6.0に調整し、温度を15℃に変えた。溶解した多糖を、標的濃度が2mMになるように、メタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加により活性化した(
図2B)。反応を、HPSECで決定して平均分子サイズが50,000~100,000ダルトンになるまで混合した。反応を、多糖1グラム当たり0.5mLのグリセロールの量のグリセロールを添加してクエンチし、最低5分間混合した。多糖を、最初に5kDaのMWCO再生セルロースフィルターを使用する限外濾過により濃縮し、次に50mMの酢酸ナトリウム緩衝液、pH6.0の8~12体積交換によりダイアフィルトレーションした。材料を更に濃縮して、標的濃度の50mg/mLにした。脱重合/活性化された多糖を濾過し、1~5℃で保管した。
【0209】
精製された破傷風トキソイドタンパク質を、10kDaのMWCO PES膜で濃縮して標的最終濃度の100mg/mLまでにして、次に0.2ミクロンフィルターに通した。濾過されたタンパク質溶液を1~5℃で保管した。脱重合/活性化された多糖および濃縮した破傷風タンパク質を、0.5:1、1:1、2:1、3:1、4:1、または5:1(多糖:タンパク質)のモル比で一緒に混合した。2.0Mのリン酸塩緩衝液中のシアノ水素化ホウ素ナトリウムの100mg/mLのアリコートを、シアノ水素化ホウ素ナトリウムが10mg/mLになり、リン酸塩緩衝液が200mM、pH8.0になるように、多糖-タンパク質混合物に加えた。食塩水を加えて、濃度を調整して、例えば、多糖の標的である15~50mg/mLにした。反応(
図2C)を37℃で16~30時間混合した。反応を、6mMのリン酸塩緩衝食塩水(PBS)で1:2に希釈した。6mMのPBS中の水素化ホウ素ナトリウムの100mg/mLのアリコートを反応混合物に加えて、標的である反応体積1mL当たり0.5mgの水素化ホウ素ナトリウムを得た。反応を室温で最低15分間混合した。水素化ホウ素ナトリウムは、未反応アルデヒドをアルコールに還元することによってキャップして、第一級ヒドロキシルを7位に有する末端非連結糖をもたらした、または還元末端は(2-ヒドロキシ)エトキシで修飾された。生成物(末端糖は示されていない)を、
図2Dおよび
図2Aに例示する。結合体溶液を、50kDaのMWCO PES膜による6mMPBSの10体積交換によってダイアフィルトレーションした。溶液を1~5℃で保管した。
【0210】
硫酸アンモニウムを結合体反応に加えて、1Mの硫酸アンモニウム濃度を生じた。pHを7に調整し、溶解するまで室温で混合した。結合体反応混合物を、フェニル樹脂を充填したHICカラムに適用した。非結合多糖を、2~7カラム体積の1M硫酸アンモニウム溶液で溶出した。結合体をWFIで溶出した。本および続く実施例において、結合体のHIC精製は、20質量%未満の多糖が遊離(非結合)多糖である生成物をもたらすことができた。結合体溶出液を、100kDaのMWCO PES膜を使用して、50mM酢酸ナトリウム、pH6.0の10体積交換によってダイアフィルトレーションした。精製された結合体の最終濾過を0.2ミクロン膜の使用によって実施し、結合体を1~5℃で保管した。
【0211】
3.群W-135およびY結合体の調製
群W-135精製済莢膜多糖を酢酸ナトリウム緩衝液に溶解して、標的濃度の10mg/mLにした。溶液を、溶解するまで混合した。多糖溶液を、ジャケット付き熱交換器の使用により50~70℃に加熱した。pHを4.5に調整した。反応(
図4A、工程1)を、HPSECで測定して平均分子サイズが150,000ダルトンになるまで混合した。反応混合物を1~5℃に冷却した。メタ過ヨウ素酸ナトリウムを、標的メタ過ヨウ素酸ナトリウム濃度が2mMになるように多糖溶液に加えた(
図4A、工程2)。pHを6.0に調整し、溶液を0~5℃で60分間混合した。過ヨウ素酸塩が酸化し、隣接ジオール位置で開裂して、アルデヒドを、例えば、
図4Aに示されているようにシアル酸残基の7位にもたらした。還元活性(アルデヒドの量を反映する)は、多糖mg当たり60~150nmolであった。反応を、多糖1グラム当たり0.5mのグリセロールを添加してクエンチし、最低5分間混合した。多糖を、10kDaのMWCO再生セルロースフィルターを使用する限外濾過により濃縮し、次に50mMの酢酸ナトリウム緩衝液、pH6.0の10体積交換によりダイアフィルトレーションした。材料を更に濃縮して、標的濃度の50mg/mLにした。脱重合/活性化された多糖を濾過し、1~5℃で保管した。
【0212】
精製された破傷風トキソイドタンパク質を、10kDaのMWCO PES膜で濃縮して標的最終濃度の100mg/mLまでにして、次に0.2ミクロンフィルターに通し、1~5℃で保管した。脱重合/活性化された多糖および濃縮した破傷風タンパク質を、0.5:1、1:1、2:1、3:1、4:1、または5:1(多糖:タンパク質)の質量比で一緒に混合した。2.0Mのリン酸塩緩衝液中のシアノ水素化ホウ素ナトリウムの100mg/mLのアリコートを、シアノ水素化ホウ素ナトリウムが10mg/mLになり、リン酸塩緩衝液が200mM、pH9.0になるように、多糖-タンパク質混合物に加えた。食塩水を加えて、標的濃度を調整して、例えば、多糖の標的である15~50mg/mLにした。反応(
図4B)を室温で一晩混合した。
【0213】
反応を、6mMのリン酸塩緩衝食塩水(PBS)で1:2に希釈した。6mMのPBS中の水素化ホウ素ナトリウムの100mg/mLのアリコートを反応混合物に加えて、標的である反応体積1mL当たり0.5mgの水素化ホウ素ナトリウムを得た。反応を室温で最低15分間混合した。水素化ホウ素ナトリウムは、未反応アルデヒドをアルコールに還元することによってキャップした。生成物は、
図4Cおよび
図3に示されている。
【0214】
硫酸アンモニウムを結合体反応に加えて、1Mの硫酸アンモニウム濃度を生じた。pHを7に調整し、溶解するまで室温で混合した。結合体反応混合物を、フェニル樹脂を充填したHICカラムに適用した。非結合多糖を、2~7カラム体積の1M硫酸アンモニウム溶液で溶出した。結合体をWFIで溶出した。結合体溶出液を、100kDaのMWCO
PES膜を使用して、50mM酢酸ナトリウム、pH6.0の10体積交換によってダイアフィルトレーションした。精製された結合体の最終濾過を0.2ミクロン膜の使用によって実施し、結合体を1~5℃で保管した。同じ方法を、群Y精製済莢膜多糖に使用することができる。
【0215】
4.四価ワクチンの製剤化
実施例4A
四価MenACYW-TT結合体ワクチンを、実施例1A、2A、および3~4に記載されたように調製した4つの一価PS-タンパク質結合体から製剤化し、酢酸ナトリウム緩衝食塩水で希釈して、最終濃度の10μgのPS/血清型/0.5mLにした。換言すると、0.5mL用量のMenACYW結合体ワクチンは、合計45~80μgの破傷風トキソイドタンパク質に結合した、それぞれ10μgの髄膜炎菌PS血清型A、C、Y、およびW-135を含有した(破傷風トキソイドタンパク質の実際の量は、この製剤化に使用された一価バルク濃縮物ロットにおける特定のPSとタンパク質との比によって決まる)。
【0216】
MenACYW結合体ワクチンの各0.5mL用量を、30mMの酢酸ナトリウム緩衝pH6.0食塩水で製剤化した。
【0217】
実施例4B
四価MenACYW-TT結合体ワクチンを、実施例1A、2B、および3~4に記載されたように調製した4つの一価PS-タンパク質結合体から製剤化し、酢酸ナトリウム緩衝食塩水で希釈して、最終濃度の10μgのPS/血清型/0.5mLにした。換言すると、0.5mL用量のMenACYW結合体ワクチンは、合計45~80μgの破傷風トキソイドタンパク質に結合した、それぞれ10μgの髄膜炎菌PS血清型A、C、Y、およびW-135を含有した(破傷風トキソイドタンパク質の実際の量は、この製剤化に使用された一価バルク濃縮物ロットにおける特定のPSとタンパク質との比によって決まる)。
【0218】
MenACYW結合体ワクチンの各0.5mL用量を、30mMの酢酸ナトリウム緩衝pH6.0食塩水で製剤化した。
【0219】
実施例4C
四価MenACYW-TT結合体ワクチンを、実施例1B、2B、および3~4に記載されたように調製した4つの一価PS-タンパク質結合体から製剤化し、酢酸ナトリウム緩衝食塩水で希釈して、最終濃度の10μgのPS/血清型/0.5mLにした。換言すると、0.5mL用量のMenACYW結合体ワクチンは、合計45~80μgの破傷風トキソイドタンパク質に結合した、それぞれ10μgの髄膜炎菌PS血清型A、C、Y、およびW-135を含有した(破傷風トキソイドタンパク質の実際の量は、この製剤化に使用された一価バルク濃縮物ロットにおける特定のPSとタンパク質との比によって決まる)。
【0220】
MenACYW結合体ワクチンの各0.5mL用量を、30mMの酢酸ナトリウム緩衝pH6.0食塩水で製剤化した。
【0221】
5.例示の結合体の特性および免疫原性
MenA結合体を、破傷風トキソイドとの結合反応に使用された多糖濃度が12mg/mlであった以外は、ADHリンカーを用いることなく上記に記載されたように一般的に調製した。結合体は、0.3の多糖/タンパク質(PS/PR)質量比を有した。O-アセチル化レベルを決定すると、多糖mg当たり3.0μmolであった。
