(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】動作玩具、物品、及び玩具セット
(51)【国際特許分類】
A63H 3/04 20060101AFI20230809BHJP
A63H 3/52 20220101ALI20230809BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20230809BHJP
A63H 3/50 20060101ALI20230809BHJP
A63H 3/16 20060101ALI20230809BHJP
A63H 29/04 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
A63H3/04 Z
A63H3/52 B
A63H3/36 A
A63H3/50 Z
A63H3/16
A63H29/04 A
(21)【出願番号】P 2022043247
(22)【出願日】2022-03-17
(62)【分割の表示】P 2018216033の分割
【原出願日】2017-07-12
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 洋太
(72)【発明者】
【氏名】小林 史弥
【審査官】佐々木 祐
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-034697(JP,U)
【文献】特開2011-224202(JP,A)
【文献】特開平07-241387(JP,A)
【文献】特開昭49-076645(JP,A)
【文献】特開2006-006386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部に設けられた開閉部と、前記本体部に設けられた動作部とを備え、
前記動作部は、第1の面を有し、前記開閉部の開放により前記開閉部の開放が所定角度を超えたときに前記本体部に対する前記第1の面の向きを第1状態から第2状態へ変化可能に構成され、
前記本体部には、前記本体部に対する前記動作部を前記第2状態となるよう付勢する付勢部材と、前記動作部を前記第1状態で維持するため、前記動作部に設けられた第1の係合部と係合可能な被係合部とが設けられ、
前記被係合部への前記第1の係合部の係合は、前記開閉部が前記所定角度を超えたときに解除される、
動作玩具。
【請求項2】
前記本体部には、前記開閉部の前記所定角度以上の開放を抑制可能な開放抑制部が設けられる、
請求項1に記載の動作玩具。
【請求項3】
前記開放抑制部は、弾性部で構成され、
前記開閉部には、前記所定角度以上の開放状態において、前記弾性部と当接する当接部が設けられる、
請求項2に記載の動作玩具。
【請求項4】
前記動作玩具は、前記第1
の面に物品を装着可能とすることにより該物品を用いた遊戯に使用され、
前記本体部に対する前記第1の面の向きを前記第1状態から前記第2状態へ変化することによって、前記本体部に対する前記物品の向きも変化する、
請求項1に記載の動作玩具。
【請求項5】
前記動作部は、前記第1の面とは異なる第2の面を有し、
前記本体部と、前記開閉部と、前記動作部とによって画成される前記物品の収容空間に前記物品を収容している状態において、前記第1の面は露出せず、前記第2の面は露出する、
請求項
4に記載の動作玩具。
【請求項6】
前記開閉部は、前記本体部に回動可能に設けられ、
前記動作部は、前記本体部に回転可能に設けられる、
請求項1に記載の動作玩具。
【請求項7】
前記開閉部が回動する軸の方向と前記動作部が回転する軸の方向とは異なる、
請求項6に記載の動作玩具。
【請求項8】
前記動作部は、180度回転することで前記第2状態となる、
請求項6に記載の動作玩具。
【請求項9】
前記付勢部材は、前記動作部が前記第1状態にある場合において、前記第1の係合部が前記被係合部に係合するよう付勢する、
請求項1に記載の動作玩具。
【請求項10】
前記開閉部には、押圧部が設けられ、
前記動作部には、前記押圧部により押圧可能な被押圧部が設けられ、
前記被係合部への前記第1の係合部の係合は、前記開閉部の開放に応じた、前記押圧部による前記被押圧部への押圧により解除される、
請求項1に記載の動作玩具。
【請求項11】
前記動作部には、前記動作部を前記第2状態で維持するため、前記被係合部に係合可能な第2の係合部が設けられる、
請求項1に記載の動作玩具。
【請求項12】
前記開閉部は、前記第1状態および前記第2状態において前記開閉部が閉塞されたときに前記動作部を支持可能な支持部を有する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の動作玩具。
【請求項13】
前記動作部の前記第1の面には、前記物品の装着位置を決める位置決め部が設けられる、
