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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 21/00 20060101AFI20230809BHJP
   E05C 9/04 20060101ALI20230809BHJP
   E05B 83/32 20140101ALI20230809BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
E05C21/00 A
E05C9/04
E05B83/32
B60R7/04 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022533921
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(86)【国際出願番号】 JP2021023838
(87)【国際公開番号】W WO2022004532
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2020113367
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 淳
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-225075(JP,A)
【文献】特開2010-150854(JP,A)
【文献】国際公開第2013/129100(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110159108(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 21/00
E05C 9/04
E05B 83/32
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定体の開口を開閉可能に設けられた開閉体に取り付けられるロック装置であって、
ベース部材と、
前記ベース部材にスライド可能に支持されるロックバー部材と、
ユーザの操作に応じて移動して前記ロックバー部材をスライドさせる駆動部材と、を備え、
前記ベース部材は、
前記ロックバー部材を挟んで支持する一対の対向面を有し、
前記ロックバー部材は、
前記固定体のロック孔に係脱可能であるロック部と、
前記ロックバー部材のスライド方向に延在する第1バー部と、
前記スライド方向に交差する方向に延在し、前記第1バー部および前記ロック部をつなぐ第2バー部と、を有し、
前記第1バー部には、第1段差部が形成され、前記第2バー部には、第2段差部が形成されており、
前記対向面には、前記第1段差部および前記第2段差部の間に挟まれた位置で、前記スライド方向に交差する方向に前記第1段差部および前記第2段差部に対向する段部が設けられることを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記第1バー部は、前記スライド方向に延びる係合部を有し、
前記段部は、前記係合部に係合して前記第1バー部のスライドをガイドする突条部に形成され、
前記第1段差部は、前記係合部に形成されることを特徴とする請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記第2段差部は、一対の前記対向面の対向方向の深さが前記第1段差部より小さくなるように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記第1段差部および前記第2段差部は、前記スライド方向に直交する方向に、重なる位置に形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定体の開口を開閉可能な開閉体に取り付けられるロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のコンソールボックスの蓋部材に設けられるロック装置が開示されている。このロック装置は、ベースと、ベースにスライド可能に支持される操作部材と、操作部材に連動してスライドするロッド部材と、操作部材およびロッド部材を連動させる連動手段とを有する。ロッド部材は、左右方向に延在する第1レバー部および第2レバー部と、第1レバー部および第2レバー部を上下方向に接続する接続部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-225075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロッド部材を上下方向に長く形成した場合には、蓋体を閉じる際にコンソールボックスに当たったロッド部材が傾きやすくなり、ロッド部材がスライドしづらくなるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、開閉体を閉じる際のロックバー部材の動作を安定させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のロック装置は、固定体の開口を開閉可能に設けられた開閉体に取り付けられるロック装置であって、ベース部材と、ベース部材にスライド可能に支持されるロックバー部材と、ユーザの操作に応じて移動してロックバー部材をスライドさせる駆動部材と、を備える。