(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20230809BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20230809BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20230809BHJP
H04N 25/778 20230101ALI20230809BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/67
H04N23/54
H04N25/778
(21)【出願番号】P 2022510287
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2020013789
(87)【国際公開番号】W WO2021192176
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 義尚
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-98931(JP,A)
【文献】特開2016-220078(JP,A)
【文献】特開2016-10065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/67
H04N 23/54
H04N 25/778
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が行方向および前記行方向に交差する方向に配列され、nを2以上の整数とすると、前記複数の画素は、それぞれ、1個のマイクロレンズと、n個の光電変換素子と、を備え、
前記複数の画素は、遮光されていない通常画素と、遮光されたオプティカルブラック画素であるOB画素と、を含み、前記マイクロレンズからの光を前記n個の光電変換素子により光電変換して生成されるn個の分割画素信号、に係る撮像信号を出力するイメージセンサと、
前記イメージセンサから出力される前記撮像信号を画像処理する画像処理回路と、
を具備し、
前記イメージセンサは、
前記行方向に配列された複数の画素でなる画素行毎に、前記n個の分割画素信号に係る前記撮像信号を、第1の読出モードまたは第2の読出モードで読み出し可能であり、
前記第1の読出モードは、前記n個の分割画素信号を加算して1個の画素信号を生成し、1画素行を1行で読み出すモードであり、
前記第2の読出モードは、前記n個の分割画素信号からn個の信号を生成し、1画素行をn行で読み出すモードであり、
前記通常画素の前記撮像信号を、前記第1の読出モードおよび前記第2の読出モードで読み出すとともに、前記OB画素の前記撮像信号を、前記第1の読出モードおよび前記第2の読出モードで読み出し、
前記画像処理回路は、
前記第1の読出モードで読み出される画素行の画素信号
から第1の画素データ配列を生成し、前記第2の読出モードで読み出される画素行の前記n個の信号
から1個の画素信号を生成または抽出して前記第1の画素データ配列と画素データの配列順序が同一の第2の画素データ配列を生成し、画素行毎に画素データが所定の順序で配列された画像データを生成する
第1の回路を有し、
前記第1の回路は、前記第2の読出モードで前記OB画素から読み出される前記n個の信号から生成または抽出されるOB画素信号と、前記第1の読出モードで前記OB画素から読み出されるOB画素信号と、を用いて、前記第2の読出モードで前記通常画素から読み出される前記n個の信号から生成または抽出される通常画素信号に、OBレベルの補正処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記イメージセンサは、前記第2の読出モードでは、前記n個の分割画素信号をn行で読み出し、
前記第1の回路は、
前記第2の読出モードで前記通常画素から読み出される前記n個の分割画素信号を加算して加算通常画素信号を生成し、
前記第2の読出モードで前記OB画素から読み出される前記n個の分割画素信号を加算して加算OB画素信号を生成し、
前記加算通常画素信号から前記加算OB画素信号を減算し、前記第1の読出モードで前記OB画素から読み出されるOB画素信号を加算して前記画素データを生成し、生成した前記画素データを配列して前記第2の画素データ配列を生成することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記イメージセンサは、第1のOBクランプ回路および第2のOBクランプ回路を備え、
前記第1のOBクランプ回路は、前記第1の読出モードで読み出される前記画素信号のOBクランプを行い、
前記第2のOBクランプ回路は、前記第2の読出モードで読み出される前記n個の分割画素信号のOBクランプを行うことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記イメージセンサは、前記第2の読出モードでは、前記n個の分割画素信号を加算した1個の画素信号と、前記1個の画素信号と組み合わせることにより前記n個の分割画素信号を生成可能な(n-1)個の信号とを、n行で読み出し、
前記第1の回路は、
前記第2の読出モードで前記通常画素から読み出される前記通常画素信号を抽出し、
前記第2の読出モードで前記OB画素から読み出される前記OB画素信号を抽出し、
前記通常画素信号から前記OB画素信号を減算し、前記第1の読出モードで前記OB画素から読み出されるOB画素信号を加算して前記画素データを生成し、生成した前記画素データを配列して前記第2の画素データ配列を生成することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記イメージセンサは、第1のOBクランプ回路および第2のOBクランプ回路を備え、
前記第1のOBクランプ回路は、前記第1の読出モードで読み出される前記画素信号のOBクランプと、前記第2の読出モードで読み出される前記1個の画素信号のOBクランプと、を行い、
前記第2のOBクランプ回路は、前記第2の読出モードで読み出される前記(n-1)個の信号のOBクランプを行うことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記イメージセンサは、1個のマイクロレンズに1つのフィルタ色が対応するように、複数のフィルタ色のカラーフィルタが所定の基本配列の繰り返しとして配置されたカラーイメージセンサであり、
前記第1の回路は、前記OBレベルの補正処理を、フィルタ色を区別して、フィルタ色毎に行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記イメージセンサの前記所定の基本配列は、ベイヤー配列であることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
複数の画素が行方向および前記行方向に交差する方向に配列され、nを2以上の整数とすると、前記複数の画素は、それぞれ、1個のマイクロレンズと、n個の光電変換素子と、を備え、前記マイクロレンズからの光を前記n個の光電変換素子により光電変換して生成されるn個の分割画素信号、に係る撮像信号を出力するイメージセンサと、
前記イメージセンサから出力される前記撮像信号を画像処理する画像処理回路と、
を具備し、
前記イメージセンサは、
前記行方向に配列された複数の画素でなる画素行毎に、前記n個の分割画素信号に係る前記撮像信号を、第1の読出モードまたは第2の読出モードで読み出し可能であり、
前記第1の読出モードは、前記n個の分割画素信号を加算して1個の画素信号を生成し、1画素行を1行で読み出すモードであり、
前記第2の読出モードは、前記n個の分割画素信号からn個の信号を生成し、1画素行をn行で読み出すモードであり、
前記画像処理回路は、
前記第1の読出モードで読み出される画素行の画素信号から第1の画素データ配列を生成し、前記第2の読出モードで読み出される画素行の前記n個の信号から1個の画素信号を生成または抽出して前記第1の画素データ配列と画素データの配列順序が同一の第2の画素データ配列を生成し、画素行毎に画素データが所定の順序で配列された画像データを生成する第1の回路と、
前記画像データに暗時シェーディング補正を行う第2の回路と、を備え、
前記第2の回路は、
前記第1の回路により生成される前記第1の画素データ配列の各画素データから、画素位置に応じた暗時シェーディングデータを減算し、
前記第1の回路により生成される前記第2の画素データ配列の各画素データから、画素位置に応じた前記暗時シェーディングデータをn倍したデータを減算することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
前記イメージセンサは、前記撮像信号のOBレベルをOBクランプレベルに設定するOBクランプ回路を備え、
前記画像処理回路は、補正用遮光画像を記憶するメモリを備え、
前記第2の回路は、前記メモリから前記補正用遮光画像を読み出して、前記補正用遮光画像から前記OBクランプレベルを減算して前記暗時シェーディングデータを生成することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
複数の画素が行方向および前記行方向に交差する方向に配列され、nを4以上の整数とすると、前記複数の画素は、それぞれ、1個のマイクロレンズと、n個の光電変換素子と、を備え、前記複数の画素は、遮光されていない通常画素と、遮光されたオプティカルブラック画素であるOB画素と、を含み、前記マイクロレンズからの光を前記n個の光電変換素子により光電変換して生成されるn個の分割画素信号、に係る撮像信号を出力するイメージセンサと、
前記イメージセンサから出力される前記撮像信号を画像処理する画像処理回路と、
を具備し、
前記イメージセンサは、
前記行方向に配列された複数の画素でなる画素行毎に、前記n個の分割画素信号に係る前記撮像信号を、第1の読出モードまたは第2の読出モードで読み出し可能であり、
前記第1の読出モードは、前記n個の分割画素信号を加算して1個の画素信号を生成し、1画素行を1行で読み出すモードであり、
前記第2の読出モードは、前記n個の分割画素信号からm(2≦m<n)個の信号を生成し、1画素行をm行で読み出すモードであり、
前記通常画素の前記撮像信号を、前記第1の読出モードおよび前記第2の読出モードで読み出すとともに、前記OB画素の前記撮像信号を、前記第1の読出モードおよび前記第2の読出モードで読み出し、
前記画像処理回路は、
前記第1の読出モードで読み出される画素行の画素信号から第1の画素データ配列を生成し、前記第2の読出モードで読み出される画素行の前記m個の信号から1個の画素信号を生成または抽出して前記第1の画素データ配列と画素データの配列順序が同一の第2の画素データ配列を生成し、画素行毎に画素データが所定の順序で配列された画像データを生成する第1の回路を有し、
前記第1の回路は、前記第2の読出モードで前記OB画素から読み出される前記m個の信号から生成または抽出されるOB画素信号と、前記第1の読出モードで前記OB画素から読み出されるOB画素信号と、を用いて、前記第2の読出モードで前記通常画素から読み出される前記m個の信号から生成または抽出される通常画素信号に、OBレベルの補正処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記イメージセンサは、前記第2の読出モードでは、前記n個の分割画素信号から生成される前記m個の信号をm行で読み出し、
前記第1の回路は、
前記第2の読出モードで前記通常画素から読み出される前記m個の信号から生成または抽出される加算通常画素信号を生成し、
前記第2の読出モードで前記OB画素から読み出される前記m個の信号から生成または抽出される加算OB画素信号を生成し、
前記加算通常画素信号から前記加算OB画素信号を減算し、前記第1の読出モードで前記OB画素から読み出されるOB画素信号を加算して前記画素データを生成し、生成した前記画素データを配列して前記第2の画素データ配列を生成することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記イメージセンサは、第1のOBクランプ回路および第2のOBクランプ回路を備え、
前記第1のOBクランプ回路は、前記第1の読出モードで読み出される前記画素信号のOBクランプを行い、
前記第2のOBクランプ回路は、前記第2の読出モードで読み出される前記m個の信号のOBクランプを行うことを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記イメージセンサは、前記第2の読出モードでは、前記n個の分割画素信号を加算した1個の画素信号と、前記1個の画素信号と組み合わせることにより前記m個の信号を生成可能な(m-1)個の信号とを、m行で読み出し、
前記第1の回路は、
前記第2の読出モードで前記通常画素から読み出される前記通常画素信号を抽出し、
前記第2の読出モードで前記OB画素から読み出される前記OB画素信号を抽出し、
前記通常画素信号から前記OB画素信号を減算し、前記第1の読出モードで前記OB画素から読み出されるOB画素信号を加算して前記画素データを生成し、生成した前記画素データを配列して前記第2の画素データ配列を生成することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記イメージセンサは、第1のOBクランプ回路および第2のOBクランプ回路を備え、