請求項4に記載の動作玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を用いた遊戯に使用される動作玩具と、動作玩具に用いられる物品と、動作玩具と物品との組み合わせ等から成る玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
後記特許文献1には、缶体の底板から突出している床体の爪を机等に押し付けて当該爪と底板の爪穴との係合を外すことにより、ばねの力によって床体を押し上げて形象物が蓋体を開けつつ缶体から飛び出るように構成された缶詰玩具が開示されている。
【0003】
しかしながら、前記缶詰玩具の遊戯の主体は形象物を缶体から飛び出させることにあり、飛び出した形象物を元に戻す作業が面倒であるため、遊戯を繰り返し楽しむ観点からすると遊戯性の向上の点で改善の余地がある。また、前記缶詰玩具からは、前記缶詰玩具に入った状態から単に形象物が押し出されて飛び出すという単純な動きであり、さらなる遊戯性の向上が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、遊戯性を向上させた動作玩具と、この動作玩具に好適な物品と、これら動作玩具と物品との組み合わせ等から成る玩具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る動作玩具は、物品を用いた遊戯に使用される動作玩具であって、本体部と、前記本体部に設けられた開閉部と、前記本体部に設けられた動作部とを備え、前記本体部には、前記開閉部の所定角度以上の開放を抑制可能な開放抑制部が設けられ、前記動作部は、前記物品を装着可能な第1の面を有し、前記開閉部の開放により前記開閉部が前記開放抑制部に抑制される状態において前記開閉部の開放が前記所定角度を超えたときに前記本体部に対する前記第1の面の向きを第1状態から第2状態へ変化可能に構成される。また、本発明に係る動作玩具は、本体部と、前記本体部に設けられた開閉部と、前記本体部に設けられた動作部とを備え、前記動作部は、第1の面を有し、前記開閉部の開放により前記開閉部の開放が所定角度を超えたときに前記本体部に対する前記第1の面の向きを第1状態から第2状態へ変化可能に構成され、前記本体部には、前記本体部に対する前記動作部を前記第2状態となるよう付勢する付勢部材と、前記動作部を前記第1状態で維持するため、前記動作部に設けられた第1の係合部と係合可能な被係合部とが設けられ、前記被係合部への前記第1の係合部の係合は、前記開閉部が前記所定角度を超えたときに解除される。
【0007】
また、本発明に係る物品は、前掲の動作玩具に用いられる物品であって、前記動作玩具における動作部の前記第1の面に着脱可能に装着するための装着部を有する。
【0008】
さらに、本発明に係る玩具セットは、前掲の動作玩具と前掲の物品との組み合わせから成る。加えて、本発明に係る玩具セットは、前掲の動作玩具と、前掲の物品と、ハウス玩具との組み合わせから成る玩具セットであって、前記ハウス玩具は、ハウス本体部と、前記ハウス本体部に設けられたハウス開閉部を備え、前記ハウス本体部内には、前記物品を載置する第1載置部と、前記第1載置部とは異なる第2載置部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊戯性を向上させた動作玩具と、この動作玩具に好適な物品と、これら動作玩具と物品との組み合わせ等から成る玩具セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2(A)は
図1に示した動作部(第2シャフトおよび捻りコイルバネを含む)の第2の面が上を向いた状態を示す上面図、
図2(B)は同動作部の第1の面が上を向いた状態を示す上面図、
図2(C)は
図1(A)から第2部品を除外した図、
図2(C)は
図1(B)から第1部品を除外した図、
図2(E)は
図2(A)のS1-S1線断面図、
図2(F)は
図2(A)の左側面図である。
【
図14】
図14(A)は本発明に係るハウス玩具の上面図、
図14(B)は同ハウス玩具の前面図である。
【
図15】
図15(A)は
図14に示したハウス玩具の第1開閉部および第2開閉部を開放した状態を示す上面図、
図15(B)は同ハウス玩具のハウス開閉部を開放した状態を示す前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《動作玩具10:
図1~
図6》
まず、
図1および
図2を用いて、本発明に係る動作玩具10の構成について説明する。なお、この説明では、便宜上、
図1(A)の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右、上側を上、下側を下と表記し、他の図についてもこれらに準じて向きを表記する。
【0012】