【0222】
MenA結合体を、破傷風トキソイドとの結合反応に使用された多糖濃度が12mg/mlであった以外は、ADHリンカーを用いて上記に記載されたように一般的に調製した。結合体は、1.0のPS/PR質量比を有した。O-アセチル化レベルを決定すると、多糖mg当たり2.8μmolであった。ADHリンカーを有するMenA結合体のいくつかの追加のバッチを調製し、ここで破傷風トキソイドとの結合反応に使用される多糖濃度は、12mg/mlまたは16mg/mlのいずれかであった。これらのバッチのPS/PR質量比の測定値は、1.0、1.1、1.2、および1.3であり、多糖mg当たりのμmolでのO-アセチル化レベルの測定値は、2.5、2.8、2.9、および3.0であった。同じ値が2回以上観察された。
【0223】
MenA結合体のそれぞれのバッチは、MenAワクチン未感作(vaccine-naive)のヒト、マウス、および/またはモルモット対象に四価製剤を投与したとき、免疫原性であること(すなわち、処理前試料および/または未免疫化対照と比べて、少なくとも実質的および統計的に有意なレシピエントの割合において、血清殺細菌アッセイおよび/またはELISAにより測定すると、抗MenA抗体を誘発したこと)が確認された。
【0224】
MenC結合体を上記に記載されたように一般的に調製した。結合体は、0.6の多糖/タンパク質(PS/PR)質量比を有した。O-アセチル化レベルを決定すると、多糖mg当たり2.4μmolであった。MenC結合体のいくつかの追加のバッチを調製した。これらのバッチのPS/PR質量比の測定値は、0.4、0.6、および0.7であり、多糖mg当たりのμmolでのO-アセチル化レベルの測定値は、0.8、1.2、1.3、1,4、1.5、2.2、および2.3であった。同じ値が2回以上観察された。
【0225】
MenC結合体のそれぞれのバッチは、MenCワクチン未感作のヒト、マウス、および/またはモルモット対象に四価製剤を投与したとき、免疫原性であること(すなわち、処理前試料および/または未免疫化対照と比べて、少なくとも実質的および統計的に有意なレシピエントの割合において、血清殺細菌アッセイおよび/またはELISAにより測定すると、抗MenC抗体を誘発したこと)が確認された。
【0226】
MenW-135結合体を上記に記載されたように一般的に調製した。結合体は、0.9の多糖/タンパク質(PS/PR)質量比を有した。O-アセチル化レベルを決定すると、多糖mg当たり1.6μmolであった。MenW-135結合体のいくつかの追加のバッチを調製した。これらのバッチのPS/PR質量比の測定値は、0.6、0.7、0.8、0.9、および1.2であり、多糖mg当たりのμmolでのO-アセチル化レベルの測定値は、0.7、0.8、および1.3であった。同じ値が2回以上観察された。
【0227】
MenW-135結合体のそれぞれのバッチは、MenW-135ワクチン未感作のヒト、マウス、および/またはモルモット対象に四価製剤を投与したとき、免疫原性であること(すなわち、処理前試料および/または未免疫化対照と比べて、少なくとも実質的および統計的に有意なレシピエントの割合において、血清殺細菌アッセイおよび/またはELISAにより測定すると、抗MenW-135抗体を誘発したこと)が確認された。
【0228】
MenY結合体を上記に記載されたように一般的に調製した。結合体は、1.0の多糖/タンパク質(PS/PR)質量比を有した。O-アセチル化レベルを決定すると、多糖mg当たり1.3μmolであった。MenY結合体のいくつかの追加のバッチを調製した。これらのバッチのPS/PR質量比の測定値は、0.6、0.7、0.8、および0.9であり、多糖mg当たりのμmolでのO-アセチル化レベルの測定値は、0.8、0.9、1.0、1.1、および1.3であった。同じ値が2回以上観察された。
【0229】
MenY結合体のそれぞれのバッチは、MenYワクチン未感作のヒト、マウス、および/またはモルモット対象に四価製剤を投与したとき、免疫原性であること(すなわち、処理前試料および/または未免疫化対照と比べて、少なくとも実質的および統計的に有意なレシピエントの割合において、血清殺細菌アッセイおよび/またはELISAにより測定すると、抗MenY抗体を誘発したこと)が確認された。
【0230】
上記に記載された全ての結合体バッチは、300~1500kDaの範囲の重量平均分子量を有する結合体分子の個体群であった。
【0231】
6.臨床試験
本明細書に記載されている四価MenACYW-TT結合体を臨床研究に使用して、乳幼児および幼児(6週齢以上)、ならびに56歳以上の成人における異なるワクチン接種スケジュールの安全性および免疫原性を評価した。
【0232】
a)第I/II相臨床試験1-健康な髄膜炎菌ワクチン未感作幼児(12カ月齢+/-21日)に投与した様々なMenACYW-TT様製剤の安全性および免疫原性
この第I/II相臨床試験は、12カ月齢+/-21日の幼児(群1~5)に筋肉内投与されたMenACYW-TTに関連して、様々な四価髄膜炎菌多糖-破傷風トキソイド結合体製剤の単回用量の安全性および免疫原性を評価した。認可された一価髄膜炎菌結合体ワクチンである、NeisVac-C(登録商標)(完全に脱O-アセチル化された髄膜炎菌群C多糖-破傷風トキソイド結合体を、本明細書において「MenC-TT」と喚び、対照群(
図6)に投与した。
【0233】
製剤1Aは、0.5mLの用量当たり、4つの多糖(すなわち、MenACYW)からそれぞれ4μgの多糖および22.1μgのTTを含有した。全て未変性のO-アセチル化レベルを有し、本質的に上記に記載されたように、過ヨウ素酸塩活性化および還元的アミノ化(MenCYW)、またはカルボニルジイミダゾールおよびアジピン酸ジヒドラジド(MenA)の使用によって結合させた。
【0234】
製剤1Bは、0.5mLの用量当たり、それぞれ10μgのMenAおよびMenW多糖、それぞれ4μgのMenCおよびMenY多糖、ならびに36.6μgのTTを含有した。それ以外は製剤1Aと同一であった。
【0235】
製剤1Cは、0.5mLの用量当たり、4つの多糖からそれぞれ10μgおよび5.48μgのTTを含有した。それ以外は製剤1Aと同一であった。
【0236】
製剤2Aは、0.5mLの用量当たり、4つの多糖からそれぞれ4μgの多糖および33.9μgのTTを含有した。MenC、Y、およびW多糖を、アルカリ処理によって部分的に脱O-アセチル化し、本質的に上記に記載されたように、過ヨウ素酸活性化および還元的アミノ化を介して結合させた。MenA多糖は、未変性O-アセチル化レベルを有し、米国特許出願第2005/0002975号、実施例5に本質的に記載されているような結合化学を使用してネオグリココンジュゲート(neoglycoconjugate)として作製した。
【0237】
製剤2Bは、0.5mLの用量当たり、4つの多糖からそれぞれ10μgおよび84.8μgのTTを含有した。それ以外は製剤2Aと同一であった。
【0238】
上記の製剤は、全て、0.67%のNaClを含有し、リン酸ナトリウムによりpH6で緩衝された。
【0239】
6つの研究群を表1にまとめ、特徴づけた。
【0240】
【0241】
治療群の間で男女比は変動しており、極端な例は、群2では39.2%対60.7%であり、群5では62.3%対37.7%であった。全ての群における年齢範囲は、11.0~12.0カ月齢であり、全群にわたる平均は11.5~11.7カ月齢の範囲であった。
【0242】
非応答型有害事象(AE)の安全性データを、ワクチン投与の30~37日後まで収集した。応答型AEの間隔はD0~D7(すなわち、投与の0~7日後)であった。集められた応答型反応源性(reactogenicity)には、注射部位圧痛、発赤、および腫脹、ならびに発熱、嘔吐、食欲喪失、異常な号泣、傾眠、および被刺激性が含まれた。
【0243】
ワクチン接種を受けた全ての対象は研究を完了したが、ワクチン接種を受けた56人の対象(群全体)をプロトコールからの逸脱のため分析から除外し、最も一般的な原因は、許容される時間内に30~37日目の血液試料を提供できなかったことである。
【0244】
2人の対象が即時型非応答型AEを経験し、そのうちの1人は、ワクチン接種に関連すると考慮された(群1の対象に発疹が発生した)。
【0245】
0日目から7日目の間の応答型注射部位反応:全ての群において、大多数の対象は応答型反応を経験した。全体的に、応答型反応の率は群間で同等であった。注射部位反応を報告した群1~5のレシピエントの百分率は、対照ワクチンを受けた対象(群6)において見られるものと類似していた。
【0246】
注射部位反応の率と、それぞれのワクチン製剤に含有されている破傷風トキソイドの量との明確な相関関係は、存在しなかった。
【0247】
最も一般的な注射部位反応は圧痛であり、この率は、群1の25.4%から群5の39.3%の範囲であり、次は紅斑であり、群2の29.5%から群5の39.3%の範囲であり、極めて希な反応は腫脹であり、群4の13.6%から群3の23.0%の範囲であった。大多数の応答型注射部位反応は、グレード1の強さであり、ワクチン接種の時に始まり3日以内に消散し、治療介入する必要は何もなかった。強さ、発症時、持続期間、または行った処置に関して、群としての傾向は見られなかった。