前記第1のOBクランプ回路は、前記第1の読出モードで読み出される前記画素信号のOBクランプと、前記第2の読出モードで読み出される前記1個の画素信号のOBクランプと、を行い、
前記第2のOBクランプ回路は、前記第2の読出モードで読み出される前記(m-1)個の信号のOBクランプを行うことを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記イメージセンサは、1個のマイクロレンズに1つのフィルタ色が対応するように、複数のフィルタ色のカラーフィルタが所定の基本配列の繰り返しとして配置されたカラーイメージセンサであり、
前記第1の回路は、前記OBレベルの補正処理を、フィルタ色を区別して、フィルタ色毎に行うことを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記イメージセンサの前記所定の基本配列は、ベイヤー配列であることを特徴とする請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記画像処理回路は、前記画像データに暗時シェーディング補正を行う第2の回路を備え、
前記第2の回路は、
前記第1の回路により生成される前記第1の画素データ配列の各画素データから、画素位置に応じた暗時シェーディングデータを減算し、
前記第1の回路により生成される前記第2の画素データ配列の各画素データから、画素位置に応じた前記暗時シェーディングデータをm倍したデータを減算することを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記イメージセンサは、前記撮像信号のOBレベルをOBクランプレベルに設定するOBクランプ回路を備え、
前記画像処理回路は、補正用遮光画像を記憶するメモリを備え、
前記第2の回路は、前記メモリから前記補正用遮光画像を読み出して、前記補正用遮光画像から前記OBクランプレベルを減算して前記暗時シェーディングデータを生成することを特徴とする請求項17に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素が複数に分割されたイメージセンサを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、像面位相差イメージセンサを搭載して、像面位相差AFを行うデジタルカメラ等の撮像装置が普及してきている。フォーカス位置を変更しながら取得した画像のコントラスト値のピークを探索する従来のコントラストAF方式に比べて、像面位相差AFはコントラスト値のピークを探索することなく、現在のフォーカス位置からフォーカスを合わせるためのフォーカスレンズの駆動方向と必要駆動量を取得することができるため、高速にフォーカスを合わせることができるという特徴がある。
【0003】
像面位相差イメージセンサは、瞳分割された光線を光電変換素子(光電変換素子の一例としてはフォトダイオード(PD)が挙げられ、以下では簡単のためにPDという)により光電変換して、位相差検知を可能とするものである。この像面位相差イメージセンサには、代表的な2つの方式があり、1つの方式は遮光式像面位相差イメージセンサ、他の1つの方式はPD分割方式像面位相差イメージセンサである。
【0004】
遮光式像面位相差イメージセンサは、画素内のマイクロレンズ下に配置されたPDへ入射する光線の一部を遮る遮光構造を備え、遮光構造の配置に応じて撮影レンズから入射する光線を瞳分割する方式のものである。
【0005】
一方、PD分割方式像面位相差イメージセンサは、遮光構造を備える代わりに、画素内におけるPDを分割することで、撮影レンズから入射する光線を瞳分割する方式のものである。PD分割方式における瞳分割の仕方は、PDの分割の仕方を変えることでなされる。
【0006】
例えば、日本国特開2016-105187号公報には、9分割されたPDの信号の、一部を加算平均することにより左瞳分割用の画素データを生成し、他の一部を加算平均することにより右瞳分割用の画素データを生成し、全てを加算平均することにより静止画用RAWデータの画素データを生成する技術が記載されている。
【0007】
PD分割方式像面位相差イメージセンサでは、位相差検知するペア(例えば左右ペア、上下ペアなど)を1画素内で構成できるのに対して、遮光式像面位相差イメージセンサでは1画素内で構成できず複数画素を要するために、前者は後者よりもフォーカス検知精度を大幅に向上することができる。
【0008】
その一方で、非像面位相差のイメージセンサと比べて、遮光式像面位相差イメージセンサはPDの数が変わらないが、PD分割方式像面位相差イメージセンサは画素の分割数nに応じてPDの数がn倍になる。その結果、PD分割方式像面位相差イメージセンサは、遮光式像面位相差イメージセンサ(および非像面位相差のイメージセンサ)に対して、信号読出時間がn倍となって、撮像レートおよび位相差情報の取得レートが1/nになってしまう。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、撮像レートの低下を抑制しながら位相差情報も取得することができる、画素が複数に分割されたイメージセンサを備える撮像装置を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による撮像装置は、複数の画素が行方向および前記行方向に交差する方向に配列され、nを2以上の整数とすると、前記複数の画素は、それぞれ、1個のマイクロレンズと、n個の光電変換素子と、を備え、前記複数の画素は、遮光されていない通常画素と、遮光されたオプティカルブラック画素であるOB画素と、を含み、前記マイクロレンズからの光を前記n個の光電変換素子により光電変換して生成されるn個の分割画素信号、に係る撮像信号を出力するイメージセンサと、前記イメージセンサから出力される前記撮像信号を画像処理する画像処理回路と、を具備し、前記イメージセンサは、前記行方向に配列された複数の画素でなる画素行毎に、前記n個の分割画素信号に係る前記撮像信号を、第1の読出モードまたは第2の読出モードで読み出し可能であり、前記第1の読出モードは、前記n個の分割画素信号を加算して1個の画素信号を生成し、1画素行を1行で読み出すモードであり、前記第2の読出モードは、前記n個の分割画素信号からn個の信号を生成し、1画素行をn行で読み出すモードであり、前記通常画素の前記撮像信号を、前記第1の読出モードおよび前記第2の読出モードで読み出すとともに、前記OB画素の前記撮像信号を、前記第1の読出モードおよび前記第2の読出モードで読み出し、前記画像処理回路は、前記第1の読出モードで読み出される画素行の画素信号から第1の画素データ配列を生成し、前記第2の読出モードで読み出される画素行の前記n個の信号から1個の画素信号を生成または抽出して前記第1の画素データ配列と画素データの配列順序が同一の第2の画素データ配列を生成し、画素行毎に画素データが所定の順序で配列された画像データを生成する第1の回路を有し、前記第1の回路は、前記第2の読出モードで前記OB画素から読み出される前記n個の信号から生成または抽出されるOB画素信号と、前記第1の読出モードで前記OB画素から読み出されるOB画素信号と、を用いて、前記第2の読出モードで前記通常画素から読み出される前記n個の信号から生成または抽出される通常画素信号に、OBレベルの補正処理を行う。
本発明の一態様による撮像装置は、複数の画素が行方向および前記行方向に交差する方向に配列され、nを2以上の整数とすると、前記複数の画素は、それぞれ、1個のマイクロレンズと、n個の光電変換素子と、を備え、前記マイクロレンズからの光を前記n個の光電変換素子により光電変換して生成されるn個の分割画素信号、に係る撮像信号を出力するイメージセンサと、前記イメージセンサから出力される前記撮像信号を画像処理する画像処理回路と、を具備し、前記イメージセンサは、前記行方向に配列された複数の画素でなる画素行毎に、前記n個の分割画素信号に係る前記撮像信号を、第1の読出モードまたは第2の読出モードで読み出し可能であり、前記第1の読出モードは、前記n個の分割画素信号を加算して1個の画素信号を生成し、1画素行を1行で読み出すモードであり、前記第2の読出モードは、前記n個の分割画素信号からn個の信号を生成し、1画素行をn行で読み出すモードであり、前記画像処理回路は、前記第1の読出モードで読み出される画素行の画素信号から第1の画素データ配列を生成し、前記第2の読出モードで読み出される画素行の前記n個の信号から1個の画素信号を生成または抽出して前記第1の画素データ配列と画素データの配列順序が同一の第2の画素データ配列を生成し、画素行毎に画素データが所定の順序で配列された画像データを生成する第1の回路と、前記画像データに暗時シェーディング補正を行う第2の回路と、を備え、前記第2の回路は、前記第1の回路により生成される前記第1の画素データ配列の各画素データから、画素位置に応じた暗時シェーディングデータを減算し、前記第1の回路により生成される前記第2の画素データ配列の各画素データから、画素位置に応じた前記暗時シェーディングデータをn倍したデータを減算する。
本発明の一態様による撮像装置は、複数の画素が行方向および前記行方向に交差する方向に配列され、nを4以上の整数とすると、前記複数の画素は、それぞれ、1個のマイクロレンズと、n個の光電変換素子と、を備え、前記複数の画素は、遮光されていない通常画素と、遮光されたオプティカルブラック画素であるOB画素と、を含み、前記マイクロレンズからの光を前記n個の光電変換素子により光電変換して生成されるn個の分割画素信号、に係る撮像信号を出力するイメージセンサと、前記イメージセンサから出力される前記撮像信号を画像処理する画像処理回路と、を具備し、前記イメージセンサは、前記行方向に配列された複数の画素でなる画素行毎に、前記n個の分割画素信号に係る前記撮像信号を、第1の読出モードまたは第2の読出モードで読み出し可能であり、前記第1の読出モードは、前記n個の分割画素信号を加算して1個の画素信号を生成し、1画素行を1行で読み出すモードであり、前記第2の読出モードは、前記n個の分割画素信号からm(2≦m<n)個の信号を生成し、1画素行をm行で読み出すモードであり、前記通常画素の前記撮像信号を、前記第1の読出モードおよび前記第2の読出モードで読み出すとともに、前記OB画素の前記撮像信号を、前記第1の読出モードおよび前記第2の読出モードで読み出し、前記画像処理回路は、前記第1の読出モードで読み出される画素行の画素信号から第1の画素データ配列を生成し、前記第2の読出モードで読み出される画素行の前記m個の信号から1個の画素信号を生成または抽出して前記第1の画素データ配列と画素データの配列順序が同一の第2の画素データ配列を生成し、画素行毎に画素データが所定の順序で配列された画像データを生成する第1の回路を有し、前記第1の回路は、前記第2の読出モードで前記OB画素から読み出される前記m個の信号から生成または抽出されるOB画素信号と、前記第1の読出モードで前記OB画素から読み出されるOB画素信号と、を用いて、前記第2の読出モードで前記通常画素から読み出される前記m個の信号から生成または抽出される通常画素信号に、OBレベルの補正処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態における撮像装置の構成を示すブロック図。
【
図2】上記実施形態における画像処理回路の構成を示すブロック図。
【
図3】上記実施形態のイメージセンサにおける、2分割および4分割の画素分割構成と読出回路との例を示す図表。
【
図4】上記実施形態のイメージセンサから通常読み出し方式で読み出され並替回路により並び替えられた画像データの一部を例示する図。
【
図5】上記実施形態のイメージセンサから加算読み出し方式で読み出され並替回路により並び替えられた画像データの一部を例示する図。
【
図6】上記実施形態のイメージセンサから読み出され並替回路により並び替えられた画像データの構成を示す図。
【
図7】上記実施形態のイメージセンサにおける1PD領域の読出回路の作用を示すタイミングチャート。
【
図8】上記実施形態のイメージセンサにおける2PD領域の読出回路の、通常読み出し方式における作用を示すタイミングチャート。
【
図9】上記実施形態のイメージセンサにおける2PD領域の読出回路の、加算読み出し方式における作用を示すタイミングチャート。
【
図10】上記実施形態において、イメージセンサが通常読み出し方式で動作し、イメージセンサのOBクランプ回路が1つであるときの、2PD領域から読み出された分割画素信号と、1PD領域から読み出された画素信号とのOBレベルの例を示す図。
【
図11】上記実施形態において、イメージセンサが通常読み出し方式で動作し、イメージセンサのOBクランプ回路が2つであるときの、2PD領域から読み出された分割画素信号と、1PD領域から読み出された画素信号とのOBレベルの例を示す図。
【
図12】上記実施形態において、加算読み出し方式で動作するイメージセンサの、2PD領域から読み出された画素信号(L+R)と、1PD領域から読み出された画素信号ALLとを、1つのOBクランプ回路でOBクランプしたときの、OBレベルの例を示す図。
