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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】基礎杭の支持力計算装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/24 20060101AFI20230810BHJP
   E02D 13/06 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
E02D5/24
E02D13/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019058881
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020159033
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】505047784
【氏名又は名称】株式会社オムテック
(74)【代理人】
【識別番号】100120145
【弁理士】
【氏名又は名称】田坂 一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 泰博
(72)【発明者】
【氏名】田中 毅弘
(72)【発明者】
【氏名】小室 龍馬
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-139454(JP,A)
【文献】特開平08-166983(JP,A)
【文献】特開2009-138435(JP,A)
【文献】特開2002-021076(JP,A)
【文献】特開2011-111861(JP,A)
【文献】特開2009-121098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/24
E02D 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎杭の長期許容支持力を算出する基礎杭の支持力計算装置であって、
基礎杭の施工場所の地盤に関するデータである地盤データを取得する地盤データ取得手段と、
複数種類の工法におけるそれぞれの基礎杭に関するデータである基礎杭データをそれぞれ取得する基礎杭データ取得手段と、
前記地盤データ及び前記基礎杭データに基づき、複数種類の前記工法ごとの長期許容支持力を算出する算出手段と、を備え、
前記算出手段は、複数種類の前記工法ごとに、所定の杭長ごとの長期許容支持力を算出し、
前記算出手段により、複数種類の前記工法ごとに算出された、所定の杭長ごとの前記長期許容支持力が、一覧的に表示される一覧画面を、表示手段に表示する表示制御手段を、さらに備えることを特徴とする基礎杭の支持力計算装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記一覧画面において、前記地盤データに含まれるN値を表示することを特徴とする請求項に記載の基礎杭の支持力計算装置。
【請求項3】
基礎杭の長期許容支持力を算出する基礎杭の支持力計算装置が実行する基礎杭の支持力計算方法であって、
基礎杭の施工場所の地盤に関するデータである地盤データを取得するステップと、
複数種類の工法におけるそれぞれの基礎杭に関するデータである基礎杭データをそれぞれ取得するステップと、
前記地盤データ及び前記基礎杭データに基づき、複数種類の前記工法ごとの長期許容支持力を算出するステップと、を含み、
長期許容支持力を算出するステップにおいて、複数種類の前記工法ごとに、所定の杭長ごとの長期許容支持力を算出し、
複数種類の前記工法ごとに算出された、所定の杭長ごとの前記長期許容支持力が、一覧的に表示される一覧画面を、表示手段に表示するステップを、さらに含むことを特徴とする基礎杭の支持力計算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎杭の支持力計算装置及びその方法に関し、詳しくは、基礎杭の長期許容支持力を算出する基礎杭の支持力計算装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基礎杭は、所定の長期許容支持力を確実に確保するための杭仕様を決定する。