【0248】
0日目から7日目の間の応答型全身反応:注射部位反応と同じように、発熱、嘔吐、異常な号泣、傾眠、食欲喪失、および被刺激性のような全身反応の全体的な率は、群1~5において同等であり、対照ワクチンにおいて見られたものに類似していた。全群において最も一般的な全身反応は被刺激性であり、群4の54.2%から群2および群5の両方の70.5%の範囲であった。次に最も一般的な(群2以外の全ての群における)は、異常な号泣であり、群2の34.4%から群6の48.4%の範囲であり、その後に食欲喪失が続き(群2において2番目に一般的な反応であった)、群6の27.9%から群6の46.8%の範囲であった。嘔吐の率は、群4の18.6%から群6の32.3%の範囲であり、発熱は最も少なく報告された反応であり、群1の11.1%から群6の25.8%の範囲であった。大多数の応答型全身反応は、グレード1の強度であり、ワクチン接種の時に始まり3日以内に消散し、治療介入する必要は何もなかった。強度、発症時、持続期間、または行った処置に関して、群としての傾向は見られなかった。
【0249】
0日目から30日目の間の非応答型有害事象:合計で931件の非応答型AEが327人の対象から報告された。合計で107件の非応答型AEが、ワクチン接種に関連すると考慮され、有害反応(AR)と確認された。最も一般的なARは、SOCの1)一般的な障害および投与部位の状態(25件);2)感染および侵襲、ならびに皮膚および皮下組織の障害(それぞれ20件);3)胃腸障害、ならびに呼吸器、胸郭、および縦隔障害(それぞれ16件)であった。ARの件数と受けたワクチンとの間に明確な関連性は存在しなかった。合計で4件の全身性ARがグレード3の強さであると報告された:群1および4では、それぞれ1件であり、群5では2件であった。
【0250】
重篤なAE:死亡例は発生しなかった。合計で7件のSAEが研究の期間中に7人の対象において発生した:群1の対象では2件、群2の対象では1件、群3の対象では2件、群4の対象では2件であった。群5および6ではSAEの報告はなかった。これらのSAEのうちの1つである、群3の1人の対象により経験された反応性関節炎は、ワクチン接種に関連すると認められた。対象は、23日後に完全に回復した。
【0251】
安全性に関する結論は、単回用量が全群において良好に耐容されたこと、および安全性プロファイルには有意な差がなかったことであった。
【0252】
髄膜炎菌血清型A、C、Y、およびW-135に対する機能性抗体を、ヒト補体(SBA-HC)および仔ウサギ補体(SBA-BR)を使用する血清殺細菌アッセイにより測定して、1)SBA-HC力価≧1:8および≧1:4、またはSBA-BR力価≧1:8を有する対象の割合;2)幾何学平均力価(GMT);3)逆累積分布曲線(RCDC);ならびに4)力価分布を決定した。ワクチンに存在する破傷風トキソイドに対する抗体力価を、ELISAにより評価した。アッセイを、ワクチン接種前(表2および3の「前」)およびワクチン接種の30~37日後(表2および3の「後」)に採取した血液試料によって実施した。
【0253】
表2および3はSBA-HCの結果を示す。表2および3では、95%信頼区間の百分率である。
【0254】
【0255】
表から分かるように、ワクチン接種前の力価は、全ての血清型において低かった。血清型Aでは、全ての群における大多数の対象は、8以下の力価を有し、他の3つの血清型で
は、実質的に全ての対象が<4の値を有した。ワクチン接種後の群1~5において、血清型Aでは大多数の力価値が8~128であり、血清型Cでは16~1024であり、血清型Yでは<4~128であり、血清型W1-35では<4~64であった。対照群において、血清型A、Y、およびW-135の値は、大部分が<4~4であったが、血清型Cでは、大部分の値は256~1024であった。低用量群と比べて、高用量群により高く抗体が応答する傾向があった。
【0256】
SBA-BRアッセイでは、投与前GMTは全ての治療群にわたって同等であり、血清型Aでは4.22~5.26、血清型Cでは4.00~6.26、血清型W-135では6.01~8.45であった。血清型Yではより大きな変動が見られ、その値は17.35(群5)から35.92(群1)の範囲であった。
【0257】
群1~5において、ワクチン接種後の値は、血清型Aでは336.91(群1)~759.35(群5)の範囲であり、対照群の値は5.66であった。血清型Cの値は、145.53(群1)~636.37(群5)の範囲であった。対照群の値は、1290.16であった。血清型Yの値は、586.54(群3)~713.70(群4)の範囲であった。対照群の値は、23.41であった。血清型W-135の値は、912.28(群4)~1518.71(群5)の範囲であった。対照群の値は、8.57であった。
【0258】
b)第II相臨床試験1-乳幼児および幼児におけるMenACYW-TTの安全性および免疫原性
第II相無作為化非盲検多施設臨床試験を、米国において580人の小児に実施した。試験は、異なるスケジュールおよびルーチン小児用ワクチン接種と同時に投与されたMenACYW-TTワクチンの安全性および免疫原性プロファイルを研究するために設計された。この研究は、MenACYW-TTワクチン、およびMenACYW-TTワクチンと同時に投与されるときに選択された認可小児用ワクチン(Pentacel(登録商標)(DTaP-IPV/Hib)、Prevnar(登録商標)(PCV7)またはPrevnar(登録商標)13(PCV13)、M-M-R(登録商標)II(MMR)、Varivax(登録商標)(V)、ENGERIX-B(登録商標)またはRECOMBIVAX HB(登録商標)(HepB)、Rotarix(登録商標)(RV1)、およびRotateq(登録商標)(RV5))の免疫原性プロファイルを記載することも目的であった。
【0259】
参加者は、ルーチンワクチンと同時に投与されたMenACYW-TTワクチン(治療群;表1の群1~5)、またはルーチン小児用ワクチンのみ(対照群;群6~7)のいずれかを受けた。
【0260】
2カ月齢の乳幼児を、表1に示されたように、3つの治療群(群1~3)、ならびに2つの対照群(群6および7)に無作為に割り当てた。治療群1~3の乳幼児は、3または4用量のMenACYW-TTワクチンを(ルーチンワクチンと同時に)表4に記載されているように受けた。
【0261】
表4は、臨床試験設計の要約を提示している。
【0262】
【0263】
6カ月齢および12カ月齢の時に2用量のMenACYW-TTワクチンを(ルーチンワクチンと同時に)受けた12カ月齢の乳幼児(群4)、ならびに12カ月齢の時に1用量のMenACYW-TTワクチンを(ルーチンワクチンと同時に)受けた12カ月齢の乳幼児(群5)も登録した。
【0264】
ヒト(hSBA)および仔ウサギ(rSBH)補体による血清殺細菌アッセイを使用して、ベースライン、ならびに最後の乳幼児および乳児用量の30日後での髄膜炎菌血清型A、C、Y、およびW-135に対する抗体を測定した。両方のアッセイの定量化下限(LLOQ)は、1:4であった。例えば、Maslankaら、Standardization and a Multilaboratory Comparison of
Neisseria meningitidis Serogroup A and C Serum Bactericidal Assays,Clinical and
Diagnostic Laboratory Immunology、1997年、3月、156~167頁、およびGoldschneider Gotschlich,and Artenstein、Immunity to Meningococcus,The Role of Humoral Antibodies、the Journal of Experimental Medicine、1969年を参照すること。
【0265】
安全性データをワクチンの最後の用量の6カ月後まで収集した。応答型有害事象(AE)の間隔はD0~D7(すなわち、投与の0~7日後)であった。集められた応答型反応源性には、体温、および注射部位の発赤と腫脹の毎日の測定、ならびに注射部位疼痛、頭痛、筋肉痛、および倦怠感の強さの記録も含まれた。非応答型AEおよび重篤な有害事象(SAE)も、研究の全体を通して集めた。全ての統計分析は、記述的であった。
【0266】
人口統計学を安全性分析のセットのために分析し、少なくとも1用量の研究または対照ワクチンを受け、安全性データが入手可能であった対象と定義した。群1、2、3、6、および7が含まれる研究での平均年齢は、それぞれ、2.19、2.20、2.24、2.18、および2.20カ月齢であった。年齢の範囲は、群1では1.57~2.97カ月齢、群2では1.57~2.90カ月齢、群3では1.53~3.00カ月齢、群6では1.53~2.87カ月齢、群7では1.70~2.97カ月齢であった(2カ月齢に含まれる基準[42~89日])。群4では、平均年齢は6.23カ月齢であり、年齢の範囲は、5.63カ月から6.50カ月齢であった。(6カ月齢に含まれる基準[180日±14日])。群5では、平均年齢は12.4カ月齢であり、年齢の範囲は、12.2~12.7カ月齢であった。(12カ月齢に含まれる基準[365日+14日])。