【
図13】上記実施形態において、加算読み出し方式で動作するイメージセンサの、2PD領域から読み出された画素信号(L+R)と、1PD領域から読み出された画素信号ALLとに、CDS期間の差に起因するOBレベルの相違が発生する例を示す図。
【
図14】上記実施形態において、通常露光画像と、高速映像位相差読出露光画像と、補正用遮光画像と、における暗時シェーディングの例を示す図。
【
図15】上記実施形態において、高速映像位相差読出露光画像の暗時シェーディング補正方法を、通常露光画像の暗時シェーディング補正方法と対比して説明するための図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1から
図15は本発明の一実施形態を示したものであり、
図1は撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
なお、
図1には撮像装置が例えばデジタルカメラとして構成されている例を示すが、撮像装置はデジタルカメラに限定されるものではなく、デジタルビデオカメラ、撮影機能付き電話装置、電子内視鏡、撮影機能付き顕微鏡、撮影機能付き望遠鏡など、撮影機能を有する各種の装置の何れであっても構わない。
【0015】
この撮像装置は、
図1に示すように、レンズ1と、イメージセンサ2と、画像処理回路3と、ディスプレイ4と、手振センサ6と、手振補正機構7と、フォーカス制御機構8と、カメラ操作デバイス9と、カメラコントローラ10と、を備えている。なお、
図1には記録用メモリ5も記載されているが、この記録用メモリ5は撮像装置に対して着脱可能に構成されていても構わないために、撮像装置に固有の構成でなくてもよい。
【0016】
レンズ1は、被写体の光学像をイメージセンサ2に結像する撮像光学系である。このレンズ1は、焦点位置(ピント位置)を調節してフォーカシングを行うためのフォーカスレンズを含む1枚以上のレンズと、通過する光束の範囲を制御するための絞りと、を備え、さらに、本実施形態においては手振補正機能も備えたものとなっている。
【0017】
なお、図示はしないが、例えばレンズ1とイメージセンサ2との間に、露光時間を制御するためのメカニカルシャッタをさらに備えているものとする。
【0018】
イメージセンサ2は、レンズ1の撮影光軸の光路上に配置されていて、レンズ1により結像された被写体の光学像を光電変換して電気信号である撮像信号として出力する。
【0019】
イメージセンサ2は、複数の画素が行方向および行方向に交差する方向に配列されている。行方向に交差する方向は、一例としては行方向に直交する方向(列方向)が挙げられるが、これに限定されるものではなく、行方向に斜交する方向(例えば、いわゆるハニカム構造の配置)などであっても構わない。
【0020】
nを2以上の整数とすると、イメージセンサ2に設けられた複数の画素は、それぞれ、1個のマイクロレンズML(
図3参照)と、n個の光電変換素子PD(
図3参照)と、を備えている。なお、一般的な光学レンズは、光軸方向に沿って複数枚で構成されていることが通常である。従って、光軸方向に沿って複数枚で構成したマイクロレンズMLの場合にも、1個のマイクロレンズMLと数えることにする。
【0021】
そして、イメージセンサ2は、マイクロレンズMLからの光をn個の光電変換素子PDにより光電変換して生成されるn個の分割画素信号、に係る撮像信号を出力する。
【0022】
ここに、n個の分割画素信号に係る撮像信号は、1画素がL(左)とR(右)に2分割されている場合を例に挙げれば、n個の分割画素信号自体(分割画素信号Lおよび分割画素信号R)、n個の分割画素信号を構成可能な信号(画素信号(L+R)および分割画素信号L)(または、画素信号(L+R)および分割画素信号R)n個の分割画素信号を加算して得られる画素信号(2PD領域からの画素信号(L+R)、1PD領域からの画素信号ALL)などである。
【0023】
イメージセンサ2は、1個のマイクロレンズMLに1つのフィルタ色が対応するように、複数のフィルタ色のカラーフィルタが所定の基本配列の繰り返しとして配置されたカラーイメージセンサとなっている。ただし、イメージセンサ2はカラーイメージセンサに限定されるものではなく、モノクロイメージセンサであっても構わない。
【0024】
イメージセンサ2の所定の基本配列は、例えば2×2画素のベイヤー配列(原色ベイヤー配列、補色ベイヤー配列など)が挙げられるが、これに限らず、6×6画素の基本配列などであっても構わない。本実施形態では、所定の基本配列が原色ベイヤー配列である場合を説明する。
【0025】
こうして、イメージセンサ2は、画素が複数の分割画素に分割された、いわゆるPD分割方式像面位相差イメージセンサとなっている。
【0026】
ここで、
図3は、イメージセンサ2における、2分割および4分割の画素分割構成と読出回路との例を示す図表である。
【0027】
原色ベイヤー配列は、縦2×横2画素を基本配列として、基本配列を行方向および列方向に周期的に繰り返したものとなっている。原色ベイヤー配列の基本配列は、対角位置に緑色フィルタGr,Gbを配置し、緑色フィルタGrと同一行に赤色フィルタRrを、緑色フィルタGbと同一行に青色フィルタBbを、それぞれ配置したものである。
【0028】
ここに、緑色フィルタGrと緑色フィルタGbは分光特性が同一であるが、赤色フィルタRrと青色フィルタBbとの何れと同一行であるかに応じて区別している。なお、左(L)右(R)のRと区別するために、フィルタ色の赤はRrと記載しており、青も同様にBbと記載している。
【0029】
そして、1個の画素には、4つのフィルタ色Rr,Gr,Gb,Bbの内の何れか1つのフィルタ色のカラーフィルタと、1個のマイクロレンズMLと、が含まれている。ここに、非像面位相差のイメージセンサ(または、遮光式像面位相差イメージセンサ)の場合には、1個の画素に1個の光電変換素子PDが対応する構成となるが、本実施形態の、PD分割方式像面位相差イメージセンサであるイメージセンサ2は、画素の分割数nに応じたn個の光電変換素子PDが1個の画素に含まれる構成となっている。
【0030】
また、イメージセンサ2に設けられている複数の画素は、遮光膜等が形成されておらず遮光されていない通常画素と、画素の受光部上の全面に遮光膜等が形成されていて遮光された画素であるOB(オプティカルブラック(Optical Black):光学黒)画素と、を含む。通常画素およびOB画素の配置例については、後で
図6を参照して説明する。
【0031】
図3の第1欄は1個の画素が右(R)左(L)に2分割された例を示している。なお、
図3において、表の横並びを上から下に向かって順に第1欄~第3欄と呼んでいる。
【0032】
ここに、1個のマイクロレンズMLに対するn個の光電変換素子PDの配置を、分割配置と呼ぶことにする。このとき、第1欄に示す分割配置は、左(L)および右(R)の2種類(n=2)である。このRL分割配置は、横方向の位相差検知(いわゆる縦線検知)に適している。
【0033】
そして、各フィルタ色Rr,Gr,Gb,Bbの画素に対して、2つの分割配置の光電変換素子PD、すなわち、左側の光電変換素子PDL,右側の光電変換素子PDRがそれぞれ設けられている。各光電変換素子PDL,PDRは、例えばフォトダイオードとして構成され、入射光を光電変換して電荷を発生させる。
【0034】
各光電変換素子PDL,PDRは、読出スイッチとして機能するトランジスタTrL,TrRをそれぞれ経由して、フローティングディフュージョンFDに接続されている。
【0035】
このような構成において、トランジスタTrL,TrRの1つ以上をオンすれば、オンにされたトランジスタTrに接続されている光電変換素子PDの電荷がフローティングディフュージョンFDへ転送される。
【0036】
従って、トランジスタTrL,TrRの何れか1つだけをオンすれば、光電変換素子PDL,PDRの内の何れか1つだけの電荷がフローティングディフュージョンFDへ転送され、後述するように、分割画素信号Lまたは分割画素信号Rを読み出すことができる。
【0037】
また、トランジスタTrL,TrRの2つをオンすれば、光電変換素子PDL,PDRの電荷がフローティングディフュージョンFDへ転送され、つまり、2個の光電変換素子PDL,PDRの電荷が加算されて、通常(L+R)の画素信号を読み出すことができる。
【0038】
フローティングディフュージョンFDおよびトランジスタTrL,TrRは、リセットスイッチとして機能するトランジスタTrRESを経由して、電源電圧VDDに接続されている。トランジスタTrRESをオンすることで、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。このときさらに、トランジスタTrL,TrRを同時にオンすれば、各光電変換素子PDL,PDRもリセットされる。
【0039】
フローティングディフュージョンFDは、トランジスタTrAMPとトランジスタTrSELとを経由して、垂直信号線VSLに接続されている。ここに、トランジスタTrAMPは、電源電圧VDDに接続されトランジスタTrSELを経由し図示していない定電流回路と接続されて増幅回路として機能し、トランジスタTrSELは、選択スイッチとして機能する。
【0040】
そして、トランジスタTrSELをオンすることで、フローティングディフュージョンFDの電圧値がトランジスタTrAMPにより増幅されて、垂直信号線VSLから読み出されるようになっている。
【0041】
次に、
図3の第2欄は1個の画素が上(U)下(D)に2分割された例を示している。
【0042】
すなわち、第2欄に示す分割配置は、上(U)および下(D)の2種類(n=2)である。このUD分割配置は、縦方向の位相差検知(いわゆる横線検知)に適している。
【0043】
そして、各フィルタ色Rr,Gr,Gb,Bbの画素に対して、2つの分割配置の光電変換素子PD、すなわち、上側の光電変換素子PDU,下側の光電変換素子PDDがそれぞれ設けられている。各光電変換素子PDU,PDDは、例えばフォトダイオードとして構成され、入射光を光電変換して電荷を発生させる。
【0044】
なお、読出回路は、LRがUDになった点を除いて、RL2分割の場合と同様である。
【0045】
そして、トランジスタTrU,TrDの何れか1つだけをオンすれば、U分割画素信号またはD分割画素信号を読み出すことができる。
【0046】
一方、トランジスタTrU,TrDの2つをオンすれば、2個の光電変換素子PDU,PDDの電荷が加算されて、通常(U+D)の画素信号を読み出すことができる。
【0047】
続いて、
図3の第3欄は1個の画素が右(R)左(L)上(U)下(D)に4分割された例を示している。
【0048】
第3欄に示す分割配置は、左上(LU),右上(RU),左下(LD),右下(RD)の4種類(n=4)である。この4分割配置は、横方向の位相差検知(いわゆる縦線検知)と、縦方向の位相差検知(いわゆる横線検知)と、の何れにも適している。
【0049】
そして、各フィルタ色Rr,Gr,Gb,Bbの画素に対して、4つの分割配置の光電変換素子PD、すなわち、左上側の光電変換素子PDLU,右上側の光電変換素子PDRU,左下側の光電変換素子PDLD,右下側の光電変換素子PDRDがそれぞれ設けられている。各光電変換素子PDLU,PDRU,PDLD,PDRDは、例えばフォトダイオードとして構成され、入射光を光電変換して電荷を発生させる。
【0050】
各光電変換素子PDLU,PDRU,PDLD,PDRDは、読出スイッチとして機能するトランジスタTrLU,TrRU,TrLD,TrRDをそれぞれ経由して、フローティングディフュージョンFDに接続されている。
【0051】
このような構成において、トランジスタTrLU,TrRU,TrLD,TrRDの1つ以上をオンすれば、オンにされたトランジスタTrに接続されている光電変換素子PDの電荷がフローティングディフュージョンFDへ転送される。
【0052】
従って、トランジスタTrLU,TrRU,TrLD,TrRDの内の1つだけをオンすれば、光電変換素子PDLU,PDRU,PDLD,PDRDの内の1つだけの電荷がフローティングディフュージョンFDへ転送され、LU分割画素信号、RU分割画素信号、LD分割画素信号、またはRD分割画素信号として読み出すことができる。
【0053】
また、トランジスタTrLU,TrRU,TrLD,TrRDの内の2つ以上をオンすれば、光電変換素子PDLU,PDRU,PDLD,PDRDの内の2つ以上の電荷がフローティングディフュージョンFDへ転送され、つまり、2個以上の光電変換素子PDの電荷が加算されて読み出すことができる。
【0054】
従って、例えばUD加算を行うことで、L(LU+LD)分割画素信号、R(RU+RD)分割画素信号を読み出すことができる。この読み出し方法を採用する場合には、1個の画素がRLに2分割されている(n=2である)ものとして取り扱うことができる。
【0055】
また例えばRL加算を行うことで、U(LU+RU)分割画素信号、D(LD+RD)分割画素信号を読み出すことができる。この読み出し方法を採用する場合には、1個の画素がUDに2分割されている(n=2である)ものとして取り扱うことができる。
【0056】
さらに例えばRLUD加算を行うことで、通常(LU+RU+LD+RD)の画素信号を読み出すことができる。