例えば、特許文献1には、本体部を構成する鋼管と、該鋼管の先端部外周に接合される螺旋形の翼部と、鋼管の先端部内面に接合され、該鋼管先端部の開口を閉塞する閉塞盤と、を有する鋼管杭において、鋼管の閉塞断面積と、翼部の投影断面積の0.5倍に等しい断面積と、の和を鋼管杭の有効断面積として算定した地盤の長期許容支持力を満足するように、鋼管及び翼部の板厚を設定することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-220662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、基礎杭には、様々な工法があり、長期許容支持力の算定式における係数等も、各工法で様々である。これら様々な工法について、ある施工場所の地盤における長期許容支持力を算出し、算出した工法毎の長期許容支持力の比較を短時間で行うことは、設計の効率化及び経済性において非常に重要である。
【0005】
しかしながら、ある施工場所において、複数種類の工法の中から、比較的効率的で経済的な基礎杭を選択する場合、工法毎に、地盤柱状図を見ながら長期許容支持力を計算する必要があり、その計算に多大な手間と時間を有していた。
【0006】
本発明は、短時間でより適切な基礎杭の工法を検討することが可能な基礎杭の支持力計算装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 基礎杭の長期許容支持力を算出する基礎杭の支持力計算装置であって、
基礎杭の施工場所の地盤に関するデータである地盤データを取得する地盤データ取得手段と、
複数種類の工法におけるそれぞれの基礎杭に関するデータである基礎杭データをそれぞれ取得する基礎杭データ取得手段と、
前記地盤データ及び前記基礎杭データに基づき、複数種類の前記工法ごとの長期許容支持力を算出する算出手段と、を備え、
前記算出手段は、複数種類の前記工法ごとに、所定の杭長ごとの長期許容支持力を算出し、
前記算出手段により、複数種類の前記工法ごとに算出された、所定の杭長ごとの前記長期許容支持力が、一覧的に表示される一覧画面を、表示手段に表示する表示制御手段を、さらに備えることを特徴とする基礎杭の支持力計算装置。
【0008】
(1)の発明によれば、基礎杭の長期許容支持力を算出する基礎杭の支持力計算装置は、地盤データ取得手段と、基礎杭データ取得手段と、算出手段と、を備える。
地盤データ取得手段は、基礎杭の施工場所の地盤に関するデータである地盤データを取得する。
基礎杭データ取得手段は、複数種類の工法におけるそれぞれの基礎杭に関するデータである基礎杭データをそれぞれ取得する。
算出手段は、地盤データ及び基礎杭データに基づき、複数種類の工法ごとの長期許容支持力を算出する。
そして、算出手段は、複数種類の工法ごとに、所定の杭長ごとの長期許容支持力を算出する。
【0009】
これにより、地盤データと基礎杭データを取得させるだけで、複数種類の工法ごとの長期許容支持力が算出される。
このため、工法毎に、地盤柱状図を見ながら長期許容支持力を計算する場合に比べ、より短時間で、複数種類の工法ごとに、所定の杭長ごとの長期許容支持力を知ることが可能となり、これらを比較検討するのが容易になる。
したがって、短時間でより適切な基礎杭の工法を検討することが可能となる。また、本発明は、基礎杭の支持力計算装置の発明であるが、基礎杭の支持力計算方法であっても、同様の作用効果を奏する。
【0011】
(2)の発明によれば、複数種類の工法ごとに算出された所定の杭長ごとの長期許容支持力が一覧的に表示される一覧画面を表示することが可能となる。
これにより、複数種類の工法の所定の杭長ごとの長期許容支持力を一覧的に確認することが可能となるので、より短時間でより適切な基礎杭の工法を検討することが可能となる。
【0012】
(3) 前記表示制御手段は、前記一覧画面において、前記地盤データに含まれるN値を表示することを特徴とする(2)に記載の基礎杭の支持力計算装置。
【0013】
(3)の発明によれば、複数種類の工法の所定の杭長ごとの長期許容支持力とともに、基礎杭の施工場所のN値も一覧的に表示することが可能となる。
これにより、複数種類の工法の所定の杭長ごとの長期許容支持力を、N値とともに一覧的に確認することが可能となるので、より短時間でより適切な基礎杭の工法を検討することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、短時間でより適切な基礎杭の工法を検討することが可能な基礎杭の支持力計算装置及びその方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る基礎杭の支持力計算装置の機能構成を示すブロック図である。
図2】地盤データを、模式的に示す図である。
図3】基礎杭の長期許容支持力を算出する計算式の一例である。