動作玩具10は、本体部11と開閉部12と動作部13とを備えている。ちなみに、
図1は開閉部12が閉塞され、かつ、動作部13の第1の面MSが露出していない状態を示す。
【0013】
本体部11はポリプロピレンやABS樹脂等の合成樹脂から形成されている。
図1(D)に示されるように、本体部11を上から見た形状は略半円形であり、その下端には上から見た形状が略円形を成す底部11a(後述の
図4参照)が設けられている。また、
図1(C)に示されるように、本体部11の左端部分には、後記第1接続部12aを受容するための第1溝部11bと、後記第2接続部12cを受容するための第2溝部11cが、上下方向に間隔をおいて設けられている。この第1溝部11bと第2溝部11cを左から見た形状はいずれも略矩形である。さらに、
図1(C)に示されるように、本体部11の左端部分における第1溝部11bと第2溝部11cとの間には、開閉部12の開放角度を抑制するための弾性部11dが設けられている。この弾性部11dを左から見た形状は略矩形であり、当該弾性部11dは弾性変形可能な帯状部分(符号省略)と、同帯状部分の外面前側に設けられた隆起部分(符号省略)とを有している。さらに、
図1(A)、
図1(D)に示されるように、本体部11の右端部分には、開閉部12の凹部12eとの嵌め合わせを可能とした凸部11eが設けられている。さらに、
図1(D)に示されるように、本体部11の内面左側と内面右側には、上から見た形状が略三角形を成す被係合部11fが左右対称に設けられている。さらに、本体部11の左端部分(第1溝部11bと第2溝部11cと弾性部11dを除く)には、後記第1シャフト14を挿入するためのシャフト孔(符号省略)が上下方向に設けられている。さらに、本体部11の上部の左端部分と右端部分には、後記第2シャフト15を挿入するためのシャフト孔(符号省略)が左右方向に設けられている。
【0014】
開閉部12はポリプロピレンやABS樹脂等の合成樹脂から形成されている。
図1(D)に示されるように、開閉部12を上から見た形状は略半円形であり、その上下方向寸法は、本体部11の上下方向寸法から底部11aの上下方向寸法を減じた寸法に対応している。また、開閉部12の左端部分には、第1接続部12aが後側に突出するように設けられている。この第1接続部12aを左から見た形状は略矩形であり、当該第1接続部12aはシャフト孔(符号省略)を有している。さらに、第1接続部12aの外面には、左側および後側に張り出した押圧部12bが設けられている。この押圧部12bは、開閉部12の開放に応じて動作部13の被押圧部13cを押圧するものであり、同押圧をスムースに行えるようにその外面は曲面となっている。さらに、開閉部12の左端部分には、第1接続部12aと上下方向に間隔をおき、第2接続部12cが後側に突出するように設けられている。この第2接続部12cを左から見た形状は略矩形であり、当該第2接続部12cは第1接続部12aのシャフト孔と上下方向で向き合うシャフト孔(符号省略)を有している。さらに、開閉部12の左端における第1接続部12aと第2接続部12cとの間には、開閉部12の開放角度を抑制するための当接部12dが設けられている。この当接部12dを左から見た形状は略矩形であり、本体部11の弾性部11dの隆起部分に当接可能な隆起部分(符号省略)を有している。さらに、本体部11の右端部分には、本体部11の凸部11eとの嵌め合わせを可能とした凹部12eが設けられている。さらに、開閉部12の内面には、上から見た形状が略弓形を成す支持部12fが設けられている。
【0015】
本体部11に対する開閉部12の取り付けは、開閉部12の第1接続部12aを本体部11の第1溝部11bに挿入し、かつ、第2接続部12cを本体部11の第2溝部11cに挿入した後に、本体部11の第1シャフト14用のシャフト孔に上または下から第1シャフト14を差し込んで、当該第1シャフト14を第1接続部12aのシャフト孔と第2接続部12cのシャフト孔にも挿入することによって行われる。ちなみに、第1シャフト14はステンレス鋼等の金属から形成されている。すなわち、取り付け後の開閉部12は、第1シャフト14の軸線を中心として回動させることができる。
【0016】
動作部13はポリプロピレンやABS樹脂等の合成樹脂から形成されている。動作部13を上から見た形状は略小判形(円形の左右両側を平行に切り取ったような形状)であり、第1の面MSと第1の面とは異なる第2の面NMSを有する。
図1(D)および
図2(A)においては、上面が第2の面NMSとなっており、下面が第1の面MS(後記物品20の装着に好適な面、
図2(B)を参照)となっている。
図2(E)および
図2(F)から分かるように、動作部13は、上下に2分割された部品(第1部品13-1と第2部品13-2)をネジ止めや接着等により一体化して構成されている。
【0017】