【0267】
乳幼児のシリーズが完了し、追加のMenACYW-TTワクチン用量を2歳の時に受けた後(群1~4)、大部分の研究参加者は、1歳の時に受けた用量の数にかかわらず、MenACYW-TTワクチンに含まれた4つ全ての血清型(ACYW)において、保護的な力価の1:8(ヒト補体[hSBA]では91%~100%および仔ウサギ補体[rSBA]では80%~100%)を達成した。単回用量を12カ月齢の時に受けた参加者(群5)では、ACYWの保護的力価の1:8は、47.5%~90%(hSAB)および62%~100%(rSBA)であった。したがって、MenACYW-TT結合体ワクチンは、1歳の時に受けた第一スケジュールにかかわらず、2歳の時の追加用量の後にしっかりとした免疫原性応答を実証している。
【0268】
図6は、群1~4において血清型A、C、Y、およびWのそれぞれで1:8以上のhSBAレベルを有する対象の百分率を提示している。
図7は、同じ群においてrSBAに類似した結果を提示している。
【0269】
12カ月齢の時に単回用量のMenACYW-TTワクチンが投与された後のhSBAに対する免疫応答(群5)は、3用量シリーズ(群3)の血清型C(90%)に見られた応答に類似していたが、血清型Y(47.5%)、A(75%)、およびW-135(54%)では低かった。12カ月齢の時に単回MenACYW-TTワクチン用量を受けた対象(群5)におけるhSABおよびrSBA力価を示す表5を参照すること。
【0270】
【0271】
MenACYW-TTワクチンと同時に投与されたルーチン小児用ワクチンによる干渉の証拠はなかった(データ示されず)。
【0272】
応答型注射部位反応の頻度は、反復ワクチン用量によって増加しなかった。MenACYW-TTワクチン投与後の7日間以内に、1つまたはそれ以上の応答型注射部位反応を報告した参加者の累積百分率を表す
図8を参照すること。MenACYW-TTワクチン投与後の7日間以内に≧1の応答型注射部位反応を報告した参加者の累積百分率は、4用量を受けた群(群1および2、80.0%~80.8%)において最高であり、その後に、2用量(群4、75.3%)または3用量(群2、74.0%)の用量を受けた群が続き、1用量を受けた群(群5、57.4%)が最低であった。
【0273】
図9は、MenACYW-TTワクチン+ルーチンワクチン、またはルーチンワクチンの単独のいずれかを投与した7日間以内の応答型全身反応を示す。
【0274】
大部分の非重篤有害事象(NSAE)が、MenACYW-TTワクチンまたはルーチンワクチンによるいずれかのワクチン接種後に報告され、報告されたグレード3のNSAEは、それぞれ、研究ワクチンと無関係であった。ワクチン関連の重篤な有害事象はなかった。
【0275】
MenACYW-TTワクチンおよびルーチンワクチンは、両方とも、対照群においてMenACYW-TTワクチンを伴わないでルーチンワクチンが与えられたときと比較して、同時に(すなわち、同じ日に別々のワクチンとして)与えられたときに免疫原性であり、MenACYW-TTワクチンとルーチンワクチンとの間に否定的な相互作用がなかったとを示している。
【0276】
まとめると、MenACYW-TTワクチンは、免疫スケジュールおよび投与された用量の数にかかわりなく、乳幼児および幼児に安全であり、十分に耐容された。MenACYW-TTワクチンの安全性プロファイルは、免疫スケジュールおよび投与された用量の数にかかわりなく、対照群と全体的に類似していた。
【0277】
したがって、治療用MenACYW-TTワクチンは、十分に耐容され、免疫原性であった。1歳および2歳の時の両方における用量を含む全てのワクチン接種スケジュールは、4つのワクチンN.メニンギティディス血清型A、C、Y、およびWにおいて、しっかりとした免疫応答を誘導し、許容される安全性プロファイルを伴っていた。
【0278】
c)第II相臨床試験2-56歳以上の成人に投与されたMenACYW-TTの安全性
および免疫原性
年齢および基礎慢性疾病が、髄膜炎菌疾患にとって重要な危険因子であり、そのため、高齢者にとっては危険性が増加する。臨床研究を実施して、56歳以上の成人において、認可された四価髄膜炎菌単純多糖ワクチンである(MPSV4)、Menomune(登録商標)-A/C/Y/W-135と比較して、MenACYW-TTワクチンの安全性および免疫原性を評価した。
【0279】
第II相無作為化非盲検多施設研究を、米国において56歳以上の301人に健康な成人に実施した。12箇所の研究施設の参加者を、MenACYW-TTまたはMPSV4(Menomune(登録商標)-A/C/Y/W-135)のいずれかの1用量を受けるように無作為に割り当てた。患者を、年齢に応じて2つのサブセット:1)56~64歳、および2)65歳以上に層別化した。
【0280】
4つの研究群を以下のように形成した。群1a(n=101、年齢56~64歳)および群1b(n=100、≧65歳)は、MenACYW-TTを受けた。群2a(n=50、年齢56~64歳)および群2b(n=50、≧65歳)は、MPSV4ワクチンを受けた。「群1」は、群1a+群1bを指す。「群2」は、群2a+群2bを指す。人口統計学の結果を表6にまとめた。
【0281】
【0282】
上記に記載されたヒト(hSBA)および仔ウサギ(rSBH)補体による血清殺細菌アッセイを使用して、ベースライン、ならびに最後のワクチン投与の30日後での髄膜炎菌血清型A、C、Y、およびW-135に対する抗体を測定した。両方のアッセイの定量化下限(LLOQ)は、1:4であった。
【0283】
安全性データを最後の用量の30日後まで収集した。応答型AEの間隔はD0~D7(すなわち、投与の0~7日後)であった。集められた応答型反応源性には、体温、および注射部位の発赤と腫脹の毎日の測定、ならびに注射部位疼痛、頭痛、筋肉痛、および倦怠感の強さの記録も含まれた。非応答型AEおよび重篤な有害事象(SAE)も、研究の全体を通して集めた。全ての統計分析は、記述的であった。
【0284】
人口統計学を安全性分析のセットのために分析し、少なくとも1用量の研究または対照ワクチンを受け、安全性データが入手可能であった対象と定義した。登録時には、対象の平均年齢は、群1および群2の両方において類似していた(それぞれ、66.1±7.13歳、および65.8±6.58歳)。加えて、年齢は、56~64歳の対象を有する群、および>65歳の対象を有する群において類似していた(群1aでは60.3±2.5
2歳、群2aでは60.8±2.59歳<群1bでは71.9±5.28歳、群2bでは70.8±5.45歳)。
【0285】
群1および群2の両方とも、男性対象(それぞれ、39.2%[78/199]および45.0%[45/100])よりも女性対象(それぞれ、60.8%[121/199]および55.0%[55/100])の方が、わずかに多かった。同じ傾向がサブセットにおいても観察されたが、群2は例外であり、女性と男性の対象の数が等しかった(50.0%[25/50]。
【0286】
血清型A、C、Y、およびW-135に対してhSBA力価≧1:8を有する研究参加者の百分率は、全ての群においてベースラインと比較して30日目には著しく増加した。2つの年齢基層(56~64歳および≧65歳)において、結果は、表7に示されているように、それぞれのワクチン接種群内で全体的に類似していた。
【0287】
【0288】
図10は、全ての患者(すなわち、組み合わせた年齢群)からのデータを使用して、血清型A、C、Y、およびW-135によりD30でhSBAレベル≧1:8を達成した対象の百分率を提示する。MenACYW-TTを投与した後にhSBA力価≧1:8を有する個人の百分率は、血清型AおよびCにおけるMPSV4投与後の力価と同等であった。MenACYW-TTを投与した後にhSBA力価≧1:8を有する個人の百分率は、血清型YおよびWにおけるMPSV4投与後の力価より高かった。
【0289】
図11は、両方のワクチンによるD30での異なる血清型の幾何学平均力価(GMT)を提示する。MenACYW-TTによるGMTは、全ての血清型においてMPSV4のGMTに等しかった。
【0290】
1:8以上のrSBA力価を有する参加者の百分率は、4つ全てのワクチン群において、MenACYW-TTのレシピエントとMPSV4のレシピエントで同等であった。
図12を参照すること。
【0291】
MenACYW-TT投与の7日以内の応答型注射部位反応(
図13)および応答型全身反応(
図14)は、MPSV4ワクチンと類似していた。
【0292】
全体的に、MenACYW-TTおよびMPSV4ワクチンの両方の反応源性プロファイルは、類似していた。大部分の非応答型有外事象は、グレード1またはグレード2の強さであった。即時過敏性反応はなく、AEまたはSAEが原因の中止はなかった。高齢のワクチンレシピエントに反応源性の増加は観察されなかった。重篤な有害事象は報告されなかった。
【0293】
MenACYW-TTは、56歳以上の成人に投与されたときに十分に耐容され、免疫原性であった。したがって、MenACYW-TTは、高齢者の免疫化のために現在入手可能な、MPSV4のような単純多糖ワクチンしか入手することができない地域を含む世界中の地域において、侵襲性髄膜炎菌疾患を予防する代替的ワクチンを表している。
