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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】離型フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20230810BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20230810BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20230810BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230810BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20230810BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B32B27/00 L
B32B27/00 101
B32B27/36
C09D183/04
C09D7/63
B28B1/30 101
B05D7/24 302Y
B05D7/24 301C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019160028
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021037686
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽田 正紀
(72)【発明者】
【氏名】矢野 真司
【審査官】青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-055567(JP,A)
【文献】特開2014-028954(JP,A)
【文献】特開平09-076442(JP,A)
【文献】特開2014-156560(JP,A)
【文献】特開2010-195015(JP,A)
【文献】特開2014-083697(JP,A)
【文献】特開平11-156824(JP,A)
【文献】特開2016-141008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B05D 1/00- 7/26
B28B 1/00- 1/54
C08J 7/04- 7/06
C09D 1/00-10/00;
101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性コーティング組成物を反応及び固化させて得られる離型層をプラスチックフィルムの少なくとも片面に有する離型フィルムであって、
前記水性コーティング組成物は、下記の一般式(1)で示されるトリアルコキシシランAと、下記の一般式(2)で示されるトリアルコキシシランBと、水溶性アルケニル基含有化合物Cとを含有し、前記トリアルコキシシランA及び前記トリアルコキシシランBに含まれる全アルコキシ基に対する、前記水溶性アルケニル基含有化合物Cに含まれる全アルケニル基のモル比が3.0×10-4~2.1×10-2である、離型フィルム。
-Si(-OR (1)
(式中、Rは炭素数1~5のアルキル基、Rは炭素数1~2のアルキル基を表す。)
-Si(-OR (2)
(式中、Rはエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する有機官能基を表し、Rは炭素数1~2のアルキル基を表す)
【請求項2】
前記水溶性アルケニル基含有化合物Cがアミド結合を有する、請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項3】
前記離型層の表面自由エネルギーが20mN/m以上40mN/m以下である、請求項1又は2に記載の離型フィルム。
【請求項4】
前記離型層の厚みが1nm~1000nmである、請求項1~3いずれか1項に記載の離型フィルム。
【請求項5】
前記プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである、請求項1~4いずれか1項に記載の離型フィルム。
【請求項6】
セラミックグリーンシートの成形に用いられるものである、請求項1~5いずれか1項に記載の離型フィルム。
【請求項7】
プラスチックフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムの製造方法であって、水性コーティング組成物を反応及び固化させて離型層を形成する工程を有し、
前記水性コーティング組成物は、下記の一般式(1)で示されるトリアルコキシシランAと、下記の一般式(2)で示されるトリアルコキシシランBと、水溶性アルケニル基含有化合物Cとを含有し、前記トリアルコキシシランA及び前記トリアルコキシシランBに含まれる全アルコキシ基に対する、前記水溶性アルケニル基含有化合物Cに含まれる全アルケニル基のモル比が3.0×10-4~2.1×10-2である、離型フィルムの製造方法。