図4】本発明の実施形態に係る基礎杭の支持力計算装置が実行する基礎杭の支持力計算処理フローを示す図である。
図5】表示手段に表示される工法選択画面の一例である。
図6】表示手段に表示される工法別基礎杭データ入力画面の一例である。
図7】本発明の実施形態に係る基礎杭の支持力計算装置が実行する支持力計算・出力処理フローを示す図である。
図8】表示手段に表示される一覧画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、同一の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る基礎杭の支持力計算装置の機能構成を示すブロック図である。基礎杭の支持力計算装置1は、基礎杭の長期許容支持力を算出する。支持力計算装置1は、制御手段10と、入力手段20と、表示手段30と、記憶手段100と、を備える。
【0018】
制御手段10は、地盤データ取得手段11と、基礎杭データ取得手段12と、算出手段13と、表示制御手段14を備える。
【0019】
地盤データ取得手段11は、基礎杭の施工場所の地盤に関するデータである地盤データ110を取得する。地盤データ取得手段11は、地盤データ110が予め記憶手段100に記憶されているときには、この記憶された地盤データ110を取得する。なお、地盤データ取得手段11は、地盤データ110を、記憶手段100からに限らず、外部の装置(例えば、インターネットにおいて、地盤データを公表しているサイトのサーバ等)から取得してもよいし、施工場所の周辺の地盤データから推測されたデータを、当該施工場所の地盤データとして取得してもよい。また、地盤データ取得手段11は、入力手段20から入力された地盤データを取得してもよい。
【0020】
図2は、地盤データを、模式的に示す図である。
地盤データ110には、施工場所における、少なくとも地盤状況を示すデータと、地表からある深度(図2に示す例では29.2m)までの土質を示すデータと、が含まれている。
地盤状況を示すデータは、所定の深度毎(図2に示す例では1m毎や、1.1m毎)のN値(標準貫入試験値)や、粘土質地盤の一軸圧縮強度である。なお、一軸圧縮強度は、一軸圧縮試験により得られた値でもよいし、N値から推定された値でもよい。
土質を示すデータは、複数種類の土質に、それぞれ土質No.が対応付けられたデータベースと、地表からある深度までの土質の土質No.と、各土質の深度が対応付けられた土質名と深度を示すデータと、が含まれる。
【0021】
図1に戻って、基礎杭データ取得手段12は、複数種類の工法におけるそれぞれの基礎杭に関するデータである基礎杭データ120をそれぞれ取得する。基礎杭データ取得手段12は、基礎杭データ120が予め記憶手段100に記憶されているときには、この記憶された基礎杭データ120を取得する。なお、基礎杭データ取得手段12は、基礎杭データ120を、記憶手段100からに限らず、外部の装置(例えば、インターネットにおいて、基礎杭データを公表しているサイト(例えば、基礎杭を提供するメーカ等のサイト)のサーバ等)から取得してもよいし、入力手段20から入力された基礎杭データを取得してもよい。
【0022】
記憶手段100には、図3に示す計算式により、基礎杭の長期許容支持力を算出するプログラムが記憶されている。
【0023】
基礎杭データ120には、基礎杭の複数種類の工法毎に、図3に示す、係数(α、β、γ)の値、杭先端の平均N値を算出する範囲、杭の周面地盤のうち砂質地盤の平均N値を算出する範囲、杭の周面地盤のうち粘度質地盤の一軸圧縮強度の平均値を算出する範囲、杭の仕様(杭径(mm)、鋼管厚(mm)、羽根径(mm)、羽根厚(mm)、最小杭長(m)、最大杭長(m)等)が記憶されている。なお、図3に示す杭先端の有効断面積は、円周率×羽根径2/4×有効面積率(例えば、0.5)により算出される。また、杭の周長は、円周率×羽根径により算出される。
【0024】
図1に戻って、算出手段13は、記憶手段100に記憶された基礎杭の長期許容支持力を算出するプログラムを読み込み、地盤データ110及び基礎杭データ120や、入力手段20によりユーザから入力されたデータを用いて、複数種類の工法ごとの長期許容支持力を算出する。
そして、算出手段13は、複数種類の工法ごとに、所定の杭長(例えば、1mや0.5m)ごとの長期許容支持力を算出する。
【0025】
表示制御手段14は、算出手段13により、複数種類の工法ごとに算出された、所定の杭長ごとの長期許容支持力が、一覧的に表示される一覧画面を、表示手段30に表示する。