ベース部材は、ロックバー部材を挟んで支持する一対の対向面を有する。ロックバー部材は、固定体のロック孔に係脱可能であるロック部と、ロックバー部材のスライド方向に延在する第1バー部と、スライド方向に交差する方向に延在し、第1バー部およびロック部をつなぐ第2バー部と、を有する。第1バー部には、第1段差部が形成され、第2バー部には、第2段差部が形成されている。対向面には、第1段差部および第2段差部の間に挟まれた位置で、スライド方向に交差する方向に第1段差部および第2段差部に対向する段部が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、開閉体を閉じる際のロックバー部材の動作を安定させる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例のロック装置を開閉体へ取り付けた状態を説明するための図である。
図2】実施例のロック装置の斜視図である。
図3】実施例のロック装置の分解図である。
図4図2に示すロック装置の線分A-A断面図である。
図5図2に示すロック装置の線分B-B断面図である。
図6図2に示すロック装置の線分C-C断面図である。
図7】ロック装置の組み立て途中の状態を示す図である。
図8】組み付け完了状態のロック装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例のロック装置10を開閉体12へ取り付けた状態を説明するための図である。図1では、開閉体12が第1開閉部材14および第2開閉部材16に分解して示される。
【0010】
開閉体12は、車両に設けられたコンソールボックスなどの固定体(不図示)の開口を開閉可能に設けられ、蓋として機能する。開閉体12は、第1開閉部材14および第2開閉部材16を重ね合わせて形成され、内側にロック装置10を収容する。ロック装置10は、開閉体12に取り付けられ、開閉体12が固定体の開口を閉じた状態でロックする。
【0011】
第1開閉部材14は裏側に位置し、第2開閉部材16は表側に位置する。第1開閉部材14は、筒部14a、挿通孔14bおよび露出口14cを有する。筒部14aは第1開閉部材14の下面に突出して形成され、挿通孔14bが筒部14aの側面に形成される。挿通孔14bには、ロック装置10のロックバー部材26の先端が挿通される。このように、筒部14aにロックバー部材26が配置されることで、固定体の収容空間に入り込む第1開閉部材14の体積が減少され、固定体の収容量を十分に確保できる。
【0012】
露出口14cは、第1開閉部材14の先端側の下面に形成され、ロック装置10の操作部材22を露出させる。これにより、ユーザが操作部材22を操作してロック装置10のロックを解除することができる。
【0013】
図2は、実施例のロック装置10の斜視図である。また、図3は、実施例のロック装置10の分解図である。ロック装置10は、ベース部材20、操作部材22、駆動部材24、ロックバー部材26およびバネ部材28である。
【0014】
ベース部材20は、操作部材22、駆動部材24、ロックバー部材26およびバネ部材28を支持し、開閉体12に固定される。操作部材22は、ユーザの操作を受けて回転する。駆動部材24は、ベース部材20に移動可能に支持され、操作部材22の回転に応じて、すなわちユーザの操作に応じて移動する。ロックバー部材26は、ベース部材20にスライド可能に支持され、駆動部材24の移動に応じてスライドする。
【0015】
バネ部材28は、駆動部材24を付勢し、ロックバー部材26を固定体のロック孔に入る方向、すなわちロック方向に移動させる。これらの各部材について、新たな図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図4は、図2に示すロック装置10の線分A-A断面図である。また、図5は、図2に示すロック装置10の線分B-B断面図である。図6は、図2に示すロック装置10の線分C-C断面図である。
【0017】
ベース部材20は、受け部30、軸支部32、レール部34、ガイド部36、バネ支持部38、対向面40、第1突条部74aおよび第2突条部74bを有する。図5に示す受け部30は、ベース部材20の一端に位置し、操作部材22に当接可能である。図4に示す軸支部32は、操作部材22を回転可能に軸支する。レール部34は、ベース部材20の両側から内方にそれぞれ突出して形成され、駆動部材24に係合して駆動部材24の移動をガイドする。