-Si(-OR (1)
(式中、Rは炭素数1~5のアルキル基、Rは炭素数1~2のアルキル基を表す。)
-Si(-OR (2)
(式中、Rはエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する有機官能基を表し、Rは炭素数1~2のアルキル基を表す)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアルコキシシランを含む水性コーティング組成物から得られる離型層を有する離型フィルム、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
離型フィルムは、従来より粘着剤、接着剤、貼薬剤等よりなる粘着面を保護する目的、或は硬化性樹脂、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化反応性、形成性を保護する目的等で用いられている。また、近年積層セラミックコンデンサー用のグリーンシート成形時のキャリアフィルムとして、特に需要が旺盛であるが、セラミック原料を離型フィルムに塗布した後に、剥離されるまで時間がかかる場合があり、他の用途に比べて塗布原料中の溶剤の影響を受けやすい傾向がある。
【0003】
かかる離型フィルムとして、従来から、プラスチックフィルムの少なくとも片面にポリジメチルシロキサンの付加重合硬化物または縮重合硬化物よりなる皮膜を設けたものが用いられている。この硬化物は非粘着で離型効果に優れ、また熱安定性に優れるという利点を有するが、塗布面の表面自由エネルギーを著しく低下させるため、塗布原料の濡れ性に乏しく、得られる樹脂層等(以下「被剥離層」という)に濡れ性不良に起因する塗工欠陥を発生させやすい。
【0004】
一方、表面自由エネルギーを向上させるためにオレフィン等を離型層として用いると、被剥離層の剥離強度が増大し、被剥離層の破れや剥離不良が発生するという問題点がある。従って、被剥離層成形時の濡れ性と剥離性に優れた離型フィルムが求められている。
【0005】
上記課題に対して、特許文献1には架橋剤成分量の調整によりシリコーン離型層の濡れ性を向上させる技術が開示されているが、未だ濡れ性は不十分であり、更に濡れ性を上げようとすれば、架橋基の残留による重剥離化が発生する問題がある。
【0006】
また、特許文献2にはシリコーン離型層にポリビニルアルコール樹脂を混和し、剥離強度と濡れ性を調整する技術が開示されている。しかし、シリコーン樹脂とポリビニルアルコールの相溶性が悪いため、微小領域ではシリコーン樹脂が偏析する箇所が発生し、局所的な濡れ性不良となるため、樹脂コーティング時の塗工欠陥を防止するに至らない。
【0007】
そこで、こられの問題を解消し、被剥離層成形時の濡れ性と剥離性に優れた離型フィルムを提供する目的で、特許文献3には、2種のトリアルコキシシランを含有する水性コーティング組成物を反応固化させて得られた離型層を有する離型フィルムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-6213号公報
【文献】特開2010-195015号公報
【文献】特開2019-55567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3で用いる2種のトリアルコキシシランを含有する水性コーティング組成物では、加水分解反応と縮合反応の後に水酸基が残存する場合があり、これが塗布原料(例えばセラミック原料)中の溶剤の影響を受け易くなるためか、塗布後に一定時間放置した後に測定した場合の剥離強度が、放置しない場合と比較して高くなってしまう傾向があった。このような傾向は、離型フィルムをグリーンシート成形時のキャリアフィルムとして使用する場合に、不都合が生じやすく、改善の余地があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、かかる課題を解消するべく、離型層の製膜性を良好に維持しながら、被剥離層の塗布原料に対する濡れ性と、一定時間放置後の被剥離層の剥離性とに優れた離型フィルム、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、かかる課題を達成するために鋭意検討した結果、2種のトリアルコキシシランを含有する水性コーティング組成物に、水溶性アルケニル基含有化合物を所定のモル比で添加することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の内容を含むものである。
【0012】
[1]水性コーティング組成物を反応及び固化させて得られる離型層をプラスチックフィルムの少なくとも片面に有する離型フィルムであって、
前記水性コーティング組成物は、下記の一般式(1)で示されるトリアルコキシシランAと、下記の一般式(2)で示されるトリアルコキシシランBと、水溶性アルケニル基含有化合物Cとを含有し、前記トリアルコキシシランA及び前記トリアルコキシシランBに含まれる全アルコキシ基に対する、前記水溶性アルケニル基含有化合物Cに含まれる全アルケニル基のモル比が3.0×10-4~2.1×10-2である、離型フィルム。