【0294】
d)第II相臨床試験3-健康な髄膜炎菌ワクチン未感作幼児(12~23カ月齢)に投与したMenACYW-TTの安全性および免疫原性
MenACYW-TT結合体ワクチンは、6週齢以上の個人に使用することが意図されている。この研究は、対照として、認可された四価髄膜炎菌結合体ワクチン(MCV4-TT)である、Nimenrix(登録商標)を使用して、乳児における単回用量の安全性および免疫原性を評価した。
【0295】
188人の髄膜炎菌ワクチン未感作幼児(12~23カ月齢)における1第II相無作為化非盲検研究を、フィンランドで実施した。参加者を、MenACYW-TTワクチンまたはMCV4-TTのいずれかの1用量を受けるように無作為に割り当てた。ヒト(hSBA)および仔ウサギ(rSBH)補体による血清殺細菌アッセイを使用して、ベースラインおよび用量の30日後での髄膜炎菌血清型A、C、Y、およびW-135に対する抗体を測定した。両方の血清殺細菌アッセイのLLOQは、1:4であった。破傷風に対する抗体応答も測定した。
【0296】
安全性データを最後の用量の30日後まで収集した。応答型有害事象(AE)の間隔はD0~D7であった。集められた応答型反応源性には、体温、および注射部位の発赤と腫脹の毎日の測定、ならびに注射部位疼痛、頭痛、筋肉痛、および倦怠感の強さの記録も含まれた。非応答型AEおよび重篤な有害事象(SAE)を、研究の全体を通して集めた。全ての分析は、記述的であった。
【0297】
表8は、試験の研究デザインおよび対象の性質についてのデータを提示している。
【0298】
【0299】
人口統計学分析を安全性分析セットで行った。安全性分析セットは、少なくとも1用量の研究または対照ワクチンを受け、安全性データが入手可能であった対象と定義した。合計で98人(52.1%)の男性対象および90人(47.9%)の女性対象が安全性分析セットに存在し、全体的な男性/女性対象の比は1.09であった。MenACYW-TT群では男性の方が女性よりも多かった(男女比は1.54であった)。MCV4-TT群では女性の方が男性よりも多かった(男女比は0.77であった)。対象の年齢は、2群では同等であった。登録した対象の平均年齢は、MenACYW-TT群では1.44±0.302歳であり、MCV4-TT群では1.47±0.314歳であった。
【0300】
MenACYW-TTワクチンによるkhSBAワクチン血清応答を有する対象の百分率は、血清型A、W、およびYではMCV4-TTと同等であった[96.7%~98.9%(MenACYW-TT)および91.9%~98.8%(MCV4-TT)の範囲](
図15)。hSBAワクチン血清応答を次のように定義した:力価がベースラインで<1:8である場合、ワクチン接種後の力価は≧1:8であること、または力価がベースラインで≧1:8である場合、ワクチン接種後に≧4倍増加すること。
【0301】
血清型Cの血清応答を有する対象の百分率は、MCV4-TT(86.0%)よりMenACYW-TT(100.0%)の方が高かった。血清型Cの傾向は、rSBAを使用したときも同様であった。
【0302】
ワクチンのD30後にhSBA力価≧8(≧1:8)を達成した対象の百分率のデータを表9に提示する。
【0303】
【0304】
MenACYW-TTは、hSBA幾何学平均力価およびワクチン接種後hSBA力価≧8(≧1:8)を有する対象の百分率を評価すると、血清型A、W、およびYに対して同等の免疫応答、ならびに血清型Cに対して高い免疫応答を誘発した(
図16および表10)。
図16および表10は、表10が
図16に示されているようにlog2スケールに変換されている以外は、同じデータを示している。
【0305】
【0306】
安全性も、この研究において評価した。反応源性プロファイルは、両方のワクチンにおいて同等であった。少なくとも1件の応答型注射部位反応を報告した対象の百分率は、両方のワクチンにおいて同等であった(48.9%および53.2%)。注射部位の紅斑、圧痛、および腫脹のデータを
図17に示す。大多数の注射部位反応は、グレード1または2の強さであり、全て、D0~D3で始まり大部分が1~3日間続いた。
【0307】
グレード3の応答型注射部位反応を報告した対象は、わずかであった:MenACYW-TT群では3.2%の対象であり、MCV4-TT群では4.3%の対象であった。
【0308】
応答型全身反応も2つの群において類似していた(
図18)。
【0309】
少なくとも1件の非応答型非重篤AEを報告した対象の百分率は、研究群において同等であった。大部分の非応答型有外事象は、グレード1またはグレード2の強さであった。この群のいずれにおいても、即時型非応答型AEの報告はなかった。任意のアナフィラキシーまたは生命を脅かす事象を含む即時型SAEはなかった。報告された2件の重篤な有害事象は、無関係であると考えられた。
【0310】
治療用MenACYW-TTワクチンは、十分に耐容され、免疫原性であった。MenACYW-TTワクチンの単回用量は、最初に髄膜炎菌ワクチン接種を受けた幼児にとって代替的なワクチン選択肢である優れた潜在力を実証した。
【0311】
e)第II相臨床試験4-健康な髄膜炎菌ワクチン未感作青年(10~18歳)に投与したMenACYW-TTの安全性および免疫原性
この第II相研究は、年齢10~18歳の青年に筋肉内投与された単回用量(30mMの酢酸ナトリウムによりpH6.0で緩衝された0.67%のNaCl中の、合計65μgのTTに結合された多糖を血清型当たり10μg)のMenACYW-TTの安全性および免疫原性を評価した。認可された四価髄膜炎菌結合体ワクチンである、本明細書において「MenACYW-CRM197」と喚ばれる、Menveo(登録商標)(髄膜炎菌(群A、C、Y、およびW-135)多糖ジフテリアCRM197結合体ワクチンを、対照群(群2)に投与した。MenACYW-TTとTdap/Adacel(登録商標)およびHPV/Gardasil(登録商標)との同時投与(群3)の効果も、Tdap/Adacel(登録商標)およびHPV/Gardasil(登録商標)単独の投与(群4)と比較した。対照ワクチン、ならびにTdap/Adacel(登録商標)およびHPV/Gardasil(登録商標)ワクチンを、ラベルの使用説明書に従って投与した。4つの研究群を表11にまとめ、特徴づけた。
【0312】
【0313】
合計74人の対象(4.3%)が試験を完了しなかった:群1では10人(2.0%)、群2では7人(1.4%)、群3では27人(6.7%)、群4では30人(10.0%)であった。最も頻繁に報告された中止理由は、有害事象が原因ではない自主的な離脱、追跡不能、およびプロトコール不履行であった。SAEまたは他のAEが原因の早期中止はなかった。
【0314】
ヒト補体(hSBA)による血清殺細菌アッセイを使用して、ベースラインおよび用量の30日後での髄膜炎菌血清型A、C、Y、およびW-135に対する抗体を測定した。
血清殺細菌アッセイのLLOQは、1:4であった。hSBAデータを、群1の463人のメンバーから、群2の464人のメンバーから、群3の360人のメンバーから集めた。hSBAの結果は表12にあり、ここで対象%は、陽性血清応答を有する対象の百分率を示し、すなわち、ワクチン接種前hSBA力価<1:8を有する対象では、ワクチン接種後hSBAが≧1:8であること、またはワクチン接種前hSBA力価≧1:8を有する対象では、ワクチン接種前から後でhSBA力価に少なくとも4倍の増加があることを示している。高い百分率の対象が、4つ全ての血清型においてMenACYW-CRM197よりMenACYW-TTの方に陽性血清応答を示した。
【0315】
【0316】
群1と2の血清応答頻度の差を、95%信頼区間と共に表13に示す。
【0317】
【0318】
群1と3の血清応答頻度の差は、95%信頼では有意ではなく、MenACYW-TTの効力がTdap/Adacel(登録商標)およびHPV/Gardasil(登録商標)との同時投与によって影響を受けないという結論と一致している。
【0319】
表14は、0日目(D0)および30日目(D30)での幾何学平均力価(GMT)として表されるhSBAの結果を、95%信頼区間と共に示す。
【0320】
【0321】
ジフテリアおよび破傷風に対する免疫応答を全ての群で比較した。結果を表15に示し、幾何学平均濃度(GMC)、≧0.1IU/mLを有する対象%、ならびに抗破傷風および抗ジフテリア抗体濃度の≧1.0IU/mLを有する対象%として表されている。
【0322】
【0323】
結果は、群3のようなMenACYW-TTとTdap/Adacel(登録商標)の同時投与が後者の免疫原性に干渉しなかった(群4の結果を参照すること)という結論と一致した。
【0324】
またワクチン応答を以下の抗原:百日咳毒素(PT)、百日咳繊維状赤血球凝集素(pertussis filamentous hemagglutinin)(FHA)
、百日咳パータクチン(pertussis pertactin )(PRN)、および百日咳線毛抗原(FIM)に関して特徴づけた。表16を参照すること。
【0325】
【0326】