また、表示制御手段14は、一覧画面において、地盤データに含まれるN値を表示する。
【0026】
入力手段20は、例えば、キーボードや、マウスや、タッチパネル等で構成され、ユーザの操作を受け付ける。表示手段30は、例えば、モニタや、タッチパネル等で構成され、表示制御手段14の制御により、例えば、一覧画面を表示する。
【0027】
上記の基礎杭の支持力計算装置1の機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理手段は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶手段100に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフト等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶手段100に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。
【0028】
次に、基礎杭の支持力計算装置1が実行する杭データ推定処理について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る基礎杭の支持力計算装置が実行する基礎杭の支持力計算処理フローを示す図である。
【0029】
ステップS1において、地盤データ取得手段11は、基礎杭の施工場所の地盤に関するデータである地盤データ110を取得する。例えば、地盤データ取得手段11は、ユーザの操作により入力手段20から入力された基礎杭の施工場所の位置情報(住所等)に基づき、当該位置情報が示す位置や、当該位置の周辺の地盤データ110を、記憶手段100や、外部の装置から取得する。
【0030】
ステップS2において、基礎杭データ取得手段12は、複数種類の工法におけるそれぞれの基礎杭に関するデータである基礎杭データ120をそれぞれ取得する。例えば、基礎杭データ取得手段12は、ユーザの操作による入力手段20からの入力や、記憶手段100や、外部の装置から、基礎杭データ120を取得する。
【0031】
図5は、表示手段に表示される工法選択画面の一例である。
基礎杭の支持力計算装置1は、表示制御手段14が表示手段30に、ユーザが対比して検討したい複数の工法(図5に示す例では、「A工法」、「B工法」、「C工法」)を選択するため工法選択画面を表示する。ユーザは、工法選択画面において、工法を選択する。例えば、工法選択画面では、ユーザが入力手段20により、工法を選択する操作を行うことで、選択された工法に選択されたことを示す表示(図5に示す例では、チェック)がされる。
【0032】
基礎杭データ取得手段12は、工法選択画面(図5参照)において、ユーザに選択された工法の基礎杭データ120を、記憶手段100や外部装置を検索し取得する。一方、ユーザに選択された工法の基礎杭データ120が、基礎杭データ取得手段12により記憶手段100や外部装置を検索しても存在しなかった場合、表示制御手段14は、ユーザが入力手段20により工法ごとの基礎杭データを入力するための工法別基礎杭データ入力画面を、表示手段30に表示する。
【0033】
図6は、表示手段に表示される工法別基礎杭データ入力画面の一例である。
工法別基礎杭データ入力画面は、工法ごとに表示され、図6に示す例では、杭径、鋼管厚、羽根径、羽根厚、最小杭長及び最大杭長の数値を、ユーザが入力手段20により入力可能である。なお、表示制御手段14は、これらの数値のうち、基礎杭データ取得手段12が記憶手段100や外部装置を検索し取得できた数値を、予め工法別基礎杭データ入力画面に表示してもよい。例えば、表示制御手段14は、基礎杭データ取得手段12が、杭径及び鋼管厚の数値だけ記憶手段100や外部装置から取得できた場合、工法別基礎杭データ入力画面において、予め杭径及び鋼管厚の数値を表示し、羽根径、羽根厚、最小杭長及び最大杭長の数値のみを、ユーザの操作により受け付けてもよい。
【0034】
また、工法別基礎杭データ入力画面には、「支持力計算」ボタンが表示されている。例えば、ユーザによる入力手段20の操作により、「支持力計算」ボタンが操作された場合、制御手段10は、図4に示すステップS3に処理を移し、支持力計算・出力処理を開始する。
【0035】
図7は、本発明の実施形態に係る基礎杭の支持力計算装置が実行する支持力計算・出力処理フローを示す図である。
支持力計算・出力処理では、算出手段13は、記憶手段100に記憶された基礎杭の長期許容支持力を算出する計算式(図3参照)を読み込み、ステップS1で地盤データ取得手段11が取得した地盤データ110と、ステップS2で基礎杭データ取得手段12が取得した基礎杭データ120を用いて、複数種類の工法ごとの長期許容支持力を算出する。