-Si(-OR (1)
(式中、Rは炭素数1~5のアルキル基、Rは炭素数1~2のアルキル基を表す。)
-Si(-OR (2)
(式中、Rはエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する有機官能基を表し、Rは炭素数1~2のアルキル基を表す。)
【0013】
[2]前記水溶性アルケニル基含有化合物Cがアミド結合を有する、[1]に記載の離型フィルム。
【0014】
[3]前記離型層の表面自由エネルギーが20mN/m以上40mN/m以下である、[1]又は[2]に記載の離型フィルム。
【0015】
[4]前記離型層の厚みが1nm~1000nmである、[1]~[3]いずれかに記載の離型フィルム。
【0016】
[5]前記プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである、[1]~[4]いずれかに記載の離型フィルム。
【0017】
[6]セラミックグリーンシートの成形に用いられるものである、[1]~[5]いずれかに記載の離型フィルム。
【0018】
[7]プラスチックフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムの製造方法であって、水性コーティング組成物を反応及び固化させて離型層を形成する工程を有し、
前記水性コーティング組成物は、下記の一般式(1)で示されるトリアルコキシシランAと、下記の一般式(2)で示されるトリアルコキシシランBと、水溶性アルケニル基含有化合物Cとを含有し、前記トリアルコキシシランA及び前記トリアルコキシシランBに含まれる全アルコキシ基に対する、前記水溶性アルケニル基含有化合物Cに含まれる全アルケニル基のモル比が3.0×10-4~2.1×10-2である、離型フィルムの製造方法。
-Si(-OR (1)
(式中、Rは炭素数1~5のアルキル基、Rは炭素数1~2のアルキル基を表す。)
-Si(-OR (2)
(式中、Rはエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する有機官能基を表し、Rは炭素数1~2のアルキル基を表す)
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、離型層の製膜性を良好に維持しながら、被剥離層の塗布原料に対する濡れ性と、一定時間放置後の被剥離層の剥離性とに優れた離型フィルム、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0021】
[本発明の離型フィルム]
本発明の離型フィルムは、水性コーティング組成物を反応及び固化させて得られる離型層を、プラスチックフィルムの少なくとも片面に有するものである。後に詳述するように、水性コーティング組成物には、相互に反応する2種の3官能性トリアルコキシシランを含有し、更にこれらと反応する水溶性アルケニル基含有化合物を含有するため、得られる高分子の構造の同定やそれに基づくクレームの特定は容易ではなく、非実際的な事情が存在する。このため、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの形式により、本発明の離型フィルムを特定した。
【0022】
[プラスチックフィルム]
本発明におけるプラスチックフィルムは、特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレントリアセチルセルロース、アクリル、ポリイミド等からなるシートあるいはフィルムを例示することができる。中でも、機械特性、耐熱性に優れ、またこれらの特性と価格とのバランスが良いという観点から、ポリエステルからなるフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートからなるフィルムがより好ましい。また、かかるフィルムとしては、二軸延伸フィルムであることが、機械特性、耐熱性にさらに優れるため好ましい。
【0023】
プラスチックフィルムとしてポリエステルフィルムを用いる場合には、該ポリエステルフィルムは従来から知られている方法で製造できる。例えば、ポリエステルを乾燥後溶融し、ダイ(例えばTダイ、Iダイ等)から冷却ドラム上に押出し冷却して未延伸フィルムとし、該未延伸フィルムを二軸方向に延伸し、更に熱固定することによって製造することができる。
【0024】
フィルムの厚みは、特に制限がないが、12~250μmが好ましい。ポリエステルフィルムとしては滑剤を含まないフィルムが表面平坦性の点で好ましいが、表面粗さ制御のため滑剤、例えば炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、酸化チタン等の如き無機微粒子および/または触媒残渣の析出微粒子等を含有させたフィルムであっても良く、またドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの如き帯電防止剤、色調調整剤等の如き他の添加剤を含有させたフィルムであっても良い。