【0018】
図4に示すガイド部36は、ベース部材20の底面に立設され、ベース部材20の中央に位置し、駆動部材24の移動をガイドする。バネ支持部38は、ベース部材20の他端側に位置し、バネ部材28を支持する。
【0019】
図5に示す箱状部39は、ベース部材20の両側底部から垂下するようにそれぞれ形成される。対向面40は箱状部39の内面に互いに対向して一対形成され、一対の対向面40がベース部材20の両側にそれぞれ形成される。一対の対向面40の間には、ロックバー部材26が形成される。図3に示す対向面40には、上下方向に離間して第1突条部74aおよび第2突条部74b(これらを区別しない場合「突条部74」という。)が突出して形成される。
【0020】
操作部材22は、軸孔部42、弾性片43、作用部44および操作面45を有する。図4に示す軸孔部42は、操作部材22の両側に形成され、ベース部材20の軸支部32を受け入れる。これにより、操作部材22が回転可能となり、駆動部材24を押すことができる。
【0021】
図5に示す弾性片43は、片持ち片であって、ベース部材20の受け部30に弾接し、操作部材22が元に位置に戻る際の衝撃を吸収する。図5に示す作用部44は、軸方向に見て軸孔部42から径方向に延出し、駆動部材24に当接する。操作面45は、第1開閉部材14の露出口14cから露出し、ユーザの操作を受ける。
【0022】
駆動部材24は、レール溝48、被ガイド部50、カム部52および弾性爪部54を有する。レール溝48は、駆動部材24の両側に形成され、ベース部材20のレール部34に係合する。被ガイド部50は、駆動部材24の中央に壁状に形成され、駆動部材24の移動方向に延在する。図4に示す被ガイド部50は、ベース部材20のガイド部36に係合し、駆動部材24の幅方向の移動が制限される。駆動部材24の幅方向は、操作部材22の回転軸方向に平行である。
【0023】
図4に示すカム部52は、駆動部材24の移動方向およびロックバー部材26のスライド方向に傾斜した通路として形成される。カム部52は、駆動部材24の移動方向を、ロックバー部材26のスライド方向に変換する。
【0024】
図5に示す弾性爪部54は、ベース部材20の底面に向かって突出し、撓み可能に形成される。弾性爪部54は駆動部材24およびロックバー部材26の組み付けに用いられる。
【0025】
ロックバー部材26は、第1バー部60、第2バー部62、ロック部64、連結部66、第1段差部68、第2段差部70および係合部72を有する。第1バー部60は、ロックバー部材26のスライド方向に延在して棒状に形成される。第2バー部62は、第1バー部60の先端部から垂下してスライド方向に交差する方向に延在し、第1バー部60の先端部およびロック部64の基端部をつなぐ。
【0026】
ロック部64は、第2バー部62からロックバー部材26のスライド方向に突出し、ロックバー部材26のスライドに応じて固定体のロック孔に係脱可能である。ロック部64が固定体のロック孔に入るとロックした状態となり、ロック孔から出るとロック解除した状態となる。
【0027】
連結部66は、第1バー部60に突出して形成され、ロックバー部材26を駆動部材24に連結する。連結部66は、駆動部材24のカム部52に入り込んでカム部52内を移動可能である。
【0028】
第1バー部60が長く形成されることでロックバー部材26のスライドを安定させることができる。ロック部64は、基端を開閉体12の両側に寄せて、短くすることが好ましい。スライド方向に延在するロック部64が長くなるほど、開閉体12の筒部14aの形状が大きくなり、固定体の収容体積が減少するためである。そのため、第1バー部60のスライド方向長さは、ロック部64のスライド方向長さの2倍以上、より好ましくは3倍以上に設定される。ロック部64にレールに係合する構成を設けないことで、ロック部64を短く構成できる。
【0029】
図6に示すように、第1段差部68は、第1バー部60の両側面に、ロックバー部材26のスライド方向に沿って形成される。第2段差部70は、第2バー部62の両側面に、ロックバー部材26のスライド方向に沿って形成される。第1段差部68および第2段差部70は、上下方向に離間して形成される。また、第1突条部74aの上部には第1段部80が形成され、第2突条部74bの下部には第2段部82が形成される。第1段部80および第2段部82を区別しない場合、「段部」という。第1段差部68と第1段部80は、スライド方向に交差する方向に対向し、第2段差部70と第2段部82は、スライド方向に交差する方向に対向する。
【0030】