以下のことを安全性に関して観察した:ワクチン接種の30分後に報告された任意の非応答型全身有害事象(AE)の発生、性質、持続時間、強さ、およびワクチン接種との関連性;ワクチン接種D0後から7日間までに発生した応答型注射部位反応の発生、発症時点、発生の日数、強さ、行った処置、および反応が研究の早期中止をもたらしたか;ワクチン接種D0後から7日間までに発生した応答型全身反応の発生、発症時点、発生の日数、強さ、行った処置、および反応が研究の早期中止をもたらしたか;ワクチン接種D0後から23~27日間までに発生した非応答型AEの発生、発症時点、発生の日数、強さ、行った処置、ワクチン接種との関連性(全身AEのみ)、および反応が研究の早期中止をもたらしたか;ならびにワクチン接種D0後から180日間まで(群1および群2)または210日間まで(群3および群4)の試験全体にわたる重篤有害事象(SAE)の発生、発症時点、発生の日数、強さ、行った処置、ワクチン接種との関連性、帰結、およびSAE反応が研究の早期中止をもたらしたか。応答型全身反応には、発熱、筋肉痛、および頭痛が含まれた。応答型注射部位反応には、疼痛、紅斑、および腫脹が含まれた。
【0327】
D0~D07で少なくとも1件の応答型反応を報告した対象の百分率は、MenACYW-TT結合体ワクチンおよびMENVEO(登録商標)で同等であった:それぞれ、群1では対象の63.5%(315/496)であり、群2では対象の64.2%(316/492)であった。少なくとも1件の応答型反応を報告した対象の百分率は、MenACYW-TT結合体ワクチンをTdapおよびHPVと同時に受けた対象と、TdapおよびHPV単独を受けた対象では同等であった:それぞれ、群3では88.9%(345/388)であり、群4では89.0%(258/290)であった。少なくとも1件の応答型注射部位反応を報告した対象の百分率は、群1、群2、およびGnn 3において同等であった:それぞれ、46.6%(231/496)、45.7%(225/4929)、および49.0%(190/388)であった。MenACYW-TT結合体ワクチンが単独で与えられた(群1)に対して、MenACYW-TT結合体ワクチンがTdapおよびHPVと同時に与えられた(群3)時には、MenACYW-TT結合体ワクチンに局所反応源性の増加が見られなかった。
【0328】
最も頻繁に報告された注射部位反応は、疼痛であり、群1では45.2%(224/496)の対象、群2では42.5%(209/492)の対象、群3では47.2%(183/388)の対象によって報告され、その後に続くのは注射部位紅斑であり、これは
、群1では5.0%(25/496)の対象、群3では7.5%(37/491)の対象、群3では3.9%(15/388)の対象によって報告され、そして注射部位腫脹であり、これは群1では5.4%(27/496)の対象、群2では6.5%(32/491)の対象、群3では4.4&(17/388)の対象によって報告された。MenACYW-TT結合体ワクチンまたはMENVEO(登録商標)注射部位における大多数の反応は、グレード1または2の強さであり、D0~D3で始まり、1~3日間続いた。MenACYW-TT結合体ワクチンまたはMENVEO(登録商標)注射部位においてグレード3の任意の注射部位反応を有する対象の百分率は、群1では1.8%(9/496)、群2では2.2%(11/492)、および群3では2.8%(11/388)であった。MenACYW-TT結合体ワクチンまたはMENVEO(登録商標)注射部位においてグレード3の疼痛を有する対象の百分率は、群1では1.4%(7/496)、群2では1.0%(5/492)、および群3では2.3%(9/388)であった。グレード3の紅斑を有する対象の百分率は、群1では0.4%(2/496)、群2では1.2%(6/491)、および群3では0.5%(2/388)であった。グレード3の腫脹を有する対象の百分率は、群1では0.2%(1/496)、群2では0.4%(2/491)、および群3では0.3%(1/388)であった。強さのグレードは一般に以下の意味を有する。グレード1:活動に干渉しないグレード2:活動nいくらか干渉するグレード3:有意;毎日の活動を妨げる。
【0329】
ワクチン接種後に少なくとも1件の応答型全身反応を報告した対象の百分率は、群1(52.0%[258/496])と群2(51.0%[251/492])で同等であった。筋肉痛が最も一般的に報告された応答型全身反応であり、その後に頭痛および倦怠感が続き、発熱の報告は極めて少なかった。筋肉痛は、群1の対象の35.3%(175/496)、群2の対象の35.2%(173/492)から報告された。頭痛は、群1の対象の30.2%(150/496)、群2の対象の30.9%(152/492)から報告された。倦怠感は、群1の対象の26.0%(129/496)、群2の対象の26.4%(130/492)から報告された。発熱は、群1の対象の1.4%(7/494)、群2の対象の1.2%(6/488)から報告された。
【0330】
ワクチン接種後に少なくとも1件の応答型全身反応を有した対象の百分率は、群3(70.6%[274/388])と群4(65.9%[191/290])で同等であった。筋肉痛は、最も一般的に報告された応答型全身反応であった:群3の対象の61.3%(238/388)、群4の対象の55.4%(160/289)であった。頭痛は、群3の対象の33.8%(131/388)、群4の対象の29.0%(84/290)から報告された。倦怠感は、群3の対象の29.1%(113/388)、群4の対象の27.9%(81/290)から報告された。発熱は、群3の対象の1.6%(6/387)、群4の対象の0.7%(2/286)から報告された。全体的に、大多数の応答型全身反応は、グレード1またはグレード2の強さであり、D0~D3で始まり、1~3日間続いた。
【0331】
全体的に、グレード3の応答型全身反応を報告した対象の百分率は、群1(3.8%[19/496])と群2(4.3%[21/492])で同等であった。グレード3の応答型全身反応を報告した対象の百分率は、群3(7.5%[29/388])と群4(5.5%[16/290])で同等であった。最も頻繁に報告されたグレード3応答型全身反応は、筋肉痛であり、その後に倦怠感および頭痛が続いた。グレード3の筋肉痛を報告した対象の百分率は、群1(1.6%[8/496])と群2(1.8%[9/492])、および群3(4.6%[1.8/388])と群4(3.8%[11/289])で同等であった。グレード3の倦怠感を報告した対象の百分率は、群1(2.2%[11/496])と群2(2.8%[14/492])で同等であった。倦怠感は、群4(1.7%[5/290])よりも群3(2.6%[10/388])から頻繁に報告された。
グレード3の頭痛を報告した対象の百分率は、群1(1.8%[9/496])と群2(1.8%[9/492])の両方で同一であった。頭痛は、群4(1.7%[5/290])よりも群3(2.8%[11/388])から頻繁に報告された。
【0332】
全体的に、D0~D30で少なくとも1件の非応答型AEを報告した対象の百分率は、4研究群において同等であった:群1では対象の22.9%(115/503)、群2では対象の25.7%(129/501)、群3では対象の26.0%(102/392)、群4では対象22.6%(67/296)であった。わずかな対象しか即時型非応答型AEを報告しなかった:群1では対象の0.6%(3/503)、群2では対象の0.2%(1/501)、群3では対象の0.8%(3/392)、群4では対象の0.7%(2/296)であった。任意のアナフィラキシーまたは生命を脅かす事象を含む即時型SAEはなかった。12件の即時型非応答型AEが、23~37日間に9人対象から報告された。1人の対象は、ワクチン接種のD0後の6カ月間に1件の即時型非応答型AEを報告した。
【0333】
ワクチン接種のD0後に少なくとも1件の非応答型非重篤注射部位ARを報告した対象の百分率は、群1および群2で同等であり、それぞれ1.4%(7/503)および1.6%(8/501)であった。群4よりも群3において、少なくとも1件の非応答型非重篤注射部位ARを報告した対象の百分率は数値的に高く、それぞれ4.3%(17/392)および2.0%(6/296)であった。最も一般的に報告された比応答型注射部位反応は、そう痒であり、14人の対象から報告されており、その後に皮下出血が続き、13人の対象から報告された。これらの非応答型注射部位反応は、一般に任意のワクチン接種の後に起こるものである。
【0334】
MenACYW-TT結合体ワクチンまたはMENVEO(登録商標)注射部位で少なくとも1件の非応答型非重篤注射部位ARを報告した対象の百分率は、同等であった:群1では1.4%(7/503)、群2では1.6%(8/501)、および群3では1.8%(7/392)であった。群2における1人の対象は、1件のグレード3非応答型非重篤注射部位ARの注射部位温感を報告し、それはD0に始まり、4日間続き、自然に消散した。処置は行わなかった。グレード3の非応答型非重篤注射部位ARは、群1では報告されなかった、または群3のMenACYW-TT結合体ワクチン注射部位では、報告されなかった。
【0335】