【0025】
また、水性コーティング組成物を塗布する離型層形成面には、離型層との密着性を高めるために、表面処理をしたり、易接着層を設けることが可能である。表面処理としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線処理、火炎処理及び電子線・放射線処理などが挙げられ、易接着層としては、プラスチックフィルムと同じ樹脂を含有し、更に帯電防止剤、顔料、界面活性剤、潤滑剤、アンチブロッキング剤など、を含有する層が挙げられる。但し、本発明では、離型層の構成成分となるトリアルコキシシランBが特定の官能基を有するため、表面処理等をしなくても、離型層がプラスチックフィルムに対して十分な密着性を有することができる。
【0026】
[離型層]
本発明における離型層は、水性コーティング組成物を反応及び固化させて得られるものである。水性コーティング組成物は、下記の一般式(1)で示されるトリアルコキシシランAと、下記の一般式(2)で示されるトリアルコキシシランBと、水溶性アルケニル基含有化合物Cとを含有する。
【0027】
-Si(-OR (1)
(式中、Rは炭素数1~5のアルキル基、Rは炭素数1~2のアルキル基を表す。)
-Si(-OR (2)
(式中、Rはエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する有機官能基を表し、Rは炭素数1~2のアルキル基を表す)
一般的に、水を含む水性コーティング組成物中で、アルコキシシランは加水分解して水酸基を生成し、水酸基同士が縮合反応して、Si-O-Si結合によりアルコキシシランが高分子化することが知られている。トリアルコキシシランAとトリアルコキシシランBとを含む場合、両者とも3官能性であるため、3次元的に架橋した構造の高分子が生成する。その際、生成した水酸基の全てが縮合反応する可能性は低く、水酸基が一部残存すると考えられる。
【0028】
一方、生成したSi-OHは、ビニル基等のアルケニル基を含有する化合物と反応(マイケル付加)することが知られており、本発明では、水性コーティング組成物中に水溶性アルケニル基含有化合物を所定のモル比で添加することにより、残存する水酸基による影響を低減できることを確認している。更に、アルケニル基含有化合物が2つ以上のアルケニル基を有する場合、これがアルコキシシランの架橋剤として機能することで、架橋密度が高まって剥離強度をより低減できると考えられる。また、官能基Rは、未反応のまま残る場合と、他の成分と反応する場合がある。
【0029】
従って、本発明における離型層は、生成するポリシロキサンとして、下記の一般式で示される構造単位を含むと考えられる。
【0030】
-Si-O3/2 (1’)
-Si-O3/2 (2’)
3’-Si-O3/2 (2’’)
(式中、R3’はRの反応残基を示す。)
【0031】
[トリアルコキシシランA]
一般式(1)において、Rがアルキル基以外の官能基の場合は剥離性が発現せず、また炭素数が5より大きいと架橋反応性が著しく低下するため好ましくない。Rとしては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ-プロピル基、1-n-ブチル基、2-n-ブチル基、イソ-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソ-ペンチル基、ネオ-ペンチル基、t-ペンチル基が挙げられるが、適度な剥離性と架橋反応性のバランスの観点から、プロピル基、ブチル基が好ましい。Rとしては、メチル基、エチル基が挙げられるが、反応性の観点から、メチル基が好ましい。
【0032】
[トリアルコキシシランB]
また、一般式(2)において、Rはエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する有機官能基であるが、エポキシ基を含有する有機官能基であることが好ましい。エポキシ基含有有機官能基は、プラスチックフィルム表面に対する離型層の密着性を向上し、また離型層の架橋密度を向上させる観点から好ましい。
【0033】
エポキシ基を含有する有機官能基としては、具体的には2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-グリシドキシプロピル基、3-グリシドキシプロピルメチル基等を挙げることができる。アミノ基を含有する有機官能基としては、3-アミノプロピル基、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル基、N-フェニル-3-アミノプロピル基等が挙げられる。イソシアネート基を含有する有機官能基としては、3-イソシアネートプロピル基等が挙げられる。メルカプト基を含有する有機官能基としては、3-メルカプトプロピル基等が挙げられる。
【0034】
また、トリアルコキシシランA/トリアルコキシシランBのモル比は、80/20~30/70であることが好ましく、70/30~40/60がより好ましく、70/30~50/50が更に好ましい。モル比が上記範囲内であると塗膜硬度と剥離性のバランスが良好になるため、所望の濡れ性と剥離性を両立し易くなる。