ロックバー部材26は、第1段差部68および第2段差部70の間に挟まれた位置にある突条部74に当接可能に設けられる。第1段差部68は、第1突条部74aの第1段部80に当接可能であり、第2段差部70は第2突条部74bの第2段部82に当接可能である。開閉体12を閉じる際に、ロック部64は固定体側に当たって回転トルクを生じるが、第1段差部68が第1段部80に当接し、第2段差部70が第2段部82に当接するため、ロック部64が傾きづらくなっている。このように、上下に離れた第1段差部68および第2段差部70でロックバー部材26の傾きを抑えるため、ロックバー部材26をスムーズにスライドさせることができ、開閉体12を閉じてロック装置10にロックさせる操作をスムーズにできる。
【0031】
第2段差部70は、一対の対向面40の対向方向の深さが第1段差部68より小さくなるように形成される。つまり、第2段差部70の深さD2は、第1段差部68の深さD1より小さい。これにより、第2バー部62が延びる方向と直交する方向に延びる第2段差部70を小さくできるため、第2バー部62の剛性の低下を抑えることができる。第1段差部68は、第1バー部60と同じ方向に延びるため、深く切り欠いてスライドをガイドしやすく構成することができる。
【0032】
第1段差部68は、第2段差部70よりスライド方向に長く延在する。スライド方向の長さが短い第2バー部62にはレール溝を形成しない。これにより、第2バー部62の剛性を確保できる。
【0033】
第1段差部68および第2段差部70は、一対の対向面40の対向方向およびロックバー部材26のスライド方向に直交する上下方向に、重なる位置に形成される。これにより、操作部材22が回転する方向にロックバー部材26が回転し難くなり、開閉体12を閉じる際にロックバー部材26が傾きにくくできる。
【0034】
第1バー部60は、スライド方向に延び、溝状に形成される係合部72を有する。第1突条部74aは、係合部72に入り込んで係合し、第1バー部60のスライドをガイドする。第1段差部68は、係合部72の上面に形成される。第1段差部68が第1バー部60の全長に渡って延在し、ロックバー部材26を安定してスライドさせることができる。
【0035】
図7は、ロック装置10の組み立て途中の状態を示す図である。図7(a)には駆動部材24およびロックバー部材26の移動方向に沿った断面を示し、図7(b)には図5に示すロック装置10の断面と同じ位置の断面を示す。
【0036】
図7(b)に示す駆動部材24がバネ部材28に抗して押し込まれた状態で、弾性爪部54がベース部材20に凹んで形成された第1係止部76に係止して、駆動部材24が仮保持されている。駆動部材24が仮保持された状態で、図7(a)に示すように、一対の対向面40と、カム部52の入り口とが同じ位置にあるため、ロックバー部材26の連結部66がカム部52の入り口に抵抗なく入り込む。
【0037】
図7(b)に示すように、第1係止部76の奥側に第2係止部78が形成されている。第1係止部76の奥側とは、駆動部材24がバネ部材28に抗して押し込まれる方向の奥である。
【0038】
図8は、組み付け完了状態のロック装置10の断面図である。図8(a)は図7(a)と同じ位置のロック装置10の断面を示し、図8(b)は図7(b)と同じ位置のロック装置10の断面を示す。
【0039】
作業者が仮保持状態の駆動部材24をバネ部材28に抗して奥側に押し込むと、図8(b)に示すように、弾性爪部54が第1係止部76から外れて移動し、第2係止部78に係止する。これにより、連結部66がカム部52に十分に入り込み、駆動部材24、ロックバー部材26およびバネ部材28がベース部材20に組み付けられる。
【0040】
このように、仮保持状態でバネ部材28の付勢を受け止めることで、ロックバー部材26の連結部66をカム部52に容易に挿入することができる。さらに作業者が駆動部材24を押し込めば、駆動部材24およびロックバー部材26がバネ部材28から付勢された組み付け完了状態にすることができる。
【0041】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、固定体の開口を開閉可能な開閉体に取り付けられるロック装置に関する。
【符号の説明】
【0043】
10 ロック装置、 12 開閉体、 14 第1開閉部材、 16 第2開閉部材、 20 ベース部材、 22 操作部材、 24 駆動部材、 26 ロックバー部材、 28 バネ部材、 30 受け部、 32 軸支部、 34 レール部、 36 ガイド部、 38 バネ支持部、 39 箱状部、 40 対向面、 42 軸孔部、 43 弾性片、 44 作用部、 45 操作面、 46 受け部、 48 レール溝、 50 被ガイド部、 52 カム部、 54 弾性爪部、 60 第1バー部、 62 第2バー部、 64 ロック部、 66 連結部、 68 第1段差部、 70 第2段差部、 72 係合部、 74a 第1突条部、 74b 第2突条部、 76 第1係止部、 78 第2係止部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8