動作部13の左面と右面の前側下部には、上から見た形状が略三角形を成す係合部(第2の係合部)13aが左右対称に設けられている。この係合部13aは、それぞれ、本体部11の被係合部11fとの係合を可能としている。また、動作部13の左面の後側上部には、上から見た形状が略矩形を成す係合部(第1の係合部)13bが設けられている。この係合部13bは、本体部11の左側の被係合部11fとの係合を可能としている。さらに、動作部の左面の後側下部には、上から見た形状が略矩形を成す被押圧部13cが設けられている。この被押圧部13cは、開閉部12の開放に応じて第1接続部12aの押圧部12bによって押圧されるものであり、その上下方向位置および寸法は第1接続部12aの押圧部12bの上下方向位置および寸法と対応している。
【0018】
さらに、動作部13の第1の面MSには、後記物品20の装着位置を決める位置決め部13dが設けられている(
図2(B)を参照)。本実施形態においては、位置決め部13dは凹部となっており、この凹部の外形は、後記物品20の脚部24の外形に対応しており、当該脚部24の一部を差し込めるようになっている。さらに、動作部13の第1の面MSの内側には、ステンレス鋼(オーステナイト系は除く)等から成る磁性部材13e、例えば強磁性部材が設けられている(
図2(C)を参照)。この磁性部材13eの外形は略円形であり、接着により第1部品13-1の内面に固着されている。勿論、この磁性部材13eの形状は、環状形であっても良いし、矩形状であっても良い。
【0019】
動作部13を構成する第1部品13-1と第2部品13-2の左面および右面の略中央には、略半円柱形の溝13fおよび13gが設けられている。この溝13fおよび13gは、第1部品13-1と第2部品13-2を一体化したときにシャフト孔として利用される(
図1(C)および
図1(D)を参照)。溝13fのサイズが溝13gのサイズよりも大きいのは、第2シャフト15に外装された捻りコイルバネ16を余裕をもって受容するための配慮である。また、第2部品13-2の内面には、第2シャフト15を回動可能に支持するシャフト支持部13hが設けられている(
図2(D)を参照)。このシャフト支持部13fは、2個の突起の間で第2シャフト15を回転可能に支持するようになっている。すなわち、動作部13における第2シャフト15の位置は、左側のシャフト孔(溝13gの組み合わせ)とシャフト支持部13hとによって定められている。
【0020】
第2シャフト15に外装された捻りコイルバネ16の一端部16aは、本体部11の右側の被係合部11fの下面に引っかけられる部分である(
図1(D)を参照)。また、捻りコイルバネ16の他端部16bは、第2部品13-2の内面に設けられた突起13iに引っかけられている(
図2(D)を参照)。
【0021】
本体部11に対する動作部13の取り付けは、第2部品13-2に捻りコイルバネ16を配置してから当該第2部品13-2に第1部品13-1を一体化した後、これを本体部11の内側上部に位置させて、本体部11の第2シャフト15用のシャフト孔に左または右から第2シャフト15を差し込んで、当該第2シャフト15を動作部13の左側のシャフト孔(溝13gの組み合わせ)とシャフト支持部13hと捻りコイルバネ16にも挿入することによって行われる(
図1を参照)。ちなみに、第2シャフト15と捻りコイルバネ166はステンレス鋼等の金属から形成されている。
【0022】
図1に示した状態(開閉部12が閉塞され、かつ、動作部13の第1の面MSが露出していない状態)では、捻りコイルバネ16は、動作部13を右から見て時計回り方向に付勢する役割(周方向付勢)を果たすとともに、動作部13を上から見て左方向に付勢する役割(軸線方向付勢)を果たしている。すなわち、動作部13は捻りコイルバネ16によって右から見て時計回り方向に付勢されているものの、上から見て左方向にも付勢されて係合部13bが本体部11の左側の被係合部11fに係合しているため、動作部13は第1の面MSが露出していない状態で維持されている。また、この状態では、動作部13の下面前側(第1の面MSの前側)の下に開閉部12の支持部12fが位置しているため、第2の面NMSの前側を下向きに押すことで右から見て反時計回り方向の外力が加わったとしても、動作部13は右から見て反時計回り方向には回転しない。なお、
図2には周方向付勢と軸線方向付勢を1個の捻りコイルバネ16で兼用したものを示したが、これを周方向付勢専用の第1バネ部材と軸線方向付勢専用の第2バネ部材とに分けて用いることも可能である。
【0023】
次に、
図3~
図6を用いて、前記動作玩具10の動作について説明する。なお、この説明では、便宜上、
図3の手前側を上、奥側を下、左側を左、右側を右、上側を後、下側を前と表記し、他の図についてもこれらに準じて向きを表記する。
【0024】