【0035】
なお、生成するポリシロキサンは、主たる構成成分が、前記のトリアルコキシシランAとトリアルコキシシランBであればよく、本発明の効果を阻害しない範囲において、他の構成成分を含んでいてもよい。例えば、トリアルコキシシランAとB以外の3官能型のアルコキシシラン、1官能型のアルコキシシラン、2官能型のアルコキシシラン、4官能型のアルコキシシランを含むことも可能である。
【0036】
但し、ポリシロキサンの構成成分中のトリアルコキシシランAとB合計の割合は、全構成成分中の80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。なお、この割合については、水溶性アルケニル基含有化合物Cはポリシロキサンの構成成分として考慮していない。
【0037】
このようなポリシロキサンの含有量としては、離型層固形分全体に対して、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。離型層全固形分に対するポリシロキサン質量が下限以上であると剥離性が発現しやすく、被剥離層剥離強度も良好になる。なお、ポリシロキサンの離型層固形分全体に対する質量の上限は、特に規定されないが、98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、92質量%以下がさらに好ましい。
【0038】
[水溶性アルケニル基含有化合物C]
水溶性アルケニル基含有化合物Cとしては、アルケニル基を含有し、水溶性を有する化合物であれば何れでもよいが、好適な水溶性を付与する上で、水溶性アルケニル基含有化合物Cがアミド結合を有することが好ましい。ここで、「水溶性」とは、室温(23℃)での水への溶解度が0.1g/100mL以上であることを意味する。
【0039】
水溶性アルケニル基含有化合物Cが有するアルケニル基の数としては、一分子当たり1~ 個のアルケニル基を有することが好ましく、2個有することがより好ましい。アルケニル基としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル等の低級(特にC2~4)アルケニル基が挙げられる。
【0040】
水溶性アルケニル基含有化合物Cとしては、具体的には、N,N’-トリメチレンビス[2-(ビニルスルフォニル)アセタミド]、N,N-エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルオクチルアミン、N,N-ジビニル-1-オクタンアミン、N-ビニル-1-オクタンアミン、2-ビニル-1H-イミダゾール、メチルトリビニルホスホニウム-ヨージド、3-ビニルピロリジン、メチルフェニルジビニルシランN, N', N''-トリアクリロイルジエチレントリアミン、N, N', N'', N'''-テトラアクリロイルトリエチレンテトラアミド等が挙げられる。
【0041】
トリアルコキシシランA及びBに含まれる全アルコキシ基に対する、水溶性アルケニル基含有化合物Cに含まれる全アルケニル基のモル比は、3.0×10-4~2.1×10-2であり、被剥離層の剥離性をより良好にする観点から、5.0×10-4~1.5×10-2が好ましく、1.0×10-3~1.0×10-2がより好ましい。このモル比は、水溶性アルケニル基含有化合物Cの種類に応じた添加量によって調整できる。
【0042】
[界面活性剤]
本発明における離型層を設けるためのコーティング組成物には、プラスチックフィルムへの濡れを促進するために界面活性剤を添加することができる。かかる界面活性剤はアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン界面活性等が挙げられるが、トリアルコキシシランの硬化反応を阻害しにくい観点から、好ましくはノニオン系界面活性剤である。
【0043】
界面活性剤の含有量は、プラスチックフィルムへの濡れ性等の観点から、水性コーティング組成物中、0.1~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましい。
【0044】
[シリカ粒子]
本発明における離型層には架橋反応促進および低分子シラン成分の揮散防止のためにシリカ粒子を添加するのが好ましい。離型層に添加するシリカ粒子は離型面の表面粗さへの影響を小さくするために小粒径のものが良く、一次粒子径は好ましくは1~100nm、より好ましくは2~80nm、さらに好ましくは3~50nmである。一次粒子径が100nm以下であると、離型面の表面平滑性が良好となり、一次粒子径が1nm以上であると、シリカ粒子表面の反応活性の影響が小さく、剥離性を良好に制御しやすい。
【0045】
シリカ粒子の量は、架橋反応の促進効果や離型層最表面におけるシリカ粒子の占有面積の調整の観点から、離型層全質量に対して、1~20質量%が好ましく、2~10質量%であることがより好ましい。
【0046】
[その他の添加剤]