30日以内に少なくとも1件の非応答型非重篤AEを報告した対象の百分率は、4研究群において同等であった:群1では対象の22.7%(114/503)、群2では対象の25.5%(128/501)、群3では対象の26.0%(102/392)、群4では対象の22.3%(66/296)であった。最も頻繁に報告されたものは、感染および侵襲(群1では対象の7.2%[36/503]、群2では対象の8.0%[40/501]、群3では対象の8.2%[32/392]、群4では対象の6.1%[18/296])であり、最も一般的なタイプは上気道感染であった。
【0336】
16人の対象が試験期間中にSAEを報告し、4人の対象はワクチン接種D0から30日以内にSAEを報告した。ワクチンに関連すると考えられたものはなく、研究を中止させたものはなかった。全ての患者が回復した。研究期間中に報告された死亡例は、なかった。
【0337】
青年においてMenACYW-TT結合体ワクチンによるワクチン接種は安全であり、単独で与えられたとき、またはTdapおよびHPVワクチンと同時に与えられたときに確認された安全性の問題は、なかった。MenACYW-TT結合体ワクチンの安全性プロファイルは、認可されたMENVEO(登録商標)ワクチンと同等であった。
【0338】
f)第III相臨床脂環1-青年および成人におけるMenACYW-TTのブースター用量の免疫原性および安全性
この研究は、青年(≧15~<18歳)および成人(18~59歳)に筋肉内投与された単回用量(30mMの酢酸ナトリウムによりpH6.0で緩衝された0.67%のNaCl中の、合計65μgのTTに結合された多糖を血清型当たり10μg)のMenACYW-TTの安全性および免疫原性を評価した。対象には、MenACYW-TT投与の4~10年前に1用量の四価髄膜炎菌結合体ワクチン(「プライミングワクチン(priming vaccine)」を与えた(群1;n=402)。
【0339】
認可された四価髄膜炎菌結合体ワクチンである、本明細書において「MenACYW-DT」と喚ばれる、Menactra(登録商標)(髄膜炎菌(群A、C、Y、およびW-135)莢膜糖ジフテリアトキソイド結合体ワクチンを、対照群(群2;n=407)に投与した。群2の対象には、4~10年前に1用量のプライミングワクチンも与えられている。
【0340】
両方の群において、プライミングワクチンはMenACYW-DT(全ての対象の86.3%)、MenACYW-CRM197(全ての対象の11.25%;MenACYW-CRM197は、臨床試験4に関して上記に考察されている)、または不明(全ての対象おn2.45%;群1では9人、群2では10人)であった。研究群の人口統計学は表17の通りであった。
【0341】
【0342】
hSBAおよび仔ウサギ血清殺菌力(rSBA)アッセイを、治療後の30日目に実施した。hSBAアッセイも6日目に実施した。陽性血清反応を示した対象の百分率を表18に提示する。hSBAの結果では、陽性反応は、ベースライン力価が<1:8の時にワクチン接種後力価が≧1:16であること、またはベースライン力価が≧1:8の時に、ワクチン接種後に4倍の増加があることのいずれかであった。群1の384人の対象および群2の389人の対象が、30日目に有効なhSBAの結果を有した。rSBAの結果では、陽性反応は、ベースライン力価が<1:8の時にワクチン接種後力価が≧1:32であること、またはベースライン力価が≧1:8の時に、ワクチン接種後に4倍の増加があることのいずれかであった。
【0343】
【0344】
30日目にhSBA力価≧1:8を示した対象の百分率は、全ての血清型において≧99%であり、以前に投与されたワクチンの素生によって有意に変動しなかった(データ示されず)。
【0345】
表19は、hSBAおよびrSBAにより測定した、0日目(治療前)および30日目の幾何学平均力価(GMT)を示す。30日目に、hSBAの結果を群全体として、およびMenACYW-DTおよびMenACYーCRM197を以前に受けたサブグループにより表した。
【0346】
【0347】
上記に表された結果は、MenACYW-TTの投与後の血清応答が、ブースターの30日後で4つ全ての血清型においてMenACYW-DTより大きかったことを、hSBAアッセイの使用によって実証した対象の百分率を示す。hSBAによるワクチン接種後GMTも、4つ全ての血清型において、MenACYW-DTに対して数値的に高かった。
【0348】
更に、単回用量のMenACYW-DTまたはMenACYW-CRM197を4~10年前に受けた成人および青年への単回用量のMenACYW-TTの投与は、十分に耐容され、新たな安全性の問題または安全性のシグナルを何も生じなかった。以下のことを安全性に関して観察した:ワクチン接種の30分後に報告された任意の非応答型全身AEの発生、性質、持続時間、強さ、およびワクチン接種との関連性;ワクチン接種後から7日間までに発生した応答型注射部位反応の発生、発症時点、発生の日数、強さ、行った処置、および反応が研究の早期中止をもたらしたか;ワクチン接種後から7日間までに発生した応答型全身反応の発生、発症時点、発生の日数、強さ、行った処置、および反応が研究の早期中止をもたらしたか;D30(+14日間)までに発生した非応答型AEの発生、発症時点、発生の日数、強さ、行った処置、ワクチン接種との関連性(全身AEのみ)、および事象が研究の早期中止をもたらしたか;ならびに試験全体にわたるSAEの発生、性質、発症時点、持続期間、重篤度基準、ワクチン接種との関連性、帰結、およびSAEが研究の早期中止をもたらしたか。応答型AEは、本質的に上記の第II相臨床試験4に記載された通りであった。
【0349】
全体的に、少なくとも1件の応答型反応を報告した対象の百分率は、群1と群2:において同等であった:それぞれ、群1では対象の64.3%(256/398)であり、群2では対象の65.4%(263/402)であった。少なくとも1件のグレード3応答型反応を報告した対象の百分率は、群1と群2において同等であった:それぞれ、群1では対象の5.0%(20/398)であり、群2では対象の5.5%(22/402)であった。少なくとも1件の応答型注射部位反応を報告した対象の百分率は、群1と群2において同等であった:それぞれ、群1では対象の46.5%(185/398)であり、群2では対象の49.3%(198/402)であった。最も頻繁に報告された応答型注射部位反応は、群1の対象の44.7%(178/398)、群2の対象の48.8%(196/402)から報告された疼痛であった。紅斑および腫脹は、あまり頻繁に報告されなかった。紅斑および腫脹は、群2(それぞれ、1.5%[6/402]および0.7%[3/402])よりも群1(それぞれ、5.0%[20/398]および4.0%[16/398])において高い頻度で報告された。大部分はグレード1の強さであり、グレード2の紅斑および腫脹を報告した対象の百分率は、群1(それぞれ、0.5%[2/398]および0.8%[3/398])と群2(90.2%[1/402]および0.5%[2/402])において同等であった。グレード3の紅斑および腫脹は、いずれの
群にからも報告されなかった。MenACYW結合体ワクチンまたはMenactra(登録商標)注射部位における大多数の反応は、グレード1または2の強さであり、大部分がD0~D3で始まり、大部分か1~3日間続いた。グレード3の応答型注射部位反応を報告した対象は、わずかであった:群1の対象の1.0%(4/398)、および群2の対象の2.0%(8/402)がグレード3の疼痛を報告した。いずれの群の対象もグレード3の紅斑または腫脹を報告しなかった。
【0350】
少なくとも1件の応答型全身反応を報告した対象の百分率は、群1と群2において同等であった:それぞれ、群1では対象の55.3%(220/398)であり、群2では対象の54.2%(218/402)であった。筋肉痛および頭痛が最も頻繁に報告された応答型全身反応であった:筋肉痛は、群1では対象の36.7%(146/398)から、群2では対象の38.8%(156/402)から報告され、頭痛は、群1では対象の37.9%(151/398)から、群2では対象の33.3%(134/402)から報告された。倦怠感は、群1の対象の27.6%(110/398)、群2の対象の26.9%(108/402)から報告された。発熱は、群1の対象から報告されず(0.0%[0/390])、群2の対象の0.5%(2/395)から報告された。全体的に、大多数の応答型全身反応は、グレード1またはグレード2の強さであり、D0~D30で始まり、1~3日間続いた。グレード3の応答型全身反応を報告した対象は、わずかであった:グレード3の応答型全身反応を報告した対象の百分率は、発熱(それぞれ、0.0%[0/390]および0.3%[1/395])、頭痛(それぞれ、2.3%[9/398]および.5%[14/402])、倦怠感(それぞれ、2.8%[11/398]および3.5%[14/402])、ならびに筋肉痛(それぞれ、2.0%[8/398]および2.2%[9/402])では、群1と群2で類似していた。
【0351】