図1に示した状態(開閉部12が閉塞され、かつ、動作部13の第1の面MSが露出していない状態)では、本体部11と開閉部12と動作部13との協働によって物品収容空間(符号省略)が内部に画成されている。
【0025】
この
図1に示した状態から開閉部12を開放すると、
図3に示したように、当接部12dが本体部11の弾性部11dに当接したところで、一旦、開閉部12の開放角度が抑制される。なお、
図3には約90度回転したところで開閉部12の開放角度が抑制されている様子を示しているが、当接部12dと弾性部11dの位置関係を変えることにより、90度超過や90度未満の角度で開閉部12の開放角度を抑制することもできる。
【0026】
図3に示した状態で本体部11の弾性部11dの弾性に基づく抵抗に抗して開閉部12をさらに開放すると、
図4に示したように、開閉部12の第1接続部12aの押圧部12bが本体部11の内側に入り込んで動作部13の被押圧部13cが右方向に押圧され、この押圧によって捻りコイルバネ16の軸線方向付勢力に抗して動作部13が右方向に変位し(矢印を参照)、この変位によって係合部13bの本体部11の左側の被係合部11fに対する係合が解除される。なお、
図4にはさらに約20度回転したところで係合部13bの被係合部11fへの係合が解除される様子を示しているが、当接部12dと弾性部11dの位置関係を変えることにより、20度超過や20度未満の回転で係合部13bの被係合部11fへの係合を解除することもできる。
【0027】
動作部13の係合部13bの、本体部11の左側の被係合部11fに対する係合が解除されると、
図5に示したように、捻りコイルバネ16の周方向付勢力によって、動作部13は右から見て時計回り方向に約180度回転する。この回転は動作部13の各係合部13aが、本体部11の各被係合部11fに当接したところで停止し、これにより動作部13の第1の面MSが露出した状態となる。
【0028】
図5に示した状態から開閉部12を閉塞すると、
図6に示したように、開閉部12の支持部12fが動作部13の下面前側(第2の面NMSの前側)の下に入り込み、開閉部12の凹部12eが本体部11の凸部11eに嵌め込まれたところで開閉部12が完全に閉塞する。この状態では、動作部13は捻りコイルバネ16によって右から見て時計回り方向に付勢され、かつ、動作部13の各係合部13aが本体部11の各被係合部11fに係合しているため、動作部13は第1の面MSが露出している状態で維持されている。また、この状態では、動作部13の下面前側(第1の面MSの前側)の下に開閉部12の支持部12fが位置しているため、第1の面MSの前側を下向きに押すことで右から見て反時計回り方向の外力が加わったとしても、動作部13は右から見て反時計回り方向には回転しない。
【0029】
《物品20:
図7~
図13》
まず、
図7を用いて、本発明に係る物品20(前記動作玩具10に用いられる物品20)の構成について説明する。なお、この説明では、便宜上、
図7(A)の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右、上側を上、下側を下と表記し、他の図についてもこれらに準じて向きを表記する。
【0030】
物品20は、胴部21と頭部22と腕部23と脚部24を有する人形であり、ポリプロピレンやABS樹脂等の合成樹脂から形成されている。なお、
図7には胴部21と頭部22と腕部23と脚部24が一体化されたようなものを示したが、複数の部品によって構成されていても良いし、頭部22や腕部23等が回動可能に構成されていても良い。また、
図7には物品20として人形を示したが、動物を模したものや、アニメーションや漫画や小説等に登場するキャラクターを模したもの等であっても良いし、円柱や直方体等の形状を有する構造体であってもよい。
【0031】
先に述べたように、脚部24の外形は動作玩具10の動作部13の凹部13dの外形に対応している。また、胴部および脚部24の内部には略円柱状の空洞25が設けられていて、この空洞25には略円柱状の永久磁石25が上下方向に沿って移動可能に設けられている。この永久磁石25には、後述する動作部13の第1の面MSに装着された物品20が動作部13が回転したときに外れないように、高磁力のネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石等が好ましく使用できる。さらに、空洞25の上側には、ステンレス鋼(オーステナイト系は除く)等から成る磁性部材27、例えば強磁性部材が設けられている。この磁性部材27は棒状であり、差し込みによって物品20に固着されている。勿論、この磁性部材27は、物品20にねじ込んだネジ(複数の部品によって構成された物品20を組み立てるときに用いるネジも含む)や、物品20に埋め込んだ板状物であっても良い。
【0032】
永久磁石26は上下移動可能であり、かつ、その上側に磁性部材27が配置されていることから、