更に、本発明における離型層には、本発明の効果を消失させない範囲において、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、有機フィラー、潤滑剤、ブロッキング防止剤等の他の添加剤を混合することができる。
【0047】
[離型層の物性等]
本発明における離型層の厚みは1nm~1000nmが好ましく、より好ましくは5nm~500nmであり、更に好ましくは10nm~100nmである。離型層厚みが1nm以上であるとプラスチックフィルム表面を完全に被覆でき、剥離性が確保しやすくなる。また、離型層厚みが1000nm以下であると離型フィルムをロールtoロール搬送での取扱性が良くなり、また、塗膜硬化に必要な熱量も大きくなりすぎない。
【0048】
離型層の表面自由エネルギーは、被剥離層の塗布原料に対する濡れ性、被剥離層の剥離性の観点から、20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。25mN/m以上35mN/m以下であることが好ましい。
【0049】
本発明の離型フィルムの離型層を形成した側の表面粗さは、Raが1~30nmであることが好ましく、1~20nmであることがより好ましく、1~15nmであることがさらに好ましい。また、Rzが10~800nmであることが好ましく、10~600nmであることがより好ましく、10~500nmであることがさらに好ましい。表面粗さが該範囲にあることで、離型フィルムのハンドリング性が良好となり、かつ、離型面上に形成する被剥離層の平滑性を満足させることができる。
【0050】
[用途]
本発明の離型フィルムは、粘着剤、接着剤、貼薬剤等よりなる粘着面を保護する目的、或は硬化性樹脂、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化反応性、形成性を保護する目的等で用いることができる。また、積層セラミックコンデンサー用、セラミック多層配線基板用などのグリーンシート成形時のキャリアフィルムとして用いることができる。
【0051】
[離型フィルムの製造方法]
本発明の離型フィルムを製造する方法は、特に限定されないが、本発明の製造方法により、好適に製造することができる。即ち、本発明の製造方法は、プラスチックフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムの製造方法であって、水性コーティング組成物を反応及び固化させて離型層を形成する工程を有し、前記水性コーティング組成物は、一般式(1)で示されるトリアルコキシシランAと、一般式(2)で示されるトリアルコキシシランBと、水溶性アルケニル基含有化合物Cとを含有し、前記トリアルコキシシランA及び前記トリアルコキシシランBに含まれる全アルコキシ基に対する、前記水溶性アルケニル基含有化合物Cに含まれる全アルケニル基のモル比が3.0×10-4~2.1×10-2であることを特徴とする。プラスチックフィルム、及び水性コーティング組成物の成分、組成等については前述した通りである。
【0052】
離型層の形成工程は、例えば以下のようにして実施することができる。すなわち、トリアルコキシシランAとトリアルコキシシランBを加水分解することにより水へ溶解させ、更に他の成分を混合した水性コーティング組成物を、プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布し、次いで乾燥させることで、離型層を形成できる。以下、プラスチックフィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合について記載する。
【0053】
塗布は、通常の塗布工程、すなわちポリエステルフィルムに、該フィルムの製造工程と切離して塗布する工程で行ってもよい。しかし、この工程では、芥、塵埃などを巻込み易いから、クリーンな雰囲気での塗工が望ましい。かかる観点よりポリエステルフィルム製造工程での塗工が好ましい。特に、この工程中で結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに水性コーティング組成物として塗布することが、ポリエステルフィルムとの密着性の観点から好ましい。
【0054】
ここで、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムとは、ポリエステルを熱溶融してそのままフィルム状となした未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向(長手方向)または横方向(幅方向)の何れか一方に配向せしめた一軸延伸フィルム、さらには縦方向及び横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたフィルム(最終的に縦方向または横方向に再延伸せしめて配向結晶可を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。
【0055】