【0057】
加えて、RLUD4分割の画素の内の3つを加算(具体的に、LU+RU+LD、LU+RU+RD、LU+LD+RD、RU+LD+RD)した分割画素信号を読み出すことも可能となっている。
【0058】
フローティングディフュージョンFDおよびトランジスタTrLU,TrRU,TrLD,TrRDは、リセットスイッチとして機能するトランジスタTrRESを経由して、電源電圧VDDに接続されている。トランジスタTrRESをオンすることで、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。このときさらに、トランジスタTrLU,TrRU,TrLD,TrRDを同時にオンすれば、各光電変換素子PDLU,PDRU,PDLD,PDRDもリセットされる。
【0059】
フローティングディフュージョンFDは、電源電圧VDDに接続されトランジスタTrSELを経由し図示していない定電流回路と接続されて増幅回路として機能するトランジスタTrAMPと、選択スイッチとして機能するトランジスタTrSELと、を経由して垂直信号線VSLに接続されている。
【0060】
そして、トランジスタTrSELをオンすることで、フローティングディフュージョンFDの電圧値がトランジスタTrAMPにより増幅されて、垂直信号線VSLから読み出されるようになっている。
【0061】
このようなPD分割方式像面位相差イメージセンサから、画素内の全ての分割画素を加算して画素信号を生成し読み出す(適宜、映像読出モードという)と、画素分割されていない通常のイメージセンサから画素信号を読み出す場合と同様の読出時間で読み出すことができるが、位相差情報を得ることができない。
【0062】
一方、PD分割方式像面位相差イメージセンサから全ての分割画素を読み出す(適宜、全位相差読出モードという)と、分割画素を加算して画素信号を生成し読み出す場合に比べて、2分割の場合には約2倍の読出時間が、4分割の場合には約4倍の読出時間がかかるために、撮像レートが低下してしまう。
【0063】
そこで、本実施形態のイメージセンサ2は、行方向に配列された複数の画素でなる画素行毎に、n個の分割画素信号に係る撮像信号を、第1の読出モードまたは第2の読出モードで読み出す(ある画素行を第1の読出モードで読み出し、他の画素行を第2の読出モードで読み出す)ことが可能となっている。このような読出モードを、適宜、高速映像位相差読出モードと呼ぶことにする。
【0064】
この高速映像位相差読出モードにおいて、イメージセンサ2は、通常画素の撮像信号を、第1の読出モードおよび第2の読出モードで読み出す(ある通常画素行を第1の読出モードで読み出し、他の通常画素行を第2の読出モードで読み出す)とともに、OB画素の撮像信号を、第1の読出モードおよび第2の読出モードで読み出す(あるOB画素行を第1の読出モードで読み出し、他のOB画素行を第2の読出モードで読み出す)。
【0065】
ここに、第1の読出モードは、n個の分割画素信号を加算して1個の画素信号を生成し、1画素行を1行で読み出すモードである。第1の読出モードでは、1個の画素が1個の光電変換素子PDのみで構成されている(つまり分割されていない)状態と同等の画素信号が出力されることから、適宜、「1PD」と記載する。
【0066】
また、第2の読出モードは、n個の分割画素信号からn個の信号を生成し、1画素行をn行、または、それより少ない自然数(1以上の整数)行で読み出すモードである。この第2の読出モードには、後述するように、通常読み出し方式と加算読み出し方式の2つがあるが、何れの方式で読み出したとしても、n個、または、それより少ない自然数(1以上の整数)の信号を出力することから、適宜、その読み出し行数を用いた「kPD」ここで、kは自然数(1以上の整数)でn以下の値(2分割の場合でk=nの場合には「2PD」)と記載する。
【0067】
このように第1の読出モードで読み出す画素行と第2の読出モードで読み出す画素行との両方を設けることより、撮像レートの低下を抑制しながら、位相差情報も取得することが可能となる。
【0068】
なお、本実施形態のイメージセンサ2は、上述した映像読出モードおよび全位相差読出モードでも動作可能であるが、以下では、高速映像位相差読出モードで動作する場合について説明する。
【0069】
読出回路から読み出された撮像信号は、イメージセンサ2内に設けられた図示しない列並列型A/D変換器(いわゆるカラムADC)によりデジタル信号に変換され、イメージセンサ2内に設けられたOBクランプ回路2aによりOBレベルを所定の目標レベル(OBクランプレベル)(固定値)に設定される。ここに、カラムADCおよびOBクランプ回路2aは、1つずつ設けられているに限らず、読出速度を向上するため等により複数設けられていることもある。
【0070】
画像処理回路3は、イメージセンサ2から出力される撮像信号(n個の光電変換素子PDにより生成されたn個の分割画素信号に係る、撮像信号)を入力して、入力した信号に各種の画像処理を行い、表示用もしくは記録用の画像信号を生成するものである。
【0071】
ディスプレイ4は、画像処理回路3により表示用に画像処理された信号に基づき、画像を表示する表示デバイスである。このディスプレイ4は、ライブビュー表示、撮影後の静止画像のレックビュー表示、記録済みの静止画像の再生表示、動画録画中表示、記録済みの動画像の再生表示等を行うとともに、この撮像装置に係る各種の情報等も表示するようになっている。
【0072】
記録用メモリ5は、画像処理回路3により記録用に画像処理された信号(静止画像信号、動画像信号など)を保存するためのものであり、例えば撮像装置に着脱可能なメモリカード、もしくは撮像装置の内部に設けられている不揮発性メモリ等により構成されている。
【0073】
手振センサ6は、加速度センサや角速度センサ等を有して構成され、撮像装置の手振れを検出してカメラコントローラ10へ出力するセンシングデバイスである。
【0074】
手振補正機構7は、カメラコントローラ10の制御に基づいて、手振センサ6により検出された手振れを相殺するようにレンズ1とイメージセンサ2との少なくとも一方をアクチュエータ等により移動し、イメージセンサ2に結像される光学的な被写体像に手振れの影響が生じるのを軽減するメカニカル機構である。
【0075】
フォーカス制御機構8は、カメラコントローラ10の制御に基づいて、レンズ1に含まれるフォーカスレンズを駆動し、イメージセンサ2に結像される被写体像が合焦に至るようにするメカニカル機構である。また、フォーカス制御機構8は、レンズ位置などのレンズ駆動情報をカメラコントローラ10へ出力するようになっている。
【0076】
カメラ操作デバイス9は、撮像装置に対する各種の操作を行うための入力デバイスである。カメラ操作デバイス9には、例えば、撮像装置の電源をオン/オフするための電源スイッチ、静止画撮影または動画撮影などを指示入力するためのレリーズボタン、静止画撮影モード、動画撮影モード、ライブビューモード、静止画/動画再生モードなどを設定するためのモードボタン、記録するファイルの種類(JPEG画像ファイル、RAW画像ファイル、もしくはこれらの組み合わせ等)を設定するための操作ボタン、などの操作部材が含まれている。
【0077】
カメラコントローラ10は、画像処理回路3からの情報(後述するように、露光レベル、コントラスト、位相差などの情報を含む)、手振センサ6からの手振情報、フォーカス制御機構8からのレンズ駆動情報、カメラ操作デバイス9からの入力などに基づいて、レンズ1、イメージセンサ2、画像処理回路3、記録用メモリ5、手振補正機構7、フォーカス制御機構8等を含むこの撮像装置全体を制御するものである。
【0078】
例えば、カメラコントローラ10は、イメージセンサ2を駆動制御して撮像を行わせる。また、カメラコントローラ10は、露光レベルの情報に基づいて、レンズ1の絞りを制御するようになっている。
【0079】
さらに、カメラコントローラ10は、コントラストまたは位相差の情報に基づいてフォーカス制御機構8を制御し、レンズ1のフォーカスレンズを駆動させて、コントラストAFまたは位相差AFによるオートフォーカスを行わせる。
【0080】
次に、
図2は、画像処理回路3の構成を示すブロック図である。
【0081】
画像処理回路3は、画像データ生成回路11と、第1画像処理回路12と、メモリ13と、第2画像処理回路14と、を備えている。
【0082】
画像データ生成回路11は、イメージセンサ2から出力される撮像信号に、イメージセンサの特性に応じた補正処理等を行って、画像データを生成する。
【0083】
第1画像処理回路12は、画像データ生成回路11から出力される信号に基づき、リサイズ、AE(自動露出)、AF(オートフォーカス)に係る処理を行う。
【0084】
メモリ13は、画像データ生成回路11、第1画像処理回路12、および第2画像処理回路14により処理された、もしくは処理途中の画像データを記憶するフレームメモリであり、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶部分と、FROM(Flash ROM:フラッシュメモリ(登録商標)(flash memory))等の不揮発性記憶部分と、を備えて構成されている。ここで、一般的に不揮発性記憶部分に記憶された各種データは揮発性記憶部分へ転送された後、各種処理に使用されるような使われ方をする。また、揮発性記憶部分のデータを比較的長い時間あるいは電源オフ時でも保持するために不揮発性記憶部分へ移す使われ方も考えられる。これは一般に、揮発記憶部分は、高速で動作でき、かつ低価格で大容量に構成し易いためである。
【0085】
メモリ13には、カメラコントローラ10もアクセス可能となっており、メモリ13に記憶されている情報がカメラコントローラ10により読み出され、もしくはカメラコントローラ10が情報をメモリ13に記憶させるようになっている。
【0086】
具体例として、メモリ13は、画像データ生成回路11により生成された画像データを一時的に記憶する。
【0087】
さらに、メモリ13は、画像データ生成回路11の後述するPDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23が暗時シェーディング補正を行う際に参照するための、補正用遮光画像を一時的に、または不揮発に記憶する。
【0088】
加えて、メモリ13は、画像データ生成回路11の後述するレンズシェーディング補正回路28がレンズシェーディング補正を行う際に参照するための、レンズシェーディングデータを一時的に、または不揮発に記憶する。
【0089】
第2画像処理回路14は、画像データ生成回路11により生成された画像データを画像処理する。
【0090】
画像データ生成回路11は、並替回路21と、PDミックス回路22と、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23と、OB減算回路24と、横筋補正回路25と、感度補正回路26と、リニアリティ補正回路27と、レンズシェーディング補正回路28と、欠陥補正回路29と、を備えている。
【0091】
並替回路21は、第1の読出モードで読み出される画素行の画素信号と、第2の読出モードで読み出される画素行のn個の信号と、を処理して、画素行毎に画素データが所定の順序で配列された画像データを生成する。
【0092】
イメージセンサ2からの撮像信号の出力順序は、イメージセンサ2上の画素配列に従ったライン(行)順になるとは限らない。例えば、イメージセンサ2にカラムADCが複数設けられている場合には、同時並列的に複数のラインが読み出されることになる。そこで、並替回路21は、イメージセンサ2から順次出力される撮像信号を、画像データ生成回路11内の後段の各回路が処理を行うのに適する順序に並び替える。
【0093】
PDミックス回路22は、第1の読出モードで読み出される画素行の画素信号から画像データにおける第1の画素データ配列を生成し、第2の読出モードで読み出される画素行のn個の信号から1個の画素信号を生成または抽出して画像データにおける第2の画素データ配列を生成する第1の回路である。ここに、第1の画素データ配列と第2の画素データ配列は、画素データの配列順序が同一である。
【0094】
具体的に、PDミックス回路22は、並替回路21により並び替えられた撮像信号に含まれる分割画素信号から、画素信号を生成または抽出して出力する(PDミックス処理)。従って、画像データ生成回路11内におけるPDミックス回路22の後段に配置された各回路は、画素信号のみで構成される(つまり、分割画素信号を含まない)画像データ(いわゆるRAW画像データ)を処理することになる。これにより、後述するPDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23を除いて一般的な処理回路を用いることが可能となり、コストダウンを図ることができる。
【0095】
PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23は、画像データに暗時シェーディング補正を行う第2の回路である。
【0096】
PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23は、メモリ13から補正用遮光画像を読み出して、補正用遮光画像からOBクランプレベルを減算して暗時シェーディングデータを生成する。そして、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23は、画素信号から、画素位置に応じた暗時シェーディングデータを減算することにより、暗時シェーディング補正を行う。
【0097】
より正確には、後で
図14および
図15を参照して説明するように、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23は、PDミックス回路22により生成される第1の画素データ配列の各画素データから、画素位置に応じた暗時シェーディングデータを減算し、PDミックス回路22により生成される第2の画素データ配列の各画素データから、画素位置に応じた暗時シェーディングデータをn倍したデータを減算するようになっている。
【0098】
なお、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23による暗時シェーディング補正は、フィルタ色を区別して行われる。
【0099】
OB減算回路24は、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23から出力された画像データに対して、フィルタ色を区別してOBレベルの減算処理を行う。
【0100】
横筋補正回路25は、読出回路が動作する単位(例えば1行単位)で画像上にランダムに発生する筋(ランダム筋)を補正する。
【0101】
感度補正回路26は、画像データの各画素信号にフィルタ色を区別して感度補正を行う。
【0102】
リニアリティ補正回路27は、画像データの各画素信号に、フィルタ色を区別してリニアリティ補正を行う。
【0103】
レンズシェーディング補正回路28は、画素の位置に応じたレンズシェーディングデータに基づいて、画像データの各画素信号に、フィルタ色を区別してレンズシェーディング補正を行う。
【0104】
欠陥補正回路29は、画像データに含まれる欠陥画素信号を、欠陥画素信号の周囲の正常画素信号に基づいて補正する。ここに、欠陥補正回路29による欠陥画素補正は、フィルタ色を区別して行われる。欠陥補正回路29により生成される画像データは、メモリ13に格納される。
【0105】
第1画像処理回路12は、位相差検出回路31と、リサイズ回路32と、露光レベル検出回路33と、コントラスト検出回路34と、を備えている。
【0106】
位相差検出回路31は、並替回路21により並び替えられた撮像信号に含まれる分割画素信号から、位相差情報を検出する。そして、位相差検出回路31は、検出した位相差情報をメモリ13に記憶させる。ここで検出された位相差情報は、カメラコントローラ10によりメモリ13から読み出されて、像面位相差AF用の情報として用いられる。すなわち、カメラコントローラ10は、像面位相差AF情報に基づいて、フォーカスレンズの駆動方向およびその必要駆動量を決定し、フォーカス制御機構8によりレンズ1のフォーカスレンズを駆動する。
【0107】
なお、第2の読出モードにおけるイメージセンサ2からの分割画素信号の読み出し方式には、
図8および
図9を参照して後述するように、例えば、通常読み出し方式と加算読み出し方式の2つがある。
【0108】
1個の画素がL分割画素とR分割画素との2つに分割されている場合を例に挙げると、通常読み出し方式は、L分割画素により生成された分割画素信号Lと、R分割画素により生成された分割画素信号Rと、をそれぞれ読み出す方式である。n分割の場合、イメージセンサ2は、第2の読出モードでは、n個の分割画素信号をn行で読み出す。また、イメージセンサ2は、
図4を参照して後述するように、第2の読出モードの通常読み出し方式において、n個の分割画素信号からm(m<n)個の信号を生成し、m行で読み出すことも可能である。具体的に4分割の場合、信号(LU+LD)と信号(RU+RD)を2行で読み出す例が挙げられる。この場合、信号(LU+LD)と信号(RU+RD)を加算することにより画素信号(LU+LD+RU+RD)を生成することができる。また、位相差検出回路31は、信号(LU+LD)と信号(RU+RD)を使用してL、Rの分割方向に対応する位相差検出を行うことが可能である。
【0109】
一方、加算読み出し方式は、n個の分割画素信号を加算した1個の画素信号と、1個の画素信号と組み合わせることによりn個の分割画素信号を生成可能な(n-1)個の信号とを、n行で読み出す方式である。また、イメージセンサ2は、
図5を参照して後述するように、第2読出モードの加算読み出し方式において、n個の分割画素信号からm(m<n)個の信号を生成してm行で読み出すことも可能である。n個の分割画素信号を加算した1個の画素信号と、この1個の画素信号と組み合わせて演算することによりm個の信号を生成可能な(m-1)個の信号とをm行で読み出すという読み出し方も可能である。ここでmとは、nより少なく1以上の整数である。
【0110】
具体的に2分割の場合、加算読み出し方式は、1つの分割画素信号と、2つの分割画素信号を加算した信号と、を2行で読み出す方式となる。例えば左右2分割の場合、分割画素信号Lと画素信号(L+R)とを2行で読み出すか、または、分割画素信号Rと画素信号(L+R)と2行で読み出すかを行う。この場合、画素信号(L+R)から分割画素信号L(またはR)を減算することにより、分割画素信号R(またはL)を生成することができる。
【0111】
また、4分割で加算読み出し方式の場合としては、分割画素信号LUと、信号(LU+RU)と、信号(LU+RU+LD)と、画素信号(LU+RU+LD+RD)と、を4行で読み出す例が挙げられる。この場合、画素信号(LU+RU+LD+RD)から信号(LU+RU+LD)を減算することにより分割画素信号RDを生成することができ、信号(LU+RU+LD)から信号(LU+RU)を減算することにより分割画素信号LDを生成することができ、信号(LU+RU)から分割画素信号LUを減算することにより分割画素信号RUを生成することができる。また、4分割で加算読み出し方式の場合、信号(LU+LD)と画素信号(LU+LD+RU+RD)を2行で読み出す例も挙げられる。この場合、画素信号(LU+LD+RU+RD)から信号(LU+LD)を減算することにより信号(RU+RD)を生成することができる。位相差検出回路31は、信号(LU+LD)と信号(RU+RD)を使用してL、Rの分割方向に対応する位相差検出を行うことが可能である。ただし、分割数が大きくなると、加算読み出し方式として様々な方法を採用することができるために、ここでは一例のみを挙げた。
【0112】
従って、位相差検出回路31は、加算読み出し方式の場合には、位相差検出に必要な分割画素信号の復元を行ってから、位相差を検出するようになっている。
【0113】
リサイズ回路32は、ベイヤー形式の画像データ(RAW画像データ)のリサイズ処理を行う。ここでリサイズ処理された画像データは、例えば、静止画像生成時のレックビューまたはサムネイルに用いられ、もしくは、動画像生成時やライブビュー画像生成時に、イメージセンサ2からの画像のアスペクトや画像サイズを変更する際などに用いられる。これにより後段の当該処理を行う際にシステムの処理帯域を最適化できる。
【0114】
露光レベル検出回路33は、RAW画像データに基づき、イメージセンサ2の露光を制御するための露光レベルを検出する。そして、露光レベル検出回路33は、検出した露光レベルをメモリ13に記憶させる。ここで検出された露光レベルは、カメラコントローラ10によりメモリ13から読み出されて、自動露光制御(AE)用の情報として用いられる。そして、カメラコントローラ10は、露光レベルに基づきAE演算を行い、その演算結果に基づいて、レンズ1の絞りを駆動し、イメージセンサ2(または画像処理回路3)の信号増幅率(いわゆるISO感度)を調整し、イメージセンサ2の電子シャッタ(または、図示しないメカニカルシャッタ)による露光時間の制御を行う。
【0115】
コントラスト検出回路34は、RAW画像データのコントラストを検出する。そして、コントラスト検出回路34は、検出したコントラストをメモリ13に記憶させる。ここで検出されたコントラストは、カメラコントローラ10によりメモリ13から読み出されて、コントラストAF用の情報として用いられる。すなわち、カメラコントローラ10は、コントラストAF用情報に基づいて、フォーカスレンズの駆動方向と駆動量を決定し、フォーカス制御機構8によりレンズ1のフォーカスレンズを駆動する。
【0116】
なお、像面位相差AFとコントラストAFとは、何れか一方のみを行ってもよいし、両方を補完的に用いても構わない。例えば両方を用いる場合には、像面位相差AFを先に行って概略の合焦位置にフォーカスレンズを移動した後に、コントラストAFを行って精密に合焦位置へフォーカスレンズを移動する、等の使用法がある。
【0117】
第2画像処理回路14は、合成回路41と、暗時画像補正回路42と、画像基礎処理回路43と、RAW圧縮伸張ファイル化回路46と、記録読出回路47と、を備えている。
【0118】
なお、ここでは、第2画像処理回路14が、合成回路41、暗時画像補正回路42、画像基礎処理回路43、RAW圧縮伸張ファイル化回路46、記録読出回路47を備える例を説明するが、システムとして必要な構成要件が変化すれば、これら全てを備えている必要はない。また、各回路内の各処理機能を全て備える必要もない。
【0119】
合成回路41は、複数枚の画像を合成して1枚の合成画像を生成する。一例を挙げれば、複数枚の画像を用いて多重露光画像を生成する、等である。
【0120】
暗時画像補正回路42は、露光して得られたRAW画像データから、イメージセンサ2を遮光した状態で得られたRAW画像データを減算して、暗時補正を行う。また、暗時画像補正回路42は、リサイズ回路32によりリサイズ処理されたRAW画像データに対して、同様に暗時補正を行ってもよい。
【0121】
画像基礎処理回路43は、必要に応じて暗時画像補正回路42により暗時補正されたRAW画像データ、または合成回路41により生成されたRAW画像データに、デモザイク処理、ノイズキャンセル処理、ガンマ変換処理、ホワイトバランス処理、色マトリックス処理、およびエッジ処理等の基礎的な画像処理を行う。ここで、基礎的な画像処理と称したのは、この画像基礎処理回路43が静止画像や動画像やライブビュー画像を生成する際に共通して実行する処理を行っているためである。
【0122】
画像基礎処理回路43は、さらに、静止画処理回路44と、動画処理回路45と、を含んでいる。
【0123】
静止画処理回路44は、基礎的な画像処理が行われた静止画像に、静止画特有の処理を行ってから、例えばJPEG圧縮(ただし、圧縮方式はJPEGに限定されるものではない)してJPEGファイルを生成する。
【0124】
動画処理回路45は、基礎的な画像処理が行われた動画フレームに、動画特有の処理を行ってから、例えばMPEG圧縮(ただし、圧縮方式はMPEGに限定されるものではない)してMPEGファイルを生成する。ここに、動画処理回路45が用いる映像コーデック技術や音声コーデック技術は、適宜のものを採用して構わない。
【0125】
RAW圧縮伸張ファイル化回路46は、RAW画像データを圧縮するRAW圧縮回路と、RAW画像データをファイル化してRAW画像ファイルを生成するファイル化回路と、圧縮されたRAW画像データを伸張するRAW伸張回路と、を兼ねている。
【0126】
記録読出回路47は、RAW圧縮伸張ファイル化回路46により生成されたRAW画像ファイル、静止画処理回路44により生成されたJPEGファイル、動画処理回路45により生成されたMPEGファイルを記録用メモリ5に記録するファイル記録回路と、記録用メモリ5に記録されたRAW画像ファイル、JPEGファイル、MPEGファイルを読み出すファイル読出回路と、を兼ねている。
【0127】
図4は、イメージセンサ2から第2読出モードの部分が通常読み出し方式で読み出され並替回路21により並び替えられた画像データの一部を例示する図である。
【0128】
図4に示す例では、1~2行および(p+2)~(p+3)行が1PD(第1読出モード)で読み出され、p~(p+1)行および(最終-1)~最終行が2PD(第2読出モード)で読み出されている。ここに、通常読み出し方式で動作する2PDの場合には、1つの画素行に関して、1行のL分割画素行および1行のR分割画素行が読み出される。従って、2個の分割画素信号に係る撮像信号は、分割画素信号Lおよび分割画素信号Rとなる。
【0129】
2PD領域から読み出された分割画素信号Lと分割画素信号Rは、並替回路21の後段のPDミックス回路22が加算して画素信号を生成する。また、
図4には、4PDの場合の通常読み出し方式で動作する一例も示している。p~(p+1)行および(最終-1)~最終行が、4PDの分割画素信号より生成される信号(LU+LD)と(RU+RD)で読み出される場合を示す。
【0130】
また、
図5は、イメージセンサ2から第2読出モード部分が加算読み出し方式で読み出され並替回路21により並び替えられた画像データの一部を例示する図である。
【0131】