図7(D)に示したように、物品20を動作玩具10の動作部13の第1の面MSに装着していない状態では、永久磁石26は磁性部材27に引き寄せられて空洞25の上部に位置している。後に説明するが、物品20の磁性部材27が永久磁石26を引き寄せる力は、物品20を動作玩具10における動作部13の第1の面MSに装着したときに当該動作部13の磁性部材13eが永久磁石26を引き寄せる力よりも小さい。
【0033】
次に、
図8および
図9を用いて、前記物品20を前記動作玩具10における動作部13の第1の面MSに装着するときの操作について、作用効果を交えて説明する。なお、この説明では、便宜上、
図8の手前側を上、奥側を下、左側を左、右側を右、上側を後、下側を前と表記し、他の図についてもこれらに準じて向きを表記する。
【0034】
物品20を動作玩具10における動作部13の第1の面MSに装着するときには、
図6に示した状態(開閉部12が閉塞され、かつ、動作部13の第1の面MSが露出している状態)とする。そして、
図8および
図9に示したように、物品20の脚部24の一部を第1の面MSの凹部13dに差し込むようにして装着を行う。
【0035】
図9(A)に示したように、物品20が動作部13から離れているときは、永久磁石26は磁性部材27に引き寄せられて空洞25の上部に位置している。一方、
図9(B)に示したように、物品20が動作部13の第1の面MSに装着されたときには、永久磁石26は動作部13の磁性部材13eに引き寄せられて空洞25の下部に移動する。装着時に永久磁石26が空洞25の下部に移動する理由は、動作部13の磁性部材13eが永久磁石26を引き寄せる力が、物品20の磁性部材27が永久磁石26を引き寄せる力よりも大きいことにある。また、物品20の永久磁石26が空洞25の上部から下部に移動するときには衝突音が発生するため、遊戯者はこの衝突音によって物品20が動作部13の第1の面MSに装着されたことを聴覚によっても確認することができる。ここで、動作部13の第1の面MSに凹部13dが設けられていることにより、物品20に設けられた永久磁石25と第1の面MSに設けられた磁性部材27との上下方向における位置関係が対応するように物品20を第1の面MSに配置させることが可能となっている。さらに、凹部13dに差し込む形で物品20が第1の面MSに装着されることにより、動作部13の回転による物品20の第1の面MSの表面に沿う方向への移動が制限されるため、物品が第1の面MSから外れることを抑制することも可能となる。また、物品20は第2の面NMSに装着させることも可能であるが、磁性部材13eは動作部13の第1の面MS側に近い位置に設けられていることにより、物品20を第2の面NMSに装着する場合は、動作部13の磁性部材13eが永久磁石26を引き寄せる力が物品20を第1の面MSに装着させた場合よりも小さくなる。つまり、第2の面NMSにも物品20を装着可能ではあるが、第1の面MSに比べて動作部13への装着は安定しない。
【0036】
次に、
図10~
図13を用いて、前記物品20を前記動作玩具10に装着した後の遊戯方法について、作用効果を交えて説明する。なお、この説明では、便宜上、
図10の手前側を上、奥側を下、左側を左、右側を右、上側を後、下側を前と表記し、他の図についてもこれらに準じて向きを表記する。
【0037】
物品20を動作部13の第1の面MSに装着した後は、
図10に示したように、当接部12dが本体部11の弾性部11dに当接するまで開閉部12を開放する。このときの開放角度を調整できることは先に述べたとおりである。
【0038】
開閉部12を開放した後は、
図11に示したように、捻りコイルバネ16の周方向付勢力に抗して指先で動作部13の前側を下向きに押して、当該動作部13を右から見て反時計回り方向に約180度回転させる。この回転の終盤には、捻りコイルバネ16の軸線方向付勢力に抗して動作部13の係合部13bが本体部11の左側の被係合部11fを乗り越えるように当該動作部13が右方向に移動し、乗り越えたところで捻りコイルバネ16の軸線方向付勢力によって動作部13が左方向に移動して係合部13bの本体部11の左側の被係合部11fに係合する。また、動作部13の回転によって、当該動作部13の第1の面MSに装着されている物品20が反転して本体部11に入り込む。
【0039】
動作部13を回転した後は、
図12に示したように、開閉部12の凹部12eが本体部11の凸部11eに嵌め込まれるところまで開閉部12を閉塞する。この状態(開閉部12が閉塞され、かつ、動作部13の第1の面MSが露出していない状態)では、本体部11と閉塞部12と動作部13との協働によって物品収容空間が内部に画成されるため、反転して本体部11に入り込んだ物品20は当該物品収容空間に収容されることになる。
【0040】