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えば、キスコート法、バースコート法、ダイコート法、リバースコート法、オフセットグラビアコート法、マイヤバーコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法及びカーテンコート法などを単独又は組み合わせて適用するとよい。
【0056】
水性コーティング組成物を塗布された、結晶配向完了する前のポリエステルフィルムは、乾燥され、延伸、熱固定等の工程に導かれる。例えば水性コーティング組成物を塗布した縦一軸延伸ポリエステルフィルムは、ステンターに導かれて横延伸及び熱固定される。この間、水性コーティング組成物は乾燥され熱架橋される。
【0057】
ポリエステルフィルムの配向結晶化条件、例えば延伸等の条件は、従来から当業界に蓄積された条件で行うことができるが、熱固定温度は、フィルムの融解サブピーク温度(Tsm)が好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは210℃以上になるように調整することが好ましい。ここで融解サブピーク温度(Tsm)とは、示差走査熱量計測定(DSC)によるポリエステルの結晶融解前に現れる微小な吸熱ピークであり、この融解サブピーク(Tsm)はフィルムの熱固定温度に相当する温度に微小ピークとして観測され、熱固定処理で形成された結晶構造のうち不完全な部分(擬結晶)が融解するために生じるものである。Tsmが180℃を下回ると、本発明における離型層を硬化させるために必要な熱量が大きいため、塗膜硬化に充分な熱量が供給されず、架橋不足となり、所望の剥離性が発現しないことがある。
【実施例
【0058】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性等の評価方法は以下の通りである。
【0059】
(1)離型層厚み
離型フィルムサンプルを三角形の小片に切り出した後、コーティングにより、厚み2nmのPt(白金)層を離型層表面に形成した。得られたサンプルを多軸包埋カプセルに固定して、エポキシ樹脂を用いて包埋処理し、ミクロトームULTRACUT-Sを用いて、フィルムの面方向に垂直な方向にスライスして、厚さ50nmの超薄サンプルを得た。次いで、得られた超薄サンプルをグリッドに載台して、2%オスミウム酸により、60℃、2時間の条件で蒸気染色した。蒸気染色後の超薄サンプルを用いて、透過電子顕微鏡LEM-2000により、加速電圧100kvの条件でフィルム断面を観測し、離型層の厚みを測定した。測定は、任意の10点について実施し、それらの平均値を離型層の厚み(単位:μm)とした。
【0060】
(2)離型層均一性
作成した離型フィルム表面を目視で観察し、離型層の均一性を評価した。なお、評価基準は下記の通りであり、○以上を良好な離型層表面と判定した。
◎:離型層表面1mに長径0.5mm以上の塗布欠陥が観察されない。
○:離型層表面1mに長径1.0mm以上の塗布欠陥が観察されない。
△:離型層表面1mに長径1.5mm以上の塗布欠陥が観察されない。
×:離型層表面1mに長径2.0mm以上の塗布欠陥が1つ以上観察される。
【0061】
(3)樹脂層(被剥離層)塗工時欠点数
作成した離型フィルムの離型層を形成した面上に、ポリビニルブチラール(積水化学製、BM-2)をトルエンーエタノール7:3(質量比)混合液に溶解させた溶液を、アプリケータを用いて樹脂層の厚みが0.5μmとなるように塗布、乾燥させ、樹脂層を形成した。形成した樹脂層のハジキ欠陥を顕微鏡で1cm×1cmの領域を検査し、欠点数を計測した。該欠点数が6個/(1cm×1cm)以上であるとMLCCチップを製造した際に電気特性不良率が高くなる。
【0062】
(4)樹脂層(被剥離層)剥離強度
作成した離型フィルムの離型層を形成した面上に、ポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製、BM-2)をトルエンーエタノール7:3(質量比)混合液に溶解させた溶液を、アプリケータを用いて樹脂層の厚みが3.0μmとなるように塗布し、その後室温で20分間放置してから、70℃で乾燥させて、樹脂層を形成した。形成した樹脂層を粘着テープが貼られたSUS板へ貼り付け固定し、離型フィルムを剥離角度90度、剥離速度300mm/分、サンプル幅25mmで剥離し、その際の剥離抵抗を測定した。剥離強度が5.0g/25mmを超えると樹脂層の破断が発生する(樹脂層がSUS板側に残る)ため、実用上問題がある。
【0063】
(5)離型層の表面自由エネルギー
23℃、65%RHの条件下で、24時間調湿したフィルムサンプルの離型層表面について、自動接触角測定装置(協和界面化学(株)社製)を使用して、水、ヨウ化メチレン、n-ヘキサデカンとの静的接触角を測定した。各液体試料についてそれぞれ5回ずつ測定を行い、その平均値をフィルムサンプルの接触角とし、各液体試料の表面張力および表面張力成分値(表1)を用いて、下記式(I)のFowkesの拡張式より離型層表面の表面自由エネルギーを算出した。
γ=γ +γ +γ h ・・・(1)
(上式中、γ は分散成分、γ は極性成分、γ は水素結合成分をそれぞれ表わす)
【0064】