【0036】
算出手段13は、工法選択画面(図5参照)において、ユーザに選択された工法ごとに、ステップS31~ステップS35の処理を行う。
【0037】
ステップS31において、算出手段13は、ステップS2で基礎杭データ取得手段12が取得した最小杭長(Lmin)及び最大杭長(Lmax)の数値を取得する。
【0038】
ステップS32において、算出手段13は、長期許容支持力を算出する杭長として、最小杭長(Lmin)を設定する。
【0039】
ステップS33において、算出手段13は、設定した杭長での長期許容支持力を、図3に示す計算式により計算・出力する。
【0040】
ステップS34において、算出手段13は、ステップS33で長期許容支持力を計算・出力した杭長に所定数(図7に示す例では「1」(m))を加算した値を、次に、長期許容支持力を算出する杭長として設定する。
【0041】
ステップS35において、算出手段13は、ステップS34で設定した杭長が、ステップS31で取得した最大杭長(Lmax)より大きいか否かを判定し、最大杭長(Lmax)より小さいと判定した場合にはステップS33に処理を戻し、最大杭長(Lmax)より大きいと判定した場合には支持力計算・出力処理を終了する。制御手段10は、支持力計算・出力処理を終了した場合、図4に示すステップS4に処理を移す。
【0042】
ステップS4において、表示制御手段14は、ステップS3において、算出手段13により、複数種類の工法ごとに算出された、所定の杭長ごとの長期許容支持力が、一覧的に表示される一覧画面を、表示手段30に表示する。
【0043】
図8は、表示手段に表示される一覧画面の一例である。
図8に示す例では、一覧画面は、工法別鉛直支持力比較画面として表示される。
表示制御手段14は、工法別鉛直支持力比較画面において、縦軸に長期許容(鉛直)支持力(kN)の目盛りを配置し、横軸に杭長、深度(m)の目盛りを配置し、これらの目盛り上に、ステップS3において算出手段13により算出された工法ごと、杭長ごとの長期許容支持力をポイントとして表示し、これらのポイントを線で結んだグラフとして、複数種類の工法ごと、所定の杭長ごとの長期許容支持力を一覧的に表示する。
また、表示制御手段14は、工法別鉛直支持力比較画面において、複数種類の工法ごと、所定の杭長ごとの長期許容支持力の一覧的な表示とともに、縦軸をN値の目盛りとし、横軸を深度(m)の目盛りとし、ステップS1において地盤データ取得手段11が取得したN値をポイントとして表示し、これらのポイントを線で結んだグラフとして表示する。
【0044】
このように、本実施形態の基礎杭の支持力計算装置1によれば、以下の作用効果を奏する。
基礎杭の支持力計算装置1によれば、地盤データ110と基礎杭データ120を取得させるだけで、複数種類の工法ごとの長期許容支持力が算出される。
このため、工法毎に、地盤柱状図を見ながら長期許容支持力を計算する場合に比べ、より短時間で、複数種類の工法ごとに、所定の杭長ごとの長期許容支持力を知ることが可能となり、これらを比較検討するのが容易になる。
したがって、短時間でより適切な基礎杭の工法を検討することが可能となる。
【0045】
また、基礎杭の支持力計算装置1によれば、複数種類の工法ごとに算出された所定の杭長ごとの長期許容支持力が一覧的に表示される工法別鉛直支持力比較画面を表示することが可能となる。
これにより、複数種類の工法の所定の杭長ごとの長期許容支持力を一覧的に確認することが可能となるので、より短時間でより適切な基礎杭の工法を検討することが可能となる。
【0046】
また、基礎杭の支持力計算装置1によれば、複数種類の工法の所定の杭長ごとの長期許容支持力とともに、基礎杭の施工場所のN値も一覧的に表示することが可能となる。
これにより、複数種類の工法の所定の杭長ごとの長期許容支持力を、N値とともに一覧的に確認することが可能となるので、より短時間でより適切な基礎杭の工法を検討することが可能となる。
【0047】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 基礎杭の支持力計算装置
10 制御手段
11 地盤データ取得手段
12 基礎杭データ取得手段
13 算出手段
14 表示制御手段
20 入力手段
30 表示手段
100 記憶手段
110 地盤データ
120 基礎杭データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8