図5に示す例では、1~2行および(p+2)~(p+3)行が1PD(第1読出モード)で読み出され、p~(p+1)行および(最終-1)~最終行が2PD(第2読出モード)で読み出されている。ここに、加算読み出し方式で動作する2PDの場合には、1つの画素行に関して、1行のL分割画素行および1行の(L+R)画素行が読み出される。従って、2個の分割画素信号に係る撮像信号は、分割画素信号Lおよび画素信号(L+R)となる。なお、上述したように、分割画素信号Lに代えて、分割画素信号Rを出力するようにしても構わない。
【0132】
この加算読み出し方式の場合は、イメージセンサ2内で分割画素信号Lと分割画素信号Rとの加算が行われるために、画像処理回路3のPDミックス回路22は加算を行う必要がなく、2PD領域から読み出された分割画素信号Lと画素信号(L+R)の内の、画素信号(L+R)を抽出するだけでよい。また、
図5において、4PDの場合の加算読み出し方式で動作する場合の一例を示している。p~(p+1)行および(最終-1)~最終行が、4PDの分割画素信号より生成される信号(LU+LD)と画素信号(LU+LD+RU+RD)で読み出される場合を示す。
【0133】
図6は、イメージセンサ2から読み出され並替回路21により並び替えられた画像データの構成を示す図である。
図6において、水平方向が行方向、垂直方向が列方向である。この
図6に示す画像データの配置は、イメージセンサ2上の通常画素およびOB画素などの物理配置に対して、高速映像位相差読出モードにおいて、第1の読出モードあるいは第2の読出モードにより読み出したある例を示したものとなっている。
【0134】
画像データは、上から下に向かって順に、センサクランプ領域SVOBと、遮光されたOB画素が配置された垂直OB領域(第1垂直OB領域VOB1および第2垂直OB領域VOB2)と、遮光されていない通常画素が配置された有効領域VReffと、ダミー領域VDMと、を備えている。
【0135】
また、画像データは、左から右に向かって順に、第1水平ダミー領域HDM1と、遮光されたOB画素が配置された水平OB領域HOBと、第2水平ダミー領域HDM2と、遮光されていない通常画素が配置された有効領域/実行領域HReffと、を備えている。
【0136】
そして、イメージセンサ2が高速映像位相差読出モードで動作する場合には、垂直OB領域の一部、例えば第1垂直OB領域VOB1で2PD読出が行われ、垂直OB領域の他の一部、例えば第2垂直OB領域VOB2で1PD読出が行われる。ここに、垂直OB領域内における、第1垂直OB領域VOB1の開始行および終了行と、第2垂直OB領域VOB2の開始行および終了行と、は所望に設定することができる。
【0137】
また、OBレベルの検出は、第1垂直OB領域VOB1の全部を用いる必要はなく、第2垂直OB領域VOB2の全部を用いる必要もない。例えば、第1垂直OB領域VOB1内に設定した四角領域内のデータ、および第2垂直OB領域VOB2内に設定した四角領域内のデータを用いてOBレベルを検出するようにしてもよい。
【0138】
さらに、イメージセンサ2が高速映像位相差読出モードで動作する場合には、有効領域VReff内に、位相差検知領域VRPが設定される。ここに、有効領域VReff内における、位相差検知領域VRPの開始行および終了行は、所望に設定することができる。また、有効領域VReff内に、複数の位相差検知領域VRPを設定するようにしても構わない。従って、被写体に応じて設定されたAFエリアに対して、適切な位相差検知領域VRPを設定することで、フレーム画像の読み出し時間を有効に短縮することができる。
【0139】
そして、有効領域VReff内における位相差検知領域VRP以外の領域では1PD読出が行われ、位相差検知領域VRP内では画素行毎に1PD読出または2PD読出が行われる。従って、位相差検知領域VRP内では、2の倍数行連続する2PD読出の分割画素行と、1行以上連続する1PD読出の画素行と、が交互に生じている。以上、2PDの場合について説明したが、4PD等の場合も同様である。
【0140】
図7は、イメージセンサ2における1PD領域の読出回路の作用を示すタイミングチャートである。
【0141】
垂直同期信号HDに従った所定のタイミングで、トランジスタTrRESをオンする(リセット信号Rstにおけるハイレベル)ことでフローティングディフュージョンFDがリセットされる。リセット後にトランジスタTrSELをオンすることで、リセット電圧値がリセット信号として読み出される。読み出されたリセット信号は、カラムADCによりアナログデジタル変換(ADC)される。
【0142】
続いて、トランジスタTrLおよびトランジスタTrRをオンする(TrLおよびTrRに印加される信号におけるハイレベル)ことで、光電変換素子PDLおよび光電変換素子PDRの電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。転送後にトランジスタTrSELをオンすることで、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷の電圧値が画素信号(1つの画素内に設けられた全ての光電変換素子PDL,PDRで発生した電荷の画素信号であるために、ALLと記している)として読み出される。読み出された画素信号ALLは、カラムADCによりアナログデジタル変換(ADC)される。
【0143】
その後も、垂直同期信号HDに同期して、リセット信号と画素信号とが同様に読み出される。画素信号からリセット信号を減算することにより、相関二重サンプリング(CDS)が行われ、リセットノイズ等が低減される。このときのリセット信号と画素信号との取得時間差は、
図7に示すCDS期間T1となる。
【0144】
図8は、イメージセンサ2における2PD領域の読出回路の、通常読み出し方式における作用を示すタイミングチャートである。
【0145】
上述と同様に、まずフローティングディフュージョンFDをリセットしてリセット信号を読み出しADCを行う。
【0146】
続いて、トランジスタTrLをオンすることで、光電変換素子PDLの電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。転送後にトランジスタTrSELをオンすることで、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷の電圧値が分割画素信号Lとして読み出される。読み出された分割画素信号Lは、カラムADCによりアナログデジタル変換(ADC)される。
【0147】
分割画素信号Lからリセット信号を減算することにより、相関二重サンプリング(CDS)が行われ、リセットノイズ等が低減される。このときのリセット信号と分割画素信号Lとの取得時間差は、
図8に示すCDS期間T1となる。
【0148】
その後、垂直同期信号HDに従った所定のタイミングで、フローティングディフュージョンFDをリセットしてリセット信号を読み出しADCを行う。
【0149】
続いて、トランジスタTrRをオンすることで、光電変換素子PDRの電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。転送後にトランジスタTrSELをオンすることで、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷の電圧値が分割画素信号Rとして読み出される。読み出された分割画素信号Rは、カラムADCによりアナログデジタル変換(ADC)される。
【0150】
分割画素信号Rからリセット信号を減算することにより、相関二重サンプリング(CDS)が行われ、リセットノイズ等が低減される。このときのリセット信号と分割画素信号Rとの取得時間差は、分割画素信号Lの場合と同様に、
図8に示すCDS期間T1となる。
【0151】
図9は、イメージセンサ2における2PD領域の読出回路の、加算読み出し方式における作用を示すタイミングチャートである。
【0152】
上述と同様に、まずフローティングディフュージョンFDをリセットしてリセット信号を読み出しADCを行う。
【0153】
続いて、上述と同様に、光電変換素子PDLの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送して、分割画素信号Lを読み出しADCを行う。
【0154】
分割画素信号Lからリセット信号を減算することにより、相関二重サンプリング(CDS)が行われ、リセットノイズ等が低減される。このときのリセット信号と分割画素信号Lとの取得時間差は、
図9に示すCDS期間T1となる。
【0155】
続いて、フローティングディフュージョンFDをリセットすることなくトランジスタTrRをオンすることで、光電変換素子PDRの電荷がフローティングディフュージョンFDにさらに転送される。これにより、フローティングディフュージョンFDには、光電変換素子PDLの電荷および光電変換素子PDRの電荷が蓄積される。
【0156】
転送後にトランジスタTrSELをオンすることで、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷の電圧値が画素信号(L+R)として読み出される。読み出された画素信号(L+R)は、カラムADCによりアナログデジタル変換(ADC)される。
【0157】
画素信号(L+R)からリセット信号を減算することにより、相関二重サンプリング(CDS)が行われ、リセットノイズ等が低減される。このときのリセット信号と画素信号(L+R)との取得時間差は、
図9に示すCDS期間T2となる。ここに、T2>T1である。
【0158】
なお、1PD領域から読み出された画素信号はALLと記載するが、2PD領域から読み出された画素信号は(L+R)と記載する。これは後で述べるように、CDS期間が異なるために、画素信号ALLと画素信号(L+R)とが同一になるとは限らないからである。以上、2PDの場合について説明したが、4PD等の場合も同様である。
【0159】
図10は、イメージセンサ2が通常読み出し方式で動作し、イメージセンサ2のOBクランプ回路2aが1つであるときの、2PD領域から読み出された分割画素信号L,Rと、1PD領域から読み出された画素信号ALLとのOBレベルの例を示す図である。
【0160】
マイクロレンズMLを通過する光線に偏りがない場合、光電変換素子PDLで発生する分割画素信号L、および光電変換素子PDRで発生する分割画素信号Rは、通常、光電変換素子PDLおよび光電変換素子PDRで発生する合計の画素信号ALLの約半分になる。
【0161】
そして、イメージセンサ2は、一般に、撮像信号のOBレベルを所定の目標レベル(OBクランプレベル)(固定値)に設定し、その上に入射光量に比例した画素信号を加算した値を出力する。
【0162】
イメージセンサ2は、遮光された領域であるセンサクランプ領域SVOBで検出した遮光画素の信号レベルが、デジタル値として固定の値(12ビットADCの場合、例えば256LSB等に設定されることが多い)になるように、OBレベルの処理(OBクランプ処理)を行う。
【0163】
ここで、センサクランプ領域SVOBにおいて発生する暗電流に起因するOBレベルについて、光電変換素子PDLにおいて発生する暗電流、および光電変換素子PDRにおいて発生する暗電流は、光電変換素子PDLおよび光電変換素子PDRにおいて発生した合計の暗電流の約半分になる(OBレベルに関して、分割画素信号のレベルが画素信号のレベルの約半分になるのは、光電変換により発生する信号の場合と同様である)。
【0164】
イメージセンサ2のOBクランプ回路2aが1つであって、センサクランプ領域SVOBにおいて1PD領域と通常読み出し方式で動作する(つまり、LとRを別々に読み出す)2PD領域とを区別することなくOBレベルを検知する場合、OBクランプ処理の時定数設定や1PD領域と2PD領域のパターンに応じて変わり得るものの、例えば1PD領域と2PD領域の暗電流の平均値がOBレベルとして検知され、検知されたOBレベルでOBクランプが行われる。
【0165】
従って、
図10に示すように、1PD領域と2PD領域の暗電流の平均値がOBクランプレベルOBCに処理されることによって、OBクランプ処理後において、光電変換素子PDLのOBレベルOB_Lおよび光電変換素子PDRのOBレベルOB_Rは、固定値であるOBクランプレベルOBCよりも低くなり、光電変換素子PDLおよび光電変換素子PDRにおいて発生した合計の暗電流に起因するOBレベルOB_ALLは固定値であるOBクランプレベルOBCよりも高くなる。
【0166】
OBレベルOB_L(またはOBレベルOB_R)とOBレベルOB_ALLとの差は、光電変換素子PDL(または光電変換素子PDR)で発生する暗電流量と、光電変換素子PDLおよび光電変換素子PDRの両方で発生する暗電流量と、の差に相当する。
【0167】
こうして、イメージセンサ2の有効領域VReffから出力される信号は、OBレベルOB_Lの上に光電変換素子PDLによる光電変換量のレベル(L-OB_L)が加算された信号レベルL、OBレベルOB_Rの上に光電変換素子PDRによる光電変換量のレベル(R-OB_R)が加算された信号レベルR、OBレベルOB_ALLの上に光電変換素子PDLおよび光電変換素子PDRによる光電変換量のレベル(ALL-OB_ALL)が加算された信号レベルALLとなる。
【0168】