【表1】
【0065】
(6)ビニル基の反応の確認
実施例および比較例の離型フィルムの離型層について、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR;パーキンエルマー社製、製品名「Spectrum100」)の全反射測定法(Attenuated Total Reflection;通称「ATR法」)にて測定して、ビニル基に由来する吸収ピーク(810cm-1付近、1635cm-1付近)を確認した。その結果、実施例及び比較例のいずれにおいても、2軸延伸後にビニル基に由来する吸収ピークの減少が確認できたことから、シラノールの水酸基とビニル基の架橋反応(アルコール付加反応)が進行していることが示された。
【0066】
[実施例1]
平均粒子径が0.7μmの炭酸カルシウム粒子を0.1質量%含むポリエチレンテレフタレート([η]=0.64dl/g、Tg=78℃)を、20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して未延伸フィルムを得、次に機械軸方向に3.6倍延伸したのち、一軸延伸フィルムの片面に、下記の水性コーティング組成物をロールコーターで塗布した。次いで115℃で乾燥し、145℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理し、厚み30μmの離型フィルムを得た。この離型フィルムについて、前述の評価を行なった。その結果を表2に示す。
【0067】
水性コーティング組成物としては、脱イオン水360質量部に、攪拌下において、トリアルコキシシランAとしてn-プロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製;製品名「KBM-3033」)を60モルと、トリアルコキシシランBとして3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製;製品名「KBM-403」)を40モルとの混合物10質量部、ビニル基含有化合物C1としてN,N’-トリメチレンビス[2-(ビニルスルフォニル)アセタミド]0.1質量部、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王社製;製品名「エマルゲン1108」)を1質量部、コロイダルシリカ(日産化学社製;製品名「スノーテックスOS」、一次粒子径10nm)1.5質量部を添加して、均一に混合したものを使用した。
【0068】
[実施例2~13]
実施例1において、水性コーティング組成物の組成を表2に示すものに代えたこと以外は、実施例1と全く同じ条件で離型フィルムを作製し、前述の評価を行なった。その結果を表2に示す。
【0069】
なお、ビニル基含有化合物C2としては、N,N',N''-トリアクリロイルジエチレントリアミン(富士フイルム和光純薬工業社製;FAM-301)、ビニル基含有化合物C3としてはN,N',N'',N'''-テトラアクリロイルトリエチレンテトラアミド(富士フイルム和光純薬工業社製;製品名FAM-402)を用いた。
【0070】
[比較例1~6]
実施例1において、表2に示すように水性コーティング組成物中にビニル基含有化合物を添加しないか又は過剰に添加したこと以外は、実施例1と全く同じ条件で離型フィルムを作製し、前述の評価を行なった。その結果を表2に示す。
【0071】
[比較例7~8]
実施例1において、表2に示すようなトリアルコキシシランを用いたこと以外は、実施例1と全く同じ条件で離型フィルムを作製し、前述の評価を行なった。その結果を表2に示す。
【0072】
[比較例9]
実施例1において、水性コーティング組成物におけるトリアルコキシシランA及びBの代わりに、水性付加重合型ポリジメチルシロキサン(信越化学製;製品名「KM-3951」)7.5質量部と白金触媒0.08質量部を用いてコーティング組成物を作製した以外は、実施例1と全く同じ条件で離型フィルムを作製し、前述の評価を行なった。その結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
表2から明らかの如く、本発明の離型フィルムは、水溶性アルケニル基含有化合物を所定のモル比で水性コーティング組成物中に含有するため、離型層均一性と樹脂層塗工時の濡れ性と剥離性に優れていた。
【0075】
これに対して、水性コーティング組成物中にビニル基含有化合物を添加しないか又は過剰に添加した比較例1~6では、樹脂層剥離強度が高くなり、所望の剥離性が得られなかった。また、本発明とは異なるトリアルコキシシランを用いた比較例7~8では、所望の剥離性が得られないだけでなく、離型層均一性も不十分であった。更に、水性付加重合型ポリジメチルシロキサンを用いた比較例9では離型層均一性や濡れ性も劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の離型フィルムは、被剥離層の塗布原料に対する濡れ性と、一定時間放置後の被剥離層の剥離性とに優れるため、各種の用途に使用できるため、産業上の利用価値は極めて高い。