図12に示した状態(開閉部12が閉塞され、かつ、動作部13の第1の面MSが露出していない状態)で物品20が露出した状態とするには、先に述べたように、係合部13bの被係合部11fへの係合が解除されるまで開閉部12を開放し、この後、開閉部12の凹部12eが本体部11の凸部11eに嵌め込まれるところまで開閉部12を閉塞すれば良い(
図13を参照)。
【0041】
すなわち、動作部13の第1の面MSに装着されている物品20を露出状態から収容状態に変化させる操作、及び当該物品20を収容状態から露出状態に変化させる操作は繰り返し行うことができるため、遊戯者はこの操作によって繰り返しの遊戯を楽しむことができる。また、
図8および
図9に示した状態では、第1の面MSに装着されている物品20を別種類の物品20に交換することができるため、この交換によって前記の繰り返しの遊戯をより一層楽しむことができる。また、第1の面MSの回転を伴って第1の面MSに装着された物品20が物品収容空間から動作玩具10の外側に露出するため、物品が単に物品収容空間から押し出されて外に飛び出る等の単純な動作と比較すると、物品20の露出の仕方という点での演出性において優れており、物品20を伴った動作玩具10の遊戯における興趣性がより向上する。
【0042】
《ハウス玩具30:
図14~
図16》
まず、
図14および
図15を用いて、本発明に係るハウス玩具30の構成について説明する。なお、この説明では、便宜上、
図14(B)の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右、上側を上、下側を下と表記し、他の図についてもこれらに準じて向きを表記する。
【0043】
ハウス玩具30は、本体部31と第1開閉部32と第2開閉部33を備えている。ちなみに、
図14は第1開閉部32と第2開閉部33が閉塞されている状態を示し、
図15は第1開閉部32と第2開閉部33が開放されている状態を示す。
【0044】
本体部31はポリプロピレンやABS樹脂等の合成樹脂から形成されている。本体部31を上から見た形状は略半円形であり、その上端には上から見た形状が略円形を成す頂部31aが設けられ、その下端には上から見た形状が略円形を成す底部32aが設けられている。また、本体部31の上下方向の略中央には、上から見た形状は略半円形を成す仕切部31cが設けられている。さらに、頂部31aと底部31bの左側には、後記第1シャフト34を挿入するためのシャフト孔(符号省略)が上下方向に設けられており、頂部31aと底部31bの右側には、後記第2シャフト35を挿入するためのシャフト孔(符号省略)が上下方向に設けられている。
【0045】
第1開閉部32と第2開閉部33はポリプロピレンやABS樹脂等の合成樹脂から形成されている。第1開閉部32を上から見た形状は略1/4円形(略4分円)であり、その左端部分には、後記第1シャフト34を挿入するためのシャフト孔(符号省略)が上下方向に設けられている。また、第2開閉部33を上から見た形状は略1/4円形(略4分円形)であり、その右端部分には、後記第2シャフト35を挿入するためのシャフト孔(符号省略)が上下方向に設けられている。さらに、第2開閉部33の内側には、上から見た形状は略半円形を成す棚部33aが、仕切部31cと上下方向位置が対応するように設けられている。
【0046】
本体部31に対する第1開閉部32の取り付けは、本体部31の頂部31aと底部31bの左側のシャフト孔の間に第1開閉部32のシャフト孔を位置させた後に、これらシャフト孔に上または下から第1シャフト34を差し込むことによって行われる。また、本体部31に対する第2開閉部33の取り付けは、本体部31の頂部31aと底部31bの右側のシャフト孔の間に第2開閉部33のシャフト孔を位置させた後に、これらシャフト孔に上または下から第2シャフト35を差し込むことによって行われる。ちなみに、第1シャフト34と第2シャフト35はステンレス鋼等の金属から形成されている。すなわち、取り付け後の第1開閉部32は第1シャフト34の軸線を中心として回動させることができ、取り付け後の第2開閉部33は第2シャフト35の軸線を中心として回動させることができる。つまり、第1開閉部32と第2開閉部33は、観音開きが行えるようになっている。なお、第1開閉部32と第2開閉部33は、例えば第1開閉部32と第1シャフト35と第1シャフト35用のシャフト孔を排除し、第2開閉部33を上から見た形状を略半円形とすることによって、前記動作玩具20と同様に開閉部を1個とすることもできる。
【0047】
また、ハウス玩具の内外面(本体部31と第1開閉部32と第2開閉部33の内外面)には、ステンレス鋼(オーステナイト系は除く)等から成る磁性部材36、例えば強磁性部材が複数個設けられている。この磁性部材36はネジであり、ねじ込みによって本体部31と第1開閉部32と第2開閉部33の内外面に固着されている。また、磁性部材36であるネジは、ハウス玩具を構成する第1構成部材(例えば壁部材、ヒンジ部材、床部材、装飾部材等)と第2構成部材(例えば壁部材、ヒンジ部材、床部材、装飾部材等)とを接続するためにも用いられる。勿論、この磁性部材36は、本体部31と第1開閉部32と第2開閉部33の内外面に埋め込まれた棒状物や板状物であっても良い。