このようなことから、光電変換素子PDLで発生する分割画素信号Lと、光電変換素子PDRで発生する分割画素信号Rとを加算して生成した画素信号に含まれるOBレベル(OB_L+OB_R)は、一般に、OBレベルOB_ALLと一致しないために、1PD領域と2PD領域とでは画素信号にずれが生じてしまう。このような信号値のずれは、光電変換量が小さい領域(つまり、暗い領域)で目立つことになってしまう。
【0169】
そこで、PDミックス回路22が、通常読み出し方式で2PD領域から読み出された分割画素信号R,Lを、1PD領域とのOBレベルの相違を低減しながら加算して、画素信号を生成する処理(1)~(3)について説明する。
【0170】
(1) 垂直OB領域の信号からのOBレベルの算出処理
PDミックス回路22は、第1垂直OB領域VOB1内に設定した四角領域内(2PD領域)の光電変換素子PDLから読み出された信号に基づいてOBレベルOB_Lを算出し、第1垂直OB領域VOB1内に設定した四角領域内の光電変換素子PDRから読み出された信号に基づいてOBレベルOB_Rを算出する。さらに、PDミックス回路22は、第2垂直OB領域VOB2内に設定した四角領域内(1PD領域)の光電変換素子PDLおよび光電変換素子PDRから読み出された信号に基づいて、OBレベルOB_ALLを算出する。
【0171】
(2) 垂直OB領域の左右分割画素信号の加算処理
PDミックス回路22は、垂直OB領域においても、有効領域VReffと同様の動作を行い、左右の分割画素信号を加算する。従って、次の加算値SumOBが算出される。
SumOB=OB_L+OB_R
この処理は必ずしもこのようにしなくても構わない。以降の処理で明らかなように、有効領域VReffに対して施したPDミックス回路22による処理により、画像はOB_ALLのレベルでクランプされた画像となる。そうして、画像のOBレベルの検出は、OB_ALLを検出できる第2垂直OB領域VOB2で行うことになる。
【0172】
(3) 有効領域VReffの左右分割画素信号の加算処理
PDミックス回路22は、有効領域VReffに設定された位相差検知領域VRP内の2PD領域に対して以下の演算を行い、演算結果Sumを得る。
Sum=(L-OB_L)+(R-OB_R)+OB_ALL
【0173】
この処理は、第2の読出モードで通常画素から読み出されるn個(この例では2個、以下同様)の分割画素信号L,Rを加算して加算通常画素信号(L+R)を生成し、第2の読出モードでOB画素から読み出されるn個の分割画素信号OB_L,OB_Rを加算して加算OB画素信号(OB_L+OB_R)を生成し、加算通常画素信号(L+R)から加算OB画素信号(OB_L+OB_R)を減算して、暫定OB減算画素信号{(L-OB_L)+(R-OB_R)}を生成し、第1の読出モードでOB画素から読み出されるOB画素信号OB_ALLを、暫定OB減算画素信号{(L-OB_L)+(R-OB_R)}に加算して画素データとしての演算結果Sumを生成する処理となっている。その後、PDミックス回路22は、生成した画素データを配列して第2の画素データ配列を生成する。
【0174】
なお、ここでの処理は、画素信号を得るための加算処理(L+R)を行うとともに、分割画素信号Lに含まれているOBレベルOB_Lを取り除き(L-OB_L)、分割画素信号Rに含まれているOBレベルOB_Rを取り除いて(R-OB_R)、1PD領域の画素信号に含まれているOBレベルOB_ALLを加算する処理と言い換えることもできる。
【0175】
これらの画素信号生成処理(1)~(3)を行うことにより、2PD領域から読み出され加算して得られた画素信号のOBレベルを、1PD領域から読み出された画素信号のOBレベルに正確に合わせることができる。また、上記までの説明と同様の処理によって、1PD領域から読み出され加算して得られた画素信号のOBレベルを、2PD領域から読み出された画素信号のOBレベルに正確に合わせる処理とすることも、達成することができる。以上は、2PDの場合について説明したが、4PD等の場合も同様である。
【0176】
こうして、PDミックス回路22は、第2の読出モードでOB画素から読み出されるn個の信号から生成または抽出されるOB画素信号と、第1の読出モードでOB画素から読み出されるOB画素信号と、を用いて、第2の読出モードで通常画素から読み出されるn個の信号から生成または抽出される通常画素信号に、OBレベルの補正処理を行う。
【0177】
なお、OBレベルは、一般に、ベイヤーの色毎(Rr、Gr、Gb、Bb)に、値が僅かに異なる。ベイヤーの色はカラーフィルタにより生じるために、色が異なっても実際の画素回路自体に相違はない。しかし、色が異なると画素回路が配置されている場所が異なり、画素回路までの配線ルート(配線場所や配線長など)も異なるために、これらの相違に起因して、OBレベルの相違が生じるのである。
【0178】
このために、PDミックス回路22は、上述したようなOBレベルを整合させる補正処理を、フィルタ色を区別して、画素のフィルタ色毎に別個に行うようにしている(ただし、フィルタ色によるOBレベルの相違を無視してもよい場合には、この限りでない)。
【0179】
図11は、イメージセンサ2が通常読み出し方式で動作し、イメージセンサ2のOBクランプ回路2aが2つであるときの、2PD領域から読み出された分割画素信号L,Rと、1PD領域から読み出された画素信号ALLとのOBレベルの例を示す図である。
【0180】
ここに、2つのOBクランプ回路2aの内の、第1のOBクランプ回路2aは1PD領域のOBレベルOB_ALLを検出して第1の読出モードで読み出される画素信号のOBクランプを行うために設けられ、第2のOBクランプ回路2aは分割画素信号LのOBレベルOB_Lおよび分割画素信号RのOBレベルOB_Rを検出して、第2の読出モードで読み出されるn個の分割画素信号のOBクランプを行うために設けられている。
【0181】
このような構成の場合に、2つのOBクランプ回路2aが全く同じ動作を行うと、2PD領域の分割画素信号L,RのOBクランプレベルOBC2と、1PD領域の画素信号のOBクランプレベルOBC1とが同じレベルになるはずである。そして、
図11の左のOBレベル比較図に示すように、2PD領域のOBレベルOB_L,OB_Rと、1PD領域のOBレベルOB_ALLとの差が吸収されると期待される。
【0182】
しかし、2つのOBクランプ回路2aが同一の構成の回路であっても、回路構成要素のばらつき、回路が実際に配置されている場所の相違、回路に関連する配線のルートの相違(配線場所や配線長など)によって、全く同じには動作しない。こうした相違に起因して、
図11の右の拡大図に示すように、OBクランプレベルOBC1とOBクランプレベルOBC2とに僅かな差CEが生じる場合がある。
【0183】
例えば、比較的低照度の撮影環境において取得した、イメージセンサ2の光電変換量が小さい画像は、ゲインを上げて光電変換量を例えば十倍~数百倍に増幅する。この場合に、OBクランプレベルの僅かな差CEも増幅されて、画質を低下する要因になってしまう。
【0184】
そこで、PDミックス回路22は、2つのOBクランプ回路2aのOBクランプレベルの差CEを低減する処理を、分割画素信号R,Lを加算して画素信号を生成する際に行う。ここで行う画素信号生成処理は、上述した(1)~(3)と同じであり、複数のOBクランプ回路2aによるOBクランプレベルの差CEに対しても有効な処理となる。
【0185】
また、PDミックス回路22が、OBレベルを整合させる補正処理を、フィルタ色を区別して、画素のフィルタ色毎に別個に行うことが好ましいのは、上述と同様である。
【0186】
次に、
図12は、加算読み出し方式で動作するイメージセンサ2の、2PD領域から読み出された画素信号(L+R)と、1PD領域から読み出された画素信号ALLとを、1つのOBクランプ回路2aでOBクランプしたときの、OBレベルの例を示す図である。ここで、2PD領域から読み出された画素信号(L+R)以外の画素信号についてはやはり第2のOBクランプ回路2aで行っている。
【0187】
2PD領域から第2の読出モードの加算読み出し方式で読み出された画素信号(L+R)と、1PD領域から第1の読出モードで読み出された画素信号ALLと、の両方を、1つのOBクランプ回路2aで共通にクランプすると、OBレベルは基本的に同一となる。
【0188】
この場合の画素信号生成処理(1)~(3)は、次のようになる。
【0189】
(1) 垂直OB領域の信号からのOBレベルの算出処理
PDミックス回路22によるこの処理は、不要となる。
【0190】
(2) 垂直OB領域の左右分割画素信号の加算処理
加算処理はイメージセンサ2内で行われているために、PDミックス回路22は加算処理を行う必要がなく、垂直OB領域の2PD領域から出力される左右加算されたOBレベルOB_(L+R)を選択すればよい。
【0191】
(3) 有効領域VReffの左右分割画素信号の加算処理
同様に、加算処理はイメージセンサ2内で行われているために、PDミックス回路22は加算処理を行う必要がなく、有効領域VReffに設定された位相差検知領域VRP内の2PD領域から出力される左右加算された画素信号(L+R)を選択すればよい。
【0192】
ただし、
図7に示した1PD読出のタイミングチャートと、
図9に示した加算読み出し方式における2PD読出のタイミングチャートと、を比べれば分かるように、フローティングディフュージョンFDをリセットしてから画素信号ALLを読み出すまでの時間間隔(CDS期間T1)と、フローティングディフュージョンFDをリセットしてから画素信号(L+R)を読み出すまでの時間間隔(CDS期間T2)とは、時間長さが異なる。
【0193】
このCDS期間T1とCDS期間T2との差に起因して、2PD領域から読み出した画素信号(L+R)のOBレベルOB_(L+R)と、1PD領域から読み出した画素信号ALLのOBレベルOB_ALLと、に僅かな差が生じることがある。このような差が生じる場合の処理について、
図13を参照して説明する。
【0194】
図13は、加算読み出し方式で動作するイメージセンサ2の、2PD領域から読み出された画素信号(L+R)と、1PD領域から読み出された画素信号ALLとに、CDS期間の差に起因するOBレベルの相違が発生する例を示す図である。
【0195】
CDS期間T1とCDS期間T2とが異なるとフローティングディフュージョンFD内で発生する暗電流の量が異なる、等が生じるために、
図13の拡大図に示すように、画素信号(L+R)のOBレベルOB_(L+R)と、画素信号ALLのOBレベルOB_ALLとは、厳密には一致せず、僅かな差TEだけ異なっている。
【0196】
このような場合の画素信号生成処理(1)~(3)について説明する。
【0197】
(1) 垂直OB領域の信号からのOBレベルの算出処理
PDミックス回路22は、第1垂直OB領域VOB1内に設定した四角領域内(2PD領域)の光電変換素子PDLから読み出された信号に基づいてOBレベルOB_Lを算出し、第1垂直OB領域VOB1内に設定した四角領域内の光電変換素子PDLおよび光電変換素子PDRから読み出された信号に基づいてOBレベルOB_(L+R)を算出する。さらに、PDミックス回路22は、第2垂直OB領域VOB2内に設定した四角領域内(1PD領域)の光電変換素子PDLおよび光電変換素子PDRから読み出された信号に基づいて、OBレベルOB_ALLを算出する。
すなわち、2PD領域からのOB_(L+R)と、1PD領域からのOB_ALLとは、区別されている。
【0198】
(2) 垂直OB領域の左右分割画素信号の加算処理
加算処理はイメージセンサ2内で行われているために、PDミックス回路22は加算処理を行う必要がなく、垂直OB領域の2PD領域から出力される左右加算されたOBレベルOB_(L+R)を選択すればよい。
【0199】
(3) 有効領域VReffの左右分割画素信号の加算処理
PDミックス回路22は、有効領域VReffに設定された位相差検知領域VRP内の2PD領域に対して以下の演算を行い、演算結果Sumを得る。
Sum={(L+R)-OB_(L+R)}+OB_ALL
【0200】
この処理は、第2の読出モードで通常画素から読み出される通常画素信号(L+R)を抽出し、第2の読出モードでOB画素から読み出されるOB画素信号OB_(L+R)を抽出し、通常画素信号(L+R)からOB画素信号OB_(L+R)を減算して、暫定OB減算画素信号{(L+R)-OB_(L+R)}を生成し、第1の読出モードでOB画素から読み出されるOB画素信号OB_ALLを、暫定OB減算画素信号{(L+R)-OB_(L+R)}に加算して画素データとしての演算結果Sumを生成する処理となっている。その後、PDミックス回路22は、生成した画素データを配列して第2の画素データ配列を生成する。また、上記までの説明と同様の処理によって、第2の読出モードで通常画素から読み出されるOB画素信号OB_(L+R)に正確に合わせる処理とすることも、達成することができる。
【0201】
こうして、CDS期間の相違に起因するOBレベルの相違に対しても、2PD領域のOBレベルを減算して1PD領域のOBレベルを加算する処理は有効となっている。
【0202】
また、PDミックス回路22が、OBレベルを整合させる補正処理を、フィルタ色を区別して、画素のフィルタ色毎に別個に行うことが好ましいのは、上述と同様である。
【0203】