D0~D30で少なくとも1件の非応答型非重篤AEを報告した対象の百分率は、群1(26.1%[105/402])と群2(25.3%[103/407])において同等であった。非応答型非重篤AEの数は、群1(n=164件のAE)と群2(n=164件のAE)において同一であった。非応答型非重篤AEの小さく同等な百分率は、D0の与えられたワクチンに関連すると考えられた:群1の対象では3.0%(12/402)、群2の対象では2.9%(12/407)であった。これらの事象の大部分は、グレード1またはグレード2の強さであった。
【0352】
群1では2人の対象(0.5%)が、少なくとも1件の即時型非応答型AE(両方の対象とも、めまい)を報告し、群2では対象者がいなかった(0.0%)。
【0353】
合計して、群1では5人の対象(1.2%)および群2では6人の対象(1.5%)が、少なくとも1件の非応答型非重篤注射部位ARを報告した。注射部位皮下出血は、群1において2人の対象(0.5%)、群2において3人の対象(0.7%)から報告された。注射部位そう痒は、群1において2人の対象(0.5%)、群2において1人の対象(0.2%)から報告された。注射部位温感は、群1において1人の対象(0.2%)から報告された。注射部位変色および注射部位じんま疹は、群2において、それぞれ1人の対象(0.2%)から報告された。注射部位変色はグレード3であり、研究の終了時まで続いた。
【0354】
筋肉痛は、感染および侵襲は、最も頻繁に報告された非応答型非重篤全身AE(群1では対象の7.5%(30/402)、群2では対象の6.6%[27/407])であった。最も頻繁に報告されたタイプの感染および侵襲は、群1では対象の1.7%(7/402)から、群2では対象1.7%(7/407)から報告された上咽頭炎、および群1では対象の1.0%(4/402)から、群2では対象の1.7%(7/407)から報告された上気道感染であった。また、頻繁に報告されたものは、呼吸器、胸郭、および縦
隔障害のSOCの報告されたものであった:群1では対象の6.0%(24/402)および群2では対象の6.6%(27/407)であり、咳および中咽頭疼痛が含まれた。ワクチン接種の30日以内の大部分の非応答型非重篤AEは、グレード1およびグレード2の強さであった。少なくとも1件のグレード3非応答型非重篤AEを報告した対象の百分率は、両方の群において同等であった:群1では対象の3.7%(15/402)であり、群2では対象の4.2%(17/407)であった。
【0355】
非応答型非重篤全身ARは、全身障害および投与部位状態の分類において最も頻繁に報告されており、群1では対象の2.2%(9/402)から、群2では対象の1.7%(7/407)から報告された。この分類において最も頻繁に報告された非応答型非重篤全身ARは、疲労であった:群1では対象の0.5%(2/402)から、群2では対象の0.2%(1/407)から報告された。群2の1人の対象だけがグレード3の非応答型重篤全身ARを報告した:胃腸障害のSOCのグレード3嘔気および全身障害および投与部位状態の分類におけるグレード3の疲労であった。両方ともD0に始まり、2日間続いた。嘔気には薬剤を摂取し、疲労には処置を行わなかった。
【0356】
いずれの群においても、研究を中止させるAEまたはARはなかった。3人の対象がワクチン接種した最初の30日以内にSAEを経験した:群1の1人の対象における両側性肺塞栓症、ならびに群2の1人の対象における大うつ病性障害および胸痛であった。これらのSAEのうち、研究者によってワクチンに関連すると考えられたものはなく、研究を中止させたものはなかった。
【0357】
6人の対象(群1の4人および群2の2人)は、6カ月の追跡調査にわたって、D30後に合計で6件のSAEを経験した:群1の4人の対象(1.0%)は、4件のSAEを経験し、群2の2人の対象(0.5%)は2件のSAEを経験した。SAEのうち、ワクチンに関連すると考えられたものはなく、研究を中止させたものはなかった。死亡例は、研究中に報告されなかった。
【0358】
四価髄膜炎菌結合体ワクチンで初回刺激された少なくとも15歳の青年および成人におけるMenACYW結合体ワクチンのブースター用量によるワクチン接種は、安全であることが見出され、確認された安全性の問題はなかった。全体的に、MenACYWT結合体ワクチンの安全性プロファイルは、認可されたワクチンであるMenactra(登録商標)と同等であった。
【0359】
7.MenACYW-TT液体製剤の安定性
MenACWY-CRM197/Menveo(登録商標)(CRM197との四価結合体であり、MenA結合体が凍結乾燥されている)、およびMCV4-TT/Nimenrix(登録商標)(完全に凍結乾燥されている、TTとの四価結合体)のような現存する髄膜炎菌多糖結合体ワクチンの一部または全ての構成成分は、液体製剤として長期保管されない。Menactra(登録商標)(TTとの四価結合体)は、液体製剤であるが、貯蔵寿命は24カ月である。最近の文献において、Beresfordらは、様々な現存するワクチンの安定性を特徴づけ、特定の条件下での脱重合および免疫原性の損失を観察して、「任意の新たに開発中のMenACWY多糖-タンパク質結合体ワクチンでは、主な推奨は、最終生成物を凍結乾燥して、免疫原性に影響を与える有害な分解を防止することを考慮すべき」との推奨を導き出した。Beresfordら、Vaccine 2017年6月16日;35巻(28号):要約、3598~3606頁。
【0360】
液体製剤は、これらが製造工程で凍結乾燥を必要としないこと、投与前に再構成工程を必要としないこと、および再構成に関連した過誤の危険性を回避することから、少なくとも有利である。当然のことながら、これらの利点は、生成物それ自他が免疫原性を損なう
分解を被る場合には、関係がなくなる。したがって、MenACYW結合体ワクチンは、液体製剤として24カ月を超えて安定していることが望ましい。本開示によるMenACYW-TTの安定性を以下のように特徴づけた。
【0361】
MenACYW-TTを、30mMの酢酸ナトリウムによりpH6.0で緩衝された0.67%のNaCl中に2℃~8℃で54カ月間保存し、0、1、3、6、9、12、18、24、30、36、42、48、および54カ月から選択された時点で安定性を試験した(表20を参照すること)。測定したパラメーターには、外観、滅菌性、異常な毒性の不在、それぞれの血清型における総多糖、遊離多糖の%、分子量、多分散度、pH、および免疫原性が含まれた。
【0362】
MenACYW-TTの加速安定性試験も、製剤を23℃~27℃で保管することによって実施した。試験は、1週間、3カ月間、および6カ月間に1回またはそれ以上実施した(表21を参照すること)。
【0363】
外観では、溶液は、2℃~8℃で54カ月および23℃~27℃で6カ月間の全期間中において透明のままであり、欠陥は認められなかった(上記の列挙された全ての時点で試験した)。
【0364】
異常な毒性の不在は、1用量のMenACYW-TTの投与後の齧歯類(マウスまたはモルモット)を観察することによって決定した。全ての試験において、全ての動物が投与後の28日間の試験期間で生存し、非特異的または未経験の応答はなく、動物は試験期間中に体重を減少しなかった。異常な毒性の試験は、0、12、24、36、42、48、および54カ月の時点で実施した。
【0365】
pHは、0カ月では6.1であり、全ての測定値は、時間経過の全体を通して6.1~6.3の範囲であった(pHの時点は、2℃~8℃で0、1、6、12、24、36、42、48、および54カ月、ならびに23℃~27℃で6カ月であった)。54カ月を含む試験時点のいずれにも増殖は観察されなかった(滅菌性の時点は、2℃~8℃で0、12、24、36、42、48、および54カ月、ならびに23℃~27℃で6カ月であった)。
【0366】
総多糖は、Dionex(商標)クロマトグラフィーにより測定した。遊離多糖の%は、Dionex(商標)クロマトグラフィーおよびデオキシオコール酸塩沈殿によって測定した。分子量および多分散度は、サイズ排除クロマトグラフィー/多角度光散乱(SEC/MALS)によって測定した。
【0367】
2℃~8℃の結果は表20にあり、23℃~27℃の結果は表21にある。
【0368】
【0369】
【0370】
結果は、2℃~8℃で54カ月および23℃~27℃の6カ月の期間全体を通して、良好な安定性を示した。特に、2℃~8℃では、4つ全ての血清型にはTTへの多糖の結合に最小限の損失(遊離多糖の%に0~3%の増加)しかなく、免疫原性は全ての時点において実質的に維持されたが、24カ月が例外であり、低い値は外れ値であると思われる、ならびに/または、36カ月以上の観察に基づく技術的な問題によってもたらされたと思われ、これらは、0および12カ月の測定に類似している。23℃~27℃では、6カ月間でMenA、MenY、およびMenWに遊離多糖が増加しているが、レベルは、許容限界の40%を下回ったままであった。免疫原性は、6カ月で依然として存在していた。
【0371】
これらの結果から、MenACYW-TTを、例えば、包装、流通、および保管の際に冷蔵下で液体製剤として長期間維持することができ、保存のための凍結乾燥または他の手段が不必要になると結論づけることができる。
【0372】
前述の発明は、理解の明瞭さを目的として例示および実施例によって一部の詳細が記載されているが、記載および実施例は、本発明の範囲を制限するものとして考慮されるべきではない。