【0048】
次に、
図16を用いて、前記ハウス玩具30の遊戯方法について、作用効果を交えて説明する。なお、この説明では、便宜上、
図16の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右、上側を上、下側を下と表記する。
【0049】
図14に示した状態(第1開閉部32と第2開閉部33が閉塞されている状態)では、本体部31と第1開閉部32と第2開閉部33との協働によって第1載置部と第2載置部とを有する上下2個の物品収容空間(符号省略)が内部に画成されている。また、
図15に示した状態(第1開閉部32と第2開閉部33が開放されている状態)では、上下2個の物品収容空間(符号省略)が開放されている。
【0050】
図7に示した物品20は永久磁石26を備えているため、ハウス玩具30の内外面に設けられた複数個の磁性部材36、例えば強磁性部材を選択的に用いて、物品20を装着することができる。例えば、
図16に示した状態(第1開閉部32と第2開閉部33が開放された状態)では、底部31bの磁性部材36が設けられた位置に物品20を縦向きに装着することができ、また、仕切部31cの磁性部材36が設けられた位置に物品20を縦向きに装着することができる。さらに、これら2個の物品20の一方の装着を解除して取り出し、棚部31cの磁性部材36設けられた位置に当該物品20を縦向きに装着することもできる。
【0051】
また、ハウス玩具30には前記以外の位置にも磁性部材36が設けられているため、第1開閉部32と第2開閉部33が開放されている状態、及び第1開閉部32と第2開閉部33が閉塞されている状態を問わず、また、ハウス玩具20の内外面を問わず、これら磁性部材36が設けられた位置に物品20を横向きに装着することもできる。
【0052】
すなわち、ハウス玩具30は、物品20の収容に使用できる他、内外面において他の磁性部材36が設けられた位置に選択的に物品20を装着する遊戯を楽しむことができる。
【0053】
次に、
図17を用いて、前記ハウス玩具30の他の遊戯方法について、作用効果を交えて説明する。なお、この説明では、便宜上、
図17の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右、上側を上、下側を下と表記する。
【0054】
図17は、
図14に示したハウス玩具30に
図12に示した動作玩具20を着脱可能に取り付けたものである。この取付手段には、一方側に設けた凸部と他方側に設けた凹部との嵌め合いや、一方側に設けた永久磁石と他方側に設けた磁性部材と引き寄せ等の他、専用の連結部材を用いた両者の連結等を採用することができる。なお、
図17にはハウス玩具30の上に動作玩具20を設置したものを示したが、本体部31と第1開閉部32と第2開閉部33の外面に動作玩具20を取り付けることも可能である。
【0055】
図17に示した動作玩具20の遊戯方法および作用効果は先に述べたとおりであり、
図17に示したハウス玩具30の遊戯方法および作用効果は先に述べたとおりであるため、ここでの説明を省略する。
【0056】
《玩具セットに関する補足》
遊戯者に対し好適な玩具セットとしては、(1)前記動作玩具10と前記物品20との組み合わせから成る玩具セット、(2)前記動作玩具10と前記物品20と前記ハウス玩具30との組み合わせから成る玩具セット、を挙げることができる。玩具セット(1)の場合には前記動作玩具10と前記物品20とを用いた前述の遊戯を行うことができ、玩具セット(2)の場合には前記動作玩具10と前記物品20とを用いた前述の遊戯の他に、前記物品20と前記ハウス玩具30とを用いた前述の遊戯を行うことができる。いずれの場合も前記物品20は1個でも十分であるが、複数種類をセットにすれば遊戯の楽しさおよび面白さを高めることができる。
【符号の説明】
【0057】
10…動作玩具、11…本体部、11b…第1溝部、11c…第2溝部、11d…弾性部、11f…被係合部、12…開閉部、12a…第1接続部、12b…押圧部、12c…第2接続部、12d…当接部、12f…支持部、13…動作部、MS…第1の面、NMS…第2の面、13a…係合部、13b…係合部、13c…被押圧部、13d…位置決め部、13e…磁性部材、14…第1シャフト、15…第2シャフト、16…捻りコイルバネ、20…物品、21…胴部、24…脚部、25…空洞、26…永久磁石、27…磁性部材、30…ハウス玩具、31…本体部、32…第1開閉部、33…第2開閉部、34…第1シャフト、35…第2シャフト、36…磁性部材。