なお、イメージセンサ2が第1のOBクランプ回路2aおよび第2のOBクランプ回路2aを備える場合には、第1の読出モードで読み出される画素信号のOBクランプと、第2の読出モードで読み出される1個の画素信号のOBクランプとを、例えば第1のOBクランプ回路2aが行うようにすればよい。このときには、第2のOBクランプ回路2aが、第2の読出モードで読み出される(n-1)個の信号のOBクランプを行えばよい。以上は、2PDの場合について説明したが、4PD等の場合も同様の処理を行えばよい。
【0204】
次に、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23の処理について説明する。
【0205】
PDミックス回路22は、上述したような画素信号生成処理を行って、画素信号のみで構成される(つまり、分割画素信号を含まない)画像データ(RAW画像データ)を出力する。
【0206】
PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23は、PDミックス回路22から入力されたRAW画像データに対して、暗時シェーディング補正を行う。
【0207】
暗時シェーディング補正は、暗時(入射光を遮断した時)にイメージセンサ2の面内で発生する画素毎のレベルの変動を、均一に揃えるための処理である。
【0208】
暗時シェーディング補正には、回路規模や処理効率(補正のために必要な処理時間や扱うデータサイズ等)と、達成される精度と、を考慮した様々な方法があるが、画像全体に現れる、規則性が比較的低いレベル変動のパターンに対しては、暗時画像を撮像して明時画像から減算する2枚減算補正方式の処理が例えば採用される。
【0209】
すなわち、2枚減算補正方式は、明時画像から暗時画像を減算するために、補正を行った画像では、補正前の明時画像よりも(または暗時画像よりも)ランダムノイズが増加してしまう。
【0210】
そこで、暗時画像におけるランダムノイズの影響を低減するために、複数枚の暗時画像を取得し、複数枚の暗時画像を平均化処理して補正用遮光画像を生成し、生成した補正用遮光画像をメモリ13の不揮発性記憶部分に予め保持しておく。そして、イメージセンサ2から入力される画像に対して、メモリ13に予め保持されている暗時画像を減算することにより、ランダムノイズの影響を低減する。
【0211】
なお、補正用遮光画像は、メモリ13に不揮発に保持しておくに限るものではなく、動的に生成して用いるようにしてもよい。例えば、明時画像を取得する前に複数枚の暗時画像を取得して平均化することで補正用遮光画像を生成し、画像処理回路3内のメモリ13の揮発性記憶部分などに一旦保持しておく。そして、その後に取得する明時画像から、画像処理回路3内に一旦保持しておいた補正用遮光画像を減算しても構わない。
【0212】
ところで、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23の前段において、PDミックス回路22によりPDミックス処理を行っている。
【0213】
回路起因の固定パターンノイズを想定した場合、通常読み出し方式で2PD領域から読み出した分割画素信号R,Lと、1PD領域から読み出した画素信号ALLとに、暗時シェーディングの影響の相違はおおよそないとみなせる。しかし、分割画素信号R,LをPDミックス回路22で加算処理して得られる画素信号(L+R)は、暗時シェーディング(より広くは、固定パターンノイズ)が加算されて2倍(より一般に、画素がn分割されている場合で、k行で読み出す場合には、k倍)となる(
図14の高速映像位相差読出露光画像の信号レベル参照)。ここで、kは自然数(1以上の整数)でn以下の値である。
【0214】
ここで、
図14は、通常露光画像と、高速映像位相差読出露光画像(高速映像位相差読出モードで取得された露光画像)と、補正用遮光画像と、における暗時シェーディングの例を示す図である。
【0215】
従って、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23が受信する画像データは、1PD領域に対応する画像部分と、2PD領域に対応する画像部分とで、暗時シェーディングの量が異なる。
【0216】
そこで、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23は、
図15に示すような方法で補正を行うようになっている。
図15は、高速映像位相差読出露光画像の暗時シェーディング補正方法を、通常露光画像の暗時シェーディング補正方法と対比して説明するための図である。
【0217】
まず、通常露光画像の場合、
図14の通常露光画像縦方向欄と、
図14の補正用遮光画像縦方向欄とに示すように、OBクランプの目標レベル(固定値)であるOBクランプレベルOBCに対する変動分となる暗時シェーディングが、通常露光画像と補正用遮光画像とで同様に含まれている。なお、図示はしないが、画像の横方向においても、OBクランプレベルOBCに対して変動する暗時シェーディングが含まれている。
【0218】
そこで、
図15の通常露光画像欄に示すように、補正用遮光画像の各画素からOBクランプレベルOBCを減算して暗時シェーディングデータを生成し、通常露光画像の各画素データから画素位置に応じた暗時シェーディングデータを減算することで、暗時シェーディング補正された通常露光画像を得るようになっている。
【0219】
一方、高速映像位相差読出露光画像の場合には、
図15の高速映像位相差読出露光画像欄に示すような処理により、暗時シェーディング補正を行う。
【0220】
すなわち、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23は、高速映像位相差読出露光画像を、1PD領域に対応する画像部分(PDミックス回路22により生成される第1の画素データ配列の各画素データ)と、2PD領域に対応する画像部分(PDミックス回路22により生成される第2の画素データ配列の各画素データ)とに分ける。
【0221】
また、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23は、メモリ13から補正用遮光画像を読み出す。
【0222】
そして、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23は、1PD領域に対応する画像部分について、通常露光画像と同様に、補正用遮光画像の各画素からOBクランプレベルOBCを減算して暗時シェーディングデータを生成し、1PD領域に対応する画像部分の各画素データから画素位置に応じた暗時シェーディングデータを減算することで、暗時シェーディング補正を行う。
【0223】
また、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23は、2PD領域に対応する画像部分について、補正用遮光画像の各画素からOBクランプレベルOBCを減算して暗時シェーディングデータを生成し、2PD領域に対応する画像部分の各画素データから画素位置に応じた暗時シェーディングデータをk倍(2分割の場合はn=kとなり2倍)したデータの減算することで、暗時シェーディング補正を行う。
【0224】
このような処理を行うことにより、高速映像位相差読出露光画像の暗時シェーディング補正を高精度に行うことができる。
【0225】
なお、ここでは主に暗時シェーディング補正について述べたが、より一般に固定パターンノイズ(FPN)(一例を挙げれば、縦筋の固定パターンノイズ)に対して、
図15に示す補正方法を適用することができる。このとき、補正しようとする固定パターンをメモリ13等に予め記憶しておいて、補正時にメモリ13等から読み出し、1PD領域に対応する画像部分についてはそのまま減算し、kPD領域に対応する画像部分についてk倍して減算することは、上述と同様である。
【0226】
このような実施形態によれば、イメージセンサ2が、画素行毎に、n個の分割画素信号に係る撮像信号を第1の読出モードまたは第2の読出モードで読み出し可能であるために、撮像レートの低下を抑制しながら位相差情報も取得することができる、画素が複数に分割されたイメージセンサを備える撮像装置を得ることができる。
【0227】
また、PDミックス回路22が、画素データの配列順序が同一である第1の画素データ配列と第2の画素データ配列とを生成するために、PDミックス回路22の後段に配置する従来回路(前述の一般的な処理回路)を大きく変更することなく、場合によっては従来回路をそのまま用いることが可能となり、大幅なコストダウンを図ることが可能となる。
【0228】
さらに、通常画素およびOB画素の撮像信号を第1の読出モードおよび第2の読出モードで読み出して、PDミックス回路22が、第2の読出モードでOB画素から読み出されるn個の信号から生成または抽出されるOB画素信号と、第1の読出モードでOB画素から読み出されるOB画素信号と、を用いて、第2の読出モードで通常画素から読み出されるn個の信号から生成または抽出される通常画素信号にOBレベルの補正処理を行うようにしたために、OBレベルを精度良く補正することができる。
【0229】
通常読み出し方式で第2の読出モードの読み出しを行う場合に、n個の分割画素信号を加算した加算通常画素信号から、n個の分割画素信号を加算した加算OB画素信号を減算して、暫定OB減算画素信号を生成し、第1の読出モードでOB画素から読み出されるOB画素信号を、暫定OB減算画素信号に加算して画素データを生成するようにしたために、第2の読出モードで読み出されたn個の信号から生成される通常画素信号のOBレベルを、第1の読出モードで通常画素から読み出される通常画素信号のOBレベルに、高精度に整合することができる。
【0230】
また、イメージセンサ2が複数のOBクランプ回路2aを備え、第1のOBクランプ回路2aが第1の読出モードで読み出される画素信号のOBクランプを行い、第2のOBクランプ回路2aが第2の読出モードで読み出されるn個の分割画素信号のOBクランプを行う場合にも、同様の方法を適用することで、OBレベルの補正を高精度に行うことができる。
【0231】
一方、加算読み出し方式で第2の読出モードの読み出しを行う場合に、第2の読出モードで通常画素から読み出される通常画素信号を抽出し、第2の読出モードでOB画素から読み出されるOB画素信号を抽出し、通常画素信号からOB画素信号を減算して暫定OB減算画素信号を生成し、第1の読出モードでOB画素から読み出されるOB画素信号を暫定OB減算画素信号に加算して画素データを生成することで、第2の読出モードで読み出されたn個の信号から抽出される通常画素信号のOBレベルを、第1の読出モードで通常画素から読み出される通常画素信号のOBレベルに、高精度に整合することができる。
【0232】
このとき、イメージセンサ2が複数のOBクランプ回路2aを備える場合に、第1のOBクランプ回路2aが、第1の読出モードで読み出される画素信号のOBクランプと、第2の読出モードで読み出される1個の画素信号のOBクランプと、を行い、第2のOBクランプ回路2aが、第2の読出モードで読み出される(n-1)個の信号のOBクランプを行うようにすることで、OBクランプ処理を高速に行いながら、RAW画像を構成する画素信号のOBレベルを揃えることができる。
【0233】
さらに、PDミックス回路22が、OBレベルの補正処理を、フィルタ色を区別してフィルタ色毎に行うようにすることで、フィルタ色に応じてOBレベルが異なる場合でも、より高精度のOBレベル補正を行うことが可能となる。
【0234】
そして、ベイヤー配列を基本配列とするイメージセンサ2から出力される撮像信号に対して、適切なOBレベル補正を実施することができる。
【0235】
また、PDミックス処理対応暗時シェーディング補正回路23が、PDミックス回路22により生成される第1の画素データ配列の各画素データから画素位置に応じた暗時シェーディングデータを減算し、PDミックス回路22により生成される第2の画素データ配列の各画素データから、画素位置に応じた暗時シェーディングデータをn倍したデータを減算することで、高速映像位相差読出モードにおける暗時シェーディング補正を適切に行うことが可能となる。また、この補正方法を固定パターンノイズに適用すれば、固定パターンノイズ補正も適切に行うことができる。
【0236】
そして、メモリ13が補正用遮光画像を記憶するように構成することで、撮影毎に補正用遮光画像を取得する必要がなくなり、撮影時間を短縮することが可能となる。
【0237】
なお、上述した各回路は、ハードウェアとして構成された電子回路であることに限定されるものではなく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路(ハードウェア)を有するプロセッサにおける各回路部であってもよいし、CPU等のハードウェアを有するプロセッサにソフトウェアを実行させることにより各回路の機能を果たすように構成されていても構わない。
【0238】
また、上述では主として撮像装置について説明したが、本発明は撮像装置に限定されるものではなく、撮像方法であってもよいし、コンピュータに撮像装置と同様の処理を行わせるための処理プログラム、該処理プログラムを記録するコンピュータにより読み取り可能な一時的でない記録媒体、等であっても構わない。
【0239】
さらに、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。